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1954-07-23 第19回国会 衆議院 農林委員会 第62号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十三日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 金子與重郎君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    田子 一民君       松岡 俊三君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    中澤 茂一君       久保田 豊君  委員外出席者         議     員 山崎 岩男君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新沢  寧君         林野庁長官   柴田  栄君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      石谷 憲男君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月二十三日  委員佐藤善一郎辞任につき、その補欠として  山本友一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本友一辞任につき、その補欠として佐  藤善一郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧に関する小委員会において参考人招致の件  農業災害対策に関する件  食糧問題に関する件  冷害に伴う「いもち」病の緊急防除対策に関す  る件  営林署の配置問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続き農業災害及び食糧問題に関しまして調査を進めます。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣委員 きようは大蔵省原次長がお見えになつておりますので、まず第一に原次長に、先般東北地方を御視察になりました結果、いろいろ感想とその対策をお持ちになつておることと存じますので、感想並びに対策について御説明願いたいと思うのでございます。主といたしまして本委員会関係の深い岩手県、青森県下の凍霜害被害状況並びにこれに対する営農資金その他の対策についていかような見解をお持ちになつておられるか、もちろんこれはまだ大蔵省として決定いたしておりませんので、説明しがたい点もあろうかと思いますが、次長といたしましてどのような考え方をいたしておられるかということが第一点です。もちろんこの凍霜害は、御承知のような岩手県、青森県下における農民代用主食物でございまするおもに麦、あわ、ひえ、ばれいしよ等のいわゆる雑穀類被害と、今秋に収穫される稲の被害対策と二つにわかれると思いますが、この点について御見解を明らかにしていただきたいと思うのでございます。これは私どもがお聞きしたいということよりも、岩手県、青森県下の農民が非常に期待をいたしておるところでございますので、期待はずれにならないように御説明願いたいと思うのでございます。
  4. 原純夫

    原説明員 凍霜害対策一般につきましては、関東中部等で最初に起りました際の始末といたしまして、御案内通り一般補助金は出さないが、営農資金の形において農家の急場を資金的に手当をいたす、それに対して補償、利子補給という線で行こうというふうになつてつてつておるわけであります。東北の凍霜害にこれを適用いたします問題につきましては、前国会の末期におきまして法案が提出されて、継続審議に相なつておるように私承知いたしております。従いましてその法案審議の成行きにかかることに相なるというのが凍霜害対策の大きな線であろうというふうに考えております。ただ現地側としては、おそらく時間的にいつそれが通るかというようなことから、便宜今の段階にやつてもらいたいというような希望が強いということのようでありまするが、これはまあ金融機関、申しますれば農林中金あたりがどういうふうにその間をやつて参るかということで、また将来法律をきめられます場合に、遡及効を持たされるかどうかというあたりの問題であろうかというふうに考えておるわけであります。大体は大きな線はそんなところで御了解を願いたいと思つております。
  5. 川俣清音

    川俣委員 今秋収穫されまする日本主食の大宗を占めておりまする東北地方稲作に対する対策について御説明願つたのですが、この点落ちておりますが、つけ加えて御答弁願いたいと思います。
  6. 原純夫

    原説明員 稲作につきましてどうするかということは、私から全面的にお答えするだけの用意もございません。凍霜害対策としてでありまするならば、ただいま申しましたように、線は営農資金の線でいたすという考えでおりますので、それでやつて参りたいというふうに思います。
  7. 川俣清音

    川俣委員 原次長東北視察されて非常に認識を深めて参られたということで、県の首脳部を初め農民に与えておる期待は非常に大きいのでございます。積極的にお出かけになつたというようなことはあまりたびたびないことであるだけに、それに対する尊敬期待が非常に大きいのでございます。その尊敬期待にこたえるに、営農資金だけで何とか処理しようというお考え方は、はたして深い認識を持つて帰られたかどうかという大きな疑問を生ずる点なのであります。と申し上げますのは、関東の凍霜害東北のこの地帯における凍霜害とは、根本的に異なるという点なんです。なぜかと申しますならば、東京あるいは横浜のような一大消費地を控えた、割合に気候的にも恵まれておりまする地帯の凍霜害は、その被害は甚大でありましても、他にまた収穫の道なしとはしないのであります。従いまして営農資金等処置によつて十分まかない得られないとは言い切れないと思うのであります。ところが東北地方の、これらの凍霜害を受けましたあわにいたしましても、ひえにいたしましても、大豆にいたしましても、主食であると同時に、唯一の収入の道なのであります。他にかえがたい地理的条件が備わつておりますために、その被害程度はもちろん甚大でありますばかりでなくて、あとの対策は異なつた対策がとられなければならないというところに、大きな期待がかけられておるのだと思う。関東の凍霜害東北の凍霜害と、その被害程度はもちろん論じますけれども、それ以上に関東の凍霜害の場合の対策と、これらの岩手県、青森県下の対策とは異ならなければならないということを、確かにお感じになつて帰られたと私は思う。その点が非常な深い認識を持つて帰られたという県民の期待であろうと思うのですが、この点いかがですか。
  8. 原純夫

    原説明員 実は私今度東北地方に参りましたのは、もちろん冷害も大問題でありますから、勉強するつもりでありましたけれども、冷害対策をどうするというだけのため参つたのではございません。ふだん国会開会中はなかなか東京を離れられない、現地にうとくなるということを避けますために、現地でいろいろ勉強したいというとで、冷害問題ばかりでなく、農業一般、さらには持つております建設関係、あるいは港湾、あるいは通産関係というような非常に幅の広い問題を、よくばりますれば切りがないわけでありますが、できるだけ勉強しようと思つて参つたわけなんで、何かそれで現地の御要望を極力聞くような結果が出るというような御期待を受けますと、ある意味でいいますと、非常に出にくくもなることになりますので、その辺ひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。凍霜害についてのやり方は、いろいろ御意見も出たわけでありますが、ただいま申しました大きな線を特に東北にできるだけ動かしてやろうというところには、実は話は参つておりませんので、もちろん引続きまして天候が悪いということで、関係者は非常に心配はいたしておりますけれども、それはまたそちらの方の問題として、今後の推移がどうなるかということによつて、問題を大きく取上げて考えるというようなことに相なるのではなかろうかと思つております。
  9. 川俣清音

    川俣委員 もちろん凍霜害対策主管省農林省でありますので、農林省において対策を立てるわけです。しかしながら原次長に望むところは、関東被害岩手及び青森県、旧南部領被害とは、その被害程度が異なるというような技術的な点については、あえて私は次長に問おうとはしない。ごらんになりまして、被害程度が非常に甚大であるということはおわかりだつたと思いますけれども、面積がどの程度であるとか、あるいは被害額がどの程度であろうかということを、原次長に求めようとは私はいたしておらない。ただ営農資金というような処置の仕方が、関東のような場合においては適切でありましても、これらの地帯においてはあまり適切でないというふうにお考えになつて帰られたのではないかという期待を持つのです。それは営農資金というものは、この運営の道があつてこそ初めて営農資金は役立つのです。営農資金の使い道のないところに営農資金を出されたところで、これは効果がないのです。はたしてそういう財政的な投資をしても効果があるかないかということが、おそらくあなたが見て来られた点だと私は思うのです。これは農林省が見ることよりは、あなたの方が専門的に見て来られたと思う。これだけの国家投融資をした場合に、はたしてそれだけの効果があるかどうかというような点は、農林省よりももつと進んであなたが検討して来られた点だと私は思う。そういうことを言わないでも、おそらくそういう説明があると私は期待しておつたのです。そこでそうお尋ねするわけです。大体関東のように、次の天候によつて他の野菜に代替せられて、それが農民生活をまかなうばかりでなくして、他の農産物増産に寄与できる、資金さえあるならば収入の道が講ぜられる、農産物増産の道が講ぜられる、こういうところに資金面において手当をすることは、これは最も妥当な方法だと思うのです。金融処置をいたしましても、それは単に生活費に追われるようなところに金融の道を開いてやつても、これは単に助けるというだけでありまして、助け切れるものではない。これは営農資金ではない。社会政策的な生活保護資金であれば別ですよ。いやしくも営業資金というようなものの価値は生れて来ない状態だということを、当然私は見て来られたと思うのです。しからば営農資金という形でなくして、もしも資金の必要があるならば、これは社会政策的な生活保護資金であるということで出されるならば、それも一つの方法だと思いますけれども、今日においては、そういう生活資金はなかなか出しにくいという情勢下にあれば、他に何らかのかわるべき収入の道を考えてやるということが、当然頭の中に浮んで来なければならないであろう。それは専門的な農林省見解にまかせましても、他に道があるのじやないかということが次長から出て来なければならぬのじやないか、こう思うのですが、これは私の見誤りですか、あなたをあまり買いかぶつたことになるのですか、その点どうですか。
  10. 原純夫

    原説明員 もちろん財政をやつております者としても、こういう費目のかわりにこういう金を出したらどうかという角度でのものの考え方は必要だと思いますが、私農業にそう深い造詣を持つておるわけでもございませんし、率直に申して、実に強行軍の旅程において、そういう具体案を、国の財政支出をいわば決定するというようなウエートを与えて考え出すだけのいとまも、力もなかつたわけであります。その辺は主管省である農林当局においていろいろお考えのこと、これ常時伺つておるわけでありますが、それらをまた財政財政というふるいにかけて善処いたすというようなことで、せつかく行つたのにえらくしりが重いじやないかというおしかりをこうむるかもしれませんが、そんなような気持でおりますので、御了承いただきたいと思います。
  11. 川俣清音

    川俣委員 これは原さんが行つて、実際は感じて来られたと私は思うのだが、いろいろの他の影響考えて御答弁にならないのではないかと思う。しかしそうでなくして、まつた農業上の知識がないし、日程も十分でなかつたから、あまり深く見なかつたということになると、せつかくこの困難な財政事情において財政をまかなつておられます原さんといたしましては、不十分なそしりを免れないのではないかと思う。従つて私はそんな不十分な視察をして来られたとは思わない。そこで、それでは問題を具体的に申し上げますが、どうですか、こういう点をお考えになつて来たのではないかと思うのです。地方農民に単なる営農資金を出しましても、生活資金になつてしまう。そこで何か別な方法で将来の増産に寄与する、またはこれらの資金生産の上に直接影響するような形で財政投融資をしたい、または補助をしたいというお考えであろうという想像のもとにお尋ねをするのですが、現地においても、おそらく救農土木事業というようなことが陳情の中にあつたと思うのです。東北地方のような、再々度冷害に襲われるような地帯は、根本的にその冷害を防除するような施設工事が不可能かといえば、あり得る面もあるのであります。それだけの投融資をいたしました結果、増産になつて現われるというものもないわけではないと思う。従いまして、そういう面の救農土木事業で間接には収入の道を講じてやる、みずから働いた力に対応した生活をまかなつてやるというばかりではなくして、もつと他の財政の面、経済の面からいつて、それらの投資されたものがすぐ生産の上に役立つという形の資金が必要であろう、こういうことは、当然私は考えられておられるはずだと思う。また農林省も、単に東北地方のこの凍霜害営農資金だけをもつてまかない得るのだというようなことを考えておられるとすれば、私は農林省の非常な怠慢だと思うのです。もしもこれらの営農資金を出しましても生活資金になりまして、食いつぶすだけです。今の日本財政面は、食いつぶすほどゆたかであるとは私は思いません。もちろんそれはうまいことであると期待はかけられましても、とうていなし得られないことであろうと想像せられますので、一歩進んで将来の増産の面に、災害防止の上に寄与でき得るような、生産の向上に直接影響を与えるような出資または補助考えるべきではないかと思う。こういう点で、おそらく将来農林省から大蔵省要求があると思いますので、原さんは十分認識せられておりますから、これらの点を、単にこれが営農資金一本できめたのだ、こういうことでないようなおとりはからいを願えると私は思うのでありますが、この点だけをひとつ御答弁を願いたい。
  12. 原純夫

    原説明員 川俣委員のおつしやつております、当面困るから金を落すという角度だけではなしに、生産条件を基本的に困らないような方向に持つて行く努力をすべきじやないかというお話でありますが、全然同感でございます。但しそれを凍霜害対策として取上げるということは、契機としては何でございますけれども、やはり農業生産条件改良といいますのは、非常に広いし、また財政的にも非常に費用のかかるものでありますから、非常に大きな問題として、そして東北地方は、おそらくそういう開発においては全国的にも遅れたところであろうというような見地から、一層この問題は深く、かつまた費用もそれだけによけいかかるというような問題も蔵しておると思いますので、非常に大きな問題だと実は思つてつて来たのであります。そこでそういうことを十分深く研究して行かなければならぬ。ただ問題を凍霜害対策としてこれをやれというお話ではないと思うのでありますが、大きなじつくりした問題として考えなければならぬというのは、もうおつしやる通りだと思つております。
  13. 川俣清音

    川俣委員 これは凍霜害対策というか、結果的には凍霜害対策になるのでありまして、結果的に見ればそれでよろしいのであります。ただすみやかな処置が結局凍霜害対策になる、こういうふうに理解を願いたいと思います。  次に、北海道から岩手の北部、青森及び秋田にかけまして、御承知のようなひめはもぐりばえの発生を見ております。これは今後のいもち発生の基本をなすものであります。と申しますことは、農業技術上むずかしいことでありますが、稲作を遅らせておる原因をなし、急に暑さが加わりますと徒長いたしますために、このひめはもぐりばえが遠因となりまして稲熱病発生原因をつくる結果になるわけであります。遅らせておつたものを急激に成長させますために、徒長の結果稲熱病発生原因をつくるわけでありますが、そこで病虫害補助のことをずいぶん私ども聞かされたし、原さんも聞かされたと思うのです。ところがこの農薬代の問題については、農林省大蔵省にいろいろと折衝をいたしておるようでございます。私は、はたして一体農薬代補助あるいは共同防除機具補助でこれをまかなうことがよろしいのか、または原さんたちが常にお考えになつておるような、農作物そのもの価格形成の中に、これらの異常災害による、異常気象によるところの労働力投下量増大、または農薬物投下量増大価格の面で捕つて行くのがよろしいのか、これが対策の上に非常な影響をするところであります。なぜかと申しますと、県、町村あるいは農業団体指導する場合に、国の補助があるのであるからひとつ大いにやれという指導をするのか、または自力でこういうものは駆除べきではないか、そのかわり農作物価格の上において十分これらのものは補えるのであるからして、農民自身がひとつ責任を持つて投下してはどうか、こういう指導の仕方と二色あると思うのです。そこでどつちかにきめてやらなければならない問題だと思うのです。私、にわかにどちらをとれとは申しませんけれども、いずれどつちかをとらなければ――あるいはこれの折衷案をとつて決定しなければ、すみやかなる処置は望まれ得ないと思う。そういたしますれば、国家的に、秋の収穫減収から来るところの大きな損害を国民全体が負わねばならないことになろうと思う。もちろん国の補助がないから農民はやれないのだということにはならないと思いますけれども、農民自身責任においてこれを解決すべきものか、農民自身責任において解決するということになりますれば、価格形成の上に当然これらのものが含まれるという考え方指導すべきものか、指導者が迷うと思うので、この点についての原さんの見解をお述べ願いたいと思います。
  14. 原純夫

    原説明員 農薬の問題につきましては、本年度予算編成の際におきまする、農林省関係重要項目のきわめて大きな項目といたしまして取上げて、御案内通り一般補助はいたさない。ただ備蓄、あるいは撒布機具補助を中心としたものに集約をする。一般的にはただいま申された通り農業経営にとつて病虫害が出た場合にそれを防除するのは当然の経営の中身じやないか。従つて経営費としてそれを払つてもらいたいという線でお願いをいたし、そういう予算でただいま動き出しておるわけであります。われわれ、その考え方はただいまもかえておりません。なおこれを生産費の一部と見て――もちろん一部であるわけでありますが、価格面でアジヤストするということについての意見はどうかということでありますけれども、これは非常に大きな問題と関連する問題でありますので、軽々にはお答えできないと思います。と申しますのは、ただいまバリテイ方式でやつておりますこの農産物価格を、生産費ベースに持つて行くかどうかということにつながる問題でありますから、そういう問題ともあわせて考えなければならぬ。大きく言いますれば、パリティ方式といえどもやはりそれによつて生産費が払われるという意味で、基準になりました年の価格の中にはそういうものは入つておる従つて経常のものは入つておる。また悪くなつたときには減収加算とかいうものがつきます。そういう意味で全然関係ないとは申しませんが、これを厳密に原価に織り込むという行き方は、いわば農産物価格を何によつてきめるかという問題にかかりますので、とくと勉強させていただきたいというふうに考えます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 結論的に勉強させていただきたいということでありますから、私は今ここでとことんまでの答弁要求いたしません。目下農林省からあなたの方に、農薬代補助のことについて折衝中で、あるやに聞くのであります。従いまして農薬代及び共同防疫機具代補助ということで農林省折衝中でございますので、いずれにしてもこれはあなた方の見解を明らかにしなければならぬことだと思います。もう勉強で長くは引きずれない状態だと思うのです。そこで原さんが先まわりされて、米価あるいは麦価の価格形成の中に農薬代あるいは農機具代というものが入つておるのじやないかと言つたのですが、これは原さん御承知通りパリテイ所得均衡パリティでありますために、投下量の一部が入つておるということは必ずしも言えないわけではありませんけれども、パリテイ方式からいうと、価格変動だけを見ておるのでありまして、投下量自体を決して計算いたしておるものではない。ただ基準年度においてウエートをとる場合に、幾分入つておるということは言えないわけじやないけれども、むしろそれはウエートとして入つているだけでありまして、投下量というものを想定する意味で入つておるのじやないので、むしろ価格変動がどのような変動をしておるかということを見ておるものであるということは、これは私が説明するまでもなく、原さん十分御承知通りなのであります。そこで今年のような、しかも異常な災害、異常な天候異変なんです。従いまして一応入つておると仮定いたしましても、基準年次と比較いたしまして、その異常気象に対する対策のための農薬の問題が起きているわけです。単なる平年次におけるところの農薬あるいは防除機具要求ではなくして、異常な災害における国の要請として農薬及び防除機具という問題が、これは消費者のためにまたは一般国民大衆のために処置しなければならないというところに、今度の農薬代の重大さがあるわけです。そこでこれを共同生活をいたすところの国民全体のために国が出すのか、あるいは生活責任を持つておりますところの農民自身が、価格形成の上において当然補われるものであるから、農民が負担するのかという点を明らかにすることによつて、この災害をどちらかに責任を負わすことによつて防止策がまた具体的に進行すると思うのです。これは等閑に付すべき問題ではないと思う。そこでこれはすみやかに決定されなければならない。そうなつて参りますと、一番大きな問題は、パリテイで行くか、生産費計算で行くかという問題にぶつかつては来ますけれども、もしそちらへ逃げようという腹であるならば、これは共同防疫機具または農薬補助という方へ行かなければならないし、そつちへ行くことが好ましくないというようならば、将来パリテイ方式をやめて、投下量で行くというふうに今から割切つて行かないと、につちもさつちも行かないで、災害の面に到達せざるを得ないと思うのであります。勉強するという中には意味慎重なるものがあると思いますけれども、すみやかな解決を願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  16. 原純夫

    原説明員 ただいまわれわれ農薬問題関します農林省側とのいろいろな応接、これは非常に急いでいたしております。そしてただいまとしては、態度は大体はつきりいたして申し上げているつもりでおります。その際御指摘の、米価においてそれを調整するということはただいま考えておりません。従いまして農民が自分の計算においてやるか、補助をもらうかという問題として考えております。それは先ほど申しましたように、農業経営の個々の企業については、当然経営自体において負担すべきものである。もちろん国の補助というようなことは問題にはなるわけでありますが、予算でとりました線、すなわち共同にやらなければならぬという意味における農機具、撒布機、それからいざ発生したという場合に、現物がなくては困るというのを手当するためのいわゆる備蓄の系統、こういうような線を大きく財政の上においては持つべきではなかろうかというような線で、ただいま申しているのは、備蓄がどうも予算でみたのが不十分であるというようなお話があるから、それは相当腰をつつ込んですることにしようじやないかということで、ただいまいろいろ話をいたしておるわけであります。
  17. 川俣清音

    川俣委員 大体明らかになつたのですが、もう一点だけ説明が不十分な点があるのです。農民は、やはり経営費の中に当然それらのものを見てやるべきだという見解もあるということになりますと、全体で財政の面で見るのは限度があるから、その不足のものは農民経営費の中で補うべきだ、こういうことになると思うのです。そこでそれではパリテイ方式から生産費方式にかえないにいたしましても、米価の上に当然パリテイ方式をとりましてもこの農薬代投下量増大パリテイ方式はかえないけれども、別個に特別加算で見れるという意味で、財政支出の不十分な分は米価の加算の中で見る、こういうふうにお答えになつたと私は理解するのですが、さよう理解してよろしゆうございますか。
  18. 原純夫

    原説明員 そこまで申しておりません。米価にこれを影響させるという考えはただいまのところ別段持つておりません。
  19. 川俣清音

    川俣委員 そうするとおかしい。経営費の中で見るべきものがある。こういうことですから、当然加算をしなければならない。または生産費主義をとらなければならない。急に今生産費方式をとることが困難だということを一歩譲歩しましても、加算で見るということにならなければ、これは経営費の中で見てくれということは空論になります。財政支出が困難な限度以上のところは、農民経営費の中で見てくれということは、当然加算をするということを意味しておると思うのです。加算をしないというならば、全責任を持つて財政支出をすべきである、こういうふうになつて来ると思うのですが、どうもどつちかにならなければならぬ。二つに分けるとすれば、たとえば全体の三分の二は国で見る。三分の一は経営費で見る。その三分の一も、基準年次よりも多いのであるから、その辺は特別加算で見る。こういうふうにあなたの説明を分解して、平地で図面で現わすとそういうことになる。言葉はどう使われましても、図面に書きますればそういう結果になるので、そういうふうに理解せざるを得ないと思うのですが、どうも説明と現実とは違つたということになると、原さんの説明がまことにまずいということになるので、訂正せられるかまたはそのように理解してよろしい、こういうことになるかどつちかだと思いますが、どうですか。
  20. 原純夫

    原説明員 経営費で見てやると言うたのではなくて、当然その一部であるというふうに申し上げたわけでございます。農業農薬のほかに肥料もかかる、あるいは労賃もかかる、あるいは作業関係のいろいろな資材の費用もいるわけでございます。企業というものは、自己の経済的な責任において企業をやるわけでありますから、農業もそれらの個々について、よけいかかつたからこれを見てくれということ、もちろん費用がよけいかかつて来ますれば、価格を上げてくれという意味にはなつて来ることは確かでありますけれども、個々にそれを取上げていたしますならば、いわばその企業の企業責任といいますか、そういうものはなくなつて、すべて企業は分解されて、そのかわり、少かつたところは値段を安くする。すべて幾らかかつたかによつて値段はきめなければならぬ、上下をつけなければならぬというようなことにもなつて参ります。私が申しますのは、要するに農業における諸般の経費の支出というものがある。それが若干よけいかかつたという場合においても、とにかく第一段においてはそれは経営であるから、それは経営責任において始末をするという立場をとつてもらいたいということを申したわけであります。
  21. 川俣清音

    川俣委員 それは学校かどこかへ行つて講義するときには成り立つんです。しかしながら米価というものは、今日農林省だけではきめられない。大蔵省もこれに関係して、相当な制約を加えて価格が決定されておるんです。そこに問題があるんですよ。これが自由価格であります場合においては原さんの御説明通りなんです。しかしながら今日、非常な公益性が強いということで、また国の財政国民経済の上に非常な影響があるということで、あなた方が価格決定の上に大きな発言権を持つておられる。この大きな発言権を持つておる人が、経営費の中に含まれるというお言葉でありますると、価格決定の上において十分見るんだということの裏づけとなるというふうに皆さん理解すると思うんです。私もまたそう理解しております。あなたの方でそんなに大きな発言権を持つていなければ、これは問題はありません。しかしながら農薬代及び共同防疫機具の当面の財政支出のほかに、農民自身が経費の中に当然見るべきだという御意見になりますると、結果的にはそれらの投下量を見なければならないという意味になつて来るわけです。農林省が九つてに決定するのだつたら、あなたのお説の通りです。ところがあなた方の発言権は相当強いんです。今度の麦価の問題も、なかなか執拗果敢に攻め立てられておるのでありますから、当然そういう言葉は見てやるという意味を含んでおると思うので、私の見解をそこに持つてつたわけです。これは大蔵省が今日のような大きな発言権を持つておられない場合は、なるほどその通りだということを私は必ずしも否定しませんよ。今日米価決定の上に大きな発言権を持つておられます原次長の御説明によれば、そう理解せざるを得ないと申し上げておるんですが、どうですか。
  22. 原純夫

