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1954-02-24 第19回国会 衆議院 農林委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十四日(水曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    佐藤善一郎君       松岡 俊三君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君    安藤  覺君       河野 一郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月二十四日  理事金子與重郎君の補欠として吉川久衛君が理  事に当選した。     ————————————— 二月二十二日  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四四号)  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号) 同月二十三日  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号) 同月二十日  装蹄師法廃止反対に関する請願池田清君紹  介)(第一九六五号)  同(岩川與助紹介)(第一九六六号)  家畜保健衛生所施設拡充に関する請願外一件  (永井勝次郎紹介)(第一九六七号)  同外一件(木村武雄紹介)(第一九六八号)  同外二件(伊藤郷一君紹介)(第一九六九号)  家畜保健衛生所法廃止反対に関する請願)(滝  井義高紹介)(第一九七〇号)  同(高橋等紹介)(第一九七一号)  食糧事務所機構縮小反対に関する請願只野  直三郎紹介)(第一九七二号)  農地改革による犠牲者救済等に関する請願(石  田博英紹介)(第一九七三号)  同(小澤佐重喜紹介)(第一九七四号)  獣医師法の一部改正反対に関する請願佐々木  更三君紹介)(第一九七五号)  農林漁業資金車両融資に関する請願柴田義男  君紹介)(第一九七六号)  積雪寒冷単作地帯関係予算増額等に関する請願  (藤枝泉介紹介)(第一九七八号)  農業改良普及事業費国庫補助に関する請願(只  野直三郎紹介)(第一九七九号)  食糧増産予算全額復活に関する請願只野直三  郎君紹介)(第一九八〇号)  農地改革による犠牲者救済対策確立に関する請  願(山口好一紹介)(第一九八一号)  東頸城郡下治山事業促進に関する請願(塚田  十一郎君紹介)(第一九九三号)  公共事業費関係定員整理反対に関する請願(井  谷正吉君外一名紹介)(第二〇一三号) 同月二十二日  獣医師法の一部改正等反対に関する請願井谷  正吉君外二名紹介)(第二一三四号)  家畜保健衛生所法廃止反対に関する請願外一件  (小川豊明紹介)(第二一三五号)  同外二件(佐藤善一郎紹介)(第二一三六  号)  同外一件(中川俊思君紹介)(第二一三七号)  家畜保健衛生所施設拡充に関する請願(森川  樹二君紹介)(第二一三八号)  県営ため池築造工事施行に関する請願石田博  英君紹介)(第二一三九号)  農業共済掛金国庫補助等に関する請願池田清  志君紹介)(第二一四〇号) 同月二十三日  家畜保健衛生所法廃止反対に関する請願福田  繁芳紹介)(第二二五五号)  同(秋山利恭紹介)(第二二五六号)  同(南好雄紹介)(第二二五七号)  同(福永健司紹介)(第二二五八号)  あぜのコンクリート化に関する請願(逢澤寛君  紹介)(第二二六二号)  装蹄師法廃止反対に関する請願佐藤洋之助君  紹介)(第二二六三号)  獣医師法の一部正改反対に関する請願外一件(  淺香忠雄紹介)(第二二六四号)  同(佐々木盛雄紹介)(第二二六五号)  県営神辺町外八筒町村農業水利改良事業に関す  る請願高橋禎一紹介)(第一二一六六号)  畜産行政機構廃止等反対に関する請願(淺香  忠雄君紹介)(第二二六七号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  自作農維持資金拡充に関する陳情書(第九一九  号)  食糧自給促進法早期制定に関する陳情書(第  九二〇号)  同(第九二一号)  消費者米価値上げに関する陳情書外一件(第九  二三号)  水害地に対する農産種子助成金交付陳情書(  第九二四号)  農林省茶原種農場地方移譲反対陳情書(第九  二五号)  農道及び水路の新設改修工事に関する陳情書(  第九二六号)  同(第九二七号)  冷害試験施設に関する陳情書(第九二八号)  被害蚕糸指導団体に対する援助の陳情書(第九  三〇号)  農地改革による犠牲者補償に関する陳情書(第  九三一号)  土木等救農事業申請手続簡素化陳情書(第  九三二号)  電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関する陳  情書(第九三三号)  同(第九三四号)  治山治水対策の推進に関する陳情書(第九三  五号) 同月二十三日  自作農維持資金拡充に関する陳情書(第九八  六号)  長野県下の凶作対策に関する陳情書(第九八七  号)  畜産に関する陳情書(第九八九号)  農林省茶原種農場地方移譲反対陳情書外一件  (第九九〇号)  国有林野整備臨時措置法期間延長に関する陳  情書(第九九一号)  上北郡農業総合開発事業の実現に関する陳情書  (第九九二号)  積雪寒冷単作地帯農業振興に関する陳情書(第  一〇二九号)  農業災害補償制度改正に関する陳情書(第一  〇三一号)  公営競馬民営反対に関する陳情書(第一〇三  三号)  装蹄師免許制度の存置に関する陳情書(第一〇  三四号)  自作農維持資金の本年度融資復活等に関する  陳情書外一件(第一〇四一号)  同(第一〇四二号)  同外二件(第一〇四三号)  同外四件(第一〇四四号)  同外一件(第一〇四五号)  同外六件(第一〇四六号)  同外三件(第一〇四七号)  同外八件(第一〇四八号)  同外二件(第一〇四九号)  同外十八件(第一〇五〇号) を本委員会に送付された。     —————————————  会議に付した事件  理事の互選  臨時硫安需給安定法案に関して参考人招致の件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四四号)  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)  米価に関する件  蚕糸に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  去る二月二十二日本委員会に付託になりました内閣提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び開拓融資保証法の一部を改正する法律案を順次議題といたし審査に入ります。  まず農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案趣旨について政府説明を求めます。平野農林政務次官。     —————————————
  3. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま提案せられました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  農林漁業生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利資金を融通する機関としての農林漁業金融公庫は、昨年四月一日その業務を開始して以来一年、その間土地改良事業中心に各業種に対し相当貸付成績をあげて参りましたが、このほか新たに漁船建造資金貸付を始め、さらに二十八年春の凍霜害及び冷害等災害に際しても時宜に応じて融資行つて参つた次第であります。  二十九年度における同公庫貸付計画は、別に予算案に計上いたしました通り総額二百二十五億円を予定しており、これに見合う資金源といたしましては、一般会計からの出資九十五億円、資金運用部からの借入れ百五億円、既貸付金の回収二十五億円を充てる計画としているのであります。  このため現行法における一般会計からの出資金二百五億九千三百万円に加え、新たに二十九年度において九十五億円を出資することとなつた次第でありますが、なおこの際農林漁業金融公庫法第四条の規定により農林漁業資金融通特別会計廃止の際に、おける資産の価額から負債の金額を差引いた金額が同公庫資本金の一部となつておりますのが、その後百五十五億一千四百万円と確定しましたので、これらを合計いたしまして政府出資金四百五十六億七百万円とすることといたしたのであります。  今回の資本金増額により農林漁業生産力の増強に必要な長期低利資金融通機関として重要な任務を持つ同公庫基礎をより一層堅実にし、将来にわたりその積極的な事業運営に万全を期するため、この法案提出した次第であります。  以上がこの法案提出した理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。     —————————————
  4. 井出一太郎

  5. 平野三郎

    平野政府委員 開拓融資保証法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  わが国食糧自給態勢確立の一翼をになう全国十五万の開拓者は、日夜その農業経営確立努力しているのであります。  政府は、これらの開拓者に対し農機具、家畜等営農基本資金開拓者資金融通法をもつて直接融通しているのでありますが、その他の肥料、飼料等を購入する短期営農資金融通の方途として昭和二十八年七月開拓融資保証法を施行するとともに、保証基金として一億円を中央開拓融資保証協会に対して出資し、営農資金の円滑な導入をはかつて来たのであります。  この融資保証制度に対し、開拓者並びに都道府県は異常な熱意を示し、また資金需要の増大に伴い開拓者及び都道府県出資も漸次増加しつつあることにかんがみ、政府は、さらに五千万円を二十九年度一般会計から追加出資して、本法律に基く融資額増額を期する次第であります。  以上が改正法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるよう御願いいたします。     —————————————
  6. 井出一太郎

    ○井出委員長 引続きこれより蚕糸に関する問題について調査を進めます。佐藤洋之助君。
  7. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 私はこの際蚕糸振興の問題につきまして二、三当局にお尋ねしたいと思います。これはむしろお尋ねというよりも、こうしなければということになつて来るかもしれませんが、蚕糸局長さんは先ごろ御病気であつて、あまり回復後お元気でないようでありますから、きわめて簡単にお伺いします。実は今政府考えておりまする生糸輸出確保臨時措置の問題でありますが、これはいまだ政府の方では案が熟さないようであります。全養連との関係もありましようし、まだ的確な要綱がまとまらないようでありますから、この問題に対する質疑は今日いたしません。それからなおこまかな問題につきましては、小委員会ができたのでありますから、小委員会に譲りたいと思います。  そこで私は生糸振興策として、まず当局考えておる輸出振興ということは、やはりこれは増産ということでありまして、増産伴つて初めて輸出振興するこういうことだと思うのであります。先ごろ、一月の初頭にあたり、蚕糸予算に対する大蔵省査定、これをめぐつて予算復活に対する運動、これらはすでに御承知通りでありまして、あの第一次の大蔵省蚕糸に対する査定というものは、ことに——何と申していいか、蚕糸局を認めないといつてもいいと思うのでありますが、まことにひどい査定であつた。ほとんど蚕糸局の機能を停止するような、ただ蚕糸局の局員の人事の予算程度でありまして、一歩も事業を踏み出すことのできない予算である。これはまことに遺憾でありますので、私どもこれに対しまして猛然と運動を起しまして、やや復活をみたのであります。そこで、今の程度復活予算では、まだ私は不十分だと思う。蚕糸振興に対する復活要求として、まだ片手落ちの点が私は多々あると思うのであります。これらにつきまして、蚕糸局としては今後一層の努力払つて、そうしてこれらの対策を講じなければならないと思うのであります。私はこの二十九年度の予算に盛られております蚕糸局予算書を実は拝見いたしました。昨年度繭増産根本問題として、優良桑苗確保の問題がまず第一に取上げられておつたのであります。これは予算上においては、昨年度は一億二千八百万円だつた。一本二円の補助を与えて行くというのでございまして、今年の提案には予算として要求が一億五千八百万円要求したわけです。その優良桑苗確保予算がまつたく削られておつて、これは一つもなかつた。ただ四千六百万円ですか、稚蚕飼育の問題というのにあるだけであつて優良桑苗確保については一つも配慮がなかつた。技術員の問題については、これは幸いに昨年よりは一千万円よけい予算をとつたようであります。この点はまあせめてものでありますが、これも私どもに言わせればまだ不十分だと思うのであります。人員の点におきましてまつたく不十分である。それから補助のパーセンテージが、三分の一が四分の一になつたというのでありまして、こういう点は私は不満であります。そこで当局としては、この繭をいかにすれば増産できるかというふうな問題に対する根本的と申しますか、増産対策をこの際寺内局長さんははつきりしておく必要がある。それをはつきりして、その線に向つてひとつ大蔵当局に対してさらに予算増額なりを求めなければならぬ。そうしなければ私は、あなた方が考えておるところの生糸輸出というものの振興もできない、こういうふうな結論を見出すのでありますが、これらに対しまして、ひとつ寺内さんから、はつきりした考え方を承つておきたいと思うのであります。
  8. 寺内祥一

