運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-11-12 第19回国会 衆議院 農林委員会 第79号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十二日(金曜日)     午後三時五十一分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 芳賀  貢君    理事 吉川 久衛君 理事 川俣 清音君       小枝 一雄君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松岡 俊三君       松山 義雄君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君    中村 時雄君       安藤  覺君  出席国務大臣         国 務 大 臣 加藤鐐五郎君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         食糧庁長官   前谷 重夫君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月二十三日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員伊東岩男辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長指名委員に選任された。 同日  本名武君が議長指名委員補欠選任された。 同月二十六日  委員本名武辞任につき、その補欠として古井  喜實君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員古井喜實辞任につき、その補欠として伊  東岩男君が議長指名委員に選任された。 十一月五日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同月十日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧管理制度に関する件  昭和二十九年農林災害対策に関する件  小委員長より中間報告聴取  農林災害防止のため気象対策機構整備拡充に  関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  食糧管理の問題を中心にして調査を進めます質疑の申出がありますのでこれを許します足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 食糧庁長官に二、三お尋ねいたします。本年の供米割当をめぐつて食管制度がいよいよ最後の崩壊の段階に達したというふうにいろいろ物議をかもしておるように私ども聞いております。また政府部内においても、この制度の改正の問題について検討をしておるやにも伝えられ、この世間の声に何か相通じておるやにもとれるのでありますが、この間の事情について、直接の責任者である長官の御所見を、この際聞くことができたらお願いしたい。
  4. 前谷重夫

    前谷説明員 本年度の割当につきまして、いろいろ各方面からそれに対する御意見なり御批判があるわけでございます。われわれといたしましては、実収高と申しますか、作況予想基礎にいたしまして、そこに各県の均衡をとりつつ割当をいたしたわけでございますが、それに対しまして全体の生産量、あるいはいわゆる保有量を引いた全体の可能量との間に差があるじやないか、そういう点についての御批判があつたことでありますが、現実供出の状況からいたしますると、ほぼわれわれが予定いたしております程度に、まだ十一月一日といたしましては達しておらない。十一月一日でございますると大体八百九十万石になつておりますが、われわれ大体九百七、八十万石を予想しておつたわけでございます。これは作遅れの問題もあろうと思います。そういう意味におきまして食糧管理の面におきます集荷の問題、それから同時に財政当局からは、財政面におけるいろいろな御意見があります。われわれといたしましては、この問題について結論的に申し上げますと、まだ検討しておる段階ではございません。ただ集荷の問題につきましては、先般も当委員会お話がございましたし、われわれも集荷をもう少し円滑にやる方法はないか。農業団体一つ組織力を利用したいわゆる予約制度というものが、先般の場合におきましては一つの抽象的な形において提唱されたわけでございますが、これがはたして具体的な形においてどういう形で動くだろうかというふうな点につきましては、検討しなければならないという気持を持つております。しかし目下割当に基きまする諸般の善後処置をやつておる段階でございますので、その問題について、まだわれわれがどういう具体的な考え方を持つか、あるいは検討を開始するかという段階には至つておりませんが、集荷の面につきまして何か円滑な集荷方法ができないかということは、私自身もぜひ検討して行きたい、かように考えております大蔵省からは財政面から米価関連していろいろ議論がございましたが、まだ具体的と申しますか、事務的にそういう面についての意見も聞いておりませんし、また話合いをするというふうな話かけもない状態でございます
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 集荷制度を改める。その限りにおいては私どもいいのです。ところがそこへ手をつけますと、必ず制度そのものを全体的に再検討しなければならぬところへぶつかつて来る。手ぶらでこの段階におられるということもどうかと思いますが、集荷制度自体をいかに切り離してやろうとなさいましても、一番大事な要素に手をつけられないと、それ自体失敗をする。それは過般の米価審議会においても、ただ単なる附帯決議としてではなくて、満場一致できめました、生産費基礎とする米価の新しい決定方式を立てる。それに関連いたしまして生産費調査する機構整備充実しなければならぬということが、この間の委員会では非常に重大な意見となつて答申になつておるわけであります。これに対して少くとも予算編成を前にして、いかように対処されるのか。これは一日も偸安を許さないと思う。管理制度がこのままの姿でよいとは思いません。これは戦時立法でありますから、民主的に改変するということは私どもも異議がない。ただそれを機会に、自由販売の方向へ無理して持つて行こうというところに、私どもとしては問題があるのであつて、この戦時立法を改めるということは何ら異存はない。それを改める際に、制度自体関連して、それがいかような形に改められたとしても、政府が米を持つということにはかわりない。持つ場合にどうしてその米を持つか、いわゆる集荷に伴う価格の問題が出て来る。でありますから、これは早急に制度自体の改変の最大前提条件であり、また一つ結論でもあるこの点について、予算編成を前にしていかような対策をお考えになつておりますか、その点を伺いたい。
  6. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの足鹿委員お話集荷制度のみならず、その集荷制度から参りまする全般的な影響、これはむろん集荷制度考える場合におきましては、当然起ることでございますので、私といたしましては慎重にその点は集荷制度との関連において当然問題になつてつて来る、また検討を要する点が多々生じて来るだろうということは予想いたしております。先般の米価審議会でございました価格決定方式につきましては、私もぜひひとつ本格的にこれと取組みたいというふうに考えておりまして、実は米価審議会議長東畑先生お話をいたしまして、まだ正式ではございませんが、ほぼ小委員長になつていただいて、早急に仕事を始めていただくようにお話合いを進めております。まだ委員の人選は最終的に決定いたしませんが、ぜひひとつ東畑議長に小委員長になつていただくということでお願いをいたしておりまして、最終的にまだ先生から御返事はいただいておりませんが、そういうラインをもちまして、それから小委員を至急に専門的にきめる、そうして公式にとりかかりたい、かように考えております。だだ御指摘のそれに伴います予算につきましては、まだ予算編成には当つておりませんが、やはり問題はそれに応ずる調査予算がいるわけになるのでございますが、これは私の方で調査の費用を要求するか、まあ各局にも関係がございますので、まだ具体的な予算編成には立ち至つておりませんが、必要な点は十分考えております
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 小委員会もけつこうでありますが、後者の方が大事なんです。それをただ考えておるという程度では、長官少しなまぬるいです。米価審議会においてあの結論を得るまでには、あなたも同席されて、そしてこういう答申附帯条項についてというので完全にあなたも同意され、満場一致で画期的にひとつやろうということになつております。ですからこれは、きよう私が申し上げるまでもなく、もうすでに調査機構の要領なり、それに要する経費の概算なり、大体の方針というものが私はなければならないはずだと思う。むしろ調査機構をつくるということは小委員会検討すべき事柄ではない。ですから小委員会をつくられることは既定の事実として、ぐんぐんお進めになればよろしいが、それ以上に調査機構整備を具体化してもらいたい。これをやられませんと、私どもは今度は重大な問題としてこれを糾弾したいと思つております。硫安にしましてもすべての問題がコスト主義だ。なぜ米価に対してはコスト主義が貫けないのか。それは資料がないからだ。資料をつくることに対しては、あらゆる会合において認められ、過般今述べたような事情において審議会においても、今度は非常な決意を持つてやれということになつております。これを来年もまた見送られるということになりますと、非常に重大な問題になると思いますので、特にこれは強く要請をし、ただちに具体的な案をつくつて、来る臨時国会までには少くとも成案を得ていただきたい。私どもはそれについてもいろいろ意見を持つておりますし、強くこの点を申し上げておきます。  それから第三には、きよう午前中からも関西その他方面から——青森もでありますが、一応の割当を受けて帰つたが、実際割当ができない、また先般の割当会議でも引受けておらないが、事実上につちもさつちも行かない、こういう作況が急激に悪化したことを発見されて、困つておる実情が来ておりますが、再補正の用意があるかどうか、その点は今後の集荷上の問題とも関連して、私非常に重要だと思います。なおこれに関連をいたしまして、病虫害が意外に深刻であつて、通常の等外規格相当緩和をして、等外の上とでも申しましようか、そういつたものをつくらなければ、とうてい相当緩和された割当を完了することが困難だという各地からの声でありますが、この点について食糧庁としてはどういうふうに対処されますか、伺いたい。
  8. 前谷重夫

