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1954-11-27 第19回国会 衆議院 電気通信委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十七日(土曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 庄司 一郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 小泉 純也君 理事 原   茂君       加藤常太郎君    菊池 義郎君       齋藤 憲三君    片島  港君       松前 重義君    三宅 正一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  委員外出席者         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君         防衛庁課長         (装備局通信課         長)      淺野 敏夫君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  行廣 清美君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 愼一君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  マイクロウエーブ施設問題に関する件     —————————————
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  木村防衛庁長官がもう少ししたら来ると思いますので、それまで暫時休憩いたします。     午前十一時十七分休憩      ————◇—————     午前十一時二十四分開議
  3. 成田知巳

    成田委員長 では休憩前に引続き会議を開きます。  最初に、先般来問題となつております防衛庁マイクロウエーブ施設計画について、防衛庁長官より説明を求めます。木村防衛庁長官
  4. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御承知通り防衛庁におきましては、現在自衛隊自体によりまする装備による短波無線電信と、日本電信電話公社施設の専用によりまする有線電話を併用しておるのであります。これで中央と地方各総監部の間を結ぶ電話回線は、各一回線ずつを有するのみであります。陸海空各自衛隊の増設に伴いまする通信量増大のため、通常の業務遂行にも支障を来しておる状態であります。特に御承知通り北海道方面においては、米軍の撤収後の自衛隊によりまする防衛態勢強化に対応するため、相当数電信及び電話回線の増加を必要といたしておるのであります。この対策といたしまして明年度予算に、東京、仙台、札幌を結ぶマイクロウエーブ回線計画を織り込みまして、総額四億三千万円を計上いたして、すでに大蔵省に要求いたしておる次第であります。この内容明年度計画中の日本電信電話公社マイクロウエーブ施設を活用して、さらに所要の施設防衛庁側で新設せんとするものであります。従いまして、これが現在の計画であります。将来の全般にわたるマイクロウエーブ計画については、目下検討中であります。
  5. 成田知巳

    成田委員長 質疑の通告があります。これを許します。片島港君。
  6. 片島港

    片島委員 長官にお尋ねいたしたいと思います。前から当委員会において問題になつておることでありますが、NTVの方で外資導入してマイクロウエーブ施設をする。それを防衛庁の方に貸しまして、防衛庁防衛通信の方にこれを提供しようという話が相当前から広がつておるわけであります。今防衛庁の方ではこの問題がどの程度に取上げられておりますか、その点を概略御説明願います。
  7. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただままお話のような話はあります。これは正力君から直接の話であります。自分の方で全国的のマイクロウエーブ施設いたしたい。それを防衛庁側へ専用させてもいいというような話はあつたのであります。その計画については、われわれは今内部において検討中であります。まだ結論は得ておりません。
  8. 片島港

    片島委員 検討せられております結果、去る十月二十日の日付をもつて陸上幕僚監部通信課長の名において、NTVマイクロ計画に関する所見という、こういう刷りものが私どもの手に入つております。これは非常につつ込んだものでありまして、極力NTVマイクロ計画を支持し、それに積極的にたよろうとしておることがこれにはつきりと書いてございますが、この点について長官は御了承でございますか。
  9. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまお示しのパンフレツトですか何ですか……。私の方から直接出した覚えはありません。おそらくこれは私のものと考えております。防衛庁自体においては、さようなものは出しておりません。
  10. 片島港

    片島委員 これは私のものでありますが、陸上幕僚監部通信課長という課長の名において、実は所見が発表せられておるわけであります。おそらくこれが中心となつて防衛庁の方では内部検討せられておるものと私たち考えるのであります。しかもこの内容は、私まだ十分検討はしておりませんが、拝見いたしますと、NTV外資導入することによつて、しかも非常にすみやかに防衛庁の方に提供できる、経費も非常に安くて済むというような利点のみが述べられて、これに対する欠陥というものが何ら取上げられておらぬのであります。ある問題を検討せんとする場合には、利害得失を並べてこれを上司の判断に仰ぐというのが普通でありますが、利点ばかりを取上げて、短所は何も取上げておりません。たとえて申しますと、わが国は今外資を極力節約しなければならぬという場合において、外資にたよろうというようなやり方、また日本が今後ますます技術を育成いたしまして、日本防衛国民の手においてやつて行こうというような方向に対する国民一般的な考え方についても何ら触れることなく、やはり外国の力にたよつて行こうというような考え、さらにまた同じく外資によつて施設をするにいたしましても、政府機関が直接やるということになれば、国民総体として相当これは信頼を置きますが、一回外資導入したものを、商業採算主義によるところの民間の株式会社を通じて施設せしめて、これがしかも日本防衛通信に提供せんとするような考え方については、その保全あるいは機密といつたような問題について、相当検討しなければならぬものと私は思うのであります。それらの点を何ら取上げることなくして、ただ長所と思われる我田引水的な所見が発表せられておるということは、まことに遺憾でございますが、この点についてはもう相当突き詰めて内部において御検討になりましたかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  11. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お説の通りであります。ものを新たにやるということについては、あらゆる観点から研究いたさなければなりません。利点の点からも欠点の点からも全部取上げて、慎重に考慮すべきことは言をまたないところであります。そこでマイクロウエーブの問題につきましても、われわれ最終的にこれをきめるにあたつては、あらゆる点から総合して検討を加えるつもりであります。現に研究をいたさせつつあります。ただいまお示しのその文書は先刻も申し上げたように、防衛庁においてつくつたものではありません。従いましてその内容は私は詳細存じませんが、いかなる理由によつてそういうものが外部に配付されたかということについて、私は十分これは検討いたしたいと思つております。申すまでもなくこういう大きな問題については総合的に判断をして、最終的に何が国家利益であるかということをもつて結論を出すべきものと信じております。
  12. 片島港

