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1954-11-13 第19回国会 衆議院 農林委員会 第80号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十三日(土曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 芳賀  貢君    理事 吉川 久衛君 理事 川俣 清音君       小枝 一雄君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松山 義雄君       足鹿  覺君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    井手 以誠君       伊東 岩男君    中澤 茂一君       中村 時雄君    久保田 豊君       安藤  覺君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小川清四郎君         総理府事務官         (公正取引委員         会局長官房総務         課長)     能谷 典文君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部乳肉衛         生課長)    阿曽村千春君         厚 生 技 官 恩田  博君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (畜産局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      昌谷  孝君         食糧庁長官   前谷 重夫君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    原  政司君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十一月十三日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として淡  谷悠藏君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十九年十月十五日現在の稲の作況に関す  る説明聴取  食糧問題に関する件  酪農振興及び乳価に関する件     —————————————
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  食糧問題について調査を進めますが、まず本年産米水陸稲の十月十五日現在の作況並びに予想収穫高について過般調査の結果がまとまつたようでありますので、この際その説明を求めます。野田統計調査部長
  3. 野田哲五郎

    野田説明員 十月十五日の調査につきましては十一月の二日に公表されたのでありますが、当委員会におきまして御説明を申し上げる機会を失しておりますので、この機会に簡単に説明をさせていただきたいと思います。  現在におきまして水陸合計で六千二百七十万石という収穫予想を出したのでございます。これを九月十五日現在の試算収穫高六千四百六十三万石に比較いたしますと、百九十万石の減少ということになるのでございます。この百九十万石の中の減少のおもなる原因は、九月十五日以降に襲来いたしました台風十四号及び十五号の被害でございます。これはその後の九月十五日現在において被害をとらえますと、約百五十万石に相なる次第でございます。従つてその他の一般的な気温の低下、あるいはうんかの発生等によりまして生じました減収は四十万石、厳密に申し上げますと四十四万石ということになるのでございます。これを指数で申し上げますと、九月十五日現在におきまして水稲は九八でございましたのが、十月十五日におきまして九五というふうに三%の減少を示しております。この中で著しく減少いたしましたのは、北海道が指数七〇から六〇に減つたことでございます。なお東海、近畿、中国、四国、九州というようなところがかなり減少を示しておりまして、その他の地域におきましては、地域的には若干の相違がありますけれども、ほぼもち合いというような状況でございます。  陸稲につきましては、九月十五日の指数が八三で、十月十五日がまた八三で、全国的にはもち合いを示しておりますが、これを地域的に見ますと、関東地方におきまして八五から八九に若干の作柄の好転を示しております。一方九州におきましては、七三が六四というふうに非常に激減しておるのでございます。この陸稲につきましては、主産地が関東九州であります関係上、この二つの数字が大体全国を支配するというふうに御解釈を願いたいと思います。非常に簡単でございますが一応御説明を申し上げた次第であります。
  4. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 それではただいまの野田統計調査部長説明について、なお本年度食糧供出検査規格、その他食糧管理の問題について、昨日に引続いて質疑を行います。井手以誠君
  5. 井手以誠

    井手委員 長官には食糧管理制度についていろいろお尋ねしたいことがありますが、私時間の都合がありますので一点だけお伺いしたい。  それはただいま開会前に陳情になりました内地米配給日数の問題であります。昨年は二千数百万石の集荷目標に対して、生産県は最高二十日、あるいは十八日というもので配給計画を立てられた。その後凶作のために集荷が思わしくないので、去る六月からあの黄変米を加えた外米生産県にまわすという措置をとられたのであります。ところが今年は集荷目標が先般の割当会議で予定より減りはしましたけれども、昨年より上まわる二千二百五十万石と承わつております。そうなりますと昨年計画されたものよりも、それをうんと切り下げて配給しなくてはならない数字であるとはどうしても私は考えられないのであります。凶作のために外米をまわす、それが評判が悪かつたから今度は外米を落してしまつた、そういうことになると、結局供出数量は昨年よりも多くして、配給日数が少くなる。これはどうしても理に合わないのであります。米屋さんはまた別の角度もありましようけれども、とにかく消費者は切下げのために非常に困つておる。これに対して、なぜ配給日数を減らさねばならないのか、消費者が納得し得るだけの材料をもつてここに御答弁を願いたいと存じております。なお先般の農林大臣答弁によりますと、消費者配給日数均衡を保つようにしなくてはならないという答弁がありましたけれども、それでは一部に配給日数増加しておるかと言えば絶対にそうではないのでありまして、これはごまかしであります。どうぞ納得の行くような御答弁をいただきたいと存じます。
  6. 前谷重夫

    前谷説明員 本年度需給計画につきましては、具体的には各府県の人口の問題あるいは農家配給等の問題も詳細に打合せをいたさなければなりませんので、最終的に決定をしておりませんが、大まかに申し上げますと、昨年度におきましても、消費地におきましては七日の内地米配給でございまして、六月までは生産地におきましては二十日ないし十七日——県によつて違いますが、そういう配給をいたしまして、六月以降生産県につきましては十五日の内地米配給ということにしておつたことは、ただいまの井手委員お話の通りでございます。本年度は、現在集荷目標を二千二百四十九万石といたしておりますが、このもとにおきますと、昨年度消費地内地米におきまして七日でございましたのが一日ふえて八日に相なるわけでございます。消費地日数が一日ふえるということは——消費地生産地との割合は一対三の割合になつておりまして、お話のように昨年度よりも約二百万石程度集荷目標はふえておりますけれども、その分が消費地の方にまわる、かようなことに相なりますのと、昨年度におきましては、一昨年度よりの集荷が当初の計画に対しまして百万石程度増加した、二十七年産米増加をいたしておつたというふうな関係で持越しが多かつた、こういう点がございますので、昨年度と本年度との事情は、そういう点の違いがあるということを御了承願いたいと思います。考え方といたしましては、配給日数は、内地米につきましてはできるだけ均衡化をはかりたい。集荷量の範囲におきましてそういう措置をとつておるわけでございますが、かと申しましても、生産地事情というものを無視するわけには行きませんので、そういう事情をも考えまして、現在におきましては生産県十五日、消費県八日という目標配給をして参りたいと考えておる次第でございます。
  7. 井手以誠

    井手委員 従来農林省食糧庁当局米食率はかえない、またただいまの御答弁にもありましたように、生産県集荷をはかるために極力配給日数を多くする、こういうことが原則のようであります。そういたしますと、最近農林省食糧庁当局は御方針をかえられて、生産県米食率を切り下げる、またそのために集荷支障があつてもやむを得ないというお考えになつておられるのか、これが第一点でございます。  次にお尋ねしたいのは、今後集荷数量がふえれば、その分だけ生産地に対してすみやかに配給日数増加なさる御意思がありますかどうか、これが第二点。それに関連して、生産県で一日分配給量増加すればどのくらいの数量になるのかということをあわせてお尋ねしたい。もし一日の配給量が幾らであるということになれば、その分だけはただちに配給にまわす、こういう御言明を私はぜひ願いたいと思いますので、そういう含みのもとに御答弁をいただきたいと思います。
  8. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの井手さんのお話でございますが、集荷の問題につきましては、われわれも極力これを促進して参りたいということを念願いたしておるわけでございまして、全力をあげたいと思つておりますし、またでき得る限りこれの支障を除外して参りたい、かように考えておるわけでございますが、やはり農家には十分保有量をとつておるわけでございまして、同じ消費者として、内地米につきまして非常に強い需要と申しますか、希望がございますので、できる限りその間におきまして調整をはかつて参りたい、かような意味におきまして、本年度におきましては、増加いたしました分につきましてはこれを消費県にまわす、こういう措置をとつたわけでございます。これによりまして、生産県では従来よりも配給量が減りますのでまことに御迷惑かと思いますが、生産県に御協力を願うようにお願いいたしておる次第でございます。集荷量増加につきましては、十一月一日現在八百九十万石でございます。予定いたしました数量にもまだ達しておらないわけでございまして、きようも午前中各方面からそれぞれの問題について、直接地方からのいろいろなお話がございましたので、今先行きを非常に憂慮いたしておる次第でございまして、今後集荷数量がどの程度になるか、またその場合におきましてどういうふうに措置するかということは、もう少しその見通しをつけ、集まるという状態を見まして考えて参りたいというふうに存じております。  それから一日の生産県配給量は約七千トン程度かと思つております。
  9. 井手以誠

    井手委員 従来生産県に対する集荷督励には、消費者に対しては極力配給日数増加するあるいは配給日数は減らさないという約束のもとに督励されたことは事実であります。これは長官もよく御存じであろうと存じます。そういう今までのいきさつがありながら、なお配給量を減らしてしかも集荷を督励しようというのでは、よほどの努力をなさらぬと、簡単にできません。そういう事情に対して私どもは協力したいとは考えておりますけれども、責任を持つてやるようなことは私どもはいたしかねるかもしれません。また、ただいまの御答弁によりますと、よく研究しなくては配給量増加することについてはにわかに言明できないということでございましたが、やはりそういうことについても一つの目標のもとに集荷を督励なさらなくては、社会不安を増大するばかりであります。そういうことは政治のねらいではないと私は存じますので、これ以上くどくど追究はいたしませんけれども生産県事情なり、消費県事情なりをよくお考えくださいまして、十分御研究なさるようにお願いを申し上げたいと存じます。  それから、昨日足鹿委員から供出割当補正についての質問がありました際に、原則として補正はしないようなお言葉でございましたが、補正しなくては割当ができないという数県の問題についてどういうふうにお考えになつておるのか。ただいま統計調査部の御説明によりますと、九月十五日現在よりも相当の減額になつておるようであります。昨日も陳情がありました青森県、佐賀県など非常に困つておりますから、こういうものについてどういうふうにお考えなさつておられますか。県当局も末端の割当に非常に困つておるようでありますので、この点についての御方針を、昨日以上に具体的にお示しを願いたいと思います。
  10. 前谷重夫

    前谷説明員 割当補正につきましては、昨日も申し上げましたように、原則といたしましては補正をいたさないという建前で進んでいるわけであります。割当をいたします十月初旬の状態と、それから十月十五日におきます予想収穫高状態につきまして、県によりますと変動があることはわれわれも十分承知いたしておるわけであります。ただこれはいろいろ地域的に、まだ推定実収というところに至らない中間的な予想収穫高でございますので、推定実収高を見まして、そうして当初予定いたしました生産量に著しい幅がある場合におきましては、これはもちろん他県との均衡の問題もございますので、特殊の例外措置としては十分検討しなければならないというふうに考えておるわけでございます。ただこれは井手さんも御承知のように、生産量から保有量を引いて、そのものを供出量といたしておらないわけでございますので、そういう事情をも考えまして、また隣県との均衡考えまして、これは原則でございますから絶対に例外がないというわけではないわけでありまして、実収高を見まして、われわれとしましてもそれについては十分に善処いたしたい、かように考えております。
  11. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 途中でありますが、本年産かんしよ、大豆等夏作雑穀、りんご、みかん等予想収穫高が出ているようでありますので、先ほどの水陸稲作況と関連してこの際説明を求めたいと思います。野田統計調査部長
  12. 野田哲五郎

    野田説明員 十月一日現在におきまする夏作のおもなるものにつきまして収穫予想を公表いたした次第でございますが、まずかんしよにつきまして申し上げます。作付面積におきましては、前年に比して七千五百町歩減少しております。収穫高におきまして千八百万貫の減少でございます。さようにいたしますと、かんしよの十月一日の収穫予想は全体におきまして十四億万貫ということになるのでございます。  それから次に大豆等雑穀のことでございますが、まず面積におきまして大豆は前年に比しまして、八千六百町歩増加いたしたのでございます。小豆はまた七千二百町歩増加いたしました。いんげん豆は一万七千町歩増加いたしております。ささげとうもろこしあわ、きび、もろこしそばというようなものが相当減少いたしておりまして、落花生が二千町歩ぐらい増加いたしておるのでございます。収穫におきましては、大豆が三百万石でございまして、前年に対しまして十三万石の減少予想しております。小豆収穫五十六万四千石で、前年に対しまして二万一千石の減少いんげん豆収穫五十五万四千石でありまして、前年に対しまして九万七千石の増加を示しております。その他ささげとうもろこしあわ、ひえ、きび、もろこしそばいずれも多少の減少を示しております。落花生につきましては四千七百万斤の生産でありまして、前年に対しまして千百万斤の激増ということになつておるのでございます。これを二十八年との対比で指数を申し上げますと、大豆におきましては九四%。小豆は九一%、いんげんは九六%、ささげは一〇二%、もろこしその他若干下つておりまして、落花生につきましては、一二〇%というような状態になつております。     〔吉川(久)委員長代理退席委員長着席〕  以上簡単でありますが御説明申し上げます。
  13. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。伊東岩男君。
  14. 伊東岩男

    伊東委員 食糧庁長官に簡単にお尋ねいたします。私遅刻いたしましたので、前の質問者の要旨もよくわかりませんが、供出割当補正の問題であります。これは新聞紙上で見ますると、実際の収穫高が少ければ補正するというふうに言明になつておるようであります。例を宮崎県にとりますると、昨年の供出割当は二十七万五千石であつたのに対して、本年はわずかに七万石であります。しかしその七万石がはたして適正であるかどうかということが、今日刈り取り後ほとんど調製にかかつておりまするが、非常な減収でございまして、県がその当時申し出た数量は、八千万石と申しておつたのであります。しかしそれではあまりにもひどいではないかというふうに農林省でもお考えなつたことと思うのであります。そこで大体七万石の義務供出に二万石の超過供出、九万石でございます。実際問題としては、この義務供出はどうしてもでき得ない実情にあることは、その後あなたたちの方でも報告によつて大体御承知と思うのでありまするが、宮崎県あたりのほんとうに災害の度のひどいところは、その後多々ますますひどくなつたのでございますから、これは当然相当量補正をしていただかなければならぬと思います。どの程度くらいまで今の予想としては補正ができ得るかという問題でございまするが、この点についてただいまの情勢から考えてどういうふうにお考えになつておりまするか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  15. 前谷重夫

    前谷説明員 本年度におきまする宮崎県の災害状態はわれわれも承知いたしておるわけでございますが、先般割当決定いたしまする場合に、宮崎について申しますると、指数といたしましては大体七七%、こういうふうな状態を推定いたしておつたわけであります。十月十五日におきまする予想収穫高におきましても、陸稲幾分下つたかと思いますが、水稲は大体かわりのないような状態でございます。もちろん予想収穫高がそのまま推定実収高に参るというわけにも参らないかと思います。推定実収高決定を待ちまして、そして県とも御相談いたしたい、かように考えておりますので、今はこれを補正する等の考え方を持つておりませんし、また従いまして実収高がいかように相なりまするか、その点がまだ明確でございませんので、数量等の点については今触れることはできないわけでございます。その点を御了承願いたいと思います。もちろんわれわれといたしましては、実収高を見まして、そうして当初予定いたしましたものよりも著しく変動がございますれば、それに対しましては十分対処いたして参りたい、かように考えております。
  16. 伊東岩男

