運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-14 第19回国会 衆議院 農林委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十四日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 小枝 一雄君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 金子與重郎君    理事 川俣 清音君       足立 利恭君    遠藤 三郎君       佐藤善一郎君    寺島隆太郎君       松岡 俊三君    松山 義雄君       加藤 高藏君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    稻冨 稜人君       中澤 茂一君    河野 一郎君       山村治郎君  出席政府委員         農林事務官         (畜産局長)  大坪 藤市君  委員外出席者         農 林 技 官         (畜産局競馬部         長)      井上 網雄君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 五月十四日  委員神戸眞君、中村時雄君及び安藤覺君辞任に  つき、その補欠として加藤高藏君、稲富稜人君  及び山村治郎君が議長の指名で委員に選任さ  れた。     ――――――――――――― 五月十三日  鹿児島市に動物検疫所出張所設置に関する陳情  書(第  三〇一一号)  同  (第三〇二八号)  治山治水対策に関する陳情書  (第三〇二九号)  購繭優遇措置に関する陳情書  (第三〇六二号)  桑園の凍霜害に関する陳情書  (第三〇六三号)  段ボール箱利用促進に関する陳情書  (第三〇六四号)  鹿児島市に動物検疫所出張所設置に関する陳情  書外一件  (第三〇六五号)  近畿地区集約酪農地帯指定等に関する陳情書  (第三〇九七号)  木炭公営検査立法化等に関する陳情書  (第三〇九八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本中央競馬会法案内閣提出第一二六号)     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  日本中央競馬会法案を議題といたします。質疑を継続いたします。稲富稜大君
  3. 稲富稜人

    稲富委員 競馬会法案につきましてお尋ねするにあたりまして、最初にお尋ねしたいと思いますことは、ただいま御承知通り、従来の日本競馬会訴訟が起つておるのでありますが、この訴訟に対する進行状態について承りたいと思います。
  4. 大坪藤市

    大坪政府委員 現在国営競馬として国が所有しております財産につきまして、ただいま御発言の通り、元の日本競馬会から東京競馬場その他所有物件に対しまして訴訟係属中であることは御意見通りであるのであります。昨年の二月訴訟が提起されまして、これは法務大臣を相手にとつて訴訟でありますが、その後数回公判が行われておるのでありまして、目下訴訟係属中になつておるわけであります。
  5. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、この競馬会法条通りますと、国が所有する財産の譲渡というのは当然起つて来るのだと思います。その場合に、現在係争中のその財産を譲渡しなければできないということになつて来るのでありますが、これに対してはどういうようなお考えを持つておられますか。
  6. 大坪藤市

    大坪政府委員 今回日本中央競馬会法案によりましては、当該財産出資いたすということに相なつておりますので、訴訟物件出資いたすということに相なるのでありますが、訴訟係属中たるがゆえに財産出資が不可能であるということは、法律上解釈できないのであります。従つてどもといたしましては、訴訟係属中でありますが、訴訟の請求の原因がいずれも理由にするに足らないというかたい信念を持つておりますので、敗訴になるというようなことを予想していないのでありまして、従つてその趣旨によりまして出資をいたす、かように考えておるわけであります。
  7. 稲富稜人

    稲富委員 それはあなたの方では勝訴になるのだというような考えでもりましようが、原告側としてはやはり勝とうと思つているのだろうと思うのであります。そこで将来こういうような、しかも訴訟係属中のものを、あるいは貸与であろうと何であろうと、一つの権限というものについて、やはり原告側にも一つの主張があると思うので、こういうような係属中にこの財産を侵すということが妥当であるかどうかという問題も起つて来ると思う。もちろん見通しとしては、政府としては当然これは勝訴になるのだという見通しだろうと思いますけれども、やはりこの財産を処理する上においては、最悪の場合も一応考えておく必要があるのじやないか、そういうものを度外視してこの法案を進行するということはどうであるか、こういう問題も起つて来ると思うのでありますが、これに対してあなたはどういうような考え方を持つておられるか、承りたいと思うのであります。
  8. 大坪藤市

    大坪政府委員 本件訴訟はいわゆる民事訴訟でありますので、今後双方とも訴訟につきまして特別の措置をいたさない限りは、相当長い期間係属すると考えられるのであります。第一審がいかなることになりましても、上告その他、この方法を採用いたします場合に、相当期間係属すると考えられるのでありますが、そういう長い期間を想定いたします場合に、その中間過程といたしまして、私どもといたしましては、本件の問題の場合に、国営競馬をしてできるだけ時宜に即する意味合いにおきまして、民間の適切なる法人に競馬を施行せしめた方がよろしい、そのためには一応財産当該団体に一括して譲り渡しておいた方がよろしいという考え方のもとに法案を提出いたしておりますので、もし訴訟のためにそういう措置ができないということになりますれば、当分そういうような措置ができない、こういうことに相なるのじやなかろうかと思うのであります。従いまして、私どもといたしましては、長い期間そういうような状態にほつておくおけに参りませんし、またそうかといつて、私どもといたしましては、必ず勝訴になり得るという信念を持つておりますので、その意味合いにおきまして、係属中の財産といえども出資対象にいたした、かように考えておるわけであります。
  9. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、たとえばこの法案が通過いたしまして、財産を新しく中央競馬会出資をする、こういうことになりますと、この訴訟対象というものは国がやはり相手になつてつて行くということになりますか、それとも競馬会出資したのだから訴訟相手方係属しよう、こういう考え方でありますか。
  10. 大坪藤市

    大坪政府委員 その点につきましては、法理論上の問題かと思いますので、いろいろ訴訟目的物、客体が移転されました場合に、原告側が従来通り国自身相手にするか、あるいはその対象物を譲り受けましたいわゆる過程として日本中央競馬会というものを相手にずるか、この点は一応理論上は双方ともやり得るのじやなかろうかと思うのであります。しかしこれは純然たる司法上の問題であるのでありまして、おそらく国におきましても、その目的物を所有しておつて、しかもそれを出資をいたしておるのでありまするから、国を一応訴訟相手方として係属して行くのじやなかろうか、かように存じまするが、この点は純理論上の問題でありますので、今後原告側がどういう態度をとるかという問題に帰着するのではなかろうかと思うのであります。
  11. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、あなたの方ではこの訴訟訴訟として、この法案を通すことによつて出資して行くのだ、そうするとこれは何年訴訟が長びくかもわからないが、これはほおかむりして行くのだ、こういうような大体の腹なんでございますね。
  12. 大坪藤市

    大坪政府委員 ほおかむりという意味ではありません。ほおかむりということになりますと、きわめて適切じやないと思うのでありますが、そういう意味ではないのでありまして、訴訟係属というものは今後ともいずれにいたしましても、相当長期間係属する、従つてその間各方面から要求のありまする国営競馬というものを民営に移管する、こういうような措置というものと、訴訟というものは完全に一応ぶつかつて来るということに相なるのでありまして、その事柄によつて、私どもかそのために国営競馬民営に切りかえることを逡巡いたしております場合には、何年間かかつても問題は解決し得ない、かようなかつこうに相なるのじやなかろうかと私は考えるのであります。
  13. 稲富稜人

    稲富委員 これはやはり示談なんかで解決するという見込みなんかないのでございますか、それともやはり最後には訴訟までして結論をつけなければならないという、こういうような見通しでございますか。その点についてのあなた方当事者としてのお見通しはどうでありますか。
  14. 大坪藤市

    大坪政府委員 訴訟以外の方法、たとえば和解でありますとか、そういうような方法もあるのでありますが、実は御承知通りに、私人間の場合におきましては、そういうことはきわめて容易に行われておるのでありますが、いやしくも国家と申しまするか、国自身でありますので、国という立場におきましては、いわゆる民間に行われますような和解というものは容易に行いがたい、かようなかつこうに相なるのじやなかろうかと思うのであります。もちろんその点につきましては、全然そういうことはできないという筋合いのものじやないと思いますが、訴訟相手方自体としては法務省ということになつておりますので、そういう関係もあり、かたがたいわゆる財産上についての和解というものは困難ではないか、かように考えておるのであります。
  15. 稲富稜人