    片島委員 ただいま大蔵省の方に要求になつております四億三千万円というのは、どういう内容を持つ経費でございますか、事務当局からでもけつこうでございますが……。
  13. 久保亀夫

    久保説明員 ただいま大蔵省へ出しております四億三千万円の内容を申し上げますと、これは東京札幌間中間に若干、五つないし六つの私どもの方の管局を置きまして、途中のマイクロウエーブ中継所は、現在工事が進められております電電公社施設利用するということでありまして、四億四千八百万円の予算を要求しておるわけであります。そのうち二億二千万円余りが電電公社構内設備費、それから二億二千万円が防衛庁構内設備費ということで、公社構内設備費は、これは中継所の中にこちらの設備をもつて、保守は電電公社に委託する、一応こういう案になつております。
  14. 片島港

    片島委員 最後に一点だけ長官にお尋ねいたしたいのでありますが、相当詳細に検討をするということは、結局詳細な点は技術的な面になるので非常に時日もかかり、検討についてはまだ結論は出ていないだろうと思うのであります。しかしながら大局的に考えた場合に、日本防衛庁関係通信外資による民間会社施設提供によつた方がよろしいと思われるか、それとも防衛庁独自でやるか、さもなければ政府機関である電電公社等にたよつた方がいいと思われるのであるか、これはきわめて大局的に判断がつくことでありますが、いかがでございますか。
  15. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は結論から申せば、防衛庁自体でやることが一番望ましいと考えております。これは予算の面その他の制約があるので早急に行かないと思います。それからマイクロウエーブの問題は、結局日本防衛に大きな影響を及ぼすのではないか。と申すのは、通信の点、それから将来これがGM研究その点の結果から見て、一日も早くかような設備があることが望ましい。そこでこれを民間会社でやらせるか、政府の手によつてやるかということについては一利一害があろうと思います。今申し上げた通り防衛庁でやることが一番望ましいことである。防衛庁以外の電電公社がやることが望ましいか、あるいは民間会社においてやらせるがいいのか、これらの点につ美してはわれわれはさらにさらに各種の方面から十分検討して、結論を出したいと思つております。ただいま私はこの結論について何とも申し上げかねます。
  16. 成田知巳

    成田委員長 今の片島委員の質問に対しまして、防衛庁自体でおやりになることが最も望ましいと、こういうわけですね。防衛庁自体でやることが最も望ましいという趣旨は、やはりこういう心情設備防衛庁の性格からいつて日本の官庁である防衛庁、これがやることが最も望ましい、こういう趣旨答弁と思う。ところが今の政府機関でやるか民間会社利用するかということになりますと、いずれともまだ判断ができないというのは、少し論旨に矛盾があるような気がするのですが、防衛庁自体でやることが最も望ましいという根拠、これはどこにあるか伺いたい。
  17. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま申し上げましたのは、防衛庁防衛庁自体としてあらゆる国の防衛の見地からこれを見たものであります。すなわち独占して自分だけでこの回線を持ち、そうして部隊の要求する民間を離れたものが望ましいと思う。しかしこれを民間のもと防衛庁で使うものと並用してやるということになると、これがどうなるかという問題なのであります。従つて防衛庁自体の純防衛上に持つということについては、われわれは防衛庁でやりたい、こう考えております。一般通信その他に混用してやるということは、第二義的に防衛庁としては考うべきものであろうと考えます。
  18. 成田知巳

