○原
説明員 私からただいま野田統計部長が概要御
説明しました点を補足しながら、
資料につきまして御
説明をいたしたいと思います。
ごらんの
通りお手元には二種類の
資料を配
つておりますが、厚い方は表題にも書いてございますように、北陸、東北、北海道における私の方の気象感応試験におきまする今年の稲の生育の姿をとりまとめたものでございます。いま
一つの薄い方は表題にございますように、また先ほど野田統計部長が申し上げましたように、八月一日で臨時にいもち病の発生状況を
調査いたしましたその結果でございます。たいへん部厚いものでございますから、ごらんいただきますにもたいへんお暑いところ恐縮しておりますが、厚い方から、要点といたしますところを私から
お話申し上げたいと思います。
めく
つていただきますと、そこに目次がございますが、この厚い
資料を大別いたしますと、二ページには気象感応試験地名と供試水稲品種の一覧表がございまして、第二番目の四ページ以下の気象感応試験地におきまする成績につきましては、以下大冊の
報告書の大半をこれに充てておりますが、要は本年の稲作を顧み、また現状から見まして、水稲の
見通しをいかように
考えたらよいかというとりまとめでございます。なお四十二ページに第三といたしまして、本年の稲の
出穂期等を判定いたしまするにつきまして、
関係の
資料として、気象感応試験地における幼穂形成始期あるいは最高分けつ期がどういうふうにな
つておるか、それから推定いたします
出穂期をどういうふうに
考えておるかということの成績概略でございます、なお四十四ページ以下には、主要な測候所あるいは気象台におきまする気象観測の本年の
経過を、平年あるいは昨年と対比いたしましてごらんをいただくという
趣旨でまとめたものでございます。
そこで、すでに御
承知のこととは思いますが、一応
お話を申し上げます順序といたしまして、四十四ページ以下の気象につきまして、概略お目通しをいただいたら幸いかと思
つております。途中にそれぞれ大きな見出しがかわりますたびに赤い紙が入
つておりますが、四十四ページに主要測候所における気象
経過の概況というので、以下その状況が入
つておる次第でございます。
四十五ページから五十一ページにわたりまして、グラフにいたしまして、おもなる測候所におきまする成績をここにお示ししたのでございます。ここに掲載いたしました測候所の地点は、札幌、函館、盛岡、秋田、福島、新潟、金沢というようにな
つております。その他の測候所につきましても、かように図示いたしますならば、ごらんいただきます際に御便宜かと思いましたが、時間等の制約がございまして、以上の測候所にとめたのでございます。たとえば四十五ページで、上欄が最高気温、下の方が最低気温にな
つておりますが、いずれの場合におきましても、真中の水平棒が
平均価でございまして、実線で結んでおりますのが本年の値でございます。なお本
年度の値は、ごらんいただきます際の御便宜にと思いましたが、実は結果的にはあまり図がよくございませんが、斜線を引いて
平均との
関係を表わしたものでございます。なおご参考までにに点線で昨年の状況を示しております。
札幌につきまして
一つだけ申し上げたい点は、六月の最高気温につきましては、六月の下旬がかなり
平均を上まわる好
天候が参
つております。七月のところをごらんいただきますと、若干低目ではありますけれ
ども、ほぼ
平均に近いような傾向をたど
つておる。それに対しまして最低気温は大体において最高気温よりは
平均に対しましてかなり低く推移している。つまりこの札幌の測候所の観測の結果があのかいわい一帯をよく代表しておるといたしますれば、これからわれわれが結論されますことは、最高気温はそれほど下らなか
つたが、北海道の札幌方面では最低気温が非常に下
つているということであります。これに対しまして同じ北海道ではございますが、四十六ページをごらんいただきますと、これは函館測候所の成績でございますが、この場合は札幌とは違いまして、最高気温におきましても、また最低気温におきましても非常に低下を示しております。その他の測候所から拝見いたしましても、北海道の場合は、太平洋の風が入ります地方、あるいはオホーツク海の風が入りますそうい
つた地方と、上川、空知あるいは札幌にかけますいわゆる日本海側の地方におきましては、同じ低温とは申しながら、その様相が非常に違うという点が特色であろうかと思います。
それから次に参りまして、盛岡、秋田の
数字が出ております。これは緯度が似かよ
つております。この両方の場所につきまして表海岸と日本海側とどういうふうな
関係にあるかということを御了解いただきますために盛岡及び秋田をここに図示したのでございます。いずれにいたしましても、
平均より大分下まわ
