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足鹿委員 それでは私は困ると言うのです。もう少しわかりやすく——すでに今まで御
指定に
なつた所もあるのです。この基準から行きますと、ほとんど水田
酪農地帯は入らない。今度の
趣旨がまつたく
草資源に恵まれた、そうして自家労働力との
関係を見ても十分に間に合う、そういうようなところからこの基準がつくられておるように思いますが、しかし必ずしもそういうところにのみ
限定しなくても、熱心に
地帯指定の
希望を持
つておる所は全国に相当あろうと思います。これの基準で行きますと、ほとんど
草資源に恵まれた
地帯だけに限られるような結果が出て来はしないか、こういう点も案じられるのであります。しかも全体を通じて、この
法律は政令または省令に譲
つておる面が非常に多いのであります。どうもかんじんなところになりますとみな政令、省令ということにな
つておる。一種の総動員立法のような感じも、読んでみて受けるわけでありますが、これをしかも行政的にあなた方が、
府県知事の出したものを何者の
意見も聞かないで、知事の
意見を
畜産局が検討されて
指定地区をきめて行くということは、あなた方を別に信用しないわけではありませんが、結果から見て非常に独善的だとのそしりを受けられる場合も出て来ましようし、また全体から見て不適当だという批評も出て来る憂いもあろうかと思います。
従つて何人が見ても公正適正な
地域の
指定が行われておるということが、この法の
運用上私はきわめて重要な一面ではないかと思うのであります。その点について午前中も御
意見がございましたが、必ずしも集団
酪農地帯だけが
酪農地帯でないことは言うまでもないのでありまして、全国にはこの
指定は受けないが、有数な
酪農地帯も今後もできるであろうし、現存もしておるでありましよう。そういつたような点等をにらみ合せまして、特に今後海外の乳製品等の国内
輸入の機運も非常に強くな
つてもおりますし、
内地酪農を全面的に振興し、かつこれを合理化して行くというような点につきまして、
基本的な振興
計画について適当な機関を設けてこれにはかる、あるいは紛議が
府県段階であつせんが成立しない場合には、さらにその機関等にも諮
つて行くという点、もちろん
地域指定の点についても諮るというふうな場合に、あなた方の判断だけでこの重大な問題が決定づけられるということは、少し適当でないように私思うのであります。でき得べくんば
酪農審議会とでもいいますか、そういうものをつく
つて、そして
集約酪農地域の
指定、あるいは乳価の安定を含んだ全面的な
酪農振興の
基本方針を検討して行く、その一環として、
酪農振興計画に基いた
地域指定を行うためにその機関の
意見を徴するというふうに当然相なるべき性質のものではなかろうかと私は思うのです。従来いろいろ批判はありましたが、当
委員会が相当の特殊立法をやつた従来の経緯から見まして、きわめてわずかな
予算の特殊立法にもかかわらず、相当権威ある審議会をつく
つておることは御存じの
通りであります。いわんやこの
酪農振興法のごとき、非常に
地方住民の注意が集中し、しかも今までの
指定の経過から見ても、われわれは純粋に事務的にあなた方が
指定しておられるとは
考えがたい節がある。この
指定の問題をめぐ
つて、相当政治的にやられておるという印象を強く持つ点もあります。すでにそういう結果も現われておる。いわんや今後大量の
指定を、ある年間に百箇所と伝えられ、あるいは五十箇所と伝えられておりますが、その全貌も明らかにできるならば、何年
計画で何箇所つくるということも承りたいのでありますが、そういうことが従来の
指定の実績から見ましても、私は、ただ知事の申入れたものをあなた方がこの基準に当てはめてきめて行くということでは、納得の行かない場合が相当出て来るのではないか。それは
酪農振興の上から見て、必ずしも喜ぶべきことではないと思いますが、この点については、審議会をつくれば国
会議員を入れなければならぬというような
考え方を必ずしも持
つておりません。何もかにもみな国
会議員を入れなければならぬというのではありませんが、知事がきめた
計画を、あなた方だけでその適否をきめて、はたして万全を期し得られるかどうか、私は期し得られないと思う。従来の実績を一つと
つて考えてみても、少し無理がある。新たにこれにかわるべき何らかの公正妥当な
地域指定が行われ、あるいは全面的な
酪農業の振興について、権威ある
方針が樹立されて行く何か別の対策をお
考えにな
つておるのでありますか。な
つておるならば、それを承りたいし、ないならば今後どうしてこの適正なる
指定、あるいは
酪農一般の振興の基盤を樹立されて行くか。今後
予算がいろいろとむずかしくな
つて来る。そういう場合には、
予算の
裏づけも行政力だけではなかなか無理な場合も出て来ましようし、相当問題はあると思います。そういう点が、この
法案全体を通じて一番欠けておりはしないかと思う点であります。この点をお伺いいたしたいのであります。