    原説明員 先ほど米価には響かせないというふうに申したとすると、あるいは言い過ぎだと思います。米価の決定は非常な大問題でありまするから、十分研究の上で農林省とも御折衝いたしたいと思つておりますので、そういう際に、たとえば今年は農業の条件が非常に悪かつたとして、パリテイ方式というものはかなり自動的なものでありますから、あれ一本で行くということになりますれば別でありますけれども、いろいろ考える場合のフアクターの一つになるということは、いろいろあろうと思います。今年は農薬が例年に比べて全体にして何倍もかかつたというようなことが出て参りますれば、それはもちろん全体として農民の手に入る米価というようなものにそれが何らかの関係を持つということはあろうと思います。ただ米価につきましては、それだけの問題でなくて、いろいろ問題がありますので、ただいまの段階ではあまりはつきりしたことを申し上げかねるという意味で先ほど申し方わけでありますから、ひとつ御了承願いたいと思います。
  23. 川俣清音

    川俣委員 この問題だけに限つて最後に一つ申し上げますが、従つて農薬または共同防疫機具に全面的にお出しになるならば、価格形成のときに農薬投下量増大があまり問題にならないと思う。出し方が不足だと、そちらから攻め立てられるということを十分考慮されて、農薬代の問題を解決してほしい。こういうふうに申し上げて農薬の問題はそこで打切りまして、次の問題に入りたいと思うのです  東北は未開発でありますために、これからいろいろな開発計画が行われておることを御視察なつたと思う。ところが御承知のように、東北は一体天然条件、自然条件が冷害地帯でありますために、単に開発という目前の現象にとらわれますると、再々災害に襲われるおそれのあるものでありますから、経済効果がまことに薄いということになりがちなものであります。従いまして当然この開発と将来の災害防止と申しますか、冷害防止の対策を立てて、総合的に考えて行かなければ、経済効果の発揮が薄いということを見て来られたと思うんです。特に岩手から青森にかけまして、あの厖大な陸軍用地あるいは放牧地等のかつての陸軍の御用地というものは、なぜあすこに設けられたかというと、いわゆる耕地としては不適当であるということも一つ原因いたしておると思う。しかしながら国の事情が、かかるところをもあえて耕作面積に拡大して行かなければならないという要請と、自然的な条件を克服して行かなければならないということを条件にいたしましての開畑、開田であろうと思う。従つて十分な防災的な処置をおとりにならなければならないと思うのでありますが、的確に申し上げて、いわゆるやませというものに対する防風林、防災林について、今からすみやかな手を打つておかなければならないと思う。今後の開墾事業を進める上に、これらの点を十分加味しなければならないということをわれわれ委員は痛切に感じて参りましたが、原さんも多分御同感であろうと思いますがいかがでございますか
  24. 原純夫

    原説明員 よく承つておきます。や、はり私の地位からして、同感と申すのは一体どういうことになるのか何でございますから、よく承りまして十分将来の参考にいたしたいと思います。
  25. 川俣清音

    川俣委員 次に最も条件に恵まれておりまする八郎潟の干拓について一点だけお尋ねして終りたいと思います。私決して秋田県におりますために秋田県の問題を取上げるのでなくて、私は農業上から見まして、愛知用水というような地域的な政治的な面は別にいたしまして、純粋な農政の面から言いますると、ああいう経済効果のすみやかな実現のできる開拓というものは他にないのじやないか。もちろん日本の耕地面積から言いまして、どんな困難がありましても干拓をやらなければならないという要請はよくわかりまするけれども、日本財政面から言いまして、その両立をはかつて行かなければならぬのが目下の状態だと一歩譲歩いたして考えてみまして、あのくらい短期間にしかも経済効果の現われるものは少いと見て来られたと私は思うんです。もちろん愛知用水なども重大でありまするけれども、いろいろな政治的配慮もあると思いますが、全体の開拓から言いますと、開拓というものは非常に事業費がかかり工事費のかかるものでありますが、あそこは七万円か八万円程度で大体できるのじやないか。しかも塩水が入つておりましても、淡水量の濃度が非常に強いところでございまするから、排水することによつてすぐ熟田に近いものになり得るのでありまして、付近が大体三石内外、これは供出の割当から言いましても、二石七、八斗から三石の割当をいたしておるところでありますから、これは単なる宣伝の数字ではなくて、少くとも三石近くとれるものだと思うのです。そういたしますると、一万三千町歩に及ぶところの面積であり、また畑地が八百何十町歩だと思いまするので、その効果の絶大なるものであることは、私ここで深く申し上げる必要もないと思うのです。今のような日本経済の事情から、全国的に見て、こういう問題をすみやかに着手しなければならないというふうにお考えになつて来られたと思うのですが、この点についての御見解を明らかにしていただきたい。
  26. 原純夫

    原説明員 八郎潟にすみやかに着手しなければならないという特定のプランをとつての所見を申し上げることは差控えておきます。一般的に申しまして、農地開発、土地改良、干拓等につきましてわれわれがとつております態度は、すでに御案内通り、極力経済効果をあげるように、そうして何よりも大事なことは、あまりに予算が細分されて、非常に長い年月かからなければ一つの工事ができないというような使い方をしておることは、国民の税金をきわめて非能率に使うものであるから、やはり経済効果が上るように経済的な工事期間というものでやつてもらいたいという考え方でやつております。大きな干拓その他の工事を取上げますには、相当な財政資金を要するわけでありますが、財政のわくがきゆうくつなことは御案内通りで、従いまして私どもは、同じわくの中でより効率的に経費が出るようにということを主として努力いたしておるわけであります。このわくにゆとりができ、あるいは外資等が入ります場合には、もちろん各工事の経済的な条件の優劣によつて優先先後がきまる。その関係において八郎潟は相当にいい条件にあることはおつしやる通りであろうと私は思つております。
  27. 川俣清音

    川俣委員 八郎潟というばかりでなくして、農地開発の面において大いに考えていただかなければならぬことは、世界銀行から日本の土地の開拓のために、外国資金を借りることはいかがであろうかと、私は考える。理由は申し上げません。むしろそれよりも大きな、アメリカを救済する形において買い入れて参りますMSA小麦でございます。これらは明らかに日本農産物を圧迫する面を持ちながらも、――もちろん日本の食糧事情という面からも必要ではありますが、それよりももつと大きな圧迫になります小麦輸入をあえてやつておるのでありますから、これはむしろ日本からいえば、アメリカに対して援助をいたしておるような筋合いのものでありますから、この資金を農地開発のために使うということの方がむしろ妥当であろうと、私は思うのです。この見解を持つておりますが、原さんはこの見解をいかように御解釈になりますか。原さんの見解と私の見解とが非常に相違がありますならば、また元へもどつて議論をしなければならないと思いますが、要約するために結論だけひとつ御解答願いたいと思います。
  28. 原純夫

    原説明員 MSA系統の売却代金を何について援助を受けるかという場合の一つの項目として、農地開発というものが取上げられることはもちろんであろうと思います。というのは、問題の一つの項目として、有力な項目になることと私は考えております。
  29. 井出一太郎

    井出委員長 淡谷悠藏君。
  30. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 今年の凶作が、昨年に引続きまして連続凶作であるという点は、私は昨日申し上げましたが、従つて営農資金等も昨年の救済施策の中ですでに貸し出されております。農家がこの営農資金を今年返済することは、実際上むずかしくなつておると思います。従つて今年の対策に現われました営農資金貸付の方針なども、昨年度営農資金の始末をどうするかということが非常に大きな問題になつて来ると思います。これは今後の天候のいかんによつて、凶作の度合いが多少減ずることがあるかもしれませんが、大体東北地方におきましてはもはや決定的な事実でございまして、この後天候が回復しましても、私は絶対に凶作の度合いは弱くはならないという確信を持つております。なお昭和六年から七年にかけて連続凶作があり、八年が小康を得て九年、十年と大体五箇年にわたるあの連続の凶作の中で、農民がどのような破綻を示したかということを、われわれは実際に見て参つておりますが、こういう長い凶作の型がすでに現われておると申されておりますし、特に自然的な現象以外に、例のビキニ水爆の問題なども、昨日の農林大臣の御返事では肯定も否定もしない。すなわちこういう人為的な要素が異状天候影響することも必ずしもないということは断言できないと大臣自身が言つております。やはりこの際長期にわたる凶作対策の必要があろうと思います。さしあたり年度対策といたしまして、営農資金を貸し出すにいたしましても、昨年度営農資金を返済しないものには貸付しない、こういう形をとられますと実際被害を受けた農家はまつたく救済を受けることができない。こんな困つた形の中で、大蔵省は一体どういうふうに考えておりますか。もとより農林中金の問題もありましようが、大蔵省としてのお考えをお伺いしたい。
  31. 原純夫

    原説明員 非常に本年の作柄については心配いたしております。いろいろ問題が起るだろうと思つております。ただ本年の作が不作であつた場合の営農資金の問題、これはまだ先の問題でありますので、ただいまのようなコンクリートな御質問に対して、ここでイエスともノーとも申し上げるまでになつていないのでございます。作柄その他実情、成行きを見まして、研究いたして確定いたしたいと思つております。
  32. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 先ほどから川俣委員の御質問に対して御答弁がありましたが、これから勉強するとか、あるいは十分検討するという段階ではないと思います。実際上は、農民といたしましては今後どうなるのか、このことをもう心配以上に心配をしております。どうぞその点はあまりにのんきに考えないで、しりに火がついたような窮迫した事態にあるのでありますから、もつと具体的にはつきりしたことを示してくださらなければ、予期することのできないような混乱状態に陥るのではないかと思いますので、はつきりひとつ申し上げておきたいと思います。特に東北地方の土木工事は、十一月に入つたらほとんどできません。今年の現状から申しますと、いろいろな恒久的な施策よりも、目の前に迫つた食糧の問題、生活の問題、このことが農業対策とは別個に、一つの社会問題として救済をする必要が絶対に出て来ることを確信してはばかりません。その場合に、やはり今の勉強いたします、調査いたしますでやつておくならば、おそらくあの積雪中の救済土木工事などというものはむずかしい。あの吹雪の中で零細な賃金を得て働くにいたしましても、この事業はまつたくむだになります。凍つた大地を掘つて道路をつくつたり、あるいはため池工事をいたしましても、成果が望めません。そういう意味で、今年の凶作はもはや確定的な事実として、よしんば仮定にせよ、確定の方が強い。こういう見解から、少くとも積雪前、降雪前に、何らかのこういう救済策が土木工事の上でも必要となると思つておりますが、その点においてもお考えになつておりませんかどうか、お答えを願いたい。
  33. 原純夫

    原説明員 心配いたしておりますが、やはりそれぞれ担当の各省がございまして、いろいろ御研究になつておるところだと思いますので、それらも伺い、十分研究して参りたいと思つております。
  34. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 他の担当各省の研究にまつて態度をおきめになるということはごもつともでございますが、昨日農林大臣のお話の中にもしばしば、農薬の問題について大蔵省との間で激突しておるというような言葉もございましたし、また各閣僚間においても、この凶作対策につきまして、意見が必ずしもまだ十分にまとまつていないというようなお話もございましたが、これではまことにおぼつかないと思います。すでに昨年度の凶作救済のいろいろな予算上におきましても、まだ決定された額の支払いもされていないというようなことが出ております。いかに世間で不渡り手形が出ておる時代とは申しましても、国家自体がこのような不渡り手形を発行するという形になりましては、まつた国民の信頼を失つてしまう。特に目の前に差迫つたこの連続凶作の波の中にあえいでおります農民に対して、そんなたよりないことであつて処置がないと思う。もしも農林省あるいは他の関係各省が、はつきりこういう施策をとらなければ、今度の凶作は救えない、こういう線が出ますならば、大蔵省において財政上のさまざまな困難がありましようとも、この困難を克服して、そういう主管の官庁の方針に従つて財政措置をとられるような御決意があるかないか、その点をお伺いしたいのであります。
  35. 原純夫

    原説明員 事柄によることでありまして、財政上の見地からもいろいろ事柄の内容について意見を申し上げることはあろうと思います。
  36. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 事柄によつてと言いますが、端的なことを申し上げまして、今度の凶作に対して貸し出される営農資金の問題、早期の土木工事の施行に関する予算、こういう二つの事柄については、具体的にはどうお考えになつておりますか。その点をお伺いしたい。
  37. 原純夫

    原説明員 ただいままだ御返事し得るような具体的なものを持つておりません。
  38. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういたしますと、大蔵省といたしましては、農林省その他の関係から要望が出るまでは全然白紙である、こういうふうに認識してかまいませんか。それともどんなものが出ようとも、今の財政上ではできないというのですか。その点はごまかされずにはつきり御答弁願いたい。それでなければ、われわれが農民の中に入りまして、今後この凶作の形を打開して行くための指導上困ります。どうか大蔵省は、どんな要求が出ましても、農民要求にこたえられないならこたえられないように、用意があるなら用意があるように、この点ははつきりとしていただきたい。これは差迫つた非常に大事な問題でありますし、農民は命がけでございますから、そういう点で単なる国会答弁の形だけでなく、もつと誠意のある御答弁を願いたいと思います。
  39. 原純夫

    原説明員 重ねて申し上げますが、事態の進展に応じまして、どうしても必要なもの、そして財政上許すものは出して参るということに相なろうかと思います。
  40. 井出一太郎

    井出委員長 金子委員
  41. 金子與重郎

    ○金子委員 いろいろ委員から大蔵省、ことに原次長等の見解について質疑応答があつたようであります。そこでこれはこの春からの問題でありますが、今度の凶作対策としての農薬の問題にいたしましても、これは非常に大蔵省、ことにあなたの考え方と基本的には大きな食い違いがあると思うのであります。と申しますのは、あなたはきようの答弁で何度も言われておるように、農業も一つの企業なのだ、だからこの企業が行われて行く上に必要な資材というものは、当然個人が持つべきものである、これは私は日本農業を完全な一つの企業という見解の上に立つたときには正しいと思うのであります。しかしながら、おそらく日本農業の実態というものに対して、幾分なり突き詰めて研究しておる人たちで、日本農業を企業であるという一片の見解で割切つておる人はおそらくないと思います。これは大蔵省がそう割切つておるなら見解の相違であります。そこにこういう問題がたくさん出て来るのでありまして、実例を申しましても、なるほど自己の資本で自己の損益のもとに、自分の意図で経営しておるという点だけから行きますれば、農業は企業であるという見解がとれるでしようが、しかし日本農民というものは、日本農業の特殊性から行きまして、志を立つて農業経営をもくろんだ農業者はほとんどないのであります。みな運命的に、一つの自然発生的に農業経営をするような立場に置かれておる。そういうようにほんとうに自然発生的、運命的な立場に立つておるのでありまして、それが証拠には、全国広しといえども、農業経営のもくろみ書を立つて、そのもくろみ書の損益計算に基いて資本を投下しておる農業者というものは、おそらくないと言い得るのであります。それは日本農業は企業形態を持つておるけども、企業としては成り立たない性格の上に立つておるということを立証しておると思うのであります。そういう観点から行きまして、今の米価あるいは麦価というようなものも、あれは自家労働というものを中心にした一つの労銀の変態にすぎないということも言えるのであります。今の政治が社会保障の面においても、一般労働者とくわをとる労働者とは非常な差別を持つておる。都合のよいときだけは農業を企業という見解のもとに追い込んでしまう。一番の農政のしわ寄せがそこに来ておるわけであります。しかもあなたは、企業に対する損益というものは、企業自体が持つべきだという見解を持つておる。たとえば企業として農業よりも完全に独立して行くべき性格を持つておるものは、造船事業のようなものでも、国策として、その造船というものが成り立たないときには、あれだけ莫大な援助をしておるのであります。その資材はその人の直接の資材ではないというけれども、あの人たちの経営基礎としての金利というものは非常に大きな経営要素であります。その経営要素を国家が補填しておるのであります。そういう観点から行きますときに、農業経営の資材だということだけで、経営資材だというふうに理由づけるそのもとの理由が、農業が企業であるというような見解であるとするならば、これは今後いろいろの問題が出て参りましても、常に大蔵省とは合わない。あなたは農林省、その他の各省の意見によつて大蔵省はやるのだと言うけれども、大体大蔵省意見農林省や各省が従つておるというのが今の財政上の実態であります。私は予算の総体のわくに限りがあることをよく承知しておりますから、それが金額において万全を期せられるか期せられないかということに対して申し上げておるのではなくて、日本農業は一つの企業なのであるから、企業の損益に関することは農民自体がやるべきである、こういう見解に立つたときに、日本農政の考え方として私どもとは非常に違うところがあるのであります。この点はきよう解決いたしません。あなたはお忙しいようでありますから、この問題に対して、私ども根本的にとことんまで、なるべく近い機会に吟味したいと思います。われわれのように、長い間農政に携わつておる者は、農業は企業形態を持つておるけれども、企業価値を持たない実態の上に立つておる、だからして国策としての農政というものの上に立つべきである、こういう見解を持つておる。そこに非常な違いがある。この見解が違つている以上は、常に食い違いができ、しかもあなた方はさいふの元締めをしておるだけに、いつも農林省と農政問題について見解がかわつて来る。大蔵省の重要なポストにおるあなた方が、そういうふうな見解であるとするならば、これは将来重要な問題でありますので、この点についてきよう即座に御答弁いただきたいとは思いません。それは一言や二言の押問答では解決つきません。でありますから、私どもの考え方が違うか、大蔵省考え方が正しいか、違うか、それに対して近い間に――近い間といつてもものの一週間を出ない間に、次の機会においで願いまして、十分吟味してみたい。それでもし違うなら、相当の学者なりあるいは他方面のいろいろな人たちに立ち会つてもらつて、そして大蔵の見解とわれわれの見解というものを検討してみたい、こう考えております。あなたから幾度も答弁がありましたので、その点一つについて、私はその機会を待ちたいと思いますから、十分御研究おき願いたいと思います。
  42. 中澤茂一

    ○中澤委員 関連して原さんにお伺いしますが、実は基本的な問題が、日本の農政は割切れていないというところに、やはり問題があるので、昨日も川俣委員が、一体農産物価の価格形成の中に、すべて企業としてのあれが見込まれているかと言えば、それも見込まれていない。それでは補助金政策で行くのかと言えば、それもどうもはつきりしない。そこにやはり基本的な日本の農政の問題があるので、今の金子先生のような議論になる。そこでそういう基本的な問題をどう割切るかということは、あなたと問答してもしかたがない。これは大蔵大臣なり農林大臣とのお話なんですが、具体的な問題を一つ明らかにしておきたいと思うのは、本年も凍霜害冷害であることは、もはや確定的と言つても私はさしつかえないと思う。それは標高八百メートル以上の稲作地帯は絶対だめです。私実は長野県の標高八百メートル以上を三箇所ばかり、ここへ来るまでに歩いて来たのですが、これはだめです。よしんば天候が順調に回復しても、四分作、五分作に行くか行かないかというところです。しかも土用のさ中に、まだ服もぬがないでいいような天候でほとんどだめなんです。そこで去年のように、あとからあとから追われてやるのじやなくして、われわれは先々具体的な救農対策を立てなければいかぬ。その点についてきのうからの議論を聞いておつても、春の凍霜害を見ても、営農資金を出すじやないかとすぐここへ逃げるのです。ところが御承知のように、昨年の春の凍霜害から秋の冷害に二百二十億まで入れて、四百八十五億というものを農林中央金庫が、すなわち農民資金でまかなつておるのです。ところがこれがよくよく枯渇してしまつた。去年の救農のときの二百二十億は、政府が少し日銀の方が考えてくれれば何とかなるというので、われわれは二百二十億を実は強引に委員会で押し通したのですが、ことしはその望みが絶対ないのです。農民金融の現状というものは限界に来てしまつておる。そこであと今年の一切の対策に対する費用というものは、もはやわれわれは農林中央金庫をあてにしてここで論議し、政策を立てることはできない段階になつている。そこで今年はどうしても一般会計なり予備金の中から、何らかの処置を講ずる方策を今から考えておいてもらいたい。きのうからの議論を聞いていても、まだ農林中金の農民資金があつて、それが使えるじやないかというような点が、質問の中にも答弁の中にも多分に見受けられるのですが、そういう点はことしは不可能であると断定しなければならない。そうなると今言うように、一般予算なりあるいは予備金支出なり、この中から何らかの方策を今から考えておいてもらいたい。それについてあなたは、まだ農民資金の中に余裕があつて、その方でまかなえるのだというお考えですか、それともことしは、そういう事態が来れば、政府自体、国家予算自体の上から、何らかの方策を考えなければいけないというお考えですか、どちらでしよう。その点一点だけ明確にしていただきたいと思います。
  43. 原純夫

    原説明員 一般予算の中あるいは予備費から出すか出さぬかという問題は、問題の性質によりまして、その場合に判断して参りたいと思います。もちろん事態の推移によりましては、通常の金融だけではいけないというようなことも起るかもしれないが、これは事態の推移によることであろうと思います。それから、営農資金の非常に多量に出ましたこと、ことし農民資金が足りないということ、非常に圧迫が来ているということは、おつしやる通りであると思いますが、その点から申して、まだ二面から打つ手があると思います。と申しますのは、一つには、昨年出ました営農資金は、一年なり二年なり三年なりという期間で回収になる資金でございますから、相当額が回収になるということであります。もう一つは、率直に申しまして、昨年の出方はわれわれはかなり検討を要すると思います。検討をして、そして今後やります場合に、あらたむべき点はあらためなければならぬ。あれだけの金額が出ましたことも、御存じの通り、率直に申せば、災害のいろいろな立法でわれわれは応接にいとまがない状態で、営農資金も、実はあれだけお出しになるのは行き過ぎであると思つたのでございますけれども、何と申しますか、非常に混線みたいなことになりまして、最後に、議員立法の修正また修正で、非常に厖大な額が出る。そしてまたその実行につきましても、いろいろ耳に入つて参りますうわさの中には、それの配分なり流し方なり、あるいは流れたものの使い方なりについて、かなりあらたむべき点が多いようにも聞きます。そういうような意味で、両面においてなおいろいろ努力と申しますか、変改の余地がある。従つて、ことしはそういう面に、全然財源と申しますか、資金源がないというふうにも考えておりません。これは、それらの努力がどの程度行くかということによつて、ことしの必要をまかない得る限度がどれだけかということがきまつて来ることであろうと思いますので、せつかく今後検討して参りたいと思つております。
  44. 中澤茂一

    ○中澤委員 原さんの今の御答弁によると、昨年流したものが相当返つて来る、こういうお考えですが、もしこの気象が今のまま回復しなければ、これはおそらく返還能力はありません。これは気象の推移によつてかわつて来ますが、まずこの気象では、私は不可能じやないかと思つているのです。そうなると、昨年の営農資金の返還というものはおそらくむずかしい。あるいは中にば返せる農家もあるかもしれないが、大体これは何らかの延期措置をとらなければならぬのじやないかというふうに、われわれは今から推測しております。そこで昨年の営農資金が返つて来る、それと見合つて何とかひとつ方策をという考え方は、私は少し甘いじやないか。これはお天気さんの話で、お天気さんの話をここで今議論をしてもしようがないので、いずれ二十日の出穂の前後にまた農林委員会を開いて、このときには徹底的な段階に来ますから、そのとき具体的な対策考えなければいけませんが、とにかく今年は昨年のような農民資金にたよることはできないのだという腹構えだけは、ひとつ持つていただきたい。何らかの国家財政の上からの方策を考えなければいけないのだという考え方だけは、ひとつお持ちになつていていただきたいと思うのであります。具体的に八月二十日になれば、十五日の作報の報告がおそらくまとまると思います。これは全国の出穂期の第一回調査でありますから、このとき大体の目安はついて来ると思いますが、そういう点もひとつお含み願つて、国の方が何とかめんどうを見なければいけないのだというお考えだけは、今から腹構えだけでもしておいていただきたいということを、お願いしておきます。
  45. 井出一太郎

    井出委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十二分開議
  46. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。芳賀貢君。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど委員長の御指摘もありましたので、病虫害等に関する当委員会の決議等に関する問題は後刻に譲つて、先日の農林大臣の御所見にありました、すでに東北、北海道における冷害は必至であるという現実の上に立つて、これに対応する施策というものは最も賢明に、早期に、具体的に確立されなければならないと感ずるわけでありますが、この点に関しましては、昨日も農林大臣並びに塩見局長からも御見解の表明があつたわけでありますが、本日はさらにこれを具体的に解明したいというふうに考えるわけであります。  七月二十日の閣議におきまして、保利農林大臣は東北、北海道等における主として水稲の成育遅延の状況等の報告を行つておるわけであります。それと同時に東北、北海道の大部分に稲ひめはもぐりばえが十数万町歩にわたつて発生したという事実と、今後気温の上昇等に従つて察知されるいもち対策等をさつきゆうに講じなければならぬというような問題、またそれに対応して農薬の購入あるいは防除機具等の購入に対する助成措置が必要であるという重大なる発言を農林大臣は行つておるわけであります。昨日の塩見局長の御表明によりましても、これらの点は一応説明がされておるわけでありますが、何といたしましても、現段階に立つて、すでに冷害は必至であるという場合においてとるべき対策というものは、今後人為的にあらゆる努力をこれに傾注するということが必要になつて来るわけでありますが、その場合に考えられる点は、二点に要約できると思うのであります。  第一点は、このように一週間ないし二週間成育が遅延しており、すでに大部分が有効分葉の時期を過ぎておるというような場合においては、何とかしてこれが成育を促進させるような手段が必要になつて来るわけであります。そういう場合におきましては、当然国の改良普及事業等が中心となつて、あるいは地方の公共団体あるいは農業諸団体が一丸となつて、総合的な技術面における指導対策というものが必要であると考えるわけであります。幸いにして今国会におきましては、農業改良助長法の一部を改正して、この改良事業に対する国の補助金の削減を政府は試みたわけでありますが、これは参議院等においてもこのことの非違が指摘されまして、遂に政府の意図は実現することができなかつたわけであります。これを通じましてわが国の改良普及事業の重要性というものは、非常に高揚されたような感を私どもは持つておるわけでありますが、これらの普及事業を中心とした総合的な技術指導等に対しましては、いかなる対策をもつて臨もうとしておるか、その点に対する具体的な御表明を願いたいのと、もう一つは、この冷害対策の一環として、今後予見されるところのいもち病の発生というものは、これもまた必至であるというふうに考えられるわけでありますが、特にこれを行う場合におきましては、農薬あるいは防除機具等に対する確保の問題、あるいは積極的な助成措置の問題等もこれに伴つて参るわけでありますが、すでに冷害を予測される道府県当局等は、自主的にこの対策を立てておるわけであります。やはりこれに対応して、国としても強力なるてこ入れをする必要があると私は考えるわけでありますが、この二点に対してできるだけ具体的に、当局のとろうとする対策についての御説明を、お願いしたいと思うのであります。
  48. 塩見友之助

