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1954-03-10 第19回国会 衆議院 農林委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 吉川 久衛君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    田子 一民君       松山 義雄君    今井  耕君       加藤 高藏君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    佐藤觀次郎君       中澤 茂一君    中村 時雄君       安藤  覺君    河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   前谷 重夫君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君  委員外出席者         議     員 井手 以誠君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    松岡  亮君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 東辻 正夫君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 三月九日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として佐  藤觀次郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員河野一郎辞任につき、その補欠として中  村梅吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月九日  肥料取締法の一部を改正する法律案綱島正興  君外二十四名提出衆法第一一号) 同月五日  繭質向上施策に関する請願増田甲子七君紹  介)(第三〇三〇号)  国有林野整備臨時措置法施行期間延長に関す  る請願増田甲子七君外一名紹介)(第三〇三  一号)  幹線林道高瀬線開通促進に関する請願長野長  廣君紹介)(第三〇三二号)  乾めん研究所設置請願河本敏夫紹介)  (第三〇三三号)  農業改良普及事業費国庫補助等に関する請願  (有田喜一紹介)(第三〇三四号)  同(佐々木盛雄紹介)(第三一〇七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第三一六六号)  同(稻葉修紹介)(第三一六七号)  同(佐瀬昌三紹介)(第三一六八号)  消費者米価引上げ反対等に関する請願西村力  弥君紹介)(第三一一〇号)  昭和二十九年度農林予算復活に関する請願(稻  葉修紹介)(第三一六四号)  装蹄師法廃止反対に関する請願伊藤郷一君紹  介)(第三一六五号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書  (第一四五一号)  同外三件  (第一四五二号)  同  (第一四五三号)  同  (第一四五四号)  同  (第一四五五号)  同外九件  (第一四五六号)  同外二件  (第一四五七号)  同  (第一四五八号)  同  (第一四五九号)  同(第一四六〇  号)  同外一件  (第一四六一号)  同(第  一四六二号)  同  (第一四六三号)  同(第一四六四号)  同外一件  (第一四六五号)  同(第一四  六六号)  同外一件  (第一四六七号)  同外二件  (第一四六八  号)  同  (第一四六九号)  同(第  一四七〇号)  同(第一四七一  号)  同  (第一四七二号)  同  (第一四七三号)  同  (第一四七四号)  同外一件  (第一四七五号)  同外一件  (第一四七六号)  同外一件  (第一四七七号)  同外一件  (第一四七八号)  同外一件  (第一四七九号)  同外一件  (第一四八〇号)  同  (第一四八一号)  同外一件  (第一四八二号)  同  (第一  四八三号)  同外一件  (第一四八四号)  同  (第一四八五号)  同  (第一四八六号)  同外一件  (第一四八七号)  同  (第一四八八号)  同(第一四八九  号)  同(第一四九〇  号)  同  (第一四九一号)  同  (第一四九二号)  同外三件  (第一四九三号)  同  (第一四九四号)  同  (第一四九五号)  同  (第一四九六号)  食糧事務所機構縮小反対に関する陳情書  (第一五一七号)  同  (第一五一八号)  同(第一  五一九号)  同外一件  (第一五二〇号)  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書  (第一五二三号)  同(第一五二四  号)  同(第一五二  五号)  同外十九件  (第一五二六号)  同外二件  (第一五二七号)  同外二件  (第一五二八号)  同外一件  (第一五二九号)  同外一件  (第一五三〇  号)  同  (第一五三一号)  同  (第一五三二号)  同(第一五三三  号)  同  (第一五三四号)  同  (第一五三五号)  同  (第一五三六号)  同  (第一五三  七号)  同外一件  (第一五三八号)  同外五件  (第一五三九号)  公営競馬民営反対に関する陳情書  (第一五六五号)  同(第一五六六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  連合審査会開会申入れに関する件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四四号)  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)  肥料取締法の一部を改正する法律案綱島正興  君外二十四名提出衆法第一一号)  砂糖に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  昨日本委員会に付託になりました綱島正興君外二十四名提出肥料取締法の一部を改正する法律案議題といたし審査に入ります。まず本案の趣旨について提出者説明を求めます。綱島正興君。     —————————————
  3. 綱島正興

    綱島委員 ただいま議題と相なりました肥料取締法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  現在、肥料生産及び流通に関しましては、肥料取締法に基き、肥料の規格の公定、登録等取締り実施されておりますが、申すまでもなく、その取締りは、あくまで肥料品質の保全及びその公正な取引確保という法の目的を達成するため、必要な最小限度にとどまるべきものであり、またその取締りの態様も、肥料生産流通または消費実態に応じておのずから差異があるべきであると考える次第であります。  今ここに、御審議を仰ごうとしておりまする肥料取締法の一部を改正する法律案も右の趣旨に沿うて、単位農業協同組合または個人生産する配合肥料に関し、その登録生産流通または消費実態に即応させようとするものであります。御承知の通り、近時配合肥料普及に伴いまして、部落等単位とする共同配合単位農業協同組合等の行う小規模な肥料配合事業も漸次普及して参る機運にありますが、配合肥料の性格からしまして、単に大地域一律の配合形態をとるよりも、各小地域ごとにそれぞれ施肥基準を設定し、土壌に適応した配合肥料を供給することが、施肥改善上、合理的であると信ずるものであります。  しかしながら、現行肥料取締法におきましては、農民がみずから行う共同配合は別としまして、単位農業協同組合個人等の行う小規模な配合事業につきましても、すべて農林大臣登録を受けなければならないことになつております。このような煩瑣な手続は、せつかく醸成されつつある合理的な小規模配合事業普及機運に支障を与えるものと申さなければなりません。右の事情にかんがみ、この際現行法を改正し、単位農業協同組合個人等の行う小規模な配合事業につきましては、都道府県知事登録を受ければ足りるものとしようとするものであります。このことはまた施肥改善上、各地方実態に即応した配合肥料生産を促進し、もつて食糧確保国民経済的要請に即応するものであると信ずるのであります。  以上が本法案を提案する理由であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛同あらんことを希望する次第であります。     —————————————
  4. 井出一太郎

    井出委員長 次に農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び開拓融資保証法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたし、前会に引続き質疑を行います。質疑の通告があります。これを許します。足鹿覺君。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 農林金融の問題についてこの際お伺いしたいのであります。私は他の委員会でもお尋ねしたのでありますけれども大臣等の漠とした御答弁で問題が核心に触れませんので、あらためてお伺いいたしたいと思うのであります。政府昭和二十九年度予算におきまして、財政投融資の面において著しく縮減の方針をとつておられるようであります。これはしばしば論議をされておる点でありますが、念のために申し上げますならば、大体としては、政府財政投融資わくをうんと縮めて、資金運用部資金等肩がわりをするという方針でもつて貫かれておるようであります。農林金融の面について見ますならば、前年度においては政府資金が四百二十九億であつたものが本年度は二百億に減ぜられて、差引二百二十九億が減ぜられておるのであります。これと逆に資金運用部の面を見ますと、一般においては前年度七百五十一億のものが本年度は一千五十五億、差引三百四億を資金運用部肩がわりさせておる。こういうことになろうかと思うのであります。一兆円予算を名目上でも通したいというところから、極力財政投融資を圧縮したために、こういう矛盾が金融面にも及んで来ておることは明らかであると思うのであります。農林金融についてみましても、昨年は二百六十六億、本年は二百二十五億で、結局四十一億総わくで減じております。なるほど昨年は農林金融公庫ができた年でありまして、政府融資も二百六億という相当な額に達しております。これが初年度通りに本年もできるとは必ずしも言い切れませんけれども昭和二十八年に比して政府出資が九十五億に減つている。逆に資金運用部は五十五億も増額して、大体昨年度通りというつじつまを合せておられるのであります。これは先ほど申し上げましたように、中小企業金融公庫の面においても住宅公庫の面においても、あらゆる政府財政投融資の面にこういう傾向が大同小異現われて来ておる。これは、こういうふうになつたからといつてコストは上げないということを政府はしばしば言明されておりますから、私はそれを額面通りに信用しましよう。しかし問題になりますことは、私どもとしては、特に農林漁業金融公庫の面におきましては、もつと金利を下げてもらいたい。たとえば畜産融資にいたしましても共同利用施設にいたしましても、あるいはその他各般のこれが対象となつております融資簡易にし、かつ低利にしてもらいたいというのが全国農民の切なる要望であります。そういう要望にこたえるには、一面においては資金コストが高くなるような条件が出ておれば、現状は無理をして維持できるかもしれませんけれども、今後金利引下げ、あるいは貸付条件を緩和しあるいは融資期間を長くするというような積極的な——この引合わない農村、特に市中銀行からは全然投資の対象として見離されておる農民に対する融資条件を緩和する方向に行くことは、とてもおぼつかないのではないかという感じを私は強く持つておるのであります。で、一つの問題として、簡易化の問題については窓口を三段階にする。約二百五億のものを今度は地方の健全なる信連委託をして行くというこの前の当委員会決議を尊重して行われるそうでありますが、それはいつからどういうふうな内容で行われるか。これは、簡素化一つの手段である当委員会附帯決議を尊重された御趣旨であると、まことにけつこうだと思いますが、その内容を、資料とあわせてもう少し詳細に御説明を願うとともに、今私が申し上げましたような点において、なるほど現状金利引上げて行くということはないでありましようが、進んで、特に今回の予算のしわ寄せが農村に寄ると言われ、またその及ぼす影響は大きな農業恐慌になつて現われて来る、たとえば国際農業との関係において麦作は致命的な打撃を受け、引続いて各種国際農産物が大きな打撃を受けて、農村の前途に大きな暗影を投げる場合において、私は資金の総わくにおいても、金利さえ引下げ、その融資条件を緩和されて行くならば——農民はもうこの農林漁業金融公庫にとても大きな期待を持つておるのであります。ただ今の場合は、なかなか融資条件の問題や資格審査の問題で非常にやかましくて、のどから手が出るほどほしいものが手が届かないというだけで、この程度で満足しておると思うのでありますが、問題はもつとこれを広げて行き、特に昨年の災害のあと始末もありましよう、あるいはいろいろな農業近代化合理化のためにも大きな新規需要もあるので、昨年通りコストは上げないという程度の消極的なことでは、私は中長期の農林金融に対する地方農民要望に真にこたえたとは言い得ないと思う。そういう点において、ただ予算に付随したこの案を御提出なつただけが、政府農林漁業金融に対する態度であるかどうか、何かそこに積極的な意図があるのかないのか、具体的にひとつこの機会に伺つておきたいのであります。
  6. 小倉武一

    小倉政府委員 まず資金わく、それから資金源構成から論じられまして、金利引下げ方向についての基本的な方針があるのかないのか、こういうお尋ねが一点でございます。御指摘のように本年度と比べますと、二十九年度公庫資金源は、一般会計からの繰入れが九十五億にとどまりまして、そこで従来の金利を維持して行くということにも無理がありはしないか、さらに引下げるということになればとうていおぼつかないではないか、こういうことでございます。その点は御指摘のような事情になつておりまして、ごもつともでございますが、公庫資金構成を、一般会計からの繰入れと資金運用部からの借入れとをどの程度にしたらいいかということになるわけでございますが、公庫発足以来今日までの累計は、せんだつて御配付申し上げました資料の二枚目のところに出ておりまして、年々の一般会計からの繰入れと資金運用部からの借入れ関係につきましては変動がございます。そのときの財政金融の都合によりまして相当変動があることはやむを得ないと思いますが、大局といたしましては、ただいま公庫がやつております各種事業につきましての金利を上げないように、そのためには——これは計算上おのずから出て来るわけでございますので、そういう方針予算は組んでおります。本年度は特に一般会計からの繰入れが少いということでございますが、昨年は一般会計からの繰入れが割と多かつたこともございまして、本年までの累計で申しますと、なお繰入れの方が相当多いのであります。そこでこれまでの金利を維持して行くということについては、別段困難は感じないのではないかと思います。二十九年度へ行きましても、これまでの金利を維持するということにはそう無理なくやつて行けると思います。ただ今後の問題といたしまして、先ほど御指摘のような共同施設につきまして、有畜農業奨励といつたような面と結びついた、ぜひ推進して行かなければならぬような事業につきましての金利引下げの問題がございます。こういうことにつきまして、部分的な問題でございますれば、これは実施の上で考慮する余地は多分にあると思います。ただ全般的に引下げるということになりますと、これは御指摘のように、一般会計からの繰入れの考え方を従来よりも大幅に直してやつて行くことが必要だと思いますが、これまで公庫業務運営をいたして参りました経験から観察いたしますと、全般的に金利引下げるということは、これはもちろんできればけつこうでございますが、それよりも、御指摘のような特に必要な面がございますれば、それに重点を置いて金利の調整をはかつて行くというような方向へ進みたいというふうに考えております。  それから公庫貸付につきまして、いろいろ手続上の問題等もからみまして、なかなか要望が達しにくい、金利関係のほかに、そういう機構並びに手続の問題があるのではないか、こういう御指摘でございます。そういう点も確かにございまして、漸次改善を加えて参つておるのでありますが、その中に特に公庫業務信連委託するという点についての問題でございます。これは四月一日、新しい年度が開始と同時にできるだけやりたい。全部の信連を一ぺんにやることは、もちろん手続の上で行かないかもしれませんが、目標としましては四月一日から実施に着手したいと考えて、そのつもりで準備を進めております。事業内容についてでございますが、委託する範囲は、信連組合員たる市町村協同組合が行う事業というふうにいたしたいと思います。市町村協同組合が行う事業でありましても、信連にすぐ委託するということにつきまして、若干問題が生じ得るものにつきましてはこれを除きまして、土地改良でありまするとかあるいは造林でありまするとか、農業倉庫木炭倉庫あるいは畜産共同飼育施設、あるいは畜産共同事業施設あるいは農機具の製造業あるいは会社、こういつたものを現在考えておるのであります。なお先ほど御指摘のように、本委員会の御決議に、健全な信連、こういつたことがあつたのでございまするが、私どもといたしましては、どれが健全であり、どれが健全でないかということを、公庫業務委託を通じて明らかに表明するということもいかがかと存ぜられる筋もありまするので、どれに委託しない、どの信連には委託するということは、できるだけ避けたいというふうに考えております。そのかわりと申しまするか、そういう実質上の健全な信連という趣旨を生かすために、信連委託する貸付金額限度を、たとえば信連出資金の何倍というふうなことでもつて趣旨のほどを生かして、信連に過重な負担にならないように、そうしてまた委託といつた性質から言いましても、さほど不当が生じないようにという線を検討いたしております。資本金で申しますれば、さしあたり資本金の三十倍といつたようなところを一つ限度にしたらというふうに考えております。それからなお現在の信連でございまするといろいろございまするが、こういう長期的な資金につきましての審査能力が必ずしも十分であるというふうには一概には申せません。従いまして人的な整備といつたようなことにつきましても、十分信連の方の努力を期待し、またそういうふうに指導したい、かように考えております。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 信連への委託の具体的な要領を伺つたわけでありますが、それは文書等で一応あとで拝見したいと思いますので、お流しをいただきたい。私が先刻農林漁業金融公庫貸付対象の問題を申し上げたのは、一つ問題があるからであります。それは共同施設の問題で、現在各地でこれの原料の黄色種葉タバコの栽培が非常に画期的に進んでいるのです。ところがこの乾燥場というのは、二、三年前で労力は自分で出して一棟十二万くらいかかる。ところが最近物資がだんだんと高くなつて来まして、現在では二十万円以上かかるでしよう。ところがこの最大限の乾燥能力というものは、三反分が最大限度であります。あまり大規模にやると、製品の品質にさしつかえるというので、相手が専売公社でありますから相当やかましい規定を設けまして取締つておる。専売公社もこれには若干の助成金等も出しておりますが、結局葉タバコ生産をやる農家としては、そうなかなか容易にこの問題が片づかないことを非常に残念に思つておるのであります。従来もしばしば農林漁業金融公庫に、これを共同利用設備等適用対象品の種目としていろいろと要請もいたしたのでありますけれども、今日までこれが実現を見ておらない。そこで現在農民はどういう対策をもつてこの建設資金の調達をやつておるかと申しますと、単協からももちろん借りるものもあります。また単協信連にまとめて融資を仰いでおる面もありますが、その間に乗じて農産物系統販売を乱そうという市中銀行の手がだんだんこれに伸びて来るのです。葉タバコ賠償金はまとまつて確実に入りまするから、市中銀行葉タバコ賠償関係の道をつけてくれるならば幾らでも融通はいたしましよう、こういうわけで相当市中銀行の手がまわる。市中銀行としては、葉タバコ賠償金取引を代償に、先の楽しみにどんどん手づるを伸べ、また農民も目の先からこれに飛びついて行くというようなことから、これはあとにも申し上げますが、系統金融問題の上からいつても、これはそうなおざりにすることはできないような事態が最近起きておるのであります。葉タバコ耕作組合というと、何か専売公社機関じやないか、こういう印象がありますが、地方においでになればはつきりわかるように、単位協同組合がほとんど役職員事務所もみな一本でやつておるのでありまして、これは御存じの通りであります。タバコ耕作組合は形は専売法に基く組織でありますが、実際の運営は、役員も組織機構もすべて協同組合がこれに当つておるというのが実情であります。そういつた関係協同組合がその普及奨励をはかり、農業経営弾力性、有利な換金作物、確実な換金作物として経営の中に相当織り込んで行く。しかも年々六十億ないし七十億の外貨を使つて外葉を入れなければならないというので、関係筋やつきになつてこの増反運動を展開しておる。しかしこういうた特殊な乾燥施設を要するために、やりたくはあつても、いざ乾燥場ということになると相当の金はかかるし、しりごみをしてしまう、こういうような実情相当聞いておるのであります。従つて私は、共同利用施設の中に当然これらのものも入れて、そうして国内における重要な大きな農産物一つである葉タバコ製造農家に対しても、やはり低利長期融資を行つて行くということは当然必要になつて来るのではないか。このことは従来もしばしば当局にお願いもし、それぞれの機関から陳情もしておりまするけれども、どうもこれがうまく行つておらない。一体共同利用設備というようなものを一応法律においてきめておきながら、その適用対象範囲についてあまりきゆうくつ考え方をもつて臨まれるということは、少し官僚独善に過ぎはしないか。ほんとうにそれが共同利用設備であり、しかも返還のめどは確実についておる、こういつたものにまであまり制肘を加えられるということは、堅実を旨とせられる金融機関としては当然とは言えますが、これくらい確実なものがほかに何がありますか。今日の農産物の中で米以上にこれは確実な償還のめどもつきますし、絶対にこれは間違いのないものであります。そういつた点から当然これは適用されるというのが私は妥当な措置ではないかと思います。そういつたことについても、先ほど申しましたように、政府出資が少くなつて運用部資金に五十数億も肩がわりをされるというと、いろいろな面においてきゆうくつになるから、公庫の実際の出先はなるべく出すまい出すまいとする。特に信用力の薄い農家に対しての農業金融でありまするから、ちよつと怪しいと思えば全部大事をとつて締めて行く。そういう結果は農村金融の大きな梗塞をもたらすのではないかというような点をあわせて私は先ほど指摘したわけであります。一つ事例として、積極的に共同利用設備範囲も拡大をされて行くということになりますならば、今私が一つ事例としてあげたものも、当然あげて行つてしかるべきものだと思う。今綱島氏から御説明になりました各派共同提案肥料の小配合をやる場合にも、当然またその融資も必要になつて来るのでありましよう。そういうものに対しては、どういうふうにお取扱いになりますか。共同利用設備というものの規定はきわめて抽象的であり、その内容は一応きめてありますけれども、もうこういう段階になつて、少くとも日本の農業を共同化し、その共同化の線を通じて貧農の生産力を増し、経営を守るという基本線があるならば、共同化というものに対しては、新たなる段階に即応して、その範囲なり対象、種目というものを検討されなければならぬのではないか、私はこういうふうに思うわけなんです。タバコの事例と、今の提案がありました肥料共同配合の問題とあわせて、共同利用設備の問題について、具体的に御答弁を願いたい。
  8. 小倉武一

    小倉政府委員 具体的な事例として出されましたタバコ、それから配合肥料につきましての共同施設についての融資の問題でございますが、これはもちろん共同施設ということでございますので、公庫の側からいえば、当然融資対象になり得る性質のものだと考えます。ただ、本年におきましてもそうでございますが、例年若干ずつは共同施設範囲はふやして参つておるのであります。そこで二十九年度におきましても、今御指摘のようなこともございますし、なお私どもといたしまして、気のつきましたものについて、若干共同施設の種類をふやしたい、かように考えておつたのであります。しかしきまりました総額が、昨年よりもむしろ減つておるというようなことでございますので、新規の共同施設というものは、一応あきらめたのであります。そこでこのタバコ等につきましても、御要望の筋に合致しない結果に相なつたのでございます。ただ、特に緊要なものにつきましては、その他のわくというわくを比較的ゆとりをもつてつくつてございますので、金額は一つ一つになりますとそう大きくはならないと思いますけれども、これの運用によりまして、関係各局とも連絡して充足をはかつて行くということに二十九年度は考えたい、かように存じます。その他のということで九億四千万円余り財源がございますが、これはもちろん従来もその他といたしまして、特記をいたしておりません農村工業とか、あるいは農村の共同の病院施設改善というようなものにつきましても、特別に共同施設としてあげておりませんけれども融資をいたしておりますので、そういうものももちろんございますが、このわくの運用によりまして、二十九年度は、重要なものにつきましては、できるだけ融資の道を講じて行くということで考えて行きたい、かように存じます。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 それではりくつはやめて、端的に聞きますが、タバコとか、先ほどの提案に基いて、各地で今度肥料共同配合設備ができますが、それはその他で考える、そういうわけですか。
  10. 小倉武一

    小倉政府委員 実は肥料の小配合等につきましては、農村要望をかなり広く充足して参りますと、相当な金額がいるだろうと思います。タバコにつきましては、そういう御要望の筋は聞いてはおるのでございますが、具体的に金額がどの程度になるのか、実は正確なことを今承知しておりません。わずかでございますれば、これはもちろん入れて考えることができると思いますが、相当要望があるにかかわらず、ごくわずかだということでは意味をなさぬということになりますが、二十九年度はたとえば模範的にやつてみるということもありますから、そういう程度であれば専売公社等ともよく御相談いたして、できるだけ措置を講じたいと思います。肥料配合所につきましても、特記をしておりませんが、各県若干箇所くらいはできるような措置をとりたい、かように存じております。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますとタバコの乾燥所なり肥料の小配合所についても、各県においてモデル的に、資金の放出源はその他の事項においてやる、こういうふうに承知してよろしいですな。
  12. 小倉武一

    小倉政府委員 そういう趣旨であります。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 なお共同設備の問題について、先ほど私がいろいろと意見を交えてお尋ねをしたように、共同設備の範囲なり、その対象の種類、そういつた点について再検討をされたい。たとえば肥料の小配合なり、今私が指摘したような葉タバコ乾燥場なりを、その他で出すというようなことは、私は本来間違つておると思う。今わくがないからいたし方ない、当面そういうふうにやるとおつしやいますが、わくがなければふやせばいい。本年の農村の経済情勢は、相当困つた情勢が来はしないかと私どもは心配をいたしておるのでありますが、こういうときに共同化が促進され、合理化が進行して行くのであります。農民というものは、ふだん比較的ふところの潤沢なときには、個人経営に立てこもつて行こうという傾向が強いのでありますが、不況が来れば来るほど、共同の力で守つて行こうという意識がだんだん芽ばえ、またそれが組織化されて行くことは、従来の事例に徴しても明らかであります。そういつた面から政府は、補助金をやめて少くとも融資をやつて行くという基本方針を大体とつておられるようでありますが、農業のような原始産業といいますか、後進産業の場合には、年一回の資金回転で、しかもそれが天災地変にあえば元も子もなくする。市中銀行からも見放されておる。市中銀行は当初においてはうまいことを言いますけれども、確実なもの以外にはなかなか放出しない。そういつた面からも特に農林金融に対しては、手厚い中長期の資金によつて相当積極的な手を打たなければならぬ。その一つの具体的な事例として、共同利用設備に、その種類は非常に広汎でありましようけれども、少くともその他の項目から金を出して間に合わせるというような弥縫策ではなくて、本格的な対策を立てていただきたい。私はこういうふうに思うから申し上げたのでありますが、そういうことについては全然お考えありませんか。
  14. 小倉武一