    成田委員長 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、国の防衛という関係から行きまして、民間との関係はなるべくなくしたい。そこで防衛庁自体独立しておやりになりたい、こういう御趣旨なのですが、そうしますと民間会社NTVとの関係の問題と、政府機関である電電公社マイクロウエーブのいずれをとるかということになると、独立性とか機密性ということになれば、民間会社はある程度その点について難色があるという前提で、独立防衛庁でおやりになりたい、こういう趣旨であつたと思いますので、同じ所府機関であるから電電公社というものは、民間会社よりも何と言つて独立性あるは機密保護の点についてはすぐれた点があると思います。そういう点でどちらをとるかということを取捨選択される余地がないので、当然そういうご趣旨から行けば政府機関である電電公社マイクロウエーブ設備を御利用になる、技術その他の点、経費の点になれば別でありますが、独立性機密保護という点から言えば、当然政府機関である電電公社マイクロウエーブ設備を御利用になるというのが、論旨の当然の帰結じやないかと思いますが、もう一度御答弁願いたい。
  19. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これは電電公社でおやりになつても、いろいろの施設をわれわれ内部に専用させることになればそれでいいでしよう。ただ私が正力君の話に魅力を感じたということは、正力君の、この設備はでき上れば防衛庁自体専管に属してよろしい、保管も全部防衛庁にまかせる、これはできるかどうか実際疑問であります。構想はそうだ、こういうことであります。またある機会にこれを国家に買収するという意図があれば、これに応じてもよろしいというような話であります。そういたしますると、防衛庁自体専管保管、これが私にとつては非常に魅力を感じておる。その点についてわれわれは一応の研究を要する、こう考えております。
  20. 成田知巳

  21. 松前重義

    松前委員 このお話の糸口がどこから出たのかわかりませんが、私の接するところにおいては、正力さんが何とかマイクロウエーブのものをやりたいというようなお話であります。われわれにも御相談がありました。ありましたけれども、あの人の初志を通すということについて、何とか方法はないかとも考えてみたのでありますが、どうしてもないのであります。ただ私はそのときに正力さんにご説明申し上げたのを記憶しておりまするが、このフイルコの方式は、アメリカにおいてはいわゆる海上通信とか、あるいはまた防衛通信に使つておるのであるから、電電公社の用に供するというようなことには、理由が立たないのだというようなことを申し上げたことを記憶しております。防衛庁正力さんとの関係がその後どのように運ばれたのか、私は存じません。けれどもこのフイルコシステムを輸入するという建前からいたしまして、当然ある中心からいろいろな方面に網を張りまして、その中心点との間の通信を確保する、大体海上通信中心だろうと思いまするが、こういうことを実施しようという目的でありまして、一般通信用には使えない、こういうことであります。そこでただいま片島委員からお話がありましたところの防衛庁の何とか課長さんのお話ですが、いろいろ書かれたのを今私は初めてここで拝見いたしましたが、非常に牽強附会なところが多いのであります。先ほど長官から今から検討するというようなお話がありましたけれども、とにかく技術的に言うならば、私ども多少専門家としてはもう検討余地はないのでありまして、フイルコシステムは私どもは優秀ではないと見ております。決して経済的でもなく、優秀でもない。いわゆる政治的な外国資本導入防衛庁の中に持つて来るというようなことがいいか悪いかは、これはわれわれの愛国心に訴えればわかると思います。日本の将来については私どもは非常に心配はいたしますけれども技術的に見て、少くともこれが劣つておるということはもう明らかであります。こういう点からいたしまして、ただいまの大臣の御答弁の中にありましたところの、今から研究するというようなお話につきましては、私はどうしてもわからない気がいたします。愛国心に富んでおられる防衛庁長官でありますから、当然国の将来から考えて十分お考えであろうと思うのであります。まず第一に、このシステムアメリカ防衛通信システムと大体似通つたものでありますので、それらとの連絡は当然とれるのであります。すなわちアメリカの一元的なコントロール下わが国防衛通信が置かれるというような、資本的にも技術的にもそのような態勢をとること‘は、いくら今日いろいろな言いのがれの言葉がありましようとも、そのようなことを私どもは想定することができるのであります。この問題についてどのように長官はお考えになつておられるか。第二の問題は、ただいま申し上げたところの技術的な問題と政治的な問題について、今から調査するというようなお話ですが、これはもう明瞭なことであつて、いろいろ魅力——それはすべてのことには多少の魅力はありましようが、全体としてわれわれが歯を食いしばつて行かなくちやならないときに、このようなことをなすべきでないと私は思うのであります。これについてもう一ぺん御見解を承りたいと思います。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま防衛庁におきましては、各方面から十分にこれを検討いたさせておりまして、部隊方面内局方面で全部技術的にこれを研究中であります。松前委員から、これは技術的に見て完全なものじやないというお話を伺えたことは、私は非常な参考になるのであります。いずれその点についても十分つつ込んでお聞きしたいと考えております。外資導入その他の点についてのよしあし、これは国の将来ということを十分に考え検討いたしたいと思います。いずれにしましても、これは何が一番国家利益に沿うべきものであるかという観点から、最終の結論を出したいと考えております。
  23. 松前重義

