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1954-10-14 第19回国会 衆議院 農林委員会 第74号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十四日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員   委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松岡 俊三君       松野 頼三君    松山 義雄君       伊東 岩男君    本名  武君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    久保田 豊君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君         国 務 大 臣 加藤鐐五郎君  委員外出席者         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    原  政司君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         参  考  人         (農林省北海道         農業試験場作物         部長)     吉野 至徳君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月十四日  委員伊東岩男君及び神近市子君辞任につき、そ  の補欠として本名武君及び井手以誠君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  台風第十四号第十五号による稲作被害状況に  関する件  農林業施設関係被害状況に関する件  農業災害対策に関する件  北海道における稲作事情について参考人吉野至  徳君より説明聴取  肥料問題に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  本日は加藤災害連絡本部長がおつつけお見えになると思いますが、それに先だつて作況関係から入りまして適宜切りかえる予定でございます。  一昨日の委員会におきまして、九月十五日現在の稲の作況について政府当局より説明を承りましたが、その後の台風第十四号、第十五号による被害がまとまつたようでありますので、この際その説明を願いたいと思います。野田統計調査部長
  3. 野田哲五郎

    野田説明員 お手元に昭和二十九年台風第十四号及び第十五号水陸稲被害という資料を差上げてございますが、それによりまして説明をさせていただきたいと思います。この調査は大体九月の末から十月の初めにかけて行つた調査でございまして、これをとりまとめまして本日御説明の運びに至つたわけでございます。  一ページをお開きいただきますと、九月十八日、十九日に吹きました台風第十四号の被害について調査いたしましたところが、損傷状態別被害面積被害程度面積減収量というものに仕わけいたしまして、ここに掲記した次第でございます。損傷状態から申しますると、全国の計におきまして風害が二十四万七千町歩潮風害が九千町歩淡水によります浸水が一万町歩塩水によります浸水が五百十町歩、冠水でございますが、淡水によりますものが二千町歩塩水によりますものは二百四十町歩、倒伏によりますのが六千町歩流失埋没が百五十町歩で、合計いたしまして二十七万七千町歩被害面積を数えるのでございます。これを程度別に仕わけいたしますと、三〇%未満面積が二十五万四千町歩、三〇%から七〇%までが一万九千町歩、七〇%以上が二千町歩合計いたしまして二十七万七千町歩と相なります。その減収量は総数におきまして四十三万六千石ということになるのでございます。この県別が下にずつと出ておりますが、この中で一番大きいのがいわゆる東海地方と申します静岡、愛知、三重、それから岐阜というところでございます。  次に二ページにおきまして陸稲被害面積を調べておりますが、被害面積という欄におきまして、三〇%未満が八千町歩、三〇%以上が四百町歩合計いたしまして八千九百町歩、これの減収量は八千石ということになるのでございます。  次に三ページにおきまして九月二十六日、二十七日に吹きました台風第十五号の被害でございますが、これにつきましては損傷状態別被害面積合計を見ていただきますと、九十八万六千町歩被害面積を出しております。それを程度別に仕わけいたしますと、三〇%未満のものが九十四万七千町歩、三〇から七〇%までのものが二万七千町歩、七〇%以上が二千町歩、かようになりまして、合計は九十八万六千町歩と相なるわけでございます。その減収量は七十九万四千石ということになりまして、これの被害はほぼ全国的にわたつておる状況でございますが、やはり進路が日本の北側を総なめに通りました関係で、大なり小なり全国的な被害を受けておりまして、七十九万四千石という非常に大きな被害数量を出したわけでございます。  次の四ページにおきまして、十五号によります陸稲被害関係を掲記しておりますが、三〇%未満が二万六千町歩、三〇%以上が二千町歩合計いたしまして二万八千町歩で、減収量としましては二万六千石ということに相なるわけでございます。  五ページをお開きいただきまして、台風五号以降の水稲減収量をここに掲げております。台風五号から十五号までのものを掲記しておるわけでございます。台風五号が十万六千石、十三号が十二万九千石、十二号が一昨日御説明いたしました十月八日の公表におきましては百四十七万九千石でありましたが、このたびの調査によりまして若干増加いたしまして、百五十万四千石ということに相なつた次第でございます。台風十四号、十五号につきましてはただいま御説明いたしました通りでありまして、台風十二号の十月八日公表分を除いて十月十四日、本日御説明する分を加えますと、全体で二百九十八万石というものが台風被害として水稲に影響を及ぼしたのでございます。  次に六ページでございますが、陸稲減収量調査いたしました結果でございます。台風十二号につきましては水稲と同様の変更がございまして、これを全部集計いたしますと、十四万九千石ということになるのでございます。水陸稲合計におきまして、ここには資料として書いておりませんけれども台風十四号と十五号におきまして、百二十七万六千石ということになります。これはこの資料には書いておりません。台風十四号と十五号の水陸稲合計は百二十七万六千石の減収になります。台風五号以下の数字合計いたしますと、水陸稲におきまして三百十三万石と相なるわけでございます。  最後に七ページ以下におきまして、台風十五号の概況を詳細に記録しておきましたから、御参考にお読みいただければ非常に幸いだと思います。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま加藤国務大臣がお見えになりましたので、今年の農業災害に対処する政府構想等について質疑を行うことにいたします。質疑通告がございますので順次これを許します。伊東岩男君。
  5. 伊東岩男

    伊東委員 加藤国務大臣には、今回の台風及び冷害対策について、内閣本部長として今後非常なる御苦労を願わなければならないので、私は特に敬意を表し、かつこれを多とするものであります。  私は簡単に御質問いたしまするが、まず被害状況についてはすでにとくと御承知のことと思いますので、これには触れません。いずれにいたしましても、未曽有台風禍であり、かつ冷害禍であるということは申すまでのこともないのであります。そこでこの問題の対策については、即時臨時国会お開きになつて、そうして徹底した災害対策を講じていただきたいということについては、かつて改進党といたしましては、副総理にこの点を申し込んでおいたのでありますが、その後御就任になりました本部長として、この点に対していかようのお考えを持つておられるか、また内閣のうちでどういうふうな打合せをされておりますか、まずこの点をお聞きしたいと思います。  もう一つは、けさのラジオを聞いておりますと、臨時国会も急には開かないばかりでなくて、臨時国会には補正予算は提出しない、予備費七十余億と実行予算節約費があるので、これで大体行政処置をやるといつたようなことをラジオで承つたのでありますが、これはほんとうにその通りであるかどうか、まずこの二点についてお伺いいたします。
  6. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 今回の災害につきましては、まことに未曽有のものでございまして、私どもといたしましては終始御同情にたえない次第でございます。ついては、ただいま、この問題について臨時国会を開かねばならぬではないかという御質問のように承りましたが、ただいまの、今まで得ました情報、被害のいろいろのことによりますれば、臨時国会を開かなくても、行政措置で相当できるものであると思うのであります。  それから次に、臨時国会を開いても、そういういろいろの補正予算は提出せぬというようなラジオであるが、どうかというような御質問に承りましたが、それは、臨時国会を開いて後もさような行政措置でやるというような考えは持つておりません。臨時国会を開けば別ですが、ただいま、このためには臨時国会を開く必要はなかろうと思つておる次第であります。
  7. 伊東岩男

    伊東委員 政府は、今度の災害を非常に軽く見ておられるように想像されるのであります。従いまして、臨時国会の方は開く必要はないという意図であろうと思うのでありまするが、昨年の北九州、和歌山の風水害その他の冷害は最もひどかつたのであります。従いまして、救農国会と称して臨時国会お開きになつて、そうして十分なる対策ができたのでありました。今回の災害北海道ほか十数県にわたる災害であります。しかし、集中的の災害がなくて、どの県も一部分は非常にひどい災害にあつておりまするので、従いまして、被害額数字から申しますると割合に額は上りません。しかし、その悲惨なる災害の実際については、あるいは昨年以上ひどい所があるのであります。北海道が一番大きな被害を受けておるのでありまするが、大体七百億円と称しておりまして、これが対策については十分なることをやらなければならぬとわれわれも考えておるのであります。次いでひどいのが宮崎県、北海道の六分の一にしか当らない貧弱な宮崎県は、ちようど北海道損害額の半分、三百四十億の被害を受けておりまして、全県海岸地帯は全部白穂に化し、河川部は、堤防の破壊、あるいは耕地の埋没山間部はもう至るところ山くずれで、どうにも手のつけようがないくらいで、道路も寸断され、ただいまも自衛隊がたくさん入つてつて応急手当をやつているというような、置県以来かつてない非常被害を受けておるのであります。これは、ちようど北九州宮崎県の反対のところでありまするが、あるいは昨年以上の災害であると考えておるのであります。その他の県も、調査したところによりますると、部分的にはまつたく収穫皆無というような所がどの県にも相当あるのでありまして、今本部長考えておられるようなことでは、とうていその対策を完全に遂行することはでき得ないと考えておるのでありまするが、私ども考えでは、補正予算を出さずして、このわずかな予備費その他で応急手当、恒久の手当などは断じてでき得ないと考えております。責任の地位にすわられた本部長としては、いま少しく進んで、お考え直しなさつたらいかがでありましようか。この点の御所信を承りたい。
  8. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま伊東君からるるお述べになりましたが、被害は甚大であつて、私どもは決してこれを軽く見ているわけではないのであります。しかしながら、ただいままでのいろいろの報告によりますと、昨年の災害に比べますると額においても相当少い、あるいは四分の一くらいではなかろうかと思つておるのでありまして、政府といたしましては、それぞれ機関を通じて、できるだけ災害救済復旧について努力いたさせつつあるのでありますがゆえに、ただいのまところでは臨時国会を開かなくても措置できることなりと信じておる次第でございます。決して軽視しておるわけではないのであります。
  9. 井出一太郎

    井出委員長 途中でありますが、加藤国務大臣は十一時半から次の御予定があるようであります。従いまして、質疑は多数通告がありますので、なるべく簡潔にお願いしまして、加藤さんにも、もし状況いかんによつてはもう少しお延ばしを願わなければならぬかと思つております。
  10. 伊東岩男

    伊東委員 時間の制約がありますから簡単にお尋ねいたします。昨日の新聞では、つなぎ資金として二十五億を大蔵省が出すようにしたというふうに報じておるのであります。さしあたりの応急処置として、つなぎ資金が非常に必要であることは申すまでもないことで、本委員会でもその点については相当今日まで論議されておるようであります。二十五億というようなつなぎ資金を出すというそのこと自体が、すでにこの災害対策を非常に軽視した証拠だと私は考えるのでありますが、一体この二十五億はどういうぐあいに配分されることになつておりますか、その内容についてお示しを願います。
  11. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 新聞に二十五億と出ておるようでございますが、まだ数字は明確になつておりませんが、ただいままでのつなぎ融資を出しましたことについて一応御説明申し上げますと、五号台風以前の分が約三億五百万円、それから五号台風の分でありまして、これは十月一日に決定いたしたものでありますが、それが二億五千万円出したのでございます。それから今明日中、あるいはできましたら今日約七億五千万円程度つなぎ融資として支出いたしたいと思つておる次第でございます。それで今まで出ましたのが、今日出すのをまぜまして約十三億余出るわけでございます。今後また必要があると思つておりますので、今後報告をまちまして、いろいろ政府として調査研究の結果約十二億くらい出したいと思つておる次第でございます。それが多分約二十五億くらいに達するのではなかろうか、こういうことでございます。
  12. 伊東岩男

    伊東委員 まだいろいろお聞きしたいのでありますけれども、これで質問を打切ります。本部長にお願いしたいことは、もう少しよく災害の真相を大臣の頭に入れてもらうために、災害地のおもなるところを至急御視察くださいまして、そしてほんとうにあなたの頭を切りかえてもらつて、最善なる災害対策を講じていただきたいと思うのであります。  もう一つ、これは一つの動議でありますが、委員長にお願いいたしておきます。国会としても、どうもこの災害に対してなまぬるい気がいたすのであります。農林委員会はきわめて熱心にただいま具体案を講じつつあるのでありますけれども各党はそれぞれ災害対策特別委員会というようなものをつくつて各党ばらばらであります。政府は最も熱心にやろうという気構えだけはできたようでありますが、この政府対策本部ほんとうに鞭撻する意味において、強く国会が団結をして行くためには、昨年のごとく国会内に災害対策特別委員会というものを、ひとつ農林委員会が主唱されておつくりになつて、そして政府対策本部を鞭撻するようなことにいたしたいという希望を私は持つておるのでありますが、委員長その点いかに御考慮になりますか。
  13. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの伊東委員委員長に対する御要請に関しましては、理事会等機関において十分考究をいたしたいと思います。  次に芳賀貢君。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 私は加藤国務大臣にお尋ねしますが、聞くところによりますと、十月八日に政府は閣議を開きまして、台風十五号等災害連絡本部というものを設置せられたと承知しておるわけであります。それでまずお伺いしたい点は、この災害連絡本部なるものの性格はどういうものであるかということであります。昨年の災害等に対しましては、災害対策本部なる名のもとに、緒方副総理本部長に当つておられたわけでありますが、本年度の場合においては、特に災害連絡本部というような名前にしたということに対して、われわれはいささか了承できがたい点があるわけであります。このことは、結局連絡本部なるものの性格とか任務とか権限なるものが、昨年の対策本部に比べて非常に脆弱であるということが指摘できると思うわけでありますが、昨年の対策本部と比べて、本年度災害連絡本部なるものの性格的な差異があるかどうか、そういうような内容の点に対して、本部長に就任されたという加藤さんからお伺いしたいのであります。
  15. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま今度の災害連絡本部に対しまして、昨年の対策本部より組織が脆弱であるのではないか、もし脆弱であるならば、この災害を軽く見ておることの結果になりはしないかというような御心配の御質問であつたように考えますが、決して軽く見ておるわけではないのでありまして、今回は対策本部と言わずして、これが御承知のごとく十五号台風等災害連絡本部となつておるのでありますが、これは復旧対策を中心として関係各省において相当努力いたしておることでございますがゆえに、それが各省要求でこぼこになり、不均衡になり、また場所によりましてもそういうでこぼこ、不均衡があつてはならぬのでございまして、本部において各省要求をまとめて、そしてここに均衡にして公平なる結論を出したい、こういうのでございまして、昨年とは少しく性格が異なつておりますが、今年のやり方の方が全体から見てよかろうと存じて、災害連絡本部ができたわけであるのでございます。  それからもう一つは、先刻伊東君のつなぎ融資のことにつきまして、私が今明日中に七億五千万円くらい出すというようなことを申しましたが、これは約でございまして、数字をこまかく計算すると幾分相違があるかもしれませんので、御了承おき願いたいと思います。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの御説明によりますと、この連絡本部なるものは、能動的に災害復旧対策等に当るということではなくて、各省がその主管においてそれぞれの災害に対する要求等を出した場合において、それをセーブするため、できるだけ圧縮するための機関であるということで、これを連絡本部にしたというふうに大臣のお考えを私は聞いたわけでありますが、そういうことでむしろ災害対策に対して、この連絡本部なるものは防波堤的な役割を勤めるということになると、これはただいま伊東委員質問に答えられたように、災害復旧に関する臨時国会を特別開く必要を認めておらぬということは、かかる曖昧模糊としたところの連絡本部なるものを設けて、これで時を稼いで、吉田総理が他日、おそらく十一月中旬でありましようが、帰朝して来る。その後においておもむろに開けば事足りるというような、まつたく目的がわれわれの期待と肯反したところの連絡本部というふうにしか承知できないわけでありますが、この点に対しては、もう少し誠意のある御解明を願いたいのであります。
  17. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 この連絡本部ができましたがために、積極的に災害救助に関したいろいろのことを圧縮するとかいうような御質問でありまするが、断じてさような意味ではないのでありまして、これは、各省別々にいろいろ要求をいたしますと、そこにただいま申しましたように、厚薄緩急あるいは度を異にする場合があると思いますがゆえに、個々調整をはかつて行きたい。この連絡調整本部高所大所より見て、全体の上において公平均衡を期して、適切なる救済対策を講じたい、こう思つておるのでありまして、時を稼ぐとか圧縮すると、被害を軽視するというような考えは毛頭ないのでございます。この点誤解のないようにお願いいたします。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 説明はごもつとものように聞えるわけでありますが、しからば加藤本部長にお伺いしたい点は、本部長になられて、この災害に対する認識というものはどの程度に把握されておりますか。ただ単に十五号台風だけの災害内容に付する認識であるか、あるいは十九国会終つた後におけるいわゆる第五号台風あるいは十三号、十二号、十四号、十五号というように、相次いで起きた台風によるところの各県の被害、それに今年度また再び襲つて来たところの北海道あるいは東北の一部における深刻なる冷害実相、これら全体の被害内容というものを加藤本部長はすでに今日においては十分把握されておるのでありますかどうか、その点はいかがでありますか。
  19. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 今回のこの連絡本部が主としたものは十五号台風であつたのでありますが、国会の方の委員会などの要求もございましたがゆえに、その台風以外の、第五号台風以後、その他冷害等も加えることにいたしたのでございます。私がどれだけまで実相を把握しておるかという御質問でございますが、この連絡本部ができましたのは、まだこのごろようやくできたところでございまして、昨日本部員もみな任命いたしたようなことでございますが、すでに現地におきましては、それぞれ各省、各分担において熱心に調査、視察をいたしておる次第でございまして、ここといたしましては、その実際の調査が集合しますには、一日や半日遅れてもかまわぬとは申しませんが、決して冷淡にしておるわけではないのであります。私も、大局を見る上におきましては大体のめどはつきましたので、すみやかなる機会において現地も見て来たい、こう思つておる次第でございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま大局を把握されたというわけでありますが、大局というのは、先ほど本部長が申された、災害復旧のために臨時国会を開く必要はないというかかる認識の上に立つて大局を把握されたものでありますか。そういうことになると、問題は非常に重大になつて来ると思うわけであります。台風五号から十五号までは、決して一時に、同時的に襲来したのではなくて、これは時期的に非常に違つておるわけであります。ですからして各主管省においては、すでに個々災害に対する内容調査が終つておる。終つておるからして、大蔵省当局等に対して、この災害復旧に対して幾ばくの予算が必要であるというような要求が、すでに提示されておるわけであります。そういうものを全部掌握した場合においては、災害の全貌はおのずから計数上において明らかになつておると思う。それにもかかわらず、本部長はその大局の把握というものを非常に抽象的に言つておる。しかも各省要求を一応均衡化するためにこの連絡本部があるということでありますが、このお言葉の中には非常に重大なる矛盾があるのであります。たとえば農林省とか、各省にいたしましても、その主管する内容の中における被害の実数あるいは被害の分量というものは、おのずから違うのであります。それを均一化するというところに非常に無理がある。そういうことになりますと、結局この連絡本部というものは何か非常にぬえ的な、実行機関でないようなきらいが非常に多いのであります。もしもそうでないと、実際に昨年と同じような実質を備えて、緊急に復旧すべき問題等に対しては、即時つなぎ資金とか、あるいは適切なる手段を着々と講じてやつて行くというようなことが、はたしてどの程度に実践に移されて行くかどうかということに対して、自分たちは非常に危惧を持つわけであります。もちろんこの災害の全体の復旧の場合においては、緊急処理しなければならぬ問題と、どうしても国会を通じて立法的な措置を講ずる問題と、二つ出て来ると思うのであります。そういう場合において、臨時国会を緊急に開く必要はないという前提に立つたときに、どうして実質的な災害復旧対策というものが講ぜられるかということであります。今の御説明によつても、わずかに今日まで十三億余のつなぎ資金しか出さない。今後出し得る見通しは十二億程度であるというような、こういう貧弱なことでは、この場合においては、わずかに一府県程度災害に対する緊急手当にしかならぬと私は考えるわけでありますが、この程度の微温的な措置において、何のためにこの本部なるものを設けたか、その点について加藤本部長は、いささかも疑問を持つておらぬのでありますか。
  21. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 各省を頭割りにするような御質疑でありましたが、これは被害程度の実情に即して均衡をはかりたいと、こういうのでありまして、頭割りにどうするというような考えは持つておりません。それから先刻も申しましたごとく、それぞれの省において、あるいは建設省あるいは農林省、それぞれただいま実際着手して、実情も調査いたしておることでありますし、ことに今度の本部は、十五号台風を中心としてできたものでありますが、そのほかの災害もこれに含めるということに相なつておるのが、その趣旨であるのであります。決して怠慢だとか、決して軽視しておるようなつもりはないのであります。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 加藤さんの説明の中には絶えず矛盾が往来しておるわけでありますが、十五号台風を中心にするということは、それ以外の被害は従たるものとして扱うということなんですか。ただ本部の看板を十五号等とするということで——災害の度合いとかあるいは実態の把握あるいは災害復旧に対しては、やはりその災害の頻度等によつてこれを同列に処理するということであれば話はわかるわけでありますが、十五号台風を中心にして、あとの台風災害あるいは冷害等は、ただ単にこれを景品として、さしみのつまのような扱いをするという考え方でやるとするならば、何もことさらに連絡本部というようなものは設ける必要はないわけであります。だからそういうあいまいな、矛盾を包蔵した考え方でかかる連絡本部を設けるということに対しては、その意図するところが理解ができないわけであります。だからそれは、吉田総理が帰るまで時を稼ぐ——あなた方は臨時国会を開く必要があると見ても、吉田総理が帰らない限り開くだけの力がないわけであります。緒方副総理総理代理としての権限は持つておるけれども、吉田さんの留守中に緊急事態が生じても、臨時国会を召集するというような、そういう決意は持てないのです。だからして、その間にかかる連絡本部というような曖昧模糊たるものを設けて、この本部がやつております。バランスをとつておりますということで、あと一箇月ぐらいはお茶を濁すというぐらいにしかわれわれには理解できないのでありますが、かかることは現地の羅災民、あるいは災害を受けた気の毒な人々に対しても大いなる冒涜であります。もう少しこの本部内容のわれわれの前に解明して、真剣な態度で災害復旧に当るという決意をぜひこの機会に御表明願いたいのであります。
  23. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 十五号台風を中心としてと申したことが、ほかを非常に軽視したような御質疑でありますが、実は十五号台風が起きなかつた前におきましては、各省各分担においていろいろのことを、冷害その他のことをやつておりましたがために、特に設けなかつたのでありますが、十五号台風によりまして被害が甚大であり、かつまた各地に広がつておりますがゆえに、それを中心として十五号台風等の災害連絡本部を設けたことは、別に時をかせぐためであるとかなんとかいう意味ではなく、かつまたそれ以前における冷害を軽視しておるというような意味は毛頭ないのでありまして、まじめにこの対策についてわれわれは全力を注ぎたい、こう思つておるのであります。決して政略的、党略的に時をかせぐのだという意味は毛頭ないのでございます。
  24. 井出一太郎

