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1954-03-24 第19回国会 衆議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十四日(水曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    松山 義雄君       神戸  眞君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君    中村 時雄君       安藤  覺君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    林田悠紀夫君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 東辻 正夫君         農 林 技 官 新澤 信男君         通商産業技官         (軽工業局化学         肥料部化学肥料         第二課長)   原間 新作君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員佐々木盛雄君辞任につき、その補欠として  三浦寅之助君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十二日  保安林整備臨時措置法案内閣提出第一一〇  号) 同月二十日  農地改革による犠牲者救済等に関する請願(大  村清一紹介)(第三六八七号)  積雪寒冷単作地帯関係予算増額等に関する請願  (古屋貞雄紹介)(第三六八八号)  家畜保健衛生所法廃止反対に関する請願外三件  (小林かなえ紹介)(第三六八九号)  獣医師法の一部改正反対に関する請願土井直  作君紹介)(第三七四〇号)  砂糖緊急対策確立に関する請願岡村利右衞門  君紹介)(第三七六二号)  農業改良普及事業費国庫補助等に関する請願(  關谷勝利紹介)(第三七六三号)  関柴貯水池築造工事促進に関する請願助川良  平君紹介)(第三七六九号) 同月二十二日  砂糖緊急対策確立に関する請願中村時雄君紹  介)(第三八九五号) の審査を本委員会に付託された。 同月十九日  食糧事務所機構縮小反対に関する陳情書  (第二〇四六号)  農業改良普及事業に関する陳情書  (第二〇九〇号)  同  (第二〇九一号)  同(第二〇  九二号)  同(第  二〇九三号)  同(第二  〇九四号)  同外一件  (第二〇九五号)  同外四件  (第二〇九六号)  同外七件  (第二〇九七号)  同  (第二〇九八号)  同  (第二〇九九号)  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書  (  第二一〇〇号)  同(第二一〇一  号) 同二十二日  農業改良普及事業に関する陳情書  (第二一六四号)  土地改良事業推進等に関する陳情書外一件  (第二一六五号)  旧自作農創設特別措置法により創設された国有  地の無償払下げに関する陳情書  (第二一六六号)  公営競馬民営反対に関する陳情書  (第二一六七号)  同  (第二一六八号)  災害農地排水施設維持費国庫補助に関する陳  情書(第二一六九  号)  食糧事務所機構縮小反対に関する陳情書外八  十八件  (第二一九三号)  同外七十五件  (第二一九四号) 同月二十三日  獣医師法の一部改正反対等に関する陳情書  (第二二三三号)  農業改良普及事業に関する陳情書  (第二二三四号)  同(第  二二三五号)  積雪寒冷単作地帯農業振興に関する陳情書  (第二二三六号)  農業災害補償制度改正に関する陳情書  (第二二三七号)  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書  (第二二三八号)  農業改良普及事業に関する陳情書  (第二三二七号)  同  (第二三二八号)  同(  第二三二九号)  同(第  二三三〇号)  同(第二  三三一号)  同  (第二三三二  号)  国有林野整備臨時措置法期間延長に関する陳  情書(第  二三三三号)  耕地災害復旧事業国庫補助金に関する陳情書  (第二三  三四号)  公営競馬民営反対に関する陳情書  (第二三三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  保安林整備臨時措置法案内閣提出  第一一〇号)  砂糖に関する件  尿素による農作物及び家畜被害に  関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  去る三月二十二日本委員会に付託になりました内閣提出保安林整備臨時措置法案議題といたし、審査に入ります。  まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。平野農林政務次官
  3. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま議題となりました保安林整備臨時措置法案提案理由を御説明申し上げます。  昨年の西日本の大水害南畿の大水害等は申すに及ばず、近時異常な大災害が頻発しているのでありますが、これには、戦中戦後を通じての森林の濫伐過伐がその発生または拡大の誘因の一つなつていることは周知の通りであります。従いまして災害を未然に防止しあるいはその被害を軽度にとどめまするには、まづ水の流れ出て来る水源山地森林を造成し、その森林国土保全目的から適正に管理することが必要不可欠の条件であります。この意味におきまして、昨年七月内閣に設けられました治山治水対策協議会が、従来の治山治水に関する諸施策を再検討され、その抜本的対策といたしまして治山治水基本対策要綱を決定せられ、その重要な一環として保安林整備拡充を取上げ、その緊急の実施を要請せられましたことはまことに当を得た措置であると存ずるのであります。保安林整備臨時措置法案はまさにこの治山治水基本対策要綱具体的措置一つなのであります。以下におきまして、簡単にこの法案の骨子を申し述べたいと思います。  第一に、農林大臣は、国土保全長期的観点から、重要河川流域単位ごと保安林の配備、保安林における森林施業治山事業、国の保安林等の買入れ等に関する保安林整備計画中央森林審議会に諮問して策定し、これを基本といたしまして保安林整備事業実施することになるのであります。  第二に、保安林整備計画実施するため、現在森林法で定めている森林計画を補整する必要が生じますが、この場合森林基本計画を変更し、これに基き森林法手続に従い森林施業計画及び森林実施計画を変更し、森林所有者の守るべき施業要件が示されるのであります。  第三には、保安林等の買入れの問題でありますが、これは保安林整備計画に基いて、流域保全のための保安林治山事業施行地及びこれらに隣接する森林国土保安上国が一括管理することを相当とする森林を、所有者との協議により買入れを進めることになります。なお、農用林がたまたま保安林等として買入れの対象となりました場合には、価格の差額が二分の一以内でありますれば国有林野との交換によつて処理することができるようにいたしました。さらに森林法第二十五条第一項第一号乃至第三号の流域保全保安林につきまして森林計画で定める伐採制限行為制限に違反した場合には、造林命令又は復旧命令を出し得るように森林法第三十八条で規定していますが、これらの命令に違反しかつこれに従うよう催告されてもなお、従わない場合には、国としては、国土保全上これらの保安林を強制して買い取らざるを得ないわけであります。もとよりこの買取りは慎重を要することでありますから、農林大臣中央森林審議会の議を経て手続を進めることにいたしております。  以上の買入れの場合の対価は時価によることは申すまでもないところでありますが、その算定方式は政令によつて適正に定め誤りないようにいたすことにしてあります。  次に保安林等の買入れ措置を円滑に進めるため、租税特別措置法の一部を改正いたし、登録税譲渡所得税及び再評価税について若干の特例を認め、また地方税法に新たに設けられる不動産取得税につきましても交換により取得する場合免税をすることにいたしました。  なお、この法律は施行後十年間有効なものとし、この間に大体の目的を達したいものと存じているのであります。  以上がこの法案の内容の要点でございますが、治山治水対策一環である保安林整備を緊急に実施いたす必要のある今日におきまして、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 本案に対する質疑次会にこれを行うことにいたします。  ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  5. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 速記を始めて。     —————————————
  6. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 次に砂糖問題について、前会に引続き調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。中村時雄君。
  7. 中村時雄

    中村(時)委員 質問の前に農林大臣に一言お尋ねしたいのです。私は農林委員なつて以来農林大臣に初めてお目にかかるわけですが、農林大臣農林委員会をどのようにお考えなつているか、まずお尋ねしたいと思います。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 農林委員会は、農林省関係の主要な問題について、各般にわたつて審議をいただいている、こう考えます。
  9. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣出席を要求したことは、おそらく私のみならずもう四、五回に達しているわけですが、そのたびにいつも出席がないわけなんです。お忙しい今の状況から見て、特に自由党のいろいろな政策が、非常に混乱に陥つて、いろいろな問題を起しているとは思うのですけれども、今後はでき得る限り農林委員会に御出席のほどをお願いしたい。これは要求しておきます。どうか農林大臣はその点よくお考えを願いたいと思います。  続いて、今議題になりました砂糖の問題に関してお尋ねいたします。まず第一番に砂糖価格高騰に対して、その原因として政府かこういうことを発表しておる。今年下半期外貨予想実施が円滑に行われなかつたこと、及び来年度における砂糖輸入減少予想等原因なつている。こういうふうにその結論をつけられまして、今までの糖価高騰考えていらつしやつたわけであります。昨年の十一月、たしか経済安定委員会において砂糖の問題に関して、私が質問したとき、ちようど業者方々が、輸入の数量を減らしたいから何とかしてくれということで、大量陳情されておつた。そういうことに関して、もしこの事柄を受入れるならば、おそらく将来糖価は非常に上るであろうということを御忠告いたしました。その際に農林大臣は、そういう業者陳情もある、但しそういうことは決して行わないという御答弁をしていらつしやつた。またさらにこれに関連いたしまして、通産委員会齋木委員から通商局次長に対して、この問題に関してやはり同じような質問をしていらつしやる。そして通商局次長は、繰上げ支給をしてもいいということを発表されていらつしやる。そこでそういう二つの結論から導きまして、当然この輸入が遅れるとか、輸入の削減をする結果はなかつたものと私は想像いたします。ところが事実はどうかといえば、輸入は実際には遅れている。そこで遅れた原因をいろいろこの委員会で探究したところが、結局通商局次長におきましては、自分はそういうふうに繰上げ支給をしようと思つたのであるが、農林省側のある官吏が、そういうことをする必要がないと言われたので、これをとりやめたのだとおつしやつた。そこでこの問題が非常にずれて来たのです。それに対して所管大臣としての責任をどうとつていらつしやるか。その問題をお聞きしたいと思います。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 昨年の夏どの委員会かで、中村さんの御質問がございまして、私どもとしては業者がどういう考えでいられようとも、必要なだけはぜひ入れて行きたいのだ、こういうふうに申し上げてお答えいたしましたように私は記憶いたしております。その通りつて来ておつたわけですが、御承知のように外貨事情がかなりの差迫つた状態に入つて来つつある傾向において、一—三月の外貨処置について、外貨当局農林省の思うように輸入ができていない、そこに私は原因があると思うのであります。農林省の方で、砂糖はこれで一ぱいだからよろしいというようなことは、私は申すはずはないと存じておりますけれども、なおしかし私の方で調べます。
  11. 中村時雄

    中村(時)委員 もちろん結論は、そういうふうに大蔵省側外貨問題に関連するであろうと思う。そこで大蔵省通産省並び農林省との折衝の過程をお聞かせ願いたいと思います。  それからもう一つ、今言つたように、農林省側はそういうことがないとあなたはおつしやるけれども、通産省においては、時期をずらしてこれの輸入を先にするというような行動をやろうとしたときに、農林省側では、やらなくてもよろしいということをはつきりと言明しておるわけです。あなたはそうじやないと思うとおつしやつても、通産省側はそう言つておる。もしそれでは通産省側がそういうふうに断言しているならば、その責任はどういうふうにとられますか。
  12. 保利茂