    松前委員 もう一つお尋ねしたいことは、マイクロウエーブというものが非常にはやりものにまつて来ております。私も先般向うへ参りましてマイクロウエーブ研究の模様を見て来ました。ところが日本方向は大分間違つておる。間違つておるというと語弊がありますが、その一部分をとつて——象というものは大きな丸太のようなものだと、足をつかまえて言つておるようなものでありまして、象全体の姿を明らかに把握していないと私は見ております。防衛庁の、軍人ではないそうでありますが、優秀なる構成分子の方々がいろいろお考えになつておられることも、世界の大勢から見れば一部分のことしかお考えになつておらない。もう少し大局を見て、問題を重点的にお考えなつたらどうか、こういうことを私は感じて帰つて参つたのであります。大体こんなことにうき身をやつしてつまらぬ論議をこねまわすよりも、防衛庁としてなさるべきことはたくさんにあるのではないかと私は思つております。このマイクロウエーブに関しまして、この通信網を確保するというだけのまことに消極的なものだけに、マイクロウエーブの将来をお考えになつておられるかどうか、この点について具体的に防衛庁見解を伺いたいと思うのであります。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 このマイクロウエーブの問題は、私は単に通信だけの問題とは考えておりません。将来いわゆる電波兵器の点について十分に研究を要する、従いましてこの点と結びつけてわれわれは研究いたしたい、こう考えております。
  25. 松前重義

    松前委員 マイクロウエーブは、長官に御質問しても、これから先は少し専門的になりますけれども、とにかく電波兵器だけではないのであります。電波兵器は過去のものでありまして、現実の、明日の姿に対する問題ではないのであります。一つの講義めいたことになつてまことに申訳ありませんが、私はこの間英国へ行つて見て、研究所の内容をいろいろ調べてみた結論として、もう英国などは、今日あなた方がおやりになつておられるような自衛隊のようなものは過去のものであると考えて、次の時代に移つております。それがマイクロウエーブ研究でございます。何であるか、申すまでもなく電波誘導研究であります。こういうふうでありまして、トランジスターやあるいはまたマイクロウエーブや、そういうものの一連の技術向上、これがすなわち英国研究の対象であると私は見て来ました。しかもこれらのものは決してただ単に軍備をたくわえるという方向への研究ではない、のであります。平和産業研究としてやつておる。かつて二十年前に私が英国に行つたときには、テレビ研究とその実用化について非常な努力を払つており、その普及をやつておりました。私はテレビなんてつまらぬものをやつているわいと見て来たのでありますが、第二次世界大戦になるや、これがただいまの電波兵器に使われまして、ドイツの優秀な戦艦ビスマルクが北海の洋上において、雲の上から爆撃された。それ以来ドイツ潜水鑑は跳梁を許されなかつたという事実があります。問題はただ単にいわゆる軍人さんたち考えるような目先の鉄砲を持つたり、大砲を持つたり、戦車を持つたりするということではありません。  平和産業生産力テレビ生産力、あるいはまたそれに類するもろもろの生産力というものを旺盛ならしめて、その力を持つておるならば私はこれが偉大な防衛であると思う。太平洋戦争の初期にも私はそう思つた。日本は負けると私は言いました。そうしてあのとき東条さんにやられました。ひどい日にあつて、結局われわれが言うたように結論づけられた。ところがそれと同じ道を日本が今歩いておると思う。防衛庁長官ももちろんその辺のことはお考えであろうと思いますが、やつぱり昔の軍人さんたちが昔の考え方でおやりになるので、国のあり方に非常な誤りを来しておると私は見ております。これは根本の問題でありますが、マイクロウエーブの問題にしても同じことであります。これは国の中にその技術がない限り、その国の防衛は絶対にできません。防衛でなくて平和産業けつこうです。何も防衛々々といつて頭から角を出さなくとも私はいいと思う。米国だつて日本との戦争の当初においては、常備軍はほとんどなかつたから向うは負けたのです。負けたけれども、遂にあとへ引下つて厖大生産力、一分間に一台ずつできるような自動車の工業と高度の科学技術の応用によりまして、それを飛行機生産に切りかえたために、一箇月何万台という飛行機ができて、日本は遂に物量で負けたといわれておりますが、とにかく平和産業科学技術高度化というところに根本問題があると私は確信し、これは今後における国のあり方に対する重大な問題であると私は見ております。こういう意味からいたしましても、アメリカのものを日本に入れるなんということはもつてのほかであつて、一体河を考え防衛というような言葉をお使いになるかと実は思うのです。木村大臣は、私どもはその意味においては十分おわかりいただける人であると今まで信頼して参つたのでありますが、ただいまのお言葉を承つてそうでもなかつたという感じがいたしまして、私は少し失望いたしておるような次第であります。とにかく国のあり方として、その国の中に高度の科学技術生産力が培養されない限り、絶対に防衛ということは考えない方がいいのです。ただの浪費であります。私はこういうことに対して、ただいま片島会員から言われたような、何とか通信課長というような人が出しておるのがあるそうでありますが、そのようなことが防衛庁の中で出るということすら、防衛の概念を根底から理解しない人たちの集団であると思うのです。とにかくマイクロウエーブはさることなから、外国からしかもこれを導入する。その国における生産力、そうして科学技術向上、こういうものこそまことの防衛であると私は思うのですか、これらの問題に対しまして長官の御所見を一応承つておきたい。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は今村前委員の仰せになつたことはまことに賛成であります。私も国の防衛ということは自衛隊だけでやり得るものとは考えておりません。日本国民がすべてその気持になり、また科学が十分に発達しなければ、防衛というものは成り立たない。何といたしましても民間科学者平和産業に力を注ぎまして、平和産業がすなわち一国の防衛に通ずるものであります。科学者がそれぞれ総力を合して日本科学水準を高めるということが、即日本防衛力を強化するゆえんである、こう考えております。まことに私は御同感であります。従つてわれわれといたしましても、ものをつくるにいたしましても、すべて日本科学水準を上げて、そうして日本の人がこれをよく使いこなし得るようなものをつくりたいということについて、われわれは十分注意を払つておるのであります。マイクロウエーブの問題にいたしましても、これは日本科学人において将来やり得るものと私は確信して疑いせん。現にわれわれは相当な民間技術者会つて、いろいろ話を聞いてみましても、欧米に決して負けない構想技術を持つておるように見受けられるのであります。今後ともわれわれは日本科学水準を高めるべく、日本の学者、技術者がその気持になつてつてもらいたいことを希望するのであります。防衛庁おいてもでき得る限り民間科学者の協力をまつて将来やりたい、こう考えております。現にその態勢を整えつつある次第であります。
  27. 松前重義

