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1954-03-16 第19回国会 衆議院 電気通信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 庄司 一郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 小泉 純也君 理事 原   茂君    理事 甲斐 政治君       齋藤 憲三君    中曽根康弘君       廣瀬 正雄君    松井 政吉君       松前 重義君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵 政 事 務 官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         議     員 長谷川四郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     古垣 鉄郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         参  考  人         (日本放送協会         ラジオ局長)  春日 由三君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れの件  参考人招致に関する件  電波管理に関する件     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまから開会いたします。  お諮りいたします。ただいま内閣委員会において審査中の行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について、連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。     ―――――――――――――
  4. 成田知巳

    成田委員長 次に、電波管理行政に関連いたしまして、日本放送協会会長垣鉄郎君、同理事岡部重信君及び同ラジオ局長春日由三君を、本日本委員会参考人として御出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。     ―――――――――――――
  6. 成田知巳

    成田委員長 電波管理行政に関し調査を進めます。ただちに政府当局並びに参考人に対する質疑を許します。質疑通告順にこれを許します。原茂君。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 きよう本来御質問申し上げようとする筋より少しはずれておりますが、最初に一点だけ局長にお伺いしておきたいのです。前会から問題になつております浜松放送局の問題ですが、前々回の委員会で、ごく最近の審議会においてこの決定を見る、大体その意向のように聞いておつたのですが、その後の経過はどうなつておりますか、ちよつと伺いたい。
  8. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。先般も申し上げた通りでございまして、きわめて近い審議会に諮つて結論を出したい、こういうふうに思つております。しかし御承知のように三社の競願という形になつておりますので、そのうちの一社だけを片づけるというわけには参りませんので、三社ともに結論を出さなければなりませんから、そういう点で多少の時日がかかつておりますけれども先ほど来申し上げたようにごく最近のうちにその結論を得たい、こういうふうに考えております。
  9. 甲斐政治

    甲斐委員 関連してお尋ねします。先ほどから問題になつておりますが、これの免許問題をめぐつていろいろの政治的な裏面の運動が行われておるというようなことも聞いております。この前も私は質問したのでありますが、現地から申請をせられておる。これに対して中部放送静岡放送競願が行われておる。事はもう二年余りになると思われるのですが、現地を主体にして競願されております業者が、適当に株を持つなり、重役を入れるなりしてこれを解決するのが、当面の解決策としては最も妥当ではないかというように考えるわけでありますが、この点について、大体今の政府としての方針はどういうものであるか、伺いたいと思います。
  10. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。この問題はたびたび当委員会でも御質疑がありまして、その都度私どもの見解なり、調査段階の様子を御報告申し上げておつたのでありますが、御指摘のようにその三社のうちの一、二のものは相当以前から申請書を出しておりますが、御案内のようにその時分にはまだ全国的な放送局設置計画の設定もできていなかつたものでありますから、ほかの申請とともにその計画ができ上るまで留保されておつたのであります。その後御案内のように昨年の五月末に全国的な置局計画ができましたので、そのときから各地方における申請者申請計画内容を具体的に調査しまして、法的にも実際上にも問題がないものから処理をして来ておるのでありまして、経過的にはそういう状態になつておるわけであります。ただいまお話のように、その後になりましてから、地元から、地元だけでやろうという申請が出ておりますが、私の方としてただいま考えておりますのは、御案内のように浜松に可能な電波は百ワットという非常に小規模なものでございますから、それだけで運営がはたして独立的にできるかどうか、こういう問題もございますので、できるだけ行政区域の問題も一方考えなければいけないのでありますが、また地元との結びつきということを可能ならしめるということも一方考えなければならぬと思うのでありまして、そういう点からいろいろ検討を進めておるわけでありまして、大体ごく近い機会に結論は得られると思つておるわけであります。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 関連して……。私は今個別的な問題について当局意向をただそうとは思わないのですが、最近各方面にいわゆる新しい局の申請が要望されており、相当数申請になつておるようであります。そこで当局とし、あるいは局長としては答弁しにくい点があろうと思うのでありますが、根本問題としてはこれらの新局を設定する場合に、はたして技術基準のみによつて、いわゆるチャンネルプランのみによつて今後も許可して行くことが合理的かどうか、こういう問題があろうと思うのです。これについての御見解と、もう一つは、いわゆるネツトワークが最近民放等においても考慮せられて、いろいろやつておるようであります。しかしこれは極端なネツトワークが敷かれることになれば、一種の独占事業になつて来る。これらについて放送法においては何ら制限をしておらないのでありますが、これらネツトワークの範囲といいましようか、そういう問題について将来何か考えがあるかどうかをお聞きしたいと思います。
  12. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように最近民間放送を各地において、いろいろな形で設けたいという申請がございます。これの処理につきましては、もちろん御指摘のようにいわゆるチヤンネル・プラン放送に対する波長の割当計画だけでこれを処置すべきでないことは、私ども指摘通りと存ずるのであります。広い観点からこれを審査いたしまして、適宜の処理をしなければならぬと存ずるのであります。ただ使える電波がないことが明らかでありますのに、そこに他の面についての条件審査するということも――一つ条件が明らかに欠けているのでございますから、そういう場合にはむだでございますから、一つ条件としてのチヤンネル・プランの上から電波割当ができるかどうかということを、一つの大きな要点として考えておるのでございます。  なお引続き、いわゆるネツトワークの問題でありますが、これも御指摘のように今後の民間放送あり方というものは、おそらくある種のネツトワークというものをだんだん形成して行くように進んで行くと思うのでありますが、そのときにネツトワークあり方というものは、確かに御指摘のようにいろいろな観点から考えまして、非常に慎重に考えなければならぬ問題の一つだと存じております。この問題は御指摘のように放送法上にも何らの規定がございませんが、目下放送法改正もいろいろ考えられておりますので、放送法改正にあたつて調査項目一つの題目として真剣にこれを研究いたしまして、結論を得たい、こういうふうに思つております。
  13. 齋藤憲三

    齋藤委員 関連して……。ただいま原委員から御質問がありました浜松放送局の問題は、過日郵政大臣は一県一局という原則を表明されたのであります。但しこれには例外のある場合もあるということを申されたのでありますが、その例外はいかなる例外であるかということは、非常にむずかしい問題だろうと思いますけれども、とにかく原則論をお立てになつた。そこでわれわれは、どこにどういうふうに浜松放送局を許可するかということに、多大の注目をいたしておるのであります。すなわちその注目の原因は、はたしていかなる立場からこの問題を当局処理されるか、その処理される方法によつて、かすかながら当局の持つておる電波に対する行政的な考え方検討して参りたい、かように考えておるのでありますが、御答弁をされるたびに、近き将来近き将来という言葉を使われるのでありますけれども、御承知通り電波は急速な進歩をいたしておるのであります。しかも電波は早いのであります。それに対する当局お答えは近き将来近き将来といつて、これは一体どれくらいな近き将来を意味されておるのでありまするか。近き将来という言葉を使われましてから、もう一月、二月経過しておるのであります。その辺をもつとはつきりと御回答を願いたいと思うのであります。これは決して私の立場といたしまして、どこに何を許可してもらいたいと言うのではありません。かくのごとき小さな問題に対して、今日のごとき状態で遅疑逡巡しておられるということになりますれば、これは電波というものに対する当局の認識、手腕に対して、われわれは大きな疑いを持たなければならぬ。かくのごとき小さな問題は急速に、断固として処置せられて、そこに当局の強い電波行政に対する意思を表明せられてこそ、初めてわれわれはこの委員会において当局を相手にして審議する価値を認めるのでありますが、近き将来近き将来と、いつまでたつても近き将来でありますが、かようなことではわれわれは満足いたしません。どのくらいの期間においてこれを御決定なさる御意思であるか、明白にお答えを願いたいと思います。
  14. 長谷慎一

    長谷政府委員 浜松問題について当委員会で特に御関心を持たれて、いろいろ御質疑があるわけでございますが、私どももこの浜松の許可問題につきましては、いたずらに荏苒日を過しているわけではないのであります。これは郵政大臣からもかつて答弁がありましたように、遺憾ながら三社ともある時期においては、免許を与えるのに適当ではなかつたように思います。内容的に不備な点が相当ございました。従つてこのうちでどれをとるかということも、最近までは決定することも適当ではないような形でありましたので、場合によつては三社とも免許をお断りするか、あるいはそのうちの一社をとるか、あるいはその一社のとり方にもいろいろあると思いまして、先ほど申し上げましたように浜松放送局を設けるということについては、一応計画上からは認めておるのでありますから、先ほどお話にもございましたように最も原則論にのつとつた、しかも地元方々の希望に合うような形のものを得たい、こういうことでおるのであります。そこでいつの審議会までにということははつきり申し上げかねますけれども、近い将来の審議会に諮りまして結論を得たいというふうに思つております。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 浜松の問題はまた後日に譲りまして、放送局関係に移りたいと思います。  最初に古垣会長にお尋ねしたいのですが、去る十六国会――昨年の七月二十四日の当委員会におきまして、私からこういう質問を申し上げたわけです。「私ども聞いているところでは、直接間接的にも指示命令による言論の制約は受けていないように承つておりますが、時の政党のウエートの関係から、力の強い政党からの番組その他に対する好ましくないといつたよう意向が伝達されますと、それによつて多少の編成上の考慮を大きく協会が払うというようなことが現実にあるように、私ども考えられるわけなんですが、そういうこともございませんか。」こう私が質問申し上げましたが、古垣さんのお答えは「さようなことは私は受けていないと思います。」こういう御回答がございました。そこで当時は、実はこれを聞きのがしておつたのですが、いやしくも協会会長で全責任者であられる方が「そういうことはないと思います。」こういうお答えつたわけであります。従つてこれをもう少しそんたくしますと、下部においてはそういことが行われておるかもしれない、あるいはいたかもしれぬが、自分は聞いていないといつたようにも解釈ができるわけですが、責任者立場からはつきりと、そういうことは断じてないのだという御答弁のなかつたことに対して、もう一度お伺いいたしたいと思います。
  16. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 原さんにお答え申し上げます。ただいま原さんのお読み上げになりました答弁を拝聴しますと、確かに私の表現において十分でなかつたように思います。もしあのときにさように答弁いたしたといたしますと、原さんがお考えになりましたように、さようなことはございませんと私から申すべきだつたと思います。と申しますのは、放送協会におきましては、放送法に従いまして、放送番組編集上の自由が与えられておるのでありまして、私どもは忠実にその法律を励行いたしております。それからまたこの放送番組編集上の自由を守る最高責任は私が負つておりますから、私からさようなことは今までございませんとはつきり申し上げるべきであつた、今日においてもその通りであります。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで局長にお伺いしたいのですが、放送法の第三条に「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と規定してございます。この「法律に定める権限に基く場合」とは一体どんな場合でございますか。
  18. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。これは別段に法律に定めてある場合でなければということでございまして、たとえば選挙放送等につきましては、もしも公職選挙法規定がありますならば、それに基いて番組内容その他について注意を与えたり何かすることが出て来ると思いますが、そのように具体的にこの法律の中あるいは他の法律において明文がないときには、何人も干渉しあるいはこれに制限を加えたりすることができない、こういう意味と私は解釈いたします。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで協会側にお伺いしておきたいのですが、現在放送番組編成上の直接の衝に当つておられる理事、何か所掌がきまつた重役というものがあるのでございましようか。放送番組編成担当する重役理事、そういうものが今きまつておりますか。
  20. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 昨年六月一日に放送協貧役員編成がえがございまして、制しい任期をもつて就任いたしたわけでございます。それ以来放送番組編成に関することは、協会の最も大きなことでありますから、会長、副会長、三名の理事一体となつて理事会中心としてみんながこれに当る。それでその中のだれか一人が番組担当し、あるいはほかの人がそれよりも軽い立場に立つというようなことのないようにして行つて、五名でもつて一体となつてやるということにいたしております。そうして番組編成実施についてはラジオ局長に委任してございます。従いまして、理事会の会合におきましては、理事ではありませんが、ラジオ局長理事会の都度出席して、そして放送番組についての検討に始終参加してもらつております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと昨年六月以前には担当理事がおられたけれども、今は会長、副会長以下三名の理事、合計五名がこの担当に当り、全責任を負つておられる、こういうことになるわけでございますね。聞くところによりますと番組委員会というものがあるように聞いておりますが、今の五名が番組に対して責任を負う場合と、番組委員会の負う責任とはどう違いますか。
  22. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 さらに今の番組委員会という問題がございますが、これは会長放送番組最高責任を負つておりますから、私がそういう委員会委員長になりまして、そうして現実実施面の全責任を負つておりますところの放送番組の四局長を集めまして、理事会の副会長と三理事も当然それに参加し得ることにして、ほかの仕事で手がはずせないときには参加しないが、しかし少くとも四局長会長とは、この設けました委員会をもちまして、日常番組実施上において重大な問題のときには、絶えず相談するということになつております。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと番組編成に対する責任は、会長委員長になつておられる番組委員会と、役員会における五名の重役が持つております責任とは同一であると解釈してよろしいわけですね。
  24. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 ただいま申しました委員会というのは、日常実施問題について私がよく聞いておくという性格のものでありまして、責任はもちろん会長を初め理事会において持つ。理事会は毎週頻繁に招集されるが、委員会は今のところは大体月一回くらい集まりまして、実施上の大きな方針などについて諮問的に聞いているという程度でございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで本論に入るわけ下すが、一昨日ですか、じようだん音楽という三木鶏郎氏が中心になつて放送をする番組がございましたが、この内容が急に変更なつたということが部新聞に伝わりまして、しかも問いた者も非常にこの内容がつまらないことに驚いたそうですが、このいきなり内容変更しようとするときには、番組委員会に一応諮つて、こういうような変更をされるのですか、それとも全然関係なしに、ただいまおつしやつた五人の方々の決定した御意思でこういう変更がなされるものですか、それをお伺いしたい。
  26. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 先ほども申し上げましたように、毎日の放送番組実施につきましては、ラジオ局長に委任してございます。そして毎週理事会が開催されますときには、ラジオ局長も参加しております。理事会としても、番組に関して重要な問題は聞いておりますけれども、事実上のそういうことはラジオ局長に委任してあるわけでございます。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、とにかく番組編成に対する毎日の実施上の責任ラジオ局長にある、こういうことに焦点をしぼつて来られると思います。そこでこの番組内容を急に変更したといいますか、新聞などの報道するところによります。と、三木鶏郎文芸部の部員が談話を発表しておりまして、その談話にも自分たちもこう急に内容変更したので驚いている。実は二日前に急にこの変更がされた。三木氏はどう考えておるのか、くさつたのかどうか、とにかく雲隠れしておる。当分帰つて来ないだろう、こういつた談話を発表しているようです。その事実は、とにかく聞いた者自体の承認でわかつておりますし、内容がかわつたことははつきりしておりますからお聞きするまでもないが、一体どういうような経路で、だれの意思で、何の必要があつて、またどういうところをかえなければいけないと考え番組内容をかえたのか、ラジオ局長からお答えを願いたい。
  28. 春日由三

