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1954-02-26 第19回国会 衆議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十六日(金曜日)     午前十一時四十六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    田子 一民君       松岡 俊三君    松山 義雄君       今井  耕君    加藤 高藏君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    河野 一郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         参  考  人         (日産化学工業         株式会社取締役         技術主管)   井上 辰夫君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 二月二十五日  委員金子與重郎君及び井手以誠君辞任につき、  その補欠として今井耕君及び武藤運十郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十六日  委員武藤運十郎辞任につき、その補欠として  井手以誠君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  獣医師法の一部改正等反対に関する請願(羽田  武嗣郎紹介)(第二三二七号)  災害復旧資金貸付額増額等に関する請願森幸  太郎君紹介)(第二三三六号)  保温折衷苗代温床紙国庫補助等に関する請願(  中澤茂一紹介)(第二四〇五号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同日  蚕糸業振興に関する陳情書  (第一〇七七号)  農林漁業資金融資増額に関する陳情書  (第一〇七八号)  食糧増産対策費に関する陳情書  (第一一〇二号)  食糧自給促進法早期制定に関する陳情書  (第一一五三号)  同(第一一五四  号)  同(第一一五五  号)  草地農業振興に関する法律制定陳情書  (第一一五六号)  装蹄師免許制度の存置に関する陳情書)  (第一  一五七号)  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書外一件  (第一一五八号)  同外六件  (第一一  五九号)  同外一件  (第一一六〇号)  同外十三件  (第一一六一号)  同外二件  (  第一一六二号)  同外一件  (第一一六三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  臨時硫安需給安定法案内閣提出、第十六回国  会閣法第一六七号)  米価昭和二十八年産米に対する凶作加算)に  関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年産米に対する凶作加算の問題について、前会に引続き、調査を進めます。この際、凶作加算追加払いに関して、芳賀貢君より発言の要求があります。これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 私は各派を代表いたしまして、ただいま議題になりました昭和二十八年産米に対する凶作加算追加払いに関する件につきまして、決議案を提出したいと思います。まず案文を朗読いたします。   昭和二十八年産米に対する凶作加算追加払に関する件   政府は、昭和二十八年産米凶作加算につき、米価審議会答申に基き、すみやかに追加払を行うこと。  右決議する。  提案趣旨を簡単に御説明申し上げます。当農林委員会におきましては、昨年の十一月二十四日、首題の件に関しまして、政府は厳密かつ客観的なる算定方式決定早期支払いを行うべきことを決議いたしまして、これを農林大臣あてに送付して、善処方を要望したのでございますが、政府は本決議に基いて、米価審議会に諮問し、同審議会は、さらに減収加算額算定方式に関する小委員会を設置して研究を行い、旧臘二十四日、同議長東畑精一君より農林大臣に対し、現行米価算定方式に考慮されていない収穫量の変動を織り込む方式について、同方式を具体的に適用する場合に必要な四点の附帯事項を付し、満場一致答申を行い、かつ重ねて去る二月十六日付をもつて、同一趣旨建議を行つております。同答申によりますれば、二十八年産米基本価格は、一石八千六百三十二円、加算分払額は四百三十二円となるのであります。しかるに政府は、物価政策並びに食管会計経理上の理由によつて生産者米価の高騰を抑止する意図のもとに、米価審議会答申を無視し、小委員会少数意見たる減収率分散度調整係数を算入する方式により、加算額を極力圧縮する方針のもとに、本日閣議決定したやに伝えられておるのであります。本算式によりますれば、基本米価は一石八千二百五十三円、加算分の追払額は五十三円程度になるのであります。本農林委員会は、農家経済現状、供米の停滞しておる現在の原因等に関連して、これらの算式を慎重に比較検討の結果、米価審議会答申案は、本委員会前記決議趣旨に沿うものであるとの結論に到達したのであります。よつて委員会は、政府が遅滞なく前記米価審議会答申案に基いて、二十八年度産米に基本価格並びに加算分払額決定し、かつ所要の財政措置を講ずべきものであると認める次第であります。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの芳賀君の発言に対して、御意見があれば発言を許します。
  5. 川俣清音

    川俣委員 ただいま各派提案に基く芳賀委員趣旨弁明に対しまして、賛意を表するものでありますが、ただ誤解のないように、この際明らかにいたしておきたいのであります。本委員会がこの決議をするに至りましたのは、数回にわたる二十八年産米米価に対するわれわれの意見を申し述べ、しかも将来にわたる米価あり方等から見まして、また今年の作柄が異常な作柄でありましたために、内地米需給状態から見まして、今後なお政府が幾多の手を打たなければならない様想を示しておるわけであります。従いまして政府の期待いたしておりまする二千百万石あるいは端境期に参りまする状況等から判断いたしまして、また二十九年産米早食い等から考えまして、早期供出を望むという政府態度から見まして、政府米価対策について不信を買うようなことになりまするならば、二千百万石はもちろんのこと、早食いいたそうとするところの早期供出も困難となつて参りまして、いよいよ社会不安を助長するような情勢を示しております。この情勢下に、端境期であります七月、八月におきまして、米価やみ価格が高騰することも憂慮されなければならないわけであります。その意味におきまして、農林委員会は、政府信頼農民から保たれるように、すみやかに米価審議会決定を尊重されて、その決定である九百三十二円を減収加算としてすべきである。仮払いの五百円を引きまして、四百三十二円を出すことが、政府農民信頼を保つゆえんであるということを強調いたしまして、私の意見を開陳いたす次第であります。
  6. 井出一太郎

    井出委員長 他に御意見はありませんか。――別に御意見もなければ、これより採決いたします。  ただいまの芳賀君の提案にかかる昭和二十八年産米に対する凶作加算追加払に関する件を、本委員会決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、本件の議長に対する報告並びに政府に対する参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。  なお、ただいまの件に関連いたしまして、政府より発言を求められております。これを許します。保利農林大臣
  8. 保利茂

    保利国務大臣 ただいま二十八年産米に対する追加払いに関して御決議が行われましたが、御決議の御趣意はごもつともだと存じます。この二十八年産米価格決定、これに関連する諸問題に関しまして、今日まで当農林委員会で非常な御配慮をいただいて来ておりますことは、まことに感謝にたえないところであります。御存じのように、昭和二十八年産米作柄は、当初から異常に不良であると予想されましたため、生産者価格決定は例年と異なり、非常にむずかしい問題を含むに至つたわけであります。米価審議会に対する政府諮問案は、二十七年産米と同様、基本価格パリテイ価格七千二百四十五円に四百三十円の特別加算額を加えて、七千七百円としたのでありますけれども、去る九月二十一、二日の両日にわたつて開かれました米価審議会におきまして、政府原案は二十八年産米の異常な凶作という特殊事情を織り込んでいないという御議論が行われ、しこうして「現下の事情に鑑み、政府諮問生産者米価は不適当と認める。」という答申を受けた。さらにその附帯事項として、「凶作度を早急に把握し、さし当り石当り五〇〇円の減収加算額を概算払いすること。なお減収加算については審議会においてその算定方式検討し清算すること。」と要望せられたのであります。そこで政府は、九月二十九日の閣議で、二十八年産米基本価格を七千七百円に減収加算額の概算払い五百円を加えまして、八千二百円と決定をいたし、この取扱いにつきましては、減収加算額は、推定実収高が判明いたし次第別に定めるところにより算定し、その額が五百円を上まわるときは、その差額を支払うこととする、という了解事項決定されたわけであります。これは閣議のことであります。その後減収加算額算定方式検討いたしまするため、米価審議会委員会を前後五回にわたつて開いていただき、御検討を願いました結果、小委員会案が作成され、これをさらに十二月二十三日の米価審議会において検討せられました未、答申案が可決されたのであります。そこで十二月未に推定実収高が判明いたし、全国の反収が八四・三%と決定いたしましたので、いよいよ減収加算算定方式決定し、清算することが必要になつたのでございますが、この答申通り算定方式によりますれば、ただいまお話もございましたように、さらに石当り四百三十二円の追加払いが必要になるわけであります。しかしながら二十八年産米の各府県別減収率分散度は、平年に比べまして著しく大きくありますため、これを平年作の場合の各府県別分散度を考慮して調整する必要があると認めますので、減収率分散度調整係数アルフアを用いまして、算定することが妥当であると政府考えておるのであります。これが小委員会におきまする少数意見でもございまして、これにより計算いたしますと、追加払い石当り五十三円となるわけであります。政府といたしましては、二月十六日米価審議会懇談会をお願いいたしまして、以上の経過を報告したのでございますが、懇談会は「政府審議会答申した算定方式によつて減収加算額を算定し、清算払いをすること。」という建議を可決せられたのであります。私といたしましては、これらの経過にかんがみまして、十分検討いたしたのでございますけれども、今日の財政事情食管会計の内情及び消費者生活状況等国民経済全体を考慮いたしまして、分散度調整係数アルフアを用いる算式を採用いたしまして、減収加算額石当り五百五十三円と決定をいたし、さきに概算払いいたしました五百円を差引きまして、五十三円の追加払いをすることにいたしたいと考えた次第であります。ただ五十三円は、一俵当りににしますれば二十一円二十銭となり、取扱い上からもいかがかと存じますので、これを一俵当り二十二円といたしまして、石当り五十五円といたしたいのでございます。かように慎重に各般事情検討いたしまして、財務当局とも協議を遂げ、一面現在の米価審議会で、いつぞやの米価審議会でも申し上げましたように、この減収加算の問題は、現在の米価審議会委員の在任中に御決定をいたしたいということを申しておりました関係もございます。すでに米価審議会委員の任期が尽きんといたしておりまするやさきでもありまするので、今朝の閣議に右の次第を諮り、決定をいたしたようなことでございます。農林委員会の御決議趣旨に体しましては、今日まで深くその実現を期しまするよう努力もいたして参り、また一面各般事情を勘案いたしまして、政府責任においてかくのごとき決定をいたしたわけでございます。この点につきましては、あるいは前後手違いがあつたろうかとも存じますけれども、各位の経緯に対する御了承を仰ぎたいと存ずる次第であります。
  9. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの農林大臣発言に関連しまして、質疑の通告がございます。順次これを許します。吉川久衛君。
  10. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいま大臣経過の御説明の中にもありましたように、当初生産農民に対してほとんど確約にひとしいところのこの凶作加算の問題でございますが、それがお話通り八四・三%の減収率がはつきりしたということで、九百三十二円を、五百円を差引いて四百三十二円のバツク・ペイをしなければならない。しかしながら本年の作柄からいたしまして、各府県別分散度がはなはだしい。そこで調整係数アルフアというものを出して、調整をとらざるを得なくなつたのだ、こういうことをおつしやいますけれども、私の一番憂慮することは、一たび農民豊凶係数によつて算定をしたところの数字をもつて加算をするというようにのみ込ませてしまつた後において、政府として、各般事情もあつたでありましようし、あるいはまたこの各府県別分散度調整必要等もお考えなつたでございましようけれども趣旨が一貫しないために、非常に政府のとられた措置というものに対して農民不信を抱かざるを得ない。そういうことが今後の供出に影響するところが非常に大きいと思うのです。最近の食糧庁の申される供出状況、それによつて需給推算等については、私は非常に心ぼそいものを感ずるのです。ただいま国際収支関係が非常に悪化をいたしておりまするときに、足らざるところを外国に依存するということも、きわめて困難な状況にありますときに、国内でできるだけ確保しなければならないものを、農民不信買つて、そして予定の数量が確保できないということになつた場合に、一体政府はどういう責任をとられますか。私は単なる責任を追究するということよりは、さような責任を問はなければならないような問題の起らないように、ひとつ事前にできるだけ配慮をされてしかるべきであると考える。このわずかなバツク・ペイの問題を、政府のいろいろな事情で、筋を通さずにごまかしてしまうということは、二十九年度の農林関係の、特に食糧増産関係予算削減等から勘案をいたしまして、これは重大な欠陥が生れて来るということを私は憂慮するのですが、大臣は、その点について別に心配をされたことはございませんか。もし私と同じような憂いを持つておいでになるならば、この際四百三十二円のバツク・ペイをやつて、当初の方針を一貫されて、そうして国民信頼をつなぎとめるというような態度をとられることが、私は政府としてのとるべき態度ではないかと思うのです。私たちの希望するような態度をとられんことを私は要望し、大臣の所見を伺つておきたいと思います。
  11. 保利茂