つております。その
程度は、ごらんの
通り盛岡が秋田よりは
程度が低いということになろうかと思います。なお両者の場合におきまして、六月下旬に、ある
程度平均を上まわる
天候が参
つております。これらのことは後刻申し上げまする稲の成育にある
程度の好影響をもたらしたのではなかろうか、かように推察しておるのでございます。
次に四十九ページに参りますと、福島測候所の
データがございますが、ここは最高気温の方が最低気温よりもかなり大きく下
つておるというような状況を示しておるかと思います。
次の五十ページ、五十一ページは、いわゆる北陸の状況でございます。これは先ほど来ごらんいただきました北海道あるいは東北の状況に比べますと、気温低下の度合いがずつと緩和されておるということがごらんいただけるかと存じます。以上おもなる地点につきまして、最高気温並びに最低気温が、平年並びに本年と比べて、どういうふうにな
つておるかということを図示いたしたのでございます。
五十二ページ、五十三ページ五十四ページにわたりまして、赤黒刷りといたしまして三枚ほど表がございますが、五十二ページの方は一日
平均の気温でございます。それが平年に対しましてプラス・マイナスどれくらいにな
つておるか。赤の方が平年よりも低い、黒の方は平年よりも高いということを赤黒の色によ
つてしわけたのでございます。
次の紙の五十三ページは、日照時間でございまして、黒の方は平年よりも日照りが多か
つた、赤の方が日照りが少か
つたということを赤黒の色刷りによ
つてしわけたのでございます。
五十四ページは降水量でございまして、これは黒の方が平年より多い、赤の方が平年よりは少いということを示したものでございます。先ほど図示いたしましたのは、最高気温並びに最低気温でございますが、この五十二ページの表は日
平均気温でございますので、両者をあわせごらんいただきますことによりまして、いろいろのご考察がご便宜かと存ずるかと存ずる次第でございます。ただ五十二ページにつきまして若干補足いたしますると、先ほど、札幌測候所の例にも現われておりましたが、北海道の中におきましても、場所によりまして相当低温の度合が違うということを申しましたが、北海道内の札幌、網走、帯広、函館の四測候所の
データがそこに書いてございますが、たとえば六月の中旬、下旬、七月の上旬等の成績を御比較いただきますればおわかりにな
つてくださいますように、かなり各地方によりまして、同じ北海道の中でも様相が違うようでございます。なお青森から福島、あるいは新潟から金沢にかけまする東北並びに北陸地方につきましても、裏日本と表日本の間には相当の傾向の違いがございまして、概して裏日本の方が気温低下の度合いはゆるやかだということがごらんいただけるかと存ずるのでございます。
なお五十三ページ、五十四ページは、特別に私からここで申し上げることもございませんので、ゆつくりごらんいただくことにいたしまして、ただいま御
説明申し上げましたのは、平年の値に対しまして本年がどれだけプラスかマイナスかということをお示し申し上げたのでございますが、五十五ページ以下は絶対値をそれぞれ書いてございまして、五十五ページが日
平均の気温でございますし、五十六ページは日照時間でございますし、五十七ページは降水量を示しているのでございます。絶対値をごらんいただきます際には、こちらの方の表でぜひごらんをいただきたいと存ずるのでございます。
以上が気象
関係のこの表をごらんいただきます際の補足
説明でございますが、元へもど
つていただきまして、三ページ以下につきまして御
説明申し上げたいと存じます。
先ほど申し上げましたように、ここに部厚く御
報告申し上げました
資料をごらんいただきます際の御便宜かと思いまして、三ページには、ここに掲載いたしました私の方の気象感応試験地の所在地、それからそこにおきます早、中、晩生別にどういう品種をここに
報告申し上げたかということを、一覧表として掲載いたしたのでございます。そういうものでございますので、御一覧を願いたいと存ずるのでございます。
それから四ページ以下は、気象感応試験におきまして、本年供試品種がどのような成育
経過をたど
つておるか、またいろいろの成績から試験をいたしました結果から見て、どうい
つた程度の穂数が期待できるだろうかというような点に関しまする
資料でございます。先ほど野田部長からも御
説明申し上げました
通り、気象感応試験は長い間継続いたしまして、しかも同一の品種、同一の条件を与えまして、もつぱら気象の要素と稲の成育につきまして試験研究をいたしまして、将来において気象と作物の個々の形質の変化等に関しまするある
農業的な法則を発見したい。それを作況
調査なり、あるいは場合によりましては増産指導等にもお役に立つかと思いますが、そういう
