○久保田(豊)
委員 それでは、私のはきわめて漠然とした点でありますが、もう
一つお伺いいたしたいのは、今度の黄変米の問題に連関いたしまして、
政府の外米輸入に対する
基本方針をどうしても明確にすべき
段階に来ておると思うのであります。今までいろいろ御当局からお伺いした
範囲においては、タイやビルマから来るいわゆる黄変米を根本的に入れないという施策は何もありません。はつきりしたものは
一つもない。何とか技術的に研究してみようというだけであります。しかも入
つて来た黄変米について、今までも責任をとるところは
一つもなか
つたが、今後においても責任をとるという明確な言明は
一つもない。
従つてこのままの外米輸入
態勢が続くとすれば、今後においても国民は依然として黄変米の脅威にさらされ、しかもその結果は、片方においては、大きなロスをして輸入したところの外米が黄変米とからんでたくさんに配給辞退が出て来る。その米がどこへ行
つたか、まだはつきりいたさない。そうしてその都度出た大きな損害についても、これに対して何ら具体的なものは何もない。もう
一つ、今後国全体として考えられる問題は、外貨の手詰まりが非常にひどくな
つて、このままではいけないという
情勢にな
つておることは明らかであります。この点について
政府もいろいろと苦慮されておる。特にタイやビルマや台湾、こういうところからの外米輸入ということが、はたして日本の全体の貿易
政策、ことに外貨の節約という点で、どれだけの役に立つかという点からも、もう一回これは
検討すべき
段階に入
つていると私は思う。特にもう
一つ申し上げておきたいのは、タイなりビルマが今のような米の
集荷方針をと
つておる限り、単なる技術をも
つて黄変米の問題は解決しないと思う。御承知の
通りタイにしてもビルマにしても、あそこの百姓から買い上げる場合は、もみつきではありますけれども、一トン当り一万四千四百円ぐらいにな
つておるようです。それが日本の国内に入
つて来るときには六万五千円ないし七万円にな
つている。そしてその間において、少くともタイ国
政府は約六〇%の利潤をと
つておる。それがしかもアメリカからのいわゆるMSA関係と結びついて、タイ国なりビルマの再軍備
政策の財政的基礎にな
つておる。こういう機構の中で、日本の今の吉田内閣の性格からみて、黄変米の問題を技術的にだけ解決する道はないと思う。これはどういう外交交渉をされるかわかりませんが、その
方針がはつきりしてないとすれば、はつきりしたそういう
対策は今日立ち得ない実情にあると思う。特にタイ、ビルマから入れますいわゆる黄変米ないしはその危険のあるものは、準内地米でなくて、外米と称するもの約百万トンの計画の中の八十数万トンを占めておるという状況です。こういう状況を放置する限り、日本の国民の外米ないしは有毒米に対する不安はますます大きくなるだけ、国家が損になるだけであります。そこでタイなりあるいはビルマなり、そういうところについてもう少し根本的な施策を講じて、多少とも黄変米を少くする技術的な措置はもちろん今後やらなければならぬが、今日非常に大きく変換しつつあるアジア全体の観点からみて、もつと新しい外米の輸入の
基本方針を立てなければならぬ
段階に来ておると思う。これは国内のいろいろな事情からい
つても、海外の事情からい
つてもそうだと思う。そういう点について、同僚
足鹿委員からもいろいろ
お話がありましたが、やはり一番注目すべきものは中国だと思う。中国では、米の生産は七億五千万石もある。これが増産計画でどんどん行けば、日本の必要とする百万ないし百五十万トンは、数年ならずして出し得る
状態になることは明らかであります。しかも現に向うからすでに五万トンの申入れがある。そして向うはその見返りには硫安をくれとい
つておる。硫安は向うでは非常に少い。事実昨年私行
つてみて痛感したのですが、
食糧五箇年計画でも四十万トンくらいの増産計画しかない、ま
つたく足りないのであります。こういう状況からみても、国全体の経済からみても、どうしても中国からの米の輸入面については、もう少し本気に考えなければいかぬと思う。ところが今まで
事務当局、
食糧庁長官等から聞いたところでは、米の方もよいものがあ
つたら
方針としては入れるつもりだけれども、まだ
基本点はきま
つておらない、要するにでたとこ勝負で、買うものは買うというだけの話だ。また向うからの硫安の要求に対しましても、日本の国内で余裕が出たならばや
つてもよいが、今のところどうなるかわからぬという御返答であります。こういう消極的な、少しも先の見えない
政策で行けば、日本全体の経済も外米輸入も必ず大きな困難にぶつかることは明らかであります。そこで中国のいろいろな事情を考えて、
政府みずからがこれをもつと積極的に打開する方策をやる考えがあるかないか。私はぜひ必要だと思う。でたとこ勝負で、今のところ来だけはもら
つて、こちらから出せるものだけは出そうという
態度で、ああいう統制の強い国が、持
つて来るはずがありません。また向うでもそう言
つております。米の増産の余地はたくさんある。特に日本と同じような立場において、技術形態においてたくさん持
つておるのであります。それで向うも要求しておる。そういう事実から見て、
政府がもつと根本的な積極的な、ことしだけの
政策でなくして、長い目で見た
政策というものをこの際立てられる必要がぜひあるのです。それから、さらにソビエトについても同じことが言える。
大臣は御承知と思いますが、ソビエトの方でも、前年大体十五万トンの米を東独へ出しておる。その余りが五万トンで、これは東邦物産を通じて農林省と交渉があ
つて、向うは入れると言
つて米た。私は東邦物産から頼まれて、向うへ行
つたときに一応物動計画に入れたけれども、日本がほんとうに米が足りないというならばやろう。同時に農林省がこれに対してはつきりした
意思表示をしてくれれば、われわれの方はやろうということを向うは言
つて来ております。そうして、こちらに帰
つて来て東邦物産を通じて農林省の意向を聞くと、もうすでにほかから買
つてしま
つたから、ことしはいらないと言う。少くとも、十五万トンないし二十万トンの輸出余力は、ソビエトにあるのです。これは黄変米じやない。これは準内地米として食える米であります。そういう点も考えて、私はもう少し中国やソビエト、そういうところに対して——国民
食糧の需給という観点からも、大きな貿易
政策の点からも、あるいはさらに外貨のいろいろな関係から言
つても、今のように出たとこ勝負で、
政府は知らない、民間でや
つてうまく行
つたら、当
つたところで勝負をつけようというような
態度では、絶対にだめた。こういう点についての、
政府の、あるいは特に
食糧関係の担当者としての
大臣の
基本的な
政策なり
考え方、ことしだけのごまかしで行こうというのではなくて、
基本的な
政策なり、
態度なり、こういうものが——ほかの大蔵当局なりあるいは通産当局と打合せた上での全体の貿易
政策、あるいは外貨
政策、並びにアジア全体の
食糧政策という点から見ての
基本的な
検討なり
政策をやるお考えがあるのか。また現にや
つておられるのか、この点を明確に
大臣のお考えをお聞きしたいと思うのであります。