    小倉政府委員 共同施設につきましての利用が非常に旺盛であり、また農業の改良発達のためにこういう施設が望ましい、また必要であるということもまつたく同感でございます。そういう趣旨で運用して参りたいと思います。ただ私ども若干危惧いたしておりまするのは、非常に多種多様な施設がございまして、これが農民のためあるいは農業のために十分役立ち得るような施設になるかどうかにつきまして、的確に指導すると申しますか、見守つて行くということについて、今のところ必ずしも十分な確信がございませんので、これを項目をはずしまして全面的に広めることについては、若干危惧をいたしております。ただ従来の項目につきましても、これにいつまでも拘泥いたしまして、既存のものは尊重し、新しいものは取上げないという趣旨ではございませんで、これは毎年検討して参りたいと思つております。本年度予算について検討した跡は必ずしも見えておりませんが、一つはこの項目の目盛りを少し大きくいたしまして、そこで若干、運用上弾力性のあるようにくふうしたことだけでございますが、なおこの予算が成立いたしましたあかつきに、どうせ公庫の方で実質上の計画を申請して参りますので、そういうときにあるいは二十八年度の実績もわかつて参ると思います。二十八年度の実績等も参照いたしまして、なお御要望のような趣旨も考慮に入れまして、検討を加える機会は新しい年度の開始とともにございますので、実質上検討して参るということはいたしたいと私どもは思つております。根本的に考え直すということにつきましては、本年度わくの問題もございますので、ちよつといたしかねますが、実質上の面でできるだけ最近の実績あるいは最近の要望というものを織り込んで行きたい、こう思つております。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま局長のいろいろな御構想を聞いて、これ以上申し上げるのはどうかと思いますが、いま一言申し上げておきたい。去年の実績ということを非常に力説されましたが、去年の実績という、一つの実績本位では必ずしも正鵠なものが出るか出ぬかということは疑問である。なるほど現在、実績の上からいつては形だけしかできていない、芽だけしか出て来ておらないが、将来において大きな発展の要素を持つておるような仕事は、やはりこの芽から育てて行くような気持になれないと、実績々々といつて、実績にばかり中心を置かれ、それにこだわられるわけではありますまいが、これを一つの参考としておやりになるという意味でありましようが、少くとも私は、日本の農業政策は本年の予算が成立いたしまするならば、相当つて見ざる転換を余儀なくされて来る。従つて補助金なり助成金政策というものについて、従来からの伝統とかわつた方針がとられたということは事実であります。とすればやはり融資金融、こういつた面において農村の短期資金あるいは中長期資金というものに対するところの、当局としては相当腹のすわつた、そうして思い切つた対策がとられなければ、農村は一体どうしてやつて行けるか、こういう点を私は心配をいたします。そうして実績もさることながら、今申し上げましたようなものは実績の中には全然芽がはえておらない、そういつたものに対しても十分掘り下げて御研究をいただきたい。これはいまさら申し上げるまでもなく、わかつておるわかつておるという顔をしておられますが、ほんとうにあなたにわかつてつても、あなたのところから下へ行つて、出先になると結局実績が積み上つておる。で、上に行けば実績がこういう実績であるからどうにもいたし方がない。結局こういうところに現在の行政機構はなりがちなんです。だからあなたがこういう気持であるならば、こういう方向でやれという農林金融に対する一つの基本方針を、農林省としてはこの際立てられなければならぬ段階に来ておる。ただ単にここに一片の予算案に付属するこんなものを出しても、これだけでは農林金融の対策にはならないと思うのです。少くとも農林金融に対するところの政府の農政の転換期が来ておるとすれば、一体どう対処するかということについて、真摯なものが当然あわせて出て来るべきはずなんです。予算の補助を切られてがつかりして、農林省が開店休業のような形になるような事態が来ておるにもかかわらず、若干それを押しもどしたというので安心をしておる段階ではないと思う。官庁はそれでもよろしいでありましようが、地方農民は一体どうしてやつて行くか。もつと私は真摯、しかも根本的な農林金融に対するところの方針が立てられなければならない段階に、少くとも来ておると思う。だからこそ農地担保金融の問題が生れたり、農地改革の成果の逆行を意味するいろいろな画策が起きて来るのです。政府に、これに対しての農地改革の成果についての基本方針があり、そうして自作農維持資金に対しても徹底した方針があるならば、農地担保金融制度なんか議論の余地はないと思う。農地改革の成果を逆行せしめて行くような、いろいろの蠢動や策動の生れる余地はないはずです。政府自身の農林金融制度のどこかに欠陥があるから、こういう問題が起きて来るのです。下からはどんどん突き上げて来る、農村には質ぐさがないというので、農地というものを一つの財産化して農地改革の成果を逆行せしめて行くような一つの考えが出て来た。あるいはこれに関連するところのいろいろな意見が出て来るのじやありませんか。これは一にかかつて総合的な農業政策の貧困がもたらすところでありましようけれども、具体的な当面の問題としては、農林漁業金融に対するところの政府の施策が不徹底であるところから、私はこういう問題が起きて来るのだと思う。これに対するところの基本的な方策を持たずして、単に弥縫的なことのみに終始し、若干の予算の大蔵省査定をあともどりさせたということで、——これは容易ならぬ努力ではあつたでありましようが、それのみで安心するようなことがあつてはならないと思うのです。私は農林金融に対してもつと徹底した方針を立てていただきたいと思いますが、平野政務次官はどのようにお考えになつておりますか。政府を代表してひとつ承りたい。
  16. 平野三郎

    ○平野政府委員 先ほど来の足鹿委員の御意見並びに御質疑に対しまして、全般的な立場からお答えを申し上げたいと思います。政府農林金融に対する熱意につきましては、全力をあげて努力をいたしておるつもりでございます。特にこの中心は金融の総わく確保するということ並びに金利の低下をはかるということにあるわけであります。もとよりこれは多々ますます弁ずるわけでありますが、本年度は一兆円の緊縮予算の建前から、一般会計の分を相当減少いたしましたけれども、預金部資金の方の活用によりまして、所要量を確保することにいたしておるわけでございます。金利の低下につきましては、これはもう全般的に低下をはかるという政府の基本方針であり、特に農林金融につきましては、足鹿委員の御意見のごとく、特段の措置を講ずる必要があつて農林漁業金融公庫というものをつくりましたのも、そういう趣旨から出たわけでございます。しかしこれにはやはり具体的にコストの低下ということが必要でありますので、御意見のありました本年は特に信連委託をするという点について、今研究を進めておるわけでございます。これにつきましては、近く具体的な詳細な方針が決定いたす見込みでおりますので、決定いたしましたら別途御説明申し上げるようにいたしたいと存じます。さような方法をもつてコストの低下、従つて金利の低下をはかつて行く、こういうことに進めておるような次第でございます。  なおただいま御質問のございました農林漁業金融公庫貸付対象農業共同施設については、新しい構想を持つて進めておる、こういうことでございまして、これにつきましては農業経済局長から詳細御答弁申し上げましたように、近くこれに対しますところの二十九年度の新しい方策を検討する、こういうことにいたしておりますが、これは、私の考えとしてはもちろんそういう観点から検討しなければなりませんが、一番基本的なことは、やはり農林漁業金融公庫というものは特殊の金融機関である、いわゆる農林漁業に対してはどうしても一般金融対象になりませんから、従つてそういうものにこういう特別の金融機関をつくつて貸出しをして行く、こういう建前になつておりますから、他の金融機関でもつてまかない得るようなものは、できるだけ他の金融機関でやつてもらうということが望ましいのではないか。何分にも資金限度がきまつておりましていわゆる農村漁業金融公庫本来の対象でありますところの貸付の分が、非常に要求が多いわけでありまして、それに対して十分な御満足を与えることができないという段階に現在あるわけでありますから、まずもつてそういうものを確保することが先決であります。従いまして、タバコの乾燥場でありまするとか、そういつたようなものは、これは他の金融機関によつてある程度やり得る余地がありますわけで、できるだけそういうものはそういう機関でやつてもらつて、どうしても一般金融対象にならないというような農林漁業金融公庫の本来のものに重点を置いて行くということが正当なやり方ではないか、かように私は考えておるわけでありまするが、そういう点も考慮しつつ、また足鹿委員の全般的な立場からの構想を持つて出直せという御意見を尊重いたしまして、十分に検討いたすつもりでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 先日も私は予算の分科会で小倉さんにお尋ねいたしましたが、昨年の災害金融の跡始末の問題であります。これは目下研究中だということでありますが、二、三日前の新聞を読みますと、各新聞一斉に中金の湯河理事長談話を発表しております。それは昨年の災害金融はあげて系統金融でやつた、しかし端境期に来つて相当困難が予想される。その対策としていろいろ述べた末、政府の余裕金預託百億を要望し、話がついたか、交渉中か、とにかくいずれかわかりませんが、百億円の政府の余裕金の一時預託を必要とするという具体的な数字をあげて輿論に訴え、かついろいろな系統内部におけるところの対策をもあわせて声明しておりました。私はこの前申し上げました系統金融機関地方信連が系統外に金を預ける、そして高金利に引きずられて行くというようなことから、系統金融機関の正常なる運用をはかるために法的な措置を必要とするではないかというような議論も行われておりますが、いずれにしましても、この系統金融というものは非常に季節的な波が大きいために、そう長いこといつも資金がからになつておるというわけではなくして、一時的な対策で事が間に合う、特にここで注意していただきたいことは、去年の災害金融政府は一文も金なしに、あげて農村の金で農村を救つたのです。おそらく最近の日本経済の上に、農村の金で農村を救うというようなことはおそらく私はあり得ないと思う。ほかのいろいろな最近の汚職や疑獄の問題を静かに考えてみましても、まことにあの未曽有の大災害に、自分たちの農村資金で自分たちの復興のためにこれを使う、あるいは生活営農資金に使うというようなことは、非常に謙虚な態度であろうと思う。政府はこれに金利の補給と損失の一部補償をもつて臨むことで目的を達せられたわけであります。そういう面から言つても、この季節的な端境期に向つて系統金融が参るか参らないか、こういう事態になれば、少くとも一時余裕金等の預託は私は当然のことだと考えますが、問題は具体的になつて来ておる。私がこの前お尋ねしてから大分時間がたつておりますので、検討の結果なり現在の政府方針を承つておきたい。
  18. 小倉武一

    小倉政府委員 農林中央金庫の金繰りから申しまして、災害融資に関して六月ごろに約四百億程度資金が足りなくなる、そのうち三百億程度は日銀から借り入れ、百億程度政府からの預託に仰ぎたい、こういう中金の金繰りの推測、それに伴う要望がございました。その金繰りの推測というものがそのままやれるかどうかということについて、なお検討の余地があると思います。と申しますのは、御指摘のように系統金融につきまして、系統外に流れている金をできるだけこの際系統に集中するといつたような運動も行つておりますので、そういう推移等も見なければなりませんが、いずれにいたしましても、端境期になりますれば今御指摘のような不安がございます。それで私どもの方といたしましても、お尋ねのように百億程度のものにつきまして、国庫余裕金の預託といつた処置が必要になるだろうということで、ただいま事務的に話合いを進めております。もちろんこの話がついたということではございませんが、そういう推測が一応できますので、念のために前もつて話をしておいて、そういう事態が生ずるような具体的な場面になりました場合に、遺憾のないように処置をしたい、かように存じております。もつともこの国庫余裕金の運用ということについて、いろいろ最近の金融の引締めといつたようなことがございまして、その制度自体について若干の変更があり得るかもしらぬというようなことを、新聞紙上あるいは大蔵省の役人の話等で聞いておりますので、それが至難でございますれば別途の措置ということも考えられると思いますので、いずれにしましても、政府として、足りない分についてはめんどうをみることに最大の努力をするつもでおります。なおしかしそればかりではございませんで、できるだけ系統金融で間に合いますれば、そのこともけつこうだと存じますので、そういう方面のくふうもいたして参りたい、かように思つております。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 最後にもう一問お尋ねをして質疑を終りたいと思います。平川さん、農地担保金融制度のその後の経過はどういうふうになつておりますか、最近聞くところによりますと、そういう意見も一方においてある、また一方においては農地改革の成果と逆行するようないろいろな運動が起きつつある、いろいろ新聞紙上をにぎわしておることは、すでにお気づきであろうと思います。また具体的に農地法自体の改正を目ざして立法上の諸準備もすでに着手をされ、進行しておるというふうにも考えられます。これは帰するところ、自作農維持資金の運用問題と関連して、私はこういう事態が起きて来るというふうに思いますが、これは具体的な質問ではなしに、時間が相当延びましたから、経過なり農地局長としての大体の現在のお考えをお尋ねをいたしたい。いま一つ小倉さんに、さつきの質問でちよつと私落しましたか、今度の農林漁業中央金庫の信連委託について、二百億のわくの中の対象となる種目を系統農業協同組合の行う云々と先ほど御答弁があつたように思いますが、そうしますと系統農業協同組合以外の、たとえば協同組合もタツチしており参画もしておるが、表面にはタツチしておらない、たとえば土地改良とか、そういうようなものに対しては、これは融資対象から除外されることになりますか、この前もそのことをお尋ねしたのですけれども、あまりはつきりした御答弁がなかつたし、今のも少しあいまいでありますので、そこをお願いします。
  20. 小倉武一

    小倉政府委員 ちよつと御説明が足りなかつたのですが、申し上げました趣旨は、土地改良も入れたいと思います。もちろんこの信連組合員でなくては困ります。あるいは法律上おそらく正組合員になれなくても、準組合員といたしまして信連に入ることは可能でございます。おそらくまた入ると思います。そこでこれは希望でございますが、土地改良区にもいろいろございまして、相当大きな土地改良区もございますので、私の考えておりますのは、協同組合と歩調を合せまして、町村単位の規模の土地改良区については対象にしたいと思つております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 ちよつと言葉じりをつかまえるわけではありませんが、町村単位というように言い切つてしまわれますと、正式の会合の答弁でありますから、問題が残ると思うのですが、町村を単位とし、あるいはその事業の関連において、数箇町村にまたがるという意味に解釈すべきでしようね。町村を単位ということになると、一町村を単位とするのですか。数箇町村がやつて行かなければ、たとい小規模の土地改良といえども、現在はなかなかうまく行かない。先般積雪寒冷単作地帯の振興法ができたときに、最初は大蔵省は百町歩だと言つた。それをだんだんやかましく言つて五十町歩にし、現在二十町歩になり、最近はこれを五町歩ないし三町歩にという声がほうはいとして起つておる。そこで大体二十町歩ということで、一箇所でなく、その村の中で大体点々としておつても、二十町歩ならばよろしいというように話がついておるにかかわらず、出先に行くと、それはいかぬということになつてしまう。あなた方がここで考えられている以上に、地方で金を借りる場合には言うに言われぬ苦労があるのです。従つてくどいようですが、私は明らかにしておきたい。今、町村単位ということを言われると、また一つの問題を残すというふうにも心配しますが、今私が言つたように、町村が数箇町村連合する。その規模はもちろん小規模土地改良としいうが、どの程度土地改良が小規模土地改良なのか。なかなかその範囲によつても違いましようが、町村を単位とする小規模土地改良と言いますと、これはほんの小さなものになります。ところが最近の傾向を見ますと、小規模土地改良でも、他村にまたがつてつて行く土地改良区等も、相当あるのです。そういつた点、何か割切れぬ気もしますが、いかがですか。
  22. 小倉武一

    小倉政府委員 協同組合でも同じでございますが、団体営の土地改良につきまして、信連委託事業をどの程度考えるかということにつきましては、信連事業の分量、あるいはその能力等も考えまして、ある程度のところで線を引くという必要がどうしてもあろうかと思いますが、その線の引き方として、私どもは町村の単位ということを考えたのであります。もちろん町村にまたがるといつたようなこともございまして、そういう場合の仕事も、土地改良事業としてはそう大きくない仕事もあろうかと思います。そうなりますると、今の線の引き方が、なかなかやつかいになりますので、町村協同組合あるいは土地改良区でございますれば、町村を区域とした地元土地改良、そういうところで線を引きたい。もちろん実際の事業として隣りの村に及ぶということもございましよう。それをやかましく言うつもりはございませんが、一応の基準といたしましては、郡程度でなく村というところで押えまして、たとえば協同組合といたしましても、農村工業等を郡の段階でやるということになりますと、事業の規模も相当大きくなる場合もあり得ますので、これは一応今の段階としては省いておいたらどうか、こういうつもりでおるのであります。もちろんこれは永久にそういうつもりではございません。さしあたり発足する場合の基準といたしまして、大事をとつてそういうところに一応の線を引くというふうに考えておるのであります。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 くどいようですが、町村における小規模土地改良ということになりますと、金額はどの程度を最高標準額と見ておられますか。小規模土地改良もその事業の種類によつていろいろ違うでしようが、そこまでもうすでに御検討になつたか、四月一日には発足というお話なのだから、大体検討してあると思うのですが、資料を見てからもう少し私はただしたいと思います。委員長、私はさつき資料を要求しましたのですが、委託業務に関する資料をいただいた上で、さらに質問いたしたいと思います。これは私からだけでなく、芳賀委員からも関連で出ておりまして、せつかく発足されるのですから、もつと検討しておいていただきたいと思います。
  24. 井出一太郎

    井出委員長 あなたの質問は留保しておきます。それから平川局長からの答弁がございます。
  25. 平川守

    ○平川政府委員 農地担保金融の問題につきましては、御承知のように従来政府の特別会計において買上げをするという形において実際上の担保金融実施しておるわけであります。これをさらに一歩進めて、たとえば担保の貸出金額等をもつとふやしてもらいたい、融資の総額ももつとふやしてもらいたい、またそれに関連いたしまして政府の特別会計による買上げという形式でなしに、初めから融資という形で貸出しのできるような制度をつくつてはどうか、こういうような問題がいろいろ検討されておつたわけであります。大蔵省との話合いもなかなかむずかしくありまして、大蔵省としても、もう少しよく研究をさせてもらいたいということで、本年度としてはさしあたりまだ大きなかわつた案を確立するまでに至りませんでした。大蔵省で問題にいたしておりますのは、つまり農業に対する金融にいろいろの種類がありますが、長期の資金については公庫、短期の資金については系統金融機関、特に農業手形というような制度もあり、農業プロパーに対する資金については各種の道が開けておるので、この農地担保金融の貸出しを行います場合に、その所要資金がどういうふうに使われる性質のものであるか、これがいろいろ重複するのではなかろうかという点を心配しておるようであります。われわれといたしましては、せつかく創設されました自作農家が転落することをおそれておるわけであります。長期の資金あるいは短期の営農資金はそれぞれ貸し出されますけれども、家族に病人ができたり、あるいけ災害をこうむつたとかいうような場合において、ほかに資金を得る道がないために、やむを得ず農地を手離さざるを得ないというような現象が、現にある程度起りつつあるじやないか、そうすると、そういう場合にやむを得ず農地を手離すというのを救う、そういう意味の金融をはかることが必要でなかろうか、こういうふうに考えておるわけでありまして、これにつきましてはいま少し検討をいたしたい。大蔵省との話合いも、大蔵省ももう少しよく研究したいと申しますので、いま少し研究の時間をいただきたいと思います。しかしいずれにいたしましても、先ほどちよつとお話のありましたような、農地改革の方向を逆転せしめるというようなことは全然考えておらないわけであります。農地担保金融の制度にいたしましても、せつかく創設されました自作農をいかにして維持するか、転落することを防ぐかという意味で考えられておるわけであります。御質問の、いわゆる逆行するという意見が世の中には行われておるではないかということも含まれておるかと思います。そういう農地改革の方向を逆行せしめるようなことは、全然考えておらないということをはつきり申し上げておきます。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 これは大きな問題でありますので、きようちよつとだけ触れてしまうというわけに行きません。ただ一つだけはつきりさせておきたいことは、農地に担保権を設定されるというふうな考え方は非常に簡単なようであります。農村に質草がないから、農林金融上の大きな対策として農地に担保権を設定したらいいではないか。そういうふうになりますと、農地改革の精神というものと相当背馳する法律上の大きな問題になつて来ると思うのです。そういう思想が認められることになりますれば、それでなくても現在、農地改革の成果は各地にだんだんくずれつつある。小作料は高騰して行きますし、農地の移動は頻発して行きます。また農地のやみ価格というものも相当上る。だから担保しなければならぬ、こういう議論が出て来ます。だから担保制度を認めたならばどういうことになるか。土地の流動は激化して、土地の兼併に拍車をかけ、元の小作人対地主の姿が復活する以外の何ものでもない。農地改革の精神というものは、働く農民に永久に耕作権を保障するという思想だと私は思う。地主から安くいけどつて、これを財産にして農民にわけ与えるというような考え方で農地改革が行われたものではないと思う。当時土地のひんぴんたる取上げ、耕作権の不安動揺、それにつけ込む農村の封建制、それが軍国主義に通ずる、こういつた点から日本の軍国主義を倒し、日本の民主化をはばんでおる農村の封建制を民主化して行くためには、土地の私有制というものに対して抜本的な対策を入れなければならないというのが農民解放令の大きな一つのねらいであり、一つはそういつた結果からして、働く農民が常に農地の取上げなり、農地に対する耕作権に対して常に動揺しておる、これをほんとうに保障してやつたならば、隷属関係に近いような農村の封建制が打破できる、こういう二つの大きな思想があつたように私は思う。農地の担保権の金額のいかんは問いません。現在立案研究されつつあるのは金額はきわめてわずかなように聞いておりますが、金額のいかんではありません。農地の担保権を認める、一つの財産権を認めるということになりますならば、これはたいへんなことになりますよ。それでこの問題が日本の農地改革に及ぼす影響というか、抜本的にこれをゆすぶる大きな将来えの発展性を持つておるために、非常に注目しておるのでありますが、今平川さんもおつしやいましたが、農地担保の金融ということに対して、すでに農地局は研究をしておると思うが、今日の段階でその結論を発表されない、できないとおつしやれば、あえてきよう発表していただきたくない、私も発表していただかなくてもよろしい。しかしこの問題は非常に重要な問題であろうと思う。われわれは観念的に、公式的に何でもそういうものに対しては反対のレツテルを打つて行こうというのではありません。静かにほんとうに考えてみますと、そういう道が切れたら、せきを切つた水のようなものですよ。農村の農地の移動なり、それに伴うところの昔えの復活は、音をたてて進行するでしよう。これは非常に大事な問題だと思いますが、そういうことについて十分御検討になつておりますかどうか。農地を担保にすることの是非、その法的なあるいは経済的な政治的ないろいろな要素を考えられて、この問題については軽々なる御措置はやめてもらいたい、十分に御検討になつてしかるべきものだと私は思う。農地を対象とする現在の金融は、自作農維持資金問題で道は開かれておる。問題はそこに何らかの隘路があるのではないか。現在の五千円程度金融であるならば、農地のやみ価格に比べて何十分の一なんです。これでは百姓はとてもかなわないから、そこでこの金融にはあまり魅力を感じない、それでやみの売買が行われる、こういうことになろうかと思うのであります。そこで問題は、これを五万円なら五万円時価の半額程度に上げて行くと、小作料の問題にひつかかつて来るということを聞いておりますが、その点についてももつと具体的に御検討になつて、現在の維持資金ではどんなにわくをお広げになつてみたところで、貨幣価値があまりにも動いております。従つて事情によつては、若干小作料の問題についてはやむを得ない場合も出て来るかもしれぬ、こういうふうにときどき考えることもございますが、現在の反当五千円、八千円でかりに自作農維持資金を受けてみたところで、それは何になりましよう。病院に入院してもわずか五日、六日、一週間で済んでしまう。そんなことだから、農民が困つて来ると農地をやみ売買をして行く。いいことではないが、所有権は持つてつて耕作権だけを一時預けて相当の金を借りる。生活に押し詰められればそういうことになつて来る。それは農地改革のくずれて行く方向へだんだんと拍車をかけて行く結果になろうと思うのであります。自作農維持資金の問題について、貨幣価値がうんとかわつて来た今日において、中途で一回の補正は行われましても、どこまでも従来の小作料というものを金科玉条にして考えて行かなければならないということもないのではないか。むしろこのごろは逆に、現物小作料の要求が復活しておる。先般も香川県の話を聞いたのでありますが、一俵、二俵のやみ小作料を要求する。これを払わなければ考えがあるというような、昔の地主と同じような手口になつて来つつある。これは現実に国会議員から話を聞いたことであり、その人が現地でそれを調べたことでありますから、必要があればお示しいたしますが、そういつた傾向すら出て来ておる。小作料が貨幣価値に即応した適正なものであれば、そういうことも起きて来ないということも一面言えるでありましよう。公平に言つて現在の自作農創設維持資金の制度そのものには、何か時代のずれがありはしないか。その間隙にいろいろ耕地の移動や担保金融論などが起きて来るのではないか、こういうふうに思う。私は意見のみ申し上げましたが、あえて御答弁がなからねばそれでもけつこうでありますが、もし御検討になつておるとすれば、局長の御所見を承つて、私はきようの質疑はこれで終ります。
  27. 平野三郎

    ○平野政府委員 この問題は、世上に一部誤解もあるようでありますから、この機会に私から明白にお答えを申し上げておきたいと存じます。農地改革の精神が日本農村の封建制を解放するという趣旨によつて行われましたことについての足鹿委員の御意見については、政府としてもまつたく同感でありまして、今日でもその考えは少しも動いてはおりません。ただ開拓とか干拓等農地の拡張工事を推進して行く上におきまして、農地価格の安きがゆえにかえつてその事業の推進を阻害するという面もあるわけであつて、こういう観点からこの問題に検討を加える必要もあり、いろいろな観点から今研究を進めておるわけであります。しかし今お話のように、ここで一歩誤りますと、農地改革の精神を根本的に破壊するおそれがありますので、その点を慎重に検討いたしておるわけであります。一部には旧地主の特権を復活すると申しますか、温存するという趣旨のもとの意見もあるようでありますが、これらは政府としてはまつたく関知していないのでありまして、あくまでもお話のような精神を尊重するために農地改革の精神をさらに確立するという線において、農地担保金融制度の何らかの改革をこの際はかりたい、こういう趣旨で研究を進めておるわけでございます。本日のところはまだ具体的には申し上げる段階に至つておりませんが、いずれ成案を得ますれば、御審議を願うつもりでありまするけれども、要するに、根本精神はどこまでも堅持し、それを堅持するためにやる、こういう趣旨で進んでおるわけでありますので、御了承願いたいと思います。
  28. 井出一太郎

