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1954-09-21 第19回国会 衆議院 農林委員会 第70号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十一日(火曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 金子與重郎君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       小枝 一雄君    田子 一民君       松岡 俊三君    松山 義雄君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       淡谷 悠藏君    中澤 茂一君       久保田 豊君    安藤  覺君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新澤  寧君         農林事務官         (食糧庁総務部         検査課長)   松岡寅治郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 九月二十一日  委員齋木重一君辞任につき、その補欠として淡  谷悠藏君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十九年産米価格に関する件  酪農振興及び乳価に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  米価問題について調査を進めます。政府は本日の閣議において本年産米価格について政府案決定したやに承つておりますが、この際この間の経緯並びに内容について説明を求めたいと思います。新澤食糧庁総務部長
  3. 新澤寧

    ○新澤説明員 二十九年産米価の近く開かれます米価審議会に対する諮問すべき原案につきまして、かねてから農林大蔵両省の間に協議が行われておりましたが、本日その原案につきまして閣議決定をいたす取運びになつたわけであります。その諮問案原案となります内容について、簡単に御説明申し上げます。  第一に基本価格でございますが、基本価格は八千九百二十円であります。これは八月のパリテイを一二〇・〇四といたしまして、いわゆるパリテイ方式によつて算出したものであります。それによりますと、パリテイ価格は七千五百七十一円、これに特別加算が五百四十五円加わりまして、合計八千百十六円を、切り上げまして八千百二十円にいたしました。  それから昨年は供出完遂奨励金として八百円が出ておりましたが、これは供出完遂奨励金ということでなしに、昨年と同額の八百円を基本価格の中に織り込みまして、八千百二十円に八百円を加えまして八千九百二十円といたしました。  次に早期供出奨励金でありますが、これは特期、第一期、第二期、第三期、第四期の五期にわかれておりまして、特期は九月二十日までで、これに対しましては早期供出奨励金として二千円を加算いたします。第一期は九月三十日までで千二百円、第二期は十月十五日までで六百円、第三期は十一月一日までで三百円、第四期は十一月三十日までで二百円を加算することといたしております。  それから超過供出奨励金でございますが、これは基本価格超過供出奨励金の両者を合算いたしました金額を、一昨年及び昨年同様の一万四百円といたしまして、一万四百円から八千九百二十円の基本価格を差引きました差額の千四百八十円ということにいたしております。  なお等級間格差でございますが、これは昨年までは昭和二十五年、六年にきめました当時の格差を二十七年、八年とそのまま踏襲して参りましたが、本来ならば基本価格が上りますと、それに相応して等級間格差も開くわけであります。しかしいろいろ集荷上の必要のためにはやはり下位等級を優遇するということも考えなければなりませんので、二十九年の基本価格と、二十五、六年の基本価格との比率でそのままスライドすることは適当ではないと考えましたので、二十五年、二十六年、二十七年、二十八年の総平均と二十九年との比率でこれをスライドいたしましたために、一、二等間を百十二円五十銭、二、三等間は百八十七円五十銭、三、四等間百八十七円五十銭、同額であります。四、五等間もやはり百八十七円五十銭でございます。こういたしますと、三等基準で加重平均いたしますと、供出を予想されます米全体の平均格差は、三等よりも九十六円引ということになります。昨年はこの差が七十八円引であつたわけでございます。それが九十六円引ということになります。  なお包装代は各種の包装ともすえ置きといたしております。但し本年におきましては古俵が相当使われるだろうということを予想いたしましてかりに計算いたしますと、包装代平均は百七十五円ということになります。  こういたしますと、先ほど来申し上げました数字を、かりに全部石当り平均いたしますと、政府の買入れ総量を二千六百万石と想定いたしますと、基本価格が八千九百二十円、早場米の奨励金が二百七十三円、超過供出奨励金が二百八十五円でありまして、これの合計は九千四百七十八円になります。これはいわゆる三等裸の価格になるわけであります。これに対しまして包装代百七十五円を足しますと、三等包装込み平均価格は九千六百五十三円になります。さらに全数量格差を差引きますと、平均手取額とでも申すものは、九千五百五十七円ということになるわけであります。このために財政負担を要すべき額は石当り三百五十七円となりまして、政府の買入れ総量を二千六百万石と想定いたしますと、財政負担総額は九十三億円が予想されます。  なお先ごろ来懸案になつておりました二十八年産米バツク・ペイにつきましては、パリテイから計算されますバツク・ペイ額は二百三十二円でございますが、昨年の価格をきめます際に、基本価格及び減収加算におきまして切上げ計算をやつておりますために、合計二十七円がよけい支拡われた形になつておりますので、これを差引きまして、石当り二百五円をバツク・ペイするという決定を見ておる次第であります。  非常に簡単でございますが、バツク・ペイを除きまして、二十九年産米価につきまして、近く行われます米価審議会諮問を予定されております原案内容を申し上げた次第でございます。
  4. 井出一太郎

  5. 川俣清音

    川俣委員 農林統計によりますと、二十五年、六年、七年、八年と農家における物量投下量が非常に増大をしておるわけであります。この労力とそれからこの物量投下量によつて去年の凶作も克服でき、冷害も克服し、今日のような作況が生まれて来ておると思います。またいろいろと土地改良等におきましても、政府負担はありますものの、年々政府補助金率が引下げられておるにかかわらず、これらの土地改良に使われた投資が実つて今日の収量を獲得したものだと思うのです。もちろん予想収量を獲得したものだと思う。ところがそういう物量投下について非常に無関心でおるのではないだろうか、作柄だけは非常に注意をするけれども、この作柄のよつて来たところの労力増大農薬増大農機具増大肥料増大がこれはちつとも見込んでおられないですね。もちろんパリテイ方式そのものからいうと、こういうものを見込んでなくて、価格変動だけを見る建前になつておりますが、近年農薬のごときは農林統計によりますと、二十五年が全国平均二戸当り八百六十四円のものが、二十八年には二千三百三十五円とはね上つておるのです。あるいは肥料のごときも三千二百九十七円が一万八百九十六円というふうに増大をして来ておる、このような物量増大労力投下量増大を全然考慮に入れない、入れたといわれるのは五百四十五円ということになりましようが、これだけではカバーできないのです。しかも農林統計でなお疑問が出て参りますのは、農機具のごときはあまり物財統計においても消費されていないようにいつておりますが、きようは通産省で小農機具生産量を調べて参りますと、異常な生産量であります。この異常に増大した生産量が使われていないわけはないのです。使われていなければ、これは商工業兼の当然な行為として減産をすることになると思うのですが、続いて生産をしておるということはやはり使用せられておる。あるいは需要があるから生産されたと見なければならないと思うのです。むしろ通産省の方の農機具等生産は、税金等もありましたりいたしまして、内輪ではないかと見られておるのです。この内輪でないかと見られておるものが生産せられて統計に載つておる、これが消費に向いていないことになると、これはどういうことかということになる。それでは米以外のものであろうという説も統計の一部にあるようであります。そうすると米が割高のために農村購買力がなお旺盛だということはおかしい。米が上つた、米が上ることによつて消費が増すということを裏書きするのはないという結果になる、どつちであるとあなたは見ておられるか、この点をお伺いしたい。一体米産地におきましては、米はこれらの機械を消化するだけの価格を持つていないために、生産されましても購買力となり得ないのであるかどうか、あるいは全部購買力となつておるとすれば、これらのものを見込んで行かなければならない、こういうことになる。いずれであるかということです。
  6. 新澤寧

    ○新澤説明員 最近におきまする農家資本財使用量投下量はいちじるしくふえておることはお話通りであろうと思います。非常にラフな数字で申し上げましても、二十五年—七年の平均に対しまして二十八—九年の一箇年間の平均をとりますと、三割方そういうものの投下量購入量が上つていることは、明らかに数字に出ているわけでございます。ただ一応パリテイ方式方法といたしまして、先ほどお話のように五百四十五円のわずかとおつしやいましたけれども、一応方式のうちで考えられている範囲内におきましては、今申し上げました三割の資本財増加量というものは取入れられてこの基本価格ができている、こういうことになつておるわけでございます。ただいろいろ見方によりましては、五百四十五円というのは少な過ぎるとか、あるいはそういうような御意見も出るかと思いますが、一応方式考えられます範囲内におきましては、資本財投下量というものは取上げられておるという考え方をしておるのであります。
  7. 川俣清音

    川俣委員 私は入つていないと思いますが、入つていることですから、それでは角度をかえまして、これは大蔵省大臣官房調査課で出しておる資料によりまして、東京卸売物価指数を見て参りますると、これは日本銀行調べでありまして、物価変動を一番中心に、各方面でとられている点であります。たとえば今度の肥料審議会における硫安の価格等も、これを基準にして物価の進行を見ておるようです。これは各方面に使われておるんです。そこでお尋ねしたいのだが、今までに昭和二十二年から二十七年まで基本米価としてきまつたものは、振り返つてみても妥当だとあなた方はお考えになつておりますか、あれは多過ぎたとお考えになつておりますか。
  8. 新澤寧

    ○新澤説明員 基本米価につきましては、パリテイ方式そのものに対する批判はいろいろございましようが、一応専門家方々の間で練られたパリテイ方式が相当権威を認められているわけでありますから、そういうパリテイ方式に基いて算出せられた価格という意味合いにおきまして、ほぼ妥当な線を行つているものと考えていいんじやないかと思つております。
  9. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、米の生産者価格は二十二年は千七百でしたね、それから二十三年が三千五百九十五円、二十四年四千二百五十円、二十五年五千四百二十円、二十六年が七千三十円、これをほぼ妥当なものだというふうに今御説明なつたから、続いてそれでは二十二年を平均とし、二十三年を一〇〇とした東京卸売物価指数があります。それによりますと、食用農産物は二十二年において五〇・八七です、総平均は五六・六一ですが、それを二十八年に例をとりますると、二十八年の八月は食用農産物で四六三・八、生産財消費財平均で四二〇・二となります。これを二十二年平均と二十八年の八月は何倍になつておるか割出して見ますと、総平均で参りますと、七・三七倍になつております。そうすると千七百円に七・三七をかけますと、一万二千五百二十円となります。一万二千五百円を農村団体から要望せられておりますが、わずか二十円違いの一万二千五百二十円と出て参ります。これも決して不当な数字ではない。現に肥料審議会等においてはこの指数を使つておられますから不当な数字じやない。またこれを、昭和九年、十年、十一年の指数を使いまして、当時の米価でありました二十七円十六銭にこれを推定して参りましても九千九百七十六円かになります。そうなつて参りますと、基本の二十七円十六銭が高い安いは別にいたしまして、当時の東京卸売物価指数を持つてしますれば、約一万円になるわけであります。そういたしますと、今あなた方どんな工作をされましても、世間には通じない米価だ、いろいろ工作して世間並みにするように努力しようとしたけれども、なお努力の足りない数字が出ておる、こういうことになるんじやないですか、この点いかがです。
  10. 新澤寧

    ○新澤説明員 おつしやいます通り、米の価格が純粋に需給関係で形成されるような状態にありますと、お話のような価格に近い数字がおそらく出るのではないだろうかということは私も考えます。ただ米がいろいろな事情で統制になつているわけでありまして、その統制の中で生産者価格需給関係と離れて、一応再生産を確保するような価格ということを目標として価格を建てておるということが規定に出ているわけでありまして、その再生産を確保する価格とするにはどういう方法を用いるということで、現行パリテイ方式が出ているわけでございます。それで今お話卸売物価指数で総平均をとりますと、確かにそういうような高い数字が出ているわけでございますが、いわゆる農家生産に必要な購入物資、だけを離して取上げて参りましたパリテイ変動基準年次からの価格を調整して、現行のようなやり方で価格を算出しておるわけでございます。そういうような米の現在置かれておりますいろいろな制約下価格を算出いたしますと、やはり今おつしやつたような需給関係で出ます価格と、別な観点からの政策的意図が加えられた価格というものを出さなければならぬのじやないかと思われるわけでありまして、そういう意味合で出た価格パリテイ方式を用いて出ました価格が今日の価格であります。そのパリテイ方式自体についての御批判は、先ほど申しました通りいろいろあろうかと思いますが、一応パリテイ方式にもパリテイ方式としての理論があるわけでありまして、その理論の上に立つて算出いたしますれば、先ほどのような価格も一応不当な価格とは言えないのではないだろうか、こう考えるわけでございます。
  11. 川俣清音

