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1954-04-16 第19回国会 衆議院 農林委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十六日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 金子與重郎君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    遠藤 三郎君       小枝 一雄君    佐藤善一郎君       寺島隆太郎君    松岡 俊三君       松山 義雄君    神戸  眞君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    永井勝次郎君       中村 時雄君    久保田 豊君       安藤  覺君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         林政課長)   臼井 俊郎君         農林漁業金融公         庫理事     瀬戸口 弘君         農林漁業金融公         庫業務第二部次         長       山口 逹喜君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 四月十四日  委員堤ツルヨ辞任につき、その補欠として稻  富稜人君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として堤  ツルヨ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員堤ツルヨ辞任につき、その補欠として稻  富稜人君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員井手以誠君及び中澤茂一辞任につき、そ  の補欠として永井勝次郎君及び中村時雄君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  井手以誠君議長指名委員に選任された。 同日  理事吉川久衛君の補欠として金子與重郎君が理  事に当選した。     ————————————— 同月十五日  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  保安林整備臨時措置法案内閣提出第一一〇  号)  国有林野法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一四四号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五〇号)     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りをいたします。吉川久衛君より理事辞任いたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。つきましてはその補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、金子與重郎君を理事指名いたします。     —————————————
  5. 井出一太郎

    井出委員長 次に、昨十五日本委員会に付託になりました、内閣提出農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたし、審査に入ります。まず本案趣旨について政府説明を求めます。平野農林政務次官。     —————————————
  6. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  長野営林局は、林野庁地方支分部局として長野西筑摩福島町に所在し、長野県一円及び新潟、岐阜両県の一部を管轄し、国有林野三十五万八千ヘクタール及び公有林野官行造林地二万八千ヘクタールを管理経営いたしているのでありますが、これを本年度中に長野市に移転するというのが、この法案趣旨であります。  長野営林局が現所在地に設置されました沿革は、昭和二十二年の林政統一国有林野事業特別会計発足にあたり、当時の時間的制約及び資材経費不足等事情を勘案してひとまず福島町の元帝室林野局支局建物を使用する暫定措置を講じたことによるのでありまして、現所在地から長野市に移転させることは、次に申し上げる理由からここ数年来の懸案であつたのであります。すなわち、国有林野事業重要性の増大に伴い、営林局の対社会的接触面は急激に拡大されつつあり、管下営林署業務を統轄、監督する本来の使命に併行して他の行政庁関係団体等との連絡折衝が重要な任務となつて来ているのであります。しかるに現所在地木曽地方の旧御料林中心地ではありますが、地方行政及び経済の中核からほど遠く、そのため長野営林局は、対外交渉の面において時間的経済的に多大の犠牲を余儀なくされているのであります。加うるに、福島町は山地狭隘地勢にあつて宅地が乏しく、事業量の増加に適応した庁舎その他の施設の拡大の余地はまつたくなく、職員の勤務能率の上に著しい支障を来している実情であります。かような事情でありますから、長野営林局を、県都として地方行政及び経済中心地であり、且つ、広潤な敷地に恵まれている長野市に移し、現所在地における不便を解消し、国有林野事業合理的経営事業能率の向上をはかりたいと存ずるのであります。  以上が、この法案提出する理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  7. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告があります。これを許します。佐藤洋之助君。
  8. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 ただいま御提案長野営林局移転問題につきまして、二、三御質疑を申し上げ、かつは大体においてのわれわれの考え方を申し上げておきたいと思いますが、長野営林局移転につきましては、先月の二十七日に各派代表者が約二名ずつ現地に参りまして、つぶさに山の中に入りまして調査をして参つたのでございます。その結果川俣委員より、あるいは私よりそれぞれ視察の報告をいたしまして、結論を申しますれば、移転することがおおむね妥当であるというような視察結論を出しておいたわけであります。いわば農林委員会総意というてもさしつかえない程度まで問題がはつきりいたしておつたわけであります。  そこでこの問題は、今提案理由にありましたように、数年来の問題でありますだけに、私どもは慎重にこれを取扱いまして、これが提案に対しましての総務会を開き、総務会の席上においても、私としてはこの視察の概要とわれわれ委員会総意を報告いたしまして、総務会においてはこれの賛成を得た次第でございます。こういうことまではつきりしているのでございますから、この結論はきわめて簡単に出るのであります。そこでこの際において林野庁長官にお伺いしたいことは、この予算措置それから長野県及び長野市の受け入れる態勢についての詳細なる説明であります。なおそれによりまして重ねてお伺いするかもしれません。
  9. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 本案に対しまして、いろいろすでに現地視察等をいただきまして、その実情をごらんいただきましたことを非常にありがたく思つておりますが、お話通りどもといたしましては、長い間の懸案をこの際ぜひとも実現いたしたいと存じておりますので、予算関係は御承知通り本年度の切り詰めました予算で一気に施設整理いたしまして、最も早い機会移転を完了するということが相当困難な実情にございますので、一まず現在の成立いたしました二十九年度予算範囲内におきまして、できる限り準備を進めさしていただくということで一応今見当をつけておりまするのは、基礎だけは少くも完成する、そうしてもしその後におきまして、予算の実行にあたりまして余裕が出た場合に、予備費等の流用も協議していただく、あるいは補正予算機会があれば、それらの機会において御審議を願う、こういうことで進行することに大蔵省とは了解をいたしておりますので、この際移転の時期を、一応年度一ぱいで適当な時期ということで政令で定めさしていただく、こういうことにいたした次第でございます。これに対しましては、長野県といたしましても、現状を十分御了解をいただきまして、広い見地から国有林野事業経営合理化をはからなければならぬということで、全面的に御協力をいただいておる次第でございます。特に受入れ長野市につきましては、もし移転の際には、敷地等を妥当な所を予定するということで、市において確保していただいております。ただちにこれが準備に着手できるという情勢になつておりますので、住宅問題等に関しましても、積極的な御協力をいただける、こういう情勢になつておりますので、大体受入れ態勢は十分整備いたしておる、かような考え方を持つておる次第であります。
  10. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 資金面の操作とかつ長野市における受入れ態勢長官の御説明で大体了承いたしましたが、そこで御承知のように、帝室林野局であつたものが昭和二十二年の五月にこの長野営林局にかわつたわけであります。従つて約六年の歴史をけみしておるわけでございまして、木曽福島といたしましても、これに対する相当な影響があると思います。そこでこれらに対する将来の問題については、後に関係のある委員長から、これは県の選出代議士として御説明があると思いますが、そういう点もむろん御考慮があると思うのです。そこでこの移転さきにも委員会でいろいろ論及されたのでありますが、いわゆる単純なる考えである、つまり長野四十万町歩林野行政の上からいつて、やはり私が視察団として試みたように、鹿を追う猟師山を見ずであつて、山の中におつたのでは長野四十万町歩林野行政は困難であるという見地からいたしまして、これは行政地中心である長野市に移転するということは妥当であると思います。しかしこの問題が一たび起りまするや、提出前におきまして各地において、新潟をやるとか、あるいは前橋東京に来てどうするとか、今いろいろな問題があるのであります。そこでこれら管区の変更問題はこれは将来の問題として残しまして、将来は適当な機会に、わが日本全体の林野行政をどうするというような大きなた見地から、ひとつその管区の変更ということを考慮に入れるということを、実は強く附帯決議でもつけたいと思うのでありますが、この際は附帯決議なしに、私は私の要望として強くこれを記録にとどめて置きたいと思うのでありまして、この点について、将来の考え方について具体的な問題じやなくして、具体的にまた長官が答弁されることはこれまた波瀾を呼び起しますので、これらに対しましての考え方をお述べおき願つておけばけつこうであります。
  11. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 本来から申しますれば、非常に草創の間に出発いたしました国有林野事業の不備を根本的に是正するという必要は、私どももかねがね考えまして、いろいろな案を持つてつたのでございますが、この際非常に差迫つた問題として移転した、これだけはぜひとも実現させていただきたい、かような考え方でおりますので、近い将来におきまして国全体の機構整理考えさしていただく際にはぜひとも合理的な管轄区域の再配慮を立案いたしまして、御審議をいただくという機会をぜひとも持ちたい、かように考えておりまするが、現在具体的にいろいろ考えました線においても、さらに検討を要する点が相当あると存じますので、全体の機構整理改正等の際にはぜひとも考慮さしていただきたいということを、特にこの際申し添えさしていただきたいと、かように存じます。
  12. 松岡俊三

    松岡委員 これに関連して、戦争の疎開のために前橋営林局ができておる、国有林面積あるいは行政区域面積から言うても、福島県は百三十九万町歩行政面積である、そのうち四十八万八千町歩民有林がある、四十三万五千町歩国有林である、これに反して群馬県は六十四万町歩行政面積であつて、二十万千町歩民有林であり、二十万町歩国有林である、申すまでもなく東北管区群馬県と新潟県の一部が入つて、北海道を除いたほかの全国有林のうち四割六分九厘を占めておる、そのうちの福島県の持つておる国有林がこれだけの公称面積である、これに反して青森営林局管内青森、岩手、宮城三県でありますが、宮城県は七十三万町歩行政面積であつて民有林が二十五万千町歩国有林が十七万二千町歩つておる、宮城県は青森まで一々行かなければならない、これに反して福島がこれほどまでにたくさんの面積を持つておる、福島宮城県はあの通りの近い間である、こういう状態をいくさ前の疎開のために行つたやつが、今日においてもなお依然としてこんなふうになつておるということは、国有林経営の上からどう考えるか。東京営林局管内にこれらのものは入るべきが当然である。ところがそのままになつておるのはどういうわけか。これで支障がないとかあるとかいうことは別問題としましても、宮城県、福島県は東北六県ブロツクとして長い歴史を持つておる。こういうぐあいに全国の四割九分六厘を占めておる。その国有林は、これを運営する上について当然考えらるべきものである。それが疎開なつたままずるずるべつたりになつておるということはどういうことか。もちろん群馬県には御料林がございましよう。これが今度はその中に入つていますけれども、こういうあんばいに面積が示しておる。ほんとうならば、全国国有林分布状態から考えて、福島県一県だけでも十分にこれを経営するだけの資格がある。それを福島を閑却して隣の東京の方に近い群馬にやつておいて、疎開したやつがそのままになつておるというようなことは、はなはだおかしいことである。これについてもどういうお考えであるか、詳細に承りたい。交通の関係からいつて便宜の上から考えて、分布状態から考えても、面積の上からいうても、ちようどバランスはいいと思います。東京営林局管内にこれを入れ得ないで、前橋営林局を特に置いて、そうして福島の大きいやつをかかえ込んでやるということは、主客転倒しておるような状況にあると思う。これをこの際どうお考えになつておるのか承りたい。
  13. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 前橋は、御承知通り東京営林局が戦災で焼失いたしまして疎開して参つたので、私どもといたしましては、旧国有林におきましても実は暫定的なつもりであつたわけでございます。その後内地におきましては、帝室林野局管轄御料林が二十五年の五月に全部が併合になると同時に、特別会計経理として発足せざるを得ないということになりましたので、この際新しくそれを妥当な位置に設置し、さらにこれに準備を要するため非常に出発が遅れるということで、多少の不合理はやむを得ず出発いたしたということでございまするので、ただいま松岡先生の御指摘のような不都合、矛盾は、全体を通じて実はまだ残つておるわけであります。これに対しましては、私どもといたしましては、極力営林局としての経営単位適正化をはかるために再配分を考え、これに相応する営林局位置を選んで、全体を通じての設置法改正をお願いいたしたいということで、さきに二回にわたつて実は御審議をいただくような運びをいたしたことがあるのでございますが、不幸にしてこれが実現を見ず今日に参つておるのでございます。従いまして、先ほど佐藤先生お話に対しましてお答え申し上げました通り、でき得るならば全体の整備配備をいたしたいという希望は十分に持つておりますが、全体の行政改革が今回は行われないということで済みましたが、木曽福島の場合には、差迫つてこの際どうしても一応この問題は切離してでも、移転考えさしていただかなければならない実情になつておるということで、この際ひとまずこれを実現させていただきまして、その後なるべく早い機会に、機構改革伴つて配備等営林局位置を適正に整備いたしたいと考えておるのでございますから、先生の御指摘のような点に関しましては、十分に不合理についても了承いたしておりますることを申し上げておきます。
  14. 松岡俊三