    春日参考人 お答え申し上げます。少しくどくなると思いますけれども、詳しく申し上げたいと思います。もともとユーモア劇場という日曜日の番組は、お聞きになればわかりますように、いろいろな三木鶏郎作詞作曲によるヒツト・メロデイというものが出ております。実は昨年の四月以来、毎月一回だけそのヒツト・メロデイ特葉をやろうじやないかということが、実施責任者の間できまつたわけであります。ところがそれがきまつたあとで、五月の日曜日に一回やつてみますと、伴奏音楽が私どもの専属の東京放送管絃楽団員では調子かうまく合わない。外部のたしかビクターと思いますが、ビクター管絃楽団は非常に調子が合うわけであります。それはレコードなども出ております関係で、それを伴奏に使いたい。そういたしますとNHKの手持ちのものでありませんために、向うの都合もありまして、必ずしもきちんと毎月一回実施できないという悩みがありましたが、何とかしてそれを毎月一回やりたいとといろいろ折衝いたしまして、実は十月から毎月一回じようだん音楽ヒツトメロデイを日曜日にやつているわけであります。十一月、十二月、一月、二月と一回ずつやつておるわけであります。三月につきましては、御存じのように三月二十二日が放送記念日に当りますので、最初は三月二十二日に今までのユーモア劇場ヒツト・メロデイを全部集めてやろうではないかというのが、現業プランナーたち考えつたようであります。私たちの局内にラジオ番組委員会がございますが、そこで三月二十日、二十一日、二十二日、この三日間の特集番組のまん中の日のユーモア劇場は、NHKの朝の早起鳥から夜のお休みに至るプログラムを多少しやれて、ダイジエスト版をやらうではないかということにきまつたわけであります。この方がプログラムのプロモーシヨンにもなるからということできまつたものでありますから、現業の方で予定しておりましたヒツト・メロデイ集を一週繰上げてやろうということに変更したわけであります。経過はこのようになつております。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、ヒツトメロデイを月に一回ずつやろうということが、過去十一月、十二月、一月、二月まで実際に行われて来たわけですが、三月に関する限り、なぜ文芸部の者から、いきなり二日前に内容変更がわかつたので、非常われわれも驚いておるのだというような言葉が出るのか。この点の解明を願いたい。
  30. 春日由三

    春日参考人 一つの問題は、先ほど申し上げましたように、予定的には放送記念日ヒツトメロデイをやろうということが一応きまつていたわけです。それを相談の結果放送記念日には、別の今申したようなダイジエスト版をやろうということのために、十四日に繰上げた形になつたわけです。  もう一つは、三木鶏郎文芸部人たちがどう考えておるかということは、私直接聞いていないのでわかりませんか、もともとユーモア劇場というのは、そのまぎわまでのホツト・ニユースと申しますか、そういうようなものを扱うために、その前日の土曜日の午後に三木君と相談してプログラム内容がきまるのが定例なんでございます。そこで番組がきまつてから、ある場合には出演者都合で録音をとるが、原則的にはなるべくなまで行こうというような考えで、日曜の晩になまでやつておるわけです。なまでやることによつて、まぎわまでの新しいものが入るという考え方でやつてつておりますから、二日前とか三日前とか、ほかの学校放送とかあるいは非常に長い計画を持つた番組違つて、まぎわまで内容的に最後的にきまつていないというのは、今度が初めてではありません。しよつちゆうあるケースであります。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御説明を聞いておりますと、その前日に三木さんと打合せをしてきめることが習わしだとおつしやるのですが、その骨格をまるでかえてしまうような変更がその前日に行われる、がらりと骨格がかわるような変更がその前日や二日前に行われるということがあつたら、三木さんといえどもとうてい放送ができないと思う。三木さんのじようだん音楽といえば一定の形式がある。その形式をまるでかえてみたり、骨格をかえてみたりするようなことがあるときには、相当前からこれに対してサゼスチヨンをしておかない限りは、おそらく放送の準備が三木さんといえどもできないのじやないか。これは常識上そう考えられる。この場合に限つてどうして二十二日にやろうとしたものを、いきなり十四日に繰上げことがその前々日になつてきまつたのか。その点お聞きしておきたいと思います。
  32. 春日由三

    春日参考人 その前々日になつてきまつたという問題が、どなたのお話でそういうふうになつたのか存じませんが、これはおそらく三木鶏郎文芸部でそうおつしやつているというふうなお話の仕方だろうと思いますけれども三木君とは文芸部長及び直接担当演芸課長は、もつと前から打合せがあつたものと私は聞いております。  それから第二番目の御質問三木君の場合は、これは私どもの方のプランナ及びわれわれと一心同体のような仕事の仕方をしておりますので、先ほども申し上げましたようにまぎわまでいろいろな変更をやつて、やつて行くというのはいわば熟練工になつておるわけでございまして、ほかの非常に長い計画を持つた大がかりの番組違つて、まぎわまでの変更ということはしよつちゆう実施しておることでございますし、本人も十分それになれておるということも申し上げることができると思います。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 三木さんとの打合せ前々日ではなくして、そのずいぶん前に打合せができているように聞いておると今おつしやつたのですが、少くともラジオ局長がこの全責任を持つ直接の責任者だと先ほど会長からお話があつて、今質問しているわけなんです。いやしくも大衆が最も期待し、一番喜ぶこのじようだん音楽番組に関する打合せが、あなたの知らないうちにどこかでその前にやられたはずだというようなことで、実際の一番責任を持つ局長としての任務が果せるかどうか、そういうばかなことが実際にあり得るのでしようか。
  34. 春日由三

    春日参考人 私のお話の申し上げようが少し足りなかつたのじやないか、と申しますのは、私自身が先ほど最初に申し上げましたように、放送記念日特集番組にダイジエストをやるということがきまつたために繰上げろという命令を文芸部長に出したのは、あれは毎週日曜日にあるわけでございますから、月曜日か火曜日だと、今のところはつきりノートをとつておりませんが、信じております。でございますから文芸部長及び演芸課長は、すぐに三木君と連絡をとつたということが私は考えられるわけであります。最後的にきめてこうしようということになつたのが、たしか今のお話による二日前、私どもの方のプログラムでいえば前日に発表したという形になつているわけで、私の申し上げようが足りなかつたかもしれませんけれども、私はその前にさしかえろということを命じたわけでございます。それを命令通り実行すれば、二日前ではなくて、三日ないし四日くらい前に三木君と打合せをしたと信じておるわけでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは方向を少しかえますが、遺憾なことに私は三木さんの放送というものを、正直なところ一つも聞いたことがないのです。従つて新聞あるいは家人から聞いて、おもしろいものだとは聞いておりましたが、実際にはよく聞いていない。どのくらいの内容の変化かは、世人の話では、まるでがらりとかわつておもしろくない。従つて協会が昨年の十一月からこのようなヒツト・メロデイの編集を行つて、月に一ぺんはこれを放送するのだときめているなら、大衆にそういうことを実施しようとした計画を知らせる、あるいは実施しているのだということを知らせる。これほど有名な三木さんの音楽あるいは放送でしたら、聞く方も月一ぺんは三木ヒツト・メロデイに対する特集が一回はあるものだ、こういうことを当然知らしてあるし、知つていなければならないと思うのですが、こういうような認識が一般にあるのでしようか、それほどに周知してあるものなのでしようか。
  36. 春日由三

    春日参考人 周知の手段といたしましては、原則的にはその前の週のプログラムで、来週は何をやると言うのがつの方法だと思います。そのほかに日刊紙のラシオ欄あるいはNHKのラジオ新聞、これは旬刊でございますが、そういうようなものでいたしておるわけであります。しかも三木鶏郎ヒツト・メロデイは割合に庶民的な歌でございますので、たくさんそれを覚えて歌つている人もあるわけでございますから、それの常例の聴取者の方々であれば、やはり相当の関心があり、わかる、こういうことだと考えております。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと今度の場合、来週は何をやろうという発表通りこれはやつたことになりますか。
  38. 春日由三

    春日参考人 ただいま申し上げましたようにつまり方針変更が月曜になつたわけでございますから、さしかえの発表をいたしましたのが、日刊紙に間に合うようにというので、前日の土曜日のお昼前後に発表したわけであります。ですから当日の日曜の新聞のラジオ欄には、全部かわつたものが載つているわけでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると今の御答弁で、今回に限つては、一週間前に予告されたものと急にかわつてしまつて、前日にこの内容変更が知らされたことになるのです。いやしくも公共放送が、しかも継続的にずつとやつて来ていて、しかも大衆の最も期待し、喜ぶ、待つているこの放送に対してこれは一週間前の新聞その他で知らせることは当然だと思う。そのことが今回に限つて急に一日前に変更を来たされた。これは大衆に対する公共放送立場からいつても、非常に大きな責任が私はあると思う。こういうことがちよいちよい行われるものでしようか。かつてもあつたものでしようか、どうですか。
  40. 春日由三

    春日参考人 プログラムがしよつちゆうかわるということは現実にございます。これは何も今のユーモア劇場に限らず、ほかの社会番組でもしよつちゆうさしかえをいたしております。朝のラジオ欄に間に合わずに、できるだけそのあとの番組予告の時間に周知徹底をして、周知の方法をはかるという形でプログラムをかえたことがしよつちゆうございます。ただいま考えておりますのは、この四月からの番組では夜間にできるだけ機動性を持たせるといいますか、予定した番組をさしかえて、その日起きた大きな問題を取扱うというように、社会番組の機動性というようなことも、今度のスケジユール改訂の一つの大きな方法だと考えまして、番組に機動性を持たせるような方法をとつている最中でございます。現実プログラムがまぎわでさしかえになるというのは、ユーモア劇場に限らず、たくさんございます。ただニユースとか学校放送とか、つまり集団聴取をしたり、一定時にやることが必要なものはくぎづけにしておいて、そういうふうなもの以外のものの社会現象につながる番組は、できるだけさしかえさしかえで行つてまぎわのものを取扱うというのが、ラジオの迅速性と申しますか、そういうものを考えて、そういうような方針でやるわけでございますから、ほかにもそういう例はたくさんございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御説明には非常に矛盾があると思うのです。社会の変化につれて機動性を発揮して、番組内容をかえたことがしじゆうある。これはニユースの場合には最も新しいものを放送しようというのは当然だと思います。しかし前にありました鐘の鳴る丘のように長い間やつておるもの、あるいはじようだん音楽、こういうものに関して、これに機動性を加味したつもりか何かで、いきなりその内容をがらりとかえてしまつて、社会の変化に即時即応した一つのニユース・バリユーを持たせるのだ、こういうことがこういう番組の場合に適用できるかどうか。いやしくも社会の動きに対して非常にある種の皮肉あるいはアイロニーを交えて、三木じようだん音楽というものが放送されておるようですが、その意味においては、その内容の骨子はかえずに取上げようという場合、――おとといの議会における灰ざらを投げた問題にしようといつたものを、その夕方、きのうの朝総理が風を引いて清盛みたいな顔をして出て来た、こういつたことにかえようといつたようなことならば、おそらく機動性を発揮して、社会の変化に即応した内容変更ということになると思います。しかもそういう時事のニユースを取上げて、これを刻々おもしろく大衆に知らせようというその方向をがらりとかえて、ヒツト・メロデイをとにかく特集として放送しようという、過去にさかのぼつての大衆の記憶にあり、あるいはアツピールしたものを集約して放送しようというようなことにかえることが、いわゆる社会の変化に応じて機動性を発揮したというケースには私はならないと思う、この点どうですか。
  42. 春日由三

