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原説明員 それでは、私から、別に白い表紙をつけまして
横書きにいたしました
補足説明の
資料を四種類ほどお
手元に御配付申し上げておりますから、それを簡単に御紹介申し上げておきたいと思います。
資料につきましては、
表題は
気象関係が二つございまして、それから
水稲作況調査圃における
生育概況と、
昭和二十九年
水稲主要品種出穂期というのがございます。
気象関係が二種類あると申し上げましたが、
一つは
昭和二十九年
稲作期間の
主要地点(
測候所)における
気象表というのでございまして、いま
一つの
気象関係は、先ほど
部長からも御
説明いたしましたように、
台風十二号を主体といたしまして、その後参りました十四号の
気象関係が一応
気象台でまとまりましたので、それを私の方で編集したものを御
参考までにつけたのでございます。なお、先ほど
部長から申し上げました通り、九月十五日の
作況に関しましては、十二号までが含まれておりまして、十四号は含まれておりません点を
補足しておきます。
気象関係につきましてはいろいろそこに書いてございますが、おひまの節にでも
ごらんいただきたく二、三の点こつきまして
補足をしておきたいと存じます。
まず
昭和二十九年
稲作期間の
主要地点(
測候所)における
気象表でございまするが、これをめく
つていただきますと、そこへ
目次がついております。第一番目は、
旬別の本年の
気象表でありまして、第二は、
旬別気象の平年差、平年との
差額関係、それから第三番目には、
日別の
最高並びに
最低気温の平年に対する
偏差図ということに
なつております。それだけのものが、以下その中の
資料として
数字あるいは
グラフが上
つておりますが
ちよつとだけ
ごらんおき願いたいと存じますのは、恐縮でございますが、六ページをお開き願いたいと思います。
六ページは、
表題にございまするように、
旬別にまとめました
平均気温の平年に対する差でございます。つまりここにございまする赤と黒の
関係は、赤が、平年に対しまして、つまり
温度
でございまするから、それだけ低い。それから黒の方は、黒の分だけ高いということに相
なつております。これで
ごらんいただきますと、八月以降を特に御着目願いますれば、
青森測候所から上の方、つまり
北海道並びに
青森測候所関係につきましては、それ以外の
盛岡以下の
測候所がほとんど八月以降は黒字を出しておる、つまり平年よりも
気温が
高目に推移しておるにもかかわりませず、
青森から北の
北海道におきましては、依然として平年を下まわる
低温が続いてお
つたということがお読み取り願えるかと存じます。
かように津軽海峡と申しますか、あるいは
青森県の一部をかすめましたところを
一つの境といたしまして、八月以降の
気象状況に関しましても非常に大きな差がそこにあろうかと存じます。さような点が反映いたしまして、先ほど
ごらんいただきました
県別もしくは
ブロツク別の
作況の動きにつきましても、
北海道はますます悪化をたど
つておるということがお読み取り願えるかと存じます。
なお八月あるいは七月以来非常に御心配になりました
北日本における本年の異例な
気象に基く
稲作の、特に
冷害関係でございますが、その点につきましては、今申し上げましたように、
盛岡以降が八月以降非常に順調に経過いたしました点もございまするし、なかんづく九月の中旬、つまり一番右の行を
ごらんいただきますると、九月中旬の
気温は、特に
北海道をくるめまして
北日本、
関東、
東山、
北陸以北におきましては、平年を三、四度上まわるような
高温を示しておるのでございます。かような非常な
高温が続きました
関係から、
出穂期が遅延いたしまして、
出来遅れを示しておりました
北日本の
稲作も、九月の上旬もしくは中旬にかけまして非常な取返しを示しておるような
関係にございます。さような
意味におきましてこの表を
ごらんおきいただきたいと存じます。
それから七ページは、
日照時間の
関係でございまして、赤い方は平年よりは
日照りが少
かつたということでございまするし、黒い方は平年よりも
日照時間が多
かつたということでございます。