    前谷説明員 先般の供出割当につきましては、九月十五日現在の作況指数基礎にいたしましたが、割当をいたしますまでに台風十四号、十五号等被害も、できる限りこれを織り込んでいたしたつもりでございます。十月十五日の収穫予想が発表になりましたが、一、二の県には移動がありましたが、大勢として、当時われわれが十四号、十五号といたしまして調査をいたしましたものと大きな違いはないわけでございます。ただ御承知のように割当につきましては、いわゆる制度的には保有量を除いたあとが供出量ということにはなつておりますが、現実の問題といたしましては、供出可能量義務割当の間には幅があるということは、これは足鹿さんも御了承していただける実態だろうと思います。従いまして実収高を見まして著しい変動がございますれば、もちろん府県間の均衡という問題を十分注視いたしましてやるべきでございますし、またわれわれとしてもそれに対しては誠意をもつて当るつもりでございますが、原則としてはわれわれは補正はすべきものじやない。ただ実収高によりまして著しい変動があり、府県間のバランスを失するという状態につきましては、実収高の際におきましてこれを再補正するということにはやぶさかではございませんが、全体的に見ますと、これは供出の面からいたしますと、従来と同様に補正はやらないということが原則である、それは御了解願いたいと思います。  なお、等外の取扱いにつきましては、昨年例外措置といたしまして等外を上下にわけまして、この上につきましては超過供出分としてこれを取扱う、従いまして超過供出奨励金も出すということを、昨年の凶作に際しまして例外措置としてとつたわけでございますが、この措置は本年もやはり昨年度と同様に取扱つて参りたいと考えておる次第であります
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 原則として再補正をやらないということでありますけれども、私ども現地を見てないわけでありまして、その実情については当事者の言を信用する以外にはないと思うし、また統計調査事務所の出先も、その後の作柄の変動ということについては認めておるということをそれぞれ言つておるのです。そういう的確なものについては、あくまでも例外として、実情に即した割当をやらない限りはよろしくあるまいと私は思います。その点はこれ以上申し上げませんが、運営上においてはよく御判断願いたいと思います最後に、加藤国務大臣がおいでになりましたから、いま一つ当面の問題を簡単にお伺いしたいと思います。それは本年の秋以来日本麻袋普及協会なるものの名におきまして米麦包装、特に米の場合を目標にして、かます麻袋に切りかえる、あるいは俵を麻袋に切りかえるということについて非常に積極的な運動が食糧庁当局に向つてなされつつあるやに聞いておりますが、御研究になつた結果はどうでありますか。先般も人造米問題で食糧庁は必ずしもいい成果をおあげにならなかつた。本委員会の反撃と言うと語弊がありますが、あの件ですつかり面目を失墜された例もありまして、こういう何かその背後に利権的なにおいのするようなものにうかつに手を出されて、人造米の二の舞を演ぜられるようなことのないように私は期待しておるのでありますが、もしこれをただ単に買入れ上の便不便というようなことからおやりになるといたしますならば、年間二千万枚を生産しておる供米用ます生産に大きく響いて参り、結果として農村副業を取上げ、そのかわりに三百万ドルに近い外貨を使つて麻を輸入し、しかも農家現金支出を増大せしめるという大きな事態を招来するようなことになろうと思います。この点については、私は慎重におやりになることを信じておりますが、現在御検討になつておる実情というものはどういう実情でありますか。慎重に要されることを特に要望しながら、その段階なり御所見を承つておきたいと思います
  10. 前谷重夫

    前谷説明員 麻袋を米の包装に使え、こういうことをわれわれの方に要望に参つております。ただいまの足鹿委員お話のように、農家がみずからつくつたわらでもつて包装されるのは日本の従来のしきたりでございます。また農村副業としていろいろ農家経済上に寄与するところが大でございますので、私といたしましてはこれは全然考えておりません。ただ私奇異に感じますのは、むしろ農村団体方面からのいろいろな署名よりましてこういうふうな要望がある。なぜわれわれにそういう現実を認めないのか、こういうふうなお話が多いわけでございます。私としましてはそういう事実があれば事実として承つておるわけでございまして、現在まだこれを検討する段階でもございませんし、またそういう各方面農業団体からも署名をもつて要望があるという事実だけは、ひとつ御記憶願いたいと思います
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう農村団体要請をしておる事実を了承願いたいということでありますが、その限りにおいては了承できません。それは農村団体というきわめて漠然としたことを長官は申されますが、私の聞いたところでは、その麻袋普及協会なるものが一部の都道府県経済連合会に問い合せを発した。麻袋一つを大体九十五円程度配給ができるだろうと思う、しかもこれはかますや俵のように、廃品を再び有効に使い得る便利もあつて有利であるというようないいことだらけの面だけを、ただ単にかますが八十五円、俵が八十五円、麻袋が九十五円、わずか十円の差であなた方の手数が省けるんじやありませんか。何かそれだけが非常にうまい話のように宣伝をして回答を求めておるから、軽卒な指導者たちはこれに飛びついた向きもありますが、これはきわめて小部分であつて、現に系統組織をあげて、これはただ単なる便、不便の問題ではない、農村副業の問題、農村労働力の消化の問題、いろいろな点から見て重大なことになるという見地から慎重なる検討を加え、反対の立場に立つて正当な意見を述べておる者もあるのであつて、ただ目前の利害だけでもつて若干の協会に対する返事があつたものをさして、農業団体の意向だ、こういうふうにおつしやつてははなはだ迷惑する向きもあろうと思います。そういう御意志ではないとは思いますが、この点については、十分慎重なる態度をもつて対処されんことを強く要請いたしまして、きようはこの程度で終つておきます
  12. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまのお話私もそうだろうと思いますが、足鹿さんからも実態お話つて非常によくわかりました。ありがとうございました。
  13. 川俣清音

    川俣委員 関連して。かつて農林省におられました人々が麻袋会社をつくつて食糧庁から払い下げを受けて、さらに少しぐらい加工をしてまた農林省へ売られたようなことがあつたと思います。あの麻袋会社はもうやめになりましたか。どういう人たち関係しておつたか、この際明らかにしていただきたい。それからそのルートでまた再び復活の協会がつくられておるやに聞くのですが、その点明瞭にしていただきたいと思います
  14. 前谷重夫

    前谷説明員 麻袋につきましては、従来麦の統制がございましたときに政府管理があつたのであります。この政府管理の廃止に伴いまして、麻袋につきましては、加工業者集荷業者あるいは麻袋修理業者、それから製粉あるいは米屋、あるいは使用する輸入業者配給業者というものが協議会をつくつて、そうして暫定的な運営をやつてつたわけであります。この協議会中心にして会社をつくりましてやつてつたわけでございます。これも、だんだん麻袋の需給の逼迫が緩和して参りましたから、本年の三月かに解散をいたしたわけでございます。ただいまお話の、いわゆる農村に対して麻袋を使うというのは、これは全然別個の麻袋修理加工業者の面が協同組合をつくりまして、その関係がそういう要望をいたしておるというふうに私は承知いたしております。  それから人的機構は、解散前のものは私今ちよつと記憶しておりませんが、大体製粉関係問屋関係、それから加工修理業者が主体になつております。それから輸入業者が入つておりました。運送業関係は入つておらなかつたかと思いますが、そういうものをもつて約三千万円でしたかの会社をつくつてつたわけであります
  15. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ。それらの関係機関に、かつて農林省に在職しておつた者が多数関係しておつたと思うのです。しかも次官級の人が関係しておつたと思うのですが、こういう事実はなかつたですか。
  16. 前谷重夫

    前谷説明員 会長として関係された方が一人と、それから一般の平理事として古くおられた方が、これは他の団体代表者として関係しております。(「名前は」と呼ぶ者あり)一人は笹山茂太郎氏、一人は水川潔さんでございます
  17. 小枝一雄

    小枝委員 関連して一点だけ。先ほど前長官足鹿委員の質問に対して、今回の供出に対しては昨年と同様に等外米上位に属するものを超過供出にとるということをお話になつた。ことしのこの台風のはげしかつた地方では、今までとは米の状態が非常に違う。従来は大体において、普通の作であるならば、いい米が七割程度で、等外米及びくず米は二、三割程度にしかすぎなかつた。それが今回は逆になつて来て、等外及びくず米がほとんど七割であつて、いいものが三割ぐらいしかとれない地方が、実績に徴してたくさんあるのであります。そういう場合において、長官割当補正はなかなかやらない、こういうことになりますと、その矛盾はどうしても供出ができないという結果になると思う。もしそれを、等外米上位に属するものを超過供出のみにとるということになれば、基本供出はできないが、超過供出だけはやる、従つて基本供出量は非常に大きな減額を余儀なくされることになると思う。そこで私はこの等外米上位に属するものを、風水害の激甚であつた、そういう結果になつておる地方については、基本供出の中にこれを認めるということにする以外には道はないのではないかと考える。これについて長官のお考えを伺いたい。
  18. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまのお話のように、供出が出ない場合にそれを再補正するか、あるいは等外の上を義務供出に入れるか、こういう問題になると思います。御承知のように割当の問題は、供出可能量義務供出との間は非常に幅があり、それに超過供出要請量を加えましても、さらに幅があるという面もございますし、まず普通の取引といたしまして、等外の上を例外的に設定いたしたわけでございますが、これは本来の性質といたしまして、こういう規格は設けないのが通例じやないかと思います。ただ今お話のように、供出が最終的に出ない場合に、これを補正するか、あるいは今お話のような方法によつてつて行くか、この二つの方法しか残されていないわけであります実収高も判明いたしませんので、私といたしましては、現在の方式で進めて行つて実収高を見て、実収高によりまして著しい変動が起りましたときに再検討いたしたい、かように考えております。     —————————————
  19. 井出一太郎