    松前委員 伺いましたけれども、どうも焦点がはずれております。ただいまのフイルコの問題に入りますが、アメリカフイルコ日本で現在つくりつつあるものに対して必ずしも優秀でない、日本の方がむしろすぐれておる、このような現実を一応考えてみまして、しかもただいま申し上げたような日本の産業や科学技術を育てるためにも、少くとも日本のものを使わなければならない、これが今後における重要な問題であります。     〔委員長退席、片島委員長代理着席〕 すなわち先ほど申し上げた科学枝術の高度化とその生産力というものでこれを維持しなければならぬ、それが防衛力であるということに対して大体長官も御賛成のようでありますが、それならば何ゆえに何を好んで一体ここにアメリカから今持つて来なければならないか、このことを私は非常に疑問に思うのであります。これはなかなか深刻な問題であると思うのでありますが、とにかく何を好んで外国から持つて来なければいかぬのか、それは日本科学技術生産力を圧迫するばかりでなく、もちろん経済的にも圧迫します。同時にまた将来借款でもして来ればただじやないかと言うても、われわれの子々孫々がすべて払わなければならぬ。そのほかにまた外国の資本が防衛の中に入つて来、しかもまた日本技術が圧迫され、日本技術の振興には役に立たない、何もその中に参考になるものがない、生産力の点からもよろしくない、こういう意味からいたしまして、どういうふうにお考えをお持ちであるか。現実にフイルコシステムを入れて防衛庁が使うという仮定のもとにおいて、このような立場からの大臣の御所見を承りたい思つておる次第であります。
  28. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま申し上げます通り、それらの点については目下十分検討中であります。お話趣旨はよくわかつております。従つてわれわれといたしましてはなお進んでいかにこれに処すべきかということについて、十分な検討をいたしたいと考えております。
  29. 庄司一郎

    ○庄司委員 電電公社の総裁並びに主管大臣もちようどおられるようでありますから、小委員会で申し上げておつたことでありますが、過般国会より各党合せて六名が南米に派遣されました。その際南米のブラジルあるいはアルゼンチンその他の国々に移住したわが国の開拓移民の日本人会が至るところにございまして、いろいろ祖国に対する御注文もございました。そのうち最も共通的なさしあたりの大きな問題は、何とかラジオが聞えるようにしてほしいということでございました。このことは過般の小委員会においても、電波監理局長等には申し上げておつたのでございますが、幸い本日は総裁並びに主管大臣が御列席でございますので、ブラジル国の同胞約四十六万五千人、アルゼンチン国一万六千五百人、その他ウルグアイ、パラグアイあるいはボリヴイア、コロンビア等々、南米において総計五十五万人の同胞がおります。その至るところで祖国日本のラジオの海外放送版を、完全に聴取し得るような状態に何とか改善してほしい。特にサンパウロにおいては向う一箇年間の建都四百年のお祭りがあるので、いろいろ祖国の情勢等も開発いことが山々ある。ただ単に祖国に対する郷愁の念にかられてのみ言うのじやない。いろいろ貿易関係その他経済関係等においても必要に迫られておるので、幸い一日二、三十分間の海外放送というのがあるが、どうも完全に聞えない。ようやく一箇月に一回くらいやや完全にキャッチすることができ得るけれども、あとは不可能である。なおサンパゥロだけでわが邦人経営の日刊新聞が六つございます。その他ブラジル国全体で十数社の日刊新聞、その他のブラジル国以外にも邦字新聞がございましてそういう関係上、何とか完全に聴取し得るような対策をお願いしたいという切なる願いが、各地の日本人会の会長、役員諸君の要望でございます。それらについて、でき得べくんばすみやかにあるいは来年度においてその対策が持たれ、それが完全に南米方面に聴取し得る状態に御対策を願いたい。これが現地の同胞の請願であり、陳情でございました。よつて六名のうち私一人だけが、この委員会委員を汚しておる次第でありますので、政府の責任ある、と言えばちよつとかどが立ちますけれども、御確信のあるところを大臣と総裁よりこの際御答弁をいただき、もつて祖国をはるかに離れること約五千里の同胞等にも安心を与えたい、こういうような考えであえてただいま時間をちようだいした次第であります。
  30. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ねの趣旨はまことにごもつともでありますので、政府としましても三十年度の予算におきま して予算要求を通して、今までは海外向けの放送は十二方向、十二時間ということにいたしてありましたのを、来年度は十四方向、二十三時間に時間を延長する計画になつております。なおよく聞えないという御意見がありますので、来年度の予算によりまして五十キロを百キロに増力するという措置も、あわせて考慮いたしておるわけであります。このように五十キロを百キロに増力することと、ただいま申し上げましたように放送の方向を二方向ふやす、それから放送時間を今申し上げるように従来十二時間であつたものを二十三時間に延ばすことによりまして、相当程度お尋ねのような海外からの需要に応ずることができるのではないか、こういうように考えておる次第であります。
  31. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 ちよつと時間を拝借いたしましてお尋ねいたしますが、ただいま木村長官の御答弁の中に正力さんとの話合いのことがございましたが、このマイクロウエーブ施設正力さんはただ施設だけをして、それを全部防衛庁専管にまかせる。それから防衛庁がこれを買つてくれるならば、それを売つてもよろしい、自分はこれはちつとも使わない、こういう意志表示なのですか。それとも自分も使う、いわゆる並用する、こういうのですか、どちらでありますか。
  32. 木村篤太郎

