運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-08-11 第19回国会 衆議院 農林委員会 第63号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十一日(水曜日)     午後零時二十七分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 金子與重郎君    理事 川俣 清音君    秋山 利恭君       佐藤善一郎君    田子 一民君       松岡 俊三君    松野 頼三君       松山 義雄君    並木 芳雄君       足鹿  覺君    淡谷 悠藏君       齋木 重一君    稲富 稜人君       中澤 茂一君    久保田 豊君       安藤  學君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    原  政司君         食糧庁長官   前谷 重夫君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 八月九日  委員淡谷悠藏辞任につき、その補欠として山  中日露史君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員佐々木盛雄君、吉川久衛君、芳賀貢君、山  中日露史君及び和田博雄辞任につき、その補  欠として松野頼三君、並木芳雄君、齋木重一君、  淡谷悠藏君及び足鹿覺君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧管理制度改正に関する件  食糧問題に関する件  本年産水稲生育経過の概況及び稲熱病被害状況  に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  午前中は理事会を開きまして、本日の委員会の運営の方法等について協議をいたし、引続き食糧に関する小委員の打合会を開きまして、食糧管理制度改正問題について、先般来小委員会において検討せられておりましたところを、小委員長がとりまとめました試案について協議をいたしましたが、午後正二時から本委員会を再開いたしまして、その劈頭に小委員長から御報告を求めることにいたします。午前中はこれにて休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  3. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず食糧管理制度改正問題について議事を進めます。  食糧に関する小委員長より発言を求められております。これを許します。
  4. 金子與重郎

    金子委員 食糧管理制度に関しまして、過日来の食糧小委員会委員諸君意見を総合いたしまして、この際一つのとりまとめを行つたのでありますが、まずその問題に入る前に、一応簡単に食糧小委員審議経過を御報告いたしまして、次に今の食糧管理制度改正に関する件を御説明申し上げたいと思うのであります。  第一回の食糧小委員会は七月二日に開きまして、食糧輸入に関する件を取上げました。その際西脇参考人外三氏の、主として食糧買入れに関する業者に参考人として出席願いまして、そうして買付方法あるいは政府との契約等問題検討いたしたのであります。  なお同日午後は、大麦、裸の政府買入れ問題につきまして、本年度政府決定いたしました大麦、裸の価格は、食糧自給体制確立の上に打立てました政策と非常な矛盾があるという問題指摘されまして、なお次に、食管制度問題検討いたしたのであります。  第二回は七月二十六日に開きまして、六等麦の買上げ問題を取上げまして、いろいろ検討いたしました結果、今月末までに数字を出して、大蔵省と交渉し結末をつけるということに、政府に要求いたしたのでございます。  次に食管制度改正問題につきましては、七月二十二日の農林委員会で、食対の答申の内容の説明政府から聞いたのでありますが、そのあとを受けて食糧庁長官に質疑をいたしたのであります。  その次に二十八年産米バツク・ペイ問題を取上げまして、これにつきましては、八月中に成案を得たいという旨を前谷長官から申されておるのであります。  第三回といたしまして、食糧管理制度の件を研究いたすために、参考人といたしまして、農業総合研究所馬場啓之助君、全販連の会長石井英之助君、それから京都大学教授大槻正男君、以上の三氏の参考人の御出席を願いまして、食糧管理制度に関する改正の件を討議いたしたのであります。当日の午後に至りまして、この食糧管理制度改正問題について、問題点を洗い上げまして検討し、その結果を委員長に成文化することを一任されたわけであります。本日午前の打合会におきまして、理事会に引続き、小委員長の作成いたしました案を検討いただきまして、ただいま申し上げる一応の素案ができたわけであります。  それでは食糧管理制度改正に関する件につきまして、とりまとめました案を朗読さしていただきます。    食糧管理制度改正に関する件   食糧管理制度は、国民食生活の安定に寄与するとともに、農政の重要な一環として、農業及び農民政策との深いつながりを考慮して、その帰趨が定まるものである。   現制度が漸くゆきずまりをみるにいたつたのは、この間の理解に透徹を欠くところがあつて、安易な外国食糧依存の風を一般にじゆん致し、国内食糧増産対策、わけても土地改良、防災、価格等に関する施策が逐次後退せしめられ、しかも生産者に対してはなお法的権力基礎として供出を強制しているにもかかわらず、他方配給消費面における法令実施にあたつては、大幅なゆるみをきたしているというむじゆんに起因するといわざるをえない。   わが国のこんちの経済実態にかんがみれば、いやしくも統制を緩和しうるごとき事態におかれていないことはあきらかである。   本委員会は不作を憂慮される本年の生産事情を目前にひかえ、当面の対策に慎重を期するとともに、国策に協力した誠実な農民がいわば不利益処分を受けるが如き結果となるような現行制度の諸欠陥を是正し、もつて食糧農業政策の改定ないしは建て直しを図ることがむしろ肝要であると認めるものである。   よつて政府は、食糧管理制度改正に当つては、左記の方針にもとずき、万いかんなく措置すべきである。      記  一、(一) 政府は、二十九年産米集荷については、冷害事情に対処し、かつ二元的な集荷方法にともなつて生ずることが予想される混乱を避けるため、現行供出割当制度といわゆる予約売渡制度との併用については、   (1) 諸奨励金を含む価格決定と、供出ないしは売渡数量との関係をいかにするかの問題、ならびに、   (2) いわゆる予約売渡制度は、け     つきよく超過供出方式予約売渡制度となり代り、供出中の最も困難な部分について農業協同組合にその責任を転嫁せしめ、農民の不信を買わしめる結果とならざるや否やの問題    について、慎重な検討行つた後、その結論を見出すこと。   (二) 政府は、三十年以降の産米について、すみやかに、米穀の計画的な増産政策ならびに農業経営安定政策に裏付けられた生産者の自主的な計画売渡制度に移行しうるようその手段方法を考究すること。   (三) 政府はいかなる名目と方法とによるにかかわらず、特集制度の如き集荷方法を採用しないこと。  二、配給については、生産地消費地内地米配給日数均等化を推し進めることとし、これがため生産地における代替麦の供給に特別の措置を講ずること。    労務加配についても、対象業種および加配基準に地方毎の凹凸がある事実に徴し、このさいその整理調整をはかり、できるだけ内地米の節減に努めること。  三、(一)生産者価格については、生産費を償い、再生産を確保せしめるよう現行水準の引上に努めること。    (二)生産費算定にあたつては、その重要要素である労賃基準について工業労賃との均衡を得せしめるものとすること。    (三)米価決定方式については、現行方式に対し根本的再検討を加えること。    (四) 生産者価格の一本化については、こんご充分な検討行つて実施に移すものとするも、特に超過供出奨励金および供出完遂奨励金については、供出割当が公正妥当に行われることを前提とするが、実際の割当にあたつてはその公正を期することの至難な実情にあることをとくと考慮に入れて措置すること。    (五) 二十九年産米価格決定に当つては、供出完遂奨励金(石当八〇〇円)を含む二十八年産米基本価格と対比して算定するよう特に留意すること。    (六) 早期供出奨励金については、予算の枠に拘束され、一方的に供出数量および金額を制限するが如き従来の方針を是正すること。    (七) 二十八年産米追加払は、従来の方式により速急に決定してこれを支払い、もつて年産米供出意欲を阻喪せしめないようにすること。  四、消費者価格決定に当つては、金利、倉敷料、運賃、事務費等政府経費の一部を一般会計負担として極力その上昇を抑えるものとすること。  五、食糧自給度を向上し、外米輸入を極力抑制するため、飯用麦、(大麦および裸麦)の増産対策を確立し、かつこれに関連する本年産裸麦価格改訂を早急に実施するとともに、精麦の品質向上のために必要な措置を講ずること。  六、闇米の根源である業務用米の取締りおよび消費規正を徹底する等その対策いかんなきを期すること。  七、外米輸入のもたらしつつある経済上、保健衛生上の禍根を絶つため、輸入食糧の品目、品種、数量価格買付先買付方式等につき、速刻、根本的、総合的に、再検討を加えること。   右決議する。    昭和二十九年八月十一日         衆議院農林委員会
  5. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの金子委員長の御報告になりました食糧管理制度改正に関する件、これを議題としてお諮りをいたしますが、本件を本委員会決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  それでは川俣委員より発言を求められておりますので、これを許します。川俣委員
  7. 川俣清音

    川俣委員 ただいまの決議につきまして、食糧庁はすみやかに実施行政面を打ち出さなければならないと思うのですが、食糧対策協議会答申と、本委員会決議とは異なる点も多々あります。そこでこれをどのように処置せられようといたしておりますか。ただいま決議したばかりでありまするから、即答は困難だと思いまするが、この現段階における長官の所信をもお伺いしたいと思います。
  8. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。ただいま当委員会食糧管理制度改正に関する御決議を拝見いたしたわけでございます。食糧対策協議会から食糧管理制度の改善に対する御意見が出ております。これは七月の中旬におきまして、平年の状態基礎にいたしまして考えられ、また本年の特別措置につきましても、その当時の事情をもとにして検討されたものと考えております。本委員会は、さらにその後におきまする情勢の変化、本年度作柄等をも考慮して、またお考えになつたことと存ずるわけであります。われわれといたしましては、その間食糧対策協議会答申がございまして、さらにこれを食糧庁といたしまして検討するために、各府県の経済部長会議を催しまして、いろいろ意見も徴しておつた次第でございます。幸い本委員会の御決議がございましたので、われわれが承るべき意見というものは大体出そろつた、かように考えております。これからただちに具体的な検討に入りたいと思います。
  9. 川俣清音

    川俣委員 二十九年度産米一般的な作柄見通しがだんだんついて参つて来たと思います。第一回の調査が八月十五日、やや今年は冷害等のために穂ばらみ期が遅れ、出穂期が遅れてはおりますものの、収穫期を前にいたしまして、すみやかに集荷対策方針を打ち出さなければならないと思いますが、大体いつごろ打ち出せる予定でございますか。また打ち出すといたしますならば、本委員会決議がありますので、方針がきまりましたならば、委員会報告をする用意があるかないか、この二点でございます。
  10. 前谷重夫