    寺内政府委員 蚕糸振興につきましてはわれわれも佐藤先生と御同感でありまして、まことに繭の増産が第一義であるのであります。それで今回の予算編成のときにも、二十九年度予算要求に対しまして努力いたしたのでございますが、昨年度と比べまして補助金整理という線が強く出て参りましたので、一兆円で予算総額を押えるというような制約から、われわれの要求いたしましたものが相当削られましたことはまことに遺憾でございますが、まず第一にわれわれの考えておりますことは、繭増産根本は、とにかく食糧増産とのにらみ合いもありますので、桑園面積を拡張するという問題よりは、むしろ反当収量を上けるという点に努力を集中して参りました。そのためには、何と申しましても老朽桑園を更新して行く、すなわち桑苗を供給いたしまして、老朽桑園を新しくして行くということがまず第一。それから次には共同飼育を奨励いたしまして、稚蚕期における減耗率を少くして行くというような点を中心といたしまして、反当収量を上げるという点に努力いたしておりますので、桑苗の点につきましては、今年度まではただいま御説のありました通り優良桑苗確保して行くという補助金があつたのでありますが、われわれといたしましては、これも今後継続して行くべく努力いたしたのでありますが、ただいま申し上げましたような予算総額の点、あるいは補助金点等につきましては非常に議論がありまして、遂にこれが全額は認められませんで、防災桑園関係いたします二千万円ばかりの助成金と、それから共同飼育に関連いたしまして、稚蚕共同桑園をつくるための補助金が一部認められたわけでありまして、あとは削除されたような次第であります。これはまことにわれわれといたしまして遺憾でございますが、そういう全般的な予算のわくもありまして、二十九年度の予算といたしましては、やむを得ずこの程度におちついたわけであります、なおただいま実行いたしております繭増産五箇年計画が三十年で終るのでありますが。御承知通り、昨年の凍霜害及びその後に引続きました冷害によりまして、これが非常なる頓挫を来したと申しますか、二十八年度におきましては、予定よりもよほどの減産を来したのでありまして、ここでわれわれといたしましては、三十年度からあらためて五箇年計画なり、あるいは何箇年計画になりますか、新しい対策を目下考究中でありまして、今申しましたような老朽桑園の更新、それから稚蚕共同飼育の奨励、なお続いては病虫害防除というような点につきまして、新たなる構想をもちまして、三十年度から増産計画を立案いたしておりますので、ただいまお話のありましたような点は、その計画に盛り込んで大いに努力いたしたいと考えております。
  9. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 今局長が三十年から更新して、新たなる計画を立てるということですが、およそ構想はできておるでしようね。今大体どういうふうな目標でおるかというふうな点について、構想を伺つておきたいと思います。
  10. 寺内祥一

    寺内政府委員 まだこの数字につきましては、いろいろ関係係官と検討いたしておりまして、はつきりは申し上げかねる点もございますし、あるいは将来なお研究いたしまして、多少修正するかもしれませんが、ただいまわれわれが考えておりますことは、ただいまやつております五箇年計画の一応の目標といたしまして、三十年に三千三百万貫、二十九年度に三千万貫とるという予定で進行いたしておつたのでありますが、昨年の凍霜害による影響が意外に深刻でございましたので、おそらく二十九年の春繭まではこの影響があろうとわれわれは予想いたしております。技術者意見によりますると、昨年の凍霜害冷害影響によりまして、桑の伸び方が少い。従いまして計画で申しますると、二十九年度は三千万貫とるとすると、春で大体千五百万貫くらいとらなければならないのでありますが、今の桑の樹勢から申しまして、春はおそらく千五百万貫は無理でございまして、二十九年度一年間を見通しまして、二千八百万貫程度であろうかと予想いたしております。そこでこれを基準にして計画を立てますると、今までは大体五箇年計画で年々一割程度増産がありましたけれども、今後三千万貫近くなりますると、毎年一割の増加ということは、よほど努力をいたしませんと無理かと思うのでありますが、大体二十九年のそういう情勢を基礎にいたしまして、かりに三十年を出発といたしまして新しく五箇年計画を立てますると、技術的に申しまして最終目標は三千六、七百万貫程度しか不可能ではなかろうかと考えておりまするが、われわれといたしましては、これは急にやるわけに行きませんが、四千万貫近くのものを最終目標として努力いたしたいと思いますが、これはちよつと五箇年なり七箇年でそこまで達するという点について、今のところ自信がござい庄せんが、できる限りその数字に近いような計画を頭に置いて、目下立案いたしております。
  11. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 大体の計画を伺つてわかつたのですが、私はいまさら過去の数字を言うわけではないのですが、往年の絢爛たる時代から考えると、きわめて小さくなつた。蚕糸局で立てた二十六年の五箇年計画ですか、あれが二十七年度に非常に順調に行きまして、二千七百万貫くらいとれた。もし昨年度が気候が適順であれば、大体目標を突破している。二十七年で三割の増産をしているのですから、私は旧臘の質問において、蚕糸局計画というものがあまりに小さいじやないか、もつと大規模で計画しなければならぬということを実は申し上げたのですが、蚕糸局としてはもう少ししつかりした主体性を持つて、そして日本蚕糸行政はどうする、輸出はどういうふうにして振興するかということを、しつかりお立てを願いたい。私はお説のように三千万貫できると思う。問題は、今あなたがおつしやつた食糧とにらみ合せての問題である。蚕糸局の方の三十年からの五箇年計画というものは、多分二十二万五千町歩確保の数量であると思つております。現在十八万くらいでしよう。だから問題は食糧確保とにらみ合せて、農地をつぶすということは考えものだという意味から行けば、どうしても反当の収量を上げるということが一番いいんです。これはあなた方としてお考え願うことなんですが、一番増産の手取り早いことなんです。ですから何としても繭のもとは桑であり、優良桑苗確保することが、また還元して私の第一の質問になるが、まず第一にそこに帰着することになるので、私はきようの質問は、あまりぶちまけるといけませんから、集約して申し上げれば、いわゆる車の両輪であるような優良桑苗確保と、一面においては立体的な技術指導員に対する補助政策、これをにらみ合せて、やはり二十五年に養蚕大衆当局に対して陳情したように、養蚕大衆が三分の一、県が三分の一、国が三分の一、こういうふうな持ち方をはつきりして行かぬといけない。現状のように技術指導員の負担が、繭一貫目に対して三十円、茨城県で三十一円でしたか、そういうふうなものを最終段階製糸家が払うから、繭価の算定のときにごてつく。そういうことのないようにはつきりして、この技術員の安定したる身分を保障して行くのが一つ政策と、もう一つは、今私が申し上げたところの優良桑苗確保して、そうして車の両輪のように進んで行きたい、こういうことを私は考えておる。それに対して私は、まず反当収繭を上げるということが焦眉の急じやないか。そこで帰着するところは今の問題になつて来るのだが、私は反当二十貫の収繭をすることは必ずしも不可能でないと思うのですが、当局としての考えはどうです。二十貫とすると、あなたの方の今の十八万町歩とするならば、三千万貫になるのですね。春の収繭が押せ押せで来て、少しぐあいが悪いと見ても、夏秋蚕収量がよければ、三千万貫近く行くのじやないか、こういうふうに思つておるが、その点についてのあなた方のお考えはどうですか。
  12. 寺内祥一

    寺内政府委員 私が先ほど最終目標として四千万貫程度計画を立てたいと申しましたのは、やはりただいまのお説の通りでありまして、大体の面積がただいま十八万町歩でありますが、これは食糧との見合いもありますけれども、二十万町歩で反当収量を二十貫に上げる、これを最終目標として努力いたしておるのでありますが、ただいまのところは、昨年の統計を見ますと、反当収量が十五貫となつております。戦前の最高の統計が十七貫でございます。これを昨年十五貫でありましたものを、二十貫まで反当収量をふやして行くということについては、相当努力がいりますので、先ほども五年あるいは七年くらいかかるということを申し上げたのであります。従いまして、これをただちに来年、再来年で二十貫にするということはちよつと無理なのでございまして、もしもそれができますれば、現在の十八町歩あれば、来年、再来年で三千万貫は可能であると申し上げられるのであります。ただいまのところ十五貫でございますが、これを十七貫まで持つて行くことはある程度可能でありますが、これを戦前以上の二十貫まで持つて行くという点については、その上へ上つて行けば行くほど相当困難性がありますので、先ほど申し上げたようなことでありまして、またこの中心優良桑苗確保という点と技術員を強化するという点が根本で、車の両輪であるという点につきましては、まつたく佐藤さんと同感でありますので、この点につきましては、先ほど申しましたような三十年以降の政策の中に強力に盛り込んで行きたいと努力しておるということを申し上げる次第であります。
  13. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 この問題は別に小委員会でもつといろいろ当局の御意見も伺いたいと思いますが、問題は、輸出生糸の問題にしても増産ですね。そこの点を蚕糸当局は十分に考えていただきたい。今は車の片つ方しかないのです、いわゆる片手落ちなんですから、これはあくまでも、われわれも大蔵当局によくお話をしますが、あなた方もひとつこういう点はしつかりやつていただきたい。ここに平野さんもおいでになるが、今までせつかく優良桑苗に対してあつたものを、ここへ来てばたりと切られてしまつた、こういうふうな極端な行き方は、私は政治性がないと思う。だからこれに対して平野さんから、政務次官としてのお考えを述べていただきたい。
  14. 平野三郎

    平野政府委員 生糸輸出増進が繭の増産にあるということはまつたく同感でございまして、政府としては、その線に沿つて極力努力をいたしておるわけでございます。ただいま詳細な点について蚕糸局長から申し上げました通り、そのつもりで最善の努力を傾注しておるわけでありますが、御指摘のように本年度の予算の内容といたしましては、その点の効果が上るか上らぬか疑問であるということで、まことに遺憾に思つておるのでございます。ただいま政府輸出対策についていろいろ検討を進めておりまして、近く国会の御審議も煩わすということになる予定にいたしておりますが、この点につきましても、やはり繭の増産根本であつて、これを離れて行くということになりますれば、佐藤先生のお話の通り、まつたく片手落ちであり、車の片方だけが動くということになるわけでありますから、そういうことのないように極力努力をいたしたい、かような信念を持つて進む決心でございます。
  15. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 平野さんに、ひとつ予算をとることをもうちよつと考えていただいて、大蔵当局に対して優良桑苗補助については、なお一層御努力願いたいと思います。実は昨年茨城あたりは、二百万俵できていた繭が六十六万俵ぐらいしかできなかつた。そこであなた方の計画してあつた自動繰糸機というものをこの際奨励されたらえらいことだ、今までのようなことでけつこうだと言うくらいだから、それではいい糸が引けない、糸もよく出て来ないということになる。問題は、いい原料をよけいつくるということが根本の問題だと思います。これについて大いに努力していただきたいと思います。あなたの方としては、先ほど申しました生糸輸出確保に対する対策はまだ整つていません。だからきようはその問題に触れません。ただ、今申し上げたのは、すべてが繭の増産だという点にあるので、ひとつあなた方もその点に主力を集中してもらいたい。増生を今後大いにはかつていただきたい。これだけ警告やらお願いやら申し上げて、私は一応これで質疑を打切つておきます。
  16. 中澤茂一

    ○中澤委員 大体問題は、生糸輸出という面も大事ですけれども、問題は、農民の立場から繭価をどうここへ織り込んで行くかということが基本的な問題なんです。だからそれについては、今構想を練つている中に、繭価をどう入れるかという点について御説明を願いたい。問題は輸出ばかり重点に考えて——もちろん必要ですが、ともすると養蚕農民というものを無視したような方策がいつもとられるのです。だから当然輸出確保すると同時に、基本的である、今佐藤さんのおつしやつた増産繭価安定をどう考えるか、その点についてひとつ構想を練つているところで、繭価の問題について御説明を願いたい。
  17. 平野三郎