    木村国務大臣 専管、売却の予約ということはお話通りであります。それで自分の方で全部使わぬという意味ではありません。これは一部テレビに使うという話であります。
  33. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 賢明な防衛庁長官でありますから、こういうことを申し上げる必要はないと思うのでありますが、電波行政は新しい行政なんです。それでわれわれも、電波が国家的に見て、将来どうあつていいかということに対して、この委員会で非常に注意を払つて審議をいたしておるわけであります。それでこの点に関しましては、郵政大臣から電波行政についてという白書がこの春出たのであります。これによりますと、電波行政というものは新しいものであるから、これは国家的見地に立つて統一したところの行政をやつて行きたい。その趣旨は「電波は国家の、限りある貴重な資源であり、またその利用のいかんやその効果の国家社会に対する影響ははなはだ大きい点からいたしまして、電波法の第一条にうたわれておりますように、電波の公平かつ能率的な利用を確保し、云々ということがずつと書いてあるのです。われわれ電波のあり方というものにつきましては、国家的に大きな影響があるから、行政としては国家的に統一した状態に置いてもらいたい。そうでないと、電波の将来性を考えますと、先ほど松前委員からも申されました通り、マイクロウエーヴだけではないのです。マイクロウエーヴというのは、電波の利用ということから考えますとほんの一部分であります。これはすでに通信のごく局限された部面に応用されるという問題であつて、こういうものを、いわゆる法律によつて示されたところから逸脱した状態に置かれますと、電波は非常に混乱を来す。ここで厳正な国家的な総合統一した方向に電波行政というものを持つて行く必要がある、こう考えておるのであります。     〔片島委員長代理退席、委員長着席〕 自衛隊に関する法律を読みましても、百十二条に「電波法第百四条の規定にかかわらず、同法の規定のうち、無線局の免許及び検査並びに無線従事者に関するものは、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合については適用しない。」というので、レーダーとそれから移動体の無線設備というものだけに対しては、電波法は適用されていない。その他は全部電波法が適用されておるのです。そうしますと、今の正力さんと防衛庁長官との話合いも、施設はやる。専管には移すけれども専管も純然たる専管にあらずして、テレビには使う、こういうことになりますと、これは電波法第四条の第二項に抵触するのであります。これは現行法規ではそういうことを許されないということになる。この点に対しましては防衛庁長官検討をお加えになつたのか。これは御遺漏はないと思いますけれども、どういう解釈のもとにそういうことに興味を引かれておるのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  34. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お話ごもつともであります。それでありますから、まずわれわれにおいては技術の点から法的の関係、すべての点を十分に研究した上において結論を出そう、こう考えておるのであります。今まずさしあたり、はたしてそういうものが日本にでき得るかどうかという技術の点について、今松前委員からお話があつたように、もつぱらその点について考慮を払い、次ご法律問題が生じて来れば、それをどう解決すべきかというようなことについて研究をしておるのであります。それはまだ何らの結論を得ておりません。
  35. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これはこの委員会結論を得ておらぬわけです。というのは、昨年の十二月からその結論を出してくれということを郵政大臣にお願いしてあるのですけれども、その結論が出ておらぬのです。郵政当局といたしましては、その点に対してもうすでに結論が出ておられるかもしれませんが、もし結論が出ておられるならばそれをひとつ承りたい。いわゆる電波法の第四条第二項の解釈についてです。
