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1954-08-31 第19回国会 衆議院 農林委員会 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月三十一日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    田子 一民君       松岡 俊三君    松野 頼三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       並木 芳雄君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       稲富 稜人君    中澤 茂一君       久保田 豊君    安藤  覺君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (農業改良局総         務課長)    庄野五一郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    原  政司君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      櫻井 志郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  米価に関する件  食糧需給及び輸入に関する件  食糧管理制度に関する件  八月十五日現在の本年産稲作況及び病虫害等  による被害状況に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  本日は稲の作況及び病虫害対策を午後にまわすことにいたしまして、午前中は本年産米価及び昨年度産米に対する追加払いの問題ないしは食糧需給計画及び輸入の問題、食糧管理制度改正問題等を中心に調査を進めることにいたします。  去る八月十一日、本委員会におきまして、食糧管理制度改正に関する件、これを結論的にとりまとめまして決議をいたしましたことは、御承知通りであります。農林大臣におかれましても、本委員会考え方を十分に尊重される、こういう言明もございましたので、その後政府側において十分な御検討も遂げられたことと思いますので、この際食糧庁長官出席を願つておりますので、本委員会決議に対する政府側見解を承りたいと思います。
  3. 前谷重夫

    前谷説明員 今月の十二日に黄変米関係食糧対策に関する件ということで本委員会の御決議があつたのであります。その第一項といたしましては、一定基準以上の黄変菌の付着いたしております外米は一切配給しないように、この一定基準につきましてはあらためてこれを決定するということが第一の項目として掲げられておるわけでございまして、この病変菌の付着しておりまする外米配給につきましては、従来から厚生省といろいろ検討いたしまして基準決定いたしたわけでございます。消費者におきましては非常な不安感が生ずるという事情がございますし、また議会の御審議を通じてのいろいろの御意見もございましたが、現在われわれが考えておることを申し上げたいと思います。  まず第一の項目についてでございますが、第一の項目につきましては、この基準についてあらためて学者協力を得てすみやかに行うということ、こういう御趣旨でございます。従来も学者研究実験いたしておりますその素材は、無菌の米に病菌を培養いたしまして、その培養によりましたものを試験材にいたしておつたわけでございます。これは先般の東大の小林教授証言にもございましたように、培養したものとすでにあるものとの間には相当有毒量の違いがあるだろうということは想像できる、またどの程度にそれがあるかということについては、現実に実験いたしておらない関係上明確でない。こういう趣旨の御証言があつたわけでございます。これにつきまして当委員会の御決議もございましたので、われわれといたしましては、さつそく現在ある、現実にストツクいたしております米につきまして、そのパーセンテージに応じまして、低い段階から徐々にきざみまして、現実の米でもつて試験をしていただく、こういうことを厚生省に申入れまして、厚生省におきましても、消費者に納得していただく、こういう意味においてもそういう研究をしよう、こういうことになりまして、現在五つの大学に委嘱することにいたしまして、予算等関係も目下大蔵省に折衝中でございます。ただ予算決定を待つてということも、時間的関係もございますので、予算決定決定されるものとして、五大学に対してわれわれの方から素材を提供するということにいたしまして、実際にある米について同一実験を実施していただく、その結果につきまして、これを学者間の討議に付しまして、それによつて学者間の協力を得て、その点を明確にする、こういう方向で進んでおるわけでございます。従いましてわれわれといたしましては、できるだけすみやかにこれが中間報告でも出て参るということを期待いたしまして、現在におきましては問題のない米から配給いたしておる、こういうふうな処置をとつておるわけでございます。従いまして現在滞貨いたしておるものにつきましては、再搗精をすると同時に、そのものについてさらに細分の仕訳を実施し、そうして再煙蒸もする、こういう計画を立てまして、決定いたしますれば、ただちにでき得るようにいろいろ諸準備を整えておる、こういうような現在の状態であります。  明年度の問題につきましては、これはわれわれといたしましても、いかなる方法でもつて病変菌を発見するか、あるいはまたその方法につきましての研究を委嘱いたしておりますが、これは実際問題として非常に困難でございますので、それにかわる方法として適当な措置がないかということで、現在関係省と協議いたしておる、こういう現状でございます。黄変米につきましての現在までの経過は以上申し上げた通りでございます。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま長官から黄変米についての見解が表明されましたが、先ほど委員長が申し上げましたのは、黄変米は第二段でありまして、第一段としては、十一日の食糧管理制度改正に関する件、これについての見解を求めたのでございます。その分の考え方をもあわせ伺つて審議に入りたい、かように考えます。
  5. 前谷重夫

    前谷説明員 食糧管理制度改正に関します当委員会決定でございますが、現在におきましては、まず集荷の問題といたしまして先般の食糧対策協議会の答申もございますし、また当委員会の御決議もあるわけでございますが、現在われわれの考えておることについて申し上げたいと思います。  まず供出でございますが、供出につきましては、本年度作柄相当変動するという状態でございますので、当初八月十五日現在の作況によつて供出決定いたしたいと考えたわけでございますが、その後の変動が予想される場合におきまして、ある程度作況の明らかになつた状態において割当決定することが妥当ではないか、かように考えまして、大体現在におきましては、九月十五日現在の作況によつて、九月末から十月上旬において割当決定いたしたい、かように考えておるわけでございます。  集荷制度につきましては、義務供出割当予約制度を併行する、こういう趣旨食糧対策協議会でも御決議されたわけでございます。ただこの点につきましてはいろいろな問題がございますので、これを慎重に決定するようにという当委員会の御意思の表明があつたわけでございます。実はわれわれといたしましては、この集荷方式の問題も、これは要するに本年度作柄によりまするどれだけの数量を集め得るかというふうな集荷数量の問題、及びこれに対しまする価格決定、こういうことがその基本になるわけでございますので、その点を検討いたしておりまするので、最終的な結論はまだ決定いたしておりませんが、この予約制度供出制度との併用ということにはいろいろ検討しなければならない点がございますので、集荷数量価格の問題と見合せまして検討いたしておる次第でございます。  それから配給の点でございまするが、配給の点につきましては、もちろんこれは集荷数量との関係でございまするが、現在外米黄変米等事情もございまするし、また国際収支等の問題もございますし、また当委員会決議もございまするので、外米配給数量については徐々に引下げて行く、こういうふうな御意見もあつたわけでございまして、実はわれわれも、現状といたしましては外米配給については再検討をいたさなければならないのじやなかろうか、かような考え方でもつて現在検討いたしておる次第でございます。
  6. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。並木芳雄君。
  7. 並木芳雄

    並木委員 病変米のことでお尋ねしたいのですが、それはきのうの報道によりますと、タイから日本政府抗議が申し込まれたとのことであります。前谷食糧庁長官御存じだと思いますが、その抗議内容は、大体黄変菌などというものが日本で騒がれているけれども、そういうものではない、もしそういうものがあるならば持つて来て見せてくれ、また担当官を派遣してくれ、技師を派遣してくれ、よくその点を研究するというふうに聞いております。この点に対する情報と、食糧庁長官として対処する今後の方法とについて承りたい。
  8. 前谷重夫

    前谷説明員 タイ国より抗議ということではございませんが、われわれこの問題が起りましてから、在外公館に対しまして情報を送つておるわけでございます。それに対する先方側の反映の意向といたしまして、日本だけでそういうふうに問題になつておるが、ほかの国からは別にその問題がない、しかし日本がそれほど問題にいたしておるということになれば、自分たちとしても十分研究いたしたい、場合によりますると、両者で共同調査研究するということも考えていいのではないか、こういうふうな意向が第一点でございます。さらにタイ国としては、衛生方面と連絡をとつてタイ国自身としても検討を進めたいから、日本に現在あるというタイ国から輸入しました黄変米サンプルを送つてもらいたい、ただこの問題は、ほかの国では問題がない、日本だけの問題であるといたしまして、これについて契約協定等を結ぶというふうなことは、そういう意思がない、こういう意向のようでございます。これに対しましてわれわれといたしましては、実は共同調査ということは、現地事情を知り、また現地で買入れの場合におきまして、病変菌の付着をできるだけ除去するという意味から非常にけつこうなことであると考えておりまするし、またこちらからの情報におきましても、そういう方法をとる場合においては、いかなる具体的な措置が必要であるかというふうな点につきましても、示唆をいたしておつたわけでございます。従いまして、共同研究につきましては、今衛生方面専門家意見を聞き、やるとすればどういう方法でやればいいかというふうなことを検討中でございます。  なおこのサンプルにつきましては、われわれ現在厚生省と協議いたしまして、厚生省で選定をいたしましたものを先方へ輸送する、こういう手配をいたしております。
  9. 井出一太郎

  10. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、去る八月十一日本委員会において決議を見ました食糧管理制度改正に関する件について、食糧庁長官の御検討の結果、いかような御所見をお持ちになつておるか、これが全般的な考え方についての御意見を承りたいと思います。と申しますのは、先般本委員会においてこれが決議された際に、食糧対策協議会結論も出たし、また衆参両院委員会からも意見が出ている。大体各方面意見が出そろつたので、今後十分検討したいという御趣旨の御答弁がありました。今本年産米もすでに早期供出も茨城県等においては始まつているように聞くのでありますが、本委員会決議に対して、当局としてはいかようにこれをお考えになるか。まずこれを一般的に御所見を承つてあと二、三具体的な問題について承りたいと思います。
  11. 前谷重夫

    前谷説明員 この管理制度の第一点といたしまして集荷制度の問題がございます。御決議の点は、現行の供出割当制度予約制度の併行につきましては、価格決定数量等の問題、さらに予約売渡し制度が、農業協同組合等の本来の性質上の関係からして非常に種々問題を含んでいるから、慎重に検討をいたすように、こういうふうな御趣旨のように拝見いたしております。この点につきましては、われわれといたしましても現在の供出制度の改善、こういう点からいたしまして、予約制度というものは一つ方向を示唆したものであるというふうに考えているわけでございます。ただ本年度におきましては、この予約制度を実施するにつきましては、相当の時間的な準備も必要といたすわけでございます。本来でございますると、これはある程度事前割当事前の申告的な供出、こういう趣旨を含んでいるというふうに考えているわけでございまして、本年度においてそういう時間的な余裕が困難であるというふうに考えますので、全面的な採用ということは困難であろうというふうに考えたわけでございます。この併用につきましては、予約制度自身の持つ性質からいたしまして、併用という問題は予約制度自身相当ゆがめなければならないという点もあるわけでございます。そういう点からいろいろ現在検討をいたしているわけでございます。最終的な結論は出て参りませんが、非常に問題があるというふうに考えているわけでございます。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 予約制度については御意見を承つたわけでありますが、大体の本委員会決議構想等について大きく七項目にわかれておりますが、その中で一番重要な点は二、三、四が特に重要だと思うのです。先般自由党政務調査会は、米の自由販売を来年度から行うということを一齊に発表し、これについて農林省は時期尚早意見を持つておられるかのごとく伝えられておりました。その後また与党政務調査会考え直されたか、自由販売ということについて、統制撤廃は困難であると断念をされたように報道されているようです。こういうふうに食糧管理制度自体を、きわめて簡単にあるときには撤廃を主張し、あるときにはまたこれを思いとどまる。その都度非常に生産者並び消費者に及ぼす影響というものは甚大である。ある一つのまとまつたものがあつて、それに従つて行うということではなしに、ただそういう声明がなされて、政府としても半ば肯定し、半ば否認しているような態度をいつもとられている。そういうことが非常に食糧集荷あるいは配給の上に悪い影響を与えていることは、もういなめないと思うのです。本委員会の総意は、与党考え方とは別として、たとえば四の「消費者価格決定に当つては、金利、倉敷料、運賃、事務費等政府経費の一部を一般会計負担として極力その上昇を抑えるものとすること。」という重要な決議を行つている。これらの点について食糧管理当局としては、一体どのような御検討をなすつておられるのであるか。要するに時期尚早だという考え方は、食糧庁自体としては、自由販売に賛成をしているが今はその時期でない、こういうことでありますか。新聞紙を通じてのあれでありますから、的確なことは申しませんが、与党においても、少し私は無責任のそしりを免れないのではないか。朝令暮改と申しますか、二、三日前には撤廃決議してこれを公表する、また一週間後にはこれを思いとどまる。その間に食糧庁も何らまとまつた意見がない。時期尚早だ。半ば肯定し、半ば否定する。こういうようなことを、しかも集荷を目前に控えて、一体農民なり消費者なりが納得をするとお考えになるのでありますか。農林委員会意思は四項目によつて大体はつきりしている。統制継続意思をこの項は相当明らかにしていると私は思うのでありますが、食糧管理当局としては、一体どういう考え方基本に持つておいでになるのであるか。いわゆる時期尚早論を正式にこの委員会で御発表になる御意思があるのでありますか。事態は非常に差迫つて来ている。あとでお尋ねをいたしますが、本年の集荷目標、これに関連するいろいろ重要な問題が山積していると思うのです。その点について、これは大臣に聞くべきことでございましようが、管理当局としては、基本的にどのようにお考えになつているか。
  13. 前谷重夫

    前谷説明員 自由党におかれましていろいろな御論議があつたというお話でございますが、その内容につきましては、われわれ全然関知いたしておりません。新聞紙上で拝見するだけでございまして、どういうことがあつたのかという点についてもわれわれは承知いたしておらないのであります。従来の食糧管理考え方といたしましては、これは全体の経済が、米のみが統制の形態をとつておりまして、他のものが全部自由になつているという場合におきましては、米の管理自体が非常に困難でありまたゆがめられる。また経済全体としても、そのゆがみが反映するということは否定し得ないと考えております。従いまして、でき得るならば、そういう方向が招来されるということは望ましいと考えておりますが、われわれといたしましては、現在の米の需給状態、置かれている地位、その物価に対する影響というような点からいたしまして、これの統制撤廃には相当条件が必要であるというふうに考えております。従いまして、われわれもまだいろいろ検討はいたしておりますが、その条件として、第一におきまして価格の安定が必要である。この安定をはかる場合におきまして、それに対する相当政府の余剰の操作力ということがなければ、価格の安定をはかることが困難ではなかろうか。そういうことの準備がなしに、これの統制撤廃するということは、価格に対する変動配給の不円滑ということを招来するおそれがあるから、慎重に考えなければならないという考え方を持つております。  第二におきましては、従来の統制撤廃いたしました場合におきましても、大体におきまして統制価格といわゆる自由価格やみ価格というものとが断層がない、連続性を持つということが統制撤廃いたしました順序でございます。麦の場合におきましても、大体において麦の統制価格自由価格とが一致する、大きな乖離がない、断層がないという場合におきまして、需給関係が安定したものとしてこれを撤廃いたしたわけでございますが、米にはまだその条件がないわけでございます。この価格断層が漸次縮まつて行くということが必要であろうと考えております。  さらに第三点といたしましては、長い間におきます統制継続によりまして、集荷なり配給なりの組織というものが統制下組織ということになつておるわけでございます。これが自由経済に移る場合におきますその組織準備と、それに伴います金融その他の準備というものが必要であろう。その他いろいろ条件はございますが、大きな点としてそういう点が必要であろうというふうにわれわれは条件として考えております。
  14. 綱島正興

    綱島委員 関連して……。ただいまあたかも自由党政調会がとつた態度に対する御批判のような御発言がございましたので本委員会重要性にかんがみまして一応の声明をいたしておきたいと思います。なるほど自由党は、統制をできるだけ早く撤廃したいという希望を持つておることには間違いございません。それは一面食糧増産をいたさなければならぬということと、現在における配給量というものが食生活の全部にわたつていないし、ときにはその大部分があるいは背中でかつがれて——今の輸送というものが機械化されることが当然であるのに、電車の上や汽車の上を逃げまわつて後家婆さんなどが背中にかついで来て、八百万以上の人口のある都会の非常な部分食糧を運び込んでおるというような状態が好ましくないということは、おそらくは分明を否定する者以外には一人も異論はなかろうと思う。さような点からかんがみまして、私どもはできる限り食糧増産をすることと、それに伴つてできるだけ早く撤廃をいたさなければならぬという方針には変更はございません。ただ問題は、自由党が御承知通り政調会相談役会というものをつくりまして、この相談役会決定によつてでき得る限り経済政策を転換して行かなければならぬという立場に立つておりますことは、大体新聞御存じ通りでございましようが、その相談役会の席上において統制撤廃議論が出ましたことも間違いございません。しかしながら結論は当時得ておりません。ただ賢明にして努力多き新聞記者諸君が、あらゆるところからつなぎ合せて結局そこにある空気を結論づけて統制撤廃だという結論を出されたことも事実でございます。しかしながらその議論とほとんど前後して、前から多少ありましたが、非常に強力に黄変米問題が出て参りました。この黄変米配給というものがもし不可能になつて参りますれば、六万トン以上の配給不可能米を生じて来るということは、食糧需給政策の上に、ことに端境期を控えて非常に重大な点にぶつかるということが予想されておる。それからその次に調べましたところによりますと、岩手県以北の低温というものが、考えておつたよりも相当長期間にわたつており、これが米作に相当影響力ありと予想されておる。それらの点から今年強力にこの話をまとめ上げて行くことはどうかと思われる点もございましたので、一応この話は打切りとする。まだ結論は得ていなかつたのでありますが、結論を得ないままに一応の打切りとする、こういうことに結論いたしましたので、これに対しては朝令暮改でもなく、何ら私どもは御非難を受けるような筋合いになつておらぬことを御了承を得たいと存ずるわけであります。一応わが党の態度を釈明しておきます。
  15. 井手以誠