    春日参考人 ほかに例があるかというお話でございましたから、ほかの番組を例にとつて申し上げたのでございまして、ヒツト・メロデイ限つての御返事ではなかつたのであります。たとえばMSA協定という問題が出ましたならば、それを調印したその日の夜のほかの番組をさしかえてやるとか、そういう意味のことを一般論として申し上げたわけであります。それで今のお尋ねのユーモア劇場の話でございますが、これはニユースとか、いわゆる私どもではシリアスな番組と申しておりますが、そういうものではございませんで、あくまでも一つのエンターテーンメント、慰安番組であるという考え方で、NHKプログラム全体として、毎日のできことは早く忠実に伝えたいということで――ほかにもたくさんございますが、そのうちの一つとして今週のトピツクになつたものを、いわゆる落首とか川柳とか、あるいは聴取者の投書とかいうものでつくつて行くわけでありまして、必ずしもまともにその日のできごとを伝えておるという趣旨の番組ではないわけでございます。従つて今までも月に一回ずつ適当な日にいわゆるヒツト・メロデイ集というものを、過去にさかのぼつたものをやつても、それが別に悪いという非難を浴びた覚えもございませんし、ある程度の聴取率は保つて来ておるわけでありまして、問題はそこでわかれておるのではないかと思います。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 それは非常に我田引水なお考えなんで、これは新聞でも取上げるほどに実は大衆の方で面くらつたことは事実でありまして、この事実を率直に認めないと、今の放送を公共性の上に立ち、責任を持つて運営される立場から言いまして、私は非常に問題があると思うのです。いやしくもこういうヒツト・メロデイというものが月に一回というなら、多分月の三回ないし四回というものは従来のじようだん音楽といいますか、ユーモア劇場というようなきまつた内容のものになつているわけです。それがいきなりかわるということは、決して機動性を発揮したり、社会性の変化に応じて組みかえてやつたということにはならない、これは間違いないと思うのです。しかも聴取者の率もかわらない、またこれによつて別に大した不平も起きないと申しておりますが、これほど大きな変更を来したことは、過去にそう何回もなかつたから今まで出ないので、今回に限つて非常に大衆にとつて大きな変化があつたから初めてここで問題になつた、こう私は解釈するわけですが、その点は私の解釈だけを申し上げておけばいいのです。  次にお伺いしたいのは、このことがとにかく新聞に、特に朝日が取上げてきのうかおととい書いておりますが、その後協会として、ここに呼ばれる前に、こういう輿論がとにかく起きたことに対する対策について、協議をしたり手を打つたりされておるか。全然何もしないで、ああいう一つの輿論が喚起されてもしらぬ顔して、きようここにおいでになつたのか。それをひとつ伺いたい。
  44. 春日由三

    春日参考人 先ほど来申し上げておりますように、毎週一回の定例的な番組というふうな考え方でおりますから、今お尋ねの輿論というふうなお尋ねでございますが、その新聞に出ておりますことそのものが輿論の反映であるかどうかということも、私ども一応考えてみたわけでございますが、形通りに言えばその日の朝のいわゆる日刊紙の予告に載つたものそのままを、私の方といたしましてはやつたわけでございますから、別に全然違つたものを、前もつて知らせておいてかえたという形ではございませんので、約束通りプログラムをやつた形になつておるわけであります。内部的にさしかえの実情を今申し上げたわけでありまして、外に対して約束と申しますかがあるとすれば、それは朝の日刊紙に載つているプログラムそのものでございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 今約束という言葉を使われたのですが、公共放送をつかさどる以上は、その約束というものは慣例に従つて一週間前に発表されるというような、こういう慣行のあるものに対して、前日いきなりかえておいて、新聞には出たはずだ、――本来ならば一週間前に予告をする習慣があるものを、一日前に自分がかつてにかえておいて、約束通りだと一方的に協会側が言い張つた、もし今後もその態度で行こうとするならば、それは公共性という意味から言つたら、非常に大きな道義的な責任が起きて来ると思う。そういう考え方で、約束が済んでいるからいかなる輿論が起きようとも、これに対しては全然意に介さず、今日までてんとしてとにかく協議もしなかつた、こういう態度だと解釈してよろしゆうございますか。
  46. 春日由三

    春日参考人 そういう申し上げようをしたつもりはございません。前提になつております。一週間前に約束しなければならないということは、何もないわけでございます。つまり私どもプログラムをつくる上で、あるプログラムは三月前にテキストを出してやるというふうな長期のものもございます。それから前日発表あるいは三時間前に発表して、今度こういう番組をやるという例もございます。ですから、公共放送であるから一週間前に外部の聴取者に約束しなければならないということはないわけでございます。それから輿論がいくら大きくなつても、てんとして何もしないのかということでございますが。そんなことはございません。ほんとうにNHKプログラムは輿論調査をいたしておりますし、それから投書とか、あるいは新聞のラジオ評とか、あるいは識者の御意見とか、そういうものをしよつちゆう謙虚に聞きながら番組考えて行かなければならぬ、これはこういうふうに取入れて行かなければならぬということは、しよつちゆう責任者といたしましては、それを日常の仕事といたしておるわけでございます。でございますから、正しい輿論で、それがわれわれの傾聴しなければならないものだということになれば、もちろんそれは輿論に従わなければならぬと考えております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 春日さんにもう一言言つておきますが、新聞あるいはその他輿論が喚起されても、正しい輿論の場含は従うのだ、そうでない場合は、別に意に介さないということに結論はなるのですけれども、いやしくも日本では、朝日が取上げて――これはもう問題にならぬ新聞である、輿論である、こりきめつけるならば、これは協会と期日をまた呼んでもらつてはつきりお伺いしなければならぬと思うのですが、そういうばかなことは私はないと思う。これはまさに大きな輿論である、こう解釈して、謙虚な気持で、これに対する対策、あるいは今後どうするかを協議するのが至当な態度であると思う、そうあなたに申し上げておきます。  そこで会長にお伺いしたいのですが今局長に私が申し上げたようなことが正しいかどうか、それが一つ。それから先ほどこういうものは大体慣行として一週間前に番組が発表されておるものが、急に一日前にかえて来た。しかし一日前に新聞に出したから約束はりつばに果しておるのだ、こういう意味で、今春日さんのお話では別に異論はないはずだ、こうおつしやつていますが、今までお聞きになつていて、会長もそうお考えになつておるのか、この二点をお伺いいたします。
  48. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答えいたしますが、非常に私の立場はデリケートな立場に置かれておるように思います。私先ほどから聞いておりまして、春日局長は正しく行つて来ておる、但し原さんに十分わかつてもらえていないというような感じがしておるだけでございます。と申しますのは、番組の予告というのはその朝の新聞に出るのです。その朝までに一番最終の番組を発表しますから、朝まで練りに練るのです。新聞編集の場合だつて夜中まで記事を直して、ある記事が出ていたのがなくなつてしまい、あるいは新しい記事が入ることもある。新聞編集においてもいろいろかわるというわけで、推敲に推敲を重ねるわけであります。同じようにユーモア劇場の場合も、その内容を推敲推敲を重ねまして、そうしていいものをこしらえるのですから、それが朝の新聞に出て、それを見てその日の番組を国民の皆んなに読んでいただいて、聞いていただく。そういう仕組みになつているので、何も一週間前に一週間あとのいろいろな番組内容は予告できるものではないのです。そこの点を十分納得していただけなかつたような気がしております。春日局長の言つておること、たとえば新聞で大きく出た、それに対して委員会を開いて考えたり、また輿論調査は当然ユーモア劇場についても定期的に行われるわけです。そういうものもよく参考にしますし、そのほかにラジオ番組審議会というものがございまして、部外の人たちを集めて、これを定期的に行つております。そういうところにもこの問題は出るわけであります。理事会でも取上げております。決して新聞に出た記事をただ無視するというわけではなくて、記事は記事として考えながら、しかし国民全体の意見も聞く。このユーモア劇場につきましても話とか、いろいろ賛否の投書が絶えず来ているわけであります。それを全責任を持つて、つまり番組編集の自由を与えられながら、一生懸命に最善を尽しておるわけです。最善を尽しておりますということを局長は申し上げたわけであります。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 おそらく局長さんや会長さんは、ラジオをずいぶん聞いておられると思いますが、私はあまり聞かないので的確でないかもしれませんが、ああいう放送をしますと、そのあとこういうことを言いはしませんか。では皆さんあとは来週のお楽しみ、続きはまたはやりますといつたことを言うでしよう。大体最後に、来週のこの時間にまたこれと同じことをやるぞ、楽しみに待てといつたようなことをアナウサーが言つているのではないかと思いますが、これはおそらくりつぱな予告になる。最近映画でずいぶんやつていた「君の名は」というのですか、あれなどは、聞くところによると、八時半ごろになると女湯はほとんどからつぽだ。そこで最近はふろ屋さんがラジオを女湯に向けておいて、八時半ごろになるとあれを放送する。そうでないとお客が入つて来ないというのです。これはそういうことを一週間前に約束しておるのです。このユーモア劇場の場合でも同じことになつておるのじやないかと思います。ただ新聞に出たということを私が言つたことに対して、新聞に出るその前まで四苦八苦するのだというのですが、しかし先ほど局長の言つたのがほんとうなんで、一週間前に有形無形のあらゆるもので予告をしておることと私は思う。だからいきなりこれをかえたことは事実だと思う。かえたために大衆が驚いてこの輿論が一応出て来た。そこで会長にお伺いしたいのは――そこは言つてもしようがないからそれでけつこうですが、この新聞記事が出て来たことに対して、会長はやはり局長と同じように、一部の輿論が出ても、これは番組新聞に発表したのだ、またその約束通りにやつたのだ、何も文句はないはずだという態度で、これに対する相談なり協議なりを全然しないで今日までやつて来られたのか。局長は何もしなかつたそうですが、会長はどういうお考えでおられるか。
  50. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 その一週間ということは、一週間前から来週のユーモア劇場をお楽しみにという意味で、またユーモア劇場はあつたのです。ですから決して約束を破つていない。ユーモア劇場番組は行われた。ただ内容の、だれが出て、何を歌い、そうしてどうするといつた順番というものがその朝の新聞に出るのですが、新聞にもそれがちやんと出ていたということで、決して……。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは先にその問題をお伺いしますが、そうおつしやるなら、いやしくもユーモア劇場の場合は、ユーモア劇場をやりますと言つただけで、十一月から毎月行つて来たところの、たとえば来週は三木鶏郎の今までのヒツト・メロデイを特集して送るぞという週に当つているときには、その内容を説明して言つていると私は思うのですが、どうでしよう。つまり単にユーモア劇場放送するのだと言うだけでなしに、週に一ぺんなら月に四回ある。そのうちの一ぺんはヒツト・メロデイを送るのだということになれば、その先週の時間の終りには、来週は同じユーモア劇場でも、そのヒツト・メロデイの特集をやるのだ、こういうようなことを言つていると私は思うのですが、どうでしようか。
  52. 春日由三

    春日参考人 申している場合も申していない場合もございます。  それからもう一つ新聞に記事が出たのに局長は何もしなかつたと言つておる、こういうことですが、私はそう申し上げたつもりはございません。現実に、きようでございますが、一週一回、毎週火曜日にラジオ番組責任者の部長が集まる会議がございます。その席上で私はその問題を取上げております。別に何もしなかつたわけではございません。来週は予定通りにダイジエストをやる、再来週からはまた元の番組の形が続いて行くわけでございます。そしてまた何週間か目にはヒツト・メロデイが出るという形で、ちつとも急な変化というふうには考えていないわけであります。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 それならそれでさつきそういうことをおつしやればよかつたのです。それを、正しい輿論なら従うのだと言いつぱなしで、そんな輿論は問題でないと言うから、あとは何もしなかつたというふうにとるのです。口が足らなさ過ぎるわけですが、なお今の御答弁の中に、そういうことを言うときと言わないときがあるとおつしやいましたね。言うときと言わないときというのは、要するにアナウンサーのかつてにまかしておく問題ですか。
  54. 春日由三