一つの法則、結果を得たいというのが
趣旨でございますから、この成績がただちに付近の農家の本年の
作柄を代表するものでもございません。さような点はどうかお含みをいただいてこの成績をごらんいただきたいと存ずるのでございます。
五ページをごらんいただきますと、実は妙な絵をそこに書いてございますが、これは以下書きました棒グラフ等によ
つてお示しいたしました
資料をごらんいただく際の御便宜にと思
つて、まずい絵を書いたのでございます。これは稲を縦に切りました
一つの模型的な断面を示しておるのでございまして、まん中にございますのが主稈と申しますか、母稈でございまして、上の方にほうきみたいなものがついておりますが、これは稲の穂のつもりでございます。そこにたとえば十五というような字が書いてございますのは、葉を一枚一枚勘定いたしますと、十五枚目にとめ葉にな
つたということを模型で書いているのでございまして、それから汽車の線路図みたいなものが横に出ておりますが、これは分けついたしまして、分けつの中でも第一次分けつというものでございます。それからその汽車の線路みたいなものから出ておりますのがいわゆる第二次分けつでございまして、さらに第二次分けつから出ます場合を第三次ということに用語がな
つておりますので、そうい
つた点を御
理解いただく御便宜と思いましてへんな模型を書いたのでございます。御
承知のように今年のような異常な気象条件下におきましては、単に茎数々々ということだけではいろいろな判断が十分でございませんので、私らの方といたしましては、後刻申し上げますように、こうい
つたそれぞれの区域につきましていろいろの区域別の
調査をいたしているのでございます。
模型図は以上にいたしまして、六ページから実はそれぞれの気象感応試験地におきまする今日までの生育
経過をグラフにいたしまして掲載いたしたのでございますが、第六ページは北海道の旭川にございます気象感応試験地におきまして、しかも表題にございますように直播栽培の成績でございまして、北海道では直播と温冷床苗しろがございますが、その温冷床苗しろにつきましては、同じ旭川の成績を八ページ、九ページに掲載してございます。六ページの表で、まずい表でございますから、ごらんいただきます際の約束といいますか、記号を申し上げておきたいと思います。いずれの場合におきましても、右の方の旭川市の横にちよつとモデルが書いてございますように、斜線が入りましたのは、
昭和二十八年つまり昨年の値でございます。その右の方の斜線がない方が本年の値でございます。この表は六ページは三段にな
つておりますが、それは早中晩ということで仕切
つてございます。それからたとえば農林二十号の欄をごらんいただきますと、一審左が草たけ、まん中が坪当りの茎数、右の方が、さつきごらんいただきました模型図における主稈の葉の数でございます。そういうことにな
つておりますが、草たけについて下の方に書いてございますように、左の方が田植えをいたしました後二十日目の状況でございます。右の方の背の高い方が、田植えをいたしました後四十日目の状況であります。それから坪当り茎数につきましても、一番左が田植え後二十日の状況でありまして、まん中が田植え後四十日目の坪当りの茎数の状況でございます。なおその右の方に(
出穂期)とございます。これは実は坪当り茎数ではございませんで、斜線が入りました昨年の値は昨年の穂数でございます。右の方に点線で書いてございますのは、八月一日の状況によりまして推定いたしました本年の推定穂数でございまして、これはまだ実際穂が出てみなければ、どのようになりますか、いろいろかわ
つて参るかと思いますが、私
どもが今日の段階におきまして推定をいたしました値でございます。右の方の主稈葉数につきましても、一番右が
出穂期のとめ葉の数ということになろうかと思います。一番右に本年の値がございませんのは、これは穂が出ていませんととめ葉が何枚まで参りますかちよつとわかりませんので、省いた次第でございます。なお以上のようなことは各品種について共通でございます。
なお表の約束だけを先に申さしていただきますが、次に七ページをごらんいただきますと、これはまん中の上の方に妙なのがございますが、これは先ほど模型図でごらんいただきましたように、いわゆる分けつが第一次、第二次、第三次分けつといろいろございますので、その第一次分けつが昨年と本年はどういうふうにな
つておるか、あるいは第二次はどうであろうか、第三次はどうであろうかというふうな、そういう分解
調査をいたしておりますので、それを図示したつもりでございます。たとえば左の方の第一次分けつの二十八年欄をごらんいただきますると、中に斜線が入
つております。この斜線の
部分は右の方に図の
