○庄司
委員 ただいまは
松井さんより、
NHKに勤務する勤労者諸君の給与問題に関して、かなり御理解の深い、御同情ある御
質問やら御
意見やらがあられ、それぞれの御答弁があ
つたようでございますが、本員は一昨日舞鶴のソ連引揚者の出迎えのために、
国会代表派遣として行
つて参りました。その際
NHKの第一線の諸君が、引揚げの様子をキャッチするために四十名くらい行
つておりました。前夜より困苦欠乏に耐えて、また前夜は春雨といえばたいへん風流でありますが、かなりの大雨でございました。そういう雨をついて奮闘努力されておる光景を、目のあたりこの二つの目で見て参りました。
NHKの第一線の勤労者諸君の奮闘努力に、心から敬意を表して参
つたのであります。それが終りましてから、舞鶴の
NHKの中継所でございますか、そこをおたずねしていろいろ職員諸君と座談を試みて参
つたのでありますが、中継所の建物は、まるで麹町あたりの交番程度のまことにささやかな建物である。また四十名程度の職員諸君が臨時の事務所に充てられたものは、お茶の水あたりにこの間まであ
つた、あの渓谷の極端なるバラックのようなところにお
つて働いておられたのであります。私はそのこぎたない、何ともいえないバラックの中で三十分ほど会話を
交換し、簡単な座談会をや
つて、いろいろ給与問題にも触れて伺
つて参
つたのでございます。実は本日も
内閣の方で社会福祉
関係の審議会がございまして、それに出て参
つたのでございますが、それは恩給
関係の問題でございました。しかるに
NHKには、老後を養ういわゆる恩給の制度があられない。一時退職金制度のあられることは承知しておりますが、老後を養う、そういう
意味における恩給制度 もただいまはない。そこでいよいよ
承認の件も時期が迫
つて参りました。明日にも各党
代表の討論採決で、大体この案は通るものと私は確信しておりますが、もしそれこの
予算が
国会の
承認を受け、成立のあかつきにおいて、でき得るだけ職員諸君の、待遇を改善するために、この上とも周到なる御対策をも
つて善処されたい。
NHKの勤労者諸君はやはり服装
関係等においても、相当ゼントルマンでなければならないと私は
考えております。そこでぜひ田園、都市等を問わず、従業員諸君の待遇の改善については、いわゆる日に日に新たにして日にまた新たなりという古い東洋の格言もございますが、改善に改善を加え、晩年に至るまで恩給制度のない職員でありますから、そういう
観点からも、
予算の許される
範囲内において、十二分の待遇の改善を、私は
松井さんと同様に熱望してやまないのであります。他の熱誠なる
委員各位の驥尾に付して、ぜひ待遇だけはよくしてやりたいと思います。とにかく
現実の待遇は、決して
生活の絶対安全な給与でないことは一目瞭然であります。うわさによりますと、何か役員の方だけが高碌をはんで、職員が非常に低いということになれば、いわゆる韓退之の物平らかならざればすなわち鳴るであります。これは決して産業革命以来のストライキの発生とか何とかいう問題ではない、物平らかならざればすなわち鳴るということは、三千年来の大きな東洋の哲学であります。どうかひとつ善処あられて、本
予算が通過のあかつきにおいては、待遇改善の問題はとくと意にとめていただいて、適正なる御解決を私は要望してやまないのであります。なお
政府代表としての
政府委員の
長谷さんにおかれても、こういう問題は誠心誠意――あえて仲裁のために中に入
つてくれとは言いませんが、
NHKの労働問題の発生を、努めて未然に防止し得ることができるように、そうして待遇改善によ
つて、
全国に散在している
NHKの職員等が心から喜んで、前途に明るい
希望のともし火を持
つて勤労にいそしみ励むことができ得るように、そういう措置をとられるように、特にこの際私は遅ればせながら私の信念を申し上げて、当局の御善処を強く要望してやまない次第であります。