    前谷説明員 本年度集荷対策につきましては、御指摘のように収穫期が間近に迫つておりまするので、われわれといたしましても早急にやりたいと思つております。ただこの時間的関係は、できるだけ早くと考えておりますが、御承知のようにこの問題は、価格問題関係がございますし、できるだけ八月中にその方向を打ち出したいということで、いろいろ検討をいたしておりますが、価格等関連等もございますので、大体八月中にできるという正確な見通しもございませんが、そういう目標で現在いろいろ資料を集めておる次第でございます。
  11. 川俣清音

    川俣委員 二点の、具体案ができたならば本委員会報告する用意があるかどうかという点について……。
  12. 前谷重夫

    前谷説明員 第二点につきましては、もちろん決定いたしまして、当委員会の御都合等伺つて報告いたしたいと思います。
  13. 川俣清音

    川俣委員 今、長官からも述べられたように、この集荷対策基準となりますものに二点あります。一点は、二十八年産米追加払いは、従来の方式により速急に決定してこれを支払い、もつて年産米供出意欲を阻喪せしめないようにすることという決議の条項がございますが、これらに対して農林省が態度をきめられておるはずでありますし、すでに二十八年度産米決定にあたりまして、閣議におきましても追加払いすることは了承済みのものでありますので、もうすみやかなる処置をとられておるものと了解いたしますが、その点に関する長官の御説明を願い、あわせて二十九年の産米価格決定にあたりましては、米価審議会を開く用意があるはずだと思います。従来からの食糧庁見解によりますれば、八月の中あるいは下旬に開く用意ある旨の御答弁があつたように、聞いておりますが、この点に関する明快な御答弁をお願いいたしておきます。
  14. 前谷重夫

    前谷説明員 第一点の追加払いにつきましては、お話のように六月末のパリテイ決定いたしました。それによりますと、一二一・六三ということになりましたので、これでもつてデータが全部そろいました。それに基きまして、従来の算定方式と同じ方法をもつて今折衝いたしております。  それから第二点の米価審議会につきましては、実はある程度われわれもデータをまとめまして、米価審議会懇談会でもお願いしようかというふうに考えておりますが、まだ具体的に時期をいつにするかということについて、はつきりした日程はきまつておらないのであります。
  15. 川俣清音

    川俣委員 二十八年産米の追払金は、政府が予想いたしておりましたよりも、または特に大蔵省が期待いたしておりました数字を上まわりまして一二一・六三と現われておりますが、これは特に家計費よりも経営費上昇率が非常に高いこともまた説明を要しないのです。こうなつて参りますると、家計費ならば、デフレ政策に対応いたしまして、生活費の切り下げということも、あえて順応してもよろしいとも考えられますけれども経営費生産費上昇ということになりますと、これは生産を切り下げるかしなければならない結果になると思います。初めから食糧管理法に基きましても、再生産を可能ならしめるような価格決定をしなければならないという原則からいたしまして、二十八年度産米の追払金は、むしろ六月パリテイ上昇に基きまして、支払わなければならないという義務を、さらに痛切に感じられなければならないはずだと思うのです。これが下降状態を示しておりまするならば、年間の所得パリテイでございますので、デフレが遅れて来るということで、ある程度弁解余地もあつたと思うのですが、もうすでに六月パリテイが五月よりも上昇いたしました今日において、しかも家計費よりも経営費上昇ということになつて参りますと、これは何といつて弁解余地のない支払い義務が生じたと私ども理解するけれども長官はさような理解の仕方を持つておるかどうか、この点についての見解をお願いいたします。
  16. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの御指摘でございますが、われわれといたしましては、本年六月の指数が上る上らないにかかわらず、その当時と、去年の七月から六月までのパリテイ指数平均というものを、この前の米価決定のときの一つ前提として考えておつたという意味におきまして、これは当然この前申し上げたように、われわれとしては支払うべきものであるということで、交渉いたしておるわけでございます。ただいまの六月のパリテイが上りましたのは、季節的関係もございますが、主として雇用労賃の値上りが大部分でございます。それと牛馬の賃借料が上つておりますが、これは見方によりますと、季節的のようにも見られます。まあ六月のパリテイ上つた下つたということは関係なく、われわれは今までの平均パリテイでもつて追加払をやるべきものだという趣旨で交渉いたしております。
  17. 川俣清音

    川俣委員 六月のパリテイが季節的であるかないかということは、今は論じません。当然季節的であるにいたしましても、それを加味いたしまして、五月パリテイよりも六月パリテイが下るであろうということを、前の米価審議会におきましても、あるいは長官自身もこの席上において述べられておるところなんです。もちろん六月パリテイが下りましても、平均パリテイをとるのでありますから、六月パリテイ上昇によつて特に左右はされないけれども上昇したということについて、政府見通しがまつたく誤つてつたという責任だけは免れない、従いまして支払わなければならないという義務が、さらに加重されて来たというだけの認識を持たなければならない。自分の見通しが誤つていたのです。誤つた分についても、これは当然義務がさらに加重されて来たという観念をもつて折衝に当つておられるかどうか、この点です。
  18. 前谷重夫

    前谷説明員 私としましては、強力に折衝いたしております。もうすでに開始をいたして、前哨戦に入つております。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 今バツク・ペイ問題お話がありましたが、これは先般の米価審議会附帯決議の第三項によつて、二十八年産米生産者価格については、パリテイ指数上昇に応じて追加払い措置を講ずるためすみやかに米価審議会開催審議することとなつておるのです。今聞いておりますと、懇談会をいつ開いていいのか、まだ見当もつかないようなお話でありますが、審議会答申はまつたく蹂躙されておる。この附帯決議についても、当然これはすみやかにおやりにならなければならない責任があると私は思うのです。それでなくとも米価審議会については、非常にその論議が、言論界にも一般にも大きく影響して、米価審議会の開かれるまでの一般意見と、開かれた後における言論界論調等は大きく変化しておる。それだけ真摯であり、それだけ具体的な論議が重ねられておるのです。これを全然無視されておる。麦価についてはすでに無視されておりますが、これは死んだ子の年を数えるようなものですから、いまさらとやかくは申し上げません。しかし残された附帯決議に盛り上げられた問題は、まだ解決される余地のある問題なのです。これは委員会の善処によつてやるのか、規則に基いて要求しなければ開かれないのか、それとも速急に附帯決議参考趣旨に基いて開催をして、答申趣旨を尊重して善処せられる考えなのか、その点が一つ伺いたいのであります。  第二は、附帯決議の第二項に、検査規格及び基準麦決定については、生産者代表を参画させその適正化をはかること。なお本年の不順天候にかんがみ、六等麦を設け、これが政府買入れを行うこととなつておるのです。この点についても、あなた方は否定しておられない。その必要は認めるが、昨年の事由等もあつて、慎重を要するということであり、当日保利農林大臣も、できるだけ御趣旨に沿つて善処する旨の発言があつておるはずなんです。爾来今日まで約二月を経過しております。問題はこういう時期のあるものをかりにおやりになつても、麦の処置がすでに済んだあとでおやりになつたのでは、せつかくのものが意味をなさないと思うのであります。これは申し上げるまでもないのでありますが、六等麦の問題については、相当各方面から政府態度を注目しておられることは御存じの通りであります。この満場一致の本答申は全然無視されましたが、附帯決議についてはまだ浅された余地が、今申し上げました二点にあると思うのです。この際この委員会を通じて、関係農民政府態度を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 前谷重夫

    前谷説明員 第一の点の、米価審議会開催のことでございますが、従来委員の御要求によつてつてつたということもございますが、先般も申し上げましたように、いろいろ問題がございますので、われわれとしても、米価審議会懇談会をできるだけ早く開きたい。ただある程度資料を集めて、御説明をし、御意見を伺うだけの準備をいたしてから開催いたしたい。これはもちろん問題決定してからという意味ではございません。その前に御検討なり御意見を伺うにいたしましても、ある程度資料を整えたい、かように考えておる次第でございます。  第二点は、六等麦の問題でございますが、これは先般も当委員会決議がございますので、私としては買い上げることにいたしております。それで今問題になつておりますのは、地域をどうするかという問題価格の点についても多少問題がございますが、それもあわせて、結局財政負担と関連いたしますので、その財政負担の面から協議をいたしております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一つ六等麦の問題は、地域を限定されるのですか、地域財政負担問題を現在検討しておる、それが一応終れば告示をする、こういうふうに解釈してよろしいですか。大体その地域とはどの地域ですか、財政負担に要する経費とはどういう点でありますか、問題は急ぐのです。この前も御決議になつたそうでありますから、くどくは申し上げませんが、もう少し具体的に、新聞に出る前にもう大体見当がつくなら、本委員会で御発表になつてもいいと思います。
  22. 前谷重夫

    前谷説明員 地域の点につきましては、昨年度災害法令施行地域と同じようにいたしたいと思います。しかし今年度は昨年度事情と異なりますので、何か昨年度と異なつた意味の、つまり例年よりも特にその品物が災害なり天候のために悪かつた、こういう地域にいたしたいと考えておるわけでございますが、正直に申しまして、この地域決定は非常にむずかしいのであります。つまり一つ基準というものがなかなか困難な点がございますので、その点を検討いたしておるわけでございます。  財政負担の点につきましては、これは数量との関係もございますが、われわれ多く見て五十万俵程度でなかろうかと思いますので、昨年が約二億近くございましたから、それから行きますと、財政負担がもつと少くて済む。ただ数量の点はなかなかつかみにくいものでございまして、どの程度に集まるか、私どもは昨年度よりは少い、かように考えております。ただ全般的に食糧特別会計の金がない。また先ほど御指摘のありましたバツク・ペイ問題で、これも財政負担問題と関連いたします。そういう点からいたしまして、財政当局と折衝いたしておりまして、本日も実は課長が行つて折衝いたしております。
  23. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 六等麦の問題について、私もひとつ申し上げておきたいのですが、ただいま金子委員長からの御報告の中にありましたように、これはすでに決議もしておりますし、私が七月初旬から約十日間にわたりまして九州を視察して参りましたときにも、九州全体の要望でありますので、とりまとめて本委員会視察団として強く要望をいたしておいたことは、御承知通りであります。なお同日の午後農林大臣出席を要求いたしまして、大臣にも六等級の問題は、速急なる買上げをすべしということで強く要望をいたしておいたのですが、当局としては、七月一ばいまでに何とか目鼻をつけるということで、実はわれわれも七月の月末には告示を出されるものと期待しておつたのです。昨年には災害という意味で、九州の買上げは五万二千トンございます。ただいま二方四千トンばかり手持ちがあるのでありますが、しかしこれはやはり食糧管理の面からいつて食糧になりますものを主体として買上げを願いたい。ことに九州における麦の状況を見ると、大分県のごときは五二%等外品であるというような状況があるのでございまして、これはひとつ速急に告示を出していただきたい。今食糧長官お話を承ると、事務的な折衝でおやりになるという腹はきめたということでありますから、一段階は越えたのですが、地域の限定の問題、予算処置問題をこの際大至急にひとつ大蔵当局と折衝を願いまして、時期を失しては証文の出し遅れになりますから、そういうことのないように、速急に告示をなさるということにお願いをしたいと思うのです。一応これだけです。
  24. 川俣清音

