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1954-11-26 第19回国会 衆議院 電気通信委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十六日(金曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 橋本登美三郎君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君    理事 庄司 一郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君 理事 松井 政吉君       加藤常太郎君    菊池 義郎君       齋藤 憲三君    片島  港君       松前 重義君    三宅 正一君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信管理官)  行広 清美君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信管理官)  庄治 新治君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社理事         (職員局長)  山本 英也君         日本電信電話公         社理事         (運用局長)  田辺  正君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 十月十九日  委員片島港君辞任につき、その補欠として井手  以誠君議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員青木喜正君及び井手以誠君辞任につき、そ  の補欠として山本友一君及び片島港君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  井伊誠一君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員片島港君及び齋藤憲三辞任につき、その  補欠として山花秀雄君及び櫻内義雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として片  島港君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として齋  藤憲三君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員山本友一君及び井伊誠一辞任につき、そ  の補欠として平井義一君及び三宅正一君が議長  の指名委員に選任された。 十一月八日  委員平井義意一君辞任につきその補欠として青  木正君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員青木正辞任につき、その補欠として淺香  忠雄君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員片島港君辞任につき、その補欠として足鹿  覺君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員足鹿覺君及び三宅正一辞任につき、その  補欠として片島港君及び水谷長三郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員水谷長三郎辞任につき、その補欠として  三宅正一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社職員賃金改訂に関する件     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 ただいまより開会いたします。  本日は委員長に事故がありますので、委員長指名により理事の私が委員長の職務を行います。  日本電信電話公社職員賃金改訂問題等に関し調査を進めます。本件につきましては、去る九月八日全国電気通信労働組合により公共企業体等中央調停委員会に対して、昭和二十九年度四月期以降における基準内賃金改訂に関する調停申請書が提出され、一昨二十四日公共企業体等中央調停委員会より調停案提示されたのでありますが、この間における経過並びに今後の措置に関して、まず公社当局より説明を求めます。梶井総裁
  3. 梶井剛

    梶井説明員 組合側からの要求に対しましては、公社といたしまして十分に研究をいたしました。そうしてその間幾たびか団体交渉もいたしたのでありますけれども、結局その意見が一致しませんで、そうして調停委員会調停を御依頼したような次第であります。その結果調停委員会からは御承知通り、周囲の情勢にかんがみて組合要求されるベースアツプに対しては首肯し得ない、適切と思えない、しかし現在公社が今日まで電通省時代から引継いで以来その待遇の間に不均衡があるように思われるから、その不均衡是正をするようにしろという指示があつたのであります。従つて今後私どもとしましては、この不均衡是正につきましてできるだけ早く自分らの調査を進めまして、そうして具体案をつくつて組合団体交渉を進めたいという考えで目下おる次第であります。大体のことはそういう方向に向つておりまするが、詳しいことにつきましてはお尋ねによりまして、職員局長が出席しておりますからお答えいたします。
  4. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 補足説明として職員局長からもう少し内容を具体的に説明していただきたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 それでは山本職員局長
  6. 山本英也

    山本説明員 調停案提示がございましたまでの経過について御説明申し上げます。  組合要求は、本年の七月十九日に昭和二十九年度四月以降の基準内賃金改訂するという要求が出て参りました。その内容といたしましては、満十八才の最低基本給というものを月額八千五百円といたしまして、これに基いて基本給表改訂するということが一項目であります。それから第二項目といたしましては、満十八才の最低基本給月額八千五百円といたしまして、各年齢別最低保証給制度というものを実施するというのが第二であります。第三といたしましては、勤務地手当扶養手当現行制度通りにする、この三点につきまして要求がございました。  第一点に対しましては、種々検討の結果、その後九回にわたつて団体交渉を行いましたが、公社といたしましては現行ベースというものは、諸般の条件を考慮いたします場合には、おおむね妥当であるというぐあいに考えますので、遺憾ながら基本給表改訂というものには応じられないという態度でございます。それから年齢別最低保証給制度というものを実施いたしますのには、なお十分調査研究いたします点が多く、また組合主張そのものもただちに実施いたすことはできないという技術的にも困難でありますので、そういう態度団体交渉行つたのであります。その結果、九月八日に団体交渉は一応ものわかれとなりましたので、組合の方から調停委員会調停を求められたわけであります。  調停を求められました要点は、ただいま申しました三点に対してでございます。それに対して調停委員会は一昨二十四日の調停案提示いたされました。その調停案内容はお手元に差上げてございます調停案通りでございます。その趣旨とわれわれ解しますところは、ただいま申しました第一点の基本給表改訂につきましてはその時期でないし、改訂を必要とする証拠が十分とは思われないということでございます。第二点といたしましては、「年令別保証給の制定については、賃金生活保証との問題としては、検討に値するものであるが、初任給とも深い関連があり、年令区分のみによる保証給制度を設置することには、種々論議の存するところである。」この点も調停委員会としては勧告をされないということであります。それで調停案で御提示をいただきました内容は、ことしの十月に全電通との間に団体交渉の結果によります給与体系の変更を行いましたが、その際に従来の給料をもちまして切りかえを行つたわけでありますが、従来給与不合理なり不均衡というものがあるので、それをすみやかに団体交渉により是正するということが第一点であります。第二点といたしましては、勤務地手当扶養手当現行通りにするという組合調停申請の第三項に対しましては、組合主張通り勧告をいただいたわけであります。  経過といたしましては大体以上のような経過でございます。  調停案内容につきまして若干御説明を補足させていただきまするならば、この調停案主文の第一項にございますところの、「従来のまま移行された給与不合理、不均衡」というものは漠としておりまして、何が給与不合理であり、何が不均衡であるかという点につきましても、調停委員会の方からのお話もまだ詳細には承つておらないのでございます。ただ私どもとして考えられますところのことは、従来の電電公社職員給与というものは公務員給与制度——公務員でありました時代が数年間ございます。またそれ以前を考えますれば、いわゆる給与不合理なり不均衡というものは、考えようによりましては、その範囲というものは非常に大きくなりますし、また現在組合あるいはわれわれでも気ののついておりますような不合理、不均衡というようなものを考えます場合には、何を基準不合理と称し、何を基準に不均衡と称するかという点については、なかなかむずかしい問題がございますので、この点を十分検討いたしませんと、この調停案で御勧告をいただきましたことが、できるかどうかという点については問題があると考えております。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 では質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。片島港君。
  8. 片島港

    片島委員 ただいまの御説明で大体わかつたのでありますが、しかしながら調停委員会から不合理、不均衡があると指摘をされて、団体交渉によつてすみやかに是正をすることという勧告がなされておるわけであります。第三者として調停に入つた側から不合理、不均衡があるということを指摘をせられておるのでありますから、当局者である公社側が何が不合理であり、何が不均衡であるかわからないというような御説明は、どうも私たちとしては納得が行かないのであります。何が不合理であり、何が不均衡であるかがよくわからないということになると、結局受諾するかしないかということも決しかねるわけであります。一週間以内に回答しなければならぬように法的になつておるのであります。いつごろまでにその結論を出される予定でありますか、お伺いしたい。
  9. 山本英也

