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1954-05-28 第19回国会 衆議院 農林委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十八日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 金子與重郎君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    寺島隆太郎君       松岡 俊三君    松山 義雄君       吉川 久衛君    本名  武君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (畜産局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君  委員外出席者         農林事務次官  東畑 四郎君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  安田善一郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         一部長)    伊東 正義君         農 林 技 官         (畜産局競馬部         長)      井上 綱雄君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 五月二十七日  大製パン工場設置反対に関する請願中村庸一  郎君紹介)(第五一〇一号)  農業改良普及事業費国庫補助等に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第五一一一号)  桑樹凍霜害対策確立に関する請願鈴木正文君  紹介)(第五一一二号)  保温折衷苗代設置に要する温床紙購入費国庫補  助に関する請願井出一太郎紹介)(第五一  二一号)  木炭公営検査強化に関する請願井出一太郎君  紹介)(第五一二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧に関する小委員会の小委員及び小委員長の  選任  小委員及び小委員長補欠選任日本中央競馬会  法案内閣提出第一二六号)  昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に  対する資金の融通に関する特別措置法案内閣  提出第一八一号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(芳  賀貢君外四十四名提出衆法第四五号)  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第一八二号)  食糧管理に関する件  凍霜害等災害対策費に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  先日本委員会に付託になりました内閣提出繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたし審査に入ります。まず本案の趣旨について政府説明を求めます。平野農林政務次官。     —————————————
  3. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま上程せられました繭糸価格安定法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。  繭糸価格安定法が制定されまして以後の問題点を検討いたしますのに、まず第一にあげなければならないのは糸価がいわゆる安定帯価格を突き破つた場合の措置が不備であることでありまして、禁止価格制度の行き詰まりもまさにこれに起因すると申さねばなりません。御承知のように、政府は、最低価格生糸を買入れ、最高価格でその保有する生糸を売り渡すことによつて糸価安定帯価格範囲内に入れ、これによつて輸出の振興と蚕糸経営の安定をはかるというのが法の目的となつております。  しかるに政府は手持の生糸を全然保有することなく同法を実施いたしましたために、昨生糸年度以来見られましたような糸高事態に対しましては、糸価安定特別会計の市場に対する支配力は皆無なのであります。従いまして糸価安定帯価格の中に追い込む措置を積極的に講じまして繭糸価格安定制度のてこ入れをはかる必要があるわけであります。  第二に、繭価の安定を確保する措置が十分でないことであります。もちろん安定法糸価の安定を実現することのみによつてただちに蚕糸業の安定が実現すると考えているわけではありません。政府は、最低価格による生糸の買入れによつてもお繭価の異常な低落を防止することができないときは、必要な措置を行うことになつておりますが、それではいかなる価格のラインでいかなる方法によつて補償するのか等の緊要な問題が現在の規定では不明確なのであります。万一の事態に備えてより具体的な措置を講じ、もつて養蚕農民が安心して繭の生産に励み得るようにする必要があるわけであります。戦前より重要な輸出品である生糸輸出を確保するためには、少くとも以上掲げました基本的な問題の解決を迫られている次第でありまして、本改正法案もその解決を目途としているわけであります。以下これより法案の主要な内要につきましてその概略を御説明申し上げます。  第一は、農業協同組合中心とする共同販売体制実情に即応して繭取引の安定を確保するため、繭取引に関する繭需要者協定を許容するとともに、これに必要な規制を加えたことであります。すなわち、第一点は、従来認められていた繭需要者繭価協定のみによつては内渡金、後払金等の問題があいまいでありましたので、対価の支払い方法、時期等についての協定も認めて、これらの点を協定で明らかにし得ることとしたわけであります。  第二点は、繭の需給関係が異常であるような事態に起因して糸価最高価格を越えるような場合においては、繭需要者協定し得る範囲繭価のみならず数量、相手方等にも広げ、協定の実効を期して、繭価及び繭取引の安定並びに共同販売体制強化をはかり、非常事態を乗り切り得るように措置しようとするわけであります。なお、右の協定農林大臣認可制として、適正妥当な協定を確保いたしたいと考えております。  第三点は、このように協定中心とした繭取引の安定を強化することによつて糸価最高価格を越えることを防止するのが本改正の大きなねらいでありますが、このためには一部のアウトサイダーによつて協定を撹乱されることを防止する必要があるので、一定の条件が整えば、農林大臣繭需要者のすべてに対し協定に従うよう規制を加え得ることとした次第であります。  第二は、繭価維持のための具体的な措置を講じたことであります。政府は、最低価格による生糸の買入れによつてもなお繭価低落を防止することができない場合におきまして、政令で繭の一定価格を定め、この価格を下るおそれがあると認めるときは、繭の需給の安定及び繭の値上り待ち等のため農業協同組合連合会の行う乾繭の保管に対しまして、その保管に要した金利、倉敷料等の経費について助成をすることとしたことであります。幸い、この繭価安定措置が具体化すれば、生糸の買入れ、売渡し措置と相まつて蚕糸業の安定の上に大きな役割を果すものと考える次第であります。  以上がこの法案提出理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決されることをお願いする次第であります。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ————◇—————     午後二時五十七分開議
  5. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  これより食糧管理制度等食糧問題について調査を進めます。政府は昨年末以来食糧対策協議会を設けて、現行食糧管理制度について再検討を加えていられることは、すでに過般の本委員会における説明にもあつたところでございますが、この際食糧対策協議会における論議の概要、その他現在の状況について政府より説明を求めることにいたします。
  6. 東畑四郎

    東畑説明員 食糧対策協議会につきまして、先ほど委員長の申されましたように、昨年来そういう制度を設置いたしまして、現下いろいろ問題のありまする食糧管理制度根本的解決をやるべき問題について、各方面学識経験のある方の御意見を聞きたいというのであります。  一月から正式の委員会を開きますこと八回でございます。なお一回懇談的な会合を別にやつておりまして、前後を通じまして九回になつております。会議の性質上一応非公開といたしました。速記はとつておりまして、その速記録をお配りをしておるというのが現状であります。各方面立場の方がおられますので、この御意見も非常に各方面にわたつております。政府といたしましては、普通の諮問委員会でございますけれども政府案というものを提示いたしまして、御意見を聞くということを一切いたしておりません。各委員の方にどんどんと御発言を願いまして、それを速記し、その要点を整理して、その中からおのずから帰一する一つのものを見つけようという考え方をとつております。各委員の御意見も相当ありまして、まだ御発言にならない委員の方が若干名残つております。もう数回これをやらざるを得ないのでありまして、まだ政府としてこれをとりまとめる段階にはなつておりません。ただ多く出ます根本論としての総論的な意見は、おのずから集荷対策配給対策という問題に帰しております。米価そのものの問題は、米価審議会等がありますので、そういういうな御意見はまだありません、漠とした意見があるだけであります。根本論におきまして若干の委員の方に自由販売制をとられます方もござがいますけれども、大きな大綱的な意見としては、方向としては自由の方向へ行くが、今、二十九年産米そのものを自由とするとか、あるいは供出後の自由販売をやるということは、もう少し慎重にやつたらどうかという意見が実は非常に多いのでございます。苦干の委員の方に、実は供出後の自由販売をすぐやれ、こういう御意見がございます。大綱は、そういう御意見は今のところ出ておりません。  それらか集荷につきましては、どの御意見も今の制度ではおかしいではないか、何か一つこれを考えろという意見が大勢を占めております。具体的にこうしたらいいという御意見は、地方長官で来ておられる委員の方からは若干ございますけれども、大部分委員の方からは、ただこれを改善せよという意見が多いのでございますが、さてどうすればいいかという技術的な問題にまで入つた意見は、まだ拝聴できないのが実情でございます。  それから配給につきましては、大部分がやはり内地米が六日とか七日とかいうような都市の者は相当やみがあるという不満、そのやり方の拙劣さ等についての御批判が相当多いのでございます。いずれにしても配給を今すぐやめて価格がどうなるかということについて、どなたも明確な見通しもないものですし、政府自身はつきりとしたことは言えないものでありますので、その点がまだ非常にもやもやとした意見が多いのであります。配給をやめてしまえ、こういう御議論は今のところ一つも出ておりません。  価格につきましては、いわゆる一本価格にしろという意見、皆様そういう主張が多いのであります。その一本価格にしろという意見の中にも、高く一本にしろという意見と、そんな高く一本にしろという意見ではない一本にしろという意見と、内容を見ますといろいろあるようでありますが、そこらもまだ統一した意見として協議会としてはまとまつておりません。  結局今までのおもなる論点は、総論的なものと、それから供出配給価格、こういう四つの論点について各意見が出ておるというのが現実でございます。そのほかは政府に対して資料の要求が相当ございますので、現実資料等は相当提供いたしております。  われわれといたしましては、少くとも二十九年産米に対する政府としての意見をまとめますために、なるたけ御意見を出していただいて、それを参酌したいという念願を持つてあせつておりますが、そうたびたび続けてやるわけに参りませんので、一応今のところ全部の御意見は出ておりませんが、もう若干回やつた上で、何らかそこに公約数でも出してまとめていただければけつこうであるというように考えております。政府みずからは今のところ案を提出しようという考えはございません。  一応の経過はさようでございます。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 東畑次官にこの際伺いたいのでありますが、食糧対策協議会が設けられて、前後九回にわたつて審議なつた模様は、ただいま拝承いたしました。ただ、まだ何らの結論に達しておらないし、また政府政府案なるものを出しておらない、こういう御意向のようでありますが、最近の政府食糧政策をいろいろな角度から見て参りますと、国内における増産政策というものを非常に軽く取扱い出して来た。すなわち輸入小麦依存をして、戦争中あるいは戦争前、戦後にわたつて国内農民の多大の犠牲の上に確立さたつつある国内自給生産態勢をみずから崩壊させるような方針をとつておるように、私どもは見受けるのであります。これは昭和二十九年のデフレ政策予算のしわ寄せの農村に及ぼす影響と相まちまして、農村においては非常に事態を重視し、政府の今後の施策のあり方について心配をいたしておるのでありますが、その一つの現われといたしましては、五月二十五日、経団連総会という公式の会合において小笠原大蔵大臣は、米価政策について言明を行つている。すなわち従来の米の価格決定については生産者擁護の傾向が強い、従つて、本年度においては消費者立場を重視して、従来の生産者偏向米価政策を是正すると、はつきり大蔵大臣の資格において経団連に媚態を呈し、低賃金の基礎に本年産米麦価を引下げることを公式の席上において言明いたしております。これは政府食糧政策価格面から見た一つ方針であることは疑う余地もありません。また最近MSA小麦が横浜に第一便が着いた。続いて今後も五十万トンの小麦が陸続として輸入されるやさき、東畑次官吉田首相に随行して、来月早々にはさらに小麦大量輸入のために渡米をされるそうでありますが、このことは、ただいま私が述べましたいわゆる戦前戦争中、戦後を通じてようやく確立せんとした日本生産態勢を、まつたく無視する暴挙であるといわなければならないと思う。いかような面から考えてみましても、食糧政策に大きな転換期が来ておる。これを食糧対策協議会等でわずかに低調な審議をされて、当面をいかにも糊塗するがごとき態度をとつておりまするが、最近の当面した問題として、私この機会に伺つておきたい点は、以上のような大きな流れの上に近く決定されんとしておる米価審議会につきましては、会議秘密会として、従来の公開の原則をまつたく制肘し、さらに国会議員を排除せんとして失敗をし、学識経験者に名をかりて五名の中立委員増員して、いわゆる米価審議会運営政府の御用機関化するがごとき態度をとらんとしておるやに伝えられておりますが、わが国の食糧問題の中心をなすのはやはり生産態勢価格体系の問題に尽きるので、この価格体系決定づけるものは、従来米価審議会が主としてその任務を果して来ておつたことは御存じ通りでありますが、政府は何ゆえ米価審議会委員を五人増員をし、さらに審議会運営非公開にして秘密会にし、国民の面前において審議することを拒否しようとしておるのか、その理由を私はこの機会に承つておきたい。なお同時に麦価は七月一日に発表しなければならない建前に従来なつておるのに、いまだ米価審議会のメンバーもきめられておらないやに承つておるが、特に五名の米価審議会増員の割当、人選等については、どういう角度から行わんとしておるのであるか、また米価審議会はいつごろ開くのであるか、これと食糧対策協議会との、出た結論についてはどういうふうに調整をとらんとしておるのであるか、米価審議会答申食糧対策協議会答申が必ずしも一致するとは考えられないが、そうした場合に政府はいかなる態度でこれに臨む所存であるか、まず米価審議会について政府の所信をこの機会に承つておきたいのであります。
  8. 東畑四郎