    井手委員 関連して……。ただいま綱島委員から自由党の新政策について声明がございました。綱島委員はかねて農村問題については深い見識のもとに努力されておる方であり、敬意を表しておりますが、しかしただいまの釈明と、自由党がかねて声明し、今度また新政策として銘打つて出した米の自由販売とは、私は若干違うのじやないかと考えております。ただいま食糧増産を大いにやつておるとか、やみ米が流れておるとかいうことについては、私は綱島さん自身衷心忸怩たるものがありはせぬかと考えておる。やみ米はだれがどんどん流しておるのか、もしそれがいけないならば、なぜそれをやめさせないのか。食糧増産とおつしやいましたが、食糧増産については、病虫害補助金も非常に減つておる。それがはたして食糧増産のために大いにやつておるとは、私どもはどうしても考え得ないのであります。政策というものは十年先、二十年先の夢物語ではなく、眼前の事実に対してこれをどうするかということが政策であると考えておる。だれでもやはり統制は好ましくない。自由であることはいいけれども、しかしそれが許されない今日の事態においては、やむを得ないと私ども考えております。今綱島委員から、自由党政調会長と申しますか、そういつた意味の御声明がありましたので、かねて綱島さんがおつしやつてつた考えとはいささか違うように思いましたので、私は一応お話を申し上げて、ただいま黄変米が出たついででございますから、私も簡単に関連質問をいたしておきたいと思います。  黄変米のことにつきましては、すでに各委員会において検討論議されておりますから、多くは申し上げませんが、少くとも有毒米を国民に黙つて配給した。この非人道的事実に対して、食糧庁はどういう責任をとられつつあるのか、その点をお尋ねいたします。食糧は生命のかてでございます。それを毒が入つた——致命的ではないにいたしましても、有毒米をこつそり配給した、この態度に対してどういう責任を感じておられるか、その点をお尋ねいたします。
  16. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまのお言葉でございますが、この黄変米の問題につきましては、従来は御承知のように、変色したものが一%以上のものは配給してはならない、こういう基準になつておりました。その基準に従いましてわれわれは食糧の操作をいたしておつたわけでございます。ただ昨年の暮から、外見的に変色していないものにも菌があるということでもつて、新しい基準考えなければならぬ。従来の基準を改訂する必要があるというふうな議論が起りまして、厚生省との間に協議しておつたわけでございます。これは御承知のように、従来の取扱いは、厚生省におかれまして配給する不適品が農林省に通知があるわけでございますが、いわゆる適品についての通知はないわけでございます。従いまして細菌培養等の手続をとつておりますので、時間的に数箇月を要するわけでございます。われわれといたしましては、この基準決定いたすまでは、従来の基準でもつて配給操作面の実施をいたしておつたわけでございまして、その場合時間的な関係相当長期にわたりました場合におきましては、大体通知のないものは適品として取扱うという形をとつてつたりでございます。この点につきましては、われわれも注意が足らなかつた点について非常に遺憾に考えておるわけでございますが、御指摘のように、たとえば一月に入つたものが六月に通知が来るというような状態でございますし、また従来の取扱いといたしましては、その通知が不適品の通知という形になつておりますので、従来の基準に従つて配給操作をしていたわけでございます。ただわれわれといたしましては、現在毒というものとそれが人体に有害であるということとは、許容限度の問題として考えておるわけでございまして、許容限度の範囲内におきましては人体に影響がないと考えておるわけでございます。単にそれが毒素であるということと人体に有害であるということとは、すべての食品の場合におきましても同様のことがございますので、食品衛生の立場からそれぞれについてその限度がきめられるわけでございます。その限度に従つてこれを実施して参りたいと考えておるわけでございまして、取扱い上時間的な関係がございまして、注意が足らなかつた点は遺憾に考えます。
  17. 井手以誠

    井手委員 従来黄変米に対する農林省の態度は、どうも厚生省基準についての責任を転嫁するような印象を受けるのでありますが、私はあくまでも配給をする農林省が責任者でなくてはならぬと考えております。ただいま基準とおつしやいましたが、何パーセント以上が薬になり、生命のかてになり、片一方が毒になるというものではなく、いくら小量であつてもいいものでない、毒であると私は考えております。それを配給した責任、これほど世間でごうごうたる非難を浴びておる、その事実に対して配給した食糧庁責任を感じないということはあり得ないと私は考えておる。その事実からいえば何パーセント以上が有毒であるというよりも、私は〇五%でも毒があるといわねばならぬと考えております。その点について、農林省は何ともお考えになつていないのか。たとい千分の一であろうと毒であるものならば断じて混入してはならない、配給してはならぬと考えております。その点についての見解を承りたい。続いて伺いますが、生命のかてになつておるものに、たとい万分の一でも千分の一でも毒のあるものは絶対にいかぬのではないですか。水のようにへびが飲めば毒になつたり牛が飲めば薬になるというようなものではないと私は考えております。その点の御所見が伺いたい。
  18. 前谷重夫

    前谷説明員 食糧配給の問題につきましては、食糧庁が当然の責任者でございます。ただ人体に影響があるかどうかという問題は、また食糧衛生、公衆衛生の問題でございます。従いましてわれわれはその責任厚生省に転嫁するというふうな考え方ではないのでございますが、ただ行政分野といたしましてはそれぞれの分野がございますし、われわれがどの程度が毒であり、どの程度が毒ではないというふうな専門的な意味での経験なり知識も持ちませんし、また役目柄でもないわけでございます。その点は専門当局見解に従う、こういう考え方をいたしておるわけでございます。ただお言葉を返すようでございますが、食品衛生の立場からいたしまして、毒素があるということと、それが一定の範囲内ならば有害ではないし、全然影響がない、こういう限度は、すべての食品の取扱いにおいてもあるわけでございまして、毒があるということと、毒になるということとは、これは限度の問題として明確に区分して考えるべきではないかというふうに考えております。
  19. 井手以誠

    井手委員 その毒になるかならないかの基準、限度ということについては、食糧庁なりあるいは食品衛生の立場なりのいろいろの言い訳はあるでしよう。しかしこれは常識あるいは人道上の問題から私は判断しなければならぬと考えております。国民を不安に陥れるようなことをしてはならぬと考えておりますが、これについてはさらに後刻大臣にその所見を承りたいと考えます。そこで長官に続いて伺いたいことは、二十八年度産米の供出を督励するにあたつて、超過供出をやつていただけば外米配給しないということをはつきりと生産地に約束されておるのであります。その公約をほごにして、どんどんと生産地に対しても外米配給されておる。その点について公約違反に対する態度、またこれをただちに公約通り元にもどすというお考えがあるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  20. 前谷重夫

    前谷説明員 昨年度につきましては、従来生産地に対します配給量は、県によりますと二十日ないし十八日でございます。消費地は十五日でございまして、生産地の場合におきましては、それが全部内地米でございますし、消費地の場合におきましては、外米が五日程度で、九日ないし十日というものが内地米であつたわけでございますが、昨年度は凶作でございまして、その凶作による供出の減少ということが、実際問題として全部消費地の方の負担になつたことは御承知通りでございます。つまり現在においても、消費地におきましては十五日のうち内地米が七日ということが配給現状でございますので、これにつきましては、消費地と生産地とは同じ消費者でありながら内地米についての配給の間隔が相当ある、こういう議論が従来からあつたわけでございまして、これに対しましてできるだけこれを均衡化しよう、これは一般的な一つ意見として現われておるわけでございます。ただわれわれといたしましては、集荷の面から考えまして、これを急激に均一化するというふうなことはただちに行うべきではない、かように考えておるわけでございます。ただ昨年度供出影響を消費地の消費者のみに負担していただくということも、あまりにその間の間隔がはげしいというふうに考えたわけでございまして、これをある程度生産地の消費者にも負担していただく、こういう意味におきまして、生産地の十五日以上の部分に対しまして外米をもつて代替する、こういう措置をとつたわけでございます。供出相当の支障があり、また県当局の御不満の点はわれわれも了承するわけでございますが、全体的な立場からいたしますと、二十日あるいは十八日と七日、こういう割合ではあまりにもその間隔がはげしいではないか、かように考えまして、そういう措置をとつたわけでございます。従いまして、現在におきましてはこれを変更するという考え方は持つておりません。
  21. 井手以誠

    井手委員 結果において消費地あるいは生産地の均衡をはかるためにやむを得なかつたというような御答弁でございますが、集荷が少いということは、供出を督励する当時においてすでにわかつてつたはずであります。不作であることはわかつてつたはずであります。それにもかかわらず、超過供出をしてくれれば外米は持つて来ない、こういううそを言つて督励しておる。今日になつてから、こういう事態だから外米配給する、こういうことでは私は了承できないと考えております。そのときにそういううそを言わないで、こういう事情であるからひとつ出してくれというならばいいのですけれども事情がわかつておりながらそういううそを言つて督励する、それが今後の供出に非常に悪い影響を与えると私は考えております。供出数量が少かつた、その辺の操作がまずかつたことは、天候の関係にもよろうけれども、うそを言うことは当局責任であろうと私は考える。やはり公約は公約、その点ははつきりと誠実に履行してもらいたい。それでもなお、食糧庁当局は、うそを言つてでも外米配給されるお考えであるのか、重ねてお尋ねいたします。
  22. 前谷重夫

    前谷説明員 生産地に対しまする外米配給は、六月から実施いたしておるわけであります。食糧事情というものは、やはり全国的なある程度の均衡を保たなければならない、配給面におきましては、ぜひそういうことが理想であり、また徐々にこれに近づけて行くベきであるという考え方を従来から持つてつたわけでございまして、内地米の集荷も二千五十万石程度に達しておりますから、その総集荷量と、それから消費地と生産地における乖離という両面を考えて、そういう措置をとつたわけでございます。
  23. 井手以誠

    井手委員 いくら申しても食糧事情ばかりおつしやいますが、どうも今の吉田内閣と同じように信用が置けませんな。あまり農林省の言葉を信ずると、とんでもないことになります。六月から黄変米を加えて秘密裡に毒米を配給する、けしからぬ話である。これはあらためて農林大臣にお尋ねいたします。  続いて先般の十一日の農林委員会における決議にありまする追加払いの問題でありますが……。
  24. 井出一太郎

    井出委員長 井手君に申し上げますが、関連質問の範囲を出ないで……。あと順序を初めの方にまわしまして、足鹿君にもどしたいと思います。
  25. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつとその前に……。今綱島君の釈明及び声明があつたようでありますが、これは当委員会意思決定の上に混乱を来させるおそれがありますので、私の持ち時間のときにお尋ねしてもよろしいし、またそうすべきだと思いますが、綱島さんがそのときまでおいでになればそのときにお尋ねいたしたい。席をはずされるならば、この時期に質問をお許し願いたいと思います。いずれかをおとりはからい願いたいと思います。
  26. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  27. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。川俣君。
  28. 川俣清音

    ○川俣委員 農林委員会決議をいたしております構想と、綱島委員のただいまの御意見とは非常に食い違いが出ております。特に農業政策の上に大きな混乱を来すおそれがありますので、一、二点お尋ねいたしておきます。綱島委員の言葉じりをとらえるわけではございませんが、自由販売については一応打切りとなつておるという点です。また近い将来になるべく統制撤廃いたしたい、この二点なんです。本農林委員会の今までの表現といたしましては、米は商品生産ではなく、従いましてこれらの統制撤廃については非常に慎重な態度を要するということが大体の意思決定であつたように私どもは理解いたしております。綱島氏は一応打切りとなつておる、近い将来になるべく統制撤廃いたしたいというのですが、近い将来という年限は別にいたしまして、どのくらい国内に米が生産される場合には統制撤廃する、こういうふうに私は理解して聞くのでありますが、時期をさしたものであるか、あるいは国内の食糧がどの程度増産された場合に撤廃をする、こういう意味でありますか。日本の主として米の生産事情から申しまして、近き将来というのには、よほどの土地改良事業に集中した投資が行われなければならないはずであります。その見通しも持たないで、近い将来ということは非常な誤解を起さしめるゆえんではないかと思いますので、一体どちらをとるか。土地改良を行つて、どの程度増産をするという見通しがあつての近い将来でありますか。ただ宣伝の意味の近い将来でありますか、この点をあらためてお尋ねいたしておきます。
  29. 綱島正興

    綱島委員 委員会でこういうことを発言することが妥当かどうかという考え方もありますが、実は食糧確保、食糧増産という線を、今まで私どもは米麦を主にしておりましたやつを、畜産、水産等をあわせてカロリーを確保するという考え方に本年からかえて行こうという考え方になつております。それから五箇年計画を御承知通り立てておりましたが、あれが予算の面ではなはだしきは三分の一、いいときでも半分くらいしかもらえない。これに対する予算措置を十分にいたしたいということもあわせて研究題目にいたしております。これを要するに、近い将来というものは、時間の近い将来よりは、食糧自給の線を、まつたく自給だけで行けるという線まで行かずとも、国民食糧確保という点で、他の国民総生産と対比してみて、国際貿易それから食糧自給度というようなものから考えてみて、バランスがとれ得ると思う時期に……。
  30. 川俣清音

    ○川俣委員 そのバランスの内容を聞いておる。
  31. 綱島正興

    綱島委員 バランスの内容は、自給食糧とそれから万一足らぬときも輸入をし得る成算というものが、今のようなまつたくの輸入超過ばかりにならぬような線を打立てて行こう、こういう点にあるのであります。それははつきりしている。あまり時間がかかるから、別なことだから簡単に申し上げようと思つているのですが、それじや一応基本線を申し上げます。
  32. 川俣清音

    ○川俣委員 基本線じやなくて数量を聞いておる。数量がどの程度になつたとき需給調整ができて統制撤廃ができるかということを聞いておる。
  33. 綱島正興

    綱島委員 それは米麦についてですか。
  34. 川俣清音

    ○川俣委員 米麦であろうと、あなたの言うところの主食全体を考えても、どちらでもいい。
  35. 綱島正興

    綱島委員 主食全体については、それはいろいろなことを考えておるが、第一番に農地がついえて行くやつをなるべくついえぬように、大体今まで二万町歩くらいやみでついえておるようですから、これを一万町歩くらいしか既墾耕地がつぶれないようにまず法制的処置を講じて……。
  36. 川俣清音

    ○川俣委員 米がどれくらい、麦がどれくらい、蛋白質をどれくらいに考えておるのですか。
  37. 綱島正興

    綱島委員 大体麦は今年は少くとも三千万石は確保する。御承知通り麦は豊凶の差が非常にひどいのでありますから、大体最低三千万石に近い数字を確保して行けるまで食糧増産をやつて行く。米は大体七千万石近くまで持つて行きたいと思つております。それで大体一億万石を米麦で確保できた上で、それから畜産と水産とそれからかんしよ等をあわせ行うて、大体その線まで来れば統制解除はできる、こういう見込みをぼくは持つております。大体それを具体化そうということに今努力をしておる。それで問題は、それが予算化せねばならぬので、御承知通り今年は税収入その他の益金等を合せても一兆円を越えることは困難のようです。そこで切れるものは切る、そうしてできるだけ生産増強の方へまわして行く、こういう線を出そうという考え方です。大体これでおわかりになると思います。
  38. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま来の論争は追つて懇談会等に機会を求めることにいたしまして、質疑を継続いたします。足鹿覺君。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 たまたま私の質問から端を発しまして委員間の質疑になつたようでありますが、こういうこともけつこうでありましよう。しかし党を代表する立場から、こういう重要な問題について党議決定のない限り、綱島氏の個人的見解をただしましても、それ以上には進まないのでありますから、御意見は御意見として一応拝聴いたしたということで、この問題を打切つて本問題にもどしたいと存じます。  本年の集荷目標食糧庁はどこに置いておるか。簡潔に私も言いますから、ピントをはずさないように御答弁願いたい。
  40. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。端的に申し上げますれば、実は八月十五日現在の作況を私たちとしてはまだ話を聞いておりません。具体的に本年度集荷目標をどうきめるかということは、この八月十五日現在の作況、及び先ほど申し上げましたように、本年度におきます作況はまだ変更があろうということで、最終的には九月十五日現在の作況集荷目標決定いたしたい、かように考えております。ただ抽象的に言い得られますことは、昨年度作況よりは本年度は回復して参るというふうに期待いたしておりますので、集荷目標といたしましては、昨年度よりも相当上まわる目標をもつて集荷に努めたいと考えております。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 伝えられるところによりますと、超過供出、早場早期供出等を合せて二千七百万石説が伝えられておりますが、大体現在の作況がこのままに推移を続けて行きますならば、伝えられておるような二千七百万石目標として進めて行かれるのでありますか、ただいま井手君からも御質問がありましたから、私は省略いたしますけれども、生産地帯に対してまでも外米配給しておる。去年はそういう非常事態に近いような事態でありましたから、一面やむを得ない点もあつたかと思いますが、これは明らかに消費者なり農民に対して非常に不親切なやり方であつたと思います。  そこで、大体目標は二千七百万石を企図しておるのか、あるいは昨年程度を企図しておるのか、これはあとに関連するいろいろな諸施策が付随して出て来ます。これは非常に重要な問題でありますが、一体どこヘ目標を置いてやつておるか。作況がこのままの推移を続けた場合にどうされるか。九月十五日を待たずして、きようの午後あたりは八月十五日現在のものが判明すると思いますが、その点はいかがですか。
  42. 前谷重夫

