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中村(時)
委員 この修正案の一応の問題は、文書をも
つてお手元に配付してあるものをごらんにな
つていただきたいと思います。それで修正趣旨の弁明に対しまして一言申して皆さんの御賛意を得たいと思う次第であります。
日本中央競馬会
法案の修正案につきまして、修正案の提案者を代表いたしましてその趣旨を弁明いたします。
この修正案においては、主要修正点は数点ございますが、その第一は原案第十三条の役員の欠格条項に関する規定の修正であります。すなわち国務
大臣、
国会議員、
政府職員または地方公共団体の議会の
議員の一に該当する者は、
日本中央競馬会の役員となることができ、ないという規定でありますが、これらの公の権力に関係する地位にある者の
影響力をできるだけ排除するという
考え方に立
つて、同条第五号との関係をも考慮いたしまして、その地位を去
つて後一年間は競馬会の役員となることができないように修正したのであります。しかしながら競馬会の設立当初は、現在の国営競馬の事務に従事する
政府職員が相当数、競馬会の事務に従事しなければ競馬の施行になれた者がいなく、その実施の困難も感じられますので附則第九項において第十三条の特例を定め、そのような
事態の起らぬように配慮してございます。また第十三条の欠格事由の
一つとして、競馬会が行う競馬に関係する馬主を追加いたしました。これは、旧競馬法下の
日本競馬会の時代における慣例にも徴しまして、競馬の公正確保の見地から特に同条第六号としてこの規定を置いたのであります。
修正の第二点は、競馬会の
運営審議会の
委員は、第十八条第二項に掲げる者のうちから、
農林大臣が任命することにな
つておりますが、同項中第三号として競馬会が行う競馬に関係する調教師及び騎手を、代表する者を追加して、これらの代表者も
運営審議会の
委員に任命されるように修正したのであります。これは、調教師及び騎手と競馬会の
運営とは全く密接な関係があるところより、より公正にして明朗な競馬を行うため、これらの代表者を
運営審議会の
委員に任命することは意義が深いと
考えたからであります。
修正の第三点は、競馬会の行うことができる任意的業務として、第二十条第二項第三号に「その他競馬の健全な発展を図るため必要な業務」と規定されておりますが、この競馬には馬術競技を包含するものであることを明記したのであります。元来競馬と馬術競技とは沿革的に申しましても、またその技術面におきます関係からいたしましても深い関係があり、競馬の健全な発展をはかることは、当然一般馬術の発展と並行して行われるべきものであるという
考えよりいたしまして、このように修正したのであります。
修正の第四点といたしましては、第二十七条第一項に規定する国庫納付金の割合につきまして、原案の百分の十を百分の十一に修正いたしました。これは、従来の競馬の成績に徴しましても、また競馬会が行う
経営は、国営よりも合理化され、事業の発展も期待できるという
考え方からいたしましても、国庫納付金の割合を百分の十一に引上げる方がよいのではないかと
考えたものであります。しかしながら、発足当初におきましては、種々経費のかかる面もあり、また老朽化した施設のうち応急的に改善補修を必要とするものがある等の点を認めまして一この
法律施行後一年以内に開催される競馬に対しましては、国庫納付金の割合を百分の十・五とする特例を修正案附則第十項に規定いたしました。
修正の第五点といたしましては、競馬会からの国庫納付金につきまして、その使途を限定する規定を新たに設けたのであります。この点に関しましては、原案の第一条に
法律の趣旨として、「競馬の健全な発展を図
つて」「畜産の振興に寄与する」ことをうた
つておるにもかかわらず、その
内容として畜産業の振興に関しましては何ら規定されておらないのみならず、原案の附則第十項におきましては、かえ
つて競馬法第十一条の二の競馬の収入を畜産業振興に充当すべき規定を削除しておるのでありますが、これに対しましては、本
委員会の
審議におきまして、多くの
委員各位から種々の批判があ
つたのであります。すなわち、原案は、競馬施行の目的をあいまいにするのみでなく、むしろ
制度の改悪であり、現段階における競馬の存在意義は、主としてその収益を特定の公益目的に充てる点に存するという論議もなされたのであります。本修正案は、これら
審議の経過にかんがみまして、第七条の規定による国庫納付金は、これを全額畜産業の振興及び民間社会福祉事業のために必要な経費に充てるものとしたのであります。ただ従来畜産業の振興経費と申しましても、その費目につきましてはなはだ漠とした解釈が行われておるようでありますので、この本修正案におきましては、有畜
農家創設特別
措置法及び馬の伝染性貧血症の試験研究経費を特に規定いたしまして、使途を明らかにするとともに、民間の社会福祉事業の振興のための経費に充てる金額は、民間の社会福祉事業実施の性格にかんがみて、国庫納付金の額のおおむね四分の一に相当する金額とすると明確に規定しております。その民間社会福祉事業の振興のため必要な経費とは、社会福祉事業法による共同募金会等社会福祉法人に対する助成、社会福祉事法振興会法による社会福祉事業振興会に対する
政府の出資あるいは生活保護法、児童福祉法の規定による民間施設に対する国の補助等をさすものでありまして、これらに対する助成の財源としたいのであります。
最後に、原案の附則第十八項は、さきに述べました第十三条の役員の欠格事由の特例に関する規定及び第二十七条の国庫納付金の特例に関する規定が附則に追加されたため、第二十項にな
つておりますが、この第二十項の塩方税法の一部
改正につきましては、原案においては競馬会には固定資産税は免除にな
つていなか
つたのでありますが、競馬会の性格が公社に準ずる特別法人であることから
考えて、他の類似する性格の法人と同様にその本来の事業の用に供する固定資産については固定資産税が免除されるべきと
考えまして、地方税法中第三百四十八条第二項の一部
改正を行いましたるほか、他の法令の
改正の関係から引用条文の整理を行
つたものであります。
以上の
通りでありまして、何とぞ慎重御
審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。