○
水野参考人 川俣
委員の御
質問に対してお答えを申します。なるほどお説の
通り硫化鉱のごときは、ある
程度下
つておるのであります。しかしながらこれだけが原料でもなく、また
コストの中に占めておる経費ではないのでありまして、これは
コストの中の一部分でありまして、それは一部分は下
つております。それを食
つて行く他の
要素があるわけです。
原価の中で下るものもあるが、上るものもある。結局下
つただけのものは他の修繕材料、機械材料、いろいろなものについて、あるいは労務費もありますが、そういうものが
原価の中で食
つて行く。ですからほかの
原価の
要素がみんな停止しておれば、下
つただけは下げられるはずなんです。しかるに御
承知の
通り物価は月に年に
上つて行
つておりますので、その影響は、こういう広汎な材料を使
つておる工業でございますので、食われてしまうわけです。それで先ほど
鈴木参考人も申し上げましたように、統制撤廃の四年前と比較いたしまして、わずかに二割しか
上つておらないわけです。最近においては逆に、今年の春肥それから本年の秋肥、またこの十二月、一月の
価格というものが逆に下
つて参
つております。でございますから他の
原価要素の値上りに食われながらも、若干は物価の騰勢に逆比例して下げて来ておるわけでありまして、そのままがちようど値下りになるはずという御観察は少し間違
つてやしないかということでございます。
それから私立ちましたついでに一つ、
意見を申し述べさしていただきたいのでありますが、先ほどどなたか、川俣さんの御
質問だ
つたと思いますが、二重
価格というものが、非常に通貨の安定というものにも悪い作用をしておりやしないかという
お話がございました。そのことに関連しまして私
ども考えておりますのは、
硫安は——これは
硫安だけではありませんが、
硫安は百パーセントの国産品でございまして、これを
外国へ
輸出いたしましてドルをかせいで参ります。外貨をかせいで参りまして、その外貨は三百六十円という
日本の貨幣でわれわれはいただいておるわけです。三百六十円私
どもはいただいておりますが、それは一ドルかせいでおるわけです。そのドルが輸入の面におきましては非常な威力を発揮いたしまして、
日本の必要な食糧なり油なり、その他の不可欠の資材を
外国から買
つておるわけであります。御
承知と思いますが、為替の実勢は三百六十円をはるかに越えまして、私は専門家でございませんからよくは存じませんが、巷間五百数十円だと言われているわけであります。この
日本の
輸出貿易によりましてかせいで参りました外貨が輸入に役立
つて、その輸入で
日本の
産業あるいは
国民生活が維持されていると思うのであります。この不当に悪いレートでわれわれはがまんをしておるのであります。これは
日本の輸入もしくは輸入によ
つて動いている
産業のために、縁の下の力持ちをずつと続けているわけであります。この点につきましては、ドイツは一昨年
あたりまでは優先外貨の制度をとりまして、ドルとマルクとの実勢の差を利用さしてお
つたのであります。ところが現在わが国においては、若干の優先外貨は認められておりますが、それは
輸出産業を助長するというほどの
数字ではないのであります。ドイツではすでに
輸出か死か、絶対
輸出だということでいろいろな助成策をとりまして、今日においてはむしろ
輸出の方が輸入をオーバーしている。
従つてマルクがドルに対して対等の、いわゆる公定レートで堂々と実質的にも取引されているということであります。
日本のように三百六十円と五百数十円の大きな
開きはすでに完全に克服されているのであります。
日本におきましてはそういう非常に大きな、公定レートと実勢との間に差があるのであります。
硫安工業は相当にそのレートを維持するために縁の下の力持ちをや
つているということを、ここで御認識を願いたいと思うのであります。