    ○塩見説明員 昨日も申し上げました通り、今後打たるべき対策としましては、追肥の手控えあるいは追肥をやめてしまうというふうなことと、除草をできるだけ早く切り上げるというふうなことと、地温、水温の上昇がうまくできるような措置、これは具体的なたんぼたんぼによつてやり方が違つて参りましようけれども、それの手を打つというふうなこと、そういうふうな部面については技術者の活動が中心になりますので、それにつきましては、大体八百十五万円ほどの予算大蔵省の方と話合いをつけまして県の方へ配付する、これは試験場の人たち、スペシヤリストの人たちあるいは病虫害の防除に指導的な活躍をする人たちを含めます。そういうふうな形で、具体的なやり方につきましては、今年当初から数回の打合せを各府県とやつておりますが、はつきりと冷害が来る公算が大きくなつて参りました七月十日を中心としまして、東北、北陸、関東ブロツク別に打合せを了して、それぞれ各県の方でやつておられることと思います。そういうふうな形で進めております。  あと大きい問題としましては、何と申しましても冷害と並行して多発して参りますところのいもち病の防除であります。これにつきましては、防除機具については昨年度年度当初予算の四倍のものを結局最後に災害その他の関係からして確保しまして、市町村その他の方には整備をいたしたわけであります。本年度においては、昨年度の当初予算の四倍の防除機具を府県に対して補助しておる、こういう状態でございまして、当面急を要する問題といたしましては、何と申しましてもいもちに対する農薬の助成ということが一番決定的である。この問題に対しましては、昨年も申し上げました通りに、原則論でもつて大蔵省と話合いをしましても、これはらちが明かないというふうな形からして、とにかくこの異常な天候日本経済の、外貨においてもその他食糧の需給においても、非常にきゆうくつな状態にあるということを十分考えまして、ここで思い切つたところの特別措置をとるべき段階に入つて来ておる。もともと予備費というものはそういうふうな事態に対応して組まれておるべきものなんで、その予備費の中からぜひ農薬助成の経費をもらいたいというふうなことを交渉しておる、こういうふうな形でございます。それで大蔵省の方は、昨日も申し上げましたように、農薬の助成費でなくて農薬の倉敷金利の補助で、備蓄をふやせというようなことを申しておりますが、われわれの方といたしましては、とにかく農薬が現実に使われるのは、照り込めばこれから長くてもここ一箇月という期間が決定的な時期であつて、そのときは照つて、出ると同時に今県で備蓄しておるものがずつと出て行く、あとは県で備蓄するという段階を通らずに、右から左にどんどん農村に入つて行つて使われなければ間に合わない、こういう事態でもございます。そういう形では本年の今の事態に対応することはとうていできないので、どうしてもそれは農村の方の直接農薬の助成というふうな形をとつてもらいたいということで、現在争つておる、こういう状態でございます。もともと病虫害の防除というものは、個々の農家が気がついて始めますときは、すでに時期が遅れる傾向があるわけです。北海道における稲ひめはもぐりばえもいくらか手遅れという形態が見られます。東北における稲はもぐりばえも同様な状態であつたわけであります。これは今までにほとんど発生がわずかであつたし、北海道の一部でときどき、四年に一ぺんくらいわずかな発生があつたという状態であつて、かなり異常天候というので、非常な大きい発生を見たのでやむを得ないこともあるかもしれませんが、いもちについては、当然今までのでき遅れから考えましても、天候回復と同時に激発するということは、今までの試験場その他のデータによつても明瞭に看取し得るわけで、これに対しても十分な準備をしないということがあつたのでは、これは食糧増産上非常に手の打ち方がまずかつたということを言われても、何とも言い訳ができないような問題であろう、こう考えますので、この部分については、できるだけ早く、農家の方が気がついて騒ぎ出す前に、どうしても手を打ちたいというのが私どもの考え方で、せつかく努力はしておるわけでございますけれども、相手のがんばり方もなかなかはげしくて、なかなか行けない、こういう状態にあるわけであります。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの局長の御説明で、おおよその内容はわかつたわけでありますが、特に可能なる成育促進の技術的な指導等に対しては、当局はもちろんでありますが、地方の公共団体あるいは農業団体等が、結局有機的に一丸となつて行い得る態勢というものはどうしても必要であるというふうに考えるわけでありまして、この点に対しましては、疎漏のないような手を着々と打たれることを切に希望しておく次第であります。  それから今後の稲熱病等の多発の問題の対策等に対しましても、農薬の備蓄の問題あるいは防除機具の確保の問題等に対しても了承できるわけでありますが、問題は、局長の言われた政府のこれに対する助成措置であります。これは相当困難も予想されるわけでありますが、何としても国の責任において、かかる大冷害をできるだけ食いとめるという最善の努力というものが必要であるというふうに考えるわけです。  さらにただいま触れられました北海道、東北におけるいわゆる稲ひめはもぐりばえの問題でありますが、これは今までの事例を見ても、稲ひめはもぐりばえというものは、水稲等に発生する場合は非常に少かつたように思いますが、これは春以来の冷涼な気象条件がしからしめた問題であるというふうに考えるわけであります。これは予見できない病虫が発生したわけでありまして、たとえば植物防疫法等の適用の場合等におきまして、幾分の疑点があるかもしれませんけれども、これらに対しましては、どのような御見解をもつて処理せられようとしておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  50. 塩見友之助

    ○塩見説明員 稲ひめはもぐりばえの防除の問題につきましては、すでにその防除が終つておる、こういうふうな問題になりますので、昨年もすでに防除が終つた十月になりましてから補助をやつた、あとから補助をやつた、こういうふうな形がとられております。今年は財政その他の状態からして、それについてもかなりむずかしい問題もたくさん起つて来ると思いますが、私ども当面大蔵省折衝しております部分は、起つてしまつて、手遅れながら農家が使つてしまつた、それに対する補助をやるというふうな考え方のものではなくて、当面、とにかくこれから起ろうとするものをまず押えるのだというふうな建前の部分に限つて交渉しておる、こういう状態であります。すでに使つてしまつたものをどうこうするとかいう問題になりますと、どうしても原則論にぶつかりますし、少くもここ一月に激発しようと考えられるところのいもちの話合いには、とにかくその原則論を片づけてからということでは間に合わないということが非常にはつきりとしておりますので、今のところはそういう部分に限つて折衝しておる、こういう状態であります。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御説明でありますが、当然今後多発するであろうところの稲熱病対策というものは最も大事であります。しかし東北、北海道において十数万町歩にわたつて稲ひめはもぐりばえが発生したということは、これは歴史的に見ても今までにないような事例であります。でありますからして、当然これに対する防除措置等も適切を欠くような場合もあつたかもしれませんけれども、しかしこの防除に対する農薬の投入量というものは、北海道だけでも三億数千万円、それに東北諸県等を入れると相当巨額に達しておるというふうに考えるわけであります。これに対しましては、やはり植物防疫法等の適用によつて、あるいは都道府県における防除計画等の中にかかるものを入れて、そうして緊急に対策を講ずる必要もあつたと思いますし、それらの緊急発生に対しましては、これは都道府県知事の報告等によつて適切なる処置が講ぜられるというふうに私どもも解釈しておりますし、それからこの指定有害動植物の範疇の中においても、特にひめはもぐりばえはうたつでないけれども、稲はもぐりはえ等はその指定種類に入つておるわけであります。そういうような解釈の上に立つた場合においても、かかる稲ひめはもぐりばえの多発の問題に対しましては、これはすでに現地がいち早く最善を尽してしまつたのだからして、事後の問題に対してはここでとやかく言うことはできないというようなことでなくて、やはりそういうような非常に大量の農業薬剤等を投入しておるという現実の上に立つて、これもまた数年来にないような春以来の冷温、いわゆる冷害原因をなすところの冷涼なる気象条件がこのような害虫の発生を見せたということに関連を持つた場合においても、やはり総合的に今後の稲熱病の処理の問題とあわせて、これを善処さるべきものであると私は判断するわけでありますが、このことに対する局長の苦心もあると思いますが、もう一度誠意のある見解をお聞かせ願いたいのであります。
  52. 塩見友之助

    ○塩見説明員 ただいまの御説明のごとく稲ひめはもぐりはえの異常完成でありますので、そういうふうなものは、午前中にも川俣委員からも米価との関係、米の統制というものがあるという前提に立つての問題の考え方について、いろいろなお話もありましたが、そういうふうな点から言えば、もし財政が許すなら、われわれの気持といたしましては、農家のためにできるだけそういうふうなものも前年と同じように救えれば救つてあげたい、こういう気持は強いわけであります。しかしながらこの問題は、昨年においても手遅れ手遅れとなりまして、十月になりましてから決定した、すると結局農家の方で大体やつてしまつたものをあとから追いかけて金を出すというふうな形になつたわけであります。その結果はやはりどうしても防除が適期を失し、農薬量も非常によけい使う、効果の方も非常に薄くなつて減産にもなるというふうなのが昨年の結果でございましたわけで、私どもは今の問題としましては、さしあたりとにかく今いるものにまず補助を出すということを明示して、それで防疫を専心やつてもらう。その次の問題は米価決定であるとか、あるいはその後の供出のやり方等との関連において、また昨年と同じような問題が当然論ぜられることと思つておるわけでございますが、その時期において解決する方が現実問題としては適当ではなかろうかという考え方に立つて、現在大蔵省折衝しておるわけでございます。
  53. 川俣清音

    川俣委員 関連して……。根本論は別にいたしまして、この稲ひめはもぐりばえの問題について、昨年は確かに手遅れの補助助成をいたしましたために、適時に適策をとられなかつた結果、意外な労力と意外な費用をかけて防除せざるを得なかつたわけでございます。しかしながら何らかあとにおいて処置せられるという今までの農薬補助の仕方から、今年もまた手遅れであろうけれども、あとに何らかの助成補助があるであろうということを暗に期待いたしておるであろうと思うのであります。これは農民は別にいたしまして、指導者の面からいうと、どうしても早くこの対応策を講じたいというところから、何らかの処置があるのであるからやれという激励をかけて行かなければ、なかなか適時に適策の防除ができないものであろうことは、局長よく御存じの通りであります。従いまして、指導者はどうしても政府の補助あるいは助成に期待を持つて激励いたして、対策を講じたと思うのです。それでありますから、その指導者の今後の地位というものを守つてやる上から、また農業の上に非常な寄与をいたしております指導者の力というものを弱めて参りますならば、将来の農業政策というものはまつたく成り立たぬのでありまして、これらの県の指導または団体の指導あるいは改良普及員等の指導面で、これらに期待をかけて防除いたしました点が、実際において多々あろうと思うのです。従いまして、今すぐということはもちろん困難な事情もあろうかと思いますが、やはりこれを解決するのだという方針を堅持されて行かなければならないと私は思う。そういたしませんと、秋の米価のときに非常な苦心を政府が払わなければならぬようになりまして、結果的に国の財政負担は増して来ることになると思うのです。そういう点からいつて、国の経済からいいましても、やはり今解決の方途を見出しておくことが必要であろうと思う。特に北海道においては反当一千円も使つておるような状態であります。また別な面、すなわち今日の農業技術の面からいいまして、これらの害虫を防ぎ得ないということになれば、これはあまりにも幼稚だといわなければならないのでありまして、今日の人間の病気といい、伝染病といい、あるいは植物防疫の上からいいましても、たとえば林業の上の防疫などについても、相当なやはり防疫費用を出さざるを得ないのが今日の状態だと思うのであります。こういうことで、むしろ稲熱病の方は健苗育成によつて、ある程度個人の努力によつて防げるのでありますけれども、こういう突発的に発生し、激化いたす虫害などは、これは自分のところだけで防いでおきましても、防ぎ切れないものでありまして、従つて稲熱病よりもつとこれは個人の努力の及ばないものであることは、局長よく御存じの通りだと思うのであります。従つてそういう面から言いましても、この際そういう病害というよりもむしろ虫害でございますが、一時に襲つて参りますところの虫害――たとえば中国のいなごの大群の来襲というようなものにつきましては、中国においても国の費用でやつておりますし、たとえばアメリカのようなところも、そういう病虫害については国がやつておる。いずれの国も同様な処置であります。従いまして、後進国である日本においても、また農業においては先進国だともいわれまする日本においても、やはり各国並なことにまで、十分至らないにいたしましても、その半分くらいなまねはできぬことはなかろうと存ずるのであります。局長のこれに対する御見解を御説明願いたいと思います。
  54. 塩見友之助

    ○塩見説明員 虫の方が病気よりももつと個々の農民責任においては処理しにくいものであるというような御説はまことにごもつともだと存じます。昨年までのいろいえおな実績等から見ましても、やはり虫につきましては、共同防除というようなことが個人防除に比べまして非常に大きな効果を収めておるという数字等もはつきり出ておりますし、個人のばらばらな防除であつて効果が非常に薄いというようなことも出ておるような次第であります。国といたしましては、国の職員の関係もございますし、現実に防疫をやるとなれば、それだけの人のみならず機具、農薬等も持つておらなければならないという形にもなつて来ますので、アメリカシロヒトリであるとかその他特殊の病気が外国から入つたときに、急速に絶滅をしないと、伝播して全国的に広がつた場合には処置がなかなかつかなくなるというふうな部分に対して、国が直接の撲滅に当るというふうなこと以外には、現在のように全国的に広がつておりますいももとか螟虫であるとかいう稲の主要な病害虫につきましては、これは植物防疫法によりまして、やはり建前としましては農民あるいは農民の団体に防除してもらう。それに対してできるだけの協力をするという立て方になつておるわけであります。これに対しては、そういう性質から行きまして助成というふうなものが必要であろうという考え方で、従来農林省の方では建前を立てて来ておるわけでございますが、今年当初の予算において非常に削減されておりますので、その建前通りなかなか動かしにくい。これは農民のみならず、県あるいは国の方もバツク・アツプしまして、一緒になつて防除をして行くという態勢、そのうもの国の助成部分というものが、財政的に非常に弱まつてつたために、協力一致の力がその点において相当そがれておるというような結果になつておるわけであります。この点ははなはだ遺憾でございますが、本年度のような平常の状態でない場合には、どういうことがあつても、どういう建前をとろうとも、農薬を出すべきでないか。こういう建前でもつて今のところ急速に手を打つということになりますと、どうしてもそういうふうに限定してやつて行かないと、話に乗らたいし、進まないものでありますから、またこの話だけは、おそくなつても今月中に手をつけなければ非常な手違いを来すおそれがありますし、時間的に迫られておりますので、そこに限定してやつておる、こういう状態であります。
  55. 川俣清音

    川俣委員 局長も十分御承知だと思いますが、二十九年度予算編成にあたつて、農林委員会から大蔵当局に対する質問中に、農薬の問題に触れた場合に、私どもの意見として、災害が起きた場合どうするのだ、あるいは病虫害発生した場合どうするのだという質問をいたしました。ところが、それはこういう緊縮財政の折に、あらかじめ予算を組んでおかぬでも、発生したときに適時に予備費から出すことによつてそれがまかなえるのであるから、初めから予算を組んでおかぬ、やはりむだになるから組んでおかないでもというのが、大体当時の説明であつたと思うのです。初めからそれだけの予算を組んでおくと、どうしても余分に使うから、それで実際発生したときに、これは何とかして解決しなければならない問題だ、こういうことであるいは逃げておつたかもしらぬけれども、予算編成の上から、あるいはさもあるべきということで、ある程度私どもは了承しておつた問題なのであります。従いまして、このたびのこういう異常気象になりますと、大蔵省の前からの言明から言いましても、これはどうしても出さなければならないということになると私ども信じておる。その見解に立つて局長大分御奮闘だと思いますけれども、局長と一体になつております地方普及員、または各農業団体指導員、または県の指導者の立場を考えますと、どうしても国に期待をする今日の地方財政のあり方から言いまして、国に期待をかけて急速に防除しなければならないということでとつた処置に対しましては、その指導者の権威の上からも、十分な裏づけをしてやらなければならないと思いますので、特にこの点をもう一度局長に念を押すのでございまして、これはわれわれもともに共同責任でございますから、鞭撻をいたすとともに、将来もまた大蔵当局には要望いたすのでありますし、また当委員会においても、今決議をするところでございますから、十分委員会の意向を体しまして、勇猛果敢な折衝をしていただきたいということをお願いしておくのでございます 。
  56. 塩見友之助

    ○塩見説明員 ただいまの川俣委員の御了解の通りに私も了解しておりますが、相手方はその場になりましては、必ずしもそういう了解であつたようには言わないわけですけれども、私は同様な了解があつたと思います。それはいかに県の備蓄、国の備蓄があるとしても、とうてい異常発生に耐え得るようなものは備蓄しておりませんし、備蓄ではそういうところまでとうてい手はまわらないので、ほんの一部でございますから、異常発生になりますれば、予備費というものはそういう性質で組まれておるべきもので、また病虫害に対しては、そういう異常発生があつた場合には、予備費もあるではないかというようなことは、先生たちは私には明言もいたしたはずですし、そう了解して私の方は折衝いたしておるわけで、この点については極力努力して参りたいと思います。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 このひめはもぐりばえの問題ですが、これは局長の御見解を聞いておると、何か手遅れであつたというようなことを強調されているわけですが、この手遅れであるという点は、どこをおさしになつておるかということを、一応お伺いしておく必要があると考えるわけであります。これは平常な発生ではないわけです。ひめはもぐりばえというものは、当無当初から、本年度こういう病虫が発生するということは、予測できなかつたわけでありますが、非常に異常発生であつたということで、例年発生するところのいもち病等とは異なつた処理が必要になつて来たというふうに考えるわけであります。それで結果的においては、農薬等の消費量も非常に多かつた従つてその薬剤の購入費等においても数億に及んでおるというような場合においては、たとえば本年度予算を通じての病虫害防除対策費が異例に削減されて、わずかに二億くらいしかないという場合においては、これは何ともしようがないではないかということにもなりますし、またこの補助の対象といたしましても、薬剤ではなくて防除機具等を主として対象にして当初予算は支出することになつているので、そういう点は予算の編成上からすでに多大の欠陥と不満があるわけでありますが、しかし現実の問題として、このように異常発生したひめはもぐりばえの問題に対しましても、やはり何らかの具体的な措置が確実に講じられる必要は、必ずあるのじやないかというふうに考えられるわけであります。特にこの植物防疫法等によつても、緊急防除の問題であるとか、あるいは防除計画の問題であるとか、あるいは農薬、機具に対する補助の問題等の規定も明確にありますので、この処理に対しましても、法律においては二分の一以内の補助金を支出するということにはなつておりますけれども、可能な範囲内においては、このはもぐりばえの問題に対しても、国が財政的な支出をすることは当然であると私は考えているので、これをあくまでもあとまわしにするということではなくて、具体的に可能な範囲内において善処するというような確約は、局長においても当然なされ得ると私は考えるわけであります。それでその点をさらに確認したいと思うわけであります。
  58. 塩見友之助

    ○塩見説明員 先ほどからも申し上げます通りに、今までの病虫害については、その他の地帯においても異常発生は相当ございます。たとえば西日本における瞑虫等についても、平年の五倍であるとか十倍というような発生を見たところもございます。しかしながら、当面問題の焦点としまして、ここ一週間以内に政府の態度を決定して、農民に協力して主食増産確保に努めるためには、それらを一緒にいたしてやつて参りますことは、これはどうしても大蔵省と原則論の論争になりまして、急場の話合いにはとうてい乗り得ない。こういうことが非常にはつきりしておりますので、再々申し上げますように、当面の緊急な交渉といたしましては、ここ一月に勝負がきまるような、冷害いもちということに限定して折衝している、こういう状態でございます。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらにもう一点お伺いしておきますが、そういたしますと、当面生ずるところの稲熱病対策というものは、これは重要であることは了承できるわけです。しかしそれだけに問題を局限して、もうすでに発生して、現地の努力によつて終息したこのひめはもぐりばえの事態に対しては、端的に言えば、これはどうなるかわからぬという程度のことだと考えてよろしいのですか。そういうことでは、非常に片手落ちになると思うわけです 。緊急を要する問題は、それは当然区分して取上げる必要はありますけれども、事実としてすでにこのようなはもぐりばえの発生によつて、非常に農民の負担も過重であるということが、改良当局においても現地に係員の派遣等を行つて、それは確認された事柄であるというふうに考える。だから現在の既定予算の範囲内においても、可能なる処理というものはでき得るのではないかと私は考えるわけでありますが、そのことさえも大蔵当局の了解を得なければ、一銭も出せないというのが現在の局長の見解であるかどうか、その点をもう少し明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  60. 塩見友之助

    ○塩見説明員 既定予算にそういう余裕があれば、当然私どもの考えでいたし得る筋のものでございますが、既定予算を全部全県に配賦いたしまして、すでにほとんど使用済みだと思います。北海道に配賦されました部分の中の一部は、おそらくひめはもぐりばえの防除用に使われている、こう思います。東北においても同様です。それが非常に少額であつたために一部しか行つていない、こういう状態になつているのじやないかと思いますので、既宗予算ではどうにもなりません。どうしてもそういうふうなものは別途予算をとらないことには、始末は農林省限れではつかないような状態でございます。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最終的に確認しておきますが、結局局長の見解は、今後発生を予測される稲熱病の問題を順位としては先に取上げる。しかし実質的にははもぐりばえ等の被害に対しても、最終的にはこれを同列に考えて処理しなければならぬという考えであるということでよろしゆうございますか。
  62. 塩見友之助

    ○塩見説明員 その問題については、西日本その他においてもいろいろな病虫害の多発もございまするので、その点とにらみ合いませんと、私としてははつきりしたことは申し上げにくいわけでございます。これは全体の原則論の問題に入つて来るので、大蔵省との話合い等についても、これから出るもの、もうすでに出てしまつたものというふうなものについては、今の交渉上は相当の差が起つて来ると考えられますので、ここで明言をいたすわけには行かないような状態でございます。
  63. 井出一太郎

    井出委員長 松岡俊三君。
  64. 松岡俊三

    ○松岡委員 今年の冷害のことは昨年のときにすでにわかつている。また明年はさらにひどいのが来るということもわかつておる。これがために先般の委員会においては、特に私が要求申し上げて、そして委員会としては、気象台から係官が来られて気象関係をよくお話なされておる。これに立ち会われた農林当局としては、万事遺憾なくやつてくださるものと私は確信していた。この間九州、四国方面を旅行するに先立つて、これらの点については必ずやるものだと信じておつた。ところがただいまのお話を承りますると、大蔵省でどうだこうだというようなことがあるように――あるいは私の誤解、聞き違いかもしれませんけれども、まだそこにこだわりがあるようでありますけれども、昨年からすでに本年、明年はさらにひどく来るということは予期されておる。昨年はあの通りでしたから、だんだんなしくずし同様なぐあいにして農薬を与えなければならぬようになつて行つたのでありまするけれども、今年は昨年と違つて予期されたことであるから、なしくずしにしないで、一ぺんにどつさりとやつてしかるべきだと私は思うんです。ついこの間、政府が幾分かを防除のために支出したように承つておりまするが、これについてはどういうお考え要求されてあの通りになされたのか、私はこれを聞かなければならぬ。昨年からきまつておるんです。今日の百円は後日になつてどのくらいきくかというようなことは、もう何人もわかることなんです。今こそがほんとうに思い切つて金を出すべきときなんです。わずかに三億円そこそこの金で今は十分だというのかどうか。なしくずしに去年のようなぐあいに出そうという考えなのか。天候を見てからそのときにというような甘い考えでやつておるかのように私は思われる。あれほどまでに気象当局が、今年及び明年に対して警告を与えているんです。こういう点については、少くとも農林当局は大蔵当局が無理解であつたならば、大蔵当局を現場にまで連れて行つてやるとかなんとかいう点までも講ぜられたのかどうか。これをお聞きしたいのであります。  すなわち先般出した金でもつていいのかどうか。なしくずしにやつて昨年のようなぐあいに、農薬がすでになくなつてしまつて、あの通りに狼狽をさせておるんです。この農薬の万全の手当はできておつたのかどうか。またここに北海道から噴霧機についていろいろ御要望もあるようでありまするが、これらについても予期されたことである。昨年からわかつていることである。これについて各県でどんな状態になつておるか、どのくらい少いのかどうか、こういうこともおわかりだろうと思うのでありまするが、昨年からわかつておるこの冷害対策について、後日になつて金がたくさんいるようになつて、しかも農民を非常に苦しめることであります。事前にこれを防ぐために、どういうぐあいにしたならばいいかということは、はつきりおわかりだろうと思うのであります。この間の金でよろしいのかどうか。あれだけは要求したけれども、認識が不足のために思う存分に行かなかつたのかどうか。その点を私ははつきりと承りたい。ついでに委員長にお願いしておきますが、今北海道から要求されているように、各県に手負いのもの、あるいは背負いのもの、動力のもの、こういう機械がどのくらいあるかという資料を、はつきりと御要求願いたいと思います。
  65. 井出一太郎