    山本説明員 ただいま御質疑のありました点で、一応考えておりますことを申し上げます。何が不均衡であり、何が不合理であるかということにつきましては、いろいろの観点から考えられるところがございます。たとえば非常に広く考えますれば、戦前におきましては男子と女子の賃金は非常な格差を持つておりまして、それを戦後も引続いてベース・アツプあるいは給与体系是正というようなものに引続いて切りかえをしておりますから、男女間の賃金格差というようなものも、現在の男女同一賃金という考えからいたしますれば一つの不均衡であります。もつと具体的な問題といたしまして、公務員時代あるいは公社職員時代におきまして、給与の切りかえというものは十回に余るほど行われておるわけでありますから、その間におきまして切りかえのたびに、いろいろの点において技術的な切りかえ操作というものによつて生れて来ておる不均衡というものも、あるいは抽象的には考えられる問題であります。またもつと年限を前に置きますれば、逓信省時代におきましては、各地域によりまして賃金というものは格差がございました。そういうようなものは一応戦後も引続いて、その各人の給与として切りかえの基礎になつてつたわけでありますから、そういうようなものもある意味におきましては、不均衡といえば不均衡と言えるわけであります。さらにもう少し限局をいたしまして、戦後におきますところの二九ベース当時からの不均衡というものを考えてみますれば、制度的に現われて参つていると考えられまするものは、級別定数制度が前の公務員時代にはございました。公務員は現在もとつてございますが、そういう制度がございまして、これは給与の幅を一級から十五級までの間に刻みまして、その間に昇給なり昇格なりを行つているわけでありますが、その各級の定数というものを定められましたために、いわゆる公社に移行いたします前には頭打ちとか、そういうことが言われておつたわけでありますから、昇格を伴わなかつた人に対しまして、昇格をした人は給与の面においては差が出て参つております。そういうようなものもあるいは不均衡といえば不均衡と申し得る範囲であります。そういうこと以外に電電公社として考えられまする特殊な事情というようなものを考えますれば、電電公社は戦後逓信省時代に海外からの引揚者というような方を多数受入れをいたしましたという関係、あるいは国際電気通信株式会社あるいは日本電信電話工事株式会社というようなものの職員を、逓信省に統合したというような経緯を持つておりますので、その間に中途から逓信省職員になられた方々に対しまする給与は、必ずしも最初から逓信省に勤められておつた方々給与とも違います。そういう意味においての不均衡というものもあり得るわけであります。しかしながらわれわれといたしましても、こういう考え得るものを全部これは不均衡であり、不合理であるとは考えられないのでありまして、現在の給与というものは組合との間の協定なりに従つてできているわけでありますから、現在の給与そのものにつきましての不均衡というものは、抽象的、理論的には考えられるにいたしましても、これが不均衡であるというものは私どもとしましてはあまり多くを考え得ない、そういう意味におきまして、その範囲が不明確であると申し上げたわけであります。それともう一つ調停委員会の御提示のありましたときにも、この内容の詳細につきましては後ほど説明をするというお話もございまして、ただいま私どもの方では調停委員会へどういう範囲のものを不均衡と言い、どの範囲のものを不合理考えておられるのか、いろいろお尋ねをしている最中でございます。
  10. 片島港

    片島委員 三十年度の予算案を拝見いたしましても、給与に関する改善予算は入つておらないようでありますが、組合の方からも前から相当強い要求がありまして、しかも調停委員会ですら不均衡不合理指摘し、あるいはその他の諸手当の問題について、非常にゆるやかではありますけれども、こういう勧告を出しておるのでありますから、御検討せられた結果、これは受諾すべきものであるということになりましたならば、三十年度の予算についてさらに再検討をするという結果になると思うのでありますが、そういうように解釈してよろしゆうございますか。
  11. 梶井剛

    梶井説明員 不均衡是正につきましては、今までのところ給与総額範囲においてそれがやれるかどうか、また本年はその不均衡是正が、たとえば一月から三月までだけのことで済みますけれども、来年になりますと一年間の給与総額がいるわけでありますから、それに対してどうなるかということは、表われわれは考えなければならぬ問題であります。しかしこちらの不均衡是正に必要な支出増が一体どれだけあるだろうか、その点がはつきりいたしませんと、来年度予算に対しての検討ができないのでありますが、一応不均衡是正というものは、今職員局長から申しました通りに、そうはなはだしい不均衡があるはずがないのでありますから、その範囲もそう広くはないだろう。従つて来年度予算に対して、さらに不均衡是正によつて生ずるところの支出増を、あらためて盛り込む必要があるかどうかということにつきましては、われわれはさように考えない次第でありまして、来年度予算範囲においてそれはできるのではないだろうか。しかしそれは今後の予算折衝にまつべきものでありまして、その予算折衝の場合に、われわれはどうしてもこれだけ必要だということを十分に大蔵当局説明いたしまして、不均衡是正をやるといたしますならば、支障のないようにしたいという考えであります。
  12. 片島港

    片島委員 きまつておるわくの中で不均衡是正をやろうとするならば、山を削つて谷に埋めるというような結果になりまして、主文第一項についての理由説明に見ましても、これは山を削つて谷を埋めるというのではなく、「特殊の事情により学歴、年令、職歴、勤務成績等より見て甚しく低い号俸にある者も相当数存在している実情である。」とあるから、特に低い者を上げるべきであるというふうに私たちは解釈をするわけであります。そうしますと、これについては当然予算的な措置が必要になつて来るだろうと思うのでありますが、その点について山を削つて谷を埋めるというのではなくて、低い者を上げるのだ、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  13. 梶井剛

    梶井説明員 不均衡是正という意味から申しますれば、確かによ過ぎる人もあり、また悪過ぎる人もあるということでありますから、山を削つて谷を埋めるというようなことに理論的にはなるわけでありますけれども、実際問題として現在もらつている給与を下げるということは、実行上困難であります。従つてわれわれとしましては、山を削ることをやめまして、できるだけ経費の捻出によつて、谷だけを埋めて行こうという考えでおります。でありますから、給与総額範囲内において、可能な範囲においてそれをやろう、そういう意味でありますから、実際不均衡是正をやるといいましても、広範囲にやることは非常に困難でありまして、特に著しい不均衡に対してのみ是正する。そうするならばどれだけ給与総額の中から財源を見出してやれるかということが、われわれとしては苦慮しなけばならぬところであります。来年度予算に対しましても、給与総額の中からそれだけを捻出しなければならぬわけでありますから、やはりそういう点につきましても十分検討をして、初めて交渉をし得るのではないだろうか。ただいたずらに抽象的な文書だけでわれわれははやれないという点に、非常な苦心を必要とするわけであります。
  14. 片島港