    松岡委員 当局の様子もよくわかりました。これはじつくりと考えなければならぬことで、福島一県だけでもこれだけの面積を持つておる。大きいものを小さいところにくつつけるということは、主客転倒した話だ。東京営林局りつぱにあるのですから行政区画の上からいつてもいろいろな事情からいつても、適当に考えなければならぬ。今日日本独立国になつたのですから、じつくりと御考慮を願いたい。これ以上は質問いたしません。
  15. 井出一太郎

  16. 川俣清音

    川俣委員 今佐藤委員から、本案に対する概括的な質疑が行われましたので、これ以上質疑の要はないと思います。また先般当委員会から現地視察をいたしまして、木曽福島山地狭隘地勢でありまして、防火上からも重要な行政主管庁の所在としては不適当であるという意見を申し述べた。その結果に基いて、政府農林省設置法の一部を改正する法律案を出されたのでありまして、本委員会要望に沿われたことを多とするものでありますが、ただ一点施行期日政令に譲つておられまして、しかも来年の三月三十一日までということになつております。当委員会希望は即刻移すべきであるという要望をいたしておつたのでありますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
  17. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 先刻申しました通り、ただいまただちに施設を完備して移転を完了するという見通しがはつきりいたしませんので、少くとも年度一ぱいには移転を完了いたしたい、かような考え方で、実は時期を政令に譲らせていただいておりますが、私どもといたしましては、設備の完備いかんにかかわらず、一日も早く移転を完了して能率の増進をはかりたいという考え方で、仮の庁舎等の手当ができますれば、でき次第移転を完了するということで、その見通しがつきますれば、政令においてはつきり見当をつけましてこれを完了する考え方でありますので、御了承を願いたいと思います。
  18. 井出一太郎

    井出委員長 この際委員長から若干の点を林野庁長官にただしたいと思います。この長野営林局所在地であります木曽福島町並びにその一帯は西筑摩郡と申しまして、実に山岳重畳たる地帯でございますことは、先般視察をされました委員諸君の十分御認識ある通りでございます。それでこの土地木曽川渓谷地帯であつて、耕地はきわめて乏しく、おそらく郡民の食糧二、三箇月をささえる程度しか生産はございません。従つて山林に依存しなければならない土地柄でありまして、地方民の多くはあるいはそまでありますとか、伐採人夫というようなものをなりわいといたしておる者が多い。あるいはこの国有林材払下げを受けまして、地元ではささやかな木材工業成立をいたして、これが生業の主体をなしておるような状況でございます。しかもこの地帯歴史沿革考えてみますときに、長らく幕政時代尾張藩管轄に属しておりまして、封建的な禁制のもとに一木を切る者は一命を断つべし、こういうふうな鉄則のもとに今日の美林が育成せられて参つたような沿革があるわけであります。明治年間になりまして帝室御料となりましてからも、やはり非常なきびしいおきてのもとに山が守られて参りました。その間帝室におかれては御内帯金を出されるというようなこともあつて地元民に報ゆるの道も講ぜられて参つたような次第でございます。これらを勘案いたしますと、福島町から営林局が他に移転をせられるということは、地方郡民にとりましては一大衝撃であることはもちろんでございまして、この営林局移転問題が二、三年前起りましたが、これも非常に猛烈な地元反対運動等が展開せられたことは、林野庁当局の御承知通りでございます。しかしながら大局的見地からいたしますときに、今日は地元民大方理解をいたしまして、やむを得ない ところではなかろうか、こういう認識に立つておるようでございます。つきましては従来の歴史沿革あるいは現在の経済事情というものにもかんがみまして、願わくば林野当局がこの点十分なる地方民に対する同情の念をお持ちいただいて、営林局移管後も地元にあまり大きな打撃を与えられないように何らかの施設というふうなものをお考え願いたいと思うのであります。われわれの承知しておる範囲におきましては、おそらく現営林局建物がそのままあるのでございますから、これらを利用いたしまして、あるいは試験施設のようなものをつくられるとか、あるいは従来地元で特別な払下げ等もなされておつたのでありますが、これらをさらに拡大されるというふうな方途を講ずるとか、あるいは搬出施設、駅における土場の拡張とか、そういうふうなものなども考えがあると思うのでありますが、この際さような点を一応明確にしておいていただきたい、かように希望する次第でございます。
  19. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 お話の点は、私ども地元方々には、まことに長い間ごやつかいになり、かつ初代の旧御料林、現在の国有林成立歴史等にかんがみまして、木曽谷方々の代々に次ぐまことに命がけの御努力によりまして、あの国有林が今日の整備をいたしておるという点に関しましては、今後これを十分に守り通して、あわせて地元協力を通じまして地元に寄与しなければならないという考え方は、全体を通じて十分に徹底させておる次第でございますが、それにつけましても福島町が、長年にわたりまして経営中心としていろいろ御協力をいただきまして、この際大局的見地とは言え、福島地方のことをいろいろ考えますと、非常に一時的にしろ経済的な、その他有形、無形の打撃を与えるということは否定できないのでございます。この点に関しましては、私どももでき得る限り現在の施設を活用いたしまして、国有林野事業はもとより、林政全般を通じまするこれが活用を企図して、地元の引続いての御協力を願いたい、かように考えておりますので、ただいまもお話のありました通り木曽のひのきの天然林主体といたします現地試験整備する必要に迫られておりますので、これらを中心といたします林業試験機関整備、あるいは木曽谷を総括いたします連絡機関その他によりまして、現在の営林局施設は相当程度フルに活用いたすということを考えて参りたい、かように考えております。その他地元に対しまする施設でございまするが、御料林経営時代には、御内帯金によりまして地元協力にこたえて参られたといういきさつもあるのでございまするが、それと見合いまして、実は御料林時代には世襲財産としての私有林経営という関係が非常に強く現われておつたのでありますが、国有林になりますれば、国家事業として国家施設という考え方地元施設を相当拡充いたしておりまするし、さらに今後も有機的な不可分の協力関係にありまする地元産業民生等の上にも、でき得る限りこれを活用していただくという面を考えなければならぬ、かように考えまするので、地元施設といたしましての国有林利用の面に関しましては、一層強力にいろいろ御相談をいたして参りたい、かように考えております。従いまして、あるいは一部国有林経営としてさしつかえのないところは、開放あるいは使用、利用等開放等も強度に考えて参りたい、かように考えております。その他運搬施設の問題がございましたが、すでにこの問題は私どもも従前から考えておりまして、一部施設を完備いたしまして、福島町を中心といたしまする木材産業資材を直接福島において入手していただけるような施設をいたしております。今後もさらにこれらの点につきまして、地元産業育成のために強力な施設あるいは施策を講じて参るという考えで、それぞれ検討いたしておりますることを申し添えておきたいと思います。
  20. 足立篤郎

    足立委員 先ほど松岡委員から御発言のありました営林局の配置の問題につきまして、私も全面的に賛意を表するものでございます。特にこの際林野庁とされましては、大局的見地に立ちまして、林野行政の推進のために、国有林管理の完璧を期するためにも、従来の便宜主義にとらわれずに、思い切つた組織の編成をお考えにならないと、将来を誤るのではないかということを憂慮いたすのであります。特に保安林整備という重大なる仕事を控えておりまして、これがもし推進される場合には、従来の林野行政の面で考えられておりました重点が、相当移つて来るということも考えますときに、なおさらその感を深うするのでございますが、私はここで一点林野庁長官の御所信をはつきり伺つておきたい点がございます。それは営林局の配置の問題もさることながら、この下部組織である営林署の問題につきましても、この際再検討をお願いいたしたいと思つておるのであります。私は他府県の事情はよくわかりませんが、聞くところによれば、北海道あたりではさらに営林署を増設すべしという必要性もあるやに聞いております。その反面、たとえば東京営林局のごとく、わずかな管理面積しかない営林局における下部組織である営林署におきましては、管理面積があまりにも小さい、営林署としてぎりぎり一ぱい、態様をなす最小限度の面積しか保有しておらないような営林署におきましては、現在問題になつております国有林野整備臨時措置法に基くところの国有林開放につきましても、これが非常な障害をなしておるという事実は明らかでございます。この際営林局の再編成と同時に、あるいはそれに先行して、この下部組織である、林地管理機関であるところの営林 署の配置がえと申しますか、統合整備と申しますか、新設を要するものは思い切つて新設をし、統合した方がむしろ合理的に国有林の管理ができ、今申し上げた国有林野整備臨時措置法に基くところの処置も円滑にでき、あるいは保安林整備に関して今後積極的に業務を進める面においても、この円滑なる遂行ができる、こういうような配置のやりかえをこの際お考えになる御決意なり、御計画なり、御意図なりがあるかどうかという点を、伺つておきたいと思うわけでございます。
  21. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 お説の点は、私どももまことにごもつともに存じておりまして、営林署の整備統合あるいは再配備に関しましては、必ずしも現状が妥当であると考えておりませんので、早急にこれが再配備考えるというつもりで、ただいま具体案を検討いたしております。今年度内におきましても、一部これが実現をはかりたい、かように考えておりますし、この際にはあくまでも合理化の線において徹底化したい、かような考え方を持つております。またこの際におきましても、いろいろな地元事情等によりまして、円滑な運営を期せられぬような事態も想像されますので、皆様方にも御支援、御協力をいただきまして、大局的見地からいたしまして合理化を実現いたしたいと、念願をいたしておることを申し上げておきたいと思います。
  22. 井出一太郎