    春日参考人 アナウンサーの番組予告をいたします原稿は、やはりプログラムを発表する整理課というところでこしらえて、アナウンサー室にまわすわけです。ただ御存じのように二十九分三十秒とか四十五秒とか、切れ目の時間がございます。プログラムが延びたために言わない場合もございます。それは現実に「社会の窓」とか「時の動き」とか、柱だけきまつておりまして、来週の内容がきまつておらない番甜もたくさんございます。さつき申しておりますように、学校放送とか、そういうふうなテキストを出して何箇月計画的なものをやつております。ときには、よほど緊急事のない限りさしつかえのないようにしておりますが、ほかの番組でさしつかえのあるものが非常に多いものでありますから、きまつておればできるだけ早く予告するのが義務だと考えております。さしつかえその他を考えまして――一定番組で来週のお楽しみというのは、たとえばラジオ寄席の場合に、また来週のお楽しみというふうな申し方をするのは、その中身が漫談が出るか、漫才が出るか、講談が出るか、落語が出るか、実は今のように出演者を一生懸命追つかけなければならないので、きまらない場合が非常に多いわけでございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 時間が長くなりますから切り上げますが、アナウンサーがかつてに時間があるからないからというので、また来週のお楽しみを言つたり言わなかつたり――これはりつぱに一週間目に対する予告ですから、完全にもつと統制してやるべきである。それから先ほど局長にお伺いしたことを最後にもう一つお伺いしておきたいのですが、この新聞が出てから一体どんなふうに協議をされ、あるいは今後に対する対策をお立てになつたか、これをひとつお伺いしたい。
  56. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 ユーモア劇場のことが出ました直後に、新聞社方面からいろいろ問合せがありましたから、それに対して回答しながら、私自身もこの問題を考えて行つたのであります。しかし新聞等に出ていて問題となつておるところは、あたかも政府から何か干渉があつたとか、国会の方面からどうとかということは、事実無根のことでありますから、その点については何も考える必要はない。それから他方において、そういうようなことは、単に日本だけでなく、世界的にやはり一つの問題になつておることでありますから、放送あり方とかいうようなことで政府放送行つておるところもありますし、いろいろありますから、私としてNHK放送番組をどういう方針でやるべきかということを考えた場合に、私どもは幸いにして編集の自由を与えられておりますから、なおこの点に十分の責任を感じて、そうして独善に陥らないように、一層輿論調査とか、部外の人の意見を聞くとか、新聞の記事等に耳を傾けるとかということをしなければならない。しかし方針としてユーモア劇場番組方針は健全である。私は国民にユーモアを送る、決して皮肉に終始したり、認識不足の悪口を言つたりするようなものではない。他方において、これは決して政治的な、社会的な意図を持つものでなくて、先ほど春日局長も言つておりますように、これはお慰みの番組なんです。国民がにこにこと笑い、そういうものによつて明るくなり、明朗にするという方針でありますから、その方針を一層貫かなければならない。番組内容において不完全な点がある場合には、一層努力してこれを完全にしなければならぬ。それから人間のすることですから、決して間違いがないとも言えないし、まずい点もあるので、そういう点をできるだけしないようにして行きたい。そういうことを考え、そういうことを局長などにも申し渡したわけであります。それから記事が出ました新聞社の幹部の人にも直接会つていろいろ意見を聞いたり、またこちらの説明をするなりしております。そうして今まで通り方針で一層よくして行くということがいいということに私は方針考えております。
  57. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 委員長、関連……。大体原委員質問春日局長の説明でしさいは明確になつたので、あらためてこの問題を詳しく質問する必要はないのでありますが、ただ私の名前が新聞にも出ておりますから、一応一身上の弁明といいますか、今お話を聞いておると、私も実は日曜の夜の十一時ごろ電話を受けたのですが、そのときの電話の話では、諷刺の内容や何かがかわつたような話だつた。それで私もその日はおりましたけれども、このユーモア劇場なるものを聞いておらなかつたのであります。ただ質問をしたある記者の話では、どうも従来のような辛辣な皮肉がなくなつて、まつたくおざなりなものが放送されてびつくりしたという二、三の連絡があつた、こういうような話であつて、今春日局長の話を聞いてみるとまつたく事務的である。一月に一回ヒツト・メロデイというものをやる予定が、三月の二十一日か二日にやるべきものを、その日は特にダイジエストという新しいものをつくつて、何周年記念かであるから特別なものをつくろう、そのために一月に一回やるのを十四日に繰上げてやつたのだ、こういうことになるとまつたく事務的であつて、そういうことを私がわかつておれば、もつとはつきりした回答ができたのです。私はラジオ当局ではないので知りませんから、そういう記者の質問に応じて、もしそういうことがあつたとしても自由党には何ら関係がない、かつまた党内からそういう希望を言われた覚えはない、もしそういうことがあつたとすれば、それは協会が独自の何かの見解でやつたのだろう、こういう程度のことを言つておるのですが、それはそれとして、事情ははつきりしましたし、原さんもその点については疑念がないようでありますから、あえてそれ以上のことはお聞きしません。大臣にちよつとお聞きしたいのですが、いわゆる第四十四条の第三項ですが、「協会は、放送番組の編集に当つては、左の各号の定めるところ一によらなければならない。」こういうことでこれは一応自律規定でありますが、「一 公安を室しないこと。二 政治的に公平であること。三 報道は事実をまげないですること。四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」このラジオ・コードでありますが、この法律の建前では一応自律規定になつておるのですが、その自律規定協会自体が完全に行わない場合は、監督官庁である政府はこれに対して何らかの注意を喚起する権限があるのか、ないのか。もちろん究極に詰めて行けば、電波法等によつてその放送事業自体を取消す処分は可能とは思いますけれども、第四十四条はそういうことに持つて行くためではなくして、あくまで協会側の自律規定ではあるけれども、なおこれに相反するような場合においては、何らか注意を喚起し得る措置があるのではないか、こういうふうに法律全体の感じから考えるのですが、従来この点についての解釈がまちまちになつておりますので、この機会にこの問題がありますからお伺いしたいと思います。
  58. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ねの点につきましては、もし四十四条第三項の規定に違反した放送が行われておるということであれば、郵政大臣としては注意をして、それを是正していただくという権限を持つておる、こういうふうに考えます。
  59. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体注意の程度ですが、その場合に法律上注意し得る権限というのは、公共企業体としてのNHKを全体的に監督する建前で行われるのか、それとも第三条の放送の自由の「法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」これとの関係はどういうふうに解釈されるか。たとえば今郵政大臣が言われた注意を喚起することができるというのは、この第三条に違反しない。干渉または規律ではない。これはどうであろうか、こういう程度のものであるから、第三条に違反しないという考え方で、監督官庁としてそうした意味での軽い注意をする権限があるのか、こういうふうに御解釈かどうか、その点をお聞きいたします。
  60. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 一般的な根拠は、郵政大臣放送法の規律に関する権限を持つておるところからスタートするわけですが、しかしその権限に基いて第四十四条の規定に違反をしておると考えられます場合には、これを是正してほしいという程度の注意ができるわけであつて、しかし具体的にどれをどうするというようなことは、三条の規定においてはつきり根拠を置いた場合でなければ、そこまではいけない、こういうふうな解釈をいたしております。
  61. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと第四十四条のラジオ・コード、自律規定を行わしめるためには、注意を喚起することができるが、第三条によるところの干渉もしくは規律をすることはできない、こういうことになりますと、その注意というものは協会側としては、その注意を聞きおく程度であつてもよろしい、こういうふうに解釈されるのですが、その点についての御見解を承りたい。
  62. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは放送というものの性質上、その程度であつてやむを得ない、こういうふうに解釈いたしております。
  63. 成田知巳

    成田委員長 橋本委員質問に関連して私からお伺いしますが、今橋本委員が、春日局長の説明で番組内容をかえた経過はよくわかつた、原君も了解しただろうという御発言があつたのですが、原君がこの問題を克明に尋ねておるのは、そういう単なる技術的な問題ではなしに、なぜこの番組変更しなければいけなかつたか、その原因なんです先ほど垣参考人から、変更に至る過程において政府の干渉とか、自由党の干渉はなかつたという御答弁があつたのですが、これに関連しまして塚田郵政大臣にお尋ねしたいのですが、大臣は大阪に行かれて新聞記者との会談におきまして、NHK放送内容政府とか国会をからかつている、こういう放送が続く限り今回の受信料の値上げについて、自由党総務会では反対の意見が非常に多い、こういう談話を発表されたらしいのですが、賢明な塚田郵政大臣が、そんな軽率な発言をされたはずはないと思うのですが、その間の経過をちよつと承りたい。
  64. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは委員長も御想像していただいております通り、まさにそのように発言したのではなくて、ああいう場合の発言というものは前後を通じて御判断願わないと、非常に誤解を起すのでありますが、どうも新聞記事に取上げられた形を見ておりますと、言つたことは確かに言つておるのですが、新聞記事で受取れる感じから行くと、私の気持とずいぶん違つておりまして私はあのときには、放送協会の聴取料の値上げの問題を、どの社の記者からか今記憶いたしませんが、お尋ねを受けた。大体個人の判断としては、幾らかは値上げをして差上げなければならぬのではないかという結論に到達したが、いろいろまだ異論があるというような話をしましたついでに、どうもNHK放送には国会と政府をからかつておるというような御意見がなかなかあるんでしてねというように発言をしたのでありまして、私自身の判断として国会をからかつておると申したのではないということと、今そういう意見があるということを申しましたのも、そういう前後の話のついでにいたしたわけでありまして、この点十分御了解願いたいと思います。
  65. 成田知巳

    成田委員長 そういたしますと、塚田郵政大臣としましては、第三者の意見としてはからかつておるという意見があるということを言われたので、NHK放送内容で国会並びに政府をからかつておる、こういうことがあるとはお考えになつていないわけですね。
  66. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私は近ごろあまりじようだん音楽とか、ああいう種類のものを聞いておらないのでありますが、たまに聞くことはあるのであります。私個人の考え方を卒直に申し上げますれば、そんなに他の方々からNHK放送にはこういう感じがあると言われるほどに、からかつておるというような感じは持つておらない。しかしまあ考え方によつては、そういうように受取れるな、そういう批評を聞けば私にもうなずける面もある、その程度に放送というものを私は受取つております。
  67. 成田知巳

    成田委員長 そういたしますと、一般人が言うほどひどくはないけれども、ある程度からかつている面がある、こういうふうにお認めになつておるのですか。
  68. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その通りであります。
  69. 成田知巳