    伊東委員 大体お話によると、相当量補正はするという御意向のようでございます。これは災害対策という面から申しましても、どうしても御考慮を願わなければならないのでありますから、特に御考慮をいただきたいと思つております。  さらに調整の結果米の質が非常に悪くて、供出するに合格米が非常に減つております。そこで六等米の設定をしていただいてこれを義務供出に振り向けていただくというようなことはできるのでしようか、その点いかがでありますか。
  17. 前谷重夫

    前谷説明員 規格につきましては実はわれわれも昨年度不作に応じまして、その不作に対処いたしまして、昨年度におきまして等外上を超過供出に入れまして奨励金支払うということにいたしたわけでございます。本年度におきましては全般的にはただいま統計調査部長からも御説明がありましたように、九五の指数を示しておるわけでございます。平年作に近い状態でありますが、地域的にはそういう不作なり災害を受けた地域がございますので、昨年度と同様に等外上は超過供出ということに取扱つて参りたい、かように考えております。と申しますのは、やはり生産量供出義務割当量との間におきましては、従来と違いまして相当の幅がございますので、消費者の面も考慮いたしまして、ぜひ義務供出は五等までにしていただいて、超過供出として等外上を取扱つて参りたい、かように考えております。割当当時におきましてもその趣旨を申し上げたわけでございまして、これを途中で変更するということはいろいろ混乱を生じまするし、また昨年度においてもそういう取扱いをいたしましたので、そういうふうに扱つて参りたいと考えます。
  18. 伊東岩男

    伊東委員 もう一点。先ほどから申し上げるように非常な減収率でありまするので、既定減収率からはうんと下つておると思いまするが、減収加算についてはどういうぐあいにお考えになりますか。
  19. 前谷重夫

    前谷説明員 全国的に価格決定いたしますので、現在におきましてはこれを適用する段階には立ち至つておらないわけでございます。もちろん建前といたしまして、われわれ食料庁事務当局といたしましては、実収高を見まして、昨年度と同様の形式において適用をすべき場合においては適用をしなければならないというふうには考えておりますが、まだ財政当局とは具体的に協議をいたしておらない状態でございます。
  20. 井出一太郎

  21. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁長官に数点お尋ねしたいと思うのです。米の買取り価格農林省告示することになつていると思うのであります。告示されたと思いますけれども、あの告示されたものが全部米の買取り価格だと理解してよろしいのですか。
  22. 前谷重夫

    前谷説明員 これは買入れの便宜上、たとえば従来でございますと、早場米奨励金は一般の基本価格とは別個に支払つておりましたが、これは早場米奨励意味におきまして一緒支払う、こういうふうな方法をとることが集荷上より農家に対しても便宜である、こういう考え方をもちまして、昨年度一緒支払うことにいたしたわけでございます。従いまして告示といたしましては奨励金を含めてこれだけ政府支払いますという形にいたしているわけでございます。
  23. 川俣清音

    川俣委員 いずれにしてもあれは買取り価格ではないのですか。買取り価格告示することになつているのであつて奨励金とかその他を告示することに必ずしもなつていない、買取り価格告示することになつてつてそれに基いて告示されたと私はそう理解するのですが、そうじやないのですか。
  24. 前谷重夫

    前谷説明員 これはいろいろ見方の議論があろうかと思いますが、便宜的に奨励金も含めて告示をいたしている次第でございます。
  25. 川俣清音

    川俣委員 そうすると奨励金は買取り価格に入らない、こういうことですか。
  26. 前谷重夫

    前谷説明員 買取り価格と申しますか、そこが非常にむずかしいかと思いますが、政府支払額にはなろうかと思います。いわゆるよく言われます基本価格あるいは奨励金、これは告示としては一本になつておりますが、考え方としては別にいたしている次第でございます。
  27. 川俣清音

    川俣委員 支払い価格ということは、買取り価格に基いて支払いされるのじやないですか。買取り価格がきまらないのにかつて食糧庁支払いができるのですか。おそらく買取り価格支払い価格とは同じだと思うのですが、違うという説明があればひとつ説明願いたいと思います。
  28. 前谷重夫

    前谷説明員 政府支払います場合に、御承知のように価格体系といたしまして基本価格を第三条に基きまする買入価格と、それから別途に超過供出早場奨励金を交付するわけでございます。これを政府はわけておるわけでありますが、告示といたしましては便宜的に両者を合せていたしておりますので、考え方といたしましては価格奨励金とを別個に考えております。
  29. 川俣清音

    川俣委員 行政官というものは法律に基いて誠実に業務を執行しなければならぬ。そこで告示と実際とは別だということは許されないと私は思うのですが、そのことはこれ以上追究いたしません。  食管法三条買入価格というのは、食糧庁及び農林省説明によりますと、すべてを合せて再生産をまかなうに足る額になつておるのだということです。あれは奨励金は全然別だという証明にはなつていないのです。従つて手取り価格はこれこれじやないか、これ総体を見合せてみて再生産費をまかなうに足るのだ、こういうのが今までの説明であつたのですが、それはおやめになるつもりですか。
  30. 前谷重夫

    前谷説明員 三条買入価格に基きまして義務供出を買い入れるわけでございます。またその価格決定につきましては、法律の趣旨に従つて再出産を確保することを旨として定めるわけであります。ただ政府支払いまする場合、あるいはまた農家所得、農家経済というふうな面を考えます場合におきましては、もちろん奨励金買入価格でございます。第三条に基きます価格決定いたしまする点につきましては、これは川俣さんのよく御承知のように、従来からいろいろ議論がございますが、われわれといたしましては、基本価格でもつて法律の趣旨に基く価格決定いたす建前でおりますし、そういうふうにやつておるわけでございます。
  31. 川俣清音

    川俣委員 パリテイと特別加算が普通基本価格といわれておりますが、この基本価格だけで再生産をまかなうに足る額だ、こういうふうにお考えになつておるのですか。そうすると、これは今まで農林大臣が米価審議会並びに本委員会等において、あるいは大蔵省当局が説明するのと非常に大きな隔たりが出て来ます。総手取額において再生産をまかなえばよろしいんだ。従つていろいろな方法を講じて来年の再生産支障のないような価格にきめておるんだ、こういう説明が今までなされておるのですが、今年度から新しくそういう出発をされたつもりですか。それよりもう少し要求の余地があるようにも聞えるのですが、その点どうですか。
  32. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。たしかこれは昨年かと思いますが、そういう問題でいろいろ議論がありました際に、傍証的に奨励金その他の関係があるということを申し上げたわけでございまして、必ずしも全体をと……これについては米価の算定のときに、基本価格をきめる場合に、それがそのときの状態において再生産を可能ならしめるかいなかというふうないろいろな議論があつたわけでございますが、われわれといたしましてはもちろんその奨励金があるということを無視するわけではないのでございます。しかし建前といたしましては、三条買入価格をきめて参るという形におきまして、その趣旨で、やはり再生産を確保することを旨としてきめて参つておるわけでございます。
  33. 川俣清音

    川俣委員 買取り価格とは基本価格をさす、そういう説明になりますと、あとの奨励金や何かは単なる行政的な、政府の特別な処置であつて消費者が必ずしも負担しなければならないものではないというふうにも理解できるのですが、そう理解してよろしいですか。政府の正式な買取り価格はこれこれだ、それ以外はかつてにつけたものであつて、これは消費者が必ずしも負担しなければならぬものではない、こう理解できるというと、消費者にとつても非常にけつこうだと思うのです。あなたの説明によりますと、私どもはそう理解したいのですけれども、その通りに理解してよろしゆうございますか。
  34. 前谷重夫

    前谷説明員 政府が買い入れます場合におきましては、買入価格、その他の集荷に要するいろいろなコストがございます。このコストをもつて消費者価格に転嫁することがよいかどうか。現在におきましてはコスト全体を消費者に対して転嫁いたしておらないわけでございます。これを消費者に転嫁するかどうかというような問題、あるいは財政負担をどの程度にするかいう問題は、また経済全般の問題、財政との問題等を考慮いたしまして、決定すべきことと考えております。
  35. 川俣清音

    川俣委員 今食糧庁長官から日本全体の財政計画というようなことを聞いておるのではないのです。あなたは買取り価格基本価格だとこうおつしやるから、それでは事務的にそういう解釈をされるならば、消費者もその事務的な解釈を了解して、他のものは消費者の負担すべきものではないと、こう理解してよろしいかということを聞いておる。財政的なことを聞いておるのじやない。それは大蔵省に聞きます。私は法律の解釈を聞いておるのであります。
  36. 前谷重夫

    前谷説明員 買入価格も、奨励金も、集荷買入れに要するコストであることには違いないのであります。
  37. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、いずれも今まで通りやはり買入価格であると言わざるを得ない。こうならざるを得ないのではありませんか。しきりに逃げておるようでありますけれども、逃げるというと、消費者に負担さすべきものかどうかという問題が出て来る。手数料はどうかという問題も出て来る。また生産者の方からいえば、再生産を確保することを旨とするというのは、基本価格であるということになりますと、もう一度それでよろしいかどうかという検討を本委員会もしなければならぬし、米価審議会もやり直さなければならぬというふうに私ども考える。消費者価格決定する上からも、基本価格だけが買取り価格であつて、その他は別個である。こういう考え方になりますと、もう一度検討しなければならぬということになりますが、その点はどうですか。
  38. 前谷重夫

    前谷説明員 消費者の面におきましては、やはり集荷奨励金集荷に要するコスト——もちろんそれは集荷のために支出する奨励金でございますが、コストとして考えておるわけでございます。
  39. 川俣清音

    川俣委員 重要なコストとして考えなければならない、こういうことですね。そうですか。
  40. 前谷重夫

    前谷説明員 コストの一部と考えております。
  41. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、先般おきめになりました超早場米の二千円というものも、これはコストに入るのでありましようか、入らぬのでありましようか。あれは入らないというお考えですか。
  42. 前谷重夫

    前谷説明員 早場米奨励金は全体としてやはりコストに入ります。
  43. 川俣清音

    川俣委員 ところがあの二千円は米価審議会にかけないでかつてにきめられた。消費者からいつても、また米価審議会からいつても、かつてにきめた額であるから受取りがたいということを申し上げた場合には、あなたはどういうふうにお考えになりますか。
  44. 前谷重夫

    前谷説明員 これは川俣さんよく御承知のように、米価審議会におきまして御決定願い、御審議願うというのは基本価格を御審議願つておりますので、早場米奨励金はその際御説明申し上げますが、審議事項として正式に審議していただくという建前には従来からもなつておらぬことは、川俣さんもよく御了承の通りだろうと思います。
  45. 川俣清音

    川俣委員 今まではその点が非常に不明朗であつたからこの際問題にしておる。一方消費価格をきめるときには買取り価格だということで、あなた方買取り価格を持ち出して消費価格をきめておられる。それじや消費価格をきめるときにも米価審議会にかけられるものは基本価格だけだということになりますと、消費価格をきめるときも基本価格で検討するということになつてもよろしいのですか。
  46. 前谷重夫

    前谷説明員 ちよつと御質問の趣旨がわかりませんが、川俣さんのお話でございますと、買入価格消費者価格に転嫁すべきものであつて、その他コストは別だというような意味なんでしようか。どういう趣旨なんでしようか。御質問の趣旨がよくわかりません。
  47. 川俣清音

    川俣委員 詳しく説明しましよう。消費価格決定する場合に重要な要素になつておるのは、あなたの説明によりますると基本米価とその他の手数料的な、コスト的なものだ、こういう説明なんですね。そうでしよう。あなたの説明によりますとそうじやないのですか。それから中間経費、こう三段階になるのでしよう。今までは決して奨励金なんかを中間経費とはあなた方説明されておらない。これは総買取り価格、こういう表現になつておるのです。従つてそれは、中間経費でもなければ買入価格でもないものを、買入価格と総称して今まで審議にかけていたということになるのです。中間経費と基本価格と、そのほかに別なコスト要素が出て来たというのは初めての表現なんです。今までは二本の表現なんです。買取り価格と中間経費、こうなんです。今あなたの説明によりますると——あなたの説明ですよ。私の説明ではない。あなたが今のがれようとして盛んに答弁せられましたその答弁によりますと新しい問題が出て来た。基本価格プラス奨励金プラス中間経費、こういうふうに出して来た。別な言葉で言えば買取り価格プラス別なコスト、中間経費、こういうふうに三つになつて来たのです。ところが従来の説明は買取り価格プラス中間経費、こういう表現だつたのです。その点御答弁願いたい。
  48. 前谷重夫

    前谷説明員 御答弁申し上げます。昨年の一月に消費者価格をきめました場合におきましても、基本価格とそれの奨励金が石当り幾らになるか、そこで農家支払う金がこれだけである、そのほかに政府と一般配給マージンとの関係におきましてこういうふうになつて消費者価格はかようになりますということを御説明申し上げておるわけでありまして、買取り価格と申しますか、買取り価格意味の使い方でございましようが、一応生産者に支払う金額といたしましては、基本価格奨励金とを石当りに直しまして、そのほかに中間経費をプラスして消費者価格が幾らになるかということをいたしておるわけであります。これは昨年の七百六十五円をきめるときにそういうふうにいたしておるわけであります。ただ奨励金基本価格と見るかどうか、これはまた別の問題ではなかろうかと考えます。
  49. 川俣清音

    川俣委員 支払い価格というのは義務なんですね。すなわち買取り価格がきまつて、それに附帯して支払い価格というものが出て来るのだと思う。支払つて支払わなくてもいいというものではないと思う。すなわち買取り価格支払い価格は同額だと私は思う。そこで今まではこれらをすべて支払い価格、買取り価格として中間経費を加えて消費者にこれを転嫁しておつた、こういうことになると思う。それを今あなたは無理にのがれようとするからそういうまずい答弁になつて来るのであつて、これはやはり政府に責任を生じた支払い価格というものは、買取り価格決定に基いて支払いをするのだ、買取り価格決定しないのに支払い価格決定するということはあり得ない。あなたのような答弁になると、私は財政法上も非常に問題だと思う。結局あなたは二千円を米価審議会にかけなかつたことをのがれるためにいろいろ答弁をするからそういうことになると思う。いずれにしても消費価格決定のときにはかけなければならぬのです。そういう不明朗な趣旨では私は好ましくないと思うのです。もう少し検討して御答弁になる必要があると思うのですがどうですか。
  50. 前谷重夫

    前谷説明員 消費者価格決定いたします場合には、その内容として従来とも御説明いたしたわけでございまして、ただ買入価格決定いたします場合に、従来と同様に基本価格を御審議願つておるわけでございまして、消費者価格の場合にはそのコストの内容は十分御説明いたしておるつもりでございます。
  51. 川俣清音