    井出委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑もなければ、この際討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  それでは農林省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  24. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     —————————————
  25. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれより保安林整備臨時措置法案及び国有林野法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたし、前会に引続き質疑を行います。松岡俊三君。
  26. 松岡俊三

    松岡委員 昨年の七月十六日の農林委員会で私は質問いたしたのでありますが、その質問の要点は、東北管区国有林が、全国に比較してはなはだアンバランスになつておる。これは明治維新の際において、東北が徳川幕府に参画したゆえをもつて、賊軍として——兵庫県知事伊藤博文から建白書が出ておるが、その建白書の中には明確に「今将ニ東北ノ賊平定ニ帰シ、干才庫ニ納ラント欲スルノ時ニ至テ、皇国ノ安危ニ関スル者ハ、唯其政体ノ立ツト立タザルトニ在ルベシ。」云々というようなぐあいに出ております。この問題に関して林野庁の調査課が編纂した公の書類の中に、国有林の問題についても明確に記載されておる。すなわち「斯様に林野の官民有区分の仕事は本来困難な仕事であつた上に、その衝に当つた者の考え方の違いや村の挙証方法の巧拙などで不公平の処置があつたであろうことは想像せられる所である。これがため不当に民有地と定められた所は不問にされ、不当に官林に編入された所については処分の是正方を政府に迫る者が続出し、」云々ということがはつきり出ておる。さらに昭和二十九年二月五日山形新聞に、山形大学の教授長井政太郎君が調査したところによつて、はつきりとこういうことが出ておる。「賊軍加担の報復に薩長閥が国有化、娘身売りの主因つくる」こういう標題で、賊軍に加担したために、民有林であるけれどもこれを取上げたという証拠書類が出ておる。これが山形県の庄内藩の中にある。庄内藩は申すまでもなく明治維新当時徳川の方に加担して、主体となつて当時政権を争うた酒井氏の藩であつた。その庄内地方の西田川郡山戸村からそういう証拠書類がはつきり出て、しかも、これが新聞に発表せられました。こういうぐあいに娘身売りの主因をつくるということにこれがなつておる。そうして北海道を除いた全国国有林中四割九分六厘が東北管区にある。これについてどんなふうに考えているかということを、去年の七月十六日に私が統計をあげてお尋ねしたのに対して、農林大臣がこういうあんばいに答弁している。「松岡委員の御活動の成果の一端の現われでもあると私は存ずるのであります。それで現在の国有林配備状況東北とその他の地方ときわめて平均のとれないアンバランスの状態になつておることは、確かにその通りでございます。それのよつて来たる沿革等は私どもつまびらかにいたしませんが、ただいま沿革等につきましてるるお話をいただきましたが、そういう点もあろうかと存じます。」こういうぐあいに述べて、最後に「耕地としてどのくらいを活用して行くかという総合的な国土計画が打立てられなければならない。御承知のように、先ほど来お話のように、今日国有林整備臨時措置によりまして、そういう意味も盛り込んで整備を行つてつておりますけれども」云々と、ずつと出ていまして、「この山林再配備の問題を、御指摘沿革の問題と離れて、当面した問題として、根本的に考え直して行かなければならぬ段階にある、こういうふうに考えておるわけでございます。むろん沿革はもとより尊重しなければならないのでございますが、そういう意味におきまして、中央森林審議会でもそういう点から御審議を願つており、同時に林野庁におきましても、そういう見地から検討をいたしておる次第でございますが、事きわめて重大でございますから、同時にこれは慎重に研究をいたして、国の百年の計を誤らざるようにいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございます。」こう保利農林大臣が御答弁されているのでございます。今ここに国有林野法の一部改正提案するにあたつて、現実にお認めになつている東北国有林のアンバランスの問題について、どのようにお考えになつて、また今後どういうぐあいになさろうとするお考えである。昨年から今日まで相当の日月を経て来ている。これについて政務次官から詳細な御答弁をいただきたい。真剣にお考えにならなければならぬ問題が、国有林経営の上において多々あろうかと存じます。これについて何らかの調査会でもこしらえてやろうとするお考えがあるかどうかということを、まずお聞かせ願いたい。
  27. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま松岡委員がお読み上げになりましたように、先般大臣からお答え申しました通り、今政府考えているわけでございます。中央森林審議会におきましても、ただいまこの問題は検討いたしているわけでございます。ただ私の個人の考えでございますが、過去においていろいろこうした沿革のあつたことではございますけれども、しかしながらその後長い間日本の国政が続いているわけでありまして、当時賊軍であつたとか何とかいつたようなことは今日では全然問題でないと思います。その後東北出身の総理大臣も農林大臣も多々あつたわけでありまして、先ほどの問題は長く続いているわけでございますから、今ここで当時賊軍であつたというような事情をもつて、この東北国有林問題をどうするということは妥当でないじやないかと考えるわけでございます。     〔委員長退席、足立委員長代理着席〕 ただそういう点を別といたしまして、国有林全国の配分の状況という点からいろいろ考えなければならぬ。こういうことで今回も国有林野法の一部改正案を出したようなわけでありますが、中央森林審議会におきまして十分の検討をいたし、慎重に進めて参りたいと思うわけであります。
  28. 松岡俊三

    松岡委員 私はこのたびの林野法の一部改正について、国有林の問題については相当にお考えなつたその跡はこれを了とします。今までこういうぐあいにならなかつたのをここまで来られたことは、私は了としますけれども、この前の委員会においても、平野農林政務次官から、一般会計の問題についてもお答えがあつた通りに、実際に国有林があつたがために東北が水害を免れたことは事実であります。それほどまでに全国を緑化せなければならない状況にあるときに、国有林があつたがためにかようになつたことは、私どもも喜んでおりますが、しかしその反面には、いかにも国有林利用させていなかつたことも事実なんです。東北が今日のような貧困な状況にあつて、その分化の程度施設程度全国的にはなはだしくアンバランスになつていることは、これもまた林野庁長官がはつきりお認めになつていらつしやる通りに、ひとり国有林の問題だけではありません。全国的の政治の不偏不党の上から考えても、すこぶるアンバランスになつている。こういうふうになつたのは、一面においては民有林であれば、材木が高くなればこれを売り払つて行くのは当然なことである。材木が高くなつていくらほしくても、絵に描いたもちと同様で、容易に国有林から払い下げてくれなかつたことも事実である。この要求を満たしてくれないことも事実である。それがために水害がなかつたことも事実である。こういうぐあいになつて、一面においては国有林の値がどんどん上つて行く。明治維新当時には、先ほどの兵庫県知事伊藤博文が言われたように、東北の賊まさに平定に帰すというぐあいで、みなただでとつてしまつて、今日は材木類が高くなつておりますから、その金を一般会計にやつて、水害の方に三十余億円も国有林の中から出している。こういう点は、ほんとうに日本の政治の正しさの上からお考えを願わなければならぬ。かるがゆえに、私はただいまの平野農林政務次官の御答弁のように、今ただちにとは申しませんけれども、このアンバランスをこのままでやつておくことはできないきわめて重大な問題である。次の機会に、東北国有林の問題について真剣にお考えになつて御善処くださることが、この国有林野法の一部改正の問題を決定する上について、きわめて密接な関係を持つております。私はこれについて十分なる御考慮を願わなければならないと、同僚諸君にも希望する次第でありますが、今申し上げましたようなぐあいに、東北国有林の問題については、特段に御研究くださるような調査会というようなものをこしらえて、御出発くださるという御意思があるかどうか、私はこれをお尋ねしたい。
  29. 平野三郎

    平野政府委員 東北だけについて特別の調査会をつくるということは目下考えておりませんが、全体の林野の配分については、中央森林審議会もございますようなわけで、さらに慎重に検討いたしたいと思います。
  30. 松岡俊三

    松岡委員 それはごもつともなお話ですけれども、私の質問は、明治維新の間違つた沿革をどう考えるかという問題なんです。日本国有林全体の問題を検討するのはあたりまえのことです。その中で、東北はこんなふうになつているということを、林野庁の調査課が発行した本の中に、間違つたことが書いてある。これを是認しています。この是認しているのを、特に東北のために考えることはないというような御答弁では、東北は満足することはできない。もう一ぺんお考えを願わなければならぬのですが、林野庁長官としては、長く東北実情をつまびらかにしている方ですから、もう一ぺんこれについての御答弁をお願いします。
  31. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 現在の国有林が、東北、北海道に相当集中いたしておるという問題につきましては、あるいは成立当時にいろいろな事情があつたということも考えられるのでございまして、今日さらに国有林の性格を明確にいたしまして、これに沿うように再配分をするということは、私ども重要な問題である、かように考えております。その際に成立のいかんという問題よりも、現実の問題といたしまして、かような結果によりまして、非常に性格の不明確なアンバランスがあるという問題については、総体を通じて十分に検討いたす必要がある、かように存じております。これらは根本的な問題でございますので、衆知を集めて、なるべく適当な機会に再配分の考えられるような手段を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 松岡俊三

    松岡委員 たいへん明確に承りました。農林次官として、の御答弁も私は是認せざるを得ますまい。しかし今のアンバランスについては相当お考えになつていらつしやることはわかつたので、さらに私どもも努力したい。この問題については、毎年二十億近くの金を使い残して、東北から出しておるという状態であります。北海道の開発のごとく、あるいは愛知県の干拓の問題のごとく、東北を一団としたこの国有林の収益から使い切れずして残しておる金の問題については、さらに私は別個に考えなければならぬことだと思います。  この程度に私はいたしておきますが、先般私は、林野庁に二十九年度の各営林局予算についての資料を出していただくことをお願いしておきました。二十八年四月一日から二十九年二月末日までの収支計算は出ておりますけれども、この前申し上げたように、二十九年度の収支の予算はできておるはずなんです。そこで各営林局ごとの収入支出の資料を出していただくように、お願いをいたしておきます。委員長よろしいですか。——今申した資料の提出方を急速にお願いしたい。
  33. 足立篤郎