    稲富委員 もちろんこの問題に、法理論上のいろいろな問題があると思いますので、大体このくらいお尋ねしておきまして、次に本論に入りたいと思うのでございますが、本競馬会法趣旨の第一条に、この法律案目的というものは「馬の改良増殖その他畜産振興に寄与するため」ということをはつきりうたつてあるのでございますが、あなた方としては、この競馬そのものがただちに改良増殖その他畜産振興に寄与する、こういうようなお考えであるかどうか、この点ひとつ承りたいと思います。
  16. 大坪藤市

    大坪政府委員 競馬目的につきましては、その見る人の考え方によりましていろいろの御意見があるかと思うのでありますが、払どもといたしましては、競馬につきましては、競馬を施行することによりまして優秀な馬を摘出し、それによつて馬改良増殖をはかつて行く、その意味合いにおきまして、競馬を施行すること自体畜産振興一つの大きな眼目である、かように考えておるのでありますが、そのほか競馬につきましては、付随的な目的といたしまして、いわゆる競馬によつて上る収益というものをできるだけそういうふうな畜産振興に寄与し得るようなことにつきましても、従来からはそういうような目的一つ考えておつたわけであります。
  17. 稲富稜人

    稲富委員 どうも局長は非常に苦しいような答弁でございますが、私たちは、競馬そのもの畜産振興等をなしておるというようなお考え方であるならば、あるいは馬主その他の待遇ももつとよくならなければいけないと思う。現在ことにこれは国営競馬でもそうであるし、地方競馬でもそうでございますが、ややともいたしますと、馬を飼育しておる者は馬糧にさえ困つておるというような状態があるので、こういうことはむしろ畜産振興どころか、馬を虐待しておるというような形になつておると思いますが、こういうことでもやはり競馬法の建前が、改良増殖その他畜産振興に寄与するのだというようなことを言わなければできないから、そういうような言葉をお使いになつておるのであつて、事実上はそれに反したようなことがあるのではないか、それが競馬振興に役立つておるというようにお考えでありますか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  18. 大坪藤市

    大坪政府委員 競馬を施行することによりまして、あるいは場合によつては馬を虐待するというような場合もあるかもしれませんけれども競馬を施行することによりまして優秀な馬といいものを育て上げる、そのこと自体つまり畜産振興である。もちろん競走馬を養成するような馬主というものは、畜産の中でも最も優秀な飼育者であるのでありまして、そういう方によつて飼育されました優秀な馬というものが、馬の改良増殖その他の一般的な畜産振興に寄与する、こういうような考え方であります。
  19. 稲富稜人

    稲富委員 ただそれで、私は前にも質問があつたそうでありますが、私の聞かんとするところは、畜産改良増殖になるとするならば、競馬そのものが馬の改良になるとおつしやるならば、かつて国営において競走馬輸入して来ておる。これが一体日本競馬振興であるかどうか、しかも今日日本の金を払つて外国から馬を買つて来て、そうして競走に走らしておる、種馬を買つて来て日本の馬の改良をはかろうとするならばともかくも、競走馬を買つて来て競馬にそれを走らせるということが、それがはたして日本競馬振興発展に寄与するところがあるかどうか、この点についてどういう関係を持つておるか承りたいと思います。
  20. 大坪藤市

    大坪政府委員 御承知のように、終歳後は競走馬が激減をいたしたのでありまして、その補充意味におきまして輸入をいたしたのであります。これはあくまで補充であるのでありまして、すでに現在におきましては、輸入した馬並びに従来からおりました馬の飼育ということによりまして、相当資源が充実いたしましたので、昭和二十九年度以降におきましては、原則として輸入しない、かような方針をとつておるわけであります。
  21. 稲富稜人

    稲富委員 それでは従来競馬馬輸入したというのは、ただ補充のために輸入したのであるというのは、畜産奨励とどんな関係があるか。日本の優秀な馬をつくるために外国からも導入した、そうして走らしたというのですか。
  22. 大坪藤市

    大坪政府委員 私どもといたしましては、理論としては、競馬を施行することによつて優秀な馬をつくり上げるということが競馬目的であり、かつそれが畜産振興で亙るというような考え方をとつておりますので、従来から輸入いたしました馬につきましても、これは内地における競走馬資源がないときの一時的な便宜措置として輸入いたしたのであります。従つて原則として外国から牝馬と申しますか、繁殖馬としての馬を輸入する考え方はないのであります。もちろん牡馬の方の優秀な馬は国としても輸入いたしておりましたから、今後も必要によりまして輸入いたしたいと思うのでありますが、これは内地におきまする馬の改良をはかるための牡馬輸入であるのでありまして、外国から競走馬そのもの輸入するというような考え方は、原則として持つておりません。これは終戦後における競走馬そのものの非常に減少いたしましたときの便宜的な措置である。従つて競走馬内地におきまして相当充実いたしましたし、また今後は馬主方面におきまして飼育熱がきわめて盛んになつておりますので、競走馬そのもの外国から輸入するという考え方は全然持つていないということを、御了承願いたいと存じます。
  23. 稲富稜人

    稲富委員 しかし競走馬を現に輸入されているじやないですか。しかも国営の馬が地方競馬に流れて行く、そういうところから当然馬資源が少くなつたということも事実でありましよう。ところがその輸入されて現に競走に出ている競走馬には、種馬の資格もないような、とにかく日本の馬よりも劣るような馬がやはり競走場に走つている。こういうものをはたして日本種馬として将来使おうという考え方で入れられたのであるか。もしもそうであるとするならば、非常に馬の輸入に対する見解違いだと思う。この点を私はお聞きしておるのであります。
  24. 大坪藤市

    大坪政府委員 すでに申し上げました通り昭和二十九年度以降におきましては、内地競走馬資源が充実いたしましたので、これを原則として輸入しない、こういうような方針をとつておるのでありますが、現在輸入いたしました馬につきましても、もちろんこれは競走そのものに出走させることも一つ目的でありまするが、もう一つのねらいは、牡馬輸入いたしまして内地における繁殖の用に供することを一つの大きな目的としておつた、この二つの目的をかねておつたわけでありますが、御承知のように大体充実いたしましたので、二十九年度以降は輸入しない。もちろんこれは種畜としての種牡馬輸入は別問題でございます。
  25. 稲富稜人

    稲富委員 局長に、先刻は種馬として牡馬輸入したんだ、今度は繁殖馬として牡馬輸入したんだとおつしやつているので、どうもその点があなたの方もはつきりしていないようです。私は何も言葉じりをとらえるわけではないのですけれども、これはすでに私たち同僚各位から質問があつたと思いますが、私たち競馬というものを考えますと、何かの財源をとるために競馬行つて、そうしてどちらかというと馬はかえつて酷使されておる。こういうような競馬自体を見るのであつて、それには競走馬だけを酷使するから、その競馬収益だけでも畜産奨励に使うならばとにかく、それはやらない。競馬純然たる競馬に終つてしまう。こういうようなことを私たちは今日見ておるのであります。ところが競馬法を見ますと、改良増殖その他畜産振興となかなかりつぱなことをうたつてあるけれども、事実はこれに反することが行われておる。しかも日本の馬産の奨励とか、日本馬増殖振興ではなくて、外国の馬を買つて来て日本馬競走をさせる。こういうことがはたして、この趣旨に沿うかどうかをお尋ねしておるわけであります。この点私たち考え方局長の御答弁との間には食い違いがあるわけです。この点を明確にしたいのでお尋ねしておるわけであります。
  26. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま申し上げましたように、終戦以来非常に競馬馬資源が減少いたしたので、一時的な措置としてやむを得ずやつたというようなかつことに相なつておりまして、その意味において御了承を願いたい。従つて二十九年度以後は、内地における生産奨励し、内地において生産されましたところの競馬馬によつて競走をさせることにいたしたいのであります。
  27. 稲富稜人