    川俣委員 先ほどに続いてお尋ねいたしたいのですが、高知県のように二十九年度の第一期作がすでに収穫期に入りましたので、政府はさきに二十九年度の仮買入れ価格と申しましようか、概算払い価格と申しましようか、それを七千五百五十円と決定して、新聞発表等を行つておるようであります。この点について二点ほどお尋ねいたしたい。一つは七千五百五十円と仮買取り価格決定いたしました算定基礎です。  もう一点は、まだ予約制度あるいは割当制度等による集荷対策がきまつておりませんが、この早場米のうちの特に早場米と称せられるこれらの買取りについては、いかなる方法をもつて買い取られる方針を示しておられますか、この二点についてお尋ねいたします。
  25. 前谷重夫

    前谷説明員 御承知のように、仮価格問題につきましては、例年価格決定が九月に入りますので、毎年やつておるわけであります。そこで本年度におきましても、この仮価格決定を例年と同様に考えたわけでございますが、これにつきましての、考え方といたしましては、等級、包装等にかかわらず、価格決定を、昨年度の最低価格と申しますか、麦の場合におきましても、最低価格でもつて示したと同じ考え方をもつて算定いたしたわけでございます。たしか昨年度の仮価格は七千四百幾らかと記憶いたしておりますが、本年度は昨年度の仮価格よりは高くなつております。それは昨年度米価水準と本年度米価水準は違いますから、当然そうなることと思います。  高知県等の供出につきましては、これも従来と同様に、その分は本年度割当の中に入るわけでございます。早場の取扱い、これは従来も同様に取扱いをいたしておりますから、本年度も同様の取扱いをいたして、特に方針は示しませんが、従来通りに取扱いをいたして参りたいというように考えております。
  26. 川俣清音

    川俣委員 七千五百五十円というのは、昨年よりやや上つておりますが、その算定基礎を明らかにしてほしいのです。中途半端に七千五百五十円ときまつておりますが、一体何を基準にしたかということ、この点を明らかにしてもらいたい。
  27. 前谷重夫

    前谷説明員 昨年度の五等の価格基準にしておるのであります。それで等級は別に検査をいたしておりますが、本価格が定まりますると、その等級に従つて、その本価格によつて精算するということで従来ともに最低の価格で、包装ももちろん最低のものをとつておりますから、その包装の、価格がきまりますと、精算払いするという措置をいたしております。
  28. 川俣清音

    川俣委員 五等米の七千五百五十円ということはわかつています。七千五百五十円と算定した算定基礎をお示し願いたい。
  29. 前谷重夫

    前谷説明員 二十九年産米価格につきましては、これから本価格がきまるわけでございます。昨年の五等の価格をもつて価格とした、こういう形になるわけでございます。これは従来からいつもそういう形でもつてつておるわけであります。包装関係も、従いまして、いろいろ包装がございますが最低の包装のものをとつてあとから包装の本価格がきまりますと、精算払いをするということで、従来と何らやり方についてはかえておりません。
  30. 川俣清音

    川俣委員 それは説明にならない。去年の五等米が七千五百五十円だという基礎がわからない。何をもつて五等米を七千五百五十円で買つたかという基礎があるのですか。パリテイでもない。去年ののパリテイは七千五百五十円になつておりません。何の基礎によつたか。五等米の基礎はどこから出て米たかということを、聞いている。
  31. 前谷重夫

    前谷説明員 これは昨年度の二十八年産米について実施いたしましたものを基礎にいたしております。
  32. 川俣清音

    川俣委員 五等の実施価塔が七千五百五十円というのは出て来ないでしよう。五等の仮価格七千五百五十円というのはどこから出て来たか。実績でもないでしよう。パリテイはたしか七千二百四十五円ぐらいです。七千五百五十円というのはパリテイから出て来たのでもない。去年のパリテイから七千五百五十円というのは出て来ない。実績は七千五百五十円じやないはずだ。それは何かということです。
  33. 前谷重夫

    前谷説明員 これは一俵あたりにいたしておりますが、二十八年産米の五等を基準にいたしまして、算定をいたしたわけでございます。その場合におきまして、昨年度の五等は二千六百二十六円ということになつておるわけでございます。これは裸でございますが、包装のとり方によつてつて参るわけでございます。包装の最低をとりまして、二千八百七十円かと思いますが、そういう形で去年実施いたしました価格基準にいたしまして、仮価格をきめたわけでございます。
  34. 川俣清音

    川俣委員 どうもわからないのです。実施価格というのは、実際の買取り価格でもない。それでまたパリテイでもない。何か加算されていなければならない。そうすると買取り価格は、必ずしも実績によつたというまだ正確なものでもない。何を基準にされたか。何かパリテイにアルフアを加えられたという想像はできますけれども、実際の買取り価格だというとおかしいのです。こんなに安く買い取つておられるとすると、消費者価格が上るということがおかしい。実際の買取り価格でもないですね。
  35. 前谷重夫

    前谷説明員 実際の買取り価格考え方でございますが、いわゆる減収加算額とかそれから完遂奨励金とか、もちろんこれは除いております。パリテイ価格として、五等米として算定されました裸の価格、これを基準にいたしております。いわゆる完遂奨励金とか、減収加算というのは、これからはとのはずしてあります。
  36. 川俣清音

    川俣委員 それではパリテイに何かアルフアを加えられたのですか。
  37. 前谷重夫

    前谷説明員 昨年度の七千七百円が基準平均パリテイ価格になります。それに対しまして、これは三等が基準でございますが、それに対しまして、昨年の価格差を加えまして、それによりまして、五等米の基準価格というものが出たわけでございます。これを基礎といたしております。
  38. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、七千七百円の基準から、価格差をもつて七千五百五十円を出した。こういうふうに了解してよろしいのですか。そこで今年もこれはパリテイのほかに特別加算をするという概念が入つておるというふうに理解してよろしいのかどうか、この点だけお伺いしておきます。
  39. 前谷重夫

    前谷説明員 この仮価格問題は、本価格問題とは、従来からも全然別に考えておりますので、本年度価格の立て方をどうするか、これはわれわれといたしましても、本年度価格の立て方についてはいろいろ考え方を練つておるわけであります。仮価格につきましては、大体従来の考え方が、昨年実施した価格というものを基準にしてやつておりますので、さように御了承願います。
  40. 川俣清音

    川俣委員 非常にいい説明でございまして、結局去年の価格以下には基準価格は下らないということだけを明らかにされた、こういうふうに理解できると思います。少くとも仮払い金でございますから、基準価格がこれ以下には下らないというふうに了承できる。もしも私の了承の仕方が違いますれば——あなたの方で御訂正があれば別ですが、私はそのように了承いたしますから、御異議があれば御答弁願います。御異議がなければ、さよう了承いたします。
  41. 前谷重夫

    前谷説明員 二十九年産米価格につきましては、今検討中でございますので、これは何ともわれわれの方から申し上げられないわけでございます。
  42. 川俣清音

    川俣委員 そんなことはない。少くとも仮払い金でございますから、在来の例をもつてすれば、基準価格はこれ以下には下らないということは前例でもありまするし、慣習でもある。みなさように理解すると思うのです。この理解が間違つておるかどうか、私はおそらく間違つていないと思います。異議があれば御答弁いただきたいし、なければさよう了承する、こういうのです。
  43. 前谷重夫

    前谷説明員 この了承の問題でありますが、この価格の牲質だけを申し上げておきたいと思います。仮価格は、等級いかんにかかわらずということにいたしております。五等がこの価格ということではございません。仮価格決定の仕方は、全部同じものとして、等級にかかわらず、装包にかかわらずこの価格で買う、こういうことにいたしておるわけであります。本価格決定いたしますると、この等級によつて、やるわけでございます。その点を御了承願いたいと思います。
  44. 川俣清音

    川俣委員 この買入れは五等までやつておられますが、最低価格と見てよろしいのですね。三等価格とは理解できない。買入れの最低価格ということになりますと、買入れの最低価格は、目下の状態においては、五等価格、特に六等価格を設けられれば別でありますが、こういう買入れ価格というものは、最低の線をお出しになつている。少くともこれ以上はありません。これ以上の点は今後の情勢なり、今後の米価審議会の情勢による、こういうふうに私ども理解するのですが、実際はそういう理解でよろしいでしよう。
  45. 前谷重夫

    前谷説明員 どうも非常にむずかしいお話でありますが、これはこの価格をどういうふうに理解されるか、これはそれぞれのお方によつて違うと思います。ただこの価格は、従来も、御承知になつておりますように、仮価格でございますので、価格に従つて精算する。精算される場合におきましては、追加払いの場合もありまするし、あるいは徴収するという場合もある。これは建前のことでございます。仮価格というものはそういうものである。ただ考え方として、われわれはどういう考え方をもつて折衝しておるかということは、これは御了解願えると思いますが、結果の処理と、それからこの本価格決定問題と仮価格問題とを、そういうふうに直接的な関連をお出し願うと非常にむずかしいのではなかろうか、ただわれわれの気持は、考え方としてどこにあるかということは御了解願えると思います。
  46. 川俣清音