    成田委員長 では古垣参考人にお尋ねいたしますが、塚田郵政大臣NHK放送内容で国会並びに政府をからかつている点がある、こういう御答弁なのですが、NHK当局としてそういう内容がある、こうお考えになつているかどうか。
  70. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。じようだん音楽はじようだんの音楽なんで、ユーモア劇場というのはユーモアの番組を組むということなんです。ですから今大臣がおつしやつたことは、ユーモアがある、じようだん音楽があるという意味ならば、私どもはあれは娯楽の番組でありまして、決してまじめに政治を批評するとか、国会を批判するとかいうような考えはございません。ですからそういう気持でおります。しかしながら番組に対して全国からいろいろの批評があります。支持の批評もあり、非難の批評もございます。ことに国会の議員の方々の御意見は、先ほど原さんからも非常に詳細にいろいろ御意見を承りましたが、これは慎重に承つて、その御意見を十分に体しながら、将来の番組考えて行くべきではないかと思つております。
  71. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ただいまの問題に関連して大臣にお伺いいたしたいのですが、要するに先ほど橋本君が質問をしたときのように、法律にはやはり注意をすることはできるけれども番組の自由というものはNHKあるいは民間放送を問わず、これは自由であるべきなんです。そういう建前で法律はできておるのです。ところが今お伺いすると、やはり第三者等が、国会あるいは議員の悪口にならないまでも、ばかにしたような放送をしている、こういうことなんです。ところがこれは憲法を振りまわすまでもございませんが、新聞であろうと放送であろうと、これは報道機関でございます。報道機関は率直に簡明に、あるいはやはり全体のことに対する批判の自由は確保してもらわなければならぬのです。だから第三者であろうと大臣の考え方であろうと、何か悪口めいたことを新聞に書かれたり放送されたりすることによつて放送番組に注意を与えるなんということはもつてのほかの話なんです。  それからもう一つ、やはりわれわれが重要に考えお答え願いたいのは、この前の放送法の根本的な改正のときにも、大臣は大体番組中心改正したいような意向を漏らして、私との間に質疑応答が行われておる。それから今回の問題についても、大阪でそう言つたことはことはないというお話でありますけれども、しかし新聞記事から受取れる点は、大臣は明らかに大阪談話で発表している。そうすれば当委員会においていかように釈明されようとも、塚田郵政大臣の腹の中には、やはり報道機関としての放送そのものの番組に、ある程度の制肘を政府として加えたいという意図が流れているようにお伺いをされるのです。これは日本の報道機関の自由を確保する建前から、非常に重要な問題ですから、そういう一連の流れをわれわれは当委員会を通じて考えてみるとうかがわれる。この点についてこの際明らかにしていただきたいと思います。長くなつてもよろしゆうございますから、放送そのもの、報道機関そのもの、番組そのものにつながるものの御意見を拝聴いたしたいと思うのであります。
  72. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私も新聞の報道、放送番組、そういうものが完全な自由のもとでなければ報道機関の役割を果せないということは、十分承知をいたしておるつもりでありますから、いやしくもその考え方に反するような発言、もしくはそういう考え方に矛盾するような法の改正というものをかりに考えましても、絶対にいたさないつもりであります。先ほど釈明をしたということでありましたが、釈明をいたしたわけではないのでありまして、事実の報告を申し上げたのでありまして、決してあの新聞記事というものはそういう意味においては正確に伝わつておりません。従つて新聞によつて表現はみなまち、まちなはずなのであります。ことに私がもしそういう意図を持つておるとすれば、正式でなくとも、直後NHKの当事者に何か言うておるべきなんでありますが、そういうことは私は一度も言つておらないのであります。また言うべき事柄でないと私は了解をしておる。ただ先ほど申し上げましたような前後の話のつながりとして、こういう意見が国会側にあるということを申しただけのことであります。私がこの間大阪で発言いたしました事柄自体、それから私の考え方も、ただいま松井委員の御懸念になるようなものは、考え方の中には何も含まれておらないということを、はつきり申し上げて御了解を得たいと存じます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 今のことに関連して大臣にお伺いしたいのですが、あの大阪の発言を、古垣会長新聞で前にごらんになつたと思うのですが、会長はあれを見て何かお考えになりましたか。何を言つてつてもてんとして何の感覚も起きなかつたか、あるいは大臣がああいうことを言つたらしい。今のお話でも事実触れておることは事実なんです。その一部分にせよ、はつきりと協会の経営内容に対して、放送内容に対しての批判が、あの新聞だけを見ると加えられておるわけですが、大臣がああいうふうに言つておられるのに、協会会長としてはそれに対して何らの感じも起さなかつたか、あるいは何かお考えなつたか、それを伺いたい。
  74. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 あの新聞は私がかつて属した新聞で、今日でも非常に親しくしております。しかしあれは新聞の記事でありまして、大臣から直接聞いたことではありませんし、私はあれを読んで、大臣はこの通りにはおつしやらなかつたに違いないという信念を持つておりました。そうしてその後大臣からも、私からも問合せはしませんでしたが、ほかの方から大臣の言つたことはその通りではなかつたということがはつきりわかりました。それで私は自分の信じたことは正しかつたという感じを持つております。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 なかなか名答弁で、きつとそうお考えなつたんでしようが、それでは会長一人がそうお考えなつたけれども、ほかの協会の幹部の立場からすると、全体的にはやはりああいう新聞の報道といものは、大臣の意思に反して協会に圧力を加えたことになると思う。間接的な圧力が精神的にどうしても加わることは間違いないと思う。従つてその意味の責任は大臣も考えられて、今後慎重に発言しないと、あれは新聞記者がかつてに書いたのだから、おれは知らぬでは、大臣の立場として済まぬと思うので、多少こんなことが影響してきようの問題、すなわち三木鶏郎のじようだん音楽変更なんかが出たのじやないかなということを東大の教授や私どもまで考えるようになつて来る。これは一にかかつて大臣の大阪の発言にあるかもしれないと、たまたま会長がおとなしい人ですから、圧力は全然感じなかつたというようなうまい答弁をされておるから、問題にならないと思うのですが、あのときにはつと思つたというようなことを言つたらたいへんな問題になると思うので、そのはつと思つた結果がきようの問題になつたのじやないかこう言おうと思つたのですが、そうは言えなくなつてしまいました。しかしそれはけつこうと思います。  そこで大臣に一つお伺いしたいのは、去年ですか、ラジオ関係の視察に私は歩きましたときにも、民間放送の方にはたびたび言つてつたのですが、国会に出して報告したときにも、私は大臣に対する報告書の中でも言つていると思いますが、保全経済会とか勧業経済会のごとき、ああいうスポンサーがついて、べらぼうな高金利をつけるという誘惑をラジオを通じてやる。結局ラジオというものが大衆の方から見ますと、NHKのラジオだから信頼できる、民間放送だからどうもちよつと気をつけなければいけないといつた感じは、もとよりないわけです。常識としても協会放送あるいは民間の放送といえども、公益性というものは常に注意してやつているはずですから、平等に考えてしかるべきではありますが、実際の過去の経験から言いますと、特に保全経済会あるいはやみ金融といいますか、ああいう利殖機関に対しては、民間放送にもある種の責任があると思います。ああいう放送を聞くと非常に信頼感が持てる、それがああいう利殖機関の拡大強化をはかつて来た、こう思うわけです。そういう点から言うならは第四十四条の「公安を害しないこと。」という第三項第一号に、ああいう放送内容というものは該当するのじやないかと思いますが、その関係をひとつ伺いたいと思います。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私も抽象的に考えますと、これに該当するのではないかというような感じを持つておるのでありまして、ただこれによつてこの四十四条第三項の規定従つて郵政大臣として持つております権限が、今申し上げる程度のものではたして実効が上るかどうであろうか、かりにああいう問題が重ねて出て来たようなときに、注意するだけで実効が上るかどうか、そういうことを考えた場合に、若干疑問の点がありますので、こういう点も法の改正としては考えてみてはどうかというようなことを、先般放送番組についても若干考えてみたいということを申し上げた基本の気持であります。しかし私も御指摘通り、やはりああいうものは公安の害になるという判断で行けるのじやないか、こういう感じもいたしております。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 ひとり保全経済会だけの問題ではなくて、あのときああいうことが行われただけではなくて、今日でも民間放送などで、一万人の国民しかいないところでも五百人くらいの軍隊は持つておる、あるいは十万人くらいの国民しかいないところでも一万人ぐらいの軍隊は持つておる、ましていわんや日本のごときは当然八十万人の軍隊を持つていなければならないというようなことを、最後にぼつりと放送する民間放送もあつた。これらは、今日再軍備に対する意見ははつきり対立しておるわけてすが、再軍備をして、当然八十万の軍隊を持つべきであるという放送が、民間放送にしても行われた場合には、第四号の規定に照して、これは非常に大きな問題が今日起きて来ると私は思うわけです。これも先ほど保全経済会に対する第一号の公安を害する点と同じ意味になつて来る。また同時に三木鶏郎放送内容にいたしましても、公共放送の建前からやつてはおると思うのですけれども、公平に見て一方的に自由党、時の政府である塚田さんの所属する政党に対して、あるいは政府に対して実に辛辣な皮肉を飛ばし、揶揄をするようなふうにも感ぜられて来る。するとこの保全経済会の第一号に抵触する問題、あるいは八十万人の軍隊を持てという第四号にある程度疑義を生じて来るのではないかという問題、あるいは今言つた特に自由党もしくは政府を攻撃するような言辞、そういう意図はないにしても、大衆にははつきりそういう印象づけるような三木鶏郎氏の放送内容を聞いたときに、やはりラジオ・コードの面からいつて、どうしてもこれは何かやらなければいけないという感じを、大臣もお持ちになつているのじやないかとこう考えるのですが、どうでしようか。
  78. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 ただいま御指摘の問題の放送を私聞いたことがないので、別後にどういうことを言つておるかということもあわせて考えないと、これに該当するかどうかはちよつと判断はいたしかねるのでありますが、しかし全般的に考えて、最近の民間放送につきましては、この四十四条の規定を逸脱しておるのじやないか、規定が十分に守られておらないのじやないかと思われる節の放送があることを、いろいり私どもの方の検討の結果感ぜられましたので、先般そういういろいろな意味合いにおいて、コードということではなしに、いろいろな意味をも含めて、放送法四十四条の規定の趣旨を十分に体して行われるようにということを注意いたしたわけでありますが、しかしそのときに主として私の頭にありましたのは、むしろ保全経済会などの問題があつたのでありまして、今御指摘になつたような問題が具体的に頭にあつて、これをいたしたというわけではないのであります。しかし今御指摘の問題が事実としてあるといたします。ばらば、やはりこれに該当するものとして、御注意願わなければならない問題じやないかというふうに感ずるわけであります。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 古垣会長にお伺いしたいのですが、今大臣が言われたように、やはりこのラジオ・コードに照しても、何か注意しなければいけないのじやないかといつたような問題が現実にあつて、これに対して大臣が何か機会があるなら放送法改正その他を通じて、こういうことに対するもう少しはつきりした規律とか、監督、こういうこともできるようにしたいといつたよう意思が、前の委員会からもある程度うかがわれるわけですが、そういうようなある程度大臣がこういうところにこういうような注意を向けなければいけないと考えている点を、会長としては前からも御存じだつたろうと思うのですが、この点はどうでしようか。
  80. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 この放送法改正の問題ということは、前から私どもも非常な関心を持つて考えております。それで放送法改正に関する調査委員会、研究の機関を協会の内部にもつくりました。この委員会はただ単に内部的に研究調査するのでなくて、広く各方面の関係方々の意見を聞き、また必要な方面の意見も聞きながら、NHKが最も正しく運営されて行く、ことに番組が理想通り行く、方法について考えております。私は、報道機関というものは完全な自由が与えられなければそれが曲げられる、たとい正しいものであつても、そういう規制ものとにやるという場合には、ゆがんだ印象を与えると思う。出す方だけが報道の公正をはかるのではなくて、受ける方も報道の公正というものを受取らなければならないのでありますから、これは決して出す方だけの問題ではなくて、出して受けるという点まで追究しなければならないものでありますから、できるだけ大きな自由を確保しなければ、報道の公正な達成ということはできないという考え方を持つております。従いまして、番組編集の自由ということは、われわれにとつて金科玉条であると考えております。しかしながら公共企業体であるNHK立場――ただ単に報道機関としてだけでなくて、公共企業体としての日本放送協会という立場からは、これは国民にかわつて国会が十分監督しておられます。これは国会を介して国民がNHKの経営を監督しているというふうに私ども考えております。従いまして十分国会の皆様が議を尽されて、いいものをつくつていただきたい。その際に私どもも十分検討して成案を持つて、皆さんにわれわれの意見を申し上げたい、かように考えております。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 私のお伺いしたこと対して正鵠を得た御答弁でなかつたのですが、少し無理かもしれません。  そこで今度は角度をかえてお伺いしたいのですが、もし国会としてこの委員会なら委員会意思が、強く放送内容に対して不当であると考え、その意見が一致して、その内容をかえさせたい、こう考えた場合には、その意思をどういう手段、経路で伝え、どういう方法でこれをかえて行く手段があるのか、これをお伺いしたい。
  82. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 その方法やなんかをお聞きになりますのは――国会の方ではないのですか。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど会長から、国会の監督を受けて、結局最終はその監督にたよるんだというような御答弁があつたわけです。国会の監督があつても、その監督が協会に届く方法が何かあるのですか、どうですか、お伺いしたいわけです。
  84. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 私はただNHKの経営全般について、自由に国会が御検討になられるということを申し上げたので、その国会のおやりになることについては、どうも私は権限がないように思います。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 要するに国会がどう考えようとも、協会は自由を確保する立場から、放送を独自の立場でやつて行くのだ、こういうふうにお答えなつたわけです。それでいいのでしようが、そこで大臣にお伺いしたいのですが、先ほどから申し上げておるように、内容によつて疑点が出て来るものがあるわけです。たとえば保全経済会のような、ああいう国民に大きな影響を与える問題が現に今起きているとしたら、大臣はこれに対して、監督者の立場からラジオを通じてどういうふうな処置を講じますか。保全経済会と同じようなものが――これは結果論的にたいへんな事件になつたわけですが、今現に行われているとしたら、大臣はこれに対してこの放送法の範囲なり、あるいは別個にこの放送を監督指導する方法が何かおありかどうか。
  86. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 現在の法律の建前から行きますならば、こういう放送が行われておるが、自分はこういうような判断で放送法の第四十四条の第三項の第何号々々々にどうも合わないように思うから、これはやめてもらうことはできないだろうかということを、現実の事実を指摘して注意を促す、こういう形でしかできないと思います。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、そういう形で実際に注意を喚起されたことが過去にございますか。
  88. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 先般いたしましたのは全般的な表現としていたしましたので、具体的にこの事実をということでいたしたわけではないのでありまして、この点今まで具体的な事実として申したことはないのであります。ただ非常に具体的な事実ということになりますと、問題になりますのは、たとえばこの間の保全経済会の問題にいたしましても、結果になつてみて、やはりそうだつたということがわかつてたのでありまして、実は私なども事前に相当な疑惑は持つてつても、それでも何か、あれだけの人にあれだけの金利を払いながら運営して行ける方法があるものかなあという、一種の疑惑は持ちながらも、やはりこれが結果においてほんとうにああいう国民大衆に迷惑をかけるものだという最終的な判断には、なかなか来らないものです。またおそらく具体的な問題があるときに、実際これは非常に問題になるものだ、公安を害する結果になるものだという判断に到達ができるということであれば、それはその事実を指摘して注意を促すということになると思うのですが、実際問題となると、今申し上げたような事情でなかなか結論の得にくい問題が多いのではないか、こういう感じがいたしておるわけであります。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 閣僚中最も計数に達した大臣が、あんなことがわからないことはないと思うのですが、そう言われればそれまでですけれども、やはりラジオの持つ役割は経済界にとつて非常に大きいと思う。ですから監督大臣としては非常に責任が重いと思うのです。もちろん民放の方も担当責任を痛感しなければならないと思うのですが、過去にそういう注意を喚起したことがないということになるわけですね。そこで現にもし何かそれに類することが行われていたら、注意を喚起することはできる、こういうことになるわけですか。そこでまた三木鶏郎さんに帰つて行くわけですが、私の考えでは大阪で大臣が言われたことが、今事実をお話なつたとき以上に新聞に出ている。これを大臣はどうお考えですか。たとえばわれわれが何か政権をとつたときでも、あまり政府ばかり攻撃するのはどうもおもしろくないと思うのですが、大臣はむしろ新聞に出た通り、そう思つているのだけれども、あなたの表現はそう言わなかつた。これは新聞記者にわかつたのじやないかと思うのです。つまり腹の中にある方を新聞に書いた、こういうふうに私は解釈する。そこでああいうことがもう少し顕著に行われて来ると注意を喚起することができるのでしようか。私は同じ政党員として、あまり峻、烈に自由党、政府のみを揶揄し攻撃するような放送があつた場合には、これは少し注意しなければいけないと思うのですが、どうでしよう。
  90. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 最初にこの間の具体的な問題から申し上げますと、むしろ原委員がお考えになつていることは逆でありまして、先ほど申し上げましたように、私はああいうものに問題になる点があるとは感じておらぬのであります。従つて私の感じておる程度では、なに、けつこうおもしろいからやらしておいていいのじやないかという判断を、具体的な判断としては持つておるのでありますが、しかし他のたくさんの方が、ああいうものは実にけしからぬという判断であり、そうしてそれが今の政治的な公平を害しておるという判断に到達する程度の性質のものであるならば、私はこの法の建前上やはり注意すべきが妥当であると考えますから、従つて問題が別である場合におきましても、政治的な公平を失するという放送が行われていると認められれば、これはやはり注意をしなければならぬというふうに考えるわけであります。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 では最後に一点だけだめ押しをしておきますが、そうすると今の程度の内容、あるいはもう少し辛辣に行われても、別に注意を喚起する必要はない、むしろおもしろい程度に聞いていられる、こう解釈してよろしゆうございますね。
  92. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私が注意を喚起せぬでおもしろがつて聞いておられるというのは、今までに行われておる程度のものであるならばそうじやないか。もつともそう申し上げながらも、先ほど申し上げたように、最近あまり自分で聞いておらぬものですから何でありますが、私が聞いておる範囲ではそういう感じであります。何かさらに一層度を強くして、なるほど他の方々が受取つておられるように、非常に政治的な公平を失しておるものであるという判断に達するならば、四十四条の規定従つて注意をすべきであると考えております。
  93. 原茂