    井出委員長 井手以誠君に関連質問を許します。
  25. 井手以誠

    井手委員 芳賀委員質問に関運して、一言加藤本部長にお尋ねをいたします。先刻来政府対策は、十五号台風被害を中心とするということを繰返しおつしやつておられますが、それでは今日までの台風被害がどういうふうになつておるか、第五号以降の被害額をひとつお示しを願いたい。ただいま配られましたこの農林省関係だけにおいても、金額は十二号が一番多いのであります。私は十五号のひどかつたこともよく承知しておりますが、施設災害については十二号が一番ひどい。本部長ははたしてこれに対する認識がおありであるかどうか。私は本日本部長に対して、十分いろいろのことをお尋ねしたいつもりでありますけれども、ただいまの十五号を中心とするという御答弁に対しまして、どういう根拠のもとに十五号を中心とされる対策であるのか、数字をあげて、こういう意味で十五号が中心であるという政府考え方をはつきりとお示しを願いたい。まずこれを聞いてからあとで御質問いたします。
  26. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私はこの本部長に命ぜられましたのですが、この本部は十五号台風等災害連絡本部とあるのでありまして、これが中心であることは申すまでもないのでありますが、従来のいろいろの被害についても、これに加うることにいたしましたことも、これを軽視しておらぬ証拠であるのでございます。それで本部といたしましては、昨日部員を任命いたしたことでありますがゆえに、明日この会議を開いて各方面の実情、今までの実情も聴取いたして、また対策を練るつもりでございます。ただいまのところまだ私はこまかい数につきましては、正直に申し上げますと手にいたしておりません。明日またこの部員を集めまして、会議を開いて十分研究いたしたいと思います。
  27. 井出一太郎

    井出委員長 井手君、関連の範囲で………。
  28. 井手以誠

    井手委員 わかりました。ただいまの問題だけです。  正直のところまた小さな数字については、当つていないというお言葉でございますが、小さな問題ではございません。何号台風についてはどれだけの被害があつたか、こういう大きなところだけを就任当日、ただちに承知なさるのが本部長の責任であると考える。被害の額はどのくらいであるか、それを承知せずして本部長を引受けられる——もう日にちもたつておることですから、とうてい承服いたしません。第何号台風にはどれだけの被害があつたか、大づかみのところを御発表願いたい。あなたはお医者さんですから、ただちに治療せねばならぬことは十分御承知のはずであろうと思う。私はそういう御答弁では承知いたしません。
  29. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私がただいま小さいという言葉を使つたかもしれませんが、まだ詳細を承つておらぬという意味であります。十五号台風につきましても、報告が日に日に違つて参ります。十月八日までの現在におきましては、公共事業災害といたしまして、土木及び港湾、農林、水産施設等で約八百八億ということになつております。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 質問通告はいたしておりますが、とりあえず今申し上げようと思つておつた点が出ておりますから、関連して、その点だけについてお尋ねをいたします。ただいま加藤さんは災害被害総額を大体八百億程度であるという御発言をなさいました。本朝の新聞紙等の報道するところによりますと、八百八億五千万円と数字をあげて報告をいたし、なおかつこれは大蔵省において十三日これを認めた旨も伝えられておるのであります。しかるところなおこの被害額をさらに大蔵省は査定をいたした上、本年度内に八十億の災害対策の支出を必要と見ておる。こういうふうに言つておるのであります。すなわちこれによりますならば、事実上において災害に対するところの数字も一応持つておるし、対策に要する費用の支出も大体八十億と大蔵省は一応相場をつけておる。そういう事態でありながら、なお今後対策部の会合を開いて検討をされるということは、この八十億というものが暫定措置であつて、近くその対策部の会議の結果においては、さらに対策費を災害の実情に即して増額を企図される前提のもとに御検討になつておるやいなや。この点は非常に私重要であろうと思う。昨年の災害対策についてみましても、二千六百億を上まわる施設災害に対して、大蔵当局が実際上において査定を加えましたものは、二千億をわずかに上まわる程度にこれを押えて、事実上において法律を無視し、今日に至つておることは御存じの通りであります。いわんや本年の災害は非常に部分的であつて、昨年のように新聞紙上においても、他の重大事件が続発いたしましたために、比較的大きく取扱われておらないことは御存じの通りであります。そういつたいろいろな不利な条件が重なつておりますために、事実上その被害が深刻であるにもかかわらず、この対策が微温的であり、不徹底のそしりを免れない実情にあることは、本部長もお認めであろうと思うんです。従つてこの八百八億五千万円というものを基礎数字にし、本年度内に八十億円の災害対策費の支出を必要としておるということは、本部長はお認めになつたのであるかどうか。お認めになつたとするならば、今後の実情に即して、さらに飛躍的にこれを増額して完璧を期する御意思のもとに本部を運営されるのであるかどうか。そういう点を具体的に、基本方針をお示しいただきたいと思います。
  31. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 大蔵省が私どもの方に提出いたしました数字はここに載つておるのでございますが、私が数字を少しも知らせておらないというわけではありませんけれども、ここで正確に発表することはどうかと思つて遠慮いたしたわけでございます。この提出いたしました数字だけを申し上げますると、第五号まで、十二号から十三号まで、十四号台風、十五号台風、こうまぜまして、被害報告額が七百五十六億余、それから直轄の工事被害が五十一億余、それを合計いたしますと、ただいま御指摘になりました八百八億どれだけ、八百億余と私が申したことであるのでございまして、これは明日から開きまする会議において、もう少し正確を期したいと思います。これも刻々かわりますがゆえに、正確を期したいと思いますので、私が先刻約八百億くらいの被害であろう、こう漠然と申したわけでございます。明日より会議を開きましてこれらを検討いたしまして、十分なる対策を講じたい、こう思つております。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 それで大体わかりましたが、私の今お尋ねしておりますのは、八百八億五千万円の災害被害の総額というものをさらに内容的に検討されるための対策本部でありますか。新しく対策本部自体が御活躍なさいまして、そして被害の実体を正確に把握され、これを調整されて、さらに大蔵当局その他とこの対策費等を中心に卸協議をなさるための御検討でありますか。八百八億五千万円というものは、少くとも今回初めて出た被害数字であります。これが刻々にかわるという大臣の御答弁でありますが、かわるということは、私どもの理解するところでは増額して行く方向であろうと思うのであります。でなければこの八百八億の内部で、これをさらに御確認になるための御検討であれば、ここでわれわれが論議する問題じやないと思うのです。われわれとしてはもつとそれを前進させて、実態をよく把握されるための対策本部であり、そこから出たものが、国の方針として財政的な裏づけがこれに行われる。必要によつてはさらに臨時国会等の召集がなされなければならぬ、こういう考え方に私どもは立つておるのでありますが、本部長としては、この八百八億五千万円の第一次の災害被害総額を中心にして御検討になる御所存でありますか。さらに連絡本部を充実されまして、その機能を発揮されまして、さらに被害の実態を把握されて対策を前進せしめるための運営の方針をとられるか、私はそれをお聞きしたいのであります。元来今問題になつておりますのは施設災害が中心でありまして、農家のその他の所得災害に対する問題については、全然まだこれは取上げられておらない。これらを比べますと、今私どもが問題にしておりますのは、昨年の災害に匹敵すべき深刻性を持つておるということは、そういう所得の面からも推して考えました場合に、ただ単に施設の被害を中心にしてみて事態を判断するということは誤りである。少くともあなたが対策本部長として、施設に中心を置かれることはやむを得ないと思いますが、それと同様の意味において、農家あるいはその他一般罹災者の所得の激減に対する基本対策をもあわせ考えられなければ、本部長としての職責が全うできないと私は思うのであります。そういう意味において、総合的に見ますと、本年度被害は昨年の被害以上と私ども考えませんが、これに匹敵するような深刻なものを持つておる。しかも毎年々々被害が累積いたしまして、罹災者に与える影響は非常に深くして大きいのです。従つて従来の対策というようなことではなしに、さらに徹底した対策が講じられない限り、積年にわたる罹災者を救済し、その生産力の復興をはかり、所得を確保してその生活を保障するということは、私どもは困難であるように思うのであります。そういう趣旨から、せつかくおつくりになつたこの連絡本部長としての運営は、非常に重要な意味を持つておると思う。ただ単に、今まで御答弁になつたような趣旨でありますならば、何か印象としては、国民に対する一つのゼスチユア的な趣旨としかとれないような印象を持ちますから、その点をさらにこの数字に関連をいたしまして、御所信を承りたい。
  33. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 国民に対して一つのゼスチユアのためにやつたというような問題ではないのであります。これは誠心誠意この調整連絡をはかるということでございます。さよう御承知を願いたいと思います。また連絡本部が積極的に各問題について具体的にどうということは、連絡本部のただいまの機構といたしましては、それだけの能力を持つておりませんから、各省それぞれの立場においていろいろ計画して出して来る、それで最後の結論を私どもが与えたいと思います。さよう御承知を願いたい。ここが積極的に一々問題について調査研究することは、この機構ではなかなか困難でございますがゆえに、各省の持ち場において結論を得た考えを、われわれがさらにこれを検討して調整をはかりたい、こう思つておる次第でございます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 加藤本部長はいろいろ弁明されておりますが、本日の会議でこれ以上具体的な点をお伺いすることは、いささか勉強不足の本部長に対して無理だと考えるので、あまり深入りはしないことにいたします。問題はあなたが非常に安易な考え方で、本部長を受けられたかもしれませんが、今度の仕事は前国会において犬養さんが指揮権を発動されたあとで、あなたが法務大臣を幾ばくかやられたこととは違うのです。全国的に国民が深刻な災害を受けておる。それを今まで政府はまつたく放置しておるわけです。住むに家もなく、あるいは一年中苦労して働いても、冷害凶作等によつて飯米さえもとれぬという農家が、雪空を控えて不安のどん底に陥つておるわけなんです。ですからこれは一政府部内の問題ではなく、この本部長を引受けたという場合においては、相当重大なる決意でこの仕事を最後までやつてもらわなければならぬと、私は思うわけなんです。おそらくその決意はおありになろうと思いますけれども、遺憾ながらまだこの災害内容に対する実態の把握が乏しいように考えておるわけであります。たとえば保利農林大臣は、十二日に北海道へ出かけまして十五日に帰つて来るわけです。おそらく保利農林大臣は、北海道における十五号台風被害実相、あるいは冷害の度合いが、昨年よりどれほど深刻であるかという現実の姿を把握して帰つて来ると思うのです。ですから、そういう担当大臣現地災害地に出かけまして、現地を見て来るということが、かかる災害復旧の仕事を促進する一つの基礎的な要素になるのです。あなたはそのことを知らないでおる。ただ本部長をやれと言われたから漫然としてやつておるのだと言う、そういうなまぬるいことでは、この災害復旧本部は期待に沿うような仕事は何もやれぬと思うのです。おそらく最終段階においては、大蔵省の鼻息をうかがいながら、十分なことができぬで野たれ死にすることをわれわれはおそれるわけであります。どうか加藤国務大臣は、十分ふんどしを締めて、この連絡本部という名前であつてもやむを得ませんが、昨年の災害対策本部と同じような実質的な成果をあげることができるような仕事をやつてもらいたい。そのことを委員会において確言してもらいたいと思いますが、そういうような決意がおありになるかどうか、その点を御表明願いたいと思います。
  35. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 決して私は安易な気持でやつておるわけではないのでありまして、誠心この災害に対してできるだけの努力をいたしてみたい、こう思つている次第でございます。  ただ私が災害本部ができましても、ここにこうやつておることが漫然としておるような印象を与えるかもしれませんけれども、それぞれ農林省といたしましては、農林大臣みずから北海道へ行つて現地を視察いたしておるのでございますし、かつまた従来におきましても決して放置いたしておつたわけではないのでありまして、建設大臣は各地へ行き、農林大臣及びそれぞれの担当職員は、各地へ行つて現地を視察して、十分対策を練つておつた次第でございます。ただ私がまだ機構も——機構はできましたが、部員もきまらぬうちに、北海道へ走り九州へ走つておりましては、全体がどうかという考えから、農林大臣が帰りましての報告も聞き、また各地の報告も聞き、私もすきがありますればできるだけ現地におもむきまして、その実情を見、実態を把握いたしまして、本部長としての職責を全ういたしたいと存ずるのでございまして、諸君の御協力を希望いたす次第でございます。
  36. 川俣清音

    ○川俣委員 時間の制約がありますので議論はやめまして、お尋ねだけにいたしたいと思います。  加藤国務大臣のお仕事の対象になつております十五号等災害連絡本部、この災害といい、あるいは被害という言葉を混同してと言いますか、どちらも同じようにお使いになつておりますが、災害または被害の対象になるものは何であるとお考えになつてお仕事をおやりになるつもりであるか。あなたの任務であります被害災害の対象は何を求めておられるのでありますか、この点をお尋ねいたします。
  37. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 十五号台風でございますがゆえに、十五号台風における自然の被害でございます。
  38. 川俣清音

    ○川俣委員 十五号台風によつて起つた被害と言い、災害と言い、あなたは両方の言葉をお使いになつたが、私は同一の言葉だと理解いたします。その災害被害という対象は何でありますか。対象がはつきりしなければ対策は立たないはずであります。何を対象にして被害と言い、災害と言われるのでありますか。
  39. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これは公共の施設及び農産物その他人の被害ということでございます。その定義は私ははつきりいたしませんが、要するに公共施設、土木及びその他の施設、農林省関係の農産物ということでございます。その他火災——北海道における火災、要するに十五号台風に関して、直接間接を問わず、できたところの被害、こういう意味に解しております。
  40. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、いわゆる施設災害のほかに経済上の被害、あるいは人的被害、そういうものも全部含めて、台風等による冷害も含めたすべての被害について対策を講ずる、こういう御説明ですが、その通り理解してよろしゆうございますかどうか。
  41. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 さよう御承知を願います。
  42. 川俣清音

    ○川俣委員 今述べられました災害は、施設災害だけが対象になつておる。今後施設災害以外のものも調査をしてその対策を立てられる、こういうふうに理解するわけですが、そういたしますと、従来の施設災害に対しましては、前例があり、法律がございますので、あえて立法手段を講ずる必要はないと思う。ところがその他の補助助成が加わりますような対策をもあなたのところでおやりになるということになりますならば、立法手段を講じなければならないはずでありますが、その点はどのような御見解でおられますか、この点をお尋ねいたします。
  43. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これは私が本部の機構に基いて命ぜられたのでありますがゆえに……。(「機構を聞いているのではない」と呼ぶ者あり)機構の一部を申し上げて御参考に資したいと思います。この機構の範囲において私は職務をとるのでございます。十五号台風以外の災害についても、必要な限度において、さしつかえないと思つたことにおいてはこれを取上げる、こういうことになつております。
  44. 川俣清音

    ○川俣委員 私の質問に対するあなたの答弁は、施設災害以外のいろいろな問題をもまた取上げるのだ、こういうことですね。取上げるということになりますと、ご承知のようないろいろな立法手段が必要になつて参ります。今まで補助助成の対象にならなかつたもの、法令等において適用できないものも対象の中に入るはずでありますから、従つて立法手段が必要になつて来るであろう、こういう点をお尋ねしているのです。立法手段に及ぶようなことはあなたの所管外だ、こういうお考えならばそれでもよろしいのでありますが、さつきからの答弁によりますと、そういうものもみな対象になるのだ。対象になると言うからには、責任をもつて対策を講ぜられるのでありますから、立法手段をとられなければならぬ。こうなんです。これはあなたに教える必要はないのでありますけれども、ここまで聞かないと御答弁になりかねるようでありますから、ここまでお教えしながら御答弁を求めます。
  45. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 立法措置が必要になるかどうかというような問題があるようになりますれば、いずれ部員の会合も開きまして、そういう必要が生じた場合はそういう手続もとりたいと思います。
  46. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、今の施設災害以外に、足鹿委員からもお尋ねがありましたような、たびたび災害が起き、あるいは冷害等によつて被害が起き、それで農村経済の上に、あるいは地方財政の上にいろいろと間接的な被害が起つて参ります。そういたしますと、それをも含めてあなた方はその任務を遂行せられる、こう了解してお尋ねするのですが、現状の平衡交付金にいたしましても、今の交付金にいたしましても、あるいは学童等の給食費の引上げにいたしましても、非常に広汎になつて参るのです。そういたしますと、大蔵省で今考えておりまする、いわゆる施設災害だけが対象になるんだということで予備金支出をいたしておるようですが、予備金支出ということになりますれば、施設災害以外には考えられないのです。台風による施設災害については、これは予備金から支出をするという前例もございますし、またかつてもやつて参りましたから、これはよろしいでしよう。しかしながらそれ以外の広汎なことになりますと、はたして予備金支出でできるかどうかということになりますれば、これは多くの学者や今までの大蔵省の答弁によりますと、予備金支出ではできないという答弁をいたしておるのです。予備金支出でできないということになりますれば、補正予算を組まなければならないということになると思うのです。そこで補正予算を組むということになりますと、これは臨時国会を開かなければならないということになると思う。そこでいろいろ委員諸君が、臨時国会を開かれる意思があるのかどうか、出て来た場合においては開かざるを得ないではないかという質問をされるのもここから起つて来ておると思うのです。この点についてもう一度御答弁を願いたい。
  47. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 いかなる問題をこの本部で取入れるかというような問題は、先刻申したごとく部において研究いたしまして、入れるべき問題がありましたら入れますし、入れる必要がないという場合は入れないことは申すまでもないのでございます。しかして今までの災害報告だけによりましても、昨年の災害におきましても、一部におきましては水増しの被害報告ども相当あつたのでございまして、これを調査いたしますには相当の時日を要することであろうと思います。そこでそれまでの間、わずかの期間でございますがゆえに、予備金その他のつなぎ資金によつて応急措置はでき得ると私ども考えておるのでございますので、今ただちに臨時国会を開かねばならないという必要はなかろう、こう存じておつて先刻来御答弁をいたした次第でございます。
  48. 川俣清音

    ○川俣委員 これは重大なことなんです。予備金でつなぎ資金を出すということになりますと、将来大体こういうものに出すという前提のもとでのつなぎ資金ですね。将来考えられないことに対すつなぎ資金というものは出るはずはないのです。そうすると今考えられるということになりますと、従来から考えられます前例もありますし、現在の法律の範囲におきましては、予備金支出というものは施設炎害のほかできないということになるのです。ところがあなたは、対象になつておるのは施設災害ばかりではないという御答弁ですから、それを信用してお尋ねしておるのです。そうすると、施設災害以外のものを含めるということになりますと、予備金ではいけないし、補助金、助成金ということになれば法律の必要が出て来る。これは明らかなんです。どういう法律にするか、あるいは三割にするか二割にするかというようなこと、あるいは五割にするかは検討の余地はもちろんあるでしよう。しかしこれは、立法府として法律をつくつてあなた方に委任しております法律の範囲内におきましては、予備金支出というものは、これは施設災害に対するつなぎ融資よりほかに方法がないのです。これを逸脱することになると、立法機関をないがしろにするというそしりを免れないし、憲法違反の問題も出て参ります。そこで憲法の範囲内において内閣が責任を持つて国政を執行するからには、どうしても臨時国会を開かなければならないということがあまりにも明らかではないですか。あなたの範囲が、施設災害のほか受持たないというならば、それはその通りの御答弁でいいでしよう。しかしそれ以外も含むというように大いに意気込んで誠実さを示して御答弁になつたからには、これに対する何らかの御回答がなければならぬはずですが、どうでしよう。
  49. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 予備費の支出というものは必ずしも施設災害のみに限局しておるということではないのであります。もしいろいろの問題がありますれば、今後この本部においていろいろ研究いたしまして、それぞれ適切な結論を見出して行きたいと思います。
  50. 川俣清音

    ○川俣委員 今加藤国務大臣は、おそらく国務大臣として御答弁になつたと思うのです。今うしろからの事務次官か何かのさしがねで御答弁になつたとは私は思いません。一度国務大臣の答弁として出ました以上は、これはやはり国務大臣の言葉だと信じなければならない。かつて臨時国会要求があつた場合、あるいは予備費の支出についてわれわれが大蔵当局に迫つた場合において、大蔵当局の答弁によりますと、この予備金というものはむやみに出すべき性質のものではないのだ、これは会計法で厳重に規定せられたものである。従つて施設災害以外には出し得ないものだという見解を述べておるのです。そうじやないということをあなたが言われるなら、私はそれを了といたします。大蔵事務当局は事務当局でありまして、これは政府の行政の命に従わなければなりませんから、今の御答弁を訂正されないで、国務大臣の責任をもつてどこまでもそれを遂行せられますかどうか。この点もう一度お願いいたします。
  51. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 法律上は出し得るのでありますが、従来大蔵事務当局としては施設費以外にはなるべく出さないように努めて来た、こういうことでございます。
  52. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは非常にいい御答弁を得たわけです。今まではなるべく出さなかつた、これは会計法だということで、それに腰をすえてなるべく出すまいとした。しかしながらここで対策本部ができました以上は、そういうことの前例を破りまして、勇断をもつてこれを行う。従いまして将来法律ができなければなかなか支出できないのだという口実は、それでなくなつたと善意に理解してよろしゆうございますか。
  53. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま御答弁いたした通りであります。
  54. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、災難が起つたような場合における医療施設、医療機関の動員等につきましては、予備金から出したことはないではないか。今までの予備金の出し方は、各省の中の予備金というものからおもに出さしておつた。それでまかない切れないときでありますと何かの立法手段を講じなければならないということで逃げておつた。農林省の持つておる予備金の中でそれらを出すべきだ、あるいは厚生省の予備金の中で出すべきだということで、大蔵省の持つておる国の全体の予備金からはなかなか支出しなかつた。しかしながらそういうことはあえて今後できるという言明を得たのでありまするから、そこで私は問題を新しく提供いたします。今度の台風は、雨量を比較的十分持つておりませんために、公共施設の災害は比較的軽く済んでおります。しかしながら昨年も被害を受け、今年また続いて被害を受けまして、農家経営の上に大きな打撃を受けておる。農家経営の上に大きな打撃を受けますと、町村財政の上に大きな打撃をこれまた受けざるを得ない結果になつておる。町村財政の上に大きな影響を与えるということは、結局県財政の上にも大きな影響を与えつつあるようであります。北海道の道政の上から見まして、あるいは町村財政から見まして、今後何らか政府の手をまたなければ、町村自体がやつて行けないという事態が起つて来ておる。これは町村の役場吏員の給料の遅配、あるいは小学校教員の遅配を初めといたしまして、町村財政が消防用のガソリンすら買うことができないような事態にまで追いやられております。青森県に参りますと、県の収入財源でありましたりんごの打撃のために、県財政がなかなか立つて行かないという窮境に追い込まれております。そこでこういう事態に対しまして、この県財政に対する窮迫についてやはり措置をとらなければならないというふうに大まかにはお考えになつておると思いますが、この点いかがですか。
  55. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 政府といたしましては、あらゆる災害に対しまして、全能力をあげていろいろ救助いたしたいと思つておりまするが、大局的に見て、国家財政の見地において見なければならぬのでございまして、気持はできるだけいたしたいと思いますが、それがはたしてどれだけできるやら、どのところまで今度の手を延ばすべきかということは、本部においていろいろ研究した結果、これを決定いたしたいと思います。
  56. 川俣清音