    川俣委員 そうじやないですよ。二十二年に千七百円が妥当だとすれば、その後の物価値上り率をここで参酌してみると一万二千五百円になるわけです。この物価指数とり方が悪いということは言えないはずだと思う。それからもう一つは、食用農産物というからには、おもに食糧に供される農産物ですが、これらの物価が米の物価よりも上つておるということを一応お認めになり、しかも米だけは統制を受けなければならないのであるから下つておる、こういう説明になりますならば、農村生活水準は米によつて上るものではない、ほかの物価によつてつているのだということになるじやないですか。またほかの工業用資材または農耕用資材値上りもある。これは百姓が借金をして買つたのもなお購買力、だと見られておるかもしれませんが、これらの借金をして買つたものが生産を維持しておるということを見のがすことはできないと思うのです。この観点からいうと、パリテイ方式をとつておるのでありますから、千七百円が妥当であつたとすれば、一万二千五百円なりあるいは一万四、五千円というものがあえて出て来るわけです。これは統制だから低めるのだ。それなら、ほかの農産物なり工業製品が高くなつた犠牲を米が負わなければならない、こういう意味だと思うのです。それならば、正確に計算をし、正確に計算すればこういうものが出て来るのだけれども、これだけ犠牲を負えということならわかる。負わせるためにわざわざ安く計算するというばかなことはない。統制を受けなければならないから、高く出て来てもこれだけ減らさなければならぬというならわかる。初めから減らさなければならぬというので高くならないような計算をすることは誤りではないか。今日の生産量というものは、投下した物量背景があり、労働力背景があつて生れて来た。それを無視して今日の生産量は生れて来得ないのです。だから、物量を注ぎ込み労働力を注ぎ込んだ代償としての生産量でありますから、当然物量なり労働力なりを勘案して行かなければならない。これらも十分勘案されてないのじやないか。だから、二十二年の千七百円は不当に高かつたといわれるならば別です、これはパリテイから出て来たといわれるからには、その後の物価の推移から見まして、当然一万二、三千円になる、これは誤りでないでしよう。これはお認めでしよう。
  12. 新澤寧

    ○新澤説明員 お話通り米価物価上昇率と同じ歩調で考えて行くという立場をとりますれば、お話のような結論が出て来ると思いますが、現在の価格決定方式は、物価伸びに合せて米価修正して行くという方法をとつておりませんで、農家購入物資上り方に応じて価格修正して行くという方式をとつておるわけでございます。そこに物を考えます立場の相違が現われて来るわけでございます。どちらの立場がよいかということが議論になつて来るかと思いますが、一応現在の価格決定方式におきましては、生産費を参酌する方法として、パリテイ方式によつて農家購入物資価格変動見合つて米価修正して行く、ただ価格変動だけでは不足な部分は、量の関係変動も織り込むという意味合いで、二十七年以降特別加算というものを用いてやつておるわけでございまして、一応そういう建前で出ておるわけでございます。物価伸びに応じて米価考えなくちやならぬという形をとれば、お話のようなことになろうかと思いますが、現在の米価算定方式はそういうことにはなつておらないわけであります。
  13. 川俣清音

    川俣委員 そこが間違いなんです。すべての物価がこれを基準にして、たとえば鉄道運賃の問題でも、電力料の問題でも、郵便料金の問題でも、別にパリテイをとつていない。郵便料金のための別なパリテイ方式はとつていないのです。政府決定する公共事業法に基くような裁定ですら、電力にしても国有鉄道料金にしても、すべての基礎になるもので政府が出して来るものには、この卸売物価指数を持つて来ているじやないですか。これを基準にして安いとか高いとかいうことを政府自体が問題にしているんじやないですか。従つて米価の新パリテイ方式も旧パリテイ方式も、これと大体並行しておる場合においては世間が納得するであろうけれども、これとかけ離れて来ると、すなわち政府は、一方においてはこれを基準としてとる、一方においては別なものを基準としてとると、そこに開きができた場合にどつちをとるかという問題が出て来るわけです。同じ政府鉄道料金を上げなければならぬときはこれを使つており、電力料金のときもこれを基準にしているではないですか。米価もこれにやや見合いをしている場合においては問題はないんです。しかしこういう大きな隔たりができてしまいますと、再検討しなければならないということになるか、あるいはパリテイ方式のウエイトのとり方あるいは物価とり方一般に通用しないものだ、こういうことになるのじやないですか。この点が一点なんです。  それから今までのパリテイ方式というものは、こういう異常な作柄に対して、技術の導入あるいは土地改良等が行われ、異常な努力が行われたことを見のがしておくならば、これは法律に言うところの再生産を補うに足る米価とは言いかねるわけです。現に農薬というものが相当つぎ込まれておる。これによつて生産が維持せられておる。これによつて生産が守られたという結果だけは利用するけれども、この努力を無視するということになると、再生産を償う米価ではないわけなんです。パリテイ方式が再生産をになうだけのものであるという場合は、これらの投資量をなお見てオーバーしておるというところになるならば、初めてその方式によつて食管法三条の目的が達成できると言えるかもしれませんが、去年のような冷害を克服して、いわゆる政治凶作だと言われておるものも、実際は農民が物量をつぎ込み、労力をつぎ込んで守つた数量なんです。今年の異常な気象異変にいたしましても、今日の回復を見たのは、もちろん天候にもよりますけれども、官民の協力によつた異常な努力によつて回復したものであるということを見のがしますならば、パリテイにのみ立つてこもつて、この努力を無視するということになりましたならば、日本の食糧政策というものは、ここから破綻をすることになると思うのです。このくらいのことを食糧庁大蔵省にのませることができなかつたというのならば、みずから農業政策はやめたと言つたらいいのです。食糧庁は商売人にかわつたのだ、こう断言されるならば、私はこれ以上追究しません。どうです。御答弁願います。
  14. 新澤寧

    ○新澤説明員 物価指数パリテイ指数の問題は、同じことを繰返すことになりますので申し上げませんが、物財投下量の問題は、一応考え方といたしましては、物財投下量変化は織り込んでおるわけでございます。修正方式につきましても御議論があろうかと存じますが、一応専門家方々の御意見を承りまして、現在のパリテイ方式修正としては、現在の特別加算方式ということが一応物量変化あるいは農家生活水準一般生活水準のギヤツプ、両方織り込んで、価格変化だけを取上げて参つた従来の考え方に量的な考え方も加えて参つたという点においては、現在のパリテイ方式はある程度その目的を達するところまで行つておるのじやないか、こう考えておるわけでございます。ただ百四十五円という現実の数字が出て参りますと、いろいろ御議論が出て来るかと思いますが、与えられた統計資料に基きまして与えられた算定方式によりまして一応妥当である、こう考えられている計算方式に基きまして現在算出しておるわけでございます。この算定方式自身についての御議論はいろいろあろうかと思いますが、現在とられております方式につきましては、一応考えられるべき要素は取上げておるという形になつておるわけでございます。
  15. 小枝一雄

    小枝委員 関連して。先刻から川俣委員から熱心な御質疑があつて、私は与党立場でありますけれども、現在の米価には断じて承服することができないのであります。ただいまの御説明では、理論的に一つパリテイ方式でそういう一つの算出の数字が出るというように伺つたのであります。しかし米価の問題は実際の問題だろうと私は考える。実際の問題であると同時に國民の常識の問題でなければならぬ。国民の常識によつてこれが正当なりと判断することのできない米価を出すということは、断じて許されることのできない問題だろうと私は思うのです。そういう意味において、私は与党でありますけれども、この際少くとも昨年の豊凶係数に対する補助金を除く九千九百五円という価格というものは、どうしても出て来なければならぬ価格であろうと私は考える。こたを下まわるということは、私はこのパリテイ方式というものに大きな疑義を持たざるを得ぬ。従いまして私は与党立場でありますけれども、今日のパリテイ方式による価格に対しては断じて承服ができないということを、私一言この機会に申し上げておきたい。
  16. 川俣清音

    川俣委員 去年の軽油、重油、石油、燈油等の消費量が非常に多かつた。この手当のために農林省は相当四苦八苦しただろうと思うのです。一方これらの石油農村に流れた全体の数量というものがすでに把握されていなければならぬはずです。こういうものをまた今年も同様な傾向にあつて、さらに増すような傾向にあつて、この割当を確保するために今努力されておるのじやないですか。これらの物量がつぎ込まれたということを否定できないのじやないですか。それをわざわざ米価決定する上に参酌しないというようなことを農林省みずからやるということになりますれば、資材の確保というようなことをやらないとみずから自白するようなものなんです。また耕転機にいたしましても、政府は補助を行つてまで相当の数量がふえて参つております。これらのものが相当購買力になつておると一方大蔵省が言うほどに、これらのものが買い付けられているのです。いまだに農村購買力が旺盛だということは、おそらくこういう機械や肥料を買うことをさしておるのだろうと思うのです。一方においてはこういう大きな資材が流れ込むということを、消費せられておるという現実を無視できない現状じやないですか。それをわずか五百何十円か足して、これによつて生産を維持しようというような考え方をもしも持たれますならば、これは恐ろしい農民の反撃となつて現われて来ると思うのです。農業用被服なんというものはそう上つておりませんよ。ふえておりませんよ。生活品についてもそれほど消費増大しておりませんよ。消費増大はもつぱら経営資材費に重きを置かれておる消費の増ですよ。生活のために消費増大が行われたならば、これは生活を切り詰めるということも、できましようが、今日の生産量を維持するためにつぎ込まれた消費増大を、購買力増大であるということで生産価格を抑えるということになりましたならば、とんだ農業政策の行き詰まりを来すのではないかと思いますが、この点どうなんですか、御答弁を願います。
  17. 新澤寧

    ○新澤説明員 お話通り農村におきまして購買力が増しておるということがよく言われるのであります。確かにお話通り生活部面よりも経営部面に対しての投資が多く行われておるということはおつしやる通りであろうと思います。ただそれをり込んでいるか、織り込んでいないかと言われますと、私どもといたしましては、織り込んでいるのだと申し上げるほかはないわけでございまして、ただその方法なり額なりについていろいろ御議論があろうかと思いますが、一応方式といたしまして、こういう方式で算出して織り込むべきだという、与えられた方式に基いて算出いたして入れておるわけでございます。それが生活水準投資量と両方入れまして五百四十五円という数字になつておるわけでございます。  なお先ほど資本財投下量の増加が、前二年に比べまして最近一箇年間に約三割上つたように申し上げましたが、これはちよつと数字の見誤りがございまして、誤りでございましたので訂正いたします。今回の基本価格に算出いたしました中におきましては、資本財投下量を一三・七%織り込んでおるわけでございます。約一割四分増加したものという考えで、特別加算が算出されておるわけでございます。
  18. 川俣清音

    川俣委員 三割であれば文句はないのだけれども、一割三分七厘などというから問題だというのです。  それからもう一つ同じ農林省の統計で、これは非常に矛盾が多いと思うのです。生産費というものは、統計調査部の調査ですが、二十八年産米生産費を見てごらんなさい。こんなでたらめなことがありますか。建物の償却費が去年よりも約四割上つてつて、修繕費は去年と同じだ。常識で考えて、建物の償却費が上つたということは、おそらくこれは木材の高騰による償却費が上つたということだと思うのです。ところが今度は修繕費の方は上らないと言う。また極端なのは農機具ですけれども、農機具の方になりますと、去年は反当百五十一円、今年は小農具は使わなくて、——二十八年は二十七年より使わないで、百十二円に下つている。じようだんじやありませんよ。二十七年より二十八年の農機具生産量が、ずつとふえ、購買力が上つているということを、農林情報でちやんと出しているじやありませんか。一方で出しておりながら、生産費調査になつて来ると下つている。こんなべらぼうなことをこしらえて、何とかして米の生産費を引下げようという考えが、故意にあるのか故意にないのか別にいたしまして、こんな見つともないものを出されるわけがないじやないですか。だれにもでも聞いたごらんなさい。二十六年から二十七年かにけて工業生産が非常に増大しておる。しかも農機具生産が異常な増産をしておるのです。生産増になつおる。二十八年はまた生産増になつておる。今回農機具がふえて来たということはいういろいろ種類の違つたものもありましようが、古いものは使えなくなつたものもありましようし、二十七年の農機具よりも四十何円、二十八年に使わないなどということは、どこから出て来るのです。物は生産されたが、百姓に購買力がなくて、消化力がなくて下つたというならそれもよろしい。そういう説明になるのか、購買力上つたという説明になるのか。一方消費増大したしたと言いながら、現実にこうやつて計算をするときには下つている。畜力もそうです。二十七年より二十八年の畜力が下つている。家畜の値段はいよいよもつて上るし、飼料もいよいよもつて上つたということを一方で出しておきながら、二十七年より二十八年の畜力の経費が下つておる。購入支払い額では九十円から八十円に下り、自給では千三百三十四円から千三百三十二円に下つたとこう言う。こういう二十八年度生産費などというものをおめおめとこしらえて来て、これで生産費が満されるのだというような考え方がほんとうにあるとすれば、驚くべきものです。総務部長はそうお考えになりませんか。こんなものは見なかつたんじやないか、見たら当然そういう疑惑が起ると思うのです。
  19. 新澤寧