    井出委員長 福田喜東君。
  29. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ちよつと簡単なお尋ねをいたしますが、ただいま足鹿委員から農村に関する金融機関のあり方についていろいろ御意見がありましたが、私は中金、公庫等の金融機関のあり方に関しまして、一言小倉経済局長さんにお尋ねしてみたいと思います。  まず第一に、二十八年九月十六日の農林次官の通牒で、「農林漁業組合連合会整備促進法の施行について」というのがあります。あの通牒の第五の「整備の重点」という中の第一項に「業務執行体制の確立」ということをうたつてあります。その中にどういうことを書いてあるかと申しますと、「会員及び関係機関等の支持を得て、事業及び財務上の整備計画を確実に実行できるかどうかは、適切にして強力な執行体制が確立されるかどうかによる。従つて、従来の不備、欠陥を是正するため次の措置を講ずること。」として「(1)役員(イ)理事は、努めて少数とし、経営体としての連合会の運営の任に当ることのできる誠実にして熱意ある人であり、党派的、地域代表的あるいは利己的な者でなく、連合会全体の運営と利益とを誤りなく守ることのできる者であり、特に常勤理事は、会務に専念することができる者であること、また常勤理事は、必ずしも組合員に限定することなく広く適材を選ぶこと。」こういうふうなことを書いてありまするが、これは一体どういう趣旨でありましようか、御説明を願いたいと思います。
  30. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまお尋ねの点でございまするが、第一は、理事はなるべく少数にしたらどうかという点でございます。これは整備促進をいたします連合会につきまして、少数精鋭ということが、むしろ仕事を執行する上におきまして適当ではないか、かような考え方であります。  それから理事の選出と申しまするか、それは利己的でなく、党派的でなく、あるいは一地域の代表に堕することなく、こういつたような意味合いでございますが、これは県の連合会の再建整備をいたしまする場合に、組合の事業に責任を持たれて行くということがどうしても必要でございまするので、そういう意味で全般の組合の事業が活発になつて行く、またそれがりつばに成長して行くようなことに主として配意することができるような方が願わしいということであります。  それから常勤理事のことでございまするが、整備促進をいたしまする連合会は、経済事業を営んでおる団体でございまするので、これは文字から言つてもあるいは当然かもしれませんが、大体毎日出勤ができて、組合のめんどうを見ることができるような人が望ましい。整備促進といつたような、連合会が非常に困難な事態に遭遇して、これを建て直すということでございまするので、常勤理事については特にそういうことが必要ではないか、かような趣旨であります。
  31. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私は決してそういう中学校の文字の解釈みたいなことを聞いておるのじやないのであります。これはそういうことをする権限を金融機関とか府県庁に与えたものでございましようか、それをひとつ伺いたいと思います。
  32. 小倉武一

    小倉政府委員 「選ぶこと」と申しまするのは、もちろん金融機関だとか府県庁だとか役所といつたようなものが選ぶという意味ではございませんで、連合会の役員でございますれば、当然そのメンバーである組合の代表者が、正式な選挙の手続を経て選ぶのでございまして、そういう選ぶ際に、選挙権を行使される組合の代表者がこういう気持でもつて選んでもらいたい、こういうつもりであります。
  33. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それならばなぜそういうものをなすべき連合会なり事業体にこれを出さなかつたか、ところがこの通牒の相手方は知事であり、しかもその派生的には金融機関である。これはヒルフアーデインクの例の金融資本論を出すまでもなく、これがいかなる法律違反を起し、いかなることをしておるか、経済局長は御存じでしようか。
  34. 小倉武一

    小倉政府委員 知事あてに出しましたのは、連合会の整備促進ということにつきましては、府県庁の協力と申しますか、関心も特段に多いことでございますので、できるだけの指導もしてもらわなければならぬことでございますので、知事にそういう指導なり啓蒙といつたようなことを末端の組合に対してしていただきたい、こういうつもりであります。御指摘のように連合会の役員自体のことでございますので、連合会を直接対象とするよりも、連合会の直接構成員である個々の組合が問題でありますので、そういう組合について適切な指導をするということでございますれば、知事が適当であるということでそうしたのであります。それによつて不都合なことが生じていないかというお尋ねでございますが、別段私どもそれによつて不都合なことが起きておるということは承知いたしておりません。
  35. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 不都合なことができていないということであつたら、まことにおめでたい話であつて、もし不都合なことができておつたら、あなたは監督上の責任を負いますか。
  36. 小倉武一

    小倉政府委員 それは不都合なことの次第によりましては、私もそういう責任があるわけであります。
  37. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私はこの通牒によつて、再建整備促進法なり、あるいは森林法なり、その他農林団体の基礎を定める根本法の精神なり条文をかえられるものでもありませんし、またかえることができるものでもないと思う。一体通牒を出すときには、もう少し案をつけてもらいたい。こういうことをやると、法律の条文など知らぬ人——つてつても、地方に行きますと、法律の条文よりも農林省の通牒なり通達が金科玉条として守られておる。そうしてこれによつてどういうことが行われておりますか。再建整備法にひつかかつている連合会なり何なりが、中金あるいは公庫において審査を受ける。現実においてわれわれ金を借りておる。金を借りておる側の者といたしましては、中金なりその他の金融機関に対してまことに弱い。弱い立場にあると、中金がどういうことを言いますか。この通牒をひけらかしまして、理事の数を何人にしろ、だれとだれとはやめてしまえ、そして昔中金に働いておつたかくかくの者をとれ、とらなければ金を貸さぬぞと言う。一体何の権限でそういうことが言えますかと聞くと、この通達を持つて来るのであります。あなたはこういう事実に対して何らの関心を持たず、知らぬとおつしやるのですか。それを承りたい。
  38. 小倉武一

    小倉政府委員 協同組合連合会で整備促進の対象になる連合会につきましては、整備計画を立てる際に、金融機関と協議するということに法律上なつておりまして、協議してよく相談して計画を立てる。そういうことで話をし、あるいは意見を聞くということは、指導の面からでも望ましいと考えておりますが、この通牒の上に根拠があるのでなくて、むしろ整備促進の法の趣旨に実は端を発しておるものであります。整備促進におきましては、御承知の通り金融機関事業連等に貸しております資金が比較的固定いたしまして、これを流動化する、そのためにまた事業連の建直しも必要である、それによりまして事業連の建直しとともに、また金融機関資金の流動もはかる、こういうことでございまして、目的がいわば二つございますので、そういう計画を立てるには、関係金融機関事業連とが相談をして計画を立てるということが最も適切ではないかというふうに今考えております。
  39. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私は法律の条文の解釈の説明をここであなたから聞いておるのではないのでありまして、なるほど整備促進法には金融機関と相談してやれということが書いてあります。相談してやれということはそういう干渉まで受けろということでございましようか。そんな権限を金融機関に与えたのでございましようか。その相談に応じなければならぬというものでございましようか。はつきりした御答弁を承りたいと思います。実際はこの通牒に基いて連中はやつて来るのであります。
  40. 小倉武一

    小倉政府委員 具体的に人をどうするというようなこととか、あるいは選挙等にあたりまして、具体的な選挙に影響を及ぼすようなことを個々の金融機関がいたしますことは、これは必ずしも適当でないと私は思います。ただ整備計画を立てます場合に、役員の数は何人くらいがいいかとか、あるいはどういう方面の専門の知識がある方がいいかといつたようなことにつきまして、これはおそらく相談もありましようし、あつてもまたそれが出過ぎで、行き過ぎであるというようなことはなかろうかと思います。
  41. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 曖昧模糊たる答弁は困るのでありまして、一体そういうことは権限としてできるものであるか、聞かなければならぬものであるかということを聞いておるのであります。各県においてひんぴんとして行われております。出先の金融機関がこれをやつておるのであります。もしそれができないものとするならば、その越権のさたに対する何らかの措置があるものでしようか。
  42. 小倉武一

    小倉政府委員 越権のさたとおつしやる具体的な事実を私は承知しておりません。もちろん御指摘いただけば、私どももそういう事実をよく見ましてその上で出過ぎである点、あるいは不適当な点については是正をする措置を講じたいと思います。
  43. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 承知しておりませんということは、私としてははなはだ意に満たないことでありまして、通牒を出しつぱなしであとは野となれ山となれ、こういうふうにしか私は受取れません。この通牒とこの再建整備法で金融機関と相談して云々というあれを持ち出しまして、現実にそういうことが至るところで行われておるのであります。通牒を出して、あなたの力ではあとのことは関知なさらないでありましようか。そうして中金の支所なり何なりの職員などを整理しておいて、あとからこれを入れてくれ、人数を減らせ減らせと言つておいて、あとからこれをとれと言う。そして個別的にこれとこれとこれとはやめさしてくれ、こういうことを言つて来るのです。こういうことが一体許されることでしようか。森林法とかその他のいわゆる事業団体の基本法におきまして、役員は選挙ということを書いてある、その選挙の内容にまでその整備促進法は立ち入つて、この組織体の根本をくずすのが法律趣旨でしようか、そこはどうなんですか。
  44. 小倉武一

    小倉政府委員 その点はこれは具体的な事実の問題でございまして、その具体的な事実をよく承知しませんと、整備促進の趣旨に照して行き過ぎであるか、あるいはやむを得ない措置であるか、こういう点が判断しかねると存じますので、先ほどのようなことを申し上げたのであります。
  45. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今申し上げたのが具体的事実なんですが、ここにはつきり名前を申し上げると、私は非常に困つた事態が起るだろうと思います。それで今申し上げたような事柄が——あなたはおわかりにならないでしようが、そういう事実が行われておるということについて、これは法律上違法じやないのですか、その点を承りたいのです。
  46. 小倉武一

    小倉政府委員 法律上違法かどうかということになりますと、よほど具体的な事実を知らないと、法律上違法かどうかここでお答えはしにくいと思います。事実上の話合いで行き過ぎの点あるいはしやべり過ぎの点があるということは、整備計画というようなむずかしいことを処理する場合においては、これは言葉のやりとりももちろんあるかと思いますが、どう言つたからただちに法律違反になるといつたような問題では必ずしもございませんので、お互いの話合いで整備促進の趣旨に照して、整備がうまく行くようにということの趣旨に出ております分には、大局から見てやむを得ないという場合もございましようし、あるいはそうでなくて、行き過ぎというか干渉がましいことをやつておるといつたような場合もあり得るかと思います。これはよく具体的な事例と照しまして判断をしなければならぬと思つております。
  47. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういうわけのわからぬ答弁では困るのでありまして、今言つたように次の理事会あるいは役員会を開いて、十人の理事を五人にしろ、次の選挙にはこれとこれとこれとは立てるな、理事の数はこれとこれとこれにしろ、もしこれの言うことを聞かなければ金は貸さぬ。今までやつたものを取上げる、こういうことを言つて来ておるのでございます。選挙を建前とするところの事業団体に、こういうことを言つて来ておるのでありますが、これはこの通牒をもとにして言つて来ておるのです。私も法律をやつた者ですから、この通牒で法律はかえることはできないことは百も知つておる。再建整備法でそんな権限を与えていないことは百も知つておる。こういう事実をやつておることに対して、農林省の責任者であるあなたのお考えはどうかということを聞いておるのです。法律施行の責任の地位にあるあなたのお考えはどうかということを聞いておるのです。今申し上げた具体的な事実についてお答えを願いたい。
  48. 小倉武一

    小倉政府委員 そういう事実は私承知しておりません。従いましてお答えするわけには参りません。しかもそこまで具体的に話が進む前に、私どもの考えで申しますれば、当然に整備計画というものは審議会にかかつて、承認されて、その実施の過程ということでは、あるいはそういうことが起り得るかとも思いますが、整備計画が具体的に立ちまして、そしてこれでやろうということになつておりますのは、ごくわずかでございまして、三重県の経済連がほぼきまりかけておりますが、他はまだいわば準備中でございまして、具体的に理事の数を何人にしろ、しかも理事はどういう人にしろということを具体的にきめるような段階になつておる連合会は、まだない。そこまで行つていないのではないか。下準備としていろいろ話合いは行われておるということはあると思います。
  49. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 局長の答弁によりますと、下準備として、いろいろな打合せが行われておる限度においては、再建整備促進法の適用外である。いよいよ審議会にかかつて最後的にきまるときに、初めて取上げるべき問題である。あなたの解釈から参りますとそういうことでしよう。審議の段階において、中金の支所なり金融機関なりが、まつたく法律を蹂躪してやるようなこと、いかなることをやつてもこれを黙殺していいということになるのでありますか。しかも現実におきましては中金の借入金——われわれが中金からいろいろの債務を負つておる、それをたてにしていろいろなことをやつて来るのであります。その半面この再建整備促進の談判、話合いの途中において、どんどんそういうことを言つて来る。それは一切ネグつてもいいということになるのでございましようか、これを承りたい。
  50. 小倉武一

    小倉政府委員 整備促進の正式の計画が立てられまして、それによつて実施をするという段階でなくても、もちろんその準備的な調査なりあるいは話合いの場合におきましても、行き過ぎの点はやはり行き過ぎなんでございまして、法の精神に照しまして、また協同組合運営ということに照して、不当なものは不当でございますので、その点においてかわりはないと思います。
  51. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 現在各連合体においてこういう事柄がひんぴんとして行われておるのであります。あなたは御存じないというが、私は、農林委員会委員は、みんな具体的の事例一つか二つずつ持つておられるだろうと思います。それを御存じないということは、農林省として非常な怠慢であると私は思います。私の方に報告がないというならば、それはまつたくエジプトかどこかの農林省だろうと思いますが、ほんとうに御存じないのでしようか。
  52. 小倉武一

    小倉政府委員 私は存じておりません。それはよく調査いたしますけれども、行き過ぎがあれば、お知らせいただきますればけつこうでありますが、そういう行き過ぎの点は当然排すべきでありますので、そういう点につきましては、なお私どもといたしましても今後十分注意をいたします。
  53. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういう御答弁でありますならば、この通牒が巻き起しておる旋風については、さらにその趣旨を弁明する通牒を出してもらいたいのであります。現実の姿におきまして、こういう経済情勢になりますと、金融機関が非常な勢いを持つて事業団体の内部に干渉して来る、人事権に干渉する、これが日本の事業連をいかにゆがめておりますか、この点も局長は御存じないのでございましようか。
  54. 小倉武一

    小倉政府委員 非常に一般的なお尋ねでございまして、必ずしも私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、整備促進の問題に関しまして、不当に金融機関が経済連等の人事その他に干与するということはよくないことはもちろんでございますので、整備促進のために必要な範囲においてやむを得ない相談ということに私どもは理解しておりますので、行き過ぎの点があれば当然是正すべきである、さように考えております。
  55. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 この委員会における答弁のみでなくて、この通牒に基いた旋風でありますので、この点の是正のために農林省において必要なる措置を講じていただきたいと思いますが、私は責任ある人の御回答を得たいと思います。
  56. 平野三郎

    ○平野政府委員 政府から発します通牒は、法律に基いてその法律の運用を適正ならしめるという趣旨から出しておることはもちろんでございますが、ただいまのお話は、金融機関のものが政府の通牒を運用して、これを違法的な行為に用いたという事例と存ずるわけで、まつたく政府の意図と反対の方向に動いておるということでございます。これらの点につきまして内容をよく承知いたさぬことはまことに申訳ないことと存じますので、さつそく事情を調査いたしまして、必要がありますならばさらにそういうことのないように新しい指示をいたすとか、適当な方法をもつて善処いたしたいと存じます。
  57. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今の平野次官の御答弁を信用いたしますが、こういう例は農林委員会の各委員の諸公のおひざ元において多々あることでございますので、よくお調べの上、これにかわる、この趣旨内容を広く周知徹底せしめるための通牒を出していただきたいと思うのであります。それから第二点でございますが、私はこの点につきましては、遺憾ながら足鹿委員と少し意見を異にしております。農地法の問題でありますが、この農地法に対する改革は、一切改革するものが逆行というふうにとられておりますが、一体逆行とはどういう意味でありましようか、この点について局長の御意見を伺いたいと思います。
  58. 平川守

    ○平川政府委員 私が申しましたのは、要するに農地改革によつて自作農を創設しよう、できる限り働く農民が同時に土地の所有者であるという関係を確立して行こうというのが農地改革の精神だと思いますが、それがそうでなしに地主、小作の関係が広まつて、あるいは自作農が転落して行く、こういうことを称して逆行と申されたのだと思います。
  59. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 さつき足鹿委員のお話のうちで、土地に担保権を認めることはいけないとか、あるいは財産権を認めることは、たいへんなことになる、こういうことを言われた。(「討論はやめろ、質疑をやれ」と呼ぶ者あり)それについて私は農林当局に質疑をしているのだ。そういうことに対して農林当局の答弁がありましたが、担保権を否認するとか、財産権を否認するとか、土地を不融通物視する、これは経済上から言つたら非常なことになつて、自作農創設の趣旨とまつたく逆行するようなことになりますが、平川局長の御答弁は依然として同じでございますか。
  60. 平川守

    ○平川政府委員 現在やつております実質上の農地担保金融は、政府がこれを買い上げるという形式でやつておるのであります。これをさらにその反当の貸付の金額なり総額なりというものを広げて行くことが、いろいろな事情で土地を手放さなければならないような状態になつておる農家に対して、その自作を維持するという政策として必要ではないかということで検討しておるという意味であります。従つてもちろんその大前提としては、農地に価格を認め、またその売買を認めるという建前で出ておるのであります。足鹿委員の御質問は、その担保金融の形式なり考え方なりのいかんによつては、せつかく創設された自作農が逆にまた農地を手放すというような事態を促進することになりやしないかという御趣旨かと思いましたが、私どもといたしましては、要するに目標としては、創設された自作農があくまでも維持されて行くということを目標として、しかも現実の事態においていろいろな事情で農地を手放さなければならぬという事態があるわけであります。その現実の事態に対して、そういう状態にならぬようにして、急場を救えるような金融をして行かなければならぬということを考えておるわけであります。大前提として農地を不融通物視するとか、その財産価値を認めないということは、私としては考えておらないのであります。
  61. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私はこの問題についてはまだ多々言うべきこともありますし、主張すべきこともありますが、関連質問でございますのでこの程度で打切りますけれども、担保権を否認するとか、あるいは財産権を認めるとか認めないとかいうことは、どの限度においてのことなんでしようか、この点につきまして平川局長の御意見を承つておきたいと思います。
  62. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま申しましたように、農地の財産的な価値あるいはそれの売買というようなことを当然前提として認めて考えておるわけであります。ただもとより農地法にありますように、この農地という財産については、たとえばそれを処分するにしましても、いろいろな制約を加えておる。一定の資格のある者でなければこれを買うことができないとか、あるいは許可を必要とするとか、いろいろな制約を加えておることは、やはりこの農地というものができるだけ耕作者と結びついておる、その所有権と耕作権が結びついておるということ、つまり自作農をできるだけ維持し、創設して行こうという精神の法律であります。従つてその大精神に必要な限りのそういう許可であるとか、いろいろな制約は伴いますけれども、しかしその根本において農地の一定の財産価値を認める、またそれの融通を認めるということが大方針でありまして、その制約といたしまして許可とか、そういうような制約がついている、こういうふうに考えます。
  63. 井出一太郎

    井出委員長 この際平川局長にちよつと要請申し上げます。きようは農地の問題について非常に相対立したような意見も出ましたが、最近の農地の関係資料、農地年報というのがありますが、あれをひとつ委員に配付してくれませんか。——吉川久衛君。
  64. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私は理事会の申合せ等もございますので、きわめて簡潔に質問をいたしますが、お答えは簡潔にお願いをいたします。第一番に二十九年度の本予算政府原案に対しまして、修正案が出されました、修正可決でございますが、それによりますと、十五億の土地改良を初めとする食糧増産対策費が修正計上されております。しかるにこの農林漁業金融公庫の方の一般会計からの繰入れは全然触れていないので、非常に片ちんばな予算が成立したわけなんです。これは私の党もやつたので、今後これについては何らかの措置をとらなければならないと思つておりますが……、(「賛成したじやないか」と呼ぶ者あり)それだから伺うのですが、このままで食糧増産、土地改良等の事業に支障なきや。支障があるとするならば、今後どういう措置を講ずるのか。講じなければならないのか。まずこの点を伺つておきます。
  65. 平野三郎

    ○平野政府委員 今回の予算の修正につきましては、もとより政府としては何ら関知しないところでありますが、御修正になります以上は、政府として運用の適正を期したいということで、先般も特に懇談会をお開きいただきまして、政府の意見も述べたわけでございます。実はただいまお話の点は政府からもお願い申し上げまして、一般会計だけをおいじりになりましても、それに伴う地方財政の負担分とか、あるいはただいまお話の農林漁業金融公庫の出資を増加するとかいうことが伴わなければ、政府として支障を来しますのでこの点もお願い申し上げましたけれども、三党間のお話においてそういうことに触れておられなかつたので、実は私どもとしてあれは片手落ち修正であると遺憾に思つているわけでございます。しかし国会でそういう新しい意思が御決定になりました以上は、政府としてはその御意思を尊重して忠実にやりたいということで、今いろいろ地方関係あるいは農林漁業金融公庫関係等について研究を進めているのでございますが、ただいまのところ御審議を願つておりますこの増額の法案と同様に、これ以上のことを出すわけにも参らないような実情になつておりますので、本年度としては、とりあえず農林中金等の資金の運用をはかつて、一応あの修正予算のできるだけの活用をはかるようにいたしたいと考えているわけでございます。
  66. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私はこの問題については、農林漁業金融公庫の運用だけでは解決できないと思う。政府としては責任は持てない、はなはだ遺憾だということでございますので、問題は残されているわけでございますから、この点についてひとつ具体的に政府自身もお考えおきを願いたい。われわれもこの点についてはもつと積極的な考え方をしなければならないと思つております。さぞお困りであろうと思いますから、九十五億ぐらいの繰入れでははなはだ不十分であると私も考えております。これは今後の問題についてやりくりができるかできないかをお尋ねしたのであつて、遺憾であるということでございますから、そのように私は了承しておきます。  次に農地局長にお伺いいたしますが、先ほど同僚足鹿委員に対するお答えで、農地担保金融制度についていろいろお考えになつたいきさつもわかりましたし、その構想も伺つたのでございますが、私大体了承をいたします。そのときに疾病、災害その他やむを得ない事由によつて農地の所有権を維持することが困難になつた場合という点にほとんど限られたような考え方でございましたけれども、しかしそれも折衝の過程において大蔵省等の協力が得られないで、もう少し検討することになつたそうでございます。そういたしますと、疾病、災害その他やむを得ない事情によつて自作農が農地を失うような事態が起きた場合に、何か具体的にこれを保護してやる措置が講ぜられるのでございましようか。
  67. 平川守

    ○平川政府委員 結局二十九年度の問題といたしましては、従来の通り自作農創設特別会計の収入金の中におきまして、約八億五千万円程度をもつて政府がその農地を買上げる。これは一反歩当り五千円程度の値段になります。従来の方式をそのまま踏襲いたしますので、その限度内しか救えないことになるわけであります。
  68. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 それではその五千円程度で十分需要を満しておられますかということを一つ。  それから昨年から凶作のために農民は非常に困難をいたしております。ことに政府がインフレーシヨンを恐れて、盛んにインフレーシヨンを口にされましたので、日本の農民は、昨年の暮にありつたけのやりくりをして購買力を発揮してしまつて、年が明けたならばインフレになるからということで、持つている金をみなはたいてしまつたのです。この春になつてから、手元に金がなくて非常に窮迫しております。春耕資金等の問題についても、ただいま非常に苦慮しているような状況にございますが、こういう政府の不用意なる経済の見通しに対する発言が影響をいたしまして、農村では非常に金詰まりでこれから困るのですけれども、一体その需要をあなたの言われる程度の金で満たされるのか。そういう点の見通しが立たないのですけれども、どういうようにごらんになつておりますか。
  69. 平川守

    ○平川政府委員 疾病、災害等の場合だけを考えましても、現在の八億五千万円程度では不十分である。昨年あたりにおきましては、災害の関係もあつて非常に多くの需要がございました。これは計算のいたし方がなかなかむずかしいのでありますけれども、一応私どもの計算によりましても、年間三十億近くの金額はそれらの限定された場合だけについても必要ではなかろうかと考えております。なお春耕資金その他の全体の金繰りの問題につきましては、農業手形その他がございますので、経済局長の方から……。
  70. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 局長のおつしやる通り、八億数千万円の金では足りないことは私どもにもよくわかつております。災害等のために被害を受けた農民は、今高利貸しから金を借りて土地を手放さなければならない非常な苦境に追い込まれているのに、八億五千万円ばかりの金でこの窮迫状態を見てやれるとは考えられないので、これは何らかの措置を講じなければならない。それがすなわち農林省の農地担保金融の制度の問題として取上げられたのじやないかと思うのです。それが実現できなかつたということははなはだ遺憾だと思いますが、その点はその程度にいたしておきましよう。  次に自作農が今の憲法従つて民法によりますと、均分相続の制度ができておりますが、そのために共同相続人の相続分の農地を譲り受けるような場合が出て参ります。こういう場合の資金なんか農家では全然やりくりがつかないのですが、そういうものをめんどうを見るような何か制度がございますか、またお考えになつたことがございますか。
  71. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま実施しております八億五千万円による農地の買上げという方式は、今お話のような相続の場合も考えておるわけでございます。もちろんこれは相続の全部をするわけにはとうてい参りませんけれども考え方といたしましては、相続の場合において次三男に農地を渡さなければならない、その場合に農地を渡したのでは自作農として経営が成り立たない、そこで次三男に対しては相続者から金を渡すことによつて、その均分相続の実をあげる、その相続者が他の相続者に渡すべき金をただいまの八億五千万円の資金でやはり貸して行く、こういうのでございます。
  72. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 ただいまの局長のお答えでは、そういう制度もあるし、考え方もあるというだけで、また若干の制度によつてそういうものに対する救済の措置があるというだけであつて、現実にはほとんどそれは実現されていないのです。また需要を満していないのです。これもまた政府が農地金融担保の制度をお考えになつ理由一つであろうと思いますが、そこで私政務次官に——これは大臣に伺うベきことかもしれませんが、均分相続の制度に対する特例法でもお考えにならないと、ますます零細になつてしまうのですが、今日適性規模農業経営なんという言葉が地を払つてなくなつてしまいましたが、こういうことでは、この非常に困難な経済社会の中にあつて弾力性を持たない農民というものは、これで恐慌でも来たら、一たまりもなく崩壊してしまうのじやないかと私は思うのでございますが、こういう根本的な農政の重大問題について、一体何かお考えになつたことがございますか。それともお考えになつたことがないならば、今後どういうようにしようとお考えになつておりますか。
  73. 平野三郎