    ○原(茂)委員 会長にちよつとお伺いしますが、今大臣の御発言をお聞きになつ通りですが、要するに今までの程度よりちよつと度が過ぎると、注意を喚起するということにきまつたわけなんです。そこで注意を喚起されたら会長はどうなさいますか。会長は編集の自由をどこまでも確保する――これはりつぱな態度でよろしいと思うのですが、今の程度を度を越すと注意を喚起されるかもしれませんよ。注意を喚起されたらどうしますか。
  94. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 少し考え方が違うのです。私は度の問題ではないのです。われはじようだんの番組、ユーモアの番組である。先ほどから言いますような明朗な空気を与えて、国民が喜んで世の中が一層明るくなるような番組ですから、度が過ぎるとか今の程度とかいうふうには考えない。現在においても作者の認識不足とか感覚の不十分ということで、番組として決して満点でないものもあり得るのです。その点を直して行きたいということを初めから申しておるわけであります。ですから将来ああいうのをやつて、少し度を増すとか、少し度を減らすとか、そういう考えは毛頭持たないのであります。従いまして先ほどお話のそういう仮定は、私にはちつとも想像できないのです。しかし前に申しましたように、編集権の自由というものをあくまで確保して行くということが、日本放送協会番組をつくつて行く大方針である。少くとも会長として私が職務をやる上においては、そうであるということを申し上げておるわけであります。
  95. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一問だけ、今度は大臣にもう一度確認しておきたいのですが、会長はあれはユーモアであるから、三木鶏郎のあれがどんなに度を越したところで、そんなものはじようだんであるから、大臣と私の話が第一おかしいくらいである、こうおつしやる。実にりつぱだし、毅然たる態度なんですが、あのじようだん音楽の場合なら、どんなに度を越そうとも、大臣は会長の言われたように全然注意を奥起しないで行く。こういうふうに解釈できますか。
  96. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはまた私は会長と意見が違うのでございまして、私は先ほど会長の言われたように、政治的に公平であるかどうかという判断は、実は放送される方々の意図でなくて、受ける者の感じであると私は思う。従つて大衆が受けて、確かにこれは政治的な公平を欠いておる、片寄つておるという感じで受けるようなものが放送されるならば、それはいかにじようだん音楽という全然別な意図からなされたものでも、注意をしていただく性質のものである。従つてどもはどういう意図でなされておるか知らぬが、受ける側においてはこういう感じが非常に強く出るからして、御注意願いたいということを申し上げるわけであります。しかしその注意を受けて放送される側が、どのようにその事実をさらに判断をされてどうされるか、そこに私は自由というものが十分ある、こういうように解しておるわけであります。
  97. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣の、受ける側、国民の感じというものは、自由党の感じじやないだろうと思いますから、これは今度の問題で注意を喚起してなかつたことが大体わかりましたと信じることにいたしますが、少くとも今の御答弁や大阪の発言その他を通じて、間接的にはある程度協会に対する圧力が加わつたように私どもには感じられるわけであります。今会長と大臣との御意向はつきり違うこともわかりました。すると、きようのこの委員会の空気などを通じて、協会側は、大臣により覚えめでたくするためには、どうしてもじようだん音楽ども度を越さないようにという、非常な注意を今後払つて行くだろうと思います。おそらく会長と大臣の御意見の相違は、そういう形で出て来はしないか。そこでそういうことにならないように、大臣の注意を喚起することがあるかもしれないとおつしやつた受ける側の感じが間違いなく国民であつて、自由党や政府でないように、こういう点をひとつ大臣からはつきり言明しておいていただきたいと思います。そうすると国民は安心すると思います。
  98. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 もちろん私が注意をいたしますときには、判断が片寄らないように十分注意をいたしますが、しかしそういう感じて結論を出して、公平に反するという判断をいたしましても、私は自由党の人間であり吉田内閣の人間であるから、判断に誤りがあるかもしれませんから、そこのところは受けた上で、協会側がさらに御判断くださればいいのであつて従つてそういう注意をいたしましたからといつて、この法律の建前からは、必ずしもその言つた通りに束縛されなければならないというものにはなつていないし、そのような意味において注意はしないという感じでありますから、そこで、十分放送の自由は確保できるというふうに考えております。
  99. 成田知巳

    成田委員長 松前君。
  100. 松前重義

    ○松前委員 私はきようはこういう論議が行われるということを知らないで、けさいなかから帰つて来た。そしてあのじようだん音楽というようなものはどういうものか、私もあまり聞いておりませんが、新聞に出たことは見ました。しかしこれは大した問題じやないかと思つて、実は軽く見て来たのです。まだ原委員がいろいろ質問されておられる間は、私はこの問題を大して問題にしなかつたわけです。ところがただいま委員長が大臣に質問されましたときに、あの大阪の大臣の発言では、新聞記者がよほど頭の悪い人間で間違えて書いたか、そういうことは私どもはわかりませんが、とにかくあの問題を聞くに及び、しかも私どもが今まで接触しております範囲内においては、新聞記者の感覚というものはまことに鋭いものであつて、大体当るものです。そういう今までの経験を総合して見、しかも吉田内閣のもとにおける現在の汚職に次ぐに汚職の状態、そして場合によつては、人の見るところにもよりましようが、危急存亡のときともいわれておる、そういうどたんばに差迫つたような切迫感を持つておる現在の政治情勢の中において、大臣がそのような発言を、しかもまことに上手に大阪でやられたということは、これは何といつても直接あなたが注意をされたかされないかは別問題として、まさに放送協会に対する非常な弾圧である。しかも時たまたま料金値上げの問題が出ておる。放送協会は料金を上げなければ、今後の経営が困るという事態が、当然予算の中に出て来るであろうと予想されておる。それとひつかけてあらゆる面から、ここに一つの政治的な鎖をもつて縛られたということは、私は間違いないと思つておる。この問題については、放送法の根本精神に触れるものであり、これは一々どこがどうという小さな議論の問題ではなく、総合的な問題として、あなたの態度は、まことに大臣としてとるべき態度ではなく、放送法に反した態度だと私は思う。私は今までこういうことは申し上げまいと思つてじつとここで聞いておつたが、総合的に見て、この問題はあなたの責任であると思う。放送協会の方にはあとでお尋ねいたしますけれども、これに対する大臣の態度について伺いたいと思います。
  101. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 遺憾ながら私は松前委員考え方を同じくいたしません。もちろん放送に対しては、個人の意見を述べることの自由は持つておると思いますが、ただ立場立場であるだけに、よほど注意をしなければならぬということはただいま考えております。放送の自由に対する私の基本の考え方は、一つの信念に近いものとして待つておるのでありまして、決して放送法考え方や何かを頭に置かずに、弾圧しようという考えは持つておらぬのであります。それは平素の私のものの考え方からいつてはつきり確信をもつて申し上げられるのであります。ただあのときの発言は、大阪に行つて非常に巧妙にということでありますが、新聞は、大臣が東京でしやべつてもあまりお載せにならないで、地方に行つて発言をすると大きく扱いになるのが今までのあり方であります。ああいう種類のことは、今までも東京でも新聞記者諸君に申し上げておつたかもしれません。しかしここではあまり記事にならないで、大阪に行つてたまたま話したら、あれだけ大きくなつたのである。しかもちようど放送料金の値上げが問題になつてつて、これがどうなつておるかということを問われたとき、放送料金の値上げは、自分としてはいろいろ調べた結果、こういうぐあいにして若干上げなければならないと思つていると話した。話の前後の続きぐあいとしてこういうことを申し上げたのであつて、あの記事は朝日の記事だと思いますが、朝日の記事は、私が主にして申し上げた点はほとんど省かれておいて、しかも内定という形で書かれておるが、内定という表現自体が、私が申し上げた考え方とおおよそ違つておる。私は内定という気持では申し上げておらぬのであります。その付随として申し上げた部分が大きく取上げられたのであつて、今申し上げた私え方から、郵政大臣としてはそういう問題は注意しなければならないと思つておるが、あのときにああいう形で申し上げたことが、ある一つ新聞でだけ取上げられて、あれだけ大きな反響を及ぼすとは、自分としては全然考えておらなかつたし、おそらく普通のものの判断の過程においては、だれもお考えにならぬだろうと思う。ただああいう機会に申し上げたことが、その他の偶然の要素が重なつてああいうことになつたのである。もちろん全然責任がないとは考えておりません。いろいろな要素が加わつてああいう形になつたといたしましても、与えた影響は、お受取りになる方々によつては、ただいま松前委員の御指摘になつたような形で受取られておるかもしれませんので、そういう意味での責任は全然とらないとは申し上げません。
  102. 松前重義