    井出委員長 承知しました。
  66. 松岡俊三

    ○松岡委員 私は今の点について、この間出した金があれで十分なのかどうか、要求したけれどもこれだけしか出せなかつたのかという点を、はつきりと御返事願いたい。
  67. 塩見友之助

    ○塩見説明員 気象台が、昨年から今年は冷害必至だという予報をやつたということは私は聞いておりません。それから本年になつても、そういう予報はまだ出しておりません。私ども昨年相当な予算で気象台の方に協力しまして、できるだけ正確な長期予報をほしいということで、三月末に気象台の方で会議をやつていただいて、その当時にやりました予報もございまするが、それでも平年よりは幾分悪目の気象であろうというふうな程度でございまして、現在の気象台の予報の組織や学問の発達段階では、まだあとのときにはつきりと今年は冷害が来るという断定かできるような段階にはなつておらない、こう聞いております。私は気象台には再々行つておりますが、昨日も予報官その他と打合せはやつております。そういうふうなことから見て、そういうふうな予報が前もつてで守るということは、現在の段階ではできないのでございます。それで大体今手もずつと気象台の観測の方は、日々農産課の方でとつてもらいまして、それで気温その他の推移は毎日見ておつたわけでございます。五月の大体の気象の高温というのが、それほどの高温でなかつたというふうなことで、気象台の方にその理由を確めに行きまして、それでいくらか模様が違つて来ているというふうなことはとにかく知つたわけでございまするが、ことに六月の九日、十日、あの低温からあと大体二週間にわたりまして、かなりのひどい低温が続いたわけでございまして、これによつてまずとにかく冷害になる危険性を感じたわけでございます。その後ただちに稲の成育状況等について調査をやりまして、それで六月には、今年はあとがもしよくなければ、これは冷害になるというふうな大体判断のもとで行動したわけです。その当時においても、気象台においては、まだわれわれよりはいくらか甘いくらいな考えであつたように思います。それが気象台の方においても非常にはつきりと、これは危険があるというふうに感ぜられたのは、おそらく七月に入りましてから、七月の七日か八日ごろには夏型のからつとした気象に入るだろうというところの予報が狂いまして、これだらだらと行きそうだというふうなことがはつきりしましたときに、大体今年は相当冷害ぎみの危険があるいとうふうな形になつて来たわけでございます。冷害の予報というのは、そう長期の、先まではできないというが今の気象学の段階であろう、せいぜい行きましても一箇月――一箇月ということも相当危険性があります。そういうふうな状態であろうか、こう感じております。  それからもう一つ、農薬の方につきましては、年度当初の予算でわれわれどもは、こういうふうな障害が起つても大丈夫やつて行けるくらいの予算を大体要求はしたわけでありますが、これが事務的にどうしても片づかず、最後に閣議その他において、大体われわれの意見はいれられぬというふうな形において決定されたので、これが異常な天候になれば、どうしてもそのくらいの措置をまたとつてもらわないとできないというふうな考え方を持つておりましたので、それで冷害ぎみの天候が生ずると同時に、私どもとしては、大蔵省の方にそういうふうな趣旨でもつてかけ合いを続けておる、こういう状態にあるわけであります。
  68. 松岡俊三

    ○松岡委員 これはどうもたいへん食い違いがあるように思います。私らは今年、明年の非常な危険を気象台から昨年確かに承つた。局長ははつきりとそうじやないかのようにおつしやつておられる。学者はなかなかはつりしたことは言いますまいけれども、あの通り図を示して、こんなふうに罫線がなつておる、明年は、つまり昨年からいつて明後年は天明にもひとしいような飢饉になりそうな情勢にあるというようなことさえもはつきり言つておる。この間私ども非常に心配だから、特に来てもらつて説明されたときも、あのような説明をしておる。私どもの心配するように聞いたのと、あなたの聞かれたところが食い違つては、農薬要求についても、大蔵省に対して要求する熱力についてもはなはだ開きがあるように思う。私はすこぶる遺憾なんです。今日の百円が後日になつてどのくらいになるかということは、もうはつきりわかつておる。去年あんなふうにちびちびに、なしくずし同様なふうにしてやつたから間に合わない。今年は先にどしんとやるのがほんとうの政治の手だと思う。こういうことがわからないようなことになるとたいへんだ。今の局長の御説明によると、私どもが気象台の当局から承つたところと、あなたのお聞きになつたところと開きがあるということは、すでにその根本の出発が違つておるということで、これは容易ならぬことです。念には念を押して石橋を叩いてやる、お役所の仕事としてはさもあるべきことであろうけれども、大なる損害を与えることを事前にやるときにおいては、後日になつてあのときあんなふうに金を使つてとんでもないことをしたということになつても、農民及び国家が利益を非常に受けることがある。従つて私は今日こそ金を出してやるべきときだと思う。ここ一箇月云々というのはもちろんです。私は今月の六日に同僚佐藤君と一緒に参ります前に、十分に冷害の心配を明らかにして、そして私どもは立つてつた。ところが今のようなぐあいに、わずかに三億そこそこの、昨年の三分の一、四分の一に近い金を出して行つて、これでいいというようなことになると、たいへんなことになる。むろんこれだけで済まそうとは思つていらつしやらないでしよう。けれども、大蔵省要求のする認識出発点が違つたら、たいへんなことになる。これを私は言うのでして、気象台当局の者は昨年も容易に言わなかつた。この間もなかなかはつきり言わないでしよう。学者というのはああいうものなんで、しかたがない。けれどもこれをわれわれは農民のために、国家のために心配するのであります。農林当局としての御要求が私どもと同一な観点に立ちますれば、必ず熱力が加わつて行くものと思う。これだけ要求したのだけれども、これだけにしかならないというのか、農林省ではこれだけ要求して、その通りつたというのかどうか。もし農林当局だけで行けないとすれば、委員会として委員長にお願いして、なすべきところをわれわれはなさねばならぬ。きわめて大切なことでありますから、私は特に留守中のことだとは申しますけれども、気象台当局の話に関する局長と私の食い違いを、もう一ぺんはつきりお示し願いたい。これは同僚委員諸君が皆さん一緒に聞いたのですから、私ばかりのことじやないと思います。
  69. 塩見友之助

    ○塩見説明員 私の方は気象台当局からは書類でもらつておりますし、それから明瞭に会議でも何回もやつております。その予報の資料はここに持つて来ておりますが、こまかいことになりますので別にいたしますけれども、気象台の方をお呼びになつてお聞きになれば、また七月上旬における気象台の話を見られましても、むしろ私どもの方が、その点については危険を濃厚に意識しておる。それでもうすでにそういうふうな冷害に対する対策は、その前からとりつつあるわけです。その問題については、おそらく気象台としましては、そう長期の予報を、三箇月前あるいは半年前に確定的に自信を持つては出せない状態にあると考えられます。大蔵省等においても、その点についてはその程度の常識は持つておる、こういう状態にあります。私どもは大体先ほど申し上げましたように、六月下旬にはすでに気象の状態と作柄状態等を荒くつかみまして、その当時からそういうふうな交渉は始めておるわけなんであります。昨日から申し上げましたように、大蔵省との話合いは原則論がどうしても片づかない。向うの方は、とにかく農薬の備蓄のための金利と倉敷というもので済ませたい、こちらの方では、現状をもつてしては効果はない。とにかくここを救つて行くのは、やはり年度当初において要求した農薬補助金というものでなければ、とうていこの急を救うわけに行かないということで、対立したまままだ片づかないでおる、こういう状態にあるわけであります。
  70. 井出一太郎

    井出委員長 この際佐藤洋之助君より発言を求められております。佐藤洋之助君。
  71. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 本年の異常天候の結果は非常に病虫害が蔓延いたしまして、その結果昨日及び今日にわたつて、遠きは北海道、東北及び九州方面から切実なる御陳情を承りまして、まことに私ども御同情にたえないのであります。今委員諸君の質問応答及び当局の答弁を承りましても、結局要約するところは、早急に農薬を与えなければならぬという結論になつたようであります。そこで昨年はすでに当初予算において八億の農薬を計上しておつた。本年はそれが二億八千万、しかも天候不良が打続くだろうという予想があるにもかかわらず、二億八千万くらいの予算で満足したということは、何としても局長さん、あなたはなおざりに過ぎたということをいわざるを得ない。昨年は八億であつたものが、やはりあの冷害の結果補正予算として十三億追加いたしまして、二十一億出している。実に二十一億という巨額であるが、結果は六百五十万石の減産を防止したという事実になつて現われているのです。今松岡さんが言われる通りに、今の金は将来において大きく返つて来るんだということはまことに至言だと思うのであります。こういう意味からいたしましても、私はこの際、当局も農薬を投入しなければならぬという局長の答弁であり、委員諸君も一致でありますから、決議をいたしたいと思うのですが、その決議文を朗読いたします。     冷害に伴う「いもち」病の緊急防除対策に関する件   六月以降引続く異常気象により冷害の様相は愈々濃化し、今後における気温の推移如何によつては、「いもち」病の大発生をも予想され、事態は頗る重大である。   よつて、政府は、本年産米の減産を極力防止するため、「いもち」病(「いねひめはもぐりばえ」その他の病虫害を含む。)の緊急防除対策として、遅滞なく、少くとも昨年度支出額を下らざる額の農薬補助費を支出すべきである。   右決議する。  昭和二十九年七月二十三日         衆議院農林委員会  御賛成をお願いいたします。
  72. 井出一太郎

    井出委員長 佐藤委員の提案にかかります冷害に伴ういもち病の緊急防除対策に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  つきましては本決議の政府筋その他への伝達その他については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 井出一太郎

    井出委員長 さようとりはからいます。
  75. 川俣清音

    川俣委員 今の決議について提案者にお尋ねいたしておきますが、去年の農薬代を下らない範囲ということは、佐藤委員の御説明によりますと、少くとも二十億を下らざるというふうに理解されると思いますが、さよう理解してよろしいかどうか。
  76. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 実は先ほどこの決議の中にある程度の具体的な表示をしようかというようなことがあつたのですが、これは限定せずに、お互い委員の力によりまして、徹底的にこの増額を極力やりまして、ひとつその下らざる範囲内の問題を解決したいと思つております。
  77. 中澤茂一

    ○中澤委員 この際塩見さんに伺つておきたい。実はいもちの問題について、例のわら処理の問題なんです。いもちの菌というものは、二箇年間そのまま放置すればわらの中に菌があるのだ、こういうことがいわれておるし、事実その専門家から聞いておる。ところが昨年、このいもち発生、凶作のあと農村を歩いてみると、どこへ行つてもこのわらの処理がいいかげんなんです。たんぼの中に刈りつぱなしにして、わらをほうりなげてある。私は長野県において、指導連や県庁に行きまして、極力わら処理の統一処理をやれということを申し入れて、大分ラジオなんかで放送してわら処理をやつた改良局としては、いもち菌のあるわらを田にほうつておけばいもち病になることはわかつておるのに、わら処理についてどういう処置を昨年おとりになつたか、それを一点明らかにしておきたいことと、今年またいもちの異常発生を見た場合のわら処理というものは、来年度に対して大きな問題として考えて行かなければならぬ。それについてひとつ塩見さんの御見解をお伺いしたい。
  78. 塩見友之助

    ○塩見説明員 わら処理によつていもちの減少することはおつしやる通りでございます。私の方といたしましては、いもち発生した場合には、常に普及員その他防除機関等を通じまして、できるだけわらを焼却するような指導をしておりますが、何にいたせ、わらの方も農家にとつては一つの価値のあるものでもございますために、その指導だけでは徹底しにくいという状態にありまして、そのためにやはりいもちの根源が翌年へ持ち越されるという危険はあるわけであります。もしそれを思い切つて全部焼却するとかどうとかいう処理をいたすといたしますれば、やはり現状をもつてしては指導の徹底だけでできない、ある程度の農家に対する負担ということも考えてやるとすれば、何らかの予算措置あるいは法等を伴いませんと、なかなか徹底しかねる問題だ、こう考えております。
  79. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは塩見さん、その考え方は改めてもらいたい。それは堆肥にするために石灰窒素をぶち込んで、二回攪拌して高熱にすれば完全に死ぬということを技術者は言つているのです。農民はわらを馬のえさにするか、または堆肥にするのです。わらを燃しているところもありますが、それはほんとうのわずかの地帯であつて、これは燃すのだから、問題はない。そこで実際のわら処理をやるには、塩見さんの方から、堆肥に使うなら、ことしのわら処理はこういう方法で石灰窒素をぶち込んで高熱を出して、切りかえしをしろということを全国的に指示しなければいかぬ。ところが実際にやつていない。これは来年わらを使われてはたいへんだからといつて、県々によつてつておるけれども、統一的なわら処理がなかつた。ところが、たとえばうまやにぶち込んでやつた場合にも、技術者に聞きますと、馬はうまやのまん中ばかりまわるから、まん中だけは完全に馬に踏まれて熱を出して菌が死ぬそうです。しかし端に出されたものは菌がある、それを一緒に堆肥としてぶち込むから、またいけない。だからそういうふうに親切に考えるならば、うまやにわらを入れた場合、うまやの外側のわらを切りかえして中に入れて、そのわらを馬に踏まして殺菌しろというところまで、改良局は親切な方法でわらの処理方法考えてもらいたい。今年大発生すれば、今年のわらの処理方法によつてまた来年問題が起きて来る。今年はこの問題について、あなたの方で技術者に徹底的に検討されて――私が技術者に聞いたところでは、うまやに入れてまん中で踏ませれば大丈夫だ。端に出たのが問題だということを技術者は言つておるのですから、そういうこともあなたの方で技術的に徹底的に研究して、堆肥に入れたわらはこう処理しろ、うまやに入れたわらはこう処理しろ、ただわらを堆肥にぶち込むならば、石灰窒素をやつて三日間むして、二回切りかえして殺菌しろという方法で、今年のわら処理を考えてもらいたいということをお願いしておきます。
  80. 塩見友之助

    ○塩見説明員 御注意はありがたく承ります。春までに全体が処理できますれば、いもち発生は非常に押えられるわけでございますが、その点中央からこまかい注意までは今までは出しておりませんが、今年の異常発生等を考えまして、十分その点検討して、次の年には遺憾のないようにできるだけ指導を徹底して参りたいと思います。     ―――――――――――――
  81. 井出一太郎

    井出委員長 この際お諮りいたします。  先ほどの理事会の申合せによりまして、来る二十七日開会予定の食糧に関する小委員会におきまして、食糧管理制度の改正問題等に関する参考意見を、主として学識者より聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  なお参考人の選定に関しましては、委員長及び食糧小委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     ―――――――――――――
  84. 井出一太郎

  85. 川俣清音

    川俣委員 統計部長が新任でありますために、答弁しがたい点も多々あろうかと思いますが、このたびの異常災害についての農業統計のあり方について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  昨年の冷害のために、統計調査部が全機構をあげていろいろ困難な統計をつくり上げたのであります。昨年までは、とかく農民及び県庁側から、統計事務について非常に理解のない批判並びに相当熾烈な批判が加えられておつたのでありますけれども、昨年の異常冷害につきましては、この統計集計からいたしましてやや信頼度が増して来つつあるようでございます。これは今までの統計のあり方が、一般農民あるいは県庁、県の指導者から離れて、秘密に統計をとり過ぎた欠陥がそのまま是認されて来た結果であろうと思いますが、昨年から非常に批判が強かつたためにやはり大きな刺激を受けまして、統計のとり方についても万遺漏のないとり方をいたして来ているようであります。今般東北地方をまわりましてつぶさに統計事務を見まするに、昨年度よりももつと真剣に取組んでいる事実は認めますけれども、しかしながら、何と言いましても今年のような異常災害に対応するだけの機構と、その旅費及び十分な手当等がやや微弱に感じられるのであります。従いまして、その最初起りましたたとえばばれいしよのような場合でありましても、この被害の算定について、一般県及び農民からすると、この立直りがなかなか困難であるという考えを持つておりましたが、統計の方では非常に楽観した向きもあつたようであります。今日に至りまして初めて復活はいたしたものの、この根瘤が小さ過ぎて、いわゆる販売品にならない、あるいはえさようならないということが明らかになつて参りましたために、被害率の調整をいたして来ているようであります。また麦、あわ等から見ましても、ことに麦類につきましては冷害に強いのだという考え方をもつて算定いたしておりましたために、相当よく見ておつた向きもございますが、最近青森の統計事務所から示されました資料を見ますと、相当粒数も計算いたしまして正確な計算にかわつて来ております。その結果、前に集計いたしましたものよりもさらに被害の甚大なるに驚いているようであります。これは青森県下ばかりではなくて、岩手県でも同様でありまして、前に報告したよりも大体悪くなるというようなことはないはずだと確信を持つてつたけれども、現実においてはさらに修正の要があるようだということ、並びに面積等においても、旅費あるいは動員力の点からいつて十分把握できなかつた点がだんだん把握されつつあるという現状のようでございます。そういたしますると、今日までの集計はさらに増大されて来なければならぬようでありますが、こうした熱意のある農業統計事務所もありますし、また欠ける事務所もあるのではないかと憂えておるのであります。日本農業統計は、一箇所だけがいかに熱心にやりましても、統計という事務自体から見まして、全国的にこれの統一ある集計でなければ意義をなさないのでありますから、これらの点について十分な熟練度と、及び調査資料の確保が必要であろうと思う。これに対する裏づけの予算であります旅費及び日当の点について欠くるところがありますれば、いかに中央において正確な資料を得ようといたしましても、これでは十分なものがなし遂げられない結果になると思うので、新任部長は特に安田部長のあとを受けて新しく就任されたのでありますから、この予算の獲得を十分してやりませんと――もうすでに秋までの予算地方においては食いつぶしておるようてあります。この補給をしてやらなければ、今度の冷害についての八月十五日の調査、またはわれわれが今後要求するでありましよう八月一日の特別地域の調査等につきましても、十分な結果を得られないのではないかと憂えられますから、これらに対する対策について、目下お考え中のものがありますならばここで明らかにしていただきたい。明らかにすることができなければ、もつとだんだんと追究いたしますが……。
  86. 野田哲五郎

    ○野田説明員 このたび新たに就任したばかりで、まことに未熟でありますが、ただいまの御注意、まことに強い御激励の言葉と拝承いたしまして、今後大いに努力するつもりでございます。ただいま御指摘いただきました点につきましては、前々から統計調査の職員から聞いている点でもありますし、就任早々強い要望を受けた点でございまして、これを打開するということは私の大きな責任であると思つております。来年度予算につきましても、いわゆる標準予算というようなものが頭を出して参りまして、きわめてかたいわくで締めて来る危険もありますが、ちようどこれから来年度予算に入つて来るわけでありますので、大いに努力をしたいと思つております。  本年度の経費の不足というものにつきましては、これはまだ大蔵省と当つておりませんけれども、十分内容を調査いたしまして、当つて行きたいと思つております。内部で聞くところによりますと、被害調査等の問題について予測ができないというようなことから、ある程度大蔵省としてもその場合に考えようじやないかというような話もあつたようでありまして、今日のような大きな災害が襲いかかつて来ておる現状でありますから、これらの点につきましても十分改善をいたしたいと思つております。経費の増額とともに、われわれといたしましては、統計事務職員全体の節度ある活動によりまして、この重要な仕事を果して行きたいと思つております。御指摘のように、各事務所によつていろいろの性格を持つておりまして、中には非常に精密なものもあるし、中にはあるいは精密度と申しますか、努力に欠けるというような点もあるかと思いますが、それらの点も大いに是正をして行きまして、この統計の仕事がほんとうに農林行政に役立つように努めて行きたいと思います。これらの点につきましては、前安田君が大いに努力したところでありますけれども、さらに私はそれを受継ぎまして、努力をして行きたいと思つております。
  87. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけですが、これは補正予算を組まなければ追加要求は困難であるとも思われますけれども、また一面からいたしまして、異常気象によるところの異常災害について、予期せざる調査を命ぜられるのでありますから、予備費から出すことも決して不可能ではないと思うのです。特に定期調査の対象になつていないところの雑穀の調査等も、今度手広くいたさざるを得ない情勢のもとにおいて、これらの調査をいたしておるわけであります。従つて予定の定期資料調査でないだけに、余分な労力と熱意と相当困難な自費負担をいたしまして調査に当つておる現実の姿を見まして、私どもはこれらの点について、あと払いでもいいから、補正予算を組むなり、または大蔵省の了解を得て予備費から流用するなりの措置を講じて行かなければ、今後の鞭撻は期し得られないと思うのです。われわれ統計の真実を求めるがゆえに、単に統計調査部の職員のためのみではなくして、日本農業統計の権威の上から、強要い望を加えて行かなければならぬのでありますから、それらの要望にこたえ得るような、やはり裏づけをしてやらなければならないということで要求をいたしておるのでありますから、この点を十分部長は勘案せられまして、すみやかなる予算折衝に入られんことを希望いたしておきます。この点もう一度確言を願いたい。
  88. 野田哲五郎

    ○野田説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、すみやかに大蔵省折衝いたしまして、必要な経費の補充をはかりたいと思います。
  89. 中澤茂一

    ○中澤委員 先ほどの理事会のお話合いにもありましたように、八月十五日の作報第一回集計は約二週間かかるというお話です。そうすると八月の末ということになるのですが、東北方面においては、第一回定期調査では対策が時期遅れじやないかと解せられます。そこでわれわれも八月一ぱい、九月までこの状態委員会としてほつておくことはできない。そこでどうしても八月一日の現況における冷害――これはもうほとんどわれわれ農民の立場から言えば決定的になるのですが、大蔵省やほかの方では決定的ではないと言うかもしれませんけれども、大体八月一日の現況における冷害の状況調査、これは全国をやることは不可能でありますから、大体冷害地四、五県をとつてつていただきたいことが一つ。  それからいま一つは、病虫害被害の状況、いもち発生の状況、これらを八月一日現在において――これは全部はとても費用の問題もあるし、やり切れませんから、一部特殊県だけを五、六県とつてつていただきたい。そうしてその集計ができ次第本委員会で――さつきの理事会の話合いでは十日前後にここでこれらの対策についての委員会を開こうというお話合いがあつたのですが、これにつきましても今川俣委員の言われたように、予算の面において、作報は昨年の緊縮の波を受け非常に困難な状況はわれわれわかるのですが、この農林委員会から二つの調査要求されたということで、部長はさつそく大蔵省へ予備費支出なり何なりの折衝をやつていただきたいと思うのであります。
  90. 野田哲五郎

    ○野田説明員 八月一日の調査につきましては、実は統計といたしましては、実施したいという非常に強い気持を実は持つておるわけでございますが、ただもしこの問題が出まして、それがただいま進行中の農薬問題というようなものと関連をして参りまして、その結果について大蔵省は、冷害対策の手を打つというようなことになりますと、非常に危険ではないかということを実は心配しているわけです。ですけれども、何らかの形におきましてかような資料を整備する必要はあると思いますので、ただいま川俣先生から御指摘の点もありますが、大蔵省予算の問題ともからみ合せまして、できるだけ善処して行きたいと思つております。
  91. 井出一太郎

    井出委員長 それではこの機会に私から野田部長に申し上げますが、今中澤君から提起されました資料の要求、これは統計の方に非常にオーバー・ワークがかかり、あるいは経費も不足だということをおそれていますが、今中澤委員の言われたように八月中にわれわれの委員会を開く場合の一つのよりどころになるものですから、何らかのものをお出しいただけますか。
  92. 野田哲五郎

    ○野田説明員 何らかひとつお出しいたします。     ―――――――――――――
  93. 井出一太郎

    井出委員長 引続き林野問題について議事を進めます。  政府は、先般営林署の位置及び管轄区域に変更を加える措置をとつたのでありますが、これらの問題について質疑の要求がありますので、これを許します。淡谷悠藏君。
  94. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 七月三日ですか、農林省が告示を出しまして、北海道に七つの署を増設し、内地の七つの署を廃止したことでございますが、これは地元ではほとんど抜打ち的に発表されましたので、この営林署周辺の地元の人たちがたいへんに困難し、同時にまた営林署の従業員の諸君もたいへんに困難を来しております。これは従来このようなことを、これほど抜打ち的にやられたことがないようでございますが、何か特別な事情があつて極秘に審議を進め、また抜打ち的にこういうことを発表されたのでございますか、その点を一応お伺いいたします。
  95. 柴田栄

