○三橋(則)政府
委員 旧軍人の
恩給の裁定事務の処理状況の現状についての御質問かと思いますので、そのことにつきましてお答えいたします。今の御質問の御趣旨のように、私どもといたしましては、でき得るだけすみやかに旧軍人の方々に
恩給を給し得るように努力しておるところでございますが、今御指摘のように、若干私たちの意に満たないような、私の考え通りに行かない点もございます。ところで詳しく申し上げますと、昨年の八月に
恩給法の一部を
改正する法律が国会におきまして成立し、公布されましてから、ただちに
恩給局の機構の整備拡充に着手いたしまして、御承知のごとく
恩給局は小田原に本庁を持つておつたのでございますが、農林省その他にいろいろ御迷惑をかけましたが、とにかく東京に本庁を移しまして、そうしてまたその法令の実施に必要な手続を制定し、全国を数ブロツクにわけまして、法令並びにこれらの手続の周知徹底のために事務関係者の会議を開いて参つたのであります。
恩給の進達の衝に当る厚生省の復員局におきましても、
恩給書類の進達官庁としての立場から、
恩給書類の進達に従事する人々に対しまして、
恩給書類の進達事務についての啓発につきましていろいろと努力してもらつたのでございます。八月に法律が国会を通過いたしまして公布されたのでございますが、何もかにも一度に、すなわち機構の整備拡充、それから調査の整備拡充、それから新しい厖大な事務を処理するための人的物的ないろいろな準備、そういうようなことからいたしまして、心ならずも今御指摘のごとくに仕事が延びて参りまして、そうして今申しましたような、地方の啓発宣伝のための会議というのは九月の終りから十月の初めにかけて行つたような事情でございます。
恩給書類の進達の事務に当られる厚生省におきましても非常に努力してもらいまして、大体下部の
恩給書類の進達の事務に当る人々についてもいろいろの手続の周知徹底をはかつていただきまして、十一月の中旬ごろからはぼつぼつと書類が
恩給局に進達されるようになつて参つたのでございます。十二月の上旬に至りましてから大体本格的に書類が
恩給局に進達されるようになつて参りました。旧軍人の
恩給の中におきまして、傷病者に給せられまするところの増加
恩給につきましては、昨年八月に受給者の数が、大体大まかに申し上げまして四万四千あつたのでございますが、これらの人々に対しましては、法律の規定によりまして基本の額が改訂増額されることになつておりまして、それ場からまた、こういう方に対しましては、扶養家族のある方につきましては、従来と違つた扶養家族加給が、すなわち範囲も広げられ、加給の金額もふやされまして扶養家族加給が給せられることになつたのであります。それらの増加
恩給の受給者に対しまして基本額の増加
恩給につきましては、
恩給局におきまして増額改訂の手続をとることにいたしまして、昨年の十月の
恩給の支給期までには大体その事務を終えてしまいまして、昨年の十月の
恩給支給期には、増加
恩給の受給者の方々に対しましては増額されました
恩給を支給するような取運びにいたしたのでございます。ただ、今申し上げまするように、扶養家族のおられる方につきましては、御本人からの請求によりまして扶養家族加給をつけることになつておりますので、その後に御本人の方から扶養家族加給の請求を出していただきまして、そうして扶養家族加給を受けるべき方につきましては、増加
恩給の金額を改訂いたしまして改訂増額された
恩給を支給するようにいたしております。この扶養家族加給のあることによる増加
恩給の金額の増額改訂につきましては、今も書類を受付けておるところでありまして、全部は完了いたしておりません。大体この四月前後には片づくのではなかろうかと思つておりまするが、大部分のものがもう全部片づいてしまつております。といいますのは、昨年の十二月に相当多数の書類が請求されて参つたのでございまするが、その中には不備な書類もございましたし、それからまた、書類のとりさばきにぐずぐずいたしておりますと、一月の
恩給支給期に増加
恩給受給者に対して
恩給支払いができなくなるおそれがあるのでございます。そういうようなことからいたしまして、不備な、非常に不完全な書類と思われるものにつきましては、一応一月の
恩給を受取られてから、あらためて
恩給局の方に扶養家族加給のあることによる増額改訂を申し出ていただくような取扱いをいたします。そういうような関係もありまして、この関係の
恩給の増額改訂につきましては、若干残つておつて、今も受給者の方から請求が参つておるような実情であります。