    保利国務大臣 吉川さんの御懸念いただきます点は、まことにごもつともだと存じます。この凶作係数という扱い方が、従来とられておりませんために、今年特殊な作況のもとに、こういう新方式を採用いたし、この取扱いにつきましては、私どもも非常に苦慮いたしたところでございます。率直に申しますれば、そういう御不満の向きも相当多かろうと存じます。また一面から申しますると、すでに二十八年産米価格決定し、五百円の減収加算を加えたということに対しても、国会の中におきましても、私は相当異論や苦情をいただいておるわけでございます。これはとりもなおさず、相当凶作で、少し農民を甘やかし過ぎているのではないかという御不満相当出ておるわけであります。この中において、この減収加算をどう取扱うかということについては、私どもしましては、できるだけ生産農民の意欲に適応する措置を購じて、そしてただいまお話のような食糧事情に、さらに農家の御努力をお願いいたしたいという趣旨努力をいたして参りましたけれども、一応消費者米価をこれ以上動かさないという現在の考え方、並びに食管会計は御承知のような実情にあり、財政関係からいたしますれば、さらに緊縮を増せという何はありましても、そこからもまた出て来ておるわけですし、かたがた私どもとしては、最善のくふうと努力をいたしました結果が、この処置に相なつたわけでございまして、政府誠意を十分ひとつ農家にも徹底をいたすようにして、さらに今日私どもの重要な責任になつております供出問題に対処して行こうと考えておるわけでございまして、相当努力を要するとは私も思つておるわけであります。この決定の推移につきまして、私ども誠心誠意、とにかく農家実情に即した決定をいたしたといういきさつについては、これはひとつ全農家の方々もお認めをいただくようにお願いいたしたい、こういう気持でおるわけでございます。
  12. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は今申し上げた程度でおくつもりでいたのでございますが、大臣は、政府のこの考え方を全農家徹底をさせるとおつしやいますけれども徹底はしないのです。たとえて申しますと、営農資金を二百二十億国会できめまして、そうしてその営農資金は一戸に十五万円、北海道は二十万円、大家畜一頭に限つて三万円というような線をきめました。農家はこれを信じて、十五万ないし十八万来るものと思つていたのです。ところが、実際は第一次の配分、第二次の配分はまだ農家の手元にまで行つておりませんが、とにかく全額行つても、一戸平均一万円未満という現状なんです。十五万円は来るであろうと思つていたところへ、十五万円の十五分の一の一万円も来ないという、こういう配分の仕方です。これは農林省のその指導徹底していなかつたのじやないかと思うのです。あるいは地方にまかせ過ぎたのかもしれませんが、そこらあたり大臣は、政府施策徹底するように努力いたしますとおつしやいますが、お言葉だけでは、このたつた一つ営農資金の問題をとらえてみただけでも、徹底していないのです。そのために、来るであろうということを予見して、凶作地農家は、手にあるところの購買力をありつたけ去年の暮までに発揮してしまつたのです。これはやはり政府施策がよくないために、指導徹底しないために、そういう恐るべき現象が現われて来ております。それですから、大臣は、一生懸命これから政府の苦労している立場を徹底させたいとおつしやいますが、これはとてもそんな簡単なわけには参りません。よほど真剣に腹をきめてやつていただきませんと、非常に憂慮すべき事態が起ると思いますので、特にこの点御注意を申し上げておきます。国会の中にも、農民を甘やかし過ぎたという考え方があるという、それからまた大蔵省あたりでは、凶作ブームだということを盛んに言われますが、私は予算委員会において、この問題をずいぶんしつこく大蔵省に申し上げておきましたけれども農民凶作のために甘やかし過ぎたということや、大蔵省の諸君のよく言うところの凶作ブームということを、大臣は信じておいでになるのですか。そういうことを信じておいでにならなければ、私は五十五円ばかりのバツク・ペイをおきめになるはずはないと思うのです。その辺はどうなんでございましようか。私もうこれ以上お尋ねはいたしませんけれども、ひとつその辺の事情を、国会を通じて全農民に明らかにしておいていただきたいと思います。
  13. 保利茂

    保利国務大臣 第一段の営農資金の問題は、法律にもお示しいただいておりますように、最高限が今お話のようなことになつて、本来言いますと、特に冷害対策の方面におきましても、あるいは臨時救農土木事業起し方にいたしましても、あるいは営農資金扱い方にいたしまても、ほんとうを申しますれば、私どもで直接手が届きますならば、自治体にまかせたくなかつたわけでございます。ほんとう減収といいますか凶作は、村によりましても、必ずしも一律にべたに受けているところばかりでなしに、相当村の中においても、作況でこぼこはあつたわけです。従つてそのでこぼこの中において、ひどく受けているところにはよけい営農資金が行くように、そうでないところにはまたそれに応じた程度のものが行くように、そうやらない限りは、どうしても今お話のような非難が出て来る。これは私は町村のほんとう責任だと思う。理事者ほんとう責任を持たれてやられておるならば、ただいまお話のようなことは、ある程度なかつたんじやないか、また今日も私はそう思つております。必ずやそれぞれの凶作事情に応じた扱いをされておると思いますけれども、ただ営農資金が来るんだと、それはもう十五万円、十八万円必ず来るんだと、こういうふうに、実際の被害が、あの法律に示しておるような条件に合わなくても、資金といえば十五万円だ、もしこういうふうに思われておつたとすれば、そこにお話のような感じが多いじやないかと思いますけれども、これはもう吉川さん御承知のように、これこれの条件になればこれだと、こういうふうなことになつておりますから実際は平均率を言われますと、そういう結果になろうかと思います。そこでこの間吉川さんが、予算委員会で、非常に御心配をいただきまして、御質問もいただいておりましたから、その実際の状況につきましては、すぐ官房長にも、お話のようであれば困るがということで、調べをするようにいたしておるわけであります。調べてからどうということでもないわけでありますけれども、どろなわにならぬようにしなければならぬ、こういうふうに思つておるわけであります。この間農村のことを心配していただいて、予算委員会で非常に農村のための御意見をいただいたことは、私は、大蔵当局に対しても、相当の啓蒙の効果があつたと感謝いたしておるわけであります。私は前回の農林委員会でも、この点に関しましては、吉川委員にお答えいたしました通り、たとえば端的に申しますれば、ただいま問題になりました減収加算にいたしましても、これはどうもよけいできたところにそれがよけい行くことになるわけですから、農家経済のアンバランスというものは相当顕著なものが、個々について言えば、これは否安定できないと思います。しかし全体としてはどうなんだ。全体としては凶作ブームというようなことで表現し得るような、そんな実情にはないと思います。ないどころか凶作地帯農家逼迫度相当ひどいものがあるということを、私は心配をいたしておるわけでございまして、先日申上げた通り考えを今日も持つておるわけであります。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 私はきようは多くを申し上げたくなかつたのでありますが、ただいま本委員会満場一致決議に基く凶作加算追加払いについて、閣議決定に基く大臣の御所信を承りまして、まことに遺憾に存ずるものであります。大臣も御所信の開陳において述べられたごとく、まつたくこの凶作加算に対する昨年末以来の米価審議会の昼夜をわかたぬ真摯なる検討の結果、真に筋の立つた学問的な論理の通るりつぱな算定法式が、しかも満場一致決定によつて政府答申をされ、さらに今月の十六日の委員懇談会においては、さらにこれを確認して政府善処方を要望いたしておるのでありまして、これを一方的に政府が無視をされまして、本日閣議で御決定なつたことは、いろいろりくつはありましようが、農林省を主管せられておる大臣として、大蔵省の圧力の前に遂に屈伏をせられ、全国農民に多大の失望と憤激を与えておることは見のがすことができないと私は存ずるものであります。私どもは、ただ単に反対せんがために事態を混乱に陥れ、あえて農林省当局を窮地に追い込んで得々たるものではありません。少くとも権威ある米価審議会答申に基いて、当然政府は、十全を得ないまでも、ここにはある程度の政治的な責任を持つて解決しなければならない義務と責任があると私は思う。それを何ぞや、五十五円のきわめて小額な、とるに足らない金額を本日閣議決定大臣がサインをせられたということについては、私は全国農民に対する大臣の政治的責任は重大であろうと思う。その結果はどういう事態になつて影響が現われて来るかは、やがて事態が証明するでありましよう。現に供米は頭打ち状態になり、先日の本委員会における前谷長官の供米の現況報告によれば、二千万石の確保はとうてい困難にわれわれは思つております。かりに、二千万石の供米を確保したとしても、まだ当初における需給計画の二千一百万石を割ること、はるかに一百万石であります。この一百万石はおそらく今米穀年度中には私は集まらないと思う。農民政府のとつておる不信行為に対して、これを看過するようなことは私はないと思います。その結果はいかような事態を招来するかは自明であります。すなわち現に配給基準量を米の場合割らなければならないような事態がすでに予想されると同時に、もしこれを当初の計画の通り需給を進めて行こうとするならば、当然外米に依存をして行かなければならず、その外米に依存をするとなれば、必ずやそこに、補給金の問題が国家財政に現われて来ることも、いまさら申し上げるまでもございません。従つてこれはただ単なる事務上の問題ではなくして、今後において農林省が、農民に対するところの大きな責任と使命をいかに達成するかということに対する大きなあやまちを犯したものであろうと私は思う。この一事をもつて今後の日本の農政の上に少からざる暗影を与え、今後の日本の食糧増産の自給度の向上と農民の政治に対する信頼感を著しく失墜し、その結果は食糧自給に一大暗影を投ずると申して過言でないと私は思います。大臣からいろいろ心境の御開陳がありましたけれども、私はそういう点から、この問題については職を賭して今後も闘うべきであると思う。せめて四百三十二円の数字に近いものを得られるならば、あるいは時の国家の財政事情や、あるいは諸般の情勢から考えて、農民もやむを得ないと考えるでありましようが、この程度のもので凶作加算の追払いなどとは、農民もおそらく受取らないでありましよう。米価審議会の二月十六日の懇談会においても、凶作加算の小委員長であつた京都大学の大槻教授は、五十三円や五十五円の金であるならば、農民はむしろ欲しないであろう、政府もまたさようなものを支出すべきではないのではないかという意見すら、この中立的な立場に立ち、みずから凶作加算の算定法式の委員長であつた大槻博士も概嘆の意を漏らしておることを、大臣もお聞きになつたでありましよう。そういう点から、本委員会決議がたとい閣議決定のあとであつたとしても、自由党を含むすべての委員満場一致決議であり、しかも過日の十六日の建議、その前の算定法式の諮問案の答申の法式、米価審議会の与野党のわれわれの同僚は、すべてこれを一致して支持しておるのでありまして、その与党から御出身になつておる農林大臣としては、あらゆる角度から見て当然職を賭してでもこの問題に邁進し、解決しなければならない事務的、政治的すべての責任があつたと私は考えてさしつかえないと思う。私はこれ以上申し上げませんが、少くともこの問題は、消費者に対する消費基準の問題に今後及んで行き、さらに昭和二十九年の産米の供出制度がいかように変更され、改訂されたとしても、大きな支障となつて現われることをお考えにならなければならないと思いますが、少くとも私はそういう見地から二つの点をお尋ねをいたしたい。  すなわちもしこのような政府閣議決定を実行せられた場合に、供米が予定の数量に達しないときには、消費者に対するところの配給基準量を、当初計画のごとく確保する確信があるかどうか、これが一点。なおこれに関連して昭和二十八年産米の二千百万石の国内確保について、もし確保困難な場合には、政府はいかような責任をおとりになるか、相関連して伺いたい。  さらに第二点としては、去る二月十六日の米価審議会においては、審議会答申算定方式によらざる場合は、あらためて米価審議会にはかれと満場一致建議をいたしておることは、先刻大臣も申された通り明らかであります。われわれの聞くところによれば、政府が過日米価審議会委員の任期を二月間延長をされまして、その審議会委員の任期中にこの問題に対してピリオツドを打つという決意を示されたのでありまするが、その任期はすでに今月末で尽きんとしておりますが、たとい十日のあやめとなつても、米価審議会の今日までの公正にして真摯な論議に対しても、当然米価審議会をお開きになつて、事の経過を十分に御説明になると同時に、算定方式の根拠等についても、十分これを御解明になる責任が私はあると存じます。大臣はそういう点において、米価審議会の任期中に正式な審議会を開いて、この凶作加算の取扱い方に対するところの、政府責任ある御所信を表明され、御説明になる意思があるかどうか。同時に審議会意見を求められる意思ありやいなや。この二点についてお伺いをいたします。
  15. 保利茂