    前谷説明員 これは作況いかんでございますが、実はかりに平年作の六千五百万石になりますと、供出可能量は約三千万石になろうと思います。ただ従来の状態からいたしますと、供出可能数量、つまり生産高から保有計算をいたしましたものと、現実集荷されておるものとの間には二、三百万石の相違がございます。たとえば二十七年度におきましては、六千六百万石でございまして、この場合の集荷可能量は三千五、六十万石になつたと思いますが、その現実集荷は二千八百万石ほどで、その間にやはり二、三百万石以上の差があつた。こういうのが過去の実例でございます。従いまして六千五百万石程度の平年作を期待いたしますと、大体三千万石近くの供出可能量がある。そうしますと、過去の供出可能量と供出数字との間には二、三百万石の差があるということを念頭に置いて、平年作なればこの程度のものを目標とする。実は予算におきましても、平年作を目標にいたしまして一応二千七百万石を目標として予算を組んだ次第でございまして、作柄との問題でございますが、そういう考え方を持つておりまして、昨年度の生産高五千四百万石の数字をそのまま維持するという考え方はございません。作況に応じて集荷数量は増すベきものだというふうに考えております。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 大体二千七百万石程度をお考えになつておるようにただいまの御答弁で拝承いたしました。問題が多いので端折つて次に進みますが、しからば平年作の際には二千七百万石を想定する場合において、これの達成のための方針いかんということでございますが、まずすでに早場米は供出を始めておる。伝えられるところによると、超早場米奨励金なるものが伝えられておりますが、昨年のようなやり方で非常に小刻みで一期、二期、三期、四期とわけて、さらにまた超早場米をその上にくつつけられるのでありますか。いわゆるもつと早場米の期間また金額について改善を加えて期限をずらす。そうして価格差をなるべく接近して行くということが、私は非常に困難になつておる現在の供出実情から見ては、農民の供出意欲にこたえて行く方法ではないかと思うし、また先般の全国の農民大会等においても、そういうことがみな希望されておるのでありますが、ことさらにまた超早場米方式をとられて行く。ますます複雑にして行くというのでありますか。その辺の超早場米は一体どういうものであつて、その時期、その奨励金額等について、御構想があればこの際承りたい。
  44. 前谷重夫

    前谷説明員 早場米の問題でございますが、早場米の問題については、足鹿さん御承知のようにいろいろ議論がございます。現在大蔵省ともいろいろ議論をいたしておりまするが、早場米の本来の性質からいえば、端境期における需給のために早場米というものを置いたのが本来の趣旨であることは御承知通りであります。従いましてこれは米穀年度として十月三十一日でもつて切るというのが当初の出発点であることは御了承の通りであります。それからいたしましてこの早場米の考え方につきましては、それを元にもどすべきじやないかという議論相当強いのでございますが、われわれといたしましては、やはり集荷の面からいたしまして、早場米というものは従来の端境期におきます需給の調整というもののほかに、集荷の対策としての早場米契励金というものが集荷上の要請からして出て参つておるということを考えておりますので、現在におきましては、大体期間的に見ますと昨年度と同じような——昨年度は四期にわけておりまするが、本年度におきましてもその四つにわけるという考え方をとつてみてはどうかというふうに考えております。ただ今年度は昨年度の凶作のあとを受けまして、端境期が非常に苦しいという意味におきまして、従来九月末でございましたものを九月二十日というふうな一つの期間を設けたい。いわゆるよく言われております超早場米というものをこの九月二十日の期間ということに考えておるわけであります。この早場米の単価につきましてはまだ決定いたしておりません。と申すのは、予算におきましては早場米の奨励金は八十一億となつております。昨年度の実績は百四十四億、約六十数億の違いがあるわけでございまして、財政上の問題とも関連いたしますので、その点がまだ決定いたしてない実情でございます。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、九月二十日までに出したものについて、本年の実情にかんがみて、早期供出奨励金については、特に考慮するという方針で進んでおる、こういうことで大体了承してよろしいですね。
  46. 前谷重夫

    前谷説明員 そういう考え方で今折衝いたしております。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 それから価格問題については、このあとで申しますが、検査についてひとつ伺いたい。先般来黄変米の問題が非常に問題になつておることは御存じ通りでありますが、さような危険なものを、しかも輸入補給金を付して輸入をしておる。そして輸入米については格付がまつたくない。しかも準内地米としからざるものとの二本建になつておるようでありまして、十ぱ一からげである。品質があまりよくないものについて補給金を付して、そして多額の血税をこれに注入し、しかも黄変米の危険を冒してまで配給をしなければならない実情にあつて、なぜこの国内の産米に対する検査の方式を、もつと慎重に根本的に御検討にならないのでありますか。各地においては米の自由販売の掛声か非常に強いので、産米改良協会等をつくつて自県産の銘柄を売るような——極言かもしれませんが、今のところ必要のない経費を使つて、各産地はやつきになつて運動をしておる。しかも輸入米については、国民の保健上ゆゆしき毒素を含んでおるものまでも配給しなければならない。こういう矛盾きわまる現実にわれわれは直面しておる。そこでやはり検査の方式については、輸入米等があのような形で行われると同時に、消費者に対しては一等米から五等米、あるいは格外というような配給基準一つもない。元来検査制度自体が農民の立場から、その生産に奨励を行つて行く施策として取上げられておるということは、私どもはその当初において知つておりますが、検査の実情を見ますると、昭和二十二、三年ごろに比べますと、ほとんど三等以下のものが圧倒的に増加しつつある。結局政府の低米価政策に拍車を加えるような検査が実情において行われておる。これはりくつをどこからつけてみましても、その現実には間違いはございません。輸入米との関係において考えてみましても、消費者の立場から考えてみましても、この検査の規格は思い切り緩和をいたしまして、少くとも現在の四等級を三等級に引上げて行く、そういうふうな規格緩和の方法をとつて、ただ米価のみに限らず、農民の供出意欲を高進せしめる、また集荷目標の達成に努力すべき補助手段として考える必要があるのではないか。どうも今の検査制度は、この管理法の示すがごとく、強制収用的な戦時立法の性格を持つて収用検査的な性格から脱却しておらない。だから昔の生産検査的な政策にこれを切りかえて行かなければならない。ただ、できたものに対して検査格付をするということではなしに、ほんとうにこの検査制度が現段階において意義を果すためには、やはり生産の指導から始まつて、最後に供出によつてその成果が上るような生産検査的な性格ならけつこうですが、今の場合ではそうではない。でき上つたものについてべたベたと格付をするにすぎない。しかもそれの民主的運営については、米価審議会なりにおきましてもしばしば農民代表を加えろということを言つている。ところが協同組合の経済連等を若干参加せしめてカムフラージユしておられるようでありますが、経済連の立場はどちらかといいますと集荷町体的な性格が強い、これは今の協同組合の性格上やむを得ない、従つてこれが真に農民代表であるかどうかということについては疑いなきを得ない。従つてこの標準米の決定等に当つて農民団体等の代表を入れて、農民も納得をし、また国の需給操作の上から、大体この程度であるならばさしつかえなかろうという運営にして、そうしてこの検査に対する非常な不満を解決して行くことが、供出促進の補助的手段のうちで一番重要な問題だと私は思う。私どもが地方をまわつて、一番不平を聞きますのはこの検査問題です。これについて、黄変米問題のみに気をとられて、国内産米に対しては厳重な格づけをする。一等米と三等米の格差はわずか百円余りにすぎない、ところが三等と格外では三百数十円も開く、こういうふうに事実上においては農民いじめのような——生産者擁護的な政策であるにかかわらず、生産者をむしろいためておるような検査の運用というものは間違つておると私は思う。黄変米のごとき重大問題が起きている際に、特にこの問題を食糧庁当局としては御留意になつて、検査制度の民主的運営、検査規格の緩和と申しますと語弊がありますが、四等以下の現在の標準を一階級ずつ上げて行く、そういう方法によつてまず質よりも量を確保して行く、こういう方向に検査の方針を切りかえて行かれないならば、本年のごとき、まだ想像はつきませんが、なかなかそう簡単にはできないと思う。私はあなたを攻撃しておるというよりも、むしろ実情に即してあなた方が眼を開かなければならない問題について、具体的に質問しておるのでありますから、この点については十分納得の行く御答弁をお願いしたい。
  48. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの足鹿さんの御質問でございますが、この点は二つの点があろうかと思います。一つは検査の格づけによつて農民の米価を不当に低くしておるのではないかという点が一点、もう一つは、この検査の方式によつて量的な確保をする、こういう点が一点と、この二点が主眼であろうと思います。  われわれの検査の考え方はこれは生産、消費の両面にわたりますものでございますので、その中間におきまして、公正妥当な一つの規格を設けまして、そうして検査を適正に実施して参るということを考えておりまして、これは生産者消費者両方に偏しない、中正な立場において検査することが、検査の本来の使命ではなかろうかと思います。ただお話のように、検査は農産物の場合におきましては、単に検査にとどまらず、それがさらに産米奨励に結びつくということは、これは方向として必要なことでございまして、ただそれを検査の面から進めて参るか、別の面から、米の生産面からこれを進めて行くかという方向があるわけでございまして、われわれといたしましては、この点については検査の立場からではなくして、生産奨励の立場から進めて行くべきじやなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ただ価格の面につきましては、御承知のように基準年次の三等を基準にいたしまして格差を開いておるわけでございますので、その格差は前年の実際実現いたしました数量、ウエートによつて格差をきめておるわけでございます。その点については不当に米価を低下せしめておるということにはならないじやないかと思います。ただ御指摘のように、格差の開き方の問題に問題があろうかと思います実はこの格差の開き方につきましては、それ自体の検査規格から申しますと、御指摘のように、上位等級はもう少し格差を開くべきであり、また下位等級の格差ももう少し開くべきであるというふうな形になつておるわけでございます。われわれといたしましては、下位等級をあまりに格差を開くということはいかがかと考えまして、下位等級の格差に応じた上位等級の格差というふうにならしておるわけでございます。純粋の規格とその格差との間には不十分な点があるということは率直に認めます。しかしそれは上位等級におきまする格差のみならず、下位等級における格差も同様でございます。そういう下位等級との格差を基準にして上位等級の格差を考えておるというのが実態でございます。それからもう一つの点は、この検査をかえることによつて数量の増加になるじやないか、こういうことでございますが、食糧が不足をいたしておりまする二十二、三年の状態におきましては、御指摘のように非常に検査制度自体が確立いたしておりませんし、また戦時中のブランクを通じまして、検査能力も検査技術も十分でない特殊な状態であつたわけでございます。平常に帰りました現在におきましては、ここ数年その規格はすえ置いておる次第でございます。そしてこの規格を規格といたしまして、現実には検査標準品によりましてそのときの作況を十分考慮いたしておるということが現実の姿でございます。昨年度におきましてもその規格標準品につきましては、その地方の実態に応ずるような標準基準を制定して参る、こういう考え方をとつてつたわけでございます。これにつきましては生産者関係意見も、あるいはまた立会いも認めておるわけでございまして、できる限り公正な標準品の査定をいたしておるつもりでございます。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも今の御答弁では私の見解とは相当開いておりますが、意見の相違でありますからあえてこれ以上は申し上げませんが、あなた方が黄変米であのような苦労をされ、また国民も迷惑をする、また私どもも猛暑のころ数回にわたつてこの問題を検討した、この努力は並々ならぬものです。それが思い切つて安いものであるならばこれは別ですが、国内産米価格を上まわつておる輸入米においてすらこうなんです。ですから当然そういう点から検査問題についてその方針を切りかえられて行くならば、——農民というものは検査規格が楽になつたから何でも出してやれ、そういうものではありません。御存じのように普通の商売人根性は持つておりません。やはり農民としての魂を持つておる。自分のつくつたものを人様に食つていただくという立場からは、農民的な良心といいますか、黄変米があつても、あるかないかわからぬというようなそういう態度は農民はとりません。ですからそういう点は農民を信用して、思い切つてその信頼と期待にこたえられて行く措置を、この際こそ講ぜられるべきものである。それによつて数量には変化ないと言われますが、そのこと自体は非常に小さいことのようでありますが、農民の供出意欲については非常に大きく作用する、大きな影響力を持つておるということを断言してはばかりません。その理由をくどく申しあげる必要はないと思いますが、そういう点についてはもつと十分御検討になつて、農民の期待にこたえられるよう強くその善処方を要望してこの検査問題は一応打切つておきます。そこで昨日いただきました資料によりますと、これは先般私が要求した資料でありますが、二十八年の十一月から二十九年の七月までの外米輸入計画輸入の実績を見ますと、買付価格においてFOBとCIFとの点が若干こんがらがつておりますが、一番目立つて安いのは、中国米が非常に安いようにこの表では見受けられます。たとえば一万二千トンの買付数量のあるものに対して五千四百トン入つておるものが、トン当り百六十二ドルで入つておる。ところが台湾米は二百十二ドル、アメリカの加州米は百八十八ドルから二百ドルというふうに、少々の開きではありません。ものすごく開いておる。しかも中国米に対しては黄変米混入の話も聞いておりませんし、先般の委員会においても述べましたが、これをもつと大量に確保して行く——たとえば向うの希望する品物を十分に輸出いたしまして、その見返りとしてこのように安く良質の中国米を入れて行くということは現在国交調整がうまく行つておらなくとも、向うが希望しておることでありますから、これは食糧庁当局としての考え方のみならず、通産その他の関係方面と十分連絡をとられまして、この問題については、早急に大量輸入の方式を打出さるべきではないか、私どもこの資料をいただいて、かように痛感をいたしておるのでありますが、食糧庁当局は、中国米確保について、関係省と現在どういうふうに協議を進められ、また中国政府、あるいはその関係機関等とどのような方針で折衝をいたしておられますか。また来米穀年度等において、この中国米を多量に確保するように需給計画の中に織り込んで、それに見合うところの輸出物資等の確保についても、当然考えられるべき筋ではないかと私は考えます。その点について、特にこの資料に基く中国米に対する当局の方針、御所見がありましたら、この一点だけ明らかにしていただきたい。
  50. 前谷重夫