    ○平野政府委員 新しい民法の均分相続の定めによりまして、日本の農地がさらに零細化されて、遂に農業経営が成り立たなくなる、これに対して何らかの手を打たなければならぬということにつきましては、まつたく同感でございます。政府といたしましても、たしか以前この民法の均分相続に関して、農地に関しての特例の法律案提出したことがあると存じます。私がこの本委員会委員でありました当時も——数年前になると思いますが、たしか衆議院を通過いたしまして、参議院において審議未了となつて今日に至つておるのであろう、かように記憶いたしておりまするが、その後政府としては、どうしてもこれを何とかしなければならぬと考えておりまするけれども、いろいろあの法律が憲法違反の疑いがあるというような議論が一方において起つたりいたしまして、まだ研究の段階にあるということでございます。従つて今のところでは、この問題はまつたく空白の状態でありまするから、理論的に申しますれば、非常におかしいことになるわけで、しかしながら実際においては、日本の多年の風習によつて、やはり長男が農地を相続する、こういうことで実際にはそれほど支障を生じておりませんが、次三男がその権利を主張して法律上の問題になるという場合においては、お話のようなことになるわけで、何とかしなければならぬものであると思つておりまするが、そういういわゆる憲法論議がございまして、まだ結論に達しないわけでございます。従つて政府としてはとりあえず、農地を分割するというようなことはとうていできないことでありますので、いわゆる次三男の対策ということに主眼を置いて、別の方面でこの問題の解決をはかつて行くということで、次三男対策として開拓の推進であるとかあるいは移民の奨励であるとかいうようなことをやつておるわけでございます。
  74. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 ただいまの吉川委員の均分相続の問題は非常に大きな問題で、これはむしろ大臣に出席してもらつて、平野さんでもけつこうですけれども、この問題は農林省としてもひとつお考えにならなければならぬと思うのです。今お話のように憲法にひつかかるのです。農林省ではかつて二回これに対する特例を出したのですが、今あなたの言われたように、これは参議院で握りつぶしにされた、そこで最近の農家の状態を調べてみますると、均分相続が二十七年度で約一〇%くらいあるわけです。そして零細化の方に落ちて来た。だから専業農家が大分少くなつて来た、全体では六百万農家のうちに、転落農家が多くなつて専業農家が少くなつた。これはもちろん農地の零細化というので、生産意欲に非常に大きな影響があることは私が言うまでもないことでありますから、この均分相続に対する問題はやはり次三男の解決です。この次三男の解決と均分相続ということは切り離すことができない問題であつて、農政問題としては非常に大きな問題です。そこでこれは農林省としても、ひとつ特にこの点についてはお考えおき願わなくちやならぬと思うのであつて、昨年及び今年にはこれに対して何も手を打てなかつた、六年か五年には手を打たれたのですができなかつた、これは私はいかぬと思います。今吉川君の御質問は、今後の農政問題については非常に重大だと思いますから、平野さん、特にこれはひとつ保利さんと相談をして、この問題は手を打たないと農地が零細化になつて来て、そして生産意欲を低下してしまう、転落農家ができてしまうという現状ですから、これは特に吉川委員のお話のように、多年私も憂えておつた問題ですから、お考えを願つて早急な手を打つことを政府に申し上げておきたいと思います。
  75. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 ただいま平野政務次官は、かつて農業資産相続特例法を出したが参議院で流れてしまつて、その後いろいろ検討しているがなかなか結論が出ない、そこでただいまのところ政府は次三男対策や開拓、干拓等に力を入れている、こういうお話でございました。実は次三男対策としての海外移民等の問題については、これはもうお話にならない、何か最近外務省で、大分外交の方面に自分たちの仕事が狭められたので、国内に入り込んで来てやろうというので、農林省の所管へ大分食い込んで来ている。これは政府全体としてみれば、やつているがごとく見えるけれども農林政務次官としての平野次官のお答えとしては、これはあまり適当でないのでございます。だからこの移民の問題、次三男対策については、私は別にあらためて申し上げたいと思いますが、開拓、開墾等についての二十九年度政府原案を見ますると、去年より予算を減らすというようなわけで、ちつとも対策に熱意がないのです。そこでわれわれがせんだつてこれを修正をしたのですけれども、それもいろいろな関係で十分な措置がとられていないのです。社会党の諸君の反対されるのも無理がないくらいです。これは私ども、今後政府にもつと責任をもつて積極的な御配慮くださることをお願いしたいと思つておるのであります。特にこの均分相続の問題が簡単に行かないとするならばなおさらのこと、私は農地に対する特別の金融制度を設けなければならないということを痛感をいたしております。  次に、農地の所有権を取得するために必要な資金はどこから得られるのか。たとえば今まで耕作をしていた人が死に絶えてしまつたとか、あるいは何らかの事情によつて、零細な農家が適正規模の農業経営をやろうということで、これを手に入れようとする場合に資金がない。ことに零細農家のごときはほとんど資金がないわけですが、そういう場合の資金は一体どういう機関でやるのか、あるいはどういう措置が講ぜられるようになつておりますか、その点を伺いたい。
  76. 平川守

    ○平川政府委員 農地取得のための資金は、もちろん自作農創設の本来の使命のためのものでございますし、この特別会計において貸し付けることにいたしております。
  77. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 局長のお答えによりますと、いよいよもつて、八億五千万円ばかりの金では、これは天井から目薬というよりは、飛行機から小便をたれたようなものです。途中で霧になつて、これをほんとうに求めている農民のところにはほとんどまわつて来ない。こういうことで、一体あなたは日本の自作農を維持育成するなんていうことができるとお考えになるのですか。あなたは局長として自信がおありになるかどうか、この点をお聞きしたい。  私はアメリカの日本に対する占領政策の中にも見るべきものがあつたと思います。また事実あつた。しかし大方は日本の国情に適さないものが非常に多いのです。平川局長も御存じのように、われわれが満州国へ行つて、島国根性の神経質な主観をもつて、あの大陸の連中にいろいろ施策を押しつけてあまり成功しなかつた。顧みて恥ずるのでありますが、アメリカのあの大陸の連中が、大きな気分で、自己の主観をこの島国の日本の国民に押しつけている。こういうことなのです。それは成功するはずがないのですよ。だからまずいことが非常に多いと思う。しかし中には見るべきものもあつた。その一つとして、私は農民に何でもかでも補助政策をとつて来たところの日本の従来の行き方——この行き方をとる限りは、いつまでも他力本願、お役人様にいつも頭を下げていなければならない。そこにいつまでたつても封建制が農村から払拭されない原因がある。そこで金融制度によつて農民をひとつ自立更生させよう、こういう見方は私は非常にいい見方ではなかつたかと思うのであります。しかしながら、アメリカあたりと違いまして、日本はきわめて零細な農業経営でありますから、ただ自力だけでは立ち上れないのです。ある程度の保護政策をもつて臨まなければ、日本の農民は立ち上れない。そこでどうしても普通の金融機関ではだめなんです。私は農林省で初め考えておられましたところの農地担保金融制度というものが、かつての農工銀行や勧業銀行のようなものでないことはよくわかつております。またそうでなくてはならないのでございますが、とにかくできるだけ長期にして低利——これはアメリカでさえも前例がございますので、私はそういう一つ金融制度をつくつて、国にのみ担保を入れる。それが払えなくなつて担保流れになつた場合には、国ができるだけの営農の指導をいたしまして、三十年くらいの長期の年賦償還にしておけば、そのうちに子供が大きくなつたり、いろいろの条件が具備されて、これを買いもどすことができるようになる。国がこの担保流れになつた土地をよそへ売れば、農地改革の逆転になるでありましよう。あるいは足鹿さんの言われるような逆コースになるのでありましよう。あくまでも政府は担保を供したところの農民以外には、担保流れになつた土地をよそには売らないで、そうして買いもどしができるときにその農民に買いもどさせるようなことにすれば、永久に自作農を維持育成することができると思うのであります。そういうような金融機関を早急に設けなければならないということを、私は痛感しておるのでございますが、農林省は依然としてまだ検討をしておるという程度なのでございますか。早急にやらなければならないということを痛感せられておると思いますが、それではいつまでにどうしようという具体的な考え方を、この際承つておきたいと思います。
  78. 平川守

    ○平川政府委員 八億五千万円程度では、先ほど来のいろいろな目的を満たすに足りないことは十分痛感しておるわけでありまして、従つて大蔵省との間におきましてもいろいろ折衝があつたわけであります。われわれとしては、それらを相当しぼりましても、少くとも三十億くらいはどうしてもいるというぐあいに考えておるわけであります。  なおお話のような意味においての農地担保金融、すなわちできるだけ自作農を維持して行き、担保に提供されましても、なるべくその農地がほんとうに耕作の面において離れるようなことのないような農地担保金融が考えられますれば、自作農維持の上に非常に有効であると考えておるのであります。しかし先ほども申し上げましたように、大蔵省の方でもいろいろ問題を持つております。また足鹿委員の言われるような考え方としての問題もあるわけであります。本年度は遺憾ながら簡単に結論を出すことができませんでしたが、できるだけすみやかにこれを拡大強化する制度を実現したいということは、十分考えておるわけであります。いつというところまでは、今期限を切つて申し上げかねますけれども、できるだけすみやかに実現したいということで、検討もし努力もいたしておるということだけは御了承を願います。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 平野次官にお伺いしますが、食糧増産と農村金融との関連の上に立つて、今年の公庫の新規予算は非常に寡少であります。去年よりも約四十億も少い。一方においては、土地改良等の関係の補助金が積極的に削減されておるというような関連の上に立つて、食糧増産がどのようなコースで可能な道をたどることができるかということに対しては、相当なお考えがあると思いますが、この資金構成の上に立つての見通しをひとつお伺いしたいのであります。
  80. 平野三郎

    ○平野政府委員 御承知の通り政府といたしましては、食糧増産の五箇年計画を立てまして、本年は第二年目になるわけでありますが、その計画によりますれば、土地改良関係の本年度予算におきましても少くとも六百億程度いる、こういう見解を持つておつたのであります。しかしながら本年の一兆円という緊縮予算の建前から、これが圧縮せられざるを得ないということになりまして、この予算措置をもつていたしますならば、本年度は百四十万石程度の増産しかできない、こういうような数字になるわけでありまして、この点遺憾に存じておるわけでございますが、もちろん食糧増産は、単に予算のみによつて解決するものではなく、食糧増産意欲によつて非常に違いまするし、また天候その他各種条件によつてつて来るわけでございますから、この限られた予算範囲内におきまして、政府としては最善の努力を尽して、食糧自給度向上の目的の方向に一歩でも近づきたい、こういうふうに思つて進んでおるわけであります。詳細なる数字につきましては、事務当局からお答えいたします。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに私のお伺いしたいのは、政府の一兆円予算一つのねらいでありますが、もちろんこれは通貨の安定、金融引締め等がその使命をになつておるわけであります。そういう今の段階において、農村関係金融をはたして引締めなければならぬかどうかという必然性に対しては、どのような御所見でございますか。
  82. 平野三郎

    ○平野政府委員 それは金融政策全般にも関連する問題でもありますが、私どもとしては、この農林漁業の金融政策を推進いたしたいということで、全般の金融の中にあつて最大限度この点の確保に努めた、こういうことでございまして、できるだけ努力を進める、こうお答え申し上げるよりぜひがない問題であると思います。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は平野さんの個人的な努力に対しては云々するものではありませんけれども、とにかく昨年に比べて公庫資金構成が八五%程度であるということは、何としても非常に遺憾なことであると考えるのであります。しかも三党協定による修正案の場合においては、九十億のうち四十億というものは、中小企業関係公庫の出資増になつて現われて来ておるわけであります。そういう場合において農村関係の国の金融面に対する出資がまつたくふえておらぬということは、次官も先ほど遺憾の限りだということを言われましたけれども、これは非常にびつこであるといわなければならぬのであります。そうして土地改良等の面に対しては、十数億の増額が行われましたけれども、この場合に考えなければならぬことは、土地改良資金を流す場合における一つの貸出しの算定でありますが、反当の所要経費のうち、補助金等を差引いた残額に約八割以内の融資を行つておるということになるわけであります。本年度の場合においては、土地改良事業の補助率が非常に減額されておると思う。たとえば主たる対象になる客土の場合であるとか、暗渠排水の場合等においても、馬搬客土のごときは、平川局長も御承知の通り、わずかに一割六分程度の補助率になつておるわけであります。そういたしますと、土地改良の面においても融資わくが昨年よりも六億五千万も減つておる。そうして事業に要する所要資金というものは減らない上に、補助金が非常に少くなつておるということになると、この土地改良資金に対する資金需要というものは、ますます高まつて来るわけでありますが、そういう場合において、この土地改良資金等の配分をどのような技術的な操作によつて行うお考えであるか。  もう一つは、修正によつて増額された土地改良事業費というものは、補助率を以前のように復元するような形の中で、これを使つて行く考えであるか。あるいは土地改良事業わくだけを架空に広げるというだけの考え方で、この増額された修正部分を処理することになるか、この点に対してもあわせてて御説明を願いたいのであります。
  84. 平野三郎

    ○平野政府委員 今回の予算の増額修正のことは、政府としてはもちろん関知しないわけであります。しかしながらせつかくそういうふうに御修正になりましたならば、できるだけこれが有効なる活用をいたしたい、こういう観点から、特に政府として三党に申入れをいたしまして、この内容についてもいろいろ御協議いただいたようなわけでございます。その際補助率の問題につきましては、先ほど芳賀委員から非常に少かつたというお話がございましたけれども、これはまだ結論に達しておらぬのでございまして、私どもとしては、大体従来の線は堅持し得るものと確信をいたしておるわけでございます。特に今回の予算の修正にあたりましては、単に予算の増額をするばかりでなしに、今お話のような補助率の点についても、できるだけ退歩することのないように希望する旨を申し上げまして、三党からも特に政府に対してそういう申入れを実はいただいたようなわけでございます。従つて補助率の点につきましては、でき得る限り後退したという印象を持たないようにやつて行きたい。もちろんこの中には、大蔵省の原案におきましても、補助率の上つておる部分もあるわけでございまして、いろいろ合理的に改善をするということで、多少変更をすることはございましようけれども、今申し上げましたように、これが退歩することはないという線は固く守りたい、こういうことで進んでおるわけで、まだ決定をいたしておりませんけれども、この点は御了承をいただきたいと思います。  なお予算修正に伴いますところの資金の需要につきましては、先ほど申し上げましたように、当然農林漁業金融公庫の出資を増額することが必要になるというふうに政府としては考えておるわけでありますが、この点が実現されなかつたのは遺憾に思うわけであります。しかしながら、そういうふうになりました以上は、何としても補助を除きました自己負担分についても、できるだけ融資の道を考えて行くことが望ましいわけでございます。ただいまのところでは、農林中央金庫の資金の運用等を通じまして、これの円滑を期して行くように努力をいたしておるわけであります。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま土地改良事業の補助率を以前の線に確保するというような御発言がありましたが、これは具体的に必ずそういうことが期待できるということを、いま一度確認しておきたいと思いますので、その点に対して再度お答えを願いたいのであります。
  86. 平川守

    ○平川政府委員 これは主として小規模土地改良の問題だと思いますが、大蔵省の考え方は御承知と思いますけれども、現金支出を必要とする部門についてだけを補助の対象とする、そのかわり補助率を五割に引上げるというような考え方であります。従つてこれを適用いたしますと、客土等においては減つて参るものもあり、また農道等についてはふえて参るということになるわけであります。しかしわれわれといたしましては、そういう考え方自体に相当疑問を持つております。特に実質的に補助率が引下げになるようなことについては困るということを強く主張いたしておりまして、大蔵省の原案に対して、大体従来の線を維持するという点について今折衝いたしております。党の方の折衝でも、大体大蔵省としても現在よりそう下げることを考えておるわけではないということがだんだん明らかになつておりますので、まだ最後的決定をいたしておりませんから、こういうことにきまりましたというわけに参らないのでありますけれども、大体において従来の線をそう下ることはないと申し上げてよろしいと思います。
  87. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 先ほどの金融のことでございますが、問題の要点は、昭和二十八年六月及び七月の水害による被害農林漁業者に対する資金の融通に関する特別措置法の第三条第十三号の問題でございます。この点は御承知のごとく農林大臣の指定する農業共済組合連合会としての指定を受けるという問題でございますが、この問題につきまして御承知のごとく全国各都道府県農業共済組合連合会は農業災害補償法の規定に基きまして建物共済事業実施しておるわけであります。昨年の六月、七月の豪雨または台風によつて受けました農家の建物が滅失、倒壊または埋没しまして多数の被害農家を出したわけでございまして、これらの被害建物に対して支払う保険金の支払い財源に窮しました結果、建物共済に関する措置要綱の規定は、運用委員会の議決によつて、各府県は起債の金額を金融機関から借入れして被害農家に支払つておるのは御承知の通りでありまするが、この借入れ金額に対しては、今申しました措置法の第三条第十三号、第十四号の規定によつて、それぞれ利子の補給また損失補償を受けるというような、農林省は全国農業共済組合連合会が中心となつて大蔵省と折衝を重ね、これと並行して関係府県の農業共済組合連合会も今日まで運動を展開しておるわけでございまするが、その結果を聞きますると、二、三の府県は不足額が一千万円以下だというので、農林大臣の指定を見ておらないのでございます。具体的に申し上げますと、佐賀県とか愛知県あるいは大分県のごときは、一千万円以下ということで差別待遇を受けておりまして、従つていまだ指定を受けておりません。この件につきましては、大阪で農林省の主催のもとにいろいろ会議もありましたが、大蔵省との折衝で非常に難局に陥つておるということを聞きます。私の思うのに、金額の多少によつて指定に差をつけるということは、制度の目的上はなはだ不合理ではないかと思いますが、この点について農林御当局はいかなるお考えをお持ちでございましようか、御意見を承つてみたいと思うのでございます。同時に、こういう金額の差によりまして指定に差をつけるということは、農業共済の建前上非常に困つた問題が惹起されるのでありまして、この点につきまして特に私は善処方をお願いするものであります。この点の御答弁を承りまして、私の関連質問を終ることといたします。
  88. 小倉武一

    小倉政府委員 農業共済組合の建物共済につきまして、先般の六、七月の水害における共済金の支払いに必要な資金の融通、これに伴います利子補給、損失補償の問題でありますが、これはお尋ねのように、あの法律の損失補償の対象から漏れておる農家がございます。これは制度の趣旨といたしましては、できるだけ広汎にやるということがもちろん一番望ましいわけでございますが、水害といつたようなことは毎年起り得ることでございますので、ある程度自前でもつて当然やり得るといつた線もあり得るのでありまして、そういう一応の線といたしまして一千万ということで引きまして、それ以上につきまして法律の利子補給、損失補償の対象にする。それ以外は連合会独自でやつていただくということに話がきまりましたので、さようなことでやつておるわけであります。お話の通り一千万円以下のものにつきましても、できれば私どもとして対象にいたしたいのでありますが、大蔵省とも話合いの上でそこら辺で筋を引いた、こういうことに相なつたのであります。
  89. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これは希望としてお願い申し上げまするが、一千万円で切つたことと府県の財政力とはまつたく別個の問題でありまして、金額の多寡ということは府県の財政力、地方実情相当考慮していただかなければならぬ。各府県によつて財政力の事情が違いますから、この点はとつくり御批判の上御善処願いたいと思います。
  90. 井出一太郎

    井出委員長 委員外でありますが井手以誠君より発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 井出一太郎

    井出委員長 それでは井手以誠君
  92. 井手以誠

    井手以誠君 先刻政務次官から、農林金融の利子は安い方がよいという御答弁がありましたが、それに関連してお尋ねいたしたい。農林漁業金融公庫に関する説明によりますと、二十八年度よりも二十九年度貸付条件は悪くなつておるようであります。二十八年度は利率は最低四分から七分五厘、二十九年度は八分になつておるようでございますが、この点をまず局長にお尋ねいたしたい。
  93. 小倉武一

    小倉政府委員 今の数字は、私にはちよつと不審でございまして、そういうことはないと思います。
  94. 井手以誠

    井手以誠君 この大蔵省の説明書にはつきり書いてあります。
  95. 小倉武一

    小倉政府委員 それは公庫法の法律の規定でありまして、それ以下ということになつておりまして、運用は二十八年度と二十九年度とかえるつもりはございません。
  96. 井手以誠

    井手以誠君 それでは二十八年度はどんなふうになつておりますか。
  97. 松岡亮

    ○松岡説明員 農林漁業金融公庫貸付利子は、二十八年度は、ただいまお話のありましたように、最低四分から七分五厘までございます。二十九年度につきましては、ただいま検討中でございますが、大体原則としてかえないで行きたいという方向で研究いたしております。
  98. 井手以誠

    井手以誠君 農林省としてはかえない方針であるということについてはわかりましたけれども、大蔵省の方では、最高八分というふうに引上げておりますが、この点はつきりしておいてもらいたい。今の政治の実態が大蔵フアツシヨと申しますか、大蔵省の発言権が非常に強いという意味から、この点特に念を押しておきたいと思います。
  99. 松岡亮

    ○松岡説明員 大蔵省の方で八分というのは、おそらく予算の付属資料でごさいましようが、出しておりますのは、農林漁業金融公庫法の別表に、農林漁業金融公庫が貸し付ける場合の利率の最高限度を定めております。それが業種別にございますが、その中に製塩施設の改良造成あるいは共同利用施設の改良造成とかいつたものにつきましては、限度が八分になつておりますので、それを掲げて書いておるかと存じます。
  100. 井手以誠

    井手以誠君 それでは二十八年度と同様に二十九年度も運用なさることに間違いないか、念を押しておきます。
  101. 小倉武一

    小倉政府委員 趣旨といたしましては、当然そういうことで運用して参りたいと思います。
  102. 井手以誠

    井手以誠君 なお貸付条件におきまして、すえ置き期間が二十八年度は一年から五年になつておりますが、二十九年度は一年だけになつております。この点はいかがですか。
  103. 小倉武一

    小倉政府委員 すえ置き期間等につきましても、そういう貸付条件につきましても、趣旨として二十八年度よりも二十九年度を酷にするという方針は持つておりません。趣旨としては同じようなつもりでおります。
  104. 井手以誠

    井手以誠君 そこで次官にお尋ねいたします。先刻芳賀委員からもちよつと触れられましたが、本年度農林金融が昨年以上に重要性を増しておるにもかかわらず、金額が減り、しかも政府出資が減つて資金運用部からの借入れがふえておるのであります。利子がつく資金運用部の金を昨年の倍額くらいに借入れるということになつて参りますと、貸付の方に圧迫が来るのではないかという懸念を持つておるのであります。そういう意味から、私はただいままでその前提としてお尋ねいたしたわけであります。資金運用部の貸出しが六分五厘であれば、その差額はわずかに一分くらいしかない。これでおつしやる通りに昨年同様の運用が間違いなくできるものか、その点念を押しておきたいと思います。
  105. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話の通り農林金融につきましては、貸付条件を今後酷にするというような考えは毛頭持つておらぬわけでありまして、むしろこれをさらに緩和して進むようにいたしたい、こう思つておるわけでございます。ただいまお尋ねの、本年は資金運用部資金を増額するので経営が困難になる、金利引上げはやむを得ないじやないか、こういうことでありまするが、昨年度はいろいろな事情によつて、特に一般会計の分が多かつたわけでございますので、本年資金運用部資金を増額いたしましても、これによつて経営が困難となつて条件を変更する必要があるということはないと存じます。この経営内容の詳細につきましては、御必要がございますれば事務当局から詳しく申し上げることにいたします。
  106. 井手以誠

    井手以誠君 それでは資金運用部からの借入れがふえても、この貸付条件にはいかなる場合にも影響ないということに確認してよろしゆうございますか。
  107. 小倉武一

    小倉政府委員 お尋ねの御趣旨は、二十九年度予算に関連してでございますればお尋ねの通りであります。それによりまして貸付利子を酷にするということはございません。ただ今後も資金運用部からの借入れの方がずつと多いという状態が続きますと、これは重大な影響があるのでありまして、二十九年度の段階におきましては、これまでの平均利子といつたものから見ましても、利子を特別上げるということはなくて処置ができるというふうに確信いたしております。
  108. 井手以誠