    東畑説明員 米価審議会につきましては足鹿先生非常に御承知であります。五人増員いたしました根拠でございますが、これは政府でも発表をいたしたのでございます。いろいろ推測的な解説がございますけれども政府の公の考え方といたしましては、さらに広く各方面意見を聞く、こういうことにおきまして、たとえばもつと行政的にやつておる人、農業県地方長官あるいは消費県の地方長官——知事でございます、という方の御意見等も聞いて米価をきめる方がいいではないか等の考え、あるいは広く学識経験者全体をながめまして、金融方面の方、あるいは財政方面に明るい方もこれに加えていいではないか等で、現在の二十名ではそういう方の御参加を得ることができませんわけでありますので、五名増員をしたというふうな結論が出たわけであります。  米価審議会はまず麦価をきめなければならぬのでありますので、目下急いで実は人選中でありまして、各候補者の方の御了解を得るのに時間がかかつておりますが、少くとも六月早々には発令するようにしたい、こう思つてあせつておるのが現状でございます。議員の方の方はこれはもはやきまつておりますので、その他の方の御了解を得たいと折衝中でございます。  それから食糧対策協議会米価審議会の問題でございますが、食糧対策協議会の方は、米価審議会のような価格そのものについて、非常に技術的な御意見を聞こうとは思つておりませんし、またそういう御意見をお述べになりました場合には聞かざるを得ないのでございますが、われわれはそういうことは期待しておらないのでありまして、管理制度根本というような問題を主として出していただきまして、政府としての考え方に何らかいい御意見を聞きたい、価格そのものにつきましては、あくまでも米価審議会を尊重いたしまして、これは御諮問をしてきめていただくという方がいいではないか、食糧対策協議会米価審議会とは決して矛盾をするものでもなし、またそういう御意見現実実は出ておりませんので、この点は決して両者が矛盾をするということはないものである、こういうように過去八回の御意見を聞いた結果からも言える、こういう考えでございます。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど私が申し上げた中に、五月二十五日経団連定期総会における大蔵大臣発言は、一種の生産者に対する挑戦的言辞であると同時に、米価政策転換の、大蔵大臣としての正式発言であると私ども考えるが、農林省としては、大蔵省がかかる政策の大転換言明するに至る今日まで、拱手傍観してこれを見のがしておつたのかどうか。これは新聞報道でありまして、速記録を読んでおりませんが、あの発言中にはきわめて重視すべき要素を含んでおります。すでに本年の予算米価においては、昨年の実質米価に下ること二百円を越えておることは農林当局もよく御存じ通りであります。予算米価においてしかり、なおさらに大蔵大臣公開の席上において、大臣としての公式発言を行うのにあたり、従来の米価政策生産者米価に重きを置き過ぎた、これを本年は消費者中心に引下げるのである。いかにも従来の米価政策生産者偏重のきらいがあつたかのごとき言を用いておるのでありますが、従来の生産者米価が必ずしも生産者偏向どころか、むしろ軽視であつたということは、長くわれわれが叫んで参つたことは御存じ通りでありますが、この大蔵大臣言明については、機会を得て他日また究明することといたしまして、農林省はこの大蔵大臣発言に対してはどのような見解を持つておるのであるか、これを暗に肯定して今後進まんとしておるのであるか、従来の生産者米価が非常に生産者本位に傾き過ぎておつた、これを是正するのである、こういう方針で今後も進んで行くのであるか、これは御存じないならばいたし方ありますまいが、おそらく農林省としても、この発言については重大関心があるはずであろうと私は思います。この点について御所見があれば、この際承つておきたい。
  10. 東畑四郎

    東畑説明員 大蔵大臣のお話は直接私は聞きませんので、実は新聞を通して知つたのでございますが、われわれとして、農林省として反省すべき点は、生産者米価をどう高くしておる、そういうことでは実はないと思います。大蔵大臣あるいは大蔵省方面からの御非難の非常に大事な点は、義務供出量超過供出量を含めておのおのの価格をきめながら、結果としては義務供出量が非常に少い。超過供出が非常に多くなつて、結果として実質手取りが初め予定したより非常に多くなるのじやないかということで、農林省そのもの米価政策といいますか、集荷政策の不信であるという声が実は非常に強いのであります。それが非常に抽象的になりますと、非常に甘い米価をつくつたという形で表現をされますの米、米価そのものをきめました場合ので価は、決して農民のために有利になつておるとかいう御発言ではないと私は考えておるのでありまして、むしろそういう農林省の悪意は決してないのでありますから、努力はするのでありますが、結果として非常に違つて来る、それが財政負担を多からしめるし、赤字を出すということに対する痛烈な御非難がありまして、これが二回結果が出たのであります。そういうことがわれわれに対していろいろ御非難をされるゆえんであります。これはわれわれとしましても反省すべきことは非常に反省しなければならぬじやないかというように実は考えておりますが、その他の点になきましてはそうわれわれとしましても、足鹿先生と同じ意味において、農業を圧迫しあるいは農民を圧迫するような米価を好んでつけようというような考え方は、政府部内でも決してないというように実は確信いたしておる次第であります。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 時間がありませんから、ごく一通り問題点だけを私きようはお尋ねしておきたいと思いますが、この麦の増産政策について政府はいかような方針をもつて今後臨むつもりであるか、今度の東畑次官渡米も、首相のおともということは事実でありますが、アメリカだけにとどめてお帰りになるように聞いておる。従つて農林省最高幹部として特に渡米されるということは、おそらく経済援助で問題になつておるMSA小麦の問題、あるいはこれに関連する食糧輸入の問題について使命を帯びておられるようにわれわれ思うのでありますが、それでなくても外麦依存政策はすでに農村に大きく反映をし、昨年においては小麦大量減反がすでにもう始まつておる。従来戦争前、戦争中、戦後において必死の麦の増産政策を行い、農家にあらゆる犠牲を強要して、経営形態までも一変せしめて小麦の大増収の成果をあげた今日、この成果を一夜にしてくつがえすがごとき政策をみずからとろうとしてありますが、これは非常に重大な影響農家経済に及ぼすのみならず、ひいては日本農業問題全般に及ぼす大きなきつかけをつくるものであると私ども考え心配をいたしておるのでありますが、政府外麦依存政策を排して、国内産麦増産政策に邁進するという農林省としては基本政策を持つておるのかどうか。少くとも現状で推移して行くならば、麦の増産はおろか一大減産に逢着するであろうと思う。幸いにして昨年から本年にかけまして、麦の成育状態は、相当の障害があつたにもかかわらず豊作を伝えられておる。この機会外麦大量輸入されるということになりまするならば、麦の市況は著しく悪化することは必至といわなければなりません。しかも政府が今回定めようとしておる昭和二十九年産麦政府買上げ価格につきましては、加算額を廃止するとかあるいは修正パリテイ方式に基くとか、いろいろ巷間伝えられておることはあなたも御存じ通りであろと思いますが、この国内産麦外麦による圧迫、また一般市況の悪化、あるいは政府買上げ価格によつてさらに市況を左右する重大ななる買入れ価格決定について麦の増産政策については、外も、昨年の方式を著しく歪曲して行こうという方式を現在準備しておると伝えられておりますが、この点について麦の大量輸入にもかかわらずいかようにして国内産麦増産政策を堅持する所存であるか、その一環として昭和二十九年産麦の買入れ方式について、基本的構想はどういうふうに持つておるか、この点についてこの際所信を明らかにしていただきたい。
  12. 東畑四郎