    ○新澤説明員 生産費調査の結果と、ほかの資料から見ましての食い違いが、あるいは御指摘のようにあろうかと思います。調査方法なり対象によりまして、両者の間に正確に同じような関係が出て来る——大体同じような関係が出て来るのは当然だと思いますが、調査方法なりなんなりによりまして、やはり若干の違いが出て来るのじやないだろうか、こういうふうに思います。なおよくその原因を個々の調査表に基いて調べなければ、その原因を正確には言い表わし得ないと思います。ただお断り申し上げておきたいことは、故意に生産費を引下げるために数字に加工しておるということはございません。集まつて参りますものを、そのまま平均したものとして、ごらんになつているような資料が出ておるわけであります。なお、一般のほかの資料に出て参ります傾向と、生産費調査で、出て参ります各項目との傾向の差につきましては、もう少し詳しく検討しなければならぬと思います。
  20. 川俣清音

    川俣委員 たとえば材料費でもそうですよ。石油、軽油は二十七年より二十八年の方が価格で上つていますよ。それから使用料は増大している。それなのにかかわらず購入諸材料は二十七年の百八円が百十二円と反当四円の上りです。このくらいな上りだつたら、農民は苦労しませんよ。二十八年の一番石油あるいは燈油に難儀をしたときほど購買力増大したのです。しかも価格は上つて来たのです。それは織り込んでないじやないですか。これは申告が悪いのだとか、調査が悪いのだとか言われればそれまでです。これは粗漏な調査ということになりますよ。諸材料とあれば、おそらく石油だとか重油だとか、電力とか、そういうものが相当この中に含まれていなければならぬと思う。農村電力消費量も、電燈会社の調べによりますと、年々増大の一方です。電力会社には多くの料金を払わしていながら、石油には多くの金を払わしていながら、さて計算をするときには、あまり使つていないということが出て来るのは、どういうわけなんですか。日本の総体の農業の方向と合つていれば、私は何とも言いません。大勢と違つた方向のものを出して、これは資料でございますなんということは、言えるわけはないのですその点はどうですか。
  21. 新澤寧

    ○新澤説明員 先ほども申し上げましたが、生産費調査は、ある基準年をとりまして、いろいろな諸物資の価格変動で調整して行くという方法でございますと、ほかの価格趨勢の資料と傾向が一致して来るわけでございますが、これは五千戸の農家を選定いたしまして、農家からの申告をそのまま総平均したということで出ておりますので、いろいろ調査上の誤差も出て来るかと思います。そういう意味合いにおきましてこの資料が出ておるわけでございまして、あるいはほかの資料とこの生産費資料とは、ぴつたり同じ形で現われて来るということは言い得ないと思いますが、全体の総生産費を比べますれば、前年に比べまして反当で約千円くらい、石当りにしましても千円余り上つておるということは、傾向としてはそう一般の傾向と違つた方向に動いておるということも考えられないわけでございまして、個々の品目については先ほど申し上げました通り、単純な調査資料平均でございますので、やはりおつしやる通り関係が出て来ないうらみはあろうかと思つております。これは資料のでき方の由来がそういうふうにしておるのだというふうに御了解いただきたいと思います。
  22. 川俣清音

    川俣委員 大勢と必ず並行しなければならぬとは言いません。しかし大勢と逆行しておるようなものが資料として出されるということなら、これは何ら信頼するに足らないむだな資料だということになる。しかも二十二年からの生産費計算をずつとやつてみますと、物価の傾向とあなた方の新パリテイとも一致していない。非常にでこぼこなんです。それからまた物量のふえた方向とも一致しないのです。精密に精算させておりますけれども、方向が一致しないんです。非常にでこぼこなんだ。これは石当りにすると生産量によつて支配される点が多いのでありますから、私は反当でやつておりますが、反当で見てそうなのです。石当りにしましたらこれは問題じやありません。反当り投資量生産費と、それから物量投下された線とは、およそ違つた形のものが出て参ります。それと物価の趨勢とまた違つたものが出て参ります。二十二年から今年までのあなたが出された生産費を見ると、物価の趨勢にも合つていなければ、物量変化にも合つていない、投資量にも合つていないというようなものをつくられて、何も反省しないで米価をきめられようとするその態度を、私は難責しようと思つている。過去のことをちつとも振り返つていないじやないか。誤つておつたのかなかつたのか、一体どこに誤算があつたのか、あるいは調査約束に間違いがあるかどうかという反省が行われて、初めてこれは進歩するのです。そうではありませんか。過去のことは何も反省しないでおつて、このままやつて行こうとするのだつたらば——従つてそこに大勢と違つた結果が出るとあなたは判断されないかどうか。この点どうですか。
  23. 新澤寧

    ○新澤説明員 いろいろ御指摘を受けましたが、生産費内容につきまして御指摘の点、今ただちにどういう原因によつてそういう結果ができておるのか、ちよつとお答えいたしかねます。確かに御指摘のような重要な意味があると考えますが、十分調査のもとにさかのぼりまして検討いたしたいと思います。
  24. 川俣清音

    川俣委員 どうも総務部長を相手にしてせつかくやりましても、むだだとは申しませんけれども、まことに遺憾しごくです。せつかく委員会を開きましたのでございますから、大臣なり長官なりの出席を求めて、きようできなければ、あらためてこの委員会を続行していただけるようにおとりはからい願いたい。
  25. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  26. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めてください。芳賀君。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 せつかく総務部長が出席されておるので敬意を表する意味において私から総務部長に大体の所管になつておると思いますが、産米の検査機関の問題に対して若干質疑を申し上げます。今年度の政府価格形成の中においても、等級の格差というような理由で七十八円を基本米価の中で差引いておるわけですが、まずこれに対する理論的な説明をお願いしたいのと、もう一つは、標準規格は三等になつておりますが、この標準に対して上の方の二等、一等、それから下へ四等、五等、この基準等級に対する等差による金額の差ですね、この二点を先に御説明願います。
  28. 新澤寧

    ○新澤説明員 現行格差で参りますと、三等基準にいたしまして、二等は六十円上げ、一等は九十五円上げ、四等は六十円下げということになつておるわけでございます。これは一俵当りでございますが、一俵当りで今申し上げた金額の格差がついておるわけでございます。そういたしまして先ほどお話の七十八円というような数字がございましたが、これは結局政府の買い入れました全数量の米を等級別に加重平均いたしますと、三等を基準にいたしまして下位等級の方が多いために全平均が三等になつておりませんで、やや三等よりも下に相当するということになつておりますので、一応種々の計算をやります際に、石当り平均価格を出します際に、その実際の等級別の分布状態を見まして、格差七十八円引きという計算をやつておるわけでございます。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、この基準というものは大体一つの標準点になるのであつて、そういう場合においては、上下がある場合においてもそれを何箇年かの蓋然率から持つて行つた場合においての妥当性をそこに発見して、それで三等が基準になるというようなことが発見されてしかるべきであるというように考えるわけです。それをウエートを上の方へ置いて米価の中から特に等級差によつてことさらに七十八円を下げなければならぬという、そのお考えの根拠がわからぬわけです。もう少しこれは、素朴な農民にもわからせるという意味においての説明を願いたいと思います。
  30. 新澤寧

    ○新澤説明員 七十八円を下げるという意味じやございませんで、たとえば生産者価格で八千九百二十円に基本価格を置いた場合に、その他早場米を幾ら、超過供出奨励金を幾らというふうに置きました場合に、たとえばコスト計算をいたしまして消費価格は幾らであるべきかというような計算をいたします場合に、政府の扱つております全数量平均価格で幾らと出す場合の過程におきまして、七十八円引きというような数字が使われておるわけでございまして、現実に支払われる価格は七十八円引きとか何とかいうことではございませんで、たとえば三等にいたしますれば、ただいまのきまりました価格で言えば包装込み九千六百五十三円、それから二等にいたしますればそれに対しまして百八十七円五十銭格差が課されて行く。四等の場合には逆に九千六百五十三円から格差百八十七円五十銭引きの価格政府が買い入れる、こういうことでございまして、平均のいろいろな政府のコストを出します場合に使われている七十八円あるいは新しい格差で参りますと九十六円ということでございまして、七十八円をことさらに引くのだということではないわけでございまして、ちよつとこの点誤解ないようにお願いいたしたいと思います。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは誤解じやなくて、引いておるという現実の上に立つて私は言つておる。誤解しているのではない。引いてあるということです。ですから基準等級のとり方というもののウエートが中心である場合においては、無理に七十八円を引く必要はない。加重平均をやる場合に、この三等という段階がやはり上位に位しておるという一つの前提条件の上に立つて加重平均を行うからして、七十八円を一応控除しなければならぬということになると思います。そうじやないですか。三等の基準が中心に置かれた場合においては、あえて七十八円を控除するという必要はなくなると思いますが、それはどうでしよう。結局ウエートのとり方の問題……。
  32. 新澤寧

    ○新澤説明員 申し上げます。米価は自由時代からずつといわゆる市場価格と申しますか、標準建値というようなものも全部三等のもので値段が建つたわけであります。いわゆる政府統制下になりましても、この三等に基準を置いて値段を建てるという自由時代のそのままの方式を踏襲をして行つているわけでございます。これは一番数量の多い部分をきめるという建前ではございませんで、自由時代から統制時代を通じまして、三等の品質のものの価格は幾らか、こういうきめ方をしておるわけでございます。ところが統制に入りまして単に基本価格だけではございませんで、そのほかにたとえば早場米の奨励金がついたりいたしまして、あるいは特に集荷上の考慮から、実際に理論的に出て参ります格差よりも下位等級を優遇しているというような点からいろいろ経済的な考慮の結果、おのずから下位等級が戦前に比べましてふえて参つたということが、実際上の等級別の数量の上で、従来よりも上位等級よりも下位等級の方がウエイトが増しておるという結果を生じておるわけでありまして、価格の立て方そのものは、一番数量の多いところを基準にして価格を立てるという建前でありませんで、自由時代、統制時代を通じまして、三等の品質のものの価格を建値としている、こういうことでございまして、そういう結果、常に発表いたしておりまする価格は、三等基準価格でありまして、それに対しまして格差を加減いたしまして、一等の価格、二等の価格、三等の価格というものがおのおの立つわけであります。そういうような価格で買われたものを総平均いたしまして、たとえば消費価格を算出するというような場合には、格差の部分だけをとり出しまして総平均いたしますと、マイナス七十八円あるいは九十六円という数字計算の上に出て来るということで、現実に七十八円とか九十六円という格差が存在しているわけではございませんで、おのずから先ほど来申し上げましたような理由によりまして、実際の等級の間の分布が、単に格差だけではなくて、奨励金等も考慮に入れて、農家政府に売渡しをするというような結果、戦前と戦後との間に等級別の数量の分布状態がかわつて来た、こういうふうに私どもは解釈をしておるわけであります。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま農産物に等級をつけるということは、いわゆる品位を推持する、あるいは名声を維持するということにあるわけです。今言われたように、この自由主義時代の遺産をどうしても計上しなければならぬという、そういう根拠はないと思う。しかもあの当時は産地の銘柄というものが非常に尊重されて、しかも消費者の手に渡る場合においては、やはり二等米、三等米そのままの価格が直接消費者の台所へ届いたわけです。現在においてはいかなるいい米であつても、二等級の米であつても、たとえば五等級の米であつても、これは一率に七百六十五円ということになつておる。たとえば昨年度の災害等によつて、北海道等においては四等米、五等米しか集荷できなかつたと仮定します。そういう場合において、その現地において集荷されたものを現地において配給する場合においては、北海道の消費者は四等米、五等米を、これも同じように七百六十五円で購入して消費している。こういうような矛盾した事態が生じておるわけですね。ですから現行の配給制度等の上からいつた場合においては、昔の自由主義時代の一等から四等、五等というような厳密な格差をもつて、そして一定の品位を厳密に保持することによつて、そのままその米を消費者の家庭に提供するということと情勢が非常にかわつて来ておるわけです。ですから今の社会情勢、経済情勢の中において適応する。そういう検査機関の設定ということはこれは不可能ではないであろう。こういう経済機関の問題は、これは法律とかによつてあるいは永久不変のものであるということは言い得ないと思う。しかし低米価をしいる場合において、ことさらに七十八円を米価の形成の中がらあらかじめ引去つておくということはまつたく当を得ないと思う。  もう一つは、各等級が規格として存在する場合は、たとえば一等米というものはあり得るはずでありますが、前年産の産米を調べると、一等米は総務部長御承知の通り一俵も全国で出ておらぬ。こういう妥当性のない架空のものじやないですか。一等米も必ずあるという実際の上に立つて価格、等級が設定されなければならぬにかかわらず、二千万石以上米を集荷して、その中に一等米が一俵もないということは、まつたく一等の規格というものは非時代的のものであるということをはつきり言い得ると思う。こういう該当する米のないような規格というものは当然はずして、とにかく当てはまる規格を一等からつくる必要はどうしてもあると思いますが、これに対するお考えはいかがですか。
  34. 新澤寧