    ○井出委員長 引続き農林災害対策について議事を進めます。この際農林災害対策に関する小委員会の経過について、小委員長より中間報告をいたしたいとの申入れがあります。これを許します佐藤委員長
  20. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 私はお許しを願いまして、この際農林災害対策に関する小委員会中間報告をいたしたいと存じます。  御承知のごとく農林災害対策に関する小委員会は、去る十月二十一日設置せられたのでありますが、その翌々日の二十三日に第一回の小委員会を開きまして、本小委員会運営方針並びに去る十月二十一日本農林委員会において決議をいたしました昭和二十九年農林災害冷害を含む)対策に関する件の要点等に関し懇談的に協議いたしました。次いで十月二十七、二十八、二十九日の三日間にわたり農林省大蔵省災害対策連絡本部及び中央気象台より関係責任者出席を求め、政府側説明を聴取いたしますとともに、各委員から終始真摯、活発なる質疑または意見の御開陳がございました。まず二十七日農林省から、未定稿ではありますが、昭和二十九年における台風及び冷害による被害農林漁業者に対する資金融通に関する特別措置法案要綱及び今次災害に対する対策費要求額について説明を受けました。この資金融通に関する特別措置法案要綱は、お手元にお配りいたしてありますので、それについてごらんを願いたいと存じますが、その趣旨は、大体におきまして去る第十九国会に成立を見ました昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法立法趣旨に準じ、本年におきます台風第五号、第十二号、第十三号、第十四号及び第十五号並びに今次冷害による被害農林漁業者に対し低利の経営資金融通を円滑にしようとするものでありますが、その題名が示しておりますごとく、被害漁業者をも一緒に含めて取扱つております。しかるに御承知のごとく漁業者一戸当りの被害額農林業者のそれよりもはるかに多額に上り、従いまして、その貸付限度につきましても、農林業者の場合と格段の差があります等、同一には取扱いがたい点もありますので、漁業者の場合は別に立法措置を講じた方がより妥当かとも考えられますので、各位の御一考を煩わしたいと存じます。  また今次災害に対する対策費要求額につきましても、一覧表をお手元に配付いたしてございますので、詳細はその表についてごらんを願いたいと存じますが、主なる項目について申し上げますと、救農土木事業二十八億、農業共済歳入不足補填金繰入れ六十六億、農林漁業金融公庫出資二十九億、水稲健苗育成二億一千七百万、種子確保対策一億二千九百万、病害虫対策九億、開拓地入植施設災害復旧七億三千七百万、また経営資金につきましては一応九十億と予定いたし、これに要する利子補給一億二千万等、その他を加えまして総額百四十六億六千七百万円となつており、目下大蔵省と折衝中でありまして、今なお決定を見ていない状況にありますのみならず、この要求額は、その総額におきましても、また各項目別に見ましても、本委員会決議に基き要望している額とは相当の隔たりがありますので、政府決議趣旨を尊重いたし、さらに増額の上すみやかに決定をいたし、行政措置をもつて処理し得るものにつきましては一日も早く実施いたし、窮乏に呻吟している被害農民の救済をはかるべきであろうと存じます。  なお農林省の要求額に対し大蔵当局はさらに大幅の削減を加えようとしているとの風聞が伝えられているのでありまして、もしもそれが事実でありますれば、まことに遺憾しごくにたえないと存じます。  次いで翌二十八日、農林省より救農土木事実について説明がなされました。それによりますと、総事業費四十八億円余で、これに対し国庫補助二十八億円を支出いたし、北海道におきまして約二十四億六千万円相当の土地改良、耕地整備、開拓、農業用施設災害復旧、林業及び漁港関係等の臨時救農事業を行いまして、延べ三百九十万人を就労せしめ、地元に約十億円の現金収入の途を講じ、また北海道を除くその他の地域に対しましては、約二十三億六千万円相当の事業により、延べ三百十三万人に就労の機会を与え、約九億円の現金収入の方途を講じようとするものであります。なおこの場合労賃の一人当り単価は、北海道三百五十円、内地二百八十円でありまして、これまた本農林委員会におきます決議とは多大の懸隔がございます。  次いで翌二十九日には、災害連絡本部長加藤国務大臣より、北海道災害視察に関する御報告がございましたが、同大臣が視察の際北海道庁知事室において発表いたしました北海道災害対策に関する大綱を資料としてお手元にお配りいたしてございますので、ごらんをいただきたいと存じます。  なお同日は特に中央気象台北村総務部長並びに大蔵省において気象関係予算を担当しております岩尾主計官の出席を求めまして、農林気象対策について審議を行いました。その結果、農林関係の気象対策につきましては、今日ほとんど見るべき対策がない状況でありまして、風水害並びに気象災害防止のためには、農林気象対策確立の必要性を痛感いたした次第でありまして、特に松岡委員より痛切なる御質問がございました。ゆえに本委員会におきましては私のこの報告を終りまして、続いて松岡委員よりこれに対する要望事項が発言せられる予定になつておりますので、私はこれを省略いたしまして松岡先生に譲りたいと思います。  なお最初に申し上げましたごとく、十月二十三日懇談会で協議いたしました第一回以外の小委員会すなわち十月二十七、八、九の三日間の分につきましては、いずれも会議録ができ上り次第お手元へ配付になつている次第でありますから、詳細はそれについてごらんをいただきたいと存じます。  以上簡単ながら農林災害対策に関する小委員会中間報告を申し上げた次第でございます
  21. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際松岡俊三君より発言を求められております。これを許します。松岡君。
  22. 松岡俊三

    ○松岡委員 ただいま佐藤災害委員長の御報告の中にありました気象に関する問題でありますが、私はここに一つの案を持つておる次第でございます。この気象方面に関しては、気象台の予算二十四億ばかりありまして、これによつて本年は十分に東北方面農林災害に関する気象を充実しようという計画になつてつたのでありますが、ときたまたま洞爺丸の沈没事件が出来し、世論によつて北法定点の新設をはかろうとする莫大なる予算が計上せられようとしておるのでありまして、もしこのために一昨年来四箇年計画によつて災害気象方面を充実しようとしておりました中央気象台方針が万々一にもくずれるようなことがありましたならば、単作地帯として農業のみに依存しているところの東北方面のこうむる影響は実に莫大なるものがあるのであります。かるがゆえにこれらの点に関し災害委員会におきましては種々当局の説明を伺いまして、痛切に感ずるものがありますので、ここに読み上げます案を提出いたしたいと思うのでございます。    農林災害防止のため気象対策機構整備拡充に関する件  近時頻発せる風水害、冷害等が、農林業に与えた損失は激甚を極め、農林業の経営安定上は勿論、自立経済確立上まことに寒心に堪えないところで、これら災害防止に関し抜本的対策の樹立を期すべきであるが、就中その一環としての農林関係気象対策機構整備拡充は特に緊急を要する処である。  仍つて政府は左記事項につき速急に実現を図るべきである。      記 一、農林気象災害に関する対策の樹立推進を図るため、農林省に綜合的対策機関を設けること。 二、農林気象観測施設を完備すると共に、農業気象の広報指導の整備強化を図ること。 三、気象災害に関する試験研究の強化を図ること。  右決議する。   昭和二十九年十一月十二日        衆議院農林委員会この案を提出いたします
  23. 井出一太郎

    ○井出委員長 ただいま松岡委員より提起されました農林災害防止のため気象対策機構整備拡充に関する件について御発言がありませんか。
  24. 川俣清音

    川俣委員 農林災害防止のために気象機構整備拡充するという趣旨には賛成でありまして、この点についていろいろ今まで検討したことも事実でありますが、今までの委員会の取扱いからいたしまして、こういう決議をする場合には、あらかじめ理事会等で大体了解したものを決議するというのが前例になつておりますので、そういう取扱いを願いたいと思います。あすまた理事会がございますので、松岡先輩せつかくお出しになりましたことではございますが、こういう慣例を無視しますと、悪例になるようなおそれも出て参りますから、そういうおとりはからいを願いたいと思います
  25. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 今川俣委員の御発言がございましたが、実はこの問題は、この前の小委員会においても大体意見が一致いたしておりまして、他の委員会においても決議をした、農林委員会においても決議するのが相当だろうというように大体意見が一致いたしておりますので、もはや御了承のことと存じてこれを出したわけですから、川俣委員の御発言も尊重しなければなりませんが、先輩の松岡委員の発言でありますから、これはひとつこの際において御同意御決議を願いたいと思います
  26. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま松岡委員から提議されたこの決議案の件でありますが、これは前回の当委員会において、気象観測等に対する災害防止の立場がら委員会で議決を行うべきであるという段階までは意見の一致を見たわけですが、川俣委員の指摘されたのは、かかる議決をされる場合においては事前に——これは一つの取扱上の問題として、各党の見解の一致を見て、そうして提議されるべきでなかつたか、このことに反対賛成ということではなくて、かかる決議を行う場合の案文等の検討の場合においては、事前に一応御相談をかけていただいて、そうして満場異議なしということで処理するのが今までの慣例になつているので、川俣委員はおそらくその点を発言されたと思う。これは委員長のおはからいによつて暫時休憩されてはどうかと思います
  27. 井出一太郎

    ○井出委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  28. 井出一太郎

    ○井出委員長 速記再開。この際川俣清音君より発言の申出があります。これを許します川俣君。
  29. 川俣清音

    川俣委員 農業災害防止のため気象対策機構整備拡充に関する決議案の案文が提出されましたが、私はこれに最も重要であります北方定点の充実を一つ加味していただきたいと思います。これは海を持ち、その海の影響の非常に大きい、ことに北方の影響の大きい日本の気象状態から見まして、これが重要な農業気象の基本であるのでありますから、この点をぜひ入れてほしいと思うのです。これを主体にしまして日本の国土内に農業気象観測を設けることは異議ございませんし、むしろ拡充すべきだと思います。また日本の雨量の調査等が里の方に多くして、日本の屋根であります山の雨量、風速等を把握いたしておりません点もありますので、そういう意味もこれに加味しておるといたしますればあえてつけ加える必要はないと思いますけれども、この二点をつけ加えて決議いたしたいと思います
  30. 井出一太郎