    稲富委員 それでは将来種馬以外は、今後は一切外国馬輸入しないというような方針を大体立てておられるのですか。
  28. 大坪藤市

    大坪政府委員 外貨等の問題もありますし、また内地におきましても、大体においてそういう必要もないようでありますので、原則として輸入しないというふうに考えております。
  29. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま馬資源が少かつたから競馬馬輸入したとおつしやいましたが、優秀な馬が国営から地方に流れておることは事実であります、これはどういうわけでそういう方に流れて行くか、この点についてあなた方としては十分御検討になつておりますか。
  30. 井上網雄

    井上説明員 地方競馬に流れるという御意見については、その通りであります。これは地方競馬と申しましても、関東地区に流れるのでありましてその他の方面にはほとんど流れておりません。これはなぜかと申しますと、関東地区は、御承知通り、東京を中心として神奈川、千葉、埼玉等地方競馬が、年間三百六十五日やつても足りないくらい開催が続いております。一件当りの開催に出される賞金は、国営に比べればはるかに少いのでありますが、一年三百六十五日ほとんど続けてやられることを考えあわせてみますれば、賞金国営関東地区に使われるものの三倍くらいに相なつておると思います。従いましてこの賞金関係等で、国営では走つて見込みのないもの、少々きずのあるようなものは、ややもすればそちらに流れる傾向になつておりまして、これは結局賞金の多いところに馬が流れる。国営馬は何分にも戦後余儀なく外国からも入れなければならぬくらい馬が少なかつたのでありますが、その少い馬が優劣の差がはなはだしかつたのであります。三頭、四頭のレースを毎々お目にかけて恐縮いたしておりましたが、これは出たくても出られない。優秀な馬が二頭、三頭出ますと、自分の馬は走つてもとうてい勝目がないから、いつまで待つてつて賞金が得られないということからそういうことに相なつたのであります。従つてそれらの馬が今言うように、楽に賞金のとれる地方競馬に流れて行つたのが真相でございます。ただいまの状況におきましては、だんだん国営競馬の方も賞金を増額して参りましたということと、臨時的な措置を講じた結果もありますが、全体の馬の頭数は漸次ふえて参りました。そういうことで大体おちついて来たのではないかと考えております。この流れます馬は、おもに関四地区から相当入つて来ておりまして、関東地区は一昨年ごろでは相当心配する状態でありましたが、現在ではそう心配しなくてもよい状態になつております。心配するというのは少し語弊がありますが、国営競馬の面からのみ申し上げるとそういうような状態であります。  なお先ほどからいろいろお話がありました外国馬輸入でありますが、これは局長言葉を敷衍いたしますと、一時的の便法として取入れましたのはもちろんでありますが、御承知のように、戦争前からずつと繁殖牝馬輸入はほとんどやつておりません。明治の中ごろから考えますと日本では相当入つたのが、戦争を境といたしまして十数年の間、ほとんど外国種牝馬というものは入つておりません。そういたしますと、国内において要地として生産をやつておるためにレコード等もだんだん悪くなつて参るし、また血液近親繁殖になりまして、どうも繁殖上非常に心配な点もございますので、お話のように悪い馬も相当に入りましたが、ただ子の能力がいい、悪いということよりも、血液を複雑に、広汎に繁殖の原理に沿うようにやりたいという趣旨でやつたことも事実でございます。この両建てで考えましたので、ようやく目的も達せられるだけの頭数なつたと思われますので、原則といたしましては今後はやらなくてもよかろう、こういう確信に達しておる次第でございます、どうぞその辺で御了承願いたいと思います。
  31. 稲富稜人

    稲富委員 外国馬を一切輸入しないという先ほど局長お話がございましたが、聞くところによると、何か速歩馬輸入するような計画もあるようであります。もしもそういう事実があるなら、この際はつきりしておいてもらわぬと、全然それはやらないのだとおつしやつておると、かえつてお困りになるのではないかと思いますが、その点はどうですか。
  32. 井上網雄

    井上説明員 速歩馬につきましてのお言葉でございますが、これは実は二十八年に一応種牝馬として入れる計画であつたわけです。速歩馬につきましては、サラブレツト等と違いまして、農業上にも、軍目的の馬の改良とやや異つた農馬改良ということと密接に結びつくという見解を持つておるわけでありますが、これは生産地農家は直接入れるような金を持つていない。やはりこれを入れますのには六、七十万円かかると思います。しかもそれを三才ぐらいで入れまして、繁殖して出すということは、農家といたしましてはどうも入れにくいのでございますので、原則としてはこれは明らかに繁殖牝馬ということでございますが、若干競走関係の方からも一部の金を出し、また農家の方も一部の金を出しまして、両方で輸入をするという計画がようやく昨今になつて実を結んで参つた。私どもといたしましては、これはおもに北海道の十勝方面に入れるつもりで、頭数は二十頭ぐらいの計画でございまして、改良原則でございますけれども、一応競馬には使いましても、ごく早い期間、たとえば大体二年ぐらいを考えておりますが、二年ぐらいたちましたらすみやかに、農馬改良趣旨も加えまして、この馬は農家に下げたらよかろう——まだしかし具体的な結論に達しておりません。農家の方がおもに金を出す余裕はございませんので、大体三分の一ないし四分の一程度を農家の方で負担いたしまして、二年間たつたら無償でこれを農家の手に渡す。あと四十万円ぐらいはおそらく馬主の負担となりましようが、そういう共有関係で入れたいという趣旨で、今まで入れましたサラブレツト関係とは大体内容も違つておりますが、まだこの点結論に達しておりませんので、この席で御質問ございましてはなはだ恐縮でございますが、私自身といたしましてまだ局長にも詳細なことを報告いたしておらぬような次第でございます。そういうような実情でございますので、今後貴重な御意見等を参考といたしまして、慎重にやりたいと思います。御了承願います。
  33. 稲富稜人

    稲富委員 日本競走馬というものはだんだんよくなることはけつこうでございますが、将来これが外国までも輸出し得るような状態になるという見込みがありますかどうですか、その点承りたいと思います。
  34. 井上網雄

    井上説明員 はなはだ口はばつたい申しようでございますが、御承知のように、日本のうちの優秀な馬の十数頭のものは、おそらくレコード等から考えまして、ほぼ外国の馬に匹敵するようなものもあると思うのです。先年急に死にましたトキノミノルのレコードなんというものは、ある程度世界水準に達したレコードであつた考えます。でございますが、何分にも日本状態から申しますと、資源その他の状況が貧弱でございますために——戦争後におきまして、御承知のように農業上の問題から牧場はつぶされたり、いろいろなそういう関係で、現在せつかく進んでおつた施設も荒廃をいたしておりますので、急なことには参らぬと思いますが少くとも上海とか香港に出るぐらいの馬は十分に出ておる。またそういう方針をとつて行くことこそ、これが一つの軽種の生産事業ということで、その振興に役立ち得るものという確信のもとに、私ども関係者は大いにやつて来ておるのであります。またそういう時代が遠からず来るんだという自信のもとに私どもが進んでおることも事実でございます。将来のことでございますので、あまり口はばつたいことを申し上げて恐縮でございますが、考え方はそういうことであります。
  35. 稲富稜人