    平野政府委員 政府といたしましては、農民の保護のために繭価確保するということが、もちろん大前提でございますけれども、しかしながらそもそも蚕糸業というものは輸出根本であつて、これが全然輸出されないで、国内消費のみに使われるということになりますならば、むしろ食糧増産という見地から言えば、養蚕業から食糧増産の方に土地を利用した方が、国家的には正しい、こういう議論になつて来るわけであります。従つて養蚕農民の保護は、いわゆる養蚕業の振興をはかるという観点から言いましても、輸出に重点を置くということが当然必要であるわけであります。従つて最近の状況は御承知通り、まつたく輸出が不振で、国内需要のみがきわめて旺盛であるというような状態にありますので、これを漸次輸出振興の方に持つ行くというようなことのために必要な措置はとらなければならぬ、その線において農民の保護のための繭価の安定をはかる、こうい、考えのもとに進んでおるわけでございます。
  18. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは政務次官、考えが違うのだよ。繭価を安定しなければ増産できない。増産できなければ輸出もできないですよ。問題は、やはり繭を増産するには繭価安定が先決なんですよ。できもしないものが輸出できるわけがないですから、輸出最重点というのは基本的には考えが違うと思う。やはり繭価安定と増産が先になると思うのです。そうい点は私政務次官と考えが違うが、政務官はどこまでも輸出が重点で、繭ができなくても輸出できるとお考えですか。
  19. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま申し上げました通り、私どもは養蚕業というものは、輸出ということに重点を置いて進まなければならぬと思います。ことに敗戦国である日本としては、外貨の獲得ということが、特に最近においてはその必要を叫ばれているときでありますから、でき得れば生糸は全量でも輸出するように持つて行かなければならない。これを輸出を全然やめて、国内で消費するというようなことならば、先ほど申し上げましたように、土地の利用については食糧増産の方に重点を置くべきじやないか、こういう議論が起つて参りまして、かえつて養蚕業の振興のために阻害を来すということになるわけですから、従つて極力輸出の方向に持つて行くようにすることが必要であり、その面においての繭価の安定ということが考えられなければならぬ。かように考えているわけでありまして、意見が違うというお話でありますが、これは私の言葉が足りないために、そういう御意見があつたと思いますが、根本的には同じであると考えている次第であります。
  20. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつと関連して。今政務次官の答弁の中に、国内需要だけが非常に旺盛であるというふうな説明ですが、国内需要の旺盛の中にドル払いがあつて、これが相当大きな率を占めている。委員会の言葉としてははなはた適当じやないかもしれないが、パンパンもまた外貨獲得の一つの種類だというようなことまで言われていることは、私は行き過ぎだと思いますけれども、もしそうだといたしますれば、その中の主要な部分はやはり絹の消費量に現われていると思うのです。だからこれはやはり正常な貿易だとは私は申しませんけれども、国内需要が非常に旺盛だから——政策としては正常輸出でしようが、現状においては、相当国内ドルの消費にこれが充てられているということを見のがしてはいかぬと思うのです。国内需要が旺盛だから、それではいかぬのだというような考え方は、現実の政治としては成り立たないのじやないかと思うのであります。あなたはちよつと説明が足りないかあるいは見落していると思うがどうですか。
  21. 平野三郎

    平野政府委員 ただいまお話の国内需要の分についても、いろいろあやがあるわけでありまして、ただ単純に国内需要がことごとくよくないということはないので、その点は同感でございますが、根本的に申し上げますと、やはり生糸というものは本来輸出産業としての存在理由を持つのであつて戦前のごときは、御承知通り七十万俵の生産のうち、約五万俵程度輸出に向けられておつた。こういうことから見ましても、やはりやはり日本の養蚕業というものは、輸出ということにおいてその本来の使命がある、こういうふうに考えているわけです。しかるに最近需要の様相が非常にかわつて来ているわけであつて、この状態は養蚕業のためにとるべき行き方じやない、何としてもこれは何とか改善しなければならぬ、かように考えているのであります。
  22. 川俣清音

    ○川俣委員 それは正常貿易ということになりますと、また政策として正常貿易をとることが至当だという見解はわれわれも否定しない。ところが一面において、特需だということで国内ドルの、たとえば観光事業などはドル獲得の方法だというようなことで、大いに政府は宣伝している。それとこれとはどれだけ違うか、こういう問題が起つて来るのです。この点はどうなんですか。観光事業のドルの獲得と、国内需要の絹の消費量と同一に考えて行かなければならないのじやないかと思うのですが……。
  23. 平野三郎

    平野政府委員 この点は、先ほども言葉は適切ではないかというお話がありましたが、パンパンでも絹を消費するわけなんだからという御議論がさらに発展して来るわけだと思うのであります。その点は、もちろんそういう点もあるかと思いますが、やはりこれは程度の問題なんであつて根本的にはただいま私が申し上げましたように考えるべきである、こう思つておるのであります。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 平野政務次官に二、三お尋ねしておきたいと思うのです。  過般来、政府生糸輸出確保臨時措置法をつくるという構想で準備を進めておることを仄聞しておるのでありますが、数日来にわかに繭糸価格安定法第十一条の改正に切りかえるような情報もあるのであります。大体政府生糸輸出確保臨時措置法に関連する現在の状況、またその大体のねらいというようなものについて、もし聞けますならばこの機会に承つておきたい。私どもの現在聞いております点は、輸出生糸確保して行くということはまことにけつこうでありますが、そのために養蚕農民の不利を来すおそれがあるのではないかという点が憂えられるのであります。すなわち生糸輸出確保臨時措置法を繭糸価格安定法の改正の方向へ切りかえつつある、当初の構想が変更されつつあるということは、こういつた一般の輿論に相当政府考えざるを得ないような立場になつておるのではないか、そういうふうにも考えられるのであります。先ほど政務次官は、輸出問題を非常に力説されましたが、日本生糸生産の輸出と内需との関係を見ますと、内需が三分の二程度で、輸出が三分の一程度である。しかもその輸出の三分の一もポンド地域を経て三角輸出関係になつており、きわめて矛盾をきわめた輸出の形態になつておることも、もう社会はよく知つております。そういつた点から考えてみましても、先ほどからも御意見がありましたように、ただ単なるこういう輸出生糸確保して行くという目的から、養蚕農民に不利をもたらすような懸念を与える。まだ法案が出ておらないときからそういう懸念を与えるなどということは、非常に私ども遺憾に思うのであります。その点について、現在の法案をめぐる政府考え方をこの機会に承つておきたいのであります。
  25. 平野三郎

    平野政府委員 蚕糸対策につきましては、最近の状況にかんがみまして、何とか手を打たなければならないということから、政府としてはただいま検討を進めておる次第でございます。いろいろ世上に伝えられておるようなこともありまするけれども、まだ政府としては最終的な結論に到達いたしておらぬわけでありまして、いずれ成案ができますならば、まずまつ先に皆さんの御審議を煩わす、こういうことでございますから、いずれ近いうちにその機会があると存じますので、その際に詳細を申し述べたいと思いまするが、ただいま大ざつぱに申し上げまするならば、過般本委員会において御審議を賜わりました繭糸価格安定法、これがいわゆる大原則の法律としてできておるわけでありまして、この法を発動すれば何ら支障はない建前でありまするけれども、御承知のごとく政府が手持ちをしておりまする生糸が全然ありませんので、最近のような国内価格が異常に暴騰いたしました場合においても、これを調節するところの政府としての実際の力を持つておりませんがために、従つて現状においてはこの法の当動によつて問題を解決することが不可能な状態にあるわけであります。しかるに一方御承知のような、ただいま足鹿委員の御指摘になりました通り、最近の輸出の状況がきわめて不振であると同時に、三角貿易の形をなしておるというようなことから言いましても、このままで放置するというわけには参らない。そこでやむなく別途の方法を講じなければならぬ、こういうことから実は生糸輸出確保臨時措置法というものも一つの試案としてあつたのでございまするが、なるべくならばこの繭糸価格安定法の改正の形をもつて進む方がよいのではないかということで、目下検討を進めておるような次第でございます。ただいま御指摘になりました繭糸価格安定法の第十一条の繭の価格の低落を阻止するための必要な措置ということについては、これはわれわれ政府としては特に重大な関心を持たなければならぬことでありまするから、この点を確立いたしまして、もつて農民の保護を確立する、こういうことでいろいろと研究を進めておるわけでございますが、いずれ近く正式に成案の上は御審議を煩わすことになりますので、その節に詳細を譲りたいと思います。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一点、いろいろ御検討になつておることはけつこうでありますが、そもそもこの問題は、参議院議員の青木氏が公社案なるものを発表して以来三転して、現在政務次官が述べられたような方向に進んでおるようであります。その昨年秋末からの生糸輸出確保に対するいろいろな動きを見ておりますと、輸出振興ということが中心でありまして、養蚕農民の利益をほんとうに保護して行くということが結局繭の増産になり、ひいては輸出の増進になり、外貨の獲得になる、こういう考え方ではなしに、輸出振興して行くためのというふうに一つ輸出対策として若干添えもの的に養蚕農民の問題が取上げられる、こういう一つの流れのあることだけは間違いないと思う。この前第十二国会において、政府が農林委員会提出をした繭糸価格安定法の問題にしましても、当初は糸価安定法であつた。そうして農林委員会の修正に出合つて繭の一字を加えて繭糸価格安定法として、その内容についても相当の変化を加えたことはすでに御存じの通りであります。この繭糸価格安定法の成立の経過から見ても、現在の政府のこの蚕糸関係政策の動向というものは、常に養蚕農民を従たる地位に置き、輸出や製糸業者の立場を主たる立場に置いていろいろな政策が検討され、立案されて来た。これは繭糸価格安定法の成立の経過から見ても間違いありません。この大体の方向を改められない限り、私どもとしては現在伝えられているような政府考え方については、多分の疑義を持つております。たとえば最近自動繰糸機なるものが発明され、各工場にこれが普及しつつあることも聞いておりますが、一方においてはこういう大きな近代的な製糸工業の優秀工場があるかと思えば、一方においてはきわめて封建的な方法でもつて生糸の製造をやつている。その生産費、いわゆる加工費でありますか、この加工賃等を見ましても、一番コストの低いところは、十六貫俵当り三万円ぐらいのところがあるかと思うと、最高は七万五千円程度のものもある。この生糸の加工販売費を平均して、現在の繭糸価格安定法においては五万五千円ですか——というところに大体加工販売費を見て、そこからひとつの価格標準を出発しておられる。今度の場合におきましても、われわれとしては真に養蚕農民の利益をもたらすことが主眼であるならば、この生糸加工販売費の問題一つをとつて考えても、現在の繭糸価格安定法の運用、またその実際上における実施の状況から見ましても、相当全面的に改正して行かなければならぬ点がたくさんあるのです。審議の会話を聞いてみましても、ほとんど生産農民の意向なんというものは無視されてしまつて輸出業者や販売業者あるいは生糸メーカーというような人々の意見が主として審議会をリードしているということは、私どもも仄聞いたしております。そういうところにこそもつと抜本的な改正を加えて、そしてこの養蚕農民のほんとうの利益を擁護して行く合理的な施策を講じて行かなければならないはずなのに、ややもすれば輸出振興に名をかりて、今度の構想なんかは最高、最低の価格をきめて政府が買上げ、買上げたるものはこれを輸出しようと、内需にまわそうと、買上げ価格で売り渡す。政府は一文の損もしない。そうしておまけに買い受けた業者は、先は幾らに売つてもさしつかえない。何らこれに対しては制約を加えていない。もうけほうだいにもうけさせる。そういう結果を招来するために、事実上においては養蚕農民の生産する繭の最高最低価格をきめ、その間に圧縮して行く。大体こういう構想のように聞いているのであります。そんなべらぼうな話が一体どこにあるでありましようか。養蚕農民を苦しめておいて、加工販売業者や輸出業者の利益を擁護して行くことが輸出振興の方針だなどとはもつてのほかのことだ、われわれはそういうように解釈している。大体政府蚕糸対策というものは、私どもは繭糸価格安定法の成立経過からずつと静かに見ておりますが、一つとして養蚕農民の立場に立つているとはわれわれは考えられない。もつと真剣に——平野さんはわれわれ農林委員として長い間つき合つて、ほんとうに自由党の中でも最も良心的な、農村に明るい人だとわれわれは信頼しておりますが、今伝えられているような構想がもし事実とするならば、私は平野さんの良識を疑いたいと思う。もつとこの問題については、繭糸価格安定法成立以来今日に至るまでの政府蚕糸行政の流れをよく根本的に御検討になつて、現在考えられているものについても深く目を届かせ、りつぼな対策を立てていただきたい。私はそういうふうに思つております。いずれ何か法案が出るそうでありますから、こまかいことはそのときに譲りますが、繭糸価格安定法成立以来の経過から見まして、私はこの点とくと政府に警告を申し上げ、御再考を願つておきたい。これはあえて御答弁はいりませんが、私の意見としてこの際申し上げておきます。
  27. 平野三郎