  36. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 もうとうに結論を出さなければならないのでありますけれども、やはり非常にむずかしい点がたくさんありますので、先般当委員会及び参議院の電通委員会からの御要求並びに私から申し上げたお約束の趣旨を体して、鋭意折衝いたしておるのであります。本日も実は当委員会に出ますまで、いろいろ法務省側の意向も聞いて折衝しておるのでありますが、どうしてもまだ意見の一致を見るまでに行かない。どうしてめんどうなのかということでありますが、結局幾つかあります有線電気通信法、公衆電気通信法、それから電波法が別な時期に別々につくられておるので、これらの間の考え方に若干の食い違いがあるところもあり、なお制定の時分に考えておつた考え方が、必ずしも法文にうまく盛られておらないというような点があつたりしまして、どうしても総合的に判断して有線関係、無線関係を通じて、こういう問題については日本の現在の、法律上こういう解釈になるという結論がなかなか出て参らない、こういうことでまことに恐縮でありますが、もう、少し時間をお貸し願いたいと思います。
  37. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 郵政大臣とそれから電波監理局当局との食い違いであるか、考えの焦点が違うのであるか、よくわかりませんが、結論を得なかつたのは、この前大臣のいわれるのは、その無線局の施設をやるということは、施設をやるということだけならば、第四条第二項に抵触しないかもしれない。しかし施設をしてこれをある者に貸しても、自分でその一部を使うということであるならば、それは電波法第四条第二項には明らかに抵触する、こういうお話だつたと私は信じておるのです。われわれの論議の焦点というのそうでなく、無線局というものをつくつてこれを他に提供するということが第四条第二項にも抵触する、そういうことはあり得べからざることである。ところが郵政大臣は、いやそれはつくつてそれだけを貸すということだけならば、それは一応考えられるのではないかということの論争であつたのであります。ところがただいま木村長官に伺いますと、その正力さんの申出は、形は専管であつても、やはりそれはテレビに使うという。それなら文句なしに第四条第二項に抵触する。法律違反だ。こういうことは許さるべきことではないのであります。でありますから、第四条第二項の法律が現存する限りは、そういうことに賢明な木村長官か、興味を感ずるということはあり得べからざることでありますが、その点はどうなんですか。
  38. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点についてはただいま郵政大臣からお答えがあつた通リです。今研究しておりますが、まだ釈問の点がありますので、それを解決してからのことにいたしたいと思います。
  39. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それではもう一ぺん申し上げます。われわれのコンデンスした意見は、マイクロウエーブ施設をやつて、そうして自分では全然使わないで他人の使用に供するということさえも、第四条第二項に抵触するか抵触しないかという論議なのです。ところが施設をして、それは防衛庁には使わせるけれども、おれもテレビに使うのだというのは、これは論議の余地はないのであります。それをいつまでものんべんだらりと研究をする研究をする。そうすると法律の解釈は永久に結論を得ないということになる。そんなことになつたならば、いやしくも立法府が明白に掲げてあるのに対して、魅力を感じたからその解釈を歪曲して行くよりな感じを与えるような、そんなべらぼうなことはないと思うのであります。そういう魅力はお捨てになつたらどうですか、通らないのだから。その御答弁によつてこの次の委員会では、われわれとしても重要な決意をしまして、決議案でも何でもやりたいと思います。ひとつはつきり御答弁願いたい。
  40. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私の魅力を感じた点は、先ほど申し上げた通りであります。それが技術的にどうなるか、また法的にどうなるかということについては、目下検討中であります。今仰せになつ結論が出るということであれば、これは何をかいわんやであります。
  41. 松前重義