    保利国務大臣 だから調べてみましてからお答えしなければ一私は承知しないことは何ともお答えできませんから、調べてからお答えいたしましよう。しかし前谷長官も、この一—三月の砂糖輸入については、外貨予定いたしておる輸入を何とか達成いたしたいということで、相当苦労しておりましたわけですからい私はそれはいつごろのお話か存じませんけれども、一—三月の外貨に関しましては、私はそういうようなことはなかろうかと思つております。
  13. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、中村委員も御承知のように、十二月までは当初の計画を進めたわけであります。一月以降は、いわゆるスリツプの形で二十一万トンを当初予定しておつたわけでございますが、それについては、その内訳ドルストレートで幾ら輸入するか、あるいは台湾から幾ら輸入するか、あるいはバーターで幾ら輸入するかという点について意見が合わなくて、遅れて参つたということは、われわれも申訳ない考えております。それもドルストレート外貨事情から予定通りに参りませんでしたが、バーター、その他のインドネシアブラジル等におきましては、大体予定計画を遂行いたしておるわけであります。ただ御指摘の、昨年度の十一月ごろにおきまして、一月の外貨をさらに繰上げるかどうかという問題につきましては、その当時におきまする糖価事情からいたしまして、早急にこれを繰上げなければならないということも考えませんで、大体一定の計画を遂行いたしますれば、さしつかえないものというふうに考えておつたわけであります。
  14. 中村時雄

    中村(時)委員 一言言つておきますけれども、調査の上とおつしやいますが、ここに委員の方もたくさんいらつしやいますけれども、言つたという現実は、委員会方々も直接聞いていらつしやる。事実ははつきりわかつておる。調査をするも何もない。そういうことを、農林省側が何もする必要はないということを言つたことははつきりしている。だから御調査をする必要もない。実にはつきりしておる。もしそれがはつきりすれば、そういう場合には、一体どういうふうにお考えになりますか。
  15. 保利茂

    保利国務大臣 問題は一—三月の外貨の問題だろうと思うのでございますが、この外貨問題は、先ほど申しましたように、食糧庁長官砂糖状況にかんがみて、何とか予定輸入を達成するように努力して来ておるわけです。しかしそれが外貨事情のために、はなはだ不手ぎわな状態に相なつておるということを申し上げておるわけです。
  16. 中村時雄

    中村(時)委員 外貨事情とは意味が違うのです。外貨事情は一三月分です。そこで行われた行動は、十一月にそういう予測を立てて、次長もそういう繰上げ支給をすると言つておる。十一月において繰上げ支給するといいながら、事実はそれをやらなかつた。そこでやろうと思つてそういう相談をしたけれども、農林省側では必要ないと言つておる。だから意味が違う。一—三月の内部における操作でなくして、そのときには十一月ですから、実際には一—三月分がそういうようになつて来るであろうという予測を立てて、繰上げをやろうという考え方を発表しておる。ところが農林省側では、それは必要がないというものだから、なおさら砂糖の暴騰が考えられて来たわけです。一—三月分とこれと関連があつても、直接の影響はなかつたそのことを言つておるわけです。
  17. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの中村さんのお話は、十一月の糖価状態からそういう予測ができたから、一—三月分の外貨を十二月までの間に繰上げ輸入をなぜしなかつたか、そういう御質問だと存ずるのであります。先般も資料を差上げておりますように、十一月におきましては、糖価が四十五円六十七銭で、従来の統制解除の場合は五十円でございましたが、まず糖価状態からして、繰上げ輸入するような緊急事態ということに考えておりませんので、一—三月分を既定通り遂行すれば、糖価の安定を期し得るというような考え方をしておつたわけであります。
  18. 中村時雄

    中村(時)委員 その問題は、行政機構として内部的操作の上に立つてそういう結論が出るわけなんです。少くとも大臣としては外部的ないろいろな折衝なり、そういう見通しを立てた一つの勘案を持つことが最も大事だと思う。われわれは政党としてその見通しをとつたから、社会党としてそれを言つたわけです。ところがそのときには、今言つたよう農林大臣は、そういう現象に対してはあくまで反対すると言つていらつしやつた。実際通商産業委員会においても発言を求めておいて、将来こうなるであろうという予測を立てて質問しているのです。そういう結果にありながら、なおかつ外部の状況を的確につかみ得なかつたという問題に対して、消費者全体が非常に糖価に悩まされる状態に行つていることについて、責任をどうとるかと言つているのです。
  19. 保利茂

    保利国務大臣 責任をとらなければならぬことはとらなければならぬでしようけれども、私が前にお答えしたこととからんで、何か砂糖業者の言うことを聞いて輸入を抑制したとでもおつしやるのでございますか。(「違う違う」と呼ぶ者あり)それだと今長官からお答えいたします通り、十一月当時の糖価状態はそう差迫つた状態ではないということは、当時の市価がそれを映しているわけです。糖価異常騰貴を来しているのは大体二月ころからだと思うのでございますが、それはこの一—三月の外貨処置からいろいろな思惑が行われて異常騰貴を来しているものと見ております。
  20. 中村時雄

    中村(時)委員 三月、しかし十一月はあと二箇月なんです。砂糖取引は年間を通じてやつている。先高を見越してやるのです。先高がわかつたからこそ、今言つたように十一月に売つた。将来こういう意向が必ず出て来るから注意してもらいたいという根拠を持つていたわけです。それに対してただ国内の糖価が四十円台ないし五十円台だからといつて、そのまま処置せずほつたかす手はないと言つている。農林大臣にはおわかりにならないかもしれぬが、砂糖取引は一年を通じてやつている。先高見越しをやつている。だからそういう将来性があるのだろうという考え方はつく。だからその問題を言つているのです。あなたが言つたことは計数上の計画の上ではちつともずれはない。ただあなたがおつしやつた事柄に対しては、ドル割当に対する問題がずれた結果そういう問題がからんで来た。これは確かにその通りだと思う。私たち質問した十一月の問題は、先高見越し考え言つた。今は安いけれども、将来は高くなるのであろうという推測を立ててあなた方に忠告をした。それを受け入れずに流してこういう結果になつて来たということが言えるわけです。それに対して農林大臣は、あの当時無意識に発言したのか、あるいはそういう将来のことを考え安定性考えて発言したのかということを聞いているのです。
  21. 保利茂

    保利国務大臣 言葉じりをとらえるようですが、中村さんの御記憶違いじやないでしようか。私があなたの御質問に答えたのはたしか六月か七月だと思うのでございますけれども、そのときにお答えした通りにやつて来ていたつもりでございますが、違いましようか。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 いやその通り七月十一日です。その次には通産省の問題が出ているのです。だからそれと関連して言つている。あなた個人にどうかこうとか言つているわけじやない。そういう見通しがあつたにかかわらず、農林当局としてあくまでも四十円ないし五十円のときにそういう必要がないしいうことを言い切られたのか、あるいはそういう見通しをようつけなかつた自分たち責任を回避しようとしているのか、その点長官にお聞きしたい。
  23. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げ化す。その当時のわれわれの考えといたしましては、大体既定の百万トンの輸入計画でもつて糖価が安定し得るという考え方を持つて、当初からスタートいたしたわけであります。そのうち年度内到着するものについては、十二月中までの間に手当をいたしたのでもります。この四月以降に到着すべきいわゆるスリツプの分二十一万トンについては、一月—三月の間にこれを措置するということで、その内訳を検討いたしていたわけでございまして、ただいまの御指摘の点は、四月以降に到着すべきものを繰上げて三月以内に到着せしめる措置をなぜとらなかつたか、こういうことだろうと思います。この点については、われわれとしても糖価をにらんでおつたわけであります。細承知のように来年度における外貨の重情が急激に悪化して参つたという状態では、実は一月の外貨収支からだんだんその様相がはつきりして参つたのでありまして、大体一月の末から二月にかけて、外貨収支の面から来年度における輸入状況が思わしくないということが出て参つたのであります。その事情を反映して二月から糖価の異常な状態が起つて来たわけでありまして、われわれとして、いろいろ外貨事情も見当をつけておりましたが、一月以降の急激な外貨減少ということは、十一月当時においては予想しておらなかつたのであります。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 予想をするとかしたいとかいうことはあなた方のかつて外す。それほどあなた方がおつしやるたらば、もう一歩つつ込んで聞いてみましよう。たとえば一月から三月まであなた方はりつぱな計画をされている。たとえばインドネシアにおいて一万四千十トン、ランクにおいて、三万六千トン、ブラジルが五万トン、ドル地域が四万トン、ブラジル二万トン、スイツチが四万トン、こういう計画をされている。この計画ができれば、あなたは糖価が安定し、これが十分入るという考え方を持つていらつしやるのですか。
  25. 前谷重夫

    前谷政府委員 今も申しましたように、一月の外貨はいわゆるスリップの本年の四月以降に到着すべき外貨でございまして、二十八年度に百万トンの到着ということは、昨年度のスリップと十二月末までに外貨割当ていたしたものによつて達成できるわけであります。従いまして一月以降の外貨は、四月以降の明年度スリップとして考えておつたわけでございます。そういう形で年度内到着ということは、大体百万トンでよろしい、こういう見通しのもとに進めておつたわけでございますから、その点は当初から四月以降の外貨割当について手取り早くやるべきでなかつたか、こういう御質疑でございますが、これは四月以降の到着として考えておりましたので、外貨事情等考えまして、ドルストレート割合とがあるいはスイツチ割合をどうするか、こういう点から遅れておつたわけであります。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 それじや四月以降からの割当考えてみてスリップをするとおつしやるのですけれども、ここにある実際のブラジルの二万トンだけでもとれると思つておりますか。
  27. 前谷重夫

    前谷政府委員 外貨割当てましたので、到着は遅れておりますが、ブラジルの問題については大体つかめると考えているわけであります。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 それじやこれは五月以降到着して来る——これは発注いたしましても、向うから一箇月以上かかりますよ。そういう状態の中で、今外貨が足らぬからといつて、その手が打てなかつた場合には、あなた方は責任をとれますか。ということは、ブラジルの問題でも、一月から三月までの計画の中に入つている。
  29. 前谷重夫

    前谷政府委員 その点は、先ほど申し上げましたように、二十一万トンは一月三月の到着として計画を立てたわけではありません。四月以降の到着としての外貨でございますから、到着の場合を考える場合に、買付には一月なり二月なりの余裕が必要と思いますから、四月以降に到着するものとしての一月三月の計画でございますので、年度内到着ということは考えておらなかつたのであります。
  30. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 中村さん、ちよつとお諮りいたしますが、大臣が三時半に分科会の方に参りたいということでありますから、どうぞ大臣に対する御質疑を集約願いたいと思います。
  31. 中村時雄

    中村(時)委員 大臣にお聞きいたしたいのは、たとえば一昨昨年インドに対して硫安を輸出いたしました。それに対しまして砂糖の発注証明を持つたという意味において、その硫安の輸出出血を砂糖にかぶせて来た、そういうことがある。これは大臣も御存じだろうと思うのですけれども、大臣はそのことを御存じですかどうですか。そのことを御存じなければ話にならぬから、まずその点をお伺いしたい。
  32. 保利茂