説明が書いてございますが、種の割合と書いてあるのは、穂の割合でございます。要するに第一次分けつが二十八年でございますと、そういう高さまで穂が出た、そのうち黒い
部分が穂になりまして、従
つて白くあいております
部分が消えてなくな
つたと言いまするか、無効分けつにな
つたということを示しているのでございます。これは申し遅れましたけれ
ども、田植えをいたしまして四十日目の状況でございます。その第一次分けつの右の方に点々でございますのが、本年の第一次分けつの状況でございまして、たとえばこの中生栄光の場合でございますれば、第一次分けつにつきましては昨年よりは多いということに相なるのでございます。しかしながら第二次分けつの欄をごらんいただきますと、二十八と書いて低い棒がございますが、これはごらんの
通り、穂にな
つたのは昨年もなか
つた。しかし第二次分けつは若干昨年も出たわけでございます。しかし本年はゼロと書いてありますように、本年は第二次分けつは四十日目にはまだ出ておらなか
つた。それから右の方に第三次は○○とございますのは、昨年も第三次分けつは出なか
つた、本年も四十日目の
状態では出ていないということを示しておるのでございます。こうい
つた第一次、第二次、第三次の分けつの状況ば、だんだん南のほうに参りますに従
つて、たとえば北陸等をごらんいただきますれば、品種によ
つて非常に特性がございまするが、全体的に申し上げますると、第二次分けつが非常に旺盛に数多く出て参るのが、同じ北日本と申しましても、その中で北と南の違いでございます。その下の方でまたいろいろのことが書いてございますが、これを要点だけ申し上げますと、先ほどは気象台の成績を掲載いたしましたが、こうい
つた個々の生成
経過などを考察いたしまする際には、また気象感応試験といたしましても、気象要素と稲の成育
関係、あるいは成育変化等を研究いたすのが目的でございますので、気象台
一般の気象観測では間に合わないわけでございます。もつと微細な現地の状況がほしいのでございまするので、独自に現場でそのたんぼで
調査をしていますが、これを掲載いたしたのでございます。上欄は左の方が最高気温でございまして、それからまん中が最低気温、右の方が日照時数でございます。この場合におきましても、先ほどの札幌の気象台でごらんいただきました
通り、たとえば最高気温でごらんいただきますると、左の方の棒が種をまきましてから四十日までの状況でございまして、右の方が四十一日目から六十日までの状況を示しておる。これをごらんいただきますと、種をまきましてから四十日までは最高気温も昨年よりは下まわ
つておりまするが、四十一日から六十日の間になりますと、最高気温は逆に上に出て参る。これに先ほどの札幌の気象台の成績とほぼ傾向を同じくしているかと存じます。しかるに最低気温につきましては、まん中のグラフにございまするように、播種四十一日から六十日までの間におきまする日
平均におきましても昨年に及ばないのでございます。なお下の方に本田水温、それから下の方の右に本田地温というのがございますが、御
承知のようにことしのような年におきましては、特に気温と同時に本田の水温が
問題でございます。保温をいたしますれば非常に効果が大きいのでありますが、そうい
つた本田の水温なり、またさらには地温ということが
問題になりますが、そういう
意味で本田水温並びに地温をそこに図示いたしたのでございます。それでごらんいただきましてもおわかりのように、ほぼ最高気温と同じような姿を本田水温並びに地温は示しておるのでございまして、播種後四十一日から六十日の間におきましては、むしろ昨年よりも水温、地温とも上に出ているということがごらんいただけるかと存ずるのでございます。以上表をごらんいただきます際の約束と申しますか、記号の見方について申し上げたのでございます。
なお
一つ申し上げておきたい点でございますが、恐縮でございますが、六ページにまた再び帰
つていただきます。まん中のグラフの一番右の
出穂期の棒でございますが、先ほど申し上げましたように、左の方の斜線が入りましたのが昨年の結果的な穂数でございますが、右の方は八月一日の現在から見た穂数の推定概数でありますが、その点についてだけちよつと補足さしていただきたいと思
つております。御
承知のように、今年は全体として
出穂期が遅れておりますし、八月一日におきまして穂数がどうなるかということを推定いたしますのは、非常に冒険といえば冒険でございますし、非常に技術的に困難が例年よりは伴
つておるのでございます。しかしながらこの前皆さんの方からの御希望もございましたので、われわれといたしましては、年来いろいろ研究をしておりました中から、いろいろの研究結果を早急に整理いたしまして、できるだけ客観的に穂数の推定をし得る