    保利国務大臣 この減収加算の問題は、本来からいうと、むろん凶作がもたらした問題でございますから、著しく減収を受けた農家供出をする、その米に特別の措置をとるということだと、これは非常に話が通つて行きます。これは根本の問題になるわけですけれども供出余力のないような減収を受けた人は、これによつて何らの恩典がない。むしろ作況のよかつた、恵まれた農家にこれが、つまり普通の基準米価以上の恩典が行くというところに、国会の中におきましてもいろいろ論議がある。当然のことだつたと思いますけれども、しかしそこで、それはそれとしてとにかく米の供出と言いますか、供給力と申しますかが減るわけですから、それによつて減収加算考えろという米価審議会の御意見は、これまたごもつともで、その線に沿つてまた考えたいと思つております。米価審議会の結論として答申せられておるのにも、学問的な非常に権威ある根拠があり、また答申には至りませんでしたけれども少数意見として、足鹿さんもよく御承知通り減収度合を勘案するという説についても、私は学問的に相当の根拠のある御意見であつたと思います。結局米価審議会答申通り決定できますれば、これはもう問題はないわけですけれどもこれは全体から、消費者の関係食管会計現状財政状況等の、全体から関連するところから見まして、今度決定いたしたところが、これとてもそうたやすくできているわけではないのでございまして、この点はよく御承知であろうと思いますから、申し上げる必要もないと思います。これによりまして、とにかく政府の、減収加算取扱いについての誠意は、ひとつ農家の方にもわかつていただいて、供米を確保いたして参りたい。今日、消費配給率を落すとかいうことよりも、私どもとしては、何としてもこの年度の配給率は維持したいということでございまして、さらに供米にも全力をあげて行くつもりでおります。従いましてただいま配給基準量を減らすとかふやすとかいうようなことにつきましては、今日の段階では、ただ確保して参るという方針を明らかにいたして、その線で努力をいたして参るということで御了承を願いたいと思います。  なお米価審議会関係につきましては、だんだんこの問題に関しまして、数次の御審議をわずらわし、十六日の懇談会でも、非常に御熱心な御討議をいただいて御建議を受けております。米価審議会の、承るべき御意見については十分伺つたわけでございます。そうしてお話のように、ただいまの委員の任期中に、この算定問題を解決するということの方針にのつとりまして取扱つて来ていることでございますから、ただいまのところは、米価審議会をさらに開こうという考えは持つておりません。
  16. 綱島正興

    ○綱島委員 これはただいまの問題とは全然別でございますけれども、非常に急がなければならぬ問題でございますから、ちよつと伺つておきたいと思います。  先ごろ奄美大島が復帰いたしまして、私あそこに参つたのですが、施設上非常にあの島民が困つていることがございますので、それに対する御処置をどうなさるおつもりか、一応伺つておきます。農林大臣よくお聞きください。  第一点、植物検査、このことが一向行き渡つておらぬようでありまして、非常に困つているようです。これはどういうように御処置くださるか。これは多分報告には来ておらぬと思いますが、私は行つて来ましたから、至急これをやつていただきたい。  第二点は病虫害防除機械、これはアメリカとの関係で、非常に虫類が入つている。どうせ日本に多くの植物をあそこから持つて来てやらなければならぬが、持つて来てやるには、このことを早くやつていただかなければならぬ。特にありもどきというのが非常にはびこつてつて、さつまいもが全滅している。これなども技術官を御派遣になつて特別な御処置を願いたいと思いますので、これについてもお考えを願いたい。  それから第三点は、農産物の出荷の問題です。この出荷について、大蔵省が出荷港を現在指定しております。ところがこれは税関を中心にして出荷港を指定しておりますので、非常に農民に不平が鬱積している。昔の貿易に関係があるところを指定しております。ところが黒糖がすぐ出荷時期になつておる。それでこの出荷港を……。
  17. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと綱島委員に申し上げますが、少し議題からはずれていますし、これは食糧庁長官でも後刻御返事ができると思いますから……。
  18. 綱島正興

    ○綱島委員 大臣に御注意しておかぬとおそくなると思いますから……。
  19. 井出一太郎

    井出委員長 それでは簡潔に願います。
  20. 綱島正興

    ○綱島委員 それで植物検査官を派遣していただきたい。それから病虫害に防除の手続を早くやつていただく。第三は出荷港の指定を農産物の生産地を中心にしてお考えいただきたい。この点をひとつお考えください。
  21. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまお話の奄美大島の農産物の検査、植物防疫、あるいは出荷港の取扱いにつきましては、復帰後日が浅うございまして、私どもの方でもつまびらかになつていないのであります。至急係官でも出しましてまたお話を伺つて適切な措置をとるようにいたしたいと思います。
  22. 井出一太郎

  23. 今井耕

    今井委員 二十八年産米減収加算の問題についてお伺いします。これはたいへん重大な問題で、われわれ農村に帰つても説明ができぬと思います。それであらゆる角度から質問をいたしたいのでありますが、時間の関係があるようでありますから、私はその中心となる一点だけについてお伺いしたいと思います。それは分散度調整を織り込むということが中心の問題でありますが、大臣の御説明によりますと、これを織り込まないと豊作地方には歩がよすぎる。従つてこれを調整する必要がある、こういう観点から御説明になつております。ところがこれをよく検討しますと、米価審議会答申通り計算いたしまして、分散度というものを考えない場合におきましても、全国平均の推定実収の作況指数からいたしまして八四%以上のものは歩がよろしい。ところが八四%以下のところは分散度調整しなくても歩が悪いのです。米価審議会答申通り計算しますと、豊作地方が歩がいいからといつて、これに分散度調整してその分を引くならば、平均的な八四%より低い県は、それがためにより一層の犠牲を負うということになる。二重の犠牲を負うということになる。そこで政府から出されましたこの作況指数を見ましても、指数が八四以下の府県は、北海道を初めとして、福岡、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、富山、石川、福井、山形、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、奈良、この二十二府県は八四より低いのです。従つてこういう分散度を織り込まなくても歩が悪い。その歩が悪いところになお分散度を加えまして引いたならば、平均作よりは低いところが二重の犠牲を負つておるのです。従つて歩のいいところばかりを説明してここが歩がようなるか。歩がいいところが減るならよろしい。ところが歩の悪い二十二府県により一層歩を悪くしておる。そのことが隠れてあるのです。従つてこれはきわめて不公平な考え方です。従つてそれは財政的ないろいろなことはありましよう。しかしここに公平な理論が必要です。だから歩がよ過ぎたら歩がよ過ぎたところだけを下げるということをお考えになればよろしい。そうでなくても歩の悪いところがより一層歩が悪くなる。そういうことがはつきりここにあるのです。そういうことをお考えなつたかどうか。われわれ米価審議会といたしましても、そういう点を考えて、それは不適当である、こういうふうに断定した。これはどこへ行つても説明できないですよ。政府は都合のいいことばかり言つている。その犠牲になつておるところにより一層犠牲がかぶさつておる。この二十二府県に行つてどうして説明しますか。私はこの点が抜かつておると思う。たくさんありますがこの一点だけをひとつはつきりと御説明願いたい。
  24. 保利茂

    保利国務大臣 たとい三百円にしましても五百円にしましても千円にしましても、加算度を加えるということになりますれば、反収三石とれたところと、一石あるいは五斗しかとれないというところとには、その不公平はどうしても出て来る、私はこういうふうに考えておるわけであります。
  25. 今井耕

    今井委員 今の御説明はきわめて簡単で、私の真の意思が十分おわかりでないかわかりませんが、これは非常にこまかい問題になります。私はやつたら二時間くらいこれでやるだけの自信がありますけれども、時間の関係がありますからそこをやりませんが、それはこまかく御検討ください。どつちが正しいか。私の方が正しいことを私は確信する。
  26. 保利茂

    保利国務大臣 今井委員米価審議会におかれて、終始この問題で心血を注いで御議論をいただいて来ておりますから、かなり専門的な技術的な問題にわたり、私の答えではとうてい御満足行かないかと思いますので、食糧庁長官から一応の説明をさせることにいたしますから御了承願います。
  27. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの今井委員お話でございますが、御承知のようにこの凶作加算の問題は、この前にもるるわれわれの考え方を申し上げたわけでありますが、平年作におきまする一つの収入を維持する、こういう考え方に立ちまして、その平年作がいかにあるかということを考えたのでございまして、御承知のように作況指数につきましても、基準反収というものも一つの幅があるということは、米価審議会の御答申の場合におきましても、基準反収それ自体に幅があるということも考えられておるわけであります。同時に平年反収という場合におきましても、その平年反収がいかなるものでなければならぬかという場合におきまして、その平年反収にも非常に作柄の不均衡な場合におきましては幅がある。その幅の概念というものを何によつてつかまえるか、こういう考え方をとつておるわけでありまして、基準反収につきまして幅を持つと同時に、本年実験しました実収反収についても、幅のある概念としてわれわれはこれをとらえる。その幅をいかなる形において見るかという考え方といたしまして、分散度の問題をとらえたわけでありまして、これは統計学的にも一つの幅のある概念であるか、一本の概念であるか、いろいろ議論があると思いますが、少くとも基準反収につきましても幅のある概念でありますし、実収についても種々の幅のある概念として取扱つて参りたい、こういう考え方で取扱つて行きたいと思います。
  28. 今井耕

    今井委員 いろいろ御答弁がございましたが、御答弁は私の質問の重点に触れておりません。しかしこれをやつておると時間が非常にかかります。しかしその説明は私の質問の重点を解決しておらない。従つて保留いたします。
  29. 井出一太郎