    ○柴田説明員 従来も必ずしも地元にお諮りをいたして実行するという筋合いのものではなく、私どもの事業実行のための合理化の線といたしまして、廃置分合をいたして参つたのでありますが、このたびの問題に関しましては、なるほどお話通り、非常に極秘と申しまするか、事前に御相談をしないで進めては参りましたが、現在の情勢といたしましては、御相談をいたしますればいろいろな御希望なり何か出まして、せつかく合理化を進めたいという問題も、そのために非常に遅延する。場合によりますと合理化を進めかねるというような問題を懸念いたしましたので、実は御相談を申し上げずに実施いたしたのでございます。この理由に関しましては、従来林野庁といたしましても長い間検討を続けて参つたのでございます。地元の局等とも数次検討を加えました結果、しかも簡単に理由を申し上げますと、二十二年に国有林野全部の統一を見まして以来、早々の間に出発をいたしましたので、局署の配置あるいは管轄区域というものは、必ずしも理想のごとく参つておりません。とりわけ北海道は早々の問に出発いたしまして、従来の御料の出張所あるいは北海道庁の営林区署等をそのまま使つて来たというような関係で、管理内容が非常に区々なものを、そのまま一応配置しておるというような関係にありますので、このままでは実は国有林といたしまして統一的な運営をいたすのに非常に不都合があるというようなことで、北海道をいま少し整備を促進いたしたい、かように考えておりましたが、御承知通り定員法の改正等に伴いまして人員の縮減を余儀なくされる際に、機構を拡充して、これが適正な配置をいたすということはほとんど不可能でございますし、内地の国有林も長い間実行いたして参りまして、事業内容等も相当変遷いたして参つておりますので、この際北海道にやむを得ず拡張しなければならない数を一応内地において縮減するという計画を立てて、これが実施をはかつた次第でございます。端的に申し上げますると、事前に御相談をすれば、おそらく廃止の場合には各種の動きがございまして、実現が不可能になるであろう。このことは私どもの事業の集約実行の上には非常に大きな支障になる。今後の運営において地元には十分こたえ得る、あるいは職員の処遇の問題に関しましては、もちろんこれに伴いまして人員を整理するという考えは絶対に持つておりませんのと、でき得る限り配置転換を的確に行いまして、場合によりましては個々の問題の処理についても、交渉によりまして納得づくで進める、かような用意をいたしておりますので、お話通り、形の上では突然に発表いたし、告示をいたしたというような次第でございます。以上御了承を願いたいと思います。
  96. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちよつと私の思い違いがあつたようでありますが、七月三日ではなく、七月五日に農林省の告示四百七十六号に出ていたようであります。この増設された方はむろん何ら苦情はなかつたでありましようが、廃止になります七つの内地の営林署の中で、何か具体的な地元からの反対やら、あるいは復活の陳情やらなりをお受けになつた事例がございましたら伺いたいと思います。
  97. 柴田栄

    ○柴田説明員 一応具体的と申しますと、どういうことになりますか、形の上で廃止反対あるいは絶対反対という陳情を書面あるいは直接代表の皆様方お出かけをいただいてお話を承つた事例は、一つには、秋田県の山瀬村にあります山瀬営林署の廃止に伴います山瀬の代表の方、あるいは秋田の林野の組合の代表から申出がございました。内真部の営林署に関しまして、これまた林野の青森支部の組合の代表から、並びに本日はまた村の代表の方たちから陳情がございました。また福島県の双葉郡木戸村から村の代表の方がおいでになりまして、一応の存置に関する陳情を承つたのでございますが、これらに関しましては、私どもの立場と、ここに至りました理由を説明申し上げておるのでありますが、現在もなお山瀬村並びに奥内村等におきましては、反対の運動を続けておられるという事情にありますが、木戸村は、事情やむを得ない、今後において十分にこの犠牲に対して国有林の経営考えろというようなお話もございました。私どもといたしましては、もちろん国有林と地元とは絶対に切り離し得るものではなく、国有林の繁栄は地元の繁栄につながり、地元の御協力はまた国有林の繁栄につながる、かように考えておりますので、極力有機的な運営をいたすつもりでおりますが、廃止のために一応精神的にも、あるいは経済的にも犠牲とお考えになるような関係にあります廃止営林署管下につきましては、一層心して、有機的な運営をいたすという考え方でおるのでございますが、この際私どもは、告示いたしました廃止営林署の事業の実行に関しては、新しい機構によります営林署でぜひとも運営をいたさなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  98. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 申し上げるまでもなく、青森県は全国でもまれに見る国有林野の多い県でございますので、この開放に対する要望もしばしば出ておりますし、また昨年度の凶作に関しましては、国有林野によらなければ、とうてい農民の窮状が救いがたいという立場も強く出て参りました。これを契機に、地元の農民と営林署関係が非常に親密にやつてつたことを見ております。特に山で働いております農民が、営林署関係の人たちとまつたく親身になつて、一体になつて愛林の行動を続けて来たこともはつきり見て参りました。特に山瀬の方に関しましては、あとでまた川俣委員からもるる述べられると思いますが、内真部の営林署は御承知日本的に有名なあすなろの美林――ひばの美林がありまして、歴史的にも地元の村民が非常に深い愛着を感じ、単に愛着だけではなくて、生活の主体をそこに置いておることも事実でございます。この奥内という村は漁村でございますが、非常に乏しい漁獲しかございませんので、林野によつて生活を立てておる面がたいへん強い。同時に今度これが廃止されますと、青森もしくは蟹田に二分されると申しますか、たいへん遠いのであります。とても関西、関東のような村の状態ではございません。一々零細な農民なりあるいは零細な製材業者なり、特にあの地方の屋根をふいておりますまさ屋でございますが、これがひばによつて生活しておる面が非常に強い。しかもこういう業者は、ろくな資金もないままに営業を続けておるのでありますが、こういう人たちが何かの払下げや陳情がありますたびに、四里もある、吹雪の、たいへん悪い道路を蟹田もしくは青森まで出かけて行くということは、実際言うべくして行いがたい事実でございます。こういう点などもあるいは十分御考慮になつているのかもしれませんが、私は合理的な解決を望むままに、この点の御検討がまだ非常に足りなかつたのじやないかと思います。なお内真部の営林署は津軽半島のまん中にあります関係上、これに関連いたしました新城村その他近隣の村もこの林野に入つていまして、実際の生活とは切り離しがたい関係に置かれておる、こういう事実があるのでありますが、こういう点を詳しく御検討になつておるかどうか、念のためにもう一ぺんお伺いしたいと思います。
  99. 柴田栄

    ○柴田説明員 その点に関しましては、先ほども申し上げましたように、私どもも管下町村と国有林との経済的な依存関係の深いことは十分承知いたしております。それなるがゆえに、営林署と地元とのきわめてよい了解のもとに、密接な関連において事業を実施させていただいておるということは、かねがね感謝いたしておる次第であります。今回の問題に関しましても、関係が深く、かつ従来も非常によい慣例を持つていただいた現われであるということを感じまして、廃止反対の猛烈な動きに対しましても、反面実は心ひそかに感謝をいたしておる次第でありますが、ただいま御指摘のように、直接営林署にお話をいただくのに非常に不便だ、機会が持ちにくいというために、多少の御迷惑をかけることはあり得ることでございまして、まことに申訳ないと存じておりますが、実行にあたりましては、従来の慣行に基く問題、あるいはたとえば昨年ございましたような冷害対策の問題、これらに関連いたしますような問題に関しましては、逆に営林署から地元に出まして、いろいろ御相談をいたすような仕組みにもなつておりますし、所在地には、営林署の実行最尖端といたしまして担当区事務所を設置いたしてございます。大体の御要望は担当区事務所を通じまして営林署は処理できるようになつております。事業箇所等の変更はもちろんいたさないつもりでおりますので、山の事業所は当然そのまま存置されまするし、事業計画も、場合によりますればさらに各種の事業を計画いたしまして進めるという考え方も持つておりますので、多少の不便はありましても、今後営林署の努力によりまして、従来の御協力、依存の関係に齟齬を来すようなことは絶対にさせない、かような考え方で局を強力に指導いたしておりますので、実行の結果をごらんいただきたいと存じますが、御懸念のような点は、比較的犠牲を少く運営できると私は確信いたしております。
  100. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 詳しく御検討の上の御処置のようでありますが、特に秋田県の山瀬及び青森県の内真部の署の廃止に対しましては、強い反対の要求があるようでございますが、この二つの署を廃止と決定されるまでに至つたおもな理由は、どういう点からでございましようか、お伺いいたします。
  101. 柴田栄

    ○柴田説明員 この際全国を通覧いたしますと、先ほどもお話のありましたように、仕事量におきましては、なるほどわが国の代表的な美林を包蔵いたしております内真部村におきましては、従来も特に伐採事業のごときは相当量を維持して参りましたが、今後といえども事業量は維持可能であり、さらに増強いたして行く考え方でおりまするが、事業量の消化の問題は、主として現地の事業所が担当いたすわけでございまして、営林署の事務ということになりますと、事業量の多寡ということは比較的軽微になりまして、事務的な問題の処理が主体でございます。営林署を考えます場合に、ただ単に事業量ということではなく、あるいは管内の関係市町村の管理の事務の煩雑さ、あるいは交通の関係等をいろいろ勘案いたしまして、総合的に判断をいたしまして決定をいたす次第でございます。これが及ぼします地方影響等も最小の犠牲において、これが可能なところを選定する、こういう考え方で選んでおりますので、当該の山瀬あるいは奥内村からお考えになりますれば、実にけしからぬ、理不尽だというお考えが出て来るかもわかりませんが、私どもといたしましては、全国を通覧いたしまして、少くも選ぶ場合には一応妥当である、こういう総合的な考え方で選んだ次第でございます。しかしながら、これは何か順序でもあるのか、あるいは理想の形ではないじやないかという御批判があるとすれば、この問題はさらに進展いたしまして、いろいろ検討を要する問題でございますので、今後に残された問題だと思われますが、今回の処置に関しましては、私どもといたしましては、最善を尽して決定した、総合的な判断によるものであると御了承願いたいのであります。
  102. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私も内真部の署につきましては、この間から数回地元に出かけまして実情を調査し、かついろいろな陳情も受けて参りましたが、御承知通り、あの地帯はごく最近鉄道が開設になりまして、従来の業態をもつて今後のことを判断されるのはいささか早計に過ぎるのではないかという考えを持つております。それからこのあすなろの美林に対する地元の関係は、非常に古い関係でございまして、官庁のいろいろな合理化の都合一片では処断し得ないような歴史的な関係も残つておるようでございます。できるならばこういふうな地元民の熱烈な復活要求に対しは、もう一ぺん局においても庁におきましてもお考え直しを願いたい。ただ従来は農林省の告示が出たのだから、どのような事情が発生してもこれはこの通りやるのだという強い意思表示があつたように聞いておりまするが、この告示自体がただいま御答弁通り、いろいろな陳情をむしろ恐れまして、抜打ち的にやつたということも明らかでございますし、どうも私は、地元の事情に対しても虚心坦懐にお聞きになり、もう一ぺんお考え直し願う余地がまだあるのではないかということを痛感するのでございますが、こういう点はどうでございましようか。
  103. 柴田栄

    ○柴田説明員 今回の措置だけを取上げまして再検討するということは、実は私どもといたしましてはとらない考え方でおるのでございますが、決して現在の国有林の機構が理想的な形態、配置をしておるというふうには考えておりませんので、全体の問題といたしまして営林局あるいは営林署の管轄区域の再検討あるいは再配分という問題は、当然現在も検討を続けております。さような際にさらに検討を加えまして、あるいはまた形は多少かわりましても、整備をするときはあるかと存じますが、現在においては、実は私どもとしてはそんなに間違つておるというふうには考えておらないのでございますし、告示を撤回再考するという考え方は持つておらないことを申し上げざるを得ないのでございます。
  104. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一例を申しますと職員の問題でございますが、配置転換を行い、減員はしないというようなお話もございましたが、事実上減員を行わないで配置転換をするといたしましても、増設された署が北海道である。そうしますと内真部におりましたものを北海道に行けといつたような配置転換などをされましては、行こうと思つても全然行けないような、非常に体のいい馘首の形になるのでございますが、そういう点についても十分御検討を願つておるかどうか、もう一応伺いたいと思います。
  105. 柴田栄

    ○柴田説明員 廃止いたしましたからその署の一応不用になる者をそのまま北海道に移すというような措置はとろうと思つても、実はとれないのでございますが、さような配置転換は絶対にいたさないという考え方でおります。北海道を整備いたします場合にも、北海道との交流関係等を十分検討いたしまして、北海道に転勤可能な人たちと具体的に相談いたしまして、あるいは北海道から内地に帰りたい、帰るべき事情のあるというようなものと相談いたしまして実施いたしておりますので、廃止署の職員にさような不安を持たせることは絶対にいたさぬことをはつきりと申しげたいと存じます。
  106. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これまで地元の復活要求について具体的にお聞きになつたのは、どういう方々でございますかちよつとお伺いしたい。
  107. 柴田栄

    ○柴田説明員 山瀬村につきましては村長、村会議長、村会議員の方たち、それから実はよくわからぬのですが、廃止反対期成同盟会とかいうものを組織しておられまして、その代表というような方がお出かけになりました。職員組合の関係では、秋田支部の執行部の連中、それに山瀬分会の代表も出て参つたと記憶しております。内真部の場合には、実は本日奥内の村長さんその他にお目にかかりましたが、さきに青森営林署支部の執行部と内真部営林署の分会の代表が参つたように記憶いたしております。木戸の営林署の関係では、所在の木戸村の村長、村会議長、村会議員の方たちがお出になりまして御陳情になつた、以上のようでございます。
  108. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 お聞きになつた結果、従来お考えになつてつたこととはまた別個なケースとして、一考願うような事例ができて参つておりましようかどうか、お伺いしたい。
  109. 柴田栄

    ○柴田説明員 理由といたしましては、せつかくあるものをなくすれば非常に不都合である、不便である、こういうお話でございますが、その問題に関しては、われわれは多少不便がございましても、不利を来さないということははつきり申し上げておりますし、その限りにおきまして、特に私どもは、新しい事実として変更をいたさなければならぬということも了解いたしておりません。
  110. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうもお伺いいたしますと、職員の首切りもしないし、従来のいろいろな経済的な影響もしくが地元住民との関係もほとんど大差がないようにする、そうしてただ営林署だけは廃止する、これがもし合理的なやり方であるとするならば、私はこれくらいいいかげんなことはないのじやないかと思います。あつた方がよほど合理的じやないかと思います。これは経費の上で一大削減をするとか、また非常に図画の上で大きな変化を起す、これならばこれは合理化したといえるかもしれませんが、実際においては変化がなぐて、それでいて看板だけをとりかえて、地元民にたいへんな不安動揺を与える。反対復活の陳情をほとんどやつて、現在ではまだ林野庁にすわり込みまでしておるといつたような強い反対があるが、これでは非常に合理化するという見解でされたことが、しかも抜打ち的にまつたく官庁の独断でやられた行動が、逆に事態を紛乱せしめたという感じがいたします。虚心坦懐にこういう新しいケースについて、はつきりお考え直しを願うようなお気持ちになれませんか。どうもこうなつて来ますと、何のために看板をはずすのかまつたく了解に苦しむような事態になつてつております。
  111. 柴田栄

    ○柴田説明員 淡谷先生は山瀬あるいは内真部の問題に関して特にお考えをいただいておるようでございますが、北海道の事情に関してもひとつ目を向けていただきたいと思うのでございます。現在北海道が三百数十万町歩の国有林を管理いたしまして、営林署の数は増設前は六十九しかございません。全部で三百三十五の営林署がございまして、管轄面積が全部で七百五十万町歩、そのうち北海道は六十九の営林署が三百十数万町歩を管理いたしております。平均いたしますと、北海道は実に四万六千町歩を管理いたしておるる。内地の国有林は一万七千町歩足らずを管理いたしておるのでございます。私どもは、これをこのままの形において北海道へ人を送ることはないのだ、内地はこのままでしなければならないのだということにはならぬのでございます。でき得べくんば、北海道にもつと内地並の営林署の増設を私どもは願いたいのでございますが、これは管理経営上の面からなかなか経費がかかり、理想通りには参らない。この際少しでも内地の国有林を統一的に考えて、管理経営の合理化の線を促進させていただき、さらに統一いたしまして、今後の理想形を考えるということのために、多少の地方的な犠牲はありましても御協力を願いたい、かような考えを持つておりますので、全然不便、不都合がないとは申し上げませんが、御協力を願うという面において、私どもはぜひとも御協力を願いたい、かように考えておりますので、特にこの際考え直すという考え方は持つておらぬことを御了承願いたいのであります。
  112. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は何も北海道の方の増設をやめろというのではないのであります。必要であるならば増設やむを得ないと思います。しかしさつきの御答弁では、今までとほとんどかわりのない定員で、首切りをしないで北海道もやらぬ、こういう形でやられるならば、いわゆる定員法によつて整理をするというお話がどうも納得が行かない。これはどこに必要があつてそういうことをされるかということです。
  113. 柴田栄

    ○柴田説明員 あるいは私の説明が足りなかつたために、御了解を得られなかつた点があるようでございますが、国有林の職員二万余の中から、北海道の増設に対しまして支障のない方を北海道に配置転換をするという考え方を持つておりますので、内真部あるいは山瀬の現職員について、さような不当な無理はいたさないで済む、かようなことを申し上げた次第であります。その点御了承願いたいと思います。
  114. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういたしますと、内真部もしくは山瀬に関連のない他の方の職員の配置転換はあり得るというふうに了解してよろしいのですか。
  115. 柴田栄

    ○柴田説明員 さようでございます。
  116. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いろいろお伺いいたしましたが、要は、結局抜打ちにこういう行動をされましたので、具体的に不安動揺を来したことは現実の姿でございます。これをこのままにやつておきますと、あなたがお考えになつておる合理化が、かえつて逆な方面から今後運営の上に大きな障害になるような場合ができないということは予想できない、特に内真部のような昔からの林野に対する、特にひば林に対する特別な事情等に置かれた場所に対しましては、このままで進むならば、今まで理想的に済まして来ました営林署対地え民の関係というのは、一転してたいへんけわしい姿になることも考えられます。この際やはりもつと虚心坦懐に、地元の人も出て来ておりますので、ひざつき合せて、もう一度御懇談するぐらいの雅量をお持ちになつてもしかるべきではないかと私は思いますし、特に先ほどの御説明では、どうも内真部そのものも廃止しなければならないという具体的な理由は別段ないので、いわば全体的の整理の犠牲になつたのが山瀬であり内真部であると考える。全体的の整理の犠牲になるというのがおそらく山瀬もしくは内真部の人たちには納得の行かない線だろうと思うのであります。あるいは話によつては不自由を忍ぶかもしれません。そういうことによつて、告示だからこれを最後までどんなことがあつてもやろうという線をあまり強調されずに、もう一度地元の具体的な要求なり具体的な訴えなりを聞いてあげて、もう一度考えてみようというぐらいな考えをお持ちになつた方が、解決にはよろしいんじやないかと思いますが、この点いかがでしようか。
  117. 柴田栄

    ○柴田説明員 地元に対しまして不安動揺をお与えしたということに関しましては、非常に責任を痛感するものでございますが、不安のないような運営につきましては責任をもつて処理するつもりでございますし、地元の方たちと懇談をいたすことは、実は本日もここに参る前に皆様方と懇談をいたして参つたのでございます。この際告示の問題を、これだけ取上げてという御相談は、実は十分考え直しましようと申しましても、私には実はこれだけを取上げては考え直す余地がむずかしい、かように考えておりますので、率直に申し上げておる次第でございますが、これにかわるべき国有林野の運営をもつて、御不安のないような相談は、もし具体的な問題がございますれば、いつでも、何回でも御相談をいたす、かような用意はいたしておりますので、この点はぜひ御了承願いたい、かように考えております。
  118. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただ私心配いたしますのは、昨日から当委員会でさまざまに協議しておるのでありますが、東北地方は昔から例を見ないというほどの凶作にぶつかつておるのであります。特にこの内真部の地方では、今年から林野関係対策を思い切つてつていただかなければ、とうてい救えないような実情にございます。今後の御処置が当を得て、従来よりももつとうまく行くのであればこれに越したことはございませんが、こういう農民や地元民が非常に不安を感じております最中に、万一機構改革によつて何らかの不測のことが出て参りましたときには、事はふだんとはまた別な意味で激化することが目に見えておる。特に農民や山林関係の住民の気持というものは、そんなにわかりの早いものではないということを申し上げておきます。その点で、ただ一片の告示や達しだけで納得するような線に行くものではございません。これはことしのような特別な凶作の状態にあるという事情も御勘案くださいまして、ひとつこれは十分にこの折衝を続けていただきたい。最近はかなり抜打ち的にあつさりやるのがお役所の流行になつておるようでございますが、こういうことは事業の性質上思わしくもございません。あそこは、まつたく行くたびに感心するのでありますが、営林署並びに地元民が一体となつて、あのひば林を守つて来たような事実もございます。特に津軽半島一体の開発は、新設された鉄道を待つて、今後飛躍的に発展しようとする段階に立つておりますから、そういう点はいろいろ御立場もございましようけれども、合理化しようというお気持でやられたことなのでございますから、この線が思わざる不合理を招かないように、十分にひとつ住民の訴えるところをお聞きくださいまして、御考慮くださいますように、特にお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  119. 柴田栄

    ○柴田説明員 特にその問題に関しましてはつきり申し上げたいと存じまするが、すでに本年度の諸状況からいたしまして、東北地方の、特に農業関係が非常に窮況にお立ちになつているという事情は、私も実は少し御邪魔をいたしまして、この目で見せていただいて参つております。地方からの報告もございまするので、これが対策については、事前に十分な用意をするようにということは指令いたしておりまするし、それらの点に関しまして、特に先生から御注意のありましたような問題で混乱をさせ、あるいは不測の問題を起させるというようなことは、絶対にないような処理をもつてお答えするということをつけ加えて申し上げさせていただきたいと思います。
  120. 井出一太郎

    井出委員長 この際議員山崎岩男君より委員外としての発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 井出一太郎

    井出委員長 山崎岩男君。
  122. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 淡谷代議士からただいま御質問がありましたので、私からあえて蛇足を加える必要もないのでありますが、私も青森の者でありまして、内真部のこの問題につきましては十分関心も持つておりまするし、また平生これをながめて参つた者として、ただいまのこの処置に対しましては、どうしても納得が行きかねまするので、二、三点だけ御質問を許していただきたいと思います。  長官の御説明によつて、北海道に七箇所の営林署を設けなければならぬ、そのことのために内地におけるところの営林署を犠牲にして、向うに持つて行くということでございますが、御承知通り北海道には北海道開発庁という有力な役所がありまして、これは国をあげてただいま北海道の開発に従事しておるわけであります。従いまして私は、農林省の、しかも林野庁としましても、この北海道開発庁というものと一連の関連性を持たなければならぬ次第だと思うのであります。そういう点から考えますると、私はあえて内地における七箇所のものを犠牲にせぬでも、あなた方の努力によりましては、北海道開発のために七箇所のものをただいまの定員外のものとして設けるということも、私は必ずしも難事でなかろうと思うのでありますが、この点について十分に御努力くださいました結果、どうにもこうにも処置ができなくなつて、七つの箇所を廃止しなければならなくなつたという段階に立ち至つたものであろうかどうか、その点についてちよつとお尋ねいたします。
  123. 柴田栄