    足立委員長代理 次は足鹿覺君。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 私は昨日の林業小委員会におきましてずつと御質問申し上げたのでありますが、昨日留保いたしました森林金融についてきようは承りたい。最初に長官に何いますが、森林金融の現況はどういう状況でございますか。
  35. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 林業金融といたしまして、農林漁業金融公庫で取扱つておりますものは、二十八年度におきましては造林資金といたしまして五億、樹苗養成が一億、林道資金が十二億、伐調資金二十二億、合計いたしまして四十億円という資金でありますが、そのほかに木炭倉庫の資金といたしまして五千万円、これも公庫でお扱い願つております。そのほか関連産業施設資金といたしまして、開発銀行の融資があるのでございますが、この問題に関しましては、実は先般も松浦委員からお話のありましたように、必ずしも円滑には参つておりません。二十八年度におきまして繊維板及び削片板の融資といたしまして一億七百万円、亜炭ブリケツトの施設といたしまして二千五百万円が確定いたしておるにすぎないのであります。二十九年度におきましては、実は金融公庫のわくの総体が相当減少しております関係上、多少圧縮の余儀なきに至つておりますが、現在予定いたしておりますのは、造林が三億、林道が二十億、伐採調整資金といたしまして二十一億、それから木炭倉庫が四千三百万円、合計いたしまして三十四億四千三百万円が一応予定いたされております。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 林業金融の概況を承つたわけです、昨日も林道の件についで、お尋ねをいたしておるのですが、その資料をいただいた上でと思いますけれども、まだその資料をいただいておりませんが、この二十八年度における林道の十二億、伐調の二十二億というものの融資状況はどういうふうになつておりますか、これは農林漁業金融公庫の方の関係から、具体的に御説明を願いたいと思います。
  37. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 ただいま申し上げました中で少し申し落しましたのでつけ加えておきますが、さらに二十八年度の農林漁業資金といたしまして、冷害対策をめぐりまして林道費として四千三百万円、それから伐調資金に三億がプラスされて資金の対象となつておりますことをつけ加えさしていただきます。
  38. 瀬戸口弘

    ○瀬戸口説明員 ただいまお尋ねにございました林業関係の融資の状況を二十八年度について申し上げます。造林資金のわくが六億ございまして、それが実際に三月末までに貸付を決定いたしました数字が三億九千八百万、端数はありますけれども省いておきます。次は林道でありますが、林道のわく十二億に対しまして、実際に貸付決定いたしましたのが三月末で十四億五千四百万円余ございます。これはわくよりもオーバーしております。それは造林の方でわくが余りました分を林道の方に全部まわしておる。それから伐採調整が二十五億のわくに対しまして二十四億九千九百万円、それから木炭倉庫が五千万円に対しまして二千百万円、これも余りましたものは林道の方に全部持つて参りました。そういうことになつております。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 林道についてわくが出ておるようでありますが、林道融資はどういう基準によつておやりになつておりますか。この点について、私ども地方でいろいろ伺うところによると、相当問題があるように聞いております、この十二億という金は、林道の現況から見れば、林野当局にいつも少い少いと言つておるのですが、それをオーバーしてお出しになつたことはよろしいとして、非常に含みのある融資方法がとられておるのではないかと私ども想像するのですが、この林道並びに伐調の融資の基本条件はどういうふうにしてお定めになつておりますか、それを承りたい。     〔足立委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 山口逹喜

    ○山口説明員 林道融資の基本方針といたしましては、森林組合、同連合会、農業協同組合等を重点的にやることにいたしております。その重点的と申します具体的なやり方は、森林組合、森林組合連合会等以外の会社等が申し込みます場合の条件といたしまして、発駅または市場から十キロ以上の遠距離であること、さらにその林道の延長が四キロ以上であることというような特殊な条件をつけております。さらにほかの条件といたしましては、ただいま申しました森林組合あるいはその他の個人が林道をつくろうという申込みがある場合にそれに優先して、会社等には融資しない。もし会社が融資を申し込んでも、ほかに森林組合等の林道計画がある場合には会社に融資しない、そういう条件をつけて、ただいま申しました組合優先の方法をとつております。その他につきましては、森林組合の場合には、申込み金額が十万円以上ということになつておりますが、組合以外のものが申し込む場合には、百万円以上というような制限をつけております。それから融資いたします林道の種類は自動車道、牛馬車道、軌道、木馬道、索道及び流送路ということにしておりますが、その索道につきまして、森林組合であります場合は簡易索道も認めておりますが、会社等が経営いたします場合には、ワイヤーの径が二十二ミリ以上の永久索道と限定いたしておりまして、その他の簡易索道には融資しないというようなことにいたしております。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 大体方針を聞いたわけですが、昨年度の林道融資について、既定のわくが十二億のものに対して十四億五千四百万円、すなわち二億五千四百万円オーバ一貸付をしておられますが、一般の申込みとの比率はどういうふうになつておりますか。他のわくをもつて充当されること自体を私はとやかく言うわけじやありませんが、あなた方が貸付にあたつて、今あなたが言われた通りの方針で厳重におやりになつておりますか。まつたくまちがいはありませんか。
  42. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいまの足鹿委員の御質問に加えて、一緒にお答え願いたいと思う点は、造林と木炭倉庫から残額を林道に全額まわしてあるといいますが、造林と木炭倉庫に対する需要状況はどんなふうになつておりますか。需要がないために余つたのか、それとも林道の方がより重要性があるということで、希望があつたにもかかわらず、そちらを削つて林道にまわしたのか、その辺のこともあわせてお答えを願いたいのであります。
  43. 山口逹喜

    ○山口説明員 お答えいたします。ただいま私、的確な資料をここに持つておりませんので、多少概念的なことを申し上げるかもしれませんが、御了解願いたいと思います。造林融資につきましては、昨年度申込みを受けまして一融資をしなかつたものは、ただいま私ここで覚えておりますものは、山梨県下から出ました約三百万だつたかと思います。それが年度末に出て参りまして、事務的に仕事が進まなかつた。なおその他事業の内容あるいは担保等の調査不備のために融資しなかつたものは、私一件と覚えております。そのほかに鹿児島県下の岩崎産業というのが大島で造林を申し込みましたが、これも十分なる調査ができませんでしたので、約三千万円ぐらいだつたかと思いますが、これも融資いたしておりません。その他のものにつきましては、私今覚えているものでは、融資を拒否したとか、あるいは組合の申込みがあるにもかかわらず拒否したということは、ないように確信いたしております。それから林道融資につきましても、いろいろ条件がそろわなくて、申込みを拒否した例が二件あります。  それから、年度末において、ただいま申されました約三億近くの、造林から林道の方へまわして、融資のわくをふやして実行いたしているのですが、なおさらにわくが足りなくて、林道融資のできなかつた金額が、約一億五千万くらいだつたかと思いますが、これも特にただいま融資していただかねば困るというようなものはありませんで、大体において昨年度末においては、申込み通りに融資いたしておると思います。     〔委員長退席、川俣委員長代理着席〕 ただ和歌山県下と京都府下におきまして、昨年度の災害林道の融資の希望が相当ありましたが、補助金のつく見込みのあるもの、あるいは年度内に事業が急速に行われないであろうというようなものを想定いたしまして、私の方の受諾機関たる中央金庫の方で、相当厳重に現場で査定いたしまして、申込みの希望に対して、ある程度融資そのものは控え目にしておりますが、公庫に上りました段階におきましては、融資を拒否した例はほとんどありません。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 拒否されたことはないというお話でありますが、別にそのことを私は言つておるのじやないのです。とにかく今あなたが言われたような方針で、間違いなく行つているかということを、責任を持つて御答弁ができるかということを聞いているのです。もし責任ある御答弁が得られないならば、公庫を代表される他の方からでもけつこうです。これは重要ですよ。
  45. 山口逹喜

    ○山口説明員 私は絶対に間違いないと確信いたしております。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 間違いないという御答弁でありますから、重ねてお尋ねをいたしますが、あなた方が融資をされるにあたつて、一定額を留保して、そうして弾力性のある融資方法がとられているということを、私は相当確実な話を聞いているのです。あなたは絶対ないとおつしやいましたが、こまかいことはまた別な機会に申し上げてもよろしいが、もしあつたらどうしますか。いわゆるこの融資について、昨日も林業小委員会で、私これに関連して補助金等の問題でお尋ねをしておるのですが、あなた方は業務を直接担当しておられるわけですけれども、あなた方の上の方ではなかなかわかりにくい問題もあろうと私は思う。大体相当の余裕を見てあつて、そしてそこへ特別な方法をもつてすれば、まつたく見込みのないものでも見込みのあるような取扱いになる、地方ではよくそういうことを聞くのです。普通の方法によつておやりになる分は一向さしつかえないと私は思いますが、今私が言つたような点心当りはありませんか。
  47. 山口逹喜