    前谷説明員 お手元に差上げました資料についてでございますが、これは御了解いただかなければいかぬと思いますのは、一つの幅を持つております。それは御承知のように、昨年の暮れまでは各地とも相当高い価格になつておりました。それから本年の一月ごろかだんだんに下つて参りまして、そうして三月ごろからだんだん現在の安い価格に参つております。従いまして資料として差上げましたのは、高い時期と安い時期との幅を示したわけでございます。たとえば加州米にいたしますと、現在は約百八十五、六ドル、百八十ドル台になつておりますが、当初におきましては二百ドルというふうに、これはその期間の推移を示したつもりでございます。中共米は、仰せのように現在の市価といたしますと、大体タイ、ビルマの米と匹敵するものでございます。これは最初に中共米につきまして引合いがございましたが、われわれとしては、はたしてどんなものが来るかと申しますのは、当初中共米につきまして手をつけましたのは、セイロンと中共とのバ一夕ーにおいて、セイロンが買いましたものを買いつけましたのが一番初めでございます。この場合におきましては、これは南方米と全然かわりがなかつたのであります。従いましてこういう品物が中共米であるということになれば、これは南方米と同じ考え方で対処しなければならない。かように考えておつたのでありますが、先般北支の小站米が出るという話がありましたが、この北支の小站米は内地米を持つてつたものなので、これならば内地米と匹敵する準内地米として取扱い得るものではないか、こう考えまして引合いを始めたわけであります。当初は一万二千トン程度の引合いがあつたのであります。われわれといたしましては、品質等が明確でございませんので、最初その半数、一船ということで五千五百トンを輸入いたしました。ところが入つて参りますと、これはやはり従前日本の陸羽百三十二号、愛国、中生銀坊主というような品種のものでありますので、参りましてから、これは準内地米として取扱い得るということで、次に残りのものを買おうといたしたわけであります。この場合につきましては、私向うの制度はよくわかりませんが、配給関係上その現物がないということで、一時それが中止になりましたが、さらにその後の引合いによりまして、六千五百トン追加して小站米を買い入れるという状態になつたのであります。この中共米は、精米の関係かと思いますが、大体全部胚芽のようた形になつておりますが、御承知のように胚芽は時間的に長い期間精米して置いておきますと、かびがはえるような状態であります。この点を先方側にも伝えまして、できるだけ精米してからの期間の間もないものをとるということで、あとの六千五百トンを取引いたしたわけであります。これが最近入着いたしまして、これも前とかわらない準内地米として取扱えるものであります。さらにわれわれといたしましては、引合をいたしまして、常熟米が約一万九千トンくらいある、これを引合いにとつて買うようにいたしております。買付の考え方といたしましては、タイとかビルマ、台湾というふうなものはある程度協定がございます。協定外のものにつきましては、できるだけ良質で安いものを買うということで、一定の外貨のわくのもとに操作をいたしております。本年度におきましては、残しておりました六万五千トンの分のうち、実は三万数千トンを中共に当てたのであります。取引をいたしてみますと、常熟米がまだわかりませんけれども、今までのところは非常に良質のもので、準内地米として十分やれるということでございます。これは余力がございますればさらに買つて行きたい、かように考えております。ただ計画といたしますると、どれだけの余力があるか、年間先方においてどれだけ保証してくれるかという見通しが立ちませんので、やはり現在われわれが考えておりますのは、買付の方法としては、一定のポンドの範囲内におきまして、余力のあり次第買いつけるということで、年間幾らという予定は立ちませんけれども一つのわくのうちでできるだけ買つて行きたい、かように考えております。  それからこれに対する見返りの問題といたしましては、実は通産省ともいろいろ協議をいたしております。先方の希望は現在硫安ということになつております。しかし硫安の問題は国内の供給力にも関係するので、制限が緩和になりましたならば、それも見返りとして当てて行きたいということにいたしまして、一応は代金決済をいたしまするが、その後において輸出の代金でそれを消して行くというふうな方法で進めておるわけでございます。これが計画的にあるいは取引の形態におきましても、一年間に一定の目標のもとに買えるということになれば、われわれとしても非常に喜ばしいことであると考えておりますが、現在におきましては計画的な輸入はできないから、できるだけ引合いをとつて、そして物がある場合におきましては、協定外の買付のわく内で買つて行きたい、かように考えております。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に本年度価格の問題についてでありますが、今まで私がお尋ねいたしたようなものが漸次累積された上に適正米価が設定されることにおいて、初めて集荷目標の達成があり得る、こういうふうに私は思うのであります。伝えられるところによりますと、一昨日来大蔵当局食糧庁事務当局は折衝を開始なさつておるようでございます。それによりますと、大蔵省はデフレ政策の立場を固持いたしまして、九千二百円程度を主張し、農林事務当局としては九千九百円の手取りを一つの構想とし、これに関連作業を行わせて進めておられるように承知いたしておるのでありますが、この生産者米価の手取り九千九百円の算定基礎について、ただいま御答弁がいただけますかどうか。もしできますならば、資料をもつて御説明を願いたいのであります。その上で伺いたいのでありますが、要するに、九千九百円の生産者米価について、食糧庁長官としてはこれを御了承になつた上で大蔵当局と折衝しておられるのでありますか。この九千九百円の説が新聞に盛んに大きく出ているということは、ただ単なる食糧庁内部の事務機関の草案にすぎないのか、食糧庁の庁議であるのか、また農林省の省議決定を見たものであるのか、一体どういう立場にあるものであるかということと、手取り九千九百円の基礎は一体何であるかということをお伺いいたしたい。  これに関連をいたしまして、消費者米価については、食管会計が非常に窮迫いたしておるので、農林省としては、若干の消費者米価の引上げはやむなしという方針をとられておるように伝えられておりますが、はたしてしかりであるか。その辺は生産者価格決定の重大関連事項であるように私も思いますので、この間の事情をあわせて御開陳願いたい。
  52. 前谷重夫

    前谷説明員 最初にお断りいたしておきますが、具体的な価格につきましては、われわれもいろいろ試算いたしておりますが、まだ申し上げる段階にないことを遺憾といたします。ただ御指摘のこの考え方はどうかと申しますると、これは食糧庁考え方でございまして、ただ省議決定はいたしておりません。私といたしましては、昨年度における水準を維持したい。昨年はもちろん減収加算し作柄の問題は別といたしまして、そういう考え方でもつて、大きなラインでいろいろ議論をいたしておるわけでありますが、方式といたしましては、本年度においては従来の方式を踏襲する以外に方法はなかろう、かように考えております。  食糧対策審議会におきましても、パリテイ方式と生産費方式との併用ということが言われておりますが、御趣旨は、おそらく生産費をも考え、パリテイをも考え、そうしてこれを勘案してきめるべきじやないか。方式を併用するということは非常に困難でございますので、そういう御趣旨だと了解いたしております。  生産費の問題につきましては、これは足鹿さんもよく御承知のように、パリテイ方式につきましても相当の期間をかけ、数案が出て参るということでございますが、生産費の方式もこれを採用するとすれば、専門家検討を経て、その中で妥当な方式を見出さなければならないというふうに考えておりますから、本年度といたしましては、生産費方式を採用するというまでには立ち至らないというふうに考えております。ただ生産費の要素というものがこの価格決定については有力なる一つの資料としてわれわれは考え参りたい、こういう考え方をいたしております。  それからこれは蛇足でございますが、昨年度状態を申しますると、昨年度は減収加算額におきまして五百五十五円でございまするので、大体百十億余の財政負担をいたしております。それから完遂奨励金におきまして百十二億程度の財政負担をいたしております。なお超過供出の差額におきましてやはり四十億程度の財政負担をいたしております。それからまた予定いたしました早場米奨励金と実際支出いたしました早場米奨励金におきまして約二十億くらいの財政負担をいたしております。従いまして総計二百八十億以上の財政負担ということになつておるわけでございます。生産者価格決定いたしまする場合に、この消費者価格との関連、財政負担との関連ということが最も重要な問題になるわけでございます。現在食糧特別会計におきましてこれをまかなうだけの余裕がないわけでございます。その面と関連いたしまして生産者価格考えまする場合においては、当然消費者価格、財政負担という問題を考えざるを得ない、こういう段階になつておるわけでございます。  消費者価格につきましては、これはいろいろ議論がございます。低物価政策の面からいたしまして、消費者価格を上ぐべきではないといいましても、先ほど綱島委員からもお話になりましたように、財政面で負担する余力がないとすれば、それは生産者価格にはね返つて参るということにもなりまするし、またさらに、消費者価格というものをいろいろ検討いたしまする場合において、全然これを考慮する余地はないかどうかという点については、私は議論があり得ると思います。従いましてそういう大前提としての議論を事務当局間におきましてしておるというのが現在の実情でございます。従いまして農林省といたしましては、省議を決定いたしましてこういう価格にするという段階までには至つておらないのでございます。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、まだはつきりいたしておりませんから、この米価問題についてはこれ以上申し上げませんが、大体九月十五日現在の作況によつて集荷目標を定める、これに関連をして米価決定またはそれに関連する事項をおきめになるようでありますが、米価審議会に御諮問になる大体の時期はどのような時期になる見通しでありまするか。ただいまの御答弁では、昨年度の管理方式を踏襲する——これはまあ本年の予算の中にもうたつてありますから、いまさら新しいことではありませんが、あれだけの食糧対策協議会を開いて、それがとにもかくにも予約制度というものを満場一致の方針で打出しておる。それには超過供出奨励金の変形として、割当供出完遂後の予約買上げ制というような非常に複雑なことをもお考えになつておるようでありますが、今の御答弁によりますと、昨年度方式を踏襲する、こういうことでありますが、割当量の完遂後における予約制度の問題については、どのようにお取扱いになるのであるか。もしそれをおやりになるならば、超過供出の方式をやはり踏襲して行かれるのであるか。完遂の点については予算には落されておりますが、これはあくまでも予算でありますから、完遂の制度についてはさらに検討されるのでありますかどうか。今明らかになつておるのは、早期供出奨励金だけは出して行くということであつてあとはあいまい模糊としてさつぱりはつきりしておらない。その点完遂を一体どうするか、超過供出の制度を踏襲するのか、割当後における予約方式を新しく採用されるのか。そういう点と、それから米価審議会に御諮問になる予定はいつごろになつて本ぎまりになるのか、その構想について伺いたい。まだたくさんございますが、長くなりますので、おもなる点のみをお尋ねをして私の質疑を終りたいと思います。  なお九千九百円の基礎資料をいただきたい。要するに権力的な供出制度というものが一応崩壊し去らんとしておる場合において、価格を中心とする諸般の集荷目標達成の諸条件を満たして行かない限りは、いかような集荷目標を出されましても、これは絵に描いたもちに終りはしないか。いわゆる駐留軍の駐留当時におきましてはジープ供出も行われた。去年は所によつては強権を発動してまで供出をおやりになつた事例も相当あるようでありますが、なかなかことしはそう簡単には参らないであろうと私どもは思います。強権供出か崩壊し去らんとしたときに、これを何でつなぐかということは、これはやはり価格問題を中心とするこれに関連する施策が伴わなければ、うまく行かないことはもう自明であります。そういう観点から本委員会の八月十一日の決議等もしんしやくされて十分なる御善処を求めたい。これで私の質問を終りますから、今申し上げた点と資料の点を御答弁願いたいと思います。
  54. 前谷重夫

    前谷説明員 まず第一に米価審議会の問題でございますが、われわれは米価審議会は九月の中旬ごろに開きたい——中旬の終りごろになろうかと思いますが、開きたいと思います。その前にできれば懇談会を開催いたしたいという考え方をいたしております。これは九月の上旬の終りごろに予定いたしております。  それからなお米価審議会の答申でございますが、ちよつと私が申し上げましたのは、米価審議会の従来通りの管理方式をとるということではなくして、価格形成の方式は従来のいわゆるパリテイ方式によらざるを得ないのではないか、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。そこで御指摘の完遂奨励金の問題でございますが、完遂奨励金はわれわれといたしましては現実におきましては一つ基本米価的な性格を持つておるというふうに理解すべきではなかろうか。従つてこれを完遂奨励金という形よりも、むしろ基本米価として観念して参ることの方が妥当ではなかろうか、こういう考え方を持つておるわけでございます。  超過供出と予約奨励との関係でございますが、これは食糧対策協議会の御趣旨は、本来におきましては全面予約ということか答申の御趣旨だろうと思います。ただ過渡期においての一つの試案として、これは付随的でございまして、併用という方法考えられないだろうか、こういう示唆をされておるわけでございます。この併用の問題は、結局義務供出以上のものについて従来通りの超過という形で行くか、予約で行くかという問題でございますがこの問題については、やはり予約制度を実施するという場合におきましては相当の時間的な問題があろうと思います。供出割当をいたしまして、供出割当が末端におりてから後におきまして予約をやるという形になりますので、時間的な準備が必要でございますが、その時間的な間隔、準備というものと本年の事情というものを考えて、どちらにとるかということを目下部内で検討中でございます。従いまして現在の状態におきましては、基本価格の問題、早場奨励の問題——超過供出につきましては、これを超過供出奨励金に持つて行くか、予約供出奨励金に持つて行くかということは、現在検討いたしておる段階でございます。  ただただいまお話になりました九千九百十円でございますか、これは実はわれわれも、新聞紙上に出ておりまするが、その数字は算出の基礎というものがはつきりしないのでございますけれども、大体こういうふうに想像しております。つまり昨年度におきます平均の包装込みの価格が一万四百六十五円であります。これは包装込みの格差を考えたものが一万四百六十五円という程度に全国平均がなるわけでございまして、それから減収加算額の五百五十五円を引きますると九千九百十円になる。そういうことから新聞紙上に出たのだろうと思いますがこれは格差の問題、包装の問題というものがまだ去年のままでございまするし、これは全然別の問題でございます。従いましてその数字は実はわれわれは持つておりません。格差の問題とかあるいは包装の問題というものが全然ごつちやになつておるわけでございまするが、包装の問題にしろ格差の問題にしろ、これから昨年度の実態からきめて参るものでございますから、これはちよつとどうかというふうに私は考えております。
  55. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいま専門家足鹿委員から大体御質問がありましたから、私はあまり詳しいことをお聞きするわけには参りませんが、二、三、ちよつと足鹿委員の質問に関してお尋ねいたしたいと思います。九千二百円で今農林省、食糧庁が大蔵省と交渉なさつておるというお話でございます。それは省議ではもちろんない、それから食糧庁で公式にきまつたことではない、こういうお話でございますが、その交渉の性質はどういうものであるか、その内容はどういうふうにして交渉されたのか、その経過等をちよつと簡単に伺いたいのでございます。  それから第二点は、農林省はことしの産米価格決定食糧対策協議会の答申に基きまして、八月中に米価審議会を開催するような意向であつたかと思いますが、それは一体どうなつたのか。その遅れた理由はどうか。  それから第三点は、ただいま御質問にもありましたが、従来の各種の奨励金は整備される——整備されるというのは、私ども食糧対策協議会の答申を読んでのことでございます。それによると、予約奨励金、それから超過の売渡し奨励金、これは今の御答弁によりますと、予約供出奨励金になるかどうかわからぬというお話でございます。それから早期供出奨励金、この三種を設けられるようになつておるらしくございますが、このうち第三のものだけしか予算がない、こういうことになつておりますが、その奨励金は一体どういうふうな方針で食糧庁は取扱つて行かれる方針であるか、こういう点についてお尋ねしたいのでございます。  それからいま一つは、われわれの九州におきましては、病虫害の発生が非常にはげしゆうございまして、反当千五百円以上も農薬を使つておるところが非常に多いのでございます。それは大蔵省のいろいろの米価に関する折衝によりますと、大蔵省当局は、農薬代は米価に含まれておるという答弁をたびたびやつておるのでありますが、こういうことはどこまでも大蔵省の主張であるかどうか。それに対して食糧庁は一体どういう考えを持つておるのか。こういうことであるならば、今までのパリテイ方式というものに対しては、九州地方、ことに病害虫の被害の最も甚大な宮崎、大分両県の県民等は、もうパリテイ方式に対しては絶対われわれ信頼を置くことができない、米価決定は生産費方式を絶対採用して生産者米価ということを強力に主張してもらいたい、こういうことを盛んに言つておるわけであります。決定米価は、つまり拡大再生産を保障するとともに、農家の一定の労働所得を保障するものであるということ……。(「社会党の主張と同じた」と呼ぶ者あり)まことにこれは野党側の主張と同じであります。こういうことを非常に主張しておるような次第であります。私は党内野党であるかもしれませんけれども、結局一切の財政のしわ寄せと申しますか、低物価政策のしわ寄せを農民に持ち込むような方式というものに対しては、再検討を加えてもらいたいということを言つておりますが、この点に対する食糧庁意向はどうであるか、この点についてお話を承りたい。
  56. 前谷重夫

    前谷説明員 交渉の経過の問題でございますが、実はただいま福田さんからの御指摘のように、低物価政策の問題、それから財政負担の問題、消費者の問題、これが実は大きな重点的な議論の段階でございます。われわれといたしましては、生産者米価は適当な地位にあるべきであつてお話のようにそのしわ寄せが生産者米価によるということはいかがかという考え方をもちまして、いろいろ、議論をいたしておる段階でございまして、現在はそういう財政負担の問題、消費者価格の問題、低物価政策との関連の問題、こういう大きなラインで議論しておるのが実情でございます。従いましてまだ具体的な価格について、その高い低いというような問題を論議する段階にまで至つておりません。ただ今の九千二百円というお話は、これは予算で九千二百円、早場米も含めました価格が九千二百円ということになつております。それ以上にすれば財政負担か、消費者価格か、生産者価格、いずれかの問題にはね返らざるを得ない。こういう問題であるわけでございます。従いまして具体的価格につきましてはまだわれわれとしては折衝する段階に立ち至つておりません。
  57. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 九千二百円で交渉しておるわけではないのですか。
  58. 前谷重夫