    東畑説明員 外麦輸入はMSAに関連しまして前谷長官からもたびたび御説明をいたしておると思いますが、農林省といたしましては、実は特に重要な問題でございますので、慎重に需給の推移というものは検討いたしております。外麦を入れましたがゆえに日本農民の圧迫になるというような形の輸入というようなものは、これは絶対にいたさないつもりでございます。あくまで需給というものを精密に検討いたしまして、その数量を輸入するという計画輸入というものを期待しておるのでありまして、今後といえどもこの方針にはかわりはございません。  価格につきましては、昨年の価格につきまして足鹿先生にずいぶんおしかりをこうむつたのでありますが、今年も米価審議会を控えまして、政府といいますか、農林省としては実はいろいろ案を練つておるのであります。まだここで申し上げる段階には至つておりませんし、これはいつも米価審議会の席で申し上げるということが例になつておりますが、考え方としましては、従来の生産を増強する法律上のパリテイの基準として生産事情を参酌して定める、再生産確保を目的として定める、こういう方式を決してかえていないのでありまして、その方をどうするかという問題に議論を集中して実はやつておる次第であります。まだここでどうするかということにつきましては申し上げる時期ではありませんが、ただ法律生産事情を参酌するという条文がありますので、もちろんそういう状況を十分織り込んで買上げ価格をきめるべきだという従来の考え方をちつともかえておりません。ただ国際価格というものが非常に下つてつておりまして、現実輸入補給金がいらないどころか、実は今度は小麦を入れることによつて相当益が出るのです。これはやはり食管制度で遮断をいたしまして、麦の改訂案を出しましたときに一応私から御説明しましたように、国際価格というものが下つて参りました場合は、麦の価格というものは国内を基準にしてきめて参る。ただだんだん生産費等を下げて行くという努力はいたさなければならぬと思いますが、国際価格というものは非常に間接の間接的には反映すると思いますけれども、直接それを反映させることは日本農業への圧迫になりますので、あくまでもこれは輸入機関によつてこれをきめるという従来の考え方は、今日といえども決してかわつておりませんので、その点は御了承を願いたい、このように考えております。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 具体的な問題をこの際ひとつ伺いたい。十日ばかり前に日本に到着いたしましたMSA小麦の問題でありますが、これは他の委員特に中澤委員等も御研究にたつておるようでありますから、深くは同委員に譲りまして、CIFで幾らにつきましたか。MSA法案がかかつておりました外務委員会で、私どもは連合審査の際に、相当外務省の経済局あたりに追究したのでありますが、至つてその価格が明瞭でない。国際小麦協定価格に準ずる、こういうことを言いまして、一向これが明らかになつておりません。国際小麦協定価格は、御存じのように一ドル五十セントから二ドル五セント内外を上下し、相当幅があります。それに運賃は一体どういうふうになりますか。第一便がすでに到着しておりますので、CIF計算によつて幾らについておるかということだけを私はこの際明らかにしてもらいたい。同時にこれに関連をしてあのMSA小麦の第一便のCIF価格と同時期における商業取引の価格、国際小麦協定による価格、この三つの価格資料として早急に御呈示願いたい。
  14. 東畑四郎

    東畑説明員 具体的の問題でありますので、これは資料としてお出しをいたします。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 そのMSAの分はCIFで幾らにつきますか。これはもう計算はついているでしよう。輸入の形式は、これは政府が直接入れますか、あるいは商社をして代行輸入をしておるのでありますか、そういつた点について、もう少し具体的な輸入の形式、価格等についてもおわかりになるところでもきよう承りたい。
  16. 東畑四郎

    東畑説明員 外国船によります場合と国内船によります場合と、いつもドルをかえておりますので、七ドル程度の較差がございます。それともう一つは、ソフト小麦とハード小麦によつて相当の開きが出て参ります。それで、平均して申し上げますと、誤解を招きますが、CIF八十ドル、これは国内船を使う場合であります。それからFOB、これは外国船つまりアメリカの船でやります場合は八十七ドルということでありまして、ここに七ドルの開きがあります。しかしこれは平均の場合でありますので、これをもう少し厳密にやりますと、小麦の品質によつて違いますので、そこらを現実問題として幾らかということは、計算をして申し上げたいと思います。
  17. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して……。これはすでにごらんになつたと思うのですが、外務委員会との連合でやつたときに、この問題を追究したわけです。実際問題として八十七ドルという問題はCアンドFで行つた場合に日本船を使つた場合との価格差をどのようにして打出して行くかという努力があつたわけです。少くともそういう問題は必ず起つて来るとその当時言つたわけですけれども、その問題に対して価格差が日本の方にプラスになつて行くような操作が出て来なければならない、こういうふうに思うわけです。それに対してどういうふうに手を打つて解決して行くのか。
  18. 東畑四郎

    東畑説明員 外船と内船の場合は円の積立ての場合に差が出て参りまして、ドルで参ります場合はCアンドF、ドル価格で積み立てる、日本船で行きます場合はFOB価格で積み立てる、食糧庁が買います場合はそれとは関係なしで、現実の商売でございますから、商売で買う値段というものは一船一船やはり違つて来るのではないか、こういうふうに思います。これに従来の通常の取引の形で商売をするということでございますので、MSA小麦といえども、普通の小麦といえども別段区別をいたしておりません。そういうように御了承願いたいと思います。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 他の委員からも限られた時間内で御発言があろうと思いますので、私ばかり申し上げて恐縮でありますが、いま一言だけ申し上げます。今年の麦に対する方針で、大体の大きい問題を一つつておきたい。買上げ数量については、昨年通り無制限買上げ方式を堅持するのかどうか、外麦が相当数量、しかも急速に入つて来、その量もさらに拡大される状況にある中にあつて、全国の農民の関心の中心は、無制限で政府が買うのか買わぬのかというところにあろうと思います。こまかいことはよろしいから、この点について明確な方針をこの際お聞かせ願いたい。同時に、この前私が本委員会におきまして要求をいたしております昭和二十八年産麦生産資料は、すでに御準備できておると思います。政府は非常に心配しておられるようでおりますが、パリテイは上昇しておりますし、生産費は政府生産方式で行きますならば、政府の御心配になるようなことではなかろうと思う。この際米価審議会までこれを留保されるよりも、むしろこの前次官も御了解になつたのでありますから、今回再びこれを資料として御提示を願いたい、なおこの第五回の農業観測、昭和二十九年度上半期統計篇をあわせて御提示願いたいと思います。その点いかがでしよう。
  20. 東畑四郎

    東畑説明員 無制限買入れ方式はかえません。それから生産費の問題は、この前政務次官の御答弁に即しまして、われわれ事務当局は資料を提供いたしますが、平均であるとかいろいろなことを言いますといろいろ誤解を招きますので、素材で出すことに御了承願いたいと思います。
  21. 井出一太郎