    平野政府委員 政府輸出のことばかり考えて農民の保護を忘れているという御懸念のように承りましたけれども、そういうことは絶対にないと確信をいたしているのであります。これは言うまでもなく、先ほども川俣委員のお尋ねに対してお答え申し上げましたように、輸出ということが本来の養蚕業の使命でありますから、輸出が阻害されることになれば、結局は養蚕業そのものが衰退することになるわけでありますから、やはり輸出という方向に持つて行くことが、結局養蚕業の振興に役立つことであり、養蚕の振興をはかることがすなわち養蚕農民を保護することになるわけでありますから、養蚕農民を保護するこういう立場において今回の輸出振興の措置を考えているわけであります。従つて御指摘のように、今回の制度をとりますならば、確かに生糸の価格を低落させる。国内価格についてはこれを低落する、こういう措置をとるわけでありまして、それが自然農民にも、繭価格にも反映することはあると思いますけれども、しかしながら最近のような好景気は、一時的にそういうことがありましても、永続することはありませんし、そういうことのために最後はやはり農民に不利を来すことになるわけでありますから、一時的に農民にもごしんぼうを願うことが、結局は養蚕農民の将来のためになる、こういう考え方で進んでいるわけでありまして、この点は何とぞ御了承を願いたいと思います。
  28. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 生糸輸出確保の問題の考え方について今足鹿君から御質問があつて、私その点には触れないつもりでおつたのですが、われわれは農林委員としては超党派です。農林委員会の全体の考え方は、生糸問題、蚕繭問題を取上げるならば、八十万養蚕農民の利害問題を考えることです。これは当然です。だから今平野さんが言われるような、輸出が主であるということも、考えようによつてはそう見られるかもしれぬ。これは立場が違う。昔は輸出の王座であつた。けれども、われわれ農林委員考え方としては、やはり糸価安定、繭価安定、養蚕農家を救うんだ、これが根本だと私ども思うのです。それがやはり基調になつてあらゆる政策を立てて行くべきものだと私は考えている。今平野さんが言われるような今度のまさに通そうとする案の構想は、むしろ繭糸価格安定法を改造するようなものであるという考え方なら、これは多少恕せるのです。しかしこれがもし強力なる統制のような、あるいは専売のように出て来ると、非常に問題だと思うのです。単に輸出にとらわれて行くことになると、そこに非常に問題をはらんで来るんじやないか。私が申すまでもなく、繭から生糸になるについては、非常に大幅な文化の度合いがある。原始的な座繰でひいて糸にするのもあるし、郡是とか片倉のような自動繰糸機を使つて非常な機械化によつて出て行くという行方もある。それは座繰とは非常に違いがある。同一に論ずることはできない。それほど繭を取扱つて糸の出て来る道程においては、非常に文化の度合いが違う。だから、もし今度出て来る案が、そういつた零細なる製糸家——座繰も製糸家ですから、それらのものに対して非常な弾圧を加えるようなことになるとかわいそうだ。そういうこともやはり政治性として考えなければならぬと思う。だから根本考え方は、いかに八十万養蚕農家が安定した繭の相場でやつて行けるか。生産原価はどこにあるか。生産原価確保ということも、今度出る案のねらいどころだろうと思う。そういうおもんばかりがなくして、単に輸出生糸確保ということになると、また先ほど言つた片手落ちのようなことになる。これは案を出すときに十分考えていただきたいと思う。最初公社案のようなものが出て、参議院の青木さんがこれを発案したとか、井野さんが発案したとかいうことが巷間に伝わつて来た。幾たびか変化して今日出そうとするものはかなり変貌したものである。それではたして蚕糸局日本の繭、生糸に対して定見があるかということです。蚕糸局というものがしつかりした主体性を持つていないから、外部から打出されたいろいろな案に眩惑されておる。主体性を持つて蚕糸局としてはこういうものでなければならぬということであるならば、よそからの案を受入れる必要はない。現に今でも考えて、来るべき案に対しては全養連意見を聞いて、全養連の修正にあつてもけつこうです。いまだにはつきりしたものを持つていない。そういうことではいけない。やはり日本の八十万養蚕家を救うのだというところに根本目標を置いて、それからこれを輸出して外貨を獲得する、国際収支の面をはかるということを考えて行くべきだ。これは今の卵が先か鶏が先かという議論ははてしがない。平野さんが言うことにも真理があるから、私は一概に平野さんの言うことを否定するわけではないが、考え方は、農林委員会としてはみな同じだ。養蚕大衆を救うことを考えておる。これをひとつ腹の底に置いて、来るべき案の構成を考えてもらいたいということを、私は強く申し上げておきたいと思う。
  29. 平野三郎

    平野政府委員 佐藤先生の御意見にはまつたく同感でありまして、政府としても八十万養蚕農民の生活の安定をはかるということが大目的で、その点に主眼を置いた考え方を進めておるわけであります。その八十万養蚕農民の保護という観点からすれば、この生糸輸出の方向に持つて行くことが必要なのであつて、これは国内消費のみに使われるということになれば、かえつて養蚕業を衰退させる、こういう観点に立つておるわけでありまして、すでに繭糸価格安定法によつても明かでありますように、生糸の最低価格というものを政府予算をもつて保証し、そういう場合には買い取るということにいたしておりますし、また繭については手を打つてないじやないかという国会の御意見を、政府としても入れて、第十一条によつて繭の価格の最低価格を保証する、こういうことをやつておるわけでありますから、その点においては、政府としては養蚕業の保護ということは、法的にも予算的にも確立しておるわけであります。この点はひとつ誤解がないようにお願いいたしたいと思います。
  30. 中澤茂一

    ○中澤委員 政務次官はそうおつしやるけれども、そんなら政務次官は一体ことしの蚕糸局予算を——さつき佐藤さんも言われるように、優良桑苗確保さえできないようなあんなみじめな予算で、政務次官が言われるように養蚕農家を思つているかどうか、疑問に思う。真に養蚕農家を思つているなら、蚕糸局のあんなでたらめな、しかもあれは委員会で決議までして大蔵省に食い下つて増額させたのです。最初なんか蚕糸局予算などはありやせぬじやないですか。そんなことで政務次官がいかに養蚕農家を思つていますと言つても、それは納得できませんよ。思うだけで実質的な効果を与えなければ——思うだけなら私でもどんなことだつて思えますよ。だからいま少し真剣に考えてもらいたい。これは私の方は長野県ですが、養蚕業というものは、今度の凶作などを見ても、凶作地でほんとうにこの冬を何とか食いつないで行けるものは養蚕収入なんです。それくらい重点を置いてやつているのですが、とにかく今佐藤さんが言われたように、蚕糸局はほんとうに腰が入つてない。何の蚕糸局だか、われわれ外から見ているとわけがわからない。それでたまたま腹が坐つていると思うと、最高価格を撤廃するなどと、蚕糸局長一人でかつてに放言してみたり——それに基いて今度の臨時措置をやろうとしておるのですが、この最高価格ということについてどう考えておるか、それが一点。  なお繭の生産原価は幾らであるかということをひとつ蚕糸局長から御答弁願いたい。
  31. 寺内祥一

    寺内政府委員 今回の措置によりまして最高価格をどのくらいにきめるかというお話でございますが、これはただいまの繭糸価格安定法によつても、最高価格も最低価格も生産費を基準にして考えろということになつておりますので、生産費が出て参りませんとわからないのでございますが、これは二十八年度の生産費をただいま調査中でありまして、まだ集計もございませんし、近く販売の方の調査も集計を——大体三月に審議会を開くことになつておりますので、それまでにまとめることになつておりますが、ただいまのところ、ここでその数字を責任をもつて申し上げるだけの資料が整つておりませんので、もうしばらく御猶予を願いたいと思います。  それから新しくきめる最高価格につきましても、これもそういう関係がございますので、生産費とにらみ合せないときめられないのであります。
  32. 中澤茂一

    ○中澤委員 じやが出るかへびが出るか知りませんが、とにかく繭価安定を中心考えてやらない案だつたら絶対だめですよ。政務次官が何と言つても絶対ぶちこわしますよ。政務次官自体の考え方がおかしいのです。基本的な考え方をもう少しかえてもらいたい。あなたも前に農林委員のときには、ずいぶん農民の立場で発言したものだが、どうも人間というものはえらくなるとおかしくなるらしい。基本的に養蚕農家を守るということでおやりになれば、いやでもおうでも生糸はできて来る。つくるなと言つても、そろばんが合えば百姓はつくりますよ。どんどん生産がふえます。生産がふえて初めて輸出をどうするかということになつて来る。今生産量が少くて国内消費が旺盛だ、だから今度は輸出だけをやらなければいかぬという考え方は、根本的に間違つておるのです。それだからこの案がいよいよ出て来れば、これは簡単には行かぬということだけはお考えになつておいていただきたい。その基本的な問題は、繭価の安定をまず考えて出して来るのでなければうまく行きませんよ。それを考えなければ絶対うまく行かぬということを最後に申し上げておきます。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 この際蚕糸問題を検討するにあたりまして資料を要求いたしたいと思います。すなわち繭糸価格安定法が成立した前後から今日に至るまでの生産状況に関する一切の資料、価格関係の一切の資料、輸出関係の一切の資料、その他参考となるべき資料を早急に文書をもつて御配付を願いたい。  なお生産関係につきましては、生産費計算がいつも問題になるのでありますが、政府の計算は一貫千九百五十円くらいですか、私どもの計算から行くと、これは自家労賃の問題が——すでに米価の場合も同様でありますが、算定で四、五百円いつも開いておる。この生産費計算方式の問題がいつも問題になるのでありまして、それについての過去の一句の資料を特にお願いいたします。
  34. 井出一太郎

    ○井出委員長 蚕糸局よろしゆうございますか。
  35. 寺内祥一

    寺内政府委員 よろしゆうございます。
  36. 松岡俊三

    ○松岡委員 私は蚕糸関係でありませんが、資料要求についてお許しを得たいと思います。全国各営林局別の収入支出の予算明細、各営林局別の治山治水の予算明細、各営林局別の治山治水計画面積とその細分表、これがほしいのです。お願いいたしします。
  37. 井出一太郎

    ○井出委員長 それではそれは委員長より林野当局へ命じて資料を出させることにいたします。     —————————————
  38. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより米価に関する件、特に昭和二十八年産米の凶作加算等の問題について議事を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。佐々木盛雄君。
  39. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私はただいま議題になりました米価の問題につきまして農林当局並びに大蔵当局に承つてみたいと思います。  先刻来もおそらく農業団体の代表だつたと思いますが、るる米価問題について御陳情になつてつたのであります。まことに米価の問題は農民の死活に関する重大な問題でございます。私は減収加算額の追加払いの問題について承るのでありますが、二十九年度の予算編成におきます大蔵省原案によりますと、二十八年度産米に対する減収加算額の支払いにつきましては、すでに払われた五百円だけにとどめるという説もあるようでありますし、また農林省独自の減収加算の方式によつて、五十三円でありますかを追加払いをするという説もあるようでありますが、すでに払つた五百円以上は払わないつもりなのかどうか、あるいは農林省当局としてはどういうふうなことをお考えてなつておるかという点を、最初に承つておきたいと思います。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  40. 平野三郎