なお次の八ページは
降雨量、
降水量でございまして、赤いのは平年よりは少
かつた、
つまり雨が少
かつた。先般も申し上げましたが、
関東を主
産地といたしまする
陸稲は、本年は非常に不良の
作柄を示しておりますが、これは、先ごろ八月十五日の折にも
ちよつと申し上げましたように、六、七月の非常な
低温が続きました
あとで、八ページの
降雨量の表で
ごらんいただきまするように、八月になりますると、非常に雨が少い、特に中旬並びに上旬におきましては、ほとんど晴天続きでございました
関係上、非常にみじめな
生育を見ました
陸稲に、かてて加えて
旱魃の
現象が加わ
つたのであります。かような
旱魃気象が若干お見受け願えるかと存じます。そういう点をはつきりいたしておきます。
なお九ページ以下は、
目次のところで申し上げましたように、
北海道から
九州に至る間の
主要測候所につきまして
日別の本
年度の
最高気温並びに
最低気温がどういうふうに変化しておるかということを平年との
差額関係をも
つて示したのでございます。たとえば十ページの札幌でございますれば、まん中に平年の棒がございまして、それから上下に平年を上まわること何度あるいは平年を下まわること何度という
関係で
グラフをつく
つておきました。
ごらんのように、
北海道におきましても、九月の中旬だけはかなりの
高温を示しております。十一ページ以下函館あるいは
盛岡とずつとございますが、先ほど申し上げましたような
関係がこの表によりましても
ごらんいただけるかと存じます。
以上が二十九年の
稲作期間における
気象表についての
補足でございます。
次は、別の
印刷物として
台風第十二
号並びに第十四号に関する
気象関係の
資料をとりまとめておきましたので、これにつきまして
補足しておきないと存じます。第十二号、第十四号の
気象概要という
印刷物のとびらをめく
つていただきますと、第一ページには、本年
本土に上陸いたしました
台風について十三号、十二号、それから十五号といろいろそこに
色わけをしておりますが、多少入れ過ぎましたので、
くしや
くしやとして
ごらん願うのにかえ
つて複雑になりましたが、そういうコースをたど
つてそれぞれの
台風が本年
本土を襲
つているのでございます。
次の二ページは、格別御
説明を申し上げるほどのこともございませんので、飛ばしまして、三ページ、四ページにはおかしな
日本地図が書いてあります。この三ページ、四ページに示しましたのは、表にもございまするように、三ページは、
台風第十二号の襲来いたしました際の
最低温度の
分布でございます。黒いのは日中で、赤いしるしは夜分にそういう
最低温度を示したということをこの表が示しておるのでございます。なぜここで
温度を書きましたかと申し上げますると、第十二号、第十四号の
一つの特徴といたしまして、
転移現象と称せられるのがございまして、稲の形、
被害の形態から申し上げますと、
白穂が出ております。そういう
一つの非常に目立
つた被害がございまするので、それの
関係を
ごらんいただきまするための
便宜として、
最低温度の
分布がどのように
なつてお
つたかということを表示いたしたのでございます。
四ページは、第十四
号台風を主といたしたのでございます。第十二号におきましては、主として昼間
最低温度が参
つておりますが、十四号はむしろ赤いのが多いことから
ごらんになりますように、夜分に
湿度の
低下を見ておるのでございます。
次の五ページ以下は非常に長い表がたくさんついておりますが、要は
台風によりまする農
作物、特に、稲の
被害につきまして
関係の深い
風速あるいは
温度あるいは
湿度、さような点につきまして各時間別、各
測候所別に表示したのでございます。たとえて申し上げますると、五ページの長い表を
ちよつと繰
つていただきますと、そこでもまた赤と黒の
使いわけがしてございます。第五ページは
台風第十二号におきまする
風速を示したのでございまして、五ページの上の方の一番左に十二分の九としてございますのは十二日の九時というわけでございます。十三分の一とございますのは十三日の一時という
意味でございます。要するに
日付とその日の時間を示しておるのでございまして中に現われておりますデータは、