    ○井出委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  31. 井出一太郎

    ○井出委員長 速記を始めて。芳賀委員より加藤災害連絡本部長に対する質疑の申出があります。これを許します。芳賀貢君。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は加藤災害連絡本部長に質問をいたしたいと思います。前回北海道の調査をやられた直後に、疲れを休めるひまもなく九州方面災害地に本部長は出かけられたわけでありますが、今度帰つて参られたので、おそらく災害連絡本部長といたしましては、国内全般にわたる主要なる災害地域の調査は、これをもつて完了せられたというふうに私は理解しておるわけであります。しかしながら本部長が全国各地の災害を御調査なさる間の時間的なものは、ほとんどその間においては政府災害対策というものが具体的に進捗しておらぬのであります。これは本部長がおそらく災害に対する認識を高められるために用いられた一つの貴重なる空白であるというふうに私たちは善意に解釈しておるわけでありますが、当面の問題はこれ以上遷延することを許さぬのであります。それで対策本部長といたしましては、どのような今後の計画の上に立つて、はたして最終的にはいつごろこの災害に対する政府の責任のもとにおける諸般の準備が完了せられて、そうして災害地域のあらゆる被害を受けた人たちの上に安心感を与えることができるかという見通しについて、本部長から御見解を御表明願いたいのであります
  33. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私は北海道から帰りまして引続いて九州、中国地方災害を見て参りました。本部長といたしましては、先般も申し上げましたごとく、すでに各省庁の担当官が行つておることでございますし、かつまた農林大臣及び建設大臣も親しく見ておることでございますので、私はごく大綱を見て参りまして、この災害対策について均衡よろしきを得た措置をとりたい、こう思つて視察したわけでございますが、とうてい短時間の間にあらゆる土地を視察して参ることはできませんで、ひとまず一昨日帰りまして、打切つたわけではございませんが、近く本部員を招集いたしまして会議を開いていろいろ検討いたしてみたいと思つておる次第であります。北海道におきましてああいう対策のごく大まかなことを発表しましたのは、北海道は特殊の事情がございまするし、民心が不安定だと申しませんが、人心安定のためにもごく大まかなものを発表した方がよかろうと存じまして、あの線に沿つて北海道方面はその施策に進んでいるわけでございます。北海道で私が大綱を発表いたしましたのは、本部会におきましてもみな了承したことでございますし、閣議においても了承されたことでございます。今後は私の見た材料、請願などを整理いたしまして、近く本部会を開いてそれぞれ具体的の措置に入りたいと存ずる次第であります。行政措置によりますものはただいまでもできるだけいたしておりまするが、立法措置に出なければならぬものは、いずれ近く臨時国会も開かれることでございまするので、その折提案をいたしまして皆様の御協賛を願いたい、かように思つておる次第でございます
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお伺いしたい点は、ただいまも当委員会における災害対策委員長佐藤委員から、小委員会等における経過の概要の報告があつたわけでありますが、この点に対しましては、加藤本部長におかれましても、前回の当委員会に御出席になつて、農林委員会における決議の内容等に対しても確認せられておつた考えるわけであります。時間的な余裕がないので、その後において十分内容を熟読するというお話でありましたが、ただいま本部長が言われたような、たとえば北海道における中間的な発表、これを取上げてみても、これは表現が非常に抽象的ではありまするけれども、この十一項目にわたり発表された問題等の具体化というものも、これさえも、まつたくと言つていい程度に行われておらないのであります。それで今本部長の言われたように、この臨時国会召集前において行政的な措置によつて解決できる問題については善処するということであれば、はたしてどの程度政府の責任において行政的な措置がとられておつたかということを、まずお伺いしたいのであります
  35. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 もとよりこういう問題は予算を伴うことでございまするし、これにはたとえばただいま佐藤委員長がお述べになりましたように、農林省の主張と財政当局意見とに隔たりもあるというように聞いております。それの調整ができました点は、着着として実行に移して参りますが、いろいろ予算の点につきまして調整ができない点もあるのでございまして、それは今後私ができるだけ調整をとつて、できるだけ御趣意に沿うように努力いたしたい、こう思つておる次第でございます。  北海道でああいうことを申して、その後何もしておらぬではないかということでございますが、もちろん御満足の行くようには行かぬかもしれませんが、予備費の支出をいたしたこともございますし、あるいはつなぎ資金をあれ以後におきまして出しておることもございまするし、また北海道におきまして道及び市町村におけるところの経理資金とでも申しますか、事業に着手する上において金がないというようなことにつきましても、つなぎ資金として出しておるものもあるのでありますし、またそれぞれの関係公庫よりの融資のわくをきめるなどのことをいたしておりますものですから、全然漫然見ておつたというわけではないのでありまして、私が指揮いたしましたあの点について、本部員都市及び各省所属省庁はみな相当努力いたしておることと信ずるのでございます
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本部長はそういう発表をされたので、うまく行つておるとお考えになつておるか知りませんが、実際何もできておらぬのです。先ほど佐藤委員長が指摘されたように、たとえば農林省災害対策に対する見解と、財政当局の見解との間には食い違いがある。これはいつの場合においても若干の食い違いがあるということは了承できるわけでありますが、今回の災害に関する限り、これは食い違いがあるどころではないのです。まつたく交わることのできない平行線のような形で、財政当局災害に対してどうしようという考えをまつたく持つておらぬのです。それは本部長が九州から帰つて来た直後でありますから、その農林当局、あるいは大蔵当局との見解の違いがどの程度であるということは、まだおわかりになつておりませんからそう言われると思いますが、その説明を聞けばただちにわかることなんです。ここに大きな問題があると思いますし、私どもが当初から本部長に期待しておつた点は、よほどふんどしを締めて結論をして、やつていただかぬと、今年の災害対策というものは事めんどうであるというようなことで、その点については非常に御苦労であるとも考えておりましたし、期待を持つておるわけでありますが、非常に大きな食い違いがあるということなんです。それで本日も小笠原大蔵大臣に対して当委員会出席するよう要求しておるわけでありますが、まだ出席がないのであります。今晩の十一時半までに来るのであれば、委員会は待つということでおるので、まだ相当時間があるからそのうち来ると思いますが、大蔵当局の考えというものは、大蔵大臣を通じてほとんど明白になると思いますが、何ら善処する考えがないのであります。たとえば本部長の言われた水稲あるいは雑穀等の種子に対する助成の措置等に対しましても、その程度のわずかな助成をしたのでは何にもならぬから、むしろやらぬ方がいいだろうというのが大蔵当局の見解であります。そういうことになりますと、補助等の措置の場合においては、末端まで行つても幾らにもならぬから全部出さないということになつた場合においては、はたしてどういうような方針で、どういうような形で災害対策を行うかということなんです。救農土木工事等に対しましても、内容を検討してみると、ほとんどが一部節約の解除であるとか、あるいは国有林野の特別会計、あるいは公共事業関係の道路費の節約分とか、そういうものだけを羅列して——一例をあげれば、北海道の災害救農土木事業の財源としても、わずかに予備費から支出を三億程度しか大蔵当局は考えておらぬのであります。しかるに昨年は、水稲に一例をとつた場合において、北海道の災害の度合いというものは、平年作に比べて七四%であります。それに対しまして昨年は十六億八千二百万の救農事業費を出しておるわけであります。今年の大蔵当局等の考えは、冷害の度合いが非常に深刻であるので——十月十五日現在の統計調査部の発表によつても、収穫の指数は六〇%であります。去年よりも一四%も、政府機関が調査したところによつてもその度合いが深刻である。それにもかかわらず、おおよそ金額においては十六億八千七百万円程度でありますが、実際の予備費からの支出はわずかに三億程度しかないというようなことになると、何をもつて救農土木事業をやつて、そうしてこの罹災者に対して現金収入の道を開くことが可能であるかというようなことも、当然問題になつて来ておるわけでありますが、この二つの事例をあげても、何ら現在においても災害対策の一環としてのこれらの問題等も手を触れておらない。しかも北海道においてはもうすでに降雪期に入つておるわけであります。二尺も三尺も雪が積つてから、それから土地改良をやるといつても、これはできないのであります。しかも三月末までにこれらの土地改良等を行わなければ、国がこれに財政的な助成金等を出すことが不可能であるというような事態になるわけであります。ですから、緩急よろしきを得てやるというならば話はわかるのでありますが、せつかく本部長が北海道まで行かれてこういうような中間発表をされても、実態というものは何ら具体化しておらぬということを御認識願いたいのであります。ここに今後本部長としての十分なる活躍をわれわれは期待したいのでありますが、このような農林当局と財政当局どの大きな見解の相違の上に立つて——あなたのいつも言われるように、均衡をとればいい、自分の仕事は均衡をとることにあると言われておるわけでありますが、どのような形で均衡をとるかということも、ぜひこの機会にお示し願いたいのであります
  37. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま御指摘になりました苗の問題、それから救農土木事業の問題、ことに救農土木事業に対しまして、先刻参議院の委員会におきましても大分相違のことも承つたのであります。いかにも大蔵当局がこういう災害に対して冷酷のごとき感じを与えておるかのごときことも私聞いたのでございますが、私として、ただ均衡均衡と言つておるわけではないのでありまして、均衡ということは、甲地に薄く、乙地に厚いというふうではならない。財政の許す範囲においてできるだけ災害の方々に対して措置を講じてみたいというのでありますが、この問題につきましては、相当隔たりがあるやに承つております。ことに大蔵省のことを私はかれこれ言うわけではないが、政府の一人といたしましては、一兆円予算というものはあくまで堅持しなければならない。その点において、いかに重点的にあんばいをするかという問題であると思うのであります。ただいま、まだそのままであるというおしかりでございますが、すでにつなぎ融資その他も行つておることでございまして、私は決して、そのままになつて、いまなお見ておるというようなことではなく、その手続に少しずつかかつておるのでございます。ただいまの救農土木事業の問題につきましても、私は、北海道のみに限るという言明だということをただいま参議院で聞きましたけれども、私といたしましては、北海道にのみ援助をして内地には及ばぬというようなことはいかがなものであろうか、内地にもことごとくというわけには行きませんれけども、財政の許す範囲において、大蔵省といたしましては、くだけて言えばさいふのひもを締めなければならぬ立場にもおるでございましようけれども、そういう問題につきましては、できるだけ折衝の役目を勤めてみたいと思うのであります。今度、農林省関係大蔵省関係との相違も、相当開きがあるやに聞いておりまするが、その間に立つてどうするかということが、私としては、もう少し検討をいたしまして、その結論を見出してみたいと思う次第でございます
  38. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 関連。ただいま芳賀委員からるるお話になつたことは、われわれまつたく同感なんでございます。そこで、実は私は災害対策の小委員長の席をけがしておるのでございますが、この問題に対する政府の熱意が欠けておる。それから、ただいま私が報告したのは、きわめて抽象的でございますが、具体的にもう少し申し上げますならば、ちようど十一月の九日に参議院農林委員会で申し入れたのでありますが、それに対する大蔵省の回答が、的確に一々箇条をあげまして十四箇条ばかり来ておりますが、ほとんどいれられていないのですね。これは後ほど加藤大臣に差上げますが、たとえば一例をとつてみましても、農林関係施設災害復旧に対しては、国庫の補助、資金融通について遺漏なきを期するが、二十八年災害に際してとられた国庫負担率の引上げを内容とする特別立法の措置については絶対反対である。こういうような非常に激越な言葉を用いて、これは山本次官が答弁しておるのです。私は非常に遺憾だと思う。そこでその深刻な災害の状況に対して、実はもう焦慮を感じておりまして、災害地においては連日血の出るような陳情をいたしておりまするし、きようは本委員会におきましても、かわるがわる、北海道あるいは岡山、広島、大分、宮崎、あるいは愛知でございましたか、打続く深刻な災害の状況についてわれわれは聞かせられておる。こういうような状況で、切実に農林委員会としては考えておるわけであります。そこで、加藤大臣におかれてはまことに御苦労でありまして、北海道を視察なされ、また打続いて九州をおまわりになつてお帰りになつたばかりである。従つて、まだ連絡等はおつきになつておらぬと思うのであります。だから、加藤本部長に対してわれわれが責め立てましてもこれは意味がないのであります。ことに農林政策に対しましては、加藤大臣はしろうとでございます。でありますから、ひとつ十分御調査を願いまして——ただいま芳賀君の御質問の中にあつたところの、行政措置でできる範囲内というようなことを申し上げましても、それがあるいは大臣にはぴんと来ないかもしれませんが、行政措置でやるべき問題もたくさんあるのですから、そういうような問題についても、ひとつできるだけ当局を鞭撻するようお願いをいたします。とにかく、大蔵当局のこの災害に対する認識というものを根本的に改めなくちやならぬ、是正しなければならないとわれわれ委員会においては考えまして、きようは午後小笠原君の出席を要求したのでございますが、いまだに出席がない。実は懇談をするつもりでおつたのです。こういうような腹構えがありますので、あなたは本部長として、どうか今後十分にこの情勢を御認識願いまして、そうして対策に万全を期していただきたい、こう考えておりますので、私といたしましては、このことを小委員長として切実に要望いたしたいと思います
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 加藤本部長の見解は、結局一兆億のわくを現在の政府は堅持するという建前の上に立つているということを言われましたが、結局、大災害によつて国民が生死の関頭に立つている。しかも政治の要諦というものは、やはり民生の安定というところに基本がなければならぬと思うのですが、一兆億予算を守るために、国民が餓死してもかまわぬというお考えであるか。災害地の国民に、ほんとうに最低ではあつても、安心した生活を与えるためには、それに必要なる措置を講ずる。その結果として、一兆億の予算がある程度必然的にオーバーしてもいたしかたがないのじやないですか。ここに、農林当局と大蔵当局というか、同じ政府部内における見解の違いがこれほど大きく隔たつておるということが指摘できると思うのです。ですから、今後われわれ委員会においても、この災害問題に対する当面の責任者をだれときめて話合いをしたらいいか、その点は本部長はどう考えておりますか。対策本部長がおるのだから、おれが矢面に立つからということであるならば、あなたを中心として今後われわれは話を進めなければならぬし、ただ政府部内における均衡をとる役目だから表面に出るわけには行かぬということになれば、これはやはり、農林省とか、大蔵省とか、さらに緒方副総理とか、いろいろ役者はおるわけでありますが、今後どこへぶつかればいいと本部長はお考えになつておりますか。
  40. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私が連絡本部長でございますが、大綱は私がきめますけれども、個々の問題につきましては、本部といたしましては、各省において大蔵省に折衝することにしてさしつかえない、その方がむしろ利便ではなかろうかと思います。本部といたしましても、別に幕僚をたくさん持つているわけではございませんし、専門でありませんから、大綱を本部においてきめまして、各省直接大蔵省と折衝してもらう、しかして、もしその折衝がぐあいよく行かぬ場合は大局的に見てどうするかということは本部が決するつもりでありまして、これまた大蔵省あるいは閣議においてこれを決定いたしたい、かように思つている次第でございます
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御発言は非常に重要な点があるわけです。そういたしますと、ただいまの本部長としてのお考えは、まず各省が大蔵省との個々折衝を先にやるべきである。ですから農林省と大蔵当局が農林関係災害対策に対しては先にそれぞれの折衝を行う。建設当局はまた建設省と大蔵省が個々折衝を行う、そういう段階を経てうまく話合いがきまればそれでいいけれども、きまらない場合においては連絡本部長が乗り出して適正な裁断を下す、そういう御意思ですか。
  42. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 本部におきまして会議を開きまして大綱をきめまして、それに基いて折衝をされることは専門家のそれらの省がやればいい、便宜上そういう措置をとつているのであります。全然本部と何ら関係なく各省が分取り主義で行くというわけではないのでありまして、大体の目途はつけて折衝される方が便宜であろうと考えているのでございます
  43. 井手以誠