    保利国務大臣 知つておらなければならぬかもしれませんけれども、私ちよつと今知りません。
  33. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 中村さんにお諮りしますが、足鹿君より関連して大臣質問したいという御希望がありますが許してよろしゆうございますか。——足鹿君。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは大臣に二点だけお尋ねしておきます。食糧、繊維に次いで相当大きな外貨を使用しておるのが砂糖でありますが、これが独占利潤をほしいままにしておる。しかもその内容についてはいろいろととりさたをされておるような問題もありますが、要する貴重な外貨を使つて入れたものが独占利潤を非常に増大させておる。個人の家庭にとつては主食のようにそう重大影響はない。金額にしても少いものでありますが、その寄つて集まるところには厖大な利潤を与えておる。ここに砂糖問題の重大な意義があり、本委員会としてもこれを取上げておるところだろうと思いますが、政府はこれに対するところの施策について、ある程度の検討を進め、一つの対案を持つておると新聞等においても伝えておりますが、その点についてこの際大臣から御発表を願いたい。
  35. 保利茂

    保利国務大臣 砂糖の問題に対しまして、事態の改善に関して当委員会できわめて御熱心にいろいろと御論議いただいておりますことについては、私もよく承知いたしておるところであります。そこで私どもとしましても、ただいま足鹿さんのお話のように、現在の輸入形式から為替関係等が伴つて、不当と考えられるような利潤が製糖業者に偏在しておる。これは私も非常に割切れない問題であるという同様の感じを持つております。そこでこの輸入形式を改善する方途が考えられないか、あるいは外貨事情から、私どもか希望するような輸入を得られない場合に、どうして価格高騰を押え、安定をはかつて行くかということについて、同様に心配をいたしております。しかし、考え方としてはいろいろあるようでございますけれども、徹底をして配給統制までやるというような考え方でありますれば、形だけはすつきり整うと思います。しかし実際面からいたしまして、砂糖をそういう方向に持つて行くことは、消費者のためにも、また国の行政の関係からいたしましても、私は大きな疑問を持つております。率直に申しますれば、私は砂糖についてはそういう措置は絶対にとりたくない、再び官僚と申しますか、行政機関の手にかけて配給までお世話をするというようなことは、なすべきじやないと思う。今中村さんからお話になりましたことからいたしましても、こういうことが役所にとつていかに不向きなものであるかということは、中村さんの御指摘通りであるわけであります。そういうところで一つの具体案が出ないものかということで、事務的に研究をお願いしておりますけれども、まだこれといつてしからばやつてみようというところの案は何もできておりません。これははつきり申し上げます。ただしかし、国会の非常に心配していただいた御論議等は、十分業界にも反映いたし、また私どもも何とか処置しなければならぬということは、それぞれまた当業者は当業者で心配もしております。そこで消費者に大きな迷惑がかからないように、たとい輸入量がある程度圧縮されても、迷惑をかけないようにといういろいろな考えもまた出て来ておるわけであります。心底を申し上げますれば、私は砂糖問題はもうしばらく推移を見て、十分研究をいたした上でなければ、どうも手をつけにくい問題じやないか、これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、私の率直な感じはそういう感じでございます。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 慎重に御検討になることはけつこうであります。国会でこの問題が取上げられ、相当論議が行われることにより、また砂糖の市況等もかわつてつて価格も若干下つて来つつあるというような傾向でありますが、ただそれだけで安心するわけには参らない。しよせん砂糖は、国内における生産量は、いかようにしてみましても、需要をまかない切れない輸入物資であります。米にしましても、あるいはその他繊維にしましても、国内における自給ということは、努力すればできますが、これはまつたくできないものでありまして、そういう意味において、砂糖問題は非常に重要な意義を持つておると思うのであります。そこで輸入の方式の問題、あるいはは輸入した原糖をどういうふうにすれば、需要者に適正価格で、しかも必要を満たすかということが問題になつて来ると思うのであります。国内で相当生産されて自給の余地があるということであるならば、これはある程度その方面に力を入れて行かなければならぬ。北海道の甜菜糖等の事例はありますが、これは国内の需要のきわめて少部分しかまかない切れない。従つてこの輸入の問題と、原糖を管理してこれが消費者へ渡つて行く方式というものについては、根本的な対策が立てられなければならぬ。立てるには今が一番問題を起しておる際でちりますし、一番いい時期ではないか、こういうふうにわれわれは考えまして、この問題を農林委員会として先日来取上げておるのでありますが、大臣の今のお話によりますと、管理方式については不賛成だ。しからば一体どういう方向でもつて一つの対策の重点を求められるのか、少くとも、そのことについての基本的な考え方くらいはなけらねばならないと私は思うのです。政策の方向をどちらへ向けて持つて行くのかということです。それが一番根本になつて来ると思うのです。それは対案もないということではない。聞くところによると、相当関係省と御折衝になつておる一つの素案があるようにも聞いておりますが、これは発表の域ではないと言われれば、あえて発表なさいとも言いませんが、とにもかくにもこれは外貨を使つて輸入するのでありますから、政府一つの確固たる方針を持つならば、これをいかような形で管理するか、いかような形でこれを的確に需要者へ流し、しかも不当利潤がとられないようにするかということについては、これはほかのものと比べて、私は容易な問題じやないかと思うのです。そういつた点で、いまだに大臣の決意が固まらないということは、一体どういうわけでしよう。これだけやかましく論議をされておる問題が、どうも今の御答弁では、私はよく納得が行かぬのでありますが、その点だけをお尋ねして、関連でありますからあとまた申し上げます。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 まつたくその通り、ごもつともだと存じますけれども、とにかく二月以降今日までの推移を見ましても、たいへんな激動をしておる。それでこの高い頂点でものを考えたのがほんとうに正しいものであるか、あるいは情勢がかわつて来てみると、どうもそれはまずいんじやないかというようなところで、実際の問題としては、事務当局もまだこれならという案ができないでおると存じております。ものの性質からいたしまして、お話のように、これは内地で砂糖の調整をする供給力を持たない。まつた輸入物資そのものによるわけですから、私としましては、お話のありました不当な利潤がある一部の業者に独占をせられておる、それは是正しなければならないじやないか、それからかりにある一部の、たとえば製糖業者なら製糖業者、あるいは問屋なら問屋、小売なら小売というところの段階それぞれに価格の指導と申しますか、安定の措置を講ずるようなものでなければ意味をなさぬじやないかと思います。それから砂糖については、どこまでが必需物資で、どこから先がぜいたくと言えるか、なかなかむずかしい。一つ輸入していないときは、いもとか、水あめとか、代用甘味等で、何とかごまかしをしてとにかく全国民がしのいで来たときもあるし、塩のように必需物資と言えぬところに、扱い方についてあまり割切つて考えられないと思つております。いずれにいたしましても、各段階において、価格が著しく激騰するようなことのないように、指導する措置はとれないか。それともう一つは、これはしろうとの私が言うことですから、事務当局も迷惑しておると存じますけれども、そういう価格指導等をやるについては、純然たる輸入物資で一体清算取引などというものをやつても何の効果があるか、そういう点についても研究をしていただいておるわけです。これはあるいは事務当局は当惑しておるかもしれませんけれども、そういう状態であります。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 政府は、過去において精糖と粗糖を輸入しておつたのですが、最近は全然やつていない。ほとんど原糖をやつておる。そこで実際にその原糖をよく考えてみますと沖繩、インドネシア、台湾、フイリツピン、メキシコ、こういうところから原糖を輸入しておるわけですが、原糖と精糖を比べた場合、原糖の値段で精糖が買えるわけだ。そういう場合に精糖の輸入をお考えになるか。これをお聞きしたい。
  39. 保利茂

    保利国務大臣 台湾を失つて精糖工業というものは壊滅してしまつたので、精糖を輸入して行くということになれば、結局わが国においては製糖工業は成り立たない。成り立たないのみならず、粗糖で入れるのと精糖で入れるのとでは、たいへんな国民経済上のロスが出て来るのではないか。そこで製糖工業をどうしても興さなければならぬというようなことで粗糖を入れておつたわけでありましよう。しかし今日砂糖、かなりいろいろなリンク物資に扱われておりますから、その貿易上に寄与しておる面もまた大きい。これは今後の推移にもよつて来ると存じますけれども、早い話が、粗糖で入れれば割高だから、精糖で買つて来て、製糖工業がつぶれようとつぶれまいとそんなことはか嘉ないというわけにも行かぬのではないか。そこらは十分検討してみなければならぬところだろうと存じますから、今ただちに粗糖を精糖に切りかえますということは申し上げませんけれども、ある程度は考えて、いんじやないかとしうようには考えております。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 黒糖だけを輸入して行つて、あなたのおつしやつたメーカーだけを援護するということも一つ考え方です。ところがその制度に非常に問題がある。たとえば今のところは設備に応じて砂糖割当をやつているものですから、設備の方が非常に厖大になる。現在三百万トンから持つている。しかし実際に入つて来るものは百万トンしかない。にもかかわらずそういう制度をもつて行うからこういう問題が起る。あなたのおつしやることはメーカーの援護にはなりますけれども、実際には、結果としてはそのために資材が遊ぶという結果を招来して来ている。自由主義か何か知らないけれども、そういう結果が事実は出て来ている。だからそういう点をよく勘案されて、今の砂糖輸入の問題は慎重に考えてもらいたいと思う。  次に政府は安い精糖輸入を全然行わず、そういう製糖業者のみに一方的に外貨割当てて、そうして独占利潤というものを与えておる。その結果が参議院でも指摘されているのですが、今後の輸入をどのように行うか、そういう点について、たとえば今言つた精糖の部分の一部分を入れてくれるような御意見を持つていらつしやるか、その点をもう一回明確に確認したいと思うのです。
  41. 保利茂

    保利国務大臣 私は目先のことで役所が思惑で踊らされるようなことにならぬようにということを、注意いたしておるわけでございます。それがなりやすいからそれをならないように気をつけてくれということを言つておるわけです。お話の点はまつたくごもつともで、かりに甜菜糖の三万トンの政府の手持ち——非常に糖価が暴騰をいたし、打つべき手というものがなかなかない。そこで緊急に甜菜糖の放出をいたしましたわけですが、あの一万トンの放出ですら相当の効果があつたように表向きは見えますが、実際の効果があるのか、業者が多少——これも思惑というか何というかそういう関係があるのか……。そこで三万トンの手持ち放出にしましても、相当の効果を上げ得ておりますから、従つてただいまお話の点は、そういう意味においても考えていいんじやないかと私は考えております。そこでさしあたりインドネシアこれは御承知でございましようが、一万二千トンか一万五千トンそういうものを輸入いたしたいということで計画を進めております。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 それからもう一つ通産省が最近特に輸入業者割当という線を強く出しておるわけです。新聞にもいろいろ出ております。そこで参議院に対して行われた回答中の発注証明つき、インポーターとどういう関連性を持つておるのであるか、これを一点お聞きしたい。それから同じことですが、これが漸次完全な形でインポーター割当を行うという形になつた場合に、触占利潤が製糖業者から輸入業者に移行されるおそれがあると私は考えるのですが、一体大臣はどういうふうにお考えなつているか。これが二点。  それからもう一つ。あなたは先ほどリンク制ということを口にすべらして、私がリンク制の問題を聞いたらまだはつきりわからない、こう言つておる。それでこの問題はこの次に質問したいと思いますから、その点よく資料を集めておいていただきたい、このように思つております。
  43. 保利茂