    ○新澤説明員 最初の第一点の、地域的に考えますと、確かに政府が買い入れます場合には等級別の買入れ、政府が売り渡します場合には一本価格で売り渡しているということのために、局地的に見ますと確かに買入れの場合には四等、五等の下位等級のものを買つて政府が売り渡す場合におきましては三等をやや下つた価格で売るというようなこと、局所的に考えますれば確かに御指摘のような矛盾が出て参ります。これは否定できないと思いますが、一応現在のいろいろな事務的な関係その他から見まして、非常に簡素化したことで売渡しの方はやつているわけであります。まだ売渡しの方に合せて買入れの方を規格を無視して一本価格ということはなかなかむずかしいものと思いますので、現在のような配給制度をとつて行きます限りにおきましては、やむを得ない処置ではないかと思つております。ただ全国的に見ますれば買い入れたものの各等級の総平均で売渡し価格を算出しているわけでございますから、全国平均といたしますと政府がその間に損をしていないという計算になるわけでございます。  なお検査等級の整理の問題でございますが、確かに御指摘の通り、現実の問題として最近両三年間一等の規格に該当する数量はきわめて微弱なものであるということはその通りでございます。ただそれからただちに規格を簡素化すべきかどうかということにつきましては、なぜ一等がなくなつてしまつたかという原因にさかのぼつて考えることも必要ではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、いろいろ将来にわたつて考えます際に、単純に一等は現在ないからすぐ一等はやめてしまう、二等のものを一等にするということでいいのかどうか、確かに御指摘のような点はありますが、今ただちにそういうふうにした方がいいというような結論を出しかねておるような次第でございます。と申しますことは、先ほども申しましたように、奨励金とかあるいは格差を実際上上位等級のものは比較的不遇に、下位等級のものは優遇されておるというような変則的な格差をつけておりますために、そういうような等級間の分布が行われておるのじやないかという点も考えまして、将来格差の問題、集荷政策上の問題、それから検査の等級制の問題を相互にかみ合せて考えなければならないと思つておるわけでございまして、今ただちに一等級はやめてしまつて、等級を減らすのだというような御返事もただちにはいたしかねるわけでございますが、確かに御指摘のような矛盾の存在しておるということは、私どももよく承知しておるわけでございます。種々いろいろな条件をかみ合わせて検討した上で結論を出したいと思います。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 ちよつと関連して……。今の総務部長の御答弁を聞いておると、まずいことは事実上認めておるが、まだこれに対する措置はとつておらないということでありますが、要するに今の検査制度というものは農民の擁護の立場においてできたものだということを、検査法制定の際に常に説明されておる。しかし事実上において、昭和二十三年以降における等級格差の点を、あなた方の出しております食糧管理月報の統計数字によつて調べてみますと、なるほど昭和二十三年までは統計数字上プラス要因であつたことは間違いない。具体的に言いますならば、二十二円七十一銭というプラス要因になり、それは事実上農民の利益を擁護した形になつておることを、われわれはこの数字において認めざるを得ない。ところが昭和十四年以降は、この等級格差は事案農民の米価のマイナス要因に運用されておる。これはあなた方の統計管理月報による数字であります。といたしますと、明らかに現在の検査制度は農民の利益擁護というところから出発しておるが、事実上においては米価をいかにして合理的に引下げて国家の財政支出を節減するかということに運用されておるという事実を、あなたは認めますか、認めませんか。事実はあなた方の出している資料ですよ。であるからこういう事実が出ておる以上は、検査制度自体が一つの行き詰まりを来しておるということになつております。これに対してこのまま放任しておくということは許されないと思うのです。元来の検査制度の精神は、私が述べたように、農民の正当なる増産意慾を刺激し、品質優良なものを同じつくるならばつくらせたい、そして多くの農民の手取りを合理的に、ふやして行くという立場からできたものであるならば、実体が伴わない以上は改正をする必要がある。もし急速に改正することが法規上あるいは規定上困難である場合は、検査の運営の上において改善を加えて行く必要があろうと私どもは思いますが、いかがでありますか。
  36. 新澤寧

    ○新澤説明員 検査の格差の問題がプラス要因になつているとか、マイナス要因になつているとかいうお話がございました。これは平均計算をいたします際にマイナスとして数字が現われているか、プラスとして数字が現われているかということだけの問題であろうと思います。現実はむしろプラスとマイナスの意味合いが逆になつて来ているのではないかと考えるわけでございます。なぜマイナスになつたかということは、いろいろ見方がございまして、あるいは私どもの見方が独断的で、手前がつてな見方をしておるのかもしれませんが、最近におきまして、平均計算をいたします際になぜ格差がマイナスの要素として出て来るかということは、言いかえれば下位等級のものの方が相対的数量がふえたということであろうと思います。下位等級が相対的にふえて来たということはどういうことかというと、下位等級価格の面で優遇しているから下位等級が出て来ているのではないかということでございまして、現実に平均計算する場合はマイナスとして計算いたしますが、実際の農家の場合から考えてみますと、マイナスということは格差の面においてプラスになつていることじやないかというふうに、私どもは解釈しているわけでございます。なお格差だけの問題ではございませんで——格差は先ほど申し上げましたように、俵当りについて現行で行きますと、三、四等間六十円、二、三等間同じく六十円、一等と三等間九十五円しか差がないわけでございまして、それに対しまして早場奨励金が一期について非常に大きな差があるということ等から、どうしても調整等に手間をかけるよりは供出を早くした方が手取りが多いであろうというようないろいろな事情がからみ合いまして、最近明らかに早場奨励金等が大きくなつた時期以降、あるいは基本価格上昇率に比例してスライドすべき格差をスライドしないでとどめておいたということで、下位等級の間の開きを、理論的に開くべき差よりも開かないでおいたということがからみ合つて、経済的な計算から、高い等級のものを出すよりは低い等級のものをたくさん出した方がよいということがこの数字として現われておるのじやないかというふうに私どもは解釈しておるわけでございます。あるいは机の上だけの見方とおつしやるかもしれませんが、そういうようなことが格差のマイナス要因として現われたものであるというふうに解釈しておるわけであります。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもあなたの答弁はよくわかりませんが、私の言つておることは、等級格差奨励金自体のことを言つておるのです。今芳賀君の言つておるのは、本年産米格差自体を問題に取上げておりますが、私どもの場合は格差奨励金の問題を今取上げているのです。そこで具体的に言うと、きようは資料は持つて来ておりませんが、昭和二十三年ごろまでは確かに一、二等というものが相当のパーセントを占めておつた。それが昭和二十四年以降というものは急激に減つて来ておるのです。一、二等や三等が減つて、大体の標準が四等に置かれておるのです。だから今芳賀君の言われるのは、一等というような規格を置いてみたところでそれは事実上適用不可能なものではないかという議論がそこから出て来ておるわけなんです。あなた方の机上の計算はどういうことになつておるか知りませんが、要するに三等標準で、三等建値で供出価格をきめておきながら、事実上においては三等以下の格付をされた米はほとんど供出数量の五〇%近いものがある。そこから来る検査制度自体は、二十三年度までにおいてはプラス要因で一俵当り二十二円七十一銭の一つの奨励で平均的に農家を潤したのであるが、昭和二十四年以降というものは、マイナスとして九十一円二十五銭という数字が出ておるのです。それだけ結局検査制度の運営上は低米価に持つてつてある。そういう数字が出ているんですよ。あなたの方の食糧管理月報をよく調べてごらんなさい。あなたの今の話を聞いておると、それが出ることは農民の手取りがふえておるのだというようなとぼけたことを言つておるが、そんなことはないですよ。三等建値で取引しておるということを原則にしておるわけでしようが、事実上の取引の実態というものはほとんど四等に移行しておる。それだけでもすでに格差金としては六十数円の損失が出ておるじやないですか。単純な計算から言つてもですよ。だからそれをカバーするのには、一、二等というものが相当量出ない限りは、これをカバーすることができないわけです。最近の傾向は、急激に四等以下がふえておる。事実雨の害や天候の不順等のために、乾燥が不十分だというので、私どもは原則的には賛成できないが、時によつては五等級というものをあなた方と打合せの上でつくつたこともございます。ことしの麦の場合も六等麦をつくつた。しかしそれはわれわれ自体の本意ではない。しかしそうしないと、くず米においてたたかれ、あるいはまたくず麦として使用商のえじきになるという実態があるから、そういうことをやむを得ざる措置としてわれわれは認めておるのであつて、元来は、三等建値で行くならば、四等、五等というようなものはやめてしまつたらいい。今の段階は品質よりも量なんです。ですから、実際的に言いましても、今はいい米を求めておる段階ではない。とにかく四等といい、五等といつても外米にまさること数等、黄変米にまさることは言をまちません。そういうように量を求めておるときに、実質基準米価を、さらに検査等級によつてみすみす農家の手取り金額を少くして行くような検査制度自体間違いじやないか。そのことが明らかになつておるにもかかわらず、検査制度の運営の上においても考えない、その規則等についても改善を加えないということは一体どういうわけですか。私どもには納得が行かない、そういうことを言つておるのですよ。
  38. 新澤寧

    ○新澤説明員 お話のように、最近確かに上位等級のものが減りまして、相対的に下位等級のものがふえたということは、おつしやる通りであります。従つてその結果、平均石当りの金額に引直しますれば、平均石当り金額は、三等基準で立てました価格よりも下目の金額で農家は受取つておる。これもそう言われると思います。ただどうしてそういうことになつたかということでございますが、これはたとえば検査の規格を非常に辛くして、今まで当然三等で合格すべきものが三等では合格しなくなつて、四等に落された。検査規格の上であるいは検査官の検査のやにり方よつて、そういう結果になつたということになりますれば、お話のようなことになろうかと思いますが、検査の規格については、特にこの数年間において厳重にしたということもないわけでございます。検査につきましても、ところによつではいろいろ違うのじやないかと思いますが、ただ最近基準品の検査標準品のとり方等につきまして十分生産者の御意見も入れろというお話がございまして、いわゆる食糧庁だけの見方で厳格に過ぎるような標準品をつくつたりというようなことにつきましては、これは十分手心を加えまして、査定会等には生産者の代表の方にも入つてただいて、検査の標準品が厳格に過ぎることがないということに十分配慮をいたして、検査が厳格に流れる、過酷に流れるということのないように十分やつております。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 これは関連ですからあまりしつこく申し上げることは差控えたいと思う。私は、今私が言つていることをあなたは認めるかどうかということを聞いておるのです。事実、そういうふうなことがマイナス要因になつておるということを率直にあなたは認めておるから、これに対してどうされるかということを私は聞いておる。それに対して異論はないでしよう。私の今言つたことは間違いないでしよう。あなたは今肯定したのだから……。とするならば、いわゆる黄変米やあるいはそれに近いような外米を入れて行く場合において、内地の四等級あるいは五等級、格外のものがそれに劣るかどうかということを消費者は——この間の米価審議会の懸談会のときに、主婦連合会の船田女史は、くず米でも外米よりも喜んで消費者は買いますと言つております。そのことを私は言つておるのです。別にあなた方が規格を厳重にしたかしないかということは、あなたは総務部長であつて検査課長でもないから、そういうふうに部下が報告すれば、その通りだろうと思つておいでになるが、事実においては、昭和二十四年以降というものはマイナス要因になつておる。これは統計が示しておるのだから、あなたがとやかく言われてみたところで、事実これは検査がきびしくなつたということの証拠です。統計は間違いなくことを証明しておるわけです。あなたがそういうことがないと言つたつて事実がこれを証明しておる。本日の新聞によれば、本年十二万トンの輸入米の削減をやることをきめたらしいのですが、そういう場合にはいよいよもつて内地米は質よりも量じやないですか。その量を確保して行くという場合において特に必要なことは、少くとも四等級が供出の大勢を占めてしるということであれば、現行の三等の標準を四等級に下げて行く。検査の規格の変更、規則の改訂ができないのであるならば、これはどこまでも人間の行うことでありますから、検査が今始まらんとしているときに、その方向にあなた方が当然これを指導して行くべき性質のものではないですか。去年よりも一千円近く米価を下げた上に、また検査規格の上においてそういうふうに農民の実質所得を削減して行くということは、私は納得ができません。そういうときにこそ、あなた方が食糧行政を担当して行く場合には、実際上の運営において考えられなければならぬのではないかということを私は申し上げているわけなんです。事実全食糧労働組合も、そういう点については個々に話合つてみればよくわかつてくれますよ。ただやはり国の示した基準に従つて官吏は仕事をして行かなければなりませんから、そういうことは言えないでしよう。ただ問題は、実際においてこの間の本委員会の決議の中にも、今私が言つたように、検査をやる場合に実質上検査規格を一等級繰下げて運用するということを全会一致決議しているのです。本委員会において決議しているのですよ。そういう点、これからあなた方がこの委員会の決議というものをほんとうに注意して行われなければ一つ一つ覚えておつてその度都私たちは追究します。少くとも私どもだけの意見ではない。与野党を含めた全部の、満場一致の意見です。あなた方がかつてに、成規の理由なしにこれを拒否するということはできないわけですから、今後とことんまでこの問題はわれわれは追究したいと思います。そういう趣旨からも検査の問題については、特に最近の傾向にかんがみて善処されなければならないということを私は言つているのです。たとえば専売公社のようなああいう官僚的なところでも、葉タバコの収納に当つては、事実耕作者代表と耕作組合の連合会の技術員を全部立ち合わうておりますよ。あなた方のところだけですよ、自分らかつてで検査基準をきめるのは……。あなたは今農民代表を加えていると言いました。事実経済連の業務部長級の者をわずかに、きよう査定をするからぐらいのことで集めております。そしてブロツクによつて五、六県ずつの標準米の査定会をやつております。そこできめたものを各県々へ持つてもどつて食糧事務所がその標準によつてつて行くわけでありますが、そういうことで府県の実情に即した検査ができるはずはございません。経済連はなるほど農民の組織した経済団体農業協同組合ではありますが、これはむしろ集荷業者の立場に立つている団体でありまして、いわゆる生産の指導奨励等にはこれはほとんどタツチしておりません。私もその経験を持つておりますが、そこまで行つている経済連は現在ございません。でありますから実際においては、この農民代表を立ち合わせるということは、前にも食糧長官も認めており、あなたも農民代表を立ち合わせているということを言つておりますが、それならば別な再度から農民代表というものを入れる一つの制度の仕組みを考えられなければならないはずだと思う。事実上は、経済連の一幹部職員ぐらいな者を入れて農民代表を入れたというようなことは、私は逃げ口上にすぎないと思う。それではただほんの言訳にすぎないと思う。実際はそうういものでは片がつかない。事実上経済連以外の生産者を代表する現実の代表を入れて、検査制度の運営に完璧を期すべきである、私どもはそういうふうに思つておりますが、その点とあわせてもし御所見があつたら承りたい。
  40. 新澤寧