    前谷説明員 そういうわけではございません。  それから食糧対策協議会におきまする八月中と申しますのは、八月中に割当を完了する、そのために八月中に米価決定が望ましい、こういう御趣旨でございますが、実は八月中に割当決定するということは、平年作の場合においては事前的の割当として考えられるが、本年度のように気候の変動相当予想される場合においては、八月中でございますと、西の作況というものは全然わからぬといつてよいのであります。そういう場合において割当をすることが妥当であるかどうかということをいろいろ考えて、やはり九月十五日の作況によることが適当であろうというふうに現在は考えておる次第でございます。  それから奨励金の問題でございますが、奨励金は早場奨励金とそれから超過供出奨励金、完遂奨励金の三種類あるわけでございます。食糧対策協議会の御答申によりますと、早場奨励金は存置することがよかろう、超過供出奨励金というものはこれを予約奨励金にかえてはどうかということ、その他の奨励金、つまり完遂奨励金は整理してはどうかというような御意見と了承いたしたわけでございます。集荷の面からいたしますと、早場奨励金は私どもも必要ではなかろうかと考えております。超過供出奨励金を予約奨励金にかえること、これは集荷目標及び時期の関係等とも関連して今検討中でございます。完遂奨励金につきましては、これはわれわれといたしましては別の形において考え、整理の方向において考えることが適当でなかろうかというふうに現在考えておるわけでございます。最後の病害虫の問題でございますが、これはむしろ米価に含まれておるかいないか、非常にむずかしい問題でございますが、こういう形になつております。パリテイ価格においては価格変動だけがパリテイに反映されるのでありまして、量の変化ということは反映しないわけでございます。従つて量の変化を反映するために特別加算ということで、量の変化を反映させております。そういう意味におきまして病害虫による農薬の費用が増加したという面もある程度入り得ると思います。ただ量の変化というものは前年とその前年というふうに一年ずれております。このずれておる関係において、はたして今年の費用が含まれるかどうかということとは別問題でございます。従いましてわれわれといたしましては、病害虫の費用はやはり本年度の実態に即して、政府考えるべきものなら、必要なものは米価とは別個に考えて行くべきではないか、かように考えております。
  59. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 農薬代の問題でございますが、量の変化という説明がありました。それは前年度であつて、今年度には関係がないわけであります。これをどういうふうに扱つて行くか、食糧庁の御意見を承りたい。これを別個に扱つて行く方針であるか、あるいはこの中に含まして行く方針であるか、大よその方針がわかりませんか。
  60. 前谷重夫

    前谷説明員 われわれといたしましては、量の変化は病害虫による農薬の問題のみならず、肥料の増ということもありますが、この量の変化はやはり織り込んで行くべきであると考えておりますが、本年度状態というものは、現実の数字としてはつかめませんですから、いつも前年とその前年との対比という形でこの量の変化というものを織り込んで行つているわけであります。具体的に本年度にどれだけ病虫害の費用がかかつたから、それを具体的にどういうように米価に織り込むかということは、これは技術的問題としては実際に困難であります。
  61. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 本年度のごとき九州における異常なる病虫害の発生、いもち病、害虫というような状況は、いかにしてこれに対処するか、その点の方針をひとつ承りたいと思います。
  62. 前谷重夫

    前谷説明員 これは米価の点からだけ申しますると地方的なものをそのまま全国的な米価に反映することは困難だと思いますし、また先ほど申し上げましたように、今年におきまする米価算定に本年度における農薬の使用量め変化ということを反映することは困難だと考えますので、これは別個の形において解決さるべきであると思います。
  63. 井出一太郎

    井出委員長 午前中の質疑はこの程度をもつて打切り、暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後三時二十二分開議
  64. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午前の食糧問題に対する質疑はしばらく後にいたしまして、昭和二十九年産米の八月十五日現在における作況並びに病虫害等による被害状況について政府の説明を求めることにいたします。野田統計調査部長
  65. 野田哲五郎

    ○野田説明員 八月十五日の作況を御説明いたします。お手元に表紙なしの昭和二十九年産米八月十五日現在作柄概況というのをお配りしてありますが、それを開いていただければ幸いだと思います。その一枚めくつていただきまして、一ページと書いてあります中に全国のブロツク別の作況指数を出しておりますが、全国におきまして水稲は九八%、陸稲八七%という数字を示しておるのでございます。水稲につきまして北海道は八一%、東北は九三%でありまして、これは平年作からかなり下まわつております。しかしながら関東以南の諸地域におきましては大体九八%以上でございまして、平年作のところも相当出ておる次第でございます。陸稲の方におきましては、これは指数が一般に下つておりますが、主産県といたしまして関東をごらんいただきますと、関東が八二%ということになつております。次に九州でございますが、これは大体平年並一〇〇%ということになつております。次をお開きいただきまして、今の指数を府県別に出してみますと、かような数字になるわけでございます。すなわち水稲におきまして北海道は八一%と前と同様でございますが、東北地方におきましては、青森、岩手が八〇%台できわめて低いのでございます。その他の地域におきましては九〇%台でありますけれども、これもところによつて平年作から遠のいておるということがいえるかと思います。茨城以下の、すなわち関東以南の諸地域におきましては、一、二の府県を除きまして大体九八%以上でありますし、また九九%、一〇〇%という数字を示しております。一、二の府県と申しますのは、これから拾つていただきますと栃木の九六%、それから山梨の九七%というようなものがあげられるわけでございます。  かような作況になりましたにつきましては、御承知のように七月下旬以来非常な好天が全国的に続きまして、七月下旬の天候は、北海道と青森の気温は依然として平年をかなり下まわつておりますが、その他の地方はおおむね平年近くになつております。八月の上中旬は、北海道と青森の気温はやや低くて平年をやはり下まわつておりますが、その他の地方は好天に推移しておるのであります。かような状態が顕著に影響しまして、ただいまのような指数になつて来たかと思うのであります。  一方被害について見ますると、五ページを開いていただきますれば、横書きの方に出してありますが、被害の面積におきまして、二十九年度は百八十二万町歩、平年は九十八万町歩ということになりまして、相当の面積の増加を示しておりますけれども、被害の深さにおきましては、平年に比しまして、著しく低いのでございます。すなわち次の六ページをごらんいただきますと、二十九年度の八月十五日現在におきまして、減収量は百八十六万石を見込んでありますけれども、平年におきましてはすでに二百六十万石の減収を示すというような状況でございます。  この中で問題となつておりますいもちと二化螟虫の発生状況について申しますと、五ページにおもどりいただきまして、いもちは二十九年度におきましては五十万町歩の発生でありまして、平年は二十八万町歩ということになつております。従つて平年に比べますと、いもちは相当の増加でありますが、これを昨年度に比べますと、著しく減つておるということが言えるのであります。それを減収量の方で見ていただきますと、いもちの二十九年度の減収は四十九万石、平年におきましては八十六万石でありますから、面積は多いのでありますけれども、被害は半分に近いということができると思います。一方二化螟虫でありますが、これは本年度におきまして八十六万町歩という大きな被害面積を出しております。これは平年の三十一万町歩に対して約三倍という状態でございます。しかし、減収量に参りますと、平年が五十六万石の減収に対しまして六十六万石の減収と本年度は相なつておりますから、さほど面積のような比率はないということがおわかりいただけると思うのであります。  なおこの調査と並行いたしまして、耕種上非常に重要な影響を持つておりますところの水稲品種の本年度の状況、並びに苗しろの様式の本年度の状況というものをあわせて調査したのでありますが、それは三ページと四ページをごらんいただきたいと思うのでございます。三ページにおきまして品種の主たる変遷を記しておりますが、半分より上の方は増加の部を示し、半分より下の方を減少の部に当てておるのでございます。これをごらんいただきますと、昨年の冷害の経験にかんがみまして、非常な品種の増減があるということがおわかりいただけるかと思うのでございます。  次に四ページの方をごらんいただきますと、これは苗しろの様式を示したのでございますが、冷害対策に非常に効果があると考えられます保温折衷苗しろは、この欄の五番目でございますが、これが本年におきまして千八百万坪という数字を示しておりまして、前年対比が一五〇%ということに相なつております。また非常に種類が多いのでございますが、下から六行目の冷床苗しろ——この冷床苗しろは政府で奨励しておるものでございますけれども、本年度におきまして三百八十万坪、前年対比一一二%ということになつておるのでございます。  概況をきわめて簡単に申し上げましたけれども、ただいまの状況はかような状況でございますが、その後一方におきましては、八月十五日以降さらに好天が続いておりますし、このまま順調に推移いたしますならば、今後の稲作としましては、きわめて喜ぶべき方向に進むのではないかと思つておる次第であります。簡単でありますが、御説明にかえます。なお作物統計課長に詳細に御説明さしていただきたいと思います。
  66. 井出一太郎