    ○川俣委員 なるほど予算の範囲内において行うということになりますと、今御答弁になつたようなことになると思います。しかしながら国の財政をきめるのは、政府ではなくして国会であるはずであります。従いまして国会の承認を求め、国会の意思を求めて、この対策を講じなければならないということになりますと、先ほどから申し上げたような、臨時国会を開くということにならなければ、真の対策はできないと私は思うけれども加藤さんはそうお思いにならぬか、この点です。
  57. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 この点は川俣君と少しく所見を異にしておりまして、今ただちに臨時国会を開く必要はなかろうと思います。
  58. 川俣清音

    ○川俣委員 今ただちに開かないといたしましても、そういう事態が起きたときには開かざるを得ない。特に成規の手続をもつて臨時国会要求しておるのでございますから、それに即応いたしまして開かなければならないということは、漸次被害の判明次第そういうこともあり得るというように理解してよろしゆうございますか。
  59. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 先刻来お答えいたした通りでございます。
  60. 井出一太郎

    井出委員長 福田喜東君。
  61. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいま災害対策についてお話がありましたが、加藤国務大臣にお願い申し上げたいのは、災害対策と申しましても、結局対象を限定して、被害というものをよく調査して、それに対して救済の手を延べることが中心だろうと思います。そこでその対象の限定と被害につきまして、科学的調査を行うことが一番の急務であろうと存じます。ただいま川俣委員から施設災害に対する予備費の問題についてお話がありましたけれども、こういうものの根底をなす災害の対象と、その被害の科学的調査ということにつきまして、とくとその範囲、深さというものをよく御調査つて、法律上、技術上の点も総合して御調査を願い、そうしてそれに対する対策を立てていただきたいと思うのでございます。二十八年度災害にあたりましては水増し調査があつたということを申されましたが、もしそういうことがありますならば、台風等による被害に便乗いたしまして水増し調査をすることは、厳に慎んでいただきたいのでございます。この点は、災害県たる、直実に被害をこうむつたところに対しまして非常な侮辱となるわけでございまして、今回の台風は、十二号を中心といたしますならば、その範囲面積は昨年度の西日本に起りました災害と比べますと、あるいは狭いかもしれません。しかしながらその深度におきまして非常なる深さがあり、二十八年度被害とは比べものにならぬと思います。現に南九州の宮崎、熊本、大分等における農林関係災害は、ほとんど壊滅的の打撃をこうむつておりまして、現在においてもまだ自衛隊が出動しておりまするし、空中より食糧を投下しているということもつい最近までの実情だつたのであります。また川俣委員も言われましたように、今回の災害は、南九州の場合におきましては農林関係が主でございまして、この点におきまして、連絡本部がその中心を十五号に置いたということは、十五号以下の他の災害の扱い方が、主物に対する従物の扱いを受けざらんことを特にお願い申し上げておく次第であります。この点につきまして、あるいは予備費といい、あるいはその他の予算措置といいましても、臨時国会を開くとか開かぬとかいう問題でなしに、被害地につきまして、真剣にその深さとその対象というものをよく御認識していただきまして、この点について対策を立てていただきたいのでございます。これについて御所見をまず承りたいと思います。
  62. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま福田君の述べられた通りでありまして、政府といたしましては、誠心誠意被害調査をいたしたいと思います。
  63. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私は、これから後の問題は羽田さん以下統計部の方に申し上げたいのでございますが……。
  64. 井出一太郎

    井出委員長 それはあとにしていただきます。  中澤茂一君の関連質問を許します。
  65. 中澤茂一

    ○中澤委員 第一点は、このごろ保利農林大臣が当委員会で、この連絡本部は昨年の対策本部と全然かわらないという答弁をしておる。あなたの言うことはこれと食い違つておる。閣内不統一いかん、これが一点。それから第二点は、足鹿委員質問の、八十億を事態によつて増額する意思ありやいなや、これが第二点。それから第三点は、昨年の凶作対策を知らずして、本年の災害対策は立たないのであります。それはたとえば二百二十億の昨年の営農融資に対して、ただちに凶作の農作物災害のひどいところに何らかの立法措置をとらなければならないというこの現実の事態に対して、あなたはどのように考えるか、この三点。
  66. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 保利農林大臣がどういう答弁をされましたかよく存じませんが、まだこの連絡本部のできる前のことではないかと思いますが、精神は同様のことであると考えております。それからあとの問題につきましては承つております。八十億の問題につきましても、ただいまのところは、それでよかろう、こう存じておりまするが、もしそれで足らぬというような場合がありましたならば、これはよく研究いたしまして、その臨時の措置をとります。
  67. 中澤茂一

    ○中澤委員 第三点の二百二十億は立法措置をしなければこれはどうなるか。去年の営農資金……。
  68. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 その問題はよく研究いたしましてまた……。
  69. 井出一太郎

    井出委員長 それでは加藤国務相に対する質疑はいずれ他日を期して続行することにいたします。福田喜東君。
  70. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それでは私は羽田さんに作況のことを中心としてお尋ねいたしたいと思います。北海道における被害も、芳賀委員その他の御報告によりますれば非常に大きいようでございますが、これは十二号台風までの農林省報告によりますると、三〇%の被害減収高であつて作況指数は七〇%となつておるわけでございます。さらに鹿児島におきましては、あれだけの大被害を起しておりながら作況指数は一〇一%となつております。宮崎はわずか二〇%の減であります。大分はわずか一〇%足らずの減となつておりまするが、この点羽田政務次官におかれましては、統計調査部の調査がはたして妥当であるかどうかをどういうふうにお考えになつておられるか、その点を承りたいと思います。  そこでまずお尋ねいたしたいのでございまするが、先日芳賀委員の御質問に対しまして、羽田次官はこういうことを御答弁になつております。十月十九日に行われまする県別の割当につきましては、九月十五日現在の作況だけによるものではなくして、その後の情勢の変化を加味してということを言われております。その後の情勢の変化を加味しまして十月十五日現在の作況を集計した上で十月十九日に割当をしたいと思うということを言われておりますが、この点に関連いたしまして、ただいまの質問に対しまして御答弁を承りたいと思います。
  71. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 ただいまの第一の点でございますが、皆様のお手元に差上げました作況指数は日を、限定いたしまして、そのときを基準といたしましての数字でございます。従いましてその後の災害につきましては、その後減収のものがやがては出て参る次第でございますから、これに実際と今の出て来た数字が食い違う点について御疑問は、もう福田さんの御承知通りでございまして、その点御了承をいただきたいと存ずる次第でございます。なお第二点の、十九日に食糧庁、大臣から割当てまする各県の義務供出の数字でございますが、これは先日も申し上げました通り農林省としては、一つの統計調査部がつくりました数字を腹に入れて、そうして各県知事からの、各県からの要望もございますし、実情もよく先日来食糧庁長官が聞いております。それからまた、こちらの機関といたしましても、食糧の調査が作報の以外にもございますので、そういうようなものを総合しまして、妥当な数字を出して御協力を各県に得たい、こういう考え方でおります。
  72. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私はよその地方のことはよく存じませんが、この作況指数、つまり統計調査部でつくりましたこの数字は、十二号台風の前のやつは、一応統計調査部の指数を私は了承をいたしましても、十二号台風被害につきましては、はなはだ私は疑問なきを得ない、九州のこと、ことに大分のことを、私は地元でございますのでよくわかつておるわけでございますが、この十二号台風被害は、例を私の県にとりまして恐縮でございまするが、大分県の例をとりましても、十二号台風被害を見て九一といたしましたことにつきましては、その科学的調査にも多大の疑問を抱かざるを得ないわけです。これを品種別に見ましても、たとえば大分県は五万町歩のうち晩稲は七七%の作付である、この面積は三万九千町歩であるわけです。それに十二号台風に基きまして、いわゆるフエーン現象、大分県ではまことに稀有のことでございます。このごろの話によりますと大正四年にあつたかということを承つておりまするが、その後今日まで例がなかつたのでございます。それがこのフエーン現象に基きまして、広汎なる面積を侵されまして白穂の波と化したわけでございます。それによつてもみずれが起つて来たのであります。自分の調査によりますと、作況指数というものは、大分県の場合におきましては、きわめて甘く見ましても七〇%程度であるわけであります。なぜかと申しまするならば、これはいわゆる遅行分けつにただ一つの望みをかけておつたわけであります。しかもこの遅行分けつということも気温の急激なる低下によりまして、ほとんど登熟が不可能となつたわけです。またもみずれは、これは現実の場合におきまてしは試験場の調査等におきましても収量はほとんど望めない、また統計調査部におきしまては、部長さん以下委員会にかけたとか何とかということをおつしやいますが、私は委員会にかけたということでもつて数字の確実性を証するものではなかろう、数字というものは私は実況を最も伝えるものでなければならぬ。実況こそ数字の基礎であるべきであると私は信ずるのであります。委員会にかけたからといつて、この数字実相を伝えるところの真実性は立証できるものではないと私は信ずるのでございますが、この点について御意見を承りたいと思います。
  73. 原政司

    ○原説明員 ただいま福田先生からの御質問に対してお答えいたしますが、大分県の災害につきましては、先生方が今おつしやいました通りでございます。私らといたしましては、先般も御説明申し上げましたように、作況調査報告あるいは被害調査報告等、被害の実態推計が学問、技術的に不可能なように聞いておるのでありまして、それにつきましては相当の株数をランダムに抽出いたしまして、一株々々また区域別に調査をいたし、またその中についておりまするもみにつきましては、それぞれその変色、もみずれの程度等を実測いたしまして、その結果を各県集めまして、部長が申し上げましたようにそれぞれの専門家の検討も得、さようにいたしまして最後の結果を御報告申し上げておるのでございます。なお鹿児島県その他の例も御引用なさいましたが、御承知のように私の方の平年反収と申しますのは、昭和元年から二十八年までの二十八箇年の統計の反収によりまして、その間統計学的に見まして非常に偏差のはげしい特定の年次を除きました——全国的に申し上げますとそれが六箇年ございますが、六箇年の統計学的に豊凶のはなはだしい年を除きました残余の年次から平均値を算出しております。さような関係でございますから、鹿児島その他の台風がしばしば参ります地方におきましては、すでに平年反収のベースに台風というものがかなり加算されておるといいますか、含まれておる、かようなものが一つのべースになりますので、ごらんをいただきました際に一つの奇異の感をお抱きになるのではないか、かように推察をいたしておるのでございまして、私らといたしましては、ただいま申し上げましたような前提のもとにまた調査をいたしまして、実情の的確な把握ということに努力いたしておるわけでございます。
  74. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいまの原さんの御答弁でございますが、計算の方法がどうであつた、数字をこの紙に記載するに至りました経緯、いろいろな事務上の手続もございましよう、調査の方法もございましようが、ただいまの御説明にもございましたごとく、要は現在の実情と実勢が数字の上に的確に代表できるような姿にするというのが統計調査の任務であろうと私は存じます。そこでいかに複雑な計算方法を用いようとも、いかなる方法を用いようとも、数字が実情を表わすようにしていただかなければならぬと私は存じます。また原さんの御説明は、要はそこに帰着するものだろうと思います。数字がいかに複雑な過程を通つておりましても、それが実際を示しておるものでなかつたならば、これは私は無価値のものであると存じます。おそらく原さんもそういうことを述べられたものと私は了承しておるわけでございますが、そうでなかつたならば御答弁をいただきたいと思います。  次に、先ほど私が羽田次官にお尋ねした中に、情勢の変化ということを羽田さんが御答弁なさいましたが、その点を再び引用することをお許し願えるならば、この情勢の変化ということはいかなることを意味するか、この情勢の変化なる事柄は、芳賀委員も先日言われたごとく、あくまでも科学的調査に根拠を置いて、その実態をよく示すものであるということに私は賛意を表するものであります。しかりとするならば、大分のもみずれによる減収ということにつきましても、やはり科学的調査を十分やるべきだと私は信ずるのでございますが、この点についての御意見を承りたい。  次に、これも先ほど申しましたが、十月十五日現在の作況と十九日の割当までの間にわずか四日しかないのであります。このわずかの期間しかないという現実の前におきまして、はたしてその間に科学的調査に農林当局は自信ありやいなやということを、私は伺つておきたいのでございます。
  75. 野田哲五郎

    野田説明員 十月十五日の調査につきましては、これは十月末ないしは十一月の一日あたりを発表日と予定しておりますので、このたびの十五日の供出割当につきましてはこれは利用できないと思います。  それから情勢の変化に応じてという問題でございますが、これは先ほど政務次官からもお話があつたと思いますけれども、九月現在の指数は九月十五日現在の時点をとつて示したものでございます。但しその後に起りました災害につきましては、九月十五日現在からその災害被害分だけを引いて行くというような、いわば木に竹を継いだような方式をとつておるわけでございまして、実際それらのものが総合されまして次の段階にできますものは十月十五日でございます。
  76. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいまの答弁と羽田さんの答弁とは非常に食い違いますが、よろしゆうございますか。十月十五日というのは、情勢の変化に対するあなたの答弁と、羽田政務次官の答弁と非常に違つて来ます。これはゆゆしい一大事ですが、いいですか。私は先ほど羽田次官の答弁を聞いて満足したのでございますが、次官の答弁を部長さんが訂正したことになりますか、どうですか。これは非常に問題ですよ。
  77. 野田哲五郎

    野田説明員 御指摘でありますが、さほど食い違つておるとは考えておりません。情勢の変化というものを調査いします場合には、われわれとしまして、原則として一定の時点をとつておるわけでありまして、その次の時点におきまして情勢の変化はさらに明らかになるわけでございます。その作況の定期的調査の時点間の問題につきましては、われわれの約束といたしまして、被害が大きく起きました場合に被害調査をやつて行く、その被害を近接の時点の調査とからみ合せまして、そのときの情勢を判定する、こういう方式をとつておるわけでありまして、あくまで情勢の変化に即応して行くという根本精神はかわらないのでございます。
  78. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今のあなたの答弁によつてさらに自分の考えが修正されたようなことになりますが、先日来の羽田さんの答弁について私はここに写してありますが、農林次官はこういうことを言われたのです。十月十九日の県別の割当は九月十五日現在の作況だけによるものではない、その後の情勢の変化を加味して、十月十五日現在の作況を集計した上で十月十九日の割当をしたいと思う、こういうことを述べられておる。それに対して私はこういうことを申し上げたわけでございます。その後の情勢の変化とはどういうことを意味するか、芳賀委員の言うごとく、これはあくまでも科学的調査に根拠を置くということでなければならない、科学的調査とは何か、いかに実態に接近せしむるか、実情を代表するごとき数字にするか、このためにあらゆる方法を講ずるということでなければならぬ、そこで私はその次に、大分の場合では、もみずれによる減収ということについて科学的調査云々ということを言つておられるが、これははたして十分できるか、なお十月十五日現在の作況と十九日の割当までわずか四日しかないが、今言つたような科学的調査ほんとうに自信が持てますかということを言つておるわけであります。そうしたところが、あなたは現在数字に縛られて実態の方がおろそかになるような答弁をせられたが、これでは私は満足できないということを申し上げたわけであります。
  79. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 ただいまの私の答弁と野田部長との答弁の問題でございますが、昨日のは私がちよつと間違つておりまして、十月十五日付でということを申しましたのを、すぐ私の答弁の後に補足的に野田部長から、十月十五日でなくて九月十五日であるということを修正して御答弁を申し上げた次第でございまして、従いまして十月十五日から十九日ならなるほど四日でございますが、九月十五日から十月十九日でございますから、相当の時間もございます。その間は科学的でかつ実情に合うようなふうにして府県知事の十分納得のいく数字で、しかも公正なところで御協力が得たい、こういう次第でございますから、初めの私の答弁の十月十五日というのは間違いでございました。その点は私が間違つておりますから御了承願います。
  80. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私もはなはだつらい立場でございまして、要するに、私自身は科学的調査云々ということを申しました——数字を基礎にしての割当は県別の割当でございますからして、私はこの点につきましては、数字にとらわれることなく、よくその被害の実態と——本年のごとく災害対策本部までできておるときにおきましては、数字のための割当でなくて、被害の実数というものをよく調べた上での調査でなければならぬ。私は、作況指数というものは被害の実態をよく示すものでなければならぬということを、ほかの委員とともに確信するものであります。従いまして私は、何月何日がどうのこうのと言うのではございません。この被害状況というものをよくにらんで、これにとらわれることなく、農林当局が割当をされることを望むものでございまして、むしろ率直に羽田政務次官が一番最初に言われた答弁こそ、その実相をよく現わすものではなかろうかと、私自身は確信いたしております。
  81. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 その数字の問題は別といたしまして——その点は修正しましたが、あなたの御趣旨の通り、実際の被害の実情に合う、実態に即した割当をしなければならぬというふうに考えております。
  82. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 どうぞひとつお願いいたします。
  83. 井出一太郎

    井出委員長 午前中の会議はこの程度にいたし、午後一時半より再開をいたしまして続行いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  84. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  愛知通産大臣がお見えになりましたので、農業用電力問題あるいは肥料問題等について質疑を行います。大臣は明後日外国へ出発をされるという御予定もありますので、きようはおよそ三十分くらいの時間という制約のもとに質疑をお願いしたいと思います。川俣清音君。
  85. 川俣清音

    ○川俣委員 通産大臣が先般の委員会へおいでになりまして、電力料金の値上げによつて農村並びに肥料等に影響を及ぼすことのないように配慮しておるという御答弁があつたわけであります。私ども愛知通産大臣の誠実なる答弁を了といたしまして、質問を打切つてつたのでありますが、肥料審議会の経過並びに今日の懇談会の様子を見ますと、もう即刻値上げをするような懇談をしたいという申入れのようでございまして、われわれ意外とするところでございます。これらについて何か御弁解がありますならば承つて、後質問をいたしたいと思います。
  86. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお尋ねの点につきましては、当委員会におきまして御答弁申し上げましたあとの経過をひとつ御説明させていただきたいと思いますが、よろしゆうございましようか。  硫安工業に関する電気料金の改訂でございますが、ただいま御指摘がございましたように、今回の電気料金の改訂及び割当制廃止による硫安工業に対する影響を極力軽微にとどめますため、通産省といたしましては、ただいまも各電力会社と硫安各社との間で折衝中の特約の適切な運営指導に務めることによりまして、所定の生産計画遂行に必要な電力の量と質を確保いたしまするとともに、その料金単価の値上りも、各地区平均値上げ率以下にとどめるように配慮をいたしておるわけでございます。また将来の問題といたしましては、電力各社の税金や金利等につきまして、相当程度その負担の軽減措置を講ずるように努力いたしておるのでございます。かような努力をいたしておるのでありまするが、ただいまのところ、現在の見通しといたしましては、硫安工業に対しましても一かます当り数円程度の値上りはどうしても避けられないのではないかと考えておるような次第でございます。電気料金の改訂によりまする硫安コストの上昇を理由として、基準価格の引上げというようなことを考えているのはどういうわけであるかというただいま御趣旨のお尋ねがございましたが、その後の本件の取扱い方につきまして御説明申し上げますと、肥料審議会に政府の諮問案を提出いたしましたのが八月末でございます。その八月末ごろにおきましては、一般の電力料金の改訂率も最終的にはまだ明らかになつておりませんでしたし、またその時期も明確ではございませんでしたので、政府諮問案の八百二十八円というものには、当時も申し上げましたように、電気料金の打上げによるコストの増高分は織り込まなかつたのであります。しかしながら将来の電気料金引上げによる影響等につきましては、先ほどもちよつと申しましたが、特約制度の運用等によりまして極力軽微にするように努力することといたしまして、各硫安会社等も非常にこれは迷惑のこととは考えたのでありますが、政府諮問案八百二十八円の範囲内におきまして、何とかさらに企業努力で忍んでもらうよういたすつもりでおつたわけでございます。肥料審議会でその後慎重なる審議が行われました結果、その答申は、すでに将来の企業努力による相当のコスト低下も織り込んで決定したつもりでありましたところの政府原案の八百二十八円に対しまして、さらに六円という相当大きな企業努力を要請することといたされて八百二十二円に決定を見たのであります。しかしながら同時にこの八百二十二円の答申の価格につきましては、電気料金改訂による生産費の上昇は含まないものとし、従つて電気料金を改訂による生産費のやむを得ない上昇はこれを将来認めるものとして、政府においてその成案ができたならば、でき次第すみやかにこれを審議会に諮問させることにするという申合せがなされたわけでございます。そこで政府におきましてもこの審議会における申合せの趣旨に従いまして、目下鋭意計数の整理等をいたしておりますので、最近の機会にその成案を得ることができると思いますので、その成案を審議会に諮問いたしまして御審議をお願いいたしたい、こういうふうに考えておりますのが今日の状況でございます。
  87. 川俣清音