    平野政府委員 減収加算の問題につきましては、すでに米価審議会において答申もありますわけで、これに基きまして、政府としてはあとう限りこの答申を尊重しつつ、ただいま慎重に検討を進めておる次第でございます。ただいまお話のありましたように、すでに概算払いで五百円を支払つたわけでありますが、これ以上は支払わないというような大蔵省の原案があるというお話がありましたが、そういうこともちよつと聞いておりまするけれども、これはもちろん政府の試案でありまして、政府としてはそういうことは考えておりません。いずれにいたしましても、概算払いいたしました以上は精算をしなければならない。この精算につきましてはいろいろな方式がありますわけで、従つてどういう方式をとつてやるべきであるかということにつきましては、財政の立場あるいは諸般のいろいろな立場から総合的に考慮いたしつつ、ただいま検討を進めておるような次第でございます。
  41. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 政府は当初米価審議会の答申を尊重して、米価審議会の答申方式によります減収加算額九百三十二円、こういうことになつておるわけでありますが、その中から五百円がすでに概算払いをされたから、米価審議会の答申通りにいたしましても、さらに四百三十二円というものを追加払いをしなければならぬということになつておるわけであります。いろいろな農業団体の方からわれわれの方へも種々陳情が参つておりますが、それによりますと、政府は当初において米価審議会の答申を尊重し、その通りに払う、こういうことを公約をなさつておるようでありますが、そういうことを約束したことが全然ないのかどうか、あるいはこの九百三十二円というものは全然尊重しないのか。五百円をすでに払つたということは、九百三十二円の審議会の答申のうちの概算払いとして払つたものではないのか。これらの点につきまして、もしも米価審議会の答申通り九百三十二円を払うのだということを農民に向つて約束をしておきながら、この期に及んでもうこれ以上はびた一文出せないというようなことになりますれば、まことに農民を欺瞞するもはなはだしい結果であるといわざるを得ない。これらの点につきまして真相をひとつこの際明らかにされたいと思います。
  42. 平野三郎

    平野政府委員 この前五百円を支払いました当時におきましては、まだこの算定方式に対する米価審議会の結論も出ていないときでありまして、とりあえず五百円の概算払いをいたしたわけであります。審議会の答申によりますれば、お説の通りさらに四百円程度を払わなければならぬことになるわけでありますが、政府としては、その通り支払うということを言明したことはないのでありまして、できるだけ審議会の答申を尊重して最善の努力をするということを申し上げたにすぎません。従つて五百円で打切るということは全然考えておりませんけれども、どれだけを支払うかということにつきましては、ただいま検討いたしておるわけであります。政府が欺瞞をするということでは毛頭ないわけでありまして、この点は御了承いただきたいと思います。
  43. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 五百円で打切ることはないということを言明なさつたのでありますが、それではこの米価審議会の答申通り四百三十二円を払うという意思もないのかどうか。伝え聞くところによると、五十三円の追加払いでもつて、それだけでもつて解決しようというふうにも言われておりますが、五十三円というのはあながち根拠のないことではなかろうと考えるわけであります。この加算額の算定方式の中にも五十三円という、ものも出ておるようなわけでありまして、決してこれが荒唐無稽のことではなかろうと私は考えるわけであります。政府としては、ただいまの問題についても、四百三十二円を払う意思は全然ないのか、あるいは五百円で打切らないというならば、どれだけのものを支払おうとしておるか、どれだけのものなら今日の財政事情よりして出せるのか、これらの点について、もう少し明確にお願いいたしたいと思います。
  44. 平野三郎

    平野政府委員 お話の五十三円という考え方もあるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、いろいろな算定方式があるわけでありまして、そのうちの分散度を考慮した方式というような考え方によりますと、五十三円という算定方式もあるわけであります。これらの点につきましては、米価審議会の御意見を尊重すべく、先般も実は米価審議会の懇談会を正式に開きまして審議会の各委員の方々の御意見も十分に拝聴いたしたわけでありまして、そういう観点から、いずれをとるべきかについて目下政府部内で検討いたしておるわけであります。
  45. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 幸い食糧庁長官もお見えでありますが、食糧庁長官としては五十三円説を主張なさつておるのかどうか。もししかりとするならば、いかなる根拠に基いてそれをなさつておるか。食糧庁長官は、具体的に担当されておるのですから、専門的立場から、農民の納得のできるような御答弁をひとつ願いたいと思います。
  46. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。減収加算につきましては、ただいま政務次官からお話がございましたように、その算定方式につきまして、小委員会も設けていただきまして、いろいろ御議論も願いましたし、またその小委員会に基きまして、米価審議会としての御答申もあつたわけであります。米価審議会の小委員会におきまする検討の結果等も拝聴いたしたわけでございますが、この減収加算の問題は、一般的な方式の場合と、それから本年度におきます特有の減収の場合とあるわけで、主として豊凶両者に通ずる一般的な方式として検討されておるわけでございますが、御承知のようにこの考え方といたしましては、数量の変化ということは考慮されておりませんから、この数量の変更を考慮するということが、パリテイ方式に対する一つの修正要素として考えられるわけでございますが、この修正要素といたしまして、平年並の所得を維持するというふうな考え方からいたしますと、今年度のように作況の状態が非常に不均衡な場合におきましては、平年並の状態とは異なつた事情もございますので、その事情も勘案しなければならないのじやなかろうかというふうに考えておりまして、その点につきましては、御承知のように一つの価格政策といたしましての限界もあろうかと思うのであります。非常に作柄が不均衡であります場合は、いろいろな地域的な問題、凶作地帯の問題、種々の事情がございますので、われわれといたしましては、いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、そういう、本年におきます特異の現象ということは、やはり考慮して参らなければ、減収加算の平均という意味も非常に薄れて参りますし、また同時に、その不均衡の拡大というようなこともございますので、米価を一本米価としてその点を考えて参ります場合におきましては、本年度におきますそういう特異な現象を考えて参らなければならないというふうに考えておるわけでございます。それで基準反収につきましても、やはり幅がございますので、本年度の反収につきましても、平年並の考え方からいたしますと、やはりそこに幅を持つた考え方をする必要があるというふうに思うわけでございます。
  47. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 もう一点承つておきますが、私はあくまでも、農林委員の立場におきましても、米価審議会の答申の通り、四百三十二円を支払うベきものだというふうに考えるわけでありますが、もとより今日の一兆円の緊縮予算のわく内におきましての困難さのあることも重々承知いたしておるわけであります。私は具体的に承るわけでありますが、農林省当局におきましては、米価審議会の答申を尊重するということを、原則にしておられるわけでありますが、尊重すると口では言つておきながら、尊重することもできないで半分で打切つてしまうということは、予算の面においてどういう事情にあるのかという点も承つておきたいと思います。たとえば一般会計の前年度の——大蔵当局の方もお見えになつておるようでありますので、大蔵省当局からも承つておきたいと思いますが、一体米価審議会の答申通りに支払うといたしましたならば、どれほどの予算になつて来るのか。従つてそれが前年度の繰越金かあるいは食管特別会計の残などでもつて、まかない切れないのかどうか、何らか特別の考慮によつて、特別の措置を講ずることによつて、農民の利益のためにもう少し政治的な考慮を払う余地がありはせぬか。なぜならば、この米価の問題というものは、まことに全日本農民の死活に関する重大な問題でありますから、単に一兆円のわくであるからやむを得ないというようなことで打切つてしまうのではなくして、あらゆる施策を傾倒いたしまして、この問題の解決に誠意をもつて乗り出していただきたい、かように私は考えるわけでありますから、ただいま申しました予算的な措置等につきましての考慮する余地がないか、またどんなふうに今後やろうと考えておるかという点を承りたい。
  48. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 食管会計の点につきましては、ただいまのお話で四百三十二円ということになりますと、二千百万石といたしますと九十億の金がいるわけでございます。先ほど御指摘になりました繰越益ということになりますと、先般二十七年度におきまする三百四億の繰越益から、本年度におきまする米価に関する食糧特別会計の負担が二百二十億ほどございます。そのほか農産物価格安定法の関係におきまするもの、甜菜糖の関係考えますると、二百九十四億ということになりますので、ほぼ十億程度が繰越益となろうと思います。これも今後の推移を見ないと、二十八年度のしりが幾らになるかということは明確でございませんが、予定としてはそういうことになつておるわけでございます。
  49. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 この際大蔵当局に伺つておきますが、これは単に食管特別会計の十億内外で措置し得ないことはきわめて明らかであります。しかし農民の死活に関する問題の重大性にかんがみまして、あらゆる施策を傾倒していただきたいと思う。一般会計の方からでも前年度の繰越金等からも、こちらの方へまわしてもらうというような措置はないものかどうか。これらの点について大蔵省もともに真剣に考えていただきたいと思いますがいかがでありましようか。
  50. 原純夫

    ○原政府委員 一般会計から繰入れます余裕というものは、現在一兆予算で汲々としております際でありますから、非常にむずかしいということはお察し願えると思います。そういう余裕を出すということはまことに不可能に近いと考えております。なお大蔵省といたしましては、米価というものはなるべく消費者には安く売つた方がいいのでありますけれども、生産者価格を割つて消費者に売る、そのために財政負担をするという方式は避けて参りたいということを長い間の不動の方針といたしております。これは現在非常に騒がれておりますこういう経済の危機と申しますか、やはり知らぬ間に円の価値が下る、つまりインフレーシヨンになるというような歩調が進んで参つたわけでありますが、価格の補給をいたしますことは、まさに方向としてそういうインフレーシヨン的な方向であるというふうに考えますので、いわゆる原価主義という方針を大蔵省はとつております。将来もそれで参りたいというふうに考えておりますので、そういう意味からも、大蔵省の態度をお察し願いたいと思います。なお二十八年産米につきましては、そういう原則をとりながら非常な不作であるということを考えまして、食管会計も黒字でありますけれども、広い意味の財政資金の中で、今申したコスト主義をある程度割つたというところでありますので、これ以上コスト主義を割つて行くという気持は持つておらない次第でありますので、御了承願います。
  51. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 理論は別といたしまして、すでに大蔵当局の意向は明らかになりました。すなわち一般会計からの繰入れは不可能である。一方農林当局におきましては、五百円では打切らない。これで二つの線が明らかになつたわけであります。そうすると五百円で打切らないが、一般会計からも出せないから、結局食管会計の方からまわす。これはただいまの長官の説明によりますと、わずかに十億余りであります。そういたしますと、追加払いされる額というものはきまつて来ると思いますが、まだ最終的決定はないというお話でありまするが、これにつきましては、真剣な検討を加えられて、もうそろそろ具体的な数字が出ておる段階だと私は思うのであります。大体どの程度のことをお考えになつているか。私は、この数字から見ても大体のところは見当がつくのでありますが、どの辺のところをお考えになつているか。これは農民の注視しておるところでありますから、この際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  52. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの佐々木先生の御質問でございますが、財政的な面につきましては、ただいま大蔵省のお話があつたのでございますが、食糧庁といたしましても、生産面におきまする関係、同時に消費面におきまする関係をいろいろ考慮して検討いたしておるわけであります。先ほども申し上げましたように、一般方式といたしましての減収加算の問題もございますると同時に、今年におきまする特異の現象ということ、これは各地域間及び農民間におきまする不均衡の拡大というような点も考えて参らなければならないということもございまするので、現在分散度を考慮いたして、その案を中心に検討をいたしておる次第でございます。
  53. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私はただいま申したように、食管特別会計の十億の中で措置をする方針のように承るのでありますが、そうでありますか。そうだとすれば、先ほどあなたがおつしやつた五十三円ということも、別に根拠のないことではなかろうと私は考えるのであります。そういう大まかなことではなくて、具体的な数字の検討が加えられていることと思います。この問題は、具体的な数字の検討に入らないで、まだこれから考慮しますなどと、そんなのんきなことを食糧当局考えておると思われない。でありますから、私は具体的な納得の行く数字をお知らせを願いたいと思います。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お手元に差上げてあるというふうに考えますが、われわれとしましても第一案、第二案、第三案ということで、いろいろ検討を加えておりますが、本年度の事情を考えて、大体第二案を中心に検討しておるということを申し上げたわけであります。
  55. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 その第二案によりますと、どのくらいになりますか。具体的にお知らせを願いたい。
  56. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 第二案は分散度を考慮した考え方でございますので、ただいま佐々木さんからお話がございました五十三円を中心にして、検討をいたしておるわけであります。
  57. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 そうすると、先ほどの農林次官の言明と食糧庁長官の言明を総合しますと、五百円では打切らないで、何らか考慮しておる、しかしこれは食管会計の範囲を出るものではないということから考えますと、政府が今考えておるのは、第二案によつて五十三円だけの追加払いで打切ろう、こういうお考えでありますか。
  58. 平野三郎