風速が十五メートル以上の場合を赤で書きまして、十五メートルに満たない
風速の場合を黒で書いたのでございます。なお
風速につきましては、今申し上げましたのは
平均風速でございますが、
風速を現わす
一つの方法といたしまして瞬間
最大風速というのがございます。さような瞬間
最大風速を五ページの表の一番右の方に書いてございます。一番右が
秒当りの瞬間
最大風速、たとえば富山でございますると
秒当り三〇・四メートルであ
つたということでございまして、その左の十四分の一〇・〇五とございますのは十四日の十時五分だということでございます。その瞬間
最大風速になりました
日付と
時刻を示しておるのでございます。それは
風速でありまして、次の
折込みも同じように
風速でございますが、七ページの
折込みは
降水量でございます。それから八ページは先ほども申し上げました
湿度を示した表でございます。八ページの
湿度の表の右の欄外の
マルじるしは
最低湿度としてございまして、
最低湿度を示した
時刻はどこかというふうに
測候所別に
マルをつけてあります。
以上が十二号につきましての
風速あるいは
降雨量、
湿度の
関係でございますが、たとえて申しますと、八ページの下から三行目の
大分の欄を
ごらんいただきますと、ずつと右の方に
マルが幾つ
かついて五十九とか六十とか、まあ六十見当の
湿度を示しております。そこいらが
大分といたしましては
湿度が一番
低下した時間でございますが、それと七ページの下から三行目の
大分の欄の右の方を
ごらんいただきますと、
降雨量は全然ございません。要は
大分におきましては、本年の十二号の
被害として特に大きなものは
フエーン現象による
白穂の発生でございます。かように
湿度の
関係と
降雨量の
関係を見ていただきますると、雨がなくて要するに
湿度が非常に下
つた関係からああいう特異の
現象が広汎に現われたのであろうかと存じます。さような点を
ごらんいただきまする御
便宜のために、以上のようなものをつく
つたのでございます。なお以下は十四号についての
資料でありまして、その
印刷物につきましては、以上のような点だけを
補足しておきたいと存じます。
次にお配りいたしました
資料の中で、縦に
なつておりますが、
水稲作況調査圃における
生育概況というのがございます。これは九月十五日におきまする
作況判定の基準となりました
水稲作況調査圃におきまする
生育概況のうちで、すでに御報告いたしました分は省きまして、特に本表に掲げましたのは、
有効穂数と全体の
もみ数につきまして
北海道以下鹿児島までを表示いたしたのでございます。ここにございます
有効穂数と申しますのは、百本穂が出ましても、先ほどの
大分の例でございますと
白穂が出まして、それが全部不
稔粒だけの穂になりますと、私らの方では
無効穂ということに約束いたしております。要するに稔実粒がつきまする穂を有効穂と考えて約束いたしておるのでございます。その有効穂を白い棒で表わし、右側の斜線が入りました棒は、さような有効穂についておりまする全体の
もみ数を示しておるのでございます。以下
北海道から鹿児島までずつとございますが、この
生育の表を
ごらんいただきますのもたいへんお見づらいかと存じますから、私から要約して申し上げます。この表に掲げました推定坪当り
有効穂数、つまり稔実粒をつけるであろう穂数につきましては、
北海道、
青森あるいは岩手、かような県を除きましては、
全国的な
有効穂数は平年を上まわる
状況でございます。但し先ほども申しましたような災害地等におきましては、若干平年を下まわるような所も見受けますが、
北海道あるいは東北地方のごく一部を除きまして、全体では穂数増という
生育を示しておるのでございます。なお全体の
もみ数につきましては、穂数の
増加の割合に比しまして若干穂が
全国的に小さく
なつておりますが、何さま穂数が多い
関係からいたしまして、推定坪当り全
もみ数といたしましては、
北海道を除きますが、
全国的に過去四箇年の
平均値を上まわる
状況を示しております。これも災害のひど
かつた所につきましては、若干の減少が見られますが、総じて災害地あるいは
北海道等を除きますと、全体の
もみ数は多いということに相
なつておるのでございます。しかしながら御承知のように全体の
