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吉田(賢)
委員 新聞が大きく伝え過ぎているとか、国会が少し騒ぎ過ぎているというような先入主のあるお
言葉でありますが、しかしものは事によります。この種の一種の
思想取締りの情報
機関の
一つの
中心部をあらためて閣内に設けて、副
総理以下大臣が並んで、官房においていろいろ事務をとるというようなものを設置することは、これは新しい
思想警察へ発展するという可能性が十分にあるのです。御承知の
通り日本におきましては、たとえば特高警察の濫觴を見ましても、幸徳
事件に端を発したのでありますし、また幾多のその後の
事件によりまして、その都度漸次特高警察が充実、
拡大いたしまして、戦後顧みましてこれらに対するきつい批判がありましたことは、あなたにも御承知の
通りであります。あなた
自身も朝日新聞在社の当時に二・二六
事件で中野中尉一派の乱入におあいにな
つて、これと応接をして
危機を免れたことがあ
つたというようなことも伝えられているというように、この種の問題の扱いにつきましては、まあ今は何でもないものだ、地からたけのこの頭をちよつと出しているくらいだから心配しなくても、騒がなくてもいい、騒ぎ過ぎる方がおかしいじやないかというような
考え方が、私は間違
つていると思うのです。やはりこれは
一つの武器なんです。ほんとうに大きな武器なんです。か
つての
被害者として下川君もだんだんと御質問に
なつおりましたが、これは
思想取締りの武器になるのであります。そういうようなものは萌芽の間に、芽を吹いたときに、芽を吹かんとしたときに、
協議会時代にやはり厳重な検討を加えて、いかないものならばそれはつんでしまう。こういうようなことにしておかなければ、あなたはりつぱな人でありますからそういうことをなさりますまい。しかしながら
緒方副
総理という人が、何も永久にその地位にいるわけじやない。どういうような間違
つた人が来るかもわからぬ。気違いと申すと失礼だけれども、気違いに刃物という
言葉もある。刃物なんです。武器なんです。
思想の武器なんです。取締りの武器なんです。その武器のセンターが新たにつくられようというような、こういう問題でありますので、萌芽のときにうんと批判するということは、これは当然なんです。発展の仕方によりましては、ほんとうに
言論界暗黒時代が来るのであります。
言論界暗黒時代ということは、明治初年以来数十年の
歴史を持
つておりますこと、幾多の怨惨な犠牲者が
日本に出ましたこと、これは私が申し上げるまでもなく、長い間
言論界におられたあなたが十分御承知の
通りです。あなたは中野正剛君のいろいろ伝記のようなものをお書きにな
つて、実に切々
とつつづておられる一文も、私はあらためて読み直してみたが、やはりこの
思想の
圧迫を受けて一命を落しているというような怨惨な事実が、明治から昭和の今日までそれは無数にある。そしてその一役を買
つたのがこの種の
思想取締りの
機関なんです。重要な一役を買
つて来た。この
委員会に列している諸君におきましても、その下役を買うた人もいるのです。こう
考えて来るときに、私どもが萌芽時代に厳重に論議するということはこれは当然なんです。だから私は言わぬことはないのです。
内閣におきまして、この
協議会を設置するということは容認できないのです。
閣僚懇談会なら
閣僚懇談会でよろしい。も
つたいらしくいろいろな内容をきめまして
協議会を設置するということは、いらざることだと思う。むしろ廃止するにしくはない。おやめなさいと勧告したい。そしてもつとほんとうに顧みて、
政府自身何をなすべきか、そして外に対してどうするかということを
考え直さなければかぬと思う。もう一ぺん
考え直してほしい。廃止してほしい。廃止することをお勧めしたいのですが、いかがです。