    稲富委員 私は競馬馬改良あるいは振興という問題で、戦前と今日は非常にかわつて来ておると思いますことは、戦前は軍馬資源の補給ということが非常に大きな問題であるし、競馬としてもその一役を買つたということも確かにあつたと思うのです。それで、その当時の馬の改良、増産ということを、今度それだけを金科玉条のようにしてここにうたつて、それだけが目的だというのでは、将来苦しいことがあるんじやないか。もちろん部長がおつしやるように、将来日本競走馬がよくなつて、これを外国にも輸出するんだ、そういう資源にもなつて来るんだということになれば別でありますが、現在の段階はなかなか困難ではないか。競馬をやつて利益を得て、その利益によつて日本畜産をどうするか、こういうような問題が将来大きな問題として考えられるということになりますと、直接畜産奨励にならなくても、間接的に競馬そのもの日本畜産界に貢献する、こういうような考え方もあると思うのでございます。この間接畜産奨励というようなことに対して、あなた方はどういうお考えを持つておられるか、承りたいと思います。
  36. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御意見で、競馬そのもの目的競馬から上つて参ります収益による畜産振興、後段の御意見でございますが、この問題につきましては、旧競馬法におきましては、競馬より国庫に納付した収入金については、畜産振興並びに社会事業に使わなくてはならないという規定があつたのであります。現行競馬法におきましては、畜産振興のために政府の売得金の総額から所要の控除をした残額の三分の一に相当する金額で使わなければならないというような規定があるのであります。ここに御提出いたしております法案には、遺憾ながらその規定は削除に相なつておるのであります。御承知のように畜産に関します経費は、現行競馬法の三分の一という規定によりまして算出いたしました金額をはるかに上まわつておる金額であるのでありまして、そのために財政当局においては、その必要なし、また当分その規定を上まわるような予算ということに相なる情勢でないというような事情で、実益がないから削除するということに相なつておるのであります。もちろん畜産振興は国の命題でありますので、競馬の益金にかかわらず、できるだけ多くの予算を計上する建前になつておりますので、競馬によります益金を畜産振興のために使うという趣旨につきましては、私どもといたしましてもそうなくちやならないと考えておるのでありますが、現在のところ畜産に関します経費が相当高い——もちろん私ども決して高いとは考えおりませんが、計算上からは競馬の益金をはるかに上まわつておる経費になつておりますし、今後も畜産に関する経費については、財政当局におきましてもその必要性を十分認めているのでありますが、現在のところ大して実益がないというような意味合いにおいて、その益金そのものの処理についての制限規定は削除いたしておる、かようなかつこうに相なつておるわけであります。
  37. 稲富稜人

    稲富委員 問題は、競馬のよしあしということをいろいろ論議されますが、結論といたしまして、競馬そのものによつて畜産奨励するのだということで、あなた方がこれ一本で行かれるということは無理があるんじやないかと思う。それであつさり競馬の益金というものを畜産奨励に使うとか、あるいは社会事業に使うというようなはつきりした使途の点がそこに決定されますと、やはり競馬というものに対する考え方もかわつて来るのじやないかと思う。この点を私たちは一般に競馬の施行を了解させる上におきましても、私はこの使途というものをはつきりするということが必要じやないか、われわれはこう考えるわけであります。これを益金の使途は一つもうたわないで、ただ競馬だけをもつて畜産奨励になるのだという一点張りで行かれるということは、私どもはつきりしないところがあるわけなんです。その点の見解を先ほどからお尋ねしておるわけでありますが、この益金の使途に対しては何とか方法があるかどうか、この点一応あなた方の御意向を承りたいと思います。
  38. 大坪藤市

    大坪政府委員 競馬の益金による畜産振興、これも御意見通りきわめて必要であり、また考え方によりましては、競馬一つ目的じやないか、かように考えまするが、競馬そのものの本来の目的は、競馬そのものの施行によりまして畜産振興をはかる、こういうことが根本の目的であります。しかしながらただいま御意見通り競馬の益金による畜産振興、これも御説の通り競馬一つ目的じやないか、かように考えるのであります。ただ現在におきましては、十分とは申しませんが、いわゆる畜産に関しまする経費は、国の全体の経費として相当計上してありまするので、一応競馬による収益というものは、一般財源として総体的に考える、こういうふうなかつこうに相なつておりまして、その辺のひもと申しまするか、それを一応国全体の財政収入の中へ入れて、それから畜産振興の経費を支出するというようなかつこうに相なつておるのでありまして、私どもといたしましては、その考え方、あるいはそういうようなやり方につきましては、もちろん御説の通り、そういうことも一つ目的であるということについては、従来から農林省といたしましては、そういう方針でありまするし、そういうようなお考え方につきましては、決して反対ではない、かように考えるのであります。
  39. 稲富稜人

    稲富委員 くどいようでございますが、どうも局長競馬そのもの畜産振興になるのだということを言われるのだが、私は競馬そのものがはたして畜産振興になるかどうか。年々競争馬というものはどれほど虐待され、死んで行くか。これは競走馬が死ぬのが非常に多くて、決して振興になつていないんです。競走馬というものは、競走に出るために犠牲になつて虐待されているんです。将来競馬が発達することによつて、馬がだんだんよくなつて行つて外国へでも輸出するという問題になつて来れば、畜産振興ということになるかもわかりませんけれども競馬そのもの畜産振興にはそう寄与しているとは思いません。競走馬というものは、どちらかというと犠牲になつておるんです。その犠牲になつた馬の罪滅しに、この益金に上つて全体の畜産振興しようとか、あるいは社会事業に使おうというならば、競馬そのものがたといいろいろ非難がありましても、度すべき点があるのじやないかと思いますが、その点はそういうふうにこだわらないで、もつとこの益金というものを奮発して、あるいは畜産奨励であるとか、あるいはその他の社会事業に使うのだ、それだけ競馬というものは犠牲になるのだ、こういうようなはつきりした考え方をおとりになつて、積極的にその方面に益金を使うのだ、こういうようなお考えをなさつたらどうかと思いまするが、やらないのであるかどうか。その点ひとつ積極的な考え方を承りたいと思います。
  40. 大坪藤市

    大坪政府委員 もちろん畜産振興の全体が競馬によつてできるとかいうようなことは考えておりません。畜産振興方法はいろいろあるわけであるのでありまして、いろいろな要素というものが畜産振興の原因となつて来るわけでありまするが、競馬につきましても、一応競馬目的というものは、もちろん競馬を施行する関係の方々は、これは畜産人としても最も優秀なる方でありまして、その馬主といい、あるいはそれに関係されました競馬人というものは、これはほんとうの畜産人であるのでありまして、そういうような意味からも、競馬を行うということも、一つ畜産振興じやないか。しかしこれはあくまで畜産振興一つの要素であるというだけであります。もちろん御意見のように、競馬の益金による畜産振興、これも私どもとしましては、そういうことも必要じやないかと思うのでありまするが、政府原案として提出いたしまする場合におきましては、大体こういうようなかつこうになるということを御了承願いたいと思うのであります。
  41. 稲富稜人

    稲富委員 それではこの益金の使途に対しては、何かこれをそういう方面に使うように明文化するという御意思があるかどうかを承りたい。
  42. 大坪藤市

    大坪政府委員 その点は、政府原案として提出いたしてありまするので、これについての修正ということに相なると思うのでありますが、これは政府部内でいろいろ協議の結果提出いたしておる法案でありますので、私としては、この案につきましてどうこう修正するというような点については申しにくい次第でありまして、委員会等におきまして、この点につきましては御考慮をお願いいたしたいと思うのであります。
  43. 稲富稜人

    稲富委員 それでは次の質問に移りますが、従来国営競馬の運営される箇所につきまして、その競馬の運営に対して黒字のところと赤字のところとあつたと思うのでありますが、それについて承りたいと思います。
  44. 井上網雄

    井上説明員 ただいま御質問通りで、赤字のところは北海道、九州であります。それからほかのところは、大体御承知通り、福島が東京で馬券を売りますために、赤字になるべきところが赤字になつておりません。さらに最近始めました名古屋競馬場は、まだ始めたばかりでございまして、賃貸料等も入れますると、相当な赤字になつておるのであります。関東の東京、中山、関西の京都、阪神競馬場というものは大体黒字でございまして、ここでかせいであとをまかなつておる、こいうような事情になつております。     〔委員長退席、佐藤(洋)委員長   代理着席〕
  45. 稲富稜人

    稲富委員 将来この国営民営になるといたしますと、現在黒字経営、赤字経営の競馬場があるわけでございますが、これに対する競馬の施行は従来通りつて行けるという見込みであるか、あるいはこれに対して制限を加えるというようなことになるのであるか、その点の見通しについて承りたいと思います。
  46. 井上網雄

