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平井委員 保安隊員に対する
精神訓練ということをしばく
言つておりますが、実はこの
精神訓練というものは非常にむずかしい。
精神訓練というのは、品で、お前はこうしろ、親に孝行しろと
言つても、しません。金持の
むすこでも親不孝をする者もあるし、
炭鉱夫の
むすこでも親孝行をしておる。この
精神訓練というものは、口で
言つて聞くならば、何でもありません。これをどういうふうにするか。これは自然の法則、すなわち人が生れてこうすることが、生れた
人間として、
万物の
霊長としての
根本であると、
本人が思う以外に手はない。親に孝行しろと
言つても、なぜしなければならぬのかというりくつがつくのでありますから、その点を
十分考慮に入れられて
精神訓練をや
つていただきたい。同じ酒を飲むにしても、おとなしく飲む者も一あ一れば、あばれて飲む者もある。同じ酒の飲み方でも、りつぱな飲み方をするようにする。これは十人十色でありましようから、
日本よりも、
人間の
基本、
万物の
霊長の
基本はこうだということを
本人にさとらせなければならぬ。悪いことでもいいと思えばしかたがない。
人間というものはどういうことをしなければならぬかということをだんだんわからせて行けば、これは
外国人であろうと
日本人であろうと、
人間というものは何のために世の中に生れて来たものかわかりそうなものだ。ただ生れて来て死んで行くということでは、問題になりません。どうせ百年は生きられないのでありますから、問題になりませんが、何のために生れて来たか。それは遊びもしたかろう、飲み食いもしたかろう、いろノへしたいこともあるでしようけれ
ども、
人間として猛れて来たならば、社会に奉仕し、国に奉仕するというのが
人間の
基本方針だと思う。この
根本原理を把握して、上の方からだんだん下に浸透するようにすることが、私は
精神訓練だと思う。木村
長官はりつ。はな方でしようが、訓示だけでは今日の青年は直りません。だから上から自然におりて行く。人聞は何のために生れているか知
つているかくらいの
質問は、たまにはしたらいい。そうして授業のときにいろいろ
人間としての
訓練をして行く。今までの
保安隊員はしかたがありませんが、今後発足して行く、
自衛隊員に対しては、どこから見ても
人間的にりつぱなものにして行く。これは下川君でも賛成だろうと思う。これは党派が違
つても、思想が違
つても、人物がいいということはいいのである。あれはりつぱな男だというりつぱな男に育てる。これに対して木村
長官は構えもよし、あの
精神訓話でよろしゆうございますが、
幹部なり
保安隊員なりにだんだん浸透して行くようになさる用意はあろうと思うけれ
ども、なお一層この
機会にそういうことを実行していただきたいという希望を申し上げ、またあなたの
ほんとうに国を愛する憂国の至情をもう一度お伺いしたいと思う。