    井手以誠君 ただいまの御答弁によりますと、二十九年度の分だけではただちに影響はないけれども、こういう傾向が続くと経営が圧迫されて、金利に影響して来るという御答弁でございましたが、それでは昨年よりも資金運用部の借入金を増額して行くという方針は、政務次官がおつしやつたように金利引下げようという方針とは矛盾するのじやございませんか。
  109. 平野三郎

    ○平野政府委員 将来そういう必要が生じました場合におきましては、一般会計から補給をするということも考えられますし、いずれにいたしましてもこの農林金融貸付条件を酷にするということは考えておらぬわけでありまして、将来資金運用部資金がさらに一層増加して経営が困難になるという場合におきましては、一般会計の補給その他によつて維持して行きたい、かように考えております。
  110. 井手以誠

    井手以誠君 そこで次官にお尋ねいたしますが、原始産業に対する金利がきわめて低位でなければならないことは申すまでもございませんが、ただいまの農村金融金利が非常にまちまちのようでございます。そこでこの農村金融に対する金利方針を、ある程度一本化しなければならないのではないかという考えを持つておりますが、次官はこの点についてどういうお考えを持つておられるか。さらにまたその金利は、高くともどのくらいが今の農村の経済状態から妥当であるか、その点の御見解を承つておきたいと思います。
  111. 平野三郎

    ○平野政府委員 この農林漁業金融公庫貸付条件につきましては、法律上ではつきり定まつておるわけでございまして、国会におきまして御審議を願いました結果、それぞれ各種目について別表によつてお定めいただいた、それによつてつておるわけでございますが、やはり全般として農林金融条件を緩和することは必要でございますが、その中でもいろいろと段階があるわけであり、ことに長、中期のもの、あるいは、短期のものもございますから、それらについてそれぞれ区別を設けることは当然ではないか。たとえば造林のような非常に長期にわたるものにつきましては、やはり金利引下げる必要がある、あるいはまた農林金融の中でも相当近代工業化し得るものもあるのでありまして、相当条件を上げても十分まかなえるというものもございますし、短期のものもございますから、そういうものについてはそれぞれ差別をつけることが適当であると思つております。いずれにいたしましても現在のところでは法律に定められたる通りつておるわけであります。
  112. 井手以誠

    井手以誠君 なるほど私ども審議をして法律をつくりました。しかし私がお尋ねいたしたいと思いますることは、ただいま農村金融としては、農林中金の貸付あるいは農手あるいはただいまの農林漁業金融公庫いろいろありまして、長期、中期、短期の差別はあるにいたしましても、同じ農家に貸しつける場合に、非常に金利にむだがあつてはおもしろくないと考えるのであります。そういう意味で、次官はどういうお考えをお持ちになつておるか。一本化が必要というお考えであるか、ばらばらがいいというお考えであるか、そのお考えを私は承つておるのであります。それと同時に、現在の農業経営の状態でどのくらいが妥当であるか、高くてもどのくらいでなければならないかという考えを承つておりますので、重ねてお尋ねいたします。
  113. 平野三郎

    ○平野政府委員 金融政策といたしましては、金利がやはり一本化であるということが、原則としてはその通りであると存じまするが、金融の中でも特に農林金融のごとき一般金融べースに乗らないようなものは、やはり特別の待遇をする、こういうことで特別の法律によつてこの農林漁業金融公庫もできておるようなわけであります。そういう趣旨から言いますならば、同じ農林金融の中でもそれぞれ軽重があるということで、その間特に長期にわたるもの、あるいは非常に金融対象になりにくいようなものにつきまして、そういうものは政府が出資してやるわけでありますから、こういうものについてはやはり差別を設けるのが妥当ではないかと私は考えております。なお現在農林金融としてどのくらいの金利が妥当であるかということにつきましては、これは非常にむずかしい問題であると存じますが、さらにこれは御意見に基きまして慎重検討いたしたいと存じます。
  114. 井手以誠

    井手以誠君 農林金融については、その重要性を私がいまさら申し上げるまでもないと思います。すでに農林省としては確固たる考えがなくてはならぬ。今から研究しようということは私に解しかねるのであります。まだそういうお考はないのでございますか。実際私は心もとない気がいたします。それと、私がお尋ねしておるのは、長期とか短期とかいうものではなくて、いろいろな方面に貸し出される金利は統一する必要がありはしないかということを質問しておるわけであります。長期、中期、短期の種別によつてお尋ねしておるわけではないのでありますが、ここではもうお尋ねいたしません。ただ金利がどれくらいが妥当であるかということをいま少し詳しくお尋ねしておきたいと思います。少くとも私どもは、農手の金利が最高のところではないか、従つて農林漁業金融公庫の利率ももつと引下げるべきであるという考えを持つておるのであります。その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  115. 平野三郎

    ○平野政府委員 農林金融に限らず、金融全体にわたりまして金利引下げを行う必要があるということを私は感じております。特に農林金融につきましては、どれがどれという個々のことは別といたしまして、全般的に引下げが必要であるというように考えておるわけで、従つて、先ほども足鹿委員の御質問に対しましてお答え申し上げましたように、それにはやはりコスト引下げが必要でありまするし、また貸付簡易化ということが必要でありますために、本年度から特に公庫事業を各地方信連委託をして行こうという道を開く等、いろいろな方法によりまして全般的に金利引下げるということに努力をいたしておる次第でございます     —————————————
  116. 井出一太郎

    井出委員長 この際連合審査会開会申入れの件についてお諮りいたします。目下補助金等の臨時特例等に関する法律案が特別委員会において、また商品取引所法の一部を改正する法律案が通商産業委員会において、それぞれ審査中であります。御承知の通り補助金等の特別法案は、農政上最も慎重なる検討を要する農業補助金の引下げ問題を含んでおりますし、また商品取引所法の改正案は、取引所の設立について、従来の自由設立の建前を主務大臣の許可制に改め、また定款の変更及び業務規定のうち重要事項の変更についても、現行の単なる届出で足りるのを主務大臣の認可制に改め、また商品取引所の運営合理化をはかるために必要な制度の改善を行わんとするものであります。商品取引所は乾繭、生糸等の農業に関する生産物の先物取引をも行うものでありまして、この農林員会といたしましても重要な関心を有するところであります。つきましてはこれらの両案につきまして、両委員会に対しそれぞれ連合審査会の開会を求めたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお連合審査会の開会日時等につきましては、関係委員長と協議の上、追つて公報をもつてお知らせいたします。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま御決定に付随して、前十七臨時国会において救農対策の一環として、たとえば農業共済金に対する免税の特例であるとか、あるいは地方起債に対する特例の問題であるとか、当農林委員会が主体になつて議員提出の立法を七つ出しております。それが現在までまだ継続審議の形をたどつておるわけでありますが、特に税関係の共済金に対する免税の問題等は、もうすでに税の申告期限が切れるような時期に立至つておるので、特にこの問題等に対しましては大蔵委員会に連合審査の申入れをされまして、これを促進されんことを希望するものであります。
  119. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの芳賀委員の発言につきましては、委員長において後ほど理事各位ともお諮りをした上善処いたします。  暫時休憩いたします。     午後一時五十三分休憩      ————◇—————     午後三時三十八分開議
  120. 吉川久衛

    ○吉川委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  砂糖の問題について前会に引続き調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は砂糖問題に対して若干の質疑を行いたいと思います。  最近における砂糖の値上りは、一月以降急速に上昇いたしまして、二月には九十五円というような非常なる高騰を見ておるわけであります。この問題に対しましては、前回の農林委員会においても質疑が行われたわけでありますが、何としても当面の問題としては、国民生活にとつて不可欠な砂糖の値上りをどのような手段によつて抑止するかということが、政府としても当面した問題であると思いますが、先般の委員会におきまして平野農林次官からも、この砂糖問題に対する新たなる構想があるように伺つたわけでありますが、まずこの点に対して具体的な内容をお伺いしたいのでございます。
  122. 平野三郎

    ○平野政府委員 砂糖の対策につきましては、先般も本委員会におきまして御説明を申し上げたのでございまするが、ただいまこれが対策につきまして緊急に検討を重ねておる次第でございます。ただいまのところ、まだ政府としての最終的な結論に達しておらないわけでございまして、従つて中間報告と申しますか、そういうこと以外には本日のところでは申し上げかねる状況でございますが、それを申し上げますれば、当面の対策と恒久対策と二つにわけまして、当面の対策としましては、とりあえず台湾、インドネシアよりの早期輸入をはかる、これが第一でございます。第二としては、インドネシア産直消糖が輸入されます場合には、発注限度を設けない需要者の発注証明書付インポーター割当とする、こういう方式をもつてこの取扱いを進めたいと思つております。また第三として、旧年産の台湾糖が輸入されます場合にも、これも発注限度を設けない需要者の発注証明書付インポーター割当をいたしたいと思つておるわけであります。また第四としましては、現在放出中の政府手持ちの甜菜糖につきましては、今申し上げましたような方法に準じまして入札の方法を再検討する、これは御承知の通り第一回の入札におきまして予定に達しなかつたわけでありますが、ただいま再入札の方法を検討して、これを急速に実施をいたしたいということで進んでおるわけでございます。これらが当面の対策でございますが、この問題は、何といたしましても根本的な対策を樹立する必要があるわけでございまして、この点は前回申し上げました通りでございますが、これにつきましては、何としても輸入の増加をはかつて所要量を確保するということが第一でございますが、ただいまこれにつきましては二十九年度の外貨予算の割当を検討中でございまして、これは日本経済全体の立場から定まつて参るわけでございますが、この内容を見なければならないわけで、この内容いかんによりましてそれぞれ対策もかわつて参るというわけでございますから、この外貨の予算の状況を勘案いたしまして、早急に需給並びに価格の安定対策をはかるべく研究を進めておる次第でございます。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀委員 砂糖の値上りの一番大きな原因は、何としても昭和二十九年度の輸入砂糖の需給計画の面において、外貨を節約するというような方針が示されたことが最大の原因になつておるように考えるわけでありますが、昭和二十八年度の需給推算を見ましても、年間百十万トンくらいの砂糖が消費されておるわけでありますが、これらの百十万トン程度の砂糖の消費というものは、耐乏生活の面から見ると、これは消費し過ぎるという考え方でありますか、あるいはこの程度消費することは、耐乏生活のわく内においても必要であるというようなお考えでありますか。
  124. 平野三郎

    ○平野政府委員 どの程度消費量が妥当であるかということは非常にむずかしい問題でございますが、政府としては、極力耐乏生活の立場から消費節約を国民に要望いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  125. 芳賀貢

    ○芳賀委員 耐乏生活を実施するために、砂糖の消費量に今まで以上に規制をするというようなことは当を得ないと思うのであります。たとえば昨年の十二月二十五日の本会議等におきましても、できるだけ外米に依存しないような食生活の改善を行うというような、超党派的な議決も行われたわけでありますが、今の食生活の改善をするという場合においても、何としてもそれに付随して、砂糖の需要等は増加の傾向をたどることは、常識的にも察知できるわけでありますが、これに対して極端に外貨の割当を減額するというようなことは、まつたく見通しのきかぬやり方でないかと思います。しかもわずかの間にまた方針をかえて、輸入量をふやすというような手を打つておられるようでありますが、こういうことは実に政策の貧困によるものと思います。ここでお伺いしたい点は、政府当局は砂糖というものをどのように解釈しておるか。たとえば食生活に不可欠な食糧の一つの範疇としてこれを考えるか、あるいはそれと切離して、これはあつてもなくてもいいようなものであるというようなお考えで処理されるつもりか、その点の御見解を伺つておきたいと思います。
  126. 平野三郎

    ○平野政府委員 砂糖というものの国民生活におけるウエイトをどう考えるかというような御質疑でありますが、これにはいろいろの見解があろうかと思います。もちろん砂糖というものは、文明のバロメーターと申しますか、近代の国民生活におきます重要物資でありまして、その点は非常に重要に考えております。ことにただいまも御意見のございました食生活の改善ということが、今日国会の御要望でもあり、政府としてもこの趣旨に沿つて努力をいたしておるわけでありまして、そのためには砂糖の消費が若干増加をすることは当然と考えます。従つて外貨の割当を減らすということは、最近の国際収支の逆調によりまして、日本経済全体の立場からいたさなければならぬことでありまして、その観点から、砂糖についても若干これを減額せざるを得ないということは、やむを得ないことと存じますが、しかしながら砂糖の消費が若干ふえましても、輸入食糧の面から外貨の節約ができるということになりますならば、全体としては非常にけつこうなことでありますので、部分的な点のみをもつて律するわけには参らない、かように考えておるわけであります。ただそういうことはそういうことといたしまして、全般の問題として砂糖の消費ということは、いわゆる耐乏生活の観点から、消費節約を極力実行いたしたい。これはヨーロツパ等の戦勝国におきましても、最近非常に砂糖の節約をいたしておるように聞いておるわけでありますが、今日日本の現状といたしましては、その点においても留意しなければならぬと思つておるわけであります。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま私のお伺いしたのは、砂糖を輸入するという新構想の中には、食管特別会計等を通じてこのことを行うというような意図が、多分にあるというふうに考えておるわけであります。ところが現在政府が承認しておる粗糖の場合は、原料用の生産資材というような名前で輸入の許可をやつておるわけでありますが、これはどういうようなお考えで、判断に苦しむような名目で、砂糖の輸入を行つておるのでありますか、伺いたいと思います。
  128. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいま芳賀委員の御質問でございますが、御承知のように戦前におきましては、台湾から耕地白糖的なものが入つてつておりましたわけであります。戦後になりまして粗糖を輸入することにしておるわけでございますが、これにつきましては、当初におきましては、ある程度の粗糖の直接消費ということもあつたわけでありますが、当時におきましてダニがあるとかあるいはごみがあるとかいろいろ衛生上の問題もありましたし、まただんだん消費実態が精糖の方に向つて参つた、こういう事実もございますので、そういう面からいたしまして、粗糖の輸入につきましては、従来製糖工業に対して割当をいたしておつたわけでございます。われわれといたしましては、その価格の安定がはかれますれば、消費実態に応じましてそれが精糖になり、あるいはまたさらに下級の中ざらになる、こういう形でもつて消費されることが適当であろう、かように考えておるわけでございます。
  129. 芳賀貢

    ○芳賀委員 砂糖の需要は戦前あるいは戦後の統制時代においても、おおむね百万トンくらいの消費が行われておつたわけでありますから、現在の百十万トン程度の需要は、国民生活の水準が上昇したことによつて増大したということまでには行つておらないわけであります。ただ問題は、最近家庭に提供される砂糖の九割以上も精製糖の形で提供されておるというこの事実であります。かつては約六〇%くらい、六十万トン程度は粗糖、ざらめの形でこれが一般家庭に流れて行つたわけでありますが、現在においてはほとんど大部分が精製糖を用いざるを得ないというところまで来ておるわけであります。これは決して消費する家庭において精製糖を要求するからそういう形にしておるのだということにはなつておらないと思いますけれども、その点の御見解はどうでありますか。
  130. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、大体戦前におきましては、砂糖の消費は最高約九十六万トン程度だと思つております。その当時におきましても大体三割から三割五分程度が家庭消費でありまして、あと一般業務用という形になつておつたのであります。統制時代におきましても大体同様の比率をたどつておるのでございます。現在考えましても、大体一般家庭用といたしましては三割から三割五分程度だというふうに考えておるわけでございますが、御指摘の百万トンの消費の問題につきましては、戦前におきましては御承知のように、一般業務用に対する人工甘味料の消費は規制されておりましたし、また現在におきましては、砂糖の代替にされます菓子用等におきます水あめ等の生産も戦前とかわつておるわけであります。その間の需要の変動があろうかと思います。従いまして、そういう代替品との関連性もありますので、なかなか最低需要が幾らあるということはつかみにくい点があろうかと思いますが、昨年度におきます消費実態は、先般資料を差上げましたが、百七万トン程度になろうかと存じます。しかしこれにつきましては消費税等の関係もございまして、ある部分におきましての仮需要もあろうかと思います。実態的に見ますと百万トン程度消費が昨年、一昨年を通じてあるのじやなかろうかというふうに考えておるわけであります。その糖種別の関係につきましては、現在においては大体八割程度が精製糖でございまして、二割程度が粗糖あるいはその他の加工程度の低いもの、こういう形になつておると思います。戦前におきます需要は、これは現在の状態と戦前の生産形態が違つてつておりますので明確にいたしませんが、大体加工をいたしましたものが、中ざらその他を入れますと約八・五割程度のものになつておるのじやないか、かように考えておる次第であります。
  131. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお伺いしている点は、なぜ百十万トンのうち九十万トン以上も精製糖にしなければならぬかということなんです。一般家庭において、たとえばそのざらめを食つたら有害であるかということが問題になる場合もあるかもしれませんが、現在の粗糖の形は、どうしても精製糖にしなければ一般家庭用として用いることができないかどうかという点についてお尋ねします。
  132. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 戦前との比較を申し上げますと、戦前は現在のような粗糖はなかつたのでございまして、消費されておらなかつたのであります。精製度の高い白糖、それから低い中ざら、三盆白、こういうようなものが戦前におきますいわゆる下級糖でございます。ただ現在の粗糖が直接消費ができないかどうかということになりますと、これは食用として消費ができないというものとは考えておりません。ただ御承知の通りに、過去において粗糖を直接消費いたしました場合におきまして、麻袋に入つたままでございますために、ごみがあつたり、あるいは菌がつくというようないろいろの御批判があつたものでございますから、粗糖の配給をその当時やめて精製に切りかえたわけでございます。ただ精白度の問題につきましては、需要の状態に応じまして現在でも精白度の低い中ざら等もつくつておりますので、その間における需要の変化に応じては、だんだんそういう形になつて行くだろうというふうに考えております。
  133. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官のお話によると、現在輸入されておる粗糖は以前よりも精製度が低いということを言われましたけれども、現在外国における粗糖は、ことごとく今輸入されているように精製度が低いものであるということではないと思うのであります。だから輸入してただちにそれを一般家庭あるいは業務用に供給できるような度合いのものを輸入するということがはたして可能であるか、不可能であるかという点であります。
  134. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。これは過去の推移に関連がございますが、いわゆる加工を加えました直消糖の場合におきましては、現在のような状態におきますと輸入可能ではなかろうかということで、実は先ほど申し上げましたようにわれわれといたしましてもインドネシアに直消糖があります場合は、インドネシアからは直消糖の部分を輸入いたしたい、かように考えておるわけであります。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官の御説明によると、必ずしも粗糖を一般家庭に流しても有害であるということではないというような御説明でありますが、そういたしますと問題は、無理に精製糖に直してこれを市場に出さなければならぬ必要は必ずしもないということに帰納して行くわけであります。現在の砂糖の値上りは、何としても輸入の原料糖をことごとくいわゆる原料用生産資材というような名前で入れて、原料用の生産資材であるがゆえに精製糖にしなければならぬというようなところから矛盾が出て来るわけでありますが、これは結局でき得れば低廉なるものを一般国民に提供するというのが、政府の立場から見ても妥当な形と思います。何を苦しんでことごとく精製糖にしなければならぬかという問題になつて来るわけでありますが、これは結局現在砂糖会社が御承知の通り十九あるわけです。これらの会社に対して一応利潤を提供しなければならぬというような不可分の約束のもとに、これはどうしても粗糖を原料糖として入れて、精製工程を一回くぐして処理をしなければならぬという、特別な因果関係等があれば御説明願いたいと思うのであります。
  136. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。われわれといたしまして、製糖会社と因縁関係があるから粗糖を入れておるというふうなことは絶対にございませんから、その点はひとつ御了承願いたいと思うのであります。ただ御承知のように、この粗糖は現物をごらんになつていただくとわかると思いますが、麻袋でそのまま来ております。そこで、その中にはいろいろの夾雑物もございます。また厚生省の検査によりました場合におきましても、何かだにが存在しておつたというふうなケースもあるわけでありますので、そういう面からいたしまして、同時にまた砂糖の価格が安定いたしております場合におきましては、これは需要者といたしましても白糖を好むのは当然でございますので、そういう意味からいたしまして、白糖を供給するという建前にいたしておるわけでございます。ただ現在のように白糖の価格が上ります場合におきましては、先ほど申し上げましたように直消糖を輸入するということによつて、この糖価を押えて行くということも必要であろうということで、現在直消糖を、——これは黄ザラに類するものでございますが、インドネシア等に現物がございますので、そういうものも輸入いたしたいということで交渉いたしておる次第でございます。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 砂糖会社と特別の因果関係がないという場合においては、この問題はどういうふうに解明されますか。たとえば昨年の十二月現在におけるところの十九社の生産能率は、日産六千四百三十トンになつておるわけであります。それが今年に入りまして、三月までの計画によると二千三百七十トンの施設が増強されるというような計画になつておるわけであります。そういたしますと今年の三月末までには日産八千八百トンの能率を上げることができるような状態になるわけであります。それは十二月の操業度におきましても約六〇%、それから三月の新設を行う場合においては五〇%くらいの操業度で、百万トン程度は事足りるということになるわけでありますが、こういうような需給関係の限界が一応あるにもかかわらず、一方においてかかる施設が次々に増強されて行くという陰には、一般国民が見ても、この点に何かの問題があるのではないかということが推測されるわけでありますけれども、この点に対して重ねてお伺いしたいわけであります。
  138. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げますが、ただいまの御指摘のように、現在の設備能力は、原糖の輸入及び現在の日本の経済力のもとにおきます国民消費の需要という面からいたしますと、過剰であるということはわれわれも認めておるわけでございます。(「割当方式が悪いからだ」と呼ぶ者あり)これにつきましては、従来われわれといたしましては、割当方式につきましても能力を四〇%に考えまして、五〇%は実績、平均を一〇%、こういうことでもつて原糖の割当をいたしておるわけでございます。今後の問題といたしましては、これを押えるべく、従来毎年二回能力査定をいたしておつたわけでございますが、本年三月から、三月以降におきまする施設に対しまする能力査定を三分の一に見るというふうなことによつてチツエクいたして参りたい。ただ御承知のように、現在法的な関係におきましては設備の制限等も、直接設備を抑制する方法がございませんので、そういう形においてこれを抑制して参りたいというふうに考えておるわけでございます。さらに根本的に、二十九年度におきまする外貨の状態等とも関連いたしまして、検討いたしたい、かように考えております。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 結局必要以上に施設が増強されるということは、今までの割当方針に対するかかる盲点をついて施設の増強が行われたと思うのであります。一例をあげますと、名古屋精糖という会社があるわけでありますが、この会社は昨年の十二月までは四百十五トンの施設しか持つておらなかつたわけであります。ところがこれは二月すでに千八十五トンの施設を増加して、結局一千五百トンという全国一の施設を持つ強大な会社まで発展いたしておるわけでありますが、こういうことは、今年度に入つて二千三百トンの増設のうち約四割程度を、名古屋精糖一社で施設の増強を行つておるということであります。聞くところによりますと、この名古屋精糖会社には自由党の政調会長の池田勇人氏が、社長かあるいは重要なる重役であるか、それはわかりませんが、入つておる、こういうような事例が明確に出て来ておるわけでありますが、この名古屋精糖のごときは、現在どのような基準によるところの割当を受けておるか、その点をお伺いしたいのと、池田勇人氏はこの会社の何に当るかを、御承知であればお話を願いたいのであります。
  140. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 粗糖の割当につきましては、先ほども申しましたように、実績を五〇%、能力を四〇%、平均を一〇%、こういうウエートに置きまして機械的に算定をいたしておるわけであります。この能力につきましては、毎年四月と九月におきまして民間のエキスパートによる能力査定の委員会がございまして、そのエキスパートによりまして能力の査定をいたしておるわけでございます。ただ名古屋精糖と池田政調会長との関係は、調べてみましたが従来から重役、顧問その他の関連はないようにわれわれは承知いたしております。
  141. 中村時雄

    ○中村(時)委員 ちよつと関連して……。その場合実際に設備能力によつて割当をしておるから、どうしても業者はどんどん設備増強をやつて行きたい、そういう意味において非常に無理をしておる。これはあなたがこの前言つた通りです。そこでその設備資金として政府が今まで貸付を行つておる会社があるかどうか、それが一点。  第二点は、名古屋精糖は政府融資を仰いで、貸付を受けておりますが、一体この金額は幾らか。その二点をお伺いします。
  142. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答えを申し上げます。設備につきましては、政府融資いたしまする場合は、開発銀行あるいは見返り資金からの融資の場合でございますが、これは砂糖会社には一件もございません。ただ御承知のように日本銀行におきまして、機械を輸入いたします場合におきまする外貨の別口貸付制度というものがございます。これは日本銀行におきまして独自にやられておるわけでございますが、これにつきましては、約三社かと私記憶いたしておりますが、三社に対しまして輸入につきましての別口外貨資金が、——これは砂糖のみではございません。いろいろな制度として適用されておりますが、これにたしかあつたように私記憶いたしております。その中には名古屋精糖があつたというふうに記憶いたしております。
  143. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その別口融資の三社の金額と、その貸し付けた理由を伺いたい。
  144. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私たしか三社と記憶しておりましたが、金額等については、資料をもつて別に御説明いたしたいと思います。ただ御承知のように外貨貸しの制度がとられました理由は、企業の合理化のために各産業の合理化に要する機械を外国から輸入する場合に、別口の外貨割当制度がありまして、この運用は全面的に日本銀行が管理いたしているわけでございます。政府は直接的にはタツチしておりません。
  145. 中村時雄