    片島委員 これは全電通ばかりではなく、ほかの公共企業体にも関係いたしておりますので、電電公社だけがかつてな行動をとるということは、できないこともあるかと思うのでありますが、しかし御承知のように、現在ではこの全電通においても相当熾烈な要求貫徹のための運動が行われているが、それでも何ら妥結方法がつかないという場合には、さらに強いいろいろな紛争が起きて来るのではないか。ところが御承知のように、現在の政治は非常に混迷いたしておりますし、また現在の政府がそのまま永続するものとは思われないような状況になつております。そうしますと、これを誠意を持つて解決に当るのは、どうしても公社当局が積極的にこの事態を収拾するという腹をきめてもらわなければ、現在の非常に弱体化した吉田内閣において、これが公正な収拾はできないような状態であります。どうか一日も早くこのような状態が収拾されますように、組合側とすみやかに団体交渉を開いてもらいまして、一日も早く円満に妥結するように御努力をお願い申し上げまして、私の質問を打切ります。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 今片島委員から基本的な質問があり、それに対するお答えを聞いたわけですが、まず冒頭にお伺いしたいのは、この調停案が出たあと、この調停案に対する対策公社として当然お考えなつたはずですが、最後の調停の出るとき以後における新たな財源捻出——労働生産性向上するなどとという発言も交渉の中にあつたわけですが、そういうような方面からの苦心をした跡がありましたら、それを先にお伺いしたい。
  16. 山本英也

    山本説明員 われわれとしては、調停案内容に対します検討は行つております。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 今のお答えは、調停案が出てから今日まで、調停案内容についての検討はしておるけれども、これ以上出せるような努力考慮は全然払つていないというお等えだと解釈してよろしいと思います。そこで調停案をこのまま実施せよという態度で、公社組合に対して臨んでおるという結論になるわけですが、御存じのように各企業ともに、その調停案ではもとより不満で、何とかしてもう一押し考慮を願いたいし、団体交渉も早く持ちたい、こういつた気持のあることは全企業の動向だと思う。これは公社側でもおわかりになつていると思う。そこで今の調停案をこのまま実施するとするならば組合はのみませんし、公社は何とかしてこれをのませたい、こういうお考えでしようが、私はこれは妥結に至らない、こういうことが予想されますので、公社として調停案が出て以後、このままで行くか行かないかのある程度の見通しの上に立つて、次の対策を当然考えるべきだと考えるのでありますが、その問題を考える資料として二点だけお伺いしたい。  今申し上げたように、公社考えている労働生産性向上といつたようなものをどういうところに求めるのか。詳しく言いますと、労働生産性向上というのは、電電公社の場合はどういうところに要点を置いて考えて行くべきなのかという点をまず先にお伺いしたい。  第二点としてお伺いしたいのは、公社実質賃金向上を常々考慮されているわけです。この交渉経過を見ましても、そこに非常に大きなウエートを公社としては置いておられるわけですから、実質賃金向上ということはどういうところでお考えになつておるのか、どういうところから実質賃金向上ということが出て来るとお考えになつておるのか、この二点を先にお伺いいたします。
  18. 梶井剛

    梶井説明員 労働生産性向上ということは、事業の経営上当然われわれはふだんから考えておるのであります。それに対しましてはもちろん従業員諸君の一人当たりの能力をだんだんよくして行く。かつまたその人たちに積極的に企業努力をしてもらうことによつて生産性向上して行こうという考えで、常に組合の側に対してもそういう要求をしておるわけであります。でありますから従来たとえば百人でやつておりました仕事が、かりに九十人でできるようになりますならば、やはり労働生産性向上になるわけでありますから、そういう意味におきましてわれわれは、単に業務量増加に比例して人員の増加をやるというような方法を極力避けておるのであります。従つて生産性向上するに従つて、われわれはできるならば報償制によつて生産性向上伴つて給与改善して行きしたいという考えでおるわけであります。  その次にわれわれは給与問題ばかりでなくて、従業員というものは事業の中心をなしているのでありますから、この人たちに健康で、しかも心持よく働いてもらうことによつて、サービスの改善ができるのであります。でありますから、単に従業員の人々に給与を増額するというばかりでなく、その働くべき環境をよくし、かつまた家庭における心配ができるだけ少くなるようにということを念願しておるわけでありまして、その意味におきましてわれわれは新しく職場をつくる場合においては、特に従業員環境考慮して、明るく朗らかに働けるように配慮いたしておりますと同時に、従業員家屋に対しましても、五箇年計画を立てます際に、同時に住宅等に対する五箇年計画を立てまして、年々計画従つて従業員家屋を増築しております。またその他病院でありますとか、あるいはレクリエーシヨンの設備であるとかいうようなものを極力やりまして、従業員が安心して働けるようにして行こう、これもまた生産性向上の一端として、従業員に対しては報いるべきであるという考えのもとにやつておるわけであります。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 今の二点の問題の方を先に言つた方が便利だと思うのですが、実質賃金向上をはかるのに、厚生施設等改善して行つて気持よく働けるようにする、これは非常に必要だとは思いますが、労働基準法の規定する範囲内に持つて行こうとすることは当然なんで、現在の公社がやつている施設向上あるいは厚生施設の改良というようなものも、その意味から言うと基準監督署の指定する範囲まで引上げようとする努力であつて、それ以上ではない。平均するとそういうことが言えると私は思う。従つてそれは当然なことなんで、そのことがただちに実質賃金向上になるのだという考え方は、実際に働く者の立場から言うと受取りがたい、そういう感じになると思いますので、実際に言つて公社実質賃金向上というものは、他に何か具体的なものがあるのじやないかと思うのですが、こういう点をもう少しく具体的にお話願えるならばお聞かせ願いたいと思います。  それから最初の問題の労働生産性向上従業員の能力がだんだん増して行くように指導もするし、それから積極的に努力をしてもらつて利潤を上げて行きたい、そしてそれに応じた給与を与えて行きたい、こういうお答えがあつたわけですが、そこで問題になるのは、いつも給与総額の問題あるいは弾力条項の問題等がありまして、実際に思い切つた能率向上がなされた場合に、それに完全にマツチするような給与改善が、公社独自の立場からできるかというとできない現状にあると思う。従つて労働生産性向上といつても、国際電電におけるようなわくのないフリーな形での給与改訂、増額ということが、今日の段階では不可能な状態にあるわけですから、公社が常に労働生産性向上を主張し、その上に給与改善などをやつて行きたいという回答を組合側に常になされておるわけでありますが、こういうことは、公社としてほんとうにそれを真剣に考えるなら、もつとこれが基本的に実施できるようにすべきであり、頭のつかえているような給与総額とかいう点に対する改訂、あるいは何とかして打開して行こうとする努力がここでなされていないと、労働生産性向上をあまり強く主張し、あるいは常々要求をしましても、組合側からすると頭がつかえているのだし、どうにもできないのではないかという考えから、これもまた空念仏に終つて、実際にはピンと来ない。これは企業には一番大事なことなんですが、公社の場合にはそういう点で頭打ちの感がある。どこにおいてもこういつた問題にぶつかるのですが、労働生産性向上をほんとうに考えて行こうとする経営者側の考えに応じた組合側努力をさせようとするのには、どうしても今打開しなければならない法的な措置が必要だと思いますが、これに対していつの委員会でも論議が一致しないで、政府側もこれに対してはうまいことを言つてぬらりくらり逃げておりますが、公社においては思い切つて付とかしてこれを改訂するというところに、日ごろの努力を傾注して行かなければならないと思うのでありますが、給与改善をするための労働生産性向上ということが掛声だけに終つて、実際は不可能だということが双方ともに頭の中にある。こういう言葉を単にもて遊んでいるということになると思うのであります。今後こういう問題がまた再燃するわけでありますが、こういうときに給与総額の問題とか、あるいは弾力条項の問題等に対して、公社が何か積極的に政府に進言をしたり、あるいは今後その方面に努力をしようとするお考えがあるのか、この点と、それから先ほど申し上げましたように、実質賃金向上という点に関しては、単に厚生施設改善だけではなくて、気分よく働けるようにということだけでなしに、もう少し何か公社の側に実質賃金向上という面では、具体的なものが一つや二つあるのではないかと思うのですが、ありますかどうか、この点をまずお伺いいたします。
  20. 梶井剛

