○北村
説明員 ただいま洞爺丸に関しまして御意見がございましたが、北方定点を現在要求しております理由は、実は洞爺丸事件とは直接の関係はございません。洞爺丸事件につきましては、気象台の出しました予報に、
実情から見まして若干の相違があるというふうなそしりは、私も免れないのではないかと思うのでございますが、その点の主要なる原因は、中央気象台と
北海道にあります二十二箇所の測候所との通信
連絡が切断されまして、そのために十分な情報の収集ができないというところへ、中央におきましてもまた
北海道におきましても、情報が十分に入らないために麻痺
状態に
なつた、その中でいわばつんぼさじきで非常に苦労をして予報をや
つたというような結果にな
つておりますので、この点は非常に遺憾な点でございまして、通信施設の改善につきまして早急に何らかの手を打たなければならぬということで
計画を進めておるわけでございますが、この点は現在北方定点を要求しようとしておる事柄とは直接の関係はないわけでございまして、北方定点を要求いたしておりますのは、従前からや
つておりました南北両定点が、米軍の
協力打切りに伴いまして、日本の財政問題もからみまして昨年度から打切りになりましたけれ
ども、東方の広い洋上に一点の観測点もないような
状況におきましては、日本の気象業務を円滑に遂行することは困難であるという点を主張いたしまして、北方定点の復活を要求しておるわけでございます。もちろん、ただいま
お話のございましたように、東北、
北海道、その他これは全国一般の問題だと思うのでございますが、農業に気象が非常に大きい
影響を持
つておるということは申すまでもないことでございまして、農業の
災害対策といたしましての気象業務の拡充ということを考えなければならないと私
どもも思
つております。しかし北方定点の問題は、もちろんある時期におきましては、北方定点が存在いたしますことは、農業
災害の、特に
北海道、東北の
冷害の予報の上に貢献するところ非常に大きいと思うのでございますが、この農業
災害防除の
対策といたしまして北方定点を主張しているわけではないのでございます。北方定点は一般に
台風、農業
災害対策、その池北洋上における漁船の遭難防止、そうい
つたいろいろ季節的にかわ
つて行きます多種多様の目的を含めまして、この点の必要を主張している次第であります。
それで農業
災害対策といたしましては、本年度から三箇年
計画をもちまして、中央気象台において従前の短期予報に非常に重点を置きました予報制度を拡充いたしまして、農業に十分
利用され得るような長期予報の業務を整備強化いたしたいと思います。その第一年度といたしまして
昭和三十年度に約一億一千万円ほどの予算を計上いたしまして、さしあたり東北、
北海道を目標といたします長期予報制度の整備拡充をはかりたいと思います。それ以外に先ほど
水害に関連しましての
お話もございましたが、もちろん気象台の仕事は
水害のために施設いたしました施設から集めますところの情報も、農業
災害のために施設いたします機関から集めますところの情報もそれぞれ統合されまして、それを適当に運用することによ
つて初めて目的を達するわけでございますから、
水害のために設ける施設も農業
災害には非常に有効なわけでございますが、この昨年度の
水害に伴いますところの制度は農業
災害を直接目標といたしましたものとは一応別個の
計画といたしまして、この二十八年の補正予算から三箇年
計画でも
つて考えて来た次第でございます。
地域の選択につきまして、西の方に寄
つているではないかというふうなあるいは御非難があるのかもしれませんけれ
ども、私
ども日本の
災害の起る
地域というものを考えて行きますのに、必ずしも西から起るとばかりも考えませんけれ
ども、また東から起るということもわかりませんので、非常に大きい
災害を受けられたところに、まず第一段階の着手が進められたということで、前後の順序に別段軽重の差はございません。ただ財政の都合も勘案いたしまして、三箇年にわけまして、その結果ただいま御指摘のように、東北
地方が最後の年度の
計画に入りましたことはまことに遺憾には存じておりますが、ぜひ来年度におきましてはこれを実現いたしまして、農業
災害対策のために特別に施設いたしますところの観測施設を合せまして、十分に東北、
北海道の方々への気象サービスができるように考えたいと思
つております。なお先ほど岩手県に二箇所の雨量ロボツト計しかないという
お話でございましたが、実は岩手県の北
上川の流域は、総合開発の関係で多目的ダムが非常にたくさん進捗しておりますので、そのダムの管理を主眼といたしますところの水利気象業務というものの
計画を進めております。そのために
昭和二十九年度で、北
上川流域の水利気象業務の
計画が予算に認められましたので、それと同じつり合いをとるために岩手県だけの
水害を取上げまして、年次を繰上げるというふうな
措置をいたしたものでございます。岩手県には、北
上川の水利気象として考えましたところの無線ロボツト計が相当たくさん設置されておりますので、
水害として考えたものは二個でございますが、約七、八個の無線ロボツトが現在ついております。三十年度におきましても、引続きロボツトの増設を考えておるわけでございまして、決して一個、二個のロボツトでも
つて東北の
水害ないしは農業
災害が防げるものだというふうな考えを持
つておるわけじやありません。今後いろいろお力添えをいただきまして、農業
災害の点、
水害対策の点、それから総合開発のために必要な水資源の
利用に活用されなければならぬところの水利気象業務の点、いろいろ
計画が重複しておりまして非常におわかりにくいと思うのでございますが、いろいろな角度から見まして気象業務を整備いたしたいと思
つておりますので、何分とも御援助をお願いしたいと思います。