もみ数が今後どのような稔実をいたし、どのような充実をいたすかということによりまして収穫がきま
つて参るのでありますが、その点につきましては、たとえば受精歩合を測定いたしてみますと、
北海道につきましては、特に北見あるいは帯広におきましてはほとんど受精をいたしておりません。非常な極端な
低温が続きました
関係で受精そのものが行われておらないという
現象が見受けられます。しかしながらさような特定な地域を除きましては、全体に受精は順調に行われておりまするし、また
気温表で御
説明いたしましたように、九月の上旬、中旬におきまする好天候が続きました等の
関係によりまして、いわゆる稔実歩合というものはかなりの高さになるような傾向がございます。しかしこれも西日本につきましては、
台風十二号によりまして、県によりましてはさような
影響を受けて、平年を下まわるという県も出ておりますが、さような災害地並びに
北海道を除きますると、稔実歩合も過去四箇年値を上まわる傾向を示しているのが
全国的な傾向でございます。なお
部長から申し上げましたように、例年大きな
被害を与えまする稲熱病の
被害等も非常に軽微に推移しておりまするので、さような点などをすベて総合的に検討いたしました結果、
部長から御
説明いたしましたような
作柄の結果を判定いたしたのであります。
最後に、お配りいたしておりまする横表の
昭和二十九年
水稲主要品種出穂期、これは八月十五日の折にもお配りいたしましたが、あの際は出穂済みのものが比較的少くございましたが、今回は全部が確定いたしましたので、私の方の
気象感応試験地の主要品種につきましてここにあらためて確定値を表示してお配り申し上げたのでございます。一ページ、二ページあるいは三ページにわたりまして、
日本地図の中で各県におきまする主要品種につきまして、私の方の
気象感応試験地の
出穂期状況を表示いたしたのであります。八月の際にも御
説明いたしましたように、赤の二重まるで示しておりますのが昨年に対しまして七日以上遅れておるのでございまして、一重まるは昨年に対しまして三日ないし六日遅延をいたしており、黒の四角あるいは二重の黒の四角につきましては昨年とほぼ同様かむしろ若干進んでおるということを示しておるのでございますが、要は
北海道あるいは東北におきましてかなりの出穂遅延を見ておりますが、その程度は
北陸へ参りますると非常に軽微になりまして、
関東から
九州へわたりまする全地域につきましては、昨年並かもしくは昨年よりは若干
出穂期は促進されているというような
状況を示しておるのでございます。それから四ページ以下につきましては、各
県別におもなる品種の作付け割合と本年の
出穂期の具体的な数値をつけまして、昨年との差額をお示ししておるのでございます。お時間でもございました際に
ごらんおきをいただければ非常に幸いだと存じます。
なお前回八月十五日の際御
説明いたしました折に、芳賀先生から
北海道の事務所別の
作況指数の御質問がございましたので、ここにはございませんが、口頭で御
説明させていただきますると、
北海道の内訳といたしましては、札幌事務所は七五%、北見は五%、それから函館は七一%、帯広は三八%でございます。但し帯広事務所の管内はいわゆる十勝の平野と日高が入
つておりまして、十勝の方は非常に悪うございますが、日高の方が若干よろしい
関係で——悪い中ではよろしい
関係で、帯広事務所全体といたしましてはただいま申し上げました三八%というような
作柄指数に
なつております。
北海道全体につきましては先ほど申し上げた通りでございます。
なお
北海道につきましては一、二
補足をいたしますと、私の方の
気象感応試験地でこまかく受精後の変化を見ておりますが、北見にございます
気象感応試験地におきましては、農林二十号が受精歩合がわずかに四・五%というような
状況でございますし、農林三十三号は割合によく、五六・九%あるいは共和というようなおくて品種につきましては、一・九%。以上は冷床栽培でございますが、直播栽培につきましては農林二十号が三・二%、農林三十三号が三二%、それから共和が三・八%というような
状況でございまして、受精そのものが行われていないというありさまで、
北海道の
冷害は極端な
冷害だということが申し上げられるではないかと思います。