    保利国務大臣 どうも問題は私がお答えするより前谷君がお答えした方が適切のようでございます。
  44. 前谷重夫

    前谷政府委員 このインドネシアにつきましては、先般も申し上げましたように、大体粗糖を加工したしました、中ざら程度の直消糖を輸入いたしたい、かように考えております。従いましてこれにつきましては、その外貨割当はインポーターに行かざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございますが、ただこういう糖価の緊急対策として行います関係上、そのインポーターが自由に輸入するということではなくして、実需者からの発註証明によつてそこをやつて行きたいと存じまして、実需者との間に一定の契約ができまして、その契約に基いて輸入する、こういう形をとることが緊急対策上適当であろうと考えて、そういう制度をとつたのでありまして、割当制度につきましては、御承知のようにインポーターに割当てるか、あるいはまた需要者、つまりそれを原料として消費する需要者割当をするか、二つの方法があるわけでございますが、このインポーター割当につきまして、実需者に対する発注証明をつけるということによつて、ただいま御指摘のようなことを避けたいという意味で、こういう制度をとつたわけでございます。
  45. 中村時雄

    中村(時)委員 実需者割当の問題ですよ。実需者と称しまして菓子業者とかいろいろなところに出しておる。そういうような場合においてたいへんな問題が起ると思う。たとえば十分な割当をやつてみたところで、今のように非常に足りない部分を割当てるわけですから、そこでかえつて社会不安が非常に起つて来る。また実需者という限界をどうとつておるかということを次に的確に私はお答え願いたいと思いますから、これも留保しておきます。
  46. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは御指摘のように、政府が実需者に対しまして外貨割当てるということになりますと、その需要限度というものが非常に明確でございませんので、具体的に外貨割当てるということは非常に困難だというふうに考えますが、同時にまた糖価対策について緊急的に直消糖を輸入する場合に、インポーターのみが利益を独占するということは困りますので、従来御承知のようにこういうインポーターの割当の場合におきまして、実需者の発注証明ということがございますが、これは政府におきましてその実需者に対する発注の限度を限定するという考え方ではないわけであります。つまり一定の範囲におきまする資格者に対して契約をする、その契約の内容というものは、インポーターの間と実需者との間におけるコマーシヤルベーシスにおける契約、こういう形になるわけであります。ただこの場合の実需者団体をどういうふうに考えるかという場合に、われわれといたしましては、これを特別法に基きます構成員のために一つの経済行為が行われ、こういう消費物資ごついての購入ということが目的であるような、そういう全国の団体というものをこの範囲に考えるべきじやなかろうか、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。
  47. 中澤茂一

    ○中澤委員 足鹿さんの質問によつて大体政府基本的な考え方がある程度明確になつたと思います。今の大臣の答弁で、管理政策は絶対とる意思はない。そこで価格政策をとるか二つ上か道がないわけです。管理政策は絶対とる意思はない、こうおつしやれば価格政策をとる以外に手はないわけです。そこで大臣はこの問題について、清算取引自体に疑問がある。そうなると大臣としては初めて聞く良心的な言葉だと思う。そこで価格政策をとる場合、大臣は小売とか卸問屋とか、そういう者に対して価格指導をするということをさつきおつしやいました。価格指導をするというところで踏みとどまつてはこの問題は解決しません。これは経済が自由のままに放任されている場合、指導という言葉だけでは、需要と供給のアンバランスによつて絶対解決しません。そこでいま一歩踏み切つて、明らかに管理政策は自由党としてはとれないが、価格政策だけはとるのだという方向に行くべきだと私は思うのです。そこで、さつきの大臣の答弁を聞いていると、価格指導だけだ、こういうふうな考え方ですが、そこをいま一歩進めて、価格政策をとるのだということがはつきり言えませんか、その点についてひとつ御答弁願います。
  48. 保利茂

    保利国務大臣 もう少し推移を見てみないと、私は何とも腹をきめかねるわけでございますが、マル公政策をとる考えはございません。これは何も仕かに例がないわけではございませんが、行政作用によつてある程度のことはできるのだと思います。きゆうくつな管理政策をやるよりも、消費者にとつて、多少の値段の動きはあるかもしれませんけれども、それでも月に半斤なら半斤というような、いらぬところもいるところも半斤で押えてしまつて、あとは罪つくりをするような弊害のあるやり方は、絶対にいたしたくないと思います。価格の点をあなたがおつしやるのは、マル公政策でもとればいいじやないかというところだろうと思いますけれども、私はなるべく経済は自由に置くべきだという原則の上に立つて、しかも国民の大事な消費物資であるから、あまり大きな変動を起さないような処置をとつて行けないかということを、研究してくれということを言つておるわけです。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本日の当委員会において、農林大臣の御出席を得た場合においては、砂糖問題に対しては、相当期待の持てる具体的な御表明があるだろということを、われわれは予期しておつたのでありますが、お話を聞くと、まだ非常に悠々迫らざるような御答弁で、非常に期待にそむいたわけであります。問題は、参議院におきましても三月の十八日に、これは期限付で政府に対して、糖業問題の具体的な案を示せというような要求があつたわけでありますが、本日のお話を聞くと、それに対しても一応陳謝する形で、具体的な政策は示さなかつたということでありますが、最近、これはわれわれは特に農林委員であるせいかもしれませんが、全国の砂糖の卸業者あるいは輸入業者等から、非常に厖大な電報が参つておるわけです。中には模写電報といいまして、写真で電報が写るような、そういう高価な電報まで来ておるわけであります。それで政府がある段階においては、新熟語かもしれませんけれども、いわゆる砂糖、重油、ガソリン等に対して、中間統制をやる考えがあるというような構想も新聞発表で承知したわけでありますが、これらの段階は現在非常に後退して、無為無策の線までもどつてしまつたようにも感ぜられるわけであります。しかし何としても、具体的に当面の砂糖問題に対してどうするという一つの方策というものは、当然示される必要があるというふうに考えるわけでありますが、ただ問題は、外貨割当の場合においても、いわゆる輸出リンクの関係がありまして、たとえば生糸であるとか、場合によつては硫安等に対しても、その砂糖外貨をもらつた分を出血分にまわして、そうして輸出の損失をある程度カバーするというような、非常に複雑な方式がとられているので、原糖の輸入価格も、必ずしも一本になつておらぬところに、非常にやりずらい点があるというふうに考えるのでありますが、とのような状態砂糖輸入された場合においても、たとえば輸出の損失をカバーする場合においても、これは国民大衆の、消費者の直接負担によつて、それらの出血がカバーされているというようなことに帰納すると思うわけでありますが、そういうことになるとすれば、やはり明確に、砂糖問題というものを、一貫した方針を早急に立てる必要があるというふうに考えるわけでありますが、この点に対しては、今のような複雑なリンク制たけに砂糖の大都分をまかしておく、しかもその出血カバーのためにこれを使つているとしう行き方は、是正される御意思があるかないか、その点をまずお伺いします。
  50. 保利茂

    保利国務大臣 芳賀さんのお話は、筋を押して行けばその通りだと思います。それじやその通りつてみて一体どうか、それではたして消費者の利益をもたらし得ることになるかどうかということは、先ほどから申し上げている通り、私は幾多の疑問を持つているわけであります。いや油をどうする、砂糖をどうする、原毛をどうするというふうなことが新聞にいろいろとりざたが行われておりますけれども、砂糖に関する限りは、これは大体私のところの所管だと存じます。従つて私の本日申し上げているところが、私の考え方でございます。それ以上のことは一向考えておらないのであります。いろいろ是正の方策については、事務当局も関係当局と相談をして、かなり苦心をしているようですけれども、まだ私のとこるまでお話をいただく段階に至つていないのであります。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは伺いますが、大臣はこの砂糖は食品であるというように考えておりますか。原糖を輸入する場合は、原料生産資材というような形で入つ棄ている。われわれの常識的な判断からいうと、これはやはり食品の範疇に入るのじやないかというふうに考えるのですが、この見解はいかがですか。
  52. 保利茂

    保利国務大臣 これは純然たる食品である、こう考えております。ただ純然たる食品であるそれを、どうして大半製糖業者にやつているか、これはるる申し上げていると思いますが、大体原糖のままで配給しておつたと思いますけれども、衛生上の見地からいたして、そのままで飲食に供することは、衛生上危険であるという一応政府間の意見があるものですから、現在のような措置をとつているわけであります。これにつきましても、どこまでもそう言い切れるのかということについても、関係当局と相談しているはずでございます。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 原糖が有害でないということは、先日の農林委員会前谷長官も立証しております。たまたま麻袋の中に來雑物があつたり、まれにだにが入つているようなことがあるので、そこに心配があると言つております。そこで菓子業者には全部原糖のまま渡しておりますが、それでもさしつかえないことになつております。十九の砂糖のメーカーに、独占的に原料を全部やつてしまうというような行き方に一つの問題があると思います。もちろん自由党の政権下において、統制とか何とかいうことは、これはできるだけ避けたいお気持はわかりますけれども、具体的に価格を押える、不当利潤をできるだけ制限をするという場合においては、やはり権力的に何かの手が打たれなければならぬというふうに考えるわけでありますが、大臣お話を聞いていると、大体現在の製糖施設が二百五十万トンくらいの能力を持つているので、それに対して、結局これは過剰施設を政府がどんどん持たしたということになるわけでありますが、こういうようなことにあまり配慮し過ぎて、一般大衆にいかにして廉価に砂糖を流すかということが第二義的な問題になつておるように考えるわけであります。この点を克服する努力が必要であると思いますけれども、この点どういうように考えておられますか。現在既存の十九の砂糖業者の利潤をまず優先的に確保してやらなければならぬ、その次に消費者の方も考えてやるというような順位で砂糖の政策は堅持されるのですか。
  54. 保利茂