    川俣委員 これ以上追究することはやめておきます。あらためてまた別な機会質問いたしますから、その間に御勉強を願いたいと思います。  次に食糧管理制度についてですが、先般食糧対策協議会をおつくりになりまして、答申案ができて、本委員会からも食糧制度について決議を出しております。ところがいろいろ伝えられるところによりますと、最近そのいずれの案にも基かないような構想が食糧庁の中において練られておるということで、その一部が新聞に出ておりますが、この経過について御説明願いたい。
  52. 前谷重夫

    前谷説明員 実は私も本日の新聞を見て驚いたわけでございますが、われわれといたしまして食糧対策協議会の御審議を願い、その御答申を得たわけでございますが、本年度におきます暫定措置といたしましては、予約制度を併用するということが、時間的関係におきまして採用し得なかつたわけでございます。根本的な問題につきましては、実は先般割当をようやく終了したところでございまして、今いろいろな問題、配給制度の問題、その他の問題についていろいろ検討しておるわけでございますが、新聞紙上に出ておるようなことを検討しておるわけではございません。
  53. 川俣清音

    川俣委員 いろいろ見当しておるというのですから、その検討しておる内容をひとつここで明らかにしていただけませんか。これをしつこくお尋ねいたしますのは、新聞は、東京の一流紙は、そう根もないところから記事を引きずり出すわけはない。やはり検討しておられた一部の発表になると思うのです。これは将来の食糧確保の上からも重大関心を私どもは寄せなければならないと思う。今長官の言われる通り、割当の終つた直後であり、まだ割当を受けていないところもあるように思うのです。熟していないのに軽率に新聞に漏れるようなことは、私どもは重大な関心を寄せなければならない。しかも本委員会の決議があり、わざわざ対策協議会をつくつてその答申も得ておるにもかかわらず、それらにもかけないで、あなた方の検討の内容が漏洩するというようなことは——漏洩すること自体が悪いのではなくして、検討しておられるとすれば、われわれの決議に対して一体どのような検討をしておられるのか、その方が先でなければならないと思う。また食対協議会の答申に基いて、それがいいのか悪いのか、これもやはり検討して行かなければならぬ。その方がわれわれは先だと思う。われわれの権威を無視されるのならば、その新聞記事がどこから出たかということを、新聞記者を参考人として呼んで来て、だれが漏らしたかを突き詰めなければならない。われわれはそういうことをやりたくない。そこであなた方はどういうふうに検討しておられるか、それを伺いたい。
  54. 前谷重夫

    前谷説明員 実は私言葉が足りなかつたと思いますが、検討しておるというのは、この問題を検討しておるという意味で申し上げたのではありません。たとえば本年度の下期におきます外貨予算は、四十五万トンというふうに外貨予算としてはきまつておりますが、これはまだ国別の関係等が全然きまつておらないわけでございます。また各府県におきまする消費量の調査、各府県におきまする需給の調査等、本年度の問題としていろいろの研究をしなければならぬ点があるわけでございます。そういう意味におきまして、本年度の問題として需給計画なり輸入計画を検討いたしておる、こういう意味で申し上げたわけでございまして、根本的にこの問題を検討いたしておるという意味で検討という言葉を使つたわけではないことを御了承願いたいと思います。
  55. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、まだ根本的な考え方については検討の段階にも入つていないということですか。
  56. 前谷重夫

    前谷説明員 さようでございます。
  57. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、私どもはまだ根本的な対策ができ得る段階にはないと思つておるのです。その理由の一つとしては、経計調査部が現在の機能をあげていたしましても、まだ作付反別等がはたしてどの程度正確なものであるか、実際に対して何パーセントの確度があるかどうかということについても疑問でありますし、従つて不動な作付面積についてすらまだ正確に握把する段階にまで統計調査部の陣容が整つていない。人的、物的、財政的、すべての面からいつてまだ一〇〇%に対して七〇なのか八〇なのかという見通しがつかない段階であります。従いましてそれから上るところの収量などについては、さらに不正確というか、確実度の低いものだということになる。面積よりもさらに非常に浮動するところの作況というもの、あるいは実収というものは、非常に的確度が低いと見なければならない。そういう観点からいたしまして、正確な日本の生産量をつかみ得ないで、しかも八千万人に及ぶ消費者配給をしなければならないのでありますから、これはある程度正確を期しておらなければ大きな混乱が起きることは、私の説明を要しないと思う。そういうものを把握しない限りにおいては根本対策というものは生れて来ないはずだ。私はそう理解するのですが、あなたはどういうお考えですか。
  58. 前谷重夫

    前谷説明員 先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、根本的な問題については現在何ら触れておりません。私が先ほど申し上げたのは、本年度の需給、輸入という面についての検討をしておる、こういう意味でございますことを御了承願いたいと思います。  なお川俣委員お話のような収穫の問題あるいは作付の問題は、統計調査部におきまして、予算と人員の許す範囲において正確を期していただいておるというふうに考えます。もちろんこれをさらに整備する必要があろうということは考えられますが、現在におきましてはその範囲内で正確にやつていただいておるというふうに考えております。われわれといたしまして根本的にこういう問題を検討する場合には、そのほかにもいろいろな面におきましての整備を要することはもちん当然であろうと考えております。
  59. 川俣清音

    川俣委員 時間がありませんので。残余の質問は午後に保留いたしまして、午前中の質問はこれで終りたいと思います。
  60. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 食糧庁長官に一つ問題を提出しておきます。けさの新聞で御承知の通り、全港湾労働組合は輸入米麦の荷揚げに対する輸入指定業者のピンはねについて非常な問題を出しております。これは私どもも昨日代表者諸君と会つていろいろお話を聞いたのでありますが、この情勢でありますと非常に大きな問題になります。今長官の御説明の中で、下期——これから先の需給計画なりあるいは輸入計画等について検討をしておる、こういうお話であります。それにしましてもこれの第一波が近く行われるようですけれども、これはなかなか一波だけでとまらないと思うのです。今の見通しでは、おそらく二波、三波というように大きくなると思います。その場合に責任の一端は食糧庁にあるようです。従いまして、私どもは極力この問題をうまく解決したいと思う。ついてはここでもつて大体の内容を伺つておきたい。たとえば港湾荷役費はどの程度どういうふうに払つておるか。特に港湾運送事業法ではつきり港湾業者に払うことになつておるにもかかわらず食糧庁は払つていない、輸入業者に概算をして払つておる、そうしてそのうちから少くともトン当りについて最低二十円、多い場合には四十円もピンはねをしておる。総額にいたしますと、大体において八億ぐらいのピンはねになる。しかも、これは食糧が中心ですが、ほとんどすべてのものについて輸入業者というものはピンはねをしておるようです。私どもの推定したところでは、その総額は三十四億以上です。その結果労働者はどうなるかということになりますれば——承知の通り港湾荷役は重労働でありまして、飯を四回食わなければやりきれないという商売です。その連中が現在どのくらい給料をもらつておるかといえば、少い者は一万円、多い者でも一万六千円以上とつておる者はほとんどありません。このピンはねがなくなれば、おそらく少くとも一万九千円ぐらいの給料を払えるが、それでも食えません。その点明確に説明していただきたい。  それとここではつきり御要求しておきますが、大体食糧庁は渡湾運送法の運用について、運輸省その他とどういう打合せをやつておるかという点、それから各港別の輸入業者別の輸入米麦の扱い量、それに対しまする港湾荷役費の内訳、これは一類、二類で違うようですが、その契約の内容、それと業者別の払い高、こういうものを資料として次の委員会までに提出してもらいたい。しかも私どもが得た情報によりますと、食糧庁は、直接やつたかどうかわかりませんけれども、港湾業者に対しまして帳簿の改竄を命じておる向きがある、そうしてごまかそうとしておる。しかもこれには食糧庁の役人、一部の政治家が介入して、これから相当のリベートをとつておるというもつぱらのうわさであります。長官はおそらくそういうことは御存じないと思います。非常にりつぱな方ですから、私はそういうことは必ずないと思いますが、部下のうちにはあるかもしれません。これは今後私どもさらに追究をいたしたいと思いますので、今申しましたような詳細な資料を、次の機会までに本委員会に提出をしていただきたい。  なおそれに連関してもう一つ申し上げますが、食糧の陸上輸送について日通との間にいろいろなうわさが飛んでおります。そればかりではないようであります。そこで日通との関係を次の段階において私どもは追究をいたしたいと思いますから、これについてもひとつ資料を提出していただきたい。つまり日通の取扱量あるいは支払い金額、その他いろいろなものを全部資料として出していただきたい。とりあえずとしては、港湾役量についての資料をひとつ出していただきたいということを要求いたしておきます。委員長からもこの向きをお伝え願いたいと思います。
  61. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。二十八会計年度におきまする入港業務のうち取扱い数量から支払いましたものは、米について十億七千万円、それから小麦が二十七億六千万円、大麦が十一億七千万円、合計五十億でございます。その内訳は二十七億五千万円が港湾荷役関係でありまして、二十二億五千万円が包装関係でございます。この取扱い関係といたしましては、二十六年までは入札制になつておりましたが、二十六年の十月から指定単価制になつたわけでございます。支払い方法といたしまして確立いたしましたのは、二十九年の四月から横浜の支払い方法を確立しました。六月から他の主要港につきましてそれを実施いたしているわけであります。詳細はまた別の機会に申し上げます。
  62. 井出一太郎

    井出委員長 午前中の会議はこの程度にいたし、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  63. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  酪農の振興及び乳価問題について前回の委員会に引続き調査を進めます。質疑の通告がありますからこれを順次許可いたします。中澤茂一君。
  64. 中澤茂一

    ○中澤委員 公正取引委員会に先にお伺いします。事務局長御承知のように、この問題は九月一日から本日まで三回にわたつて公正取引委員会の活動を促しておるわけです。当委員会の決議におきましても、すみやかにこれに対して、行政的な強力な指導措置をとれということや、あなたの方の活動を促す決議をしておるわけです。いろいろな受乳拒否の内容証明であるとか、代金支払い停止の証拠書類というようなものを、おたくの方が調査したのではなくして、われわれの方が調査した資料を全部そちらへお出ししてあるはずです。それがどういう結果になつておるのか、全然まだこれをどうするかという態度の決定さえないということを仄聞しておるのですが、一応この委員会の決議以来どういう経過をたどつて、どういうころに問題があつてこれができないのか。それから、やるとすれば、これをただちにやるのかどうか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。先日の委員会では、横田委員長は疑いがある、そこで審査に入るとはつきり言明はしなかつたが、とにかく審査官を任命してやるという辺までは言つたのですが、あなたは全部おわかりだそうですから、ずつと経過を申し述べてください。
  65. 小川清四郎

    ○小川説明員 ちようど折あしく委員長が公用をもちまして大阪の方へ参つておりますので、私からお答えをいたしたいと存じます。  前回並びに前々回の当委員会におきまして、委員長並びに経済部長からその都度お答えをしておりますのですが、前回の当委員会におきまして、私どもの方の経済部長から、本件は今までの予備的な調査段階から審査の段階に移すということをお答えしております。そこで私どもの方では、経済部で行いました種々の予備調査に基きましてさらに実質的な証拠が十分かどうかというふうな点につきまして、審査部におきまして再検討をいたしますとともに、当委員会からちようだいいたしました資料その他をも参酌いたしまして一応の捜査方針というものを確立いたしますために、多少の時日を要したのでありますが、目下その新しい捜査方針に基きまして現地に審査官を派遣して、それぞれの問題について証拠の収集中でございます。そこで、おそらく、何ゆえにそれほど実質的な証拠収集に手間取るのかという御疑念、御不満があろうと存じますが、それにつきまして一言御説明を申し上げたいと存じます。と申しますのは、前回の当委員会におきまして中澤委員から、経済部長の方に、内部手続について一体どういうふうに審査、審判を進めて行くのかという御質問があつたように記憶しておりますが、それに対しまして経済部長から、必ずしも明瞭なお答えをしてないのではないかと存じますので、申すまでもないことでありますが、一応本日私から御説明を申し上げたいと存じております。  かいつまんで申し上げますと、現行の独禁法の手続によりますと、審査の結果違反の容疑が明白である、またきわめて濃厚であるということになりますと、これを審判に付さなければならないわけでございますが、審判となりますと、被審人側からも相当の抗弁があると考えなければなりませんので、われわれといたしましても、勢い実質的な証拠に慎重な調査を要するということになるわけでございます。そこで審判の結果被審人側が審決に応ずれば別でございますが、被審人側の方においてもし不服がございまするならば、東京高裁で第一審の裁判にかかるわけでございまして、不服ある被審人側において審決の取消しないしは変更の訴えを提起することになります。この場合におきましては公取が被告になるわけでございます。そうして東京高裁の審理は形式審理と申しますか、事実審理につきましてはあまり深く立ち入ることにはなりませんので、勢い公取の事実審理というものが慎重にならざるを得ないというふうな結果になるわけでございます。この点は現行法の御説明を簡単に申し上げましたのですが、非常に遅れているのではないか、何ゆえにしかく慎重にやらなければならないかということに対しまする一応の御説明でございますので、御了承をお願いいたしたいと思います。  しからばもう少し手取り早いと申しますか、簡易な手続で審理を進めて早く結論を出す方法はないかという御疑念もあろうと思いますが、ただいまのところにおきましては、たとえば排除措置を勧告するという手段もございます。それでその勧告に被審人側がただちに応じますならば、そこで勧告審決ということで比較的早く結論が出るわけでございますが、かりにこの勧告に応じません場合には、やはり審判の手続にもどさなければならないのでございまして、この点につきましてもよほど慎重な、実質的証拠がございませんと、ただ警告という場合と違いまして、勧告の場合にはその次に審判ということがすぐ結びついて参るわけでございますから、これまた慎重ならざるを得ないというふうな結果になるわけでございます。  さらにまた法第六十七にインジヤンクシヨンという規定がございます。これは緊急の必要のある場合には裁判所に緊急停止命令を申し出るわけでございますが、裁判所といたしましても、公正取引委員会の実質的な証拠というものに基いて、一応裁判所の独自の見解で緊急停止命令の必要があるかないかということをきめるわけでございますから、やはり私どもとしてもこの措置に対しても相当慎重な事実審理を必要とするわけでございます。さらにまた旧法時代におきましては、御承知のように第四条の規定がございまして、形式的な判断でもつてただちにこういう措置もとれたのでございますが、その点が改正になりましたものでございますから、この緊急停止命令の実際の運用はまだ前例がございませんけれども、やるといたしますれば、実質的な判断という点でかなりの困難が予想されるというふうに考えておるのでございます。  それから審理段階に入りまして、将来の見通しいかんという問題でございますが、この点につきましては、証拠の収集に支障を来すという場合もございますので、われわれといたしましては内容を事前に申し上げにくいという点を御了承いただきまして、いましばらく御猶予をお願いいたしたいというふうに考えております。
  66. 中澤茂一