    梶井説明員 給与総額にわくがありまして、その範囲内でわれわれはやらなければならない。また給与総額に対して多少の弾力条項等がございますが、それは給与総額全体から見ましたならば九牛の一毛にすぎないのであります。ほとんどその弾力条項によつて、今の生産性向上に対する報償の措置はできないというのが事実でございまして、先般内閣のつくりました公共企業体合理化審議会におきまして、私ども公社としては給与総額を撤廃していただきたい、そうしてわれわれが自主的に生産性向上ができるようにやらしてもらいたいということを強く主張いたしました。そこで合理化審議会は、三公社合同で最初やりましたけれども、後部会にわかれまして、部会といたしましてはわれわれの主張がいれられまして、部会報告が総会に提出されたわけでございます。しかしこの給与総額撤廃という問題につきましては、大蔵当局にも相当強い反対がありまして、総会の結論としましてはその趣旨はもつともであるけれども、今すぐ実施することは困難であるという結論が下されておるわけであります。われわれとしましてはたといそれが今すぐ実施できなくとも、わずか二億の弾力条項ではどうにもならない、この弾力条項をもう少しふやして、いただきたい、それによつて報償制度を確立してやつて行きたいということを申したわけであります。この弾力条項につきましては今後の予算折衝にまつべきものでありまして、その委員会で具体的に結論は下されなかつたのであります。なお合理化審議会におきましては、報償制度はこれはもつともである。しかし報償制度をやるのに、今までの例を見るととかくおざなりになつてしまう、均一的な報償制度になつてしまう、それでは報償制度の意味を失つてしまうから、報償制度に対してはつきりした方針をきめてやるべきであるというような結論が下されたわけでありますから、われわれは今後といえども給与総額の撤廃については極力主張して行くということでありますし、またそれが即時実行されませんでも、弾力条項を拡大してもらいまして、そうして報償制度を自分らの方で確立して、それを生産性向上に幾分でも資したいという考えでおるわけであります。  それから実質賃金向上につきましては、私よりも職員局長の方がよく知つておりますから職員局長から……。
  21. 山本英也

    山本説明員 実質賃金向上というもので、具体的な何か施策を特に述べよというお尋ねでございますが、実質賃金向上として公社として特に力を入れておりますのは、先ほど総裁からお答えいたしました住宅問題の解決というものに重点を置いてやつております。それともう一つは、通信事業におきましては職場環境と申しますか、作業形態と申しますか、そういう点から相当結核罹病率というものが少くないのです。そこでそういつた面での保健対策というようなものにつきましては、重点を置いて考えて参つております。それともう一つは、被服の問題は実質的な給与という意味において、被服を貸与しておるわけではございませんけれども一つの実質的な待遇の面といたしましては、資するところがあると思つております。現在現場の作業に従事せられる方たちに対しましては、相当の被服を貸与いたしております。以上でございます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 実質賃金向上には民間の企業と少し違つているので、そういうことになるのかどうか知りませんが、これは後の問題でまたいずれ参考に私の意見を申し上げたいときもあるかと思います。  その次にお伺いしたいのは、調停案前文にありますから、公社の側でも検討されたと思うのですが、「組合側の資料を調整して、民間賃金との比較を行つても、その差は僅少でほぼ同一水準にあると認められ、」こう前文にあるわけです。公社の側で民間の資料というものをどこにとつたとお考えか知りませんが、たとえば先ほど言つた国際電電の場合と比較しまして非常に差があると思うのですが、そういう比較検討をされたことがありますかどうか。ありましたら国際電電と比較した場合、あるいはこの前文に言うような民間賃金との比較というような比較が、どういうところと比較されたのかを御存じでしたらお伺いしたいのです。国際電電との比較が一体妥当だと思うか、今の差が僅少であるとこの調停案で言うように、公社側でもお考えになられたかどうか、この点を一つお伺いします。
  23. 山本英也

    山本説明員 調停案で民間賃金に比較しても大した差がないとおつしやつておりますのは、何を民間賃金とお考えになつておるのかつまびらかにいたしませんが、この前の調停案を見ました場合では、民間賃金との比較を考慮されまして、民間賃金の上昇率というものを調停案の基礎になさいました。そのときに中央調停委員会において民間賃金といわれましたのは、大体労働省においてつくつておられますところの、全産業に対する毎勤統計の給与をもとにお考えになつております。しかも都市におけるところの民間賃金というものの平均を民間賃金と称されました。今回の調停案において民間賃金というのは何をさしておられますか、実はつまびらかにいたしません。  もう一つ申し上げますが、通信事業のいわゆる類似産業というものは、非常にむずかしい問題でありまして、私どももどこに類比を求めるかという点につきましては、かねがね苦慮をいたしておるのでありますが、独占企業でもありますし、また作業の形態等も、いわゆる類似と考えられますものはどこにあるのかという点につきましては、事務職等を除きましては非常にむずかしい問題であります。
  24. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 ちよつと関連して職員局長にお聞きしたいのですが、昭和二十九年十月締結された日本電信電話公社職員賃金体系に関する協定は、大体どんな目的でどんな内容で、それからもしこれに要した予算措置があつたとすれば、年間予算としてどれくらい必要とするのか、ちよつと御説明願いたいと思います。
  25. 山本英也

    山本説明員 ただいまの御質問の十月四日に定めました給与体系の変更と申しますものの趣旨は、従来は、電電公社になりましてからも公務員給与制度というものをそのまま踏襲いたしております。公務員給与制度と申すのは、大体官庁の管理組織というものを基礎に考えまして、次官、局長、課長、係長というような、いわゆる職制というものをおもにされた職務給が現行のものでございますが、電電公社になりましてから、その中にはつきますところの職が非常に多種多様でありますし、また一般公務員とははなはだ異なつております。従いまして現在の給与体系を、職務分類に基きまして、職務の違いによつて給与が違うという形にいたしたのが、給与体系の変更のおもなる趣旨であります。大体職務を十ばかり、それから職種を四十数種と申しておりますが、四十数種にわけまして、そのおのおのにつきまして職給をきめまして、それに対応する俸給を給するというのが、今回の給与体系の切りかえの具体的な内容のおもなるものであります。またこの切りかえに際しまして、昨年仲裁裁定が出まして、電電公社職員の平均賃金は一万五千円というものを定められましたので、その範囲内においての給与体系の切りかえを行いまして、給与是正というものは、体系切りかえの際には行つておりません。従いまして予算的には二十九年度の予算給与総額範囲内においてでき得る給与の切りかえを行つたにとどまります。従いまして原則といたしましてと申しますか、全部九月三十日にもらつておりますところの給与を、そのまま十月一日にもらうという形になつております。
  26. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 そうしますと、何か職種なり階級によつては、多少賃金が増されたという事実はないのですか。給与総額については影響はなかつたけれども、個々の人の場合において多少そういうことが行われたということはないのですか。
  27. 山本英也