    平野政府委員 これは先ほど来申し上げまするように三案あるわけでありまして、米価審議会の答申通りにやりますれば四百三十二円、また農業共済の保険金を差引くという方式もあるわけでありますが、これが二百五十九円くらいになります。それから今申し上げました分散度を考慮に入れました方式が五十三円、こういうわけでありまして、これに必要な予算につきましては、先ほども長官が御答弁申し上げましたように、まだこれは基本米価に対するものでありまするから、供出の全量が決定しなければ最終的な数字は出ませんわけですが、大体において、米価審議会案を採用いたしますれば、百億近く、九十億程度を要するわけであります。第二案によりますれば、やはり四、五十億を要する、今の五十三円案で行きますれば十一億程度で済む、こういうようなことになるわけでありまして、このいずれを採用すべきかにつきましては、各般の立場から目下検討しておるわけで、ごく近い将来に決定をいたす所存でありまするから、そのときはもちろん御報告を申し上げたいと思つておりますので、御了承願います。
  59. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 最後に希望だけ申し上げておきます。他の同僚諸君からもこれに関連して御質問があると思いますが、私は与党でありますけれども、ただいまの政府当局の答弁にはきわめて不満足である。米価審議会の答申をぜひとも全面的に尊重するようにということを私は強く要求いたしまして、質問を打切つておきます。
  60. 井出一太郎

    ○井出委員長 川俣清音君。
  61. 川俣清音

    ○川俣委員 先ほどの理事会の申合せによりまして、減収加算の問題については、大臣の出席を求めて質疑を続けるということになつておりますので、きようの質問は関連の部分だけにとどめておきます。  そこで、平野政務次官の答弁は、まことに無責任きわまる答弁だと思うんです。ということは、第一回の米価審議会において五百円という加算を出しましたのは、当時の速記録をごらんになりましても明らかなごとく、当時の作況が明らかでないために、この計算の方式をもつてすれば五百円内外になる、こういうことが当時五百円の概算払いを決定した意味であります。そのときの政府の態度は、減収加算の方式というものはできるのであるから、機械的にあとで計算してもよろしいのではないかということが大臣から述べられている。ただ当時の作況が明らかでなかつたというだけが問題であります。もう一つの問題として、それらを加算した場合において、一般財政から負担するのか、あるいは消費者に負担させるのかという問題は確かに残つておりましたけれども、分散度を見るというようなことで五百円が出たものでないことは明らかであります。また米価審議会の意見を尊重するということになりまするならば、当然米価審議会としての決定を尊重されなければなりません。その中の少数意見が出たことをもつて米価審議会の意見を尊重したということにはならないと思う。あなたはいつでも、少数意見でも自分に都合のいいときには、そこの意見だというふうに見えられるのですか。これは重大なことですよ。そうでなくて、やはり決定された決議を尊重することが米価審議会の意見を尊重するということになると思う。その一部を尊重すれば全部を尊重したのだというような考え方で御答弁になつたとしますならば、御取消し願わなければならぬと思う。大体五百円の計算は、当時九〇%しか作況を見なかつたために出た計算である。これが一点です。  もう一つ食糧庁長官にこれは質問でなくて要求を出しておきますが、今分散度などということが出ております。しかしながら豊凶係数が著しく現われるというときは、必ず分散度が伴つているときである。日本の農業の歴史を見て、凶作であつたという場合、これは天候に支配されて、台風とか水害が起つて来るのでありますから、必ずどこかに部分的に大きな障害が起つたときに凶作が現われて来るのです。日本全体に一様に凶作が現われたというようなことはないのです。どこかに異常な作況が現われたときに、減収というものが非常に拡大されて出て来る。そうでないという御説明でありますならば、日本の過去の全部のデータを出してください。豊作であつた場合、凶作であつた場合の各県の作況を農林省は持つておられるはずでありますから、その作況を出してください。その作況が出て参りますならば、あなたの説明がデータによつてくつがえされるということが十分おわかりだと思う。農林省から出たデータによつてあなたの意見を批判しますから、全部あさつてまでに出してください。  それから時間がありませんから、大蔵当局にお聞きしておきますが、農林省がでたらめな案を持つて来て、計数を合わして来れば大蔵省は見るのだというような、卑怯な態度はやめるべきだと思う。やはりあなたとしては、こういう財政支出をすることによつて円価が下つて来るからいけないのだとか、あるいは日本の財政事情がこういう時だからいけないのだということを明瞭にしなければいけない。何かあなたの方に気に入るような数字を持つて来て、そこで予算をとるというような卑怯な態度に対して、あなたは厳重に大蔵省当局の態度を守るべきだと私は思う。これが一点です。  もう一つ大蔵当局にお尋ねしておきますが、よく消費米価をきめるときにはコスト主義をとるのだ、こう言われております。コスト主義を拡大して行きますならば、その説を貫こうとするならば、生産費においてもまたコスト主義をとらざるを得ないと思う。消費価格はコスト主義、原価計算主義をとるというならばかかつただけの負担を消費者に負わせるという考え方も一つの方法だと思いますけれども、それでありますならば、生産費においてもまたかかつただけの経費を負担するという考え方でなければ一貫しないのじやないか。今日起きておりますような造船疑獄にいたしましても、かかつた経費をある程度見て行かなければならないというところから、利子補給や補助が生れて来ておると思うのです。ところが農産物だけ、特に米価だけは、これは全体の国民食糧をまかなうためであるから、コストを割つてもいいというような議論がなされることは、誤りだとあなたはお考えにならないかどうか、コスト主義を貫こうとするならば、やはり米の生産費においても同様な考え方をしなければならないとお考えにならないかどうか、この点だけ伺つておきたい。
  62. 平野三郎

    平野政府委員 五百円の概算払いをいたしますときに、作況が決定をしていなかつたので、作況が決定すれば、当然自動的に九百四十二円になるということは、当時私は政府におりませんでしたが、そういうことは絶対になかつたと存じます。おそらく当時は、まだ算定方式というものは確定していなかつたわけであります。その後の審議会において、算定方式について小委員会までおつくりいただいて、いろいろと御研究願い、その結果多数意見あるいは少数意見等各種の案が出て参つたようなわけであります。従つて当時農林大臣が、今回決定した審議会の案通り払うということを申したことは絶対にない。これは速記録を見れば明らかになると思いますが、そういうことはないはずでありますから、御了承いただきたいと思います。
  63. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの資料要求でございますが、最近の年次までは………(「最近ではない。全部を出しなさい」と呼ぶ者あり)全部と申しますと、できるだけ努力はいたしますが、早急には計算できませんので、できるだけ間に合せますが、一両日ということには……(「そういうデータを持つていなければならぬはずだから、全部出しなさい」と呼ぶ者あり)今まで調べたものに対しては出します。
  64. 原純夫

    ○原政府委員 減収加算の追加払いの問題につきまして、たいへん卑怯だというようなおとがめがありまして、非常に心外でございます。減収加算について、私どもの考えている考えを、この際申し上げておきたいと思います。結論は、政府部内でただいま検討中なんでありますけれども、われわれは五百円に追払いをしないで済ましていけないかということを、農林当局に申し上げております。その理由は、財政が主たる理由になるべきでありますが、同時に米価問題といたしましても、いろいろ申し上げたい点があるというので申し上げているわけであります。それを大体四つにわけて申し上げてみたいと思いますが、まず物価全般において、米価の地位が非常に重要であるということは、喋々の要がないというようなことから、米価については、年来非常に関心を持つて来ておりますが、戦後非常に農村につらい米価構成であつたというのが、だんだん自然米価に近いものになつて参るというような傾向、これはわれわれもやはりしかるべきであろうと思つて参りましたが、率直に申して、二十八年の米価は、かなりその方向に大幅に参つたというふうに考えております。これをやはり物価全般、特に今は、御存じのように物価を引上げようという気持でおりますので、そういう角度からひとつブレーキを入れたいというのが第一。それから第二に、減収加算を昨年秋に考えました時分、あの審議会では、私は新米で川俣委員に大分生兵法の御返事を申し上げて恐縮だつたのですが、あの時分の条件から比べて、その後農家の手取りというものはかなりよくなつているということを申し上げたいと思うのです。当時はまだそれほどひどい減収ではないと考えていた。同時に、超過供出の割合も、割当に対して五割増の超過供出があるというようなことは考えておりませんでした。つまり超過供出の比率がふえたために、農家の手取りは平均して石当り数百円ふえております。そういうようなことが第二点であります。それから第三点は、世上言われます公平の問題ですが、これは喋々申すこともありません。一方で先般の臨時国会で応急の財政支出もいろいろいたしておりますので、そういう点も考えなくてはいかぬ。それから第四点として財源的に、ただいま佐々木委員からお話がありましたように、ほんとうに食管会計は火の車で、先ほど長官の言われましたところの黒字も、実は早場米の奨励金が予定以上に出たというようなことで、そのネツト勘定では赤字になる。しかたがないから、いろいろ財源を集めてやろうかというような話もございますが、そんなようなわけで、これを米価に持つてつてしまえば計算は簡単でありますけれども、これはただいま申し上げたような事情で困る。かれこれ考えまして、この際ごかんべん願つたらどうかということで、実は御相談いたしておりますが、なお部内でも検討を進めているところでございます。  なお生産者米価のコスト主義の問題でありますが、私が消費者米価のコスト主義と申しておりますのは、要するに食管は買つた値段で売らなければ、明瞭にそこに赤字が出て、そういうものに財政支出で出して参るということは、そのまま方向としてインフレ的な財政であるということを申し上げておるわけであります。生産者米価の方は、そういう買つた価格で売るという単純な算式のほかにいろいろな事情がございまして、私も専門でございませんから何でございますが、簡単には割切れない。生産費の見方等についても、もう喋々申すまでもなくいろいろな問題があるということから、かなり肉の多いいろいろな検討が必要なんじやないかというように考えております。
  65. 川俣清音