    川俣委員 了承した通りで、そういうふうにしておきます。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 今の本年の算定価格の七千五百五十円、これについての今の長官の御答弁について、去年の七千七百円の基準米価の話がありましたが、あれはパリテイ通りじやないでしよう。あれにはプラス、アルフアが加わつてつたはずです。数字は忘れましたが、七千七百円が大分下まわつております。そこで今年の七千五百五十円のものは、七千七百円を基準としておとりになつたのか、また独自の一つの想定パリナイなり、あるいは六月末のパリテイなりをとつて、その一つの最低の線を出されたのか。さつき川俣さんが言つておるのは基準問題で言つておるのです。今の御答弁では少し焦点がぼけてわからないのです。七千七百円というものの資料があれば——私も忘れましたが、大分切れていますよ。プラス、アルフアが相当加当加わつておるはずなんです。そのまま七千七百円を出されたのは、プラス、アルフアをとつた純粋の昨年のパリテイ米価から割り出して、今年の七千五百五十円を出したのか、もう少しその点を明確にしてもらいたい。
  48. 前谷重夫

    前谷説明員 これは足鹿君もよく御了承だと思いますが、実はこの問題につきましては、この仮価格決定いたしまするにつきましては、やはりいろいろ議論があつたわけでございます。本年度米価考え方というものにつきましては議論がありまするから、本年度の米の価格決定につきましては、正式に交渉する。ただ暫定価格としてどうきめるかといいまする場合に、昨年度価格基準にして格差で考えた。本価格とこの仮価格とは一応分離して考える、こういう考え方にいたしておるわけであります。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 その分離して考えられることは支障がない。あなた方がそう考えるのですから——要するに基準のとり方を、さつきの川俣委員の質問に対する御答弁は、七千七百円の基準価格基礎として、一応算出しておるという意味の御答弁があつたと思うのです。ところが七千七百円というものは、純粋のパリテイではない。これにプラス、アルフアが加わつて、七千七百円というものが出ておるわけなんです。その他の完遂だとか超過供出というものは、これは一応除外して、七千七百円の基準米価自体にプラス、アルフアがあるはずなんです。そこで今年の出し方というものは、やはり去年の最低価格というものを一応基準要素にとつておるということだけは間違いない。そうすると去年の最低の五等米というものは、七千七百円で行つておるのか、七千七百円のもとのアルフアを除いた純粋パリテイのものを基準として行つておるのか、そういうことをもう少し御答弁願いたいわけなんです。それは当然なんです。
  50. 前谷重夫

    前谷説明員 この価格はいろいろ標準があろうかと思います。七千七百円、これは平均価格でございまして、一つの等級格差を平均した価格であります。具体的価格というものは、全然これとは別に、三等、四等、五等と違うわけでございます。これは全部をプールした価格であります。われわれが考えましたのは、そういうプールした価格じやなくて、昨年度実施されました五等の価格、これを基準考えたわけでございます。その前提として、この基礎がどういう基礎であるかということが、今後の米価問題としてはいろいろ問題があろうかと思いますが、これは暫定価格でございますので、そういうむずかしい論争はやめにして、昨年度の五等を基準にいたしたわけでございます。
  51. 川俣清音

    川俣委員 今までの慣例または前例からみて、基準価格が仮価格から下るということはなかつたと思うのです。従つてこれは最低線だということが一般理解されておると思うのです。これは常識だと思うのですが、これから幾ら上まわるかというその期待に対しては、どれだけ報いられるかということは、長官といえども今ここで御答弁できないことは了承いたします。少くともこれ以下になる——あとで幾らかとらなければならない価格決定したというのは、普通農家には通じない価格だと思うのです。そこでこれは五等価格——買入れの最低価格の五等価格と、こう見るべきものだと思うのです。これはあなたがいかにごまかそうとしたところで、世間の観念は五等最低価格、こうなると思うのです。もちろん四等であればこれから幾らか上まわる、三等であればさらに上まわる。すなわち基本価格はこれ以下にはならないということが、この仮決定の中に含まれておると一般の人々が了解をしておる。この了解は正しいと思うし、私どももまたさように了解をしたい。これだけできようの私の質問は打ち切つておきたいと思います。     —————————————
  52. 井出一太郎

    井出委員長 引き続きこれより本年度食糧需給及び農業災害対策について調査を進めます。  本委員会といたしましては、本年七月までの異常気象により、稲作に非常な懸念をいたしまして、先般の委員会において、特に八月一日現在の稲作の作況並びにいもち等の病虫害の発生状況等の調査を農林省に依頼いたしておきました。本日これがまとまつたよしでありますので、この際その調査報告を求めたいと思います。野田統計調査部長
  53. 野田哲五郎

    ○野田説明員 先般の委員会において御要求のありました八月一日現在におきます水稲の成育状況について御説明申し上げます。実は八月一日の調査というのは、われわれの調査において予定していないものでありますことは御承知通りでありまして、私の方におきましては、八月十五日の調査を目標に万事作業を進めておつたところであります。なかんずく本年は面積調査を若干繰り上げるというようなことで非常に手がこんでおりましたので、やむを得ず、作況につきましては、当時も御了解をお願いしましたように、気象感応試験におきます状況をつかまえますし、なおただいま非常に問題になつておりますいもちの発生状況を、詳細に調べるということにいたしたわけでございます。われわれとしましては、最善を尽したつもりでありまして、九日の夕刻までに、すべての資料を持つて来てもらいまして、それを整理いたしまして、ただいまお手元に配付いたしましたような資料にまとめ上げた次第でございます。  気象感応試験におきますところの経過概要でございますが、これは御承知のように七月下旬以来、気候が非常に回復いたしましたので、その結果成育にも著しい改善を見ることができるようになつたのであります。ただ北海道と東北の東海岸、この地方はかなり前の低温の影響が残つておるわけでございますが、その他の日本海岸の諸地域すなわち東北、北陸を通じまして、この地域におきます成育の回復は、著しいものがあると思われます。その詳細につきましては、専門家の原作物統計課長から御説明してもらうことにいたしますが、大体の趨勢といたしましては、ただいまのような状況でございます。ただ稲の姿といたしましては、若干草たけが短かくて茎数がかなり多いというような状況をを呈しております。この状況は、農家が現実に作付しております圃上にそのまま適用するわけではございません。と申しますのは、気象感応試験におきましては、年々同一の品種の同一の栽培条件というもので、その年の気象によつてどういうふうに成育して行くかということを調べておるのでありまして、農家の場合におきましては、それらの栽培条件等いろいろ違つたことをやつておられますので、これがそのまま当てはまるということは考えられませんけれども一つの趨勢は十分うかがつていただけるかと思うのであります。  それから、被害調査の方におきましては、これは大体一箇年平均におきまして、作況調査圃というのを二百単位くらい持つておりますが、この作況調査圃につきまして、しらみつぶしにいもちの発生状況というものを調べます。なおその作況調査圃の属しております単位がございます。これはおおむね二町歩くらいでありまして、平均いたしますと十六筆くらいからなつておりますが、その中から、さらに五筆をとりまして調査したわけであります。作況調査圃におきましては、任意に十株ずつ五十株をとりましてそれを綿密に調べますが、それを作況調査圃から見ました資料に基いて判定するというような方式をとつたわけでございます。それによりますと、八月一日現在におきまして、おおよそいもちの発生面積は、北日本の一道十二県におきましては十四万町歩ということになつておりまして、前年八月十五日に調べましたときには二十三万町歩ありましたので、比較的発生が減つておるわけでございます。なお程度につきましては、厳密な対照をしておりませんけれども、昨年に比しましてかなり程度が軽いのではないかと思つております。これはいもちの発生が非常に懸念されましたのに対しまして、農家におきまして熱心な防除活動が遂げられた、あるいは熱心な早期発見に努められたということの結果であろうと思つております。なお改良局と連絡いたしてみますと、大体改良局関係におきまして、病虫害の防除活動をやられました面積は、ここに出て来ております面積の二倍ないし三倍、あるいはそれ以上のところもあります。かような数字が出て来ておりますのは、要するに、農家がこの問題を心配されまして、非常に熱心に防除活動をされたという結果であろうかと思つております。  きわめて概略でありますが、私からの説明をこれで終りまして、作物統計課長から詳細にかつ農学的に御説明さしていただきたいと思います。
  54. 井出一太郎