    ○新澤説明員 おつしやることはよくわかりました。今日の時代におきましては、質よりも量に重きを置かなければならぬという御趣旨であると思いますが、確かにそうだと思います。運用上の面においてできる範囲内のことはして参りたいと考えます。生産者代表につきましても、私どもといたしましては、単に経済連のそういう立場にある人というにはもともと考えていなかつたつもりでございます。もし現実がそういうことに限られておるとしますれば、よく御趣旨を体しまして、ほんとうの意味生産代表が参加できるようにいたしたいと思います。趣旨と実際が食い違つているのだと思います。
  41. 川俣清音

    川俣委員 今の部長のお話は、検査が厳重になつてこういうふうに四等米が多くなつたのか、それとも早く出すということで手取りを多くするために、質を下げても早く供出した方がいい、乾燥のぐあいが悪くても早く供出した方が結果的に収入がふえる、こういうことでやつているのじやないか、どちらかだ、こういうことです。私は検査が厳重になつたために四等になつたと言うし、あなたはあえて三等を出すよりも、乾燥が悪くても早く出した方が供出奨励金が入つて手取りが多い、こういうことだつた、その食い違いがある。そこで私はその食い違いを実は解決したいのです。これはあなたは御存じだと思うけれども、地方で検査をする基準をつくるときに、検定協会からこういう非難事項があるから将来注意しようという注意条項の中に検定協会の意見が入つて来ております。これは重大ですよ。民間代表か何かわからない団体の意見が、公式な検定の場所に、こういうふうに消費者が考えるから、こういう意味でしようが、どうも検定協会からこういう非難があるから、もつと厳重にしなければならないということを協議しております。協議しておるということは、検査を厳重にしたということになりませんか。今後検定協会のあの非難事項は受入れるな、こういうさしずができますか。秋田米は、山形米は、いつよこした米は検査が非常に悪かつたという非難をしてよこしております。その非難に対応するために厳重にしております。これはどうです。今後かかることをやらせないという言明ができますか。検定協会なんかやめろという言明ができますか。この点をひとつ……。
  42. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまのお話でございますが、検定協会の何らかの意見によつて検査のやり方にいろいろな手心を加えておるということは、もしあつたとしたら、それは改めなければならないと思います。ただ検協定会の意見というものは、私ども公式に別にとつておりません。ただ現地の産米協会というようなものが意見を徴しておるということは聞いておるわけでございますが、公式に検定協会の意見を私どもは参考にして検査をとやかくしているということはございませんし、今後もそういう考えはございません。
  43. 川俣清音

    川俣委員 公式にやつてない、こんな非公式の団体からの意見は一々公式に取上げてない、これは表向きはそうでしよう。しかしながら陰に陽に検定協会の意見というものが、かなり検査の基準に影響していることは否定できない。こういう資料というものは押えたらどうです。検定協会の意見なんというものは無視させるようにしたらどうです。現に無視しないじやないですか。去年どこの地方から出した米はこういうふうな結果であつたという報告をし合つて、注意しているじやないですか。これは何の権限でやつているのですか。食糧庁のさしずでもない。一民間の任意団体の意見にそんなに重要に支配されなければならないわけはないでしよう。わけはないとあなたは答弁しているが、現にやつているのはおかしいじやないですか。だから今後やらない。検定協会の意見なんか無視せよという指示を出しますか。あなたの御意見によれば、出してさしつかえありません。また出してよろしいわけですが、さつそくお出しになりますか。
  44. 新澤寧

    ○新澤説明員 これは現在検定協会に消費地における検定をやらせているわけですが、それの業務報告という形のものが詳細にできていると思いますが、これはむしろ検査の参考にするというよりは、政府が受入れてから消費地に送るまでの間に、欠減やその他の品質の変更がどういうふうに起るかということのトレースの意味で参考にしているわけでありまして、検査をしたときから、東京等に入りましてから相当日にちもたつておりますから、それで品質についての何らかの結果が出たとしても、それによつて検査そのもののやり方云々という結論はただちには出て来ないと思いますし、また出て来るべきはずもないと思うのであります。ただ買入れましてから政府が売ります間に非常に長い期間を要しますので、できるだけその間の変化の状態についてある程度実情を把握したいという意味合いにおいては、せつかく消費地でこんな資料をとつているわけでありますから、そういう意味合いにおいては参考にすることは有意義じやないかと思つているわけであります。これは検査に影響を及ぼすということは、先ほど申しました通り全然考えておらないわけでありまして、おつしやる通りのそういう影響力を持つておるかどうかということも、実はそう強いものであるというふうには私ども考えていないわけでありまして、先ほど申し上げました通り調査の時点が非常に離れていますから、参考にしようと思つても、参考にしようがないんじやないかというふうに考えております。
  45. 川俣清音

    川俣委員 ですから私は、そういうことを参考にするな、そういう意見をいれるなというさしずができるかどうかと言つているのです。現にこれは検査の等級にも非常に関係することで、実は目減りが非常に多いから、なるべく余ますを多く入れなければならぬということを決定しているのです。そういうことは越権じやないかというのです。長官はたびたび、検査のときに六十キロあればいい、六十キロ以上入れなければ三等にしない、こういうことで、一つの粒の検査よりも、数量のことが検査の基準になつている。それだけの一定の余ますが入つていなければ、入れ目が入つていなければ三等にしない、こういうのですから、質の問題でない。一升重量の問題でもなく、また水分の問題でもない。あなたの方の基準は、水分と、それからもちろん乾燥度と、質と、一升重量の問題でしよう。ところがそれ以外に検定協会の意見をおもにいれているのは何かと言うと、目減りです。この地方から来るのは目減りがあるから、そこでます目を入れなければならない、入れ目をしなければならない、こう言つて来る。それに従つていることは、一つの民間の団体の意見に支配されているんじやないか、こういうことを言つているのです。検査日に六十キロ以上、この長官の意思にも反した民間団体の意見を検査員がいれなければならない、その基準をつくるときに一々注意をするのはどこから来るのですか。長官以上の権限を持つという権限はどこから来るのですか。そんなものは参考にしてはならないと指示を与えてもいいじやないですか。この点はどうですか。
  46. 新澤寧

    ○新澤説明員 おつしやいました通りのことをもしやつているとすれば、明らかに職務の範囲を逸脱していると思います。前にも、そういうお話ではふりませんでしたが、ほかの点についてたしか御注意を受けたことがあると思いますが、そのときも検定協会また現地にもよく注意をしていたわけでございますが、重ねてそういうことが行われるといたしますれば、これはよくないことだと思いますので、注意いたします。     〔委員長退席、川俣委員長代理着席〕
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私が先刻新澤さんに断わつた通り、検査機関問題はあなたが一々大蔵省に行つて相談しなくともきまる問題です。これは大体総務部長の責任の範囲内において処理できるだろうと思つて私は質問しておる。だからそれほど大きな米価全体の問題について、あなたに取組んでくれということは言つておらぬのです。もう少し素朴な農民に対して納得のできるような説明を願いたいということを前提として、私はお願いしておるわけです。  私の先ほどから言つている問題は、あなたのさつきの御説明によると、自由主義時代の品位というものをそのまま維持するために三等級というものを崩さないでやつておると言われておるけれども、毎年の検査規格をきめる場合においては、その年に生産された全国の米のうちに一等米もあるし、二等米もあるし、また四等米もあるという、そういう条件の中から出発して等級をきめる必要があると思うわけです。去年の一等米は一俵もない。今年も一等米は一俵もない。今日の米の中からは、そういう規格はつくりたくてもつくれぬ。それだけ自由主義時代の昔と、米そのものの性質がかわつて来ていることも一応考えなければならぬ。たとえばその地域に適応した、あるいは冷害とか病害に対応できるような品種の改善ということは、結局ある場合においては既往の品種とやや異なつて来ておるということも言い得ると思う。ですから、現存する、生産された米のうちの何パーセントかは一等米もあるという前提の上に立つて、この等級というものは設定さるべきものであるというふうに私は考えておるわけですが、新澤さんの考え方を聞くと、空疎な伝統さえ守つておればそれでいいのだというようなお考えである。これは米の品位を保持する意味からいつて、今実際にとれている米の中から一等、二等、三等の区分をすることはわかるけれども、求めることのできないような等級を設定することに対しては、妥当性がないのではないかと私は考えるわけです。とにかく昨年は、先ほど言つた通り、一等米は一俵もない。二等米の場合においては、パーセンテージにして、わずかに三・二%しか出ておらぬ。三等が三八・九%、四等米が五二・二%。五等米になるとわずかに四・八%しかないわけです。ですから、今日の場合においては、おおむね三等ないし四等米に尽きておるわけです。ですからこの範囲内において、それほど大きな幅を持たなくて、一、二、三等なら一、二、三等という新しい分野の上に立つた等級の設定というものを行う時期に来ておるのではないかというふうに考える。そうしてそれと現在の配給機構との相関性の上に立つて考える時期でないかというふうに、私は率直にお伺いしておるわけですが、これに対してもう少し具体的な、総務部長としての責任の範囲内において——これは何とも私として申し上げられませんというのであれば、いくら問答してもむだなんですが、私の信ずる限りにおいては、総務部長の判断の範囲内において相当改善ができるのではないかという期待を持つて私は質問をしておるので、その点も考慮に加えて御答弁を願いたい。
  48. 新澤寧