  30. 川俣清音

    川俣委員 私この際大臣に二、三点重要な点をお尋ねしておきます。農業政策というものは、最も多くの農民を相手にいたしておりますために、その政策は単純で明快なものでなければ、なかなか徹底しないものであります。一度不信を買いますると、その挽回は困難なものであります。少数の事業家の場合は、説明をいたしまして簡単に了解のつくことでも、多数の農民を相手にいたします場合においては、その政策が長く持続されるものでなければなりませんし、最も単純明快なものでなければ、政策としては成り立たないと思うんです。そういう意味で、今度の減収加算にいたしましても、政府としては急激にその態度をかえまして、何らかの減収加算について分散度考えるというようなやり方は、農民信頼を失うことになると思うんです。大臣はその例といたしまして、凶作景気が出ておるから、あるいは凶作を受けたものの反面において、作柄がよかつたものがあるから、そういうものに対する何らかの方策を考えなければならないということから分散度考えたというような御説明でありましたが、これはとんだ間違いであります。ということは砂糖の例をとつてごらんなさい。政府が外貨の割当を減らしたということのために、恩典を受けているのは消費者でなくて事業家じやないですか。この為替割当の恩典を受けたものに対して黙認しておりながら、農民だけに凶作加算について分散度考える。同じ農林省の政策の中に、一方打たなければならぬ手は放任しておいて、なぜ農民だけにこれを強要しなければならないとお考えになるのか。砂糖の外貨割当のために、どれだけ今の製糖業者が利益を受けているんです。現に問題になりつつある。その方の手も打つて、すべての手を打つて、最後に農民の方だということなら、まだ幾分考えられる余地もあります。その方は打たないで、これだけ考えるということは、多くの農民を単純、明快にしておかなければならぬのにかかわらず、一番不明朗であろうと思うが、この点に関する所見をお伺いしておきます。  第二点は、今度突然水稲について分散度考えるということですが、御承知通り麦の方は最も分敢度のはげしいものであります。しかも法律にあえて明記をいたしまして、豊凶係数を見なければならない規定が麦には出ております。この一番分散度のはげしい麦については、今まで分散度というものは一向に考慮されなかつた。これは農業学者に言わせれば、水稲が一番分散度が少く、その次は麦であり陸稲でありますことは、私が説明を要しない。最も豊凶係数を見なければならぬ麦、しかも麦というものは分散度が一番はげしい。これは私が説明するまでもない。きよう資料が出されておる陸稲のごときは、二十三年に一六八%のときには、長野県かどこかだと思いますが、五百何パーセントというところが出ておるはずです。五倍も四倍ものものがある。逆に少いものもある。これは非常に分散度のはげしいものなんです。この分散度のはげしい方から問題を解決しないで、最も分散度の少い水稲から始めたということはどうも理論的におかしい。この議論をして行きますと、時間がかかりますから申し上げませんが、豊凶係数が現われておりまするほど分散度がはげしく現われるということが、豊凶係数が出て来るゆえんなんです。また豊凶係数が出たから分散度考えるといたしまするならば、今、今井委員から申されたように、作の悪いところに対する政策が相伴つておればこそできるのです。そういう点についても勘案なしに、単に一片の学者、しかも農業技術に卓越しておるといいながら、実際の農業を知らざる学者の意見をもつて予算措置の都合上、その説を類例して政策を立てるがごときは、私は誤りじやないかと思いまするけれども、この二点についての御答弁を願いたい。
  31. 保利茂

    保利国務大臣 最も多数の農民を対象としての施策は単純、明快でなければならぬということは、私も全然同感でございます。ただこの減収加算の問題は、米価審議会答申にも学問的根拠があり、政府決定いたしましたものにつきましても、これに対する学問的根拠があると存じます。その結果、金の多い方はわかりやすいけれども、金の少い方はわかりにくいというような結論のように聞えますけれども、これは私は今日までの経緯を十分農民においてわかつてもらえば、理解いただけるんじやないか、こういうふうに考えております。麦の豊凶係数につきましては、これはむろんお話通りの性質を持つていると思います。ただ今年の米作は、御承知のように地域による豊凶の度合が非常に高いので、それを調整する必要はあるのじやないか。麦のことにつきましては、今後のことについては十分考えて行かなければならぬ、ただ米につきましては、二十八年産米作況の実態からいたしまして、こう考える方が妥当じやないか、こういう措置をとる方がいいじやないか、こういうふうに考えたからであります。
  32. 川俣清音

    川俣委員 私は論争をしようとは思いませんが、大臣、それは事務当局からの説明が非常に誤り伝えられておる、あなたがもしほんとうにそうお考えになつておるのなら。豊凶係数がはげしければはげしいほど分散度がはげしいのです。これはあなた方の統計の中に出て来ておる。二十七年が約一〇一%のときは豊凶係数が最も少い。もう九三に豊凶係数が出て参りますと、一〇・七〇と分散度がかなりはげしくなつて来ておる。豊凶係数が現われるということは分散度が現われるということなんです。どこかに異常な作柄が出て来ればこそ異常なので、作柄が日本全部が一定に近いというような場合は全部一定でしよう。これは一定でしようけれども、八〇%とか七〇%ということになると、どこかは平年作に近いけれども、どこかは皆無に近いというような分敢度が日本の農業の実態から出て来るのです。長年の統計においてそうなんです。長年の統計がそう出ているのに、今年だけそれを使おうとするところにどうも不明朗なところがある。長年出て来ていないのなら別ですが、長年出て来ておる。あなたの統計を出されておる。この中にも明らかに出ておる。統計自体に出ておる。出ていないのなら別です。それを今年だけ使おうということはおかしいじやないか。他に理由があつて、その理由の説明ならまだ了解できますよ。学者の説明というけれども、学者が認められるのなら、日本の二十年の歴史を見てごらんなさい。豊凶係数がはげしければはげしいほど分散度ははげしい、これは明らかなんです。日本のように南北が非常に長いところでは、水害を受けたり台風を受けたりするのは、日本全部を襲うのは少い、ある一部を襲う。そのために全体の収量の中の一部が減収するということが出て来る、これは今井委員が指摘された通りなんです。こんなようなことが出ておるのに、今年だけに限つてこれを用いられる理由が不明朗なんです。金が多いから最も明快だとか、少いから不明朗だというようなことじやないのです。今まであなた方が五百円をきめられたときに、九〇で五百円内外ときめられた。それが八四になれば大体どのくらいであるかということは想像がついておる。あのとき九〇というのは大体五百円内外、五百円を少し越える。それが八四になつたら大体どのくらいということは、常識的に考えられておるのです。そういう一定のわかつたことを、あとで学者がこうだああだと計算で説明されても、なかなか理解できないのじやないか、こういうことです。あの五百円のときには、五百円は多いから不明瞭じやない。九〇で大体五百円ということは常識的に考えられ、一般の常識と合つているから問題はない。あれが九〇であつた場には何も出さないでも誤解は受けない。この点どうですか。
  33. 保利茂

    保利国務大臣 米について減収加算といいますか、豊凶係数をやつたのは、今度が初めてであるわけですから、従つて減収加算の最終決定については、将来に例を引くわけですから、これは相当慎重を要する。そういう上からいたしまして慎重に検討いたしました結果、将来に米価決定の現行が続くということを前提にしてのことでございますけれども、これをまたやり方をかえて行くということになれば別でありますから、将来に現行が続くものとして検討をいたしました。昭和二十七年以前にはこういう扱いをしていることは私はないと思います。供出でありますとか、米価でありますとか、そういうものが関連しておるから、凶作というわけでこの問題が飛び込んで来た。それで取扱いに慎重を要したという問題でございまして、将来の一つの例を開くものという上においてそれだけに私は決定には慎重を期したわけでございます。
  34. 川俣清音

    川俣委員 私の説明しているのはそうじやないのです。平年作と異常な係数が現われたから分散度を見る。平年と異常な作況を示した。異常な作況を示すのはことしだけじやない凶作であればあるほど分散度がはげしいということは明らかなんです。ことしだけが分散度がはげしいのじやないということを言つておる。平年作との開きがあまりに大きいから分散度を見るのが分散度の建前です。開きが多いということは、凶作であればあるほど開きが大きいのだ。これは日本の過去のデータがあまりに明らかに示しておるということを言つておる。平年作との開きが大きいから分散度をみなければならぬということを言つておる。同じ作柄でも、一様に作柄が悪いときには分散度を見ないでおいて――日本の農業上の統計は、作柄が悪いときは各県まちまちに出て来る。それをさしておるのです。そこでことしだけが各県の開きができたから分散度を見なければならぬ、こういうふうに主張されるから私は議論している。普通の作柄が悪いときは一様に悪いのだ、ことしだけがばらばらに悪いのだという説明なんです。それがおかしい、統計と違うじやないかと言つておる。統計の議論を大臣としようとするのではないのですから、どうぞ誤解しないでください。事務当局の説明、学者の説明が悪く大臣が間違つて理解されておるのじやないか、こう思うので、この点をお尋ねいたします。
  35. 保利茂

    保利国務大臣 なるほどそのことは多くの場合に私はその傾向を持つと思います。東北も悪い、九州も悪い、四国も悪い、一律にべたに悪いという結果が凶作になるというようなことではむろんないと思います。それは平年作から落ちるときは、どこか災害の非常に大きいところが出て来るということの結果であろうと思います。従つてそのこと自体は私は決して否定するものではございません。そういう中において減収加算という扱いをするのはどうしたらいいかということを、将来とも考えなければならぬであろう、それにはこういう考え方がいいじやないかということで決定をしたわけであります。
  36. 川俣清音

    川俣委員 それは非常な間違いです。作柄が悪いときは、悪いことをどうして勘案するかという点は将来残つております。それでわれわれに対する分散度の説明は、平年的に作況が悪い。一様に悪いのは分散度を見なくてもいいけれども、今年だけが非常なでこぼこで悪いので分散度を見なければならぬ、こういう説明なんです。大臣にはそういう説明ではなかつたのでしようか。一様に豊作の場合には分散度を見ない、でこぼこに豊作であつた場合、でこぼこ凶作であつた場合には分散度を見る、こういう説明がありました。ところがあなた方の持つておられる日本の農業統計は、異常な豊作の場合でも、異常な不作の場合でありましても減収歩合が非常にまちまちであるということが、分散度を見るという説明なのです。そういう説明を私らにはされておるはずです。どうも大臣の説明は違つておるようです。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 平年起つておる分散度よりもさらに著しい分散度が今年の場合は現われておる。しかし減収加算をする場合におきましては、私はやはり今年のような決定の例を開いておくことがいいのじやないか、こういうふうに考えております。     ―――――――――――――
  38. 井出一太郎

    井出委員長 これより臨時硫安需給安定法案を議題といたし審査を進めます。  本日は過般の本委員会決定に基きまして、ここに御出席をいただきました日産化学工業株式会社取締役井上辰夫君より、主として西欧諸国における肥料工業の実情について、親しく御視察になつたところを承り、本案の審査の参考にいたしたいと思う次第であります。それでは井上辰夫君の御説明をお願いします。
  39. 井上辰夫