    井手委員 関連して。ただいまの御答弁によりますと、災害対策については大綱は本部において行う、こういう御答弁でございました。大綱と申しますことは、北海道あるいは内地の災害についてどういう施策をする、たとえば営農資金を幾らぐらいやろうとか、施設災害についてはどのくらい補助してどのくらいやろうというのが私は大綱であろうと考えます。そうでありまするならば、大蔵省農林省の間に大きな開きが出て来ることはないと考えます。しかるに現在においてはただいま芳賀委員からいろいろお話がございましたように、根本的な食い違いが生じている。これはただいま本部長がおつしやいました、私が大綱をきめるものであるという大見得とは非常に違うのであります。私は先刻大綱をきめるということを聞きましたので非常に欣快に思つた。しかし残念ながら事実は違つている。後日調整をしたいという程度のものである。この点を明確にしてもらいたい。傍聴の方も聞いておられます。その点をもう一回あなたは責任を持つて御回答願いたい。
  44. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 大綱は本部会の相談によりまして——本部の部員と申します者は各省の当該責任者が出て参りまして、そこで大綱をきめて、その線に沿つて行きたいと考えております。しかしながら大綱でございますがゆえに、それだけの金額をぴちつときめるわけには政治上の問題はそうは参らないのであります。大体の大綱はすなわち本部においてきめたい、こう思つております
  45. 井手以誠

    井手委員 それでよろしゆうございます。一々金額で何千何百何円まではどうということは申しません。大綱さえあなたがきめていただけば今後私は進んであなたに御質問申し上げたいと存じます
  46. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本部長の先ほどの御発言が最初とあとと少し食い違つているようなんです。確認するわけではありませんが、もう一度確かめておきたいと思いますが、最初はまず各省が大蔵省と個々折衝をやつてその後に本部長において適正な裁定を下したい。その次にはまず最初に大綱を立てる、これはもつともな話であります。最初に本部として大綱を立てるのが筋なんです。大綱を先に立てて、その大網に沿つて関係のあるそれぞれの所管問題に対しては各省が大蔵当局と折衝をして、さらにまた本部において決定する、このどちらなんですか。ちよつとそれがはつきりしないのです。この点をもう一度明確にしていただきたい。
  47. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 こういう政治上の折衝の問題は御承知のごとく二二が四というようなわけ合いには参りません。本部において相談をいたしまして、大体可なりということでありましたら、その点について折衝を試みるのが当然のことだろうと思います。それをこの筋以外は出ちやいかぬとかどうとかいうことは実際問題、政治上の問題としてそうは参らぬと思います。大綱は本部において会を開いてきめて、その大綱に基いて各省が折衝する、その方が便宜であろうと思います。もちろん今の本部というのは別に幕僚があるわけでも専門家を網羅してるわけでもございません。名の示すがごとく連絡の本部である。連絡といえば、常時どうやつて連絡しているかと申されますれば、そういうわけではないのでありまして、そういうわけで各省が折衝されることは私は認めているのであります。その方が便宜上よかろうと思つているのであります。一々本部で会議を開いて、そこできめてその一歩も外に出るというわけにいかないようなきめ方はいたしておりません。そこですこぶる自由、というと無統制とおしかりになるかもしれませんが、一つにぴしつときまつたものではない。それぞれ便宜交渉されるならばけつこうであります。ただ問題は予算の問題でございますので、ただいま予備費の残額もありますし、節約部分もありますが、それを大蔵省がどうさばくか。先刻もお話がありましたが、災害というものを一兆円で押えるとはけしからぬ、災害が大事か、そういう数字の何が大事かという御議論もごもつともでありますが、できる範囲において一兆円の予算の範囲においてこの問題が解決——それはいたしますまい、どうせ不十分であろうと思いますが、ある程度できましたらけつこうだ、その立場においてやつて行きたい、こう思つている次第でございます
  48. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大よそわかりましたが、そうすると先に大綱をきめるわけですね。大綱というのはきまつてますか。まだ不敏にしてわれわれは災害連絡本部の対策要綱なるものを拝見しておらぬのです。もちろん調査でお忙しかつたとは思いますが、大綱ぐらいのものは先につくつておかなければいかぬと思いますが、これはいつできますか。大綱いわゆる本部の要綱とも申しますか、それができないとやはり全然仕事が進まぬわけですね。大綱ははたしていつできますか。すでにできているのか。その点お伺いします
  49. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 被害の状況もある程度明白になつて参りました。大綱というのはどこまでを大綱といい、どこまでを小綱というわけにも参りません。私が北海道において申したのは北海道に対する大綱でありまして、その点つなぎ融資を数億出せとか何とかいうことを私は大綱と申しているのでございます。しかしながら一面において大蔵省といたしましては、いろいろの立場からこれまた難色のある場合が多かろうと思う。それをまた私が最後の場合出て微力をいたしてみたい、こう思つているのでございます
  50. 井手以誠