    ○新澤説明員 規格と価格と全然離してしまいまして、今の諸情勢にのつとつた新しい規格をつくり、それに合せて価格の方もつくつて行く。こういうふうな関係でありますれば、比較的解決はしやすいと存じます。ただいきなり現在の四等のものを三等にし、三等のものを二等にし、二等を一等にし、価格は新しい三等に対して旧三等の価格をそのまま適用するということになりますれば、そこに相当格差の開きが出て参りますので、新しい格差で行きますと百八十七円五十銭という格差が出て参りまして相当大きな問題になつて、とうてい食糧庁だけでは解決できない問題になつて来るわけでございます。ただ架空の一等をやめてしまつて、先ほど足鹿先生がおつしやいましたように、むしろ新しいものをたくさん集めるという建前から規格を組み直せということであり、またその新しい規格に対応した価格をそれに持つて来るということでありますれば、規格だけの問題で片づくわけでございますので、これはそういうことだけでありますならば、十分研究し、実現の可能性も必ずしもない問題ではないだろうと思います。ただ先ほど来申し上げますように、価格との関連が常につきまといますので、ここで私から自信のあるお答えはできないと申し上げておるわけであります。これも先ほど来申し上げたわけでございますが、実際の検査の実施に当りまして、運営の面でできるだけ物を集めるという建前で実施を考えて行くということになりますれば、これはある程度の配慮が行われることができる、こういうふうに考えております。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの説明は、総務部長としての良識を疑われるようなものなんです。たとえば農産物なら農産物の等級をきめるという場合に、やはり一番前提になるのは、一定の品位を保持するということが建前になつておると思うわけです。ですから段階として、やはり実在する生産物の等級をきめるということが先行して、そのあとに価格の問題が出て来るのであつて、あなたの今の御答弁によると、先に価格問題をきめて考えの中に入れて、それから等級問題を考えるという、そういう行き方は、純理的に考えた場合において逆じやないですか。ですからそういう思想的な根拠から出発する場合においては、現行のこの等級差というものは、農民を欺瞞した政策的な一つの等級であるということが言えると思う。純理的な品位の保持というところから出発する場合においては、価格問題というものはあとから考えればいい。それをどこへ適用させるかということはあとから出て来る問題であつて、今のお言葉によると、これはまつたく逆に、食糧庁自体が政策的にそういうことを先入観の中に入れてものを考えておるということは、許すことのできない問題であると思うわけであります。今はまつたく一等というものは求めてもないのですから、実際適用になつておるのは二等から四等までの間ということになると、三段階に区分してさしつかえないということになると思うのです。ですからこれは新しい分野の上に立つて——昔自由主義時代に一等、二等があつたということは、同じ米でもあるいは一等米とか二等米を食膳に求めた人たちは、米を主食として考えたのではなくて、単なる嗜好品として考えておつた。たとえば北海道の北の端におつても、山形の庄内米を食いたいとか、どこどこのすし米を食いたいというふうに、金に糸目をつけないような連中が当時求めた嗜好品を、現在においては、配給米というものは庶民階級が一番求めてやまない米なんです。ですから時代的に米に対する概念がかわつて来ておる。そういうことをまつたく忘れて、昔のような等級を堅持しなければならぬということを、しかも一つの理由として、基本価格の中からまず七十八円という価格を差引いておる。基本価格をそれだけ下げておるのです。そうしてその後に出て来た米に対しては、やはり四等米、五等米というものは標準価格より安いのです。そういうことであれば、別に七十八円というものを先に引かなくても、基準米価決定しておけば、結果的には四等米、五等米がよけい出て来れば、その基準価格よりも平均価格が下るから、結果においては七十八円下つたと同じような事態があとで出て来る。それをあなたの方では、先に一度七十八円引いて、もう一回あとで結果に現われる七十八円が引かさつて行くというような、二重にマイナスになるような仕組みになつておる。こういうような等級と、これにからんだ等級差を引くということは、おそらくこれは食管会計の中におけるトリツクであるというふうに私は考えておるわけでありますが、こういうようなところから何か特別の妥当性のない利益を追求しなければ、今の食管会計というものは維持できるかできないかという、これは根本問題になりますが、この点に対しても追究せざるを得ないわけです。この点はどうですか。
  50. 新澤寧

    ○新澤説明員 今の格差七十八円を引くという問題でございますが、七十八円を引くということは、消費価格の面で現われて来るわけでございまして、生産者価格の面につきましては、三等基準価格幾ら、もとの包装込みですと九千六百五十三円そのままが三等包装込み価格でございます。これに対しまして四等になりますれば、これから百八十七円五十銭引く、二等になりますれば百八十七円五十銭上げということになるわけでございまして、引くのは生産者価格の場合には引かないわけでございまして、消費価格の方は全部各品種のものが混合して出て参りますので、三等部分が入るか、二等部分が入るか、四等部分が入るか、何が入るかわかりませんので、平均品質のものとして、いわば三等何分という形で消費者の方には入りますので、消費者の方の価格を出す場合には格差を引くという計算が出て参りますが、生産者価格の場合においては、一度きまりました三等基準価格を、平均格差を引いてさらに等級間格差を引くという、二重の格差は引かないことにしております。消費価格の方で引くわけであります。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、この価格形成の方から七十八円というものを引いてないというのですね。それは事実ですか。
  52. 新澤寧

    ○新澤説明員 先ほど先生おつしやいましたように、結果として出て来るのはその数字でございまして、初めから引いてさらに等級格差も引いて、二重に引くことはいたしておりません。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 すると結果的に引かされる結果になるということですか。
  54. 新澤寧

    ○新澤説明員 そうです。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それを予測しておちつく先がこうなるから、米価を九千五百五十円にきめても、ほんとうはそれ以上にきめなければならぬのだけれども、これを引いたことによつてそれだけ安くなるということじやないですか、手取り米価というのはやはり引いてあるのでしよ。どうですか。
  56. 新澤寧

    ○新澤説明員 そうでございます。先ほど御説明申し上げました農家平均手取り価格という表現で申し上げましたのは、格差を引いておるわけでございます。それは先ほど申し上げましたように、全農家を総平均した場合には、先ほど来お話が出ておりますように、下位等級の方が総体的に数量が多いことになつておりますから、平均品質は三等のものが政府に売り渡されていなくて、三等何分という平均品質のものが売り渡されていることになるから、農家平均手取りを考えます場合には、三等価格がそのまま手取りにならないで、三等の価格から平均格差を引いたものが手取りになるという、計算平均手取りというものを参考的に出します場合、あるいは消費価格を算出します場合の、平均石当り価格を出します場合の計算において、今申し上げましたような操作をやつて格差を引いておるわけであります。そういう意味合い平均格差でございます。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで結論として申し上げると、こういうような一つの矛盾に対しては、この米価について、たとえば大蔵省との間において数次にわたる折衝を行つたという場合、農林省の食糧庁が中心になつておるわけでありますが、農林省の原案の中においては、やはりこのように意識的に今年も七十八円くらい下る、等級差で下げるのだというような考えを持つて折衝されたか、結果的に大蔵省の不当なる圧力に屈してこういう事態になつたか、それはどうなんですか。
  58. 新澤寧

    ○新澤説明員 一応先ほど申し上げておりますような、平均格差はこれはいろいろ参考のものでございまして、公式には基準価格と期別の早場奨励金、それから超過奨励金というものは個別て出ておるわけでございます。ただそれを個別に並べたのでは、一体どれくらいの米価水準になつておるかということがぴんと参りませんので、米価水準として見たらばどれくらいになるかという参考価格を出します場合には、お話のように格差農林省の原案と申しますかにおいても引いておるわけでございますが、これは過去数年間の実際の供出の品質によりまして、加重平均をした平均格差というもものを引いておるわけでございます。これは大蔵省との折衝において云々ということではございません。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで最初農林省は、一応九千九百円の線を持つておつたのです。しかもそれが結果的には四百五十円、それにパリテイを入れると六百五十円くらい大蔵省に譲歩したということになる。ですから不当な低米価が実現するような場合に、せめて農林省がその裁量の範囲内においてやれる、しかも時代に適合した等級差の改善というようなことは思い切つてやれぬのですか、それさえもやれぬということになると、これは何をか言わんやということになるのですがどうですか。この点は思は切つて、今の時代に適応し、それから今の米の対して適応性のあるようなたとえば等級の設定、これをやれる決意というものはおありですか。
  60. 新澤寧

    ○新澤説明員 実はこの等級間格差は前年は七十八円、今年は九十六円ということになつておりますが、これを決定当時の基本価格と今度きめます基本価格との比率で開いて参りますと、百十円くらい開かなければならないわけでございます。さらにこれに実際上の品質の差というものも考慮に入れますと、百十円がさらに大きく開かなければならないのじやないだろうかということが考えるわけでありますが、それを先ほど来お話のありましたように、できるだけものをたくさん集めるという建前から、下位等級のものを優遇するという意味合いで、本来百十円、さらにそれ以上開くべきものを、できるだけりくつのつく範囲内において縮めて行くという意味において、これは確かにこの額をもつと縮めるべきであるというもちろん御批判なり御意見なりが出て来る思いますが、われわれといたしましては、先ほど来申し上げたような意味合いで、もつと開くべきものをできるだけりくつをこねて狭い幅で持つて来たということでございましまて、なお努力の足りないことをおしかりいただけばそういうことになるかと思いますが、私どもとしては、できるだけの努力をした結果がこういうことになつたということになつたということでございますので、御了承いただきたいと思いす。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後にこの一点でやめておきますが、結局私の言うのは、別に金銭上の問題だけにこだわつているのではない。あなたはそれだけを非常に気にしておるのです。その気持はわかりますが、この等級を設定する場合において、今実在しておる米の中から一等、二等、三等というものを抽出して、たとえば三段階ある場合においては二等が中心になる。その上に一等品も、たとえば一〇%か一五%ある、それから標準より下位等級のものそれに近いくらいのものがあるということに改めれば、やはり理論的に見ても合理性のある改正になると私は考えるわけです。そういうような基礎の上に立つて、しからばこれに現在の基準価格を当てはめる場合にはどうなるかということは、その後における事態であるというふうに考えるので、まず先に等級問題というものを切り離して、ほかの農産物と同じような観点の上に立つてやられる御意思があるかどうかということを中心にして聞いておるわけです。あまり予算的な問題とか財政的なものだけに固執されると、こういう問題にお答えはできないと思いますので、前段に対する御見解をもう一度明らかにしておいてもらいたい。
  62. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまの再度の御質問でございますが、個人的な見解を申し上げれば、確かに一等などというものは、少し現在の情勢として規格がきびし過ぎるというような感じを受けるわけでございます。しかしこれはしろうとの考えておることがございまして、ここでただちにどうするというわけにも行きませんので、お話のような線に沿うて、現状に即してまず規格だけを考え直す、価格は第二段とし、きまつた規格に応じて考えるというような順序で今後考えて参りたいと思います。     —————————————
  63. 川俣清音

    川俣委員長代理 引続き乳価の問題について質疑を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。金子與重郎君。
  64. 金子與重郎

    ○金子委員 最近乳価の問題が本委員会でもたびたび問題になつておりますが、きようも何か酪農関係の大会等において、この問題がやかましく論議されておるかのようなことを伺つております。皮肉なことに、乳価は非常に下つておるというのに、最近ふすまのごときは少し騰貴方向に向いておりますし、米が去年よりも増産になつている。従つてやみも非常に下つたということになりますと、粉の需要も減る方向へ向つて行く、粉の需要が減るようになりますと、ふすまの生産量がまた減つて来る。またそれでふすまの値上要素になにる。こういうような、非常に酪農家にとつて不利な条件が出ておりますが、そこで大体えさの問題とこの乳価の問題につきまして、二、三お伺いしてみたいのであります。  乳価は再三論議されるように、急激に低落を見ておりますが、これに対してとるべき処置として、恒久的な処置と、応急的にこれに対してどういうふうな施策を行うかという二つにわけまして、さしあたり農林省としては、どういう手段をとろうとしておりますか。
  65. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいま御指摘の通り、本月は全国の酪農大会が行われまして、私ただいままでずつと大会に出席いたしまして、御意見も聞き質問にもお答えいたしたのでございます。最近急激に乳業者の方から、一方的に乳価の引下げの申込みがあつた、これは御指摘の通りてあるのであります。その価格も相当急激な引下げでありまして、とうてい現在の生産者はこれに耐え得られないような価格も出ておるのであります。従つて各地におきまして、この乳価の引下げの申込みに対しまして、生産者等の方におきまして、乳業の方にいろいろと交渉いたしておるようであります。各地におきます詳細な事情についてはまだ報告を受けておりませんが、これに対しましては、県としてできるだけあつせん委員等を積極的に設けてあつせんをするようにやつてもらいたいという通牒を出しておるのであります。もちろん私どもとしては、先般の乳業者の申込みが一方的な申込みでありますので、取引というものは業者の協定によつてきまるのでありますから、あの規格できまるというふうには考えておりませんが、いずれも相当急激な引下げのようでありますので、各地でこれは相当問題を起おしておるのであります。われわれとしては、これに対しましては個個ばらばらに文書契約等を締結されますと、そこに不公正な価格が構成されるというおそれもありますので、酪農振興法の精神に基きまして、組合あるいは連合会等による集団的文書契約と申しますか、乳価の協定をやつてもらうように県を通じまして指導をいたしておるということであります。
  66. 金子與重郎