    ○山口説明員 わくを保留して、ある程度余裕のある別わくで手かげんをして融資するというような御質問のように聞きましたが、林道融資につきましては別段わくの設定はございません。大体年度当初に予算のわくがきまりますと、そのわくが全国に公示されまして、どの県に幾らとか、あるいはどの地方に幾らというような標準は示しません。従いまして、全国から公庫の林道融資のわくを見はからつて適当に県庁等であんばいして事件をあげて来ておりまして、その事件につきましてその都度審議いたして、重要なものから融資しております。従いまして、わくを保留してその保留わくで別に適当な工作を講ずれば融資するというようなことは、全然ございません。  それからなおつけ加えて申しますが、年度末に、先ほど説明いたしました通り、約三億近くの造林融資のわくを林道の方にまわしましたが、その際公庫内部におきましては、実は林道の融資の申込みが他の業種に比べまして比較的遅れておりましたために、たとえば水産であるとか、あるいは農地であるとかいう方の業種の申込みが、林業に比べて非常に多い状態でありました。従いまして、先ほど申しました林道予算が幾らか余るというような見込みのあります際に、他の水産なり、農地なりの業種から予算をとられるような懸念も相当ありましたが、私どもといたしましては、できるだけ林業予算を林道の方にまわしていただきたいというような要望をいたしまして、その要望をいれていただきまして、造林予算も林道の方にまわしたくらいでありまして、別わくを残してそれで手かげんをしてどうこうというようなことは、絶対にないと私は確信しております。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 ないそうでありますからそれはそれにしておきますが、とにかく具体的なことについてはまた別に申し上げますけれども、確かにそういつた傾向があるのです。それはあなた方は御存じないかもしれませんが、あなた方に上つて来るものか、あなた方のもう少し上の方で行われておることか、その辺は私はよくわかりませんが、とにかくこの点については、相当公正に運営されなければならぬ点は確かにあると思うのです。その点を私申し上げておきますが、たとえばある一定額の融資をする、それが実際の予算の相当額の何パーセントあるいは何十パーセントなるものが、別な介在者に動くというような話もずいぶんあるのです。私どもは森林問題については最近少し首をつつ込んだ程度で、よくわかりません。的をはずれておるかもしれませんし、あるいはこちらが勉強が足りなくて誤解しておるのかもしれませんが、案外しろうとの見たところにそういつた問題がころがつておるということもよくお考えおき願いたい。特に問題は山の奥でありまして、なかなか人の目にもつきませんし、工事が行われてもそう衆人環視の中で行われるわけでもありませんし、この林道の問題については、相当問題の発生しやすい環境にある。そういう点について、十分運営上御留意を願いたい、このことだけを申し上げておきたい。  さらに伐調資金の二十五億のわくが二十四億九千九百万円、わずかにわくを割つておるようでありますが、この伐調資金が年々ふえて行つておる。伐調資金そのものの考え方については、私どもは非常にけつこうな制度だと思いますが、これが真に少額の森林所有者の伐調資金として有効適切に運営されておるかどうかという点については、もう少し私どもは検討してみたい点がある。ついてはやつかいなことをお願いするようでありますが、昨日も林野庁当局に、奥地林道と一般林道に関する詳細な資料を提示してもらうことになつておるのです。これとあわせて、ただいまの林道資金の点について申込み金額に対する融資金額というようなものを、ひとつ資料で御提示を願いたい。それから伐調資金につきましては、これは零細な金が、事実上民間の森林所有者が幼齢林を保護育成するために使われるという制度でまことにけつこうでありますが、事実上の運営がはたしてこの法の示しておるようなふうに使われておるかどうか、この点については私ども相当検討を要する点がありはしないかと思うのです。これにつきましても、伐調資金の今私が申しましたような意味における資料を、都道府県別に一括して、詳細なものを御提出願いたい。いただけるかどうか。これは一般林野行政についての質問になりますので、それらの資料をもらつた上で、本法案とは切り離して、一般林野行政問題の際こまた御足労願つて、いろいろとお尋ねをいたしたいと思います。これ以上申し上げると、法案審議そのものに影響があるようでありますから、これはこの程度で打切りますが、その資料がもらえるかもらえないか、これはいいかげんなものではいけません。こまかい、相当やつかいなことで御迷惑と思いますが、ぜひ林道と伐調、これの申請、融資、林道で言えばキロ数であるとか幅であるとか、そういうものがその周囲における森林状況にどう貢献するかというような点まで、ひとつごやつかいでしようが、次の機会までにいただきたい。資料の要求をいたしても、なかなかそのときは承知したと言われますけれども、従来の例に徴しますと、いただけない場合が多いのですが、めんどうでできないならできない、めんどうであるがつくつて出すなら出すと、ひとつ責任のある御答弁をいただきたい。
  49. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 昨日もお話のありました林道の具体的な実施の内容につきましては、奥地林道につきましては、一線ごとの具体的な資料を提出いたしたいと思います。一般林道に関しましては、非常に数が多くなるのと、詳細は県において裁量いたす分がございまするので、県別の本数等、総量でひとつ御容赦を願いたい、かように考えております。
  50. 瀬戸口弘

    ○瀬戸口説明員 林道の方は私の方で資料をつくります。伐調につきましてどの程度のものを御要求でございますか、もう一ぺん教えていただきたいと思うのでございますが、伐調は金額を都道府県に最初割当てまして、そしてその中の採択は県の方でやつておりますような関係がございますので、その内容のどの程度まで私の方で調べて資料に書き上げましたらいいか……。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 それじや例を申し上げます。こういうことです。県に割当てて、県から各申請者がきまつたものを県々で上つて来るという意味に私今聞いたわけですが、要するに小面積を所有しておる実際幼齢林を、早期伐採せしめないという趣旨に合致して使われておるかどうかということを、私は調べればよろしいのです。従つてその伐調資金の申請をした人の森林の所有の面積、何町未満のものが何件どこの県にある、何町から何町までのものは何件あつて、どの県には幾らあるというふうに、この法律の精神に即応したように使用されておるかどうかということを判定するに足る材料です。あなた方はこの法律の精神を知らないで、むやみやたらに出しているのですか。
  52. 山口逹喜

    ○山口説明員 伐調の使途につきましては、ただいま申されました所有者ごとの所有面積別の資料は調査ができます。それから金を何に使つたかということにつきましては、融資します際に、その目的を書かして書類を出していただいております。従いまして、最初申込みの書類によりますと、何に使うという見込額はわかりますが、使つた結果はわかりませんので、もしたとえば学資に使つたとか、税金に払つたとかというような結果ということになりますと、これの調査は容易でないと思います。その辺はずいぶん時間がかかるかと思いますので、御了承願いたいと思います。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 その点は御無理だろうと思いますから、何に使つたかということはこれは個人の経済の問題でもありますし、そこまではわかりにくいと思いますから、それはよろしいが、概括して、この伐調資金制度かできてから年々増額されて行く、これは幼齢林保護の精神から、あるいは林業金融の面から行つてけつこうなことで、私どもこの森林法創設のときに、実際その起草者の伴食をやらされて非常にけつこうなことだと思つて賛成したのですが、ややもすればこの伐調資金がとんでもないところに使用されるのではないか、実際名目だけは並べておいて、そうして出て来たものは事実上において今森林ブームの際に、少々な金をまわしてみたところで焼石に水だ、そこに一人のボスがおつて、そうして名目だけは名前をつけて買い集める、そうして実際はそれがとんでもないところに使われておるというようなこともなきにしもあらずと私は思う、そういうところに従来この林道のみならず伐調関係については、私どもけつこうな制度であるがゆえに、それが本来の精神に合致したように使われておるか、おらないかということを確めれば、私の質問の目的は達するわけでありますから、そういつた点でこの林道と伐調資金とでは、厖大な四十億に近い金が動いておる、これは少額のものではありません。現在の農林漁業金融公庫の現状から見て、これは大きなウエートを占めると思う。この点について、ほんとうにあなた方が今後運営をされて行く場合に、十分に本来のこの法律の精神、あるいは林業関係の育成についての精神に合致するような融資をおやりにならなければならないということを、私は申し上げておるわけであります。概括して、この伐調資金で今日の子算用で腰だめに見て、小面積の森林所有者の何町歩から何町歩までの間に大部分か出ておるのか、それとも大口に出ておるのか、大体のパーセンテージはどういうふうになつておりますか、そういつた点で資料が来るまでまだひまもかかるでしようから、伐調資金の概括的な融資状況がどういう経過になつておりますか。
  54. 山口逹喜

    ○山口説明員 概括的に今お答えいたします。それは書類に出ますのは何町歩所有者がどうこうということはわかりません。今ここでお答えができませんので、あらためて……。もちろん伐調資金の融資目的に沿うようにはいたしておりますが、数字はちよつとわかりません。確かに今御質問のようなことは必要だと思いますので、あらためて調査させていただきたいと思いますが、いかがでしようか。
  55. 川俣清音

    川俣委員長代理 足鹿委員にお諮りいたしますが、文書でひとつ資料を要求せられて、それに基いて政府並びに農林漁業金融公庫の方は、それにできるだけ沿うように、ひとつ資料をお出し願いたいと思います。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは資料をいただいてからにしますが、どうもこういうことは法律の精神からいつて、一町なり二町なりの小面積の森林所有者が圧倒的でなけらねばならないはずなんですよ。あなたは実際業務を担当しておつて、ここで面積のことはわからないと言われるが、大体どういう傾向に金が流れておるかということの判断ができないのですか。それは言えるはずですよ。それが言えなくてこの融資ができますか。それを私は今聞いたのですが、それもわかりにくいというなら、突然お呼び立てしておるわけですから、無理なことを申し上げてもどうかと思いますから、詳細な資料をひとつ御提出願いたい。委員長は非常に審議を急いでおられるようですから、私はまだいろいろ尋ねたいことがあるのですが、一般林業問題について小委員会もあるのですから、法案審議はでき得る限り全体の委員会でやつて、今私どもが言つておるようなことは林野行政全般の問題ですから、そういうことについて今後小委員会の運営をやつていただいて、そうしてその小委員会関係者に来てもらつて、うんとつつ込んだ話を伺いたい。どうもこの林野問題については、問題が非常にたくさんあるにもかかわらず、今度の法案に関連して検討するというようなことでは、ちよつと無理じやないかと思いますので、そういう運営をなさるということを御了解願えますならば、私はきようはこの程度で質問を保留して、次の林業小委員会でやりますが、いかがですか。
  57. 川俣清音

    川俣委員長代理 足鹿委員の御希望に沿うように、法案関係がない部分でなお重要な問題については、小委員会なり本委員会において、あらためて質問の機会をつくることにいたしまして、進行いたしたいと思います。吉川久衛君。
  58. 吉川久衛

    吉川(久)委員 関連して、先ほどからお尋ねをいたしておりますので、他の委員の諸君の御迷惑にならないように簡単にお尋ねするから、要領よくお答えを願いたい。  先ほど山口次長は、造林関係について山梨県と鹿児島県の例をお出しになりました。それは調査不十分で融資ができなかつた、こういうお話でございましたが、私はそのことを聞いておるのではなくて、一体造林関係にどのくらいの資金の需要があつたか、要望があつたか、その件数はどんなか、たくさんあるにもかかわらず、それを押えて林道の方にまわしたとするならば、一体それはどういうことなのかということを聞きたかつたのです。それは今お答え願えれば、その点もお答えいただいて非常にけつこうでありますが、もし山梨県と鹿児島県の二つしか余分はなかつた。しかもこの二つだけで、そのほかには申請がなかつたとするならば、これは昨年の災害以来この治山治水の基本対策要綱まで政府はつくつて、造林の問題にも相当重点的に配慮されているときに、そういう資金需要の状況であるとするならば、これは林野庁当局の指導がはなはだよろしくないのではないかというような問題等も出て参ります。あるいは政府の施策が末端に浸透していないので、末端においては、国がこういう資金をもつて心配をしていてくれるのだということがよくわからないというような疑いが起る。この需要のオーバーがたつた二つくらいの件数であつたか。そうであるとするならば、どうしてそういう状況にあるのかということを、林野庁長官にお尋ねしたい。  ついでに山口次長にお尋ねいたします。先ほど調査不十分で拒否したのがあると言われましたが、調査は委託金融機関にやらせておるのか。だれがやるのか、どういう方法でやつておるのか。それから貸出しの方法でございますが、これはどのくらいの額までは全額一ぺんに貸し出すのか、どのくらいの額以上はわけて、実績に応じてあるいは期限を切つて分割貸出しをするのか。このことをなぜお尋ねするかといいますと、農林漁業金融公庫の長期の金を低利で借りておいて、その林道なら林道に全額使わないので、その一部をもつて東京のまん中で自動車会社を経営しておる資金に充てておる。タクシーの会社を経営して、そこでもうけた金で、何かその林道の方の金をまわしたあとの穴埋めをしておるというようなうわさを、私は耳にするのでありますが、もしそういうことがあるとすれば、国の資金をそういう使い方をさせることは重大な問題でありますので、その貸出しの具体的な方法等についてこの際伺つておきたい。
  59. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 造林を促進しなければならない時期に、さような資金の融資に対する申込みが不活発であることに対して、林野庁はこのままで放置してよいかどうかというお尋ねのようでございます。造林資金は、従来の特殊金融という関係から考えますと、かような長期の資金は他には例がないという関係で、相当積極的に出て参るという予想をいたしておりましたが、従来とも意外に申込みが少い。これにはいろいろ手続の問題等も一部はあろうかと存じますが、根本的な問題は、日本民有林の所有形態の特性が最も大きくこれに反映しておるのではないかと思われますが、実際問題といたしまして、最近の情勢では造林は相当促進しております。特に小規模森林所有者の造林は促進いたしておりますが、非常に小規模の所有者でありますために、国家の補助金を主体として、自家労力によると造林が主体であるという点が、われわれの予想以上に申込みが不活発であるという点であると考えております。最近の造林の実績は、申込みが非常に不活発にもかかわらず、予定以上に進んでおるわけでありまして、その点に関しましては、ただ単に資金融資の有無という問題ではなく、造林は促進できる、かような見解を持つておる次第であります。
  60. 山口逹喜