    井手委員 北海道で発表されたのは北海道における大綱だ、こういうようなことでございます。内容はともかく大綱といたしましてもあれだけの行数があればけつこうでございます。そこでお尋ねいたしますが、九州と北海道をまわられて、昨年行いました特別措置、特別の法律補助を適用するとかあるいは救農土木事業を実施するとかいう昨年の措置に対して、ことしの災害は同様の措置をしなければならぬとお考えになつたのでありますか、あるいはどうでございますか。視察になつておりますから、この点についてははつきりと認識ができておろうと思います。文章には大綱はなつておらぬかもしれませんが、今後つくられる大綱については、すでにはつきり認識があつてよいはずだと思いますので、九州の宮崎を中心とするあの大災害、北海道を中心とする冷災害、これについて昨年と同様の措置をしなければならぬとお考えになつておりますか、どうでございましようか。この点は大事な点だと存じますので、特にお尋ねをいたします
  51. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 その大綱でございますが、ただいま御指摘になりましたように、昨年のごとき特別立法措置——特別立法と申しますと、一口に言えば国庫の補助の引上げという立法措置をとるかどうかというような大綱でございますが、それは私はまだ発表いたしておりませんけれども、昨年のごときそういう補助引上げの立法は大体においてしないつもりであるのでございます。そういう立場において行きたい、こう思つておるのでございます。もしそれそういうものを提出しなければならぬいろいろの意見が出ましたならば、昨年は議員立法でありましたが、政府みずから提出する。しかしながらそれは私今のところでは、そういう特別な立法はしない、これが大綱でございます
  52. 井手以誠

    井手委員 昨年と同様の特別立法その他の措置はしない、そういう考えであるということでございます。それでは昨年よりも被害が少かつたとお考えでございますか。関係被害者の窮迫の状態が、昨年よりも薄いとお考えになつておりますか、これが第一点。特別措置をしないとなれば、どういう方法をもつて風水害により窮迫しておる被害者を救おうとお考えなつでおりますか。この二点をお伺いいたします
  53. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私は今回の被害の報告を見ましたときにおいて、全般的には昨年の災害よりは軽い、こう思つておるのであります。局所的に見ますれば、昨年よりは被害甚大なところも多多見るのでございますが、全般的に見れば、ただいま私の考えが間違つておるか、これは別として、私は軽いと思つておるのであります。特別の場所につきまして、ああいうことをやらなくても、ある程度何らか措置をとり得る方法がなかろうか、こう思つておりますけれども、これはまだ十分検討いたしておるわけではございませんが、全般的に見てさように感じておる次第でございます
  54. 井手以誠

    井手委員 なるほど被害の総額から見ますれば、昨年ほどはございませんけれども、ただいまおつしやいましたように、県単位とかあるいは地方単位に申しますならば、昨年とかわらない、あるいは昨年以上の被害を受けたところがあるのであります。そこでそういうところには何とか特別の方法を講じたいという考えを持つておるというようなことでございますが、それでは主としてこの農林委員会に期待をかけておる、また連絡本部長に絶大なる期待をかけておる災害者は断じて納得できないのであります。もし特別立法の必要がないとなれば、ないとおつしやると同時に、それにかわる対策を言明なさることが本部長としての責任であろうと存じますので、私は重ねてお尋ねをいたします。特別立法にかわる被害甚大なる地方に対してどういう措置をなさるおつもりであるか。特別立法せずして予算によつて救農土木事業をどんどん進めて行くというお考えであるのか、大綱でけつこうでございますから、被害者、罹災地がある程度納得し得る言明をこの際ぜひお願いをしたい。
  55. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私は専門家でございませんので、やはり一応そういう本部会にはかつて、専門家の意見も徴したいと思います。またそういう場所に対しましては、土木事業などをできるだけ多くやりまして、すみやかなるやり方でもしてみたらばどうかと思いますけれども、これは私のしろうとの意見でございまして、専門家の意見を徴して十分検討して行きたいと思います
  56. 中村時雄

    ○中村(時)委員 関連して。今大臣のお話では、局部的には非常に昨年度より以上の災害がある、全般的には昨年度よりも被害が少い、こういうような御発表でありまするが、この前にはある局部的なところ、昨年より以上の災害地に対しては特定な考えはなくして平均をして行きたいというお話をしていらつしやる。そうするとその平均していらつしやるにかかわらず、今言つたように局部的にはより以上のものも認めていらつしやる。そうするとその矛盾というものが昨年度に対するところの問題よりも今年度の方がどの程度、どのようになつているかという一つの腹案があられると思う。そういう意味においてどのような手段をもつてそれに対処されれるか、お答えを願いたい。
  57. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私の話が抽象的になるかもしれませんが、私の均衡をとるということは、昨年のごときは水増しのところもあつた、多くのところはそうでないのでありましようが、水増しの要求もあつた。それで十分力を入れなければならぬところと水増しのところと等しく行つたというようなことはいかがなものであろうか。私が均衡をとろうというところは、軽いところはできるだけ軽く、重いところは重いようにしたい、こういうのでありまして、災害がひどくても軽くても均衡予算を出し、均衡措置をとるという意味では少しもないのでございます。その点は今後はいずれ被害の要求も昨年のごときことはなかろうと思います。みな正直に御報告なさると思いますけれども、さらに私としては、大局に立つてそういう措置をとつて行きたい、かように考えておる次第であります
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本部長はたまたましろうとだからというお言葉がありますが、聞いておると、災害地域をまわつて来たところの本部長の判断は正しいと思います。もちろん本部長はお医者が専門ですから、あなたの診断は一番的確なところだと思う。北海道あるいは九州をまわつて、全国的の災害というものは昨年より深刻ではないけれども、局地的に九州であるとかあるいは四国であるとか北海道であるとか、そういう今年度主要なる災害地域というものは、昨年の災害よりも深刻であるという診断をあなたは下しておる。これはいずれも全部が認めておる点なんです。今年また災害の発生した地域は去年よりも重態なんです。重態な病人ほど高い注射もいるし、高い薬も飲ませなければ病気はなおらぬのです。ところが去年よりも重態であるにもかかわらず、安い薬で注射なんかはしないでなおすのだというところに政府部内の不統一があるわけです。あなたはしろうとではない専門家だからして、専門家の診断の上に立つて、今年の災害地の病態というものは非常に去年よりは重い、だからやはりこれは相当元手はかかるけれども、なおるような薬を盛らなければいかぬという判断を下さなければ、本部長としての期待に沿わぬと私は考えるわけです。そこに本部長のいわゆる役目があるわけです。本部が発足した当時、われわれは連絡本部なんというあいまいな名前では性格も不誘明であるし、たよりにならぬと言つたところが、そうではない、去年と名前は違うけれども、やることは同じであるし、権限においても少しも劣りはないのだというようなことでありますから、いよいよこれからの仕事は加藤さん自身の一つの勇気のある処置によつて問題が善処されて行くとわれわれは考えておるわけです。ですから行政処置でやれる面はやつたはずだというふうにあなたは思つておられるけれども、まだやつていないのです。ですからこれは臨時国会召集前において、行政処置でやれる点はすみやかにやるように本部の方でもきわめて、それぞれ担当省に指示を与えてやつてもらう、あとをやれない分に対しては立法措置であるとかあるいは補正予算等の問題として臨時国会に提出されれば、各党はこぞつて臨時国会においては災害予算あるいは立法措置の問題だけは何をおいても上げるのだということをみんな気構えのうちに持つておるわけです。だから何も心配はないのです。臨時国会当初にどうこうするというようなことではなくて、災害問題だけは十分片づけて、安心した状態の上に立つてあるいは政府対野党等の問題はその後にけじめをつけるということで、これはお互い非常にものわかりがいいわけです。ですからこの問題に対しての今後のスケジユールはどういうお考えでやつて行かれるか、それらの構想がおありになると思いますので、ぜひその点を承りたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(洋)委員長代理着席〕
  59. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私の考え方及び今後とるべき措置につきましては、先刻来申し上げた通りでございます
  60. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 川俣清音君。
  61. 川俣清音