    山本説明員 ただいまのお話で、原則としてと申しましたが、従来はいわゆる通し号俸というので、一号から七十号までの俸給がございました。七十種類の俸給があつたわけであります。今度の職務の分類に基きまして、おのおのの職につきまして定めました俸給は、通しに考えますと二百号くらい、従いまして大部分の俸給は、該当の同じ額のものがあり得るわけであります。しかしながら必ずしも全部同一の号俸が今度の俸給表にあるとは限りませんので、該当の号俸のないものに対しましては、直近上位の俸給に切りかえをいたしました。それでその切りかえを行いますと同時に、従来かりに一万五千円の人は、一万五千五百円の俸給しかないために、一万五千五百円になりますれば、五百円分は昇給期間を延伸をいたした、こういう操作を行つたわけであります。従いまして原則的には給与がよくなつたという者はないのであります。
  28. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 そうしますと、今の説明ですと、給与を上げるのを何箇月か早めて上げて、そうしてそういう号俸に当てはめた、こういうことになるのですか。
  29. 山本英也

    山本説明員 その点はただいま例をあげて申し上げましたかりに一万五千円の現給の人が、一万五千円の俸給がないために一万五千五百円の俸給を十月一日からもらうといたしますと、五百円分に相当いたします昇給期間をかりに六箇月なら六箇月といたしますと、六箇月だけ次の昇給を延ばしたということであります。
  30. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 松前委員
  31. 松前重義

    ○松前委員 簡単にお尋ねしたいと思います。この組合との交渉経過におきまして、第一回あたりの公社側の答弁で、最近の公社事業収入がデフレーシヨンの影響を受けて減少しておる。従つて経費節減と増収について組合側の協力を要望するというような御発言があつたそうでありますが、このデフレがどのくらい事業収入に響いておるのであるか。そうしてまたこのデフレ下において事業収入増加のために、どういうような具体的な手をお打ちになつておられるかを伺いたいと思います。
  32. 梶井剛

    梶井説明員 本年度におけるデフレ政策によりまする収入減というものは、まだ期の途中でありまするために正確にできませんのですが、九月前半期における収入減というものは、予定収入に対して約二十億近く出ております。この情勢は今後も進むものと考えられますので、年度一ぱいにおきまして大体四十一億の減収が生ずるという予想をしておるわけであります。これに対しましては、もちろんわれわれ独立採算制でありまするから、極力節約によつて収入減を補うように努力をしておるわけでありまして、その節約はすでに閣議決定の九億以外に、なおそれ以上の節約に努力いたしております。しかしこの節約は、大部分は物件費の節約によつてやらなければならないのでありまして、人件費の方はそうむやみに節約することはできません。そういう意味におきまして、われわれはできるだけ収支の差額によつて建設勘定に繰入れるようになつておりますから、この繰入れの減少しないようにやつておるわけであります。また増収対策といたしましては、一年の間に工事を平準化してやらなければならぬのでありますが、同時に工事の平準化ばかりでなく、極力開通を繰上げるようにして行こう。つまり加入者の開通にしましても市外線の開通にしましても、多少の残工事がありましても開通だけは一日でも早くやつて行こう。そういうことによつて収入をはかろうというふうにやつております。現在加入者につきましては、年間平均いたしまして大体五箇月くらいの収入を見込んでおるわけであります。これは昨年から見ますると約半月開通が促進されておるわけであります。
  33. 松前重義

    ○松前委員 四十一億の減収に対して、節約並びに増収対策によつて非常に努力されておることはまことにけつこうだと思うのでありますが、ただ増収対策といたしまして、工事の平均化と開通の繰上げ等で相当の成績をお上げになつておられる。これは本社としての計画上並びに工事上の問題として、非常に妥当な方法であると思いますけれども、しかし私どもが野におつていろいろ接触いたしました面におきましては、たとえば市外線による通話が非常に減少した。従つてそれによる収入が減つた、こういう話を聞くのであります。もしそうであるとするならば、通話時間の制限のごときは、当然これは撤廃してしかるべきものだと思うのであります。もともと市外線は非常に通話が混みまするから、三通話ぐらいで切つてしまう。最近は何か四通話ぐらいになつておるそうでありますが、そういうけちなことでなくて、ある程度長時間の通話を許すというふうにしますれば、これは当然増収になるかと思うのであります。現に今でも私の住んでいる東京都のそばは、三通話で機械的にがちやんと切れます。もうちよつとで話が済んで完全になるのにもかかわらず、もう一ぺんかけ直さなければならないということに相なるのでありまして、それでは増収対策にもならなければ、サービスの向上にもならない。こういうようにどうも増収の面においてなすべきことが残されておつて、まだ実行されてないのじやないかということを私は考えるのであります。  もう一つは、電話番号簿などにいたしましても、ある狭い範囲だけの番号簿はございまするが、長距離にわたる電話をかけようという場合に、相手方の局の番号がほとんどわからない。たとえば旅館やあるいはその他比較的多くの人の出入りするようなところには、当然こういう主要なものは備えつけてあるべきで、またそれによつて市外通話を促進し、公衆の便宜をはかるのは当然であると思うのでありますが、これらに対しましても、そういうところの話を聞きますると、番号簿というものはなかなか手に入らないというようなことを言つておるのであります。こういう意味におきましても、番号簿の普及そのものにおいてもすでに公社の増収になるばかりでなく、また通話時間の制限、ことに最も減収の原因をつくつた市外通話の減少のごときに対しましては、公社においてこのような通話時間の制限の問題を取上げて、一通話くらい増すというようなけちなことでなくて、相当思い切つた措置を講ずれば、当然相当な増収になるのではないかというような感じが私はしているのであります。公衆もまた途中で打切られるような電話では中途半端で困りますので、サービスの向上にもなり、公衆の便宜も得られるのではないかと思うのであります。まだほかにもございましようが、こういうふうな手近にある問題を解決することによりまして、相当の増収対策は講じ得るのではないだろうか。今までは電話を貴重品のように扱つて、そうして一通話かけていただくという気持でわれわれはかけておつたのでありますが、だんだん回線の建設状態においては最近潤沢になつて来つつありますので、ここに心をいたしまして、このような増収の道、すなわち現在の規程その他を改訂することによりまして新しい増収の道を開くということが考えられないものか。そうしてこういうものをやりますれば当然通話時間を長くいたしまするから、ここにいわゆる労働の強化というようなことに対しましても、めんどうくさくなくなりますので比較的楽なことになり、生産性向上にもなり得る可能性があるのではないかという感じがするのでありますが、これに対して御当局の御意見を承りたいと思います。
  34. 田辺正