    井出委員長 次に原作物統計課長
  55. 原政司

    ○原説明員 私からただいま野田統計部長が概要御説明しました点を補足しながら、資料につきまして御説明をいたしたいと思います。  ごらんの通りお手元には二種類の資料を配つておりますが、厚い方は表題にも書いてございますように、北陸、東北、北海道における私の方の気象感応試験におきまする今年の稲の生育の姿をとりまとめたものでございます。いま一つの薄い方は表題にございますように、また先ほど野田統計部長が申し上げましたように、八月一日で臨時にいもち病の発生状況を調査いたしましたその結果でございます。たいへん部厚いものでございますから、ごらんいただきますにもたいへんお暑いところ恐縮しておりますが、厚い方から、要点といたしますところを私からお話申し上げたいと思います。  めくつていただきますと、そこに目次がございますが、この厚い資料を大別いたしますと、二ページには気象感応試験地名と供試水稲品種の一覧表がございまして、第二番目の四ページ以下の気象感応試験地におきまする成績につきましては、以下大冊の報告書の大半をこれに充てておりますが、要は本年の稲作を顧み、また現状から見まして、水稲の見通しをいかように考えたらよいかというとりまとめでございます。なお四十二ページに第三といたしまして、本年の稲の出穂期等を判定いたしまするにつきまして、関係資料として、気象感応試験地における幼穂形成始期あるいは最高分けつ期がどういうふうになつておるか、それから推定いたします出穂期をどういうふうに考えておるかということの成績概略でございます、なお四十四ページ以下には、主要な測候所あるいは気象台におきまする気象観測の本年の経過を、平年あるいは昨年と対比いたしましてごらんをいただくという趣旨でまとめたものでございます。  そこで、すでに御承知のこととは思いますが、一応お話を申し上げます順序といたしまして、四十四ページ以下の気象につきまして、概略お目通しをいただいたら幸いかと思つております。途中にそれぞれ大きな見出しがかわりますたびに赤い紙が入つておりますが、四十四ページに主要測候所における気象経過の概況というので、以下その状況が入つておる次第でございます。  四十五ページから五十一ページにわたりまして、グラフにいたしまして、おもなる測候所におきまする成績をここにお示ししたのでございます。ここに掲載いたしました測候所の地点は、札幌、函館、盛岡、秋田、福島、新潟、金沢というようになつております。その他の測候所につきましても、かように図示いたしますならば、ごらんいただきます際に御便宜かと思いましたが、時間等の制約がございまして、以上の測候所にとめたのでございます。たとえば四十五ページで、上欄が最高気温、下の方が最低気温になつておりますが、いずれの場合におきましても、真中の水平棒が平均価でございまして、実線で結んでおりますのが本年の値でございます。なお本年度の値は、ごらんいただきます際の御便宜にと思いましたが、実は結果的にはあまり図がよくございませんが、斜線を引いて平均との関係を表わしたものでございます。なおご参考までにに点線で昨年の状況を示しております。  札幌につきまして一つだけ申し上げたい点は、六月の最高気温につきましては、六月の下旬がかなり平均を上まわる好天候が参つております。七月のところをごらんいただきますと、若干低目ではありますけれども、ほぼ平均に近いような傾向をたどつておる。それに対しまして最低気温は大体において最高気温よりは平均に対しましてかなり低く推移している。つまりこの札幌の測候所の観測の結果があのかいわい一帯をよく代表しておるといたしますれば、これからわれわれが結論されますことは、最高気温はそれほど下らなかつたが、北海道の札幌方面では最低気温が非常に下つているということであります。これに対しまして同じ北海道ではございますが、四十六ページをごらんいただきますと、これは函館測候所の成績でございますが、この場合は札幌とは違いまして、最高気温におきましても、また最低気温におきましても非常に低下を示しております。その他の測候所から拝見いたしましても、北海道の場合は、太平洋の風が入ります地方、あるいはオホーツク海の風が入りますそういつた地方と、上川、空知あるいは札幌にかけますいわゆる日本海側の地方におきましては、同じ低温とは申しながら、その様相が非常に違うという点が特色であろうかと思います。  それから次に参りまして、盛岡、秋田の数字が出ております。これは緯度が似かよつております。この両方の場所につきまして表海岸と日本海側とどういうふうな関係にあるかということを御了解いただきますために盛岡及び秋田をここに図示したのでございます。いずれにいたしましても、平均より大分下まわつております。その程度は、ごらんの通り盛岡が秋田よりは程度が低いということになろうかと思います。なお両者の場合におきまして、六月下旬に、ある程度平均を上まわる天候が参つております。これらのことは後刻申し上げまする稲の成育にある程度の好影響をもたらしたのではなかろうか、かように推察しておるのでございます。  次に四十九ページに参りますと、福島測候所のデータがございますが、ここは最高気温の方が最低気温よりもかなり大きく下つておるというような状況を示しておるかと思います。  次の五十ページ、五十一ページは、いわゆる北陸の状況でございます。これは先ほど来ごらんいただきました北海道あるいは東北の状況に比べますと、気温低下の度合いがずつと緩和されておるということがごらんいただけるかと存じます。以上おもなる地点につきまして、最高気温並びに最低気温が、平年並びに本年と比べて、どういうふうになつておるかということを図示いたしたのでございます。  五十二ページ、五十三ページ五十四ページにわたりまして、赤黒刷りといたしまして三枚ほど表がございますが、五十二ページの方は一日平均の気温でございます。それが平年に対しましてプラス・マイナスどれくらいになつておるか。赤の方が平年よりも低い、黒の方は平年よりも高いということを赤黒の色によつてしわけたのでございます。  次の紙の五十三ページは、日照時間でございまして、黒の方は平年よりも日照りが多かつた、赤の方が日照りが少かつたということを赤黒の色刷りによつてしわけたのでございます。  五十四ページは降水量でございまして、これは黒の方が平年より多い、赤の方が平年よりは少いということを示したものでございます。先ほど図示いたしましたのは、最高気温並びに最低気温でございますが、この五十二ページの表は日平均気温でございますので、両者をあわせごらんいただきますことによりまして、いろいろのご考察がご便宜かと存ずるかと存ずる次第でございます。ただ五十二ページにつきまして若干補足いたしますると、先ほど、札幌測候所の例にも現われておりましたが、北海道の中におきましても、場所によりまして相当低温の度合が違うということを申しましたが、北海道内の札幌、網走、帯広、函館の四測候所のデータがそこに書いてございますが、たとえば六月の中旬、下旬、七月の上旬等の成績を御比較いただきますればおわかりになつてくださいますように、かなり各地方によりまして、同じ北海道の中でも様相が違うようでございます。なお青森から福島、あるいは新潟から金沢にかけまする東北並びに北陸地方につきましても、裏日本と表日本の間には相当の傾向の違いがございまして、概して裏日本の方が気温低下の度合いはゆるやかだということがごらんいただけるかと存ずるのでございます。  なお五十三ページ、五十四ページは、特別に私からここで申し上げることもございませんので、ゆつくりごらんいただくことにいたしまして、ただいま御説明申し上げましたのは、平年の値に対しまして本年がどれだけプラスかマイナスかということをお示し申し上げたのでございますが、五十五ページ以下は絶対値をそれぞれ書いてございまして、五十五ページが日平均の気温でございますし、五十六ページは日照時間でございますし、五十七ページは降水量を示しているのでございます。絶対値をごらんいただきます際には、こちらの方の表でぜひごらんをいただきたいと存ずるのでございます。  以上が気象関係のこの表をごらんいただきます際の補足説明でございますが、元へもどつていただきまして、三ページ以下につきまして御説明申し上げたいと存じます。  先ほど申し上げましたように、ここに部厚く御報告申し上げました資料をごらんいただきます際の御便宜かと思いまして、三ページには、ここに掲載いたしました私の方の気象感応試験地の所在地、それからそこにおきます早、中、晩生別にどういう品種をここに報告申し上げたかということを、一覧表として掲載いたしたのでございます。そういうものでございますので、御一覧を願いたいと存ずるのでございます。  それから四ページ以下は、気象感応試験におきまして、本年供試品種がどのような成育経過をたどつておるか、またいろいろの成績から試験をいたしました結果から見て、どういつた程度の穂数が期待できるだろうかというような点に関しまする資料でございます。先ほど野田部長からも御説明申し上げました通り、気象感応試験は長い間継続いたしまして、しかも同一の品種、同一の条件を与えまして、もつぱら気象の要素と稲の成育につきまして試験研究をいたしまして、将来において気象と作物の個々の形質の変化等に関しまするある農業的な法則を発見したい。それを作況調査なり、あるいは場合によりましては増産指導等にもお役に立つかと思いますが、そういう一つの法則、結果を得たいというのが趣旨でございますから、この成績がただちに付近の農家の本年の作柄を代表するものでもございません。さような点はどうかお含みをいただいてこの成績をごらんいただきたいと存ずるのでございます。  五ページをごらんいただきますと、実は妙な絵をそこに書いてございますが、これは以下書きました棒グラフ等によつてお示しいたしました資料をごらんいただく際の御便宜にと思つて、まずい絵を書いたのでございます。これは稲を縦に切りました一つの模型的な断面を示しておるのでございまして、まん中にございますのが主稈と申しますか、母稈でございまして、上の方にほうきみたいなものがついておりますが、これは稲の穂のつもりでございます。そこにたとえば十五というような字が書いてございますのは、葉を一枚一枚勘定いたしますと、十五枚目にとめ葉になつたということを模型で書いているのでございまして、それから汽車の線路図みたいなものが横に出ておりますが、これは分けついたしまして、分けつの中でも第一次分けつというものでございます。それからその汽車の線路みたいなものから出ておりますのがいわゆる第二次分けつでございまして、さらに第二次分けつから出ます場合を第三次ということに用語がなつておりますので、そういつた点を御理解いただく御便宜と思いましてへんな模型を書いたのでございます。御承知のように今年のような異常な気象条件下におきましては、単に茎数々々ということだけではいろいろな判断が十分でございませんので、私らの方といたしましては、後刻申し上げますように、こういつたそれぞれの区域につきましていろいろの区域別の調査をいたしているのでございます。  模型図は以上にいたしまして、六ページから実はそれぞれの気象感応試験地におきまする今日までの生育経過をグラフにいたしまして掲載いたしたのでございますが、第六ページは北海道の旭川にございます気象感応試験地におきまして、しかも表題にございますように直播栽培の成績でございまして、北海道では直播と温冷床苗しろがございますが、その温冷床苗しろにつきましては、同じ旭川の成績を八ページ、九ページに掲載してございます。六ページの表で、まずい表でございますから、ごらんいただきます際の約束といいますか、記号を申し上げておきたいと思います。いずれの場合におきましても、右の方の旭川市の横にちよつとモデルが書いてございますように、斜線が入りましたのは、昭和二十八年つまり昨年の値でございます。その右の方の斜線がない方が本年の値でございます。この表は六ページは三段になつておりますが、それは早中晩ということで仕切つてございます。それからたとえば農林二十号の欄をごらんいただきますと、一審左が草たけ、まん中が坪当りの茎数、右の方が、さつきごらんいただきました模型図における主稈の葉の数でございます。そういうことになつておりますが、草たけについて下の方に書いてございますように、左の方が田植えをいたしました後二十日目の状況でございます。右の方の背の高い方が、田植えをいたしました後四十日目の状況であります。