    ○柴田説明員 ただいまの御指摘のように、北海道に関しまする開発は、特に政府としても力を入れて参つておる、国有林野経営に関しましても、北海道を粗略にあるいは別個な扱いをすることは許されないというお考え方は、まつたく私どももさような考え方でいたしておるのでございまするが、全体を通じて合理化することによつて、定員の縮減を考えろということでございまするので、この際私どもといたしましては、さような事情をひつくるめて、定員縮減ということで、いろいろな折衝は続けましたが、遂に定員減あるいは増加の問題はいれられないところとなつたのでございます。従いまして現在の全職員をもつて、従来非常に遅れておりまする北海道の国有林野経営を集約化しなければならないというやむを得ない事情から処理をいたしておるのでございまするので、その点は当面の問題としては御了承を願いたいと思うのでございます。なお時期の進展によりまして、環境の相違ありまする場合には、とうていかような処置のみをもつては理想郷に近づけることは非常に長年月と困難を伴いますので、今後経営全体を通じて、北海道の事業の集約化をはかるためのいろいろな手段を、各方面の御意見も拝聴し、あるいは御指示をいただきまして実行しなければならぬと思つておるのでありますが、現段階におきましてはやむを得ない処置であるということで処理いたした点を、御了承を願いたいのでございます。
  124. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 私ども東北の出身の国会議員といたしましては、北海道並に東北も開発して行かなければならぬ、そこで東北開発庁というものを設けて行かなければならぬ段階にあるということを、われわれは常々考えておるのでございます。それほど東北は北海道より遅れて来ておる。青森県の実情から言うならば、私どもは数字をはつきり覚えておりませんが、青森県の全部の林野は六十二万町歩、そのうち国有林はたしかその六割を持つていて、四十二、三万町歩あるのではなかろうかと思いますが、それほどの国有林を持つておる。これは青森県だけじやない、東北一体全部そうです。どうしてこれだけの国有林が東北地帯にあるのか、この問題につきましては、われわれは自分のおやじからよく聞かされておる。明治維新の際において官軍に反対した。そのためにこれは特に時の政府によつてたたかれた証拠である。あるいはまた農民の頭が非常に古くて、税金をとられてはまことに困る、そこでそれを自分の所有にするのを拒否したのがただいまの国有林の発祥だ、われわれはそういうようなことをおやじから聞かされたものであります。ことほどさように恵まれない東北が、今あなたがおつしやられたように、なぜこの国有林をわれわれがたなごころの中に入れて愛撫して来たか、それは結局国有林と地方経済との間に非常に密接な関係が、三十年、四十年の間につながりが生じて来た結果である。あなたは先ほど、われわれの反対を受けるということは、地方に対しては非常に影響のあるということの証左であつて、反面から言うならば心強く感ずるというお言葉もありました。それほど地方というものはこの営林署とつながりがあるが、われわれはあえて無理に国有林の開放を、赤旗を立てて要求して来たりしなかつた。しかしそれだけ気持のいい東北農民に対して、しかも六割以上四十万、五十万町歩という莫大なる国有林を持つておる営林署を抜打ち的にしてこれを北海道に持つて行くということになるのであれば、農民としては、当然林野の行政に対しまして考え直しをしなければならぬ結果が生じて来るとぼくは思う。そういう点から当局のとつた態度というものは、まことに遺憾である。先ほど淡谷代議士が言われた通り、私は委員外の者でありますから、あえて駄弁を弄しないのでありますが、これはどうしても考え直しをしてもらわなければならぬ。東北農民もいつまでも眠つていられない時期になつて来ておる。特に今年は大正二年以来かつてないと言われるほど大きな冷害にぶつかつて来ておる。そういう者を助けて行く道は、あなた方の力にすがらなければならぬ。これは一つの国策の現われとして手を延べて行かなければならぬ。そういう場合にばつさり抜打ち的に首を切るということは、生きた農民の首を切るのと同様だと思います。そういういう点についても、ぜひ鑑案をたれられて――これはただいま委員会において賢明なる委員の方々が、もうすでに長い間の学識と蘊蓄を傾けられて政府当局と交渉をされ、私は質疑応答をきのうから承つておりますので、あえて申し上げませんが、もしできることならば、淡谷代議士の言われるごとく再考されて、東北開発のためにも、北海道同様にあなた方が手をかける、それほどの熱意を持つていただきたいと思います。長くなりますからこれで……。
  125. 川俣清音

    川俣委員 私は林野庁に対しまして五点ほどお尋ねいたしたい。第一点は、先般東北冷害並びに国有林を視察いたしまして、特に深い施策を必要と感じた点でございますが、それは北上並びに青森のいわゆる国有林地帯の開墾の状態であります。これはいろいろ報告すると長くなりますが、東北は、御承知のように開墾が遅れておりましたのは、やはり耕地として不適でありましたために、馬産地となりあるいは放牧地となつて耕地以外の利用に供せられておつたのであります。これを日本の食糧事情からいたしまして、開墾しなければならないという要請で開墾に向つておるのでありますが、御承知のような冷害の常習地であります。そこでせつかく開墾いたすからには、これの冷害防災の処置を講じて行かなければならないと思うのです。しかるに青森の東海岸地帯は、やませの吹きまくるままにまかせている状態でありまして、あすこに当然防災林、防風林というものがつくられて行かなければならないのではないかと思うのです。これに対して林野庁がどのような関心を持つておられるかというのが第一点です。  第二点は、せつかくあります国有林を開放いたすことは、私はあえて反対いたさないにいたしましても、やはり経済効果のあがるような開墾でなければならないはずであります。単に山を切ることが目的であつてはならないのでありまして、特に青森地帯はやませの吹きまくる地帯でありますから、当然防災林に対する認識が深くなければならぬと思うのです。弥栄村の開墾を見ましても、開墾の当初においては木を切つてしまつて、四、五年たつと初めて木の必要を生じてまた植えつけている。植えつけても、なかなか育ちが悪いというようなことになつているようでございます。特にばれいしよの農林省の原種農場におきましても、今原原種をつくることも精一ぱいでありますけれども、いかに防災林をつくるかということにおいても、相当な努力を払つている。せつかく開墾したところをもう一ぺん林地にかえなければならぬというようなことも起きているようでありますので、これは現在の林野機構を余部あげて、あの東海岸全体に向つて防災林を設置しなければならないことが痛感されるのでありますけれども、林野庁はどのようなお考えになつておりますか、この点をお尋ねいたします。
  126. 柴田栄

    ○柴田説明員 御説の通り、特に青森県の東海岸地区は、例のやませの影響を極端に受ける地域でございますので、まず海岸地域の防風林の造成は、ぜひとも急がなければならないという考え方を持つているのでございますが、幸いに海岸砂地地帯農業振興臨時措置法が制定されまして、これに伴いまして、従来よりも相当程度海岸防災林の事業の拡張が可能と相なつたので、青森県に対しましては、一昨年以来相当事業を拡張いたしておりますが、今後も相当大幅に拡張を進めて参りたい、かように考えております。これと関連いたしまして、特に最近問題になつております上北地区の総合開発場の開拓計画の問題があるのでありますが、この地区は全体実はやませ地帯に関連を持つわけでございますので、従来のあの地区の原野、林野等の状況から勘案いたしますと、非常に荒廃いたしておりましたのを、旧御料時代あるいは国有林が非常に苦労いたしまして、ようやく樹林地帯を造成した地域があるのでございます。これが樹林造成前におきましては、まことに荒蕪の地であつたと聞いておりますが、最近ようやく安定いたしまして、下流の水の問題もやや安定しつつあるという際に、過去の歴史を考えない、ただ一方的な大規模の開拓というものは、予期しないような結果を生ずる危険があるということを考えまして、農地局あるいは農地事務局等とも、具体的に現地において、それらの関連を十分検討いたしまして案を決定する、こういうことで進めている次第でございますが、その際には、過去の例にかんがみまして、極力林野を活用して、土地の集約利用をしていただく。この問題に関しましては、私ども実は農作関係だけに御利用願うのが適当かどうかということについては、相当私どもなりに検討いたしておりますが、草資源の増殖培養とあわせまして、総合的な農業開発ということを、あの地帯では特にお考えいただく必要があるのではないかと思つておりますが、これらは専門の人たちと共同調査をいたしまして、将来に過誤、禍根のないように慎重にやらしていただきたい、かような考え方を持つております。
  127. 川俣清音

    川俣委員 第二点は、岩手県の北部、青森県の南部、いわゆる旧南部領の一部は、比較的国有林が不足でありますために、岩手県の北部であります軽米、小軽米、大野等の冷害地帯の人々の要望によりますと、付近の見渡す限りの山が坊主山であり、しかも公有林地かまたは私有林地であつて、木がないということで、この冷害を受けましても、国有林に非常に遠いために、その恩恵に浴することができないという嘆きを聞かされたのであります。そこで私どもが見ますに、こういう荒廃した山、もちろんこれは必ずしも今度の保安林の設置によりまして対象となるような水源地帯ではありませんけれども、やはり将来の耕地保全の意味からの保安林というものが新たな角度考えられなければならないのではないか。今考えられております保安林の設置は、水源培養林というふうなもの、あるいは荒廃を防ぐための保安林だけでありますけれども、耕地保全のための保安林というものが当然考えられなければならない。こういう耕地保全の保安林を設定いたしますと、間接的に下払いであるとか、間伐であるとかいうことによりまして恩恵を受けるであろうし、また一部を潅木地帯としての利用も可能ならしめるというようなことから、やはり準保安林というようなものが必要になつて来るのではないか。保安林ということで厳重に木を切らせない意味ではなくて、やはりこれは防災林地でありますから、防災の目的を達成させながら、その附近の住民の生活に寄与するような保安林というものを、別な角度からつくつて行く必要があるのではないかということが非常に痛切に感じられたのでございますが、この点に関する長官の所見を伺いたい。
  128. 柴田栄

    ○柴田説明員 私も、特に今回あの地区を襲いました凍霜害等の実情を見まして、地形は比較的緩でありますが、上木の関係等がないための影響が谷間に非常に大きく現われておるという感じを痛切に持つてつたわけでありまして、高度から申しますと、十和田地区あたりの谷間よりもはるかに低い所で、十和田地区にも参つてみたのでありますが、一部に凍霜害はございましても、程度はきわめて軽微なものでございましたが、あの上部が裸になつております地区は、極端な凍霜害を受けておりましたので、これらの点は当然保安林整備の問題を取上げまして再配慮いたします場合には、急速に何らかの措置を講じなければならない、かような考えを持つてつた次第でございまして、ただいま進行いたしております保安林整備につきましては、ぜひとも検討させて準備をいたしたい、かような考え方を持つております。
  129. 川俣清音

    川俣委員 第三点、十和田へおいでになつたそうでありますからごらんになつたと思いますが、十和田は御承知のように青森と秋田に境しておりまして、あそこの水量が不変であるということが十和田の特徴になつておるわけであります。従つて不変でありますためにあそこから流れ出て来るところの奥入瀬の清流になつておるのでありますが、最近あそこが汚濁するということで、十和田の景勝の意義を失いつつあるようであります。これはもちろん十和田湖取入口利用発電の工事に伴うところの水の増水もあるようでありますが、やはり林野当局で考えなければならないところの、ああいうところで起らないような山層でありながら、やはり山くずれが起つて相当動き出しておるということが出て来ておるようであります。数箇所指摘されておるようでありますが、ちようど何とかという滝の上流のようでありますが、その他二、三箇所あるようであります。そこから土砂がやはり流れ出ておりまして、今にして汗止堤防をつくらなければ、荒廃はさらに拡大されて行くであろうと思います。国立公園であると同時に、やはり日本の一つの有数な水源でもありますから、これは急速にその荒廃の防禦設備をしなければならないと思われるわけであります。予算の制現でなかなか急速にできないようでありますが、ああいう渓谷になりますと、処置が遅れておりますと、だんだんだんだん拡大されて、経費がかえつて追いつかないような結果になるのではないかと思いますので、急速な措置が望ましいと思いますが、いかような見解でございますか。
  130. 柴田栄

    ○柴田説明員 実は奥入瀬の渓流の濁りに関しましては、県へ参りましても、知事初め県の皆様方が非常に大きな御関心でございまして、先には国有林が伐採をし過ぎたから濁るのではないかというような御懸念いろいろ御注意をいただきまして、私どもも非常に心配して調査をさせたのでございますが、さようなことではなく、一つには先生の御指摘の通り、実は白絹の滝と記憶いたしておりますが、あの口に参りますのにも非常な嶮岨な所でございまして、従来あまり多くの調査が入つておらなかつたのでございますし、また伐採は全然いたしておらなかつたのでございますが、多少洪水等の際に濁りが出るということで調査を進めますと、非常に大きな崩壊地があるというので、まずあれを処理しなければならぬというので、調査を進めて参つてつたのでございますが、最近かなり崩壊が進んで参りまして、特にあの地帯はしらす地帯でございますので、扱いを誤りますと急激な崩壊を生ずるということで、実行は昨年からかかつておるのでございますが、本年もできる限り予算を配慮いたしまして、急速に一応不安のないように進めたいということで、実行にかかつておりますが、根本の問題といたしましては、あの濁流ばかりじやなしに、水力発電のために毎日水量が夜間にセーヴされ、毎朝一応切離されて川底をかきまわすという問題もありまして、これはいかに処理すべきかということを各方面といろいろ相談たしておりますが、現在のところまだあの濁りに関しましては、はつきりとした対策を立て得ないでおりますが、赤濁りに関しましては崩壊地からの濁流ということは明確になつておりますので、一日も早く整備いたしまして、少くとも赤濁りだけは防止いたしたい、かような考え方を持つております。
  131. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけお伺いして今度は本論に入りますが、八郎潟その他の新しく干拓をいたすために水路をまつすぐに切るそうであります。ここは防風林地帯で防風林をわざわざ長年苦心してつくつておるところを、たしか四百メートルばかり切るようになると思うのであります。そうして参りますと、あの付近に行かれたことがあると思いますが、各家屋ことに家屋の防風林を設け、またあそこは急速に開墾いたしましたために、今もまた植林をいたして防災林をつくつておるところであります。そこに四百メートルばかり穴をあけられますと、ここから吹きまくる風によりまして、せつかくつくりました排水堰も埋まるのじやないかという懸念があるのであります。これは所管があなたの方じやないですけれども、こういう点については、やはり林野当局の専門の知識から見るならば、こういう防備をしておかなければ危険だというような指導をして行かなければならないのじやないか。こういう点について林野面積を守るのだというだけでは、国土保全の目的を持つておられます林野が、国有林だけを考えておつて一般のことについては関与しないのだというようなことは不親切ではないかと思うんです。この点についてどうお考えですか。
  132. 柴田栄

    ○柴田説明員 お話のような問題も関心を持たなければならぬことは当然でございまするが、実はさような問題はあらかじめ計画を承知しないために、結果において非常に海岸線を破壊されまして、付近が大きな迷惑をこうむつた例はままあるのでございますので、お話のごとき問題は、さつそく県の方にも照会いたしまして、場合によりましては技術者を派遣して、事前に将来間違いのないような処置をいたしたいと考えております。
  133. 川俣清音

    川俣委員 今までのことを通観いたしますときに、私どもが現地へ参つて最も先端において事業箇所を受持つておりまする担当区のあり方を見ますると、現在の定員から割出しまして、事業量を直接責任を持つて担当いたしまする担当区の定員が一・六くらいじやないかと思われるのであります。局によりましては二・四、五になつておるところもあるようでありますが、大体一・六くらい、担当区が一人で、あとは六分ということになるようであります。こうなつて参りますと、現在の定員ではこれはやれないのじやないかということを、この前の定員法のときにもやかましくこの点を申し上げたのであります。もちろん長官はあのときに用人、雇員も定員の中に入つておる。用人がやつておるのじやないかというようなことですが、そうじやなくして、いわゆる定員外職員として当然資格を持つた者を使つておられるわけです。これらが定員の中に入つて担当区を受持たなければ十分な機能を発揮できないのじやないかと思うんです。これはさつき長官から説明があつたように、昭和二十二年に御料林を合併し、北海道の山林機構を合併せられまして、現在においてはさらに加うるに新たなる角度で保安林の設置を考えて行かなければならないというように、事業量の質の変遷、または管理上の質の変遷、管理面積の変遷というものが起つて来ていることは、何といつても否定できないと思うんです。こういう管理面積の変遷は開墾によりまして最も異常を来しておるわけであります。また今後民有林を買い上げまして、保安林として指定する。または民有林を管理する上から行きますと、管理面積というところも新たなる角度から、国有林だけの管理でなくて、山全体、日本の国全体からこれを指導して行かなければならぬ面がふえて来たと思うんです。今日の治山治水対策が、国有林だけの治山治水だけでは完璧を期せられないことは、私が申し上げるまでもないんです。民有林をいかに育成指導して行くかということも加わつて来なければならないわけでございまして、これは単なる森林組合の組合のみにまかせるわけには行かない状態である 。しからば今でまの管理面積、いわゆる国有林の管理面積の変遷というものを当然勘案して行かなければならないし、また管理機構というものも当然考えて行かなければならない。事業の質の変遷というものも当然考えて行かなければならない段階に来ておると思う。この基本的な質の変遷を土台として、一体今日の林野機構がこれで完璧であるかどうかということの再検討の時期に入つておると思うんです。しかも一方定員法や行政機構の改革によつて、ますます縮減されなければならないのに、林野に対するところの任務は治山治水の面においてますます拡大されて来ておる。こういう一方においては事業量、管理面積、管理機構がさらに拡大されて来なければならないのにかかわらず、一方からいうと定員法で縮減せられ、行政機構で縮減せられて行くところの今日の情勢において、いかにこれを完璧な理想に近い管理機構によつてやるかということについては、慎重に考慮しなければならぬ段階だと思うんです。特にさつき北海道の例が出ましたように、北海道では管理面積が十万町歩以上に及ぶところが数箇所あるやに承りまするし、また内地におきましても、管理面積の二、三千町歩というようなところもあるようであります。これらはいろいろな歴史がありまするから、なかなかその住民との了解をつけて理想型の機構をつくるということは非常に困難だと思いまするけれども、しかしながら現在林野庁が置かれておりまする立場からいたしまして、この管理面積の変遷あるいは事業量の質の変遷に伴いまして、当然もつと大きな高所から理想を立てて行かなければならないのじやないか。この理想を立てないで、部分々々の問題を解決いたすということになりますると、両面から押されましてなお困難な問題が出て来る。理論的であるかといえば理論的でもない、地方の実情に即するのかといえば即するのでもないというような、むしろ中途半端な縮減よりできないことになる。もちろんこれは理想的な縮減と管理機構をかえて行くということになりますると、局の配置転換が行われますので、これは政治的な大きな反撃もあるであろうし、また地方住民に与える影響も絶大なるものがあると思いまするけれども、理論的なものへ突進いたしまするならば、そういうものもあえて排除して行かなければならぬであろう。理想をとるのか、あくまでも住民というものを考えて行くのか、どつちかにやはり割切つて今後行かなければならないと思うけれども、これに対する長官の所見を伺いたい。
  134. 柴田栄

    ○柴田説明員 御指摘の点はまことに重大でございまするが、国有林の性格そのものも、特に最近の災害をめぐります林野の関係等からいたしまして、治山治水の広域経済を重点とするというような建前からいたしまして、特に今回の保安林の整備臨時措置法の実施に伴いましで、相当新しい進展を予想されるのでございますが、これらに伴いましては、特に保安林の事業の整備管理という問題、ひいては民林との関連等は当然に強化されなければならないのでございますから、実は縮減にあたりましても、新しい事業の実施に対しましては、二十九年度も百名の増員を認められたのでございますが、今後買い上げまする保安林の実施等をめぐりましては、御指摘の通り実際の第一線で事業を担当いたしまする担当区事務所の人員の整備は、当然考えられなければならぬと思つております。これらの点に関しましては、もちろん時々の問題として私どもはこれが実現に努力をいたして参るつもりでおりまするが、根本の問題といたしまして、これらをめぐつて国有林の理想の形を一応検討して、これに近づけるべく最大の努力をするか、あるいは現状に妥協するかというお話でございますが、私は国あるいは国民全体のために国有林として存置を願う限りにおきましては、一応各方面の御意見を拝聴いたし、私どもも慎重に、速急に審議を進めまして理想形を描いてみたい、これが実現に対しますいろいろな政治的な情勢等もございましようから、それらの点についても、各方面からの御意見を拝聴して実現をはかりたいとは思つておりますが、理想形をぜひとも私どもといたしましては、できる限り早い機会において確立して、これが実現をはかりたいという考え方を強く持つておる次第でございます。
  135. 川俣清音

    川俣委員 その場合に、一体今の営林署の機構ですが、現地のいわゆる担当区の面積が非常にまちまちであります。非常に大きいところも小さいところもある。ところが定員の配置から見ますと、大体面積にかかわりなく、一県幾らというような配置のようであります。現地へ行くと実際そうです。なるほど今日では営林署の機構はかなり完備しておりますが、事業の先端であります担当区は割合に弱いのじやないか、充実していないのじやないかといううらみもあります。将来機構の上に事業の先端を受持つところの担当区を充実して行くのか、またはこの監督に当つておるところの署を充実して行くのか、署よりも局を充実して行くのか、現在の林野の情勢――企画はもちろん林野庁がやられるでありましようが、実際面を受持つております第一線であります担当局を、もう少し充実して行かなければならないのじやないか、かつて考えられたような担当区本位ということまで行かないにいたしましても、もう少し担当区を充実して行かなければならないのではないかと考える。それと同時に、営林署というものの権限が今は少し強過ぎるのではないか、むしろこれは事業としてのものでありまして、今の営林署が渉外部分までも受持つような機構がはたして妥当であるかどうかというようなことも検討されて行かなければならぬのじやないか、今日起きましたような内真部のような問題、山瀬等の問題も、渉外事務を受持つておりますことからこの配置が非常に問題になつて来ると思う。これが事業の先端である場合にはこういう問題は起るはずはないのでありますが、やはり渉外事務的な仕事を受持つておるところに――これは今までの国有林野のあり方としてやむを得ないことだと思いますけれども、渉外事務をあまりに多く受持ち過ぎておるからこういう問題が起るのではないかと私どもは思う。そういうことでありますならば、山瀬のような場合でありましても 、むしろ渉外事務を受持つような人々を山瀬に置くことが山瀬の人々に安心を与えるゆえんではないかと思う。しかしこれらの問題については地元の人々の気分と合わなければなりませんから、私は一概にここで申し上げませんが、今後の機構改革の上においては、どのような営林署のあり方が必要なのか、営林署本位で行くのか、あるいは担当区本位で行くのかというような総合的な配置転換というものが当然考えられて来なければならないのではないか、そのときには山瀬であつても内真部であつても、山との因縁が非常に深いのでありますから、そういう場所においては一体どういうあり方を示すことが適当であるかというようなことも、やはり管理機構の上に当然考慮されて行かなければならぬ。これは営林署であるべきか、または渉外担当区であるべきかというようなことも、これは内真部、山瀬ばかりでないのです。こういう国有林と非常に関係の深いところのあり方を、どのようなあり方にすべきか、または直接造林あるいは伐採をする事業はどういう機構でやらすべきか、その総合判断を一体局でやる方がよろしいのか、あるいは署でやる方がよろしいのかということについて、私は十分検討する時期に来たと思う。ことに山瀬、内真部の問題が起きてからは、急速にこれらの問題の解決に当らなければならないということが痛感されたと思いますけれども、この点に関する所見を伺いたい。
  136. 柴田栄

    ○柴田説明員 末端の地元の方たちとの直接の接触機関でございます担当区事務所の整備は、私どもも最も効率的であり、かつ配置として機構的にもすぐれた方法である、かように考えておりますので、今後におきましては担当区の整備と申しますか、末端機構の整備を強力に進めて参りたいと存じております。従来交通の非常に不便でありました場合には、地域的な配置を主体といたしまして担当区を配置したのでございますが、最近では道路の発達あるいは乗物の発達等からいたしまして、単独担当区制がいいのか、集約担当区制がいいのか、これらの問題は大分環境がかわつてつておりますので、これらの点を考慮いたさなければならぬ、かように考えております。  なお営林署の仕事、営林局の仕事、あるいは担当区の仕事等に関しまして、実は人が今日まで非常に足らないのに、従来の国有林野経営の本来の仕事からやや離れまして、未墾地買収箇所の整備であるとか、あるいは国有林野整備のための売払いの処置であるとか、その他従来なかつたようないわゆる渉外的な問題が臨時的に出まして、ややもすると第一線を弱化して営林署を強化するというような傾向がありまして、地元の方たちには相当不便を与えておつたのじやないかということを考えておるのでございますが、将来の構想といたしましては、営林署は大体実行の企画と実行の検討調査という問題になる。営林局は総合的な企画と監督あるいは指導という問題になりまして、第一線の事業所あるいは担当区事務所が管理あるいは経営実行の責任を負うということに相なると思いますので、それらを当然組み合せました一つの形を想定いたしまして、これが配置を考えなければならぬ、かように考えておるのでございます。
  137. 川俣清音

    川俣委員 最後に一点。将来機構を根本的に改廃せられるならば、これはあらためて議論になると思うのでありますが、現在のところにおきましては、現在持つておる三百三十五か六の営林署だけでは、とうてい今日の重荷をこなせない状態ではないか。しかしながら、特別会計という面で予算の制約を受け、または定員法に基いて制約を受けており、または営林署の総数において行革から制約を受けておるとはいいながら、どうしても現在の林野行政をまかなう上からいえば、もう二割程度、五、六十ふえて行かなければ、今の仕事をこなせるには足りないのではないかと私は思うのであります。定員においても同様でありまして、私どもはさらに定員の増の必要を所々において拝見いたしましたから、これらのデータをもちまして、次期国会におきましては定員増の修正を行い、または営林署の増設のために農林委員会が努力しなければならないということを痛感して来たのであります。将来根本的な機構改革があるまではどうしても現在のままで行くならば、管理面積の上から、あるいは質の変遷の上から、適地適配の面からいいまして、また地元の今までの関係から見まして、どうしても増設しなければならないのではないかと考えます。これは林野庁がおそらくそういうふうに考えておりましても、政府の行政改革という大きななたで打ちのめされておると思いますけれども、長官も少し実際の実情を行政管理庁に訴えまして、これだけの機構ではなかなかやれないということのために、もう一度御奮戦を願わなければならぬ。また農林委員会もそれらの意向を十分察しまして、将来定員の増及び営林署の増のために努力いたしたいと思いますが、長官のお考え方を伺いたい。
  138. 柴田栄