    ○川俣委員 一応の経過を承つたのですが、電力会社もコスト主義をとり、それから硫安工場もコスト主義をとる。そしてそこに硫安価格というものが形成されるわけでありますが、なるほど硫安の電解法がありガス法がありまして、電解法におきましては特に重要なるところの生産要素であることは、私どもこれを認めざるを得ない。従いまして電力料金を織り込まない価格を審議会にかけるということ、あるいは本委員会等におかれましても、重要な要素を初めから問題にしないでかけられたのでありますから、われわれといたしますならば、一応この中で十分消化できるものと、こう考えざるを得ないと思うのです。これが微量な生産要素でありまするならば、これはどちらでもいいと思うのですけれども、何と言いましても、硫安における電力というものは重要な要素であります。これは見落してはならない重要な要素でありまして、この価格の移動が硫安に影響することはこれはもちろん当然なんです。そこで、これだけの重要な要素であるからして、電力料金がはつきりきまつてからこれを最終決定をしようじやないかということに対して、なかなか特約内容というものは、一般の電力料金値上げがきまつても、特約内容に至りますと、そう早急にはきまらぬということが一点。また特約内容がかわつて参りますと、やはりメーカーに及ぼす影響が個々に違う。地域的にも離れてますために個々にはなはだ違うのであるから、そう早くは決定できないということで、先月二十二日にきまつたと思うのです。ところが今もうきめられるようなデータが出て来るのであれば、ほんとうは一箇月延ばしておりましても、大した支障はなかつたんじやないか。こういう根本的な改正をするということになるならば、もつと延ばして今日きめてもよかつたのではないか。こう思われるのですが、この点に対する大臣のお考えを伺いたい。
  88. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはメーカーの方の関係ももちろんでございますし、一般に早く価格をきめてもらいたいという空気が相当でございましたので、政府側といたしましては、できるだけ早くきめ得るところはきめていただきたいと考えまして、審議会の審議等につきましても、急いでいただくように懇請をいたしたような次第でございます。
  89. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣の前の答弁の中に、特約内容が一部決定し一部まだ残つているような御答弁でございましたが、私ども仄聞するところによるとまだ二、三の会社が確かに残つているようであります。しかもこれは一つのラインの中にある会社が残つているようであります。まだこれをきめるのに一週間や十日以上かかるのではないかと想像せられます。大臣は明日お立ちになるということで、早急に懇談会を開きたいということですが、こういう重要な要素というものは、十分でき上つてから懇談会を開くのが私は妥当じやないかと思う。ごくわずかな、価格に大した影響をしないようなものでありますなら別ですけれども大臣も言われる通り、数日というものは相当大きな額であるということは、消費者にとりましてもメーカーにとりましてもそうなんであります。従つてその大きな額を動かすということになりますならば、相当の資料を出されて、根本的にこれを改正する必要があるかどうか、ただ電力料金のバツク・アツプだけでよろしいのかどうかということも検討されなければならないのではないかと思う。そうなつて参りますと、これが政治的にいろいろ問題があるとしますと、大臣の留守中にきめるべき問題でなくして、お帰りになつてからきめることの方が妥当ではないか。今暫定価格があるのですから——暫定価格でなく本価格でしようが、バツク・アツプの問題を考えるというと暫定にもなりましようが、いろいろな政治的に裁断を下さなければならぬ問題も含まれていると思う。これは十分御承知だと思う。従つてお帰りになつてからでもいいのじやないかと思いますが、この点について御答弁を願いたい。
  90. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はこの際御報告いたしたいと思うのでありますが、この九月の二十二日に、肥料審議会とせられては政府側に対しまして生産者販売価格の決定について答申をしていただいたのでございますが、それに伴います審議会の申合せ事項とせられて、本価格には電気料金改訂による生産費の上昇を含まないものとし、従つて電気料金改訂による生産費のやむを得ざる上昇はこれを認めるものとし、政府が成案を得次第すみやかに審議会に諮問するものとすること、こういう申合せができまして、これをあわせて政府側に対しましてもお申入れになつたわけでございますから、政府といたしましては、成案を得次第すみやかに審議会に諮問申し上げなければならない、こう考えているわけであります。  それから次に、ただいまお尋ねがありましたが、実は鋭意この計算等について努力いたしておりますので、もうこの段階におきましては、大体そろばんが出て来たと申し上げてもよろしい段階に立ち至りました。そこで研究の成案を一日もすみやかに審議会の方にお諮りをして、御説明をいたしたい、御審議も願いたい、こう思つておるのでございます。それからたまたま、これは本件につきましては、まことに申訳ないのでございますが、私自身が出張することに相なりましたので、率直に申しまして、できるならば、せめてこの御説明と申しますか、審議会に対する御懇談だけでも、私といたしましても、責任上お話申し上げたい、こう申しまして御案内をいたしておるような次第でございます。なおまた先ほど申し上げましたのは、全般として早く御決定をいただきたいという趣旨でございます。留守中におきましては、代理も置かれることでもございまするし、できまするならば、なるべくすみやかに審議会としても意思を決定していただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  91. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がないようですから、端折つてお尋ねいたしますが、もしも、電力料金がこういうふうに移動する、価格が移動するということになりますると、ああいうコストのとり方が好ましいものであるかどうかという検討にも入らなければならぬと思うのです。今まで、通産省の説明によりますると、この委員会ができます前に、硫安価格が問題になりましたときには、二つにわけて——電解法とガス法と根本的に生産コストが違うのであるから、わけて出すのが、ほんとうだという建前をも、一時とられたことがあるわけです。たしか大臣のそういう御答弁があつたと思うのです。ところが、今度はそれを一つにいたしましてやつておるところになお混乱があると私は思うのです。将来もこの電力料金改正の問題が起きないとは予想できない。政府がデフレ政策のために、基本的な価格の構成要素になるものは、極力押えようという御努力をいたしておりましても、今上げなければならないという事態が起きて来ておるところを見ますると、また将来電力料金がこのままでよろしいかどうかという問題が、再び起ることになる。そうすると、ああいう硫安の価格構成方式、生産費構成要素がはたして適用するに妥当なものかどうかという検討にも入らなければならぬと思いまするし、また電力料金の改正に伴いまして、特約でありまするから——この特約はもちろん政府もある程度勧説も可能でありましようけれども、特約でありますから、いつこれはまた変更になるかもわからないという、非常に不安定なものだと見なければならぬ。そうなつて参りますると、なおのこと、硫安価格の基礎でありまする生産費構造というものについても、根本的検討を加えなければならないという問題が起るのじやないか。ただバツク・アツプだけで済まされないという事態が起るのじやないかと思いますが、大臣、この点についていかような御見解ですか。
  92. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は理論上あるいは体系上の問題として、確かにそういうことも考えなければならぬ要素もあると思いますけれども、実際の行政上の問題等の観点から見ますると、先ほどもうちよつと申し上げましたような経過になつておりますので、政府側といたしましては、その審議の経過に照しまして、誠実に、できるだけすみやかに今回の電力料金の問題をお取上げを願いたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  93. 川俣清音

    ○川俣委員 この点についてはいずれ審議会が開かれますので、詳細にわたつてはそのときに譲りますが、ここでもう一つ問題になりますのは、特に当委員会として問題になりますのは、同じ電力でありましても、最近の農機具の発達からいたしまして、農機具の製造に要する電力あるいはもみすり脱穀等政府の要望によりまして早く精米をしなければならないことや、揚水機の電力、こうした農業関係の電力料の値上りは、米価の部面にも非常な影響をして来ると思うのです。電力料金はコスト主義をとり、硫安もコスト主義をとり、米価も法制上からいうとやはりコスト主義をとることになつている。ところが米価の決定についてはこういう電力料金——脱穀ということは、これは今まで生産されたものは別ですが、これから生産しようということになりますと、脱穀精米が入るわけですが、こういう料金の値上りを、今米価の上においてはなかなか盛り込み得ない事情にある。その場合において、その犠牲を農家が負担すべきものであるか、あるいは電力会社が負担すべきかという問題が起ると思いますが、大臣はこの点について、農業がこの犠牲を忍ぶべきだとお考えになつておりますか、または電力会社が、米価が決定した今日におきましては、もう少し電力の方を犠牲にするというようにお考えになつておられますか、この点お尋ねいたします。
  94. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点につきましては、われわれといたしまして、いろいろの施策については電力料金の方にもできるだけの手を尽したい、また尽したつもりでおるわけでございます。ただいま農家と電力会社というお話がございましたが、一面におきましては先ほど申し上げましたように、電力料金については来年の三月までのことを先般政府としては決定をいたしたのでありまして、四月以降の点についてはさらに電力会社と需用者、消費者という面だけではなく、税制の面なり金利の面なりについても、できるだけの点を総合的にあわせ考えようということにいたしておりまするので、なおそれらの点については、今後におきましても十分にくふうをいたしたいと考えております。
  95. 川俣清音

    ○川俣委員 電力料金のコスト問題についてもう一点だけ聞いておきたいと思います。硫安コストを見る場合に、会社の管理費、広告費等も生産費構成要素として取上げております。ところが電力の問題の場合におきましては、私は幾多の例を申し上げたいのでありますが、時間を節約いたしますが、相当計画がずさんである。既定の電源を得られなかつたというような自分の会社の失敗を需用者に負わせるということがありがちのようでございます。現に山形県における月山発電所等を見ましても、大体計画がずさんであるといいましようか、上から来る土砂流出量の算出がずさんであつたと申しましようか、意外であつたと申しましようか、水源地培養についての考え方が至らなかつたというような失敗を繰返ししておられるわけです。この会社自体の経営の失敗をコストに見るというようなことは、私は今後は許さるべきではないと思うのです。ところが現に、私十分把握しておりませんけれども、会社が投資した全部のものを、やはり生産費構成要素に見ておられるようです。ただそれが不当であるか不当でないかというよりも、虚偽であるか虚偽でないかということはお調べになつておりましても、それがほんとうの計画がずさんであつたかずさんでなかつたかということについての検討は、しておられないようであります。こういう点について、なるほど会社が資本を投じたのであるからといいましても、ずさんであつた場合、あるいは会社自体において不正行為があつた、それらの分も全部一つのコストとみなすということは、今後のコスト計算の上に私は悪影響を及ぼすものだと思うのです。その一番大きいのが電力会社だと思いますので、この点についての御見解をもう一応承ります。
  96. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘のありました点につきましては、実は私といたしましても、工事の施行なり、あるいはその事前の調査なりに欠くるところがあつたのではないだろうかというような話を聞くこともございますので、公益的な事業のことでございますから、当局としては今後一層と申しますより、あらためてこういう点への監査、監督等をいたさなければならぬと考えておるわけでございまして、特に計画の場合におきましては、今後においては、事前の調査もできるだけ慎重の上にも慎重に念を入れてやることが第一に必要であると思いますし、また施行途上等におきましても、この計画が妥当であるかどうかというようなことについては、会社はもちろんでございますが、当局側といたしましても十分の注意と措置をすることに努めたいと考えまして、いろいろ具体的な方法等についても、あるいは実行し、あるいは実行案を検討しておるようなわけでございます。
  97. 川俣清音

    ○川俣委員 たとえば土地改良事業に附帯する貯水ダム、これらは設計者側でやつても、利用者といいますか、土地改良組合全体がその負担を負わなければならないような結果になる。これは農地局なりあるいは建設省なりが設計いたしたものでありましても、設計者の負担にならないで、むしろ利用するものが負担しておる。その負担を米価に負わせるわけには行かない形になつておる。ところが電力会社は、自分が設計者であると同時に、会社が負担しないで、これを消費する方面の需用者に負担させておるというようなことは、社会秩序の上からいいましても、単に監督をするというだけでなくして、そういうものはコストに見ないのだという建前をとらなければ、是正が困難ではないかと思いますけれども、この点に関してもう一度御答弁を願いたいと思います。
  98. 愛知揆一

    愛知国務大臣 現在の九電力会社の、それぞれの電力会社がやつております開発事業等の場合におきまして、全部ただいま御指摘のような経費を、コストに勘定しないで料金の方にはね返らないようにするということは、現行の制度では、私は率直に申しまして無理ではないかと思います。しかし御趣旨の点は今後十分研究いたしたいと考えます。
  99. 川俣清音

    ○川俣委員 私は現在のコスト計算主義がそういうものを、ただ監督あるいは指導にまかせておつてこれを見ないところにずさんさが出て来るのだと思う。これは通産省がよほど責任を持つて監督されましても、水源地の問題あるいは土砂流出の問題などになりますと、今の権威をもつてします建設省ですら相当計算違いをしております。もちろん農林省は、一方において林野庁をもちまして水源の量等をかなり把握しておるといいながら、同じ農林省の中でこれらの連絡が悪くて、相当の貯水量があるべきにかかわらず、現在はその保水量の半分も持たないというような結果を来しておるところも非常に多いのです。それで新しくまたダムを築き直さなければ、予定の地域に灌漑用水をまわすことができないというような結果になつておりまして、二重三重の負担を農民が負わされておりまして、愛知さん御存じの通り、税務署等におきましても、一反歩当り二千円というような用水費をとつておるようなところもあるのであります。これらが計画がずさんであつたために、こうした大きな金額を負担しなければならなくなつた原因だと思う。こういうものがある場合において、一方厖大な資本を持ち、厖大な計画を持ち、十分な能力を持たなければならぬ電力会社が、単に監督するというだけではこれの適正を期し得ないと思いますので、法律の改正等をもちまして、電力料金値上げの基礎になつておりますこれらの投下資本を、全部コストに見るというようなことの是正をはかられたいと思うのでありまして、このことが将来電力料金の値上げを十分阻止するに足る基本だと思います。これに手をつけないで、在来の法律のもとにおいて電力料金の値上げを阻止するというようなことは、いかに能力ある大臣といえどもなかなかできないことだ思う。やはり法律の改正にまたなければならぬと思いますが、法律改正の意思がおありになりますか。この点だけをお伺いいたしまして、あとは他の方に譲りたいと思います。
  100. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点はごもつともでございまして、制度についての改善も十分考えなければならないと思います。実はただいままでのところ、たとえば会社側の故意、過失等の責任によります場合と、台風等の天災によります場合と二つあると思うのでありますが、これらの点については、原価上織り込むことにみななつておりますのは私は不合理だと思います。ただいままでも、部内におきましては、少くともこういう点については法律すなわち制度の改正をする必要ありというふうに考えておるような次第でございますが、なおそれ以外の点についても、御指摘の点等は十分研究の対象にいたしたいと思います。
  101. 井出一太郎

  102. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 私はこの際ただ一点だけお聞きしておきたいのです。お聞きするよりはむしろ御注意したいと思うのです。実は私が伺いたいと思う問題は、ただいま川俣委員から大体質問がありましたから、その点は省きます。今大臣としての御答弁については大体納得したのですが、コスト主義であつて、結局会社が値上げするということについては、経営実態の上からやむを得ないのだということは大体わかるのです。九社の欠損額として二百四十三億だ、これがちようどにらみ合して一割四分四厘になる、そこで結局資本費がかつては二五%くらいであつたものが今度は六五%から七〇%になる、それからはじき出して来るからこういう九社の欠損が出る、これとにらみ合して上げてくれということは一応うなずけるのです。実は本委員会としては、三月十二日からこの問題を取上げている。大臣にも数回お越しを願つて論議をしているから、その問題には触れませんが、今川俣君の触れられた電力会社の経営の合理化ということについて、特段の御注意を払つていただきたいと思うのです。  そこで実はこの問題は、きようはあなたが見えると思わないからデータを持つて来なかつたが、汽車の中で偶然栃木県知事の小平君に会いましたところ、五十里ダムの一万八千キロワツトの電力請負を今度は県営でやるのです。それで請負に出したところが、七社でもつて入札をした、結局富士電機に一億九千八百万円くらいで落札をしたのです。ところが高いのは、ある会社は二億八千幾らというので、一億の開きがあるのです。一万八千キロの電力開発に対する工事請負において一億の開きがあるということは、あまりに大きい。こういう点に私はかなりな問題が存しておるのじやないかと思うのです。ことにあなたは経済審議庁の長官として、国土総合開発の面からいつても、今は電力開発というものに非常な馬力をかけておるのだ、そういう点において、こういうものが関連して来る。たとえば今利根川の奥利根開発に対して幸の電力は一キロワツト約十二万円を要する。ただいまやつておる須田貝の発電所は、地下発電で十五万を要する。わずか一年の間に三万円もキロワツトの発電に対するコストが違つて来る。こういう点は、よほど経済審議庁の長官としても関心を持つなり、また監督をしていただかなければならぬ。実はこれを栃木県の小平知事に汽車の中で聞かされて、佐藤君、こういうふうに違うのだ、悪辣だと言う。それではいつか適当な機会に君から聞いたというて愛知君に言うておくと言つておいたぐらいなんです。きようは、実は七社のこまかいものまで書いておつたのですが、今そのメモを持つておりません。それで概要的にですが、こういうように一つの小さな発電所の請負でも、二億のところで一億違いがある。これはすぐにコストに響いて来るのですから、こういう点を十分お考えつておきたいと思つております。今川俣君の言うように、この硫安の問題は、この間附帯決議があつたようですから、あなたがここに諮問されるということについては、あるいは無理からぬことかと思います。しかしこれは、ひいては灌漑排水の面に対して、すぐ直接に響いて来ることでありますから、十分ひとつ御注意を願つて、慎重におやりを願いたいと思います。そういう点だけをひとつ御注意申し上げておきます。
  103. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御注意をいただきましてまことにありがとうございました。実は私自身のところへも、いろいろな地点について、たとえば入札等がありました場合に、最近非常に開きが大き過ぎるじやないかと具体的な二、三の事例を具して、外部の方からの御注意を、ごく最近同じように受けております。これらの点については、しばしば当委員会でも御指摘の通り、他に及ぼす影響が非常に大きくありますので、今後各社の資金計画その他等にもわたりまして、十分政府としても努力をいたしたいと存じます。なおこれは前にこの委員会で申し上げたと思いますが、まことに抽象的ではございますが、三月までの電力料金についての認可をいたしましたときにも、各社の企業の合理化ということについて、今後さらに一段と努力をしてもらわなければならぬということは、この認可に付随いたしましても条件としてはつきりうたい込んだような次第であり、かつ私からも九電力会社最高の責任者を招致いたしまして、その旨を政府としても指示しておるようなわけでございます。
  104. 井出一太郎

  105. 芳賀貢

    芳賀委員 通産大臣にお伺いします。十六日に外遊されるそうでありますが、そういたしますと、肥料審議会との関連は、愛知通産大臣が外遊することが理由となつて、緊急に、たとえば懇談会のごときものを開くということに気がついたわけですが、私も本日口頭をもつて、明日二時から懇談会をやるから出席してもらいたいというような要請を受けたわけなんですが、先ほど川俣委員も言われたように、先月の二十二日に硫安価格答申がやつと終つたわけです。本日まで、足かけならば一箇月過ぎておりますが、実質的にはまだ二十数日しかたつておらぬわけでありまして、前回に決定された肥料の値段が末端の生産農民まで徹底したかどうかわからぬ時期であります。しかも今日秋肥の肥料を取扱つておるさ中において、緊急、電力料の改訂を理由としてこの硫安価格の引上げをしなければならぬということは、それほど差迫つた問題ではないというふうに一応考えられるわけでありますが、ただ問題は、通産大臣が外遊せられる、しかもその任務というものは、吉田首相が不日アメリカヘまたもどつて来まして、そこでいわゆる世界銀行の借款の問題あるいは余剰農産物の買付の問題等に対して、総理のわからぬ点を補足するためにあなたは行かれる。先日は小笠原大蔵大臣が、露払いに行つて来たということをみずから言つておりますが、そういうために、帰るまで延ばすわけにいかぬということで、緊急これをお取上げになつたのかどうか、その点を冒頭にお伺いしたいのであります。
  106. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私といたしましてはまことに恐縮するお尋ねなんでありますが、先ほど川俣さんにもお答えいたしましたように、たまたまこの時期に私が出張をするということになりましたことは、本件につきましてはまことに申訳ないと存じておるのでありますが、私といたしましては、先ほどのお答えを繰返すことになつて恐縮でありますが、本件については、当委員会におきましても、非常な御関心と御熱意を持つて御審議いただいた問題でもありますし、また肥料審議会が発足いたしまして——これもこの際あわせて申し上げたいと思うのでありますが、当委員会と申しますか、各党の非常な御協力を得まして、法制上の関係から国会議員の方々にこの審議会の委員を御委嘱申し上げることは形式的にはできなかつたのでありますが、それにもかかわらず事実上の非常な御協力を得まして、去る九月二十二日に肥料審議会としては、ただいまお話の通り御答申をいただきました。ところが、その一箇月云々ということはともかくといたしまして、成案を得たらできるだけ早くということが附帯申合せ事項にもございますので、私といたしまして非常に急いで、ともかく審議会にお諮りができるような成案をつくることに、事務当局においても大いに勉強してもらつたわけでございまして、幸い、どうやらかつこうができましたので、懇談会というかつこうでもよろしゆうございますから、ひとつ肥料審議会の委員並びに御関係いただいた国会議員各位に、その間のわれわれのやつて参りましたことを御説明をして、ひとつ御納得をお願いしたい、こう考えまして、明日肥料審議会の懇談会を開かせていただきたい、かような御連絡を申し上げたようなわけでございます。私の出張ということが唯一の理由でこの価格を改訂していただかなければならないということでは毛頭ございません。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしたいのでございますけれども、今大臣が言われた、肥料審議会の答申の中に、申合せ事項として、硫安一かます八百二十二円という価格の中には今後起きるところの電力料の改訂は予測して含まされておらぬということは、これはもちろん二十二日の審議会において、申合せ事項というより政府当局が、このコストの中には今後の電力料改訂の問題は加味していないということを繰り返し繰り返し言うわけなんでありまして、こちらは、その程度のものは、愛知通産大臣が九月十五日の当委員会に参つて、電力料改訂の場合においても、この改訂によつて肥料価格に影響を与えるようなことは極力防ぐ、九電力会社の地域内においてはある程度の差異はできるけれども、総体を通じた場合においてこれが肥料価格に影響を及ぼすようなことは極力阻止する、そういうことを言明するということを言われておるわけであります。ですからしてそういう場合において、私ども審議会に臨んだ者の考えとしては、そういうような政治的な努力をしようとする意図というものは、当時の諮問案の中には当然作用しておるというふうにわれわれは考えて審議を行つたわけでありますが、逆に政府当局は、かかる爾後に生ずるところの電力料改訂等の問題はこのコストの中にはいささかも入つておらぬということを、これは強弁をしておるわけであります。ですからして、遂に最終の委員会においては、その政府の強弁を一応認めざるを得ないような形で、この中には電力料の改訂というものは入つておらないのだということを委員会として確認してあげたような形であつて、こちらから能動的に、電力料改訂をやつた場合においてはすみやかに硫安の値上げをするように審議会を招集するというような、そういう要請をしようという意図は、あの申合せの中に入つておらぬわけであります。しかも答申の中には、大臣はそれが入つておると言われましたが、われわれの記憶においては、答申とあのときの申合せ事項というものはまつたく別なんであります。しかもその申合せ事項が答申の中の一環として、あるいは附帯決議のような杉で答申されたということになると、これは答申の手続を行つた当局の重大なる失態というのか、責任があると、私はここで明確に申し上げておきたいと思うのであります。そういうことになると、むしろ審議会の方でそういう要望があるからして、一日も早く成案を得て審議会に提示しようとしたというような、今の大臣一つの理由のようなものが構成されるわけでありますが、当時の状態は決してそうでないということを御了承願いたいと思うわけです。  もう一つは、そういう安易な考え方、一切の責任を審議会に転嫁して、値上げの理由をそこから発見しようというような場合においては、せつかく成立した肥料法案の精神が完全に蹂躪されてしまう。肥料法案の持つ精神というものは、現在の硫安を中心とした肥料価格を国際的な価格に接近させる、そのためにはどうしても合理化の過程をとることが必要であつて、そのためにはメーカー自身の企業努力も必要でありますけれども政府が合理化を可能にするような万般の施策が必要であるというところに問題があるわけです。ですから九月十五日の愛知さんのお話は、政府が施策を通じて何らかの手を打たれるものであるというふうにわれわれは期待しておつたわけでありますが、そういう努力を全然なされないで、肥料審議会の答申の中の申合せ事項がかくかくであるからして、自分たちはその意に沿つて電気料金改訂を理由として肥料の値上げをするんだというようなことはまことに遺憾であります。おそらくこれは大臣の本心ではないと思いますけれども、そういうところに食い違いがあるので、その点を私の方から是正いたしますから、もう一度大臣の肥料問題に対する基本的な御見解をさらに承つておきたいと思うのであります。
  108. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘になりました点で、あるいは私の申し上げ方が違つておつた点があろうかと思いますので、その点をまず申し上げておきます。先ほど附帯決議云々というような表現をいたしたかと思いますが、これはその審議会で御発言いただいた御本人からの御指摘でございますので、私の申し上げ方がその点においては間違つておつたと思います。  それからこの肥料のコストにつきまして、当委員会で私が九月十五日に申し上げましたのは、先ほども申し上げましたように八百二十八円ということを前提にいたしまして、その程度のところであつたならば——先ほど申し上げたと思いますが、メーカーの方では非常に迷惑だというかもしれないけれども、何とかして軽微な値上げにとどめ得るなら、この程度なら押し込んで改訂をしないで済ませたいということを申したのでございまして、その後審議会等における御審議の経過等から、先ほど来申し上げておりますように、その後の研究ができましたからごひろうをして、さらに御審議をぜひお願いしたい、こういう関係になつているわけであります。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 今大臣が言われたように、電力料を改訂したことによつて、今後影響するであろう硫安に対して、コストがこうなるということを一つ資料として提示されるということは一向さしつかえないわけでありますが、ただ今言われた政府の当時の原案であつた八百二十八円の場合においては、あえて今日の段階で肥料の値上げをする必要はなかつたかもしれぬということになりますと、当時の原案というものは、私がさつき申し上げた通り、その原案の場合においては電力料改訂の分がすでにその中に吸収されておつた、われわれはそう思つたわけです。ところが政府はそれを入れていないのだということに結果的になつたわけです。今の大臣の言われたことの方が正直な表明であるというふうに考えておる。たまたま六円値下げすることが妥当であるという答申が満場一致でできて、その結果そういうことになりますと、電力料の改訂の分は入つておりませんということで豹変したわけです。ですからここに当初から問題があつたというふうに考えるわけですが、この硫安のコスト計算の場合においても、十分尽し切れない問題があつたわけです。しかし時期的に決定を急がれたというような関係もあつて、二十二日に結論が出たわけであります。ですから今後もし肥料の価格改訂をやる審議会を開催される場合においても、ただ単に全体の価格形成の中において電力料の改訂だけを理由とし、それだけを区切つて過分なものにしてやるという場合においては、多分に危険性があると思う。もちろんこれを中心として検討することは大事でありますが、価格形成全体の中における影響というものを、当然取上げて検討を加える必要が生じて来ると思いますが、そういう点に対しましては、経審長官はどう考えておりますか。
  110. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀君に申し上げますが、大臣は大体この程度で退席されたいと言われますが……。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣がよければそれでいい、あえてこちらで聞きたくはない。
  112. 愛知揆一