それから坪当り茎数につきましても、一番左が田植え後二十日の状況でありまして、まん中が田植え後四十日目の坪当りの茎数の状況でございます。なおその右の方に(出穂期)とございます。これは実は坪当り茎数ではございませんで、斜線が入りました昨年の値は昨年の穂数でございます。右の方に点線で書いてございますのは、八月一日の状況によりまして推定いたしました本年の推定穂数でございまして、これはまだ実際穂が出てみなければ、どのようになりますか、いろいろかわつて参るかと思いますが、私どもが今日の段階におきまして推定をいたしました値でございます。右の方の主稈葉数につきましても、一番右が出穂期のとめ葉の数ということになろうかと思います。一番右に本年の値がございませんのは、これは穂が出ていませんととめ葉が何枚まで参りますかちよつとわかりませんので、省いた次第でございます。なお以上のようなことは各品種について共通でございます。  なお表の約束だけを先に申さしていただきますが、次に七ページをごらんいただきますと、これはまん中の上の方に妙なのがございますが、これは先ほど模型図でごらんいただきましたように、いわゆる分けつが第一次、第二次、第三次分けつといろいろございますので、その第一次分けつが昨年と本年はどういうふうになつておるか、あるいは第二次はどうであろうか、第三次はどうであろうかというふうな、そういう分解調査をいたしておりますので、それを図示したつもりでございます。たとえば左の方の第一次分けつの二十八年欄をごらんいただきますると、中に斜線が入つております。この斜線の部分は右の方に図の説明が書いてございますが、種の割合と書いてあるのは、穂の割合でございます。要するに第一次分けつが二十八年でございますと、そういう高さまで穂が出た、そのうち黒い部分が穂になりまして、従つて白くあいております部分が消えてなくなつたと言いまするか、無効分けつになつたということを示しているのでございます。これは申し遅れましたけれども、田植えをいたしまして四十日目の状況でございます。その第一次分けつの右の方に点々でございますのが、本年の第一次分けつの状況でございまして、たとえばこの中生栄光の場合でございますれば、第一次分けつにつきましては昨年よりは多いということに相なるのでございます。しかしながら第二次分けつの欄をごらんいただきますと、二十八と書いて低い棒がございますが、これはごらんの通り、穂になつたのは昨年もなかつた。しかし第二次分けつは若干昨年も出たわけでございます。しかし本年はゼロと書いてありますように、本年は第二次分けつは四十日目にはまだ出ておらなかつた。それから右の方に第三次は○○とございますのは、昨年も第三次分けつは出なかつた、本年も四十日目の状態では出ていないということを示しておるのでございます。こういつた第一次、第二次、第三次の分けつの状況ば、だんだん南のほうに参りますに従つて、たとえば北陸等をごらんいただきますれば、品種によつて非常に特性がございまするが、全体的に申し上げますると、第二次分けつが非常に旺盛に数多く出て参るのが、同じ北日本と申しましても、その中で北と南の違いでございます。その下の方でまたいろいろのことが書いてございますが、これを要点だけ申し上げますと、先ほどは気象台の成績を掲載いたしましたが、こういつた個々の生成経過などを考察いたしまする際には、また気象感応試験といたしましても、気象要素と稲の成育関係、あるいは成育変化等を研究いたすのが目的でございますので、気象台一般の気象観測では間に合わないわけでございます。もつと微細な現地の状況がほしいのでございまするので、独自に現場でそのたんぼで調査をしていますが、これを掲載いたしたのでございます。上欄は左の方が最高気温でございまして、それからまん中が最低気温、右の方が日照時数でございます。この場合におきましても、先ほどの札幌の気象台でごらんいただきました通り、たとえば最高気温でごらんいただきますると、左の方の棒が種をまきましてから四十日までの状況でございまして、右の方が四十一日目から六十日までの状況を示しておる。これをごらんいただきますと、種をまきましてから四十日までは最高気温も昨年よりは下まわつておりまするが、四十一日から六十日の間になりますと、最高気温は逆に上に出て参る。これに先ほどの札幌の気象台の成績とほぼ傾向を同じくしているかと存じます。しかるに最低気温につきましては、まん中のグラフにございまするように、播種四十一日から六十日までの間におきまする日平均におきましても昨年に及ばないのでございます。なお下の方に本田水温、それから下の方の右に本田地温というのがございますが、御承知のようにことしのような年におきましては、特に気温と同時に本田の水温が問題でございます。保温をいたしますれば非常に効果が大きいのでありますが、そういつた本田の水温なり、またさらには地温ということが問題になりますが、そういう意味で本田水温並びに地温をそこに図示いたしたのでございます。それでごらんいただきましてもおわかりのように、ほぼ最高気温と同じような姿を本田水温並びに地温は示しておるのでございまして、播種後四十一日から六十日の間におきましては、むしろ昨年よりも水温、地温とも上に出ているということがごらんいただけるかと存ずるのでございます。以上表をごらんいただきます際の約束と申しますか、記号の見方について申し上げたのでございます。  なお一つ申し上げておきたい点でございますが、恐縮でございますが、六ページにまた再び帰つていただきます。まん中のグラフの一番右の出穂期の棒でございますが、先ほど申し上げましたように、左の方の斜線が入りましたのが昨年の結果的な穂数でございますが、右の方は八月一日の現在から見た穂数の推定概数でありますが、その点についてだけちよつと補足さしていただきたいと思つております。御承知のように、今年は全体として出穂期が遅れておりますし、八月一日におきまして穂数がどうなるかということを推定いたしますのは、非常に冒険といえば冒険でございますし、非常に技術的に困難が例年よりは伴つておるのでございます。しかしながらこの前皆さんの方からの御希望もございましたので、われわれといたしましては、年来いろいろ研究をしておりました中から、いろいろの研究結果を早急に整理いたしまして、できるだけ客観的に穂数の推定をし得る方法というものをとりまとめ、これによつて実は推定をいたしたのでございます。先ほどごらんいただきましたように、稲を縦割りにいたしますと、いろいろの分けつがございまして、その一つ一つがどうなるかということは、要するに穂数の推定に重要欠くべからざることに相なるのでございます。そこで私たちといたしましては、八月一日に試験に供しておりますから任意と申しますか、要するにランダムに株を拔取りまして、それを一株をばらしまして、くきごとに模型図のように並べたのでございます。並べまして、それぞれについております葉の数、特に青葉の数、それからまた一つ一つのくきの長さが、まん中の一番背の高いものに対しましてどれくらいの割合になつておるか、それから一つ一つをかみそりで切りまして——中のごく小さな一ミリとかあるいは三ミリ程度でございますが、そういうものをかみそりで切りまして、拡大顕微鏡あるいは本格的な顕微鏡でのぞきまして、そういつた三者の調査から、これが一人前の穂になるであろうかどうかということを検討いたしたのでございます。もちろんさようにいたしましても、実際穂が出るまでにはまだ相当期間がございますから、相当の狂いも出て参るかと思います。しかしわれわれといたしましてはできるだけ客観的に、今日の農学技術の許す限りにおきまして最善を尽したのでございます。さような方法によりまして穂数の推定をやつたのでございます。以上がこの表をごらんいただきます際の約束的な事項でございます。  そこで以下ずつと場所ごとにごらんをいただきたいと思いますが、要はこの旭川のデータからごらんいただきますと、あとデータもよくこういう一般的な傾向がございますが——はなはだ申訳ないミスをやりましたが、六ページの左の方の田植後二十日とございますのは播種後四十日、それから右の方の田植後四十日とございますのは播種後六十日というふうに、このページに限りまして御訂正をお願い申し上げたいと思います。これからごらんいただきますように、草たけにいたしましても、茎数にいたしましても、種をまきましてから四十日くらいの状態、その四十日がどういう時期であつたかというのは、恐縮ですが七ページをごらんいただきますと、その右下の方に書いてございます。直播栽培の播種期は五月十五日でありまして、播種後四十日が六月二十四日、播種後六十日が七月の十四日に当つておるわけでございます。でございますから、六月の下旬と七月の中旬との間の変化が左の二つの棒グラフに現われておりますが、茎数、草たけいずれの場合におきましてもその間に相当の変化が出て参りまして、ある程度よくなつておる。特に茎数につきましては草たけよりも回復の度合いが大きくなつておりまして、この試験につきましてはむしろ昨年よりも若干多いという姿すら示しておるのでございます。なお坪当り茎数の一番右の方の推定稲数につきましては、先ほども申し上げましたような方法でいろいろ検討いたしました結果は、ほぼこの場でございますと昨年に近づきはしないか、もちろん調査いたしました八月一日から穂が出ますまでの間の期間の天候その他の条件によりましてかわつては参りますが、さような状況に今日稲は育つておるということをごらんいただきたいと存ずるのでございます。しかしながらこの旭川の直播には実験結果を持つておりませんが、おそらくは私の想像するところによりますと、若干穂が小さくなることがありはしないか、つまり一穂平均いたしました際のもみの数が若干少くはないかという懸念も抱かれるのでございます。それらの点につきましてはいま少し時間を経過いたしませんと、まだかみそりで切りましてももみの数が調べられない状態でございます。  八ページは北海道で一番多い冷床栽培につきましてお示し申し上げたのでございます。この場合におきましても、坪当り茎数の一番右でごらんいただきますように、穂数につきましてはある程度確保できるのじやなかろうかというふうな成育状況を示しておる次第でございます。  それから九ページをごらんいただきますと、九ページの上の方は——実はここでちよつとごらんいただきたいのは、先ほどの直播栽培におきましては第一次分けつだけで、第二次分けつは昨年はほんの少し発生いたしましたが、本年は四十日目におきましてはほとんど出ておりませんでしたが、この直播栽培に対しまして、この場合冷床栽培におきましては、ごらんの通り第二次分けつは昨年も出ておりますし、また穂にもなつております。本年も第一次、第二次分けつがそれぞれ出ております。また第三次分けつにつきましても、昨年はごくわずかではございますが分けつが出まして穂になつておるのでございます。かように直播と移植栽培によりまして、栽培法が違いますことによつてそれぞれ稲の姿がすつかりかわつてつておることをごらんいただけるかと存ずるのでございます。  それから十ページに参ります。これは青森県の津軽平野の黒石にございます私の方の試験の結果でございます。ごらんの通りでございまして、たとえば坪当り茎数につきましては、二十日目の状態では、よく申されました通り非常に貧弱で、一口に百姓流に申しますと植えたままの状態でございましたが、四十日になりますと急激な増加を示して参りまして、八月一日におきまして先ほどのような青葉あるいは草たけ率あるいは葉数の顕微鏡的な観察等から推定いたしました穂数等から見ますと、かなりのところに行きそうだという推定も可能なわけでございます。ただちよつと取急ぎましたので、八月一日におきます茎数全体をここで棒でお示しいたしますともつと御理解が楽でなかつたかと思いますが、時間の関係でできなかつたことを残念に思つております。ただ八月一日は、例年はやつておりませんので、本年の値だけを出しましても昨年との比較ができにくいかというふうな心配もいたしましてここに掲げなかつたような点もございます。  次のページは黒石の試験につきまして気象関係、水温関係を示したのでございますが、この場合もごらんの通り特に地温につきましては、田植えをいたしましてから二十一日から四十日になりますと前年とほぼひとしい状況を示して来ておる。こういつたことが成育回復に関係しておるのではなかろうかと思います。  次は問題の青森県の太平洋岸の状況をごらんいただきます資料といたしまして十二ページ十三ページは青森県の藤坂におきまする私の方の試験の結果でございます。