    ○川俣委員 大蔵当局質問いたしておりますが、問題は物価の問題を一つの例にあげておられますが、大蔵当局並びに通産大臣の御答弁によると、物価を引下げるには大体農産物価から引下げて行つて、そうして労働賃金、実質賃金を確保して行くんだ、こういうような考え方のようであります。その議論はあとにいたしますが、かような考え方のようであります。そこで問題は、そのうちに一番大きな比重を占めておる米価からというようなお考えも出て来ると思うのです。ところが大蔵当局が認められておりまする林野庁の予算を見ますると、木炭価格では一三%収入増に見ておられる。それから用材では八%、薪炭材は五%増に見ておるわけです。単価を引上げておるわけです。これはおかしいですよ。世間には物価を五%ないし一〇%下げるんだという説明をしておられながら、タバコはまず上げるし、あるいは政府財産の処分にあたつては木炭価格を上げておる、あるいは薪炭材を上げる、あるいは用材を上げるというようなことをやつております。そういたしますと、米価を引下げるための手段に物価の問題を出しておられるような誤解を招くのですが、この点はどうかということが一点。  もう一点は、あなたもおいでになりました米価審議会において、当時の状態では——御存じのように今も問題は残つておりますが、作況指数がなかなかつかめないという問題がまだ残つておるわけであります。あなたは作況は非常によかつたというふうに解釈しておられますが、作況について農業統計を見ますと、農林省の農業統計一つある、県の調べが一つある、町村の調べが一つある、それから農業共済の調べが一つある、大蔵省の調べが一つあります。作況ならまだ意見の異なるところがあつてもやむを得ないと思いますが、日本の耕地面積あるいは作付面積もまた同様に、食糧庁の作付面積、農業統計の作付面積、農業共済の作付面積、税務署関係の作付面積、反収、おのおの違うのです。私のおりまする東北の国税局の調べによりますと、反収を農業統計よりさらに六分上げておるのです。一体そういうことが出て来るのかどうか。もし出て来るとするならば、その根拠を明らかにしておいていただかなければならぬ。これはあなたの所管じやないでしようけれども、大蔵当局としてお聞きしたい。結局は不動な作付反別まで調査ができていないという行政上の欠陥をたなに上げておいて議論をされるということについて、間違いでないとお考えになるかどうか、この点をお聞きします。
  66. 原純夫

    ○原政府委員 まず物価引下げを米というか、そういうものを犠牲として下げるというお考えじやないかという御指摘でございますが、われわれは先ほども申しましたように、米価は物価体系の中で大事な問題であるから、なるべく低く維持したいという気持はございますが、一方で戦後米価が経済自然の価格よりも押えられておる、それをなるべく自然の価格に近づけたいという農林省当局その他関係の方々の方針と申しますか、お考えに対しては、ごもつともだというつもりで、なるべくついて参るという気持でやつてつております。別段米価を犠牲にしてこの物価体系を低く押えるというつもりはございませんから御了承をいただきたいと思います。ただ率直に申しまして、最近の米価、ことしは最後決算して幾らになりますか、先ほどまでの計算では一万三百三十円幾らという数字が出ております。これが今特に問題の焦点になつております国際競争力というような意味から、他国の人たちが主食をどの程度の価格で入手しておるかというのと比べますと、相当に高くなつておるという点は、遺憾ながら認めざるを得ないというような感じでおります。  次に反収及び作付面積の問題についてお尋ねがございました。私の所管でないのでございますが、先般まで国税庁の方におりましたので、お話は国税局のことだと思いますから、国税庁側が答弁すればこう答弁するだろうということをかわつて御答弁申し上げたいと思います。反収につきましては、いろいろお話のような各般の数字があるのでありますが、税の場合は、要するに実収高をもととして考える。そうして実収高が作報なり何なりの見るところと税務署の見るところと違いますれば、税務署は自分の責任において見るということでございます。それから作付反別にいたしましても同様でありまして、作報にいたしましても、作付反別の公式な計数にいたしましても、現実とぴたりと一致するということは必ずしも期待し得ない、違う場合があり得るということでございますから、そういう根拠でそういう違いが出て参つておるというように御了解願いたいと思います。  それから木材、薪炭、あれを見積りましたのは、物価引下げではありますが、すでに二十七年度、二十八年度とずつと実際の価格が上つて来ております。そしてカーブを描いて上つて来ておる。これを下げて行くわけですが、どすんと断層を切つて下げるというわけに行かないので、こういうカーブで下つて参ります。そうしますと、それを見込みましてもやはり売値は前年度の予算以後高くなるということはあり得る。つまり前年度予算に比較してさらに前年度の実際の趨勢が上つておるというようなところから、そういうことが起つておるのではないかというふりに考えます。
  67. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで問題なんです。二十九年度の予算米価は大体二十八年度を踏襲するという。そこで問題が出て来る。今時間がありませんから議論をしようとは思わないですよ。ほかの物価は大体横ばいないしは下げるということを声明されておる。二十八年度の物価と比較して五%ないし一〇%を下げるという言明なんです。そうすると、予算の組み方もまた横ばいか、下つて組んでおられるのが普通だと見なければならない。それでなければ財政規模が拡大して来るでしよう。一兆はおかしくなつて来る。その議論は別にしますが、米価を昨年並に組んでおる。ほかの物価がずつと上るような傾向にあるときに米価だけは押えたということになりやしませんか。あなたが言われる通り、もしも手取り額が一万三百円だとしますれば、実質上はさらに予算米価は下げておりますよ、ここにやはり矛盾があるのですよ。私はあえて矛盾をつこうとは思いませんが、政府は都合のいいときには物価を下げるのだという説明をし、財源がいる場合においては、ものを上げて行く計算をするという、やり方が一貫していないということが一つ。これと同じようなことを、税務署においてもやつておられるじやないか。作付反別は動かないものです。作況であれば見誤りということがありますが、日本の耕地は不動なものです。しかも植えたということは、何人も否定できない不動なものです。それを税金をとる場合においては反収をふやして見るとか、そういうことが行われておるのだから、信用ができないということが農民の間に起つて参りますならば、これは重大なことになるということを警告しておる。この点どうなんですか。みな基礎がないじやないですか。あたかも基礎があるがごとき説明をするけれども、どこに基礎があるか。あなたは国税庁におられたから、正確なものを把握していないということだけははつきり言えるのではないですか。
  68. 原純夫

    ○原政府委員 まず米と林野の薪炭、用材というものとの見方の違いを申し上げます。米につきましては、御案内の通り秋になりましていろいろパリテイであるとか、そのときの関係を見てきめるということになつております。それらの見通しがまだつきませんし、御案内の通り政府は物価を押えて参りたいという時期でございますから、一応前年通りの額で組んでおるわけであります。それから薪炭等は、統制と申しますか、米価を規定する場合と違う、いわば自由市場に売り出す価格であります。自由市場の価格状況が予算編成の当時これだけ上つておるということであれば、やはりそれを加味することは当然のことであろうというように考えております。それから反収作付面積のことは、どうも所管外のことでありますから、私国税庁におつたならばなお申し上げたいと思いますけれども、あまり川俣先生にそういうことを申し上げるのもどうかと思いますから、ごかんべんを願いたいと思います。
  69. 井出一太郎

    ○井出委員長 足鹿覺君。
  70. 足鹿覺

    足鹿委員 私はごく簡単にお尋ねいたします。農林大臣が明後日お見えになるそうですから、その際に凶作加算の問題はあらためて問題にしますが、二月十六日に政府並びに米価審議会の議長連署によつて米価審議委員の懇談会が開かれました。その際に、満場一致の建議案を決定いたしました。その趣旨は、米価審議会が二十八年十二月二十三日答申をした凶作加算の暫定方式に基いて、農林大臣は石当り四百三十二円の追払いをおやりなさいということと、右の額と異なつた結論が出た場合には、米価審議会を事前に開催しないという趣旨の二項目であつたと思いますが、政府はこの建議をいつお受けになりましたか。
  71. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ちようど先般の懇談会がございました日か翌日か、所用のために御旅行なさいまして、土曜日にお帰りになると思いますが、あの当時、出席の場合に承りましたし、正式には、月曜日に書面としていただきました。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員 その書面の文案は、ただいま私が述べたような趣旨のものであつたでしようか。
  73. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 たしか米価審議会の建議といたしまして、米価審議会の答申通りに決定して清算払いをしろ、なお右と異なる場合においては、米価審議会を開催する、こういう趣旨だと思います。私は文章をはつきり覚えておりませんが、そういうふうに記憶いたします。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、農林省はその建議の趣旨の可否について、どのような方法でもつて御検討になつておりますか。私はもう少し真剣にお取扱い願いたいと思うのです。米価審議会の趣旨を尊重するするとおつしやいます。その一部を若干御尊重になつたことは、過去において事例がありますが、あまりにもロボツト扱いをして、農民を欺瞞する道具に今後お使いにならないことを私は希望いたします。少くともこの凶作加算の問題については、昨年暮の十二月二十三日の答申は満場一致、今度の建議も満場一致でありまするから、この点については、いい加減な御処置ではわれわれは引下るわけには参りません。その点について現在いかように御検討になつておりますか。先ほどの佐々木君の質疑応答とは別に、具体的にこの両者の答申と建議を、農林省としてはどういうふうに御検討になつておりますか、伺いたい。
  75. 平野三郎

    平野政府委員 先般の懇談会において建議があつたということは、私も文章を拝見いたしておりませんけれども、そういう趣旨の御意見だということは承つております。政府といたしましては、すでに答申案が出ておるわけであつて、これに基いて農林大臣がいかなる決定をするかということが、今残された問題であり、政府としては食糧管理法の定めるところによつてやるべきである、こういう考え方で進んでおりまするので、どういう結論になりましたとしても、米価審議会を開くという必要はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら米価審議会を尊重するという建前のもとに、先般も正式に懇談会を開きまして、委員各位の御高見を種種拝聴するという特段の措置をとつたわけで、しかもその際には、単に減収加算の問題のみならず、食糧管理制度の問題や、予算に関する点等、種々のこともお諮り申し上げて、十分に審議会の御意向を体しつつ取進める、こういうことでやつておるようなわけでございまして、この点御了承願いたいと思います。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 米価審議会の委員の任期は、昨年の十二月下旬で切れることになつておつた。それを従来の行きがかりもあるし、現委員の任期中に算定方式を完成し、追払いの額をきめて速急に支払わなければならない、こういう趣旨から、米価審議会の委員の任期を今月末まで、政府みずからの御責任で延長になつたことは御記憶でありましよう。もうすでにきようは二月二十四日ですから、もうあと四日しかないのですよ。現米価審議会の委員の任期中に、凶作加算の追払いの問題については結論を出す御予定なのでありますか、出さないのでありますか。従来からいうならば、この問題が任期中にまだ片がつかないならば、政府の責任において片をつけるために二箇月以上延長したのであるから、さらに延長をすることも考えられますが、その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。あまりいいかげんなことで遊んでもらつては困ります。米価審議会の委員の任期延長について、法制局方面においては、国の法律によつて定められたものの任期を、政府の恣意性によつてかえるというような政令を出すことについては相当異論があつた。しかし農林省が強くこの任期中に片をつけたい、そういう点からこの任期延長は実現したものだと私どもは思うが、もうあと四日になつておる。きようの各委員の熱心な応答に対しても、のらりくらり、いつ払うのか、幾ら払うのか、さつぱり見当がつかない、誠意のほどをわれわれは疑いたい。一体現米価審議会の委員の任期中にこの凶作加算の問題をピリヨードを打つのか、打たぬのか、その点をはつきりと御答弁願いたい。
  77. 平野三郎

    平野政府委員 政府といたしましては、誠心誠意すみやかなる問題の解決のために努力を進めておるわけでありまして、できるだけ御趣意にそうように努力をいたしたいと思います。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 そんなことではわれわれは了承ができませんが、とにかく米価審議会の委員の任期を延長したのは、この凶作加算の問題を片をつけるということでやつたわけでありますが、そうすると今の次官の御答弁は、この任期中に片がつかない、こういうふうに解釈をしてよろしいのでありますか。慎重にやるためにはとうていその見込みがつかぬ、こういうふうに解釈してよいのですか。
  79. 平野三郎