    井出委員長 中澤茂一君。
  22. 中澤茂一

    ○中澤委員 実はMSAの第一船の大久丸が、七千トンですか積んで横浜へ十日ほど前に入りました。ところがこの小麦の品質が非常に粗悪である、こういう情報が入つて来て、この第一船の荷揚げ中に実は行つて見て参りました。日清製粉の波止場へ揚げておるのですが、日清製粉の方々はかわらない、こう言つておるのです。それから現場で吸上げをやつておるところを見たんですが、船員などをつかまえて聞いてみると、大久丸は小麦をしよつちゆう積んでおるようですが、あれに聞いてみるとMSAだから悪いのはしかたがないのだ、非常に夾雑物が多い、それから横浜の所長さんを呼んで来てもらいました。検査を厳重にやつてくれということを頼んだわけです。あれは向うのナンバー・ツーが来ておる、われわれが見たところでも非常に悪いように思うのです。夾雑物が多い、しかもからが非常にまじつておる、これは真空で吸い上げて、ハツチの半分以下になつておるのでありますから、下へは重いやつが沈んでいるのです。ところがハツチをあけたときのものは、その夾雑物が軽いから上へ出るでしようが、大久丸の船員に聞いてみると、常に積んで来るものよりはずつと夾雑物が多いというのです。価格の問題は資料要求をしたようですが、船が入つて来てあそこで積み込んですぐ発送すると言つておるから、まだ価格がわからないということはおかしい。これは至急にあの価格の提示と、いま一つは横浜の所長に言つておきましたから、あの検査がナンバー・ツーの規格に欠けておるか欠けてないか、それは十日ほど前ですからもうでき上つておると思うのです。ですから、それを至急農林委員会に、あしたでも提示願いたい。それだけ要求しておきます。時間がありませんしほかの質問者もたくさんありますから、資料だけ要求しておきます。
  23. 井出一太郎

    井出委員長 井手以誠君。
  24. 井手以誠

    ○井手委員 簡単に東畑次官にお尋ねします。先刻足鹿委員の質問に対して、MSA小麦は平均八十七ドルとお答えになつたようでありますが、従来は小麦協定価格と同じだ、準じてやるという言明が繰返し各委員会で行われておりましたが、そうしますと従来の言明は間違いであつた、うそであつたということになりますね。
  25. 東畑四郎

    東畑説明員 ちよつと私の発言で誤解を招いたと思いますが、小麦協定価格と違わないのでありますが、ものによつて非常に差が出て参ります。外船の場合と内船の場合とのドルの違いを言つておりますので、誤解を招くとまずいのでありますが、あしたすつかり資料提出いたしましてお話申し上げた方がいいと思います。私が八十七ドルと申し上げましたのは、米国船のMSAのものでそういうものがあるということを申し上げたのであります。まだプランであります。小麦協定で来るものと実質的に違いはないと思います。ただ日本船で来る場合は非常に違つて来る、こういうように御了解を願いたいと思います。
  26. 井手以誠

    ○井手委員 その点さらにお尋ねしたいと思いますが、資料提出するということでありますので、資料を拝見した上であらためてお尋ねしたいと思います。  次に米食率のことについてお尋ねをいたします。従来二十八年産米の作況にかんがみまして、米食率はかわらないかということを繰返し繰返し当委員会においても質疑をいたしましたところ、政府は米食率は絶対にかえない、こういう御答弁をなされましたし、他の機会においてもしばしばさような言明があつたのであります。と申します、消費県においては本年の春ごろの内地米七日、準内地米二日、外米六日というこの量がかわらないものであるという建前で了承と申しますか、承つてつたのであります。ところが最近になりますと、消費県においては内地米六日、準内地米三日、外米六日というふうに内地米が減つて参りまして、確かにこの点においては米食率は内容がかわつておる、かようにに考えておりますし、消費地はいろいろな問題が、紛議が起きておつたのであります。また生産県においては、絶対に外米は配給しないから供出してもらいたいという督励をいたされておることも私は聞いております。特に当局は外米を配給しないという公約のもとに供出を督励されておる、これは間違いないところであります。ところがその生産県に対しても最近外米がどんどん天くだり的に配給されておる。これらを考えますと、米食率はかえないという当局の約束は、明らかに履行されておらない。破約されておる。公約が無視されておるということが言えるのであります。もちろんこの点について、外米も米である。吉田内閣のお得意の弁である軍備論から言えば、三百代言的な言葉から申せば、外米も米であると逃げられるかもしれないけれども、これはもう常識の問題であります。米の供出配給については、そういう三百代言的な言葉は許されないのでありまして、この際間違いであつたら間違いであつた、不明であつたら不明であつたと、その点を明らかにしてもらいたいと思うのであります。米食率はかわつておる、内容はかわつておることは明らかでございますので、その数字の上に立つて御答弁をいただきたいと思う次第であります。これは消費県においても生産県においても重要な問題でございますので、ひとつ東畑次官からはつきりした御答弁を願いたいと存じます。
  27. 東畑四郎

    東畑説明員 米食率の問題につきまして、従来政府が相当御非難をこうむつておりました点は、米は非常な不足物資であるにかかわらず、米の食い量が非常に県によつて違う。これはなるたけ均衡化すべきではないか、こういう実は御意見が強かつたと記憶しておりますが、遺憾ながら操作その他のこと等で、なかなかこれを実行することができませず、現実のような二十日と十五日というような形で参つておるのであります。二十日地区あるいは十八日地区等におきましては、どうしても内地米のみを配給する。都会におきましては、内地米が九日程度というので、まあ安定をした形で来ておるのであります。われわれといたしましては、これをしいて変更しようという気持は実はなかつたのであります。むしろそういうことで一番保守的であつたの農林省ではないかと思います。食糧庁がその最保守的なものであるというように考えておるのでありますが、遺憾ながら米の集荷が、昨年の異常な天候のために悪くて、六月以後東京都へは六日より内地米が配れない。精麦等をまぜるといたしましても、まぜるべき内地米自身が足らぬのではないかというので、精麦等もなかなか配れなかつたという実態に照しますと、はなはだ遺憾でございますが、一月に六日の米の配給であつては、配給というのはおかしいじやないかというような飛躍した議論が実は出て参りまして、農林事務当局といたしましてもいろいろなことで供出をお願いしておるにもかかわらず、やむなく一日だけ都会の配給をふやしたいという念願のもとに、先のことは別でありますが、本米穀年度は、ひとつがまんをしていただきたいというので、実は経済部長さん等を呼んで懇談をしたのであります。全部に実は御反対があつたのでございますけれども、六日の内地米というのはあまりにも実は少いということで、われわれ責任をもつて押しつけたような結果であります。苦しい事情を御了承を願いまして、米食率について切つた、切らぬという私は三百代言みたいなことは申しませんが、そういう事情でありますので、御了承を願いたいと思います。
  28. 井手以誠

    ○井手委員 私は東畑次官はきわめて良心的な優秀な次官だと聞いております。ところが今聞いてみますと、配給の不均衡是正のために生産県にはごしんぼう願つておる、こういう御答弁がありましたが、消費県も内地米配給が減つておる。生産県にも内地米を減らして外米を入れておる。どこにそれでは余つた米をおやりになつておるのか。私が聞いておりますのは、何回となく繰返し言明された、米食率はかえない、内容においてもかえないという言明が、今日において明らかに誤つていた、生産県に対しても約束をほごにした、消費県に対しましても公約を無視して内地米配給日数を減らした、これは明らかにわれわれが何回も念を押したにもかかわらず、ああいう言明をされた当局の不明のいたすところではないかという気持を私は持つておりますので、この際重要問題になつております米食率について、あつさりした当局の所信と申しますか、おわびと申しますか、そういうことをお願いしたいと申し上げておる次第でございます。不均衡是正では私は決して納得いたしません。もし不均衡是正というならば、内地米消費県にも減り、生産県にも減るという理由は成り立たないのであります。これは供出の関係もありましようけれども、あつさりひとつ申してください。生産県に対しても消費県に対しても不明であつたということをはつきり申していただきたいと同時に、今後は絶対減らさないとかこうするとかいう、信用のできる——もちろん今の吉田内閣に大した信用はおけません、期待は持てませんけれども、やはり私は農林省当局としての責任であると考えますので、ひとつはつきりおつしやつていただきたい。
  29. 東畑四郎

    東畑説明員 三百代言だというおしかりを覚悟しましてこちらは申し上げるのでありますが、米食率を維持すると言つておる米食率は、これは率直に申しまして実は外米も含んでおるのであります。米食率を維持するという場合は、もちろんこれは外米を含めた米食率を言つておるのでありますが、ただ生産県にまで外米を配らなければならぬということをそのとき考えて申しておらなかつた不明は、これは重々おわびいたします。
  30. 井手以誠

    ○井手委員 私はもうそうとことんまでは追究いたしません。農林省当局あるいは食糧庁当局は、衷心忸怩たるものがあろうと私は考えております。それで私は今後供出の督励ができようとは考えません。当局に食糧配給についての信用が落ちたことは非常に残念に存じております。おつしやる通り米食率は外米を含んだものであるという答弁があることを私は予想しておりました。今の吉田内閣はよくそんなことをおつしやいます。しかし先刻も申しました通り、その内容において内地米が何日、準内地米が幾ら、外米が幾らというその米食率をかえないというのが常識であろうと私は存じております。総体において外米を含んで十五日を確保するからかえないということは、これは何人も了解しがたいところでございます。ひとつその点はおそらく今後の供出問題やその他の問題で各地から問題が起ろうかと存じますので、悪かつたものは悪かつたと率直にあやまつて、佐藤法制局長官がよく言うああいう三百代言的な言葉でなくて、やはりあつさり申された方が、かえつて農民は、消費者は納得すると思います。それで私はこれでとどめますけれども、あとでよく今後の配給の見通しについての資料を出していただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を打切ります。
  31. 中村時雄