それからその次に、旧軍人の方々に給しまするところの普通
恩給と扶助料につきまして申し上げますると、今日まで
恩給局におきまして処理した件数は十五万三千五百でございまして、大ざつばに申し上げまして十五万四千でございます。昨今の一日の大体の処理の件数といたしましては四千件内外でございまして、たまには五千件出ることもございます。現在
恩給局におきまして旧軍人の方々に対する普通
恩給、また遺族の方々に給する扶助料で、請求を受付けておりまする件数は、大ざつぱに申し上げまして約八万件ございます。かくのごとく書類がたまりましたのは、つい最近——ことしの一月の半ば過ぎごろからだんだんふえて参りまして、ごく最近のことでございます。
恩給局の職員の中で、大部分の者は臨時の職員でございます。そしてまた臨時職員の中の大部分の者は、学生とかあるいはまた受験準備中の学校卒業者でございます。それでことしになりましてから、学年末の試験期を控えまして、退職者もかなり多く出て参りまするし、またそういう学生諸君の欠勤も多く、ございましたために、かなり事務の能率が低下いたしたのでございます。そういうようなこともございまして、ごく最近におきましてはかなり書類がたまつたようなことになりましたが、試験期を過ぎるにつれて一般の出勤もよくなつて参りまするし、今申し上げますような事態というものはおいく改善されるものと信じ、また改善に努力いたしておるところであります。
また
恩給の種類にはいろいろな種類がございます。御承知の通り普通
恩給、扶助料、増加
恩給というような種類がございまするし、また扶助料の中におきましても、いわゆる普通扶助料とかあるいは戦死者の遺族に給せられますところのいわゆる公務扶助料というのがございまして、
恩給にはいろいろ種類がございます。そしてこのいろいろの
恩給の中におきまして、審査すべき内容もまたいろいろ違つておりまするし、また
恩給が裁定になりましてから、支給庁でありまする郵便局に通知しますところの通知要領につきましても、
恩給の種類によつていろいろ違つておるのでございます。
恩給局に従来から勤務しておる職員でありましても、ある種の
恩給の審査事務に習熟しまするがためには、かなりの日時がいるわけでございます。またある種の
恩給の事務に習熟しておる者が、他の種類の
恩給の審査事務に習熟するにも、相当な勉強、努力をしなければならないのでございます。今度旧軍人の方や旧軍人の遺族の方々に対しましては、一定の毒に応じまして、いろいろの種類の
恩給が給されることになつておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、これの審査事務に従事しまする者は、従来から
恩給局におりまするところの職員を中核といたしまして、多数の臨時の職員を使つて、臨時の職員の協力をまつて処理いたしておるのでございます。そこでこれらの多数の臨時の職員をよく
恩給の審査事務に習熟させまして、そして自由に
恩給の審査事務を処理するようにいたしますのには、どうしても若干の日時がかかるのでございます。また一つの
恩給審査事務になれました者を、他の方の種類の
恩給の書類がたくさん出て来たからといいまして、すぐそちらの方に向けるがためには、またそれ相当の教育をしなければならないというような実情で、ございまして、言いかえますと臨時職員でない常時の職員を使つて、そうして
恩給の審査事務を処理しておつたと仮定いたしました場合のことを考えますと、現在におきましては臨時の職員を多数使つておる関係からいたしまして、若干事務の能率が思わしく行かないという点は少くないのでございます。これを一つ言いかえますると、結局
恩給局の職員の中に相当多数の臨時の職員に働いてもらつておるということは、
恩給の審査事務の上から言いますると、事務に機動性があまりない、こういうことになつて来ておるのでございます。この点につきましては改善をはかつて、そして普通
恩給の書類がたくさん出て来たときは普通
恩給の事務、また普通
恩給の事務が少くなつて公務扶助料、戦死者の扶助料が多くなつたときには、相当多数の者をそちらの方に振り向けられるように、職員を研修いたしまして、一日もすみやかに
恩給の裁定事務がはかどるように、今画策し努力いたしておるところでございます。さような次第でございますので、今相当数たまつておりまするけれども、これはだんだんと少くなつて来るものと思つております。今御質問のありました趣旨はよく体意いたしまして、できるだけすみやかに裁定するようにいたします。