    ○中村(時)委員 政務次官にお尋ねしたい。たとえば外貨割当をしながら——そういうふうに設備が多いにかかわらず設備の向上をやつている。ところが一方においては設備の規模に応じて今度は砂糖の割当をやつている。この大きな矛盾をしながら、片一方では経済の合理化と称している。こういう矛盾をはたしてあなたは平気で政策に打ち出されるのですか。
  146. 平野三郎

    ○平野政府委員 終戦後の日本経済の復興のためには、自由経済を採用することが一つの大きなポイントをなすのでありまして、今日日本の経済が、敗戦国としては非常な復興を見せて来た理由一つには、自由経済の妙味を発揮した点があることも十分御承知の通りであります。しかし自由経済にもおのおの長短があるわけでありまして、行き過ぎの点もこれまたあるわけでありますから、政府としてはこの際ある程度規制を加えたい。こういう観点から、ただいま長官からお答え申し上げましたように、外貨の割当につきましては、設備能力を重点としておりますけれども、これの能力査定につきましては、来年度以降基準を減らしまして、これ以上過剰設備に陥らないような手配を今進めているわけでございます。)中村(時)委員とんでもないへりくつというのですか、ともかく自由経済理論と——いずれ私の時間がこの次に来ますから、そのときに十分あなたと検討をして行きたいと思つていますから、留保します。
  147. 芳賀貢

    ○芳賀委員 結局設備が過剰になつているということは、どういう場合においても、今後の製品のコストを高めることにしかならぬのであります。たとえば百パーセントの操業度をあげる場合と、五〇%の操業しかできない場合においては、遊休施設というものはコストの上に相当大きくかぶさつて来ているのであります。今まで事態を傍観しておいて、特定の会社が大体ここまで来たという場合にまたこれを押えるという考え方は、非常に明朗を欠いた点でないかと思いますが、これに対する反省が行われておれば、次官から聞かせてもらいたいと思います。  それから先ほど長官から、名古屋精糖と池田氏との関係は全然ないと言われましたが、これは一応長官の意向として本日は聞いておく程度にしたいと思います。
  148. 平野三郎

    ○平野政府委員 過剰設備に陥つておりますから、これをある程度抑制するためには、どうしてもある部分の転換とか、操短ということも必要になつて来ると思いますが、そういう点につきましても、政府としては考慮いたしております。具体的にはそれぞれの事務当局の方からお答えを申し上げます。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 既存の会社だけに外貨割当をやるという非常に弊害の多い方式は、今後改めるという御言明があつたのでありますが、今後予想されることは、会社以外の消費団体等で外貨の割当を要求したような場合に、それらに対しても機会均等の立場において処理されるお考えであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  150. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。御承知のように輸入の外貨の方法といたしましては、割当制と自動承認制があるわけでございます。従来はある程度自動承認制をとつていたのでございますが、外貨がきゆうくつになりますと、ある程度需要者割当制が進んで参ることになろうかと思います。この需要者割当制度につきましては、直接製造工場に外貨を割当てる場合と、輸入業者に割当てる場合があるのでございます。先ほど政務次官からも申し上げましたように、インドネシアの直消糖につきましては、輸入業者の割当でございますが、これに対する実需者の発注証明をつけることによりまして、実需者の発注との関連を考慮して参る。そういたしますと、実需者としてこれに参加するチヤンスができて参ると考えているわけでありますが、根本的には来年度の外貨予算の見通しとも関連して、二十九年度以降における措置につきましては目下検討中でございます。
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま実需者団体が間接的に参加できる道を開くというような表明があつたわけでありますが、その場合実需者と称するものは、どの程度のものを予想しておられるか、その点をお伺いします。
  152. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 直消糖の場合におきましては、製糖工業は実需者ではございません。これは粗糖を精製する工場でございますので、実需者の中に入らぬわけでございます。われわれといたしましては、実需者の場合において今後関係省と検討いたさなければなりませんが、私の考えとしては、大体特別法に基く一つの組合のために経済行為を行い得る団体であつて、全国的な規模のものが適当であろうと考えているわけでございます。
  153. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、主として消費組合であるとか購買事業を行う協同組合だとか、そういうものは当然第一順位のような形で資格が出て来ると思いますが、その点は間違いありませんか。
  154. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 たとえば農業協同組合法に基いて事業を行う全国団体でございますとか、あるいは消費組合法でしたか、そういう団体の全国的な組織のものとか、あるいは中小企業協同組合法に基く全国的な団体、こういうものをこの対象として考えていいのではなかろうかと私は現在考えているわけであります。
  155. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、それはいつごろ実施される予定であるか、その具体的な時期を伺いたいと思います。
  156. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これについては、先ほども政務次官から申し上げましたように、インドネシアの直消糖の輸入を交渉しております。これについてそういう方法を採用したいと考えております。四月以降の根本問題につきましては、また別途に考慮をいたしたいと考えます。
  157. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、四月、年度がかわるとこの問題は具体化すると考えてさしつかえありませんか。
  158. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私の申上げ方が悪かつたかと思いますが、われわれとしては、応急措置としてインドネシアの直消糖を至急に交渉しているわけでありまして、できるだけ早く——できれば三月中にも交渉を成立して入れたいと考えているわけであります。ただ二十九年度における外貨事情が確定して参りますと、砂糖の価格なり需給なりの調整については、また別個の見地から検討いたさなければならないと考えている次第でございます。
  159. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だんだん問題がぼやけて来るのでありますが、直消糖による実需者のルートというものは、これは別に何か長官の今までのお話では、外貨のわくが出て来なければ実現できないようなことでありますが、それはまつたく本質的に異つておると思うわけであります。全体の砂糖の需給関係の上に立つた外貨全体のわく内においてそれらの行為が行われるというふうにわれわれは理解したいのですが、その点はどうですか。
  160. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この砂糖の問題につきましては、われわれといたしましては、応急的な措置といたしまして、二十八年度の外貨の範囲内において、現物がありますれば、できるだけ早くこれを入れたいということを応急対策として考えておるわけであります。その応急対策の外貨をインドネシア等から直消糖を入れました場合におきまして、ただいま申し上げたような方法も考慮いたしておるということなんでございます。なお二十九年度全般についての外貨の状態がまだ判明いたしておりませんから、目下この点につきましては、その外貨の見通しの状況によりまして、さらに全般的な検討を加えたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  161. 芳賀貢

    ○芳賀委員 砂糖の価格を引下げるということは、将来における外貨の問題あるいは輸入数量の問題等の見通しが明確になることによつて、この砂糖の価格が安定するということになるわけでありますが、いつまでたつても曖昧模糊としてその見通しがつかないというような、一つのこんとん状態の中に置かれておるような現状がいつまでも続く場合においては、この砂糖の価格の安定というものは絶対に期待することができないと思いますけれども、こういうような簡単直截に行われるような政策さえも至急に行う意欲がないということは、結局不安定な状態の中において、これらの業者の利益を守るというような意図はないとはいわれておるけれども、実質的にはそういう腹構えで意識的にやつておるとしか思われませんが、その点はどうですか。
  162. 平野三郎

    ○平野政府委員 これはまつたく無方針で、場当りでやつておるというわけではないのでありまして、要するに最近の混乱と申しまするか、砂糖の値上りは、最近のいわゆる国際収支の逆調によりまして、外貨の割当等の関係から起つておるわけでございます。従つて政府としては早急にこれが安定をはかりたいということをもつて、ただいま極力検討を重ねておるわけでありまして、本日も二十九年度の外貨予算の割当に対しまするところの閣僚審議会を開いておるわけでございまして、早急にこれが決定を見ると存じます。それが見まするならば、その度合いによりまして対策を立てる、こういうことでやつておるわけでありまして、決して無方針で、ぶらぶらしておるというのではなく、解決に向つて極力進んでおるわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  163. 足鹿覺

    足鹿委員 前谷さん、さつき実需者とか実需者団体というお話がありましたが、実需者ですか実需者団体ですか、どうですか。
  164. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 先ほど申し上げましたのは、これは数量にも限りがあると思いますから、実需者団体といたしまして、全国的な規模を考えることが妥当ではなかろうかというふうに現在考えておるわけであります。
  165. 足鹿覺

    足鹿委員 実需者団体から現在あるいは従来原糖の輸入について公式に、非公式に申請のあつた団体、それをお知らせ願いたいと思います。
  166. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私記憶いたしておりまするのは、全購連からもございました。それからこれは形としてはどういう形になつておりますかしりませんが、労働組合総評議会からも申請がありました。それから菓子の組合連合会、それからパンの連合会、それからつくだ煮でございますとか、その他単位の組合なんかからもあつたと思います。
  167. 足鹿覺

    足鹿委員 具体的に申請があつた団体、申請の月日、申請を拒否された理由、そういつたものを一ついただきたい。私どもあまりこの問題はよくわかりませんが、何か今の政府がおとりになつているやり方を見ると、十九社ですか、それらの独占的な利益を確保する、こういう印象が非常に強いのです。現在はあなた方の政府は自由主義経済なんです。外貨予算に名をかりて、やたらに申請に対して圧迫をするということになるから、疑惑が疑惑を生んで来るのです。前には砂糖関係の課長が自殺をしたというような事件もあつたのであります。それからずつとこれは問題があるのです。ですからこういうことについて、自由経済を主張しておりながら、それをやたらに実需者団体の要求を拒否するということは、通産省との関係においてはいろいろあるでしようが、食糧庁全体としては、何もそんなに遠慮なさる必要はないじやないかというのが常識なんです。そこで今の実需者団体として五つ、六つのものをあげられましたが、先刻言われた実需者団体として全国的な規模を持つものというのは、その申請をしたものの中に全部今あげられたものは該当しますか。
  168. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御承知のように、われわれといたしましては糖価の安定ということが主眼でございましたので、従来白糖の価格が適当な地位に安定いたしております場合には、やはり衛生上の点もございますので、現在の形でやつてつてさしつかえないじやなかろうかというふうに考えておりますが、現在のような糖価の状態におきましては、これは従来の方針を必ずしも固執するものではございませんで、そういう意味におきまして、インドネシア、台湾の旧糖等につきまして早急にできるものにつきまして、需要者の発注証明書つきのインポーター割当をやりたいというふうに考えておるわけであります。ただ御承知のように、これはいろいろの実需者団体からの申請がございますが、これに対します査定と申しますか、全体の外貨のわくが足らないわけでございます。自由にやらすとすればこれはAAのシステム以外に方法はないわけであります。AAのシステムということになりますと、数量の限度に限りがありますから、これは従来からの大きな外貨を使用するものにつきましては、従来からAAシステムということはごく雑品についてやつておるわけであります。大きな外貨を要するものについてのAAシステムというものは大体割当制をとつておりました。その場合におきまする需要の限度を明確につかみ得るものでないと、非常に困難でございますから、そういう意味におきまして、需要者団体の御申請がありましたけれども、各団体からのそれぞれの数量をいかにそのわく内に収めるかということは、これは需要限度は各個人消費でございますから、押えにくいということで、従来はその方式をとらなかつたわけでございます。
  169. 足鹿覺

    足鹿委員 各個人消費量がわからないとおつしやるが、それははつきりわかつた団体はたくさんあるはずです。ただあなた方がそれを御存じないだけのことであつて、それは別な製糖会社から流れて行くものとの事業の競合上から来る問題をむしろ恐れておられる、都合のよいときにはそう言われるし、都合の悪いような場合には別なことを言われる、むしろこの競合によつて値段が下れば私はよいと思う。今実需者団体で全国的な組織というものには、当面の対策としてやるということは一応言明されました。それの今まで申請のあつたものと、その条件について一応資料をいただけますね。
  170. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 今までの申請につきましては資料を差上げます。先ほども芳賀委員に申し上げましたが、この実需者団体といたしましては、われわれとしては現在一つの特別法に基く協同組合——経済行為が行われる団体が適当ではないか、しかも量的にも制限がございますから、全国的な規模を持つたものが適当である、かように考えておる次第であります。
  171. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで最後にお尋ねしておきますが、現在の糖状からして応急措置としてとる。二十九年度については、これはまた別に根本的な対策を考えるという政務次官のお話でありますが、今の応急措置としてとられた対策をもあわせて織り込んで、二十九年度方針を検討して行かれるのですか。それは今の方針だけで応急策としてやるのだ、次はまた次だというようなことになれば、時期的に山ができたりあるいは谷ができたりして、騰落が非常にはげしい。その間に糖業資本は大きなもうけをやる、こういうことになると思うのです。これは自由党の悩みだろうと私は思う。実際今おやりになつていることは、なるほど法には牴触しませんが、いわば独禁法にかかる性格のものです。申請するものはことごとく外貨をもらつておいて、そしてそれに思う存分のことをやらせたら、それは独禁法に抵触する内容のものです。その利益がどこかへまわつて行く。そういうことになるから、あなた方は別に腹は痛いことはないかもしれないが、腹の痛い方もできて来る。また痛くない腹を探られなければならぬというようなことになると思うのです。ですからこういうことについては、あなた方政府としての当然の方針として、適格者にはどんどん認めて行く。それは施設を持つておろうが持つておるまいが、今の実需者団体——やはり消費者保護の見地からものを考えて行けば、間違いがないと思う。そういう点で、現在の実需者団体にある程度のキユーバー糖ならキユーバー糖をやる。しかし、それはあくまでも当面の対策だ、二十九年度はまだ検討中でわからぬとおつしやるが、そういつた施策も二十九年度はあわせて考えられるのかどうか。ただ、今のところだけをお茶を濁してみても、私はしようがないと思う。それで政務次官は、二十九年度方針というものは、そういう意味もあわせ含めてお考えになつておるかどうか。
  172. 平野三郎

    ○平野政府委員 今回政府がとる応急対策を、やはり来る恒久対策にも関連して考えるかどうか、こういうお尋ねと存じますが、応急策はもちろんやるわけであります。しかしながら砂糖の問題については、この際どうしても恒久対策もある程度確立するということが必要であると考えております。ことに外貨の割当につきましては、客観情勢から考えましても、百万ドルを若干下まわるのではないかというふうに考えざるを得ないわけでありますから、そういう点から見て、どうしても対策を恒久的に樹立しなければならぬ、かように考えております。しかしながら、もとよりこの応急対策によりまして相当の効果が期待されるかもわかりません。最近の砂糖の値上りもまた若干低落しておるのでありますが、これらの措置によつてさらに効果が現われるかもわかりませんし、これは結果を見なければはつきりしたことはわかりませんが、こうした結果を見ました場合には、そうしたものが恒久対策の参考にはなるというふうには考えております。
  173. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど私は、現在の砂糖に対する政策に一貫性が欠除しておるということを指摘したのに対し、平野政務次官は、そういうことはない、目には見えないかもしれないけれども、一貫性があるということを言われましたが、たとえば二十九年度の輸入に制限を加えるということ、つまり砂糖に対する外貨を圧縮するということが値上りになつた原因である、それから生糸のリンク制を一時中止して、またそれを一時緩和するということで少し値下りし、また農林当局が何か別途の輸入を行うというようなことで、一つの統制に近いような形が現われるのではないかということでまた砂糖が上つた。とにかくその日その日で政策がいろいろかわることによつて砂糖の価格が変動しておるという事実は、否定されるわけには行かぬと思いますが、当面の問題として、先ほど実需者に対する割当の問題が出ましたけれども一つの方法としては、原料糖の場合においても、実需者団体が委託加工のような形で精製糖にするということも、これも方法としては決して不可能ではないと思うのであります。砂糖のコストの場合は、硫安なんかと違つて、そのコストを正確に把握するということは単純であります。輸入価格が幾らだということがわかるし、精製糖をやる場合においても単純な作業であつて、複雑ではないのであります。一斤十六円もかければそれで生産費は十分償うということを聞いておりますし、先般の農林委員会においても、小倉農業経済局長は、一斤六十二円程度が適正妥当の価格であるということを言明しておるので、それ以上の価格は不当利潤であるということも指摘できるのであります。何としても短期間に砂糖の価格を押えて引下げることを、政府の責任において実際に行わなければならぬと思いますが、決断をもつてそれをやるだけの自信があるかどうか、お伺いしておきます。
  174. 平野三郎

    ○平野政府委員 恒久対策としても実需者団体に対する割当を行つたらどうかというような御意見と思いますが、今問題になつております場合も、実はまだ結論に達しておらぬわけでありまして、先ほど長官から申しましたように、法律に基くところの全国的な団体というような、今のところでは漠たる方針を定めて個々に検討いたしておるわけでございます。先ほど長官のお話の中にはなかつたのですが、たとえば生活協同組合法というものがございますが、こういう法律に基くところの団体なども対象になるのではないかというようなことで、いろいろ研究しておりますが、実需者団体については、実際問題としてなかなかむずかしい問題になるわけでありますので、ただいまのところは、恒久対策として実需者団体をどうするかということにつきましては、ここで明確に申し上げられないのでございますが、しかしながら御意見は十分わかりますので、これを尊重いたし、また私としましても、実需者団体というものを相当考慮の中に入れて行くということが妥当であるというふうに考えておりますので、十分検討いたしたいと思います。
  175. 芳賀貢

    ○芳賀委員 輸入糖の問題は今日は一応保留しておきまして、次に国内糖業の問題に対して若干お伺いしてみますが、政府は甜菜糖の振興法案によつて国内における甜菜糖の増産あるいは価格維持政策を現在とつておるわけでありますが、このように外貨が非常にきゆうくつになり、そして砂糖の値上りがあり、しかも最低限の需要は確保しなければならぬ場合においては、当然国内における糖業政策をいかにするかということも問題になつて来ておるわけでありますが、昭和二十八年度における甜菜糖等に対するところの政府の買上げ数量、その処理状況等に対して、簡単な御説明を願いたい。
  176. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 甜菜糖につきましては、御承知のように甜菜の臨時振興に関します法律によりまして食糧管理特別会計で価格を定めましてこれを買い上げておるわけでございまして、昨年度におきましては約三万七千トンの買上げをいたしております。これは御承知のようにビードの生産価格を取上げまして、それに加工賃を加えた価格で買い上げておるわけでございまして、従来におきましては、その間におきましての市価との差額が食糧特別会計の負担となつておつたわけでありますが、本年度におきまして、現在の糖価の状況からいたしまして、われわれといたしましては、この糖価を下げる一つの方策といたしまして、現在これを入札でもつて売却をいたしておるわけであります。
  177. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに昭和二十九年度の場合、このてん菜生産振興臨時措置法によると、甜菜糖の原料である甜菜の買入れ価格を四月一ぱいに政府は告示しなければならぬということになつておりますが、この原料の基準価格に対しては、現在どのような作業が進行しておるか、その点をお伺いいたします。
  178. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 原料甜菜の価格は、ただいま御指摘のように、四月一ぱいにこれを決定するということになつているわけであります。この甜菜糖の原料価格の決定につきましては、これは芳賀さんも御承知の通り、従来一つの方式ができております。ただその方式に基きまする資料を目下収集中でございます。四月に入りまして資料が収集できましたら、できるだけ早くこの価格を公示いたしたい、かように考えております。
  179. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに参考までにお伺いしておきますが、二十八年度の甜菜糖の買入れ価格は、一斤どのくらいについておるか、その点をお伺いします。
  180. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 二十八年産の甜菜糖価格につきましては、歩どまり等が増加いたしました点と、それから甜菜の収穫等も増加いたしておりますので、前年よりは幾分低目になつておりますが、大体斤当り五十三円二十銭程度と御承知願いたい。
  181. 芳賀貢

    ○芳賀委員 五十三円二十銭と言うが、それは甜菜糖を市場へ出す場合も、そういう価格で出せるのですか。
  182. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。これは御承知のように北海道の工場渡しとしての政府が買い入れておる価格でございます。それに市場に対しましての運賃等の諸掛が、政府コストとして加わるわけであります。
  183. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それらの諸掛とみなすようなコストは、大体どのくらいかかるのですか。
  184. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは輸送の方法によつて非常に違うわけでございますが、現在の政府といたしましては、緊急にこれを消費地に運びたい、こういう形で船輸送その他の方法も講じておるわけでございますが、このコスト政府全体のコストとして、その輸送の関係その他の関係でプールする場合と個々の場合と非常に違つて来ておりますが、この甜菜糖の方式につきましては、われわれといたしましては、現在入札でこれを放出いたしておるわけであります。
  185. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これらのコストに対しては本日正確な御説明が不可能のようでありますので、次の委員会までに資料提出願いたい。
  186. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これはちよつと芳賀さんにお願いいたしたいと思いますが、現在政府は入札をいたしております。それでコスト関係は、実は予定価格と非常に関連がございますから、公式に申し上げることはいかがかと存じますので、その点はひとつさしひかえさせていただきたいと思います。
  187. 吉川久衛

    ○吉川委員長代理 中村時雄君。
  188. 中村時雄

    ○中村(時)委員 政務次官にまずお尋ねいたします。政務次官のおつしやつた事柄について、私は大体具体的に持つて行きたいと思うから、ただ未来法を使つてみたらとか、ただこうしたいとかいうようなことでなくて、的確に答えてもらいたい。ということは、われわれはあげ足をとるとかいうのじやなくて、少しでも糖価の安定ということを考えてお互いに研究して行きたい、何度も言うようですが、こういう観点に立つてこの前からの質問を続行して行きたいと思つております。  その前に事務当局に一言お伺いしたいのは、この前私が質問いたしました、たとえば配給というよりも、卸売業者に対して製糖業者が渡して行つた期間の問題——今まで十五日くらいでやつておつたのを三日くらいで切り上げております問題を、調査するとあなた方おつしやつたが、その調査をやつていらつしやるかどうか。もう一つは、市場においててこ入れをして行つたという現象をとらえて、この実態がどうなつておるか、これは少くとも独禁法にひつかかつて来る問題ですが、この問題をどういうふうにあなた方は調査されておるか。この二点を前もつてお聞きしておきたい。
  189. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの第一点の方を申し上げますが、私この前この席におりませんでしたから、なお念のためにお伺いいたしますが、三日とか十五日というのは製糖業者が商社に対しまする手形決済のサイドの問題かと思いますが、そうでございましようか。
  190. 中村時雄

    ○中村(時)委員 違います。それはこういうことになつておるのです。今まで製糖業者から卸売業者に渡して行く場合、大体十五日ぐらいと見て契約して渡しておつた。ところがだんだんきゆうくつになつて来たものだから、これを三日なら三日に縮小してしまうわけです。縮小いたしますと、次には縮小されたがゆえに、今度は価格操作がすぐできるわけです。そしておいて、次の価格を幾らにきめて行くかということを裏において製糖業者が考えておるわけです。すなわちこれはカルテルの一種なんです。そういう姿が出ておるが、それに対してどういう調査の方針をとつて進めておるかということを聞いたのです。
  191. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。現在われわれは毎月の出荷実績をとつております。毎月の出荷実績をとりますと、一月におきましても大体八万五千トン程度の出荷がございますので、過去の実績と違つておりません。ただただいまの御指摘の月間におきまする卸関係と個々の製糖業者との現物の受渡しの関係がどうなつておるか、これは個々の製糖業者によりましてそれぞれ違つて来ることじやなかろうかと思いますが、現在といたしましてはその調査はいたしておりません。
  192. 中村時雄

    ○中村(時)委員 なかろうかでなくして、そういう実態を的確に把握することがやはりその一つなんです。月間の量的の問題じやなくして、私の言つておるのは価格の問題を言つておるのです。その意味において十分な調査を早急に願いたい。できたら期日を切つてもいいと思います。今の問題は調査をしておいていただきます。  次に政務次官のお話を聞いておりますと、早急の手当としては台湾あるいはインドネシアの問題を取上げていらつしやるようですし、またもう一つの対外的の問題としては発注証明付のインポーター割当方式をとろうとしていらつしやる、この二つが中心になつておるようですが、この二つをめぐつて一、二質問したいと思います。ということは、政府は九日の参議院農林委員会において回答をあなた方出しておるはずです。その回答は、砂糖価格の高騰の原因がほとんど本年下半期の外貨予算実施が円満に行われなかつたこと、またもう一つの原因は砂糖輸入の予想が非常に減少するということ、この二つの点に置いておられるようです。そこで事実その原因がこの二つであつたかどうかということを確認したいと思うのです。
  193. 平野三郎

    ○平野政府委員 他にもいろいろ原因がございますけれども、主たる原因は今のお話の点にあると存じております。
  194. 中村時雄

    ○中村(時)委員 他の原因というのはどういう原因ですか。
  195. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは御承知のように、現在消費税法が改正としてかかつておりますが、消費税法がかかる場合におきましては、四月以降に実施されるわけであります。当然一つの仮需要が出て参ることも想像されるわけであります。また現在の取引所におきまする糖価の上つた原因につきましては、これは中村さん御承知のように、いろいろの複雑な現在における経済情勢に対する見通しの問題、将来に対する経済情勢の見通しの問題等、いろいろ総合された問題があろうかと思います。
  196. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それじやこれは留保いたしましてあとでまたお伺いしたい。というのは、取引所の問題であるとか、今の市場操作の問題であるとか、あるいは設備資金の問題であるとか、そういういろいろ複雑な要素があることはあなた方が十分調査をしていただきたい。それと今あなたがおつしやつたもう一つの原因の消費税の問題にしても、大蔵委員会で問題になると思うのです。輸入税は原糖において二〇%、精糖におい三五%、ところが実際には消費税二割は上前をはねて二重税金をとつておる。こういうことを砂糖だけになぜなさるのか。そういういろいろな根本的原因があるのでありますが、あとでお尋ねいたします。
  197. 川俣清音