    中村(時)委員 今の問題に関連して一言。先ほど足鹿委員から話をしておりました米価審議会食糧対策協議会の問題についてでありますが、要するに屋上屋を重ねたこういうふうな形態がたくさん出て来ておる。にもかかわらずお話を聞いておりますと、大体同じような方針が打出されておるきらいが見えるわけであります。そうしますと、ここに屋上屋を重ねながらなおかつ五名のメンバーをふやして行つたという内容、これは多くの人に意見を聞きたいからだ、こういうふうにもしあなたがおつしやるならば、こういうことは秘密なものにせずに、あらゆる識者から意見を聞くような方針でなぜこれを公開にしないのか、こういう疑問が当然起つて来る。この件に関して五名を増加した理由と、もう一つはもしこの五名が多くの人に聞きたいためだとお答えになるならば、なぜこれを秘密なものにせずに公開にしなかつたか、この一点をまず最初にお尋ねいたしたい。
  32. 東畑四郎

    東畑説明員 米価審議会食糧対策協議会の関係は、実は先ほど足鹿さんに申し上げました通りでございますけれども、さらに敷衍いたしますと、米価審議会は、これは制度でありまして、恒久的な制度としてこれを考えております。ところが食糧対策協議会は法制的根拠はございませんで、そのときの政府諮問のために置いたものでございます。だから恒久的な性格ではなしに、ある目的を達すればそれでしまいである、こういうものと考えておりますので、米価審議会の五名を増すことは食糧対策協議会と何ら関係はございません。委員の数でたまたま同じ人が相当ありますことはこれは事実であります。  それから公開非公開の問題は実は何ら決定はしておりません。私といたしましては、従来通りの形でいいではないかというように考えている次第でございます。
  33. 中村時雄

    中村(時)委員 次にもう一つCIFとFOBの関連性でありますが、この問題は、前のMSAの何条ですかで五十万トン入れることになつている。その半分がCIFで半分がFOBになつていると記憶している。最近勉強をしないからはつきりしませんが、そういう記憶を持つておる。そういたしますとそれがたとい大蔵省に積み立てて、円貨について云々されるにいたしましても、少くともその中の価格差というものは、どちらにいたしましても当然起つて来る。価格差というものはたとえば米船にやるのでなくて、日本船なりあるいはFOBにするなりの努力が当然ここに必要であろうと思う。なぜなれば数量にいたしまして五十万トンの半分がそうなつている。そこに大きな価格差が出て来るわけです。その点に関して何らかの処置を講じなければならぬと思うのですが、それに対して次官はどういうお考えを持つておられますか。
  34. 東畑四郎

    東畑説明員 MSA問題につきましては、もうすでに協定できまつておりますので、外国船によりますもの、日本船あるいは第三国船によりますものの振合いは、あなたが申しましたように五分五分にきまつておりますから、これをかえるわけには行きませんが、それにしましてもMSAで買いますものを、日本の外貨予算をきめまして入れるという方式をとりましたゆえんのものは、なるたけこれを日本に有利に、かつ品質のいいものを入れたい。通常の商売上の貿易と同じ形で入れたいという念願で、そういう複雑な形式をとつたのでございます。その点につきましては御注意の次第もあり、十分努力もいたしたいと思つております。今後の問題につきましては、来年の問題は何らきまつておりませんが、今年度の経過等を十分参酌して、少くとも不利にならないようなことは当然やらなければならないと考えております。
  35. 中村時雄

    中村(時)委員 少くともMSAを協定する場合に、カナダの小麦価格からいつて小麦協定の問題よりもまだ下まわつている状態になつた。そういうことがわかつておりながら、少くともアメリカの輸送船の保護というか、そういう線で打出されるであろうという推察はその当時からいつていたわけです。だから協定の際にこういうことに関する努力はあなた方は払われたのかどうか。
  36. 東畑四郎

    東畑説明員 農林省としましても——これはなかなか複雑な問題ですが、率直に言いますと、ドルで入れた場合は積立ての円が多くなります。その円を有利に使う産業方面はドルで積立て多くなつた方が円の資金量がふえるという問題があります。食糧庁といたしますると、これは同じことであり、むしろ円でやる方が無理かもしれません。そこで政府部内で積立てた資金を何らか形で経済力増強に使うという立場のものは、これはなるたけドルの価格か多い方が円の積立てが多くなるということであります。麦価そのものを決定する食糧庁としては、また別の意見で複雑な問題でありますが、船の保護とかそういう問題になりますと、また別の産業政策になつて来ますので、私の所管ではございません。しかしそこら辺のことを判断の上、五分五分にきめたものと、こういうように推定するのであります。今後はどうするかと言えば、各方面の御意見を聞いて慎重に考えたい、実はこういうように考えております。
  37. 中村時雄

    中村(時)委員 いろいろお聞きしたいのですけれども、時間がありませんから……。今のではつきり打出されたように、この問題は非常に不合理性がある。価格差について非常に問題が出て来る。どういう理由か知りませんが、今度あなたはアメリカヘお行きになるそうですが、この点に関してはそういう面からよく御相談を願つて、一歩でも有利な線を打出されることを希望しておきます。  それから今度は国内問題について一、二お聞きしておたい。先ほど次官は、生産県が二十日の米食率、消費県において十五日とおつしやつたが、これは前からの既定方針なのです。ところがこの前の委員会食糧問題を取上げたときに、どこにその原因があるのでありますか、だんだん米食率が悪くなつて行く、品質が悪くなるということは、外米を食わされるということです。もうおそらく今では十日を切れて六日か、七日くらいになつておりはしないかと思う。そこまで追い込んで来ていながら、外へ出てみるとやみ米がたくさんある。料理屋へ行くとみなやみ米を食つている。皆さんもそれを食つている。そういう調子になると、そこに配給なりあるいは集荷なりの欠点が出て来たわけです。そこでその集荷なり配給の欠点に対して、たとえば集荷においては二千百万石と踏んでおる。非常に不作であつた、こう称したのかもしれませんけれども供出量を二千百万石と踏まれておる。資料と違うかもしれませんが、私はそう記憶しておる。ところが実際の集荷の面において、昨年の十一月ないし十二月ごろまでには大体一千万石くらいの目標を達するだろうと思つたが、それを達しなかつた。そういうような大きな欠陥が出て来る。どこにその欠陥があるか。一番の問題は集荷配給が不十分だ、そのために実際の割当の問題が数量的に間違つて来ている。部長もそこにいらつしやるからよく考えてもらいたい。その結果今度配給率を十五日からとたんにあるいは七日、あるいは六日に切り下げて来ておる。ところが片一方では強権を発動してまで集荷をしておる。あなた方がそういう見通しを立てて消費者に安心をせいといつて打出しておりながら、責任が果されぬ場合には何の罪にもならぬということは、あなた方自身の良識の問題なのです。そういうことに関してあなた方はどういうふうな責任をとり、今後においてそれをどういうふうに正しい打出しをし、そうして消費者並びにそれらに関連するものをどういうふうに安定をさして行くかということが打出されなければならない。それに関してどういうふうなお考えを持つていらつしやるか。
  38. 東畑四郎

    東畑説明員 食糧管理制度が相当ゆるんで参りまして、制度の持つておりまする本来の目的から大分逸脱いたしまして、これがやみ価格が横行するという現実につきましては、政府としても率直に認めます。しかるがゆえにいろいろ食糧管理制度根本的な再検討の問題がいろいろな立場から論議されまして、政府としましてもこうしたらよいという案が、実は率直に言つて出て来ないのであります。非常に長期の見方をする人、短期な見方をする人がございますが、食糧問題は両方がうまく行かぬという問題でありますので、なかなか結論がつけにくいのであります。食糧対策協議会ができて、先ほど申し上げましたように御意見があつたのでありますが、どうしたらいいかということを政府に一本として答申される段階にまだ至つていない、こういうのであります。二十九年産米を控えまして、われわれはそれまでに少くとももう少し明朗な何らかの案をつくりたいと努力はしておるのでありますが、遺憾ながらそこの段階に至つておりません。しかし二十九年産米から何らか改善しなければならぬということは、私はどうしてもやらなくてはいかぬ問題じやないか、こういうように考えております。
  39. 川俣清音

    ○川俣委員 まず東畑次官に一点だけお伺いしておきます。  あなたは近くアメリカへ行かれるそうですが、行かれる前にあなたの政策というか、それをお伺いしたい。この間MSA協定でいただいた小麦、しかも食糧庁であなたが関係されて入札させた大きい会社に日綿というのがある、これが買い入れた小麦が大体二等麦で、一六%の異種物または夾雑物、こわれた麦等が入つておる、一六%というのは二等麦の基準だということですが、入札される場合にどういうわけで二等麦以上というような入札のされ方をしたのですか。これは内地の麦価をきめる上から言えば大きな異なつた入札の仕方です。どうしてこういう入札の方法をとらなければならなかつたか伺いたい。
  40. 東畑四郎