    ○中澤委員 そうすると審査官は任命したのでございますね。そうすると、どういう方が審査官になつているのかそのお名前をちよつと承りたい。
  67. 小川清四郎

    ○小川説明員 審査官の任命でございますが、最近のわれわれの考えといたしましては一応審査部長が総指揮官と申しますか、審査官の筆頭におりまして、これは寺岡と申します。それから本件は審査第一課でやつておりますので、一課長の三代川が同時にやはり審査官に任命されております。そのほかに審査官といたしましては貝塚という事務官と石川という事務官と、それからもう一名か二名おつたと思いますが、ちよつと度忘れいたしましたので、とり急ぎ調べまして文書でもつてお答えいたしたいと思います。
  68. 中澤茂一

    ○中澤委員 この審査官というものは、今全部現地へ行つて証拠書類の収集か何かを現在やつておるのでございますか。
  69. 小川清四郎

    ○小川説明員 その通りであります。
  70. 中澤茂一

    ○中澤委員 もう少し具体的に言つてください。何という審査官がどこの県へ出てどういうことを中心に調査しているか。私はなぜこのことをしつこく申すかと言いますと、この前あなたの方で調査したときは、実にずさんきわまる調査をしておる。この前横田委員長にも私言つたのですが、たとえば埼玉県だつたと思いますが、どこか慶大の学生が行つて、県庁の畜産課でちよつと何か聞いて帰つてしまつた生産者団体によらないで一体何の調査ができるかという問題が出て来るのです。調査するからには生産者団体なり事業会社なり、両方へ寄つて調査しなければならないのに、ただ県庁へ寄つてつて来たとか、千葉へ行つた人は、森永の自動車に乗つて森永の人が調査したなんという、そういうわれわれの常識で考えると、まつたく公正ならざる調査をやつておる。そういう前例があるものですから、私は何という審査官がどこの県でどういうことを中心に調査しに行つたということを、——もしあなたの方で今のところは証拠書類の収集だけで、秘密を要するのでできないというならば、文書でもけつこうですから、はつきりと、いつまでにこの調査は完了して来るのだという大体の出張の命令があるでしようから、そういう点をあなたがもしお答えができなければ、文書ででもこの次の当委員会は十七、八日にやりますから、十七日までに出してもらいたい。それを要求しておきます。  それから、これは法理論ではないのですが、われわれ常識で考えると、これだけ不公正なことをやつておるものが取締れない、あるいは禁止命令が出せないというようなことになれば、これは何をやつたつていいことだと私は思うのです。こういう巨大乳業資本が生産者をかつてにいじめることをやつていいなら、そこらの町のこそどろだつて罪にすべきことじやないと思う。そのくらい農民に迷惑をかけておる。御承知のように去年明治と森永の地盤争いで乳価をつり上げたのです。そして地盤が確定して酪農振興法が通つてあの文書契約になる。これは基本になるから下げなければならぬというので、がたがたと二月ばかりの間に、御承知のように二十円から下げておる。自分らが地盤確保のために値上げをしておいて、今度は自分らの話合いでがつと下げておる。その当時の牛の値段は幾らかと申しますと、十五万から十八万円くらいしておるのです。それは六十円ないし六十二円という相場でやればその牛の値段で合うのですよ。ところががたつと四十二円に二十円も下げられてしまうと、借金して買つた農民はにつちもさつちも行かない、そろばんがとれるわけがない。農民の方も少し甘かつた。下るというようなことを予想しないから、両方で買いあおりをして、どんどん上げてくれるもんだから、このくらいの牛は買つてもいいだろうというので十五万、十八万というような牛を買つた。しかも農村にはそんな金があるはずがない。みんな借金をして買つているのです。それがにつちもさつちも行かなくなつたのです。これは明治、森永の二大乳業が中心になつてつたということは明らかなんです。ただこれはあなたの方は、法律的に証拠の収集がなければ、審判をやり、裁判にかけるのだからできないという立場にあるわけでしようが、だから私は前から例の十八、十九条の禁止命令が出せないかということを言つているのです。今お話を承れば、それを出しても証拠が固まつていなければ、あとなかなか問題だというお話ですが、一体いつごろまでにあなたの方はこれを審判にかける計画を持つておるのか、それをひとつ説明願いたいと思います。
  71. 小川清四郎

    ○小川説明員 最初の点につきましては、文書でこの次の委員会までに御提出をいたしたいと存じます。それから前回にもいろいろ御注意をいただきました現地に派遣いたしました調査員の問題につきましては、委員長並びに私からよく事情を取調べまして、厳重な戒告を加えておりますし、今後とももしそういうことがあるようでしたら、そのときはまた適当な措置をとりたいというふうに考えております。それから最後の点につきましては、日を限つて申し上げることはちよつと困難と存じますが、われわれの方といたしましても、御迷惑をおかけいたしておりますので、審査部長には、できるだけ早く何らかの結論を出すようにということを申しておりますから、おそらく来週半ば過ぎぐらいには現地から帰つて参ると思いますから、できれば来週中に何らかの一応の結論を出して御報告のできるような態勢にできれば、たいへんけつこうだというふうに考えております。
  72. 中澤茂一

    ○中澤委員 至急誠意をもつて調査を願い、かつ来週の委員会までにできれば今の文書報告を願うと同時に、御報告ができるように何らかの処置をとつていただきたい、それをお願いしておきます。公正取引委員会の方は一応この程度で終ります。
  73. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員長代理 足鹿覺君。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 去る十月二十二日の当農林委員会に恩田技官がおいでになりまして、その際いろいろとお尋ねをいたしたわけでありますが、非常に率直な御答弁でありまして、高温殺菌の問題についてあるいは牛乳の集団飲用奨励問題等について、農林当局とも事務的に打合せをして、すみやかに趣旨に沿うようにする旨の御答弁がありました。当日は羽田農林政務次官もおいでになつて、また政治的面においても急速に本委員会の決議の趣旨に沿い、また現在の酪農事情の実態に即応するように対処するという御答弁があつて、私どもはその成行きを注目いたしておつたわけであります。ところがその間、巷間伝えられるところによりますと、さような経緯であるにもかかわらず厚生省当局が、意識的に高温殺菌による五十二条の例外規定の問題については遅延政策をとつておられる。これはただ単なるうわさではありません。そういうことがありますが、一体なぜすみやかにおやりにならないのであるか、今も公取の事務局長から御答弁があつたように、これは独占禁止法違反の疑いはもはや顕著でありまして、ただいろいろな手続上や、あるいは人員の点や、いろいろな点で遅々として進まないだけである。明らかにこれは独禁法違反であるということは私ども承知しておる。そういうふうに一方においても重大な事態が起きておる。これを法律的にのみわれわれは処理してみたところで、目的は達成できないのです。要するに農家も救い、消費者も利益を受けるというためには、乳業資本が大量受乳を拒否したり、代金の支払いを遅延せしめて、独禁法違反の疑いのある行為をやつておるのでありますから、それに対しては別途に高温殺菌によつて、酪通家のつくつたものを協同組合の手を通じて一般の消費者に安く売つて行くということがなぜそう遅延をするのでありますか。この問題が起きてからもうすでに相当の時間を経過しておりまして、理論的にも実際的にもあなた方がやらなければならない立場になつておると私は思う。先日参議院の農林委員会において草葉厚生大臣は、高温殺菌の妥当なる旨の所信を披瀝されたというが、乳肉衛生課長は御存じになつておるかどうか、とにかくあなたが非常にがんばつておるという話なんです。そのがんばる理由は一体何であるか、理論的にどこにあなたがそういう抵抗をしなければならないという理論の正当性があるのか、きようは大詰めですから、ひとつはつきりと、なぜできないか述べていただきたい。それによつて私も今後質問を続行いたします。
  75. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 この前当委員会におきまして御決議になりました事柄につきまして、厚生省の事務当局といたしまして公衆衛生局の中でいろいろ討議がありまして、それからその後次官室のところで省全体として事務的に考え方をまとめたのでございます。その線は農村地域におきましてはいわゆる高温殺菌の方法よる市乳の処理を認めることといたしまして、これを特例としてはつきり省令に規定するということにいたしまして、そのほか学校、病院等の集団給食、そういう場合には、小わけの操作であるとか、あるいは表示の規定、そういうものを省略する例外規定を設けて、これによつて集団給食等ができるだけ容易にできるようにするというふうな線を出したのであります。なお同時に練乳でありますとか、あるいは粉乳の販売用の直接の容器は、金属カンと限定しないで、密閉ができ、防湿可能であればよいものとすというふうに直しますと同時に、市乳等の成分規格におきましては、大腸菌のゼロとあるのを陰性とするということと、それから酸度が〇・一八%以下となつておりますのを、酸度を削除するということにする。こういうふうに一応事務的の御決定がありまして、それ基にきまして農林省の方ともお話合いをいたし、また参議院の農林委員会の方にもお話し申し上げたのでありますけれども、これに関しましてはどうしても全国高温、低温二本建にしなければならぬというようなことがございまして、その後厚生省でもいろいろ検討いたしておつたのでありますが、さらに参議院の厚生委員会におきましてもこの問題の審議を今いたしておるのでありまして、もしこの線でよければ、できるだけ早くこれを成文化いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 今あなたが言つたことは、それはいつのことですか。省議ですか。
  77. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 これは先月の二十日に一応まとまりました。純然たる省議になりますと大臣も御出席になるのでございますが、事務次官のところへ次官及び各局長及び関係課長が集まりましてきめたのでございます。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 よくわからないのですが、先月の二十日にその省議決定をされたことについて、ただちに農林省と連絡の上、地方庁へその旨を通達されたわけですね。その結果はどういうふうになつておりますか。従来も二十九年の二月八日、厚生事務次官名による都道府県知事あての農山村地帯の牛乳の殺菌方法についてなる通牒も出ておりますが、これはこれに限らず、例外規定としてその前にもやつてよろしい旨の通牒が出ておる。それは形式であつて、実際はやられておらない。いやがるんですね。これはもう御存じでしよう。実際においては、府県の衛生関係の方も事実上喜んで推進しておらない。従つてこの通牒は名目にとどまつておるきらいがある。そういうのが実情でありまして、今度もそういう趣旨の通牒を出されても、その成果のほどは私ども、疑わしいと言つては済みませんが、従来の経過から見て、疑わざるを得ない。従来の通牒と、今あなたがさらさらと述べられたので私よくわからぬ点もあるのですが、どういう点が違つて、どういうふうに具体的に高温殺菌によつてもやれるという保障がつくのですか。もう少し丁寧に答えてもらいたい。
  79. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいま私は先月の二十日と申しましたのですけれども、これは間違いでございまして、十一月の一日にきまつたのでございます。訂正いたします。それからただいま申し上げました内容は、これは通牒で出すのではなくて、この線によつて省令にはつきり出して、そしてこれを強力に指導して行こうということでございます。ですから従来の次官通牒でやるのではなくて、はつきり省令の中に入れまして、そうしてこれを明示するということでございます。従いまして従来は、たとえば学校給食のような場合におきましては、あるいはその他の病院、工場等もそうでありますけれども、従来は小わけしてやらなければいかぬというような状態であつたのですが、これはやはり省令を改正いたしまして小わけしなくてもよい、たとえば適当な大きな入れ物があるならば、そういう大きな入れ物に入れて持ち込んでもよろしいというふうにするわけでございます。それから府県の事情によりまして、私ら今盛んに調査中でございますけれども、この前の二月の通牒によりまして、地方によつては高温というものが農村地帯でもつて推進されているところもないわけではございませんが、お説の通り全般的に見ますと、この推進の度が非常に薄いということからいたしまして、これはやはり省令に改めなければならぬという見地から、今度省令にしようということになつたのでございます。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 その省令はお持ちになつていますか。全文はどういうものでありますか。それで今月の一日決定ということになれば、それはいつ公布になつておりますか。もう少しその辺を具体的に……。(「これから公布するのだろう」と呼ぶ者あり)一日にきまつたのならば、きようは十三日だよ。その省令の内容、文書になつたものをはつきりお示し願いたい。
  81. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいま申し上げましたことは要綱でございまして、これによつて農林省ともお打合せをし、また参議院の農林委員会においても申し述べたのでございますけれども、これを省令化するまでには至つておりません。というのはこの案ではだめだということでございまして、全面的に、これを農村部だけでなくて全国全部二本建にしなければならぬというような強い主張がございまして、そのためにこの点がまだ成文化になつていないのでございます。従つて私の今まで申し上げましたことは改正の要綱案でございます。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 一つ一つ尋ねるとそういうふうに先をおつしやるのですが、そういうことを最初からおつしやつていただけば別にもの数を言わないで話はつくのです。要綱なら要綱とおつしやればそれでよいのですが、その要綱の文書にしたものはありますか。それを資料として御提示を願いたい。今聞けばそれではいかぬのだということは、その内容を検討して、どの方面か、参議院方面かどの方面かに不満があつて問題になつておるのです。それであなた方はその不満にこたえてさらに検討しようというのか、その要綱で押し切つて行こうとするのか、どうですか。
  83. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 この成文はこれからおつくりして提出いたします。それからこのことにつきまして、参議院の農林委員会方面の全面的に二本建にしなければならぬということにつきまして、目下厚生省におきましてはさらに検討中でございます。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもよくわからぬのですが、もつとざつくばらんに、もうここまで来ればはつきりして趣旨に沿つて実施されるのが私はよろしいと思う。本委員会がこの問題を取上げたのも御存じのように九月です。参議院もまた最近は現地調査等をやつて、熱心にこの問題に対しては調査研究を加えておる。大臣自体がその言明をしておるのに十一月一日に大体要綱をきめた、これからこれを条文にするにもまだ意見の一致を見ておらない、これからまた相談をしてそれを明文にし、省令に正式にきめてこれを公布するといつたら、一体いつのことですか。私どもはそういう悠長千万なことを考えておるのではございません。大体食品衛生法というものは一体どういうものでありますか。これは衛生上十分殺菌したものを国民の食用に供する、非衛生的なものを取締つて行くというのが目標ではありませんか。高温であろうと低温であろうと殺菌の目的が達成されておるわけでありますから、低温がすきな者は、低温で高いが栄養があるからというならば高い金を出してそれを飲む者があつてもよろしいし、高温であつても、少々ビタミンが足りるか足りないか知らぬが、安くて手取り早いからそれを飲むというならば、高温で殺菌したものを飲ませればよろしいし、これは消費者の自由選択です。大体あなた方が食品衛生法の省令五十二条に基いていろいろな制限省令を決めて、そうしてこの法案自体の精神があまり十分でないのに、やたらにいろいろな制限規定を設けることによつて、結果においては独占資本の利益を擁護するような結果になつておる。何と言われてもその結果なのですよ。九月からこの問題がこれぐらいやかましくなり、すでに一升について二十円内外も乳業資本は安く買い上げておるのです。どうしても酪農家としてはそこへ持つて行かざるを得ないような規定になつておるから、独占資本が跋扈跳梁するのです。それを簡単にこの条文改正でやつて行けるものを、二月も三月たつても、いまでにこの公布する省令の内容すらも成文としてきまつておらないというようなことは少し怠慢ですよ。怠慢でなければ意識的な遅延政策です。さつき私が言つたようにそのどつちかです。これはそういう趣旨から食品衛生法自体も相当検討を要する。いわんやこの五十二条の点につきましては、今申しましたようないろいろな大きな弊害が起きておるのでありますから、すみやかにやらなければならない。そこで今お話によりますと、その内容については参議院側も不満だ、農林省とはまだよく具体的に相談をしておらぬということでありますが、これをたとえばその案が一応そのまま進むとして、いつごろ成文になつて両省の協議が整つて、省令の改正として公布実施になりますか。ただ延び延びではもうよろしくないのです。もう少しその辺を詳細にお聞かせ願いたい。
  85. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいま申し上げた線でただちに事務的に進めまするならば、全部成文化するまでには約二十日間かかるのじやないかと思います。
  86. 中澤茂一