    ○田辺説明員 ただいまの御意見はまことにもつともでございます。第一の市外通話の制限の緩和の問題でございますが、この問題につきましては実は十一月の一日から制限を解除いたしました。ただ現在の市外通話の疏通の状況を見ますと、疏通が非常にいい区間と悪い区間、中ぐらいの区間というふうにわかれております。それでこれを全部無制限に解除いたしますと、六通話あるいは七通話ということになりまして、全体の市外通話の疏通といいますか、待合せ時分が悪くなりますので、これを段階的にわけまして、無制限に取扱う区間と、それからある程度制限する区間というふうにわけたわけでございます。それからもう一つこの問題を実施するにつきまして懸念いたしたのでございますが、私どもは今申しましたような減収の状況から、収入はほしいわけでございまするけれども、あまり収入の増加に急なるあまりに、現在のサービスを悪くすることはやはり相当考えなければなりませんので、そういう意味から市外通話の通話時間につきましても、今申し上げましたような制限を設けまして、そうしてその実施の結果によつて、たとえばやつてみた結果大して通話の待合せ時分が延びていなしという区間は、さらにその制限を緩和する。また逆に制限を緩和しました結果、通話のサービスが相当悪くなるという区間につきましては、逆にその制限を強めるという措置をいたしたわけであります。それから武蔵野の問題は、向うから東京へ入つて参ります場合には、あるいは機械の関係で四通話になつておる点もございますが、これは度数計の関係がございますので、この点につきましても今四通話で打切つておりますのを、なお緩和して参るということを考えてみたいと思つております。  それから次は電話番号簿の点でございますが、この点も非常にごもつともでございまして、今後電話番号簿を発行いたします場合には、御意見のような趣旨によりまして広くこれを販売する。ことに市外通話をたくさんかける向きにはこれを販売して参るような、そういう方法を全国的に講じて参る必要があると考えておるわけでございます。  なおその他増収の関係につきましては、いろいろと考えてやつておるわけでございますが、市外通話の点につきましては専用線の要望が現在相当ございます。それで実は市外の専用線——電信の専用線も同様でございますが、専用線の要望に対しましては昨年からできるだけ専用線の注文は消化して参りたいということでやつてつたわけであります。まだ若干の積滞のものはございますけれども、収入の状況からもあわせ考えまして、そういうものの注文はほとんど全部消化をするというふうな形になつておるわけであります。  なお市内通話の問題につきましては、度数制の施行地におきましてはこれは通話度数の問題になるわけでありますが、市内の通話の完了率を高めることによりまして通話の度数を多くするということにつきまして、今日までいろいろとやつおるわけでありますけれども、これをさらに積極的にやつて参るというふうにいたしておるわけであります。一例を申し上げますと市内の着信専用というもの、これは東京とか大阪とかいうふうな相当通話の完了率の悪い地域におきましては、市内専用の電話を買つてもらつて、そうして通話の完了度を高める、それによつて通話度数の増による収入をはかつておるわけでございます。  なお市内の通話につきましては、公衆電話の増設を積極的にやつておりまして、これはことしの四月以降相当数公衆電話の増設をいたしました。その中には、道路にありますところの街頭公衆電話というものもありますが、そのほかに委託公衆電話といいまして、タバコ屋とか薬屋とか、お客さんの利用に便利な場所のそういう店先を借りまして、私の方の電話を設置いたしました。それによつて一般の利用者の便利をはかりますとともに、収入の増加をはかつておるわけでございます。なおその他お話のように、とにかく気がついたことは小さいことでも何でもやつて参るということは必要でございまして、今後ともそういうふうなつもりで、増収とあわせてサービスの向上ということに努めて参りたいと思つております。
  35. 松前重義

    ○松前委員 簡単に御質問いたしますが、ただいまの増収対策として、通話の制限の解除というようなことを十一月から実施したというのですが、どのくらいの増収を見込んでおられますか。
  36. 田辺正

    ○田辺説明員 これは実はまだその計算ができておりません。と申しますのは、現在全国に約三万数千回線ございます。それでその三万数千回線の現在のサービスの状況は、主要な回線、たとえば東京から札幌とか、あるいは東京から福岡とかいうふうな主要回線につきましては、私の方で現在のサービスの状況がわかりますけれども、それ以外の区間になりますと、これは実は通信局ではわかりますけれどもどもではわからぬわけであります。それで実はこれを実施する前に、東京の市外局におきまして東京・京都、あるいは東京・福岡というふうな回線につきまして実験をいたしたわけであります。そのときの数字によりますと、私現在記憶がはつきりしておりませんけれども、大体低いところで三%、多い区間になりますと五%というふうな数字が出ておつたように記憶しております。しかしこれは東京・京都、あるいは東京・福岡というふうな長距離区間とそれから短距離区間とを考えてみますと、短距離区間におきましては現在におきましても通話の待合せ時間というものは、長距離の通話に比べて短かいわけであります。従つてそういう長距離通話の方に、たとえば三%の通話度数の増が出ましても、短かい区間においてそういうものが出るかどうかということは疑問でございます。従いまして、まだ年間どのくらいの増収があるかというようなことは、全国的にはちよつと見当がつきかねるわけでございます。
  37. 松前重義

    ○松前委員 大体こういうことを実行されるときに、見当をもつて実行されたと思うのですが、たとえば四十一億のデフレによる影響で減収になつておりますが、これをそれによつてどのくらい埋められるかという大体の見当を伺いたい。
  38. 田辺正

    ○田辺説明員 これは今申し上げましたようなわけで、現在四百四十億程度市外通話の収入がございますが、どのくらい増収がありますか。かりに二%といたしますれば八億程度、三%と考えれば十二億になりますが、それが先ほど申し上げましたような関係からどのくらいになりますか、見当もつきかねます。
  39. 松前重義