    東畑説明員 二等麦以上という形で入札したかどうかということにつきまして了知いたしておりませんので、お答えを申し上げるわけに行かないのでありますが、要するにMSAで入りますにしましても外貨予算を組み、普通の取引という形でこれを入れたいという強い念願でああいう契約ができております。異なつた入札をしたかどうか、別段よく了知いたしておりませんので、よく調べました上で関係官から御説明いたしたいと思います。
  41. 川俣清音

    ○川俣委員 あなたは知らないと言つて逃げるのではないですか。ほんとうに知らないわけはない。これは価格幾らで入れるかという大きな基本です。あなたが予算上に関係のない方なら別です。二等麦が一番割高なものなんですよ。そういう一番割高なものをあえて入札されたということに問題があるのです。なぜかというと、二等麦の精麦度と製粉度と一等麦の製粉度というのは非常に大きな開きがある。製粉会社に聞いてごらんなさい。二等麦の製粉の歩どまりは非常に悪いのです。悪いものもいいものも一緒に入札しなければならないというのは一体どういうわけなんですか。一等幾ら二等幾らという入札をしたらいい。トン数だけをきめて、二等以上であればいいということになるから、一番安い割のいい二等麦を買つて来る。これを製粉にまわしてみると、一番割の悪い麦を買い入れて来るということになるのではないですか。歩どまりの悪いものをわざわざなぜ買わねばならないのですか。歩どまりのいい一等麦と二等麦の開きがわずかしかないのですから、一等麦の方がどれだけいいかわかりません。高い船賃をかけて、砂やあるいは夾雑物が入つておるのに運賃をかけて買つて来る人がどこにありますか。高い運賃を払うのに砂の運賃を払わなければならないようなばかなことはないじやないですか。夾雑物をなぜ買つて来なければならないのか。日本のような食糧の足らないところへ持つて来るときは、いいものを買つて来て、できるだけ船賃にそういうむだな経費をかけないことが望ましいことではないか。これはだれでもわかることなんです。長い間食糧庁長官をやつておられたのだから、そのくらいのことはすでにおわかりになつていなければならないはずです。日本の米でも麦でも、一等と二等との間はなぜあんなに開きをつけるかというと、歩どまりが悪いからだといつて、あなたは特に大きな開きをつけて今までおやりになつておられたではないですか。精白度が悪いからということで——一等米、二等米と三等米、四等米とで精白度が非常に違うということで、歩どまりが悪いということであれだけの開きをつけておられる。数字は別ですけれども、あなたはかつてわけておられたの、だから、その点は十分おわかりになつておられるはずです。それなのに歩どまりの一番悪い夾雑物の多い、一六%も夾雑物の加わつておるようなものをなぜ買わねばならないのですか、この点お答えを願いたい。
  42. 東畑四郎

    東畑説明員 よく取調べましてお答えいたしたいと思いますが、実態はあなたの御意見通りだと思います。それを実際どういうように買つておるかということについては、私実は了知いたしませんので、訂正すべき点があれば訂正いたしたいと思います。第一船につきましては調べまして御報告いたします。
  43. 川俣清音

    ○川俣委員 知らないなんて、あなたは食糧庁長官をやらなかつたら別です。こんなことはひつこいと思うのですが、大体今までコンマーシャルのときは一等麦を買つて来ているのです。今度だけそうなんです。今後もそうらい。日綿のだれかに聞くと、食糧庁一の方針であり、政府方針のようです、と言う。これがうその説明だとすれば、今後この商社の取消しをいたしますかどうか。この点もう一ぺん伺いたい。
  44. 東畑四郎

    東畑説明員 先ほど申し上げました通りに、よく実情を調べましてお答えをいたしたいと思いますが、政府として特に悪い麦を、MSAであるがゆえに買うということになつておりません。わざわざ外貨を組んで、普通貿易のような形で入れるということに努力したのであります。その点は食糧庁は非常に努力をして、MSAであるために悪い米や悪い麦を買わぬようにいたしたのでありまして、そういうことはないように思つております。第一船の入札等がどういうことになつておりましたか、知りませんので、この点は調べました上でお答えいたします。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 これは一船も二船を全部同じです。今度の分は二等麦以上という入札の仕方だそうです。これはたまたま一船に二等麦が入つて来たのと違うのです。あなたのところの入札の方針が二等麦以上ということだそうです。だから一等麦を持つて来てもいいし、二等麦を持つて来てもいい。これが入札の方針です。最高方針です。次官は知らないと言われてもこれは基本の方針です。一般だからたまたま悪いものが入つて来たという問題じやない。一六%というのはアメリカの国定基準です。それ以上入つているかいないか別問題です。日本で一等と二等の開きが一六%の夾雑物のあるものということになるとたいへんな開きです。四等米と五等米の開きをごらんになつてください、ごくわずかのことでも価格があれだけ相違している。アメリカでは一等麦と二等麦は幸いにあまり開きがないらしいが、そうならばそうなるほど歩どまりのいい一等麦を入れるということで行かなければならないと思う。あなたは今度アメリカへ行つたら、一等麦と二等麦を見てごらんなさい。どつちがいいかということを少しくらい見て来なければならぬ。ただ漠然と行くならば旅費を損するだけです。その意味で申し上げるのです。よろしゆうございます。
  46. 井出一太郎

    井出委員長 食糧問題に関する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  47. 井出一太郎

    井出委員長 この際お諮りいたします。ただいまの食糧管理制度等の問題についてはきわめて重要でありますので、従前からの申合せの通り会期終了の後もなお継続して調査検討を加えることを目途に、本委員会に小委員十四名よりなる小委員会を設けることにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  なお小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、追つて公報をもつて指名いたします。     —————————————
  50. 井出一太郎

    井出委員長 なおこの際小委員の補欠選任についてお諮りいたします。目下林業に関する小委員三名、蚕糸に関する小委員六名、それぞれ欠員となつておりますが、その補欠を委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、林業に関する小委員に       福田 喜東君    川俣 清音君       中村 時雄君を、また蚕糸に関する小委員に       福田 喜東君    金子與重郎君       井谷 正吉君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安東  覺君を指名いたします。  なお、林業小委員長も欠員でありますが、これは従前通り川俣清音君を指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  53. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。  引続き日本中央競馬会法案を議題といたし、審議を進めます。本案に対する質疑はございませんか。——別に質疑もないようでありまするから、これにて質疑は終局いたしました。  ただいま本案に対し中村時雄君、吉川久衛君よりそれぞれ修正案の提出がありました。これより逐次提案趣旨の説明を願います。中村時雄君。
  54. 中村時雄