方法というものをとりまとめ、これによ
つて実は推定をいたしたのでございます。先ほどごらんいただきましたように、稲を縦割りにいたしますと、いろいろの分けつがございまして、その
一つ一つがどうなるかということは、要するに穂数の推定に重要欠くべからざることに相なるのでございます。そこで私たちといたしましては、八月一日に試験に供しておりますから任意と申しますか、要するにランダムに株を拔取りまして、それを一株をばらしまして、くきごとに模型図のように並べたのでございます。並べまして、それぞれについております葉の数、特に青葉の数、それからまた
一つ一つのくきの長さが、まん中の一番背の高いものに対しましてどれくらいの割合にな
つておるか、それから
一つ一つをかみそりで切りまして——中のごく小さな一ミリとかあるいは三ミリ
程度でございますが、そういうものをかみそりで切りまして、拡大顕微鏡あるいは本格的な顕微鏡でのぞきまして、そうい
つた三者の
調査から、これが一人前の穂になるであろうかどうかということを
検討いたしたのでございます。もちろんさようにいたしましても、実際穂が出るまでにはまだ相当期間がございますから、相当の狂いも出て参るかと思います。しかしわれわれといたしましてはできるだけ客観的に、今日の農学技術の許す限りにおきまして最善を尽したのでございます。さような
方法によりまして穂数の推定をや
つたのでございます。以上がこの表をごらんいただきます際の約束的な事項でございます。
そこで以下ずつと場所ごとにごらんをいただきたいと思いますが、要はこの旭川の
データからごらんいただきますと、
あとの
データもよくこういう
一般的な傾向がございますが——はなはだ申訳ないミスをやりましたが、六ページの左の方の田植後二十日とございますのは播種後四十日、それから右の方の田植後四十日とございますのは播種後六十日というふうに、このページに限りまして御訂正をお願い申し上げたいと思います。これからごらんいただきますように、草たけにいたしましても、茎数にいたしましても、種をまきましてから四十日くらいの
状態、その四十日がどういう時期であ
つたかというのは、恐縮ですが七ページをごらんいただきますと、その右下の方に書いてございます。直播栽培の播種期は五月十五日でありまして、播種後四十日が六月二十四日、播種後六十日が七月の十四日に当
つておるわけでございます。でございますから、六月の下旬と七月の中旬との間の変化が左の二つの棒グラフに現われておりますが、茎数、草たけいずれの場合におきましてもその間に相当の変化が出て参りまして、ある
程度よくな
つておる。特に茎数につきましては草たけよりも回復の度合いが大きくな
つておりまして、この試験につきましてはむしろ昨年よりも若干多いという姿すら示しておるのでございます。なお坪当り茎数の一番右の方の推定稲数につきましては、先ほ
ども申し上げましたような
方法でいろいろ
検討いたしました結果は、ほぼこの場でございますと昨年に近づきはしないか、もちろん
調査いたしました八月一日から穂が出ますまでの間の期間の
天候その他の条件によりましてかわ
つては参りますが、さような状況に今日稲は育
つておるということをごらんいただきたいと存ずるのでございます。しかしながらこの旭川の直播には実験結果を持
つておりませんが、おそらくは私の想像するところによりますと、若干穂が小さくなることがありはしないか、つまり一穂
平均いたしました際のもみの数が若干少くはないかという懸念も抱かれるのでございます。それらの点につきましてはいま少し時間を
経過いたしませんと、まだかみそりで切りましてももみの数が調べられない
状態でございます。
八ページは北海道で一番多い冷床栽培につきましてお示し申し上げたのでございます。この場合におきましても、坪当り茎数の一番右でごらんいただきますように、穂数につきましてはある
程度確保できるのじやなかろうかというふうな成育状況を示しておる次第でございます。
それから九ページをごらんいただきますと、九ページの上の方は——実はここでちよつとごらんいただきたいのは、先ほどの直播栽培におきましては第一次分けつだけで、第二次分けつは昨年はほんの少し発生いたしましたが、本年は四十日目におきましてはほとんど出ておりませんでしたが、この直播栽培に対しまして、この場合冷床栽培におきましては、ごらんの
通り第二次分けつは昨年も出ておりますし、また穂にもな
つております。本年も第一次、第二次分けつがそれぞれ出ております。また第三次分けつにつきましても、昨年はごくわずかではございますが分けつが出まして穂にな
つておるのでございます。かように直播と移植栽培によりまして、栽培法が違いますことによ
つてそれぞれ稲の姿がすつかりかわ
つて参