    ○柴田説明員 率直に申し上げまして、現在の七百五十数万町歩の国有林、しかも林政のバツク・ボーンを背負わなければならない国有林を、少くも理想に近い経営をいたしますために、特に手薄な地域、たとえば北海道の地域のごときは、当然急速にもう少し整備いたさなければならない、かようには考えておるのでございますが、実は具体的にこれを推し進めるという際に、私どもの力だけではなかなか困難な情勢が山積いたしておりますが、必要の前にはできる限りの努力はいたさなければならぬ、かように考えますので、率直に私の考えを申し上げまして、国会方面等の絶大な御協力を特にお願いを申し上げたい、かように考えております。
  139. 川俣清音

    川俣委員 そこで最後でございますが、将来の機械を改革する上からは、やはり林野行政全体に関心を持つております林野の労働組合、または地元の県または町村当局等の意向を参酌しながら、やはり全体の機構に向つては公然と討論をし、公然と結論を得ましてなし遂げて行かなければ、一般の協力は得られないと思いますので、その点について特に長官の注意を喚起しておきたいと思うのであります。  なお山瀬の問題につきましては、地元が非常に熱心に存置方を念願いたしておるようでありますが、地元の人々の不安のないようにいろいろ御懇談を願い、また労組とも今までのいきさつについているいろいろ了解を願つて、すみやかなる終束を告げ、今後の管理のあり方について最善の努力を望んで私の質問を終ります。
  140. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀貢君。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私どもは今次の東北の国政調査の途次、たまたま森県の内真部、それから秋田県の山瀬の両営林署の廃止問題に対する陳情を受けたのであります。これはわれわれのスケジユールからいつて、まつたく予見しておらなかつた事態でありますが、現地に参りまして、特に私は北海道の出身でありますが、強く感じたことは、東北の山村における農民と国有林野との相関関係というものが、われわれの理解を越えた以上に深いということであります。かかる論議というものは、当委員会等におきましても、しばしば論理の上においては繰返された問題でありますが、現地に参つて目のあたりにそのことを確認したということは、私の経験から言うと初めてでありますが、その根源をなすものは、今日における東北の、しかも単作地帯の山村における農民経済実情というものは、単に農業経営だけをもつてしては、自立することは不可能であるというところから、生活を通じての国有林に対する依存度が非常に強いのではないかと考えられるわけであります。そういう生活を通じての関連の上に立つた、しかも父祖の時代からの血のつながりの中において林野を撫育する、そういうような愛林的な考えとも相まちまして、この場合に突如として営林署の廃止が行われるということは、第三者から見ると必要以上の不安がかもされておることもまた見のがすことはできないのであります。現在の社会事象を見ると、地方によつては、地方の発展のために数百万の運動費を使つて自衛隊などの誘致運動をするような、われわれとしては理解に苦しむような事態も生じておるわけでありますが、特にこういう営林局あるいは営林署等が突如として廃止されるということは、これは地元としては何よりも非常に遺憾な事態であるということは、率直に認めなければならぬと思うわけであります。それで前回の国会におきましても、たまたま農林省設置法の一部改正の問題にからみまして、当時木曽福島の営林局を長野市に移転するという問題が出まして、この局の移転の問題につきましても、ある意味においては非常に政治的な動き等もありまして、これは長官におかれても、特に長野の営林局長であつた後藤さんのごときは、木曽福島の出身者であるという立場においても、察する以上の非常な苦労があつたということも、私たちは現地に農林委員会として調査に参りまして確認したような次第であります。一つの局を、しかもその同じ県内に移転する場合においても、地元に対する影響は非常に強いのであつて、あの場合におきましての長官の意思表示によりますと、木曽福島の営林局を移転した場合においても、地元に対する事後の問題の処理等に対しては、最善を尽してこれに当るというような配慮が行われるように察しておつたわけでありますが、まずこの木曽福島営林局の移転にからむところの地元に対する適切な配慮というものは、現段階においてどのような具体的な進行状態を示しておるかということを、第一点にお伺いしたいのであります。
  142. 柴田栄

    ○柴田説明員 これは現在起つております問題よりも大きな問題でございますし、特に木曽の福島にとりましては重大な問題であつたのであります。従いましてこれに対応いたします具体的な対策といたしましては、地元からも御要望が出ております。一つには福島地内にあります国有林の開放の問題を現在検討を進めております。いま一つ特に要望の強い林道、森林鉄道の福島町への引込みの問題があるのでありますが、実はこれは私どもの立場からいたしますと、福島町に国有林材を通じまして経済的に寄与するための林道は一応整備しているのでありますが、将来を考えてさらに検討いたすというつもりでおります。ちようど今例の愛知用水の問題が起つておりまして、二子持に取入れダム等ができますと、現在の森林鉄道のつけかえをいたさなければならぬ、この問題が確定いたしますれば具体的に御相談をいたす、こういう考え方であります。  それからなるべくあすこに人を配置しろというようなお話もありますが、当然私どもも考えておりましたので、林業試験のための施設を、明きまする営林局の施設に配置する考え方でございます。なお、余剰の建設物に対しましては、できるだけ地元の御利用を願うという意味において御相談をいたす考え方でおりまして、すでに具体的な折衝に入つております。従いまして御承知通り、福島町は非常に地域が狭いために、現在あすこの仕事に関連しておる方も外部から非常にたくさん通勤いたしておられますので、住宅等が余りますれば、それによりまして従来の通勤の方たちが福島町に在住するということになりまして、特に人口の縮少を来すというようなことのないような利用を願うということも相談を進めております。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 当時私ども農林委員が木曽福島の現地調査した場合においても、あの木曽福島町というものは、まつたく山によつて持ちこたえておるというような町の形成であつたように考えておるわけであつて、それが曲りなりにも相互の理解の上に立つて長野市に移転できるような運びになつたということは、これは先ほども言つた通り、決して容易な努力ではなかつたというふうに考えておるわけです。しかし窮極においては局あるいは署の移転等の場合においても、相互が誠意をもつて話合つて理解に到達するという努力というものも、これを飛躍して行う場合においては、やはり今度のような問題が起らないとは限らないと思うのでありますが、林野当局においても、長野営林局の移転問題等の既存の経緯に顧みて、今度の場合には突如としてやられたということは一応察することもできるわけであります。しかし当初申した通り、地元と営林署あるいは林野庁の関係というものはなかなか簡単に断ち切ることはできぬ状態であり、そういうことを考えた場合において、国会が開会されておつた当時に営林署の配置転換というような問題は、長官においてはまつた考えておらなかつた問題であるかどうか、この点は井出農林委員長が今月十七日と思いましたけれども、山瀬村において、現地の村民が約一千名集まつておられたわけでありますが、その際におきまして、この営林署の移転問題につきましては早口町に来て初めて承知したのであつて、かかる事態に突然遭遇したことは農林委員長としてもいささか遺憾な点があるということも、村民全体の前に表明されておつたわけであります。こういう点がその当時明確になつてつたとすれば 、当然今後の林野の事業の運営の上において合理的な検討を加えて、局署等の適正規模の問題とか、配置転換の問題等は、当時一つの問題として提起されてもよかつたのではないかと私は察するわけでありますが、その当時の状況というものはいかがであつたかということを、参考までに聞きたいのであります。
  144. 柴田栄

    ○柴田説明員 御指摘の点は、実は私どもとしても非常に心苦しいのでありますが、特に長野の営林局移転の問題等によりまして、とうてい私たちの考え方を御相談しておつて、早急に実現する見通しがなかなかむずかしいということを考えたのでありまして、その結果突如というふうなことに現われまして、非常に申訳ないと存じておりますが、私どもといたしましては、ぜひとも実現させたい。この事後処理にあたりましては絶対に誠意をもつて、不安なくおこたえできるというような考え方をもつて実行いたしたわけでございまして、その点はただちに御納得行かぬかもしれませんが、御了承願いたいのでございます。本来は定員法の行方いかんという問題をめぐつて実はいろいろ検討いたしておつたわけでありますが、何としても北海道をこのままに放置するわけには行かないという考え方で、いろいろ検討して参つてつたのでございます。国会最後に定員法が通過いたしまして減員ということに確定いたしましたので、そうすれば今回の措置はやむを得ないということで、従来検討しておりましたことをさらに再検討を加えまして、かかる措置に出たといういきさつでございますので、その経過を申し上げる次第でございます。
  145. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお伺いしたい点は、先ほど川俣委員もちよつと触れられましたが今度の配置転換の場合における重要なる原因というものは、今日における北海道の林野の運営の上において、もうこれ以上遷延することができないというような事態であるということが一つの理由になつておるわけであります。私は北海道から出ておるという関係もあるので、かかる深刻な問題が持ち上つておるときに、北海道の実情というものをここに敷衍することはあえて避けたいと思うわけであります。しかし今年五月の暴風によつて北海道における国有林が五百万石近い倒木を出したというこの一事を見ても、過去数年にわたつて北海道における林野の経営というものは、単に伐採に次ぐ伐採である。しかもほとんどが直轄事業でなくして、業者に対する払下げ斫伐の形式によつてなされたということによつて、非常に山が荒れたということは言うまでもないことであります。ただ今度の国会において定員注の改正の問題が論議されたわけでありますが、私どもの見解からいいますと、無効国会と有効国会のけじめが一応ここに出て来るわけであります。これは無効国会に入つてから定員法の問題が成立したことになつておるわけであります。しかし政府当局であるところの林野庁においては、この定員法の改正なるものが有効的であるということを認めざるを得ない立場であると私は一応察するわけであります。そういたしますと、今の段階におきましては、定員法の改正の制約を受けまして、今度の方針によりますと既往の定員が二万二千百名であつたに対して、一千三百六十六人の減員を行うと同時に、保安林整備法等に基く増員が百名あつたわけです。それで差引千二百六十六人の定員減を来したということは、これはいかような解釈をとられようとも、今度の営林署の配置転換の場合においても否定することのできない理由になつておるのじやないかと私は考えるわけであります。こういう事態に当面した場合において、特に北海道に増設をいたし、内地における七署の廃止を考えたということは、時期的に見ても何か理解に苦しむような点があるわけでありますが、これを画然として北海道の現状の上に立つた営林署の増置、それから内地における林野事業の合理化の上に立つた再考慮というようなことについて、論理的に見てもやはり全体を納得させるに足るような一つの基準というものがあつてしかるべきであつたというふうに考えるわけでありますが、このこともただいま川俣委員が言われたように、現地とのつながりあるいは政治的な動き等があつて、なかなか考え通りには行かぬかもしれませんけれども、ただ一般に与える印象というものは、内地府県におけるところの七つの営林局の中から一つずつ営林署の廃止を行つたことは、何か算術的に米の供出のように、一局から一署の廃止を行つたというような、理解に乏しいような判断も出て来ないとは限らないのであります。ここに地元の諸君が反対する理由の一つが伏在しておると思うのでありますが、かかる点に対する解明というものは、林野当局としていかなる所見を持つておられるか、この点をただしたいと思います。
  146. 柴田栄

    ○柴田説明員 なかなかむずかしい問題でございますが、この問題を数学的に割切つて処理するといたしますれば、全部を一時に処理しなければならないということに相なると思うのでございますが、お話通り実は最大において一局は一署にとどめたいという考え方でやりまして、しかも営林局によりましては署数も少く、かつ平均した署の管理をいたしておるというところは、一応はずすというような考慮をいたしたわけでありますので、これをきちつと一つの規格に従つて割切るという考え方はいたしておらぬのでございます。そこで理論的じやないではないかというお話でございますが、特に究極といたしましては、なかなか理論的には割切れないのだというところから、少くも比較的影響の少い所を選ぶという考え方でやつたということを率直的に申し上げざるを得ないのでございます。
  147. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの長官の御答弁でございますが、現在の政府の考えておることは、われわれは率直に是認することはできぬのであります。でありますからして政府内部における、また各事業部門を担当しておる当該局においては、やはりみずからが所管しておるところの事業内における最大限度の運営を確保せなければならぬという努力は、当然私たちも推察できるのであります。そういう場合において、政府が現在とろうとする、もうとどまることを知らないがごとき、一面にはたとえば行政機構の合理化とか簡素化というものをとなえながら、一方にはまつたく筋の通らないような定員の削減をやつておるというこの事態であります。これは営林当局、林野当局においても肯定することはできないと思うのでありますが、かかる事態の深刻化することに対応して、今度の署の配置転換等が行われたという要素はいささかもないのでありますか、その点をお尋ねいたします。
  148. 柴田栄

    ○柴田説明員 本来からいたしますれば、かような問題を持ち出せば、縮小整備しろということ現在われわれに現政府において課せられる方向ではないか、かように考えておるのでございまして、具体的に持ち出す場合にもその点を非常に考慮いたしたわけでございますが、とにかくふやしはしない、しかし減らしはしないでするということで、一応了承を願つたという関係にありますので、現状から判断してやむを得ない措置をとつたのだというように御了承願いたいのであります。現政府のとつております方針に対しまする批判に対しましては御容赦を願いたい、かように考えております。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで一応お伺いしておきたい点は、今度の七つの営林署を内地府県において廃止して北海道へ移駐したという問題にからんで、今後の営林局あるいは営林署等の適正規模の上に立つた配置転換等に対しては、これは明確なる基礎的な根拠というものは当然あつてしかるべきであるというふうに考えるわけであります。ただ今次の場合には、これはいろいろな理由もあつて、一応暫定的のような形で行われたということも聞いておるわけでありますが、しかし恒久的な問題といたしましては、やはり長官が当初において述べられた通り、国内における林野全体の運営の上に立つて、しかも今日の段階においては、単に国有林野事業という範疇にとどまるだけでなくて、あるいは森林法等によるところの民有林野、保安林等の育成とか指導の問題、あるいは国土保全の上に立つた治山治水等の問題とか、あるいは山村等におけるところの経済的助長の問題とか、こういうものが非常に広汎な意味において付加されて来るというふうに考えるわけでありますが、これらの要素を包括して、今後の林野の合理化の方向というものにどういうような基本的な構想を持つておられるか、これは短時間では言い尽くせぬと思いますが、しかし今度の問題に関連のある面だけから見ても、大筋だけは一応御表明願いたいと思うのであります。
  150. 柴田栄

    ○柴田説明員 理想形に関しましては、私どもも一応これが実現という問題に対しますと、その時期あるいは情勢というものが非常に大きな力となると思いますので、もちろんその時期、情勢等を考えなければならぬと考えますが、私どもといたしましては、従来も相当資料を整備いたしておりますが、今後考えまする理想形に関しましては、各方面の意見を聴取し、あるいは御審議を願うような、必要によりましたら機関も設け、それによりまして一応割切れる形を考えて参りたい。その際に、一体国有林というものだけを考えるべきか、あるいはさらに公有林、民有林についてまで考えるべきかという問題になりますと、これは非常に大きな問題になると思われますし、他の行政機関との関連等も出て参りますので、一応私どもは国有林としての理想形を考えて参りたい、かような考え方を持つておるわけであります、さような場合におきましては、現在の規模等に対しましては、全部を一応白紙に返して再検討するというところまで持つて行きたいという考え方を持つております。
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この基本的な問題等に対しましては、いずれ次期国会等においてなお具体的に検討を加えたいと思うわけでありますが、時間の関係もありますので、現地における問題を取上げて行きたいと思います。先ほど同僚の淡谷委員並びに青森県選出の山崎代議士からも、これは主として内真部営林署を中心とした御見解の表明があつた。私どもは山瀬における村に参りまして、直接村の代表や村民の諸君とも会つたわけでありますが、この廃止の反対の主たる理由というものは、数項目にわたつてあげられているわけでありますが、結局は営林署を廃止されることによつて生ずる一つの不安感と、また具体的に受けるところの諸般の悪影響というものがいわゆる反対の理由をなしているわけでありますが、一つは既成事実の上に立つた、言葉をかえると既得権益といいますか、かかる問題に対する危惧の点であります。この営林署が廃止されたことによつて直接その村に与える影響等でありますが、一例をあげて、山瀬営林署反対の理由がここに村当局から出ているのでありますが、第一は村の自治体に対する税収の欠陥がこれによつて生ずるということであります。この問題は私どもといたしましても、その通りであるということの理解にいささか苦しむ点もあるわけでありますが、現在当局がとつている地元に対する国の支出面は、多分地元交付金というような制度がありまして、これはその村に営林署があろうとなかろうと国有林が存置している限りにおいては、ひとしく地元交付金というものは支出されているというふうに考えるわけであります。次に木材取引税等の関係においては、これはやはり同列に解釈できると私は思つておりますが、この営林署の存廃にからむ税収の面における変化というものは、林野当局はいかにお考えになつておりますか。
  152. 柴田栄

    ○柴田説明員 ただいま御指摘の地元交付金並びに木材引取税の関係は全然かわりはございません。多少影響いたしますものは、在住者の村民税ではないかと思いますが、山瀬と早口の場合は、これは特例に相なるかとも存じまするが、きわめて近接したところにありまして、必ずしも住居を移さなければ通勤できないという事情ではないのでございますので、さしあたりそれほど大きな影響があるとは考えておりませんし、税収入に関しましては不安は全然――全然と申し上げますと言い過ぎかもしれませんが、ほとんど大した影響はない、かように私ども考えております。
  153. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に山瀬の反対の理由の一つとして、今後生ずるところの町村合併の上に一つの支障が来るということであります。私どもは今度の調査の過程において、隣の早口営林署との距離関係等もわかつたわけでありますが、現地で聞きますと、山瀬村と早口町との間における長い間の一つの町村民感情といいますか、こういうものが必ずしも融和しておらないということが指摘できるのでございます。しかも林野の事業所の関係等においても、地勢的な理由がありまして、この山瀬営林署における事業面の製品は、一応早口の方に搬出しなければならぬというような条件に置かれておる。それでこの山瀬営林署がなくなつた場合において、それは結局早口営林署に吸収合併という形になるわけでありますが、そうしますと、山瀬村における今までの一つの自主性といいますか、プライドといいますか、こういうものは完全に早口町に併呑されたというような、一つの異例なケースとしてそういうような事態も出て出るというのであります。それから合併の場合においては、山瀬、早口が合併の対象になるということではなくて、隣接の下川沿村、真中村、これらの三村が一応合併の対象になつておるということなんであります。それでその町村合併の以前においてかかる営林署の一方における廃止、これを極端に感情的に解明すると、早口町にとられてしまうというような事態が来るということになると、将来における町村合併に対して非常なる支障が生ずるという、かかる不安であります。これらに対してはどのような理解をもつてこの山瀬営林署の廃止に当られたか、これは非常に複雑な問題でありますが……。
  154. 柴田栄

    ○柴田説明員 私も秋田にずいぶん長くごやつかいになりましたので、地元の情勢は大体わかつておりますが、まことに不仕合せなことでございまして、駅を一にし、しかも区域を統一すれば、きわめて集約な村になり得るということが、町村対感情によりまして合理的な町村合併ができないということは、まことに不仕合せでありまするが、そのことを私どもの処置によりましてさらに不可能にしたということでありますと、結果から申しまして、非常に申訳ないような気がいたしますが、ただ私どもといたしましては、真中、下川沿と山瀬とが一緒になられる、あるいは早口はそのままにしてなられるいうことが理想形であるかどうかということは、非常に複雑かつデリケートな問題であると思いまして、そこまでこの問題と関連していろいろ責任を追究されるのは、いささかつらいような気がするのでございますが、できるだけそれらの問題も有利に御活用いただけるような配慮は、今後においても注意して参りたいと存じますし、もし悪感情がございますれば、少くも国有林の運営につきましては、さような感情に支配されることのないような措置を講ずるという、実施において御了解を願い、御安心を願うということで 、悪い原因を排除するように協力いたす、こういうようにいたすつもりでおります。
  155. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もとより行政上の区分と林野の行政というものを混淆して解決するということは当然不可能であると思いますが、ただ山瀬村の場合においては、一村一営林署というようなそういう一つのケースのもとに置かれているので、特に何箇村の地域が一つの営林署に包括されているという場合においては、このような問題はあるいはできないかもしれませんが、特に一つの村の中に一つの営林署があるというような事態も、問題としてはやはり軽視することができなかつたんじやないかと私は考えるわけであります。  次に、山瀬営林署は昭和四年から開設されているわけでありますが、今この営林署が廃止されると、極度に村の全体が有形無形の意味において衰微するということを指摘しているわけでありますが、この点に対しましては、林野当局としては、特に営林署のある地元の町村等に対する特別な配慮というものを、今まで何か講じておつたかどうかということが問題になつて来ると思うわけでありますが、このような一つの理由に対する解明というものは、ひとつ具体的な事例をあげて御説明を願いたいと思うのであります。
  156. 柴田栄

    ○柴田説明員 営林署のある地元に特別な措置を講ずるということはあり得ないのでございまして、国有林の地元に対しましては、特殊の依存関係による経営をいたしている、こういうわけであります。従いまして、営林署はかわりましても国有林を現存いたしますので、従来通り国有林地元として処理して参るということにはまつたくかわりはありません。なおこの問題に関しまして非常な打撃を与えたということでございますので、実行はあたりましては一層心して、さような不利あるいは曲解のないような方法を注意して参るという考え方でおりますので、営林署の移転によりまして、国有林地元が従来との関係がかわつて来るということは絶対にないということをはつきり申し上げます。
  157. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に御指摘申したい点は、この山瀬営林署は機械化標準地区といいますか、そういう一つのモデル的な営林署というふうに聞いているわけでありますが、今の段階においていろいろなモデル的な署の運営というものがあると思うわけですが、もう一つは青森営林局の中において、何というか、小営林署というか、非常に区域の小さい、たとえば三千町歩くらいの営林署の単位を圧縮して、そうして担当区との関連性をどういうふうにするかというような、一つのやはりモデル的な試みであるというように考えられるわけでありますが、せつかく機械化標準区としたような営林署を廃止するというようなことはどうかというような問題も出て来るわけですが、これはすでに機械化に対する一つのモデルとしてのそういう工程は終つているわけですか。
  158. 柴田栄

    ○柴田説明員 機械化のモデル営林署と申しますのは、経営区を対象としての機械化作業のモデルといたしているわけでありまして、これは現地におきまする作業の仕組みであります。これは依然としてそのまま存置いたして、機械化経営区として今後も続けて参るということでございますので、それらの点は一切かわりはございません。     〔発言する者あり〕
  159. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この委員会は本日で一応終了することになつているので、今中澤君の御意見がありましたけれども、きよう中途で打切るということになりますと、委員長におかれては、これは明日等に継続してやられることになるかどうか、そういうことを一応配慮に入れて質疑を進めたいと思います。きようの時間は午後十二時まであるわけですが、どういう予定ですか。
  160. 井出一太郎

    井出委員長 委員長といたしましては、委員各位の御支障のない限りは、本日さらに御質問を継続していただいて、一応本日をもつて今回の委員会は打切りたい、こういう考え方でございます。
  161. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上申したような点が、地元における営林署廃止に対する反対の主たる理由であります。今度の反対の動きというものは、一つは地元民の立場に立つた営林署の廃止に対する存置の希望、もう一つは全林野労働組合の立場の上に立つた反対の動きと、これを分析すると二つに見ることができるというふうに考えるわけであります。今まで申し上げたのは、地元におけるところの反対の理由でありますが、これらの理由に対しまして、先ほどから柴田長官は、かかる反対の理由をなす諸点は結局においては杞憂であつて、いささかもかかる杞憂に対して迷惑をかけるような意思はないということを端的に表明されておるわけでありますが、問題は淡谷委員も指摘されたように、そういうことであれば、なにも置いたのも置かぬのもかわりないのではないかということになるのでありますが問題は、しからば現実の上に立つて、この危惧されるような問題について、当局においてはいかにして地元民に不安をかけないような根拠の上に立つておられるかということを――これは地元においてはまつこうから反対しておるので、私は別に仲裁的な意見を出すわけではありませんけれども、審議の過程において、当局の考えておる廃止後の処置をいかにするかという問題を、参考までに具体的にただしたいと思うわけであります。その理由は、先般長野営林局の移転の場合においても、現地と営林局あるいは林野当局との理解の上に立つてそれが進められたという事例がありますが、今度の場合においては、かかる相互理解の努力を飛び越えてこの問題が行われたというところに問題が一つあるので、特にその点を明確にしておきたいと思うわけであります。この地元に対する営林署が廃止された後の方途、たとえば一つは既存の営林署の建物が残るわけでありますが、これらの建物というものは別に北海道に増設される場合に、北海道まで解体して持つて行くというようなお考えというものはまつたくないというように私は考えておるわけでありますが、まず第一点としては、これらの地元施設の今後の処理の問題をどうするかということ、それから結局東北諸県においては、山村の農業経営の上から生ずるいわゆる過剰労働力といいますか、これが夏冬通して林野事業に投入されておるわけであります。結局その個々の農民影響を与えるいわゆる経済的の事象に対しては、営林署がもし廃止された場合においても、従前通り地元の労力というものを十分に有効に消化できるという保障というものはどのような形において行うかという、この二点はどうでございますか。
  162. 柴田栄