    ○山口説明員 貸出しの限度につきましては、現在の私の方の規定では、別段きまりがございませんが、実際の問題といたしましては、現状におきましては大体二千万円程度まで、もし二千万円を越えます場合には、一応二千万円程度で打切りまして、その仕事のしぐあいによりましてさらにその月の金を続けて行く、その程度の申合せでやつております。規定ではございません。  それから融資を受けた金でほかに転用してどうこうというお話でございますが、私どもはその金そのものがどこへどうまわるかわかりませんが、確実にその目的通りの仕事をしたかどうかということが眼目でありまして、実は残念ながら手足を持ちませんので、できるだけ県の方へお願いをいたしまして、県の方で融資林道が確実にできるかどうかということをつかむべく努力をいたしております。昨年までは非常に私どもの方の予算が少くて、県の方にお願いすることは願いかねておつたのですけれども、願いかねたからといつて仕事ができぬでは困ります。本年度は、これも皆さん方の御努力によりまして、相当予算の確保ができましたので、これによりまして相当県の方にもその実績あるいは仕事のしぶりにつきましては調査をお願いいたしまして、万遺憾のないように期したいと存じております。なお先ほどの造林の融資の二件しかなかつたと申しましたことは、長官のお答えで大体おわかりの通り、ほかには実は申込みがなかつたのであります。なお来年度のことで、ありますが、たまたま私どもが耳にしますのは、手続が非常にむずかしいから、地方の方は、めんどくさいから金を借りないというようなこともときどきお聞きしております。そこで来年度の手続はできるだけ簡素化いたしまして——もちろん手抜かりがあつてはならないのですけれども、できる限り簡素化いたしまして、地方方々、が借りやすくするよりに、今その案は九分通りできまして、実行するところまで行つておりますから、御了解願いたいと思います。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は足鹿委員の質問に関連いたしまして、公庫の方に二の機会に一言お伺いいたしておきます。伐調資金並びに林道資金の融資の申請ができて来る場合に、その適格条件の審査等は当然行われると思いますが、現在の公庫の陣容をもつてしては、とうてい末端における現地等の確認は至難かもしれませんけれども、これは公庫の業務を信連等に委託してある。それと同時に都道府県等においてもこれに協力されるような審査の方法も行われると思うわけでございますが、具体的にはどのような方法で審査を行われるか。また融資されたものが実際林道あるいは伐調という一つの事業目的の上にどのように処理されておるかという最終的な確認等は、ほんとうに具体的に行われておるかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  62. 瀬戸口弘

