○粟山
委員 私は同僚
高瀬君の質問の
趣旨に全面的に同意を表するものであります。
結論としまして私は個人としましてこの案に賛成の意を表します。と同時におそらく私
どもの改進党としても
結論は私
どもの
考えに同調するものと
考えておりますが、昨年暮れに私も
機関車に試乗いたしまして、わずかの期間でありましたけれ
ども、停車場を教えてわずか五つ六つの間にたびたひ
機関士として、
機関助手として目の前に突如として現われるところの危険なる
状態に目を注いで、まことに気のもめる事柄が数回あ
つたのであります。こういうような短かな期間においてすらも、おじいさんが軌道の中をのこのこ歩いておる。あるいは大きなまぐさを背負
つた婦人が線路を歩いておる。またリヤカーが横切りかけようとしておるというような
状況を見まして、なるほど
機関車乗務員というものはわれわれが常に
考えているよりも神経を使うものであるということを大いに感じまして、いろいろ座談会の間に聞いてみますと、なかなかそういうことが気苦労で家庭に帰
つても御飯も食べられないようなことがあり、寝ても寝つかれぬようなことがあるということを聞きまして、いかにもそうだろうと感じたような次第であります。ことにただひとり
機関車乗務員に関するばかりでなく、
公共事業に携わ
つて、いろいろ普通の人の
考えられぬような危険な場合に臨む職務に従事しておる人々がたくさんおありになるのでございますので、そういうことを
考えますと、私はこういうような職務の上に生ずるところの危険に対しては十分
考えてやる必要があると痛切に感ずるのでございます。そこで私は今
小泉さんその他の方からの御
説明について
ちよつと気のついたことは、なるほど
皆さんの
政治に関する関心というものは
国民としては当然のことであり、また
生活を擁護するというような上からい
つても当然のことであ
つて、その目的を
主張しその目的を達するための手段というものは当然それは許される範囲内において堂々と行い得べきものであ
つてまたそうあるべきことであると思う。しかし、私はこの
日本の敗戦後においてのきびしい現実の上から
考えると、よその敗戦国は知りませんが、
日本の敗戦国の
国民の一員としてつらつら
考えるときにまことに神経を悩ますことが深刻なのでございます。この神経を悩ますことの深刻なることは、われわれが敗後におけるところのきびしきその
生活の不足、苦痛、圧迫というようなものを体験しましたことのうちで、この神経を悩ますということの量は、これは、気がつかずに大きなその影響を受けておる。たとえば朝
気持よく起きて御飯を食べようと
思つても、新聞を見て国際
関係のニュースなりあるいは国内のいろいろな
状況にかんがみて、おいしい御飯を食べようと
思つても実は食べられぬようなときもある。これは私ばかりではかりでない、全
国民がそうであろうと思う。そういうことが数多く繰返される限りにおいて、いかに食糧が量において満足を得ても、カロリーにおいて満足を得ても、これは実際は消化されてない。
日本というものは、残念ながらこの敗戦国の悩みというものはいまだ容易に回復されない
状態にあるのでございます。のみならず私に非常に恐るべき危険なる
状態になりつつあるのではないかということさえも
考えられるのでございます。そういうときにあた
つて労働者の方々は労働者の
立場においての権利の
要求から
政治上の目的を達するために、それぞれの目的を達するために
方法を講ぜられるでありましよう。しかしこれは商売人が商売をするためにつまり許された範囲内において広告をする、しかし非常に通行人や近所に迷惑をかけるような騒音であるとかあるいは視界を妨げるようなことは、これはおのずから慎むことによ
つてよりよき社会が構成されると思う。私も実は
皆さんが
労働組合の
立場においてそのいろいろな御
要求のあることも世相にかんがみてよくわかる。けれ
ども、たとえばあの
機関車の前に大きな旗をぶら下げたり、車体に
張つたり、ずいぶんまあ、
公共の
建物に対する宣伝
ビラばかりではない、交通に非常な神経妨害になるような、そういう点においても目に余るものがあ
つたではないかと思うのであります。私は
立場を異にしておりますが、社会主義理論の上に堂々と
組合が
組合活動をなさることにおいては私はあえてこれを拒み得るものでもなし、これを私がかれこれと批判するべきものではありません。なすべきものは堂々となし
主張していただきたい。しかしながらこういうような世相にあ
つて、われわれは敗戦というぎびしい現実のもとに非常な苦しみを続けてお
つて、さらにまたどういう結果になるかということについて、おのおの深甚なる考慮をめぐらさねばならぬところの自分のための非常なるこれは責任があります。義務があります。そういうときにあた
つて私は、大衆のためにというスローガンを常にあなた方のスローガンの第一条とする限りにおいては、大衆のために、神経を悩まして、そして食べるものがおいしく食べられないような胃腸に入
つて消化のできないようなマイナスの原因をつくるようなことについては、常識的に自粛自戒してもらいたいのであります。私はこれをあなた方に対して強く
要求するのであります。限度を越えてはいけない。あなた方が
政治的に、国際
関係から国内
関係をこういうような希望の上に、理念の上に
自分たちの
立場を
主張するなら堂々と
主張なさるがよろしい。しかしながら大衆の神経を無用に刺激し、善良なる人々の社会の構成を妨げるようなことは、人に命ぜられるまでもなく、反撃を受けるまでもなく、みずから自粛してやるという強き矜恃を持
つていただきたいということを私は希望いたします。非常に大事なことであります。われわれは、
日本国民が敗戦のこのきびしい
状態から復興しようと思
つたならば、いかなる人も食糧の満足ばかりでなく、神経、ナーヴの保護ということを
考える。これは食糧以上に重大な問題である。そういう点から責任を感じてや
つていただきたい。私は老いたりといえ
ども率先して
機関車に乗
つて、皆様の御苦労を知りたいと努めたのであります。そのときに私の友人や家庭の者はとめました。けれ
ども私は乗りました。私は必要な場合には、もつともつと、自分の健康を心配される
状態においても、議員である限りにおいては、勇敢に自分から試みようというその勇気と意思、信念においては欠けるものではないということを申し上げたい。それだすこあなた方も今後は十分自粛していただきたいことを希望するものであります。