    愛知国務大臣 芳賀さんに私の方がお願いをして御説明申し上げているわけなんです。これは前に当委員会で、九月十五日にるる御答弁を申し上げたことを繰返して御答弁申し上げることになりますが、あのときに私はこういうふうに申し上げたつもりでありますし、ただいまもそう思つておりますのは、八百二十八円という政府の諮問原案には電力の関係は織り込んでいない。しかし電力の方の関係をできるだけ軽微にしたいから、無理はあつても何とか押し込んで努力をさせたいのだ、こういうふうにお答えをいたしたわけでございますが、その後正確なデータが出て、電力の方もいろいろと検討が進み、また審議会の御審議も非常に熱心に行われました結果、ただいま私どもが当面いたしております条件は、答申と審議会の申合せ、これを条件にいたしまして、私どもとしては最善を尽したい、こういうふうになつておりますので、この経過につきましては何とぞひとつ御了承を願いたいと思います。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 次に申し上げたいことは、今朝の新聞には一斉に出ておると思いますが、明日の審議会の場合において、肥料を五円程度値上げする。懇談会ではあるけれども、これは実質的な審議に入るものである。新聞の記事をたてにとつて云々する考えはないわけでありますが、おそらく政府の意図はそこにあるのではないかというふうに考えるわけです。ですからここで、大臣が外遊される前にお伺いしたい点は、一応時期的にいつを目途にしてこの価格改訂をやろうとしておるのか、あるいは来年の春肥を目あてにするのか、時期的にいつを目途にして改訂をされようとしておるか、そういう時期が判明しないと、おのずから緊急の度合いというものはわからぬと思うわけですが、出発にあたつてはそういう計画があると思いますので、この点を当委員会に明確にしてもらいたい。
  114. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま新聞の記事を御引用になりましたが、これは少くとも私の全然関知せざるところでありまして、私の気持は先ほど来申し上げておりますように、なるべく早くきめていただきたい。それから前回の審議会の経過もございますから、正確にいえば一月はたつておらぬかもしれませんが、たまたま私も留守にしますので、まことに恐縮ながらその後の研究の成案をお聞きとりを願いたい。しかも明日は審議会というかつこうにいたしませんで、御懇談を願いたい。こちらの衷情もお聞き取り願いたいということでございますから、具体的に何円に上げていただきたいというようなことを当方から申し上げ、いわんやそこで一つの空気をつくるというようなところまでは考えておりません。  それからいつまでに決定をするのかというお尋ねでございますが、これは先ほど来再々申し上げておりますように、なるべく早くこれは政府としてお願いをいたしたい。  それからその時期はどうかとおつしやるのでございますが、これはなるべくすみやかにということであり、また私不在中は代理も任命されるわけでございますから、十二分に代理の方にも引継ぎをいたしまして、私留守中にぜひこれをおきめを願いたい。私としてはかように考えておるのであります。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと、明日のいわゆる懇談会なるものは、これは正式の硫安の値上げの諮問が行われる審議会との間における重大なる関連はないというふうにわれわれは理解したわけでありますが、そういう解釈でよろしゆうございますか。ただ申し上げたい点は、当委員会といたしましては、委員会の国政調査関係で、明日の午前八時十分に長野県へ出かけることになつております。そういう決定がすでに行われておるのであつて、この農林委員会から参加すべき肥料審議に全員が、あるいは出席可能であるかどうかということは、一応予測できないわけであります。ですから、ちようど幸いの機会でありますからして、できるだけ外遊を前にしての通産大臣としてのいろいろ御見解のほどがあれば、この機会に十分尽しておかれた方がいいのじやないか、帰られるのはおそらく来月の中旬ということになると、これは非常に空白が出、その後における政治情勢の変化等というものは、これは予測できぬわけであります。ですから、そういう大事な機会に無理に行かれる場合においては、これば肥料問題等に対しては、できるだけ積極的に、ここで御見解を披瀝された方がいいではないかというふうに、老婆心ながら申し上げたいと思います。
  116. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いろいろ打解けてお話をいただきましてまことに感謝にたえないのでありますが、先ほどの、それではあしたやる懇談会は本審議会と重大な関係がないのかというお尋ねなのでありますが、私の気持を率直に申し上げますれば、相当な関連を持つて、ひとつ私どもの誠意を聞いていただきたい、私はこういうふうに考えておりますわけで、それからなおただいままでるる申し上げましたのは、あるいは失礼を申し上げたかもしれませんが、大体私の本件についての気持は、率直に申し上げたつもりでございますので、御了承願いたいと思います。
  117. 井出一太郎

  118. 井手以誠

    井手委員 実は通産大臣兼経審庁長官にお尋ねしておきたかつたのですが、お帰りになつたので非常に残念でございます。実は宮崎県下の水害視察でわかつたことでございますが、大淀川の上流にあります九電の轟ダム、この点について簡単にお尋ねをいたしたいと思います。このことについては、あるいは公益事業局長御存じであるかもしれませんが、この轟ダムは、大正七年の建設当時に地元の強力なる反対を押し切つて建設されたいわくつきのものであります。その堰堤のために上流が毎年洪水にあいまして、しかもその地帯は御存じであるかどうか知りませんが、シラス地帯であります。そのシラスが流れて参りまして、川底が最近までに六尺以上、七尺近く上つているそうであります。そのために、規定では四メートルになつてゲート操作によつて開くということになつておりまするが、川底が上つておりまするために、今日では二メートルでも上流に氾濫して、今日関係する宮崎市、高崎、高城ほか二箇町村ほか数百町歩が、毎年洪水の被害を受けております。その金額は毎年一箇年間、明確な数字はわかりませんが、大体今日まで十億以上の被害だと言われておるのであります。私は県庁においていろいろ事情も聞きましたが、その契約の内容にも、今日では電力会社のやり方は抵触しておるということを私は発見いたしたのであります。今日地元においては、今度のあの大洪水によつて大きな被害を受けておりますので、この機会にあの堰堤をこわすか、あるいは完全補償をしてもらうか、あるいは根本的な改修をしてもらうか、三つの一つを断行してもらわなくては困るという強い意思を持つて、今日強力な運動を展開いたしておるのであります。事態はきわめて重大な段階に立つておりますので、ひとつこの機会に公益事業局は、農林省とともにすみやかに実地調査をされる御意思があるかどうか、その点だけ承つておきたいと存ずる次第でございます。この点については、農林省の政務次官と公益事業局の双方から、明確なる御方針を承つておきたいと存ずる次第でございます。
  119. 中島征帆

    ○中島説明員 ただいまの問題は、私も簡単に聞いたことはございますが、事態の実態につきましては十分まだ詳しい話を聞いておりませんし、省としても十分の調査をいたしておりません。今後十分に農林省とも提携いたしまして、実態を調べまして、御期待に沿いたいと思います。
  120. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 ただいまの井出さんの御質問に対しましては、私もまだ全然聞いておりませんですから、なお農林省に帰りましてよく調べまして、必要がある場合にはさような処置をいたしたい、こう思いますが、まだ全然わかつておりませんから申し上げられません。
  121. 井手以誠

    井手委員 もう多くは申し上げません。ちよつとは聞いておるけれども詳しく聞いていないということは、私ははなはだ心外でございます。地方によつてはきわめて重大な問題であります。しかも契約に違反しておるということもわかつておる。それをあまり詳しく聞いていないということは、はなはだ私は心外に存じまするが、実地調査をされることを切にお願いいたします。近く両省とも調査される御用意があるかどうか、その点だけはつきり承りたいと存じます。
  122. 中島征帆

    ○中島説明員 実地調査と申しますと、実際に現地を視察するかどうかということにつきましては、これはその事態に応じまして本省から参りますか、あるいは通産局から参りますかわかりませんけれども、ともかくも実情が十分わかるような方法に持つて行きたいと考えます。
  123. 井手以誠

    井手委員 十九日、二十日は農林委員会の開会の予定になつておりますので、その日までに、いずれの方法によつてもよろしゆうございますから、必ずここで答弁できるような資料なり、調査の結果をまとめておいていただくようにお願いをいたしておきます。
  124. 足立篤郎

    ○足立委員 ただいまの問題につきましては、せんだつてども農林委員会から宮崎県下の災害を視察に参りましたときに、私は現地へ行つて事情を見て参りました。その報告はせんだつて委員会で、農林大臣出席のもとに私御報告申し上げた通りで、今井手委員から御質問になりましたような点は、私の報告の中にも入つておりますから、その点を御研究願いまして御善処願いたい。ただ、現地で聞いたところによりますと、建設省ではこれか対策として、上流地区の河川の堤防を強化しようというので相当大きな計画はあるようであります。ところが予算が年年つかないため、この工事が遅々として進まないというような点もございますので、こういう点も含めてひとつ御研究願いたい。これは被害を受けるのは農民でありますから、どうか農林政務次官にお願いいたしますが、農林省の方でひとつ積極的にお調べ願つて、むしろ通産省の方は受身になると思いますが、せんだつて現地で開いた話では、先日の十二号台風のときなどは、農民が決死隊を募集して、みずから爆薬を抱いてダムへ飛び込もうかというような話さえあつたのであります。実に切迫した状況でありますことは、ただいま井手委員がおつしやつた通りでありますから、この点も十分お考え願いまして、緊急御調査の上、対策を樹立願いたい、私からもお願い申し上げます。
  125. 伊東岩男

    伊東委員 両委員から非常に強い要望があつたこの問題に関連して、私も一言申し上げておきたいと思います。これは事態が非常に急迫しておるのであります。このままでおいておけば、訴訟が起るくらいのことは、これは問題ではありませんが、まず百姓一揆が起ります。先ほどちよつとお話もあつた通りでありまするが、この九電の轟ダムが影響して受ける損害は、大体一市五箇町村で三千五百町歩に及んでおるのであります。大体例年の普通の洪水で一億円くらいの損害があるのであります。それが本年は特に雨量が多かつたので、おおよそ三億円と称されておるのであります。そこで地方としては、会社に一刻も早く現地調査して、そして災害に対する問題の解決を要望しても、九電はこれに応じないのであります。たまたま参りましても、ほんの形式的なことでどうにも話にならない、だから地方としては、今年のごとき収穫皆無になつたものが非常に多いばかりでなくて、三部落のごときはそこにおることができずに、結局移転しなければならぬといつたような悲惨事に当面いたしておるのであります。これは一地方の問題ではありません。しかしこの根本的の問題は、ダムを撤去しなければどうしてもいけないのであります。この水力電気開発の時代にダムを撤去するということは不合理ではないかという御見解もありましようけれども、これは今轟ダムを撤去して、これから出るのが一万五千でありまするが、これを撤去しましても、第二発電所に合流いたしまするならば非常に多数の発電力がありまするので、むしろさようなことをやつた方が電力発電の上にも有効であり、地方農民の救済にもなるのでありまして、何とかこの際手を打つていただかなければならないと思います。先ほど提出されたように即時調査になつて、大体からいえば、通産省の所管でありまするので、強い警告を会社に発してもらつて、完全補償をやるならやるというようなことでありまするが、完全補償なんということは話はでき上らないと考えておるのであります。現にその補償として、上流に約十五億を要する提防を建設省で建設中でありまするが、これも遅々として、進まないばかりではなくて、地方の負担金が一割になつておるので、十五億の一割で一億五千万円でありますが、それさえも会社は出そうとしないのであります。いわんや農村の関係被害民の被害高というものはおびただしいのでありまして、事態は非常に急迫しております。通産省は責任者でありますから、この問題の解決をぜひ急速に取運んでいただくように重ねて要望いたします。
  126. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま三委員から轟ダムの問題についての御発言がありましたが、本月の十九日、二十日の両日を委員会予定をいたしておりますので、それまでにはあるいは日数が少いかとも思いますが、通産、農林両当局とも鋭意現地の情報を集められまして、その際に何らかの御報告をここでお漏しを願いたい、かように考えます。
  127. 中澤茂一

    ○中澤委員 これは宮崎県の問題ばかりではなくして、ダムの被害の問題は長野県においても三箇所あります。私はその被害のたびにいつも現地を視察するがこれは何らかの恒久的な対策考えなければならぬ。そこで私は、実は先国会調査立法考査局に行つて話したままになつておるのですが、災害に対する恒久的な補償裁定機関を国家が持つべきであり、そうして国家がその機関が裁定した場合は、その補償額に対して電力会社が支払いをすべきであるという何らかの立法措置が必要である、こういうふうに私は痛感するのであります。これはどこの県にもある問題である。ところが村の村長様や何かが来たつて、たとえば関電の高井君などは相手にしない。鼻の先でせせら笑つておる。ですから、これは電源開発に伴つて全国的に起る問題であるから、恒久的な立法対策を講ずる、しかも国家が一つの裁定機関を設けて、その裁定機関調査して決定した場合は、その決定に電力会社は承服して補償額を支払つてやるという恒久立法策を設ける必要があると思うのですが、公益事業局長は次の国会までに考えてみようというお考えがあるかどうか聞かせていただきたい。
  128. 中島征帆

    ○中島説明員 ただいまの点は実はわれわれも研究はいたしておりますが、これは単に電源開発に限らず、いろいろな点でダムの建設に伴つて補償問題が起りますが、それに関しまして通産省、建設省、農林省それぞれ別個の研究試案をつくつておりまして、これを経済審議庁で総合検討いたしまして、できるだけ早く最終案をまとめたい、こういうふうに考えております。内容につきましてはいろいろ問題がございますが、ただいま御指摘のように、裁定機関をつくるとか、あるいは一方の義務者に対しまして、これを強制するということももちろんあるでありましようし、また逆にその被害者に対しては、そういうような裁定につきましてはこれを十分補償して行く、こういうふうに両面からこれは十分検討しなければならぬ、こう考えております。
  129. 中澤茂一

    ○中澤委員 この国会までにぜひ間に合わせてくれますね。もしあなたの方でやつていただかなければ、議員立法で私の方でやりますよ。この次の国会までに間に合わせてくれますか。
  130. 中島征帆

    ○中島説明員 今度の国会に間に合うようにできるだけ早くやりたいと思つております。ただ問題が非常にむずかしいものでございますから、はたして簡単に案がでてきるかどうかというふうに思つておるわけであります。     —————————————
  131. 井出一太郎

    井出委員長 電力問題の調査は、この程度にいたしまして、午前中の作況報告の方に移りたいと考えます。質疑通告がありますのでこれを許します。川俣清音君。
  132. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がありませんから二、三点にしたいと思います。事務当局にお尋ねする前に政務次官からお答え願いたいのですが、農林省、いろいろ被害調査の基礎または作況の基礎を、県の統計あるいは町村の統計、または農業委員会の統計、あるいは農業共済の統計よりも、機構の中に持つておられまする農業統計調査部の統計をおそらく一番重要視しておられると思いますが、その通りでありますかどうか、この点をお尋ねしておきたい。
  133. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 何といつても自分の手足でありますから、これを信用いたし、しかも正確を期するように監督するというのが農林省の中枢部の建前であります。
  134. 川俣清音

    ○川俣委員 自分の手足でありまするから、これはやはり期待に沿うような機構と、その機動力なり調査力を持たなければならないと思うのです。ところが実際行つてみますると、二十二、三年ごろの自転車などはとうてい使いものにならない。これは調査でありまするから、結局出歩かなければならない。その機動力がない。これが一つです。あるいは計算器を見ますると、これも古い計算器はとても使用にならない。それからそろばんのどれくらい達者な者がおるかと言うと、せいぜい調査部に一人、三級くらいの者がおればいい方です。銀行などの女の子の半分もできないようなものです。しかしそれだからといつて必ずしもそろばんができなければならないとは言いませんけれども、それにかわるべき優秀な計算器というものがありますから、それを使うだけのものを持たなければならないと思うのです。それから平板ですが、これも相当古い平板で、建設省あたりの地方事務所の末端の小使がかついで歩くものよりもつと貧弱なものなんです。これで十分な調査、信頼ができる調査でありますなどということは、政務次官はおそらく言えないと思う。こわれた計算器で計算したものが信用できるなどということは、これは言えないと思うのです。おそらく測量機械ということになりますと、最も精密度の高いものでなければならぬ。精密度の高いものがこわれておつたのでは、これはむしろ不精密な結果になると思うのです。そればかりではありません。一体農業改良事務所の職員は、農民からいろいろ鞭撻を受ける、あるいは町村から鞭撻を受けて、及ばずながらそれについて行かなければならないのです。ところが統計調査部というのは、第三者的に独立いたしておりまするし、何人の干渉も受けない、中にとじこもつておりますために、まことに進歩性がないと申しましようか、あるいは刺激が少いと申しましようか、練磨され、あるいは訓練を受ける機会が非常に少い、批判を受ける機会が少い。自分がつくつたものがどういう批判を受けているかというような結果が出て来ておりませんために、どんな結果になつても、これについて責任を感じないというようなことになつている。今まで惰性でやつておられる。今ここに調査課長がおられますけれども、課長が見えてから、いくらかぴんとして来たというような傾向が確かに現われております。現われておるけれども、まだ足らないのです。こんな調査で、これは信頼できる調査だなんということは、おそらく政務次官も言い切れまいと思う。あなた行つて調べてごらんなさい。乗れない自転車で調べたと言つたつて、あてになりませんよ。それから統計がなぜこんなに信用がないかということになりますと、あんなものが村の中におつても、役にも立たぬものが何ができるかというようなそしりを受けておるものが、りつぱな調査をいたしましたと言つても、それは相手にされないということになる。これはよほど新しく学校を出たような者を採用して、新しい血を入れて行かなければ、信頼できるような調査ができないとお考えにならないかどうか。この点についてお伺いいたします。
  135. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 お答えいたします。確かに戦後にできました機関でございますし、人的にも十分に行つておりませんし、それから機械設備なんか予算が十分とれませんし、ことに行政整理のたびごとに爼上に上るのが、気の毒な、全国におられるこの諸君でございまして、そういう関係で日本の国がとかく統計というものを従来無視しておりました結果が、そういうふうにすべて貧弱だと思うのでありまして、そういう貧弱な諸君も、去年の冷害とか今年のまた冷害もございますし、ずいぶん地方の方々の御批判をたくさん受け、御鞭撻も受けておりますから、だんだん人間的にも訓練をしまして、そうして本省といたしましても十分指導よろしきを得まして、御期待に沿えるようにいたして、ほんとうに国家の基本的な農業の統計をつくつて行きたい、こういうふうに存じておりまして、現状をもつて満足は、お話のようにしておりません。
  136. 川俣清音

    ○川俣委員 もう一点だけ——満足していないどころじやない。信頼するに足りないという疑念がわかなければならないと思うのです。一つの例をとつてみます。これは事務的になりますから、政務次官よりも部長の方がよろしい。大体面積自体に大きな相違がある。動かない面積に非常な差がある。しかもそれは総体面積なら別であります。品種別面積について違う。総体の面積が違うから、品種別面積もそれに並行して、甲種類が総体の面積に比例してある、また乙も比例してあるというなら別ですが、県の調査あるいは改良事務所の調査、これはわせ種を指導したり、ある品種を指導したりしている改良事務所の調査と、統計の調査とは非常な違いがある。逆になつたりしている。品種別作付調査ですらこんなに違つている。一体どつちを信用するか。改良普及員もあなた方は補助しておられます。やはりあなた方の中です。統計もまたあなた方の中です。こんなに違いがある。どつちを信用しますか。政務次官ひとつ……。
  137. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 たいへん難問の御質問でございまして、やはり統計調査の方で間違つている村もございましようし、技術員の方で間違つている村もございましようし、これはどつちがいいという軍配を上げることは一概にできないことと思うのでありまして、たいへん申訳ないことですけれども、正確なお答えはできません。
  138. 川俣清音