    ○瀬戸口説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えします。林道につきましては、預託金融機関の方で、その設計のようなものは県の技師の方の御意見を聞きましても、これなら大丈夫というものに限つて書類を進めております。一応書類につきましても妥当である、信用方面から見ても妥当であるというところまで行きました書類が主として上つて参りますが、公庫の方ではその上つて来ましたいろいろの書類によりまして、融資をするかしないかを審議しております。よほど何か特殊な場合には現場に行く例もございましたけれども、ほとんど金融機関なり都道府県知事の意見書に基きまして決定する。決定しましたあとは、預託金融機関にその貸出しの実行をまかしまして、そうして県の方で監督していただきまして、最後のでき上つたかどうかというのも、主として県の技師の方にお願いしまして届けてもらうような手続を講じております。伐調につきましては、大体上り方は同じでございますが、これは特に指導員が村にいらつしやいますから、指導員の方に届けてもらうようにやつております。
  63. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それでは国有林野法に関して質疑をいたしたいと思います。  まず第一に、この国有林野法は国有林経営合理化することと、国土の総合的利用の要請に対処して、地元民利用のために国有林野を提供すること、この二点が主眼をなしておると存じますが、このために昭和二十六年旧国有林野法に全面的な改正を加えて現行法の成立をみたものと存じまするが、本法施行以来今日までに、境界の決定、国有林野の貸付使用及び売払い、さらに部分林、共用林野等の設定によつて、以上の目的がどんなふうに達成されたか、またこれら実施の経験に照らし、不十分と思われる点が今回の改正案となつて現われたものと存じますが、今回の改正によつて十分その目的を達し得るものとお考えになつて提供されたものと存じますが、この点に関する一般的な状況を御説明願いたいのであります。
  64. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 国有林地元との有機的な不可分の関係に関しまして、最近の国有林野法の改正につきましては、相当根本的な問題の改正をいたした次第でございます。それとあわせまして指導を強化いたしまして、部分林あるいは共用林の設置あるいは貸付等の処置を積極的に進めて参つておるのでありますが、現在までの部分林の状況を申し上げますと、総箇所数におきまして五千七百五箇所、面積で四万四千九百十五町歩になつております。これに対しましてはさらに最近の指導といたしまして、地元に造林の協力を得ると同時に、地元の基本財産の造成、造林意欲の高揚等のために最も適切な方法であると存じまして、国有林野整備臨時措置とあわせまして、部分林の拡充に関しましてそれぞれ全国有林をあげて趣旨の徹底をはかつて、現在拡充を計画いたしております。共用林野につきましては、現在箇所数といたしまして九百六十箇所、面積で六十七万七千二百三町歩になつておりますが、共用林の設定に関しましても、共用林の趣旨徹底が多少不十分な点がございましたので、これが趣旨の徹底をはかると同時に、地元の生業あるいは生活と不可分的な国有林利用という点を十分に勘案いたしまして、国有林利用権益の拡張によつて有機性を確保いたしたいということで、これまた現在着々これが促進をはかつておる次第でございます。なお委託林といたしましては、地元町村に制限林野を除きます普通林野を対象といたしまして、これが副産物の利用とあわせまして先般の保護委託と有機的な関連を持たしておる次第でございます。現在千四百七十三箇所ございまして、面積は百二十三万三千九百二十町歩ということになつております。これはほとんど普通林野につきまして要望のありまする本のを包含いたしておる、かように存じておりまするが、なお必要に応じまして、これが拡充についても考慮いたして参るという考え方でおります。その他従来の国有財産法の取扱いによりまして無料貸付をいたしておりまするものは、八百五十二箇所で千百町歩。それから有料貸付といたしまして現在取扱つておりまするのが、総箇所数で五万三千二百十六箇所、面積にいたしまして十二万四千三百七十七町歩ということになつております。これらの問題をめぐりまして、従来の国有林野法が必ずしも有機的な運営において十分でない、この処置がとれないというような観点に立ちまして、一部改正提案いたして御審議を願うということに相なつておる次第でございます。
  65. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいまの御説明で本法案提出の御趣旨はよくわかつたのでございますが、次に国有林野民有林野の境界の不確定地区につきましてお尋ねいたしまするが、隣接地所有者の同意のない場合には決定し得ないことになつておりますが、現在これらの不確定境界はどのくらいでありますか、おわかりでございましようか。この境界が不確定のために、将来保安林整備臨時措置法案が施行を見た場合におきまして、国の買入れが困難となることがあり得ると考えられまするが、それらに対する対策は十分御準備できておるのでございましようか。
  66. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 国有林野との境界の確定の問題は、一応北海道、東北の一部を除きまして、国有林側といたしましては境界を判明いたしております。北海道、東北の一部につきましては、目下これが整備を実施中でございまするが、ただ一部国有林側として確定いたしておりましても、隣接所有者の承認がない場合には、現在の法規によりましては確定いたさないという関係がございまするので、現在明確に確定いたしておる数量は幾らかというお尋ねに対しては、実ははつきりとお答え申し上げかねる点がございまするが、保安林整備買上げに伴いまするこれらの保安林との関連いかんというお話でございまするが、一応買い上げまする際には明確に実測いたしまして承諾を得て一々境界を確定いたして決定いたすという考えでおりまするので、この点は心配がないというふうに私ども考えております。
  67. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 国有林野法の第八条の三号に「当該林野に特別の縁故がある者で省令で定めるもの」という規定がありますが、この省令の内容はどんなことですか。つまり縁故者の内容でございます。それから部分林設定の場合、第十条による契約の内容の中の七の「収益分収の割合」はいかなる基準によつて決定されるのか。また契約事項に「その他必要な事項」とありますが、これはどういうことを意味しているかということについてお示しをいただきたいのであります。
  68. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 初めに御質問になりました国有林野法第八条第三号に規定いたしております当該国有林野に特別の縁故があつた者というのはどういう者かという御質問でございます。これは国有林野法の施行規則に規定いたしておりまして、長くなりますので、初めの方のおもな点を申し上げますと、寄付された林野についてはその寄付をした人、買いました林野については買つた当時の所有者、それから林毒物の採取とか土地使用の慣行があつた林野につきましては、その採取をしておつた者とか使用をしておつた者、それから歴史とか古記等によつて社寺に特別な由緒があるような林野についての社寺といつたように、十一項にわたつて規定いたしております。  それから次の御質問は、これは部分林の本質と申しますか、その土地に造林をいたしまして収益を上げます関係と、その土地を持つております時代的な考え方を基礎にして収益を分収いたしておるのでありまして、現在まで一番たくさんやつておりますのは、国が二分、造林者の方で八分とつておられるような例が一番多いのでございます。これは地域その他によりまして事情が違いますので、一概には申し上げかねます。  その他必要な事項といたしましては、こういう契約をいたします場合にあとからいろいろ問題が起こらないように、そのときどきの事情に応じてやりますことなので、重要な事柄は第七号までに書いております事柄で尽きておりますので、さほど重要な事項ではないと存じております。
  69. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それから第二条の二に規定する「普通財産」というのは不要存置林に関することと思いますが、現在この不要存置林野面積はどのくらいあるのか。それから要存置林野から下要存置林野への種別の組かえでございますが、種別がえは国有林野管理規程に基いて行われておると思いますが、不要存置林野から要存置林野への種別がえも同様の規定に基いて行われるのかどうか。またその管理規程の内容があるならば、これも資料として御提出つてもけつこうですが、お示し願いたいと思います。
  70. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 今御指摘のありましたことは、あとから資料として提出さしていただくことにいたしますが、二十八年度末の不要存置林野の調べがございますので、その点についてだけ御報告申し上げます。山林は五千百二十五町歩、原野は三千百七十町歩、畑が五百町歩足らず、宅地が三十町歩、その他のものが八百町歩余りございまして、総計いたしまして一万一千町歩程度になつております。なお不要存置に落します基準は、今お話通り管理規程に規定いたしておりまして、その二十六条で、その林野の境界を整備する必要がございます場合、それからその国有林が民有地とか道路とか、河川に介在いたしておりますような場合で、面積が三十町歩以内の場合、農耕地とするのをを適当とする場合、その他道路でありますとか、堤塘、ため池等に使つた方がいいという場合、あるいはそのほかの土地と交換するのを適当とする場合といつたような事項を、規定いたしております。
  71. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今の点も、もしできますならばあとで参考資料として提出していただきたい。  それからもう一、二点一般質問がございますが、第十三条の保護義務の履行状況が、一体どんな程度になつておるか、それから保護義務を行つたために部分林野、共用林野の契約解除等が行われた事例があるかどうか、また共用林野につきまして、保護義務の責任を負わせて、使用の対価を免除せられたものとしからざるものとの割合は、どのくらいになつておりますか、この点につきましても、今急にはわからないというとでこありますならば、資料として御提出を願いたい。  それから次は第二十四条の賠償責任でございますが、この点につきまして共用林野に損害を与えたとき、共用者等が賠償責任を有することとなつておりますが、その賠償は金銭賠償によるか、あるいはまた現物その他によつてもよいものか、なお賠償責任を果さなかつた場合には、民法の規定に基いて責任を追究することとなるのかどうか、この点について御答弁願いたい。
  72. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 保護義務は一番多いのは火災の予防でございます。それから盗難についての保護義務でございます。現在私の方で資料をつくつております共用林野の中で、一応そのような保護義務を課しました関係で、使用料として免除いたしておるであろうという見積りをいたして、そのかわりに林産物の採取をさせたりいたしておりますが、そういうものの見積額は三千万円余りにもなるのじやないかと思います。それから二十四条の共用者の賠償責任でございますが、これは金銭による賠償と考えております。
  73. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいまの保護義務の履行状況、それから保護義務を怠つたために、部分林野、共用林野契約の解除の行われた事例があるかないか。そういう点についての御答弁がなかつたのですが、共用林野について保護義務の責任を負わせて、使用の対価を免除せられたものと、しからざるものとの割合は、どんなふうですか。この点を伺いたい。
  74. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 申し落しまして恐縮でございます。保護義務を怠つて解約をしたようなものがあるかという御質問でございますが、私ども承知いたしておりますところでは、これはございません。それから、あとの使用料をとつておるものととつていないものとの数量その他の資料は、少し余裕をいただきまして資料を出したいと思います。
  75. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 次に改正点について質問いたしまするが、第八条の二及び三におきまして、国有林野の貸付または使用の対価について、無償または時価より低く定めるということが書いてあります。この貸付または使用対価を決定する基準をお示しいただきたいと思います。
  76. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 八条の二に書いておりますのは、国有財産の中でも道路の敷地でありますとか、その他の公共性の非常に強いものについて貸します場合には、免除の規定があるのでございます。これは御承知通りであります。国有財産法二十二条に無償貸付が規定してあるのでありますが、それと大体似たような性格のものがここに書いてあります。法人が——広い意味での公法人ばかりではございません、協同組合等が入つておりますが、そういうものについても、使われます土地の公共的な利用という面に着目いたしまして、無償にいたしたいものと思つております。それ以外の部分になりますと、公益的な用に供するような施設になつて参りまして、若干程度の差があろうと思うのであります。これについては、大蔵省の方とも連絡をとりまして、最高七割程度を限度といたしまして、今申しますように公益性、それからそれによる収益のようなものも考えなければならぬと思いますが、これらを考慮してきめたい、かように考えております。
  77. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいまの点につきまして、使用の期間等につきましては本法に規定がないようでございますがこれは国有財産法第二十一条の規定が準用されるものと解してよろしゆうございましようか。
  78. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 今お尋ねの通り適用されるものと解釈いたしております。
  79. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 次は第八条の四でございまするが、貸付等の対価の減免についてでございます。借受人または使用者が異常災害を受け、対価の納付が著しく困難である場合、減免の措置を講じ得ることとなつておりますが、これらの認定は、いかなる基準によつて行われるか。まず第一点にこれをお尋ねいたしたい。
  80. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 一つは災害そのものが異常であり、かつ広範囲であるということでございます。その災害の種類といたしましては、風水害とか冷害とか、いろいろ天然現象による災害はもちろんのことでありますし、病虫害、鳥害、火災のようなものでありましても、本人に責任の課しがたい不可抗力的な災害であれば含ませたい、かように考えております。かつ広汎で社会的に相当大きな災害であるという場合を考えて——一人、二人というような非常に限られた場合はいかがかと考えるのでありますが、その所在する地方の部落程度を単位といたしまして、相当災害があり、その部落の人が納付するのは非常に無理だと考えられるような場合に免除いたしたい、かように考えております。
  81. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ちよつとおかしいところがありますが、貸付の目的地が災害を受けた場合も減免を請求できますかどうか。
  82. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 その点につきましては、従来国有財産法の運用は、今お話のような場合にはやらないのだというような考え方をとつて来たように承つております。今度の改正との関連で大蔵省方面ともいろいろ折衝をいたしました。その場合にも当然減免することにいたしたいという考えで話をしたのでありますが、先生承知のように民法の貸借の理論に基きまして、国有財産であつてもやはり免除するのがいいのではないかという考え方になりまして、これからはさように取扱いたいというふうに大蔵省と話し合つております。
  83. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 次に国有林野整備臨時措置法の改正についてお尋ねいたしますが、今回の改正において期限延長九箇月とした理由は、会計年度と関係があるからでありますか。
  84. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 一応会計年度等によりまして、整理を明確にするという点もございますが、たびたび申し上げております通り、一応の対象は現在調査がほぼ完了しておるという状況で、事務的な手続が遅延いたしておる、あるいは買い受けられる側の資金その他の準備等をも勘案して、多少のゆとりをもつて、会計年度に合せる最小限度という考え方で、二十九年度一ぱいということをお願いいたしておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  85. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 その点でございますが、今回の改正により九箇月の延長を見たのでありますが、この間に前の分、つまり長官がただいま言われた分の繰越分のみを処分するのか、あるいは処分する面積を増加する考えがあるのかどうか。なお林野庁の調査課でつくつております国有林野整備臨時措置法の概要並びに実務要領の四十三ページには、売払い予定面積を二十三万三千町歩と推定しております。この面積はその後訂正されておるかどうか、その点お尋ねいたします。
  86. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 対象面積は、国有林野整備臨時措置法の御審議の際に目標を立てましたのは二十三万余町歩ということになつておりますが、この際には実は従来の使用慣行等で非常に地元利用せられておつた、実績が多いという普通委託林等は今回の整備売払いの対象とする方がよかろうという見通しで一応入れたわけでございます。ところが実際問題といたしましこれを従来の委託林権者自体も買い受ける必要がないというような御意見が非常に強い、また境界の錯雑等を生ずるおそれも多いというので、御相談の上再検討いたしました結果、これが当初の見込みよりも減少したということで、一応法律に盛られております基準を、地方別の実情に沿わして最大限度に考慮いたしました目標が十五万八千余町歩ということになつております。これの主として売払いあるいは交換の事務的な進捗状況をにらみ合せて期間延長をお願いしておる、こういう次第でございますが、今後におきましてもなお多少の異動、追加等はあり得ると存じますが、原則的には一応適地調査は完了いたしておるというふうに私ども考えております。
  87. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それで大体わかりましたが、今長官が言われたように、本法に基いて処分した国有林野面積は、政府提出の資料によりますと十五万八千二百三町歩となつておりますが、このうち昭和二十九年度分は予定面積でございまして、二十八年度分までのやつは五万二千九百六十九町歩にすぎないわけであります。そうすると、二十九年度予定面積七万町歩余の中には、今後に繰越されるものが相当あると思いますが、この点間違いありませんか。
  88. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 実際に売払いの事務的な手続を要するものが二十九年度において七万幾らということになつておりますが、売払い評定調書の作成を要するものは二十九年度には三万七千町歩にすぎない程度まで進捗いたしておりますので、あとは契約その他の具体的な事務だけになるわけでありますから、十分これによつて完了でき得る見込みでございます。
  89. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 大体これでもつて終りますが、この前の保安林質疑応答の場合におきまして、林政課長の答弁にちよつと誤解があつたのじやないかと思われる節があります。保安林の買受けの場合でございますが、これは御承知のように治山治水の必要上すみやかに国が経営せねばならぬ所を買うわけでございまして、この法案の立て方からいうならば、林政課長の言うような部分もずいぶんあるわけでございますから、法律の趣旨はそういうところに私はあるわけだろうと思うのであります。また対人関係が主となつて、対物的な追及力というものはない。なるほど法案の建前はそうではありません。しかしながら、法の趣旨は今私が申し上げたところにあると思うわけでありますが、ああいうふうな林政課長の答弁でありますと、あの人間なら買う、この人間なら買わないというふうな標準は、立て方が非常にむずかしいだろうと思う。要は保安施設が重要であつて、保安施設というものは個人にまかしておいたのではなかなかそろばんにも何も乗るものではない。保安林指定後におきますその増加の問題、価値が増す問題、それから保安施設の点等から考えまして、この前の答弁を御訂正なさるところがあつたら御訂正いただきたいと思います。
  90. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 その問題に関しましては、説明が多少不十分のために誤解を招いておるような点があると存じまして、恐縮に存じておりますが、あとで林政課長からも申し上げました通り、この問題は本来森林法において基本的にそれらの点をさらに確定いたすベきものであるというふうに存じておりまして、並行してこれが改正案の御審議を願うつもりでおりましたのが遅れておりますので、それらの点も十分勘案いたしまして検討いたしたいと考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  91. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 最後の一点でございますが、この法案の中には予定保安林が入つておりません。これは入れた方が便利じやないでしようか。
  92. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 それらの議論も実はあつたのでございまして、森林法に規定いたしております予定保安林は、当然整備の明確な対象になり、あるいは場所によりましては買上げの対象になるということでございますが、そこにあるいは不用の——不用と申しますと語弊がありますが、保安林以外のものまでも買うのではないかというような誤解等が生ずる危険もあります。三箇年間に保安林整備強化をはかるという計画が進捗いたしておりますので、いずれ保安林あるいは保安施設地区に確定いたしまして、それを対象として買上げ措置等を講じて参りたいということで、実は予定森林をはずしたような次第でございますので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  93. 川俣清音