    ○井上参考人 ただいま御紹介にあずかりました現在日産化学の取締役技術部長をやつております井上辰夫と申します。今日こちらで委員会がございますので、ヨーロツパ及びアメリカの主として硫安肥料につきまして、どういう状況であるか見て来た状況を話せというお話がございましたので、今日参つたわけでございます。  参りましたのは、一昨昨年の十月に出まして約三箇月ヨーロツパ及びアメリカをまわつてつて参りましたが、それより大体十何年前の昭和十四年から十五年にかけまして、約一箇年間ドイツのベルリンに行きまして、あそこに約一箇年ばかりとまりまして、主として肥料工業のことを研究しておつた経験がございますので、そのときも方方の肥料工場を見ましたので、ずつと以前のヨーロツパ及びアメリカの肥料工業の状態と、今回参りました状況を比較しながらお話を申上げましたら、日本の現状がどうであるかというようなことの御参考にもなるかと思います。そういう意味でかいつまんでお話を申し上げたい、こう思つております。  まずイタリアでございますが、イタリアは前に行きましたときは、主として電解法をやつておりました。水の電気分解で水素をつくつてアンモニアをつくり、それから硫安をつくるという方式を非常に真剣に研究をしまして、りつぱなものをつくり上げてやつておりました。私どもも非常にそれを高く評価いたしまして、日本にも日産化学、宇部興産あるいは秋田肥料または日東化学等にこの電槽が入つております。一番先に入れましたのが私どもでございますが、非常に優秀であるためにそれを導入いたしまして、日本でも盛んにやつてつたのでありますが、今回行きましたら、ノバラというところの肥料工場ですつかり電解をとめております。どうしてとめたのだというので私もびつくりいたしまして、いろいろ聞いてみますと、これはわれわれとしてはいかんともいたし方ないことであるけれども、天然ガスの非常な量がイタリアの中部で噴出したというのであります。これは終戦後でございます。その資金はいわゆるマーシヤル・プランの金を使つたのだ、こういうことをイタリア人が言つておりましたが、マーシヤル・プランの金を使いまして、徹底的に地下資源を調査いたしまして、ローマからちよつと北に寄りましたところに天然ガスの大きな脈があるということを発見いたしまして、非常に大きく政府が開発いたしました。この天然ガスを約四十里の間をパイプでひつぱつて来まして、その工場で使つておりました。そのために非常にアンモニアのコストが安くなつて来た。従つてこの安いアンモニアを使つて尿素をつくり始めておりました。この尿素につきましても、私が十数年前に行きましたときは、小さなプラントでやつておりましたのですが、今度は一本の反応管で日産四十トンというような大きなものになりました。さらにその横に、一日に一本で百トンできるような工場を建設中でございました。それはねらいはどこにあるかと申しますと、尿素は国内需要を目的としないで――若干の国内需要があるようでございますが、大部分のものはアメリカに輸出することを大きな目標にして、現在大きな工場を建設中でございまして、全部木のたるに詰めてアメリカに行くような包装でございますので、これはうそのないところであろうと考えております。そういうように天然ガスを原料にいたしまして非常に安くできたために、一挙に輸出をねらつた、そしてそれが非常な成績を上げて、イタリアの収入の大きな部分を占めるようになつたということを聞きました。私どもはこれは非常に参考になつたのでありますが、前に行きましたとき、小さなものでこつこつ研究していたものが、国の大きな収入をかち得るものに今日持つて来ている。それからなお非常な金をかけて電解法を整備していて、しかもイタリア人としては非常に得意であつたものを、一方に安いものができたというので、一挙にそれをかなぐり捨てまして、天然ガスの方に入つている。ただ、天然ガスが出たからそれでアンモニアができたというのではありませんので、天然ガスからさらにアンモニアをつくります主要原料である水素をつくるわけであります。この水素をつくる装置をまた研究いたしまして、りつぱにつくり上げておりました。それからもう一つは、御多分に漏れずイタリアでも賃金はどんどん上つております。また石炭などの原料も非常な値上りをしておるようであります。従つてこういう方面でもいかにしてコストを安くするか、消費量を少くするかというので、いろいろな研究をやられております。私がここで一つ声を大にして申し上げたいと思いますのは、何分にもアンモニアをつくります装置は、三百気圧、五百度というような危険きわまりない装置を使つておりまして、この装置にいろいろな手を加えることは、非常な危険をわれわれ技術屋として感ずるわけでございますが、イタリアの人は、これは天才的なところもありましようけれども、その合成管の横つ腹に穴をあけまして、中にパイプを入れて、その中に水を通して蒸気を回収しようというので、アンモニア一トン合成いたしますと、約七割の蒸気を回収するという装置を天才的にりつぱに仕上げておりました。私もびつくりいたしまして、その装置をつぶさに見たのでありますが、これは大したものだ――そう大したものでもありませんが、硫安のコストで相当ゆるがせにできないコストの部分を占めておりますのに燃料炭がございます。この燃料炭は蒸気をつくるために使つておるのでありますが、このイタリアでやりました、方法で行きますと、アンモニア一トンつくるのに七割の蒸気ができることによつて、そういう燃料炭の大部分のものがいらなくなつてしまつたということを聞いております。私もこれは非常に感心いたしまして、つぶさに研究いたしました。約一箇月イタリアにとどまりまして、発明者でありますハウザー博士、これは私ども前からよく御指導を受けている先生でありますが、この先生が発明されたので、その工場の副社長になつてつて、特許の数も三百幾つか持つており、世界の五本の指に数えられる六十くらいの人で、この人に一箇月くらいついてつぶさに研究して、これこそ日本に持つて行かなければならないという考え方になりまして、技術仮調印をいたしまして、日本に持つて参りました。それで私どもの方でも全部ロイヤリテイーを払いまして、この四月ごろから日産化学に建設いたしますが、その詳細を硫安界に発表いたしまして、今数社でこれを採用しようというところへ行つております。こういうものはどんどん採用していただきまして――何と言いましても肥料は安くなければだめなんでありまして、根本的な技術の改善によつてどこまで安くなるかということで、私も技術屋でありますので、これに真剣にとつくんでおりますが、こういうことが遺憾ながら日本ではできなかつたのであります。     〔委員長退席、綱島委員長代理着席〕  これと似たアイデアは私どもも持つてつたのです。今から十数年前に、すでに計算をやり上げて持つておりましたのですが、たつた一つ思い切つてできなかつたのは、その合成管の横つ腹に穴をあけてパイプをつつ込むのでありますが、そのつつ込みますのに中に水を通しております。御承知通り中の温度が五百度でありますので、一たびパイプが破れましたときには、いきなり水が五百度の温度になるので、蒸気が大爆発をやるおそれがあります。これはいろいろの点で防げるようになつておりますが、機械によることでありますので、非常な危険がある。これは材質が一番問題だというので、われわれもそれを放棄したのでありますが、その材料をイタリアでもいろいろ研究しましたが、遂にスエーデン及びドイツでこの材料を完成して使つたのに、このアイデアの成功のもとがあるわけであります。それではわれわれ日本でできないかというので、私はそのパイプの一片を持つて来まして、日本の有数なメーカーに示しまして、これは日本金属、日本ステンレスその他でございますが、それらに示しまして、こういうものはできないか、これは硫安を安くする目の前の問題なんだ、この材料ができなければそれはできないのだ、何とかして日本でできないか、できなければ一々外国から買わなければならないじやないかというので、熱心にこれを指導して参りましたが、遺憾ながらまだできておりません。しかし研究は、日本金属あたりで真剣にやつておいでになるので、日ならずして、外国のものによらずして日本のものでできるようになると私は思つております。それで、私の方で今度やります一基は、遺憾ながら全部ドイツから買いました。これを手本にいたしまして、日本のメーカーでできるようにやつて行きたい、各社もぜひこれをやりたいという希望が非常に強いので、早くこの材料からやり上げたい、こう思つております。これによりますと、燃料炭が非常に大きくセーヴできる、こういうことでございます。  それからもう一つイタリアでびつくりいたしましたのは、前に行きましたときには、現在日本で使つておりますのと同じような遠心分離機という装置を使つておりました。これは硫安の水分を振り切る、洗濯機の振切り装置のようなものでありますが、われわれが使つていたと同じものを使つておりました。私もやはりこんなものを使つているのかというような気持でおりましたが、今度行きましたら、同じ能力のものでありますと、われわれの方では四十五馬力動力がいるものを、それよりも約二割くらい能力が上つたものでありながら、三十五馬力で済むという遠心分離機を使つておりました。それで私もこれを詳細に調べまして、そのメーカーがどこかということを調べ出しますと、スイスのエツシヤー・ウイスという会社だということがわかりまして、間を見てスイスへ飛んで行きまして、エツシヤー・ウイスへ行つてその製作状況をつぶさに見て参りまして、これなら大丈夫だということがわかりましたので、これは私日本へ帰りましてすぐ、硫安協会でこれを詳細に発表いたしました。そうしましたら、これをお聞きになつた今までの遠心分離機のメーカーである月島機械が非常に感心されまして、ぜひこれは技術導入して日本でできるようにしたい。私もぜひ日本でつくつてもらいたいということをお願いいたしまして、両方の意見がぴつたりいたしまして、月島機械が技術導入されまして、これは日本で全部できるようになりました。遺憾ながらわれわれの方は、こういう点では全部イタリアに負けております。イタリアで気がつきましたのは大体こんなところでありますが、時間がございませんのでその次はドイツへ飛びたいと思います。  ドイツで私がびつくりいたしましたのは、こういうことでございます。とにかくドイツ人の肥料業者に会いますと、当時まだ輸出なんということはあまりいたしませんでした。東南アジア地区にもヨーロツパの硫安が来るということはありませんでしたが、会いましたうちの多くの人が、ドイツは硫安を輸出しなければいけない、それで外貨を獲得しなければだめなのだ。ドイツは日本と同じような状況で、原料としては炭酸石灰と石炭の幾らかと、あとは水と空気だ、ドイツと日本はこの点で非常によく似ている、だからお前の国も硫安は輸出しなければいかぬぞ、おれの方も輸出をするのに今一生懸命だということを言つておりました。戦争に負けたものでありますので、ドイツ人もわれわれも同様に負け国で行つたものですから、どこへ行きましても、お前日本人かというのでじきに飛んで来まして、飯を食つていましても、どこにいましても飛んで来て話してくれるという気安さは確かにありました。終戦後ヨーロツパへ技術屋として行つたのは、私が最初のように記憶しております。従つて化学工業を調べに行つた私が非常に珍しくて、前に来たときと今度とどうだというようなことを盛んに聞いておりました。とにかく輸出をするのだということを言つておりました。そこで私は日本へ帰つて来まして、イタリアにしろドイツにしろ、東南地区に日本が距離的な関係で安易に硫安が輸出できると思つたら大きな間違いだ、ドイツ、イタリアは虎視たんたんとしているということを、盛んに私は方々で申したのですが、オランダがそうであります。ベルギーが同じくそうであります。フランスもそういう考えを持つておりまして、何とかして窒素肥料を輸出したいという気持を腹の底から熾烈に持つております。それで日本がぼやぼやしていましたら必ずやられてしまうということで盛んに言つたものでありますが、ドイツ人は明らかにそういうことを口で言つております。そこでドイツ人はどういうことをやつているか、戦争前に私が行きましたときと今回行きましたときで、気持の点で根本的にで違つた点があるのであります。