    井上説明員 たいへんむずかしいお尋ねで閉口いたしますが、私どもといたしましては、鉄道の幹線あるいは培養線といつたようなものがあるように聞いておりますが、たとえば九州を例にとりましても、小倉の競馬場は若干のマイナスになつておりますけれども、こういうのは五、六十頭の競走馬が小倉の競馬をやりますためにあるわけでございます。これはおもに地元の九州地区の有力者が馬を持つておるのでございますが、小倉の競馬は年間開催はわずかに二回くらいでございますけれども、この馬が大体阪神地区に向きまして、そこで働いておる。従いまして阪神地区だけでは戦後の経済古情から馬不足でございますが、九州小馬がありますために、阪神地区で組立競馬ができるわけでございます。この関係では、小倉自体が独立採算的にりつばになり、将来あの地方の発展に伴いまして、また馬の数がふえることによりまして、十分に採算がとれて来るとは考えておりますけれども、たといそうなりませんでも、今のような関係がございますので、やはりこれは続けて行つた方がよかろうし、またその限りにおきまして、地元の馬主関係には相当御不平もあるようでございますけれども、まあ将来のことをお楽しみでやつてもおられますので、やはり民間団体になりましても、この関係は当然続けられる方がいいという見解を持つております。
  47. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、赤字経営の競馬場も、民間団体で従来通り国営でやつてつたのを継続すればいい、これだけであつて、たとえばこれを移管する場合に、こういう赤字経営のところをやれとか、そういうことはあなたの方では全然意思表示はされないわけですか。それはただ民間団体の自主性にまかせる、こういう考えでありますか。
  48. 井上網雄

    井上説明員 民間団体に強要するということはどうかと思いますが、農林省といたしましては競馬全体の運営あるいはその他について監督権限を具備するようにこの法案ではなつております。やはり民間団体に慫慂をいたしまして、さらにこの競馬をなるべく続けて行かせるようにしたいものと考えております。
  49. 稲富稜人

    稲富委員 しかしその場合、民間団体が経営上どうも赤字経営はやりたくないのだ、やれないのだということになれば、農林省としては、これに対していかなる監督権を発動されるのであるか、これに対してはどういうことになるか。
  50. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの問題でありますが、私どもといたしましては、今回の切りかえの問題は、現在国がやつております競馬をそのままの形におきまして民営に切りかえる、こういうような考え方を持つておりますので、従つて現在の国営競馬のやり方あるいは施行場所につきましては、現在通り当分やつて参りたい、かように考えておるわけであります。もちろんこの間非常な事情の変更が起ります場合は別問題でございますが、すでに競馬行つておる場所につきましては、現在通り競馬を継続してもらい、現在中止になつております場所におきましても、法律において認められておる開催場所につきましては、復興の機会がありますれば復興していただく、かように考えておるのでありまして、現在やつている競馬につきまして、それを廃止してしまうとか何とかいうようなことは考えていないのであります。現在通りつていただきたい、かように考えておるのでありまして、もちろん今後はこれは中央競馬会と農林省との問題になつて来ると思うのでありますが、精神におきましては、私どもはそういうふうに考えておるわけであります。
  51. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、問題の起るのは、中京のごとく競馬場を借りて競馬を執行しているところでありますが、こういうところは非常に赤字が出るということになると、値りてまでやらないでもいいのではないか、こういう問題は民間団体では当然起つて来ると思う。しかも現在中京競馬場を国が借りている賃借料が相当な額ですが、こういうような点に対しても、やはり民間団体自体においてこれは決定して行く、こういうことになるわけでありますか。
  52. 大坪藤市

    大坪政府委員 中京の競馬場におきましては、現在のところ賃借料その他を計算いたします場合には、プラスではないようでありますが、しからばといつて、今後民営に切りかえました場合に、その競馬場について、民間団体になつたから、黒字でないから必ずしも継続する必要がないのじやないかという議論は、あるいは起る場合も想定されますが、少くともこれにつきましては、いろいろ経過がありますし、しかも今回の切りかえというのは、国営において継続しますことが不適当という考え方のもとに、そのままの形で民営に切りかえるという考え方であります。しかもこの競馬場の設置につきましては、いろいろと経緯があつてできて参つておるのでありまして、必ずしも黒字、赤字ということで割切ることのできない、非常に密接な関係があると思うのであります。従つて民営に切りかえましたからといつて、この関係につきまして、ただちにどうこうするというような点については、これはそういうことをやるべき筋合いのものじやなかろう、かように存ずるのであります。もちろん民営になりました場合におきましては、賃貸料等についての具体的な相談、これはあるいは程度の問題といたしましてはあり得るかとも存じますが、あの競馬場で競馬を続行するということにつきましては、これは現在までの経過並びに今回の競馬民営切りかえの趣旨にかんがみまして、そういうようなことは絶対にあり得ない筋合いのものじやなかろうか、かように存ずるわけであります。
  53. 稲富稜人

    稲富委員 次に、民間に移すということになりますと、従来の国営競馬でやつております競馬場その他の財産の評価の問題が当然あります。これはすでに同僚からもお尋ねがあつたそうですし、中村君からも評価額の問題等も伺つているということを承るのでありますが、これをはつきりお示しになつていないように聞いておりますが、評価額というものははつきり出ておりますか。
  54. 大坪藤市

    大坪政府委員 評価額自体は御提出いたしませんが、評価額を計算する計算の仕方、やり方につきましては、資料として御提出いたしているわけであります。その計算の仕方、やり方によりまして評価して参る、かようなかつこうに相なるのであります。
  55. 稲富稜人

    稲富委員 計算の仕方をお示しになつていると言いますが、その計算の仕方からしますと、大体どのくらいになるのだという見当は、あなた方でついているのでしようか。
  56. 大坪藤市

    大坪政府委員 これは非常な専門的な方法による計算で出て参りますので、今大体どのくらいの金額になるかということにつきましては、ここで結論を申し上げるほどには至つていないと御了承願いたいと思います。
  57. 稲富稜人

    稲富委員 しかしこれは移管する前にはつきりきめておかなければ、その受継ぐところの団体の財産になるので、この点を、法律が通つてしまつた後に計算するんだということでは、私は穏当じやないと思う。やはり移管をするとするならば、これだけのものを移管するのだということは、私はこの法律を通す上において、必要な条件として伴つて来ると思うのでありますが、これに対してあなた方のお考えを承りたいと思うのです。
  58. 大坪藤市

    大坪政府委員 これは御承知のように全額出資という形をとつているのでありまして、その評価につきましては、ただいま御説明いたしましたように、評価の方式を示しまして、その方式によつて専門評価委員というものに委嘱しまして、その結果に基いて大蔵大臣と農林大臣が協議してきめる、こういうようなかつこうに相なつているのであります。これにつきましては、政府財産出資した場合のいろいろ例があるのでありまして、そのやり方の詳細な方法につきましては、大蔵当局から御説明した方がいいかと思うのでありますが、これにつきましては先般大蔵当局からも一応は御説明申し上げたような次第であります。
  59. 稲富稜人

    稲富委員 その点私は釈然としないのでありますが、この法律が通ることによつて、国の財産をその民間団体に、全額出資でありましても移すことになるわけです。国としてはその民間団体に全額出資をいたす以上は、それは評価の基準はわかりましようけれども、やはりその財産の評価基準によつて評価されたものは幾らであるということは、国の財産である以上、当然これをはつきりするのが国としての任務だと思うのでありますが、どうもそれはあなた方とわれわれの考え方と違うようであります。その点どうですか。
  60. 大坪藤市