    ○川俣委員 正確な答弁ができるような機構と組織にしてもらいたい。こつちの方は信用できるのだ、これを基礎にしてやるのだ、そういう事態を起して、農林省自体がどつちがいいかわからないと言つたら、一般の人はなおわからないということになる。どつちを信用するか、そういうことになりますから——私は議論をしているんじやない。もし統計を信頼するというならば、信頼するに足るような組織、機構と設備を与えるべきだと思う。改良普及員の方はそういう調査じやない。しかし品種改良の上からこれもまた非常に参考になるのだ、こういうふうに面積調査には十分統計を充実して、それにはやはり測量機械等についても、こわれた機械でなくして、正確な機械で、これなら間違いないのだ、この正確な機械をこなせない者はやめてもらつて、別な者を使うのだというふうにはつきりやつていただかなければ、いつまでたつても統計に対する信頼がわいて来ないと思う。農林省自体がどつちがいいかわからないと言つたら一般の信用はつきません。そういうふうに組織を充実し、設備を充実させる意思があるかどうか、これだけでけつこうです。
  139. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 機械と、並びに組織、機構を強化いたしまして、ほんとう農林省の絶対信頼できる方向へ進めて行くように最善の努力をいたします。
  140. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで事務当局にお尋ねしますが、今政務次官にお尋ねしたように、おそらく野田部長にいたしましても、現在の機構と施設、能力をもつてしては、期待に沿うように最大の努力はしているだろうけれども、期待に沿い得ないそしりを免れない、おそらく内心忸怩たるものがあるだろうと思う。これに対して努力される意思があるかどうか。
  141. 野田哲五郎

    野田説明員 全国の職員といたしましては、この重要な仕事につきまして最善の努力をしておりますので、私もその点については非常に感謝しているわけであります。しかしながらこの仕事につきましては、ますます精度を高めて行く義務もありますし、またその可能性もあると思つておりますので、そのためには最善の努力を尽す考えでおります。
  142. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは品種別作付反別調査がどうしてこんな違いが出るのかというふうにお考えになつておりますか。これは部長でなくても、課長からでもけつこうです。
  143. 原政司

    ○原説明員 私にお尋ねでございますが、違う原因といたしましては、一つ調査方法にあろうかと存じます。私らの方の調査といたしましては、昨日もお話申し上げましたように、一筆ごとに実際の面積をきちんと測量いたしまして、そこにございまする品種を正確に調べますることが最大の理想でございますが、さようなこともできかねまするので、東北その他北日本に関しましては、昨年以来、本年のいろいろの基礎資料にと存じまして、県の大きさによつても違いますが、大体一県五千戸程度の農家を任意抽出いたしまして、その農家の作付けしておりまする品種を調べたのであります。なお品種には先生御承知のようにいろいろの俗名がございまするので、俗名等の判定に関しましては材料を持ち寄りまして、試験場の研究者あるいはその他御専門の方々の御判定をいただきまして、できるだけそういう同名異種等によりまする違いを排除することに努力をいたしたのでございます。なおいろいろと至らざる点もあろうかと存じまするが、さような点につきましては、私の至らざる点もございまするので、十分気をつけて参りたいと思いまするが、全体の仕組み等につきましては、御支援をいただきまして、よりよきものを出せるように持つて行きたい、かように考えております。
  144. 川俣清音

    ○川俣委員 今度北海道へ参りましたところが、去年種もみを相当支給いたしております。ところがこの面積は大体道庁が取扱い、改良普及員もまたこれをいたしておりまするから、種、もみの配分から言うと、どうもそちらの方が具体的ではないかと思うのです。ただ抽出検査の方がどうも実際に合わないというようなことになつて来るのではないか。これはどこかで合せる必要があるのではないかと思うのです。そうでなければ種もみの対策が立たなくなつて参ります。現実の供出割当でなくて、将来の、種もみの割当をしたものが一体どれだけ植えつけられたか、一方においては割当てたのだけれどもそれだけ面積がないのだという調査があなたの方から出て来たり、あるいはそれ以上が出て来たり、現に種もみがなかつたにもかかわらず面積が出て参りましたり、そうした実際の手当と違つた結果が出て来ておるのです。これはやはり将来の農業政策を立てる上に非常に重要な問題だと思いまするので、格段の御努力を願いたいと思うのです。  次に私は、出張所等における作況指数についていろいろ尋ねておりますが、どうも出張所あたりでは、私に明確に説明してくれる人が少いのです。ほとんどないといつてもいいのではないか。それは穂数であるとか、あるいは推定坪当りの全もみ量であるとか、あるいは推定坪当り有効総穂数というようなものは正確につかんでおります。これが平年作に対してどういう作況指数になるのだ、こういうことを言いますと、私の方でやつてないと言うところもありますし、やつておるのだけれども、一升もみ数を去年のでやつておりますと言うところもあるし、非常にまちまちなんです。今統計事務所から出されました水稲作況調査部における成育概況というものを見ましても、これは二十五年から二十八年の四箇年対比で出ておりますね。大体出張所におきましても二十五年から二十八年平均対比で出しておる。ところがいわゆる平年作は先般御説明通りのような平年作を出しておる。ところが推定坪当りの全もみ量であるとか、あるいは推定坪当り有効穂数ということになりますと、二十五年から二十八年の四箇年間の平均でやつておる。それでどれだけの実りぐあいがあるかということを出しておるようです。それではその稔実粒が何パーセントであるか、その稔実粒何パーセントが平年作に対してどれだけの指数になるのだ。その計算はどこから出るのかということになると、すこぶるあいまいなんです。あいまいなんだけれども、とにかく報告だけはしておるようです。けれども説明のできないようなものの結果の御報告がありましても、どうも信頼ができないということになりはせぬかと思うのです。これはやはり具体的に説明ができる自信を持つた者でありますならば、それが間違つておろうとどうであろうと、一定の見識を持つて報告されたということになりますが、何か自分のやつておることがわからぬで報告したということになりますと、それ自体に権威がないのではないかという疑惑がわくのですけれども、この点に対してどのような指導をされておりますか。
  145. 原政司

    ○原説明員 ただいまの御質問は先ほどの問題にも関連いたすわけでございますが、ただいまの人手と経費をもつていたしましては、出張所における作況指数を判定いたすことは技術的に無理がございます。ただ参考といたしまして出張所長の技術的な経験上、かような意見も持つておるのだということを聴取することにいたしまして、私らといたしましては、できることならば、先生の御指摘のように各出張所におきまして、きわめて小地域における具体的な、早い時期における稲の作況の判定をいたしたいというのが念願でございますが、さような陣容とさような予算を持つておりませんので、ただいま申し上げましたようなことでやつております。  なお全体の作況の判定につきましては、各出張所が実測いたしました、これは事務所の具体的な設計に基きまする自己分担分を調査いたしまして、それを県の事務所で集めます。集めました結果につきましては、事務所段階におきまして、外部の識者の御意見等も参酌いたしまして、事務所としての一つの判断という参考意見を付しまして、東京の私の方に送付願うのであります。私らといたしましては、御指摘のように、統計事務所ができましてから日が浅い関係で、データとして集積しておりますのは先ほど御指摘の通り過去四箇年でございますが、平年反収につきましては気象的な要素その他をできるだけ平均的な年をとる。そういう取り方をしたいということで、昭和元年以降の集積をとつております。確かに御指摘のように二つの問題にずれがございますので、そのずれの調整につきましては、過去四箇年の実測値を参酌いたしまして、本年の実測値から今後——たとえば九月十五日でございますれば九月十五日以降におきまする稔実の程度、あるいはくず米と玄米との割合、あるいは玄米の千粒重が幾らになるかということを気象官、専門家等の意見も考慮いたしまして——なおきのうもおしかりを受けましたが、作況決定審議会に御参加願つております。現に試験研究等に従事しておられます学者の御意見も徴して、具体的な、いわば見込みと申しますか、予想反収を算定して、その予想反収と傾向値から出しました過去二十八年の反収との関連において、いわゆる平年対比幾らという指数を判定いたしておるのであります。いろいろとそういう取り方インターバルに違いがあると思いますので、御理解に非常に御不便をかけておることを遺憾といたしますが、われわれといたしましては、さような方法で調査をやらせていただいております。
  146. 川俣清音

    ○川俣委員 私が理解しにくいというのでなくして、実際に取扱つておる者が理解できないようては、真のものができないのではないか、この点なんです。私らは勉強すればこのくらいのことは理解できないことはないです。自分の理解のもとにお尋ねしても説明ができない。出張所においてはそういうことはやらないのだ、あるいは県の統計でやるのだ、段階でやるのだ、これははつきりしておればいいのです。ところが大体に聞いてみますと、この比率をもつて作況指数だというふうな考え方で説明される人もありますし、また説明すると秘密漏洩ということで説明しない人もありますし、また明らかにわれわれはこういう実測だけはするので、この作況数に至つては県でするのだ、こういうふうに説明する人もあるのです。説明が一様じやないのです。そこにまだ指導が行き渡らないのじやないか、行き渡らない基礎というものは信頼度が薄い、こういう意味で申し上げておるのでありますから、さらにひとつ御検討願いたいと思うのです。  それからもう一点は、中央審議会がございますが、これは毎年一体どの程度の修正を行われておりますか、これは実績でけつこうです。
  147. 原政司

    ○原説明員 修正というお言葉につきまして、ちよつと御事情を御説明申し上げておきたいと思います。先ほども申し上げましたように、データの審査決定の機能といいますか権限は、農林省の中央部にございまして、事務所におきましては、先ほど申し上げたように、データの集計をいたしまして、それらについて事務所としてはどういうふうな判定をしたかという参考意見は徴しておりますが、データの審議につきましては、御承知のようにできるだけ広地域のものをしかも類似の条件のものを比較いたしますことが正確になりますので、修正というわけではなくて、本来中央で決定するという方式をとらしていただいておるわけでございます。
  148. 井出一太郎

    井出委員長 足鹿覺君。
  149. 足鹿覺

    足鹿委員 私は二つお尋ねをいたしたいのでありますが、はるばる北海道から参考人等もお越しになつておるようでありますので、一点だけ本日お尋ねをいたしまして、あとの点については次会に優先的に時間をお与えいただくように、あらかじめ委員長にお願いをいたしておきたいと思います。お尋ねいたしたい問題は病害虫の異常発生対策と開拓地に対する災害対策の二点でありますが、第二点の問題は十九日に留保いたしまして、第一の点をお尋ねいたします。  まず政務次官にお尋ねいたしたいのでありますが、本年七月三十日の閣議決定によりますと、冷害対策の実施につきまして、いもち病の防除を促進するために、一回散布分を越える部分につき一回分を限度として農薬代を補助することに決定され、現にこれが施行されておることは御存じの通りであります。続いて本農林委員会の決議並びに主張を政府が取入れられまして、八月二十七日の閣議決定において、七月三十日の冷害地帯のみにこれを限定せずして、病虫害の異常発生地帯に広くこれを準用、適用することを御決定になり、現在これまた実施を見ておるのであります。この病害虫の異常発生の対象となるものにつきましては、いもち並びに二化螟虫のみとなつており、昨年まではうんか等はこの異常発生の農薬あるいは農機具等の補助対象になつてつたのでありますが、本年度からこれが削除になり、現在になつております。そこで事実うんかというようなものは、二化螟虫やいもちのごとく例年異常発生するとは限りません。その発生率は少いようでありますが、本年西日本におきます過般の台風に付随する気温の変化に従つて、夏うんか引続いて秋うんかの非常に激甚な発生を見て今日に至つておるのでありますが、これらの点について政府はどのような対策をとられようとしておりますか。すなわち八月二十七日の閣議決定に見られるいもち病並びに二化螟虫のほかに、このような異常発生を見た本年のうんか等についても何らかの措置を講ずる意思ありやいなや、この点をまず政務次官にお伺いをいたしたいのであります。
  150. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 お答えをいたします。本年の八月二十七日の閣議決定は病害虫異常発生対策ということになつておりまして、内容的にはいもちとかうんかとかあるいは二化螟虫とかいうような特定なものを列挙しておらないのでございまして、従いまして農林省としてはいうまでもなく、うんかもいもち、二化螟虫とともに補助を与えたいという考え方で、目下事務当局において大蔵省とせつかく折衝いたしまして、できるだけ農民のためになりたい、こういう考え方で進んでおる次第であります。
  151. 足鹿覺

    足鹿委員 別に対象の病害虫を限定しておらないから、うんか等にも適用すべく検討中であるという御答弁でありますので、まことにけつこうだと存じますが、問題はこの発生面積が非常に広汎でありまして、全国的には相当の面積に達しておると思われるのであります。そこで八億円ばかりの病虫害の異常対策費が現在ございますが、このわくをもつてして、はたしてさような実情にこたえ得る自信があるかどうか、もし必要を生じた場合においては、やがて講ぜられるであろう今回の冷害並びに災害対策の一環として、病害虫の異常発生に伴う緊急措置を、予算的にもその他の関連的にも講ずる御意思があるかないか、この点をお伺いをいたしたいのであります。それと申しますのは、私中国でありますが、昭和八年以降の秋うんかの大発生に遭遇をいたしまして、これは潮害あるいはその他冷害等と原因は違いますが、平坦地の穀倉地帯が全面的にやられておるのであります。これは一例でございますが、私どもの地方において、約五千町歩の集団的な発生地帯が出ておりますが、これに対しまして、専門的に使つた経費は、一ブロツクにおいて六百万円のBHCその他の大量投下をやつておる。しかしこの傾向は事前にある程度早期発見を行つておつたにかかわらず、何しろ一夜のうちに、まつたくあのパール・バツクの大地に出て来るがごとき蔓延ぶりでありまして、防除機具が手に入らない、備蓄農薬があつて応急手配が事実上できない、見る見るうちに惨害をほしいままにされても、これを拱手傍観するわけではありませんが、手の下しようがないというような実情であります。こういうことは昭和八年以来かつて見ざることであると地方の精農達も言つておりまして、非常にその被害の大きいのと、いよいよ最終段階の収穫期を前にしての実情でありますので、これの対策については、とうてい市町村なり県の財政においては救い得ない実情にあることを、よく御存じのこととは存じますが、御認識を願いまして、災害対策あるいは冷害対策に関連をいたし、これの対策に万遺憾なきを期せられるよう、特にこの機会において強く要望をいたしますとともに、先般来次官が御答弁になりまして、十四、十五号台風等を加味した供米割当等については善処する旨を述べられましたが、直接の台風十四号ないし十五号の被害とは断定はできませんが、それに基く気温の異常化に伴うこの大発生という点において、十分統計調査部あるいは農業改良局等を動員せられまして、被害の実情の把握に万全を期せられ、供米等についても実情に即するがごとき措置をとられんことを期待いたすのであります。その点御所信がありましたならば承りまして、私の質疑を終りたいと思います。
  152. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 最初の点でございますが、今度加藤国務大臣本部長になりまして、秋の冷害を伴うすべての災害についての対策を、政府として統一的にやろうということに相なつたのでございますので、農林省といたしましては、ただいまの台風の後に来るあのうんかの異常大発生に対しましては、何とか農薬の費用を大蔵省から獲得すべく、本部とも十分連絡をとつて、最善の努力を尽すことをお誓いをいたす次等であります。  なお第二の供米の問題でございますが、こういう点については、第一線の作報の方からも、食糧事務所の方からも、あるいは県当局も食糧庁にずいぶん御陳情があるようでありますから、そういう点は十分今度のところには加味をいたして内示をする、そうして御協力をいただく、こういうことにいたすようになつておるのでございますから、その点を御了承いただきたいと思います。     —————————————
  153. 井出一太郎

    井出委員長 それではこれより農林業施設災害に関しまして、渡部官房長より説明を聴取することにいたします。
  154. 渡部伍良

    ○渡部説明員 それではお手元にお配りいたしております、昭和二十九年発生災害の農林水産業施設関係被害額総括表という書類をごらん願いたいと思います。十月十二日現在までに私の方で調べた被害状況であります。  まず農地関係では、農地、農業用施設、直轄代行、入植施設、こういうふうにわけまして、総計が農地関係では二百四十三億になつております。内訳が、農地が三十六億、農業用施設が百七十八億、直轄代行が六億、入植施設が二十二億、こういうふうになつております。林野関係では、治山施設関係八十二億、林道関係二十億、合計百二億、水産関係で、漁港施設三十五億、合計三百八十二億ということになつております。それぞれの内訳は、あとの県別の表で詳細ごらんをいただきたいのでありますが大体昨年度災害に比べまして三分の一程度という概観ができるのであります。これはことしの風水害が雨量が比較的少かつた、こういうことに原因しておると思います。なお五号台風以降各次の台風につきまして、農地事務局を中心として査定を行つております。査定が進行するにつれて、この数字がある程度増減することがあるのをお含みおき願いたいと思います。大体これに対する対策としましては、六、七月までの施設の公共事業関係の査定は終りましたので、計数を整理して、順次大蔵省の方に予備金の要求書として出しております。それ以降の災害につきましても、今月末までを目途として査定を終りたいというふうに目下事務を進行しておるのであります。ただ今度の災害の特徴としまして、ことに十五号台風では、ここに掲げております公共事業のほかに、漁船あるいは入植地の家屋等相当大きく被害を受けておりますので、これらにつきましても調査を進めまして、漁船等につきましては順次保険金の概算払いをやつて来ております。また入植地の住宅等については、調査を進めて予備金の要求をしなければならないというので、事務を進めて来ております。  公共事業関係状況は以上のようでありますが、作物関係資料も、府県からの資料を十月七日現在でまとめまして、あとからお配りしたわけでありますが、昭和二十九年度災害による被害状況及びその対策というので、農業改良局の所管になつております。それの三枚目を見ていただきますと、台風五号、十二号、十三号、十四号及び十五号による被害状況という二表を掲げております。そこのところに昭和二十九年十月二十七日現在、県報告による、こういうふうになつておりますが、二十七日というのは誤りで、十月七日現在、県報告による、こういうふうに御訂正を願います。そのうち水稲陸稲関係につきましては、先ほど統計調査部の方から御報告申し上げたのと御比較願いたいのであります。雑穀、果樹その他につきましては、ことに雑穀の中心地である北海道、東北、南九州等が相当ひどくやられておりますので、調査の精密を期しております。もうしばらくたちませんと、統計調査部の方の結果は出ませんので、一応われわれのところにおきましては、この県の被害状況、昨年の被害状況と対比いたしまして、営農資金の所要額等を検討いたしております。今度の災害は、施設の災害も作物の災害も繰返し繰返し災害が起つておりますので、被害状況調査が非常に困離であります。初めの調査に行つて帰つたところに、また次が来た、こういうふうな関係で、最終的には相当数字がかわつて来ると思いますが、それを待つておれませんので、とにもかくにも大づかみの数字をつくりまして、昨年度とつた対策に準じて対策を講じて行きたいというので、準備を進めております。午前中にいろいろお話がありましたが対策本部もできましたので、私の方では九月二十八日に省議で一応対策を決定いたしましたが、その後各政党に災害対策委員会等ができましたので、それらの御意見も順次取入れまして、あすは対策本部にそれを出して、順次具体化して行きたい、こういうふうに考えます。
  155. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの説明に対する質疑は、これを次会に延期いたします。     —————————————
  156. 井出一太郎

    井出委員長 これより、参考人としておいでを願いました北海道農業試験場作物部長吉野至徳君の、北海道作況に関するお話を承ることにいたします。     —————————————
  157. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 委員長ちよつと……。今の官房長の説明に対する質疑だけでなく、災害対策に関する質疑は十九日の委員会に延ばす、こういう意味ですか。
  158. 井出一太郎

    井出委員長 そういう意味です。  ちよつと渡部官房長に申し上げますが、当委員会としましては、十一日以来作況の実態調査に当つて参りましたし、また委員が各地を視察して、その結論等も持ち寄つたわけでございます。そこでいろいろのデータは出たのでありますから、当委員会としての災害対策をこれより樹立いたしたい。それを十九日、二十日の両日ぐらいにとりまとめる予定でおりますが、あなたも災害連絡本部の重要メンバーとしてお出になるわけでありますから、本委員会の意のあるところを十分におくみとりいただきまして、対策の上に織り込んでいただきたいと思います。     —————————————
  159. 吉野至徳