御承知だと思いますが、世界の五大化学工業会社の一つになつております、EG、インテレツセン・ゲゼルシヤフトというのがあります。戦争に負けまして東独と西独になりましたために、めちやくちやになりまして、ほとんどその六〇%くらいを東独にとられました。その一番主力工場でありますロイナーの工場もすつかり東独にとられております。従つてEG、インテレツセン・ゲゼルシヤフトじやなくて、昔の小さな発生のときはバデイツシユ・ソーダ・フアブリークと言つてつたのでありますが、今その名前にかわつております。そこでわずか六工場か七工場か持つておりまして、それでやつておるのでありますが、それではEGはたいへんなことだろう、利潤はどんなだ、どんなふうの会社の状況なんだということを聞きましたら、あるドイツ人はこういうことを言つておりました。何そんなことはないのだ、西独に属したEGは、バデイツシユ・ソーダ・フアブリークと言つて昔のような小さなものになつているけれども、その利潤は戦前を上まわつていやしないか、大体こういうことを言つておりました。それで私は、これは全然お話にならないと思つてつたのでありますが、さらに追究をしまして、どこがEGをそうさしたのかということを研究してみる必要があると思いまして、方々に行きましていろいろな人にも会い、EGのバデイツシユの工場にも三つばかり行きまして、見て参りましたが、こういうことなんでございます。今まで化学工業で使えなかつたと思われる低品位のものを、技術の改良くふうによつてりつぱに使えるようにしてしまつた。これをEGがやつたということなのであります。それがはつきりわかります。その証拠がどこにあるかということをぜひ見る必要がある。ただ口で言うばかりでなく、具体的に実際にこの目で見ようと考えまして、無理をしてがんばりまして、ドイツのルードイツヒ・ハーヘンという所にバデイツシユの工場があります。そこへ行きましていろいろ話しておりますと、硫酸をつくる原料のことでございますが、硫化鉱でございます。向うも硫化鉱を使つております。ところが品位が硫黄の含有量が二二―三%のものを使つております。私どもは技術屋の常識といたしまして、硫黄の含有量は三四―五%以上でなければ使えないというのが今までの考え方でございました。二五%のものでどうして使えるのだ、それじやどれくらいの低品位のまで使えるのかということを聞きましたら、一四―五%くらいまでは使える装置をつくつた、こういうことでございます。それではその装置を見せろということで見たのでありますが、その前に私どももそういうことについて幾分文献も調べ、またわれわれの基礎研究もできておりますので、私の方の会社でも根本的な研究はすでにやつております。しかし現実に向うでは大きな装置にしてやつておりますので、いささか、われわれにもちよつと早かつたなと思つて見たのでありますが、使つておりましたのは、二六%ぐらいのものを使つておりました。御承知だと思いますが、流動焙焼炉というものでございまして、一五―六%のものから使えます。しかもそれから出て来ますシンダーは、焼粉のことですが、これはあるいはパイライトでありましたかあるいはピロタイトでもいいのでありますが、非常に優秀な製鉄原料になるものができるのであります。この流動焙焼炉を使いますと、今までのヘレンシヨツプの炉だとかあるいはほかのウエンクの炉だとかございますが、そういうものを使つて焙焼いたしますよりも、そのシンダーがはるかにいいものができます。しかもここで一つ大きな特徴といたしましては、こういうことが言えると思います。これは研究途上でございまして、はつきりした結論ではございませんが、非常な希望を持つてわれわれ今研究を続行しておりますが、実は日本のパイライトの中には銅が大体〇・三あるいは〇・五くらいなものが入つております、この銅をいかにして抜くか、そのシンダーから銅を抜いて行けばより優秀な製鉄原料になるわけでございます。新聞紙上で見ますと、今年は五百五十万トンの鉄鉱石を輸入しなければならない。そのために一千万ドルですかの外貨を使わなければならぬということが、新聞に出ておりましたが、これはわれわれ肥料屋として、どうしてもこのシンダーを有効な製鉄原料にして、五百五十万トンも買う製鉄原料を幾分でもセーヴするということで、われわれはこれに努力しなければならぬというので、脱銅ということを今研究しております。浮遊焙焼炉を使いますと、脱銅が幾分楽に行くんじやないかという見込みを今持つております。その覚悟で今研究をしておりますが、その脱銅をしてさらにそれを製鉄の原料に持つて行くということで、研究してみたら非常にいいのではないか、こう考えております。  それからもう一つは石炭でございますが、アンモニアをつくりますにはガス法と電解法とあつて、そのうちのガス法は石炭を使つておりますが、日本は今非常に高い石炭を使つておりまして、一トン六千円から九千円ぐらいのものを使つております。ところが向うではいかにして安い粗悪炭を使うかということで、夢中になつて研究をしておりましたが、その後それに成功いたしまして、コツパースというか、ダスト・コールのガス化装置を完成いたしまして、非常に低品位なものを使つてつております。日本でも、常磐炭などの非常に低品位のものでも、これでかかるようになるのでありまして、今度日本水素がこれを採用されるのではないかというような御計画を聞いておりますが、これは確かにそういう粗悪なものを使えるような装置でございます。これは私がドイツに行きましたときに、すでに研究をしておりまして、フインランドにその工場を建設中であるということを聞いたのですが、帰つて来ますと、もうできましたので、昨年また私の方から人を出しまして、つぶさにこれを研究させ、日本の粗悪炭を送つて研究しております。そういうものは全部EGのバデイツシユの工場でつくり上げておりまして、そうしてコストを下げて、いかにして硫安を安くしようか、安くした硫安はどんどん輸出しよう、こういうことをねらつております。それからこれは原料面から来る技術面のことでございますが、同時に量産をやろう、幾らでもつくろう、コストを下げるのは技術の合理化と同時に量産が、化学工業に関する限り非常に大きなフアクターでございます。できるだけたくさんつくつて、設備の稼働力を百パーセント近く持つて行くということが一番大事なことで、コストを下げる大きなものでございます。ところが日本の現状はどうかと申しますと、日本の硫安の全設備能力の、電解法はわずか六割しか動いておりません。ガス法は大体九〇%、九〇から九二ぐらいしか動いておりません。こういう状況で、増産の一途をたどつておりますが、まだ向うには負けております。向うは、量産と技術の合理化でねらつております。フランスも同様に、ダスト・コール、非常な粗悪炭を使つたものを一生懸命に研究しておりまして、パニンデイコという会社で工業化しております。それからあとはベルギー、オランダでありますが、ベルギー、オランダも非常に熱心にやつております。そういうことから考えますと、日本も非常に負けておりますので、こういうような点で技術の合理化をやつて、しかも稼働率を上げて、量産をはかつて行けば、必ず向うに打ちかてるというかたい自信を、私は技術屋として持つております。ただいま合理化審議会というのがございまして、私も肥料小委員会委員をやつておりまして、こういうような点で一生懸命に研究をいたしております。大体のところでございますが、向うの硫安はどのくらいでできるのか、今十ドルかそこら違つております。国際入札で、十ドルから十二、三ドル違つておる。しかし、日本はそれよりも十ドル上まわつておるとすれば、合理化によつて、硫安一トン当り三千六百円下げられるかどうかという可能性が一つございます。それは今真剣に取組んでやつておりますが、私どもの今までの考え方で行きますと、各社が計画しておりますものを総合いたしますと、大体可能じやないか――これはまだ結論まで行つておりませんので、そうお聞取りを願いたいのですが、技術的に各社が出したものを総合いたしますと、大体において可能じやなかろうかということが考えられるのであります。しかしここで十分われわれが考えなければなりませんのは、われわれが進むと同時に、諸外国も進んでおります。そういたしますと、向うが五十ドルで国際入札して来たら、この次は四十八ドルで行こう、四十五ドルで行こうという余力を持つて向うがやつておるのかもしれません。敵に勝つためには、まず敵をよく知り、味方もそのことによつてよく反省する必要がございますので、私どもといたしましては、この点十分に気をつけて今やつております。あらゆる外国人にお会いする機会にこれをねらつておりますが、今まで向うが国際入札をしたのを、月別に見ますと非常な変動があります。ドイツの硫安でも、非常な変動を持つてつて来ておる。これらの点で、ちよつとくさい点がある、相当なことをやつておるぞ、外貨を獲得するために、何ものかやつておるぞという感じがいたします。私が向うに行つたときと、帰つてから向うがやつて来ることから考えて、またドイツ人あたりにも私はしよつちゆう会つておりますが、そういう人たちの言うことから考えまして、何かやつておるぞというような気持がいたします。しかしこれはやつていないかもしれない。どこまでも想像であります。ここで十分にふんばつて、硫安の輸出を大眼目にしてやつて行くという旗じるしを立てて行くならば、十分にこれを覚悟して行かなければならない、その用意もまた万全の用意をして行かなければならないということを、私は深く深く考えております。昨年の一月に、あるアメリカの貿易をしている方にお聞きしたのです。その人は、あなたの方から硫安を出してくれないかという話でおいでなつた方ですが、値段の点でたいへん違うらしい、向うはどうなんだ、幾らぐらいで出せるのかということを聞きましたときに、これは自分の想像ではあるけれども、いろいろなところで貿易をしているから、ちよつとそういうような気がする、ある貿易業者に硫安を売つて、その貿易業者がその硫安を外に出す、出したら外貨がとれる、その外貨で、国で必要なものをその貿易業者に買い入れさせて輸入するのだ、それでその損、つまり硫安を安く指値した損を補填するのじやないか、そういう操作をやつているのじやないかと思われるというようなことを言つておりました。これはアメリカ人であります。スペインと貿易をやつておりまして、さらにスペインで肥料がいるからというので、日本から出してくれないかという話で来られた方でございます。これはどこまでも想像のようでございますが、外国人の中でもそういうような考え方を持つている方もあるようでございます。私どもは技術屋でありますので、貿易のことなどはわかりませんが、もしそういう操作があるとするならば、われわれとしては、操作を考えてわれわれが技術的にこれを検討して行く、合理化というようなことは必要なことでございます。どこまでもわれわれは技術屋として、技術検討によつて合理化をして、コストはどこまで下がる可能性があるかということを十分に突き詰める。さらにそれよりも一歩も二歩も進めまして、向うの出よういかんによつては、いつでもこちらは伝家の宝刀が抜ける態勢を整えておくべきである、こういうふうに考えております。  硫安に関しましては大体そんな情勢にございまして、われわれとしてもゆだんできないことでございまして、量産をやつて行けばコストは安くなるし、合理化をやつて行けばさらに安くなる。そこで日本の農家の使う肥料も安くなるし、余力を外国に向けて外貨の獲得をするという、われわれとしてはそういう仕事に携わらしてもらつております。われわれとしては非常に有意義な仕事であると思つてつております。  遺憾ながら、非常にかいつまんで申し上げましたが、技術は外国に非常に遅れておる。十年どころではございません。非常に遅れました。しかし私通産省などに行くと始終申し上げ、方々の会社でも申し上げるのですが、日本人はばかじやないということなのです。     〔河野(一)委員委員長、大体わかつたのですが、質問させてくれませんか」と呼ぶ〕
  40. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 よくわかりました。それでは委員長から先にお尋ねいたしますが、今あなたから伺つたところによると、日本が使つておる石炭は六千カロリーから七千カロリーのものを使つておるのですか。
  41. 井上辰夫