    ○中澤委員 今足鹿先生が質問されたが、そこに重大な問題があるのだ。時期の問題ではない。さつきあなたの答弁の中に、区わけをしろという意見があるということを言われました。区わけをするということは一体どういうことなのですか。高温の地帯と低温の地帯との区わけをするということですか。
  87. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 区わけというのではなく、小わけです。つまり一合びんに入れるものを一合びんに入れないで、大きなカンに入れて給食用に持つて行くということです。
  88. 中澤茂一

    ○中澤委員 その小わけはわかつていますが、要するに参議院の農林委員会で、低温で売るところと、それから高温でいいところとわけろというのが問題になつているというようなことを、さつきの答弁の中であなたは言つているのですよ。要するに、たとえば都市なら都市、東京なら東京は低温でよろしい、埼玉県の浦和へ行けば高温でもよろしい。東京は低温でなくちやいかぬ、こういうような問題があるんじやないかと思うんです。その点どうなんですか。
  89. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 それは都市部と農村部にわけまして、農村部においては二本建てにするということでございまして、その地域の区わけの方法、限定につきましては、今検討中でございます。
  90. 中澤茂一

    ○中澤委員 一体どうしてそういうふうに区わけするのですか。農村部、都市部というのは一体どういうふうにやつてわけるのですか。どこが農村部でどこが都市なんですか。
  91. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 農村部というのは、概括的に申し上げるならば、酪農地帯及びその周辺の地が農村地帯に入つております。
  92. 中澤茂一

    ○中澤委員 そこが問題です。そこが重大な問題になりますよ。あなたとのころで前に事務次官の出している通牒に「市乳の搬入が困難な僻陬の地に、」こういう言葉を使つているのです。あなた方がもしこうものをもとにして、新しい区わけを、ここは低温でなければならない、ここは高温でなければならないときめるなら、これは重大問題だと思うんです。しからば一体、百姓は高温で飲んでもかまいはせぬが、都市の人は絶対に低温でなければならないという区わけをする理由はどこにあるか。その理由を明らかにしてもらいたい。
  93. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいま市乳の搬入が困難な僻陬の地に限つてというお話がございましたけれども、この点は二十六年の十二月に省令ができましたときの公衆衛生局長及び農林省畜産局長の連名通牒でございます。その後ことしの二月になりまして、そういう僻陬の地ということでなくて、新たに市乳地帯を形成するような場所というふうなことにしたのでございます。今度の考え方といたしましては、そういう市乳の搬入が困難な地帯というふうに狭く限定はしないことでございます。
  94. 川俣清音

    川俣委員 食品衛生という面から行きまして、あなたの持つておる権限を逸脱した通牒などができるというふうにあなた方はお考えになつておりますか。人の飲むものを法律によらないで制限するという権限を一体あなた方は持つておるのですか。
  95. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 従来の省令の定め方は、殺菌の温度は三通りございます。これは摂氏六十二度ないし六十五度で三十分間熱する方法、七十五度以上で十五分間加熱する方法、それから圧を加えて短時間で殺菌する方法、この三通りでございまして、保存基準の中には、そういう温度で殺菌した後一時間以内に摂氏十度以下に冷やして保存することという基準があります。この保存基準が問題になつておるのであります。高い温度の場合、安全性から申しますならば、これは高い温度に熱しましても菌をゼロにするということはできませんからして、この場合は、その牛乳を保存するためには、どうしても摂氏十度以下に冷やすということが、安全性から言つて最も好ましいことでございます。そのために保存基準といたしまして摂氏十度以下に冷やすというふうにきめておるのでございます。ところがその方法が最も好ましい方法でございますけれども、それをやるためには冷やすという一つの操作をするために、やはり経費がかかるというようなことでございまして、できるだけ早く供給し得るような場所であるならば、これを冷やすということなしに、熱くしたまま、冷やさないままでできるというふうにしておるわけでございます。そこで都道府県知事の承認ということにして、例外規定にしておつたのが、今までの状態でございます。
  96. 川俣清音

    川俣委員 あなたの考えとして、よりベターな方法を指示するということは考えられますけれども、何時間たつたならば必ず温度を下げなければならないというふうなことを、法律によらないで命令できるというのは、越権だと私は思う。もし越権でないとするならば、牛乳以外のものについて放任されておるということはおかしい。全部がそういう方向をとつてつたのだからして、これも右にならえでやるということならばこれは別ですよ。牛乳にだけそういう特別な処置ができるという権限が厚生省にあるとは思われない。法律に基かない越権行為まで厚生省に与えられておるとは私は承服できないのですが、あなたはあるという御見解ですか。
  97. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 現在の食品衛生法七条に基きまして、食品の成分の規格、製造の基準というようなことを規定することができるようになつておりますので、その範囲におきまして牛乳の製造の方法の基準、それから保存の基準というものをつくることは違法ではないと思つております。
  98. 松山義雄

    ○松山委員 関連してちよつと伺います。牛乳をわれわれ消費者として飲む場合は、いかに低温殺菌しておつても、家庭においては一応これを沸騰してのむのが常識なんです。あるいは冷たいまま飲む場合もありますが、いかがでございますか、それについて研究されて、冷たいままで飲むパーセント、あるいは低温殺菌したものをさらに煮沸して飲む場合のパーセントをおとりになつたことはありますか。
  99. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 家庭で飲む場合に煮沸して飲むパーセントと、そうでないパーセントとを調べたことがあるかというお話でございましたけれども、そういうパーセントをこちらで調査したことはございません。しかしながら煮沸して飲むということよりも、これを冷たいものを飲むことがいやな人は、これを自分の体温程度に暖めて飲むのがよろしいというような指導はいたしております。
  100. 松山義雄

    ○松山委員 実際においてわれわれは、家庭においてあるいはその他におきまして煮沸して飲む。体温程度に暖らて飲むことはまことに理想的でございましよう。しかし実際においてガスあるいは火鉢になべをかけておりますと沸騰してしまうのです。事実において体温程度を越してしまうのです。そしてまたわれわれの通念といたしまして、冷たいものを飲むと下痢をするというような感じがよくあるのです。子供たちに飲ませる場合も、確かにそれはそのまま飲ませるのが栄養的には価値がある、こう思いましても、おなかを下されては困るというところで、やはり暖めてやるというようなことをよく家庭でやります。従いましてそういうような理想を追つて低温殺菌で厚生省がおやりになつてつても、実際はそういうことが行われているというのはほんとうに小部分じやないか、こう思うのです。いかがでしようか。
  101. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 現実に煮沸しているのが大部分で、体温程度に暖めて飲むものは非常に少いであろうという御意見でありますが、この点につきましては、都市の人とそれからそうでない方面とは多少違うのじやないかと思います。しかし全体としましては、お説の通りまだそこまで啓蒙が行き届いてはおらないと思います。しかしこの点は、牛乳というものは御承知のように、煮沸したものを飲むという場合とそうでないものを飲むという場合におきましては、これは毎日飲むことでございますから、一回や二回ではそう大した違いはないかもしれませんけれども、これは毎日飲む飲料でございまして、その点について長い間になりますと、そこに非常な差が出て来ることは事実でございます。従いましてそれを煮沸して飲むというような習慣は、できるだけ早く排除して行つて、そして栄養価のあるものを飲むようにしたいというふうに考えているわけであります。
  102. 松山義雄

    ○松山委員 先ほど地域をきめて低温殺菌と高温殺菌とにわけるというお話ですが、これは飲む人の自由にしたらどうか、こう思うのです。消費者が好む、そういうような啓蒙の行き届いたような家庭あるいはその他のところでは低温殺菌の牛乳を飲んでいただく。しかしそうでないところはおそらく高温だつてぼくはいいと思うのです。これは消費者の自由にまかしていいのではないか、こう思うのですが、いかがですか。そういうふうに地域を区切つてやるといつても、たとえば最近は町村合併でもうほとんどたんぼの中まで市になつてしまつているというような所が多いのです。駅から十里も離れているような所でも市になつて、町を通り越して一緒くたに市になつているというような所が非常にあるので、これは区別してやるということは困難ではないか。あなたの方で延引策ではないというようなことをおつしやつても、そういうようなことをおつしやつていると誤解されはせぬか、それよりやはり消費者の自由にまかせるようにした方がよろしいではないかというふうに私は考える次第ですが、いかがですか。
  103. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいま私の申し上げましたことは、これは先ほども申し上げましたように、次官室で出された一つの線でございまして、きよう出ました御意見を帰りまして上司に伝えまして判断を仰ぎたい、こういうふうに思つております。
  104. 松山義雄

    ○松山委員 私は先ほど省議といいますか、次官室でおきめになつたというのは、両省のそういうふうな関係次官、局長、課長がおやりになつたように聞きましたが、これは厚生省だけの話ですか。
  105. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 それは厚生省だけでございます。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 さらに一、二点お尋ねをいたします。二十日ばかりたてば省令の改正原案ができ上るだろうというお話でありますが、今までの質疑応答から私の判断によりますと、二月八日付の農山村地帯の牛乳の殺菌方法についてという程度のものに、若干変更はあるでしようが、ある程度その趣旨が省令改正となつて出る程度でありまして、あくまでもその思想は、その根本方針は、高温殺菌したものを売つてさしつかえない地域を指定しようという考え方でしよう。なぜそういう必要があるか。     〔佐藤(洋)委員長代理退席吉川(久)委員長代理着席〕 そこに住んで高温殺菌の乳を飲んでいる者が、今度は市街地へ行きますと低温殺菌のものを飲まなければならない。低温殺菌を飲んでいる市街地の者が農村に行つたときには高温殺菌を飲まなければならない。そういう日本国民が場所を異にするたびに暖かい牛乳がためにいい所もあるし、冷たい牛乳を飲むのがためにいいという所があるということがありますか。そんなばかなことがありますか。それは日本国民の自由です。あなた方が不当にそういう国民の権利を一省令のごときもので束縛する権利があるのですか。あまりばかにしてはいかぬ。大体そういう地域を指定しなければならぬ理由がどこにあるか。都市が今まで牛乳飲用の習慣が強くて消費が盛んである。そこへ供給しているのは大きな乳業資本である。その利益をあなた方が不当に擁護しようとしていると言われても、それでは弁明のしようがないですよ。私はどうもこのたびのあなた方の措置については理解することができません。なぜ地域を措定しなければ国民の保健衛生に弊害があるか、その理論的根拡を承りたい。
  107. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 低温殺菌の方法は高温殺菌の方法に比べて栄養学的にもあるいは衛生的に見ましても、国民にとつて最もいいものである。ことに牛乳は子供の主食物である。このためにはせつかく乳が出て来ましたならば、できるだけその栄養分が破壊されないように持つて行かなくちやならぬということで、厚生省は従来ともこの方針をとつて来たわけでございます。従いまして原則的にはやはりできるだけ低温の方法をやらなければならぬ。しかし今ただちにそういうようなことが困難な地帯があります。そういう場所が農村地帯でございますから、そういう所においては高温の措置を認めようということでございます。
  108. 足鹿覺

    足鹿委員 私はそういうようなことを聞いておるのではないのです。今言つておるのは、要するに同じ日本の住民が、地域を異にした場合にはあたたかいものを飲まなければならないし、ある地域に行けば冷たいものを飲む、そういう地域を、しかも法律によらずして都道府県知事の行政指導にまとうというのが、今度の省令改正の目標なんでしよう。だからあくまでも指導であなた方はやろうとしておる。今まで通りに、通牒と事実上においては大した変化がないと私は思う。それを指導だから、やらないからといつて都道府県知事は処罰を受けますか。ですから、この省令改正は従来の通牒の域をそう大して越えたものではない。それをあまりやかましく言うから、一応改正と銘打つて体裁を整えてやろうという程度のものにしかすぎないのじやないですか。伺いますが、もしこういう事態になつて、新しい牛乳の消費地帯においては、高温殺菌したものを飲んでもよろしい。これは要するにあなた方は、衛生的に見て何ら低温に劣るものではないということはすでに立証しておるのです。従つて市街地に高温殺菌したものを搬入してこれを飲用せしめた場合に、一つの省令違反の事実が成立しますか。そうなりますと重大な問題になります。どうですか。
  109. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 地域を指定しました場合に、その地域から出て行つてそれが流れて行つた場合どうなるかという御質問でございますが、食品衛生法ではそういう規制をすることはできないと思います。
  110. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、高温殺菌したものを低温地帯に持ち出してこれを飲用せしめても、別に法規違反を構成しない、こういう考え方ですね。それであれば何ら拘束を加える必要がないということじやないですか。そういうことになりはしませんか。第一、地域を指定するということは、都道府県知事の行政的な権限によつてあなた方は指導を加えるのでしよう。そうすると今松山委員からも御指摘があつたように、知事が、市町村合併の問題等もあつてなかなか地域の指定がむずかしいということでこれを放置しておいた場合、いつまでたつてもこの省令の趣旨は実行されないではございませんか。そうなつてしまえば、事実上この省令改正の意図というものはどこにあるのか、さつぱりはつきりしないじやないですか。われわれは何のために九月以来この問題にこんなに論議を集中しているとお考えですか。われわれをあき盲同様の措置をとられることは、私ども遺憾に思います。もうこの問題は論議ではありません。地域を指定することなんか必要ありません。高温でも低温でもどちらでも業者はおやりなさい。飲むのは消費者の自由であるという立場に立つて物を判断し処理して行くべき段階だと思います。その方針従つて善処せられるかどうか。
  111. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいま私が御説のような方法によつて善処するかどうかというようなことは、私自身として、省の次官室できまつた線がございますので、ここで言明いたすことはできませんが、先ほども申しましたように、この点を上司に申し上げまして検討していただこう、こういうふうに考えております。
  112. 足鹿覺