    井出委員長 それでは続いて原作物統計課長
  67. 原政司

    ○原説明員 私からお手元にお配りいたしました資料につきまして、大分いろいろ配つておりますので、資料は大体どういう内容のものかということを中心にいたしまして、ただいま野田部長か御説明いたしました点等を若干補足して、御説明を申し上げたいと存じます。  お手元にいろいろとお配りしてありますが、かなり長いのが四冊ございまして、それから普通の、菊版と申しますか、四六版のものが……(「それは配られていないよ」と呼ぶ者あり)それでは後刻お届けいたします。この菊版の方は、先ほど野田部長から御説明いたしましたが、北日本におきましては昨年の異常環境がございましたので、品種の転換あるいは改良苗しろの普及等の状況が非常に例年と異なつておりますから、これらの点につきまして実は詳細に調ベたわけでございます。それがまとまりましたので、ガリ版にいたしまして作成いたしましたから、実はお配りしておるかと思つてつたのですが、手違いでたいへん恐縮いたしました。これは後刻お配りを申し上げます。  それでは長い印刷物につきまして御説明を申し上げます。まずお配りいたしました上から順にごらんいただきますと、第一番目には「昭和二十九年稲作期間の主要地点(測候所)における気象表」というのがあります。これは中身をごらんいただきますと、一番初めに目次がついてございまして、どこにどういう内容があるかということを大体御了解いただけると存じます。  恐縮でございますが六ページをめくつていただきますと、六ページには日平均の気温につきまして、おもな測候所別に四月から八月中旬に至ります旬別の日平均気温が、平年の気温に対しましてどういう関係にあつたかということを示したのでございます。ここにございます黒と赤との関係でございますが、赤は平年を下まわつておるということであり、黒は平年よりも温度が高い。要するに平年と本年の旬別の平均気温の差を示しておるわけでございます。これからごらんいただきますと、先ほど野田部長が御説明申し上げました通り、八月になりますと北海道と青森測候所を除きますその他につきましては、大体平年を上まわつておるということが申し上げられるかと思います。もちろんしさいに検討いたしますと、秋田の八月上旬あたりはごくわずかでございますが平年を下まわつております。かように大体北海道と東北の北の方が低温でございますが、その他は七月下旬の天候回復以来、特に八月になりまして高温が上旬、中旬と継続しておるということが本表によつておわかりいただけるかと存じます。  七ページは、これは日照時間の関係でございまして、赤いしるしは平年よりも日照時間が少い、それから黒の方が多いということを示しておるのでございます。この表につきましても、八月をごらんいただきますと、北海道あるいは青森とその他の関係において大分趣が違つておるように見受けるのであります。  それから八ページにおきましては降水量につきまして書いたのでございますが、この場合は黒が平年より本降水量が多い、赤の方は平年よりも降水量が少いということをお示ししておるのでございます。この表につきましても北海道とその他とは、八月の欄等でかなり状況が違つておるように見受けられるのでございます。  九ページ以下におきましては、おもなる地点につきまして、先ほど申し上げましたのは日平均の気温でございますから、これを最高並びに最低気温につきまして図示いたしたのでございます。北から南の方へずつとおもなる地点をとりまして、それを図示いたしましたのが二十六ページまで続いてございます。おひまなときでもごらんいただきますれば幸いと存じます。  最後に、二十七ページから以下は、先般参りました台風五号、それから本土には上陸いたしませんでしたが台風六号の経路をお示しいたしたのでございます。なお、先ほど野田部長から申し上げました通り、台風五号は八月十八日並びに十九日でございましたので、八月十五日現在の作況あるいは被害にはこの台風五号の被害は含まれておりません。この点をお含みいただきたいと存じます。  以上申し上げましたのが、主要地点におきます今年の稲作期間における気象の推移を示した表でございます。  それから次にございます表は、表題といたしましては「昭和二十九年八月十五日水稲生育概況及び水稲主要作業の経過一覧」というたいへん長い題目になつておりますが、そういう報告書がそこにお届けしてございます。これは中をめくつていただきますと三ページから始まつておるのでございますが、三ページ並びに四ページ、五ページにかけましては、私の方でやらしていただいております気象感応試験におきまして、特にその地方で一番作付の多いといいますか、相当作付の多い品種につきまして、本年の出穂期の見通しが昨年に対してどういう関係になるかということを図示いたしたのでございます。ずつとごらんになればすぐおわかりいただけるようにというくふうをいたしましたが、はなはだどうも手ぎわが悪うございましたが、私どもがここで表にいたしました趣旨といたしましては、第三ページにもございますように、赤の二重丸が昭和二十八年に対しまして、本年の出穂期が一週間以上おそいもの、あるいはおそい見込みのもの、それから一重丸につきましては昨年に対しまして三日ないし六日くらいおそいものあるいはおそい見込みのものでございます。四角の黒につきましては、二日くらい昨年よりも早いかあるいは二日くらいおそいか、まあざつと見まして、平年程度と考えてよろしいのではないかというものを四角の黒のしるしにいたしたのでございます。それから黒で四角の二重になつておりますのは、昨年に対しまして本年は三日から六日くらい早そうだというものをそういう記号で表わしたのであります。そういう記号に基きまして第三、第四、第五表をごらんいただきますと、北海道並びに東北、特に北東北におきましては出穂期の遅延が非常に顕著に目立つわけでございます。特に北海道並びに東北地方の北部におきましては、十日ないし二週間の出穂遅延というものも見受けられるのでございまして、概して申しまして北海道、東北における出穂遅延がごらんの通り顕著でございます。なお出穂遅延の状況は北陸にも及んでおります。それから関東につきましては、本表によりますと昨年とほぼ差はないということになりますが、御案内のように昨年は八月下旬になりまして天候が不順になりまして、低温が続きました関係で、昨年は非常に遅れております。従いまして昨年に比べますと、本年はほとんど大差がないということむしろ若干進むということも見受けられますが、これを平年に対して考えますと、関東地方におきましては、やはり平年よりは若干遅れるというのが実情でございます。それから東海道以西につきましては、第四図並びに第五図にございますように、山陰地方におきまして、若干の遅れを見せておりますが、その他の地方におきましてはほぼ平年並というのがただいまの出穂の見通し状況でございます。この見通しをつけるにつきましては、先般も御報告申し上げました通り、幼穂形成期と申しますか、ごく小さいのができる時期を、毎日日を追つて顕微鏡等で見ておりますが、そういうものから推定いたしまして今年の見通しをつけたのでございます。従いましてそういうことをやりました後の出穂までの二週間なりあるいは三週間なりの間の気象の変化等によりまして、当然実際出穂期はかわつて参るわけでございます。八月十五日現在におきましてつかみ得た私らの最近の見通しというような状況でありまして、そういう気持でごらんをいただければ幸いであります。  なお失礼いたしましたが、凡例の符号が間違つておりますので御訂正申し上げます。二十八年に比し七日以上おそいものというのが一重丸になつておりますが、これを赤の二重丸にしていただきまして、二十八年に比し三日ないし六日おそいものというのが、原本では赤の二重丸になつておりますが、それを一重丸にかえていただきたいと存じます。大変失礼申し上げました。  それから次に参りまして、七ページ以下でありますが、七ページ以下にお示しいたしました図は、北海道から以下鹿児島までずつとございますが、これは私らの方で作況の判定をいたします一つ基準といたしまして、大体平均的に申し上げますと、一県に二百箇所くらいの作況調査圃というものを設置しております。これは農家のたんぼでございますが、そういう作況調査圃を設置しておりまして、そこにおきます草たけ、あるいは茎数、だんだん参りますれば出穂期あるいは穂数、あるいは粒数というふうに成育の進行に従つて調査項目がふえて参るのでありますが、そういう作況調査圃におきまして、今日調べました状況を図をもつてお示し申し上げたのでございます。その図でございますが左の方の白いのが下の方の凡例にもございますように、草たけでございまして、まん中の斜線のありますのが坪当りの茎数であります。それからその右に格子になつて、しかも点線でその棒がかこんでございますのが、これは坪当りの推定穂数であります。坪当り推定穂数につきましては、先般も御説明いたしました通り、私らといたしましては、各株につきまして、その茎別青葉数あるいは草たけ率と申しますか、その長さ、あるいは場合によりましては幼穂の伸長状況等を調査いたしまして、大体ここらあたりに穂がとまるのではないかということを、出穂の二週間、あるいは場合によりましては三週間前から推定調査を実施しておりますが、そういつた調査によりまして見当をつけました値を、その格子によつてお示し申したのであります。従いましてこれは推定値でございます。そういう記号の約束に従いまして、先ほど申し上げましたように北海道から以下鹿児島までございます。それから申し落しましたが、この比率でございますが、比率のぺースに使いましたのは、過去四箇年の二十五、二十六、二十七、二十八年の平均に対します今年の増減パーセントであります。これを大体簡単に要約して申し上げますと、北海道につきましては、ごらんのように草たけは各場所とも低くございますが、茎数の方をごらんいただきますと、札幌につきましてはむしろ平年を上まわつておる状況でございます。その他の北見、函館、帯広、これは私の統計調査事務所の区域を示しておりますが、それらの北見、函館、帯広につきましては、平年を若干下まわる状況が見受けられるのでございます。しかし茎数が平年をオーバーすると申し上げました札幌につきましても、またその他の所につきましても、穂数の推定ということになりますと平年を下まわるというふうに私たちは見ておるのでございます。要約いたしますと、北海道におきましては出穂は相当大幅に遅れておりますし、それから短程でありまして、なおかつ穂数も少いという状況に置かれておるのではないかと承知しておるのでございます。  第八ページは東北地方の状況でございます。東北地方につきましては各地を通じて申し上げますと、草たけは短かくございます。それに対しまして茎数は若干場所によりまして趣を異にいたしておりますが、前四箇年を相当上まわる状況を示しております。これに対しまして先ほどのような各種の調査から得ました推定坪当り穂数ということになりますと、青森、岩手あるいは宮城におきましては若干平年を下まわつておりますが、秋田、山形、福島に参りますと、むしろ平年よりも多かろうという推定がついておる、さような状況でございます。つまり東北地方でも北、特に表海岸の北東北と、その他の東北地方におきましては若干趣を異にしております。全体といたしましては草たけが低く短程、多蘖ということが茎数について言えますが、穂数ということになりますと、先ほど申し上げました通りでございます。なお出穂期につきましては、先ほどの黒角と赤まる表で申し上げましたように、かなりの遅延が見られております。  九ページは関東地方を図示したのでございますが、関東地方へ参りますと、草たけ関係が東北地方、北海道とは大分かわつて参りまして、県によりまして若干の違いがございますが、平年と申しますか、過去四箇年にかなり接近しているところ、あるいはむしろそれを多少オーバ一するような所も見受けられるのでございます。茎数につきましては各県とも四箇年を上まわつております。穂数につきましてはこれまた若干平年を上まわる状況を示しておるのでございます。関東におきましては、草たけは多少短かいという傾向がございますが、相当分蘖数が多い等の関係がありまして、穂数の見通しといたしましては、四箇年平均を上まわるという推定をいたしておるのでございます。  十ページは北陸地方でございますが、北陸地方はごらんのように草たけについては新潟がちよつと平年に及びませんが、その他はおおむね平年に近づいております。茎数につきましては、各県とも平年を若干オーバ一しておりますし、穂数につきましても平年並もしくはやや多目ということが期待されておるのでございます。  次は、十一ページは東山地区でございますが、東山地区につきましては、ごらんのように長野県におきましては若干短稈でございますが、茎数は多い。穂数の推定といたしましても若干平年を上まわる。山梨県につきましては茎数、草たけとも四箇年平均を上まわり、穂数につきましはほぼ平年程度。岐阜につきましては草たけ、茎数とも四箇年を上まわりまして、穂数は平年よりも若干多い見込みだということになろうかと存じます。  十二ページは東海、近畿地方でございますが、東海、近畿へ参りますと、静岡、愛知あるいは下の方の大阪、京都、兵庫、和歌山等をごらんいただきますと、草たけが平年をずつと上まわるというような状況が見受けられるのでございます。つまり東海道から以西になりますと、関東以北とは多少できの趣がかわつておりまして、北がいわば短稈、多蘖の傾向を帯びております。これに対しまして東海以西になりますと短稈というよりもむしろ草たけは長い。にもかかわらず茎数といたしましては、やはりかなり多い。それらの関係からいたしまして、穂数といたしましてもかなりの期待が寄せられるという状況にあろうかと存ずるのでございます。  十三ページは四国、中国地方でありまして、十四ページが九州でございます。四国、九州につきましては、ただいま申し上げましたような東海あるいは近畿地方の傾向がほぼこれに適用されますが、特に十四ページの九州についてごらんいただきますと、福岡を除きましたその他の県におきましては、特に草たけが高いというのが特色でございます。これに対しまして茎数はそれほど多くない。穂数はほぼ平年程度が期待される、あるいは若干落ちるかもしれない。九州あるいはその他の西南地方におきましては、株割があまりよろしいとかえつて秋落ち等の危険性等がございますが、ただいまのできといたしましては、ほぼ順調に行つているのではなかろうかと見受けられるのでございます。  以上図をもつてお示しいたしましたのが作況調査部における水稲の生育概況でございます。  それから十六ページ以下は、十六ページに長い看板がございますように、昭和二十九年の県別水稲主要作業経過をここにお示し申し上げたのでございます。いささか過ぎ去つたことでございまするから、ほんの御参考までにと思いまして、十六ページに掲げたのでございます。田植えの開始期、最盛期、終了期あるいは活着状況がどういうことになつておるかということをお知りになつていただけると思います。北の方はしばしば御説明申し上げた通りでございますが、南の方につきましては、本年の田植えはかなりと申しますか、若干早目に推移いたしておりますし、北の方が活着不良で悩まされましたが、南の方は特に九州、四国、中国地方におきましてはあるいは近畿地方におきましては大体平年並の活着状況で、場所によりましては平年よりもよろしいというような状況を示したのでございます。  それから十八ページ以下は、ただいま県の全体面積といたしまして用植え状況あるいは活着状況等を御説明いたしましたが、県内の地方別に見ました場合にそれがどういうふうになつておるかということを、御参考までに掲上いたしたのでございます。たいへん長くなりますから、この県内の地域状況は御説明を省略させていただきたいと存じます。  それから次に参りまして、また長い表題が出ておりますが、「昭和二十九年統計調査部気象感応試験における水稲生育経過の概況」という刷り物がございます。これは八月一日の調査を命ぜられまして、十一日でございましたか、御報告申し上げましたが、いわばあれに連続するものでございます。御承知のように、気象感応試験はそれ自体特殊の目的を持つておりますし、また農家一般の栽培状況等とは趣をすつかり異にいたしておりまする関係上、気象感応試験は特に量的な数値につきまして一般とは相当異なりますが、一応気象と作物の稲との関係を質的に御理解、御検討いただく資料といたしまして(八月一日の調査に引続いたものとしてこれへ掲上いたしたのでございます。内容につきましては五ページ以下からずつと始まるわけでございますが、多少この前掲げましたので、重複いたしまする点は省きまして、今度は全国をここに表示いたしたのでございます。  五ページの看板にもございますように、旭川における気象感応試験の、しかも直播栽培の場合でございまして、六ページは同じく旭川における気象感応試験の冷床栽培の成績でございます。直播は特殊でございますから、全国的ではございませんので、冷床栽培のところで表の見方と申しますか、書いてあることだけを御説明申し上げますと、黒い部分が昨年でございまして、白い部分が今年ということでございます。草たけ、茎数につきまして今年の田植え後二十日以後どういうふうに今年の稲が育つて参りましたかということをグラフをもつてお示し申し上げたのでございますが、早生、中生、晩生、それぞれ一品種ずつをとつたのでございます。内容につきましては時間が長くなりますので、省略いたしたいと存じます。それが気象感応試験地におきまする生育経過の概要を示した表でございます。それから今度は薄い横に書いた二、三枚の紙がございますが、表題といたしましては「昭和二十九年八月十五日水稲被害概況」という看板になつております。それをめくつていただきますと、先ほど野田部長が御説明申し上げましたことが、重複しておりまするが、またあらためて出ておるのでございます。第一ページの表は八月十五日現在におきまする被害面積が、過去四箇年平均に対しましてどういう関係にあるかということをお示し申し上げたのでございます。いもち等につきましては、すでにごらんの通り、先ほど部長が申し上げましたように、面積といたしましては大分多くございます。風水害につきましては平年をはるかに下まわつております。また螟虫につきましては、これは過去四箇年の平均をかなり上まわつておる被害面積でございます。ところがそれに対しまして二ページの減収量の表をごらんいただきますると、風水害につきましては、減収量は平年より本年ははるかに低くございますが、合計欄でごらんいただきますと、稲熱病につきましてはこれまた面積は多かつたが減収量といたしましては平年よりもはるかに少い。但し螟虫につきましては平年よりは若干多い減収量が見込まれておるという状況でございます。  なお三ページにつきましては、今申し上げたようなことを過去四箇年に対する本年の比率をもつてお示し申し上げたのでございます。申し遅れましたが、この過去四箇年と申しまするのはやはり八月の調査でございまして、最終的な実収時における被害量ではございません。その点をお含み願いたいと存じます。  四ページ以下はこれを県別にいたしましてお示し申し上げたのでございます。その表につきまして私から補足いたしまする点は、大要以上の通りでございます。  先ほどたいへん手違いをいたしまして恐縮いたしましたが、ただいまお手元に届いたようでございますから、その刷りものにつきまして一、二補足をいたしたいと存じます。  お手元にお配りいたしましたのは五種類ございますが、第一番目の表は「北日本における昭和二十九年水稲品種別作付面積」という看板になつております。これは看板の通り各県別でございまして、これの県内あるいは北海道内の地域別の状況につきましてはナンバー二に出て参ります。  それから第三号の印刷物でございますが、これは看板にございますように「北日本における昭和二十八、二十九年水稲苗代種類別面積及び苗仕立様式別木田作付面積」でございます。たいへん表題がくどくございますが、要は水稲の種類別の苗しろ面積と、それからさようないろいろの苗しろでつくりました苗を、今度は植えつけました本田の面積とは、普通大体パラレルに参りますが、若干その間に差が出て参ります。かような関係で苗を仕立てました様式別に本田の面積を調べたというのでございます。  それが第三号の印刷物でございまして、第四号はただいま申し上げました水稲苗しろ様式別調査の北海道内あるいはまた各県内の地域別の状況をお示し申し上げたのでございます。  第五にございますのは、たとえば保温折衷苗しろにかけられておる品種はいろいろございますが、どういう品種がどういう地方でどういうふうになつておるか、つまりおくてが保温折衷苗しろにかけられておるのか、あるいはわせが保温折衷苗しろにかけられておるのかというような点等を検討いたしたいと思いまして、調査をいたしました結果をここに並べたのでございます。実は一日、二日前にできましたので、つくつた当人の私がまだ不勉強でございますが、さような印刷物ができ上りましたのでお手元に差上げたのでございます。これはことし私らといたしましては、当初にも申し上げましたように、北日本の品種あるいは苗しろの改善ということが農家並びに指導者の間で非常な意気込みをもつて実施されましたし、またわれわれの作況被害の調査という立場からいたしましても、品種あるいは苗しろの変遷をしつかり握るという必要がございますので、一県平均いたしまして三千戸、もしくは大県では五千戸の農家をランダムに任意抽出をいたしまして、その農家の状況を調査いたしまして、それから得ました推定値でございます。一つ二つだけ補足いたしますると、先ほど野田部長からもちよつと総括的に御説明がございましたように、第一号の印刷物の二ページから三ページ、ずつとそこらにわたりましては、おもなる品種につきまして、昨年に対して本年の作付がどういうふうにかわつておるかということをとりまとめたのでございます。そこで補足いたしますと、北海道におきましては、従来から相当の作付面積を持つておりました農林二十号、あるいは有名な品種でございました富国あるいは栄光というような品種が非常に激減をして参りまして、それにかわりまして照錦でございますとか豊光とかいう品種が急速な勢いで普及しておる、あるいは早生錦が普及しておるということが見受けられるのでございます。北海道における品種の動きというものは非常にはげしいということがごらんいただけるかと存じます。  なお四ページに参りますると、これは青森から北関東、北陸の状況を示しておりますが、有名な地方早場、ごくわせ品種として有名でございます農林一号をごらんいただきますと、その主たる作付地でございます北陸地方は、軒並に若干減少を見ております。新潟では二割、富山では一割四分、石川では七分、福井では一割一分というように主産地の農林一号が軒並に減少しておる状況を示しております。  なお飛びまして農林十号でございます。昨年の低温下におきまして福島県の浜通地方で非常に問題になりましたごくおくての農林十号でございますが、これの状況をごらんいただきますと、福島県におきましては若干減りまして、対前年比が九三%というような状況を示しております。しかしながらその減り方は必ずしも顕著でないように見受けられるのであります。なお福島県その他で昨年いろいろと注目されました農林二十一号につきましては、五ページの一番右のところにございますが山形、福島において若干減少を示しております。  それから六ページ、七ページにつきましては格段私から申し上げることもございませんが、飛んでいただきまして十ページをごらんいただきますと、そこに例の有名な藤坂五号、についてごらんいただきますと、各地とも相当増加いたしております。しかし青森県におきましては二十八年においてすでに相当の作付面積を持つておりました関係で、二十九年の増加は比率といたしまするとさほど大きくはございませんが、岩手その他の県につきましては非常な倍率をもつて普及しているという状況が見受けられるのでございます。なお次の新二号でございますが、これも昨年の冷害時におきまして、宮城県その他でいろいろと注目されましたが、これも宮城県その他におきましてはおくてになると思いますが、宮城県におきましてはわずかに減つた程度であるという状況でございます。それから恐縮でございますが、十三ページをごらんいただきますと、有名な陸羽百三十二号がございますが、東北でございますと、福島県を除きましては軒並に減少の傾向が見られるのでございます。それからその左にございます八州千本、これは昨年茨城県におきまして過晩稲ということで非常に問題になりましたが、八州千本は茨城県におきましては対前年比が三〇%というように激減を示しております。品種につきまして私から申し上げるのはこの程度にいたしまして、十六ページ以下非常にこまかく各県別に出ておりますし、また第二号の報告書にはそれが品種別に出ておりますので、重複することを避けまして、おひまの節にごらんをいただきたいと思います。  第三号の報告書について一、二補足いたしますと、第三号の報告書は苗しろの様式別の面積ということでございますが、それをめくつていただきますと、折込表がついてございまして、実は一口に温床苗しろあるいは温冷床とかいろいろの言葉がございますが、実際に調査をするとなりますと、いろいろ御専門家の、あるいは実際農家の御事情等も聞きまして、私らといたしましてはその折込表にございますような十五の種類に分類をいたしたのでございます。それぞれの特色はその右の方に地目はどうか、あるいは整地の関係、保温の関係、あるいは水をかける関係がどうかというふうに幾つかの違いがございますので、それを表にいたしたのでございます。そういう分類によりまして以下調査をいたしましたが、その概要につきましては三ページ以下にございます。要は通し苗しろにおきまして対前年比が九三・六%、若干の減少、それから水苗しろにおきましては九六・四%というように、これまた若干減少いたしまして、問題の保温折衷苗しろにつきましては七ページにございますが、対前年比率が一五〇・三%というような激増ぶりを示しておるのでございます。なお北海道におきましては、十ページにございます紙被覆苗しろというのが相当多くございます。それから先ほど野田部長が申し上げましたいわゆる冷床苗しろ、これが十五ページにございますが、いずれも増加を示しておるのでございます。さようないろいろ種類がございすので、ごらんをいただきたいと存じます。なお苗しろに関係いたしまして、実は野田部長から御説明いたしました当初の公表文の中にもございますが、北海道に主としてございます直播栽培につきましては、対前年比率が八〇・七%、約二割の減少を示しておりますことを御報告申し上げておきたいと存じます。  以下たいへんこまかいことがこまごまと書いてございますが、時間がございました節にでもごらんいただきまして、またいろいろとお教えをいただきたいと存ずる次第でございます。 以上たいへん時間ばかりとりまして不得要領のことを申し上げましたが、私から資料を中心といたしました補足の説明を申し上げた次第でございます。
  68. 川俣清音