    ○松前委員 大臣の御答弁はそれで尽きるだろうとは思いますけれども、あの大阪での御発言が及ぼした影響があまりにも大き過ぎたというお話でありますが、私どもはあなたをそれほど不用意な方とは思わわない。あなたのいろいろな御発言を通じて、やはりあなたは非常に頭のよい人であつて、御答弁も上手であるということを、私はふだんから多少敬意を表しておつた。敬意を表すれば表するほど、これは相当計画的に発言されたものであると断定せざるを得ない。それはそういうつもりで実は出て来たのではなかつたのでありまするけれども結論としてぼつとした雰囲気の中から総合して、私は結論はそこに来ると思う。これに対して責任を感じないわけではないというお話でありますが、大いに責任を感じなくてはならぬと私は思うのであります。どうかどのような責任をお感じになるか、ひとつ伺いたいと思います。
  103. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 郵政大臣という立場においてああいう種類の発言をいたします場合には、予想しないその他の事実が加わつて影響が出て来るということもあり得るかもしれない、今度の事実でそういうことがあり得るということがわかつたから、今後はよほど注意をして発言をしなければならぬという意味において、自分はやはり責任を感じておる、こういう考え方であります。
  104. 松前重義

    ○松前委員 私はこの問題は非常に重大であると思います。前後を通じまして、いろいろな政治的環境から日本の置かれている立場、あるいはまた放送協会の運営の根本問題にひつかかつており、料金値上げの問題その他を通じまして、総合的にこの問題は軽視できないと思うのであります。今日は私は何も用意がないので、いずれまた後日お尋ねいたします。  放送協会に伺いますが、先ほど大臣の大阪発言に対して非常に軽い御答弁がありましたけれども、私は放送協会がせんだつて来料金値上げの問題に対して、非常に熱心に各方面の了解を得ておられる姿に接しておりますがゆえに、その熱心な料金値上げとこの問題と相当深刻にお考えなつたに相違ない。これはあなた方がばかでないならば、当然お考えになるべき筋合いのものであります。その意味におきまして放送協会として、大臣の発言が料金値上げに場合によつてはさわるかもしれないというような懸念をお持ちになつたか、ならなかつたか、お尋ねします。
  105. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。決してじようだんでなくて、それでは私はどうもばかであつたかと考えるのでありますが、先ほどお答えいたしましように、朝日新聞に大臣の会見記が出ましたときに、これは間違いであると私は即座に感じました。受信料の値上げの問題と番組の問題とは、二つの別個問題だと思います。経営全体としては、正しい、いい番組放送するということをわれわれは念頭にしているのであつて、いやしくも曲つた番組をすることがいいというような考え方はありませんから、番組番組として最善を尽す、それから受信料の問題は受信料の問題として、十分協会立場を説明して、できるだけ理解をしていただくというふうに考えております。従いまして大阪の大臣の御発言とか、あるいは番組に対するいろいろの批評、非難、そういうものはそれ自体として、いい番組をつくることに努力したい、かように考えております。
  106. 松前重義

    ○松前委員 大臣は先ほど、大阪であのような発言をされたということを、あの通りではなかつたとおつしやるけれども、一応肯定しておられます。その発言の内容は料金の値上げと、番組編成の現在の姿と、おそらく大臣の頭の中には現在の汚職と、この内閣の現在の姿、こういうものが走馬燈のように行き来しておつたであろうと思う。放送協会会長といたしましても、当然そういうことは、ふだん放送を経営しておられる以上は、これをお考えになつておられることだと思うのです。それにもかかわらず、あなたはこれは関連がないとお思いになつたのですか。料金値上げと放送内容の問題と関連があるという発言がなされたにかかわらず、それはうそであるとおつしやるのは、それば間違いでありますし、大臣はそういうふうなことを発言したとおつしやる。多少書き方において誤りがあつたが、大体そういうことは言うたという話です。それをあなたは言わないとおつしやるのだが、それはちよつと事実が相違しておると私は思う。
  107. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 私が申し上げましたのは、番組と受信料との問題は大きな問題であつて一体NHKのすることでありますから、関係が大にあるのでありますが、現在の受信料の問題、予算編成の問題と番組自身の問題は、二つの別個の問題と考え番組がそれによつて影響を受けるというか、受信料の問題、予算の問題を達成するために、番組に影響を与えるというようなことはないようにということを、私は現実ラジオ局長にも言つておる次第でございます。
  108. 松前重義

    ○松前委員 ただいま私があなたにお尋ねいたしましたのは、あなたの御答弁と別な問題であります。大臣は料金値上げの問題と番組編成の問題とは、相当密接な関連性があるというような表現を大阪でしておられる。その報道の内容その他について、多少軽く言つたところを重く書いたというようなところはあるにしても、いずれにしてもそこにそういう発言をしておられる。これは間違いありませんね。ところがあなたは、そういう発言をしておられないということを今おつしやるのです。それは間違いなんです。間違いであるならば、間違いでない事実をとらえて、それを中心にして御答弁になるのが当然だと思うのです。
  109. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 私はあの記事の発表の内容は、多分に間違いがあるとすぐ直感いたしました。それから大臣がそういうことをお考えになつておるとは信じられないのであります。
  110. 松前重義

    ○松前委員 それではそのときはあの事実を否定して考えられたわけですね。
  111. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 私が重点を置きますのは、大臣のお考えでありまして、新聞の記事そのものではないのです。記事は時として真相を伝えないこともあり得ると思います。
  112. 松前重義

    ○松前委員 ただいま大臣は、あれは重点はほかにあつたのであつて、しかしまあ刺身のつまのつもりか何か知らぬが、ちよつと感想をしやべつたのが大きく出た、こうおつしやる。しかしおつもりはそのつもりでも、事実そういうことがある程度発言されておるという事実の前に、あなたはどのような感じをお持ちになるかということを伺つておるのです。
  113. 成田知巳

    成田委員長 松前君に御相談しますが、塚田郵政大臣から釈明したいというのですが、よろしゆうございますか。
  114. 松前重義

    ○松前委員 どうぞ……。
  115. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 先ほど私が大阪発言の様子を申し上げたのを、松前委員は、私の発言自体が料金の値上げと番組とが関連のあるような発言をしたということを前提に置いて、いろいろお尋ねになつておるのでありますけれども、私はそういうような発言はしておらぬのであります。ただ料金値上げの話をしたはずみに、何かの話の糸口につながつて番組の話をしたのであります。しかし私自身の頭の中から言いましても、先ほど申し上げましたように、もうあの当時は私自身のものの判断というものはちやんときめて、大体ある程度の値上げをしなければならないのじやないかと考えておるということを言つたのであつて、別に番組がどうだからこれができるとか、できないとかいう判断をその後もしておりませんし、私は全然切り離してものを考えておるわけであります。  そうして古垣会長に私からもちよつとお尋ねしたいのですが、私はあの発言が朝日新聞に載つたあと、協会のどの方であつたかは存じませんが、協会の記者の方に聞いたときに――あのときには協会側の記者の方も列席をしておられたので、すぐに私の発言の要旨は大阪の方からこちらへ御通知になつておるはずであつて、私は協会側のこちらの方々からは、朝日の記事とうちの大阪の記者がこちらへ連絡して来た記事とは全然違うというところでもつて、あの朝日の記事が事実でないということを自分らはすぐに承知しておつたという話を聞いたのでありますが、その辺が事実であるかどうか。ただ今古垣会長がしばしば言われるように、私のふだんのものの考え方から、私がああいうものをつなげて考える理由はないという御判断であるか、ああいうものは事実の連絡があつた、そういうことも基礎になつてつて、あの朝日の記事は真相を伝えていないという御判断になつたのではないか、その点を私からも会長にお尋ねしたいと思います。
  116. 松前重義

    ○松前委員 この問題は私自身も非常に不用意にここに来て、こういう発言をしているわけでありますが、私としては事実を調べまして後日また御質問いたしたいと思います。
  117. 成田知巳

    成田委員長 お諮りいたしますが、議員長谷川四郎君より発言を求められております。これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 成田知巳

  119. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 私ちよつと大臣にお伺いいたしたいのですけれども、私は放送協会放送をしたかしないかという問題でお聞きするのではございません。たとえば放送する面においていたずらに人の名誉を傷つけるごとき、またたとえば国会内においてより以上誇大な放送をしたり、国会の権威を傷つけるような放送があるとするならば、こういう場合には先ほど大臣のお答えのような態度がとられるであろうと私は思うけれども、その点について大臣はどのように考えておられますか。
  120. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私は報道はどこまでも真実を国民に伝えるという形において行われるべきであると考えておるわけであります。
  121. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 かつてどの放送と私は申し上げる必要はないから申し上げませんけれども、たまたま私が出て行つてみますと、私が入つて行くと、そこのうちで代議士には聞かせたくないというような態度をもつてスイツチを切るところがありました。私はどういうような放送かと思つていろいろな話を聞いてみると、これは単に政府の攻撃ばかりではなくして、国会全般にわたつて非難攻撃といおうか、もつとひどい言葉でも言い現わすことができると思う。こういうような点がたまたまあるということを私は聞いております。放送する一画におきましては、たとえば公共放送であろうとも民放であろうとも、こういうような点については大いに考えていてもらわなければならないと思うのでありまして、ただ国会内の何かの部分をとらえて、あたかも国会議員全般がかくのごとき行動をしており、また国会議員全部の責任においてやつているがごとき報道が行われるというがごときことは、まことに私はけしからぬと思います。こういうような点につきましては、公共であろうとも民放であろうとも、同様に大臣はお取扱いになる意思があるかいなかを承りたいと思います。
  122. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 もちろん公共放送でめろうが民間放送であろうが同じ扱いでありますが、ただそういう場合に今申し上げるような注意をするというところまで行けるかどうか。私も御指摘のような意見においては同感であります。事実を正確に伝えて、国民をして誤つた判断に陥らしめないように放送してもらうのでなければ、結局放送している側は事実を言つているのだと言つても、受取る側がその放送の仕方によつてつた判断をするということであれば、私は事実が報道できたとは言えないのではないかという考え方であります。しかしその程度の場合には、おそらく私は輿論やその他の空気を反映して、放送される側がおのずから自粛されるべき性質の問題である、こういう考え方をいたしております。
  123. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 古垣会長にお伺いいたします。先ほどお話の中に、たとえば先ほど議論になつたようなものは請じようだんであり、ユーモア的なもので、あるからというお話でございます。じようだんだから、ユーモアだから、人の名誉を毀損しても、何か人を対象に出しても、国会の権威を失墜してもよいと会長はお考えになつているかいばかをお伺いいたします。
  124. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 さようなことは全然考えておりません。さようなものは健全はじようだんでもなく、健全なユーモアでもないと思います。反対に人の名誉を尊重し、人のあげ足をとらずして、世の中を明朗にするのがユーモアであると思つておりますから、今御指摘のような考えは全然持つておりませ
  125. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 私は議運をやつている関係で、いろいろ議院運営委員会に話がございます。まことにけしからぬというようなお話もたまたま承つておりますので、ただいまあらためてお聞きしたわけでございます。この点については会長などという人は、おそらく自分のうちのラジオは聞かないでしようけれども、判断に苦しむようなことのないように、そういう点についてはときどき御注意を願つておかなければならないと思うのであります。先日も議運に持ち込まれた問題がございまして、これは公に持ち込まれた問題ではないのでございますけれども、まことにけしからぬという問題が出ておりましたことは、国会全般にわたつてそういうような批判的なものを下すということは、事実無根であるというような場合もあつたわけでございます。実はその当時私は放送協会に電話を申し上げて、そしてその真相を追究しなければならぬと考えたのでございましたけれども、そういう点についてはまだその機会を得なかつたから申し上げなかつたのでございますが、その点については十分気をつけていただかなければならないと思うのでございます。申し上げた通りユーモアだから、じようだんだから、一般大衆が喜ぶであろうからそれでいい、それが輿論だとは私は解釈できません。今議会というものを否認をしているというような言葉もよく聞きますけれども、それに拍車をかけるがごときことは、控えてもらわなければならない。真にそれが事実であるとすれば、これは当然なすべきことである。従つて、たとえばお宅でやつているような公共放送であるとするならば、明日国会がどういうような運命になろうとも、それは国民の前に明らに発表しなければならないと思うのでございます。ただいたずらな、おもしろ半分な放送は、決してなすべきでないというふうに私は考えておるから申し上げるわけでございまして、その点一言申し上げて私の質問を終らせていただきます。
  126. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 非常に有益ないろいろの御注意まことにありがとうございました。私どもも今御指摘のようなふうに考えております。じようだんとかユーモアというものはおのずから限度がある。そこに守るべき礼節もあります。いわんや国会とか政府とかいうものはわれわれの国会であり、われわれの政府でございます。しかも議員の皆様は国民から選出せられました方々でありますから、その国民に聞かせる放送、あるいは国民に見せるテレビジヨン等におきましては、できるだけ真実を曲げないで報道し、見せるように心がけたいと思つております。決してわれわれの組んでおります番組が、万全であるなどというような独善的考えは持つておりません。また持たないように努めて改良をして行く、そうして健全な国民の放送にしたい、その一念しかないのでございますから、今後とも皆さんのいろいろの御注意は十分参考にいたしまして、よい放送に励みたいと存じております。
  127. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいま長谷委員から放送の真実性という点に対して注文があつたのでありますが、この点に関しましては私も同感であります。放送番組編成の自由は、憲法に保障せられたるところの言論の自由ということから考えられるのでありますが、自由というそのものには、国家的な一つの規制がある、道徳的な規制があります。すなわちそれがこの放送法の公共の福祉という言葉によつて表わされておるのだと私は思うのであります。どんなことを言うたつて、これは自由が保障されておるからいいのだということは、決してわれわれは考えておらぬのであります。この点から今日のラジオの放送を見ますと、まことに顰蹙すべき点が多々あるのであります。たとえて言うならば、平常な道徳観念を持つて終始いたさんとする家庭において、とうてい家族同席して聞き得ざるところの放送がたくさんあるのであります。かくのごときことは私は厳密な意味から言うと、自由を冒読する放送であると憤激する点が多々あるのであります。しかしながらこれに対して一体どういうような規制を加える道があるか、これはまことにこの放送法においては私は疑問だと思うのであります。まずこの第一条から第六条までは一般放送に対するところの規制であると思うのでありますが、さように解釈いたしてよろしいのですか、ひとつ局長より御答弁を願いたい。
  128. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま御引用になりました放送法の第一条から第六条までは、放送全般に対しますいわゆる総則でございまして、大体放送協会並びに民間放送――法律上は一般放送と称しておるのでありますが、共通の規定でございます。
  129. 齋藤憲三