    川俣委員 時間がおそくなりましたので質問をできるだけ省略して二点だけお尋ねしたいと思うのです。しかし目下加藤国務大臣大いに勉強中でありますので、質問をすることは控えまして、むしろ要望のような忠告のような形で質問をいたしたいと思うのです。特に佐藤委員長から御注意もありますので控えますが、二点だけ問題にいたします。きのう参議院の農林委員会におきまして、大蔵当局が種子及び飼料のあつせん助成についてはきわめて零細な補助となるので本年は行わないこととしたい、こういう答弁をしておるようであります大蔵省考えは金額が少なければ大体賛成するけれども、きわめて零細な補助となるからあえて本年は行わないという表現は、総金額が大きいけれども、個々に行くと小さくなるのだ、そこでそういうことは会計検査院の指摘事項もあつて行わない、こういう意味ではないかと思うのです。ところが種子とか飼料とかいうものは零細な補助助成になるのが本質なんです。そこで個々に渡さないでどうして一体種子や飼料を確保してやるかという問題、御承知の通り種子というものは一人当りにすれば少いものでありますけれども、たやすく集められるか集められないか——国務大臣は北海道へ行かれて北見へ行かれたと思いますが、北見の冷害一つの欠陥として、昨年は同一品種を多量にあそこに配給したことが一つの原因でもあるわけです。去年の施策が間違つてつた。従つて種子とか飼料というようなものは一人当りは少くても、こういうものを大量に集荷いたしまして、個々に少いものでありますけれども、これが将来の生産基礎になるものであり、それが何千倍の収穫になるものであり、あるいは何億倍の収穫になるものでありますから、非常に重要なものである。重要なものであるからめんどうを見なければならぬであろうという考えなんです。ところが補助するとわずかじやないかといいますが、これがみな集まつて集荷すれば手数料も少くて済みますけれども、北海道の北見からわざわざたとえば秋田県の十和田に行きますと、北見に適する品種がある。そこへ種を買いに来るとたいへんな金になるわけです。それを北海道庁が集めて参りますとこれはわずかな経費で済んで、一人当りは確かに少いものでありますけれども、この大きな集荷対策を講じて行かなければならないわけなんです。そこに目的があることを忘れまして、個々に小さいからやらないのだというような考え方は、実際の日本の農業事情を知らないものだということを本部長大いに認識してほしいと思うのでありますが、御認識になりますかどうかという点です。おそらくこれは御答弁を要しないようなものでありますけれども、ひとつ御答弁願いたいと思います。  次に山本政務次官の答弁の中で、特別立法措置については絶対反対であるというようなことを言つておられます。これは小委員長も指摘されましたが、内閣が責任を持つて特別立法措置をとることは反対だというならば、私はこれは一つ意見だと思うのですけれども、事務当局が特別立法措置について絶対反対であるなんと言うことは、日本の憲法を無視するような考え方だ。立法権というものは国会にあるのですから、それに反対だなんというようなことは独裁国家でなければ言えないことなんです。ですから内閣が責任を持つて、特別立法なんかするなら議会の解散をやるというならば意味がわかります。事務当局は解散権も何もなくて、特別立法をすることはけしからぬなんというようなことはそれこそけしからぬことなんで、そういうことを言わせることは加藤さんにはやらせたくない、私はこう思うのです。せつかく国務大臣として本部長になられたのだから、そういう間違いはさせてもらいたくないと私は思うのですけれども、この点についての御見解を承りたいのです。  さらにもう一つは、確かに去年よりも災害の度合いというものが深刻なものがある。ただ面積が限られておつて、昨年よりも面積は小さい。しかしながら、個々にあたつては深刻であることは、今国務大臣も申された通りなんです。そこで去年特別立法はあまりに補助率が高過ぎた、こういう意味だといたしますと、ことしこそはそういう重点的な措置を講じるべきじやないかと思うのです。一体去年の失敗はどこにあつたかというと、法律の失敗じやないのです。われわれはそういうことを願つて法律をつくつたのじやないのですけれども、出てみますとこれを悪用した人が多いのです。たとえば某政党の某有力者が自分の地盤に持つてつたなんというのは、法律にはそんなことは書いてありませんよ。某政党の幹事長のところに持つて行つてもいいなんて書いてないのだ。重点的にやろうという法律をつくつたけれども、それを悪用した者があるのです。また悪用に乗ぜられたのが大蔵当局であり、農林省であるのであつて、そつちの方をひとつやめてもらいたいのです。だから私の方から言えば、もしも去年悪用したような行政官があればまずひとつそれをやめさせるとか、あるいは悪用した者は内閣に置かないとか、あるいはどつかへ追いやるとかいうことをやつてもらいたいのです。やはりこれは忠実に立法の趣旨を理解して、重点的なことをやらせることの方が重大なんです。決して法律が悪いのだとか、その措置が悪いのじやありません。会計検査院から指摘されていることも、全部行政的措置を誤つたからなんでありまして、考えは決して間違つたのではないのです。それをこれ幸いにして、大蔵当局があの考えが悪かつたのだなんということで金を惜しむというようなことは許されないことだと思う。国民の血税によつてまかなわれておる国家財政でありますから、これを使わせては重点的に使わせなければならぬ。その法律の用途に基き、基本に基いて配分して行かなければならぬのを、配分の仕方が悪かつたのです。去年のあやまちはどこにあつたのかという点を重要に考えていただけないものかどうか、この三つなんです。
  62. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま川俣君より懇々御親切なるお教えを願いましてまことに厚くお礼を申し上げます。私はしろうとでございまして、そういう御親切なるお教えを願うことはまことに歓迎いたすところであります。種子の問題あるいは飼料の問題につきましても、両者の意見も聞きましたが、もう一度検討をしてみたいと思います。ことに特別立法と申しますることは、国家の補助金を引上げろということでありまして、今いろいろ御指摘になりましたが、それが均等に行くかどうかわかりません。あるところが水増しを要求してそうしてそこへも行つた。そして私が思うに今回の災害に対しましても深刻なところはございまするが、国民が何でもことごとく災害があれば災害と思わず、国家みずからやつてくれ。自力更生ということはなくして何でも国家がやれ、国家がやれという気分はいかがなものであろうか。十分の九とかあるいは十分の十まで何でも国家がやるというようなことでなく、まず自分もそれぞれ災難として負担を負つて立つという気持が必要ではなかろうか。そういう場合に均等にどこもかも補助率を多く上げるというようなことは、これはいかがなものか。ことに国家財政の上で一兆なら一兆というめどをきめますと、かえつて補助率は多くなつたが事業の進捗具合は遅れるというようなこともあるやに承つております。私はしろうとでありますから、よくわかりませんので、いずれお教えを願う次第でございますが、いろいろ勘案いたしまして私どもは今後こういう問題について考えて行きたいと思いますが、ただいまの私の気分から申しますれば、今回は補助率引上げの特別立法というものは出したくない、こう思つておる次第であります
  63. 川俣清音