    川俣委員 一点だけお尋ねして私は質問を打切りたいと思います。国有林野法の一部改正をなさいましたその意図について、私どもは全面的に賛成するものであります。このことによりまして地元農民の希望が達成せられておりますので、非常に大きな好影響を山村の農民に与えるものと考えるのであります。従いまして無償貸付が地元農民のために非常に大きな好影響を山村の農民に与えるものと考えるのであります従いまして無償貸付が地元農民のために非常に拡大された、貸し付け等の対価の減免が拡大されたこと等によりまして与える影響が非常に大きいと思うのです。従いまして、国有林野法の一部改正を行うことによりまして、臨時立法であります国有林野整備臨時措置法の必要がだんだん減つてきておるのじやないかと思われる点が一点。さらにまた林野行政の上から、部分林または共有林を拡大して行くことの方が最も望ましい林政の状態だと思われる点からいたしまして、もうすでに国有林野整備臨時措置法の必要性がだんだん減つて来ておるのではないかという見解を持つのであります。もちろんこれには今申し上げましたような、公有林地等における荒れた林野をそのまま放任しておる等につきましても、官行造林の拡大、または本法の一部改正または部分林、共有林の拡大強化によりまして、国有林野整備臨時措置法の必要性がだんだん減つて来ているのじやないかと思うのですが、これに対する政務次官並びに長官の御見解を賜わりたいと思います。
  94. 平野三郎

    平野政府委員 お話通り国有林開放と申しますか、国有林を極力広く利用して行くということが必要であり、そういう趣旨からこの法案提出いたしておるわけでございますが、お話のようにそういう点からいいまして国有林野整備臨時措置法というような法律で、所有権を全然移転してしまうという方法をとらなくても目的が達し得るという場合があり、またそれが望ましいというふうに考えておるわけであります。従つて整備措置法の方も九箇月だけ延長する、こういうような事務的な意味で御審議を願うわけでございまして、御意見のように政府としては今後国有林をほんとうに国民と密接なつながりのもとにこれが利用されて行くようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  95. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 本問題に関しましては、ただいま政務次官からお答え申し上げた通り、私どもといたしまして、国有林野整備臨時措置によります売払いも、国有林野経営上さしつかえない程度において権益を地元にお移しする一つの手段であるとは存じますが、部分林の拡充あるいは共有林野の合理的な拡充整備、その他地元施設を妥当に拡充整備いたすことによりまして、一層国有林野経済的に密接な有機的な関連を持つていただく。将来におきましても、さらにこれによりまして国有林野の事業を拡大して行くということによりまして、国有林経営の二つの目的を達しつつ、地元経済に総合的に寄与し得る、かように考えておりますので、ただ単に国有林野整備臨時措置法というものだけではこれらの目的は達し得ないということを考えます際に、一応これはこの程度で打切られるべきものではないか、かように考えておるのであります。根本的な問題に関しましては別途に、国有林野の性格を明確にいたしまして、所有の合理的な再配分を考える場合において、さらに地元経済を十分に考慮いたしまして、根本的に御審議を願うという考え方でおりますことを申し上げておきます。
  96. 足立篤郎

    足立委員 ただいまの川俣委員の御質問に関連いたしまして一言お伺いしたいのですが、先ほども同僚福田委員の質問に対して、国有林野整備臨時措置法に基く開放計画と申しますか、これは長官の御答弁ではすでに出尽している。従つて事務処理が遅れているから九箇月程度の延長で片がつくのである、こういう御答弁でありました。なおただいまの川俣委員の質問に対しては、根本的には後日に譲つて国有林野整備臨時措置法に基く開放は、現在計画している範囲にとどむべきであるという林野庁長官の御見解がありました。これは非常に重大な発言でありまして、現に本日私どもの手元に東北七県の知事協議会から、国有林野整備臨時措置法有効期限延長についての要望が参つておりますが、それを一読いたしますと、たとえば東北七県についても要望面積が二十二万三千余町歩あるのに対して、現在まで契約済みで開放が決定したのは、わずか一方二千余町歩にしかすぎないということが書かれているのであります。私は静岡県でございますが、私ども地元状況を見ましても、ただいま福田君の質問に対して、あるいは川俣君の質問に対して長官がお答えになつたような、これでいいのだ、今調べられているものだけでいいのだという程度のものではないのじやないか、という疑いを私は持つのであります。なお先ほど松岡委員からも、東北の特殊事情につきましてるるるる御質問があつたのでございますが、松岡委員のおつしやるような、現在の法律ではちよつと解決の仕様がないような根本的な問題につきましては、ただいま長官から川俣委員の質問に対してお答えがあつたように、あるいは次の段階において根本的に考えなければならぬということにもなろうかと思いますが、いわゆる平地林、里山の営農上の見地考えて、国有林野整備の問題とあわせて国有林野整備臨時措置法においてまかない得る範囲のものは、もつと積極的にこの開放処置をとるべきものであると私ども考えておるのでございまして、この臨時措置法の範囲外のもの、大規模な根本的な問題についてこの法律を適用してくれとは私は申しませんけれども、今長官が御答弁になつたような、今まで調査した計画の範囲でこれでもういいんだ、であるから九箇月延ばせばすべて解決するのだというような安易なお考えでは、にわかに私どもはこれに賛成しかねるのでありまして、この国有林野整備臨時措置法の趣旨にのつとつて、今後さらに平地林、里山の開放についても、地方要望があればこれに十分応ずるだけの態勢は保持していただかないと、今までの調査ですべてが終つておるのだというように簡単には片づけられない問題じやないかというふうに思つております。なお保安林整備法に基きまして、奥地の水源涵養地その他国土を守るための民有地を国有地に強制買収までしようという大きな政策がここに打出されるのでありますから、明治初年のごたごたから、むしろ私どもは、今日振り返つて見ますと、極端に申し上げれば不当に国有地になつておる。これは、不当という言葉はあるいは当らぬかもしれませんが、そういう感じがするのでありまして、そういうような感じを持たれるような地区については、この際むしろ積極的に開放をはかるべきではないか、これが裏表の関係になりまして、ほんとうに国土を守るために保安林を設定して行くという積極的な施策がここに裏づけられるというふうにさえも、私は考えるわけでございますが、これに対して長官の御見解をはつきり伺つておきたいと思います。
  97. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 ただいまの東北七県の知事会議要望に対しまして、実績が少いのじやないかというお話でございますが、これは昨日私どもへも代表県の知事さんがじかにおいでいただきまして、いろいろお話をいたした次第でございますが、現在まで進捗いたしておりますのは——そこに上つております数字は昨年の十月現在の数字でございまして、その後相当程度に進捗いたしておりまして、いろいろ各県の実情を申し上げまして話合いいたしました結果は、臨時措置による整備は必ずしもそれほど多くの期待はしておらない。さらに部分林あるいは共有林野の整備拡充というような問題で、順次その趣旨が明確になつて来ておる。そこでこの問題で一応具体的には了承できる。さらに根本的な問題については、東北地方の総合された意見を聞く 機会を持てというような御要望でございまして、それに対しては私どもも十分に検討いたすというつもりでおりますので、そのことを申し上げまして了承を得ておる次第であります。従いまして、一応東北地方等につきましても、その実情に相応いたしまして国有林野整備臨時措置法のでき得る限りの広い解釈によります対象を、調査いたしておる次第でございますので、この程度が大体の基準として私どもは一応御了承を願える点である、かように考えておりますが、さらに根本的な問題に関しましては、保安林整備とこの買上げ、国有林事業としての経営等をめぐりまして、国有林の性格を明確にいたしますと同時に、所有の再配分について根本的に御審議を願うということをお願いいたさなければならぬと考えているのでございます。
  98. 足立篤郎

    足立委員 ただいまの長官の答弁はわかります。わかりますが、東北の場合の例について今御答弁になつて、今まで調査したしたとおつしやるが、実は先ほども私質問したように、たとえば東京営林局のごとく、ねこのひたいのような国有林を後生大事に抱え込んでいるような営林局あたりでは、里山であり、平地林であり、営農上必要であり、また区画整理の面からも対象として取上げてしかるべきところを、あまりに管轄面積が少いために、目をつぶつて取上げていない。調査の対象にさえなつていないところが相当あるように思つております。これはひとり東京営林局だけではなく、こういう例はほかにもあると思いますが、今御答弁になつ東北の特殊な例をついてはよくわかりました。了承いたします。  もう一点、先ほどの質問で申し上げたように、平地林あるいは里山で、この臨時措置法に当然適用さるべきもので、今申し上げたような特殊なケースで対象にさえなつていないものが、あと九箇月この法律が延ばされて、新しい問題が提起された場合に、先ほどから長官の話のように、すでに調査をして計画に載つているもので十分だという断定をされたのでは、この法律を延ばした効果がないと思いますので、この点を明確にしていただきたいと思います。
  99. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 現在調査しております分は、主として地元の御要望主体といたします場合と、国有林野経営の立場から法律に示している点を基礎にして調査しているのでありまして、地元要望に対してまだ確定していないような面がございまして、必ずしも要望に沿つてないように見える面がございますが、これらは調査をいたしました対象によつて御相談いたすことによつて、大体御了承を願える線が出ているのではないかと私は考えているのでございます。だからと申しまして、これをもつて絶対に確定であるということではないのでございます。法の適用範囲内においては最大限度に、必ずしも現在の国有林を絶対に死守しなければならぬというような誤つた考え方でこれを遷延しているのではないという点だけは、はつきりお答えを申し上げたいと思います。
  100. 足立篤郎

    足立委員 今の御答弁で大体了解できましたが、営林局のごときは、この臨時措置法に基く払下げ面積の単位を、たとえば東京営林局で三十町歩とかいうふうにきめているようです。ほかの営林局でもおのおの単位をきめているようですが、これは腹づもりとしてはわかりますが、半ば内規のようにそういう単位をきめることは、法律の趣旨を滅却するのではないかと考えますが、長官の御見解はいかがですか。
  101. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 その点は実はその通りでございまして、実務の参考として一応の目標を示しているということでございますが、その目標を超過いたしたからそれは絶対に対象にならないというような考え方は毛頭持つておりません。ただ調査の過程において多大の行き過ぎがあつたという点は、われわれも率直に認めざるを得ないのでございますが、その後の処理については、かようなしやくし定規な、従いましてりくつにならないような基準をもつて押しつけることのないように厳戒いたしている次第でございます。
  102. 井出一太郎

    井出委員長 残余の質疑はこれを明日に延期します。  なおお諮りいたします。本日議決いたしました農林省設置法の一部を改正する法律案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十四分散会