この場合は田植え後四十日になりましても分けつの回復は遅遅としております。穂数につきましては、成育が例年おそいところへ持つて来て、今年はかなり遅れておりますし、また先ほども申し上げましたような調査によつて穂数を推定し得る段階にもまだ至つておらない状況でございまして、そういう状況から本年の穂数の推定は、ただいまのところ技術的に不可能な段階にございます。参考までに昨年の値をここに掲載いたしたのでございます。  十三ページは藤坂におきます分けつの体系別の状況でございまして、多少余分かもしれませんが、問題になつております有名な藤坂五号と、また従来から名声を博しておりました有名な農林一号とが、稲としてどういうふうな違いがあるかというようなことも十三ページの上の方でごらんいただけるかと存じます。要は農林一号は第二次分けつ等が相当に出まして、それによつて収量を上げて行くというような性格を持つておるかと思います。なお藤坂五号の欄について補足をいたしますと、これは昨年の全体の補数と茎数と、その中のそれぞれの茎の穂になつた関係でございますが、本年の状況は第一次分けつがかなり減つております。つまり点々の右の方が大分下つておりますが、これは第八節ぐらいの非常に高い場所から出て参ります。昨年は穂にならなかつたような高い場所から出て参ります。茎がほとんど出ておらないというようなことも実はデータに現われておるのでございまして、要はここに書きましたのは非常に表示がむずかしいものですから、要点を要約いたしましたが、実はこまかく言いますと第一次分けつにつきましても、それが各節のどこから出たかということがもう一つ問題としてあるわけでございます。  次は盛岡にございまして、それからその次に参りますと、岩手県の山間部と言われます上閉伊郡でありますか、あるいは間違つておるかもしれませんが、遠野におきます状況が十六ページ、十七ページにあるわけでございまして、それから十八ページに参りますと、これは仙台におきます試験地の状況でございまして、ここはどうも十分実が入るような穂が出るかどうかは別といたしまして、ただいまのわれわれの調査によりますと、穂数の相当多くなるような成育状況を示しておるのでございます。十九ページも同じようなことでございまして、二十ページに参りますとこれは秋田市にある試験地でございまして、二十二ページは同じ秋田県ではございますが、大曲におきます成績を示したものでございます。二十ページ、二十一ページ、二十二ページ、二十三ページにつきましては、そういう点を申しますとほとんど同じような状況がごらんいただけるかと存じます。  二十四ページに参りますと、これは山形市におきます状況でございまして、ここに参りますと表海岸等をごらんいただいた目でごらん願いますと、田植後四十日の状況になりますと、すでに昨年の茎数に接近しておつた、ものによりましては若干上まわつてつたというような事情すら見えておる次第でございます。二十五ページ、二十六ページは、これは山形県でも山形市とは違つております置賜の状況でございます。ここは山形市よりは、四十日の状況では若干穂数、茎数が少くなつておりましたが、その後さらに大分回復をにいたしまして、穂数といたしましてはほぼ昨年に近いところに行きそうなけはいでございます。それから二十七ページも置賜の状況でございまして、二十八ページは福島県郡山市の試験の成績でございます。それから三十ページ、三十一ページは同じ福島県ではございますが、会津若松におきます試験の成績でございます。  それから三十二ページ、三十三ページは新潟県の高田の状況でございまして三十四ページ、三十五ページは新潟県の蒲原平野にございます長岡市におきまする試験の状況でございます。それから三十六ページ、三十七ページは富山市における状況でございまして、三十八ページ、三十九ページは金沢市の試験の状況でございまして、四十ページ、四十一ページは福井市におきまする試験の成績でございます。ごゆつくりまたごらんをいただきましていろいろお教えをいただきたい点がありますが、時間の関係もございまするので、以上大体表の順序というような点に重点を置きまして御説明申し上げたのでございます。  恐縮でございますが、四十二ページをごらんいただきますと、表題にございますように、ここに表示しました各品種につきまして幼穂形成の始期あるいは最高分けつ期、それから考えました推定出穂期等の状況でございます。  四十三ページにそれを一覧表として掲載をしておるのであります。幼穂形成始期につきましてはいろいろの定義がございますが、私らとして現在採用をいたしておりますのは、幼穂——小さな穂が茎の中へできまして、それが一ミリに達しました時期をもつて幼穂形成始期という定義で扱つておるのであります。よく幼穂形成始期とかいろいろ言われますが、それぞれ定義がございまして、それによつて若干の日がずれて参ります。私らの方の約束は今申し上げた通りでございます。それからそこに最高分けつ期がございまして、その幼穂形成始期あるいは最高分けつ期から見まして、本年の出穂がこれからその大した低温も来ないで推移いたしますれば、いつごろ穂が出るだろうか、また昨年と比較いたしました場合に、そういつた推定の出穂期がいつごろになるだろうかというのを右の方に示しております。括弧をいたしましたのは、出穂期の推定でございます。で、二十八年度のものは括弧がございませんのは、これは昨年の実績でございまして、一番右にございますのが、幼穂期の伸長状況、形成状況から推定されるただいまの出穂期の遅れ方でございます。多少品種により、また場所によつてつておりますが、ごらんのような状況で、北の方が南に比べて遅れも大きそうだということに相なつておるのでございます。  以上、たいへん端折つて申し上げましたが、ごらんいただきましたような概観が八月一日までの稲の主要品種の成育の経過でございます。  次にもう一つの紙でお配りいたしました「水稲葉稲熱病被害状況」につきまして若干補足させていただきたいと存じます。  めくつていただきますと、第一表に御下命によりまして調べました北日本各県におきまする葉いもち病の八月一日現在におきまする被害面積、並びにそれに伴う減収見込量を書いた一覧表として掲載いたしたのでございます。先ほど野田部長がお急ぎになりまして一万四千町歩と申し上げましたが、それは十四万四千だということでございますからさように御了承をいただきたいと存じます。作付面積につきましては御案内のように各地につきまして実測いたしまする関係から、まだ現場の作業が続いておりまして決定は相当遅れますので、一応昨年の水稲作付面積を掲載いたしたのでございます。被害面積が次の欄にございまして、昨年の作付面積に対する比率を書いたものでございます。それが右から二行目でございまして、一番右が減収見込量でございます。  なお今回の水稲葉いもちの八月一日におきまする臨時調査の大要につきましては、先ほど野田部長から御説明申し上げました通りでございますが、一、二補足をいたしますと、御承知のように早々の間に御要求に応じまして調査をしなければならないという関係、いま一つ問題は、本年のいもちの発生状況を見ますと、昨年とは違いまして、路上あるいは畦畔等から立つてながめておりますと、非常にわかりにくいような状況でございます。しかしながらたんぼに入つてみますと、やはり病斑はある、こういう状況もございますので、私らといたしましては、先ほど部長から申上げました通り、それぞれの株を任意にランダムに抽出いたしまして、それぞれの葉つぱについての病斑の密度を調べたのでございます。さようにいたしまして、できるだけあぜから見たり道から見て、見落しを起すというような危険を厳に避けたいということをいたしたのでございます。さような関係からいたしまして、結局悉皆的に全部のたんぼを調査することは不可能でございます。お聞きかもしれませんが、田畑を合せますと、日本全国の台帳上の筆数は、北海道を除き八千五、六百万筆ございます。北日本につきましても何千万というものがございますから、個々のたんぼを一一見てまわることは、言うべくして不可能でございますから、われわれといたしましては、推定額を適用いたしまして、先ほど部長が申し上げましたように一県平均的に申し上げれば、二百の単位を抽出して、その単位の中から標準といたしましては五筆をランダムに抽出をして、その当つた筆につきましては、またその中から株をランダムに抜いて個体観察をするという手続によつてつたのでございます。なお減収見込量につきましては、年来私の方で全国七ブロツクに駐在しております統計指導官が、こういう病斑が出ている場合、こういう時期に出た場合はこういう減収になるということを実地につきまして現地で試験、研究をやつておりますので、それを基準といたしまして、各現地の実情もそれに加えて、一つ調査尺度に合せて調査いたしたのでございます。これから若干補足いたしますと、先ほど部長が申し上げましたように、昨年は実は八月一日には調査しておりませんので、比較することはできないわけでございますが、しいて昨年の八月十五日をとりますと、面積におきましてはたしか二十三万町歩で、当時の減収見込量といたしましては六十万石か七十万石ぐらい見込まれておりました。それに対しましてただいまはかような状況にございます。御承知のように葉いもちは調査する時期が二週間も違いますと様相がまつたくかわつて参りますので、かりに比較すればというようなことを申し上げましたが、それも実は私らとしては非常に気がかりになる点でございまして、八月一日におきましては一生懸命見ました結果がかような状況でございます。二ページ以下につきましては、それを各県について、県内の地方ごとにどういうふうになつているかということを実はまとめたのでございます。二ページに札幌、北見、函館、帯広と書いてございますのは、私の方の統計調査事務所が北海道を四つにわけてございまして、札幌事務所、北見事務所、函館事務所、帯広事務所となつております関係上、かような名称を付しておりますが、しめた合計は下の方に出ております。なおこの地域の分類表につきましては、私らとしては年来気象条件、土壤条件あるいは耕種条件等を克明に調べてまた県の試験場等の過去の御研究等も取入れまして、ほぼ確定的な分類をしております。それによつたのでございまして、名称は必ずしも適当じやないかと思いますが、それぞれの地域における状況をずつと五ページまで掲載いたしたのでございます。これをずつとごらんいただきますと、要はほぼ太平洋岸の方が出方が多い。また山間部における、あるいは高冷地における出方が若干多いというような状況になつているかと存じます。たとえば三ページをごらんいただきましても、青森県でございますと、被害面積率につきまして、南部地方が多うございますし、また岩手県についても北部山間あるいは東部の山間というような所が平坦地に比べて多く出ております。かような傾向は、きわめて常識的ではございますが、一般に見られるところでございます。  なお申し遅れましたが、被害面積については先ほど部長から御説明申し上げました通り、病虫害特にいもちの防除対象面積となり、防除にお使いになるいろいろ御研究になつている面積とは当然違うのであります。  それから六ページに妙な表がございますが、これは看板といたしましては葉稲熱病発病程度別概況でございます。これは先ほど調査報告の際に御説明を申し上げました通り、病斑の密度、つまり全体の葉の面積に対する病斑の面積の割合、その状況から分類してみたならばどうなるか、これを先ほどの被害面積減収最調査の全体の筆についてやることはとても不可能でございますので、ここに掲載したものは、先ほど各県については平均的に申し上げると二百箇所を調査したということを申しましたが、その二百箇所のうちの代表的なものについて十株ずつ五箇所を任意に抽出して、その株株について調査をしてとりまとめたものでございます。ごらんのように一一%以上とか三から一〇%とか、〇・六から二%とかございますのは、要するに調査をいたしました稲の株について、その葉つぱの面積に対するいもちの病斑が大小いろいろございますが、それの面積率でございます。さようなものが一一%以上あるとか、三%から一〇%程度であつた。その中にございますのは、そういうものが全体の中でそれぞれどういう頻度を示しているかということでございまして、以下各地域別にその頻度の分布状況をお示しいたしたのでございます。  たいへんお聞きづらい説明ばかり申し上げましたが、御下命により調査いたしました報告書の大要を、以上補足説明をいたした次第でございます。
  56. 井出一太郎

