○芳賀委員 長官が農林
委員会に出席されるようなことは、珍しいことでありますので、私は
町村合併促進の今後の運用の問題について、基本的な点を二、三お伺いしておきたいと思います。
町村合併が、今の
段階において最も正常な形で合理的に
促進されるということは、これはだれしも異論がないわけです。たとえば
町村の
地域の広さの問題にいたしましても、五十年、百年前の交通
機関とか通信
機関を現在と比較した場合において、それらの
規模が
相当時代的に広汎なものにな
つても、そこには大いなる妥当性があるというふうに
考えられるわけであります。ただ問題は、法の三条にもうた
つている
通り、これは地元
町村の固有の意思によ
つて合併を行うのだという場合において、先ほど
金子委員も指摘されましたけれ
ども、やはりこれらの画期的な、
自治体の上に
一つの変革を行うようなことを進める場合においては、やはり適正なる
規模が一番問題にな
つて来ると思うのであります。そういう場合において、現在
政府はこれらのことに対して、具体的に責任を持
つてその指導性を持
つておらぬというところに、今後非常に危険なものが包蔵されておるのではないかと思うのであります。もちろん
合併をする場合においては、
合併をする場合の
一つの要素というものがそこにあるのであ
つて、たとえば
産業、経済、文化とか、それらの
一つの
地域内において調和できる可能性の中において、
合併が
促進されなければならぬという場合における
適正規模というものは、その
地域の中にそれぞれ固有の性格を持
つておるのであ
つて、これらの
適正規模の問題に対しては、
政府としてももう少し責任を持
つて、具体的な指導性をこれに加える必要があるのではないか。もちろん
自治体自身の意思を束縛するがごとき
行き過ぎではなくて、かくあらねばならぬという指導性を持つ必要がどうしてもあるというふうに
考えるわけでありますが、これらの点に対しては、先ほどの
部長のお話によ
つても、
まつたくそういう点が欠けておるというふうにわれわれは感ずるわけです。だからそういう場合において、ただ算術的に二ないし三の
町村が一緒になれば、それによ
つて自治体の方が確立されるのだということは、非常に皮相な
考え方であるというふうに
考えるわけであります。農林
委員会として取上げておる問題は、今までの経過の
報告の中にもありましたけれ
ども、
合併後におけるところの、たとえば
農業団体、経済
機関等が、どういうような形で具体的な統一が行われておるかということになると、これらは
まつたくそのまま放置されておる
状態であります。
農業協同組合のごとき場合においては、現存のまま当分置く、あるいは農業
委員会のような場合においても、地区
委員会のような形でこれを存置するということになると、その
合併後における新しい
町村の内部における生産、経済的な機構というものは、むしろ
合併したことによ
つて混乱したり、その固有の機能を失うような場合もなきにしもあらずであり、それが原因にな
つて、再び元のようにわかれなければならぬような破綻がそこから生ずる場合もあると思うので、
自治庁においては、そういう
産業、経済あるいは
農村問題等の関連に対しては、非常に勉強が足らぬということがわかりますけれ
ども、これらの画期的な仕事を進める場合においては、十分それらの問題もあわせ
考えて進められる必要があると思うわけでありますが、今後の運用の面に対して、もう少し責任のある、具体的な、
一つの
適正規模の上に立
つた指導を加えるというような、明確な御意思があるかどうかということをお伺いしたい。
もう
一つは、任意に地元
町村が
合併を進めた場合においては、結局いろいろな
事情によ
つて収残されるような地帯が出て来るわけです。そういうことになると、今後
町村間における
自治体の力の上において、非常にアンバランスが生じて来るということは、長官もお
考えにな
つていると思いますが、そういうようなアンバランスが出た場合において、どういうような
立場からこれらを均衡化して行くかという問題が、新しく発展して来ると思いますけれ
ども、そういう点に対しては、どのような措置を講ぜられるかという問題が
一つ。
第三点は、今も吉川委員の質問に対してお答えがありましたけれ
ども、
自治体の根源はあくまでも
町村に置くという場合においては、これは何としても
自治体の主体性を確立する場合においては、その
自治体の持つ経済的な要素というものが、
自治体をささえ得るかどうかというところに問題があるわけでありますが、これらの問題は、単に
町村合併をすればそれで解消せられるというほど安易な問題じやないと思う。問題は今の国の
制度、特に現在の
政府の方向というものは、
自治体を育成したり強化するということよりも、むしろ権力の集中を行
つて、
自治体自身がその機能を確立できないような方向に持
つて行
つているような点が、非常に多いのじやないかと
考えられるわけであります。この点は、たとえば現在
地方税制の改革とか行革の問題が出ておりますけれ
ども、その
自治体自身の持つところの財政力を、どういうようにして培養するかという問題と、
平衡交付金の
制度のようなものが非常にからみ
合つて来るわけでありますが、現在の
政府のやり方は、
自治体に財政的な力を十分持たせないような形の行き方において、どうしても中央依存の度合いを高めさせているような
傾向があるのであります。たとえば
町村あるいは
府県が公共
事業費の予算をもらうとか、教育や厚生
施設の予算をもらうとか、あるいは起債をやる場合においても、全部の
町村長がそれぞれ東京へ来て、そして中央
機関に卑屈にも懇願、懇請これ努めなければ予算がもらえぬというようなことは、これは
一つの逆コースであるというふうに
考えるわけでありますが、こういう点をいかに抜本的に改革されて
地方自治体の確立をはかられるか、これらの三点に対して長官のお答えを願いたいのであります。