    ○松前委員 大体目標があつて実施されたことであろうと思うのでありますが、御答弁によると、具体的な目標でなく、一応漫然と実行されたようであります。ただ、ただいまのお話に対して少し反駁するようで恐縮ですけれども、私は市外通話で減収になつた原因は、聞くところによりますと、定時通話とか、あるいは特急だとかいうような三倍料金をとるようなものがなくなつて、比較的疏通がよくなつたから減収になつた、こういうふうに聞いております。それをわざわざ三通話や四通話で切るなんということは、もつてのほかの話で、これは相当長くやらせれば、またそこに特急というものを申込みが出るかもしれない。サービスの問題もありますが、完全に話をさせるということもサービスの一つでありますから、もう少しこれは緩和しておやりになるということによつて、もう少し増収のパーセンテージを多く見積つてもかまわぬのじやないか。これは数字を言えないで何でありますけれども、とにかく増収の割合がふえるのではないかという感じがするのであります。確実な——と申しますか、大体のお見込みぐらいのものがあつたら、ただいまのいわゆる市外通話の規正を行つてどのくらいの増収になるかというお見込みを、あとでよろしゆうございますから伺いたいと思います。  そこで問題は、デフレ下ということを取上げて、大体組合との折衝に当つておいでになるようでありますけれども、やはり電気通信というものは従来国民の需要に沿わないで、三通話に制限し、あるいは至急通話の申込みによつて料金収入を上げる、こういうようなことで経営して来られた。少し畸形的な経営であつたと私どもは思うのですが、そうでもしなければ国民全体に一応均等にして薄く広く及ぼすことはできなかつた、こういうことであろうと思うのです。それが今度は多少ここに、通話時間の制限もなく、そういうことによつて相当な増収の見込みが立つ。かえつて今までの規制されたものを逆に利用することによつて相当な増収の見込みが立つ、こう考えられるのでありますから、四十一億の減収のみをたてにとつて、これらの賃金是正その他に対して、デフレ下という非常に瞬間的な現象のみをとらえて——また瞬間に処するには瞬間に処するただいまのような方法があるのでありますから、これはデフレだけでもつてこれらのいるゆる賃金是正等はできないという理由にはならないのではないか、もう少し管理当局においてお考えになつて、そうして増収の道をはかられる。ただいまの工事の平均化、あるいは開通の繰上げなどは最も妥当な方法であり、増収の道であろうと思うのです。こういうもので四十一億全部をカバーできなくても、できるだけ近からしめるという努力は、もう少し真剣に行われてもいいのではないだろうかという感じがするのであります。そうしてデフレ下において事業収入減であるから、賃金是正等はできないというような理由は、一応これらの努力によつて解消するだけの気構えを持つていただきたいと私は思うのであります。それに対しまして——質問要点はデフレ下という問題と賃金是正との関係、これがある程度増収によつて克服できるという点に対しまして、どういうお考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。
  40. 梶井剛

    梶井説明員 本年度の減収の内容を先に申し上げます。確かにこの減収の原因というものは、デフレと同時にサービスの改善によつて生じたところの減収でもあるのであります。デフレの関係を申しますると、たとえば市外通話のごときは証券界が非常に不況になりまして、従つて従来証券業者というものが多く特急通話、至急通話というものを利用した。ところがそういうものが著しく減つて参りまして、また同時に東京・大阪のごとく即時通話のサービスをやりましたために、従来特急通話をやつてつた人ももうその必要が全然なくなつて来たというふうで、サービスの改善をして今の特急通話が減つたということ、それからデフレーシヨンの関係で特急通話が減つた。同じ特急通話が減るのにも二色の原因が現在あるわけであります。このデフレの影響というものは一体いつまで続くかということは、今ただちに即断するわけには行かないのでありますけれども、なお当分続くであろうという予想をしております。しかし本年の七月からの減収状態を見ておりますると、四月ごろはデフレの影響はあまり十分に現われておりません。それが五月、六月と漸次進むに従つて、予定収入に対する減収率が多くなつて来ておるのであります。その結果九月末までに約二十億余の減収を見たのでありまするが、われわれとしましては先ほど申しましたように、開通の促進とか、その他通話時分を無制限に延ばす、いろいろな措置を講じまして、減収に対する対策を講じておるわけでありまして、その情勢が九月以降に除々に現われて来ております。九月におきましては、八月までのような減収の傾向はやや緩和されて来ておるのでありまして、十月、十一月というふうにこの状態は多少緩和されて来るから、九月末までに二十億の減収に対して三月末までに四十一億——こうしましたのは、減収に対する増収対策を講じておりますから、その程度にとどまるだろうという私らの一応の考えであります。従つてわれわれは今後といえども極力増収対策というものを講じて参りますと同時に、経費の節約をいたしまして、そうして能率の向上をはかつて行きたい。そういうふうにして能率向上対策として、従来支出されておつた金額というものは、現在の減収状態におきましてはほとんど支出の道がないという状況に一応なつておるのでありまするが、今後この節約をもう一歩進めて行くならば、あるいはそれに望みを嘱せるのじやないだろうかという感じを持つておるのです。従つてわれわれは組合の人々にもよくその事情を打明けまして、その協力を求めておるわけでありまして、われわれは今後サービスの改善に伴う減収というものは、事業が進展するに伴つて、どうしても必然的に起るものである。どうしてもわれわれとしては今までのような楽観的に予想を立てることはもうできない。もつと悲観的にものを見なくちやいけないということを反省させられたわけであります。今後予想を一層悲観的に立てることによつて、増収対策と相まつて、予定収入に対しての増加というものは、一層効力を発揮するのではないだろうかというように考えておるわけであります。
  41. 松前重義

    ○松前委員 四十一億は大体増収を見越しての減収であるというお話でありますが、ただいま運用局長からのお話を承りますと、まだどうも何だか昔の制限的な頭を持つて、市外通話に臨んでおられるような感じがいたします。主として減収の要素が市外通話にあるとするならば、もう少しこの点は御研究になれば、相当な増収の道が開かれるのじやないか。三%を五%にするというのは、言うべくしてなかなか困難であろうと思いますが、そのわずかな一%でも相当なアプソリユート・ヴアリユウになりますので、この点につきましては御努力をいただくことにいたしまして、あまりデフレデフレということによつての、収入あるいは賃金合理化等に対する言訳にはならぬのじやないかという感じがいたすわけであります。  そこで、これは単なる私の意見でありまするが、もう一つ別な問題について質問いたします。私が先般ヨーロッパを歩きましたときに、各国の通信事業を見て参りました。その見て来たときに、わが国の実情が非常に立ち遅れておるということを感じました。もちろんこれは電信電話事業は一時電電公社になる前には、汚職だとかいろいろなものが出て参りまして、相当な混乱を見まして、ようやく公社になりましてから、一つの統制あるおちついた軌道に乗り、現在に至つております。一応このような公共企業体の中では、最も明るいような感じが私どもはいたして参つております。ようやくおちつきまして、今から努力をしなければならないというときでありまするので、そのかつての混乱期によつて失われたところの多くのものを、一挙に取返さなければならぬときが参つておると思うのであります。その一挙に取返すということもなかなか困難でありまするが、それぞれいろいろな手はお打ちになつておられるように伺つておりますけれども、私の感じましたことを二、三申し上げ、公社当局の施策について伺いたいと思うのであります。主として技術の問題でございます。いろいろ外国の事情を私からお話するよりも、総裁はこの間見て来られましたから、おそらく同じような感じをお持ちだろうと存じますが、ドイツは別として、フランスなどはかつてはわが国よりもかえつて遅れておるくらいの技術の程度であつたのが、今では非常に進んで来ておるということであります。英国なども非常に努力しておる、そういうわけで、通信の技術というものは、新らしい発明の時代に入りつつあるのではないかという感じがいたします。この意味において現在の日本の状態が、相当の努力をされておりながらも、なおあの混乱期における遅れがまだ十分克服されていないということを、非常に強く感じたのであります。これらのうち現在もいろいろな御企画もあると思いますけれども、それらを基礎といたしまして、今後どのような技術の向上に対して手をお打ちになるつもりでありますか、これらについて少しばかり総裁の御抱負を承りたいと思つております。
  42. 梶井剛