    大坪政府委員 本法が成立いたしますれば、政府は設立委員を命じまして、日本中央競馬会の設立を命ずるわけでありますが、その場合に、ただいま申し上げましたような方法によりまして財産を評価して、評価額が決定いたしますれば、その額を資本金として日本中央競馬会が発足する、こういうようなかつこうに相なるのであります。それで出資財産の評価につきましては、お手元に政令の原案となるべき事項を資料として提出いたしておりますが、いわゆる倍率法と申します方法と、複成価格還元法という方法、専門家がその二つの方式によりましてはじき出しまして、そのはじき出しました結果を農林大臣と大蔵大臣が協議して資本金額としてきめまして、それを中央競馬会出資財産の価格としてきめました場合に、日本中央競馬会というものが初めて発足する、こういうようなかつこうに相なるわけであります。
  61. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して……。今の局長答弁は非常に誤解を受けると思いますので、さらにお尋ねしておきます。こういう出資は、おそらく現物出資ということはあり得ないのでありますから、当然評価された金額が出資金額にならなければならないと思います。ところが実際はこの評価に相当手間取ると思いますので、手間取つてその上に登記をするか、——あるいは一応あの基準で価格を出して登記をし、さらに精密な評価をいたしました上に減資あるいは増資という形で出資の増減を行うというのが普通のやり方じやないかと思うのです。どうも局長答弁だと、そこのところが非常にあいまいなんですが、現に事業経営をいたして参りますれば、おそらく早く登記をしなければならぬと思うのです。今年この改正によりまして、しばらく競馬を休むというお考えならば別ですが、おそらく非常にすみやかに受継いで業務を執行しなければならぬと思うのです。そうすると、今おつしやつたような評価の仕方をいたしておりますと、非常な長年月を要するのじやないかと思うのです、常識上そう考えられます。そこでこれば帳簿を基準にした一応の再評価のような基準を出されて出資額とし、さらに精密な評価をいたしました上に減資または増資をされることが、最も妥当なやり方だと思うのです。私はそれに賛成だという意味では決してないのですが、それが大体常識だと思うのです。この常識を越えた別な方法をもつて何かおやりになるつもりですか、どうですか。
  62. 大坪藤市

    大坪政府委員 私どもといたしましては、日本中央競馬会は大体秋の競馬から切りかえたい、かように考えておりますので、九月上旬ごろを目途としてやりたい、かように考えておるわけであります。それまでに評価の問題が間に合うかどうかという問題になりますと、あるいはただいま御意見通りに、どうしてもただいま申し上げましたような評価の方法で間に合わないということになりますれば、便宜そういうような方法をとつて、あとでということにもなるかと思います。しかし一応はただいま申し上げましたような方法によりまして、できるだけ評価を急ぎまして、その評価によつて出資額を決定して参りたい、かように考えております。
  63. 川俣清音

    ○川俣委員 急いで評価されるというのですが、設立委員ができまして、どういう評価方法をとるかということについても、相当議論が行われると思うのです。また国の財産でありますために、その評価は軽々にすべきではないと思うのです。設備を見ますと、不動産から動産あり、末端に至るまで、なかなかこれは詳細をきわめなければならないと思います。そこで土地の方は時価をもつてやるとか、あるいは現物の方は帳簿価格をもつて推定するとか、いろいろかわつたこともおやりにならなければならないのじやないかと思うのです。思うけれども、常識からいつて、これだけ大きな財産を評価する場合に、そんな半年や一年で精密な評価ができるとは何人も思わない。半年ぐらいでやるということになれば、いいかげんな評価になつてしまうのではないか。私はいいかげんな評価でものを決定するということよりも、国の財産でありますから、できるだけ手落ちなく評価することが正しいと思うのです。そこで問題は、動産といいながら、破壊するものは一部あるでしようが、そう大きく移動するものでないだけに、仮の評価と申しますか、一応の基準を置きまして評価するこれを登録する、そのあとにおいて正確な評価をなすということがむしろ忠実なやり方ではないかと思うのです。またこれは常識だと思うのです。あなたは常識を逸して、三月から四月の間にやられるということは、これは不可能なことじやないか。不可能を可能だということにしますならば、むしろ不正確な出資となるおそれが出て来るのではないかと思いますが、この点いかがですか。
  64. 大坪藤市

    大坪政府委員 この点につきましては、財政当局とそのやり方についてさらに打合せをする必要があると思うのであります。私どもといたしましては、できるだけ評価を精密に、かつ詳細にやりまして、その上で出資額をきめて、それによつて中央競馬会というものを設立して参りたい、かように考えておるのであります。ただそうなりますると、あるいは九月の競馬は多少時期がずれるというようなことも考えられるのでありますが、そういうような点につきましては、できるだけ事務を急ぎまして価格を決定いたしまして中央競馬会を設立する、かように考えております。
  65. 稲富稜人

    稲富委員 私は本委員会で、これだけの財産民間団体に移すならば、この法案審議にあたつても、競馬に関する国の財産がどの程度のものだということは、一応検討する必要があると思うのです。ただ評価委員会ができるから、評価委員会に一切まかせるのだ、こういうようなことでは、どうも私たちは納得できない。もちろん評価というものは非常に複雑であることはわかります。しかし複雑であるだけに評価委員にまかせておくのだ、基準だけで納得しろと言われても、われわれは納得できないと思う。しかも財産なんかに対しては明示をしていただく必要があるのじやないか。これも明示されていないということは、われわれはどうもはつきりしないわけですが、それでもいいというようなあなたの考えで押し通して行こうとするのでは、われわれはふに落ちないから、ひとつ承りたい。
  66. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの御意見でありますが、評価委員にまかせるとかいうようなことではありませんので、評価委員が一応事務的に、ただいま申し上げました基準によりましてはじき出しましたものを基礎にいたしまして、農林大臣と大蔵大臣が協議して決定して参るのであります。もちろん評価の対象となるべき財産につきましては、台帳その他によりましてはつきりいたしておるわけであります。そのはつきりいたしておりまする財産につきまして、評価の方法によりましてはじき出した金額を基礎といたしまして、農林大臣と大蔵大臣がきめる、こういうことであります。
  67. 稲富稜人

    稲富委員 財産の問題としては、評価委員会——私は釈然としませんけれども、今までどういう質疑応答があつたかわかりませんので、同僚に聞きましてまたお尋ねしたいと思うのであります。  次にお尋ねしたいのは、中央競馬会法と、これによつて生ずる地方競馬との関係です。競馬法の改正によりまして、——もちろん国営だけの改正になつておるのでございますが、地方競馬に対しては、どういう考えを持つておられるか、この点承りたい。
  68. 大坪藤市

    大坪政府委員 現在競馬は、現行競馬法によりまして、国営競馬地方競馬と二つにわけられておるのであります。今回は国営競馬についてのみ日本中央競馬会という特殊法人を設立せしめまして、それによつて国の競馬を引続き施行せしめる、こういうことにいたしたい、かように考えるのでありますが、地方競馬につきましては、現在の地方競馬の各地の実情並びにやり方、あるいは経営主体、いろいろ複雑多岐にわたつております。この競馬につきまして、どういうふうな形で今後競馬制度を改正して参つたらいいかという点につきまして、いろいろ検討して参つたのでありますが、現在に至るまでなお結論に至らなかつたのでありまして、この点につきましては、現行のままでよろしいかどうか、また現行のままでいけないということになれば、どういうふうな形で地方競馬というものを改正して参つたらいいかという点につきまして、今後各方面意見を承りました上で決定して行きたい、かように考えておるのであります。
  69. 稲富稜人

    稲富委員 それでは、地方競馬の問題は、将来まだ検討するという程度のようでございますので、その問題については一応ここでは論外といたします。  次に承りたいことは、要は国営競馬民営に移りましたことによつて、いわゆる明朗な競馬が行われるかどうかという点に、私は将来の競馬運営上非常に重点が置かれて来ると思うのであります。これに対しては、先般中澤同僚委員からも、競馬法の内容について質問しておつたのでありますが、現在の競馬民営なつ競馬との間において、競馬の明朗、公正なる運営をはかるという見解に対しては同じであるのかどうか。将来もつとよくなるという考え方であるのか、この点をまず承りたいと思います。
  70. 大坪藤市

    大坪政府委員 御質問趣旨がきわめてむずかしいのでありますが、もちろん私どもといたしまして、現在の競馬が不明朗であり、または非常にぐあいが悪いというふうにも考えておりません。しかしながら提案理由にも申し上げました通り競馬というものは国で実行いたすよりも適切なる地方民間の企業体にまかせて、国はその実施の外にあつて監督の立場に立つ方がよろしい。こういう見解に立つておるのでありまして、現在の国営競馬が不明朗であるから民営に切りかえるというような考え方ではないのであります。国はあくまで、国自身が実行いたして監督と事業主体とが一緒になるというよりも、監督者は監督者、事業主体は事業主体というふうに区別して参る。その点で競馬の施行というものがより明朗、より明朗と申しますかりつぱな競馬が行われる、こういうふうに考えておりますので、今回は、国営競馬につきましては民営に切りかえる、かように考えたわけであります。
  71. 河野一郎