    吉野参考人 北海道農業試験場の作物部長をしております吉野でございます。急遽参考人として招集を受けまして準備も不十分の点もあろうかと思いますが、できるだけ整えてまかり出たわけでございます。  九月二十六日には衆議院の農林委員会委員の方々がお見えになりまして、その当時の冷害を主体にごらんになられた。ちようど当二十六日は日曜日でしたが、午後から荒れて参りまして、七時過ぎには例の十五号台風がえらいあばれ方をいたしまして、北海道では従来見られない台風被害を目のあたりに体験したわけでございます。この前おいでくださつたときには、冷害のことを主体にお話いたしましたが、きよう重ねて冷害のことをお話することは、私としては恐縮に存じております。しかし話の順序から、簡単でもやはり冷害のことをお話しなければならぬだろうと思つております。しかし最も力を入れて申し上げたいのは、十五号台風がその後の北海道稲作に及ぼした影響ということを重点的にお話してみたいと思うのであります。  今年の春先の気象台の予報から申しますと、技術的にあるいは品種的にあるいは土地改良的に、いろいろな方面からみてかつての状態と今日の北海道稲作状態は著しく異つていまして、技術水準は非常に上つております。ああいう程度の気象予想であるならば、何とか八分作くらいまでは収めることができるであろうと考えてあらゆる技術的な面を総合して実は本年の稲作を出発したのであります。従つてそれに呼応いたしまして、エージエントなりあるいは実際に生産をいたす農家も非常に張り切つて冷害克服に邁進したわけであります。ところがそれが大事な時期に——この大事な時期につきましては後ほど御説明申し上げますが、低温障害が来、さらに成熟の末期におきまして、あるいは中晩生など登熟中すなわち末期というよりは成熟の中期におきまして台風害にあい、相次いで霜、雪によつてとどめをさされたわけであります。従つて総合的に見て、今年の北海道稲作は遂に五分作も至難の状態になつたということは、農家の努力、またそれを指導した指導者側の非常な昼夜をわかたぬ指導も、効薄く遂になつたことは非常に残念でなりません。今年の稲作冷害を過去の冷害と対比すれば、昭和二十年あるいは昭和十六年、こういう冷害年よりはもつと気象的に見ますと深刻な悪い状態に置かれたというふうに考えられます。私は昭和十九年からさかのぼつて六十年間をとりまして豊凶を分類してみたわけであります。青の部分が反収一石にならない年柄、つまり凶作であります。これが六十年間に十五回ある。それから四俵以上、つまり一石六斗以上をとつた年、これを豊作と一応考えてみますと、これも十五回ございます。あとの三十回というのが六十年間に平年作を収めておる、こういうふうに見られたのであります。従つて百年間に二十五回ずつ凶作と豊作とがあり、残つた五十回というのが平年作ということになります。それをもう少し詳しく申しますと、北海道では百年間に七十五回以上平年作以上を収めることができる、こういうことになるわけです。そこでわれわれはこの二十五回の凶作をいかに克服するか、こういうことで今までわれわれ試験研究機関は努力研究して来たわけであります。まだまだ研究しなければならぬことは、ことしの凶作によつても数えられておりますが、とにかくそれによつて——もしこれが研究が進んでおりませんならば、ことしはおそらく大正二年に次ぐところの大凶作になつたろう、つまり一俵そこそこの凶作になつただろうと、結果から私ども考えておるわけです。それが一俵から二俵近くまで、あるいは二俵以上もとれる農家が出て来たということは、今までの土地改良、あるいは品種改良、あるいは議会方面で非常に心配してくださつておるところの温床その他の保護苗しろの奨励、病害虫防除の徹底、こういうようなことによりまして、今日の水準ではどうやら大正二年ほどの実害をこうむらないでしのぎ得たということになるのではないかと思つておるのです。  これらの凶作の年あるいは豊作の年の中から代表的なものを拾つてみますとこの表になります。北海道の稲は日本の西南暖地の稲と生理生態型が全然違うのであります。つまり端的に申しますと、温度に関する感温性が非常に鋭敏で、温度が高ければ栄養体が十分できないうちに穂が出る、温度が低ければ生育が非常に停滞して生育期間が長くかかる、こういう性質を持つておる。それの極端な例を申しますと、北海道の稲を、たとえば関東の鴻ノ巣あたりに持つて来てこちらの苗植えの時期にやりますと、温度が高いゆえにもう苗しろで穂が形成されてしまう。遅れた場合でも本田に移植してすぐ穂が出てしまう。稲の栄養体が極く小さなままで穂が出てしまう。これは北海道の稲が高温に対して非常に鋭敏であるからであります。ところが九州方面の稲は御承知のように晩植いたします。北海道の稲は晩植いたしますと、温度が高いときですからすぐ穂が出てしまつて、米の経済的生産はできはしない。九州の稲は、いや九州ばかりでなしに四国あるいは東海、近畿方面の稲は、北海道の稲と生態型がまつたく違うのです。これは日が短かくなつて来ると——年間で日が一番長いのは夏至ですが、七月になつて来ますとだんだん日が短かくなつて参ります。一日の日照時間が短かくなつてくるとすなわち九月中旬以降に穂が出てくる。それで十一月ころに収穫できるようになつているわけです。西南暖地の稲は、一日の日照時間の長短に対して非常に敏感な性質を持つています。日の長いうちは栄養体をつくるが、短かくなつて来ると普通の栄養成長が生殖成長にかわるというように、根本的に西南暖地の稲と北海道の稲の生態型が違うのです。そして東北だとか北陸だとか、中間にある地帯には、この北海道の感温性と西南暖地の感光性の二つが組合わさつた中間性の生態型になつており、北海道にだんだん近くなるに従つて、その中間型は北海道の性質を強く帯びて、感温性が感光性よりも強くなつて来る。南に行くに従つて感光性が感温性よりまだんだん強くなる。細長い日本に分布しておる稲は、そういうふうに地帯々々の気象条件に感応してそれぞれの生態が選ばれ、分布しておるのであります。同じ稲といつても、そういつた生理生態的の性質はそれぞれの地域で違うのであります。そこで北海道の稲が温度に対して敏感なわけですが、今までの北海道の米の豊凶を見ますと、温度の高低によつて豊凶がきまつているように見られます。もちろんそれに次いで相関の高いのは日照でありますけれども、日照よりも顕著に相関係数が高く出て来ているのは温度の高低であります。そこで温度の点につきまして豊凶の年柄を吟味して参りますと、この図の帯の間は大体平年の圏内であります。算術平均しますと、この赤い帯と青い帯の境界線が算術平均された、いわゆるよく使つている年の平均気温線です。けれども年によつてその平均から平年作の年が動いていますから、その幅を見て計算しましてこの幅を現わし平年圏温度としました。言いかえますと、この幅の範囲に温度が上り下りしているような年柄であれば、大体平年作を収める見通しが考えられる。もしこれが平年圏の帯を上まわる、こういうところに出ることが多ければこれは豊作の年であり、それからこの平年圏の帯から下まわるようなことがあれば凶作年であるというふうにみられるのであります。解析をしてみるとなるほどそうなつたのであります。その一例として最近の冷害昭和二十年をとつてみますとこういうふうになつております。ここでちよつと平年に入つてここでまた出て来て、それから八月上旬に行つて平年の方に入つて行つた。それから凶作の大正二年ですが、こういう大凶作年は、今まで北海道に明治三十五年と大正二年の二回あるのであります。反当二斗以下です。この黄色の線が大正二年でありますが、これは初めから終りまでずつと低い。それから昭和十六年は初めはそう低くない。そうして夏に行つて低くなつて、また八月中旬以降になつて平年に行つた。こういう年です。凶作の年を見ますと、二十年のように春先ぐつと悪くて、そうして夏にちよつとよかつた。それから昭和十六年のように、春先はそんなに悪くないけれども、夏で悪くなつた。こういうふうに二つの対象的な年柄がある。それから昭和十七年は割合に平年作の年ですが、この年はこの点線で表わした、こういうふうな年柄であります。それから昭和二十三年は、北海道では珍しい豊作年でしたが、春先からずつといつでもよかつた。これは大豊作の年であります。そういうふうに、大体この帯の間を行つておれば平年作、これが下まわれば凶作、春先下まわつて夏がこうちよつと入ればこれはある程度米がとれる。このような年は生育遅延が主体となつて冷害となつて現われますが、早生種とか、早出来のものはとにかくとれる。それから昭和十六年のように、この青い線で示してあるものですが、初めはそんなに悪くなかつたんですが、ここへ来ると低温となつて、このため生殖成長に行つて障害が起きてきたのであります。こういうような年柄にわかれて参ります。  それでわかりやすく申しますと、これらの凶作の年、豊作の年を、私の方で豊凶試験場ができて以来の豊凶考照試験を対象として調べてみますと、明治ごろの古いものは試験場ができておりませんので、調査がありませんけれども、大正年代からのものはとつてあります。凶作の年は大正二年、十五年、昭和六年、七年、九年、十年ですが、この図のこの線を平年線として、これらの圏内をしまつた回数、下まわつた回数を度数分布図で示しますと、凶作の年は春先がいいこともあるし、悪いこともある、また秋になつていいこともあるし、悪いこともある。豊作の年もやはり同じように、春先がいいこともあるし、悪いこともある、秋がいいこともあるし、悪いこともあるわけです。まあ豊作の年は凶作の年よりもいいことの方が多少多いようですけれども、特に違うのは、七月中旬から八月上旬にかけてです。凶作の年は、常に平年圏から下まわつておるわけですが、豊作の年はこれと対蹠的に必ず上まわつておるというわけです。言いかえますと、七月中旬から八月上旬にかけての温度の高低いかんが、北海道の米のとれるとれないということを決定しておると、こういうことが言えるわけであります。このことは別の数字的な、統計的な調査から見ましても、相関係数から見ましてもやはり言えるわけです。七月中旬から八月上旬の相関係数は大体七〇ぐらいになつておりまして非常に高い。そこでわれわれといたしましては、米がとれるとれないはこのときの天候、つまり気温が高いか低いかによつてきまるのであるから、いかにして外気温が低くなつたときにこれを守るかということが、栽培学の方から見た一番大事なねらいどころになるわけです。またこれを育種学的に見たときには、いかにしてこの時期の低温に対して強い品種を育成するかということが非常に大事なことであります。更にもう一つ大事なことは、こちらの図でごらんになつてわかるように、年によつて春先は悪いけれども、夏へ行つて高くなることもあるし、あるいは十六年のように、春先はいいけれども、夏になつて低くなることもあるのです。このような危険をいかにしてずらすか、これは回避策になりますが、ずらすくふうをするわけです。もし一ぺんに全部この時期——八月上旬なら八月上旬に出穂することをやりますと、危険が集中いたしますので、七月の下旬から八月の下旬ぐらいまでの間に危険を分散するようにするわけです。こういう分散策というようなものを耕種肥培に考え、早中晩の品種の組合せとか、あるいは稲作法の組合せとか、栽植密度の問題、肥料のやり方とか、そういうようないろいろの点についてくふうをしておるわけです。先ほどもちよつとお話しましたように、過去の冷害をわけてみますと、昭和二十年のように春先からずつと天候が悪くて、ただ遅延したために、そうして秋詰まりに霜にあつて青枯れてしまつた場合には、稔実障害があまりない、ただ登熟障害が出て来るわけです。しかし遅延の場合にも大まかにみて二通りある。つまり春先が悪くて遅延する場合と、登熟期間の秋に行つて悪くて遅延する場合、それから両方が重なつた場合が出て来ることがあります。これは主として栄養生長期間に天候が不順で、気温が低かつたために出穂や成熟が遅延するということになります。それから障害型冷害というのは、栄養成長が済んで七月の中旬になると普通は生殖成長に入つて来るのですが、つまり実を結ぶための成熟をするわけなんですが、その頃に低温不順ですと、幼穂の分化期の低温障害が起ります。この幼穂の分化は北海道では普通出穂前二十二、三日ごろですが、その時の穂の長さを見ると二ミリぐらいになつています。その頃から米の倉庫といいますか、米を結ぶためのいれ物の頴花ができますけれども、その頴花の数がきまつたり、あるいは頴花は枝につきますが、この枝が枝梗であつて、そういうようなものが分化します。その当時に低温ですと退化頴花ができます。ことしはそれができておるのですが、低温になると、つまり退化頴花が出て来る。ちようど糸くずを散らばしたように、チリチリとした、もみの形をしない痕跡が出て来る。それを私は退化頴花と申しておりますが、その出方にはやはり品種間に低温抵抗性の差異があります。私どもの育成したこれは品種ですけれども、こういうような違いがございます。その低温障害がつまり貯蔵庫の数をそれだけ減らすわけです。それから間もなくいたしまして、ちようど出穂前二週間前のころになりますと、いわゆる性細胞ができる時期がございます。稲のからだすなわち栄養体の細胞の染色体は二十四ですが、性細胞の方の花粉あるいは胚というようなものになりますと、その半分の十二の染色体数です。二十四が十二に減数する作用が行われるわけです。つまり栄養細胞が生殖細胞にかわつて来る。そのときに父方になるのは花粉であり、雌の方は胚嚢の中の方にあるわけでありますが、受粉によつて、雄の花粉が花粉管を出し、この花粉管が伸長しその後胚嚢内の珠孔から卵の中へ行つて両性の核が結びつくわけです。すなわち一つの雄核は卵核に結びつく、他の一つは極核と結びつくのです。つまり二重の受精が起つて、卵核と結びついたものがいわゆる胚になり、それが来年種としてまかれた時に芽となつて出て来ます。われわれが食べる大事な白い部分は胚乳で、これは雄核と極核とが結びついて発育したものであります。だから完全に米になるのには、丈夫なりつばな花粉ができ、花粉管が元気に伸びて、珠孔から入つて雄核は健全な卵核と極核とに結びつかなければ米ができません。ところがそういつた健全な花粉と胚嚢とが成り立つためには、先づ今の減数分裂が完全にわかれて行かなければならないわけです。その減数分裂のできる時期に低温になると、分裂の途中で、これは細胞学的には少しめんどうで恐縮ですが、ここに核盤というものができなければならぬし、分裂したものが両極にむかつて規律正しく並ばねばならぬし、また縦裂も行わればならぬのであります。そういう時に低温にあいますと排列がうまく行かなかつたり、中には核盤がうまくできなかつたり縦裂が行われなかつたりして、いろいろ不則な分裂が行われ、普通の正常の花粉ならば一核よりないのですが大小さまざまな多核をもつた畸形の能力のない花粉ができて来るのであります、それから雌の方でも、これは大体四分子にわかれるのですが、そのうちの三つは消失してしまいまして、一つだけが完全に残らねばなりません。この雌の方は割合に低温障害の危険が少い傾向を持つていて、比較的に安全です。花粉の方は非常に低温障害の危険が多いわけです。これは生物の方から見てもおもしろいことだと思います。子孫保存のために危険なものは数がたくさんでき、安全なものは割合に数が少いということは、非常におもしろい現象だと思います。魚なんかでも、北海道ではにしんがとれますが、にしんの数の子は非常にたくさんある。あの中でほんとうに健全に育つものはそんなにない。途中で外敵にあつたりするので危険率が高いから、数の子が多いのであるまいか。私は植物と対比しておもしろいことだと思います。この花粉の母細胞は分裂によつて四分子とも残るが、安全な胚嚢母細胞は、分裂して四分子中一つより残らぬというようなことは考えさせられる問題であります。このように減数分裂の時期に低温にあうと、受精機能を出穂前にすでに失つておる。それからかりに十二ずつにわかれまして花粉ができたにしても、今度は花粉を包んでおるところの袋、これは御承知のように葯ですが、この葯の内側の面にタペイト層があります。このタペイト層は、できたばかりの花粉——これを私どもは小胞子と言つておりますが、——小胞子が栄養をとつて花粉管を出し、受精をする元気のいいところの花粉にするために栄養を与える機能を持つているわけであります。そのタペイト層は薄い層ですが非常に細胞のきちんと並んだ層なんです。そこから花粉に栄養が補給されるわけです。ところがそのタペイト層が人間で言えば胃がんになつたようになる。低温のためにがんができまして、そしてその栄養を送るみずからの機能が破壊されてしまう。破壊するばかりでなくて、今度の分裂は済んだけれども、栄養が十分とれないで、完成されない栄養不十分の小胞子を包んでしまいまして、とうとう花粉をしなびさしてしまう、いわゆる稔実の悪い不稔花粉ができるわけです。これがちようど出穂前の一週間前後の時期の低温によつて起るのです。これは品種によつて多少違いますけれども、大体以上の三つの障害が穂ばらみ中における大きな低温障害で、稲の結実を著しく悪くするのであります。すなわち冷害の最も強く現われるのは、穂ばらみ期間の低温による稔実障害であります。  それからその次に来るのが、出穂開花期の低温であります。府県ではちようど二百十日が恐しいと言われますが、これはそれに該当するわけです。北海道の場合には、普通出穂開花は八月上旬ですが、出穂開花期の低温よりも、穂ばらみ中の低温が非常に恐しいのであります。ですから要約すれば北海道では七月中旬から八月中旬の時期にこれらの大事な生育過程が行われる。つまり生殖成長を営むための大事なもとの機関がつくられるわけですからその大事な七月の中旬から八月の上旬にかけて低温であると米はとれなくなり、高温であると米はとれるというわけであります。ですから七月中旬から八月の上旬の間の温度が高いか、低いかによつて北海道の米のとれ方がきまるわけです。それを細胞生理学的に申しますと、ちようどこの生殖成長の大事な営みが行われるときに天候不順でありますと、稲にいろいろの障害を与え、凶作になるわけです。ただいまも申しました胚嚢の母細胞の減数分裂あるいは花粉の完成期のタペイト層の肥大というような、障害の結果は、この標本のように白桴となつて現われております。  それからもう一つ生理的に問題になるのは、低温が極端になりますと、稲の茎葉や穂が黒変することがあります。これは病菌によるものではありません。生理的な障害です。そしてそれが強くなりますと、中が腐りまして性器が全部腐つてしまい、機能を失つてしまう、そういうことがあるわけです。これは昭和六年あるいは九年のときにも出ておりますし、十年のときにも出ており、今年もそれが出ております。それから一つの穂の開花は一斉ではなく、穂の先の方から——枝の先の方の条件のいいところからだんだんと下の方に向つて次々と咲いて行くわけですが、今年は一穂の開花に長日を要し、一株内でも一箇月を要しています。  それから今年の冷害は、過去の冷害とどういうふうな違いがあるかということを次にお話してみたいと思うのですが、これが平年の気象の図ですが、今年はこういうふうに気象がずれて来ております。これが五月、六月、七月、八月、九月というように半旬別に表に現わしたものであります。今年の作付前の気象台の予想では、この点線の推移をたどるだろうということだつたのです。そしてここのところが高くなつて、ここで低くなりそれからまた高くなるという予想だつたのですが、この大事な七月の第二半旬から八月まで低くなつております。これが予想と著しく違つた点であります。もしここのところで上るのであれば、私どもはわせを使つたり、あるいは稲ができ遅れしないような保温苗を用いるとか、栽殖密度を高めるとか、肥料も窒素を減らして燐酸を多くやるとかいうことで、相当のところまでは行けると考えていたわけであります。ところがここが低かつたために予想をくつがえされました。しかし耕種技術が非常に進んでおりましたので、六分作は何とかとれるだろうという見通しを立てておつたんです。幸いにここで平年と同じくらい上つていますが、また八月の第二半旬に下つております。そして九月に入つて例年の八月ぐらいのいい天気になつたのであります。これがもう少し早く来てくれれば、かなりこれでよくなつただろうと思いますけれども、これがここまで来て、例の九月二十六日の台風でぴしやんとやられて、霜以上の障害を受けて、まつ白くなつております。霜以上ということはどういうことか、それは先ほど申しました頴花がついているところの枝の部分が白くなつてしまつております。葉はずたずたになつてしまつて、脱粒したということであります。一体玄米が太るのは葉や茎でできたところの貯蔵養分が稈や枝梗から移行されて行くわけであります。その通路、つまり貯蔵養分の転流が遮断されてしまつたということになるのでありまして、このたびの台風の影響というものは、ただ単に脱落したというだけでなくて、乳熟の途中にあるものにとつては、貯蔵物質の転流が遮断されたことになります。ですから台風被害というものはこの二つがダブつて来ております。この九月の第六半旬に来まして、霜が来た。第六半旬の霜は、水霜程度でございましたから、霜害防除を二、三回繰返すことによつて、かなり守ることはできたんですが、十月に入りましてからは強霜になり、特に五日、六日、七日、八日、連続的に低温になりまして、七日には雪が降つたりしまして、もうここで決定的に作柄がきまつた形です。台風が来たときに皆がだめだろうと言つてつてしまいますので、私はそれに対して注意したのですが、よく見るとまだ中には枝梗も生きている枝梗があるから、それを助けようという下心で、もう少し様子を見てから刈ることにしてくれということを申しまして、様子を見ているうちに厳霜が来たわけです。それが農家はこれで万事休すというので、目下盛んに刈つております。盛んに刈つておりますものの刈り手の数が少いものですから、非常に人夫賃が上つて、女手一人千円からしておりまして、それで奪い合いの状態であります。この調子で行けば、凶作ですので、農家もできるだけ節約して自分の手で刈らなければならぬだろうと思いますが、このままおけば、今年は相当雪の下になるだろう、こういうふうに考えられます。この表は、今年の半旬別に見た表ですが、今年は昨年に比べてひどいことを、この気象の表でもわかつていただけると思います。秋になつて九月はちよつとよかつたけれども、昨年はもちろん秋はよかつたけれども、本年よりも早くに高温になつておるわけです。ことしは遅く高温が来たために、うまくない面が、昨年とことしの作況の大きなわかれめです。  それから、これはことしと昭和二十年、遅延した年の比較ですが、道内の主要試験機関のデータをもらいまして、急いでつくつて来たのがこれらの図表であります。この黒いのが昭和二十年、赤いのがことしです。ことしはもう一つ春先天候が悪かつたために、こういうふうに遅れて来ております。これは苗しろ日数期間の遅れはそうありませんでした。それは四月が順調であり、五月も末ではちよつと悪かつたけれども、まあそんなに大した変動はなかつたということが言えましよう。ただ五月の十日ですか、種をまいたばかりで、台風に似たような強いものが来て、温床が飛んで非常に世間を騒がしました。そのためにちよつと頓挫したことはありましたが、まずまず温度から見ますと、そう北海道の春先としては特別なものではないと考えます。ところが六月に入りまして悪かつたので、とめ葉日数が去年よりどのくらい長かつたかというと、これだけです。かつて昭和六年にそういうことがありましたが、昭和六年以上です。昭和六年も天候が悪かつたために生育が遅延したのです。それからことしは、とめ葉が打つて、出穂するまでの日数、これを私どもは穂はらみ日数と言つておりますが、その穂はらみ日数も延びております。大体穂はらみ日数は二週間くらいですが、それも五日ばかり延びております。それから登熟日数、この登熟日数というのは、出穂から成熟期までの日数ですが、その日数をとつてみますと、平年だと、四十日かかるのが、ことしは途中で霜にあつてしまつて未熟のままに終つたものが多いわけです。私どもの見込みとしましては、五十五日くらいかかる予定でありましたが、統調の方で五十日くらいになつておりますけれども、それ以上要する見込みのものが多かつたの被害甚大となりました。それが霜に当つてしまつた。ことしの全体の生育遅延はどれくらいになるかというと、これとこれと、これらを合算しなければならぬから、大体一箇月遅延したことになります。そうして夏には先ほど申しましたように、こういうふうな平年より二、三度低い、はなはだしいときには五度くらい低温であつたくらいですから、著しい低温障害を来したわけです。言いかえますと、大正二年に次いだ遅延と障害、この二つが重なつて来た混合型の冷害年であるということが言えるのであります。  そこで私どもは、春から穂はらみ期の低温を守るために深水灌漑をするように言うて注意して来たのです。これは水をかけておきますと、ただ単に外気温より水の温度が高いばかりでなく、その稲の生えている範囲内の空中の気温をも、水のおかげで多少高く保つことができるからであります。幼穂の形成、穂の卵が形成されたころは、稲の穂は地ぎわにあるわけです。ですからこの時の低温は、一寸の水を張つてつても保護されるわけです。この図のように横軸は温度で低い方から、十度、二十度と高い方に刻んであります。こちらの縦軸は地上から稲草が生えておる高さに応じ、下から上の方へと高くなつてゆきます。すなわち十センチ、二十センチ、三十センチ、五十センチ、七十センチ、百センチ、百五十センチとなつており、百五十センチくらいになりますと、水を一寸の深さに入れておつても温度は外気温と同じくらいになります。この図は従つて温度の垂直分布を時間的に示していますが、水を二寸張つておると、五十センチくらいまでは、水を張つたおかげで気温は多少実質的に高く保つことができています。地ぎわにある穂の卵は、幼穂形成期に水を深く張ることによつて温度を高く保ち、冷害を緩和することができます。これが夜明けの五時です。これが晩の九時です。さらにこれがとめ葉期ころになりますと、いわゆる穂はらみ期間で穂の先端の位置は地表一尺くらいのこの辺に来る。こういうふうに水を一寸張つただけでこういうふうに外気温よりも午前五時なら下ほど高いのですが、ともかく穂の周囲をより高温に保つことができるわけです。この垂直分布図はことしの調査であります。それが五寸以上の深水になると効果はさらに大となります。すなわち深水の程度を高めることによつて漸次低温障害を軽減できます。これは昨年の冷害の年にやつた実験ですが、外気温が、最低気温で十度八分のとき、五寸張つたものは十八度に保つことができる。それから三寸のものは十七度に保つことができる。一寸五分では十五度をちよつと越しますが、外気温が水一寸張つただけで六度五分、五寸も張つたならば七度五分も高く保つことができる。日中の温度の高いときはどうかというと、これは逆に低くなる。しかしこれは低くなりますけれども、大体稲の生育の上から考えてそう極端な低温ではないから差し支えありません。平均いたしまして、深水によつて二度近くを常に高く保つことができるということになります。さようなことで、ことし私どもはこの期間を水で守ろうとしたのだが、ことしは気象的に申しますと、これは新しい表現になりますが、いわゆる晴冷型と申しまして、オホーツク海の高気圧が頑強に北海道の空に停滞したものですから、日中はよく晴れておりますけれども、朝晩非常に寒い。そのおかげで梅雨前線の北上が八月中旬になり、この間こちらの東北とか関西方面は盛んに雨が降つたのですが、北海道では雨が降らず非常に困つたのです。その期間に旱魃が起きたわけです。すなわち六月の下旬から七月の下旬にわたつて、雨らしい雨は七月の一日にちよつと降つたきりで、あとほとんど雨が降らず、水用には地割れが多発した状態で、私どもは水を深くかけてくれということを言うこともできない様でした。ただ水を多少でも、一寸でもかけられるところに対しましては、できるだけ深水してくれということを申しましたけれども、一般には遂に実行できかねました。こうした旱魃はさらにこの冷害を一層助長し拍車をかけたことになります。今年の冷害の一特長とも言えましよう。こういうふうに考えております。  それからもう一つの特異現象は六月の上旬、中旬——五月の下旬から多少入りますが、苗植えころや苗植え直後が低温であつたために、低温性の害虫であるヒメハモグリバエが全道的に大発生、被害したことであります。そのヒメハモグリバエが出たために苗が腐りまして、補植したり再播したりしました。三本植えしたものが一本になつてしまつたり、あるいは株がなくなつておそくなつて苗植えしたり、直播したりしました。こういうようなことでこの標本はさし苗しないものに対して、したものがどれだけ生育が遅れたかを示すものであります。さし苗しないものはこれほどまでによく稔つたのですが、さし苗したものは生育が遅れてまだ青い状態です。よく稔つたものは十五号台風によつてひどく落されております。実入りのいいものほど台風にひどく落されております。未熟のものは白くなつてしまつたわけです。  それから、品種によつてことしは危険の分散を考えたのですが、予想からにらみ合せてやらしたのですが、やはり作付の多いのは何といつても中性種に置かなければなりません。ことしは中性種であつても遅れ穂が、どうしても生育ずれで遅れが著しくなるから、できるだけ一株の栽植本数を多くして、出穂があまり散らばらないようにとあらかじめ指導して来たのですが、ヒメハモグリ被害や低温害等で、一株の中の親穂と分けつ稈との出穂、開花のずれが一箇月にわたつております。それで主桿と分けつ稈の登熟状態は非常に差があります。それから品種によつて非常に抵抗性の強い、実入りのいいものがあり、これは品種改良したものですが、中には経済的収量は多いけれども、不稔が非常に多い品種がございます。この中で特に目立つたのは、普及されている面積の多い照錦と早生錦が特に不稔が多い。ところがまたもう一つ普及面積の多い農林二十号あるいは栄光、農林二十号の場合は、親穂はいいけれども分けつ桿は非常に稔実が悪い。栄光はやはり稔実は比較的いいけれども、九月になつて出穂したために遅れ穂が非常に登熟途中でやられてしまつた。こういうことです。一般に早く花が咲き実が入つたものは脱粒し、おそく出穂し乳熟中のものは台風で白く枯れ上つたということです。  それで台風を次に話しておきたいと思います。この写真は私がみずからとつて来たものですが、空知のいわゆる泥炭地として有名な石狩泥炭地帯に中村農場というりつぱな農場がありまして、そこに大きなりつぱな事務所がございますが、この屋根が飛んでしまつて家がいびつになつてしまつた。これの前の倉庫はつぶれてしまつた。又れんが建のりつぱな倉庫がございますが、それなどもひびが入つております。石狩川が約十間ぐらいうしろに流れているのですが、そこの所にこの家の屋根が飛ばされて、流れてしまつて跡形もない。それからこれは私どもの泥炭地研究室の入りぎわにある防風林ですが、これは約十間ぐらいの幅で、ふだんは鬱蒼として向うの見通しがつかない防風林です。それが台風で折られてしまつて、この通りになつています。こういう台風が吹いたために、ここに脱粒もみがありますが、これは大体一俵ないし一俵半の脱粒状態を示しております。それの残つた方の穂は、こればいいもみが落ちてしまつて悪い貧弱なものがついておる。あるいはしいなのようなものがついておつて、残つたものがよくない。すすきのような状態になりました。それを具体的にしますと、生育の進んだものはこういうふうに脱粒がひどい。これは同じたんぼの中の株について調べたのですが、これは同じたんぼの中で脱粒が割合に少いものです。こちらになりますと穂切れがあつたり、あるいは脱粒がひどくてすすきのようになつております。それから生育の遅れたものについてはそちらほど脱粒はないけれども、こういうふうに細り上つてしまつている。霜でやられたので生理機能を失つてしまつて、細く白く枯れ上つている。これらのものは乳熟期のものですが、できたところの米——できたといつても無理に米と名付けてしまつたものですが、災害なかりせば、いつもですと大体千粒で二十二グラムぐらいある品種なんですが、たつた十五グラムぐらいで、ほとんど人間が食うような米ではありません。まずまずにわとりが食う米、しいなに近い青い米、そういうふうな状態です。おそらくことしはそんなことで、台風被害は脱粒で大体平均的に見まして反当一斗ぐらいは落ちておると私は思います。  それから貯蔵養分の転流機能を遮断されたことによる減収が更に加わります。実験によりますと、とめ葉を乳熟期に人工的に切つてしまつて貯蔵養分を送る機能を遮断してしまいますと、品種によつて違いますけれども、一割から三割の被害があるわけです。そういう栄養物質の転流機能の破壊ということとあわせて考えますと、特に栄養物質の転流機能の遮断につきましては、早生品種よりも中晩生種に大きく来ておりますので、これは全体の作柄の上から見ますとウエートが大きく響く。そういうふうに考えて来ますと、冷害と切り離してこの台風の影響というものは二割から三割の被害が見込まれるのじやないか。従つてただいま統調が今総動員でいろいろ調査しておりますが、たとえばこの前の指数でしたか七〇%という北海道の分作が出ておりましたが、今後とつてもあんな七〇%の分作は望めません。このことを御了解願えれば仕合せだと思います。いずれ次々と調査して資料が参りまして、だんだん秋下りになるでしよう。昨年はだんだん秋上りになりましたが、ことしは反対にだんだん秋下りになるだろうと思います。この現象が少し違うのではないかと思います。一番残念なのは、この十五号台風が来なければ、かほどまでの惨状に行かなかつたと思いますが、これによる被害北海道の稲つくりの大場所である上川、空知、それから道南の前田、発足、余市あるいは渡島、胆振、石狩管内、こういう大事な大場所に大きいとみられます。しかもこれらの産地は、北海道の米の生産上ウエートが大きいのだから、それだけにこの台風にやられたということは、冷害の方と併せ考えて、こういうような災害はいままでに珍らしく、北海道として経験したことのない大被害だと思われます。その上に霜が大きく、雪が早かつたということがだめ押したものだと思います。  以上簡単な説明ですけれども、非常に乱暴な説明で恐縮でしたが、終ることにいたします。(拍手)
  160. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの吉野参考人の説明に対する質疑がございますか。——足鹿覺君。
  161. 足鹿覺