つておることをごらんいただけるかと存ずるのでございます。
それから十ページに参ります。これは青森県の津軽平野の黒石にございます私の方の試験の結果でございます。ごらんの
通りでございまして、たとえば坪当り茎数につきましては、二十日目の
状態では、よく申されました
通り非常に貧弱で、一口に百姓流に申しますと植えたままの
状態でございましたが、四十日になりますと急激な増加を示して参りまして、八月一日におきまして先ほどのような青葉あるいは草たけ率あるいは葉数の顕微鏡的な観察等から推定いたしました穂数等から見ますと、かなりのところに行きそうだという推定も可能なわけでございます。ただちよつと取急ぎましたので、八月一日におきます茎数全体をここで棒でお示しいたしますともつと御
理解が楽でなか
つたかと思いますが、時間の
関係でできなか
つたことを残念に思
つております。ただ八月一日は、例年はや
つておりませんので、本年の値だけを出しましても昨年との比較ができにくいかというふうな心配もいたしましてここに掲げなか
つたような点もございます。
次のページは黒石の試験につきまして気象
関係、水温
関係を示したのでございますが、この場合もごらんの
通り特に地温につきましては、田植えをいたしましてから二十一日から四十日になりますと前年とほぼひとしい状況を示して来ておる。こうい
つたことが成育回復に
関係しておるのではなかろうかと思います。
次は
問題の青森県の太平洋岸の状況をごらんいただきます
資料といたしまして十二ページ十三ページは青森県の藤坂におきまする私の方の試験の結果でございます。この場合は田植え後四十日になりましても分けつの回復は遅遅としております。穂数につきましては、成育が例年おそいところへ持
つて来て、今年はかなり遅れておりますし、また先ほ
ども申し上げましたような
調査によ
つて穂数を推定し得る段階にもまだ至
つておらない状況でございまして、そういう状況から本年の穂数の推定は、ただいまのところ技術的に不可能な段階にございます。参考までに昨年の値をここに掲載いたしたのでございます。
十三ページは藤坂におきます分けつの体系別の状況でございまして、多少余分かもしれませんが、
問題にな
つております有名な藤坂五号と、また従来から名声を博しておりました有名な農林一号とが、稲としてどういうふうな違いがあるかというようなことも十三ページの上の方でごらんいただけるかと存じます。要は農林一号は第二次分けつ等が相当に出まして、それによ
つて収量を上げて行くというような性格を持
つておるかと思います。なお藤坂五号の欄について補足をいたしますと、これは昨年の全体の補数と茎数と、その中のそれぞれの茎の穂にな
つた関係でございますが、本年の状況は第一次分けつがかなり減
つております。つまり点々の右の方が大分下
つておりますが、これは第八節ぐらいの非常に高い場所から出て参ります。昨年は穂にならなか
つたような高い場所から出て参ります。茎がほとんど出ておらないというようなことも実は
データに現われておるのでございまして、要はここに書きましたのは非常に表示がむずかしいものですから、要点を要約いたしましたが、実はこまかく言いますと第一次分けつにつきましても、それが各節のどこから出たかということがもう
一つの
問題としてあるわけでございます。
次は盛岡にございまして、それからその次に参りますと、岩手県の山間部と言われます上閉伊郡でありますか、あるいは間違
つておるかもしれませんが、遠野におきます状況が十六ページ、十七ページにあるわけでございまして、それから十八ページに参りますと、これは仙台におきます試験地の状況でございまして、ここはどうも十分実が入るような穂が出るかどうかは別といたしまして、ただいまのわれわれの
調査によりますと、穂数の相当多くなるような成育状況を示しておるのでございます。十九ページも同じようなことでございまして、二十ページに参りますとこれは秋田市にある試験地でございまして、二十二ページは同じ秋田県ではございますが、大曲におきます成績を示したものでございます。二十ページ、二十一ページ、二十二ページ、二十三ページにつきましては、そういう点を申しますとほとんど同じような状況がごらんいただけるかと存じます。
二十四ページに参りますと、これは山形市におきます状況でございまして、ここに参りますと表海岸等をごらんいただいた目でごらん願いますと、田植後四十日の状況になりますと、すでに昨年の茎数に接近してお
つた、ものによりましては若干上まわ
つてお
つたというような
事情すら見えておる次第でございます。二十五ページ、二十六ページは、これは山形県でも山形市とは違
つております置賜の状況でございます。ここは山形市よりは、四十日の状況では若干穂数、茎数が少くな