    井出委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  57. 井出一太郎

    井出委員長 速記開始。
  58. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 ちよつと部長に開きたいのですが、八月一日の作況は特別にやつたわけですね。今までは例年こういうことはなかつたのですね。これを今まで拝聴して、われわれはしろうと——でもないが少しわかりにくいくらい専門的なものです。これに対するあなた方の調査の費用というものは相当かかつておるだろうと思うのですが、こういうような予算措置についてはどういうようなことになつていますか。
  59. 野田哲五郎

    ○野田説明員 この点につきましては農林委員会の方から大蔵省に申入れをしていただきまして、私の方でもただいま折衝中でございます。
  60. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 どのくらいかかりますか。
  61. 野田哲五郎

    ○野田説明員 約一千万円の経費を必要としております。
  62. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 一千万円を要するというと、何か予算化してやらなければならないことになりますね。われわれの委員会の要求ですからね。それだけ言つておきます。
  63. 松岡俊三

    ○松岡委員 ただいまの御報告を承つて、昨年と比較して顕著な感じを私は受けた次第であります。非常に御心労のことが察せられ、たいへん感激した次第でございます。それだけ一言ちよつと申し上げておきます。
  64. 足鹿覺

    足鹿委員 今後の定例の調査月日はいつといつになりますか。八月十五日を一日に繰上げて非常に御苦心になつたという点については私ども非常に敬意を表するのですが、今後の定期的なものはいつどういうことについてやられるか。その概要をひとつ伺いたいと思います。
  65. 原政司

    ○原説明員 ただいま足鹿先生のお話でございますが、時期といたしましては、御案内かもしれませんが、八月十五日現在、その次は九月十五日現在、その次は十月十五日現在、それから実収高と参る予定でございます。内容につきましては、先ほど来至らない研究の途中の成績を申し上げましたが、八月十五日におきましては、平年でございますれば先ほど推定の穂数というようなことを申し上げましたが、これを確認したい、実数として押えたいというのが平年の試みでございます。そういう意味で八月十五日を実は採用してございますが、本年はこのデータからもごらんいただけますように、出穂期がかなり遅れておりますから、われわれといたしましては、こういう非常に重大な時期でもございますので、先ほど申し上げましたような茎を切つたりしても穂数は何とか押えたい、こういうふうな心構えは持つております。九月十五日につきましては、当然北の方におきましては穂が出ておりますので、穂数の点は確定いたしますが、問題は穂のそれぞれの粒数がどうなるかということでございまして、ほぼ早生、中生までは可能でございますが、場合によりましては晩生が問題になります。問題になると申し上げますのは、全体の粒の数はつかめますけれども、その一つ一つがしいなになるか、実になるかというような鑑定等が残りますので、これも出穗が遅れておりますので相当苦労をするだろうと思つて、ただいま技術的に研究中でございます。それから十月十五日と申しましたのは、調査の実態といいますか、これから申し上げますると、被害等につきましては十月十五日の時点現在でございますが、成育の内容につきましては、早生、晩生の関係によりまして異つて参ります。一般的に申し上げますると、大体平常年度でございますれば、出穂をいたしましてから二十五日を経過いたしますると、ほぼしいなになるか、もみになるかというけじめがつくのでございますが、これまた全体として作が遅れておりまするので、あるいはそこらのところに苦労が残るかと思います。なおそういつたしいなになるか、一人前の粒になるか、また一人前と申しまするか、入りました粒が一人前の玄米になるか、くず米になるかというような鑑定等もございますので、これらも光線透射等の機械を使いまして、できるだけ狂いのないように努力いたしたいと思つております。最後の実収高といいますか、これは説明申し上げなくてもよいと思います。
  66. 足鹿覺

    足鹿委員 昨年の場合は、米価審議会が九月二十一日から三日間開かれたわけであります。その当時の農林大臣を初め、当局見解は、きわめて軽微である、こういう見解をとつて譲られなかつたわけであります。ところがわれわれは北海道から東北を現地の要請等もあつてつぶさに見て、すでに冷害の徴候瀝然たるものだ、という断定を確信を持つて申し上げたことから米価審議会において非常に問題になり、大臣の現地視察等が行われてようやく当局が腰を上げられた、こういう実情であります。本年の大体の長期予報を、先々般の農林委員会で気象台関係から聴取したところによりますと、八月下旬から九月上旬にかけてさらに気温が下降するであろうという長期予報を科学的に当日述べておられました。そういつた気象の長期予報等との関連をよくにらみ合わせまして、昨年のごとき轍を踏まれないように、今後における八、九、十の各十五日、十五日をおとりになるということについても、予算等の関係もありましようが、それらの長期予報と、また長期予報との関連において気象に異変のあつた場合の結果というものは即刻つかみ得る態勢を整備しておいていただきたい。防除体系の問題は、今日は当局が違いまして別途でありますから申し上げませんが、少くとも昨年のごとき紛議を繰返したくない。長期予報が心配がないということでありますならば、これは余分なことでありますが、少くともあの後においてあの長期予報の変更をされたということは私ども聞いておりませんし、そのいろいろな情報によりましても、その見解当局としてはやはり確信を持つておられるようでありますので、この点を統計調査当局に十分御留意を願つて遺憾なきを期していただきたい、これだけのことを強く要望いたしておきたいと思います。
  67. 川俣清音

    川俣委員 この酷暑の中で、例外的な調査を依頼いたしまして、精密な労作ができ上りましたことに対して敬意を表するものであります。これが八月十五日の調査の上に非常に役立つ結果に相なつたと思うのです。ことしのような異常な場合における将来の調査の基本にもなりますので、決してこれは無意味なものでなくて、将来の調査の上に非常に有効なものであると認めるのであります。そこで、先例によりますと、八月十五日の十五日現在調査というのは、十三、十四、十五、この三日にわたつて調査せられた結果、十五日現在となつて現われるようであります。ことしのように冷害のために稲の発育の遅れている場合には、十五日調査と言われるものの、十五日前の調査よりも、むしろ十五日調査と言われて、十六、七日というように遅れた方が妥当ではないかとも思われるのでありますが、これらに対して、どのように考えておられまするか、この点をお伺いしたいと思います。  これは昨年度と比較するために、どうしても十三、十四、十五ととらなければならないという御見解であれば、これもあえて私は否定いたしませんが、今年のような遅れた場合においては、あるいは十五日に集中されなければならないのじやないか。十五日に集中するといたしますれば、現在の定員では、とうてい一日では不可能でありますことは、あまりにも明瞭なんです。どうしても現在の定員から言うと、三日間かかることも想像できないわけではなくて、これが妥当な労働力の配分かもしれませんが、今月はどのような処置をとられまするか、承つておきたいと思います。
  68. 野田哲五郎

    ○野田説明員 作柄の実態から申しますと、御指摘のように定例の調査よりも若干遅らした方が妥当であるかとも考えられます。しかしこれもまた御承知のように、前年との比較値ということがこの統計の基礎になつて参りますので、前年との比較値を持たない調査ということになりますと、統計としまして非常に狂いも出て来る危険性がありますので、従来通りつて行きたいと思つております。  それからなお私も、このような冷害で非常に重大な時期におきましては、定期的なものの間に十五日ずつはさんで行きたいという熱意を持つておりましたけれども、実はこのたびの調査に際しまして、末端におきまして作業の計画がすつかり進んでおります関係上、臨時に入れますと、その作業に相当の狂いを生じて来るということが体験されましたので、私の考えも改めまして、定期調査を確実にやつて行くようにしたいと思つております。実はこのたびの調査につきまして、末端の職員に相当無理がかかるようでありまして、その声が出ましたので、面積調査の方の報告期間を五日間特に延長するという措置もとつたわけでありますから、まことに今日の状態に即しない場合もありますけれども、われわれといたしましては定期調査を確実にやつて行きたい、かように思つておりますから、ひとつ御援助を願いたいと思います。
  69. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと部長に伺いますが、八月十五日の定期調査数字になつてわれわれの手元へ示しをいただけるという時期は、いつごろになりましようか。
  70. 野田哲五郎

    ○野田説明員 これは私の方の統計に関します規則で、八月三十日に公表するという規則になつておりますので、八月三十日とお考えいただきたいと思います。
  71. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこの程度をもつて打切ります。明十二日は定刻より会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十六分散会