    ○金子委員 県に通知を出してあつせん制度なりあつせんの組織をつくつてあつせんするようにという今の話でありますが、これには何も法的な根拠はないのですね、まつたく自由取引でやつておるのですか。そこで今その程度のことをやりましても、もし乳業資本の方は少数のものでありますので、押えておくこともできない乳というものであり、しかも一日置くこともできないような生乳が、今のような形で一体解決がつくかどうかということに非常に問題が残されておるわけです。これに対して農林省は、今の乳の生産がもちろん一律ではありませんけれども、一つの仮定のもとに立つてもこれはもちろんいいのでありますが、一体乳の生産費というものをどれけ見れば辛うじて酪農というものが最低限維持されるのであるか。それから今の酪農業者が手持ちをどのくらい持つてつて、それに対して今の乳の処理形態においてどれくらいのものは買い得べきだということに対する研究と、それに基く正しい乳の取引という線を出そうというようなことで、具体的に乗出す考え方はありますか。
  67. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その点につきましては、先般も当委員会で決議といたされまして、牛乳の生産費並びに酪農製品の生産費というものをすみやかに調査の上提出せよ、こういうような御意見であつたのであります。それに基きまして私どもとしては、各府県庁に対しまして、そういう調査があつた場合には至急に提出してもらいたい、なお全国指導農業協同組合連合会、全酪連、その他全販連というようなそういう全国的な団体にも、できるだけ詳細なる生産費調査をお願いいたしたい、かように呼びかけているのであります。同時に統計調査部にも、さらに牛乳の、あるいは牛乳生産費の正確な調査を徹底してもらいたいということを依頼いたしておるのでありまするが、ただいままで照会いたしましたところでは、的確なる材料というものは到着いたしておりません。統計調査部で調査いたしました資料といたしましては、昭和二十七年と二十八年度の分が、一応素案的にまとまつております。これは委員会へお配り申し上げておるわけでありますが、これは調査対象の数も非常に少く、また地域も限定されておりますので、この材料だけで牛乳の生産費がこれでいいというようには、統計調査部といたしましても、自信を持つていないようであります。ただ一応の目安にはなると思うのであります。その結果によりますと、二十八年度で全国平均約五十円、こういうようなかつこうになつております。
  68. 金子與重郎

    ○金子委員 今の乳の価格に対して、製酪業者の方から一方的に、これこれの値下げをしてほしいというような申入れが、大体において申合せてあるかどうか、この問題は、先ほどから中澤君が公取を呼びまして、いろいろ問題にしておるわけでありますので、その問題には触れないといたしましても、製酪業者の業態によつてバターなりその他の加工品につぶすものと、市乳として出るものとの率というものは、人によつて相当の開きもあるんじやないか、その業態が全部同じであるならば別ですけれども、業態によつてみな違うはずなんです。何と申しましても、日本のような経済力の低いところでは、生乳を、バターにひくということが、一番不経済な処理の仕方である。そうすると、ある地区によつては、それは相当量加工乳として持たなければならぬだろうし、あるところにおいては、加工乳を持たなくてももつと処理し得る営業状態にあるところもあると思うのです。そういう問題に対して農林省は、もつとつつ込んで、業務状態等も調査して、そうしてどうしてそういう値下げの理由が出て来るかということに対して、どの程度までつつ込んで研究されておるか伺いたい。
  69. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいま御指摘の点は、なかなか困難な問題であるのでありまして、業者等におきましても、いわゆる営業上の秘密と申しますか、そういうようなことをたてにとりまして、たとえば在庫品等につきましても、的確な数字というものを、なかなか提出しない、こういうような事情にあるのであります。もちろん政府といたしまして、そういうことをつつ込んでやらなくちやならぬということは、重々承知いたしておりまするが、一方営業上の秘密と申しまするか、そういうような点もありますので、そういう調査が、なかなか十分に行きかねておるという状態であります。
  70. 金子與重郎

    ○金子委員 これは局長、非常に重要なポイントでありまして、たとえば今問題になつております——これは消費面ですけれども、農民の消費する肥料というもの、その肥料一つの総合企業であり、しかも化学工業という複雑な形で行われておる。そういう場合でも、どういう価格で妥当な取引をすべきだという政治的な意図を持つて、当然そこへ手が入らなければ——これは、業務上の秘密でございます、そういうことではどうにもならない。百姓の方は割切つておることなんであるし、また押せば押せるのだということで行きますと、今後あなたの方で、地方の県やあるいは本省自体が、その価格協定に乗り出そうといつてみたつて、一体酪農業者の業態がどうあるべきだ、現実はこうであるけれども、これを改善すれば今後行けるのだという、はつきりした見識を持つだけの資料が持てなければ、調停なんかできやしません。そんなことではならないと思う。私は酪農振興法というものの中に、乳の取引が、相当大きく法律ねらいの一つとして打出されている以上は、どうしても、今度は乳の加工費なり、あるいは加工を業とする場合の経営という問題にまで踏み入れなければだめだと思う。そういうようなことに踏み入れるの対しては、今の法律の範囲では、今あなたがおつしやる通り相当困難だ。このことは自由経済の原則をそのまま認めて、公正なる価格だとかあるいは公正なる価格による取引というものを政治的に意図しない場合は、これは自由ですから別です。しかしながら今の肥料が高くては困る。不当な利益は与えたくない。さりとて外国へ輸出する重要な肥料工業が萎縮をするようでは困る。その正しい線はどこかということになりますと、一つの法的な根拠を持つて調査もでき得るということでなければ、それをどれが正しいかということの判断が下せないわけです。そういうような関係から、乳も重要な農産物一つでありまして、しかもその農産物が全部生乳として消費されるのではなしに、加工という過程も経て行くとすれば、そこに加工なりあるいは生乳の形において乳を処理する工場なり会社なりの内容というものを、的確に調査して、どこが正しい利潤である、それ以上は不当だというような判断がつかなければ、価格の調停そのものが不可能だと思いますが、その点はどういたしますか。
  71. 大坪藤市

    ○大坪説明員 牛乳の生産費あるいは製品の生産費というものが的確につかめなければ、あつせんあるいは調停等の場合に判断に苦しむ、この点はまことに御指摘の通りだと思うのであります。われわれといたしましては、ただいま申し上げましたような方法によりまして、できるだけその的確なる生産費をつかみますと同時に、会社の企業の内容と申しますか、これにつきましても、先般一応企業会社に対しまして牛乳の買取りから製造に至るまでの原価計算を提出してもらいたいというわけで出してもらつたのでありますが、私どもがざつと検討いたしますと、相当大幅な価格になつておりまして、とうていこれを資料として参考に供するに至らないような材料なのであります。これは今後の問題といたしまして、ますます酪農が振興し、かつ取引が広汎になりまして、農民の酪農に占める割合が大になりますと同時に、従いまして大きな問題になると思いますので、その点につきましては、要すれば法律を改正するというような措置も必要じやないか、かように考えるのでございます。
  72. 金子與重郎

    ○金子委員 ここで二つの問題が出て来るのですが、この程度になつて来れば、どうしても農産物のうち主穀であるものは国家が直接間接に管理しておる。それから先年農産物価格安定法として、かんしよ、ばれいしよ、菜種の問題を一応の当否は別としまして、その価格を国家が支持するという一つのわくの中に入れた、繭につきましての取引の問題に対しては問題点が残されておりますが、繭糸価の安定という問題が一つある。そうしますと、需給のままに放任されておるものは、おもなる農産物で畜産物が残つたわけです。畜産物に対しては、まつたく手放しである。しかも畜産物が一番困るのです。ほかの生産物ならば、みずから加工ができます。たとえばかんしよ、ばれいしよのようなものは、みずからの組織で澱粉なら澱粉という、貯蔵し得る形態に置き得るのです。しかし乳のようなものは、加工しておくといいましても、すぐに簡単な施設でやり得ない。だから、相場が下つたから当分売らずにおくということはできない。一番危険な、一番密接な関係を持ち、脅威を持つところの畜産物に対してだけは、法的に自由経済の悪弊をコントロールするための何らの施策もないわけです。辛うじて今度の公正な取引というようなねらいで、集約酪農法の中にあれを入れてみたのでありますが、それが逆にこういうような結果になつたとすれば、当初の考え方農林委員会で審議しました結果とは、相当また大きな動きをしていますが、急選政府では、あの法律の適用の考え方をもう一ぺん大きくかえなければいけないじやないだろうか。というのは、具体的には、まずあの法律によつて乳の価格の調停なり、あるいは裁定をするという組織をもう少し強化して行く、その組織は、たとえば肥料や何かの審議会のように、法律的な一つの権力を持つて、必要なる調査ができる、そういう権限を持たせる。それからもう一つ、あの法律の施行についてでありますが、どうせ今の一兆円予算というようなことで大きく制約しておるとすれば、集約酪農地帯だけ特殊な酪農振興の大幅な施策なんというものはできない。できないなら、いつそのこと全国の酪農地域を計画的に指定をして、むしろ乳の公正なる取引を全国的に打出して行く。もしその酪農振興法の集約酪農地帯の指定というものが、今私が言う通り、全国的に一ぺんに指定することができないとするならば、その指定の要素を二つにわけて、——乳価の取引の一つのグループとしての指定だけは、一挙にもできる。二段の方法をとるとか、そういうことを、あの法律に対して新しく考える前に考えるべきじやないかと思うのですが、その点に対してどう思いますか。
  73. 大坪藤市

    ○大坪説明員 集約酪農地域の指定と牛乳取引の問題でありますが、牛乳取引の問題につきましては、ただいま御質疑の通り、もちろん一般的な問題であるのでありまして、これは何も集約酪農地域に限る問題ではないのであります。本来でありますれば、ただいま御指摘の通り、地方的な事情も相当いろいろありますが、何と申しましても、明治なり森永というのが、全国に網を張つております大会社でありますので、いずれにしても、問題は結局全国的な問題に帰着して来る、こういうことに相なると思うのであります。ただわれわれといたしまして、しよつぱなから全国的な規模におきまして乳価をどうするということについて、実はただいま御指摘のありました通りに、生産費等につきましての自信がなかつたのでありまして、大いに検討いたしまして、的確なる生産費を出すべき筋合いでありますが、ただいままで持ち合せていた資料は、先ほど申しました程度のものであります。全国的な規模で一挙にそういう問題を解決して参るという自信がなかつたのでありまするから、まず協同組合等を通じまして団体契約を締結させて、それによつて一万的に不当に押しつけられるような乳価が生れて来ないように、第一段階といたしまして措置いたしたいと考えておるわけでございます。しかしながらこういうふうに問題が大きくなつて参りますと、結局地方的な問題としては納まらない。こういうようなことにもなろうかと存ずるのでありまして、ただいまの御意見の点に対しては、すみやかに検討を要する、必要であれば法律の改正を要する問題じやなかろうか、こういうように考えるわけであります。
  74. 金子與重郎

    ○金子委員 乳価の取引は今度は一つのはつきりした契約によつてやる。その取引の価格折衝が一致しなかつたというような場合に、これに仲裁するなり裁定する機関が、先ほど言うように、会社の中身はちつともわからない、生産費の方だけはわかつておるというだけで満足な裁定はできつこないのです。だから、その裁定機関を、中央なり地方にあるものをもつと確立いたしまして、法的な権限で企業経営の内容まで調査できるような強力なものにして、あの裁定機関をもつと強力なものに持つて行くということにしたらどうですか。
  75. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その点は行政上の措置と申しまするか、調停あるいはあつせんというようなものは当然必要になつて来る問題かと思います。しかしこれはいずれも法律的な根拠に基く権限でなければものを言いませんので、この点につきましては至急に検討して参りたい、かように考えております。
  76. 金子與重郎

    ○金子委員 この問題は、いわゆる、至急ということは早いということでありますけれども、ほうつておけない問題なのです。差迫つている問題ですから、この際集約酪農地域を指定して、その指定した地域は文書契約によつて乳を取引するんだというような程度では納まらぬと思うのです。畜産局として、農産物価格安定法や何かのほかにいろいろの法律がある、それと同じような気持で乳価というものに対してこの際——畜産物はまつたく手放しなんです。畜産物の価格だけは資本家の言うままに納まつておる。ですから当局は、この問題については早く決定して、その結果を、中間なりあるいは経過の報告なりを本委員会でして、われわれも大いにこの問題を考えるということで進んで参りたいと思うのであります。その点をお願いしておきます。それから集約酪農地域におけるところの地域指定を、いわゆる補助をする対象というふうな考え方でなしに、乳価の取引を全面的に公正化して行くという見解から、集約酪農の指定の中の乳価の取引規定を拡充して行くか。たとえば要するに団体取引をするということがあるでしよう。その団体取引をする一つのグループを、集約酪農地帯と同じようなことで計画する考え方はないか。どこに売りたいということを今は業者にまかしておくわけでしよう。団体契約するならば——繭のごときは一つの区域をはつきり持つて、県なら県が取引をするという形にやつておるわけです。あなたの方では農業協同組合という字を使つているけれども、農業協同組合というものは、酪農という字を上につければ酪農協同組合である。それが地域協同組合にもなるということになつて漫然とした話で、その問題すらまだ解決ついておらない。そうしてその酪農協同組合というのは郡のもあれば、町村のもあれば、県の連合会のもある。その取引が三つにも四つにもなつておる。今のところは少しも計画的な一つ生産体になつていないわけです。そういう問題に対して、もう少し計画性を持つたものに、今の酪農振興法の中でそういうことを考えられるか、また別の考え方でそういうことをするかということが、要するに取引の対象の計画化が一番の問題だと思うのであります。その点に対してはどういうふうに考えておりますか。
  77. 大坪藤市