    ○川俣委員 三点ほどお尋ねしたいと思います。一つはこの資料に基いてでございますが、作況調査につきまして統計機構に関係しておられます職員の非常な熱意で、これだけのものができ上りましたことについては敬意を表するのでありますが、ひとつお聞きしておきたいことがあるのです。それは茎数調査が行われておりますが、今年は東北におきまして苗不足を来しております。この苗不足は苗の発育の悪かつたことも一つの原因ですが、発育の悪いために本田へ移す場合に、どうも本数を多く植えた形跡が出て来ております。このために苗不足が来たのではないかということで、最近調査いたしてみますと、確かに分蘗数がふえたというよりも、最初から植付本数が多かつたという実績が出て来ております。この基本的な調査作況調査の中に入つておりません。ときには分蘗数というようなことが出ております。ときには茎数というようなことが出ております。茎数ならばこれは問題はありませんが、本数が多く植えられたということについてどのような調査が行われておりますか、これが一点。  それから八月十五日現在の作況調査でございますが、特に東北地帯の去年の冷害から大体わせに幾分移行いたしておるようなことは、今の報告で明らかでございます。そういたしますと、わせに品種が移行いたしますと、これは必ず収量の上に影響しなければなりません。品種の移行を認めておりながら、収量は前年と同じだというようなことは出て来ないはずであります。前年は前年の品種によつて収量が出ております。これがわせにかわりますと、同じ気候、同じような条件でありましても、収量が——いわゆる粒数が少いのが当然なことでありまして、そういう点についての検討がこの調査の中からは出て来ておりません。むしろあえて無視しているような調査ではないかと思われますが、これに対する弁解がございましたならば附加して説明願いたいのです。  もう一点は、八月一日と非常に御無理な調査をお願いいたしたのでありますが、引続いて九月一日にまた調査を行われるように聞き及んでおりますが、九月一日の調査はどのような調査をなさるおつもりであるか、さらにまたこの予算の裏づけについてどのような配慮が加えられての調査であるのか、これらの点をお伺いいたしてみたいと思います。
  69. 野田哲五郎

    ○野田説明員 それではただいま御質問の最後の点につきまして私からお答えを申し上げたいと思いますが、九月一日の調査につきましては、前の委員会におきましてそういう調査をやりたいということを私の方で申し上げたのでありますが、その後八月一日の調査の結果に基きまして、これはなかなかたいへんであるから、われわれとしてはやることは非常に困難であると思えましたので、この委員会にもそのことを御説明申し上げまして御了解を得たいと思つております。  八月一日の調査につきまして、その予算的な裏づけに関しまして当委員会で非常な御支援をいただいたのでありますが、それに基きまして大蔵省と折衝いたしました結果、まだ最終段階には到達いたしませんけれども、向うの方でも相当好意を持つて話を進めてくれておるのでありまして、ある程度順調に話が進んでいるという御報告ができると思つております。
  70. 原政司

    ○原説明員 川俣先生の御注意の点につきまして、私から実情を御説明いたしたいと思いますが、川俣先生から御指摘のございましたように、私の説明が非常に不十分でございまして、分蘗数ではございませんので、全茎数の調査でございます。これは言葉を間違えましたので、御了解をいただきたいと思います。  なお先生から御指摘をいただきました、植込みが多かつたかどうかという点につきましては、実は苗しろの調査をいたしましたときに、大体農家の頻度数調査だけはいたしまして、それをもとにしていろいろと作柄検討に資したのでございます。さような点をお汲みいただければ幸いでございます。なおわせが全般にふえておりますことは御指摘の通りでございますが、わせがふえました関係で収量に影響がないかという御指摘でございますが、これはまつたく同感でございます。私らの今回の調査といたしましては、例年いろいろ御指導も得ておりますし、本年は特殊な作柄の年でもございますので、実は品種別にまた地域別に推定穂数の問題、またそれから考えられます全粒数の問題等もできるだけの見当はつけまして、ただいまの御指摘の点に遺憾のないような努力はいたしましたが、さような事情でございますので、お汲みをいただければ幸いだと思います。
  71. 川俣清音

    ○川俣委員 最後のわせに移行したために収量が減ることについての観点といいますか、調査方法において十分注意をしなければならないという点を喚起いたしておきたい、こう思うのでありまして、まだ穂も出そろわなかつた時代における推測穂数でありますから、私ここでにわかにこれを批判をしようとは思いませんけれども、九月十五日の調査になりますならばこれは明瞭に出て来るのではないか、出て来たものをやはり正確に把握する必要がある、こういう点でございます。しかしながらいつも前年はどうであつたかということが頭の中に入つて参りまして、前年よりも一割とか二割とか減ずるというような頭で見ますと、品種のかわつたことによるところの減収を除外しがちな傾向が現われるのではないかという点をおそれての質問でございますから、この点は注意を喚起するにとどめたいと思います。  さらに野田部長にお尋ねしますが、地方に行つて聞いて参りますと、九月一日にまた粒数調査を行うやの話を聞きますので、九月一日におやりになるのかどうか、もしおやりになるとすれば、この予算の裏づけがなかなか困難ではないかと憂慮いたしまして、お尋ねいたしたのでございますから、この点についてなお御答弁願いたいと思います。
  72. 野田哲五郎

    ○野田説明員 ただいま申し上げましたような意味におきまして、九月一日の調査は行わない方針でございます。なおそのことが地方に十分徹底しないとしますれば、すみやかに徹底するようにいたしたいと思います。
  73. 川俣清音

    ○川俣委員 次にもう一点だけお伺いしたい。統計事務所の職員も、昨年の冷害以来大分社会的な批判も加えられ、その結果について注目されて参りましたので、その調査に当りましては非常に親切な態度も見えて参りまして、これはわれわれとしては非常に喜ばしいことだと存じますが、地方に行つて実際に当つてみますと、これは露骨に申し上げますけれども、計算機等においても相当古くなつてつて、がたがたにこわれておりまして、計算機の機能を十分に発揮しないものもございますし、また自転車のようなものも、実は相当古いので、実際に能力が発揮できないようなものも相当あると思うのです。これは私は統計の持つておる特殊性といたしまして、決してほかの局と比較検討するわけではございませんが、あえて注意を喚起いたしたいのですけれども、これが食糧関係でありますと、外郭団体を相当つておりますし、それらの自転車を借りて一時運用するということもあり得るのですが、統計はまつたく第三者的な地位にありまして、むしろ農民からいえば白眼視されたり、敵視されるような状態の中に調査を遂行しなければなりませんために、村へ行つて、自転車がこわれたからといつて借りるわけにもなかなか行かないという状態のようであります。これは決して私はほかの関係の局を非難する意味で申し上げるのじやございませんが、確かに第三者的な調査をするということについては非常に障害が多い。またすべてのものを利用するのに便宜が与えられないという中に立つて調査でありまするから、ほかの局と台数が同じであるというようなことによつて、十分まわつているのだというようなことは、十分考えなければならぬことじやないかと思うのです。これはたとえば農業改良普及員でありましても、あるいは食糧事務所あるいは農地局関係の地方事務所でも、いろいろ農民に積極的な利益を与えましたり、便宜を与えますために受ける間接的な恩恵も決して少くはないのでありまして——別に私はこれを強調しようとは思いませんけれども、それに反しまして統計はまつたく独立した地位にありまして、なかなか困難な仕事を遂行いたしておると認めてやらなければならないと思うのです。それについては、十分とは行かないにいたしましても、希望の何分の一かにこたえ得るような態勢をとられることが、統計の事務遂行の上に完璧を期するならば、それだけの手当をしなければならないと考えまするが、これについての所感をお伺いいたしたい。
  74. 野田哲五郎

    ○野田説明員 ただいま御指摘の自転車あるいは計算機その他種々の計測機、かようなものが統計の仕事を遂行する上におきまして不十分であるということにつきましては、実は私もその感を深くしておるのでございます。従いましてこれの改善によりまして、いろいろ御期待をいただいております統計の内容を充実し、正確にするという考え方を持つておりますので、来年度予算要求におきましては、これを重点項目として大いに努力いたすつもりでございますが、なお一方におきまして、既定経費の各方面にわたりまして徹底的に節約をはかりますとともに、それによつてもし浮き出す余裕がありますならば、この方面にまず重点的に使つて行きたい、かような心組みを持つておる次第でございます。
  75. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀貢君。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初に資料について御質問しますが、北海道の場合においては御承知通り札幌、函館、北見、帯広というような事務所になつております。例年の資料によりますと、この事務所ごとのものがまた区分されておるわけであります。本年度のは北海道としての指数だけでありますが、お手元に事務所別の指数があれば、それを参考までに聞かしてもらいたいと思います。
  77. 原政司

    ○原説明員 札幌事務所は八五、それから北見事務所におきましては四六、それから函館につきましては七七、それから帯広につきましては六四ということになつておるわけです。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にただいま川俣委員も触れられましたが、この茎数の把握の場合であります。特に東北の一部あるいは北海道等において、出穂が一週間ないし二週間遅延して参るということになりますと、この茎数の中においては、無効分蘗と判定されるものが相当出て来ると思うわけです。そういう場合においてこの穂数の算定をやる場合においては、無効分蘗と判断されるごときものは、これを除外してやつておられるのか、そのことは九月十五日現在でなければ明確にわからぬか、その点をお伺いしたいと思います。
  79. 原政司

    ○原説明員 ただいまの芳賀先生の御質問の点でございますが、先ほど説明をはしよりましたので、非常に不完全でございましたが、数年前から私の方では茎数あるいは草たけの調査から、穂が出ます前に、あるいは二週間前とかあるいは場合によりましては二十日前に穂数が一体どの程度になるかというのを、何らか科学的にと申しますか、技術的に客観的に把握する方法はないかというので数年来研究しておりましたが、大体行けそうだという見当がつきましたので、本年は特に、ただいま御指摘のように無効分蘗が相当多いときでありますから、先ほど申し上げましたように、一株をばらしましてそれを茎別にかりに机の上なら机の上に並べまして、そのらくの茎についております葉の数、これは学問的に学者に言わしめますと、同化能力と言いますか同化面積ということになろうかと思いますが、そういうふうな調査。それからそれぞれの茎の長さが一番長いものに対してどういう関係になつているか。それからまた場合によりましては、それぞれの茎の中を切り開きまして、小さな穂がどの程度になつているか。そういう点を総合いたしまして、ただいま御指摘のございました有効か無効かの判定を茎別にいたしたのであります。さような意味でございますから、茎数につきましては有効無効というその先験的な考えではなくて、ただ実態をまずつかむ。それからただいま申し上げましたような手続で穂数の推定をいたしたのでございます。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 全国的の作柄概況によりますと、最初危惧されたものは相当一掃された形で、やや平年作に近いような明るい見通しを持てるわけでありますが、中に東北の岩手、青森あるいは北海道でありますが、私たちは委員会におきまして、七月の中旬に岩手、青森、秋田等の作況をも一部見てまわつたわけでありますが、それが非常に好転しているわけであります。しかもこの八月十五日現在の作況指数でありますが、その当時一例をあげますと、北海道においては世穂したものはおそらく三割程度であつたと思いますが、その出穂後十日あるいは半月くらいたつて、現在においてもそれが受精しておらぬというような現象が非常に最近になつて現われております。この調査によつては、その時期においてはそういう判別というものはできなかつたかもしれませんが、これはおそらく幼穂形成期におけるところの低温障害であるか、あるいは出穂直後における障害であるか、専門的なことは私もよく把握しておりませんが、そういうような事例が北海道のたとえば空知、上川等主たる稲作地帯の、いわゆる札幌事務所を中心にした管内において、ごく最近そういう問題が深刻に取上げられているわけですが、こういうような現象というものは、昨年の冷害とまた違つたような現われになつて来ているわけです。それでその後において現地の事務所等から、かかる状態に対する具体的な報告等があつたとすれば承知したいわけでありますが、その点はどうなつておりますか。
  81. 原政司

    ○原説明員 ただいま芳賀先生の御指摘の点でございますが、私らの方の調査といたしましては気象台の日別の気温等をちようだいいたしますほかに、気象については試験地におきましては磁気計測機を使いまして日別の状況を調査しているわけでありまして、特に北海道あるいは北東北におきましては、御指摘のような低温の危険もございますので、そういつた調査の速報をちようだいして、いろいろ検討はしております。それによりますと、御指摘のように確かに危険性は感じられるのでございますが、実は稔、不稔の調査等につきましては、技術的に見まして、やはりある期間を経過いたしましてから調査することが適切ではなかろうかと存じますのと、川俣先生からもよく御指摘いただきますように、実は職員も能力一ぱいの事情でございまして、計量的にただいまの先生の御質問にお答えする材料を私は持つておりません。しかし次回の調査におきましては、特に御指摘の点につきましては、非常に大事な点でございますから、十分しつかり調査をしたいと思います。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 全国的に見るとやや作況が平年並に行つているが、しかし局地的には非常に悪いというような場合においては、とかくこの局地的な災害地域というものは放置される場合がある。これは別に統計調査部の仕事の範疇ではありませんけれども、行政的な施策の面においてそういうことが繰返されているわけです。ですからして、かかる局地的な異例な災害等に対する作況の把握ということは、特にそこに重点を置いて取扱つていただくことが必要でないかと思いますし、ただいま私が言つたような現象は、科学的な一つの推断に立つたのではなくして、一般の農家がこれはだめなんだという状態が非常に現われているということなんです。統計事務所の人員の定数も承知しておりますが、こういうような声というものは、町村に駐在している改良普及員等のあるいは顕微鏡の判定等によつても、完全に受精機能が破壊されているので見込みがないというのが早生種においてもあるわけなんです。こういう点はひとつ現地に対して、特に早期に的確な調査を行つて、中央に対しても迅速なる報告が必要であるというようなそういう手配は願えると思いますが、いかがですか。
  83. 原政司

    ○原説明員 ただいまの芳賀先生の御指摘の点はまつたく御同感でございまして、ただ私らの方の事情を申さしていただきますと、御指摘のように出穂前におきます時期的な低温によりまして不稔が出ます場合と、それから本年の北海道のような御事情でございますと、出穂いたしまして後に不稔現象を起すという場合と、せつかく受精いたしましたものが立消えをするというようなこともございまして、非常に現象が複雑でございますので、それらの点の御指摘もございますから、技術的によく検討いたしまして、現地にも指示をいたしたい、かように存じます。
  84. 井手以誠

    井手委員 病虫害対策について伺いたい。病虫害対策については閣議決定の資料をいただきましたが、その具体的内容、方針がきまつておれば承りたいと考えております。この方針は大体八月十五日現在ぐらいであろうと考えておりますが、二化螟虫の発生に対してホリドールの散布は、激甚な地方では四回に及んでおります。これは一回散布分を越える部分につき、一回分を限度として補助するという決定のようでございまするが、ただそれだけであるか、四回も散布したところには特別のお考えがあるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  85. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 お答え申し上げます。冷害激甚地帯のいもちにつきましては、先般閣議決定がなされたわけでありますが、その後二化螟虫につきましても、特に九州を主体とする西部につきまして、非常な異常発生の様相を深めて参つたわけでございます。これに対しましても共同防除を促進する、そういう意味において、そしてまた食糧増産を達成する、減産防止をやる、そういう意味におきまして、冷害激甚地帯のいもちに対する対策と同様の措置を講じなければならぬ、こういうようなことになつたわけでありまして、当委員会におかれましても決議をしていただきまして、強力に政府に申出もあつたわけでございます。その後、大蔵省とも十分折衝をいたしまして、八月二十七日この決定に至つたわけであります。  なおいもちにつきましては、政府におきましても、五号台風等の通過によりまして、その影響として、穂首いもちの激発が予察関係等から予想されまして、冷害地帯に対するいもち対策と同様の対策を、適用なかつた地帯のいもちについても適用しなければならぬ、こういうようなところから、今般全国的に二化螟虫並びにいもちについて共同防除促進の意味において、農薬費補助を、前回に準じてやるように努めたわけであります。  なお具体的な内容につきましては、前回と同様に、平年発生面積を越える異常発生面積について、一回を限度として、農薬費の二分の一を助成する、そういうことになつております。二化螟虫につきましては、町当り補助単価が、二分の一で千七百二十円ということになつております。いもちにつきましては、前回の決定通り、千二百四円六十一銭、こういうことになつております。大体そういうことでございます。
  86. 井手以誠

    井手委員 二化螟虫については、一町歩当り半額に相当する千七百二十円の補助でありますか。
  87. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 そういうことでございます。
  88. 井手以誠

    井手委員 重ねてお尋ねいたしますが、生命の危険を冒して散布して「おるホリドール、私の方の地帯では、大体四回やつておりますが、そういう異常発生の地帯の、危険を冒しての散布に対して、一回分だけ、千七百二十円とは少額に過ぎるような気がいたすのであります。本年度予算から行きますると、昨年度病虫害補助の二十分の一しか最近、九州には来ていないのであります。総体的には非常に減つておる。そういうことから考えますと、これ以上には絶対できないと考えるか、さらにその後の事情考えて、増額する意思がおありになるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。  先刻作報関係の御説明によりますると、被害の割合に、減収は少いという、その裏には、そういうホリドールの散布、薬剤の散布があつたからこそ、減収が僅小で食いとめ得たと私どもは信じておりますが、単なる一回分だけの補助では足りない、大体もともとが本年は非常に農薬の補助が減らされておるということを考えれば、これだけではとうてい私は僅小に過ぎるという考えを持つておりますので、重ねてお尋ねいたします。
  89. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 二化螟虫につきましては、単価は先ほど申しましたように、ホリドールとBHC両方を平均いたしまして千七百二十円ということで、さらに先ほど申しましたように一回限りということになつております。これについてはいもちのときから相当問題もあつて、大蔵省等とも長い折衝を続けたわけでありますが、病害虫防除については、今後できるだけ薬の手当としては備蓄等を強化して対処するようにしまして、なお異常発生に対してこういう共同防除の促進をやる、そういつたような方針で一回限りということに決定いたしたのであります。それを二回、三回というふうには今後の見通しとしてはなかなか困難な状況でございます。
  90. 井手以誠