    保利国務大臣 私どもにとりまして、そういう御推察ははなはだ迷惑な御推察ございまして、そういう考えは毛頭ございません。そこで私の実際の感じからいいましても、みなまつ白い砂糖でなければ使えないというようなことは、私どもの国民生活の水準からいたしましても、また今日の状態からいたしましても、私は必ずしもないのじやないかと思う。そこで代替配給を受けて、だにがおろうと何がおろうと、とにかくやつてつたときを回想いたしますと、そういうところに政府が手を加えて、ある程度粗糖のままでも飲食に供し得るという、保健衛生上の保障が得られるならば、私は製糖会社がどんな過剰設備を持つておろうと能力を持つておりましようと、それは考えの中に入れるべきものではなかろう、そういう意味で私の意見をつけて食糧庁に御研究願つておるわけであります。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど大臣は、価格調整をある程度する意味において、二十七年度産の甜菜糖の政府買上け、三万一千トンと思いますが、これを逐次放出したことによつてある程度成果が上つたと言えるというお話でありましたが、現在国内における砂糖の生産は、全部を入れても五万トンに及ぶかどうかわかりません。これは全体から見るとわずかのパーセンテージではありますが、先日前谷長官は甜菜糖の買上げ値段は、斤に直すと五十三円二十銭程度で友つたということを言われておるわけであります。今までの甜菜糖は輸入糖よりも非常に引合いが高いので、国内における農家の甜菜糖の生産の面を価格的に支持するような面も含めて、てん菜生産振興臨時措置法さえできておるようなわけでありますが、このように外糖が高いというようなことになつて来ると、国内における甜菜糖の価格一つの特色を持つて現われて来ているように考えるわけであります。     〔佐藤(洋)委員長代理退席、委員長着席〕 それで私は先日買上げ分に対する輸送費であるか保管料を入れた場合にどのくらいのコストでこれを市場に提供することができるかという質問をしたわけであります。前谷長官は、これを入札に付している関係もあるので、あまり具体的なことを言えぬというようなことを言われておりましたが、少くとも国が買上げを行つて払下げをする場合において、その払下げの関係があるので精密なコストを表明できないということは非常に遺憾なくとであると考えておるわけであります。これは農林大臣の許可でもなければ長官は発表できないので、そういうふうに言われたのかもしれませんが、かかる状態の中においては、むしろ国内における甜菜糖のコストの分析等が明白に公表されるということも、価格政策の上から言えば貴重な資料になるのではないかと考えるわけであります。農林大臣にこの際、買い上げた甜菜糖に保管料とか輸送費等がかかるわけであるけれども、それらを加算して、実際の価格が斤当り大体どの程度で市場に提供することが可能であるかという、具体的な数字を御発表願いたい。
  56. 保利茂

    保利国務大臣 入札をしている最中に予定価格を示すことは、おそらく入札制の公正を失うという心配から避け  たと思うのであります。しかし買上げ価格に保管料、輸送費その他所要経費を加えてどのくらいのものになるであろうということは、計算上の問題でございますから、そのこと自体は別に計算をしていかぬという問題ではないと私い思うのでございます。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それを当委員会になぜ発表できないかということなんです。
  58. 前谷重夫

    前谷政府委員 今甜菜糖の買入れ価格は申し上げたのでありますが、あとは買入れ価格に輸送費、保管料を加算して予定価格をつくるわけでございます。現在入札が一定の期間ずつ行われておるわけでございますが、御承知のように甜菜糖の場合におきましては、予決令によつて入札ということになります。その入札は、大体市価に準じてコストも考えるわけでございます。糖価の問題と、政府が入札予定価格をどう考えるかという問題とは、関連があるわけです。ただいまの甜菜糖の価格について言えば、政府のコスト価格がどうかという問題は、現実に入札の価格に非常に関係しますので御遠慮申し上げたい、こういうことを申し上げたわけであります。一般的に申しまして、甜菜糖のコスト価格と市価とは、先ほども御指摘のように、全体的には三万トンかそこらと思いますが、ごくわずかの数量でございますから、これがある時期的には市価に影響する場合もあると思いますが、これによつて一般の市価構成ができる、こういう形ではないと思います。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 元来甜菜糖の買上げに対しては国が相当出血を覚悟しておつたにもかかわらず、逆に砂糖の値上りによつて、出血ではなくてかえつてこれでもうかるという逆現象が、甜菜糖の場合には出て来たわけであります。だから国内における生産を伸ばすための積極的な政策がとられる時期ではないかというふうに考えられるわけでありますが、昭和二十九年度においては、どのようなこう争のもとに国内における甜菜糖の問題が出て来ておるのか。  もう一つは一法律によるとまず国が甜菜の原料価格をきめて、それを四月一ぱいに公示するわけであります。その原料価格に会社の加工賃を加算したものが買上げ価格になるわけであります。加工賃に対しては、政府は帳簿検査であるとかいろいろな有権的なそれに対する検討ができることになつておるわけでありますが、こういうような内部的な分析は厳重に行われる必要があると考えておるわけであります。二十七年度の製糖の加工賃の内容に対しては、当局として十分分析を行つたかどうか。そういう点はいかがでございますか。さらにその内容等に対して、加工賃の分析の結果を、できれば資料として提出してもらいたいと思うのであります。
  60. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまのお話でございますか、御指摘のように甜菜糖の原料価格については、四月一ぱいにこれを決定するということになつております。政府の買上げの甜菜糖自体につきましては、これが生産されて加工される十月に甜菜糖の買入れ価格をきめる。こういう二段階に価格をきめることになつております。甜菜糖の原料価格につきましては、競合生産物につきまして生産費等も参照いたしまして、別個のシステムから決定されるという形になつております。これは糖価とは直接関係がないわけでございます。われわれといたしましては、従券甜菜糖に対する措置法の精神によりまして、競合作物その他の生産費等も勘案し、これを決定している次第でございます。これは芳賀さん御承知のように、二十八年の四月に決定をいたしましたときは、前年よりも甜菜糖の原料価格は上つております。一方におきまして買入れ価格は、原料価格が上つたにかかわらず、コストを十分に精細に調査して下げております。たしか去年は五十五円でございますが、ことしは五十三円二十銭ということにして、コストの点では十分に調査しているわけでございます。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに具体的に、こういうような砂糖の情勢下において、今までは非常にやつかいもののようになつていた甜菜糖が、逆に国内においてできるだけ増産されるよう要請されてとる段階に来ているわけであります。引合いの上から言つても、甜菜糖以下に速急に政府が手を打つて外糖の製品を安くするという自信は、おそらく大臣としても持つておらないと思いますので、今後寒冷地帯における甜菜栽培を中心とした、いわゆる甜菜糖の増産計画等に対して、具体的、積極的にこれを行う意思があるかないか。これは大臣のなわ張りの中においても十分できることであると思いますけれども、いかなる御所見でありますか。
  62. 保利茂

    保利国務大臣 私の研究が足りないかも存じませんけれども、現在の糖価状態は、国際相場と申しますか、価格から見まして、国内においてはなはだ異常な現象を呈している。為替の関係その他思惑等の関係等もあり、輸入数量の問題等に関連しまして……。そこで平常状態において甜菜糖がこれらの輸入砂糖に対抗して、十分採算的にも伸び得る余地があるかどうかということは、考えなければいかぬのじやないか。ただ目先が、今ならば割よいからといつて、むやみな増産をやつて、あとでまたそれを転作しなければならぬようなことも十分考えられるのじやないか。相当慎重を要するのじやないかと思います。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣は何か錯覚をしておられるようでありますが、甜菜糖というのは、一年植えるとそれが何十年も生きているのと違う。毎年々々種をまいて秋に収穫するのであつて、引合いかとれぬから、転作するという必要はない。これは寒冷地帯における畑地の地方を培養するというようなところに基本的なねらいもあるわけであります。特にてん菜糖振興臨時措置法という法律があつて、一定の価格支持をやつている。しかもあの法律ができた当時は、外糖の引合いが、非常に内地糖の方がコスト高であるから、価格支持をしなければならぬというねらいであつたけれども、現在は逆になつている。こういうわけであります。だから買上げ価格から生じた超過利潤というものは、今年度の甜菜糖の売払いによつて出て来るわけであります。それうのものをやはり生産者に還元するとか、国内糖の生産のために投入するとかいりような政策というものは、当然独立珠算の上においても可能であるという見通しを私は持つているわけであります。しかしそれよりも安く外糖を引下げることができるという自信があれは、これはあえて主張するわけではないのでありますけれども、現在においては何ら具体的な政策を持つておらぬ。当分の間そういうものは結論が出し来ないという段階の中においては、四内における農業政策の一環としてこれらのものは処理できるんじやないかこいう観点から、私は御質問申し上げたわけでありますが、その点であります。
  64. 保利茂

    保利国務大臣 甜菜糖が一年作物でめることは承知しておりますが、それにしましても、一度やれば、下つて来たからといつてなかなかやめられるものじやなかろう。これが私は農業の本質だと思います。それはよほど慎重にやるべきじやないか。かりに今日の砂糖価格から申しますれば、甜菜糖の採算は十分とれるわけであります。むしろ轄糖はほうつおいてもどんどん増産される、そういうことは言い得ると思いますが、それだからというて、やみくもに増産を奨励することは一体どうであろうか。今後とも国庫の負担を伴わないで済む結果になるという見通しがありますならば、これは大いに増産をやるべきだと思います。
  65. 井出一太郎

    井出委員長 この際中村時雄君より発言を求められております。これを許します。中村君。
  66. 中村時雄

    中村(時)委員 砂糖行政の開顕に関し政府の非常に不的確な線、あるいは外貨獲得の問題の不統一なる線、そういうものが明確に出、また国内的にはいよう状態で、いろいろ問題を残している。そこで私は一つ動議として皆さんにお諮りしたいと思つて文書にしておりますから、これを読み上げたいと思います。    砂糖行政確立に関する件   最近における砂糖価格の高騰が、国民生活に及ぼす影響の多大なる事実にかんがみ、政府はすみやかに、原糖輸入に必要な外貨予算の執行の適確化、輸入数量の恒常的確保並びに国内糖の増産等の措置を講ずると共に、需給及び価格の調整制度の確立を期し、以つて価格引下の措置をすみやかに講ずべきである。   右決議する   昭和二十九年三月二十四日           農林委員会
  67. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの中村君の提起されました動議に対し、御意見がありますか。——別に御意見もないようでありますから、ただいまの動議を採決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの中村君提案にかかる砂糖行政確立に関する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 井出一太郎

    井出委員長 さよう決定いたしました。     —————————————
  70. 井出一太郎

    井出委員長 なおこの際尿素による被害に関して、井谷委員より質疑をいたしたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 井出一太郎