つておりましたが、その後さらに大分回復をにいたしまして、穂数といたしましてはほぼ昨年に近いところに行きそうなけはいでございます。それから二十七ページも置賜の状況でございまして、二十八ページは福島県郡山市の試験の成績でございます。それから三十ページ、三十一ページは同じ福島県ではございますが、会津若松におきます試験の成績でございます。
それから三十二ページ、三十三ページは新潟県の高田の状況でございまして三十四ページ、三十五ページは新潟県の蒲原平野にございます長岡市におきまする試験の状況でございます。それから三十六ページ、三十七ページは富山市における状況でございまして、三十八ページ、三十九ページは金沢市の試験の状況でございまして、四十ページ、四十一ページは福井市におきまする試験の成績でございます。ごゆつくりまたごらんをいただきましていろいろお教えをいただきたい点がありますが、時間の
関係もございまするので、以上大体表の順序というような点に重点を置きまして御
説明申し上げたのでございます。
恐縮でございますが、四十二ページをごらんいただきますと、表題にございますように、ここに表示しました各品種につきまして幼穂形成の始期あるいは最高分けつ期、それから
考えました推定
出穂期等の状況でございます。
四十三ページにそれを一覧表として掲載をしておるのであります。幼穂形成始期につきましてはいろいろの定義がございますが、私らとして現在採用をいたしておりますのは、幼穂——小さな穂が茎の中へできまして、それが一ミリに達しました時期をも
つて幼穂形成始期という定義で扱
つておるのであります。よく幼穂形成始期とかいろいろ言われますが、それぞれ定義がございまして、それによ
つて若干の日がずれて参ります。私らの方の約束は今申し上げた
通りでございます。それからそこに最高分けつ期がございまして、その幼穂形成始期あるいは最高分けつ期から見まして、本年の出穂がこれからその大した低温も来ないで推移いたしますれば、いつごろ穂が出るだろうか、また昨年と比較いたしました場合に、そうい
つた推定の
出穂期がいつごろになるだろうかというのを右の方に示しております。括弧をいたしましたのは、
出穂期の推定でございます。で、二十八
年度のものは括弧がございませんのは、これは昨年の実績でございまして、一番右にございますのが、幼穂期の伸長状況、形成状況から推定されるただいまの
出穂期の遅れ方でございます。多少品種により、また場所によ
つて違
つておりますが、ごらんのような状況で、北の方が南に比べて遅れも大きそうだということに相な
つておるのでございます。
以上、たいへん端折
つて申し上げましたが、ごらんいただきましたような概観が八月一日までの稲の主要品種の成育の
経過でございます。
次にもう
一つの紙でお配りいたしました「水稲葉
稲熱病被害状況」につきまして若干補足させていただきたいと存じます。
めく
つていただきますと、第一表に御下命によりまして調べました北日本各県におきまする葉いもち病の八月一日現在におきまする被害面積、並びにそれに伴う減収見込量を書いた一覧表として掲載いたしたのでございます。先ほど野田部長がお急ぎになりまして一万四千町歩と申し上げましたが、それは十四万四千だということでございますからさように御了承をいただきたいと存じます。作付面積につきましては御案内のように各地につきまして実測いたしまする
関係から、まだ現場の作業が続いておりまして
決定は相当遅れますので、一応昨年の水稲作付面積を掲載いたしたのでございます。被害面積が次の欄にございまして、昨年の作付面積に対する比率を書いたものでございます。それが右から二行目でございまして、一番右が減収見込量でございます。
なお今回の水稲葉いもちの八月一日におきまする臨時
調査の大要につきましては、先ほど野田部長から御
説明申し上げました
通りでございますが、一、二補足をいたしますと、御
承知のように早々の間に御要求に応じまして
調査をしなければならないという
関係、いま
一つの
問題は、本年のいもちの発生状況を見ますと、昨年とは違いまして、路上あるいは畦畔等から立
つてながめておりますと、非常にわかりにくいような状況でございます。しかしながらたんぼに入
つてみますと、やはり病斑はある、こういう状況もございますので、私らといたしましては、先ほど部長から申上げました
通り、それぞれの株を任意にランダムに抽出いたしまして、それぞれの葉つぱについての病斑の密度を調べたのでございます。さようにいたしまして、できるだけあぜから見たり道から見て、見落しを起すというような危険を厳に避けたいということをいたしたのでございます。さような
関係からいたしまして、結局悉皆的に全部のたんぼを