    ○井上参考人 円でございます。六千円から九千円でございます。
  42. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 向うはどのくらいですか。
  43. 井上辰夫

    ○井上参考人 大体半分だと思います。一トンが三千八百円から四千円くらいについております。
  44. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 品位はどんなものでしようか。
  45. 井上辰夫

    ○井上参考人 品位はカロリーの低い、非常に低品位のものを使うようになつております。
  46. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 五千カロリーくらいのものを使つておるのですか。
  47. 井上辰夫

    ○井上参考人 五千くらいのものを使つておるようでございます。
  48. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 ただいま伺つたところによると、一かます当り百四十円くらいの差があるようですね。そうすると石炭も低品位のものを使い、合理化して行けば、向うも進むでしようけれども、今まで足踏みしておるとすれば、これに追いつくのにどれくらいの期間がかかるか、技術者としてのお考えを伺いたい。
  49. 井上辰夫

    ○井上参考人 これは期間が延びてはいけないと思います。それで私どもは今五箇年というのを目標にいたしております。
  50. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 河野さん、さきに松岡さんから質問の申出がございましたので、松岡さんから先に御質問願いたいと思います。松岡委員
  51. 松岡俊三

    ○松岡委員 ちよつとお尋ねいたします。ただいまのお話を承りまして、どうもたいへん心細くなつたのですが、あなた方が、自分らの仕事に常に外国に負けない努力をなさつていらつしやるという状況になつているけれども、残念ながら設備がない、金がない、こういうので実は承りたいと思つてつたのです。あなたがイタリアにおいでになり、ヨーロツパその他をごらんになつて、お帰りになつて硫安業会に御報告になつてから、何かがく然として一大反省をしたようなお話に承つたのでありますが、常から非常な御研究がなつてわれわれはここにいるんだ、決してイタリアに負けないのだ、しかしながら残念にも力がはなはだ及ばなかつた。彼らの考えていることなどはわれわれの方でとつくに考えておるのだ、こういうことで、実はあなた方の技術にはわれわれは信頼しておるわけなのです。どうもそこのところが、私の考えがあるいは間違いかもしれませんが、ただいまのお話を承りますと、あなた方業者として非常に安易にやつておられたかのように思われるのです。そこが非常に心外なのです。イタリアなんかに負けるものか、こういう研究をしておるのだ、技術上については決して彼らに遜色はない、けれどもただ残念ながら資力及ばずしてこういうことになつたのだ、こういうお説が出るかと私は思つておりましたが、まるつきり反対のような態度なので、あなた方今日まで常に何をしていらつしやつたのかというように思われるのです。われわれ政府の金を出して、あなた方の方に大いにやつていただこうという上において、そのことを聞いてびつくりしたのです。そしてわれわれ議員として考えますと、過去のあなた方の御研究、御努力はどの程度に行つておるのだかということが、ただいまのお話ではちつとも私どもには承り得ない。心外でたまらぬのです。もしそれについてそうじやない、今度政府の金を出してもらつてやるのは、こういうあんばいで彼らに負けないだけのものがあるぞという御信念を私は承りたいと思います。
  52. 井上辰夫

    ○井上参考人 そのことについてたいへん私が強く言いましたので、たいへん御失望のようで、私は申訳ないことだと思います。私はきようここへ来まして、一体終戦後のヨーロツパの硫安肥料の技術的な状況は、お前の見たところどうなんだと言われましたので、私は遺憾ながらこういう点が負けているというところを率直に申し上げたのです。もちろん向うより進んでいる点が幾つかございます。負けていた点はいち早くとつて、勝つていた点はどんどん伸ばして行くということに行けば、いつでも勝てるのだという考えを私はかたく持つております。窒素に関しましては、全般的に見て、決して日本は世界にひけをとつておりません。現在の世界の窒素の全生産量は、ソ連を抜かしまして三百九十万トンだと思いますが、日本がその約一一%を今生産しております。その方式に至りましても、また原単位にいたしましても、そう負けておりません。原単位なんか比べましても、たとえば硫安一トン当りで石炭が幾らいる、それから硫酸が幾らいる、電力が幾らというような点になりますと、決して負けておりません。ものによりましては、われわれの方が進んでおります。しかしその根本におきまして、先ほど私は悪い点だけ強調したのでありますが、粗悪炭を使つて行く研究が足りなかつたということを申し上げたわけであります。それから硫化鉱にいたしましても、三十何パーセントというのはもつと低いものが使えるはずだということで、もつと低いものを使う研究を間断なくやつて参りましたのですが、向うがいち早く工業的に仕上げてしまつたという現実を申し上げましたので、非常に粗悪なものを向うが使い得るようになつておる。現段階におきましては、そういう技術においては決して劣つていないということを私はここではつきり申し上げたいと思います。それから装置も古いものを日本人はよく使つております。今度は自分らをほめることになりますが、きよう私はここへ出まして皆さんにお話申し上げたいと思いましたのは、自分たちは技術屋でございまして、過去二十数年間硫安ととつ組んで来ました。私は硫安のできたときからそれにかかつておりますので、自分らが世界で非常にいい技術を持つておるのだということを自慢らしく申し上げたくない。負けたところは率直に申し上げて、それをこういうような形で取返しつつあるのだ、努力しておるのだということだけで私はいいのじやないかと思いましたのですが、古い装置をりつぱに使つております。たとえば硫酸装置にいたしましても、外国人が来まして見て、これは世界的だ、これを使つてこれだけの成績でこれだけやつておるのはりつぱなものだ、世界でおそらくほかにないだろうというようなことをわれわれも言われたこともございましたし、そういう点では決して負けておりません。ただ遺憾ながら貧乏国でありまして、向うのように、能率のいいものがあれば悪いものをこわしてどんどんやつて行くというようなことは、遺憾ながら日本ではできない。そこにわれわれの苦心がございます。現状をいかに生かして行くか。しかし今世界の距離は縮まりまして、向うと競争して行くためには、やはりここで世界のすぐれたものはとつて行きたい、こういう考えでございます。イタリアがなぜ進んだかということでございますが、決してイタリア人一人の力でない。こういうお話が出ましたから申し上げますが、距離的に近いのであります。汽車で行けばじきにドイツに出る、オランダに出る、スエーデンに行ける、この事実があるために、技術があればどんどん交流するのであります。日本は地理的に非常に遠い。しかも何年か鎖国状態にあつたというようなばかげた状態でございまして、技術もいち早く入つて来なかつた。そのうちにこういう状態になりまして、その技術がとれなかつたということでございます。ルフトステイツク・ストツフ・インダストーリーというウエザーという人の書いた窒素工業についての本がございます。これは私昭和八、九年ごろ読んだのですが、その中に窒素工業を世界で一番いろいろな装置を入れて真剣に研究しているのは日本だということが書いてございました。それは私どもの誇りであるか何であるかわかりませんけれども、とにかく日本人は窒素というものは非常に研究いたしました。いろいろな点で決して負けてないということは申し上げずに、遺憾ながら負けた点だけを申し上げまして、たいへんどうも……。
  53. 河野一郎

    ○河野(一)委員 私は参考人にお尋ねしたいと思いますが、最切に多少私の意見を申し上げなければいかぬと思います。それは今あなたからだんだんにお話を承りましたが、日本の技術屋は、何と申したらいいか、具体的に申せば、常に侵されない、温室の中に育つている。というのは輸入がされないのだ。向うの安いものは入つて来ないのだ。自分の生産費は常にちやんと政府の政策によつて保障されているのだ。その損はみな百姓に転嫁されているのだ。農民の負担において日本の硫安製造業者はちやんと裏づけされて、その裏づけの中にあつて出て行つているのだ。腐つたような、ボロのような工場をよくも使つているとおつしやいますけれども、そんなことを言われるのは百姓から見れば非常に迷惑だ。こんなむだなことをやつておられ、ただいまのようなものを手を入れて使つてつて、できた製品は農村に高い値で売りつけられる。このくらい農村に迷惑なことはないのです。常に私が肥料問題を主張するゆえんはそこにある。なぜ一体向うの硫安を日本に入れさせないのだ。入れさして、そして外安と内安とが太平洋の向う側で競争しないで、こつちの土壌で競争させてみろ。そうすれば向うの技術者も真剣だろうし、資本家も真剣だろう。そして負けそうになつたら助けてやろうじやないか。初めから負けないのだというのでは、それは昔の陸軍や海軍と同じだ。向うは攻めて来ないだろうという条件に立つて、攻めて行くことばかりのいくさをやつている。硫安をつくつてドルをかせがなければいかぬ、かせがなければいかぬとおつしやいますけれども、われわれはドルをかせぐということを議論しているのじやない。いかにして日本の農民に安い肥料を供給してもらうかということが、われわれの要求するところの大前提だ。だから農業政策として外安を入れてみたらどうだ。そして外安が入つて来たときに、あなた方、井上さんはどういう態度をとられるか。あなたとしてはどういうふうに持つて行かれるか。イタリアが距離が縮まつたとおつしやるけれども、日本はもつと距離を縮めて、あなたが毎年でも向うに飛んで行かなければならぬことになるだろうと思う。そういう点において努力が欠けていると私は思う。これは政府においてもすべてそうだ。農村が黙つているものだからそういうことになつている。私はあえて言う。戦前ならば窒素が戦争に入り用だから窒素工業を維持しなければならないという国策的な要求もあつた。今日はそんなものはない。戦争というものはないのですから、いつでも外安を輸入しておれば、それだけでも済むのです。どうしても宿命的に行かぬならば、硫安工業は捨ててもいいと私は思う。けれどもお話のようにそうじやない。けつこうこれで競争して行ける立場にあるのだというならば、いつでも外安と同等の価格農民に配給をするということを前提に置いてやつてもらいたい。この前提を無視して硫安政策はない。あなた方はいつでも内地で硫安を売るよりも安い価格で外国へ売つているのだ。そして競争していると言う。この考え方が本質的に間違つている。爾今この国会においてはその意見は通用しないと私は思う。今まではまだ戦争の残滓で、アメリカの政策やいろいろなものがありましたから、こういうことが許されて来ましたけれども、だんだんこれは許されないという立場に立つて硫安政策を論じられ、硫安の製造についてあなたが考えられた場合に、どういうようにお考えになるか、これを第一点に伺いたい。  第二には、今政府考えているようなこと――ここで私が詳しいことは申し上げませんでも、五箇年間に二百億くらいのはした金を出して、そのくらいの金を硫安製造の助成金に貸しつければ、けつこう外国と競争して、りつぱに今私が申し上げたような農村に硫安の配給ができるかどうか、その責任が持てるかどうかということについて、参考人の率直な御意見を承りたい。もしこれが、二百億くらいではなかなか無理ですということなら、どうすればそうなるのか、どのくらいにしてもらえばそうなるのか。たとえば肥料については全部免税にしろとか、あるいは今造船汚職事件が盛んになつておりますが、船のようにあの程度まで補助をすればたいていのものは安くできるであろうと私は思うのですが、なぜ硫安業者も船のように盛んにやらないのか。それは今外安が入つて来ないといつて、ここに大きなとりでを築いて、その中にいるから少しも活溌に動いて行かない、そのために今申すようなことになるのでありまして、今のいい例として船のようなあれだけの補助をしたならば、一体現在の硫安はどのくらい安くなるか。外安と競争するにはどの程度政府の保護、助成政策があればやつて行けるのか、そういうことを御研究になつたことがあるかどうか、あつたとすれば、どの程度にされれば、今ただちにとは申しませんが、明年からでも下るということについての御意見を承りたいと思います。
  54. 井上辰夫