    井出委員長 井谷正吉君。
  72. 井谷正吉

    ○井谷委員 去る三月の十五日付で香川県綾歌郡昭和村字中植西、中植西地区代表責任者池下善行君からこういう書面が来ております。要点を簡単に読んでみますと、「当地区においては過般農業協同組合農業改良普及員の奨励により麦作に対し尿素を施肥したるところ(注、尿素製造銘柄は東洋高圧大牟田工場、販売者は昭和村農業協同組合)数週間経過したるも全然成育を促進せず、葉の伸長はもとより分蘖もせず、元肥に施用したるものは芽さえ出ず、このような状態であつたが、最初は原因も不明にて、普及事務所に調査を依頼しても他因のごとく何ら熱意も示さず、このありさまなれば、さらに数回施肥したるものは裸麦は著しく赤く、小麦は白くなつて枯死したるものさえ見かけるようになつて、他の肥料が施用したる者と著しく相違して初めて農協試験場が驚いた状態であるが、当時責任者としても奨励したる手前容易に結論を出そうとはしない、また施肥者自身としても各方面で調査聞きとりした結果、尿素製造過程において非常に猛毒性のビユーレットなるものを摘去装置をせずして東洋高圧株式会社はこれを製造し、政府の肥料検査官もこれを是認して各農協に少し廉価にて販売を依託したるものと考察する。右のありさまなればわれわれ食糧生産者としても安心して、また信頼して肥料を購入して次の米の生産することも恐慌で、われわれ生活権を侵犯し国民の食糧と国家財宝を強奪する不良会社と不良公務員とは徹底的に責任を追及してわれわれの生活権を確立して次の生産に邁進できるようお願いいたします。」こういうふうな書面が来ておるのでありますが、私どもこの尿素の中にあるビユーレツトというものがどういう性質のものであるか、あるいはまた尿素を製造します場合にどういうわけでこういうものができて来るのであるか、また害毒の性質、そういう点について承りたいと思うのであります。  さらに先般私は休みの間に新居浜の住友化学の肥料会社を見学したのでありますが、そのときの話では、これを家畜飼料に使う、あるいは葉面散布をする、こういう説明を受けたのであります。そうするとこういう毒素がかりにあるものとしますならば、家畜に使用しました場合にこれが影響があるかどうか、こういうことが私どもには一向わかりませんので、ひとつ御説明を願いたいと思うのであります。そしてこの書面にありますように、実際香川県では被害を受けておるのでありますから、それがどういうふうな程度のものであるかという御調査も願いまして、結果を御報告願いたい、かように考えておるのであります。
  73. 原間新作

    ○原間説明員 お答えを申し上げます。御質問の御要一言がどんなことか十分承つておりませんし、また非常に技術的な問題になりまして、私ビユーレツトについて多少うわさも聞いたことがあるのでありますが、詳しくは調べておりません。詳しくはあらためて申し上げたいと思います。  ビユーレツトというものは、尿素それ自体ではございませんが、尿素を製造するのは、アンモニアと炭酸ガスからこれを合成しておるわけであります。アンモニアと炭酸ガスがどういうぐあいに結びつくか、その結びつき方に上つていろいろな品物ができるわけでありまして、尿素だけができるわけではありません。カルバミン酸とかビューレットとかいうようなものができるわけであります。それで尿素肥料として販売しておる製品それ自体は非常に純度の高いものでありまして、不純物はきわめて少いわけであります。この規格は肥料の取締法によつてきめられておるわけであります。しかしこれは農林省で肥料の取締りを施行しておりまして、肥料の規格をつくつております。尿素の規格をつくる際には、当時ビユーレツトというようなものはあまり考えていなかつたと思います。最近になつて多少今お話のようなうわさがありますので、私も先日新聞社に聞いたのでありますが、具体的な問題は全然聞いておりませんのでよくわかりません。ビユーレツトという物質は窒素と水素と酸素を含んでおると思います。これは化合物の中に蛋白質が入つておるかどうかというようなことを検査する場合に、ビユーレツト反応というので調べるわけであります。しかし一般にビユーレットという物質それ自体はあまり実用的の価値のあるものではございません。それがどういう毒性がありますか……。
  74. 井谷正吉

    ○井谷委員 私のお問いしておるのは、この肥料を使つてビユーレツトという毒素で作物が枯れた、こういうわけなんです。尿素をこしらえる過程の中にこういうものがあるのか、あるいはこれを除去し摘去することを肥料生産の上にやつて来ていたのが、この害毒のあつた場合はそれをやらなかつたのか、こういうことを問うているのであります。またこれを家畜に使用した場合にはどうなるか、こういうことを問うているわけです。
  75. 原間新作

    ○原間説明員 ビユーレツト自体にどういう性質があるかということ自体が、今まで十分に究明されていないわけであります。毒素と申しますが、これは普通の化学物質でございまして、ビユーレツトというものがあるということは化学上よくわかつております。尿素を製造する際にこういうものが少しできるということも考えられるわけであります。肥料として販売しておるものにはビユーレツトが幾ら以上あつてはならぬというような規格はつつてないのであります。それは尿素をつくる際こういうものができて、これが害があるかどうかというようなことは、尿素という肥料が新しい肥料で、こういうビユーレツトというものを予想しなかつた。こういうものが明らかにある。そして影響があるということになると、ビユーレツト自体がどういう害があるか、またこれがどの程度入れば害があるかというようなことから研究しなければいかぬと考えます。それで尿素を家畜の飼料にやつておりますが、尿素自体にビユーレツトがそうたくさん入つておるものではございませんで……。
  76. 井谷正吉

    ○井谷委員 委員長、今どちらから見えておるのですか。
  77. 井出一太郎

  78. 井谷正吉

    ○井谷委員 肥料の方ではないのですか。
  79. 井出一太郎

    井出委員長 通産省の化学肥料第二課長農林省畜産局の新澤技官が見えております。
  80. 井谷正吉

    ○井谷委員 実際にそういう害毒がありまして、被害者の方からこういう書面が来ておるのですから、これをどう処置するかということを考えて行かなければならぬと思うのです。今のお話では、そういうことには何ら御考慮がないようですが、現実に問題が起きておるのですから、これをどうするか、そういうことについてのお考えを承りたい。
  81. 原間新作

    ○原間説明員 これは先ほどもちよつと申し上げましたが、尿素の規格自体に、現在肥料取締法で尿素の規格というものはかくあるべしという規格があるのでありまして、たしか窒素が四五%以上となつておると思います。その規格には合格するわけであります。しかしこのビユーレツトがどれだけ入つてつてはいかぬという規格はつつてないのであります。こういう毒物が入るおそれがあれば、当然そういう規格をつくらなければならぬ、これは農林省の肥料取締法に基く規格を改正しなければならぬ、かように考えます。
  82. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。今の通産省の答弁は少しおかしいんじやないかと思うんです。今硫安から尿素に転換して行く場合に、ビユーレツトが相当毒物であるという認識を持ちまして、できるだけこれを除去しようと努めておることは事実ですよ。メーカー自体がこれは弊害があるということで、できるだけ除去しようと努めておる。この方針はかわりないんじやないですか。ただ何パーセント以上除去できるかできないか、あるいはどうして除去することが合理的であるかということについては苦慮しておるようですけれども、除去しようと努力しておる実情は認めていいと思うんです。それも認めないのですか。入つてもよいんだということでやつておるのと、一方メーカー自体で何とか除去しようと努めておるのと相当大きな開きがある。通産省でそういう態度ならば、今苦慮しておるのはやめてしまうということになる。あるいは通産省はそこまで研究に至つてないというのはおかしいじやないですか。
  83. 原間新作

    ○原間説明員 私の方といたしましては、もちろんアンモニアと炭酸ガスから尿素が最も収率高くできる方法を講ずべきである。お説の通りほかの尿素以外のものはできるだけできないようにするという努力は、当然続けるわけであります。しかし私が今申し上げましたのは、尿素を販売する場合には、肥料取締法がございますから、取締りの面からやはりビユーレツトが害があるならば、これ以上あつちやいかぬという規格をつくつて取締らなければならぬということを申し上げたわけであります。
  84. 川俣清音

    ○川俣委員 それは法規上からいえば、取締り規則がないから、それは売つちやいけないということは言えぬと思う。しかしながらあなたの方で尿素に対して合理化資金を出しておられるが、無条件で出しておるわけじやないでしよう。国の方策の上にのつとつて合理化資金を出しておるのでありますから、これは行政面で措置できないことはない。野放しの肥料工業じやないんですよ。野放しでありますならば、あなたの方で監督ができないということが言えるでしようが、なるべく純粋の尿素をつくり上げるということが目的でなければならない。その他の不純物が入ることの好ましくないことは、もちろんなんです。特に毒素が入るということになりますならば、所期の目的じやないのです。そういう毒物をつくることを奨励しておられるとは思わない。そのために国の費用で莫大な融資をしてやるとか、助成をしてやるとかいうことはおかしいのです。ただ有毒性であるからこそ、何とか除去しなければならない。どうしてこれが不純物として入つて来ないようにつくり上げるかということで、メーカー自身が苦慮しておるのですから、それ以上あなたの方が指導して行かなければならない立場じやないですか。これは転倒しておるんじやないですか。あなたの方で監督ができない立場ならば別ですが、合理化資金という面で十分その設備なり、その他製品なりについて責任を負つておられるはずですよ。どうですか。
  85. 原間新作

    ○原間説明員 お話の点は、私の方はできるだけ純粋ないい品物をつくるようにという奨励はもちろんしておるわけです。ただ販売面は、毒があつたものはいかぬということで取締り上の措置をすべきだということを私は申し上げた次第であります。私の方としては、ビユーレツトは入つてかまわないのだというようなことはもちろん申し上げませんが、ビユーレツト問題というのがきわめて最近の問題で、われわれの耳にはほとんど入つていないわけなんです。ただいま使う方の面からも、またここにお見えの畜産局の方の飼料の面からも、そういう問題が最近起つて来たということを聞いたようなわけであります。
  86. 川俣清音

    ○川俣委員 メーカーはどれだけの悪影響があるかを、農家にもあるいは方方にも試験をさせておるのではないか。それを通産省が知らないのはおかしい。合理化資金はどぶに捨てるようなものではないか。あなたの言われるのは、純粋なものをつくるための指導はよろしい、しかしそれ以上強硬に取締るためには規則が必要だというのならわかります。目下のところでは指導できないという考え方の御答弁は訂正されなければならぬと思いますが、どうですか。
  87. 原間新作

    ○原間説明員 私の方で指導できないということを申し上げておるわけではありません。消費面の影響については、あまり通産省の耳に入つて来ない。農林省がこの方面は監督しておりますので、こういう農村からどうこうというお話もたいてい農林省に情報が入るが、私の方は今までこういう情報を耳にしていなかつたということを申し上げておるのであります。
  88. 井谷正吉

    ○井谷委員 大体尿素は何に使うとお考えになりますか。何に使うものと思つて検査しておられますか。
  89. 原間新作

    ○原間説明員 尿素は、飼料を主目的として、あわせて家畜の飼料にもなるというような面で大いに増産をしよう、こういうように考えております。それ以前に工業用の用途というものは従来から少しあります。
  90. 井谷正吉

    ○井谷委員 先ほどから尿素をつくるというお話で規格のお話もありました。私も規格は大体知つておりますが、粒状尿素四六%、防結性の粒状尿素四四%、これが基準のように承知しておる。ただそれだけのことで合格したとは言えないと思う。飼料に使うから作物が枯れることは大きな問題であります。それで今まで御承知にならなかつたというなら、これからどうせられるのであるか。また今川俣委員お話によりますれば、飼料会社としても、この毒素をのけることについては相当苦心をしておるようなお話でありましたが、あなたは飼料会社がそういうふうなことに手を加えておることを御承知なつておりますか。
  91. 原間新作