調査することは不可能でございます。お聞きかもしれませんが、田畑を合せますと、日本全国の台帳上の筆数は、北海道を除き八千五、六百万筆ございます。北日本につきましても何千万というものがございますから、個々のたんぼを一一見てまわることは、言うべくして不可能でございますから、われわれといたしましては、推定額を適用いたしまして、先ほど部長が申し上げましたように一県
平均的に申し上げれば、二百の単位を抽出して、その単位の中から標準といたしましては五筆をランダムに抽出をして、その当
つた筆につきましては、またその中から株をランダムに抜いて個体観察をするという手続によ
つてや
つたのでございます。なお減収見込量につきましては、年来私の方で全国七ブロツクに駐在しております統計指導官が、こういう病斑が出ている場合、こういう時期に出た場合はこういう減収になるということを実地につきまして現地で試験、研究をや
つておりますので、それを
基準といたしまして、各現地の実情もそれに加えて、
一つの
調査尺度に合せて
調査いたしたのでございます。これから若干補足いたしますと、先ほど部長が申し上げましたように、昨年は実は八月一日には
調査しておりませんので、比較することはできないわけでございますが、しいて昨年の八月十五日をとりますと、面積におきましてはたしか二十三万町歩で、当時の減収見込量といたしましては六十万石か七十万石ぐらい見込まれておりました。それに対しましてただいまはかような状況にございます。御
承知のように葉いもちは
調査する時期が二週間も違いますと様相がま
つたくかわ
つて参りますので、かりに比較すればというようなことを申し上げましたが、それも実は私らとしては非常に気がかりになる点でございまして、八月一日におきましては一生懸命見ました結果がかような状況でございます。二ページ以下につきましては、それを各県について、県内の地方ごとにどういうふうにな
つているかということを実はまとめたのでございます。二ページに札幌、北見、函館、帯広と書いてございますのは、私の方の統計
調査事務所が北海道を四つにわけてございまして、札幌事務所、北見事務所、函館事務所、帯広事務所とな
つております
関係上、かような名称を付しておりますが、しめた合計は下の方に出ております。なおこの
地域の分類表につきましては、私らとしては年来気象条件、土壤条件あるいは耕種条件等を克明に調べてまた県の試験場等の過去の御研究等も取入れまして、ほぼ確定的な分類をしております。それによ
つたのでございまして、名称は必ずしも適当じやないかと思いますが、それぞれの
地域における状況をずつと五ページまで掲載いたしたのでございます。これをずつとごらんいただきますと、要はほぼ太平洋岸の方が出方が多い。また山間部における、あるいは高冷地における出方が若干多いというような状況にな
つているかと存じます。たとえば三ページをごらんいただきましても、青森県でございますと、被害面積率につきまして、南部地方が多うございますし、また岩手県についても北部山間あるいは東部の山間というような所が平坦地に比べて多く出ております。かような傾向は、きわめて常識的ではございますが、
一般に見られるところでございます。
なお申し遅れましたが、被害面積については先ほど部長から御
説明申し上げました
通り、病虫害特にいもちの防除対象面積となり、防除にお使いになるいろいろ御研究にな
つている面積とは当然違うのであります。
それから六ページに妙な表がございますが、これは看板といたしましては葉稲熱病発病
程度別概況でございます。これは先ほど
調査報告の際に御
説明を申し上げました
通り、病斑の密度、つまり全体の葉の面積に対する病斑の面積の割合、その状況から分類してみたならばどうなるか、これを先ほどの被害面積減収最
調査の全体の筆についてやることはとても不可能でございますので、ここに掲載したものは、先ほど各県については
平均的に申し上げると二百箇所を
調査したということを申しましたが、その二百箇所のうちの代表的なものについて十株ずつ五箇所を任意に抽出して、その株株について
調査をしてとりまとめたものでございます。ごらんのように一一%以上とか三から一〇%とか、〇・六から二%とかございますのは、要するに
調査をいたしました稲の株について、その葉つぱの面積に対するいもちの病斑が大小いろいろございますが、それの面積率でございます。さようなものが一一%以上あるとか、三%から一〇%
程度であ
つた。その中にございますのは、そういうものが全体の中でそれぞれどういう頻度を示しているかということでございまして、以下各
地域別にその頻度の分布状況をお示しいたしたのでございます。
たいへんお聞きづらい
説明ばかり申し上げましたが、御下命により
調査いたしました
報告書の大要を、以上補足
説明をいたした次第でございます。