    梶井説明員 そのことにつきましては、昨年参りまして後に、国会にも大体自分の考えをすでにお話申し上げてございますから、きわめて簡単にお答えを申し上げます。  もちろんわれわれは新しい技術が、日本において非常に遅れておるということは痛感しておるのでありますけれども、この技術を日本内地で育てるというためには、相当の時日がかかるわけであります。それを促進するために、やむを得ず新しい技術のものを一部分試験的に購入いたしまして、至急にこれを日本の国産に切りかえて行きたい。そのものを申しますと、たとえばマイクロウエーブにつきましても、現在大阪・福岡問に英国のSTCのものを買いまして、それによつてさらに北海道へ行きますマイクロウエーブを国産でもつてやりたい。また現在自動交換につきましても、ケロツグのクロスバーを高崎において工事しております。さらにウェスタン・エレクトリツクのクロスバーについても通信研究所において研究しております。そして至急に日本に採用すべき方式を決定次第、国産化に持つて行きたいという考えであります。また同軸ケーブルにつきましても、日本は非常に立遅れになつておるのですが、これも現在ある日本のメーカーがすでに試作をいたしまして、今度広島においてマイクロウエーブと関連してそれを使用することになつております。その他多重搬送につきましてもいろいろの試作を現在やつております。そういうようなことによつてできるだけ早く日本の新技術を確立して行きたい。また自動交換にしましても、将来真空管による自動交換が行われるだろうということは、各国においても予想されております。従つてわが国におきましてもその研究を進めております。またトランジスターの応用ということにつきましても、通信研究所で極力研究を進めております。そういうようなものができましたならば、ある程度は試作でありましてもこれを実行に移して、そして方式上のいろいろな欠点をも改善して、できるだけ早く日本の技術を進歩させたいという考えであります。しかし新技術について一面において私たち考えることは、それが非常に経済的であるということが必要であります。従来日本の通信事業一つの欠陥というものは、予算によつて制限されておるにかかわらず、経済的に施行するということについて、十分な考慮が払われておらなかつたのではないだろうかというような気がいたしますので、現在設計の基準等につきまして、極力経済的な設計をやるように慫慂しております。そういうことによりまして今後工事単金をできるだけ下げまして、一定の予算額の範囲内において、可能なる限り加入者あるいに市外線の増設をして行きたいという考えを持つておるわけであります。こまかい点につきましてはあまり皆様方は御興味がないと思いますから省略いたします。
  43. 松前重義

    ○松前委員 どうも釈迦に説法だつたのですが、そのような技術の向上に対する機構と申しますか、それを促進、助長して行くための公社の機構、たとえば責任を持つてやる部門は、世界的レベルにまで上昇せしめるように努力をさせる、そういう機構をつくるということにつきまして、電気通信研究所あるいはまた施設局等に対して、何か御腹案がありますか。
  44. 梶井剛

    梶井説明員 従来研究者というものは多く独善的に陥りやすい弊があります。従つてわれわれとしましては、通信研究所というものは非常に優秀な設備と優秀な人をかかえておるのでありますけれども、もし不幸にしてこれが独善に陥つたならば、進歩が非常に阻害されるだろうということをおそれておるわけであります。でありますから、昨年技術委員会というものを設置いたしました。そうして技術委員会は各部会にわかれまして、その技術委員会には、単に電電公社の人ばかりでなく、民間の研究者、あるいは民間の製造業者、あるいは大学の研究者というような人をみな委嘱いたしまして、その委員になつてもらいました。そうして絶えず委員会を開催して、個々の問題について検討を進めて、広く意見を徴して協力を求めるという態度を現在はとつておるのであります。また従来研究所の研究というものは、実用化を目標としてやつてはおるのでありますけれども、しかし実用化という問題は、施行する部面と研究部面とがほんとうに協力いたしませんと、実用化の実が上らないのであります。そういう意味におきましても研究所の人々が、今のような技術委員会の中で絶えず各方面の要望並びに協力を求めることによつて、その成果を上げたいというふうに今考えてやつておる次第であります。
  45. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 ちよつと直接の関係はありませんが、お教え願いたいのであります。給与体系の理論的の見地というか、比較的理想的な見地を樹立するためには、最低賃金制度、完全雇用というものと停年制、それから退職手当及び年金制度ですか、そういうものの裏づけがあつて、初めて給与体系の理想的なものができるのじやないかと思いますが、特にその中でいわゆる停年制の問題については、どういうふうなお考えを持つておられますか。
  46. 梶井剛

    梶井説明員 実は今年四月の行政整理に際しましても、政府当局から、公社も協力するようにということで、行政整理を行つたのでありますが、その際に五十八才以上の人にやめてもらつたのであります。従つてどもは、今までそういうことが全然行われていなかつたために、場合によると七十才以上の人が勤務しておるというような実情がありましたので、一応五十八才で切つてつたのであります。先般の合理化審議会に際しましても、われわれは将来のことを考えて、やはり停年制の実施が必要である。それと同時に今お話のように、退職金制度というものを確立しなければならない。ことに電通省から引続いて勤務しておる人は、恩給年限が勤務年数に応じて延長されるわけでありますが、新たに入つた人は恩給制度が全然ないわけであります。従つて恩給がないものとして考えて退職金制度を確立しませんと、将来において停年制をしくときに支障を来すと考えて、この問題をも合理化審議会に提案したのであります。合理化審議会におきましても一応われわれの意見をお取上げになつて、停年制実施についても論議していただいたのでありますけれども、鉄道と専売は停年制の必要がない、こういう主張がありました。技術家におきましては鉄道も専売も、たとえば五十五才の停年制をしきましても、それ以前にみなやめてしまう。五十五才の人はいないのであるからと、こういうお話でありました。そうするとわれわれだけ停年制をしくということは不均衡でありますので、一応停年制については結論に到達しないでやめてもらつたのであります。しかしながら将来のことを考えまして、かりに六十才まで停年制をしきましたならば、六十才まで安心して通信事業に従事し、しかも老後をつましくても送られるような退職金制度の確立ということを痛感しておるわけであります。今後この問題については十分検討して成案を得て、さらに政府に要望したいという考えであります。
  47. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員長代理 政府の行政整理の方針とか——そういう機構とは直接関係はありませんが、行政整理のように、政府が行う場合に、それにお供をさせられるということは、非常に公社としては迷惑であろうと思います。しかしながらもし停年制か何かあれば、たといその年において冗員がありましても、二年、三年の間には整理して行かれる。従つて停年制というものが基本的な問題になつて来はしないか。恩給制度は新しく入る者にはないということになれば、今のうちから退職手当制度をきめておかないと、安んじて公社で仕事ができない。また行政整理はそのときの政治的事情にもよりますから、突発的にやめなければならぬ。これはやめる人にとつては迷惑であろうと思います。何年か前から、自分は幾つになつたらやめなければならぬということになつておれば、安心してその対策も講じられる。こういうことからして給与体系なりあるいは雇用契約の基本的な条件として、そういう制度が必要じやないかというように考えて、事情をお聞きしたわけです。  ほかにどなたか御質疑ございませんか。——御質疑もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十一分散会