    平野政府委員 決してそういう意味ではありませんので、できるだけすみやかに解決をしたい、こういう気持であります。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 できるだけすみやかにということは、きわめて抽象的なんですが、今までの経緯をよく考えてみなさい。何のために米価審議会の委員の任期を二箇月延長したのですか、それは五回、六回にわたつて委員会を設けて、米価審議会が満場一致で算定方式の答申をやつたのです。ところがその答申そのものはほとんど没却して、少数意見のみを尊重されるようなことに農林当局はうつつを抜かしておいでになりますが、これはできるだけすみやかにということであるけれども、一体いつやるのか、米価審議会の委員の任期の満了までにこの凶作加算の問題片づけられるのですか、片づけられないのか、従来からのいきさつがあるから、その点をはつきりしてもらいたい、できないことはないでしよう。
  81. 平野三郎

    平野政府委員 実はその方針で今月中に決定をいたしたいということを目途として、ただいま努力を進めておるわけであります。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 もしその目途がはずれた場合は、再び米価審議会の委員の任期を延長されまして、そうして従来からの経緯にかんがみて、さらに御検討になる用意がありますかどうか。
  83. 平野三郎

    平野政府委員 今月中に決定をいたしたいということで進んでおるわけでありますので、それができなかつた場合はどうするかということは、ただいまのところは考えておらぬわけであります。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 私が聞いておるのは、米価審議会の委員の任期を二箇月延長された趣旨に沿つて、もし万一その結論が出なかつたときには、政府は従来の経緯にかんがみてどうされるかということを聞いておるのです。その腹が示されないはずがないと私は思う。しつこいようですけれども、もういいかげんにこの問題はピリオツドを打たなければならぬと私どもは思うから、くどいようですが伺うのです。
  85. 平野三郎

    平野政府委員 お話の通り、その期間内にピリオツドを打つ、こういうことで進んでおるわけでございまして、できるだけそうしたいと思つておりますから、従つてそれができなかつた場合にどうするかということは、ただいまのところは考えておらぬ、こういうことでございます。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 考えておらないということですが、もうあと四日ですよ、そういうことであまり米価審議会というものを私どもは軽く取扱つてもらうことは変だと思う。大体それが少数意見が対立して意見がまとまらないままに答申をやつたとか、あるいは多数決でやつたとかいうことであれば別ですよ。算定方式についても、委員会は五回にわたつてりつぱに算定方式を出した、それも満場一致で米価審議会の答申になつて現われておるのですよ。しかもその点について正式に審議会が開きかねたから、今月の十六日に懇談会を開かれて、その懇談会を開いた際においても、さらに四百三十二円の追払いということについては確認をしておるのです。そうしてもしこの額と異なつた結論が出た場合には、米価審議会を事前に開いてもらいたいということは与党を含め学識経験者を含めた満場一致の決議ですよ。政府はいろいろな審議会の答申等については軽重をつけておられるようでありますが、満場一致のこの答申をそう反古のごとく考えてもらつては困ります。全国の農民を、いつも米価審議会にはかつてと言つて希望をつないで、最後のどたん場になれば、その正式の審議会も開く必要もないと今次官は漏らされましたが、それでは話がつかぬでしよう、当然現在の米価審議会の任期中に審議会をお開きになつて、こういう事情であつて答申通りには行かなかつたなら行かなかつたということを、御報告になる責任があると私は思う。開かなくてもよいということでなしに、こういう事情により、こういう結果になつたということを、少くとも正式に米価審議会を通じて、全国の農民に政府の態度というものを明らかにされなければならない義務と責任があると思う。凶作加算の問題はほかの小さな問題とは違いますよ。この政府一つの取扱い方策をめぐつて最近の供米状況はどうでありますか。この際御発表を願いたいのでありますが、当初の二千百万石はとてもとても手が届きますまい。予定集荷数量に達しない。代表者供出制度を思いついてみても、次官や食糧庁長官が行脚して、わらじばきで督励をしてお歩きになつても集まらないじやありませんか。これは政府に対する農民の不信の憤りが、こういう供米の状態になつて現われて来ていると思いますが、その及ぼす影響はどういう結果になつて現われますか。予定数量が入らなければ外米の輸入を必要とするのではありませんか。その外米の輸入を必要とするならば、いかに価格が最近下つたといえども補給金はまだ必要ですよ。第一そういう点で財政的に影響がある。いま一つは、米の基準配給量の切下げも必至の情勢ではありませんか。そういう事態が現実に起きておるのじやありませんか。  食糧庁長官にお伺いいたしますが、ごく最近の米の供出状態はどういう状態でありますか。
  87. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 最近の供出状況は、大体二月十日現在でございますが、二月十日現在におきまして千九百三十七万石でございます。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 今後の見通しはどうですか。
  89. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この集荷につきましては、各県ともいろいろ御努力を願つておりますし、また各地方団体にも御協力を願つておるわけでございまして、われわれとしては、ぜひひとつ既定の目標に達したいということで努力いたしておるわけでございます。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 今長官が御発表になつたように、二月十日現在で千九百三十七万石しか出ておらないじやありませんか。これがおそらく二千万石に手が届くというのには、よほどの努力がなくしては集まりますまい。二千万石かりに集まつたとしても、すでに百万石の減じやありませんか。その百万石の減を補給するために米食率を維持しようとすれば、外米の供給を仰がなければならないことは当然でありましよう。そうなつて来れば勢い補給金が必要になつて来るではありませんか。そういう事態を考えて、政府は口を開けば、すぐに大蔵当局のきまり文句で外貨の節約だ、対外収支の改善だということをおつしやいますが、事実ここに対外収支を乱して行くような条件がもう現実に現われておるのであります。この問題を解決するには、凶作加算に対して少くとも政府が最後の努力払つて、十分とは言えないまでも、農民の期待にこたえるような熱意と具体的な額を示すことが、今後の供米促進の大きなキーポイントじやありませんか。ことごとく約束を破り、不信の行為をやつておいて、そうして農民に対して供出を督励して歩いて、一体農民がそれを受けるでありましようか。私はこの際原さんに伺いますが、今申し述べたような状態で米が出なければ、現実に米の配給基準量を確保しようと思えば、外米百万石を入れなければならない状態になりますよ。入らなければ重大な遅配、欠配が起きて社会問題になり、社会不安が起きて参ります。それでもなお大蔵省は、この凶作加算の問題に対しては五十三円も出なさい。大蔵当局のもとの考えは、むしろ五百円はやり過ぎたというような見解であると承つておりますが、今述べたような状況を前にして、なお大蔵当局としては、この凶作加算の問題に対してはほおかむりして行こうという御所存でありますか。具体的に現実の問題が起きている。この供米不振の結果は、政府に対する農民の憤激の現われだと私は思う。一体これをどうされますか。具体的に今の百万石の供出ができなかつた場合には、外貨がそれだけ外米によつて減らされるのではありませんか。しかもそれは血税の補給金を必要とするのではありませんか。こういう現実を前にしてなお大蔵当局はこの凶作加算の問題加算の問題について現在のような態度をおとりになる御所存でありますかどうか。
  91. 原純夫

    ○原政府委員 凶作加算についての考え方は先ほど申し上げた通りであります。大蔵省としては、そういう態度で農林省と政府部内とただいまなお検討、交渉中でございます。それからさらに集荷状況が悪い。そのためにこの米食率を落さないとすれば、米の輸入が必要になるというお話でございますが、ただいまのところは、二千百万石を集めるということでお進みいただいておると了解しておるのであります。(「集まらなければどうする」と呼ぶ者あり)集まらないときのことは申し上げたくないのでありますが、なおこの際外貨状況がいかにひどいかということは、これは博学の足鹿先生でありますから、一々申し上げる必要はないかとも思うのでありますが、非常に重大な局面に入つているということを訴えたいと思うのでございます。まことに見通しが悪かつたのかもしれませんが、当初一億九千万ドルの赤字だと思つておりましたのが新聞紙等でごらんの通り、どうも三億ドルくらいになりそうだというような状況でございます。そこで、米その他食糧の輸入に費します外貨が非常に多いというのは、相当な負担になりますので、それについても場合によつては何らかの措置が必要ではないか。これは大蔵省の正式な意見というよりも、私が個人的にでありますが、この重大な外貨の危機と申しますのは、日本経済の危機であるという感じも持つておることを率直に訴えたいのでございます。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は軽卒に取扱つてはならないと思うのです。一方においては疑獄が続発をして、国民の血税を一体どう使つておるかといつて、全国の国民は疑惑を持ち、国政全般に対して重大な批判を加えておる段階ですよ。そして一方においては、この米価審議会の総意は、二度もきまつて政府に答申をした。そのわずかな金を出さないなどというような態度は、政治的にもこれは許しがたいのです。一方において国をゆるがすような大きな疑獄が起きて、内閣の屋台骨がぐらぐらするようなところにまで来ておるときに、いかに声がない農民といえども、結束力がない農民といえども、わずかな凶作加算に難くせをつけて、これを出すまい出すまいというりようけんがそもそもの問題じやないですか。農民は造船業者のように、あるいは保全経済会の人たちのように、待合に政府の大官を呼んで懇談をしたり、あるいは政治資金を献金するような力はないでしよう。黙つてはおりますけれども、この大きな全国のほうはいたる声をいいかげんに取扱つてもらつては困ります。少くともこのままの推移で行くならば、現実に百万石前後の米が集まらないということは、これは事実でしよう。集める自信がありますか。二千百万石は米の需給計画に基いて必ず集め得る、こういう断言ができますならば、あえて私はこれ以上申し上げません。そのときになつてまた再びお目にかかりましよう。二千百万石は集める、配給基準量もかえない、この保証を政務次官はここで御言明できますか。しからずんば、この際少くとも供米の手段に供するということではなくして、政府が真摯な態度で反省をされて、いろいろな財政上の制約もあり、いろいろな苦痛があつても、少くともこの凶作加算の問題に対して誠意を示されることが、この供米問題に対しても非常な好影響をもたらし、ひいては食糧の需給面に大きく寄与して行くということも考えられるのであります。このままで推移されますならば、去年の米の供出はもちろんのことでありますが、昭和二十九年の米の供出問題はおそらく問題になりますまい。こうりて農民をそのたびごとにだまくらかし、いいかげんにもてあそぶということでありますならば、どんなことを政府がお約束になつても、農民は信頼しないと思う。それならば食糧管理特別会計をやめたらいいじやないか、管理制度をやめたらいいじやないか、そのために今別な協議会をつくつて検討しておるのだというようなお話もあるでありましようけれども、そんなことをなさつても足らぬものは足らぬのであります。足りないものは外国から入れなければならない、外国から入れれば、どんなに過剰生産になつても米に関する限りは相当の補給金がいる。ことしだつて九十億が予算にちやんと組んであるではありませんか。また昭和二十九年といえども必ずしも平年作とは行かない場合も考えられる。気象学者の発表した見解によつても、すでに凶作の予想は歴然たるものがあるといわれる。そういう事態において、ほんの目の前の問題だけを考えて、この問題をうやむやにされるということは、近き将来において非常に重大な結果を招来すると思いますが、そういう点もお考えになつて、もう一ぺんこの凶作加算に対する問題を考え直していただきたい。同時に米価審議会の現委員の任期中に審議会を開いていただきたい。あとの問題はあさつて大臣がおいでになつてから私は申し上げますが、これだけのことをはつきり警告を申し上げ、かつ政府の誠意ある対策を望んでやみません。これ以上御答弁はよろしゆうございます。     —————————————
  93. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際お諮りいたします。理事金子與重郎君より理事を辞任いたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。つきましてはその補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 井出一太郎

    ○井出委員長 異議なしと認め、吉川久衛君を理事に指名いたします。     —————————————
  96. 井出一太郎

    ○井出委員長 もう一点お諮りいたします。臨時硫安需給安定法案審査のために参考人を招致したいとの申出がございました。この件については委員長に御一任を願いまして取運びたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十分散会