    ○河野(一)委員 政府は、現在地方競馬を施行するにあたりまして、戦災都市に許可しておりますが、戦災都市の復興には、今後どのくらい続けて行つたらば、戦災都市復興のための競馬は必要ないというふうに考えているのでありますか。それから県の主催しております競馬と戦災都市の特異性を認めて許可しておる競馬とは、おのずから違いがあると思います。これらの点について御承知のところを承りたい。
  72. 井上網雄

    井上説明員 たいへんむずかしい御質問でございまして、戦災を受けた都市の復興がほぼできたかできぬかということにつきましては、たびたび私ども地方競馬の監督の立場から聞いておるのでありますが、やはりこれも材料を出せといつても、なかなかそういう材料を出していただけないのでわかりませんが、大体八分通りできている、あとの二分通りができていないというお話がたいへん多いのでありまして、それではいつまで戦災都市復興のためにこの競馬をやつたらよろしいかという点についてでありますが、これも戦災都市復興のみならず、その他進んで来るいろいろな文化施設のために、その財源でもつて都市の文化的な発展を期しておるという場合もございまして、戦災の復興というのは旧態に復するのが戦災の復興であるのか、あるいは進んで文化都市としての体裁を備えて来るのが戦災の復興であるのか、その辺の見解によつてつて来るのではないかと思います。しかしほぼ、ただいま河野さんのお話のように、もうこの時期になればだれが考えても、戦災については大体復興した状態が相当多いのではないか。にもかかわらず競馬法に年期を切つた規定もございませんので、現在の競馬法があります限り、戦災復興という名において競馬が続行されるのでありまして、その点につきましてはこの法律を通過させていただきましたあかつきに、地方競馬に関する審議会を持ちたいと考えておるのであります。で、それらの審議会等においていろいろの調査材料が要求されると思いますので、多少時間がかかりますけれども、そういう審議会等におきまして十分に検討する方がよろしかろう、というふうに考えております。
  73. 河野一郎

    ○河野(一)委員 何かわかつたようなわからないような答弁ですが、この法案か通過した後においてというが、通過しなければこれはおやりにならないのですか。この法案が通過するとかしないとかいうことと、戦災都市の復興のためにやつておる競馬が必要であるかないかということとは何にも関連性がないと私は思う。現に東京の各区がそれぞれ戦災復興の意味において競馬を主催しておる。だれが見たつて日本中で、今日の農村の実情に比べて、東京の各区に競馬を主催させて、相当の財源を得て、この金を使つておるという理由は、われわれ全然納得できない。むしろ農林省は、進んでこういうものをやめて、畜産振興のためにこの財源を戦前のように使うことが当然だと私は思う。そういう怠慢なことをしておつて、それで法律がある間はいつまでやつておるのかわからない。この法律が通つたならばあとで審議会を持とう。審議会は、この間私はこの委員会の最初に言つた通り、この前の審議会で論議をしたのです。論議をしたけれども、そのときはまだおととしのことだつたから、大分事情が違つてつたが、そういう考えで一旦延ばしに延ばすということは大体よくない。たとえば今もお話のあつた通り、現在の競馬の運営の仕方と民営に直したときとどう違うか、私に言わせればこれは根本が違う。競馬のようなものは官営でやつた国営でやる必要はない。これは敗戦後のああいう事態だつたし、連合軍の示唆によつて国営競馬に直したのであつて、われわれ国民の要望によつて直したのではない。一体民営でやつているものを国営競馬に直したのは、アメリカがやれと言つたからやつただけの話であつて、これについては今日議論もあるのです。やれと言わぬとか言つたとかいうような議論もあるくらいだ。そういうふうに間違つたことを今日までして来たのだから、それをまたもとへもどして直して行くということなんです。りつぱに民営で戦前においてやつて来たものを、そういうことでもつて国営に直したのだから、一日も早く民堂に直すことが妥当なことであるという信念を持たなければいかぬのであつて、役人というものは、一ぺん自分たちが握るとなかなか離しにくくなつて来る、そういうことは非常に悪いところなんです。露骨に私に言わせれば、恩給をとる役人さんが競馬開催の許可をやることはもつてのほかなんだ。また同時に、戦災復興のために競馬開催さした、戦災復興というが、今日だれが見たつて戦災は復興しておる。それよりももつと敗戦の影響を受けておる農村に対して、各方面において非常に悪い面が出て来ておる。そういう面に対して財源を与えて行くことは急務中の急務なのです。そういうことを怠つておることは、私は遺憾千万だと思う。審議会を持たなければというが、審議会を持つたら一体何になる。この前審議会を一ぺん持つたじやありませんか。審議会の結果をどこにお使いになりましたか。何も使つていない。一体審議会はしり切れとんぼで、結論も出さずに、御苦労さんも言わずにやめた。このことは私がこの委員会の初めに言つた通りです。そういうように審議会を持つとか何とかいう一時の方便の答弁は、私はいかぬと思う。そうでなしに、あなた方がどういうふうにしようと思つておるかということを言われればいいのだ。国営競馬と同様に、アメリカの命令でやめさしたのを元にもどすということは、これは地方競馬についてもあたりまうえの話です。まだここに問題があるのは、戦前は主催するりつぱな団体があつたが、今日はその団体がない。私の見解ではそこに問題があるのだ。だからそのために経過規定がいるだろうということを考えておる。しかしいずれにしても戦災都市等に対しては——この問も戦災都市の市長が集まつて、この競馬法に反対だという決議をどこかでしたそうだが、そういうでたらめな、べらぼうなことをやるのは、私は厳に戒めなければならぬと思つておる。それからこの競馬の益金がどういう方面に使われておるかということ等については、十分の監督がなければいかぬと思つておる。そういう点について監督されたことが一体ありますか、全然ないのじやないかと私は思う。これはひとつ十分にお考え直しを願わなければならぬと思います。ことにこの法案が通れば、今の競馬部の大多数の人はいなくなつてしまう。競馬を監督する人間だけが役所に残つて、あとは残らぬということになる。そうすると地方競馬の問題についてはだれがどういうふうに考えて行くか、考えて行く人か違うということでありますから、この機会に地方競馬のことについても割切つた答弁を承わらぬと、私たちは満足できない。畜産局長からひとつ答弁を願いたい。
  74. 大坪藤市

    大坪政府委員 地方競馬の問題でありますが、ただいまの御意見通り国営競馬につきましては、国で競馬のような性格のものをやるべき筋合いじやないというように考えますし、従つて今回ここで説明申し上げましたような組織に、現在国でやつております競馬をきりかえて参りたい、かように考えておるのであります。国営競馬に関します限りただいまの御意見通りであります。  地方競馬につきましては、私どもといたしましてどうやればいいかという点について、いろいろと研究をいたしたのでありますが、ただいまのお話のように、受入れ団体等につきましてもいろいろ問題があるのであります。また過般審議会を開きました場合におきましても、いろいろ御意見がわかれたような情勢もあるのでありまして、今後この問題につきましては、とくと研究を重ねて参らねばならないのではなかろうか。国営競馬につきましては一応結論を得ましたので、今回法案を提出いたしたのでありますが、地方競馬につきましては、どういう形に持つてつたらよかろうかという点につきまして目下検討をいたしておるのでありまして、成案を得ますれば、地方競馬につきましても、そのやわ方につきましてまた法案を提出いたしたい、かように考えておるわけであります。
  75. 河野一郎