    川俣委員 あまり苦しめる質問はいたしたくないのですが、補助の仕方についても欠陥がどこにあるかというようなことについて、今会計検査院でいろいろ指摘しております。私はこの会計検査院の指摘事項を忠実にかなり克明に見ております。従つてどこに欠陥があつたのかということも、今ここで具体的な例をあげても説明できるほど把握しているつもりです。これは補助率では決してありません。配分です。補助の配分が悪かつたので、率が悪いのじやないのです。その九割補助してもなおやれなかつたというところさえあるという状態でありますから、補助率が悪いのではなくて、必要なとろこにも九割補助し、必要のないところにも九割補助したということが間違いなんでありまして、必要なところに九割補助したことは決して間違いじやないと思います。医者が解剖するときでも、いらないところまで切ればよけいなことをしたということになります。必要なことをやつてくれるならば遺体をお渡しした上でなおありがたいということになると思うのでありまして、決して私は補助率が悪いのでなかつたと思います。特にそういう補助が出ますると、それに便乗いたしまして土建業者あたりが九割の補助だからということでいろいろ運動費を使つたりすることが、たまたまあつたことはまことに遺憾であると思います。そういうことのないようにしなければならぬと思います。これはやはり補助金を絶対権というようなことで、行政官があまりに絶対権を振りまわすために、むしろそこに運動ができたりいたしまして、末端に適正な措置を欠いたということになると私は思うので、金額が少くなつたから去年のような弊害が起らないということは言えないと私は思う。ことしもその弊害の起る危険性は非常に多いと思う。ただ災害ばかりじやありません。土地改良事業にいたしましても、あるいは普通の一般の道路の改修にいたしましても幾多の弊害が起きております。これは災害に伴う弊害ではありません。現在の河川工事におきましても、道路工事におきましても同様に、補助率が少くてもこういう問題が起つておる。従いまして補助率の問題ではなくしてむしろ配分である。その後の指導面において欠けるところがあつたということを、これはひとつ加藤さん見てもらいたいと思うのです。そこでせつかく本部長になられたからには、重点的に出して結果が良好な成績を収めるようにしていただくためにも、そういう大蔵省の間違つた見解にとらわれることなく、英断を振つてもらいたいと思いますが、この点についてもう一度御答弁願いたい。
  64. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 お教えの御趣旨に従つて考慮いたしたいと思います
  65. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 大分遅くなりましたから、私は簡単に一、二の点をお伺いして、若干私の要望をつけ加えたいと思います。非常に簡明にお答えを願いたいと思います。大臣は本部長は大綱をきめるとおつしやるけれども、連絡本部長というものは大綱をきめるのでなくて、農林省なり建設省なりがそれぞれ大蔵省と折衝をして調整のとれない場合に連絡本部長が調整をとられるのじやないかと思うのです。その調整をとられる方がしろうとだと言われるので、われわれは非常に心配をしておるのです。せつかく御勉強中でございますから、私は今のところは多くをお尋ねいたしませんけれども、しかし御みずからその大綱をきめるのだとおつしやいますから、お言葉を尊重いたしまして、北海道において発表なさつたことは北海道に対する大綱であるというふうに了解してさしつかえないと思うのですが、この大綱なるものは本部長加藤大臣について行かれた随行の専門の諸君が話合いのついた問題のなかつたものだけを羅列をして御発表になつた事実があるのであります。その他非常に重要な問題で取残されている問題が幾つかある。それは東京へもどつて来て十分検討をした上で追加をするということになつているのである。北海道の大綱は私はさように了解をいたしておりますが、それでは九州ではどういう発表をなさいましたか、それからまだ発表なさらないとすれば、どういうお考えをお持ちでございますか、発表に相当するもの、すなわち大綱をお聞かせ願いたいと思います
  66. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私が見て参りますのは、私一人で見て参りましたところでこれはあまり効果がないと思いますので、随行の者を連れて行きます。随行の者はそれぞれ専門家でございます。私がこう思うということはこれは当然専門家の意見を述べることでございます。私は私の意見を述べて専門家の意見を聞くことでございます。あるいは北海道においてそういう問題があつたかもしれませんが、私自身は言わなかつたのでございます。そこで九州の問題につきましては宮崎県なら宮崎県、大分県なら大分県だけに関してのみ特殊の事情ということはございません。ことに北海道は北海道として特殊の地位にありましたがゆえに、ああいうことをいたしましたが、今回は日本内地全体に関したことでございますので、北海道のもので通用するものは、また北海道のものを内地に持つて来てもよろしい。これは全体的なものでありますがゆえに、今特に皆様が御指摘になる問題は全体に通ずる問題であり私は取立てて申し上げることはないのでございます
  67. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 取立てて言うことがないとしても、全然これに対策を立てなくてもよろしいということではないと思うのでございますが、その点を明らかにしていただきたい。
  68. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これは普遍的の問題でございます。あるいは公共施設をどうする、あるいは河川の問題をどうするとか、中国、四国方面における地盤の沈下の問題をどうするとかいうような問題でございまして、一局部だけに限つた問題ではないのでございますから、そういう問題を十分検討いたしたいと思つております
  69. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 一局部に限つた問題で、相当深手を負うているというような災害はなかつたのでございますか。
  70. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 一局部というと、それがどこまで一局部かわかりませんけれども、宮崎県のごときはずいぶん公共施設が破壊されておりましたので、特に考えなければならぬ。そしてそういうところのいろいろの仕事をしております人がある。それに対しては相当考えなければならぬと思いますが、地盤沈下の問題のごときは、愛知県、山口県、四国までわたつている問題でございます。これも特殊の問題でございまして、建設省の関係専門家といろいろ考究いたしたい。ただいまの私の気持から申しますれば、ただ復旧だけではもとになるだけでございまして、さらに改善しなければならぬと思つているわけでございますが、これもまた大蔵省との折衝を要することで、そういう問題も十分検討してみたいと思つております
  71. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 大臣がたびたびお話された中に、去年ほど大きな災害ではないが、局所的には相当深いものがある。そのお言葉の通りだと私は思います。これに対して特別立法措置はなるべくとりたくない、これにかわる何らかの措置考えたいとおつしやつた。もしそれにかわるものがなかつたとしたら、どうなさいますか。
  72. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私が十分なる知識を持つておりますれば、私は今ここでことごとく意見を発表いたしますけれども、これは専門域の意見を聞くことでございます。またいろいろ立法措置その他のことも、専門の技術屋の意見を徴さなければならぬ。私はこれは当然のことだと思います。そのことができなかつたらどうするかというような問題は、次に考えてみたいと思います
  73. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 よくわかりました。結局川俣委員も申されましたように、特別立法そのものが悪かつたのではなかつたと私も信じております。そして特別立法措置を一兆予算の建前からなるべくとりたくないというお気持もわかります。しかしどうしてもそれにかわる何らかの措置が出ないとするならば、特別立法もまたやむを得ないというところへ落ら込んで来るのでございます。大蔵官僚は特別立法措置については絶対に反対であるという態度をとつておりますから、その点を特に御留意願いたいと思います。それからこの一兆予算の問題を大蔵省が唱えられますのは、これは平常の場合の一兆予算論でありまして、異常な超異常の災害が起きました場合に、これにとらわれるような考え方を持たれることは、罹災者にとつては非常に迷惑なことであります。そうしてただデフレ政策、デフレ政策という名ばかりにとらわれまして、その物を確保するという、物をすみやかに増産のできるような復旧をし、そのための対策を急速に立てて行くということが、金と物との見合いの上でバランスがとれて、インフレを押えて、健全なる財政を堅持できる、こういうことになることを私は大臣に特に御留意を願いたいと思います。大臣の先ほどの言葉じりをとるわけではありませんが、大蔵省は財布のひもを締めるところのようにおつしやいますけれども大蔵省は財布のひもを締めるだけが仕事ではございません。国の災害予算であるならば、災害実態をつかまえて、この災害をどうしたらすみやかに復旧でき、なお復旧だけではなくて、今も大臣のおつしやつた通り、国民が安定して生業に従事できるような、食糧でいえば食糧の増産のできるような態勢を早く確立することが、私は予算を立てる前提条件でなければならないと思つているのです。それを財布のひもを締めるところが大蔵省のようなお考え方を持たれることは、非常に私は遺憾に思います。そこで同僚議員の御質問に対しての大臣のお答えを伺つておりますと、今日までのところは、どうもお言葉では政治的に処理しなければならないとおつしやいますけれども、事務的な処理のことのみ、お答えになつておいでになります。連絡本部長の御使命は、私は政治的なお取扱いをなさるのが、あなたの最も大きな御使命だろうと思うのです。この点特に御留意を願いたい。去年の災害等に対しては、私も、同僚の諸君からも、相当非難を受けたこともありますが、とにかく政府の熱意のあつたことも、私は偽るところなく認めます。しかし本年の災害に対しての熱意はきわめて低調です。加藤本部長が、私はしろうとだ、しろうとだとおつしやいますけれども、人のからだをなおすのも、世の中のからだをなおすのも、原理、原則は私は同じものだと思つておりますから、その点について加藤大臣にわれわれは絶対の期待をかけているのですし、国民も同様に大きな期待をかけていると思いますから、どうぞその期待にそむかないように、もうひとつ熱意を傾けていただくように、要望をいたしまして、私はきようの質問は打切ることにいたします
  74. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 お諮りいたします。先ほど松岡委員より農林災害防止のため気象対策機構整備拡充に関する件について御発議がありました。それに対しまして川俣委員からの御意見がございましたので、委員長におきましては意見を調整いたしました結果、さきの御決議の中の第三項目の後に第四項目として左の通りのものを挿入して御決議を願いたいと存じます。朗読いたします。「四、気象業務運営の円滑を期するため北方定点の復活を図ること。」これを挿入して決議いたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。さよう決定いたします
  76. 井手以誠

    井手委員 加藤本部長にははいろいろお尋ねしたいことがありますが、せつかく御勉強中でございますので、後日に譲り、一点だけお伺いいたします。本日農林省から配られた災害予算の要求書によりますと、三・五・二の比率によりまして五十九億を要求されているのであります。三・五・二で復旧することは、すでに政府が天下に公約されたものであります。これが変更されたと私は全然考えないのであります農林省が五十九億、建設省はおそらくもつと多いかと存じております。特別の措置をしなくても三・五・二によりますると農林省関係が五十九億、これは施設災害復旧だけであります。建設省は六十億を上まわるでありましよう。合せますと百二十億以上、これはいかなる場合によつても三・五・二の比率によつて実施しなくてはならない金額でございます。この復旧比率について加藤本部長はいかにお考えになつておりますか。公約通り実施なさるとは信じておりますけれども、念のためにこの要求については三・五・二の公約通り実施するということをもう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。建設省と農林省を合せまして少くとも百二十億以上、この点についてそれを含んでの御答弁をいただきたいと思います
  77. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 先刻、政府は今度の問題はきわめて冷やかではないか、昨年は非常な熱意を持つてつたのであるが、ことしはどうも軽く見ておるようではないかというようなおしかりをこうむりましたが、政府は決して軽く見ておるわけではないのであります。ことにただいままでも申しましたごとく、ただ腕をこまねいて見ておるわけではないのでありまして、できるだけの措置はいたしたつもりでございます。まだ金が先にまわつて来ぬというようなおしかりがありましたが、これは手続上遅れておるのでありますが、つなぎ融資、予備金の支出その他各関係金融機関を動かしまして融資のこともきめてあるのでございまして、決して冷淡に軽視しておるわけではないのであります。ただ私がまことに微力にして、声を大にしていかにも遺憾ということを申さないから、あるいはそうかもしれませんけれども、熱意のあるところは御了承おきを願いたいと存じます。  またただいまお話がございました三・五・二の比例で行くかということでございましたが、その比例で行くつもりでただいま考えておる次第でございます。金はどうかということがあるかもしれませんが、きようまでの計算によりますると、予備費がまだ六十三億ほどもございまするし、先般申したかもしれませんが、節約した額が約百九十六億あるのでございまするので、両方まぜれば二百五十億円はなおかつあるのでございますけれども、それを全部そこに傾倒するかということはいろいろの問題もありますのでできませんけれども、とにかくことしはこれだけである程度仕事は行き得るものであると考えておる次第でございます
  78. 井手以誠

    井手委員 二百五十億の金があるから、ほかには金はいるけれども、相当やられるというお話でありますが、私はいろいろ考えたのでございますが、ともかくも三・五・二の比率でやるということが一番大事なことであつて、これを三・五・二でやるということになれば、財源がなければ別から持つて来なければならないし、一兆円を越そうということになると、越すかもしれませんが、一番かんじんな点は、現局が要求した三・五・二の比率をそのまま予算に計上されたらどうかということです。あとの措置政府自身がくふうなさることである、私どもがお尋ねしたいことは、三・五・二の比率によつて完全に実施されるかどうかという問題でございます。その際に心配なのは、従来の、特に昨年の災害実情にかんがみますと、現局では三割要求しておるにかかわらず大蔵省はかつてに机の上でその七割くらいを見て、これによつて大体三・五・二に近いものが実施できるというように答弁なさつておりますが、それでは絶対に納得できないのであります。参考までに申しますと、二十八年の災害に対する地方に対する補助の予算額は、三割という公約に対して初年度は一割二分、二年目には五割という公約に対して一割三分でございます。私は本年の災害が再びこのようなてつを踏まないように特に申し上げたのであります。少くとも政府の機関である農林省が査定したものが、水増しであろうはずは絶対にないのであります。従つてこの現局の信用ある査定に対して必ず三割は予算を計上しますということをもう一ぺん御説明願いたいと思います
  79. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これは将来に関する問題でございます。そのめどで行きたいと思つております。実は昨年も私の知るところによりますれば、間違つておるならばあとで訂正いたしまするが、実際の仕事が実はそこまで行かないやに聞いておりますが、政府といたしましてはそのめどで行くつもりでおります。  それからただいま私が申しました金の問題でございますが、これはあなたのただいまの御質問中にありましたように、これを全部そこへ使うというわけではありません。それだけありますという財布をお見せいたした次第であります
  80. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 別に御発言もございませんようですから、本日はこの程度にして、明日は午前十時から開会いたします。  これにて散会いたします。     午後六時七分散会