    井手委員 あなたに閣議決定になるような問題を追究するのはどうかと思うので、追加補助についてはお尋ねいたしませんが、今度の閣議決定による補助金の総額は、大体どのくらい見込まれるのか、さらに昨年度予算による農薬の補助金は幾らであつたか、ことしの農薬の補助金額については幾らであつたか、この三つの点をお尋ねいたします。
  91. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 大体前回の冷害激甚地帯のいもち、それから今回の閣議決定で全国的に法律の適用される範囲、それから今回二化螟虫を主体といたします病害虫防除全体をひつくるめて、農林省の算定では大体八億程度というふうに推算いたしております。昨年におきまする稲関係の病害虫防除の助成は二十二億足らずであります。
  92. 井手以誠

    井手委員 ことしは……。
  93. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 ことしは先ほど申したように八億であります。前に異常発生の当初予算に計上したものが二億ありますので、合せて十億であります。大体本年は昨年の半分足らずということになつております。
  94. 稲富稜人

    ○稲富委員 今の井手委員の質問に関連いたしまして、昨年度病虫害防除費は、異常災害であるとして二十二億ぐらいの金額だつたと思う。本年度はこういう天候であるし、相当病虫害が発生しておるということは、農林省はおわかりになつておると思う。しかも病虫害防除に対しては昨年の半額にも満たない。こういうことで病虫害の防除という目的が達成せられるというお考えを持つておるかどうか、その点の農林省としての見方を承りたいと思う。さらにまたこれに対する大蔵省との予算折衝に対しての経過をひとつ承りたい。
  95. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 御承知のように当初予算におきましては、先ほど申しましたように二億というものが計上されまして、従来のように——昨年は八億程度計上されたのが当初予算でございますが、本年は農薬補助予算について、先般農林大臣も当委員会で御説明になつたように、大蔵省と非常な激突をいたしまして、すつたもんだのあげく二億、但し農薬備蓄ということで、あわせて病害虫防除に対処するということで、当初予算は購入補助に二億、それから病害虫防除に一億足らず、農薬の備蓄に七億足らず、そういうような予算編成になつて対処するようになつたのでありますが、その後本年の稲作の経過をずつと見ておりますと、御承知のように五、六、七と非常な異常低温で、特に北海道、東北では冷害が激甚をきわめて、いもちの激発が予想され、当初予算の範囲ではとても病虫害の完全防除ができない、減産防止ができない。こういうような関係で、事業に減産防止の共同防除を促進する、そういうことで七月当時から大蔵省との折衝を始めて、当委員会、参議院あるいは自由党政調会等で非常な論議を重ねられまして、特に前回の冷害激甚地帯ということで北海道、東北、北陸、北関東の四県、それから長野、岐阜、そういう地帯に限つていもちに対する購入補助を出す、そういう閣議決定になつたわけであります。その点については、農林省としても最善の努力を払つたわけでありますが、そういうことになつたのであります。なおその後の経過として、二化螟虫あるいは五号台風等の通過により、いもちの激発等が予想されて、それだけではとてもこの病虫害防除の完全が期せられないということで、八月に入りましてからただちにいもちあるいは二化螟虫についての折衝を始めたのであります。一月ばかり毎日折衝を重ねてそういう状態になつたわけであります。農林省としては、できるだけ多く出して、共同防除を促進して減産防止に資したい、こういう気持で一ぱいでございますが、全体的な予算のわくということで、こういうことになつたわけであります。大体以上であります。
  96. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は本年度病虫害防除に対しましては、病虫害防除に対して、はたしてどのくらいの農民が犠牲を払つておるかということに対して、農林省は認識が不十分ではないかと思う。もし農林省が不十分ではないというならば大蔵省が不十分であるのであつて、昨年度予算編成に対しまして、大蔵省が病虫害防除費というものを一つも出さないようにするような意思があつたことも、もちろんわれわれ知つております。しかしその当時、予算が編成されましたときに農林大臣は、防除費が二億そこそこの予算が組まれておるけれども、もし本年度に異常発生等があつた場合には、予備費からも支出をするということをはつきりわれわれに答弁しておる。ところが本年度の昨年にまさる異常災害に対しまして、閣議決定を見ましても、当初農林省か大蔵省に要求した予算程度の予備費からの支出であつて、異常災害の状態はほとんど認められていない、こういうような状態に置かれていると思う。農林省は病虫害の防除に対しては万全を期したいということを考えながらも、よくもこういうようなことで納得されたものだと、われわれは実に唖然たるものがあるのであります。農林省はこれでやむを得ないというお考えであるか。大蔵省が出さないというから、不満は持つておるけれどもいたし方がないというあきらめであるのか。農民としましては、農林省の農業対策に非常な期待を持つておる。しかるにもかかわらず、農林省みずからがこれでやむを得ないのだということで農村対策をやられ、しかも防除対策をやられることは、私は非常な農民の期待に反することだと思う。でありますがゆえに私の聞きたいと思うのは、農林省はこれでいいと思われておるのか、農林省はどのくらい要求したかつたのであるか、それに対して大蔵省がどのくらい応じたのか、その点のいきさつを承りたいと思います。
  97. 井手以誠

    井手委員 ちよつと答弁の前に議事進行について……。当面の重要な農薬補助について、いつものことながら農林省の幹部の方がほとんどお見えになつておりません。そこで委員長に即刻大臣をこの席に出席してもらうようにお手配を願い、その上で質問をやりたいと考えております。
  98. 井出一太郎

    井出委員長 井手委員に申し上げますが、農林大臣はあなたの御要請もありまして、きようここへ出席方を極力求めたのであります。しかるにいろいろな事情で、ぜひあすにしてくれ、こういうことでありますので、今の農薬問題についての責任ある答弁は、あすの機会にお求めいただくことにいたしまして、本日は稲富委員のただいまの締めくくりの意味で、庄野課長から御答弁いただきまして、もしまだ足らぬ部分はこれまた明日に譲つていただきたい、かように存じます。
  99. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 本日塩見局長は、早朝でございますがソ連の方に農業視察のため出発いたしまして、局長は出張不在でありまして、私かわりまして出席いたした次第であります。あしからず御了承願いたいと思います。なお病虫害防除につきましては、われわれとしましては、当初から全国的に病虫害の防除、異常発生に対する稲作確保、そういう意味におきまして、異常対策を要求いたした次第であります。
  100. 稲富稜人

    ○稲富委員 要求金額は……。
  101. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 金額としてはまだ予算の要求の形になつておりません。方針を決定して、そして防除した実績に応じて予算を組んで支出する、こういうことになつておりますので、今推定いたしましたのはそういつた平常発生面積を越える異常発生面積について、一回を限りとして二分の一補助を出す、そういうような方針が決定しております。それによつて防除いたしました実績によつて予算を組んで地方の農民に出す、こういう方針でございます。それによつて農民としてはこういう限度においてできるだけ最善を尽されるように、こういう通牒を府県庁に出しておるわけであります。大体十月の終りには予備金の支出の運びになると思います。これは大体稲作の病虫害発生か終了いたしまして安定いたしましたところで、全国の報告をとりまとめ、それによつて予算を編成する、こういうことになります。おそくとも十月にはとりまとめ、十一月、十二月には支出の段取りといたしたい。
  102. 稲富稜人

    ○稲富委員 要求の金額は……。
  103. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 金額は初めから出しておりません。そういう方針で……。
  104. 稲富稜人

    ○稲富委員 推定は……。
  105. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 その当時は、発生対策ではなくて予想対策でございまして、推定ができなかつたわけであります。今のところで全国的の推定をいたしますと、いもち等は昨年より少し減つているようでございます。螟虫等の発生は昨年よりまさつておるようでございますが、大体昨年くらいにはなるのじやないかという見当はつけております
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連してお尋ねしますが、当委員会において、昨年の病虫害防除費を下まわらない額を支出すべきであるという議決が行われておる。ところが総務課長お話を聞くと全然数字に触れなくて折衝しておつたということは、委員会の議決を非常に軽視したものであると私は考える。今言われた当初予算の二億に八億のプラスをもらうことになるわけですが、これは本年度最終のわくとして一応そういうことを考えておるのか。現段階においてこのくらい必要である。今後予見できない多発の傾向が現われた場合においては、これにまた随時附加して行く、そういうお考えで当初から数字を要求しないで、こういう八億という数字が出たということは、その意図がどこにあつたかということを、もう少し明快に御答弁願いたい。
  107. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 八億は大体今の予想で推定いたしたところで、大蔵省には何ら出しておらない数字でございます。当院の御決議を軽視する考えは全然ないわけでございまして、初めから防除促進という意味において交渉を重ねて来た次第であります。平常発生の対策というものは補助の対象にしないというような閣議決定になつておるので、今後異常発生というようなことがありますれば当然この方針で積算の基礎になるわけであります。今後とも、発生いたしまして防除いたしました分は、この決定の範囲において予算を組んで行く、こういうことであります。一応今の段階で推定いたしましたのが八億でありまして、八億で要求したというような説明ではございません。
  108. 稲富稜人

    ○稲富委員 昨年の予算編成の当時に私たちが聞いたところによりますと、異常災害が発生した場合には予備費から支出するのだということは、大蔵省としては農林省にある程度の言質を与えておるようにわれわれは記憶してる。これに対してあなたの方が予備費からの支出に対して、金額も表わさないで要求されたなんということは、異常災害というものに対して農林省はあまりに認識不足ではないかと思う。ほんとうに本年度の異常災害というもの、病虫害の発生状態というものを御調査になり、いかに農民が防除に対して努力しておるかということを考えられるならば、昨年度予算編成にもそういう言質があつたのだから、本年度は当然このくらいの予算を必要とするということを、数字をあげて大蔵省に折衝することが必要だと私は思う。それをやらないということは、農林省としてこれに対する熱意があまりになさ過ぎるのではないかと思う。私はそう考えるのですが、当局としてはどういうような考え方か、その点承りたい。
  109. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 病害虫防除に対する熱意は十分持つておりまして、閣議決定を二回やつたわけであります。閣議決定まで持つて行かなければこういう支出ができないというような、非常な自主性をひとつ御賢察願いたいと思います。
  110. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも課長の話を聞いておりますと、農林省としては病害虫の防除に対しては熱意を持つておるとおつしやる。しかしそれに対する裏づけがない。裏づけがないというのは、農林省が政治力がないのか、それとも農林省がそれを認めたのか、その点に私は非常に大きな問題があると思う。大蔵省としては、おそらくデフレ予算だから出したくないでしよう。しかしながら大蔵省に予算を出させてその熱意を裏づけさせるということは、農林省がそれほどの強さ、それほどの熱心さをもつて大蔵省に要求することだ。そこに結論が生ずると思う。ところが現在の閣議決定を見ますと、先刻申し上げましたように、当初予算を要求された程度の閣議決定であつて、ほとんど農林省から見れば異常災害というものは見られていない。こういうような予算の裏づけの結果になると思う。今の課長のおつしやることを聞きますと、熱意は持つておるのだけれども、やむを得なかつたのだということは、大蔵省の意見をあなた方が認めたことになつて来る。そんなことでは農民は納得できないでしよう。この点私たちとしては熱意がなさ過ぎると思う。その点承りたい。
  111. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 異常発生対策として閣議決定になつたのであります。平常防除の点は補助の対象にしないで、異常発生の部分だけを補助する、こういうことになつております。その点については相当問題もあるかと思いますが、平常発生の面は農薬の備蓄対策で十分強化して行く、そういうことになつております。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 予算上の基本的な問題は明日井手委員等が農林大臣に直接答弁を求めるはずでありますが、ただここで承知しておきたいことは、たとえば異常発生の場合、別にこれは閣議決定等を要しなくとも、植物防疫法等によつても異常発生をした多発の地帯に対しては緊急防除計画を立てて、それに要した費用は二分の一国が出すということにきまつておるわけであります。当初予算においてそういう予算措置はまつたく講じないで、今ごろになつて緊急閣議でわずか八億くらいのはした金を、しかもそれも農林省は遠慮して、何ら具体的な数字を示さなかつたということは非常に遺憾なことだと思う。しかし総務課長を責めてもこれは無理かもしれませんので、この程度にいたしまして、先ほど御説明のあつた二化螟虫並びに稲熱病に対する助成に関連して——これは前回の委員会においても取上げた問題ですが、稲ひめはもぐりばえの異常発生に対する措置というものは、当時まだ講ぜられていなかつたのです。この問題は、二億の当初予算の範囲内においてはこれを解決することはできない。それで冷害を予測される地帯の稲熱病の発生であるとか、あるいは二化螟虫の異常発生等の問題に対応して当然予算措置が必要になつて来るので、この稲ひめはもぐりばえの問題は、そのとき同時に解決するという言明が当時あつたわけです。ところが本日の御説明によると、その点に対してはまつたく触れておられませんので、これはどのような措置で解決するお考えであるか、この点は総務課長で明確にできると思いますからお答え願います。
  113. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 大蔵省との折衝はいもちと二化螟虫を主体にして折衝しておりまして、閣議決定のことは病害虫ということになつておりますのでお含みを願います。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 病害虫という範囲内において善処するという意味でしようか。
  115. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 ここはそこまで言わなくても、その点はどうぞひと……。
  116. 井手以誠

    井手委員 大臣に聞く前にもう一ぺん庄野課長にお尋ねいたします。ここはごく内輪ですから正直なことを言つてもらいたい。正直な話、あなたの方では二十億か幾らかを相談しておつたのではないですか。異常発生であれば、一回まではできないけれども、それ以上の分をやろうというのは——私もかねてあなたの頭のよさも知つておりますが、それくらいなことはお考えになつておると思う。それだけ熱意のある当局ですから、大臣その他は知りませんけれども、大蔵省との折衝において大臣お話になる場合に、事務当局では十分お考えになつてつたと思うが、どのくらいの予算をお考えこなつてつたのですか。
  117. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 初めに申しましたように、いもち並びに二化螟虫につきまして異常発生という様相が非常に強くなつて来ました七月の当初において、病害虫異常発生対策として全国的に昨年と同様の措置を講じたい、そういう方針で大蔵省と折衝を開始したわけでありますが、当時はまだ発生の段階で、大体どの程度に発生するか、発生面積あるいは防除の面積、そういつた点が未知数でありまして、金額的には折衝不可能な状態で、金額的に折衝しなかつたというのではなしに、金額的な折衝が不可能なときでございまして、支出の方針として、どういう方針でどういう範囲にどういう補助率で出すかという、そういう方針を決定すれば、おのずから金額も決定する、そういうような考え方で、発生の未確定なときに方針を決定したわけでございます。その当時の考え方としては、稲作確保ということで、全国的に昨年通り考え方、そういうような考え方で計算すれば、現在の発生状況では、大体昨年程度の金がいるのではないか、今から考えればそう考えられるわけです。
  118. 稲富稜人

    ○稲富委員 ちよつとお聞きしたいのですが、大体農林省の大蔵省に対する予算折衝というものは、いつでも金額を示さないで、こういうような方針だからひとつ何とかしてくれろというような予算折衝をやられているのですか。予算折衝というものは、今のお話を聞きますと、どうも予算折衝に当つておる農林省の態度というものは、二化螟虫あるいは稲熱病の発生等に対しては、こういうような状態にあるからということで、数字は示さないで方針だけを示して、これによつて大蔵省から予算の支出を頼もうと思つてつた、こういうような交渉をなさつたように承れるのですが、予算折衝というものは元来そういうような方法でやられておるのですか。このたびの異常発生に対して特にそういうような予算折衝をされたのであるか、その点承りたい。
  119. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 予算折衝をする前提条件として閣議決定が必要だということで折衝をしたのであります。
  120. 川俣清音

    ○川俣委員 今の病虫害対策ですが、異常発生の場合のみを農林省はお考えになつておるようですが、これは人間に対する病気対策でも伝染病対策でも同じでありまして、第一に考えなければならぬのはやはり予防対策であると思うのです。ところが実際の予算折衝になりますと、蔓延して来なければ予算がとれない。こういう結果になつて予算獲得上は発生した方がよろしいというような、現実は逆になつたような考え方で農林省はおられるのかどうか。それよりもむしろ一歩進んで、予防対策について十分な理解を大蔵省に持たせることがより必要であると私は考えまするけれども、この点についての当局のお考えを伺いたい。
  121. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 先生のおつしやる通りであると思います。
  122. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後五時十二分散会