    足鹿委員 非常にとうとい薀蓄をお聞かせいただいたわけでありますが、ことしの北海道作況について、各地域に支場をお持ちになつておりますしいろいろ御研究になつておると思いますが、現在あなたの方でわかつております作況について、概要を承ることができたらひとつお願いいたしたい。
  162. 吉野至徳

    吉野参考人 ちよつと質問意味がぴんと来ないのですが……。
  163. 足鹿覺

    足鹿委員 作況に対するあなた方の御意見。
  164. 吉野至徳

    吉野参考人 ただいま話したのは作況なのですけれども……。
  165. 足鹿覺

    足鹿委員 実際の収穫高。
  166. 吉野至徳

    吉野参考人 収穫高を支場別に見てですか。
  167. 足鹿覺

    足鹿委員 それからできれば支場を中心にしていろいろな実験の結果の資料があるでしよう。それをもとにして、あなた方の推定されます北海道における収穫高。
  168. 吉野至徳

    吉野参考人 これは今ちようど私ども調査中に飛び出して来たのですから、私の研究室の連中がみな出ておるわけです。それが帰つて来ておらない。その点で非常に残念なのですけれども、大体私の頭にあることでよければ申し上げます。
  169. 足鹿覺

    足鹿委員 それでけつこうです。
  170. 吉野至徳

    吉野参考人 北見、十勝方面はほとんどゼロに近い。それから留萌方面になりますと、天北支場が留萌の一番北にあります。遠別によりさらに北です。ここでは稲つくりはやつておりませんが、私が見た目では、あそこは旱魃がひどい。あそこが旱魃で一番ひどかつたと思います。天塩川がすつかり枯れてしまつた。留萌管内の南の地帯は割合にいい。上川方面、空知方面にも近いものですから、そこですと五分作ぐらいまで行くでしようけれども、北の方に参りまして遠別近辺になりますと、特に初山別の北ということになりますと二分作ぐらい。それから道南の方は、私は実はこちらに来ないで道南を見るつもりであつたのが、こちらに来たために見られないでかわりに行つてもらつておるのですが、道南の稲は、例年春先の日照が少い。従つてあそこで育成された品種というものは、割合に日照が少くても、春先天気が悪くても秋に行つて——割合あそこは秋が長いため霜がおそいものですから、秋に行つて非常に結実性のいい特徴を持つている。ですからここは台風がなかつたならばまあ六分作くらいまで行くと私は見ておりましたが、この台風でどういうふうになつたか。それから空知ですが、空知は台風が来ない前には、私は六分作くらいには行くと考えておつたのです。ところが台風が来ましたために、これは四分作へ行けばいいのじやないかと思つております。それから上川の永山近辺は、ことしは全道で一番いいのじやないかと思つてつたのですが、これも脱落が相当行きましたし、それから宗谷線の北部あるいは石北線といつたようなところは大体五分作以下と思います。特に和寒以北方面になりますと二、三分作というところが出て来ると思います。それから後志の前田、発足方面はヒメハモグリバイにやられまして大分遅れておりますが、これも後志の地帯としてはいいところです。冷害が大体三割くらい出ておりますが、それに台風被害がプラスされますから、まあ五分作へ行けばいいと思つております。それから胆振、日高方面ですが、日高方面は従来ですととんでもない作況になると思つたのですが、今年は指導が徹底しまして、農林三十四号が植えられて早稲に切りかえられておりますから、九月中ごろまでの状態では日高が案外よかつたのです。直接私見ておりませんが、ほかの人の話を聞きますと、日高はいつも悪いところですけれども、ことしは案外いいだろうと言いますが、これもやはり六分作へ行けばいいと私は思つております。そんなぐあいで、全道を平均しますと、大きなところは上川、空知ですから、これはとても五分作以上は望めない。今の台風から考えて大体三分作から四分作、これは多少稲の進み方によつて違うでしようけれども、三分作から五分作の間を行くのじやないかと思います。全道で幾らとれるということは、道庁のように私詳しく計算しておりませんが、大体頭でそんなふうに考えております。
  171. 足鹿覺

    足鹿委員 私ども昨年御地を視察させていただいたわけでありまして、その当時上川支場にまだ交配二年目の優良な品種を見受けたわけでありますが、その後ガラス張り室等の予算もついたようでありますし、あの品種がほんとうに固定しまして、実際に農家に一日も早く配付できたならばという感じを非常に強く持つたわけであります。その後あれの実験の経過と、今後の見通しはどういうふうになつておるものでありましようか。それをひとつ伺いたい。
  172. 吉野至徳

    吉野参考人 それは上川支場長がやつておりますので、私直接関係しておりませんが、仕事の関係からいろいろ相談はしております。結論的には大体非常に明るい見通しなんです。この点につきましては、私もいろいろ心配しまして、全国の各地域の試験場の稲関係のエキスパートに来ていただいて、私みずから御案内して率直な批判をしていただいたのです。実は去年発表されたときはまだ代が若いので、私ども研究者としては慎重な態度で進まなければいかぬと思つたのですが、しかし世間が大分あれを騒ぎましたので、担当したブリーダーは発表せざるを得なかつたわけであります。もう一年たつたならばかなり自信の持てることが言えるようであります。実は今年発表したかつたのでありますが、去年ああいうことで発表せざるを得なくなつて発表したのですが、私も率直に申して内内心配しておつたのであります。今年いろいろ鑑定しますと、固定度もよくなつております。ことに早いものになりますと、従来の農林十五号を対象にして考えますと、これは相当ものになる、少くとも二割くらいは増収になるだろうと私は考えております。あれをやる場合に、技術的に見て私どもは非常な冒険をやつておるのです。一つの組合せだけしか使わないで、ほかの圃場も全部それに提供し、この仕事に集中したわけです。もしこれがうまく行かなかつたら大問題で、数年間は棒に振らなければならない。あれは一つの研究的に見ましても、日本の稲の品種改良をこれから進める上からもまた非常に大きな問題を取扱つていることになると思います。あれが成功すれば——私は大体成功すると見ておりますが、この点で今後日本の稲の品種改良というものは大いに考え直されるでせう。そのテクニツクでも変つてくるでせう。その一つのエキザンプルになりはせぬか、なつてほしい、その両面から私は期待し研究しているわけであります。
  173. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 たいへんお忙しいところをありがとうございました。はるばるおいで願つて、非常に蘊蓄を傾けられたお話を承つて参考になつたのですが、実は私もこの間あなたのお説を承つて、石狩、空知、上川、留萌の話を聞き、それから網走へ行つて十勝へ来て、日高、釧路、根室の状況を拝見したのであります。今伺うと、ちようど百年に二十五年ずつ豊凶作が来る、あとの五十年が平年作だ、四年に一回凶作だということです。統計表を見ると、ちようど二十七年が十四万六千町歩で三百十万石とれたが、昨年はやはり十四万六千町歩で二百二十万石という非常な差ができてしまつた。百万石から落ちるわけです。今年は今あなたの説明を聞いていると、八十万石くらい落ちるじやないかというふうに考えるのであります。これは責任のあるあなたとしては、一応数字的に言えないだろうと思うが、たとえば八月十五日の作況によつて陸稲が四一、それから九月十五日の作況では二二に落ちておる。これは一番極端で半分になつてしまつた。これは陸稲はどこが悪かつたですか。今私が言つた数字について、大体あなたがやつた見込みとしてはどうなるか。それから政府作況調査では、作付が十五万五千町歩なんですが、十四万六千町歩と一万町歩違うのです。ここに大きな根本的な数字の開きがあるけれども、しかし百万石減るじやないかという懸念があるのですが、どうですか。
  174. 吉野至徳

    吉野参考人 百万どころじやない、もつと減るでしよう。先ほどから統計の問題が出ておりますが、今日のような世の中ですから、とにかく農家も正直に出しませんよ。そこが技術者として私は非常に残念です。つまりわれわれが努力して研究した増産技術の成果、それが統計の面に出て来ないというわけです。それをぼくに言えというのもちよつと酷じやないでしようか。
  175. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 それではおあずけしておきます。
  176. 川俣清音

    ○川俣委員 今足鹿君が尋ねました風連坊主の改良種ですが、ちよつと私拝見したところによりますと、非常に苦心の作ではあつたようでありますが、ああいう多収穫なものは、はたして北海道に適するかどうかということに疑問を持つたわけです。というのは、緯度の関係で、試験場によつては不稔粒が非常に多いのです。そういうことになると緯度に一つの限界があるのじやないか。空知ぐらいまではどうかと思いますが、上川に行くと限度じやないかという感じがしたのです。  それからもう一つは、そこから盗み出したものらしいのですから、従つて最も適当なものじやないと思いますが、ごく一反歩ばかり……。
  177. 吉野至徳

    吉野参考人 それはどちらでごらんになつたのですか。
  178. 川俣清音

    ○川俣委員 やはり永山の近所じやなかつたかと思いますが、かえつて在来の風連坊主の方がいいような感じを持つて来たのです。そこでやはり在来種とというものの自然的な成長からいつて、むげにこれをかえるのもどうか。改良されたと誇大には言えないにしましても、一つの非常に大きな研究であることについては私ども肯定するのですが、非常に大きな疑問を持つて来ましたので、この点に関して御意見がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  179. 吉野至徳

    吉野参考人 ただいまの御指摘、その通りでして、私どもの心配しているのは、固定のほかに今の稔実性です。これが非常に悪い。これをどこまで高め得るかということです。そこで技術的な話になるのですが、これをするのにバツク・クロス、もどし交配をやつておるわけなんです。稔実性の非常に高い、耐冷性の非常に高いものをバツク・クロスしておる。それによつてかなり高まつて来た。高まつて来たものの、今御指摘になつた上川から南の地帯くらいの線でとどむべきじやないか、それから北は危険じやないかというお話ですね。これはやはり今のところあそこを究極にねらつてつたのですが、五割増収というか、そういう多収のものについては、まだやはり今の稔実性の点において疑問があります。私の申した今の早生のもの、これは非常に高まつて来ております。今後固定をしたから、これですぐ品種をきめて行くのかというとそうじやなくて、これからいもち病の抵抗、耐冷性の問題、冷水灌漑、栽植密度の問題、土性に対する適応性の問題、こういうふうなものをいろいろ見て行きますから、私はブリーダーにブレーキをかけて——早くきめたいだろうと思うのです。また農家も早く手に入れたいと思うんだけれども、こういうちよつと思い切つた育種法をとりましたので、こういう新しいものを出すのは慎重に行きたいというので、ブレーキをかけております。特に今の稔実性の問題、これはその通りだと思うのですが、だからといつて非常に悲観したものじやない。だんだんそういうテクニツクで直しております。
  180. 中村時雄

    ○中村(時)委員 先ほどから生育期間の問題、試験研究の問題が出されておることに対し深く敬意を表しておるのですが、これはまた別のお話じやないのですけれども、そのお話の中にあつた水温の問題ですね。一度ないし二度というのはよくわかるのです。私ども在来からこういう研究をしてみたいと思つたのですけれども、時間的に許さないのです。たとえばそうなると、一つの流水というものの表面積の温度が非常に影響して来る。だからそれを留水にして行つて一つの方法をとりますと、より以上高度のものが出るのじやないか。これは常日ごろ思つておるのですが、それを分散させて留水にして行く過程において表面積をどうするのか、それによつての温度の高低あるいは保温、そういうような問題について、北海道あたりでは特におもしろいデータが出るのじやないかと思つておるのです。それに対してもちろん落差の一つの高低の関係もありますし、いろいろな範囲の問題も出て来ますけれども、もしそういう試験研究でもしていらつしやるようでしたら、ぜひ承らせていただければ、将来の参考になると思います。
  181. 吉野至徳

    吉野参考人 ただいまの御質問、特に北海道で灌漑水の問題は非常に重要に取上げたのです。実は試験機関の整備統合のときに、そのために私の方では特に微視気象の問題を取上げまして、その研究室をつくつた。これはかつて水温上昇のいろいろな試験をやつたもので、そのデータの一つですけれども、迂回法とかあるいは貯水法——水口流速を弱めるとか、迂回させて直接かけ流ししないとか、それから灌漑の時期の試験とか、そういうことをやつております。  もう一つ私は、霜害防除で従来燻煙法ということをやつております。これは燻煙法だけじやなくて、やはりかけ流しして、そしてかけ流しすることによつて地熱の潜熱を奪う。これは私は河の流れにヒントを得たのです。川が流れておりますとほかは結んでも、その川の周囲は霜が結ばない。これは微視気象的にも非常に水の影響があるとにらんだ。これは物理的にも考えられる。それでその実験をやつております。これは昭和十六年の冷害の年にやつた。やはり効果は出ております。  それからもう一つは、エアチヤーンすること、大気を攪拌するわけです。これは農家の手持ちの材料でやつてみたい。幸いにこのごろはダスター、散粉機が非常に進歩しておるし、フオーグ・マシーンのようなものがある。一方は燻煙して、一方は灌漑する。それに今のフオーグ・マシーンのようなものでびゆつと人工風を送るわけです。ほんとうはフアンを使えばいいんだろうけれども、そういうものは今間に合わないから、フオーグ・マシーンあるいはハンド・ダスターというものを使いまして、夜農家で働く者に気の毒だけれども、霜から守る。留守中に従来の燻煙あるいは灌漑に対してどういう効果が出ておるか、ちよつと気になるのですが、それをぼくは見届けたくていたんだけれども、緊急の用でしたから、こちらへ飛んで来たわけです。
  182. 中村時雄

    ○中村(時)委員 実は私もその問題を一応取上げてやつてみたいと思つてつたのですが、とうとうできずじまいだつたのです。散粉されていたら散粉機でもよいのですが、それでそのデータが出ましたら、恐れ入りますけれども、御通知願いたいと思います。
  183. 吉野至徳

    吉野参考人 今の問題につきましては私どもだけの研究室ではとてもできないのであります。そこで気象台とか、それから関係者が全部集まりまして、分担してやろうと思つております。私が出て来たので、外部の者との連絡交渉がうまく行つておるかどうか、心配ですが、今年はやりますので、できるだけお知らせいたします。
  184. 井出一太郎

    井出委員長 吉野参考人におかれましては非常に御遠路のところおいでいただきまして、きわめて有益な口述を行つていただきまして、たいへん参考になりました。この点委員長より厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時七分散会