    ○川俣委員 今の質問に関連して。これは非常に重要な発言をされておると思うのですが、消費税がかかることによつて価格が上るということは、消費祝を民間が税金の形で搾取するということになる。将来上るからそれだけの価格を今からとつておいてもよいということは、将来脱税をも含むことになるであろうし、また今から税金が上るということで価格を上げておくということは、不当利益であるというふうにお考えにならないのですか。こういう不当利益が上る原因だということをお認めになつておるということは、非常に重大な問題であると思います。
  198. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私が申し上げておりますのはそういう意味じやありませんで、たとえば四月以降消費税が上りますれば、いわゆる実需者と申しますか、ある程度の見越しの需用が起る、買込みがあるということは、これはそういう仮需要として起ることが想像されるのではなかろうか、こういう意味で申し上げたわけであります。
  199. 川俣清音

    ○川俣委員 それが大切なんです。これらの大切な外貨手当を受けなければならない砂糖を、そういう方面において仮需要というようなことで利益を得させることについてどういうふうにお考えになるか。そういうことが上る原因だということで放任されておくということはいけない。こういうことが将来確定の原因になるということが一つ。それからもう一つついでに聞いておきますが、あなたの方で一年間の輸入のわくをとつておられる。去年のわくが今年に延びて来ておる。そうすると今年のわくが来年に延びることになる。その一年間の実際のわくのきめようが適切でなかつたということが、大きな思惑の対象になつておるのです。この点お気づきにならないか。
  200. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私が今仮需要と申し上げましたのは、砂糖について申し上げたわけであります。砂糖を消費するたとえばいろいろな産業がございます。その場合におきまして、消費税の関係で一月分なりあるいは半月分でも先買いがあることは、これは実需者としてあるわけであります。そういう方面での需要が増大したのではないか、こういうことを申し上げたのであります。  それからもう一つの点の外貨問題でありますが、これはお説のように、われわれといたしましては、二十八年度の外貨で買付をいたしまして、二十九年四月以降に到着するものがございます。われわれとしての需給では、前年度のスリページと本年度の買付における到着とを合せて大体百万トンに押えております。従いまして当初から本年度の外貨予算におきましても、二十一万トン程度のものは翌年度に到着すべきものとしての買付という予算になつております。これは御承知のように、外貨支払いは到着によつて相当部分が支払われますから、外貨のキヤツシユの面からの計算をすると、どうしてもそういうふうにならざるを得ない。ただ御指摘のように砂糖の外貨につきましては、全体のストレートの分が何分少いものでありますから、結局バーターとかスリページとかいうような関係から、本年は到着の分が遅れたということはあり得ると思います。
  201. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたのおつしやつたことからいたしますと、外貨予算の問題、それからまた予定が遅れたというこの二つが主体になつておるようです。そういう意味において台湾あるいはインドネシアからの早期輸入の発注、証明付インポータントをやろうとしておる。そういうふうに解釈しておる。そういう点から私たちが見ますれば、先ほどからの芳賀委員の質問なんかを総合しますと、この供給量を増加することによつて価格安定をはかろうとしておる。供給不足、輸入の不円滑というようなことはかなり長期に考えてみてよいのではないかと思いますが、これに対してその母体となるべきものがあろうと思います。たとえばどこから何トン、インドネシアから何トン、そういう具体的な問題についてひとつお聞きしたい。
  202. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 現在御承知のように、一月以降において外貨を割当てる場合においては、多くの場合四月以降に到着するものが大部分であります。そこで具体的に、それではできる限り早期に国内に到着するものはどこかということを検討いたしますと、インドネシアと台湾があるわけであります。台湾につきましては、新糖の出まわりは五月以降でありまして、旧糖を探さなければならないわけであります。旧糖としては、現在われわれは、二万トンから三万トンくらいの旧糖があるのではないかということで交渉しております。インドネシア産のものとしては、現在一万トン程度のものが在庫としてあるように承知しております。
  203. 中村時雄

    ○中村(時)委員 台湾が三万トン、インドネシアが一万トン、これはあとからの関連が出ますから、一応そういうふうに限定いたします。続いてこの早期輸入を行おうとしておるが、これらのことについては、通商政策といいますか、そういう面から考えて、通産省、大蔵省、外務省とおそらく折衝をやらなければならぬと思いますが、これらの折衝には対して的確におやりになつておりますか。
  204. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御承知のようにそういう点もございますので、折衝いたしておりますが、インドネシアにつきましては、日本が貸越しであります。物があれば外貨の面においては問題がなかろうと思います。台湾につきましては、御承知のようなオープンアカウントの問題でございまして、この地域としてはオープンアカラウントの決済ということで直接外貨を使う場合とは異なりますので、そういう点も考慮して、しかも時期的に十分入り得る地域を考えたわけであります。
  205. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その問題が早急に妥結するところの確信をあなたは持つていらつしやるかどうか。それから今言つた国内的な通産省なり大蔵省なりとの間に問題が出て来るが、それに対して折衝の点はどういうふうになつておるか。
  206. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 まず内部的に、先ほど申し上げましたように、その国におきまする決済関係が、日本はインドネシアには貸越しでございまするので、折衝はいたしておりますが、大体国内的な問題はないというふうに私は思います。ただ具体的に値段なり現物の問題として、今現地との交渉中というふうに御了解願いたいと思います。それから台湾につきましては、これは台湾との貿易協定の範囲内として処理して参りたい。この点につきましても、関係省とも相談をいたして、具体的に現物の入手が可能かどうかという点について、早急に交渉いたしておる次第であります。
  207. 中村時雄

    ○中村(時)委員 早急に早急にと言いますけれども、大体早急じや間に合わないのだ、差迫つているのです。そこでその早急という期間は、どのくらいを大体考えていらつしやるのですか。
  208. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げますが、われわれの希望としては、本年度内に入れたいということで交渉いたしておりますが、これは外国の相手のあることでございますので、国内的な問題よりも相手国との交渉という問題がございますけれども、できるだけ早くやりたいと思つております。
  209. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その交渉々々がいつもまずくて、こういう問題を越して国民に迷惑をかけているわけなんです。そこで政府は、台湾糖について今までCIFで百十五ドル以上のやつを百十五ドルくらいに押えようという考えを聞いたのですが、大体そういう考え方を持つていらつしやるかどうか。
  210. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。御承知のように台湾の場合におきましては、先方においてこれは統制して、中央信託局が一本の形で輸出いたしております。台湾政府との交渉の問題になると思いますが、昨年度におきましては百十五ドルということで契約ができたのでございまして、この問題につきましては、さらに値段についての交渉がまだ残されておるというふうに考えております。
  211. 中村時雄

    ○中村(時)委員 残されておるというのではなくて、今度の問題を言つておるのです。台湾三万、インドネシア一万トン、この問題の具体性がここに残つております。希望条件を最初にお断りすると言つたのはそれなんです。
  212. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 海外の交渉につきましては、通商局の方が正確であろうと思いますから、通商局の方からお答えいただきたいと思います。
  213. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 今のお尋ねの台湾それからインドネシアの砂糖の問題でありますが、実はこれはお存じの通りなんでありますが、交渉というものはこつちが何ぼで買うとかなんとかいうことを示してやることは、実は率直に申しましてまずいわけなんです。昨年度の砂糖の百十五ドルにつきましても、あの当時としてはわれわれは最善の努力をしたつもりでございましたが、非常に御批判を受けたというようなことで、二十九年度の砂糖につきましては、何とかして安く買いたいというつもりで従来から向うの意向を打診をし、どういう作戦に行くべきかということをいろいろ研究をいたしておつたような次第でございます。そこでわれわれといたしましては、二十九年度の分をまとめまして、ある一定の価格で、要するに現在の価格よりも安い価格で交渉をいたすつもりで考えておつたのでありますが、何分前谷長官からもお話をされましたように、相手が一本である。従来の交渉からいいましても、そういう年間のものを一本の買いつけ交渉をすることは非常に長引くであろうという判断から、一応年間全体としての買いつけ計画と分離しまして、言いかえてみますと、作戦といたしましては若干まずいのではないかと思うのでございますが、現在の相場対策から急ぐという事情——急ぐということは、わが方としては不利な要素にもなるわけでありますが、一応全体のあれと切り離しまして、三万なり——できれば五万でもよろしいと思つておりますが、話をしたいということで今続けておるわけであります。従いまして率直に申しまして、ここであまり価格、数量等を申すこと自身がまずいのではないかと考えておりますが、大体四、五万トン程度のものをできるだけ早く買い入れたい、それも安い価格で行きたいのでありますが、安い価格ということになると期間がかかります。そうすると今急ぐということになると、こちらの足元を見られるということで、従来の価格で折れざるを得ないということも考えられるわけであります。これは相手が商売でありますので計画通りに行きませんので、その辺のところはお含みおき願いたいのでありますが、全体といたしましては、われわれとしては第二次の価格よりも何とか作戦をこらして安い価格で買いたい。巷間百十ドルという説もありますが、できればもつと安い価格で買いたい。それにはかなり時間もかかるだろう、こういうふうに考えておる次第であります。
  214. 中村時雄

    ○中村(時)委員 向うも商売だから次長の御苦心はよくわかります。問題は、そういうふうに折衝に時間をかけておつた場合に、国内的な高騰に対して、あなた方は一体どういうふうに考えておるか。緊急輸入にしても高い価格ならば今でも買えるわけだが、どこに重点を置くかということである。価格の点でセーブされておるのか、国民生活安定のためにセーブされておるのか、どつちに重点を置いて考えておられるか。大分むずかしいことだと思いますが、国内的な問題がここに出て来る、もしかりにあなたがおつしやつたように、前にこうだからというので時間をずらしている際に、どんどん価格が上つてつておる。引上げて行く責任は一体だれがとるか、一体通産省の指導者は責任をとられるか。またあなたが数量の発表、価格の発表をするのは非常に困るとおつしやるならば、困るという理由の裏には一つ考え方があるわけだ。大体この程度のことをこういうふうに言つて、こういうように持つて行こうという考え方があつて、その見通しに基いてものごとをやつていらつしやる。相手があるからなかなかうまく行かない、相手は品物がある、それに対して批判的にどういうふうに取上げるか、価格が上つてつておるということはあとで御説明いたします、去年の暮にこういうことを言つておつたにもかかわらず、いまだその手を打つてない。しかも輸入のずれは出て来る、これだけの値段は上つて行く。それに対して事務当局の責任というものは少しも考えない。それで実際にやつて行けるかどうか。国民から税金をもらつてつておる。その国民をこういう状態に追い込んでおつて、相手があるからわしは知らぬとしやあしやあできるかどうか。あなたの良識において答えてもらいたい。
  215. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 来年度といいますか、二十九年四月以降からの分につきましての交渉につきましては、全体の砂糖の価格の行方ということも考えて行かなければいけませんが、われわれとしてはできるだけ安い価格で買いたいということで考えておつた。ところが緊急対策として必要であるということで、条件は悪いかもしれませんが、繰上げ的な考え方で一部切り離して話をしておるということを申し上げたのであります。高く買うということでありますれば、あるいは今でも簡単にできるかと思います。しかしこれも信託局に申し入れまして本国の方の意向を聞くということで、まだ実は返事が参つておりませんが、率直に申しまして、日本の現状から見て、足元を見られておりますので、さしあたりのことについては、もう値引き等を交渉をする時間的な余裕も実はございませんし、また向うもこつちの足元を見ておりますので、値引きの交渉はむずかしかろう。大体従来の価格で買えればよかろうというくらいなつもりで考えてやつておりますが、何分つい先だつてそういう申入れをして、今返事を待つているという段階でございます。決してのんべんだらりとやつておるわけではございません。緊急対策ということで繰上げ的な考えを入れているわけでございます。なお砂糖全般のことは私ども関係でございませんので、責任をどうこうとおつしやいましても、われわれは与えられたわくの中で輸入の措置について最善を尽しておるわけであります。
  216. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農林省と通産省の役人のセクト主義がそこに出ておるわけです。それではあなたの言つておることと長官の言つておることはまた違つている。そういうふうに、値段は足元を見られて下げることはできないであろうという前提をあなたは持つている。その前提に立つて外貨の問題も取上げられる。そうすると大蔵省との折衝だとか、いろいろな問題を国内で具体的にやつているのかどうかを聞いている。そうでしよう。私はそのつもりで最初から関連して聞いている。ところがあなたは今ごろ文書をつくつている。昨年の暮れにすでにこうなるであろうという推測を立ててこのように話しておる。にもかかわらず何の手も打つていなかつたということを実証した。そういう時間的な怠慢さが、結果においてはこの通りの状態になつて来ている。だからその責任は一体どうするかということです。何も農林当局に責任があるのじやない。当然農林当局の責任はあるけれども、あなた方に責任がないとは言えない。やはりその責任はあるのです。それに対してあなた方はどういう良識を持つているか、よく考えてもらいたい。
  217. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 弁解がましい言い方にはなりますが、実は三月までの輸入計画としましては、昨年の十月以降七万トンですか八万トン、台湾糖を輸入いたしまして、三月まではやる計画でなかつたわけです。またそれをやれという必要もなかつたわけであります。それを最近の情勢にかんがみまして、われわれの方はそういつた繰上げ的なことをいたそうということで今努力をしているわけであります。予算的な問題は、これもこういう必要性を認められておりますので、何も予算を先にきめなくちやいかぬという問題でございません。話をきめて行けば予算は三月までの予算であろうとあるいは四月以降の予算であろうと私はあまりこだわらないつもりで、まず先に話をして買付の方を進めるということで、非常にフレキシビリテイを持つて実はやつておるつもりであります。何もここで予算をきめてからまた交渉に一月もかかるということでも意味をなさぬ。まず現物をつかんでから、それが三月までの予算を必要とするならそのときに考えて、あるいは四月以降の予算で行けるということであるならば、何も今予算問題はあまりやかましく言う必要はないのであります。われわれとしてもやりいい方から、ケース・バイ・ケースに片づけつつある、こういうつもりであります。
  218. 川俣清音

    ○川俣委員 今の通産省の答弁の中で、糖価の上つた原因についてるる述べておりますが、これはこういう糖価が高騰したことがどこに原因があつたのかということを、十分に把握できないと対策が立たないと思うのです。なるべく責任のないような点に糖価の値上りがあるんだというように逃げようとしておられるのですが、そうでなくて、やはり持つておられる自分たちの責任の中に、こういう原因があるのかないのかということを検討される必要があると思うのです。  そこで通産省にお尋ねしたいのですが、一体需給計画が誤まつておつたために糖価が値上りを来したのか、または需給計画は妥当であつても、輸入のしかたの時期的な措置が適切でなかつたためにこういう状態が起きた、こういうふうに見ておられるのか、どちらかということをひとつ御説明願いたい。この責任は一体どこにあるのかを突きつめて行かなければ、将来の対策は立たないと思うのです。そこで御答弁を求めておるのです。
  219. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 需給計画の点につきまして御説明いたします。われわれの当初の見通しは、先ほど申し上げましたように、百万トンの需要というふうに押えまして、そして百万トン到着するということで考えて参つたわけであります。先ほども申し上げましたように、それに対して当初の予定よりも四万トン程度の需要増加が現在までの推定ではあつたのです。この点は確かに需要が当初の見込みよりは狂つたということは申し上げ得ると思います。
  220. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 これは若干私の個人的意見になるかもしれませんが、今御指摘の問題は、どつちか一つだけの原因とは一概に私は言えないのじやないかというふうに考えるのであります。需給計画作成の上にあたつても、若干内輪に見たと申しますか、外貨節約というふうな感じから、少し計画を固く踏んでおつたということが一つ。それから輸入の予算実施する上において、若干の実行上のずれもあつた。この両方の原因ではなかろうかというふうに考えております。
  221. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで問題はこういうところにあると思うのです。需給計画が立てられたのが、一般の需要ともしも大きな食い違いがありますというと、その計画の盲点をねらわれるということになる。これは投機の対象になる。ただ六万トンということが表面に出ておりますけれども、ねらわれた結果六万トンが出て来たのか、六万トンをねらつてこういう価格の高騰が出て来たのか、この点をきわめて行かなければならぬ。行政の盲点といいますか、需給の甘さから来る一つのねらいが高騰になつて来たのか、この点どつちだと思つておられますか。通産省でもどつちでもないというようなことを言うと、将来の対策が立ちませんよ。一体需給計画が甘いというところから六万トンの需要が増になつて来たのか、いわゆる投機の対象になつて来たために需要がふえて来たとも見えるのです。さつき長官の答弁によりますと、仮需要が非常にふえた、仮需要ということはこれは必要需要じやないのです。滞貨需要なんです。日本全体からいえば滞貨なんです。そうでしよう。そういうことになる。従つて長官の説明によると、六万トン需要がふえたのではなくて、いわゆる行政上の措置が誤つておつたために、そこをねらわれてこういう結果になつたのではないか、こう考えないかどうかという点です。それから通産省では十分な需給計画が立つておるといいましても、時期的な手当が十分でなければこれはかなり問題が起きて来るわけです。問題というのは投機の対象になるわけです。年間だけをもつて必ずしも完全だと言えない、日日の需要でありますればありますだけ投機の対象になり得るわけです。これは単に砂糖ばかりではありません。油脂においてもあるいは綿花においても同様なんです。どうしても財政上外貨手当ができなければできないように、これは他の方法において投機を防いで行かなければならないわけです。現在のような自由な価格のままにおいて、どうして手当をするかということは考えなければならぬ。財政上外貨手当が不足になつて来れば、そういうねらいの起らないように別な手当をして行かなければならないと思うのですが、これらに対する見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  222. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの川俣委員の需給計画に齟齬があつたのかあるいはそこの盲点をねらつたのか、これは非常にむずかしいことでありまして、われわれといたしましては需給計画を立てます場合には、前年度の実績と人口増を考えて、一つの需給計画を立てるわけでございます。年間の需給計画は、現在配給統制いたしておらない次第でありますから、まあ一つの見通しということになるわけですが、これが需給計画の齟齬なのかあるいはまたその御指摘のような盲点をついたのか、これはどちらかというと申し上げるのは非常にむずかしいことで、非常に言いにくいわけでございます。言いにくいというのはわかりにくいわけでありまして、言う得ればむしろ両方があるんじやないかというふうに考えていただく以外に方法がないじやないかと思います。
  223. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私は通商局次長に伺いたいのだが、あなた方のそういう折衝についての時間的ずれは、少くともあなた方に責任があると考えておる。あなたは、対象があるのであるから自分たちには責任がないというが、これは非常に大きな問題です。そこでこの問題を取上げて私は一、一考えてみたい。たとえば昨年の八月に公職がこの業者に対して調査をやつた、そういうことに対してあなた方はどういうふうに見ておつたか。その当時からもうすでに砂糖の価格の問題がここに行われており、その当初は非常に手持ちがあつたので、たとえばその当時は農林省に輸入を減らしてくれという陳情をしておる。それに乗つかつてつて今のような行政をやつてつて、その結果が砂糖業者の思うつぼにはまつておるのです。実際そういうふうな行き方をとつておるが、そのときの見通しは、あなた方はどういうふうに考えておつたか、これが第一点。  第二点は、八月からそういう実績の交渉があるのです。その証拠がここに一つあるのです。たとえば昨年の十一月の七日、衆議院の通産委員会で齋木委員から、来年に向つての砂糖騰貴傾向に対して質問があつたときに、通産省の松尾通商局次長は次のようなことを言つておる。溶糖として月平均七万五千トン、年間九十万トン、うち十月から三月については四十六万トンを予定し、十二月までに二十六万トン、一月から三月まで二十万トンとなつており、台湾糖七万トン、キユーバ糖十万トン発注済みで、そのあとは引続き発注を行う予定であるが、価格高騰の懸念があれば、一月から三月の分を繰上げ輸入することを考慮すると言い切つておる。あなたはこういう責任ある答弁をしておきながら、今不利の事態に立至つたときに、今になつて逃げを打つというのは何か、その責任の所在を問いたい。
  224. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 今お尋ねの数字につきまして、私その通り申したかどうかよく覚えておりませんが、そういう意味のことを申し上げたのは事実でございます。しかしこの点だけははつきりしておいていただきたいと思うことは、砂糖を生産者に配給する仕事とかあるいは価格の問題は農林省の所管であります。従つてわれわれの方で農林省の方にそれをどうするんだというようなことをとやかく言うのはおかしいのであつて、われわれは予算を編成するときに、外貨の事情から見て、大体この程度はどうかということを相談してきめたことを、できるだけ忠実に実行するという責任の官署でございますので、公職の問題も、それは国内の問題——国内の問題と言つては失礼でありますが、これは通産省にどうこうといつて意見を聞かれましても、われわれもそういうことを聞いてもおりませんし、よくお答えはできないのでありますが、私もその当時はあるいは繰上げ輸入をいたすことは考える必要があるのじやないかという気もいたしたわけであります。従つて私は内部的にその意見を農林省に伝えたと思つております。どうなんだということを伝えたところが、今の数字の需給上、この通りに遂行されるならばそうじたばたする必要はなかろうということであつたので、われわれの方は御存じのように、生産なり配給をいたしておりませんので、価格の高騰そのものについて前から苦労をしておる立場でございませんで、輸入がうまく行つているかいないか、輸入の実施の状況につきましてずれがあつたということについては、若干われわれも責任を感ぜざるを得ない。がしかし、これもインドネシア・スイツチというものをきめたときに、インドネシアとしてもドルが非常に不足しておる、ついてはまず今後一年間としてインドネシアから十二万五千トンを買つてくれぬかどうかという話もからみました結果、その四万トンの交渉が長びいておるというようなことでありまして、われわれとしては価格が合理的ならそれを買つてもいいじやないかということで、できるだけ輸入が促進されるように考え、また努力をしているつもりであります。なお当初予定をいたしておりましたキユーバからのストレートの部分が最近の外貨の節約の機運から見まして、実行上各省の意見の一致が若干遅れたということは、これは私も率直に認めております。そういう結果その輸入の実施につきまして若干遅れたのではございますが、今日のところは、先ほど前谷長官から申しましたように、直消糖一万トンを早急にインドネシアから輸入するということも、大体向うの同意も得られると思いますし、あとの三万トンについてもいずれ返事をもらえる。そこでそういうような実行上若干のずれともありましたので、予想しておりませんでした台湾の砂糖を、この際ここで応急的に少し考える必要があるということで、先ほど申し上げましたような、年間全体としての計画を話し合うということになると非常にひまがかかるから、部分的に切離して、さしあたり手当するものだけを急ごうということになつて、今交渉をいたしておるわけであります。
  225. 中村時雄

    ○中村(時)委員 遅れたという点において、あなた方の一部分の責任は認めるという線が出て来たようでありますが、今私の言つた数量、あなたが今言つた委員会でおつしやつたこの問題に対する責任が、たとえば一月から三月の割当を繰上げることを考慮したいというような発表をしていらつしやるが、この考慮するという発表に対するあなたの責任があるわけです。ところがあなたに聞いてみると、これだけの重大な数量なり地域を限定して発表して、そうして考慮するということを言つておきながら、私の権限は外貨の割当に対して忠実にやつて行くだけである、いよいよ責任ということになると、われわれの方ではない、農林省だといつて逃げておる。こういうあなた方のずるい考え方が、遂におれがあれがという責任のなすり合いになつて、こういう状態を起して来ておる。そこでこの点の糾明をする意味においても一言お聞きしたい。あの当時は十月から三月までの割当の計画になつておつた。それを今度は一月から三月までに一応切りかえている。それでは十月から三月までにどういう計画をなさつたか、それをお聞きしたい——あなたはそういう内容もわからずに外貨の割当だけをやつているんですか。
  226. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 今期すなわち去年の十月から三月までとして、四十六万トンという計画を外貨予算におきまして組まれたわけであります。この予算のやり方としましていろいろなやり方がありますが、大体こういう式のものは三箇月ごとに仕切つてつておるわけであります。そこでわれわれとしては、もしそういう非常な問題がある場合には、一応三箇月ごとに区切つておりましても、これは各省の相談では変更し得ることになつております。何も次の予算を繰上げるとかいう問題ではございませんので、必要があるならば、私は一月—三月のものを繰上げるということも考えましようと申したことは事実であります。しかしそれをぜひやつてくれという要求は、私は遺憾ながら全然受けておらぬのであります。従いまして責任をどうこうと申されても、ちよつとお答えしにくいのでございます。一応当然のことをやつたということでありますので、御了承願います。
  227. 中村時雄

