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綱島委員 学問上の論争はそこに始まるわけで、ただ
審議という形さえ踏めば
立案をだれがしようと結果が同じであるのか、そうでなくて、
立案ということが
立法の非常なる要素を持つということに実は重点があると思うのです。これは文化史的に見れば、この
立案権というものを
国会に収めるという
考え方は、単なる
都合上の
考え方ではなくて、これは非常なウエートを持
つた考え方で、それは歴史の上からいわゆる官僚組織というもので統治して行くか、いわゆる民主代表者によ
つて統治の基礎を定めるかという、これは実は本質的な争いであ
つて、たとえば、
法制局というものがこのごろ大分
国会に整備されて参りましたが、
法制局というものは昔はほとんど行
政府であ
つた。そうして
法制局を持たない
国会などというものは、まあ鳴かぬカナリヤの値段の安いようなもので、これは
国会と名をつければつけてもいいが、そうじやないというても学問上はさしつかえない。こういう点から
考えて、私は
国会というものが、
法律案のほんとうの実質的な基礎を持つかどうかということが、
民主主義の本質を決定する相当なるウエートを持つ事柄に属するので、結局
審議の間にどつちがや
つてもいいという議論は、最後にはおまえさんもしまいにいいと言うたじやないかということで、世の中にもよく起ることですが、本家に何にも相談せずに嫁をきめやが
つた、こういう。いやしまいにはおまえさんも来てごちそう食
つて、高砂やを一緒に歌
つたじやないかという議論と同じだが、これは実は非常に重いことです。これは
法制局長官としてはやむを得ずそういうことをおつしやるのかもしれぬが、これは行く行く
日本が、どうしてもほんとうの議員
立法にならぬ限りは、
民主主義は名あ
つて実なきものに終る、こう
考えております。この
立法行為を重大視するということは、腐敗選挙を取締るとかいうことより
もつと重いことです。実は今問題にな
つて、国をあげて騒いでおります、名前は忘れましたが何とかいう金貸し会社の問題であるとか、船会社のどうとかいうことより、この問題は大いに本質的な問題です。あれなんかはいわばどつか
通りすがりにけがをしたというような、事のついでくらいのものとこの問題から見れば見られると思う。この問題は実はほんとうに骨を入れてやらなければならぬ問題で、農林
委員会でたまたまこのことに触れるということは、実はあとから出て参ります
補助金の率の引下げを
否定した線で
予算を組まれておるという線からでありますけれ
ども、私は現
憲法下における
国会の始ま
つたときから、労働
委員をしておりまして、
加藤君に何のつもりで
政府のつく
つた法律案というものを
審議しようとするのだとやかましく言うて、次には片山君に、施政方針に対する質問でこのことはやかましく言
つておる。幸か不幸か、これはひま人がひまのことを言うたごとくに今はな
つてしま
つた。
日本の
民主主義というものがいかによく理解されていないか。選挙をするのでも何を選挙しておるのか、
民主主義の代表者じやない、翼賛議員の代表を選んでおるよう
なつもりで投票したりなんかして、運営もしかる
考え方からしておるように見える。その点は
法制局長官は
国会に対するお方でありますから、よくこれはお
考えを願いたい。これは有罪のものを全部無罪にしてしまえというような議論になることで、実際には骨が折れましよう。しかしこれは
国会が近いうちに、
立法は全部議員
立法でなければならぬことになるまでに進まない限りは、
民主主義は名あ
つて実なく、最高の
国権の機関であるということは取除いて、第二次的
国権の機関であるとでも書きかえなければ、
憲法のおごそかなる
立法といたしましては、また
憲法のおごそかなる文句といたしましては、実に沿わないことに相なるので、この点はしまいが一緒だからいいんだというような、
一つことをお
考えにならずに、
民主主義というものの本質はどこにあるのかということから出発をしなければならぬ。官僚陣営というものはいわゆる
憲法七十三条の一項の
規定の、誠実に
法律を
執行するということに実は集中をされて、その道の練達堪能なる
行為をして行かれる。
憲法のごまかしのようなことに手助けをされたりすることは、そのときの
内閣や、そのときの政党には利益であるように——それもほんとうの利益じやございません。表面だけの架空な利益のように見える。やがては将来国民に対して責任を負わねばならないかりそめの利益なんです。そういうことをいたすことはこれは厳に戒むべきことであ
つて、ただ
日本は血を流してかち得た
民主主義ではございませんので、値いを安く
考えておる。しかしながら人類がその歴史を経てかち得たるものに私
どもは浴したわけでございますから、学問上からこれを
否定するか、あるいはこれは何と申し上げましようか、非常に遠慮しなければならぬ筋合いになると存じますので、この点は長官もほんとうに
日本の
民主主義に御協力を願わなければならぬと
考えるのであります。この上ここでそれに対する見解のお答えは求めませんけれ
ども、その局に当
つておられるお方であるから、特に今後はこのことに御注意を願
つて、特にこの際かようなことを申し上げなければならぬことは、議員
立法を非常にやつかい視しておるようでございますので、この点に対する
日本国の迷夢を開かなくてはならない。
憲法反逆的思想を是正しなくてはならない。さらに言うならば、
世界の
民主主義に反逆する思想を是正いたさなければならぬ。こういう
考えからかようなことを申し上げるのであります。
次にもう
一つ重要な点で伺
つておきたいことは、
国会の持
つております財政処理権であります。
予算審議権でございます。これと
政府が持
つております
提案権の問題、このことについて先ほどから
川俣委員からも
お話があ
つたようでございまして、まことに
川俣委員のおつしやる
通りの議論でございますけれ
ども、長官からもその
通りであるというお答えがございましたので、これは重ねて申し上げませんが、実はこのたび
提出にな
つておりますものは、
法制局でもこれは参加なす
つたであらうと思えるのでありますが、ただいまの常任
委員会制度と
法律案の
編成に対する手続上の限界でありますが、このたび国家補助の率等に対する
一つの新
立法が一括されて、それが農林
委員会に関することでも、水産
委員会に関することでも、あるいはその他の
委員会に付託さるべき筋合いのことでも、一括して大蔵
委員会に付託されると聞いておりますが、私は何もかも一緒に
立案をすれば、そのうちで一番
関係の深かりそうな大蔵
委員会に持
つて行くということは、やむを得ざる仕儀になりはしないか。ここらに実は
立案権というものと、
審議というものの重大なる
関係が出て参るのであります。
立案がすでに多岐にわたり、おのおのの専門的知識によ
つて、専門的な常任
委員会において
審議さるべき事項が一括してあたかも行政
整理の法案に似たような形で、本質の異なるものを
法律案として出して参りますと、運営
委員会でも、一括してこれを
一つの何らかの常任
委員会に持
つて行く。そのことによ
つて本質が最も違う性質のものを、別な
委員会でこれを
審議しなくちやならぬ。ということに相なりますが、このことは
法制局長官のお
考え方、助言と、それこそ官吏としてのお務めによ
つて、この点は非常にかわ
つて来ると思う。これに対する御意見をひ
とつ伺
つておきたい。