    足鹿委員 だから最初に私は申し上げているでしよう。草葉厚生大臣、すなわちあなた方の最高の上司が、参議院において、高温でもよろしいと言つているじやありませんか。その方針従つてあなた方が事務的に処理されればよろしいでしよう。それを地域を指定するとか——もうすでに実施されているかと思えば、今後まだ二十日も一月もかかるとか、徒らに荏苒日を送つて、ある特定業者の利便に備えようとするがごとき印象をわれわれに与えることは、あなたも不本意でしよう。そういうことを私どもも言いたくありません。なぜ、大臣がこの間言明された線に沿つて事務的にすみやかに処理する、こう言明ができませんか。あなたは次官室の協議決定したものを今最高のごとく言われておりますが、その後において厚生大臣ははつきり言明しているじやないですか。それにまだ何か疑義を持たれますか。
  113. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 厚生大臣が参議院の農林委員会で、全国低温、高温二本建でよろしいと言明されたということは、事務当局の者は伺つておりません。
  114. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは参議院の委員会の速記録をすぐに取寄せてもらいたい。その上であなたにさらに質問いたしましよう。  まだほかに質疑をされる方もあろうと思いますから、この問題は速記録が来るまで保留させていただきまして、畜産局長に一点だけお伺いしたい。  それはすでに御存じかと存じますが、養蜂業の緊急救助対策についてであります。すなわち最近蜜蜂に腐蛆病という伝染性の病気が発生いたしまして、昨年以来北海道、千葉、岐阜、石川、鹿児島、富山各方面に発生をいたし、またこれに似た症状のものも各地に現われまして、蜜蜂が斃死しておることは御存じであろうと存じますが、この駆除予防につきましては焼却措置等を必要といたしますので、やはり業者にしてみれば、あるいは農家にして見れば、いよいよ最悪の事態に逢着しない限りは見送つて、最悪の事態になつて万事休すということになつているようであります。これに対しましては何らか国において措置を講じてやらなければ、その飼育者の自主的な対策だけではとうてい経済的に成り立ちませんから、勢い放置されまして、その結果としてますます蔓延をし、この状態で進みますならば恐るべき事態を招来しはしないかと憂えられておるのでありますが、これに対し家畜伝染病予防法に基く措置等を講ずる御意思がございますかどうか。また私が今述べましたような実情について、御調査になり何か御準備になつていることがありますならば、この際承りたいのであります。
  115. 大坪藤市

    ○大坪説明員 養蜂業に腐蛆病が最近発生し、業者に非常に困難な状態を来しているということは、ただいま御意見の通りであるのであります。御承知のように、終戦後一時養蜂業も衰微いたしたのでありますが、最近またこれがいろいろな意味から非常に降替に向いつつあるのでありまして、そういう機会に、非常に恐ろしい腐蛆病の蔓延によりまして業者が非常に打撃を受けますことは、これはできるだけ避けなければならない、かように存じておるのであります。ところが、目下の家畜伝染病予防法では、この腐蛆病につきまして国が一定金額を補償するというような制度にはなつていないのであります。もちろん養蜂業につきまして国民の知識経験というものも割合に少うございますし、また関係している職員につきましても、養蜂業についての知識はなお十分とは言えないのであります。これにつきまして目下いろいろ腐蛆病の実態を検討いたしておるのでありますが、家畜伝染病予防法を適用いたします場合に、これは法律の改正を要するか、あるいは法律に基きまする省令の改正でよろしいか、この点を目下検討いたしておるのであります。しかしいずれにいたしましても予算を伴う関係もありますし、また養蜂業の起点をなしますのは、大体春の早々でありますので、それまでにいろいろ省令改正いわゆる政令改正でこの病気の対策ができるか、あるいは伝染病予防法自体を改正しなければならないか、その点を目下検討いたしておるのであります。その技術的な検討が終りました場合に、養蜂業組合の方々ともよく相談をいたしまして、これの解決に向つて参りたい、かように存じておるのであります。ただ伝染病予防法を適用いたしますと、組合員の方々にいろいろ迷惑をかける部面もありますので、これらのいろいろな点を勘案いたしまして、業界の方々とうまく話合いがつきますれば、法律の改正あるいは法律の改正をまたないで政令の改正でよろしいということになれば、それで適用して参りたい、かように考えているわけであります。
  116. 足鹿覺

    足鹿委員 これは明治の末期にわが国においても部分的に発生したそうでありますが、その当時は蔓延を見ずして、処置よろしきを得て防止ができたようであります。伝えられるところによりますと、種ばちあるいは飼育に必要な器具機械等をアメリカその他外国から最近盛んに輸入しておる。そういつたところから、外国のものを輸入する場合に病菌の付着等があり、これの消毒、検査が不徹底なために、かくのごとく蔓延しておるのではないかとも言われておるのでありますが、その原因についていかように検討しておられますか。ただ単にできたものについて家畜伝染病予防法を適用するか、あるいは政令の改正で行くかということを検討中だと言われますが、それはすでにできて来たことであり、今後も蔓延をして行くその根因を突きとめて、これに対する適切な措置を講じない限りは、非常に遺憾な結果になるのではないかと思うのであります。そういう点について伝え聞くところによると、係員もこの広い農林省に一人か二人しかおいでにならぬということでありますが、今の畜産局長の話を聞くと、いかにも万全の研究対策が立つておるかのごとき御意見でありますけれども、一人や二人の専門家ではなかなかうまく行かない。これは日本の学界なり、その道の経験者なりを集めまして、今後抜本的な対策を講じられる必要があると私は考えますが、この点について善処される御用意がありますかどうか。
  117. 大坪藤市

    ○大坪説明員 養蜂業に最近腐蛆病という恐ろしい病気が発生いたしまして、急速に蔓延しつつある原因といたしまして、外国からいろいろ病菌が入つて来る。これについての措置が行われてないという点につきましては、お説の通りであるのでありますが、実は動物検疫等も現在のところ実施されておらないのであります。家畜伝染病予防法を適用いたしますれば、これが輸入につきましては動物検疫を受けるということにも相なつて来ると思うのでありますが、これらの点につきましては今後検討して参りたい、かように存ずるのであります。養蜂業ということにつきまして、畜産局の中にも、府県の職員の中にもこれに明るい人間が割合に少いということはただいま御指摘の通りであります。これにつきましては今後急速に、これらの病気につきましての知識、経験の普及に努めたいと考えております。     〔吉川(久)委員長代理退席、松山委員長代理着席〕
  118. 川俣清音

    川俣委員 局長もおられますので、ひとつお尋ねしたいのでありますが、牛乳あるいは米麦のようなものの質とか、質の向上とかいうものは、これは私は農林省の専管だと思うのでありますが、畜産局長はどうお考えでありますか。牛乳の成分、質とかいうものについての指導及びこれらに対する監督法律の適用等は農林省の専管だと思うのでありますが、畜産局長はどういうふうに考え、また厚生省はどういうふうにお考えでありますか。
  119. 大坪藤市

    ○大坪説明員 所管についてのお尋ねでありますが、いわゆる人体に害を及ぼすとか、あるいはそれを媒介として伝染病を蔓延させる、こういうようなものの取締りにつきましては、これは厚生省の所管ではないかと思うのであります。従いまして牛乳の消毒の問題につきましても、いわゆる人体に害を及ぼさない限度におきまして取締りをするということは、当然厚生省の所管に属する事項ではないか、かように考えます。
  120. 川俣清音

    川俣委員 局長は私の質問を感違いしておられるようであります。牛乳の成分、その質ですね、衛生上の面からでなく、脂肪分がどのくらい必要だというような、そういう成分については——これはまた腐敗すれば当然厚生省の所管にかわるでしようけれども、どういう牛を入れて、どういう牛乳を将来生産するかということは畜産局の専管ではありませんか。そういうふうに理解するのでありますが、それまで厚生省の干渉を受けなければならないのですか。問題が、たとえば病気が発生したとかいうことになると、共管になるかもしれませんが、どうですか。
  121. 大坪藤市

    ○大坪説明員 いわゆる米麦その他のそういう物資につきましての成分規格と申しますか、検査規格と申しますか、そういう規格付につきましては農林省の専管ではないのか、かように思われます。
  122. 松山義雄

    ○松山委員長代理 足鹿委員にちよつと申し上げますが、参議院の速記の翻訳はまだできてないそうです。きようは土曜日でありますので、速記者の翻訳ができてないそうであります。
  123. 足鹿覺

    足鹿委員 厚生省の方の御答弁を願います。
  124. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 現在牛乳に関しましての成分規格の中で、脂肪の量、固形分の量、こういうものは厚生省の所管かそうでないかというお尋ねでありますが、この問題につきましては、牛乳というものはほかの食品と異なりまして、子供にとりましていわば主食であります。これによつて育つということでありまして、その点につきまして、もしもたとえば脂肪分が非常に少かつたというような場合におきましては、子供にとつてやはり一種の危害になるという意味におきまして、牛乳関係については脂肪分あるいは固形分まで入るということが妥当であるという見解でございます。これは法制局の見解であります。
  125. 川俣清音

    川俣委員 今足鹿委員に譲りますから、私はあらためて質問いたしますが、これは法を逸脱しておると思うのです。食品衛生法は目的を掲げておりますが、その目的はどんなふうに表現しておりますか。読まないでそこで答弁してください。
  126. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 正確に申しますならば、読むことをお許し願いたいと思います。
  127. 川俣清音

    川俣委員 ふだんどういう考え方で解釈しているかということを聞いているのです。
  128. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 これは危害を防止するということでございまして、その危害を防止するという意味には、消極的の危害の防止と、積極的の危害の防止と二色ある。そして牛乳の場合におきましては、子供の栄養補給のためにやるというような場合においては、現在つくられておる牛乳の成分規格程度というものは積極的な意味の危害防止の中に入るというふうに理解をしております。
  129. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほどの質問に続いて申し上げますが、参議院で速記録がまだ翻訳されておらないということであります。私の調べたところによりますと、本日午前中に草葉厚生大臣は参議院農林委員会において、低温殺菌一本は妥当ではない、三月の次官通牒は実際に行われていない、高温殺菌の採用は支障はない、従つて省令改正が必要であり、委員会決定の線に沿つて行きたいという所信を述べて、これを基本方針とし、技術的に検討したいと述べているのです。このような重要な発言を厚生大臣がお昼までに参議院でなされておることを、あなたは知らないで、この委員会においでになつたのでしようか。私どものような者でも、参議院のことに関心を持つておればこの程度のことはわかるのです。あなた方はこのことで職を奉じておるのではないですか。
  130. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 はなはだ怠慢でございますけれども、きようは朝から局内のほかの方の会議がありまして、そちらに行つておりました関係上、実は大臣の御発言を聞く機会を得なかつたわけであります。
  131. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま私が述べたような趣旨の答弁をしておられるのです。これは速記録によるまでもなく、何らわれわれは捏造する必要もありませんし、あとで速記録を参照されれば、著しくこの趣旨に異なつた旨を述べておられるはずもありませんから、それを前提にして、地域規格指定等を廃して、全国一律に、都市といわず農村といわず、低温、高温の二本建で進んで行くことを基本方針として技術的に実施する検討をされるかどうかということと、先ほど十月二十日ころに省令改正の研究をした、またそのあとで十一月一日に次官室で相談をしたというふうに、お忘れになつてつたようであります。さらに今あなたの方の考えておるところでは今後二十日間を要するということでありますが、そう便々と待つことはできません。先ほども公正取引委員会の事務局長が御答弁なつたように、独禁法違反の疑いが濃厚で、審判開始の立場に立つておる重大な問題ですよ。しかも対等の立場であるならばいいのですが、独占資本の立場を利用して不公正取引をしておる疑いは歴然たるものです。これを実質的に審判の結果、独禁法違反だからといつてある程度の処罰をしましても、この独占資本というやつは蚊がとまつたども感じない。問題は、実質的に農民も自衛手段を講じて行かなければならぬ。その自衛手段を講ずるのには今述べたような問題を処理しなければやれないのです。従つてどもは別に農民の立場のみを固執するものではありません。今われわれが述べておることは、消費者のためにもなり、また厚生省の所管しておる国民の保健衛生の見地からいいましても一番大事なことではないじやないですか。りつぱな牛乳が安くて自由に豊富に飲めるということでありますならば、あなた方は徹夜してでも、今夜にでもこの精神に沿つて事務を急がれるのがあなた方の義務であり責任ではありませんか。二十日間も要するなんて何の話ですか、いつやりますか、それをひとつお聞かせを願いたい。今までは今までとして、この際心機を一転されてこの問題に忠実に取組まれ、この処理に当られる御決意があるかどうか、その点をお伺いいたします。真剣に考えて、直接の事務担当の責任者として御答弁を願いたい。
  132. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 事務的にできるだけ早く進めるということはもとよりでございますけれども、やはりいろいろな事務的な関係がございます。私どもの事務的なやり方については御承知かと思いますけれども、主管課で起案しましたことは、法律関係の方で見まして、それから局議が開かれまして、そうしてさらに官房の方へまわりまして、そこでやはりいろいろ審議をされまして、それからきまるのでございます。従つてその間のいろいろな時間的な関係もございまして、私は先ほどあの程度ということを申し上げたのでございますけれども、できるだけ一生懸命になつてやるということにおいては、私は自分の責任として取組みたい、こういうふうに考えております。ただ先ほど申し上げましたように、大臣が参議院の委員会において二本建にするという御発言があつたというようなことを承つておらなかつたものですからあのように申しましたが、大臣がそういう二本建にするという御決意でわれわれに御命令があるならば、私たちはその線に沿つて進むというふうに考えております。
  133. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、そういうところへまた逃げられては困るのです。大臣が御命令があればじやなくして、大臣は委員会決定の線に沿つて行くという方針なんですよ。期せずして衆参両院の線が一致しておるのです。その線に沿つて大臣は善処するということを言われておるのでありますから、国会の両委員会の趣旨に基いてすみやかにやるというふうに率直に言われないのですか。本日はここでかくのごとく数回にわたつて最終結論に到達する委員会が開かれておるのです。私どもは最初述べましたように、あなたがことさらにこれを遅延しておられるのではないかという疑念をたくさん持つております。だがしかし、これ以上申し上げることもどうかと思つておりますが、まだ時日を非常に長く要するということでありますならばわれわれはまた別途な対策をとらざるを得ない。そういう事態に直面して初めて事がなつたというようなことではなしに、この程度であなたも両院の当該委員会の線に沿つて、二十日のものはその十分の一の二日か一週間程度で片付けて行きたい、国会の解敢があるかないかというので、あなた方は高見の見物で、解散になればまた遅延するだろう。新国会ができれば政党もかわるし政府もかわるかもしれぬ、そういうことになつてまたこの問題がずるずるべつたりに延びて行くことをあるいは期待しておられるかもしれませんが、私どもはそういう政治情勢の中にあつて、なおこの問題と熱心に取組んでおるということがどこにあるかということを考えていただきたいのです。私はこれ以上申し上げませんが、あなたの誠意ある言明を今一度承ることができまするならばそれを承りまして、私はこの問題を打切ります。
  134. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 先ほど申し上げましたように、大臣が参議院の委員会で披瀝された意見というものを——私たちは、そういうふうに決定されたとあれば、御下命があるはずだと存じます。その線に沿つて私たちはやりたい、こういうふうに考えております。
  135. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、この委員会で論議しておるということをあなたは認めないということを言外に言うのですか。御下命があれば——この委員会で論議しておるということを認めないが、大臣がそういうならばやるというのですか。国会がいくら正当なことを主張しても——どもは野党でありますが、与党の松山委員からもさつき所信の披瀝があつたように、与野党一致の意見なのです。大臣の御下命があるならばという最後の一言が私どもにはどうもふに落ちません。かくのごとく与野党一致してあなた方にその促進を幾度か決議をしておつても、大臣の御下命、その一言を最後まで守らなければならないということはどういうことなのですか。この国会の趣旨を尊重するということは言えないのですか。
  136. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 もちろん私ども、先ほど申し上げましたように、ただいまいろいろ御意見がありましたことを帰りまして上司にお伝えしまして、その線に沿つて検討するということでございます。
  137. 中澤茂一