    中村(時)委員 この修正案の一応の問題は、文書をもつてお手元に配付してあるものをごらんになつていただきたいと思います。それで修正趣旨の弁明に対しまして一言申して皆さんの御賛意を得たいと思う次第であります。日本中央競馬会法案の修正案につきまして、修正案の提案者を代表いたしましてその趣旨を弁明いたします。  この修正案においては、主要修正点は数点ございますが、その第一は原案第十三条の役員の欠格条項に関する規定の修正であります。すなわち国務大臣国会議員政府職員または地方公共団体の議会の議員の一に該当する者は、日本中央競馬会の役員となることができ、ないという規定でありますが、これらの公の権力に関係する地位にある者の影響力をできるだけ排除するという考え方に立つて、同条第五号との関係をも考慮いたしまして、その地位を去つて後一年間は競馬会の役員となることができないように修正したのであります。しかしながら競馬会の設立当初は、現在の国営競馬の事務に従事する政府職員が相当数、競馬会の事務に従事しなければ競馬の施行になれた者がいなく、その実施の困難も感じられますので附則第九項において第十三条の特例を定め、そのような事態の起らぬように配慮してございます。また第十三条の欠格事由の一つとして、競馬会が行う競馬に関係する馬主を追加いたしました。これは、旧競馬法下の日本競馬会の時代における慣例にも徴しまして、競馬の公正確保の見地から特に同条第六号としてこの規定を置いたのであります。  修正の第二点は、競馬会の運営審議会委員は、第十八条第二項に掲げる者のうちから、農林大臣が任命することになつておりますが、同項中第三号として競馬会が行う競馬に関係する調教師及び騎手を、代表する者を追加して、これらの代表者も運営審議会委員に任命されるように修正したのであります。これは、調教師及び騎手と競馬会の運営とは全く密接な関係があるところより、より公正にして明朗な競馬を行うため、これらの代表者を運営審議会委員に任命することは意義が深いと考えたからであります。  修正の第三点は、競馬会の行うことができる任意的業務として、第二十条第二項第三号に「その他競馬の健全な発展を図るため必要な業務」と規定されておりますが、この競馬には馬術競技を包含するものであることを明記したのであります。元来競馬と馬術競技とは沿革的に申しましても、またその技術面におきます関係からいたしましても深い関係があり、競馬の健全な発展をはかることは、当然一般馬術の発展と並行して行われるべきものであるという考えよりいたしまして、このように修正したのであります。  修正の第四点といたしましては、第二十七条第一項に規定する国庫納付金の割合につきまして、原案の百分の十を百分の十一に修正いたしました。これは、従来の競馬の成績に徴しましても、また競馬会が行う経営は、国営よりも合理化され、事業の発展も期待できるという考え方からいたしましても、国庫納付金の割合を百分の十一に引上げる方がよいのではないかと考えたものであります。しかしながら、発足当初におきましては、種々経費のかかる面もあり、また老朽化した施設のうち応急的に改善補修を必要とするものがある等の点を認めまして一この法律施行後一年以内に開催される競馬に対しましては、国庫納付金の割合を百分の十・五とする特例を修正案附則第十項に規定いたしました。  修正の第五点といたしましては、競馬会からの国庫納付金につきまして、その使途を限定する規定を新たに設けたのであります。この点に関しましては、原案の第一条に法律の趣旨として、「競馬の健全な発展を図つて」「畜産の振興に寄与する」ことをうたつておるにもかかわらず、その内容として畜産業の振興に関しましては何ら規定されておらないのみならず、原案の附則第十項におきましては、かえつて競馬法第十一条の二の競馬の収入を畜産業振興に充当すべき規定を削除しておるのでありますが、これに対しましては、本委員会審議におきまして、多くの委員各位から種々の批判があつたのであります。すなわち、原案は、競馬施行の目的をあいまいにするのみでなく、むしろ制度の改悪であり、現段階における競馬の存在意義は、主としてその収益を特定の公益目的に充てる点に存するという論議もなされたのであります。本修正案は、これら審議の経過にかんがみまして、第七条の規定による国庫納付金は、これを全額畜産業の振興及び民間社会福祉事業のために必要な経費に充てるものとしたのであります。ただ従来畜産業の振興経費と申しましても、その費目につきましてはなはだ漠とした解釈が行われておるようでありますので、この本修正案におきましては、有畜農家創設特別措置法及び馬の伝染性貧血症の試験研究経費を特に規定いたしまして、使途を明らかにするとともに、民間の社会福祉事業の振興のための経費に充てる金額は、民間の社会福祉事業実施の性格にかんがみて、国庫納付金の額のおおむね四分の一に相当する金額とすると明確に規定しております。その民間社会福祉事業の振興のため必要な経費とは、社会福祉事業法による共同募金会等社会福祉法人に対する助成、社会福祉事法振興会法による社会福祉事業振興会に対する政府の出資あるいは生活保護法、児童福祉法の規定による民間施設に対する国の補助等をさすものでありまして、これらに対する助成の財源としたいのであります。  最後に、原案の附則第十八項は、さきに述べました第十三条の役員の欠格事由の特例に関する規定及び第二十七条の国庫納付金の特例に関する規定が附則に追加されたため、第二十項になつておりますが、この第二十項の塩方税法の一部改正につきましては、原案においては競馬会には固定資産税は免除になつていなかつたのでありますが、競馬会の性格が公社に準ずる特別法人であることから考えて、他の類似する性格の法人と同様にその本来の事業の用に供する固定資産については固定資産税が免除されるべきと考えまして、地方税法中第三百四十八条第二項の一部改正を行いましたるほか、他の法令の改正の関係から引用条文の整理を行つたものであります。  以上の通りでありまして、何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。
  55. 井出一太郎

    井出委員長 次に吉川久衛君。
  56. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私は日本中央競馬会法案に対する修正案を提案いたします。簡単でございますから、お手元に配付はしてございますが朗読をいたします。   日本競馬会法案の一部を次のように修正する。   第九条中「理事八人以内」とあるを「常務理事四人、理事四人以内」と改める。   第十三条第四号中「政府職員」とあるを「競馬の監督の立場にある政府職員」と改める。   第十四条中「理事」とあるを「常務理事」に改める。  以上の三点でございます。これはただいま中村委員の修正案に対して補完的な修正でございます。  まずその理由を簡単に説明をいたしますならば、本法律案が提案をされました理由を見ますと、競馬の健全な発達をはかるため、国営競馬を引継いで施行する団体として、日本中央競馬会を設立し、その組織及び運営につき定める等の必要があるというのでございます。そこで競馬の健全なる発達をはかるためには、国営より民営というか、団体営にするということがよいというのでございます。すなわち民営に移す趣旨は、行政整理の意味もあるでありましようが、国営より民営に移して弾力性を持たせ、より積極的に運営の妙味を発揮して、競馬の健全なる発達をはかろうというのであります。そうであるといたしますならば、第十四条の役員の兼職禁止はこれは民営移管の趣旨にもとるものと申さなければなりません。そこで第九条中の「理事八人以内」とあるのを、常務理事四人、理事四人以内といたしましたのは、第十四条の兼職禁止の規定の中において、兼職の禁止は常務理事がその適用を受け、ただの理事はその適用外に置くという措置でございます。こうすることによりまして、役人の隠居所であるような感じを去り、しかも今日までの国営競馬の不十分な点を補う民営移管の趣旨を全うすることができるのでありまして、すなわち民間人から直接競馬等の事業に関係のない人、いろいろの業界におきまして、それぞれ国際的な視野の広い、いわゆるスマートな人々をもこれに参加することを許すことによつて、役人のように、専門的ではあつても、官庁の中で長いこときわめて限られた視野の中に閉じ込められた人々だけの運営ではなくて、もつと広い視野の上に立つ、あるいはいろいろの事業に経験を持つ人々を加えた弾力性のある運営をすることが、私は民営移管の趣旨であると考えますので、この際、常務理事は兼職禁止の適用を受けますけれども、四名以内の平理事は民間人を登用してその運営に当らせるということが、この民営移管の趣旨にかなうものであると考えましてこの修正を行うに至つた次第でございます。  なお聞くところによりますと、役員は相当高禄をはむそうでございますが、平理事に対しては民間人を登用し、しかも兼職禁止の適用の除外を受けます関係から、その待遇はきわめて制限を加えてよろしいのではないかと思います。そういうことによつて、冗費を省いて、できるだけ国庫納付金を増加せしめ、その額を畜産振興あるいは社会福祉施策に活用するということが私は望ましいと考えておる次第でございます。  それから、原案の第十三条第四号中の、政府職員とあるを、監督の立場にある政府職員といたしましたことは、ただいまの政府原案あるいは中村委員の修正案等によりますと、この政府職員に対するところの取扱い方が少し酷ではないかと考えます。最近行政整理を行うにいたしましても、人員整理を行うにいたしましても、われわれはこれに賛成をするものでございますけれども、整理をされた人々の行き場についての配慮というものがほとんどなされておりません。それがすなわち行政整理、人員整理を大きな看板に掲げられながら、いつも龍頭蛇尾に終つているところの一つ理由になつているのであります。官庁の人心を刷新するために、新陳代謝をするためにも、それをしやすいような措置をこういう場所においても考えておくということが必要であろうと考えますので、あまりにむずかしい、束縛のある規定を設けるよりは、若干そこに何か道の開けて行くような、希望の持てるような道を考えておく必要があろう、こういうように考えまして、直接監督の立場にあるところの畜産局長のような人々がすぐにこの方面の役員に行くというようなことは、これはいろいろの弊害等も伴いますので、制限を加えねばなりませんけれども、その他の政府職員が、中央競馬会の役員になつて行くというようなことについて、それほど私はむずかしい規定を設けておく必要はない。この点はもつとゆるやかにしておいてもよいという考え方から、十三条第四号中の「政府職員」とあるのを、「監督の立場にある政府職員」と改めることが妥当であると考えた次第でございます。  以上のような理由でございますので、満場の御賛同をこいねがう次第でございます。
  57. 井出一太郎

    井出委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。井手以誠君。
  58. 井手以誠

    ○井手委員 私は日本社会党を代表いたしまして、中村委員提出の修正案に賛成し、吉川委員提出の修正案に、遺憾ながら反対の意を表する次第でございます。  わが党は軍馬育成に出発した競馬については根本的に異見を持つておるのであります。競馬について常に畜産振興とは言われておりますけれども、今日の競馬が農耕馬、馬車馬等の改良にいくばくの寄与をなしておるかということについては、多くの疑問を持つておるのでありますし、さらに今回提案されました国営の民営移管、これによつて国庫に売得金の一割程度を納付せしめるというこの構想に対しましても、ばくちのてら銭をかせぐようなこういう案について、私どもの党は多くの疑問を持つておるのであります。提案理由には、民営にすることによつて、競馬が飛躍的に発展するかのごとき理由を大きく述べられておりますが、その売得金の増加は、提案理由によりますとわずか五%であるということについても疑問があるのであります。その程度では民営に移したという趣旨がきわめて稀薄になるのであります。従つてわが党といたしましては、国営を民営に移そうという今回の中央競馬会法案については多くの意見を持つておりますので、この機会に競馬に対する根本的な態度をきめようという方針をとつて来たのであります。ところがその後に至りまして、私その実態を把握はいたしておりませんが、私が憂慮しておりましたようなとかくのうわさが立ち始めたのでありますし、またそういつた情勢下においては、むしろそれを通すことが必要だという議論も出て参つたのであります。さらに事務当局の方からもいろいろと意見を承りまして、熱意を聞きましたので、わが雇いろいろと検討いたしました結果、先刻中村委員から提出されました修正内容、もちろん私どもはこれをもつて満足とは考えておりませんけれども、最小の規模であるこの修正要項をのまれるということであれば、当面一部において必要と感ぜられておるこの中央競馬会について賛成してもよかろうということに方針をかえて、私どもも修正案提出に参画をいたしましたところ、幸い多くの賛意を得ました。率直に申しますれば心から全面的にこの修正案並びに修正部分を除く原案について賛成ではございませんけれども、当面の事情から申しますれば、われわれの最小の意見を組み入れられたものとしまして、修正案を中心とするこの法案に私どもは賛成をいたすものであります。同時に先刻も申しますように吉川委員提出の修正案には、いろいろ事情は申しませんけれども、残念ながら反対の意を表する次第であります。
  59. 井出一太郎