    ○井上参考人 最初の御質問でございますけれども、これはその通りでございまして、今外国の硫安の方が安い、日本の硫安の方が高い、その高いというのは、結局日本の農村の方、お百姓さんがそれだけ高い肥料を使つてつているのだということで、これは私どもしましては非常にはずかしいことであり、また何とかして外国並のものをやらなければいけないのだということで、その努力を血みどろになつてつておるのでありますが、先ほどから申し上げましたように、これは化学工業の本質といたしまして、造船や何かと違つて非常に設備費がかかります。ことにアンモニアのようなものは非常にかかる。そこでなかなか思うようにできないのでありまして、その歩みが非常におそいのでありますが、しかし一歩々々その距離を縮めつつ、その開きを縮めつつあるわけであります。それは私どもここで、来年から安くなるとかさ来年から安くなるとかいうことはちよつと望めないと思いますが、やはり一歩々々進んで行かなければならない。これは化学工業の本質でもありまして、ことにアンモニアのような高圧、高熱を使うようなものにつきましては、十分に注意して行かなければ技術的に進まないのでありまして、それを一歩々々進めて行くというようなことで五箇年計画と申しますか、そういうことを昨年から始めております。五箇年ですからあともう四箇年残つておりますが、この四箇年の後に一体どこまで行くであろうか、今その方面のエキスパートが集まりまして、非常に慎重に協議をいたしておるわけであります。各社においては昨年からいろいろ問題が出まして、あの角度この角度から検討をいたし、全部計画ができておりますので、それをサム・アツプして、メリツトを計算いたしまして今やつておるのでありますが、これはまだ最終的な結論は出ないのでありますけれども、技術だけの面で大体十ドルぐらいは行くのじやないかという線が出ております。先ほど申し上げましたように、十ドルで外国の硫安と日本の硫安と同じになるかどうかということには、私はなお疑問があると思いますから、これをさらに解剖いたしまして、それよりもつと安くして行くというような努力を間断なくやつて行かなければならないということは、日常の業務におきまして肥料をやつている一人として、痛烈な責任を感じておりますので、これは一社ではできませんので、やはりお互いに知識を持ち寄り、技術を持ち寄りましてやつて行くという方向に進んでおりますし、またそういうようにかじをとつております。これは、どうしても肥料を安くして行かなければならない、なるかならないかということより、どうしても安くして行かなければならないのだというような宿命的な大命令のもとに、われわれは追い詰められておるのであります。これに対して技術屋として万全の責任を果したい、こういう覚悟をいたしております。  それから第二の外国硫安をこつちへ入れたらいいじやないかというお話もございましたが、これにつきましては、そういうことを考えませんで、私は技術屋でございますので、いかにしたら向うと競争ができるか、いかにしたら向うに勝つかという角度で、技術的検討を夢中になつてつておりますので、ちようど河野さんのおつしやることと同じことだと思いますが、外国の硫安に負けないようにやろうということを技術的に考えております。私は技術屋でありますので、その程度のことしか申し上げられませんので御了承を願いたいと考えております。それじやいつそういうことになるか。それではここで幾らかけたらどうなるかということでございますが、われわれが今まで各社から出しましたものをサム・アツプいたしますと、大体今後四年間に二百三十億という金になるのでありますが、そのほかに現在能力維持に六十億ぐらいいるのじやないか、各社の計画から行きますとそのくらいになると思いますので、大体三百億ぐらいで、現在の能力を維持し、なお技術上の改良をやりまして、十ドル見当のものがトン当りで安くなるのじやないかという目安を持つております。なおそれに幾らかけたらどうなるのだというようなところまではまだ行つておりませんが、問題は、たとえば先ほどちよつと触れましたが、パイライトのシンダーの問題、それをより合理的に使つて行く方法とか、あるいは硫酸を使わないで窒素肥料をつくつて行く、何も硫安に拘泥する必要はないと思います。一つの場合はこういうことでございます。これにも限度はもちろんございますが、硝安というようなものを取上げて考えてみる必要があるのじやないか。これも真剣になつて技術的に考えております。イタリアは現在硫安よりも硝安がどんどんふえて来ました。今硝安と硫安の製造量がほとんど同じくらいになるのじやないかというようなところまで行つております。それで戦争が終りました当時の状況を見ますと、そんなに硝安はふえてなかつたのです。なぜふえたのだということをイタリア人に聞いてみたことがあるのでありますが、硝安は硫安よりもいいという意味ではありませんが、硝安と比べて片方はとにかく硫酸根が入つております。片方は硝酸根にしろ、アンモニア根にしろ、窒素肥料になるものだ。だから濃厚になつて、一挙にできるのだから、硫酸みたいにそんなめんどうくさいものをつくらなくてもいい。イタリアには硫黄があるようで案外にありません。日本もそうです。そこで硫酸を使わないで窒素肥料を考えてみろということで農学者、工学者、政府、民間一体となつて、この普及宣伝に努めて、適切な使用法を研究して行つた結果がこうなんだ、なぜお前たちは日本でやらないのか、こういう質問を受けました。ところが日本は御承知のように水田で、硝安はどうも不向きなんだ、畑作にはいいが、水田には不向きなんだ、ぼくは農学者でないのではつきりわからぬが、どうもそうだ。いやその通りだ、イタリアでも水田はだめだ、しかし畑作は相当行けるので、日本も畑はずいぶんあるんじやないか、だから硝安を考えてみろということでありました。私ども十分硝安は考えている、私どもは日本のデータで日本の設備でやりましたときの硝安のことを全部研究しておりますので、それを示していろいろデイスカツシヨンをやつたわけでありますが、そういうような方向に行けるのじやないかということも考えられます。
  55. 河野一郎

    ○河野(一)委員 これはむずかしい質問でお答えがないかもしれませんが、日本の場合は五年先に十ドルぐらい下げるということで専心やつておる。今あなたが欧米を視察されまして、向うは一体五年先になつたらどのくらい下るような見当がつきますか。
  56. 井上辰夫

    ○井上参考人 その点なんでございますが、それも私としては、結局先ほど申し上げましたように、こつちがここまで来た。向うも休んではいない、ここまで来るんだということでありますが、こつちが進むと同時にやはり向うも進んで来るので、ここで遅れてしまうということは大いに心配じやないか、必ずそれはあるぞ、それもひとつ考えてみようじやないかというので、いろいろ古い技術屋で硫安をよく知つておられる方と打合せし、いろいろ検討していただいておるのでありますが、何ともただいまのところは結論が出ておりませんけれども、いろいろな方法があると思うのでございます。たとえばアンモニアそのものずばりでなく、いろいろなほかの方法でそういうところへ持つて行ける。つまり総合的にものを考えた場合、肥料というものは単独に離れない、ほかのものとの結びつきで考えて行つたときに、まだそこに余裕ができるという形態があるのじやないかということでございます。
  57. 河野一郎

    ○河野(一)委員 今ここで肥料法案を審議するにあたりまして、参考人は特に技術屋の立場で御答弁がしにくいかもしれませんけれども、伺つておきたい。硫安工業は総合的な科学の進歩がなければいかぬものだと思うのです。日本の化学工業の客観情勢の中に立つて欧州各国の情勢をながめてみたときに、あなたは何年かして行つてみて驚いた。これは河合良成君も実は参考人にお願いして、河合良成君から、自分は専門外だけれども実は見て驚いたという話を聞いたものですから……。どうも日本の実業界も政界も、戦前、戦争中を通じて孤立主義をとつて来たくせがある。そこでこの際自由経済にするならば、全面的に思い切つて自由経済にしなければいかぬ。外安の輸入を阻止していることが間違いだ。これも一ぺんフリーにしてしまつて、その中に立つて日本の科学者もしくは経済人に奮発してもらおう。そうして硫安の値下げを叫ぶのは、農村問題として取上げないで、科学振興の問題として、むしろしいて言えば、農林省委員会でなしに通産省の委員会で叫ばれる問題に切りかえて行かなければだめだ。そうしなければとうてい日本の硫安の生産費を下げる、ないしは進歩改善を期することはむずかしいと、私は非常に深く感じているものであります。御承知通りわが国では、元来肥料問題については農村問題としてこれを取扱つている。役所の所管としては通産省でありますけれども、通産省における肥料の論議等はほとんどない。大部分が農林委員会で、農村問題として問題になるというところに、私は大きな問題があると思うのです。だからこれはあなた方が非常にいい立場に立つて、われわれ農村の側の応援によつて、生産者は温室で昼寝をしながらできたものを農村に売つて、自分たちの本城にはゆるぎはないという立場におられるところに、日本の化学肥料の進歩、発達を阻害している点がありはしなかつたかどうだろうかという感を非常に深くするのであります。これは今始まつたことではないのでありまして、戦前も私はしばしば外安の輸入を論じたのでありますけれども、その当時は陸軍、海軍等の応援によつて、業者の方は厳として外安の輸入をなかなか認められなかつたという当時から今日までの経緯に徴しましても、この際ひとつこの法案を中心にして、私は肥料問題を相当飛躍して考えた方がいいんじやなかろうかという気がするのであります。ただあまりここで参考人に意見がましいことを申し上げるのも恐縮でありますが、日本の農村事情というものは――これは技術屋たる参考人によく聞いてもらいたいと思いますことは、戦前の日本の農業と違う。戦前の日本の米麦のあり方と違う。現に米にしましても、今年度は外米と内地米価格が同じになつて来た。麦は外麦の方が内地麦よりずつと安い。おそらくこの出来秋になれば、外米の値段が相当下まわつて内地米の値段が上まわるだろう。来年になればさらにその感を深くするだろう。そういう状態になつて参りますと、今のように肥料界が農村の負担において安閑としていることは、客観情勢が許しません。いかにあなた方がおつしやつても、戦前の軍を背景にしておられたときはともかくとして、今日日本においては許されません。そこで私は相当飛躍しているかもしれませんが、外安の輸入をここで主張するものであります。外米が安いじやないかという議論が出て来たときに、内地の米は肥料屋にもうけられて高い肥料を使つているから高いんだ、外国の米は安い肥料を使つているから安いんだということで、そのときに飛躍したことを言い、飛躍したことを考えなければならぬと思いますから、今あなた方は政府にたよつて、二百億の金を借りさえすれば五年先に同じようになりますよというようなゆうちような考えをもつて、日本の財界が政府に望んでおられたのでは、間に合わぬときが参りますということを警告する。われわれは少数党であります。ことに私は一人でありますから、私がいかにこの法案に反対しても法案は通るでしようが、それはほんとうに肥料の将来を見きわめて論じている議論じやない。日本の農業のあり方と肥料政策とをがつちり見合わせて論じているあり方ではないと、私は確信して疑わない。それは日ならずして必ず外国の米が下る。外国の麦が下る。外国の農産物が下る。これは安い肥料を使つているからじやないか。日本の農産物に比べて、今までは外国の方が高かつたからよろしい。あるいは同じだからよろしい。これから向うが下つて来たときに、必ずその議論が出ますから、そのときにあなた方が、日本の農民から現状のままにおいて肥料代を搾取して、自分たちが安閑とした立場におろうとしても、許されないことです。あなたに申し上げる問題ではありませんけれども、よく技術者として肝に銘じておいていただきたいと思う。ただ今のように外安を入れない方がいいんだというような考え方はできません。そうじやなくて、外安がいつ入つて来ても、あなた方はあなた方の工場を完全に守るだけの自信を持つように努力をしていただかなければならぬと思うのでありまして、参考人にこういう意見がましいことを申し上げては恐縮でございますが、われわれのねらつているところはそこでありますので、何かこれについて御所見があれば承ります。
  58. 井上辰夫

    ○井上参考人 たいへんありがたいお話を伺いまして、非常に参考になると思います。私ども技術屋といたしましては、おつしやる通りいつ入つて来ても大丈夫だ、たといここで入つても大丈夫だという態勢をいつでも整えておきたいというので、技術上に専心やつております。私も帰りまして、協会とかあるいは委員会あたりで、御趣旨のあるところもちろん私ども同感でございますので、よく御趣旨を伝えましてやりたいと思います。
  59. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 そのハウザー博士のパイプの研究というのは、非常に合金が進んでいるのですか。
  60. 井上辰夫

    ○井上参考人 そうです。
  61. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 それじやこれにて本日は委員会を終ります。     午後二時八分散会