    ○中澤委員 この問題は、きのうきよう始つた問題ではない。そこで前に私が当委員会で言うたように、農林政務次官があなたのところに行つて、草葉君の了解を得ておるのだ、楠本氏もいいといつているのだ、こういうことで、その翌日政務次官はぼくにその話をしているのだ。ところがその前から入つて来るひんぴんたる情報は、課長が抵抗線を張つておるということです。これは前からで、きのうやきようの問題ではない。あなたや恩田君もなかなかうまいことを言つているけれども、私は今調査しておるのだが、恩田君とそこらの技官連中が最後の抵抗線を張つておる。大臣もいいのだしみんながいいのだが、何しろ課長以下が抵抗線を張つてできないという、これはきのうやきようの情報ではない。あなたがどうしても抵抗線を張つて、最後まで抵抗線になつているというから、あなたに来てもらつてどういう理由であなたがそういう抵抗線を張らなければならぬかということを聞いて、この問題の解決をしたいと思つているのです。大臣もよろしいといい、きのうやきようじやない、約二週間前に農林政務次官の羽田君があなたのところに行つて話したときにちやんと了解を得ておる。それをあなたはまだ抵抗線を張つてやらないのだが、その理由を明らかにしてもらいたい。
  138. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 大臣も部長もみんな二本の線でよい、課長以下が反対しておるということを言われましたけれども、そういうことはございませんので、この線は先ほども申し上げましたように、何も私らの考えできめたことでないのでございまして、これは部で相談し、さらに局全体で相談いたしまして、さらに最後に次官室で各局長集まりましてきめた線でございます。決して私どもが抵抗しておるというようなことではないのでございます。
  139. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたは抵抗しておるのじやないと言えばそれでよろしいでしよう、しかしそういうことは、あなたが最後の業者の防波堤になつておるのだということは私は前から情報で聞いておる。これは局長は前に委員会で言つたのだが、今いろいろ調査しておるのですが、あなた方はそういうことはやらぬと思う。しかしある県の畜産課は、完全に明治の手先になつて温泉へ行つてマージヤンをやつておる。それからたくさんにみつぎものをもらつておる。子供の牛乳はただで全部もらつておる。こういうことをある県の畜産課長はやつておるのです。これはある県で今問題にしようと思つておるのですが、とにかく今のあなた方は国民の公僕だということを忘れてはいかぬ。どうすれば一番よいかということは三才の童子でもわかることではないですか。高温も低温も両方やつて、低温が高かつたら高温をやる。消費者の諸君、高いのでよかつたらビタミンがあるからお飲みなさい。こつちは高温でやつて値段が安いが、この方をお飲みの方はお飲みくださいというのがよいのです。こうなれば今の生産量では足りはしない、東京あたり無人スタンドへぼつと十円玉をほうり込んで、道を歩きながら飲めるようになつたら、ジュースや何かを飲む人はない。そうして畜産の振興をはかるという国民の公僕としての大きな考え方をあなた方は持つておるのか。問題をここまで紛糾させた畜産局長は一体どう思うのですか、ここまで問題が紛糾して来たのはあなたに全責任があるよ、あなたの所信を一応申し述べなさい。
  140. 大坪藤市

    ○大坪説明員 御承知の通りに牛乳が薬品あるいは病人の栄養というような観点から、だんだんと国民大衆に主食的に消費されるようになりましたので、そういうような考え方で私どもとしても対処しなければならぬ、かように考えておるのであります。先般当委員会におきましても高温殺菌、低温殺菌の両建でやるようにというような御意見もありましたので、私どもも常々そういうような意見を厚生省の方に申しておつたのでありますが、先月の二十日でありましたか、文書をもちまして厚生省の方から学童給食施設並びに栄養施設を持つている工場等においてみずから処理する場合においては、高温、低温殺菌どちらでもよろしいという非常に狭い範囲の改正案を提示されたのであります。そういう非常に狭い範囲の低温殺菌、高温殺菌のものでありますれば所期する目的を達し得られないので、当委員会の意思とも非常に反しますので、私どもといたしましてその後高温殺菌、低温殺菌、いずれでも並立的でよろしいということで、ぜひやつてもらいたいということを強く要望いたしたのであります。もしそれがどうしてもできない場合においては、農業協同組合あるいは農業協同組合連合会がみずから処理する場合には両建でよろしいという点は、これは少くとも堅持してもらわなければならぬ、こういうような意見を申し上げておるのであります。それにつきましてまだ厚生省の方から正式に文書をもつて、要綱をもつて示されていないのでありますが、ただいま御議論がありましたように、農村地帯等においては低温殺菌、高温殺菌の両建でよろしいというような御意見でありますが、先ほども問題になりましたように、農村地帯と都市地帯というものを区別することがきわめて困難でありまするし、またこれを地方行政官の判断あるいは知事の地域指定というものにまかしました場合には、実際問題として行われない。こういうような観点のもとに低温殺菌、高温殺菌を全国にわたつて並立的に許すか、あるいはさもなければ少くとも地域を限定することなしに、農業協同組合連合会が処理する場合には、少くとも両建でよろしい。この線は少くとも認めていただかなければ、今後牛乳が大量に生産される情勢のもとに、その消費拡大をやるためには、非常な支障があるということを強く申し上げているわけであります。
  141. 中澤茂一

    ○中澤委員 厚生省は一体どうなんです。二週間も前に政務次官が、大臣と政務次官に話をして、よろしい、そうやりましよう。それは二週間も前の話ですよ。この前の委員会の翌朝、羽田政務次官が厚生省に行つてつているのです。その翌日、あれは話はもうまとまつたからということを言つておるのですよ。話はまとまつたからそれですぐそれは改正するよ。それをいまだもつてそういうことを言つているという理由はどこにあるのですか。理由を明らかにしていただきましよう。
  142. 松山義雄

    ○松山委員長代理 衛生課長、持ちまわりとか何とかそういうことで話のつくような便法もあるようじやないですか。持ちまわりで決裁をもらうような方法があるのじやないですか。ひとつそういうものをきかしてやつてください。
  143. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 厚生省の政務次官が二本建に御賛成になつて、それじやそういう線で省令を改正すると言明されたということは、私たちは聞いておらないのでございます。
  144. 中澤茂一

    ○中澤委員 どうも聞いていないというと、まるで処置のない話だが、さつきかうあなたの答弁を聞いていると、どうしてもこれは引き延ばして、国会は早く解散にならないかな、そうするとうるさいやつらは落ちるやつもいるだろうと考えている、そういうふうにしか私には思えない。この問題が当委委員会で取上げられたのは九月一日ですよ。きのうやきようう取上げているのじやないですよ。九月一日に取上げておる問題を、三月かかつてなおかつこれが何らの結論も出ないということは一体どういう理由なんです。それは何らかの理由において抵抗しているとしか考えられません。しかも現実に羽田農林政務次官が行つて草葉さんと政務次官に会つて了解を得て来たというのは、二週間も前の委員会のすぐその翌朝厚生省へ飛んで行つたのです。そしてその朝私に、あれはけさ厚生省へ行つて話をつけて来たから、あれはすぐ省令改正をやるから、こういうことを言つているのです。そうすると一体あなた方はそのことの話も全然聞かない、下の方では何が何だかわけがわからぬで、省議は一応やつて来たが要綱案にもならない。少くとも本日あなた方が誠意があるならば、あなた方のつくつた要綱案ぐらい全議員に配つて、こういうふうにつくりましたが、これではいかがですかというのがあなた方の義務じやないですか。だからどうしてもそういう業者の手先みたようなことを君らがやつているなら、これはもうしかたがないから、こつちも法律改正でも何でもどんどん臨時国会でやるよ、それよりしかたがない。さつき足鹿委員質問に対して、まだこれから早くて二十日ぐらいはかかる、そんな一体ばかな話はありますか。とにかくどう考えてもあなた方に不審がある。不審があるかまたはあなた方に全然公僕としての誠意がないということなんです。そのいずれか以外に私は判定できない。そうして足鹿委員が最後の答弁をとろうとすると、のらりくらりと大臣の御下命々々々と言うが、それは大臣の御下命だか森永、明治の御下命だうか知らぬが、とにかく大臣の御下命がなければできない。あなた方が事務案を練つて、これでどうですかと言つてつて行くのがあなた方の義務じやないですか。そんなしやくし定規でこの重大問題をあなた方が考えているとすれば、まさにあなた方が官僚として、公僕としての義務を国民に対して怠つていると私は断ずる。あなたはそれに対してどうお考えになつているか、これでけつこうでございますとお考えになつているのかどうか、まだまだこれは当分やるつもりはございません。きよう一日答弁の言いのがれをやればこれで当分やるつもりはございませんとお考えになつているのか、そこをはつきりしてもらいたい。
  145. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 たびたび申し上げておりますようにこの問題につきましては、やはり省全体としての審議がございますので、その審議にかけて決定されることでございますから、そういうふうにして行かなければならないと思つております。なお参議院の厚生委員会の方でも問題を御審議になつておりますので、その参議院の御審議の状態がどういうふうになるかということも考えなくちやいかぬ、そういうふうに思つております。
  146. 中澤茂一

    ○中澤委員 参議院の厚生委員会は、これは他院のことですからわれわれ容喙する必要はないのですが、どういうわけかこれだけの重大問題を秘密会、秘密会でやつておるのです。そこで参議院の厚生委員会の中に、何だか私は手先がいるのじやないかと、きのうその話を聞いたときから思つておる。それをまたあなたは一つのたよりどころにしようというお考えですか。
  147. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 決してたよりどころにしようという考えは毛頭持つておりませんので、ただそういうことが今審議されておるということを申し上げたのでございます。
  148. 川俣清音

    川俣委員 私は根本にもどつてお尋ねしたいと思います。食品衛生法の法律の目的は一条で明らかにしおりますが、三条と四条でこの危害並びにこの法律を適用する範囲をきめております。三条は明らかに「清潔で衛生的に行わなければならない。」という基準を出しております。四条では危害というものは、販売してはいかぬものはどういうものかということを規定いたしておりますことは、あなたも十分御存じの通りです。一は「腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは、この限りではない。」二は「有害な、又は有害な物質が含まれ、又は附着しているもの。但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。三、病原微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの。四、不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの。」と法律は明らかに規定いたしておる、法律というものはあなたのように無限の解釈を許さないのでございます。明らかに三条、四条で規定をいたしておる。ところが行政官がこれらの法律をときどき濫用いたしまして、自分の権限を拡大するために多くの国民に迷惑をかけておることは多々あります。明らかにその範囲を指定いたしておるにもかかわらず、これを逸脱して処理をしようとすることは、私は行政官として越権ではないかと考えますけれども、この点どうですか、また従いまして牛乳であるとか、すべてのものであるとか、食品という全体を示しておりますから、食品全体に対して同様な取扱い方がなされなければならない。あるものは厳重に、あるものは寛大であつてはならないことはこの法律の命ずるところであります。人に危害を及ぼすことを最大限取締まるということでありますから、牛乳ならばうんと取締まる、魚ならばどうでもいいというものではない。法律の趣旨はそうではないと私は理解するけれども、この二点について明快な御答弁を願いたい。
  149. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいまの省令の基準は法律の第七条から来ているのでございまして、「厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。」この条文に基いて規格が定められておるのでございます。  さらに牛乳の問題と魚の問題はどうかというふうなことでありますが、確かにすべての食品において、安全性を確保するためにできるだけ線をそろえて行くのが原則であると思いますけれども、牛乳におきましては、ことにこれは子供にとつての主食品である。しかも牛乳というものは、最も栄養価に富むものであると同時に、食品のうちでその取扱いいかんによつては最も腐敗しやすいものであるということからいろいろな規制が加えられておるわけであります。
  150. 川俣清音

    川俣委員 その七条から受けておるという拡大解釈することがあやまちじやないかということです。三条、四条に明らかに販売のことを書いてある。販売用の食品、その取扱い基準、これに応じてきめるのを七条で受けているのです。これは法律の正解な解釈です。一条を受けて三条四条があり、三条四条を受けて七条があることは明らかじやないですか。販売してはならないものを規定しておるではないですか。規定していないようなものを販売してはならないということはどこにもございませんよ。それ以上販売してはならないということはどここあるのですか。明らかに三条と四条で販売してはならないものを規定しているのです。この基準はこうだということなんです。従つて三条四条にないものを拡大解釈して行くことは法律の濫用だというのですよ。もしもそういうことがあなたの方でやれるとするならば、一体黄変米などは何ですか。害毒があることは明らかです。ないことを食つて見せるというのですか。子供にとつて悪いということで牛乳をやかましく言うならば、八千万の人聞が食うものを害毒があつてもいいということはどういうわけですか。これはそういうことをやらさぬためにこしらえておる法律ですよ。厚生省がかつてに解釈していいという法律ではありません。そのくらいな知識があるはずだと思うのですが、どうなのですか。
  151. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 もちろんこの三条四条というものは、第一条の危害の発生を防止する意味でこういうことが書かれているのでございまして、こういうことの起らないようにするために第七条でいろいろつくられているわけでございます。しかしながらこの牛乳の場合におきましては、先ほど申し上げたように、脂肪の問題あるいは固形分の問題等は、やはり間接的な危害が起り得るということが定められておるわけでございます。ですからそういうことは定めるべきでないということであるならば、これは定め得ませんけれども、今までの厚生省の考えとしましては、ここまでは定め得るということでこの省令が公布されたわけでございます。
  152. 川俣清音

