○川俣
委員 この資金の系統外融資に対して、すみやかな文書的な措置を講じなければならなか
つた事情の説明はそれでもうけつこうであります。ただ問題は、当初からこの不安が金融機関にもあ
つたし、また
農林省もその懸念なしとはしなか
つたと思う。ことに昨年の秋から金融の引締めが行われますと、さらにそういう不安が当然生れて来つつあ
つたと思う。特に今度農協法の一部
改正等によ
つて考えられておりますのは、農協の本来の姿よりも一体どうしたら農協を企業体的な経営をうまくするかというようなことにかなり重点を置いた
改正を意図されておる。そういう意図のもとに一方は
運営され、一方は金融の逼迫から系統外流出を極力押えなければならないという要請がここにある。また一方では、他の銀行及び他の金融機関、投資機関または会社の投資等に対して相当魅力ある勧誘が行われる。
組合の単なる機関、農協のいわゆる資金のやりくりやあるいは経営をうまくや
つて行こうとする企業体的な
考え方が出て参りますと、これらの誘惑に乗せられる傾向が出て来る。はなはだしくな
つて参りますと、今度のいわゆるやみ金融機関に対してすら農協が相当乗せられておる部分もなしとはしないのであります。この点を強調いたしますと、
事態を紛乱に導くおそれがありますので、私はあえてこの点は強調いたしませんけれ
ども、相当打撃を受けておる面も出て来ておる。これらは農協の本来の
行き方よりも、何とかして農協自体の
運営をうまくやりまして、むしろその専任者が手腕があるなしということは、そういうやりくりのうまいのが手腕があるのだと誤解されるような状態を生んでおると思うのです。これは
金子委員の説明によると、それが
現実の姿だとおつしやるようですが、一方から言うと、確かに資金の系統外流出というものは本来の
規定から言いましても、取締りから言いましても、脱法いたしておることは明瞭であります。明瞭でありながらなおそういうことを冒してまで農協の
運営をはかろうとする動きが他面にあるということは、これは見のがせない事実だと思う。本
委員会の中にもそういう主張をなす人もあるわけです。現にそういう観点からも
改正を意図されておる方もあるわけです。そういたしますと、ま
つたくこれはあなた方の方の通牒と、特に
小倉局長の方は、同じ農協法の
改正案についての関心を持たれ、一方においてはそういうことを取締ろうとする通牒を出す矛盾した傾向が明らかに出て来るのではないかと思う。そこで首を振
つておられても、実際そういう通牒をあなたは出しておられるでしよう。系統外流出をしてはいけない。ところがその単協のあるいは経済連のたくみな
運営をしようということになると邪道に入
つて来るのです。ま
つたく
自分がまかされた企業体みたいだから、責任を負
つてやらなければならないという強い信念ができればできるほど邪道に陥る結果になる。それは悪意じやないでしよう。私は悪意じやないと思
つておる。悪意じやなくても、そういう強化をしようとして邪道に踏み込んで行くということは
現実の姿だというので、法を侵して行こうという点が一面出て来ておるのです。だからこの一部
改正はそうじやないですか。
選挙によるか、代議員制によるか、その根本は
運営を責任を持
つてうまくやりたいという傾向が、そういうところから出て来るのじやないか。うまくや
つておるところほど系統外に流出しておる。下手なところはや
つておりません。一番強いというところがおそらく系統外流出をいたしておる。
運営がうまいというのは系統外流出をいたしまして、たくみに資金のやりくりをしておるのがうまいといわれておる。そういう
事態が起
つて来る。そこで単なる通牒でいいのかどうかという問題も出て来るのです。中金等が
政府預金の預託がないので非常に苦心をせられておる点は私は認めます。また系統外に流出することを何とか防止しようということも認めますが、しかし最近の金融界の状態、銀行金融界または投資金融界その他の会社の誘惑を、あえて排除してまでできる自信を一体中金がお持ちにな
つておるのかどうか。最近はいよいよも
つて中金が官僚化されて、それらの誘惑を撃退する信念と熱意をも
つて指導されておるかどうかというと、在来の唯一性を誇
つて、どうもそれらに対するところの熱意と指導に欠けるところがあるのではないか。努力されておることは認めます。決して努力していないとは言わない。しかしいわゆる法外な競争相手であるかもしれませんが、銀行金融機関、投資金融機関、その他の会社との競争において、やはり欠くる点があるから、系統外流出が行われるようなことが出て来ておるのではないかどうかということに対して、どれだけの関心を持
つておられますか。この点を中金にもお尋ねいたしたいし、経済局長にもお尋ねいたしたいのであります。