    松前委員 電波監理局長にお尋ねします。フイルコのものは二百メガから八百メガであるという話でありますが、今日本に来ておるアメリカの軍隊の使うておるのはその辺だと思うのです。大体周波数の割当でそんなものは許される見込みがあるのですかないのですか。もしそういうフイルコのものを入れたとしての仮定としての話です。
  42. 長谷愼一

    ○長谷説明員 お答え申し上げます。防衛庁の方でお考えになつておるマイクロウエーブ回線の全体の計画というものは、私たちまだ承知いたしておりません。従いまして電波の割当がどの辺のところを御希望になつておるかという点も、まだ正式に伺つておりませんので、その方を検討いたしておりませんが、非常に小規模でありますれば、あるいは割当が可能かもしれませんが、全国的なことを考えるということになりますと、ただいまお話もありましたように、ほかにもすでに相当広範囲に使つております範囲でございますから、相当困難ではなかろうかと実は考えます。但し先ほど申し上げましたようにまだ全般的なものがわかつておりませんので、確たることはお答えできませんが、ただいま申し上げたようなことで御了承願いたいと思います。
  43. 松前重義

    松前委員 最後にこれは長官にお尋ねしたいのであります。先ほど来何度も申しましたけれども、どうも焦点をはずしてお答えになるのでありまするが、私の申し上げておるのは非常に簡単なのであります。私はこの間外国へ行つていろいろ考えてみたことあります。それはソビエトに行つたときに、ソビエトは非常にテレビが発達しておるのです。ほとんどすべての労働者、農家にテレビがあります。それはいろいろな意味において文化的に進んでおるといえばそれまででありましよう。あるいはまた言論政策上国民を指導する意味において、そのような普及をやつておるということも、一応の理由であると思いますけれども、もう一つの重要な面は、やはり生産力であろうと思うのです。そうして高度の科学技術の発達と、これを基礎としたところの生産力をみずからの国において維持するという、私は多少防衛の概念があの中に入つておる、多少どころではない、ある意味においてはソビエトはそれが目的であるかもしれぬ、このようにまでも私は思つて、あのテレビのアンテナの林立を見て参りました。大体防衛庁というものがあつて、おいちにのけいこその他のことをやつておられるようでありますが、そんな常備軍というものが一体何の役に立つかということは、大東亜戦争のとき、アメリカは少数の常備軍を持つてつて、その背後の生産力を切りかえることによつて、いわゆる物量というもの、そうしてそれに対する多少の訓練を施して、あとで押し返して来た。あの歴史を見ても私は明らかだと思う。問題はただいまのようなテレビの非常な普及、発達、それに受信機の生産、そうしてその技術の非常な向上、それにベースを置かなければ、実際の防衛というものはできないのじやないか。防衛なんというものは特別なものでない、こういう概念の上に立たなければ、新しい時代に処して行くことはできない。防衛庁がいくらしつかりなすつてもだめだ、このように思うのでありますが、防衛庁長官は根本問題として、日本にそのような生産力を培養しなければならないと思われるのであるか、それともその生産外国に依存し、科学技術も依存した方がいいと思われるか。これは自衛隊の使つておられるほかのいろいろな品物、たとえば戦車やその他のものを使つておられる、が、私はあんなものでは日本防衛は実際できるものではないと思うのです。その点について防衛庁長官としての根本的な見解をお伺いしたい。
  44. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点については先刻申し上げた通り、私はあなたと同じように、何としても日本科学水準を上げて、日本で使うものは全部日本のものであることを期待しておるのであります。従いまして防衛庁におきましても、その観点から各種の民間会社、端的に申しますと、あるいは日本無線、あるいは芝浦、その他有力な会社と互いに提携いたしまして、また船の方では相当の船会社と技術研究をしきりにやつております。従いましてわれわれ防衛庁といたしましては、建前としは日本科学陣営と互いにしつくり手を結んで、日本科学水準を上げて、将来日本で使うものは全部日本製品たらんことを目標として、今しきりに研究を進めておる次第であります。
  45. 松前重義

    松前委員 ただいまの御見解の上に立つならば、きよう問題になつておりますアメリカシステムを持つて来るという問題は、全然取上げらるべき問題でもないと私は思うのです。もう初めから魅力を感ぜられる問題ではないと私は思うのですが、それはどういうふうにお考えになりますか。
  46. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この点につきましては、われわれといたしましても一日も早く電波の速度、秘密その他の点からして、防衛庁自体のものを持ちたいということは先刻申し上げた通りであります。正力君のは技術輸入についてどういうことになるか、ただいま研究中でありますが、要は三点からこれをつないで中継局の数をなるたけふやして、そうして防衛庁の希望にこたえるということでありますから、私は魅力を感じた、こういうことを言つておるのであります。その技術の輸入につきましても、いいものであればこれを輸入して、日本技術水準を高める一助とすることは、これはさしつかえないと私は考えておるのであります。しかし今仰せになるような技術日本でもでき得るのだ、またそういう持つて来ようとする技術は役立たぬというならば、これは何をかいわんやであします。しかしそれらの点については十分われわれは検討を要する、こう考えておる次第であります。
  47. 松前重義

    松前委員 どうも最後の結論が私には解せないのでありますが、何と言つても先ほど来繰返し申し上げますよう、に、私は国務大臣としての木村さんとしてお考え願いたいと思うわけでありまして、防衛庁の親玉としてではないのであります。どうしてもこれはやはり防衛庁とは言わなくても、国務大臣として国のあり方についてぼくは根本的にお考えを願いたいと思うことは、ただいま申し上げました国内の生産力向上、それから科学技術高度化、この二つの問題を中心として考えなければならない。それならばこのフイルコの問題のごときは、私は初めから取上ぐべきではなくて、もう少し技術者にしても、防衛庁技術者はスピリツトを持つてもらいたいと思う。精神がありませんよ。これではまるでノー・ズロですよ。これではいかぬ。長官がまたそのノー・ズロを奨励するというか、魅力を感ぜられるということは、これでは日本はどこへ行くかわからぬと思うのでありまして、この点は、ひとつあなたのふだんの剣道の気魄にかけても、防衛していただきたい、こう思うのです。
  48. 成田知巳

    成田委員長 ほかに街質疑はありませんか。——それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十六分散会