    齋藤委員 この第一条に掲げてあります「この法律は、左に掲げる原則従つて放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて放送による表現の自由を確保すること。三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」かように明記されておるのでありますが、これから考えますと、今日の放送あり方というものはまことに顰蹙すべきところのものが多多あるのであります。これに対して当局はいかなる立場から、この第一条に即応するところの措置を今とつておられるのでありますか、これを念のために一応伺いたいと思います。
  130. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま御引用になりました放送法の第一条は、この法律が制定されましたもと、つまり法律のもとだと存ずるのでありますが、確かにただいま引用になられましたような意図をもつて、この放送法全体ができておるものと存ずるのであります。しかし現実問題といたしまして、もしも御指摘のような心配の点がございますならば、先ほど来たびたび郵政大臣からもお話申し上げてありますように、放送法改正ということがどうも必要になつて来ておるように思われますので、ただいま御指摘になりましたような問題も、一つの大きな研究課題として、ただいまいろいろ研究いたしております。成案をなるべく早く得まして、国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えております。
  131. 齋藤憲三

    齋藤委員 郵政大臣は今日民放ないしNHK放送を全般にお考えになられまして、この第一条の規定に即応しておるところの放送がなされておるか、なされておらないか、それを一体どうお考えになつておりますか、御答弁を願いたい。
  132. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 全体としては、私は大体この一条の規定に沿うた放送がなされておると思つております。ただ個個の問題につきましては、あるいはたまたまそういう問題があるかもしれません。しかしそういう問題はおそらく、起つた都度々々に、放送者の側においてあとで自省をして来られて、おのずからこれが是正されて行く、そういり程度のものであると考えておるわけであります。
  133. 齋藤憲三

    齋藤委員 放送は個々の放送が単位でありまして、個々の放送に欠陥があるのに、大局から見てこれが完全な放送になつておるということは私は言えないと思うのであります。これは俗に百日の説法屁一つという言葉がありますが、いかにりつぱなことを言うておつても、俗悪なる放送一つでもありますと、ここでりつぱな放送がこわれるのであります。ここに私たち放送というものに、国家的な重要な使命を感じておるのでありまして、今長谷局長が言われました通り、こういうような大眼目に即応するためには、この放送法ではとてもできないのだ、これも一つ放送法改正の根本原因であるとお述べになつたのでありますが、われわれは常にこの放送法の根本改正を一日も早くやつていただきたいということを申し上げておるのでありますが、確かに当局は遅々として足が進まない。まあこういうことを言つてはあれでありますけれども、今回の聴取料の問題にいたしましても、一体当局は何をやつておるのかさつぱりわからない。われわれは新聞記事によつてわずかに知るだけであつて、この三月三十一日で予算審議の期間が切れるというのに、まだわれわれの机の上には予算書も配付されないのであります。NHK当局意向はきまつておる、郵政大臣意向もきまつたということを聞いておるが、それがまだ閣議の決定も経ないという、一体どこでそういう意思がゆがめられておるのか。私はこの際郵政大臣責任において、はつきりとした態度をもつて、一刻もすみやかに予算書を出してもらいたい。また郵政大臣に私はお願いしておきますが、この予算書を提出せられるとともに、国会に予算の修正権があるかどうかという意見も決定して出してもらいたい。と同時に郵政大臣に、何回となく要求しておりまする電波に対する認識、電波に対する抱負経論、電波行政に対するあなたの根本的な考え方もひとつ出してもらいたい、それでないと私一人でも一週間でも十日でも質問をやりますよ。もうそれたけのお考えがあるはずなんです。それを逆に逃避するがごとき形において、われわれのところに重要な案件を持つて来ないのです。そういうような当局の怠慢によつて、われわれの責任は果されないのです。われわれはあくまでも徹底的な質問をして、NHKあり方放送あり方というものに対して、自分がこの委員会に籍を置いておる間において、できるだけのことをして行きたいと考えてはおりますが、当局は何をやつておるのかさつぱりわからない。そういうふしだらな態度をもつて、重大なNHKの予算を審議し、ことに今伝えられるがごとき料金の値上げが、するすると通るなどという安易なお考えを持つてつたならば、結局は郵政大臣の不信任を問われることになつて来ると思う。でありますから、この際慎重にして、かつ迅速な処置をもつて郵政大臣がお臨みにならないと、また非常に大きな問題が起きると思いますから、この点ひとつ御警告申し上げると同時に、郵政大臣の確固たる御所見を承つておきたい。
  134. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 逐次お答え申し上げます。最初の点でありますが、私が、全体としては第一条の精神にのつとつて行われておるとお答え申しましたのは、少くとも放送に携わられる人たち考え方としては、この線を十分頭に置いて行われておる。従つて大体の放送はその線で行われておると考えるが、たまにはその基準を逸脱した、例外的にそういうものもあるかもしれないが、しかしそれは是正さるべき性質のものであり、おのずから是正されておるという意味合いにおいて、お答え申し上げております。  それから予算が非常に遅れておりまして、これはまことに恐縮に考えておるわけでありますが、ようやく本日の閣議決定を見ましたので、内部的な手続が少し遅れておりますが、明日は国会側に御提案申し上げられる予定になつております。  それからお尋ねの国会側に予算の修正権があるかどうか、修正承認権があるかどうかという点は、調査をいたして、大体意見も出ておりますが、予算を御提出申し上げた機会にまた御質問によつてお答え申し上げたいと思います。  それから電波行政全体に対する基本の考え方、これも先般来御要求を受けておりまして、もう準備も整つておりますので、その機会にあわせてまた御批判を得たい、こういうふうに考えております。
  135. 齋藤憲三

    齋藤委員 古垣会長一つお願いを申し上げておきたいのでありますが、先ほど来いろいろ問題になつております放送内容あり方であります。これは決して私はどうのこうのと言うのじやございません。実際の問題として、NHK放送とそれから民間放送を対比いたしますと、それは内容全般にわたつてNHKの方がまさつておるのじやないかということを考えておるのであります。しかしそれにいたしましても、実際NHKは公共企業性を持ち、日本を代表するところの放送であるという観点から考えますと、私はあまりに貧弱であり、レベルが低いと考える。これは一体何に原因するのであるのか。NHKの経営というものに対して、非常に何か支障がある。いわゆる料金が不足のために、収入がないので、思い通りにやれないのか、あるいはまた何か機構の上において欠陥があつて、思うように運営ができないのであるか、いろいろなことがあると思うのであります。同時にただいま長谷川代議士からも申されました通りに、一体当局と御相談の上で、自由という立場におけるところのすべての問題を決定していただきたいと思います。これは今日新聞で問題になつておりまするこういうような内容は、私はよくわかりませんけれども、とにかくところどころにNHK放送といたしましても、国民の思想の上にどうであろうか、あるいは道徳上においてどうであろうかというような節は、随所に出て参るのであります。それで私の申し上げんとすることは、こういうことに対して、ほんとうに国家的に責任のとれる放送というものをひとつ御計画を願いたい、かように思うのでありますが、これはとりあえず放送法の根本改正という点にも触れるでありましようし、今後NHKの経営内容ないしは経営委員会あり方というものにも触れて来るだろうと思うのでありますが、こういう点と総合的にこの料金の問題というものを私は検討したかつたのでありますが、どうしても時日がないようでございまして、深く放送法の根本改正、あるいはNHKの経営内容にまで今回論議をいたしておりますると、とうてい日時が足りませんので、料金問題にからんで、随時NHK当局質問しなければならぬと思うのでありますが、これに対しましては、なるべく簡潔明瞭時間をとらないようにひとつ御用意を願つておきたいと思うのであります。この点ひとつ特にお願いを申し上げておきます。
  136. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど長谷川議員の質問に関連して、ひとつ会長にお伺いしておきたいのですが、長谷川議員は先ほど、過去の放送が今日までに国会を侮辱し、われわれ代議士に対しても顰蹙すべき発言が多々あつたという警告的な注意があつたわけですが、これに答える会長お答えは、これはある程度是認されて、今後十分注意するとお答えになつたように感じたわけですが、過去にやはり何かそういうような省みて放送内容について国会を侮辱し、あるいは顰蹙すべきものがあつたとお認めになつておるかどうか、それをまずお聞きしておきたいと思います。
  137. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。そういう意味ではございません。先ほど大臣も言われましたように、私もさきに述べましたように、放送というものはつつて出すだけで批判はできない、それを受ける方の反響を追跡して、そして初めてその放送が完全であつたか完全でなかつたかということがきまるのでありますから有力なる議員の方がそういうようなことをお述べになつたとすれば、少くともその方はそういう印象をお受けになつたのであろう、またその正反対の意見を持つ人もたくさんあり得る、そういう意味において、放送をする場合には、心むなしくして、よりよいものをつくりたい、どなたにも満足を与えるようにして行きたい、それはおそらく不可能であります。しかしながらそういう心構えを持つてやります。その意味において国会を侮辱したことがあるということは私は絶対に信じません。しかしながらもちろん受ける人がそういうふうにお考えになる場合には、その人に対してはその意見を聞いてそうして反省してみたい、こういう気持で申し上げたので、あくまで大臣も申されましたように事実を曲げないで放送する、たとえば国会において醜悪なる事件が行われた、国会の議員の方でも醜悪なる行動があつた場合に、それを隠すということはない。自然にそれが最も適当な方法で表現されるということはあり得るでありましようけれども、その反対に事実無根の誹誇をしたり何かすることはいけない。いわんや国会というものは国民の主権の存在するところでありますから、十分尊重していたしたい、かような気持を申し上げた次第であります。
  138. 原茂

    ○原(茂)委員 結論をつけますが、そうするとほかの問題はともかく、きようのじようだん音楽の場合、現在までの内容においては何らさしつかえはない、大臣も、現実のあの程度なら問題にするに足りない、こう言つておるのでありますから、今後もあの内容、あの程度のものは継続される、かように結論がつくと思いますが、さように解釈してよろしゆうございますね。
  139. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 始終私が申し上げますように、今後は一層よいものにしたい、そうして今まで通りのものをまねてやつて行く、同じ人間が同じ番組をやつて、そうして本日もすでに批判が出ておりますこの委員会委員方々も、あの番組についていろいろのことをおつしやつております。そういうものを絶えず耳を大きくして伺い、さらに聴取者全体の意見を聞きながら、よりよいものにし、より健全なものにして行く。ユーモア劇場という番組を組んでおります。その方針をそのままにやつて行きたい、そういうことであります。
  140. 成田知巳

    成田委員長 お諮りいたします。あすから日本放送協会の昭和二十九年度の予算を審議することになつておりますので、審議の便宜上、放送協会の経営者側の方に参考人として御出席願いたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 成田知巳

    成田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十七分散会