    井出委員長 これにて討論は終局いたしました。引続きこれより採決に入ります。  まず中村時雄君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  60. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次に吉川久衛君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  61. 井出一太郎

    井出委員長 起立少数。よつて本修正案は否決せられました。  次に先ほど可決せられました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  62. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて日本中央競馬法案は、中村提出の修正案のごとく修正すべきものと決しました。  この際佐藤洋之助君より本案に対する附帯決議の提案がなされております。これを許します。佐藤洋之助君。
  63. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 ただいま可決を見ました中央競馬会法案は、非常に慎重な論議を重ねまして、ようやくここに妥結を見たのでありまして、今の中村委員の修正案は、わが党におきましてもこれは賛意を表するものであります。むしろ共同提案でございます。そこで私はこの際附帯決議を付したいと思います。その附帯決議を読み上げますからどうぞ御賛同をお願いします。    日本中央競馬会法案に対する付帯決議  日本中央競馬会は、経理の厳正を期し、役員の報酬等経費の節減に努めるとともに、調教師騎手等の待遇改善、生活安定に関して特段の措置を講ずべきである。     昭和二十九年五月二十八日            農林委員会  以上でございます。御賛成をお願います。(拍手)
  64. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの附帯決議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、ただいまの附帯決議を付することに決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 井出一太郎

    井出委員長 さよう決しました。     —————————————
  67. 井出一太郎

    井出委員長 引続き、これより昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案を議題といたし、その審議を進めます。この際、金子與重郎君より発言を求められております。これを許します。金子君。
  68. 金子與重郎

    ○金子委員 去る四月、五月の間におきまして、昨年とほぼ同様に、凍霜害その他暴風雪等の農業災害が非常に甚大にありましたので、この際私は農林委員会としまして、一つの決議をもつて政府に対してその善処方を要請いたしたいと思うのであります。  まず決議文を朗読さしていただきます。    凍霜害等災害対策費に関する件   四月、五月の凍霜害並に暴風雪害等が被災地農民に与えた損失については、まことに軽視すべからざるものがある。   よつて政府は、農業経営を保護し、生産力を維持発展せしめるため、すみやかに左記内容の如く予備金を支出すべきである。      記   桑、麦類、茶、果樹、ばれいしよ、ちよ麻に対する凍霜害対策費として樹勢回復用肥料代、病害虫防徐用農薬代等につき一億二千五百万円を下らざる額を、水稲、麦類に対する暴風雪害対策費として再播及び追肥用肥料代、再播用種子代につき二千五百万円を下らざる額を、それぞれ助成する措置を講ずること。但し、北海道については既決定の水稲健苗育成施設費、魚田開発復旧事業費、及び入植施設災害復旧費に関する助成は、別枠とする。   右決議する。   昭和二十九年五月二十八日         衆議院農林委員会  以上の通りであります。  昨年度におきましては、各賞が超党派の形におきまして被害農民に対する施策を講じ、そうして政府は四億八千万円の支出をしたのでありますが、本年度におきましては、もはや今国会が終了する現段階におきましても、何らこれに対する誠意を示しておりません。従つて、これだけの災害に対して、政府はまつたく一銭の補助も救済策も講じない、軍に貸付金に関する法律だけでこれを解決しようとすることは、農民に対して涙なき政策と思うのであります。ことにことしの凍霜害のごときは、その大部分が去年と今年と重ねて災害を受けておりますので、農民の現況は非常に苦しい立場にあるわけでありますから、最小限度の、今決議案に読みました程度の予備金を支出すべきである、こういうことをわれわれは要望するものであります。どうぞ各位の御賛成を願います。
  69. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの金子君の御発言に関し、他に御発言はございませんか、別に御発言もなければ、ただいま金子君提案の通り委員会の決議となるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  71. 井出一太郎

    井出委員長 これより昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題といたし審議を進めます。  この際昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案に対して金子與重郎君より、また農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対して足鹿覺君より、それぞれ修正案が提出されております。これよりその趣旨弁明を求めます。金子與重郎君。
  72. 金子與重郎

    ○金子委員 昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案に対する修正案を朗読します。    昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案に対する修正案   昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案の一部を次のように修正する。   題名中「四月における凍霜害」を「四月及び五月における凍霜害等」に改める。   第一条中「四月における凍霜害」を「四月及び五月における凍霜害並びに同年五月における風雪害及びひよう害」に改める。   第二条第一項中「四月における凍霜害(以下「凍霜害」という。)」を「四月及び五月に「おける凍霜害並びに同年五月における風雪害及びひよう害(以下「凍霜害等」という。)」に、「凍霜害による繭及び」を「凍霜害等による繭及び」に改め、「百分の十以上である旨」の下に「又は風雪害によつて損失を受けた農業者にあつてはその耕作上の損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の十以上である旨」を加える。   第四条第一項中「三億円」を「四億五千万円」に改める。   附則第二項中「四月における凍霜害」を「四月及び五月における凍霜害等」に改める。簡単にこの趣旨を申し上げますと、この法律提出された当時におきましては、四月の凍霜害というものを対象にいたしたのでありますが、その後引続き北海道における、また東北等における風水害、それから石川県地方における氷害、それから五月になつてから長野を中心にしての二度霜害、こういう所に連続して被害がありましたので、この際それらのものをこの法律によつて包括でき得るよう字句の修正をいたすことが主体であります。  なお従つてその貸付金のわくを三億円とありましたものをこの際一億五千万円を増加いたしまして、合計四億五千万円のわくにいたしたものであります。  以上がこの修正案のおもなる趣旨であります。御賛成願います。
  73. 井出一太郎

    井出委員長 次に足鹿覺君。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。  まず修正案分を朗読いたします。    農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案   農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則の改正規定を次のように改める。   附則に次の一項を加える。  7 昭和二十九年五月の暴風雪害によつて必要を生じた災害復旧の事業については、開拓地における農舎、畜舎、住宅及び農業者の共同の利用に供する施設(農業用施設を除く。)並びに北海道未開発魚田開発の施設であつて政令で定めるものは、これを農業用施設とみなし、これらの災害復旧事業についての第三条第一項の規定の適用については、同項第二号中「次項各号(第三項の区域内の農地、農業用施設、林道及び漁港施設の災害復旧事業の事業費のうち同項の政令で定める額に相当する部分については、同項各号)の区分に従い、それぞれ当該各号に定める比率」とあるのは「十分の九」と、「当該各号に定める比率をこえて」とあるのは「十分の九をこえて」と読み替えるものとする。  簡単に理由を申し上げますと、昨年続発いたしました九州並びに近畿あるいは静岡等の大風水害の際に本院で成立を見ました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律はすでに実施になつておるのでありますが、今回北海道を中心とする暴風雪の被害は、ときと場所を異にいたしてはおりますが、その被害の程度は何ら前に申しました昨年の風水害におとるものではないのであります。なかんずくあの極北の地におきまして開拓にいそしんでおる開拓農民の農舎あるいは畜舎、住宅あるいは農業者の共同の利用に供する施設がことごとく倒壊をし、その被害は先般本委員会会から各派が正式に現地を御調査になりました報告に基いてみましても明らかであるのでありまして、これに基きまして九州あるいはその他の昨年の被害並にその補助の率を是正し、国の恩恵を均霑ならしめんとするのがこの修正案の骨子でございます。特に開拓地に次いで魚田の問題を取上げておるのでありますが、根室地方における災害救助法の適用町村中羅臼村を中心といたします特殊な被害でありますが、魚田施設が暴風雪によつて壊滅をいたしておるのでありまして、これらの二つの開拓地の点と魚田施設に対する災害につきましては、前に申し上げましたような十分の九を国が補助してすみやかに復旧し、漁業生産力並びに農業生産力の維持確保に努めるべきである、かように考える次第であります。何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。
  75. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま議題となつております両案については、討論を省略して採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 井出一太郎

    井出委員長 まず昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案について採決いたします。  ただいまの金子與重郎提出の修正案についてまず採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  77. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次に修正部分を除く原案について採決いたします。先ほど可決せられました修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  78. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて昭和二十九年四月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案は、金子君提出の修正案通り修正議決せられました。  次に農林水産施設災害復旧事業費国庫負担の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  ただいまの足鹿覺君提出の修正案についてまず採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  79. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次に修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分な除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  80. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案は、足鹿提出の修正案の通り修正議決せられました。  ただいま議決せられました両案に対する報告書の作成は、衆議院規則第八十六条に基き、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会会いたします。     午後五時三十一分散会