    川俣委員 この法律問題については、大臣をここへ呼んで参りましてあらためて質問を続けたいと思いますが、それでは低温処理なら絶対安全なんですか。一体低温処理したものを何時間後に配達しているのですか。あのボツクスに何時間停滞しておるのです。何時間以上停滞してはならないという法律までつくらなければならないじやないですか。低温処理だつて時間が経過すれば同じことじやないですか。違うという証明がありますか。低温処理したものは何時間置いても腐敗しないという自信をあなたは持つておられますか。腐敗して悪いものを飲ましてはいけないというなら、低温処理したものは何時間以内に飲ませるようにしなければならないというところまで行かなければならない。あなたの説明によりますと、低温処理したからといつて飲むまでに時間は相当ありますよ。大体低温処理をしてそれから小売店へ配達されて、それから飲むまでに、早い時間の人もありましようし、相当時間を経過しなければ飲まぬ人もある。現に役所等においては、朝配達されて昼でなければ飲まぬ人もある。そういうことは禁止したらどうですか。低温処理のものは寛大で高温処理だけを目のかたきにしなければならないということは、食品衛生法からは何も出て来ません。出て来るのは人に危害を与えるかどうかである。低温処理であろうと、高温処理であろうと、人間に危害を与えるか与えないかということが問題であつて、低温とか高温とかいうことは問題じやない。このりんごはビタミンが多いから、このりんごは食えとか食つてはいけないとかいうことは、あなたに関係がないのと同じです。あるいは米だつて、精白して時間がたてば酸性度が強くなつて来るので主食として必ずしも適当であるかないかということが問題になつておりますが、これには手をつけないじやありせまんか。そこまで言うならば、精白してから何日以内に食わなければならないということを何で規定しないのですか。八千万の人間が食う重大なものですよ。それには手をつけないじやありませんか。これはどうですか。
  153. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 保存基準といたしまして摂氏十度以下に保持するということになつておりまして、これは基準といたしまして製造後一時間以内に摂氏十度以下に保持してこれを保存するということでありまして、家庭に届くまでそういうふうに保持しておかなければならないという意味でございます。従つて家庭に行つて、夏時分に朝来たものを晩に飲むというようなことでありますならば、これは一応そのままにしておくことなく、たとえば水の中に置くとか、あるいはぬれタオルをかけるとか、夏時分家庭で、朝来たものを晩まで置かなければいかぬような場合には、やはりそういうような措置をとらなければいかぬと思いますが、これを家庭に配達するまでの道程におきましては、これは冷やして保持するということが規定に定められておるわけでございます。
  154. 川俣清音

    川俣委員 私これはもう議論しませんが、たとえばアパートあたりで夜飲もうとするものを昼配達したり、あるいは夕方配達すべきものを昼配達するということは現にあるのです。それでは牛乳の販売業者が冷蔵庫をつくらなければならないということをやつたらいいじやないですか。現に飲めないのです。アパートあたりではこれは明らかです。そういうことは手抜かりではないですか。そればかりではありません。これは乳及び乳製品ということになつておるのですが、乳とは何を言うのですか。牛乳を言うのですか。やぎの乳を言うのですか、人乳を言うのですか。一体原料についての成分を厚生省が所管しているという考え方は誤りですよ。農林省もこんな原料まで——原料が腐敗したらどう取締るということならばいいのですよ。しかし原料の成分までも監督を受けなければならないというようなことでは農林省は怠慢です。こういう越権行為はさせてはいけませんよ。ただ牛乳に水を入れちやいかぬだとか、その他の汚物を入ちやいかぬだとかいうような監督は、確かに厚生省がやつてしかるべきだと思うのですが、出て来る本来の乳の性質まで厚生省の監督を受けなければならぬということであつたら、農林省の畜産局は厚生省のいわゆる販売を主とした畜産局にかわられて、農林省とは別個につくらなければならぬ。ここのところは私どもは非常に不満でありますから、議員立法をもちましてその点を明確にしたいと思います。これに対する畜産局長の御意見を承りたい。
  155. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいま御指摘の成分規格等につきましては、御意見のようなこともあるのでありますが、これにつきましては従来からいろいろいきさつがありまして今日に至つておるのであります。その点につきましては今後よく検討いたして参りたいと存じます。
  156. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ……。今足鹿委員並びに中澤委員から指摘されまして、十一月一日に大体要綱案みたいものができ上つたそうでありますから、その要綱案の大要を次の委員会までにお出し願いたいし、また地域的に高温処理を許しておるのでありますが、ある地域は食品衛生法の上から言つて度外視できて、ある地域だけは食品衛生法をやかましくしなければならないということもおかしいと思います。そういうように食品衛生法上区別していい地域があれば、その詳細をお示し願いたい。高温処理をごく小範囲に許すということですが、なぜその範囲ならばよろしくて、ほかの範囲は悪いのか、これも食品衛生という面から言うと、そういう区別があつてはならない。これは一つの考え方としてはあるのでありますが、食品衛生という考え方から言うとおかしいと思うのです。  それから高温処理は今まである限度をきめておりましたが、今度は処理量の限度はあるのかないのか、この点も明快に御答弁を願いたい。  それから、先ほど私が指摘いたしましたような権限逸脱のおそれがあると思いますので、逸脱していないということについて厚生省の省議を経て文書で御答弁を願いたい。これは厚生省の責任をもつて答弁を願いたいと思うのであります。従いましてもしもそのこと自体が将来大臣の責任問題にもなるということも十分考慮になりまして、御答弁を願いたいと思います。
  157. 安藤覺

    ○安藤(覺)委員 関連して……。私先ほど来各委員質問並びにこれに対する厚生当局の御答弁をここで承つてつたのでありますが、私人間かおとなしいせいか、あるいは今までのこの農林委員会の審議のあり方が非常におだやかでスムーズであつたのになれたためか、きようはこのままで引下るのは何か心に大きな影をさしておるような気持がいたすのであります。そこで私最後に時間を少しばかりいただいて、阿曽村さんにお尋ねしておきたいのであります。  御承知のごとく、日本の現状は食糧不足、ことに米の不足を大いに訴えておりまして、このために食糧増産ということ並びに食生活の改善ということにつきましては、ほとんど国をあげて努力しておるような次第でございます。特に食生活の改善ということになりますれば、粉食奨励ということが当然出て来るわけでありまして、パン食をいたしますためには牛乳というものかこれに付随して来ることは、絶対にと言つていい要件になつて参ると思います。私百姓をいたしておりますが、パンを一斤食べてみそ汁二はい飲んで畑へ出ますと、畑では三さくとはできません。二さく目にはどうしても足を切つてしまいます。これはどうしてもパンと牛乳を伴わなければならない。そうすれば腹ごたえがあるわけであります。かほどに牛乳というものは大切なものでありまして、そうしてここに非常な酪農振興という運動が展開されて国もこれに莫大な予算を出しておるわけであります。その結果といたしまして、近時牛乳の供給度がようやく高まつて参りました。これは厚生省のあなたの方のお立場から考えてみられましても、単に子供ばかりでなしに、一般のおとなにいたしましても、できるだけ保健衛生上牛乳というものの消費が行われることは好まれるところだろうと思うのであります。しかるにたまたま今日になりまして、すでに御承知のごとく乳価が大暴落をいたしまして、このためにせつかく盛り上つて来たところの酪農の意気が再ぴ消沈してしまつて、牛乳の供給量というものが減つて行くことは火を見るよりも明らかであります。このことはひいて食生活の転換というものを不可能に至らしめますし、いつまでも日本のこの足らない足らないといわれる米にかじりついておるという姿にもなつて来るわけであります。そこにおきまして、先ほど来伺つておりますと、低温であろうと高熱処理であろうと、いずれにいたしましても腐敗しないものにはならないのだ、どつちでもやはり腐敗するのです。たまたま御主張を承つておりますと、低温処理をした場合は、その細胞を破壊しないということによつて栄養価が高いのだ、こういうことで厚生省は強く低温処理に執着を持つておられるようであります。しかし今の段階においては、低温であろうと、高温であろうと、その処理いかんにかかわらず腐敗したものでなければいい、とにかく牛乳を少しでも多く国民に消費させる方向をたどる、このことが食生活改善とともに、ようやく困窮の底へ落ちようとしている農村地帯へ大きな経済基礎を与え、そうしてともどもによき結果を見るということになると思うのであります。もしこれが高温処理ということになりますれば、ほかにもいろいろ障害はありましようけれども、高温処理でなお妨げないということであれば、需要はぐんとふえて来ましようし、供給はますます高まつて来るだろうと思うのであります。かような考え方から行きますと、今厚生省においてかたくつかまつておられる低温処理でなければならぬというお考え方——あなた方の理想から行きますればそうでありたいでありましようけれども、日本の現状はそれ以下にあるのだから、その以下の者を引上げるためには皆様方の理想、皆様方の文化性というものをもうちよつと低めて、国民大衆の線に沿うところまであなた方がおりて来なければならない。指導者があまり先に行つてしまうと、大衆は指導者がどこへ行つたかわからないのでついて行きにくい。だからもう一歩あなた方が下へおりられてそうして高温、低温二本建けつこう。しこうして先ほど川俣君も言つておられましたが、高温の場合においてはこういう欠陥があります、低温の場合においてはこういう長所があります、従いまして国民の皆様、長い間御消費なさる場合に、わずかな量でも子供に対してより栄養価を与えることができますからという、啓蒙を熱心になさることはけつこうでありますが、その基礎においては二本建でよろしいということにお考えを置いていただいて、先ほどもたいへん急げ急げという委員からの要求でございましたが、皆様方の毎日のお仕事がかなり過剰になつてお疲れになつておられるときでもありましようけれども、さらに今まことに重大な危機に来ておるのでありますからして、一層お疲れのからだにむち打たれて、すみやかなる機会にこの結論へ到達していただくように願いたい。大臣も参議院で申しておられたし、また政務次官も農林政務次官とも相談の上、そういうふうになければならないと言つております。それがたまたま課長さんのお耳に入らず、御存じなかつたということでありますが、そういうことでありますならば、あなたが、上司の意見に従うとおつしやるのは公務員として当然のことであります。私はよくそのお気持を察します。忠実なる公務員であられることはけつこうであります。どうかすみやかに大臣、政務次官の御意見を徴せられまして、ようやく盛り上つて来た酪農が再び没落のふちへ沈もうとするこの状況に際し、あなた方の最後の望みであられるところの、国民のことごとくが毎日牛乳三升ずつも飲むという状態に日本を持つて行くように、ひとつあなた方の文化性を一歩低めてください。指導性を低めてください。そしておやりになつていただく方がいいんじやないか。先ほど来私もたいへん聞きづらい雑音に耳にいたしまして、まことに御胸中お察しいたします。しかし熱するところこういう雑音も出て来たことと存じますが、あまりにも皆様方の指導性が高いところにおられますから、えてしてわれわれ同僚もあなた方の指導性というものの理解に苦しみ、そういう雑音になつたことだろうと存じます。どうかこの点は大きな立場から大らかにお考えくださつて、しかもすみやかに御処理願いたい。もしお願いだけでは質問の体をなさぬからいけないとおつしやれば、また委員長のお許しをいただいて何事なりともお答えいただくにしても、お答えいただかなくてもけつこうであります。きようの委員会を私ここで聞いておりまして、心に何かが残るので、このことを一言申したわけであります。
  158. 阿曽村千春

    ○阿曽村説明員 ただいまの御意見でございますが、私たちは先ほどから何回も申し上げておりますように、大臣あるいは政務次官の御決定に基きまして、できるだけ早く仕事を処理するということは当然でございまして、帰りまして当委員会の趣旨を申し上げまして、これに対して善処して行きたい、かように考えております。
  159. 松山義雄

    ○松山委員長代理 淡谷委員
  160. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 時間もたいへんおそくなつておりますので、簡単に一言だけお聞きしておきたいと思います。小川公正取引委員会の事務局長にお尋ねしたいと思います。先ほど来のいろいろの論議を通じまして、乳価引下げの問題がいかに大きな問題であるかということを十分御認識くだすつたと思いますが、一体あの四十二円に下げました独禁法違反になるかもしれないところの処置によつて、乳業者が利益となりましたのは、一日どれくらいになつておりますか、お調べになつたことがありますか、その点お聞きいたしておきたいと思います。
  161. 小川清四郎

    ○小川説明員 お答え申し上げます。ただいますぐこの場で数字がはつきりわかつておりませんので、まことに申訳ございませんが、御必要でございましたならば、早速文書でお答えをいたしたいと存じます。
  162. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あとで資料にしてお出し願いたいと思います。ただ私申し上げたいのは、九月に当委員会が、全国の酪農業者から乳価引下げは不当であるとの陳情を受けまして、各委員も一生懸命努力し、対処いたして参りました。事独禁法に関し、特に審判になるかもしれないということから非常に慎重に御調査くだすつておられる気持はわかります。但し三月に余ります慎重審議の間に、一方において独占企業的な乳業者がおそらくは莫大な数に上ると思いますが、これが利益を占めておる。こうした利益が、一面から申しますと、ただいま安藤委員が言われました通り、全国の実際に牛を飼つております農民の一大損失になつて現われて参つております。昨年以来災害の続きました農村がいかに困窮しておるかは申すまでもございませんが、まさにこの審判に処すべきあなた方の活動は、非常に慎重になされなければならないと同時に、慎重にすぎて遅延しておりますと、その間においてこういうふうに非常に大きな利益を得るものと損失を招くものとが出て来る。ここに果断なる公正取引委員会の活動を希求するゆえんがあるのでございます。つきましては、先ほどから安藤委員が心配されましたように、あたかも厚生省がその引延ばしを援護しておるがごときさまざまなうわささえ飛び、全国農民の大きな疑惑を招くだろうと思います。いろいろな委員会としての内情もございましようけれども、一日遅延すれば一日遅延するごとに非常に多くの農民が救うべからざる打撃を受けまして、あるいは牛を殺し、業をやめる、とても救うことができないような立場になると思います。あなた方のいろいろな御都合もございましようが、一日延びるごとに全国のこうした農民がどんな思いをしておるかを十分お察しの上、果断なる処置をお願いしたいと思います。特に最後に私がお伺いしたいのは、本日の審議を通じまして、この会議に臨まれる前の気持と、ただいまの気持と若干の相違があつたかどうか、この点だけお答えを願いまして、あとはまた資料をまつて質問をいたしたいと思います。
  163. 小川清四郎

    ○小川説明員 率直に申し上げます。ずいぶん長い間私どもも御一緒に伺つておりまして、多大の感銘を受けたことをここにお答えいたします。
  164. 松山義雄

    ○松山委員長代理 次会は、来週水曜日十七日午後一時より開会することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時五十九分散会