    ○原間説明員 私の方は今までビユーレツト問題は検討していなかつた
  92. 井谷正吉

    ○井谷委員 これからどうせられますか。
  93. 原間新作

    ○原間説明員 ただいまこういう害があるというお話を聞きました。さつそく調査いたしまして、しかるべき措置を講じたいと思つております。
  94. 井手以誠

    ○井手委員 議事進行について。今課長の話で大分本筋に入つたようでありますが、この際責任はつきりさせる上において、局長、できれば次官をひとつこの際呼んでいただきたい。どうぞお願いいたします。
  95. 井谷正吉

    ○井谷委員 畜産の方の飼料関係の方をひとつ承りたい。
  96. 新澤信男

    ○新澤説明員 私の方からは、動物の栄養としての尿素の問題につきましてお答えを申し上げます。御承知のように、日本では飼料が相当不足をいたております。特に蛋白質の不足が大きいのであります。従いまして何かその蛋白の代用になるものをということで、私ども長年研究いたしておつたのでございますが、いわゆる無機的な化合物でありますところの尿素は、反芻動物に使いますと、飼料として時に本豆かすの蛋白質の代用として効果があるということがわかりましたので、損在尿素を飼料として相当量使用いたしております。これは諸外国の例を申し上げますとおかしいのですが、簡単に申し上げますと、ドイツでは第一次世界大戦に蛋白が不足いたしましたときに、尿素を飼料といたしまして代用いたしております。それからアメリカでは第二次世界大戦から相当蛋白飼料が——特に綿の不作のときがございまして、綿実油かすが不足いたしましたときに、この尿素を綿実油かすの蛋白質の代用としまして使用をいたしております。日本でも今御説明いたしましたような実情にございますので、尿素が飼料化されまして、年々その使用量が増加しておるのであります。ところが過去におきまして、二、三、たとえば福岡県みたようなところで、尿素を家畜に与えました際に、家畜が中毒して死に至つたという例があるのであります。それで私どもも特にこの毒性につきまして注意をいたしまして、どうしてこの毒性があるのであるかということを、応用試験研究補助金を——東京大学教授佐々木林次郎博士が会長でございますが、尿素飼料研究会に現在まで約三年間、尿素の毒性及び飼料としての効率促進に関する研究という応用試験研究補助金、これはまことに少い金額ではございますが交付いたしまして、現在毒性の究明について試験研究中でございます。現在までわかりましたところを申し上げますと、この毒性の原因にはいろいろございまして、外国におきます文献を見ますと、外国でもこういう例が出ておるとみえまして、アンモニアによる害である。と申しますのは、中毒を起しましたもの、あるいは中毒を起して死に至りましたもの、この症状と申しますものが相当強い症状があるのです。あたかも青酸カリを与えたような症状がくるのでございます。非常に急激に参りまして、命が助かれば大体予後はよろしいということになつておりますが、往々にして死に至る場合が多いのであります。またどういう場合に中毒を起したかということを調べてみますと、一ぺんに尿素をたくさん与え過ぎた場合、私どもの方は現在、与えますところの濃厚飼料の三%以上与えてはいけないというような指導をいたしております。これは五%くらい与えても全然中毒をしない場合もございますけれども、四%でも中毒をしたこともありますので、三%以上与えてはいけないという注意を与えることと、それからどぶ飼いをしました場合に、よくこの症状が起るのであります。どぶ飼いをすると申しますと、日本の乳牛の飼育の慣行でございますけれども、えさを与えますときに水をまぜまして、半流動状にして与えるわけであります。そういうふうにして与えましたときに、往々にして中毒が起るのであります。  それでまず考えられますのは、尿素がなぜ反芻動物だけに限つて飼料に使われるかということを簡単に御説明しなければ御納得行かないと思いますので簡単に御説明申し上げますが、尿素は牛とか羊とかやぎとかいうような胃を四つ持つた動物にしか現在の学問では利用できないといわれております。そのわけは、尿素が含んでおりますところの窒素は、いわゆるアミン体の窒素、これは尿素体の窒素とも言われておりますけれども、それでございまして、まだアミノ酸体のものではないのであります。従いまして有機的な化合物と申しましても、動物がそのまま利用てきるところの蛋白質ではないのであります。それで鶏そのほかのものに与えましても全然利用できない、と申しますわけは、反鶴動物のような四つの胃を持ちました家畜がこの尿素を食べますと、第一胃にまずえさが入ります。そうしますとその第一胃には非常にたくさん滴虫類とか——滴虫類というのは厚生動物でありますが、滴虫類とかその他のバクテリアなど、微生物類がたくさ生殖いたしております。粗飼料の消化を促進するわけなんでありますが、そういうようなバクテリア類が尿素を食べましてどんどん増殖するわけであります。これが反芻いたしますから、口に持つて帰りまして、さらに第二胃、第三胃を通ります間にはそのバクテリアがおびただしい数に増殖する。これが尿素を与えた場合は尿素の窒素がバクテリアの細蛋白にかわる。そのバクテリアが第四胃に行きますと初めて消化液が出ましてバクテリアが死にまして、バクテリア自体のからだが動物の蛋白源としてアミノ酸にまで消化液で分解されて吸収されるという形になるわけであります。そういうような径路を経ましたものにつきましては、ほとんど中毒はないのであります。ところが第一胃、第二胃、第三胃を素通りいたしまして、第四胃に直接落ち込んだ場合に毒性が出て来るということが実験上証明されております。と申しますのは、どぶ飼いにいたしますと半流動体でありますから、反舞されないで第四胃に行く率が非常に多いのであります。第四胃に直接落ちた場合は、いわゆる尿素が直接家畜の消化液を受けて分解した場合は、毒性が出て来るというようなことがほぼ明らかになつたのであります。その場合どういう変化が起るかと申しますと、話は前にもどりますが、まず外国の学者の例では、アンモニアのためであるという説が強いのであります。と申しますのは、第四胃に直接尿素が入りますと、尿素が分解されましてアンモニアを発生いたします。いわゆる微生物のからだに尿素体の窒素がかわる前に、かわる時間がなくてアンモニアが発生するということになるわけであります。そのアンモニアが消化液を吸収いたしまして血行の中に入りますと、血球に被膜状をつくつて全身をまわる。そうすると肺に行きまして酸素を吸収するところの力が血球になくなる。従いましてそれが中枢の脳の細胞の方へ参りました場合に、何と申しますか、酸素の補給ができないので機能が停止いたしまして、急激な症状が起つて死んで行くという説を唱えておるようでございます。ところが日本で私どもの方の応用試験研究補助金を交付いたしました結果、ほぼ明らかになりましたことは、どうも腸の中の、いわゆる先に申し上げましたアンモニアの分解するところの過程が酸度によりまして相当かわつて来る。これはP・Hと申しておりますが、酸度によりまして相当かわつて来る。P・Hが低くて酸度の強い場合と弱い場合とでは、生成されるところの中間生成物が違つたものができて来るわけです。それである条件のもとにおいてつくりましたアンモニウム・カーバメイトと申します、いわゆるアンモニアにまで分解する中間のものとして生成される一つの化合物に、アンモニウム・カーバメイトというものがございます。これはちようど青酸と同じような組成を持つておりまして、そしてこれを家畜に与えますと、家畜は青酸カリを飲んだと同じような症状でもつて死んで行くということがわかつた。それで本年度はアンモニウム・カーバメイトをほかの方法でもつてつくり出しまして、そしてこれを直接反舞動物であるところの羊に与えまして、そしてどういう症状が起るか、はたしてアンモニウム・カーバメイトをやつたときと同じ症状であるかということの試験をさらにやることになつております。先のビユーレツトの問題でございます。この問題につき告ては、いろいろと私どもも研究いにしたいと思いますが、現在のところぐは、大体尿素の毒性と申しますものは、家畜に対するところの原因はまだわかつておりません。ただ日本の研究り結果では、アンモニウム・カーバメイトではないかというようなことがぼ明らかになつたという程度でございます。私どもはそれが明らかになりましたら、万一の場合に備えて、いわゆる解毒剤的なものも考えたい。それからアンモニユーム・カーバメイトが絶対できないような方法でもつて家畜に給与する方法を講じたいというふうに考えまして、試験を進めております。具体的に申し上げますと、ただいまのところでは、全国の農家の方々から私どもの方へ照会が参るのでございますが、それに対するところの私どもの回答は、濃厚肥料給与量の三%以上を与えてはいけない。具体的に申しますと、牛の体重によりまして異なると思いますけれども、成牛にありましては大体五十匁から八十匁が一日一頭当りの量であります。それから小牛にありましては、大体三十匁から四十五匁、それくらいを限度として与えていただければ無害である。なおどぶ飼いはできるだけというよりも、絶対避けてもらいたい。水を流して半流動状にして与えるという飼い方は避けていただきたい。そういうような御注意を申し上げており、尿素の普及をはかつておるような次第でございます。
  97. 井谷正吉

    ○井谷委員 家畜にこれを使いまして、今日までこれに侵されたのは何頭あるかおわかりですか。
  98. 新澤信男

    ○新澤説明員 はつきり記憶はございませんが、数は多くございません。せいぜい四、五頭であると思います。中毒症状の出ましたのも、私の聞きますところでは大体十頭内外でございます。
  99. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して農林省にお尋ねするのですが、それは尿素の純粋度に関係なくそういう症状が出て来るのですか、不純物が入れば、そういう傾向がなお一層強くなつて来るのか、その説明がなかつたのですが、私どもの今までの知識では、不純物が多いために起る現象のように聞いておるのです。不純物があつてもなくても同じ結果だということになると、問題はアンモンニア系のものとなりますが、純粋度についての影響がおわかりになつておる点だけを、ちよつと御説明願いたい。
  100. 新澤信男

    ○新澤説明員 私の方といたしましては、肥料検査法に合格いたしまして興造なさつたものと同様のものを使つております。そして純粋度は特別に試験はいたしておりません。
  101. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると、具体的になりますが、試験したものの純粋度、今まで尿素の製造が十分でなかつたが、最近大分尿素の製造が発展を逐げて来おりまして、だんだん純粋度が上つた来ていることは認めなければならぬと思いますが、そこで純粋度というものと今の被害の関係、これをやはり明らかにしていただきたいと思うのです。肥料の規格に合うか合わないかというような法律上の問題でなくて、純粋度がどのくらいあつたならば被害がない、純粋度が何パーセントだつたらこのような結果が現われるというような試験も、あわせてやつていただかなくちやならぬのじやないか、こう思いますが、御研究願えましようか。
  102. 新澤信男