    ○中村(時)委員 どうも数的にはあなたはちつとも発表しないけれども…。要求を受けていないと言うが、要求を受けていなかつたら、それで日本がどうなつてもかまいませんというような考え方、行政官庁の長たる者がそういう態度では非常に困ると思うんです。それに対して、これは非常に問題だから、通産大臣からでもひとつはつきりと説明を聞いてみたいと思いますので、通産大臣の出席を要求しておきます。  続いて、今言つた十月から三月までの数字をはつきり言つてくれと言つても言わないから、私の手持ちの資料を申します。これが違つているか、合つているか知りませんけれども、あなた方の怠慢さはこういうことになつておる。たとえば十月から三月まで台湾糖七万トン、キユーバが十万トン、インドネシアが一万トン、リンクが八万トン、それから一月から三月までがインドネシア一万四千トン、リンク三万六千トン、ブラジルが五万トン、ドルが四万トン、ブラジルが二万トン、スイツチが四万トン、こういうふうになつている。だから当初の計画が二十六万トンになつておる。そしてあとの一月から三月までが二十万トン、両方合せてあなたのおつしやつた四十六万トンになつておるはずです。そこでお尋ねしたい。たとえば一月から三月までの繰上げをしておれば、こういう状態は起らなかつたにもかかわらず、これは繰上げをしていない。これが第一点。  第二点は、インドネシアの一万四千トン、これは第一船が三月十五日ごろ到着の見込みだろうと思うんですが、そうすると三月までの間においてこれだけがやつと可能性が生れるんじやないかと思います。それからリンクは三万六千トン、ブラジルが五万トン——これは食糧庁長官にお伺いしたい。一月から三月までの計画になつておりますが、これが的確に入るかどうかという見通し、まずその前にこの資料が合つているかどうか。
  228. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御承知のように十月から三月の分は四十六万トンでございまして、トータルといたしまして、一月から三月の分が二十万トンということになつておるわけであります。ただ申し上げておきたいことは、一月から三月のものは、先ほど申しましたように、需給計画としては翌年度へ仕切つてございまして、前年度のスリツプよりも減らしておりますけれども、スリツプという形になつております。四月以降の到着を予定いたしておるわけであります。
  229. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そこで今の問題が出て来る。あなたは繰上げ要求は受けていないからほつておいたのだという。片方では事実繰上げということを発表したものだから、そのときのあなたの談話の結果が市場にどう響いたか。たとえば十一月七日の相場は六十九円五十銭、それがあなたの談話の発表で、ただちに十一月十日六十九円、十一日六十八円五十銭、こういうふうに下つた。これだけのシヨツクがあるにもかかわらず、その責任を私は知らぬというような逃げ方ができるかどうか、よく考えてごらんなさい。それに対してあなたはどういうふうにお考えになつているか。
  230. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 私が申しました結果、相場が下つたということで、各地からめずらしく——私としては砂糖の問屋さんからそういう手紙をもらうことは、生れてからほとんどありませんが、十数通の激励の手紙を実はいただいたのであります。それだけでも私がそういうことを申し上げたことは効果があつたろうと思つておりますが、それが実現できなかつたということは、別段私の怠慢ではないと確信しております。その当時その繰上げ輸入をする必要がありやなしやということを検討した結果、その必要はなかろうという結論になつたために、繰上げができなかつたということでありまして、私がうそを申して、あとで要求があつたものを、私がまたがんばつて否定したいというのでは実はございません。私は正真正銘ほんとうにそういう必要があるのならば、どうせ一箇月間の期間である、三月々々にきめているのは、これはただわれわれの便宜のためにきめているのだから、繰上げてもいいじやないかということで、私は別段うそをつくために申し上げたわけではございません。
  231. 中村時雄

    ○中村(時)委員 政務次官にお尋ねしたい。今のお話を聞いて、よくおわかりでしよう。今言つたように、ちよつとしたことだけでそれだけ相場が下る。それも認めていらつしやる。そしてその当時はこんな必要はないと思つていながら、委員会では繰上げをやりたいというような希望条件を出している。そうすると実際にやつたことは、れは怠慢もはなはだしいということになる。その結果は自分の見通しがきかなくて、こういうふうになつてしまつて、今は九十九円前後している。その当時は一斤について六十何円ですよ。それに対して一体政務次官はどういうふうにお考えになつておるか。
  232. 平野三郎

    ○平野政府委員 いろいろその間の事情もあると存じますので、十分調査いたします。
  233. 中村時雄

    ○中村(時)委員 事情も何も今はつきり言つたじやないですか。はつきり本人も認めて、本人もここで言つておる。あなたも党を代表して賢明なる政務次官でしようから、一体あなた個人としてはどういうふうにお考えになつているか聞いている。
  234. 平野三郎

    ○平野政府委員 繰上げ輸入をすると言つたことによつて価格の低落したことは事実でありますが、その後の検討の結果、それを実行しなかつたという点につきましての事情がいろいろあろうと存ずるわけで、その点をよく検討いたすと申しておるわけであります。
  235. 中村時雄

    ○中村(時)委員 もう一つだけ…。あなたに言つても、実際あなたは何を言つておられるか、さつぱりピンと来ないのだけれども、とにかく事務当局のそういう錯誤に基いてこういう結果になつたことを認められるかどうか。
  236. 平野三郎

    ○平野政府委員 錯誤であつたかどうか十分検討いたしたいと思います。
  237. 川俣清音

    ○川俣委員 それは中村委員がここまで指摘したからには、やはり糖価対策の重要な点なんです。先ほどから私も質問している通り、需給計画がずさんだつたために起きた価格の暴騰であるかどうか。これについては、需給計画が十分立つておつたんだ、ところが六万トンの需要増ができたためだ、こう言つておられるのですね。これは当時中村委員指摘した通り、計画通り対策をすでにとつておられれば、こういうことは起きなかつたということだけはお認めにならなければならぬわけですね。これはさつきから中村君が指摘しているんだから、この指摘したことを認められたその上に、将来の対策が立たなければならぬと思う。いつまでも自分たちのやつた失敗を隠しておつたのでは対策は立ちませんよ。あれは当時いろいろな疑惑があつたんです。製糖業者の運動もあつて入れなかつたという非難もあります。これは将来いろいろな問題が起きて来るだろうと思いますが、そういう点について、あなたはとらわれていないはずだから、政務次官はつきり答弁してください。欠陥なら欠陥を認めて……。
  238. 平野三郎

    ○平野政府委員 今日糖価の安定をはかるための委員各位の御熱意に対しましては衷心から敬意を表しておるわけであります。政府といたしましても同じ趣旨におきまして、今日砂糖の対策につきまして鋭意検討を進めておるわけでございますが、ただいまいろいろお話のございました点につきましては、十分検討を加えまして、対策の一つの参考に資したいと存じております。
  239. 川俣清音

    ○川俣委員 今指摘された点で欠陥があつたというふうにお認めになりませんか。今通産省の松尾次長の答弁によりますと、相当な激励を受けたというほどに相当な影響を与えておるわけです。繰上げ輸入が行われておりまするならばこういう結果は来なかつた。また六万トンの需要も出て来なかつたかもしれぬ。これは想像ですから別問題であります。いずれにしても糖価対策には十分なり得たということだけは言えると思う。その手当をしなかつたということが欠陥であつたというふうにお認めになりませんかどうか。
  240. 平野三郎

    ○平野政府委員 先ほど来申し上げますように、現在も恒久対策を立てておるわけで、現在の状態も改善しよう、こういう方向に進んでおるわけですから、そういう意味から申しますならば、広い意味におきまして従来のやり方について不完全であつた点もないとは言えぬわけでありますが、ただいまのお話の欠陥という言葉を使うことはいかがかと存じますけれども、広い意味におけるところの改善をいたしまする以上は、改善の必要が過去においてあつたという点は認める次第でございます。
  241. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたは改善という言葉を使いましたね。改善ということは欠陥があつたことなんですよ。そうでしよう。欠陥があつたというその欠陥は何だつたかということです。それを具体的に出しただけです。それを認められるかどうか。わからなかつたらもつと言いますよ。もつともつと具体的に入りますよ。それをここでまず聞いておきましよう。
  242. 平野三郎

    ○平野政府委員 世の中は日進月歩でありまして、常に改善から改善へと進んで行くわけでございますから、そういう意味におきまして研究をしたいと思います。
  243. 中村時雄

    ○中村(時)委員 小学校の子供を相手にしておるんじやないのです。あなたは政府委員でしよう。お互いに良識というものがあるのです。お互いに国に一つでもプラスになつて行くようにという良心があるはずです。そういう意味において私たちはお互いに話合いをしておるのだから、そういうまともな考え方を持つてほしいと思う。それについて認めないというならば、長官にお聞きしたい。あなたは先ほどブラジルの問題でも繰上げをやつておる関係上、これは三月以降になるとおつしやつた。三月以降になるということは一月から三月までのこの問題を繰上げできないということなのです。あとから起つて来るところのブラジルの二万トンなんかにしましても、かんじんのブラジルに現物があるかどうかあなたは御存じですか。それをまずお聞きしておきたい。
  244. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。私が申し上げたのは、年間におきまする当初の外貨予算の計画におきまして到着を百万トンといたしましたわけでございますが、それを実現いたしまするために十月から三月までの計画といたしまして四十六万トンの外貨を見たわけであります。そのうち二十万トンはスリページとして考えておつた、こういうことを申し上げたのでございます。
  245. 中村時雄

    ○中村(時)委員 なるほど計画はそれでいいのです。ところが現物が減つて来たためにばたばたあわて出した。そこで繰上げはやりたい、ところがその当初は繰上げが必要がないと言つた。そこで通産省の次長にお聞きしたいのは、繰上げの必要がないという基礎はどこにあつたかということを一点お聞きしておきたい。  それからもう一つは、この一月から三月までにあわてて何とか現物にしたいという御希望を持つていらつした。それはあなたも証明していらつしやる。ところでその一月から三月までのそういう希望を持つてつても、——事実入つて来るか来ないかという問題に具体的に入りたいが、それに対してあなたは、実際希望を持つて、そうしてスリツプをしたけれども、これを呼びもどそうとしておるが、それができるかどうか。
  246. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。スリツプの部分は、当初の計画として四月以後に到着として考えておつたことは申し上げた通りでありますが、お手元に差上げましたように、二月におきまして糖価が高騰いたしましたために、これに対する繰上げ輸入としてただいま申し上げましたようなインドネシアの分と台湾の分とを手当をいたしたい。これは現物の問題と同時に距離の問題といたしまして、できるだけ早く到着する、こういう地域を考えまして、そうして繰上げ輸入の件について各省と相談し相手国に当つておるわけであります。
  247. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私が聞いておるのは、それが的確に一月から三月までにできるかどうかということと、それから次長にお答え願いたいが、一体どうして必要でないという考えを持つたか。
  248. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 お手元にも砂糖価格の推移表が配られておるようですが、まだその当時の価格からすると、そうあわてて措置をする必要がなかろうというような考えがあつたように聞いておるわけであります。別段農林省に責任を転嫁するわけではございませんが、あの当時齋木さんから例の調子で、えらく価格が上つておるという御指摘があつた。私は小売価格がどう推移しておるかということは、不勉強のためですか別段顧慮しておりませんので、はたしてそういう対策を要するか要しないかわからなかつた。しかし齋木さんは、こうして上つておるというお話であつたから、それが事実といたしますれば繰上げ輸入等の措置も考えたいと思いますということを申し上げたのであります。その後農林省とも御相談をした結果、今この程度の価格でもつて急速にそういう繰上げまでもする必要はなかろうという判断でありました。それでこれはやらなかつたのであります。
  249. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは繰上げの必要がないということはあなた自身が考えたのですね。ところが今聞いておると、農林省で繰上げの必要がないという考え方を出した。それでは一体農林省のだれがそういうことを言つたのですか。
  250. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 私は直接この折衝をしたわけでございませんのでわかりませんが、その当時関係官が寄つて相談の結果、そうあわてる必要はないということであつたわけであります。
  251. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その農林省の関係官の名前を言つていただきたい。これはたいへんな問題ですよ。
  252. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。その当時の会議は別問題といたしまして、お手元にお配りいたしました市価等も御参照になつていただくとわかると思いますが、われわれとしては、食糧庁といたしましてそれほど窮迫した事態というふうに考えなかつたわけであります。
  253. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そんなことはないのです。経済安定の速記録を読んでもらいたい。小倉経済局長が六十二円二十銭をもつて妥当とするというときに、すでに価格は七十四円三十銭だつた。そここで価格の問題になつて来るのですが、価格の査定の方針と私の考えておることと食い違つている。そこでその話合いをしたことがあるかどうか。ところが事実そのときにそこにいらつしやる課長もいらしたはずです。その当時すでに課長もこれは高くなつているということを認めていらつしたはずです。課長ちよつとお答え願いたい。あなたいらつしたはずです。
  254. 東辻正夫

    ○東辻説明員 その当時の臨時国会の際に、お話のように、妥当な価格がどの辺であるかということに対して、今お話の通り局長が適正な価格はそうであるということを御返事されたかどうか、私存じておりませんが、当時価格の問題について論議のあつたことは承知いたしております。
  255. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そういうふうに一応認めたものを、今言つたように片方の方では、農林省の中でそういう措置は必要ないと言われた人がいらつしやると言う。そうすると、事務当局としての実際の一貫した動きがちつともなかつたというか、あるいは個々の人間が何物かを考えて、そういうような手を打つたかという二つの疑義が出る。そこでその当時農林省において、農林大臣もはつきり言明していらつしやる。業者側は盛んに陳情をしているということを委員会において発表しておる。それとの一連の関連がここに出て来るわけです。だからどうしてもこの人の名前を私は聞きたい。次長に対してこの人の名前を発表してもらいたいということを要求するわけです。
  256. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 まあ…(「まあじやない」と呼ぶ者あり)私ども全部処理すべきでありますが、それぞれ担当の者に申しつけまして、農林省と話合いをしたわけであります。まあだれがだれと話したというふうなことは、私としては申し上げたくございません。
  257. 中村時雄

    ○中村(時)委員 申し上げたくないということは、あなたは知つているということなんですが、確かにその通りですよ。そういたしますと、今言つたように、糖価が暴騰して一般消費者自身から非常な問題が出て来ているわけです。それに対してまあまあでこれが済まされるというはずのものじやないのです。最初から言うように、あなたの良識というものはどこに置いておるのか、だから知つている以上はその責任をはつきりさせてもらいたい。だから政務次官のこの責任というものは、あなたは考えていらつしやるか、認めますかと聞いたときに、これはまあまあでわからない。わからないから当然ここまで行くよりほかにしようがない。どつちか結末をつけなければならぬということに追い込まれた。そこで絶対にこの名前を言つてもらいたい。政務次官かどつちかわからないという答弁になつているが、どつちかはつきりしてもらいたい。あなたは知つていらつしやるならば、ここに名前を発表してもらいたい。どうです。政務次官の答弁は必要ないです。
  258. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話を承つておりますと、一部業者の魔手が伸びたと申しますか、そういうことが原因になつて、特に行政措置を故意に曲げたというようなふうにもうかがえるわけでありますが、私はもちろん事務局にそういうことは絶対にないと確信いたしますけれども、やはり行政の運用におきましては、もとより人間のやることでありますから、いろいろ見込違いとか、あるいは観測を多少誤つたという点もあろうかと思いますが、そういう点につきましては、十分調査をいたしまして、別の機会に善処いたしたいと存じます。
  259. 中村時雄

    ○中村(時)委員 非常に執拗に言うようですが、これは非常に重要な問題で、あなたが今申しましたように、こういう事務当局が蹉跌を来したことを認めておられない以上は、私たちは国民の代表として、当然これは追究しなければならぬ権利を持つているつもりです。そこでこの問題を曖昧模糊とする必要はないと思うのです。ほんとうにそういうことがなければ、堂々とここで名前を言えばいいのです。そうでしよう。
  260. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 繰返して申し上げておりますように、輸入計画を次々と実施して、それが諸般の関係、特に海外との関係で、若干のずれのあることは、先ほど申し上げた通りであります。ただその繰上げ輸入をするということを申したことなり、それをやらなかつたことの責任というものは、これは私の責任かと思いますが、何も繰上げ輸入を決定したと申し上げたわけではなく、必要があればそういうことも考えますということを申し上げたので、いろいろ検討の結果、その必要がない、輸入計画通りやればいいという結論になつたので、事務当局としては、その方針でやつているわけであります。だれがその相談をしたとか何とかいうことは、これは問題外じやないか、かように思います。
  261. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それはおかしいのですよ。実は決定していないと言つたその事柄が、結局そのままになつてしまつて、糖価がこの通りつて来て、国民がみな困つて来た。そうでしよう。そこで、その決定したということはどういう理由で決定したのかと聞いたら、あなたは、農林省の人が来てこのままでよろしいからと言つたとおつしやる。あなたの職務というものは、あなたが言つたように、外貨の割当に忠実であるべきであるのに、農林省の人がそう言つたとおつしやるから、その言つた人はだれかということを聞くのです。
  262. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 具体的に何しているわけではございませんが、そういう面におきまして、食糧庁の行政の責任者としては、食糧庁長官が責任を持つでやるべきだと思います。
  263. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今の次長の話では、その名前を知つているはずです。そういう事柄に対しては云々と先ほど言つたでしよう。だからあなたは、そういうようなことまで隠しごとする必要はない。もつとフエアに、こういうふうに糖価が上つて来た問題を、今国民がどういうふうに考えているかということをよく良識的に考えて答弁してもらいたい。
  264. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 その担当官の名前を言えということでございますが、砂糖を担当している者はそうたくさんいるわけではございません。(「だから言つたらいいでしよう」と呼ぶ者あり)言わずともわかつているだろうと思います。まあ言い得ることは、そう言うたとかどうしたというようなことは、言たくないということを申し上げているわけであります。
  265. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。今までの答弁の内容を聞いておりますと、要は、松尾次長の言うように、当時繰上げ輸入をいたしますならば、非常に有力な糖価手当になつたということだけは認められると思うのです。これは自信を持つて松尾さんも御答弁になつている。もしもその手当ができておりますならば、今あえて急に、外貨の不足のときに、急場に間に合せるために、特に高い価格で買いつけなければならないようなあわて方をしないでもよかつたかもしれない。また先ほどから私が質問しているように、いわゆる六万トンの仮需要というようなものが起らない、仮需要が起らなければ、また価格も上つて来なかつた、こういうことになると思う。これは国家の財政上大きなミスをしたものだと思う。あなたが手当をやつておいて、全部計画通り入らないでも、一部入つて来ておりますならば、これは大きな手当になつたのじやないか。そういう確信を持つておられると思うのですが、この点どうですか。それが一点。それを見のがしたために——だれが見のがしたということは、これは第二の問題です。見のがしたために、今日においてはさらに多くの努力と、多くの外貨手当と、しかも買付先の非常な困難な状態にまで立ち至らせた責任が、確かにあるというふうにお考えになつてしかるべきじやないかと思うが、この二点について御答弁願いたい。
  266. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 私が十一月でありましたか、国会で申し上げたことを追求されるわけでありますが、言わなかつたらそれじやどうなつたかということでもあるわけです。私は誠心誠意必要があればそういうことも考えましようということを申し上げたが、検討の結果そこまでやる必要はなかろうということでやつた。今のような事態を予想しますれば、あるいはそれを実施しておつたのがよかつたかと思うのでありますが、その当時として、これは農林省もそうだろうと私は思いますが、特にわれわれしろうとの方は、こうなるだろうとはだれも予想しなかつたのであります。従いましてもし予想されておられた方があつたとすれば、もう少しわれわれを鞭撻願えればよかつた。われわれはこの当時それほどの必要がなかろうという見通しであつたというその見通しが間違つておつたということについては、これは役所側としては責任があろうかと思います。
  267. 川俣清音

    ○川俣委員 単なる見通しの誤りだとこれを判断するか、または当時相当国会等に対して、たまたま農林省に対して輸入制限の運動が行われておつた。これは見通しの誤りであれば恕すべき点があると思うのです。もしも当時輸入制限の運動が行われておつて、そのためにそこにみにくい取引があつたかどうかは別にして、そういう運動に支配されてやつたとしますれば、間接的に大きな被害を国民及び国に与えたということになると思うのです。この点はどうですか。
  268. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げますが、先ほど申し上げましたように、われわれ当時といたしましては、その当時におきます糖価の事情からして、そうあわてる必要はないというふうに考えたわけでございまして、結果といたしまして見通しの違いで現在の糖価になつたということは、見通しの至らなかつた点は十分認めるわけでございます。われわれといたしましては、運動によつて計画をかえたということはございません。当初の計画通りにやつておつたわけでございまして、製糖業者からの云々ということによつて計画を変更した、こういうことはないのであります。
  269. 川俣清音

    ○川俣委員 見通しといいますか、需給計画自体にあやまちがあつたのであるかどうかということは別問題といたしまして、今問題としているのは、松尾次長が答弁せられて、もしも糖価の上るような状態であれば繰上げ輸入をして糖価を押えようという意思が発表されておるわけです。これに対して農林省は、その儀に及ばないという態度をとられたということです。このとられた態度が当時の糖価が将来下るような傾向にあつたか、上るような傾向にあつたか、おそらく当時は、これでもまだ安いから上げようという動きが確かにあつたのです。それには輸入を幾分でも押えることが、あるいは計画通りの需給で繰上げ輸入をしないことの方が将来糖価を上げ得る余地があるという考えの運動があつたのではないか、こうお尋ねしているのですよ。それに災いされたかどうか。あなたは災いされないと言うのは普通の答弁ですよ。しかし現にこう上つて来たならば責任はどこかに出て来なければならないのではないか。見通しの誤りから出て来たということになれば、行政上のあなたの監督が不行き届きだということになる。もう一つ進んで、そういう運動によつてなつたということであれば、これは刑法上の問題が出て来る。いずれにしても責任が出て来るのです。刑法上の責任が出て来るものをここで論じても問題にならない。国会で論じているのはおもに行政上のことなのです。そこであなたの監督が十分であつたというふうにお考えになるかどうか。今日のような事態が予想されなかつたのじやないのですよ。一面において予想した議論が起きているのですよ。それは松尾次長の答弁にもある通り、そういう事態が起きれば繰上げ輸入をしなければならないと言つているでしよう。その儀に及ばないというのが農林省の態度だつたのです。食糧庁の態度だつたのですよ。そういう見通しを長官が立てたのか、だれが立てたのか。そこのところで、だれが立てたかということで中村委員が名前を上げろという問題が出て来た。一体食糧庁全体がそういう案を立てたのか。案を立てたとすれば、一体どういう根拠に基いて立てたのか。松尾次長の言うのは事務官らがという答弁なんですか…。
  270. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 その当時十一月かと承知いたしますが、現在の糖価がこういう状態になるということは、実は予想いたしておらなかつたわけであります。現在におきます糖価が急激に上りましたのは、二月に入つてからでございまして、大体その当時におきましては十月—十二月四十五円程度で推移いたしておるわけでございまして、われわれといたしましては大体既定の計画を遂行いたしますれば現在の価格が保ち得るもの、こういうふうに考えたわけでございまして、この点の具体的な点につきましては、もちろんそれぞれ担任者からの補佐を受けますけれども、そういう点についての見通しの責任は長官として当然あるというふうに考えております。
  271. 川俣清音

    ○川俣委員 あなたの答弁からいうと、六万トンの仮需要ということは、価格が上つて来てから起きたということになる。需要が去年よりふえたということになる。一年を通じてふえておるならば当然十一月から対策を講じなければならぬ。やはりそうではなくて、この六万トンの仮需要は、価格が上つてから出たというふうにあなたはお考えになつておりますか。どうもあなたの答弁を想像してみると、そういうふうにとれる。需給計画から年間六万トンの需要増ということは十一月からわかつておつたとすれば、これは明らかに怠慢ですよ。それがわかつていなかつた。当時はそんなに需要が多くなかつた。需要が多ければ価格が上る傾向にあるのは当然でしよう。むしろ価格が下りぎみだということは、当時それだけの需要がなかつたと見ておられるのでしよう。おそらくそうだつたでしよう。当時十一月の推定はそういうことだつたと思う。六万トン去年よりも需要増になるというような考え方はしておらなかつたでしよう。これでよかろうということになつたと思うのです。最も善意に解釈して、そういうことになる。そういうことを考えておつたけれども、業者のために運動しておつたということはこれは別です。最も善意に考えて、当時の需要はそんなにふえるとは考えていなかつた、こういうことなんです。六万トンの需要は価格が上つて来てからだということになるのですね。そういう解釈ですか。
  272. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 その点は実は現在の状態におきましては、直接の配給統制をやつておりませんので、需要の的確な把握ということは困難でございますが、われわれが需要を見ておりますのは、大蔵省の消費税の徴収からいたしまして、これくらいの出荷があつただろう、こういうことから見ておるわけでございまして、この点につきましては、時間的なずれがあることは御了承願えると思います。相当の時間がたちましてから、その次の需要量は消費税から、需要量を算定いたしておるわけであります。その後は大体十一月ごろからその数字を見ますと、だんだんにふえておるわけでありまして、それをその趨勢で伸ばすとそうなるだろう、こういう需給になるということを私は申し上げておるわけであります。
  273. 井出一太郎

    井出委員長 中村君、簡潔に結論へお入りください。
  274. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたは当時の価格ではその必要はないとおつしやつた、ところがそこに課長もいらつしやる、そこでこの問題の対決をせねばならぬことになる。農林大臣もその席に同席していて、そういう業者のいろいろな陳情があつたということを言明して、そういう陳情があつても、自分の独自の立場においてこの計画を遂行するということを発表されておる。そこであなたの答弁と食い違いが出て来た、われわれはその当時から警告しているのです。だからその当時は何もそういう危惧はなかつたと言うが、そういうことはない。事務当局の課長もそのときはおつた、だから小倉経済局長、次長、政務次官、長官、これだけ要求いたしますから、この問題を継続させていただきたい。
  275. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 議事進行……。本件については、中村君のほかにまだ河野一郎君からも質疑の通告がすでに出されております。簡単に結論づけられない情勢にありますから、次会に譲つてお願いをしたいと思います。きようはこの辺で散会の動議を出します。
  276. 井出一太郎

    井出委員長 吉川君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。     —————————————
  278. 井出一太郎

    井出委員長 この際林業に関する小委員補欠選任についてお諮りいたします。ただいま小委員が一名欠員になつておりますが、その補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、足鹿覺君を林業小委員指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十二分散会