    ○大坪説明員 集約酪農地域につきましては、集約酪農地域の計画を立てます場合に、集乳につきましての具体的な計画を立てることに相なつておるわけでございます。それを全面的に広げろという御意見かと思いますが、この点につきましては今後研究させていただきたいと思います。乳価の問題につきましては、例の文書化の点につきましては、集約酪農地域でありましようと地域外でありましようとも、いずれも団体による文書化をはかつて行くという建前になつております。ただ集約酪農地域のように、具体的に工場あるいは農業協同組合との関連におきましての集乳計画というのは、一般的な地域につきましてはあの法律では具体的な計画性を持つていない、かようなかつこうに相なつておりまして、その点につきましては、今後文書契約が進展するにつれまして次第に販売系統というものも明瞭になつて参ると思いますので、それらに即応いたしまして検討して参りたい、かように考えるわけであります。
  78. 金子與重郎

    ○金子委員 それは検討の話で終るわけですが、検討するよりほかないのですから、いわゆる検討でなく、今放任されておるのは乳と畜産物だけなんですから、この問題と真剣にとつ組んでください。これはむしろ畜産局のものを生産指導するなり奨励するときに、こういうことがあるべきことは当然なことで、ものを生産するときには生産過剰になることも当然考えなければならぬ。その価格政策というものに対して関心を持たないでここまで来たということ自体、今こういう問題自体ができたから言うのではなくして、これは重大な問題です。  それからもう一つは、この前の委員会で問題になりました、厚生省を呼びまして私からも申し上げましたが、かりに集団飲用という名前にいたしましようか、乳のカンでこれを売買して、そしてこれを食堂なりあるいは給食場ではかつてわけるという乳の処理方法、これを始めるためにはそういうふうなための施設をする、あるいは農村の協同組合自体が乳の販売体制を新しく開くというのには、奨励する当初においてはその施設なりその奨励なりに相当経費がいると思うのであります。その問題について、今予算請求を前にしておりますから、畜産局で予算に盛つて、そして実現に積極的に出てもらいたい、こういうことをお願いしたいのですが、その点はそうなつておりますか。
  79. 大坪藤市

    ○大坪説明員 高温殺菌等によります集約的な牛乳の消費形態、これは学校、協同組合その他配乳の大口消費を推奨して参りますのには、一番必要な施設じやないかと思うのであります。その点につきましていろいろ検討いたしましたが、予算の面におきまして、いろいろ会計課とも折衝いたしましたが、協同組合による場合には、御承知のように低利資金による金融公庫の融資があるわけであります。これを全面的に活用するという建前になつておるので、これをもつと合理的に使うように積極的に畜産局でやつたらいいのであつて、補助を組むということは適当でない、こういう意見になつております。この点につきましては今後とも努力をいたしたいと思つておりますが、一応農林省全体の建前といたしましては、協同組合等によるああいうような共同施設につきましては、金融公庫の低利資金をもつてやらして行くという建前になつておりますので、その点は御了承願いたいと思います。
  80. 金子與重郎

    ○金子委員 それは金がないからできるとかできないとかいうことでなくて、乳というものがああいうやかましい過程を経なければ売ることもできないし、一般消費者が飲むこともできない。こういうことでがんじがらめで、今までそれが習慣になつているのだ。だからそれはそうじやないのだ、むしろ政府は生乳をあなた方に飲んでもらいたいのだ、そういう意味で、たとい金額が多くなくとも、そういう政策を一歩打出したのだということを鮮明にするために、私は予算措置をとれというのだ。たとえば学校給食のようなところでも、そういうような乳の飲み方をするならば、あるいはその他の公の性格を持つた場所で、そういうふうな乳の飲み方ができるのだつたらそれを飲みたいという場合には、その施設等に対しては新しく金がないからできないとか、金があるからできるとかいうことより以上に、この際乳というものに対しては大きな飛躍をしているのだ、そういう意味で私は、たとい薄くともいいから、そういうことを一歩打出すための予算をとつたらどうかというのです。
  81. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その点につきましてはごもつともな御意見と思うのであります。従いまして今度食品衛生法等に基きます規則の改正を動機と申しますか、それを機会といたしまして、強く大蔵省にも要求をいたしたいと思います。
  82. 金子與重郎

    ○金子委員 畜産局長、それはだめだ。厚生省があの法律を直したらそれを動機にしてなんて、そのときには予算折衝は終つてしまうのです。そうでなく、そんなことはのんでかかつて、そして一歩突進する、それは厚生省の方は係ではあるけれども、この政策そのものに対しては、厚生省よりあなたの方が熱意がなければならぬはずなんです。これは厚生省の解決なんていつだつてつくのだから、もつと早くやらなければならぬ。
  83. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ちよつと言葉に誤解があるようでありますから……。厚生省が改正をするということになつておりますので、ちようど今予算時期でありますから、それを機会にして持つて行く、こういうことであります。改正をすることになつておるのであります。
  84. 金子與重郎

    ○金子委員 だからこの際その厚生省の問題なんか、この間の討議であれはのんでいい。問題は学校にしましても、その他のそれに準ずるような、牛乳を大量に処理できる、またさすべきような場所で集団飲用の施設をしたいという場合に対して、それにたとい少くとも助成をするのだということを打出すことによつて、乳というものは今後は必ず一合びんでとらなくてもいいのだということを強く社会的に打出す意味において、有効な手段だからおやりなさい。だから今度の予算に、たとい幾らでもいいから農林省から打出して行きなさい、こう言うのです。
  85. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その通りやりたいと思います。ただその高温殺菌等によります共同施設につきましては、実は去年大蔵省に持ち込みまして最後までがんばつたわけでありますが、結局最後に査定を受けまして了承せざるを得なくなつたわけであります。そういうわけで昨年切られておりますので、ことしもまたその問題は非常に大蔵省としてもやりにくい問題じやないかと思いますが、ただいま申し上げましたように、厚生省としてもあの食品衛生法を改正してまで牛乳の消費一般化して行こうというときでありますので、またあらためて大蔵省に提出したい、かように考えております。
  86. 金子與重郎

    ○金子委員 そこで最後に申し上げておきます。えさの問題がやかましくなりますが、またどうづいてからでなく、近くえさの審議会を開いて、これに対する善後処置なりあるいは政策を考えなくちやならぬと思うのですけれども、それについてえさのあの法律に基いて審議会をやる意見がありますかどうか、その点が一点と、それからあのえさの法律をやりますときに相当修正しました点は、はたしてあのえさの払下げ価格が、どう消費者までその趣旨が届いておるか、そういう点が今非常にあいまいなんです。だからそういう点はもう一ぺん、今度はあの法律に照して、今までの払下げ状態がどうなつておるか。払下げられた主がはたしてどういう処理をしているかということは、もう少し真剣に考えなければならぬと思うのです。その点はどうですか。
  87. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいま御指摘のように、最近の天候等を反映いたしまして、多少ふすまの価格が上りぎみにあるわけであります。これにつきましては、上つてしまつてからでは御指摘の通りおそいのでありますから、適切な機会にえさの審議会を開きまして、いろいろと検討して参りたい、かように考えるわけでございます。もう一点、畜産団体等を通じまして払下げをいたしております報告は、一応払下げいたしました団体のその相手の対象まで報告にとつております。遺憾ながらその末端におきます最終消費者までは、相当厖大な資料になりまするので、現在まだその点は資料としてとつておりません。相手方まではとつております。
  88. 中澤茂一

    ○中澤委員 資料をこの前要求しておいたと思つたのだが、出ていないところを見ると要求しなかつたのかもしれませんが、工場へ農民から入つて来て、それから市販の市乳になるまでにどれだけかかるかという経費の資料、それをひとつあした出してもらいたい。きようはもうこれで終りですが、あしたは公取にも来てもらいまして、ちよつとやりますからね。ひとつその資料をあしたまで出してください。工場が消費者の皆さんに飲ませるまでに、われわれ農民から集めて、低温殺菌してあれするのに幾らかかるか、その資料です。これは簡単でしよう。それを要求しておきます。
  89. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その点は先ほど申し上げましたように、資料といたしまして私の方に一、二集まつております。ただ先ほど申し上げましたように、われわれが見ましても相当厖大な経費になつてつて、いかがかと思いまして、その資料は出しておりません。実はこの前お話がありましたので、さつそくその資料のとりまとめ方について着手いたしておりまして、二、三まとまつておりますが、ただそのままの数字を出しますと、非常に高いものになつておりますので、生のままでもよければ一応参考のために、それではあしたにでも出したいと思います。
  90. 中澤茂一

    ○中澤委員 生のままでいいのです。生産費原価もぼくがこの間要求したときは、こういうふうに要求しないで、各県の酪連からもとれ、指導連からもとれ、それを生で出してくれ、検討はこつちですると要求してあるのですが、ちつともとつてないので、こういうものだけではわけがわからない、生でいいのです。私の方は協同組合の工場を持つているので、一升幾らかかるということはちやんと資料を持つている。それであなたの方ででたらめなものを出せばそれはただでは済まない。それはあしたやりましよう。
  91. 足鹿覺

    足鹿委員 局長にちよつと伺つておきますが、飼料審議会を同法成立以来何回、どういう問題について審議をしたか、その諮問事項並びに答申の要領並びに審議会の速記録等がありましたら、明日の委員会に間に合せて資料としていただきたい。それから飼料審議会の本年中における運営状況はどういう状況であるか、また現在における会長並びに審議会のメンバーはどういうふうになつているか、そういつた詳細な参考資料をいただきたい。とりあえず今聞いておくことがあつたらこの際聞いておきたい。
  92. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいま御質疑の点をとりそろえて、あす提出するようにいたします。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは地方競馬会の問題なんですが、世上いろいろ流布されておる点があるので、疑点を一掃するためにお伺いをしたいのですが、地方競馬会の役員のうち副理事長鈴木一氏とありますが、彼は法務省の出入国管理局長をやつておつたですね。それであの法律によると、一年を経過しない限り役員に就任できないような規定になつておる。それは局長もおわかりのことなんです。それでいかなる方法手段を講じて合法的に副理事長に就任させたか、その中身を一応御説明願いたいと思います。
  94. 大坪藤市

    ○大坪説明員 鈴木一氏は、当初から農林省に入られまして長年競馬監督に従事されておつた方であるのであります。競馬のことに非常に詳しいと申しまするか、競馬の専門家でありますると同時に、識見人格等もまれに見る偉い方と私は考えておるのでありまして、競馬を円滑に、しかもスムーズに、世間の非難なく納得させて行きますためには、ああいう方が役員の中心としておられることが必要であると、かように考えまして、競馬の設立に関する仕事一切をやつてもらうということにいたしたのであります。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 合法的にどういうふうにやられたかということですね、一年以前にやめておつたのだつたらいいのですが……。
  96. 大坪藤市

    ○大坪説明員 競馬の専門家でありますし、特に従前民営競馬でやつておりましたときの監督官でありまして、民営競馬の実態等につきましては非常に詳しい方でありますので、法律の公布以前に畜産局に来ていただきまして、新しく生れる競馬会の設立に関する事務を担当していただいたのであります。
  97. 中澤茂一

    ○中澤委員 そんなことを聞いているのじやない。芳賀君の質問は、一年以内にできないのをどうやつて合法的にさせたかということを聞いているので、やめて一年たたないのにどうしてさせたか、これは法律を無視しているじやないかということを聞いておる。
  98. 大坪藤市

    ○大坪説明員 競馬部の職員は、御修正になりました場合にこれは例外の規定を設けたのであります。民営競馬を施行するにつきまして、従前その民営競馬を手にかけられておりました専門家の方をぜひ競馬の職員にしておくことが必要でありますので、競馬の職員に転籍をしていただいたのであります。従いまして御修正の競馬の職員はその限りにあら、ずという規定に合致したわけであります。
  99. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十二分散会