    ○新澤説明員 農林経済局肥料課の方とも御相談をいたしまして、御趣旨に沿うように研究をしてみたいと思います。
  103. 井谷正吉

    ○井谷委員 通産省の方にお尋ねしますが、この尿素は肥料だけというふうな考えで今までお取締りになつたのですか、あるいは今お話のように、家畜にも使つているということをお認めになつておられますか、その点承りたい。
  104. 原間新作

    ○原間説明員 肥料の取締りは農林省でやつております。どうして取締つたかという点については、通産省は取締りはやつておりません。
  105. 井谷正吉

    ○井谷委員 検査の方です。生産指導の……。
  106. 原間新作

    ○原間説明員 生産指導の問題と検査の問題とはちよつと違います。私の方覆う部面の意見を聞いていろいろ指導もするわけであります。今まで尿素に対するそういう毒性とかいうような問題が、十分研究ができていなくて、どうすべきだという御注意もわれわれの方はいただいていなかつたのであります。生産指導をどういうぐあいにするかというような点について、今まで尿素というものが肥料として新製品のために、十分な知識をまだ持ち合せなかつたというのが現状でございます。
  107. 井出一太郎

    井出委員長 委員長から原間課長ちよつとお尋ねいたします。今の井谷委員の御質問の趣旨は、尿素というものは大体肥料ということが常識であつたのだが、飼料方面にも向けられるということを、通産当局は御承知であつたかどうか、この点いかがですか。
  108. 原間新作

    ○原間説明員 飼料に試験的に使われているということは承知いたしております。
  109. 井手以誠

    ○井手委員 先刻から聞いておりますと、通産省の答弁は非常におかしいのであります。先刻あなたは、尿素を製造する第一の目的は肥料である、第二は飼料であるということをはつきりおつしやつた。肥料に使い飼料に使うものならば、これは農林省考え方と一体でなくちやならぬと思う。肥料にぐあいが悪く、あるいは飼料にぐあいが悪いものを生産指導されるはずは絶対ないと私は考えております。今まで農林省から話がなかつたから考えていなかつたということは、合理化資金まで出してやつておられ、あるいは生産指導までやつておられる通産省としては、うかつ千万な話じやないかと思う。肥料に使い飼料に使うために、生産指導をなさる通産省が、そういう意見を聞かずに指導なさるはずはないと思います。それはどうです。
  110. 原間新作

    ○原間説明員 尿素につきましては、どういうものをつくるかということについては、肥料は規格があるわけです。それで規格通りのものはつつてつたのであります。その規格が不十分だという点については、農林省から何らわれわれは聞いていなかつたのであります。
  111. 井手以誠

    ○井手委員 聞いていなかつたからほつたらかしたという答弁は、私は納得行きません。新しい肥料であるから、注意はしておつたけれども非常に足りなかつた、申訳なかつたと言うならば私は一応了承いたしましよう。農林省から聞かなかつたから知らなかつたということでは、私は生産指導が何のためからないと思う。何のために尿素の生産指導をなさつたのですか。今聞きますと、飼料については福岡県の家畜が死んだという事実が、今畜産局から指摘されました。さらにその毒性について青酸カリと同じようなものがあるということさえおつしやつたのであります。それ像どのものを全然知らずに、合理化資金まで出して生産をどんどんさせられるという通産省は一体どういう考えでございますか。第一の目的が肥料である、第二が飼料であるとおつしやるならば、肥料に向くような、飼料に向くような生産を指導なさるのが通産省の役目ではございませんか。
  112. 原間新作

    ○原間説明員 お答えいたします。先ほど新澤技官の御説明にもありました通り、尿素それ自体が胃の中の分解のぐあいよつては毒性が出て来る、青酸カリと同じような物質が出て来るというようなお話でありました。尿素自体が毒性があるのか、尿素の中に毒性のあるものがまじつてつていけないのか、尿素の使い方によつて途中で尿素が変化して悪い毒性のあるものができるかというような点は今研究中の問題でございます。従つて通産省は今までつくつておるものはさしつかえないという考えでやつてつたし、また農林省からも今までのものでは困るのだという御意見もないわけであります。新しい研究問題が出て来た。ここで徹底的に研究をいたしまして、尿素自体から悪いものができるなら、その使い方の方でこれをかえないように使う方法があるかどうか、先ほど畜産局の方からもいろくお話があつたが、これは尿素それ自体、純粋な尿素をやつても胃の中の中の分解で毒性のあるものになるのかどうか、これは尿素をつくる方の問題ではなくて、尿素をどう使うかという問題でございます。ただいま御指摘の点は新しい研究の分野ができたということで、今後の研究に待たなければならぬ、ビユーレツト自体がどういう毒性があるかということも、作物も対してどういう害があるかということも、これは研究を要する問題である、これは農林省の方で研究をやつていただかなければならぬ、かように考える次第であります。
  113. 井手以誠

    ○井手委員 大分御答弁も進歩したように感じます。しかし私はなお不審なのは、尿素の製造と使うこととさらに途中で変化することとは違うというお話でございました。しかし品物としては使うまでの間に変化があつてはならぬわけであります。そこまで考慮して製造しなければならぬと私は考える。つくつただけはよかつたけれども、使う時分には変化した、途中で変化したものはおれは知らぬ、途中で品物がくさつたものは知らぬとおつしやいますけれども、償うまでの責任は私は製造業者にあると思うのです。つくつたその瞬間にはよかつたけれども、あとは知らないぞというものでは、私は商品としての価値ないものだと思うのです。自分の方は製造したものだ、その後時間的な変化であるか、使いぐあいについて自分は全然責任は持てない、こういうのは私は生産の指導に当られる通産省としてあまりに不親切過ぎると思う。やはり使うまでの成分について責任を持たれるのが通産省責任ではないかと思うのです。どうですか、その点は。
  114. 原間新作

    ○原間説明員 先ほども申し上げたように、新澤技官の御説明でも、尿素自体が胃の中へ入つてどう変化するかという問題でございます。尿素を商品としてどこか放置しておる間に変化するという問題ならば、これは使うまで責任を持たなければならぬということになりますが、尿素それ自体がからだの中に入つて、その後どういう変化を受けるかという問題は、これは生産と何ら関係のない問題であります。
  115. 井手以誠

    ○井手委員 腹の中に入つてからの問題ではないようでございます。井谷先生のおつしやつた香川県の事例あるいは福岡県の家畜の問題、それらは腹の中に入つてからではなくて、腹の中に入るまでにすでに毒素が出ておつた。その毒素のためにそういう悲惨な事態になつたと私どもは聞いたのであります。腹の中へ入つてからじやないでしよう。また香川県における事例も、腹の中じやございませんよ。使つたあとでというわけじやないでしよう。使つたその瞬間に、すでに毒素があつたから、そうなつたんじやございませんか。
  116. 原間新作

    ○原間説明員 お答えいたします。香川県の肥料の問題につきましては、肥料としてビユーレツトが毒があるかどうかという問題自体を研究しなければならぬ。これが有毒だということになれば、ないようにしなければいかぬ。今まで肥料として使つてならぬものが尿素の生産に関連し、尿素に不純物として含まれるおそれがあるかどうかということが研究問題でございす。いまだこれにはつきりした研究結果がなかつたので、こういう問題が起つておるわけでございます。
  117. 井出一太郎

    井出委員長 この際林田肥料課長の見解を求めます。
  118. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 尿素の問題につきまして、いろいろ農家の方で害が出ておるというようなお話でございますが、この問題につきましては、私らの方といたしましては、御承知のように尿素が窒素を四五%ぐらい含んでおりまして、硫安と異なりまして非常に窒素分が多い肥料でございます。それで農家の方の施肥の指導を十分やつて行く必要があるのでございますが、その当該農家がどの程度の尿素を使つたかということが、相当問題になつて来るのではないかと存ずる次第でございます。あまり多く使いますと、かえつて幼根あるいは芽を害しまして、枯死させるということが出て参るわけでございまして、この場合なおよく調査いたしまして、この農家はどの程度使つておるか、大体普通の使い方でございましたら、今まではそこに何も出ていない状況なのでございます。そういうこともよく研究をいたしたいと存じております。なお特に最近粒状の尿素が出て来るようになりましてからは、粒状の尿素をつくるためには、相当の熱を加える必要があるのでありまして、百三十度ぐらいの熱で加熱するわけでございますが、その場合には、ここで問題になつておりますようなビユーレツトが出て来るおそれもあるわけでございます。そのことにつきましては、現在のビユーレツトの毒性が、はたしてこの枯死させた原因なつておるかどうかということが、はつきりいたしていない状況なのでございます。技術者の連中といたしましても、十分今研究しておる段階でございまして、そういうふうなことがもしありましたならば、早速この粒状尿素の製造法につきまして、これを変更させるとかいろいろ措置いたしたいと存じておる次第であります。
  119. 井谷正吉

    ○井谷委員 その香川県から来ております書面を見ましても、その農家の一人が使つたばかりではなくて、その部落あるいはもつと広い範囲ではないかと思いますが、さらにそれには指導員もついておるというようなことで、かなり研究をしてやつたのだろうと考えられるわけであります。先般住友へ参りましたときも、尿素が非常に出る。あるいは肥料販売業者に聞いても、尿素はもうかる、大いに宣伝して売らなければならない、こういうことを申しておりますときに、そういうような被害が各地に現われるということになれば、これはたいへんな問題でありますから、ただちに御調査なつて、最善の処置をとつていただきたいと思いまするし、さらにこういう指導においてあるいはまた生産過程において、そういう毒素のあるものが正規の肥料として出されて、被害を受けたという場合に、一体この損害はどこが補償するものであるかというようなことも、一応考えなければならぬ問題だと私は思うのであります。その点について伺つておきたいことが一点。  それからもう一つ肥料の検査について、たとえば尿素の検査について、そういう懸念のあるものに対して、どういうような処置をとつておられたかということも、あわせて承りたいと思います。
  120. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 仰せになる通りでございまして、今後尿素の検査にあたりましては、十分注意をいたして、指導して参りたいと思つております。  それからその製造の面におきましても、もしはつきりこれが悪いということになりましたならば、それを改正いたすように措置をいたしたいと思います。  それから農家に損害を与えたということでございますが、その損害の原因が明確でございません。民法上でございましたならば、故意とか過失とかがございますれば損害補償をする必要があるわけでございますが、故意とか過失とかいうようなところまでは行かないのじやないのじやないか、かように存じます。しかしながらその肥料の製造につきましては、すべて肥料取締法で肥料の公定規格を定めておりまして、大体その公定規格にのつとつたものは検査の取締りの面におきましても是認をいたしておる次第でございます。しかしそういう新しい問題が起きて参りましたならば、その原因を十分究明いたしまして、今後措置いたして行きたい、かように存じております。
  121. 井谷正吉

    ○井谷委員 この問題は、私どもも正直なところ初めてのことなのでありまして、御調査になりました結果を当委員会に御報告をお願いしたい。私の質問はこれで終ります。
  122. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこの程度をもつて散会いたします。     午後五時十三分散会