    ○柴田説明員 それらの問題は、第二点の問題に関しましては、事業はそのまま存置して継続いたしまするし、さらに集約化の方向に進めたいと思つておりまするので、労力等に対しましては一層地元の労力を消化するという量を増加してでも御協力を願いたいと思つておりまするので、営林署の廃止によつて労力その他の関係において不安を生ずるということは一つも理由はないのでございまするから、御不安のないように御了解を願いたいのであります。なお営林署その他の施設は、もちろんお話通りこれを北海道へ持つて行く、あるいは早口へ持つて行くなどということは毛頭考えておりません。不要になりまするので、もし地元で申出がありまして、何か公用公益に御使用になるということならば、十分に有利に御使用いただくような相談は当然でき得るものと私は考えております。それらの問題は個々の問題として御相談いただければ、誠意をもつていろいろ御相談いたすということを、常に陳情の方々に申し上げておるのでありまするが、この根本は感情の問題が主体ではないかと私は考えまするので、その問題はいかにそういう理由を申し上げましても、感情の問題だけを解明することはなかなか困難だ。具体的問題として御相談をして、われわれの考え方あるいは実行に対しまする不安のないという具体的な相談をさせていただきたい、かように申し上げておるのでございます。その点は先生方にも特にひとつはつきりと御了解を願つておきたいと思つております。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にこの営林署設置以来、多年間にわたる地元の協力に対する一つの償い等の問題も将来出て来ると思いますが、長野営林局の場合においては、先ほど長官も言われた通り、木曽福島に対して相当の地積の国有林を一つの名目の立つ形において払下げ等を行うことになつておるわけでありますが、こういう問題等もやはり当然考慮の中に入つておるとは私は思うわけでありますが、こういうような点も具体的に用意されておらないと、もし事態がさらに具体的な話合いに入るようなことが万一あるような場合においては、必要な要件ともなつて来ると思います。それともう一つは、町村合併に対する支障の問題でありますが、これは町村合併促進法によつても、合併を行う場合においては、その地区内における国有林野の一部を払下げをするということは法律の上に明記されておるわけであるので、この二つの関連の上に立つた説明を願いたいと思います。
  164. 柴田栄

    ○柴田説明員 あらかじめ具体的な問題を私どもで準備して交渉しろというようなお話に聞けるのでございまするが、実は私どもで具体的な問題を準備して交渉あるいは折衝を続けるという問題ではないのじやないかと思うのでございます。地元の御要望を具体的にお聞きいたしまして、地元の御納得の行くような御相談を申し上げる。これは本曽福島の場合にも、すべて地元の御要望の具体的な問題に関しまして、これを処理する、そうして具体的に御納得の行くような御相談をいたす、こういうことを進めておるのでございますから、山瀬の皆さんにもしよつちゆう申し上げておるのでございます。抽象的にではいかぬから具体的に言えというから、具体的にそれではどういう問題を処理したらいいかお申出を願いたいしそれによつて解決の方向に最善の誠意を尽す、そうして不安のないようにする、こう申し上げておるのでございますから、もし具体的な問題がございますれば、ひとつ具体的に御相談を申し上げて、その際には絶対に感情にとらわれず、誠意をもつて相談をいたす、そうして将来とも一履不安なく、依存関係において国有林の繁栄と地元の繁栄とを期待して参りたい、こういうふうに考えております。  町村合併の問題につきましても、もちろんこれが促進のためにわれわれはできるだけの協力を申し上げたい、かように考えておりまするので、実は国有林野整備によりまする売払いの適格の箇所がございますれば、積極的に御相談を申し上げまするし、さらに基本財産の造成という意味におきまして、部分林の設定を御希望の場合には、これまた最も適当なところについて相談をいたすという用意はいたしておりまするので、これも具体的に御相談を申し上げたい、かように考えておるのでございます。
  165. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今長官の言われた最初の問題でありますが、私は決して今度の七月五日の告示を是認する立場に立ちあるいは地元にそれをしいて、そうして交渉とか妥協に入るとかいう意味で発言しておるのではないのであります。林野当局として、いろいろな具体的な腹案を持つておるからして現地に対してはいささかの不安もかけない、ということが初めて言い得るのだと思うわけであります。しかも前例としては木曽福島の場合においては、過程として事前にいろいろな話合いを地元において進めておるわけであります。事前に話合いを進めるというときには、今私が指摘したような問題もやはりその話合いの上には現われて来る問題であるというふうに考えられる。ただ今度の場合においては先に廃止がきまつてしまつて、話合いがあとになるというような姿になつて来たので、前後が錯倒しておるように考えるわけでありますが、その点は誤解のないようにしていただきたいと思うわけであります。次にこれは秋田県庁において、秋田県下の町村長会代表の諸君から陳情もあつたわけでありますが、今後において秋田県下、あるいは青森県においてもそうだと思いますが、これが一つの突破口になつて、次々に既存の営林署が配置転換されるような事態になると、これはゆゆしい問題であるというような、この次に来るところの事態に対する不安というものが非常に大きいというように、私は受取つて来たわけであります。特に先ほど町村合併の問題に触れたわけでありますが、山瀬営林署を廃止して早口営林署に合体させる場合においては、これは地元感情をますます相剋させるような事態になつて来るので、町村会代表の言つたことをそのままあなたに伝えるわけですが、これは軽い気持で言つたかどうか知りませんけれども、結局山瀬営林署がなくなつて早口営林署になつてしまうと、山瀬村は負けたという敗北感が非常に強くなるわけです。それで名称等に対しても、これは別に私は重要視しておるわけでもございませんけれども、何か山瀬とかそういうような署の名称等に対しても、これは一つの感情の相剋でありますから、ある場合において将来の町村合併のいろいろなことも配慮に入れて、今後の名称の問題等はどういうように考えておるかという点もありました。これは別に私はこだわつているわけではありませんけれども、繊細な配慮というものも必要になつて来ると思いますが、こういうものは長官どういうふうにお考えでありますか。
  166. 柴田栄

    ○柴田説明員 非常にデリケートな問題でございますので、今回の事例に徴しまして私どもも非常に反省をしなければならぬものを多分に持つておるのでございます。一面におきましてかような問題が、実質よりも感情を主体としていろいろ問題を起すということは遺憾ではございますが、人間社会においてはまたやむを得ない事態でもあろうかと思いますので、今後の問題に関しては十分に考えて参りたいと思うのでありますが、今の名称の問題等は、妙な名前をつけますと場所がわからなくなつてしまうというようなことで、かえつて非常に御不便を感ずるということも出て来ると思いますので、今後の問題としては十分に考えて参りたいと思います。  なお町村合併を促進させるために促進した後にこういうことを考えたらどうだ、そういう問題もある場所もあるかも存じませんが、これは今後に起ります事態を、先ほど申し上げましたような理想形を検討いたしまして実現の可能な見通し等も考えて、あるいは必要によりましては次善策を臨時にとつて参るという場合に十分考えさしていただく、こういうことにいたしたいと存じます。
  167. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にこれは淡谷委員からも御指摘がありましたが、営林署が廃止されて、あつたと同じような取扱いをする一つの技術的な問題でありますが、現在の機構上からいいますと、営林署の下には担当区があるわけであつて、これは全国的に見ると二千二百くらいに及んでおると私は承知しておるわけですが、特に山瀬村のような場合においては、山瀬営林署がなくなつて早口に負けたというような敗北感の上に立つた場合においては、早口営林署に問題を持ち込むということは、なかなかおつくうになると私は考えるわけです。それでそういうような事態を、もつと地元の人たちにある程度了承させるというような問題に対しても、これは当然考慮に入れておられると思いますが、特に長官におかれても、あるいは石谷業務部長におかれても、過去におかれては、秋田県下における営林署長等も勤めておられるので、現地の実情とかあるいはいろいろな慣習とか、気分といものは十分承知せられておると思うので、これは私が特に言うまでもない問題であると考えるわけです。しかし何か機構上の一つの技術面において、その分署のごときものができないとしても、あるいは明確にその廃止された営林署地区に対する新しい営林署内における、あるいはこれは営林署でなくてむしろ営林局が直接具体的にタツチできるような形態というものは、はたしてとれないものであるかどうか、こういう点はいかがですか。
  168. 柴田栄

    ○柴田説明員 営林局がその地区だけは天領のごとく取扱うということはなかなかむずかしいと思うのでございますが、実際問題として特に山瀬、早口の場合のごときは、まるで近くでございまするので、しばらく感情のおちつきまするまで、あるいは必要がありますれば営林署の方から山瀬に御相談に参るというような措置をとらせることも不可能ではないと思つておりまするが、早口町の役場にお出かけを願うわけではないのでありまするから、役場とは全然関係がございませんので、堂々と、決して吸収されたのじやないという考え方をもつてお出かけを願うことが一番望ましいと思つております。今御指摘のように、特に営林局直接の取扱いということはできないかというお話ですが、これは機構の上からいささか無理ではないかと考えております。
  169. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは理性の上に立つて考えれば、別に問題はないわけですが、しかし人間感情の上に立つた、長年の一つの歴史的な流れの上に立つたそういう相剋というものは、これは簡単に克服できない面が非常に多いと私は考えております。隣同士であつても、もう朝夕顔を見るのもいやだというような、こういう間柄というものも決してないわけではないのであります。特に一方的にこれをつぶしたというとき、これをどこまでも林野庁と地元が対峙した形でいつまでも経過するという場合は別ですけれども、何とか事態を今後打開しようとする当局の努力があるとすれば、こういうようなことは、まず感情的な対立を解きほごす一つの糸口としても、一つの経過的な措置としても、これは当然賢明な長官等においては、すでにもう考慮の中に入れてかからなければならぬ問題であると思うわけです。特にもう昔そこにおられて、山瀬、早口の関係を知つておるという上に立つた場合には、これはなおさらであると私は考えるわけですが、この点をもう一度明確にしておいてもらいたい。
  170. 柴田栄

    ○柴田説明員 この問題をめぐつて一層従来の早口、山瀬の問題の感情対立を激化したという結果になりますると、非常に申訳ないのでありまするが、もともと私の承知いたしておりまする範囲におきましても、必ずしも両村がぴつたりと行つてつたという仲ではなかつたと思うのでございます。これはひとつ実行におきまして、まず第一段には、決して廃止になつたから別個の扱いを受けたのではないということは、私ども身をもつて実行させていただいて、順次御了解を願うという方向に進めたいと存じまするし、さらに末端において注意をいたさせまして、でき得べくんば両村の感情の緩和ということに役立つような方向で、何か私どものすべき、あるいは私どもの機関を通じて、実施によつて役立て得ることがございますれば、積極的に御相談をいたして、緩和に努力いたすということを、末端に徹底させたいと存じます。
  171. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上で一応地元関係の問題をこの程度といたしまして、次は、労働組合との関係です。対全林野との関係でありますが、営林署の配置そのものは、これは全林野組合との直接の団体交渉の問題にはならぬと思います。しかし一面労働条件等の具体的な問題の取上げの上に立つた場合には、やはり署の配置というものは関連性が出て来るというふうに考えるわけでありますが、この点につきましては、全林野の組合と当局との間において、今の段階においてはどのような経緯をもつて話合いが進められたかということを、まずお伺いしておきたいと思います。
  172. 柴田栄

    ○柴田説明員 処遇の問題に関しまして団体交渉をいたしておるのでございますが、第一段として、組合側では、営林署の廃止に伴つて馘首の問題がありはしないかという不安でございまするので、今回の問題に関連しては、絶対にさような措置はとらないということを明確に答えようとしておるのであります。なお配置転換の場合におきましても、特に不都合のあるような処置は、今回の処置に関しては一層注意してとらない。場合によりましては具体的に交渉によつて了解の上に立つて措置をする。一応全部統合された署勤務ということで処理いたしまして、今後の配置転換において具体的に相談をいたす、こういう考え方で交渉を進めております。
  173. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、そのことも一つではありますが、署の廃止を行う場合において、やはり職員の配置転換等が生じて来ますので、そういう問題から派生して行くところのいわゆる交渉の形というものは、やはりでき得べくんば事前において持たれる必要があつたのではないかというふうに判断するわけでありますが、そういう必要というものは当時必要がなかつたものか、今後においてもそういう必要はないという解釈であの署の転換等をやる場合においては処理されるおつもりなのか、これは原則的な問題にもなるので、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  174. 柴田栄

    ○柴田説明員 先ほども申し上げました根本的な問題を確立するためには、各方面の意見を徴して参りたいという考えでおりますので、さような場合には、働く人たちの意向をも十分に取入れて案を進めて参りたい、かように考えておりまするが、団体交渉を必要とする問題の範囲というものはおのずから限度があると思つております。必要のある範囲におきましてはいつでも正規に交渉いたしまして、平和裡に解決をいたして行くという考えでおりますが、かような問題、特に処遇の問題について特に不都合を生ずるというようなことのない限りにおいては、あらかじめ団体交渉の問題ではないと私どもは考えておるのでございます。
  175. 芳賀貢

    ○芳賀委員 現在山瀬営林署の職員の諸君は、やはり一つの組織の上に立つた意味において、当局と対峙しておるような形が持続されておると私は思つておるわけですが、これらの問題の今後の処理というものは、どういう形で軌道に乗せて行くかということが考えられるわけでありますが、これは秋田営林局当局と秋田の支部とにおいて行うものであるか、あるいは林野当局と全林野の本部との間において進められて行くものであるか、その点はいかがですか。
  176. 柴田栄

    ○柴田説明員 形式に従いまして中央団交の必要のある事項についてはすべて中央団交にゆだねるつもりであります。個々の地方団交で処理できるものにつきましては地方団交をも併用して参る、かような考え方で、一日も早く平静裡に仕事の運営ができるような交渉を進めたいと考えております。
  177. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合に、全林野の組合の正しい意識の上に立つた今後の動向というものは、私たちとしても期待を持つておるわけでありますが、そういう場合において、今回当局のとられた抜打ち的な態度というものは、地元に対しましても全林野に対しましても、決してこれが十全の策であつたというふうには、私たちは全然考えておらぬのであります。これは長官においても反省の余地があるというようなお考えを持つておると私は見ておるわけであります。そのような理解の上に立つて今後万般の問題の処理に当られることであると思いますが、この点も念のためただしておきたいと思います。
  178. 柴田栄

    ○柴田説明員 方法に対しましては今後大いに私どもも考えなければならぬ問題はあると存じますが、情勢によりまして、なるべく少しでも情勢の改善に努力いたしたいという考えでおりますので、極力摩擦を避けて、しかも急速に改善のできるような方向で、あるいは相談をする、あるいは了解を求める、あるいは協議をするというような手段も、今後とつて参るべきではないかと考えておりますが、事態いかんによりまして、必ずしもこういう問題ばかりでもございませんので、その他の処理におきまして、少くとも独善にわたるような処置は厳に注意いたすという考え方でおることを御了承願いたいと思います。
  179. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に、今後の見通しの問題でありますが、当委員会としましても、単に営林署の廃止問題に対する委員会の明確な意思表示はできないと考えておるわけです。しかも特にその七署のうち内真部であるとか山瀬だけを取上げてこれを云々するということはどうかと私は考えておりますが、現在山瀬、内真部という地元の代表の諸君が、聞くところによると林野庁にすわり込みをしておるというような、そういう切迫したような姿が現われておるわけであります。これらの事象に対しましては、問題の最終的な解決としては、結局相互に誠意を持つて話合つて理解に達するということが、絶対に不可能であると私は考えておらぬのであります。今日に至つた段階に対するいろいろな批判等は、それはあるかもしれませんが、今後の場合におきましては、やはり長官の一つの人格を通じて、誠意を持つて事態の解決に当るという努力は、われわれ大いに期待できるのじやないかと考えておるわけであります。私は決して具体的にこれをどうすべきだということは指摘いたしませんけれども、今度の東北等の場合において、この問題に当面したわれわれの判断、あるいは今日まで地元等において強く要望されておる営林署の存置問題に対する運動の展開等を考えてみましても、これはただ単に二つの営林署の問題でなくて、今後わが国における林野行政の面等、あるいは非常に零細過小な東北等単作地帯における農業経営から来る窮乏に対する相関関係というものは、ますますその度合いが深刻になつて来ると考えておるので、そういう点から国有林野に対する依存の度合いが想像以上に強いということは――これは先ほど長官も、こういう運動が展開されたということは、一面においては困惑もするけれども、一面においてはまた、これほど営林署廃止等に対してもみなが依存されておつたかということを考える場合においては、一つの異なつた感懐を持つということを言われたようにも聞いておるので、こういう点に対しましてわれわれもまた注意しておるわけでありますが、できるだけ最善の方途を講じて、今後の林野行政の上においても誤りのないようにしてもらいたいと考えます。かかる点に対しては後刻農林省を通じて何らかの御表明があると私は考えておりますので、本日の質疑はこの程度にしておきたいと思います。
  180. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 関連して。このたびの廃止なり増設の方法は、初めてのケースらしいように私は承りますが、発表をして論議を尽してやるとたいへん時期が遅れるからこういう処置をとられたというが、これは私は非常に重大な問題だと思います。文書の上で一つの既成事実をつくり、文書の上で一つの決定をすると事務的な手続が終るから、それできまつたというようなお考えであれば、これは今の民主政治の基本的な形からいつて、非常に憂うべき傾向だと思います。ことにこういう点から官僚独善ということが出て来ると、これはなお大きく取上げらるべき問題ではないかと私は思います。特に山瀬、内真部という点につきましては、こうした処置のあとに非常に悲壮な決意をもつて地元民並びに職員が立ち上つた。このことは方法のいかんによつては、事後において了解を求めることの方が事前に了解を求める以上に困難である、時間を食うものだということの非常にりつぱな事象の一つだと私は思います。これにつきましては、長官がみずから反省をされておるというので、追究はいたしません。ただこういうケースが続々出たならば、今後わが国における民主政治の基本が脅かされるようなことになるという心配を持つております。従つて今度の問題につきましても、今起こつておりますいろいろな問題、長官は感情問題が多いと申しますが、この感情問題を激発し、挑発した責任は、やはり長官の今度とつた抜打ち処置に非常に大きな原因があると私は思います。この責任は長官みずからがはつきり負われまして、事前に尽すべかりし手段をとらなかつたというこの責任におきまして、今起つております具体的な問題、――たとい感情的な問題がありましても、この感情的な問題を誘発した責任を痛感されまして、虚心坦懐にこの善後処置をとつていただきたい。ことにこれはいかに長官といえども私は全知全能だとは考えておりませんので、こういう処置によつてスムーズに行くと思つたところがさまざまな問題が出て来たということで、中には長官の予期されなかつた事情もおそらくたくさんあろうと思いますので、告示を今すぐに撤回するということはとうてい明言することはできないでありましようが、虚心坦懐に地元あるいは全林野とお話合いの上で、直すべきところは直し、撤回すべきところは撤回する、こういう意味をもつて新たに次善処置をとられるような覚悟と決意をもつて進まれんことを特に要望して、私のお願いといたす次第であります。
  181. 中澤茂一

    ○中澤委員 きようは、営林署の問題は芳賀委員が申されましたことで尽しておると思いますし、私はこの委員会が開かれましたのは、冷害の危機が非常に濃化して来たこと、それについて御承知のように、長官も昨年非常に骨を折つて、約三百五十万石という薪炭林の払下げをやつて、そのために山間地帯における農民が非常に助かつた。これは末端の行政の問題をつけば、そのやり方については批判もあるのでありますが、そういうことは抜きにいたしまして、今度の東北の凍霜害に対して、われわれは国会開会中から政府に食い下つておりますが、どうしても政府は言うことをきかない。で御承知のように、ようやく助成の四千万円は農林省の内部予算のやりくりによつて助成処置を確保したというような、非常に悲惨な状態である。これではわれわれがいかにがんばつてもできないので、今後の状況のいかんによりましては、これは救農国会要求をも当委員会としてやらなければならぬと思うのです。それについても凍霜害岩手四郡の被害というものはまつたく悲惨なものらしい。私はちよつどからだが悪くて現地視察をしなかつたが、映画で見てもまつたく悲惨な状態になつておるわけです。こういう悲惨なところに対しては、今度まきつけをやつたとしてもとうてい所期の収穫を得ることはできない。これに対して林野庁として、目下具体的な処置をお考えになつておるか、またはそれを御指示になつておるか、または現在計画中であるか。そのいずれであるか、現在の状況を御報告願いたいと思うのであります。
  182. 柴田栄

    ○柴田説明員 特に今回の東北地方を主体といたします凍霜害は、私どももほとんど記憶にないような大きなものでございます。それが主として国有林地帯関係しておるということで、ただちに青森営林局に指令をいたしまして、現実に私もあちらへ参りまして、実情の一部を拝見して参りまして、ただちに具体的な処置を講ずるということによりまして、あるいは労力の消化あるいは現金収入の増加等の問題を処理するように具体的な相談をさせておりますが、実際の、たとえば事業の数量あるいは払下げの措置等に関しましては、まだ報告を聴取しておりませんので、明確ではございませんが、爾後は十分に心して対処するように指令をいたしております。
  183. 中澤茂一

    ○中澤委員 昨年の例からいつて、今年も冷害の危機が濃化しておるので、実はまた八月十日にわれわれは委員会をやつて、その状況いかんによれば、これはさつきゆうに具体的な冷害対策を立てなければいかぬ、こう考えているのですが、それについてわれわれと考えを同じゆうして、今年も相当な数量の薪炭林の払下げをやらなければいかぬという角度から、今から御検討を始めていただきたい。昨年は三百五十万石の払下げでしたが、今年はおそらくそれ以上の危機の様相があるのじやないかと思うのですが、その点を十分御考慮を願いたい。  それから、昨年の三百五十万石という当初計画に対して、実際営林局が払下げを実施した各県別の数量、大体の払下げ価格、そういうようなものを、八月十日前後の当委員会までに資料の御準備をお願いしたいのであります。それから今の二営林署の問題に対しては、芳賀委員は絶対に是認しないという立場からのお尋ねでございますが、いろいろな状況を勘案され、実情をお伺いしてみて、この際われわれ長野県にとつていただいたような、たとえば国有林の一部をその代償として払い下げてやるとか、地元との折衝で具体的な点については、数回長官が誠意を持つてやると言つておられましたから、その点は十分御考慮を重ねてお願いしておくわけであります。実は八月十五日に昨況報告がまとまつて、八月末には当委員会へ正式資料として第一回が提出になるようでございます。それで九月の初旬にどうしても当委員会を開いて、その被害状況によつて対策を立てなければいかぬ。それについては、ひとつそのころまでに大体林野庁の方へもその情報が入るでしようから、ある程度の計画は、九月までにこんな程度でどうだろうかというような程度のものは、御計画を提示願いたい。まだ一箇月ありますから今からお願いしておく次第であります。以上長官に対する御注文並びにお願いはその程度にして質問を打切ります。
  184. 柴田栄

    ○柴田説明員 資料の問題は大体集まつておると存じますので、間に合うように調製してお届けいたします。  冷害対策の問題も、本年度の現在までの天候その他によりまする情勢からいたしまして、おそらく――私ども専門ではございませんので明確ではありませんが、方々の情報あるいは現実を見まして、当然対策考えなければならぬということで、事前に対策を具体的に立てるように指令をいたしておりますので、おそらく概括のものになりましようが、御注文の時期までには一応の見通しを立てて御報告したいと思つております。
  185. 中澤茂一

    ○中澤委員 これは委員長に対するお願いでございますが、九月の初旬では対策の遅れる危険がある、そこで八月一日を限度として、われわれは八月十日までに作報についての資料を提出してくれとさつき申しましたところが、今統計部長が来まして、非常に財政困難の折から、この二つの要求を完全に調査することは不可能だ、いもちだけにしてくれないかという話合いがあつたのでありますが、それについて当委員会として申合せをして、これは冷害に対する特別調査であるから、大蔵省へ当委員会の申合せとして、委員長から特別調査費だけは出すように申入れを願いたいと思うのでありますが、その申合せをおはかり願いたいと思います。
  186. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま中澤委員から提案されました通り、統計調査部における八月一日の本委員会より注文をつけました集計のために臨時の調査費がいるわけでございますが、これを当委員会の申合せによつて大蔵省要求をいたす、この件について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めさようとりはからいます。  ただいま議題となつておりました林野に関係のあります問題の審議は一応この程度をもつてとどめたいと存じます。  先ほど芳賀委員から、最後に委員長として発言があるだろう、こういう御趣旨の御発言がありましたが、すでに先ほど来、長時間にわたる御審議によつて真相は相当程度まで突きとめ得た、このように思うのであります。ちようど林野庁長官は北海道へ御出張中のところ、当委員会の要請に基いて、昨晩飛行機で飛び帰られて、これはもとより当然なことでございますが、旅程を変更してもどられたわけでございます。先ほど来の質疑応答を通じて、今回の措置に対する委員各位の批判にこたえては、謙虚な反省の御意思をも示されておるわけであります。われわれ委員会といたしまして、たとえば農林省設置法の改正というような、局の廃合問題等は、われわれの議題になりますが、営林署の問題は、行政府限りの仕事でありまして、これに対してわれわれとしては、この委員会審議を通しては、一つのアドヴアイスと申しましようか、この空気を反映されて、御参考にしていただく、こういう程度のことではなかろうかと思うのであります。従いまして問題は善後措置を、ひとつ長官みずから周到な配慮をなされ、陣頭に立たれて、現地との解決に当られるというお気持でお進めを願いたいわけであります。おそらく関係地元町村あるいはその職場に働く勤務職員それぞれ非常な動揺があると思うのでございますが、そういう点にひとつ国有林の親心と申しますか、これはあまり民主的な言葉でないかもしれませんが、ともかく適切な御配慮を十分に示していただきたい、このことを最後に申し上げる次第であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十五分散会