    ○河野(一)委員 この前の審議会の際に反対したのは戦災都市の代表者です。これは引続いて自分が競馬開催をしていたいから反対をした。その他の人に反対はなかつた。これはいつまで続きましても、最初に私が伺いました通りに、戦災都市という名称で競馬をいつまでもやらせる必要があるかということです。政府の認識が一番大事なんです。戦災都市ということで、その復興に金が入用だから競馬をやらすのだということであれば、十年たつてもこの議論は対立しておるのです。今日大方の国民は、戦災復興のために競馬の資金を充てなければいかぬという考え方を持つておるものはなかろうと思う。ごく一部の人はあるかもしれないが、大多数の都市は戦災復興のために資金を持たなければならぬという理由は消滅しておると思う。こういう点について政府が十分な資料を持つとか、みずからがどういう認識を持つとかいうことが一番大事なのであつて、もしこれをきめるとすれば戦災都市に関係のない人を集めてその決定をしなければ、これはきまらぬと思う。  次に伺いますが、競馬によつて生ずる益金の一部を畜産振興に使い、その他の社会事業施設に使うということをわれわれは強く要望しておるのですが、この点についての考えは、政府当局も違わないと思いますがいかがですか。
  76. 大坪藤市

    大坪政府委員 競馬の益金につきまして、それが畜産振興に使われるということにつきましては、私ども畜産関係しておるものといたしましては、きわめて光栄に存ずるところであります。もしそういうようなことができるといたしますれば、ぜひそういうふうにお願いいたしたいと思いますが、一応政府原案としてただいまのような法律案を提出いたしておりますので、政府としましては現行の通りでやつて行きたいと考えておるのであります。
  77. 河野一郎

    ○河野(一)委員 これも前回私は申し上げましたが、たとえばガソリン税を道路の改修に使えというふうに——これらは最もはなはだしい例ですが、なつておるということであるから、戦前以来慣習になつております競馬の益金のうちの少くとも三分の一は、当然畜産振興に使い、その他のものについても、こういうふうなものに使うようにしてほしい、また政府としても、関係当局はそれについて熱心に考えておられることは当然だと思う、それが本来の精神だと思う。ところが今言うように、地方においては何にもその規定がない。地方においてはその精神が何にも織り込まれていないということは一体どういうことか。私は非常に遺憾に思う。それについて農林当局は、地方競馬について何らか指導されたことがあるかどうか承りたい。
  78. 井上網雄

    井上説明員 御承知のように、地方競馬に関する現在の競馬法の規定が、戦災都市等を除きます府県に、やはり競馬法全体の精神からいたしまして、畜産振興ということを相当考えるということになつておると思うのであります。しかしながらこれは、たとえば刈分の一出せとかいうようなことにつきましては、その通りに実行せられておるかどうかということになりますと、政府の場合と同様に、地方によりまして、畜産振興の経費が相当上まわつてつて地方競馬の収入は少いというところもございますし、どうもその辺が不明確でございますので、われわれといたしましては、重大な関心を持つておりますけれども、よくそういうふうに話しておりましても、実際は一般会計の中に繰入れられて出て来ますために、その辺が現在の規定では、監督指導は明瞭にこれをやるということはやや困難を感じておるのであります。しかしながら口頭その他をもつて競馬法の精神にのつとりまして、戦災都市を別にいたしまして、それらの府県に対しましては、機会のあるごとにそういう話をいたしております。私、畜産局の一人でありますので、そういうことをやるのは当然でございますが、そういうふうにやつております。
  79. 河野一郎

    ○河野(一)委員 これは具体的な問題ですが、この競馬法が成立しまして民営競馬が実現されました際に、今の馬事公苑ということになつておる騎手の練成場その他馬の育成場がある。ああいう施設についてはどうでございますか。
  80. 大坪藤市

    大坪政府委員 本法におきまして、は、競馬施行に必要なる施設は、一括して中央競馬会出資するという方針をとつてておりますので、馬事公苑、それに伴う騎手の施設等につきましても、同様に出資財産として出資いたしたいと考えます。
  81. 河野一郎

    ○河野(一)委員 あれは競馬施行に絶対必要な施設と私は思わないのです。私がなぜこういうことを言うかといいますと、競馬施行に必要なる施設というと限界が非常に困難になつて来る。競馬を施行するのにむだな費用が使われやすい。そこに一般の誤解も生れて来る。競馬を最も合理的に経費を節約して施行いたしまして、その益金をなるべく上げるようにすることが一番必要だと思う。それをことさらに馬事公苑のようなものをこれにつけてやりますと、国家として財産をこういうものにつけてやることになる。しかもそれは競馬の施行に絶対必要かというと必要じやない。騎手の練成にしましても競馬場で十分できる。馬の育成にしてもできる。馬事公苑のようなものは、これはかつて競馬開催しておつたものが持つてつたのじやない。金が余つてつたから、ああいうものをやつて乗馬の施設にした。今度民営競馬にする際に、ああいうむだなものをつけてやりますと、つけてやつたためにむだな経費がかかつて競馬会の定着がここに生れて来るので、そういうことは厳にやめなければいかぬと思うのですが、私の考えは間違つておりますかどうですか。
  82. 大坪藤市

    大坪政府委員 あの施設が競馬そのものに直接必要な施設であるかという点につきましては、競馬場のような直接的な関連性はないと思いますが、競馬を施行するために必要な騎手、そういう者の養成のために必要な施設でありますので、これは国営競馬を施行するためにああいう施設が必要であると同様に、競馬会競馬を施行いたします塩合には、ああいうような施設も当然それに伴うて必要じやなかろうかというように考えるのでありまして、その意味合いにおきまして、出資財産として出資をいたしたいと考えます。
  83. 河野一郎

    ○河野(一)委員 私はいらぬと思うのですが、それをいるとかいらぬとかいうことはどこできまるのですか。
  84. 大坪藤市

    大坪政府委員 出資財産の範囲は、第四条で、競馬会の資本金は、競馬会の成立の際現に国営競馬特別会計に属している動産及び不軌産の価額の合計額に相当する金額を出資するというようなかつこうになつておりまして、国営競馬特別会計に属しているものを出資いたすのであります。その場合一応国営競馬の特別会計に属しておるものは、特に必要でないものを除外いたしまして、あとの必要なものは全部地方競馬会の出資財産として引継ぎますから、具体的にはこの限界点は政令できめる。しかしその政令の基準は、国営競馬特別会計に属している財産であるということと、その財産のうち不必要なものを除く、こういうような規定の書き方に相なつて参るわけであります。
  85. 河野一郎

    ○河野(一)委員 そうすると必要であるとかないとかいうことは政令できめる。つまり農林大臣がきめるということになりますね。それはああいうふうなむだなものを持つて行くことのためにむだな金がかかりますから、かんじんな財源が減つてしまうことになるのであつて、私の意見を十分に考慮してもらいたいと思う。場合によつたら、委員長の御了解を得て、委員諸君に一ぺん十分検討を願いたいと思う。今世田谷にある馬事公苑というものは、あれがなければ騎手練成ができぬということは絶対ない。騎手の練成は競馬場でできる。今の競馬場には馬もありますれば、先生もおられる。非常に広汎な地域であつて、そういうむだなものを持つから金がかかる。一年にどのくらいの金かかかつておるか知りませんが、相当な金がこれを持つためにかかると思う。そういうものを競馬会に持たすからよけい金がかかる。こういうむだな財産は国家へ残しておいてやることがよいと思う、こんなことを申し上げて恐縮ですが、この点は特に委員諸君の御一考を煩わしたい。政府にも強くこの私の意見を取入れるように勧告いたします。
  86. 大坪藤市

    大坪政府委員 ちよつと表現の方法がまずかつたのでありますが、不動産に関しましては、全部国営競馬特別会計に属している財産は、出資財産として委譲するという建前をとつております。と申しますのは、国営競馬特別会計というものは競馬に必要な財産によつて成り立つておりますので、その財産に帰属している不動産は全部出資財産とする。動産につきましては、競馬監督に必要な動産等もありますので、その範囲を除く。こういうような建前をとつておるのでありますから、法律の第四条の規定によりまして、当然馬事公苑等の財産出資財産になると考えます。
  87. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員長代理 午前中の質疑はこの程度でとどめて暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた