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1954-02-26 第19回国会 衆議院 電気通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十六日(金曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 庄司 一郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 原   茂君 理事 甲斐 政治君       加藤常太郎君    菊池 義郎君       齋藤 憲三君    片島  港君       松前 重義君    三宅 正一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   福田  勝君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         通商産業技官         (重工業局電気         通信機械課長) 森 雄次郎君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社経理局長   秋草 篤二君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  電気通信事業に関する件  電波管理に関する件     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  電波管理に関し調査を進めます。この際テレビジヨン受像機に対する物品税課税による昭和二十九年度税収見込み並びにテレビジヨン普及に対する見解について大蔵省当局より、さらにテレビジヨン受像機に対する物品税課税テレビジヨン工業に及ぼす影響について通産省当局より説明を求めます。まず昭和二十九年度におけるテレビジヨン受像機関係税見込み及びテレビジヨン普及についての見解について、大蔵省主税局塩崎税制第二課長より御説明をいただきたいと思います。――まだお見えでないなら、次に受像機に対する課税テレビジヨン工業に及ぼす影響について、通産省の森さんから御説明を願いたいと思います。
  3. 森雄次郎

    森説明員 御承知のようにテレビジヨン工業は、昨年の二月に日本放送協会から電波が初めて出ましてから、RCAその他の外国の諸会社との技術提携が成立いたしまして、やつと昨年の八月ごろからその態勢が整つて参つたのでございますが、この受像機高級品であり奢侈品である、かかるがゆえにこれに課税をするということで、先般の閣議でこれが全部三〇%但し二十九年四月一日から三十年の三月三十一日までの一箇年間は、十四インチ以下は一五%ということで決定になつたのであります。テレビジヨンセツト高級品であり、奢侈品であるというので課税をするということでございますが、ではどうして政府テレビ放送を許可したのかということを、われわれとしては一応考えなければいけないと思います。今や世界各国は、国をあげてこの工業育成に努めておりますが、それはテレビジヨン電波が出ますために、いわゆるエレクトロニクス工業が一歩前進するというような考えもとに、この放送が許可になつたと私は考えております。アメリカの三大政策を見ましても、エレクトロニクス工業が第三番目にあげられております。今後このエレクトロニス工業があらゆる産業面に応用されて来るということを考えますときに、通産省といたしましては、この母体となるところのテレビジヨン工業をどうしても育成しなければいけない。このテレビジヨン工業育成いたしますためには、一応電波が出ておりますから、その有効需要をある程度想定いたして立ててみますと、このセツト生産も開始しなければならぬ。それでテレビジヨン工業イコール高級品セツトであるというふうなお考えは、私どもとしてははなはだ心さびしい感じがいたします。テレビジヨン工業育成いたしますと、御承知のように部品の産業が勃興いたしますし、また測定技術、その他先ほど申しましたようなエレクトロニクス工業の基盤をここに養つて行くのであります。こういう観点からいたしまして、昨年の八月ごろからこの工業がやつと芽ばえ、しかもこれから各家庭普及をして行かなければならない。ただいままでの普及状況NHK資料によつて見ますと、大体業務用が多い。このテレビジヨン放送を各家庭へ、いわゆる文化並びに娯楽一つの器材として健全に侵透させて行かなければならないということを考えます際に、ここに三〇%の課税をされるということは、この工業力を低下させるとともに、その普及に非常な障害を来すと私は考えるのでございます。  一例をとつて申し上げますと、昨年の三月ごろにはテレビセツトが大体ブラウン管一インチ当り一万三千円ほどしておりました。そのときの普及というものは実に微々たるものでございますけれども、先般の本委員会でも御説明申し上げました通り、二十六年、二十七年、二十八年に約一億近いテレビ工業応用試験研究補助金政府は出しておるのでございます。しかも開発銀行その他一般証券発行銀行融員のめんどうを見ておりまして、この上業を近代化して行くために、政府は一応この工業に対してはつきりした育成方針を立てておるのであります。そういうものがだんだん芽ばえまして、昨年の六月には大体一インチ当り一万一千円に値が下つて参りまして、現在は一インチ当り一万円という安定した価格になつて参りました。そこでその後NHK普及においてどういうよう影響しておるかを調べてみたのでございますが、六月には平均の小売値が一五%下つて参りました。それで六月には一インチ当り一万一千円となつておりますので、八月は七月に比べて普及率が五六%増しております。また昨年の九月の普及率は八月に比べて七五%も増しておる。これはセツトがだんだん安くなつて参りましたために普及率が上つて来たのであります。しかしこの普及自体業務用でございますが、二十九年度はこれを健全な家庭文化財あるいは娯楽財とするためには、よりよく設備を近代化して価格を下げて行つて、早く一般国民が親しまれるようにしなければならぬ。そこへこの三〇%の課税をされ、しかも外国技術特許料を約五%も加えるということになりますと、おそらく二十九年度の普及予想の半分にも達しないのではないか。しかもわれわれとして最も警戒いたしますのは、せつかく昨年の十二月に重工業局におきまして、テレビジヨン工業確立対策要綱を立てまして、あらゆる面において工業育成して、来るべきエレクトロニクス工業への発展を期しておる時期に、セツトに三〇%も課税されますと、この工業は衰微してしまうということを私たちは考えるのであります。  なおテレビジヨン工業イコール家庭用受像機ということではありませんで、最近は工業用テレビジヨンというものが次第に芽を出しまして、各電力会社あるいは医学用に各大学でも現にね使いになつておりますけれども、あるいはまた学校用として、顕微鏡を見る場合にこの工業用テレビジヨンが非常に利用されておりまして、この工業用テレビジヨンテレビジヨン工業の一角をなすものでございます。わが国において最も遅れており、しかも最も新しいテレビジヨン工業がこれから芽ばえて行こうとするときに、非常に高い課税をされることははななだ遺憾にたえない次第でございます。ことしの二十八年度の普及予想も、NHK等応五箇年計画もとにお立てになつておりまして、これは電波の出るいわゆる放送局が非常に遅れたということもありますが、通産省といたしましても、二十七年の十一月ごろに各地方にテレビ放送局電波を出すというような想定のもとに、普及の一応の目安を立てたのでございますけれども、現在はまだ東京地区だけで約一万台というようなNHKからの資料をいただいておりまして、まことにその普及の遅々たることを感じております。これは先ほど申し上げましたように、業務用が大体主体でございます。ことしは家庭へこれが入りまして、先ほど申し上げましたように教育用あるいは科学、あるいは文化的な健全なる方面、また娯楽機関、こういう方面普及に努力しなくちやいけないのではないか、こういうような考え方を持つております。
  4. 成田知巳

    成田委員長 昭和二十九年度におけるテレビジヨン受像機関係税収見込み及びテレビジヨン普及についての見解について、大蔵省主税局塩崎税制第二課長より説明を求めます。
  5. 塩崎潤

    塩崎説明員 テレビジヨン課税につきましては、去る十一月税制調査会がその答申を発表いたしまして、その課税について推奨して参つたわけでございますが、私どもといたしましてその後の生産取引の実情をよく調べまして、何分普及過程にあるということを考えまして、税制調査会答申におきましては一律に三割課税になつたわけでございますが、政府案におきましては、これを大型小型とにわけまして、十四インチ以下の小型のものにつきましては一年間一五%、それ以上の大型のものにつきましては三〇%というふうな考え方で案をつくつております。昨年テレビジヨンがようやく工業化されて普及されまして、私ども課税のことも考えたわけでございますが、その課税趣旨は何と申しましても物品税課税物品は相当範囲が広うございます。その類似品目、たとえば蓄音機あるいは映写機、あるいは税率は違いますがラジオ等関係から、課税してはどうかという意見もあつたわけでありますが、何分普及過程でもありますし、アメリカ例等を見ましても、普及の当初にはしばらく猶予しておつたような事例があはたわけであります。今回は政府の全体の政策消費節約あるいは耐乏生活というような線が強く出ましたので、今申し上げましたような線で物品税課税対象に拾い上げたようなわけでございます。  次にただいま委員長からお話がございましたように、これをどの程度収入に見ておるかということでございますが、物品税全体の今回の増収額は大体十億でございます。このうちテレビジヨン関係が約五億円ほど見ております。この五億円のよつて来ます根拠は、ただいま申しますように、一律に大型につきましては三割、小型と申しますか、十四インチ以下のテレビジヨンにつきましては一割五分でありますが、そのもとになりますところの生産実績は、大体月二千台くらいの生産を見込みまして、これを過去の生産実績もとにいたしまして、七インチ、十インチ、十二インチ、十四インチ、十七インチ、二十一インチ、このおのおのの型にわけましてその数量を推定いたしたわけでございます。二千台の根拠は、十月、十一月の生産実績が大体二千台くらいでありまして、今後はこの程度生産が続くのではなかろうか。将来伸びるかもしれませんが、この程度税金をかける際には、二千合くらいの生産実績を見込めばよいのではなかろうかというつもりで考えたわけであります。その間の大型小型につきましての割振りは、過去の実績考えまして、それをもとにして、三割と一割五分の課税影響考えまして推定いたした、こういうふうになつておるわけであります。大型の方が大体五割五分、それ以外のものは大体小型、こういうふうに課税の基礎を考えております。以上が大体テレビジヨンに対する物品税課税考え方収入見込みでございます。
  6. 成田知巳

    成田委員長 ただいまの政府関係当局説明に対し、質疑の通告があるのでこれを許します。その前にちよつと今の説明ですが、テレビジヨンの税を約五億見込んであるという数字を上げたのですが、十億は物品税増徴見込額ですね。物品税全体では一体幾らになりますか。
  7. 塩崎潤

    塩崎説明員 物品税全体は、来年度予算では二百四十二億九千八百万円であります。その中の増収分が十億でございます。
  8. 成田知巳

  9. 松前重義

    松前委員 テレビ受像器に税をかけられるというのは、政府の基本的の政策従つておやりになるというお話でございますが、テレビ受像機は、ずつと将来を考えてみてぜいたく品とお思いになりますか、それとも文化生活に最も必要なるぜいたく品でない必需品であるというようにお思いになりますか。
  10. 塩崎潤

    塩崎説明員 間接税におきまして、ぜいたく品という概念がよく出るわけでありますが、なかなかむずかしい概念でございまして、私どもといたしましても、ぜいたく品として課税することはなるべく避けておるわけであります。物品税として拾い上げているものがみなぜいたく品かと申しますと、必ずしもそうでもないような品目が相当あるわけでありまして、私どもといたしましては、必ずしも生活必需品とは考えないわけでございますが、他の課税物品との権衡上、この程度税負担はしていただいてもよい物品の性格ではなかろうか、かように考えておるわけであります。高級品と申しますか、相当文化的な品物につきましては、私ども課税いたしておりますが、これは高級品というふうに定義した方がよいのではなかろうかというように考えます。
  11. 松前重義

    松前委員 あまりくどくどしいことは申しませんが、テレビジヨン普及している国では、大体テレビ家庭に持つている人は労働者階級が多い。お金持は、大体芝居なら芝居を見に行くのであります。時間とお金使つて直接見にいらつしやる。しかし時間とお金のない人は安く、これを安価にあげなくちやいかぬのでありますから、うちで見る、こういうかつこうで、実はテレビが非常に普及しておるようになつてつておる現状であります。課税方針として、これを高級品とみなして課税されるということでありますが、その意味から見ますと、高級品というものは少しぜいたく品と申しますか、なくてもいいものだ、こういうような概念の上に考えられた言葉であろうと思うのですが、そうなると、これは行く行くは大衆課税になるおそれがあるということが第一の問題として考えられると思うのであります。これに対して見解を伺いたいと思うのです。  総合的にお答えを願いたいと思うのですが、もう一つの問題は、大体テレビが始まつてから一年になりますか、まだならぬでしよう。日本工業というものがようやく今育ちかかつて来た。それで日本のような国はエレクトロニクス、すなわち電子工業というようなものが、日本国民性にも合うし、同時に資源の貧弱な国であり、人口の多いところですから、こういう工業中心にしてアジアの各地に輸出するということで、日本国民経済を向上させる、こういうふうに持つて行くのが根本的な政策でなくちやならぬと思うわけです。それであるならば、今芽ばえにおいてこれをつむ。その普及をここで妨げるというよなことは今なすべきことではない。かつて英国がテレどを非常に奨励いたしました。大体英国は奨励をしてむしろ補助金を出した。税なんてかけることはもつてのほかの話であります。とにかく補助金を出したのであります。そうしてわれわれが一九三四年にロンドンに行つたときには、どんどん補助金を出してテレビセツト家庭普及し、そうしてまた放送局をつくつてつてつた。それらは何であるかといえば、国の将来の産業革命に備えるためにも、とにかく一応ここに保護政策をとつて、その技術中心として世界市場の開拓を目ざしておつたということは間違いない。現在すでに英国工業は非常に進んでおります。いろいろな意味において彼らのやりました政策は生きて来た。ただ税だけの関係から、とればいいというようなことのみ、これが自由党の政策であるというならば、これはまるで国の産業芽ばえにおいてつむ政策である。こういうふうに思うのでありまして、こういう点について大蔵当局の御見解を承りたい。
  12. 塩崎潤

    塩崎説明員 くどくなりますので、何度も繰返すようなお答えになるので恐縮でございますが、松前委員の第一点の御質問は、大衆課税になるではないかというような御質問でございますが、現在の物品税は大体七十何品目課税いたしておりますが、相当一般普及いたしまして大衆的なものも入つておるわけでございます。これらとの権衡上、ある程度負担はやむを得ぬではなかろうか。ことに製造者価格の三割あるいは一割五分でございます。小売価格にいたしますればその半分くらい、たとえば一割五分、七分くらいな消費者負担になるのではなかろうか、こういうことを考えますれば、この程度負担、ことに十何万円もするようなものが買える人は、現在の段階ではこの程度負担をしていただいてもいいのではなかろうか、こういうふうな私ども気持があるわけであります。  第二点の工業育成見地でございます。御趣旨通りどももその見地考えまして、一年間は目をつぶつて来たわけでございます。一年では早いじやないか、こういう御質問になるかもしれませんが、たまたま今回の税制改正方針が、国際収支改善消費節約を強く出した線が出ておりますので、これに乗つて新しく課税しよう、こういう趣旨であります。もう一つただいま申し上げましたように、課税するにいたしましても、小型製品につきましては一五%程度の半分の税負担でなお普及をはかつて行こう、こういうような配慮をいたしておるつもりでございます。
  13. 松前重義

    松前委員 物品税の問題でありますが、テレビに関連した税金の問題について、今のようなお考え方では、日本国産工業というものはなかなか興りません。税制当局はことに根本問題をお考えになる必要があると思う。たとえばRCAテレビに使うブラウン管、その特許日本輸入するときに、現在二十社以上がおのおのRCA契約を結んで輸入しておる。このうちどれか一社、どの会社でもいい、一つこれを輸入してみなにこれを使わしてやれば、特許料が二十分の一で済むわけです。とにかくこのように海外から特許を買つて来て、そうしてそれを並列――パラレルに向うとつながつている。シリアスにつながつていない、こういうことで、非常に国費の浪費をやつている。私はこのような特許輸入に対しては、物品税をかけるよりもうんと課税する。物品輸入には課税しておるが、特許輸入には課税していない。そういうところに抜かつておる。そして日本国産を私は奨励すべきものだと思う。目に見えるものだけを税課するということは、これはまるで幼稚な課税方法であつて技術根本である特許のようなものに私は課税すべきだと思う。しかもそれがまるで無統制に、二十社もそれぞれ契約を結んでおる。まるで日本アメリカにとつて、実にぐあいのいい特許市場であり、技術市場であると私は思う。こういう国では産業は興りません。税制根本問題に間違いがある。つまらぬところに、一つくの機械なんかに課税をするよりも、ここに課税をしておやりになることが必要だと思う。そしてかたがた国産を奨励する、国際収支改善もここにはかられると思う。こういう点でどういうふうにお考えになりますか。
  14. 塩崎潤

    塩崎説明員 第一点の技術の問題、私ども何分しろうとでございますので、松前先生の御趣旨に沿うかどうかわかりませんが、第一点の技術の導入につきましてはロイアルテイ課税の問題で、私は間接税関係所管ではございませんが、ロイアルテイ課税関係考えるべき問題と考えております。そこら辺、一社で輸入した方がいいか、あるいは数社で輸入した方がいいかという点につきましては、これは税金を面を離れております。ロイアルテイの方をどういうふうに課税するか、これは日本技術水準とあわせて考えて行くべき問題と考えております。  それからもう一つ、今日に見えるところだけ課税しておる、こういうお話でございますが、現在外国テレビが相当入つております。これは御承知通りでありますが、その中には相当大型のものも多いわけであります。そういたしますと、今度の物品税法改正案によりますと、大型のものにつきましては三割の課税、今後日本におきましては十四インチ以下の小型のものを普及さす。そのために生産数量が多くなりまして、アメリカなんかで多く出ます大型のものにつきましては関税もかかりますし、その上になお三割も高い税金がかかる。こういうことになりますれば小型ではありますが、日本テレビ工業はより普及できるのではなかろうか、こういう考え方も成り立ち得るのじやなかろうか、こういうふうに思つております。
  15. 松前重義

    松前委員 私の申し上げたことに対するあなたの御答弁は、どうも核心に触れていないと思います。問題は現在テレビジヨン装置を八十社でつくつております。ほんとうに小さなところまでもテレビジヨンテレビジヨンでこれにくつついてやつておると思うのでありますが、これで会社が立つて行くかどうかは別問題として、八十社もが生産をやつております。そしてRCA特許使つておるところが、大体テレビジヨン全体のコンストラクシヨン、いわゆる構造の特許としてのこのRCA特許使つているものは三十五社あります。これがまたそれぞれ――先ほどのものはRCA真空管のものです。今度はRCAセツトですが、これは大体三十五社がそれぞれやはり契約を結んでやつております。こういうふうでありまして、わが国国際収支改善というような話が先ほど来ありましたけれども一体特許輸入するということは、海外特許を使わしてもらうために、まあアメリカのものならアメリカに対してロイアリテイを払う、払つた上にそのつくつた品物日本以外のところには輸出はしません、すなわち日本だけを市場にする、こういう契約が必ず裏の方に結ばれておることが今までの慣習です。アメリカはこうしなければ絶対に特許は出しません。だからわれわれは技術の向上のために、いろいろ政府を鞭韃して、やれということを言つておるのです。とにかくこのようにしなければ、こういうふうな条件のもとにおいてのみ特許契約は成立して来る、こう言うのです。でありまするから、国際収支改善なんというものを政府根本方針できめたからこれをやる、そういうふうな話がありますけれども、しかしそこには私は根本的なあやまちがあると思う。すなわち国際収支改善は、いわゆる外国特許を入れてつくつた品物海外には出しませんという契約なら、できるはずはありません。輸出などできません。そこで私は国産を奨励するという意味合いのこのような特許に関する問題に対する課税は、これはよほど政策的な吟味をしまして、そうしてその上で決定しなくちやならぬと同時に、まだ芽ばえで、昨年まだ始まつたばかりの日本工業に対して――この八十社というものはまだおそらくもうかつてはおりません。テレビセツトはまだ高いです。おそらくもう二、三年すればずつと安くなる。そうして普及して来ます。そういうときならばこれは多少のものは考え得るかもしれませんけれども、しかし現実の問題としては、芽ばえをつんで、小さな赤ん坊でおつぱいを飲まなくちやならぬときに、かたいお米を食わなくちやならぬというような、消化力を無理やりにしいるようなものであると私は思うのです。そういう親心は全然あなたのお気持にはないような感じがするのですが、どうですか、もう一ぺんひとつ……。国際収支と両方、二点です。
  16. 塩崎潤

    塩崎説明員 第一点のロイアリテイ課税の問題は、おつしやる通りどもとしても考えてみたい、かように考えております。ただ私の所管ではないものでありますから……。たとえばこれがロイアリテイ課税になりますと事業者課税になりますし、あるいはアメリカ人に対する課税になり国際的ないろいろな影響もございますので、これは慎重に考究して参りたい、かように考えております。  第二点の育成の件でございますが、これは先ほどから申し上げております通り、私どもも一年間は目をつぶつて参りましたし、時あたかも緊縮政策が出て参りましたので、この機会にひとつ税金を払つていただくということは、無理のない考え方ではなかろうかというふうに私ども考えております。その際には製造者価格の三〇%、ことに小型につきましては、製造者価格の一五%ぐらいにしますれば、まあこの耐乏生活の世の中で、小売価格に還元いたしますれば一五%ぐらいから七%ぐらいの税金は出していただいても、そう工業の発展を阻害するというふうには考えられないのではないか。まあ繰返すような答弁になりますが、かように考えております。
  17. 松前重義

    松前委員 これはいくら押問答をやつても同じことでありまして、これ以上質問はいたしません。但し、これは非常にまずい御提案だと思うのです。日本工業をこんなふうにして、芽ばえでつむようなことは絶対になすべきではないと思う。しかも日本は遅れておりますよ。英国なんか、まだどこもやつていないときにすでに補助金を出して――税金をかけるどころではないのです。どんどん育成して来た。それがほんとうの国策でなくちやならぬ。それを自然に生れて来たから、これは税をかけてやれ、まだ芽ばえのうちにつんでしまえ、栴檀は双葉より芳ばしくないものに向つて、ひよろよろしたものに向つて、税をかけてこれを痛めつけるということはしてはいけませんよ。これはぜひひとつおやめになつていただきたい。
  18. 成田知巳

    成田委員長 齋藤憲三君。
  19. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 ただいまの松前委員質問に関連する質問でございますが、このテレビジヨン課税はどうも根本的に、郵政当局と通産当局とそれから大蔵当局との考え方が違つておるようであります。今通産当局の御説明を伺いますと、二十六、七、八年に一億円の助成金が出たということであります。そこでちよつとお伺いいたしますが二十九年度は助成金はどういうふうにお取扱いになつておりますか。
  20. 森雄次郎

    森説明員 二十九年度の試験研究所の補助は、二月末日をもつて締め切ることになつておりますので、まだ資料が手元へ参つておりません。二十九年はトランジスターを主としての助成を強力にして行きたいと考えております。テレビに関しましては、もうここ三年間に各試験研究として補助をいたしておるわけであります。
  21. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは大蔵省の主税局の課長お話申し上げましてもむだだと思いますから委員長におかれまして、ひとつ近い機会に大蔵大臣と郵政大臣と通産大臣の三人をここへ呼んで、その思想統一をはかつてもらいたいと思うのであります。  過去一億円の助成金をやつてようやく今が芽が出た。しかし世間ではテレビジヨンそのものを見て、これはぜいたく品であるとかないとかいうことを言つておるのです。これは一体なぜぜいたく品かと、こう言うと、一インチ一万円もするような高いものである。十四インチもあると十四万円かかるじやないか、こういう観点から高級品だ、ぜいたく品だということを考えておるのでありますけれども日本全体の新しい産業態勢ということから考えますと、これをいかに安い、いいものにつくり得るかということが、日本産業に対する課題なのであります。結局するところ、今通産当局の考えておられることは、このテレビジヨンを近い将来において少くとも百万台ぐらいつくらなければ、テレビジヨンの仕事というものは発展しない、それだからどうかしてこれは一台四万円ないし五万円の安いテレビジヨンをつくり得るような域に到達して、それの普及をはかつて、ここに新しいエレクトロン工業の樹立をはかつて、それをさらに転換して輸出貿易にまで持つて行きたいという考えであるということを聞いておつたのでありますが、これに対してはわれわれは双手を上げて賛成するのであります。そういうテレビジヨン受像機そのものだけを見るということは、これは問題でありましようけれども、今世界の先端を走つておるところの工業、すなわちエレクトロニツク工業というものの一部分としてテレビジヨンというものを見ますと、これはどうしても助成をして、世界各国に劣らざる、もつとすぐれたテレビジヨン工業というものを樹立する。それがすなわちエレクトロニツク工業が世界の水準よりももつと日本の方がいいという証左になるのです。もしそういうところに日本工業の助成というものを持つて行かなかつたならば、どうして日本の国が立つのでありますか。私はこの前も言つたのでありますが、これは高利貸のような根性を持つたところの課税方針なんです。つぶれたつてつてしまえばいいというのではないかと私は思う。一体三割の課税を受けてテレビジヨンか売れますか。三割の課税をしてテレどジヨンが売れるという観点のもとに立つて課税方針をおきめになつたのかどうか、これはあなたにはおわかりにならないかもしれないが、念のために伺つておきたいと思います。
  22. 塩崎潤

    塩崎説明員 片一方国で補助しながら、消費税というものを徴するのはおかしいではないかという議論のようであります。私どもといたしまして、なるべく税金がない方が助成の方向は楽であろう、こういうことは十分存じております。ただ事業者に対する直接の補助と、それからまた消費者が払いますところの消費税というものは、私は別途に考えていいのではないか、こういうふうに考えております。ひとつそういうふうに御了解願えれば仕合せであると思います。  それからもう一つ三割課税すれば売れないのではないだろうかということは、これはなかなかむずかしい議論になるわけでございますが、私どもといたしましては、現在の普及状況ならばまだまだ数量も少いようでございますから、二千台くらいの売行きはあり得るのではなかろうか、先ほど申し上げましたように三割の税率になりますが、小売価格によりましてはその半分くらいの税負担になりますので、消費者から払いますものは、たとえば製造者側から十万円、税金が三万円といたしますれば、小売では三割になつていないのだ、こういうことも言えますので、この程度負担ならば払えるのではなかろうか。ことに小型テレビジヨンにつきましては一五%でございます。ことに小型テレビジヨン普及することか、日本の家屋の構造からもいいといわれております。私どもといたしましては一五%程度ならばまずまず売れるのではなかろうか、かように考えております。
  23. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 十インチ、十四インチ、十七インチというものの製造原価はどのくらい違いますか。
  24. 森雄次郎

    森説明員 ちよつと資料を手元に持つておりませんので、あとから調べてお答え申し上げます。
  25. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 先ほど通産当局から御説明がございましたが、私はここにちよつと持合せがございませんが、昨年の暮れごろでございましたか、昭和二十九年度における通産省のいわゆる生産態勢に関するエレクトロニツク工業のあり方ということを御発表になつたものを私は拝見いたしたのであります。この問題に関せず、いわゆるトランジスターその他一切のエレクトニツク工業昭和二十九年度における助成態勢というのですか、助長態勢というのですか、そういうものは通産省といたしましては一体どれくらいのウエートを持つて考えておられるのでありましようか
  26. 森雄次郎

    森説明員 今齋藤先生からお話がございましたように、十二月五日にこの席で申し上げましたテレビジヨン工業確立対策要綱、これは当時これについていろいろお話申し上げておりますが、二十九年度予算におきましては、応用研究並びに工業化の補助金が、二十八年度と大体同額の七億が、この補助金の予算に入つております。先ほど申しましたように一番遅れておりますエレクトロニツク工業の基幹になる材料、あるいはトランジスターのような部品につきましては、今ここで幾らの助成金であるということは決定いたしておりませんけれども、大体二十八年度と同じくらい、この応用研究を今度は工業補助金というような方向に持つて行きたい、こう考えております。この設備の近代化並びに合理化の設備資金につきましては、今ここで、開発銀行あるいは債券発行銀行その他によるあつせんをして行きたい、こう考えております。これもそのわくというものが、二十九年度の予算面から見ますと相当きゆうくつになつております。けれどもわれわれといたしましては、一番遅れております、しかも重要なエレクトロニツク工業の方へ、この融資のあつせんをして行きたい、これも今ここで幾らといつて金額はまだはつきりわかつておりませんが、少くとも二十八年度と同額ぐらいまでは持つて行きたい、こういうふうに考えております。そのとき申し上げましたようにサービスの協同組合あるいは月賦販売の協同組合、こういうものにつきましては、月賦販売の方は来年度はNHKの例の放送債券による資金を中小金融金庫によりまして、融資のあつせんを助力して行きたいと思つておりますし、またサービスをやる協同組合、これも同じく中小企業庁の方にも連絡をいたして、現在できておるものはやつております。来年はより以上にこのサービスということに力を入れて行きたい、こういうようなところでございます。
  27. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 大蔵省に伺いますが、税制調査会ではどういう答申をいたしたのでありますか。
  28. 塩崎潤

    塩崎説明員 税制調査会の全般的な考え方からスタートしておるわけでございますが、現在の税負担は相当重いと思います。一番重い税金は所得税を中心といたしますところの直接税でございます。直接税を下げて、そのかわりにその減収を補填する意味において間接税の増徴をはかつてつたらどうだろうか、こういう考え方が基本的な考え方になつたわけでございます。その際になるべく奢侈的なものあるいは高級品を選んで行くという考え方でスタートいたしまして、物品税をまず取上げまして、そのうちのたとえば高級大型乗用自動車に対します税金を三割から五割に上げる、それからテレビジヨンに対しまして三〇%の税率を新しく課税する、その他奢侈品高級品、嗜好品に対して増徴ないし新課税を行う、こういうことを答申しておるわけでございます。
  29. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 高級自動車を三割から五割に上げると、どのくらい税収入が違うのでございますか。
  30. 塩崎潤

    塩崎説明員 この種の税制調査会考え方と今度の政府考え方とは必ずしも一致いたしておりませんが、税制調査会答申は、私ども輪距々々と言つておりますが、百二十インチ超過のものを三割から五割に上げる、こういう答申でございましたが、今回の案におきましては、百二十インチ超過のものと同時に、気筒容積が四千CCを越えるものもまた大型自動車を見て引上げて、初年度大体四億六千万円ほどの収入を見ております。
  31. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そうすると税制調査会では、外国製の自動車とテレビジヨンと同じような考え課税するというのですか。
  32. 塩崎潤

    塩崎説明員 税制調査会答申は必ずしもこまかく言つておりませんので、その例示といたしまして高級大型乗用車を出し、それからテレビジヨンを出したわけでございます。その他小さな物品につきまして、たとえば電気冷蔵庫というようなものもまた別途に上つております。私の申し上げましたのは非常に説明不十分でありましたが、例示の点を申し上げたわけであります。
  33. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 この税制調査会のメンバーと、それから権限は一体どういうものですか。
  34. 塩崎潤

    塩崎説明員 税制調査会昭和二十八年の八月七日の閣議決定に基きましてでき上りましたものでございます。メンバーは二十四名でございます。権限は税制運営の現状と経済情勢の推移にかんがみまして、国税地方税を通じてわが国現下の実情に即した合理的な租税制度の確立を期するとともに、税制及び税務行政の簡素化、能率化をはかるために必要と認められる改善事項を調査審議する、こういうようなことになつております。
  35. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 あなたでおわかりになるかどうかわかりませんが、テレビ課税は、一体現在の最先端におきます重要な生産に重大な影響があるということを一応お考えになつて課税でありますか。
  36. 塩崎潤

    塩崎説明員 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、税金というものはなるべくないかまたは低い方がいいということは考えておりますが、緊縮政策と申しますか、消費抑制の大きな政策もとにおいてはやむを得ないものではなかろうか。税制調査会答申の状況も私ども聞いておりましたが、この機会におきましてはテレビジヨン課税もやむを得なかろう、こういう趣旨であつたように私どもつております。
  37. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 あなたのお考えはどうなのかというのです。
  38. 塩崎潤

    塩崎説明員 私の個人的意見も、大体同様な気持を持つております。
  39. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私どもの申し上げようとするのは、これは物品税としてうまく行つてわずか五億です。何べんも申し上げますように、あなたは御存じないかもしれませんが、防衛態勢からいつても次の時代を支配すに生産態勢からいつても、エレクトロニツク工業は今世界における生産の最先端を走つておるものだ。これで一体日本が伸び得るか伸び得ないかというような、重大な岐路に立つておる生産事業なんです。その代表的な一つの現われとして今テレビジヨン工業が出て来ておる。現在においては高いから奢侈品に見えるかもしれない。しかしこのテレビジヨンがいかに進歩するかということは、テレビジヨンそのものの進歩ではなくて、エレクトロニツク工業の進歩を代表して行くものである。そこで一生懸命になつて日本でもつて、なけなしの金を一億もかけて助成して、ようやくこれまで育て上げて、これからどうして安くして普及をはかるかという建前においてテレビジヨンの製造に当つておるものは懸命にやつておる。そこへ向つてぱつと税金をかけられると、挫折するのではないかと非常に心配される。でありますから、そういう税金のかけ方は、とればいいという主義の税金のかけ方なら別だけれども、ほかに幾らでもかけ方があるでしよう。もつと日本の新しい場面を切り開く生産態勢に影響がなくして、ほんとうにぜいたくで一般大衆に関係のないもので、税率を上げれば五億でも十億でも二十億でも出るものがあるでしよう。何がゆえにかように今ようやく芽ばえつた近代工業の芽をつむがごとき悪税をかけるのか、大蔵省のそういうものの考え方が私はわからないのです。それであなたのお考えを聞いておるのです。失礼な話ですけれども、あなたにはエレクトロニツク工業いうものはわからぬでしような。どうですか。
  40. 塩崎潤

    塩崎説明員 私は税金の方専門でございまして、おつしやる通り工業技術につきましては決して知識があるとは申しません。ただ税金の点につきまして今ほかに財源が相当あるのではないか、大衆に影響のないもので今までの税金を相当上げればいいではないかというお話でございます。しかし御承知通りたとえば砂糖消費税にいたしましても、酒税にいたしましても、相当税負担は高いわけでございます。しかし高いとはいいましても、ことに酒税のように昨年あまり税金が高いというわけで税金を下げたものも、今回は政府といたしましては若干方針の変更のように見えますけれども、特に奢侈的と申しますか、高級品と認められる特級、一級とか、あるいはビールにつきまして税金を上げた。砂糖は去年も上げましたが、また今回も上げるというようなことで、相当私どもといたしましても大衆に影響のない点を上げて来たつもりであります。しかしそれにいたしましても、全体の緊縮政策との調和、それから物品税におきますところの他の物品との負担権衡、これらから考えまして、この程度テレビを買う人に負担していただいてもしようがないのではなかろうか、こういうやむにやまれぬ気持から出たわけでございます。
  41. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 ほかに幾らでもあるというのは、生産関係のない、大衆の生活に関係のないりつぱなビルヂングなんか倍の税金をとれば、こんなものはゼロになるのではないですか。私たちはそういうことを言つておるのではないのです。こういうふうに重大な国家の生産の芽をつむようなことはやらぬ方がいいではないかと、こう言うのです。生産関係のないものがたくさんできていますよ。大衆の生活に直接関係のない、将来の日本生産に対して大きな影響のないものに対してどうして重税を課せないか。とにかく世界においてどうしてもやつて行かなければならないこういう工業の芽をつむがごとき税金を、あなたは一体悪税と考えないのか、正当な税金であると考えておるならば、それは論議の外でございますけれども、国家の代表的な生産に密接な関係のあるもの、しかもこれを一生懸命育てなければいけないというので、その所轄官庁が補助金をやつて育て上げて来たもの、それに対して三割ないし一割五分の税金を突如としてかける。しかもそのテレビジヨンは、大衆が一刻も早く安いテレビジヨンのできることを要求しておる。しかも今はテレビジヨンというものを許可して、新しいマイクロウエーブの設備によつてなるべく日本全国に普通しようということが一つの国策として行われておるのです。そこへ向つてわずか五億円の税金をとるために、この芽を刈るがごとき税金を許することが、一体大蔵省の課税方針であるかどうか。この質問はあなたには少し過重かもしれぬけれども、あなたも将来あられるのでしようから、それに対してここで御意見を開陳してください。
  42. 塩崎潤

    塩崎説明員 何度も同じような答弁になつて恐縮でございますが、ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。まず第一点のビルデイングの問題、これもまた最近世間を騒がしておりますように、不動産取得税の問題でビルデイングに課税するとは何事だ、こういうふうに言われておるわけであります。また奢侈繊維品に対する課税におきましても、御承知通り向うはち巻でたくさん国会に押し寄せる人があるような状態でありまして、税金というものはなかなか納得していただけないものでございます。ただいま申し上げましたように、ことにテレビジヨンに対します課税は、工業に対する課税ではなくて、消費税だという趣旨をくんでいただいて、消費者に払つていただく。それを工業はうまく転嫁していただく。実際は転嫁の問題で事業者負担になるのだ、こういうお話になるかもしれませんが、現在の普及状況から見まして、まずまずこの程度の消費税ならば消費者も払つていただける。しかも今回における政府政策に合致するのではなかろうかと考えているわけでございます。
  43. 成田知巳

    成田委員長 原茂君。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 先に塩崎さんにお伺いしておきたいのは、物品税の二十九年度総額を約二百三十五億と見込んでおられるようですが、昨年度――もし実績がなければ二十七年度でいいのですが、当初見込んだ物品税額と実際収入した金額の比較を伺いたい。
  45. 塩崎潤

    塩崎説明員 お答え申し上ます。物品税の二十八年度の当初の見積りは二百二十一億八千三百万円でございましたが、去る十二月の補正予算におきまして二百四十二億八百万に補正いたしております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 実績を伺いたい。
  47. 塩崎潤

    塩崎説明員 現在までのところ十二月までの実績しか私持ち合せておりません。二十八年度はまだ締切つておりませんので、四月になりませんと決算はわかりませんが、大体この程度収入になるのではないかと見ております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 最初申し上げたのですが、もしなければ二十七年度の実績でけつこうです。
  49. 塩崎潤

    塩崎説明員 二十七年度の物品税の予算は百九十七億六千四百万、これは当初の見積りでございまして、若干補正で直つているかもしれません。収入実績は二百五億八千百万、かようになつております。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 当初予算と実績とを見ますと――他の税金も大体そうですが、この物品税においても、二十七年度も実収がふえているわけですね。二十八年はどうですか。この率くらいはふえる見込みでしようか。
  51. 塩崎潤

    塩崎説明員 最近までの計数はございませんが、二十八年度の補正予算につきましては、最近の数字で補正いたしました関係上、これ以上あまり出ること――絶対にこれと合致するとは申しませんが、これ以上特に上まわるとは現在のところ考えておりません。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、これは前にさかのぼつて調べてみればわかると思いますが、大体物品税も当初予算見込よりは実収が増加する傾向を今までたどつて参りましたから、今年度もおそらく多少でもふえるだろうということは考えられるのですが、それを先にお伺いしておいて、あと先ほどの御説明の中に、大蔵当局としては工業振興に対しては十分に意を用いている。この振興しようという考えに相当の熱意を持つておられるような説明を聞いたわけです。そこで世界的に遅れている日本の科学を振興させようとする建前から、このテレビジヨン課税というものを考えて、できるなら課税したくなかつたにもかかわらず、奢侈品という建前からこの程度のものはやむを得ないという考えになつた。そこでそういう考になるまでの決定の段階におきまして、一体大蔵省の科学技術を、この工業を振興させようという精神を、一体どんな会議、どんなところにその気持を現わして、十二分な意思の具現をはかろうと努力されたか。たとえて言いますと、主税局だけが単独でこれを審議し、このことを考えたのか。塩崎さんは先ほど税金の専門であつて工業のことはよくわからないと言われた。私もそう思う。そうした場合に、工業振興を十二分に考えている以上は、この専門家あるいは担当の当局の関係者に十二分に工業振興上の意見を聞いて、しかる後にあなた方の今出されている答えを出すのが順序だと思うのですが、そういうことをおやりになつたことがあるか。あつたとすれば、どの機関のだれと協議をされたか、それをお伺いしたい。
  53. 塩崎潤

    塩崎説明員 まず第一点の大蔵省はどういう配慮をしたかという点でございますが、私がさきに申し上げましたように、テレビ普及し始めまして一年でございます。大体物品税というものは、――私ども物品税の専門でございますが、新規課税物品が見つかりますと、ただちに課税するわけでございますけれども、これを一年間ぐらい見送つ来た。こういうことは主税局としては相当考えた。アメリカなどの例もございますので、こういう配慮をしたつもりでございます。  それからその他の工業育成につきまして、たとえばこの課税をするにあたつて、ほかの機関とどういう連絡をとつたかという御質問でございます。私ども税制改正案を出します際には、各省と連絡をとることになつているわけであります。ことに工業関係課税にあたりましては、通産省と連絡することになつておりまして、この点につきましては通産省、ことに税制の点につきましては企業局が代表でございますので、企業局に大体の案を示しまして御談しまして、大体の御了解をいただいた。通産省といたしましては、課税はもちろん反対しているところでございましようけれども政府政策全体の見地から了解していただいた、かように私どもは了解いたしております。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 ほかの機関はともかく、ここに通産省が来ておられるのですが、通産省の了解を大体得られた、こう大蔵省で考えているのですが、森さんの方では、そういう諮問が直接か間接に来られたはずですが、これを了解して、大体やむを得ない、しかたがないという立場で、これを御存じだつたのですかどうか。それをお聞きします。
  55. 森雄次郎

    森説明員 私は先ほど申し上げましたように、いわゆる大きい意味のエレクトリツク工業育成の責任を負わされております。テレビジヨンにつきましては、先ほど申し上げましたようにやつと芽ばえたばかりの時期でありますから、天然色写真フイルムの方に一年間の免税というものがあるように聞きましたので、これをテレビジヨン工業に応用してもらいたい。天然色写真フイルムに一年間の無税の期間があつたテレビジヨンは二十万円も三十万円もする高級奢侈品と世間にいわれているセツト、それをわれわれは相手にしているのではなくて、テレビジヨン工業育成するには、天然色写真フイルムにそういう例がありますから、ぜひそれをやつてもらいたい、こういうように初めは申し上げたのですが、その径路は、私のところは御承知のように重工業局に重工業課というのがございます。そこが総括してそれをやり、それをまとめまして企業局の企業第二課が物品税の問題はみな取上げる。テレビばかりではございません。電気冷蔵庫あるい大型自動車、おのおのについて担当課長はその工業育成に日夜働いているのですから、みな反対はいたしたと思います。ところが結局企業局へ参りまして、企業局の方から大蔵省の方に御連絡になり、私もそういう観点から天然色フイルムの例を申し上げたのでありますけれども、それを採用していただけるかいただけないかは、いくら口角あわを飛ばしましても、私一個の力ではどうにもなりません。結局そういうような状況になつて参りましたから、これは国会におきまして心情を各先生方に御了解を得て、でき得る限り国民の負担を少くし、また私たちも、二十九年度には電波がたくさん方々に出ますから、先ほど斎藤先生から言われましたように安く、しかも性能のいい真空管の数の少いものを今大わらわで研究さしております。十三球あるいは十二球くらいなセツトを今ブラウン管十インチをもつて、ほんとうに家庭に、しかも国民に親しまれる値段へ持つて行く、そういうようにやつているわけであります。しかもこの三〇%あるいは一五%かかるということになりますと、普及も半減するのではなかろうかと先ほど私は申し上げたのですが、実は私国民所得の資料をもつて一応の算術的な計算をした資料がございます。それによりますと、平均価格を五万円とするとセツト一台が月収とイコールの人、つまり月収五万円の人が何人おるかという点は、大蔵省の資料によつてわかるのでございますが、大体三十五万の潜在需要がある。それがもし受像機が十万円の場合に三〇%課税されるとして、一応十三万円と仮定いたしますと、普及率が三三%の減になり、一〇%の課税なら普及率が一五%の減になる。それだけ潜在需要が減つて来る。これは所得の面からも計算できます。そういう関係もありますが、今申し上げましたように、この物品税につきましては、いろいろと税収入の問題もあり、大きな意味から大蔵省においても御検討になつておるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、本国会におきまして各先生方にわれわれのやつておる気持を十分くんでいただきまして、できる限りこれを軽くしていただきたいと考えております。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 今の森さんの説明を伺いますと、塩崎さんの、了解は大体得たつもりだということが非常に疑問になります。少くとも森課長あるいはこれに関連する各課では、これに非常などころか、まつこうから反対をし続けて来て、今日でもまだその意思を曲げていない。今になつてもわれわれ委員に強く訴えて、これを軽減するように努力しつつある。その姿は塩崎さんもおわかりになつたと思う。そこで塩崎さんの先ほどの説明では、了解をされているはずだとお考えになつておる。これは非常に独善的なお考えであつて、実は了解、納得ずくではなく、一方的に押しつけた結果を今日招来して、この一五%、三〇%の課税という案がここに出て来た。換言しますと、大蔵省が先ほど説明されたように、工業振興ということを非常な熱意をもつて考えているのだ、だがやむを得ずここに課税をしたいという。その考えている熱意というものは、ただ大蔵省独自の立場から決定をして行く、そういう過程を経ている以上は、そこには工業振興に対する熱意を示したりその努力をしたという跡は。一切見えないと言つても過言ではないわけであります。ですから塩崎さんの言う工業振興――少くともこのテレビ技術あるいはテレビ工業の振興に対して熱意を示したというものがあるとするならば、もう一度押してお伺いしますが、少くとも今の森さんのお答えでは、今私の質問した趣旨に沿うような、テレビ工業の振興に対するあなた方の熱意というものが現われていない、こう断定できるのですが、他にあるならひとつ説明願いたい。
  57. 成田知巳

    成田委員長 今の御質問に関連しまして、森さんから総天然色フイルムの一年間の免税措置をおやりになつたというような御発言があつたのですが、その間の事情も御説明願いたいと思います。
  58. 塩崎潤

    塩崎説明員 ただいま森課長から、必ずしも了解をしていないというお話でございました。私どもとしては先ほど申し上げましたように、税金全般のことにつきましては、通産省の企業局と窓口を一つにいたしまして、折衝をいたしておるわけでございます。企業局の方から大体の御了解は得たと私どもは思つておりますし、ことに今度出しております税制改正案は、何と申しましても閣議の決定で行つておるわけでありまして、通産大臣もその点につきましては判を押されたと、私どもはこういうふうに了解しております。政府方針といたしましては、この点は一致しておるのではなかろうかと考えております。  それともう一つ、今天然色フイルムのお話が出たわけでございますが、昨年までの物品税方針は、御承知通りかもしれませんが、大体減税の方針であつたわけでございます。昨年度は二十億の減税を行つたわけでありまして、その機会に天然色フイルムは一年間と思いますが、告示に入れておりまして、それは一年間だけ天然色フイルムの保護育成のために免税しよう、こういう趣旨が盛られたわけでございます。これは課税になるものが一年間だけ非課税になつたということでございまして、テレビジヨンとは状況が違うわけでございます。これは期限が切れますと当然課税になるという趣旨のものでございます。それも今度の緊縮政策趣旨からやめるべきではないか、こういう話があるかもしれませんが、今申しました趣旨の一貫性を保持して現状通りいたしておるわけでございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 天然色フイルムのことはあとにして、もう一度お伺いしたいと思いますが、その前にもう一度森さんにお伺いしたいのです。先ほどの御説明で、この課税を実施するにおいては、テレビの発展を阻害する、従つて大体半減するような見通しだ、こういう御説明がありましたが、半減するというのは、どういう数字を基礎にしてのお見込みか、それを承りたいと思います。
  60. 森雄次郎

    森説明員 お答え申し上げます。来年度どのくらいテレビ普及するかということは、先ほど申し上げましたように、昨年われわれの方も、あるいは日本放送協会の方も、推定ではございますが、普及のカーブを一応出しております。これは五年後に百万にして行きたい、そういうときを目標にしてやつたのでございます。ことしの普及をわれわれは四万ぐらいに持つて行きたいということで努力したのでございますけれども、これはいろいろなフアクターが大分ございまして、たとえばNHKの大阪とか名古屋の電波が、二十七年の十一月ごろには、二十八年度には出るだろう、日本テレビ電波が二十八年の四月ごろには出るだろうというような想定がございました。しかしこれが建設あるいは輸入機械なり、その他いろいろな問題がございまして遅れて参りました。最初立てました普及の見込みは、もちろん修正補正をしなければなりませんけれども、現在NHK東京地区が一万台と先ほど申し上げましたが、間違つておりましたらNHKにもう一度確かめましてお答えいたしますが、ことしの三月末日までには大体二方ぐらいの一応の推定を立てました。それほど普及のスピードが遅れておるわけであります。そこでなぜこれが遅れておるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、二十八年度は業務用が大体有効需要の部門でございましたが、ことしはこれを家庭用に持つて行きたい。ですから安くて性能のいいものをことしはつくつて行きたいと考えております。二十八年度には設備の近代化、合理化の融資もいろいろあつせんいたしましたし、テレビ工業には今まで相当額の補助を出しておりますが、二十九年度からは飛躍いたしまして、電波機器の高級化といいますか、トランジスターその他そういうようなものについての設備の近代化を、これからして行きたいと考えております。  それで、先ほど申し上げましたように、一応家庭用ということになりますと、これは国民の所得ということも考えなければならない。それで昭和二十九年度の階級別の所得見込み表――これは大蔵省の主税局でこの前くだすつたのを一応推定としてやつてそれを持つておりますが、セツトが月収と同じであつた場合には、かりに五万円ならば、その人員は三十五万ありまして、三十五万の潜在需要がある。そういう点をとりまして、受像機が平均十万円の場合には四万五千人しか買える人がない。それが三〇%の課税で十三万円になつた場合には三万人しかない。いわゆる三三%減になる。こういうことで、二十九年度に想定した普及が半分くらいになるのではなかろうか、これはほんとうにはつきりした数字ではございませんけれども一つ考え方といたしまして申し上げた次第でございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 今度は塩崎さんにお伺いするのですが、森さんの今説明した普及見込み台数と大蔵省の見ている月産生産高、この数量とは大体同じものを見込んでおるのでしようか。
  62. 塩崎潤

    塩崎説明員 私どもは見積りをつくります際には、各種の資料を参考にするわけでございます。この課税の基礎は、先ほど申し上げました通り、各社の生産見込みを所轄税務署を通じて調べる、あるいはここにございますが、通信工業会の会報に出ておりますところの資料、こういうふうなところを参考にいたしまして、月二千台というところを標準にいたしましてつくつたわけでございます。ですから必ずしも通産省生産計画とは合わないことがあり得ると考えております。しかもその税金をかけた額の生産見込みを私どもは想定いたしておるわけでございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 ちようど長谷さんがおいでになつたのでお伺いしたいのですが、NHKの出しておる資料、これは監理局が出したのじやないかと思いますが、二十九年度でテレビの年度末契約者総数が十三万七千八百名とこのリストにございますが、大体こんなふうに長谷さんの方では見込んでおられるのかどうか、それをお伺いしたい。テレビ受像機課税問題から、一体どのくらいの台数が今後生産され普及して行くかということと、この数が合致するものか、あるいは見込みで全然違うものかを聞きたかつたわけです。つまりこの前の委員会でいただいた資料では、二十九年度で年度末契約者総数が十三万七千名も見込んでおるのが、今の森さんの御説明では、課税をしようという対象は月産二千台、年間二万四千台の普及率考えたときに、大体課税をされたあとは三万台ぐらいではなかろうか、こう言つておられますが、はなはだしく数字が違うのでこれをひとつお伺いしたい。
  64. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまおあげなさいました十三万という数字は、NHKが一昨年テレビジヨンについての五箇年計画と申しましようか、五箇年くらいを見通して計画を立てましたときの見込みの数字だと、間違つておりませんければ承知いたしております。しかしかねがね御指摘のように、テレビジヨン普及状態あるいは国内の生産状態等が、その当時とはかわつて来ておりますので、近く国会の御審議も願いとう存じております。昭和二十九年度の放送協会の事業計画並びに予算についての際に、的確な数字で御説明できるようになると思いますが、協会側としてもその十三万という数字よりは相当下まわつた数字で、計画をつくり直さなければならぬ状態になつておりますので、それを検討しております。またその数字について通産省当局で見込まれておる数字との調節と申しましようか、両方の関係も十分検討をしました上で、計画を立て直しておるという状態であります。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、NHKの方でも非常に普及率が悪くなるという見込みを持つております。その点はわかりますが、そこで塩崎さんの先ほど出された数字から見ると、月産二千台を基準にした増収を五億円見込んでおられる。ところが先ほどお伺いすると、二十七年度の物品税総体で予算と実収とのふえた率が約四%ふえておる。今年度も私は何パーセントかふえるだろうと思うのですが、二百三十五億の物品税総額に対して五億の増収を見込んでおるのですが、五億とはすなわち二%にしか相当しないわけであります。そこで大体過去の実績からいつても、予算よりも実収が四%ないし五%くらいふえていいと思うのですが、この場合今言つたテレビ工業の振興という点、あるいはわが国の科学技術あるいは電波、こういうものを中心にしたときに、世界と非常に遅れておる現水準を引上げるための血税をあえて出してまで――特にこのテレビに過去三年間一億ずつ助成金を出して来たし、今後もまだ助成しなければならない途上において、先ほど各委員から強く訴えましたように、こういう芽をつむようなことはいけないという点からするなら、過去の実績からどうしても物品税二百三十五億に対する実収がおそらく二%くらいは最小限度実績においてふえる見込みがあるだろうと思いますので、その点どうしても大蔵当局としては、物品税としてこれをとらなければならないという財源措置を講ずる決意であるならば、何がしかの金をここに大蔵当局としても出してもらつて、この課税に対して今申し上げた数字から言うなら、一年間天然色フイルムに対して課税を延期したといつたような特例をこれに当てはめて延ばして行く。もしいけなければ年数を切らなくてもよいのですが、できるなら最小限度ここで一年なり二年なりこの課税を延ばそう、そうして実際的な五億というものの増収は過去の実績から見ても少くとも二%だから、これは実質の上で何とか増収をはかつて行こう、こう考えればその実現は困難ではないように思いますが、そういうようにお考えになつて、この天然色フイルムと同じようにこれを処置して行くお気持はないのかどうか。それから先ほどの天然色フイルムに今まで課税していたのをなぜいきなり一年間だけ課税を延期することになつたかを、もう少し詳細にこの際明らかにしていただきたいと思います。
  66. 成田知巳

    成田委員長 塩崎さんの御説明では、テレビジヨン受像機に対して課税をして、今まで非課税であつた総天然色フイルムに一年あるいは二年の免税期間を与えるというようなお話であつたが、私ども聞いたところでは、非課税のものを課税にするということと、課税されているものを非課税にするということでは、まつたく逆になるのでありまして、趣旨が一貫してないような気がするのですが、なぜ総天然色フイルムに対して非課税にするのか、その点をひとつ御答弁願います。
  67. 塩崎潤

    塩崎説明員 物品税についても自然増収が見込まれるから、その分でカバーする意味テレビジヨン課税を一年間くらい延期したらどうかというお話でありますが、現在私どもが立てました予算におきましては、将来自然増収があるとは考えておりませんで、正確に見積つたつもりであります。しかしその後の経済上の変動等がありますれば出て来るわけで、そのために私どもは補正をしておるわけであります。しかし私どもは、今原先生のおつしやいました二百五十億ではなく、二百四十三億九千八百万円の物品税収入見込みでございますが、それは政府政策の物価引下げ、消費生活の圧縮、これらを見込んだ数字でございますので、はたして自然増収が生ずるかどうか言えないのではなかろうか、そういう関係からいたしまして、テレビジヨン課税をこの際延期することは困難ではなかろうか、そういうことが考えられますし、同時に先ほどからるる申し上げております消費抑制等からいたしまして、テレビジヨンには課税した方がよいのではなかろうか、かように考えておるわけであります。  それからもう一点は、天然色フイルムとの関係であります。この時限的な免税関係でありますが、現在告示を見ますと、告示には何にも書いてはおりませんが、国会方面の御要望がありまして、大体一年か二年だと思いますが、やつてくれ、こういうふうに言われたわけであります。と申しますのは、去年は物品税の相当品目につきまして減税をいたし得た財政事情にあつたわけでございます。その一環として天然色フイルムも二年間くらい、国産の天然色フイルムが発達するまで待つてくれという御希望がございましたので入れたわけでございます。一年か二年か、これは帰りまして記録を見ないとはつきりいたしませんが、そんな趣旨たと思います。告示でございますので期限がついておりませんが、その書類を見ましてはつきり時期が来れば告示を廃止いたしたい、かように考えております。しかも映画用の天然色フイルムは、国産だけに限定するつもりで今のところ考えております。趣旨は去年の時期がたまたま減税の時期にあつたので、そのうちに入つたから、行けたのだ。本来ならばこのようなものはやめるべきであるが、もう少し時期がいるということを予定いたしまして、この免税は継続する。しかしもうすぐ時期が来るというふうに考えておりますので、私はテレビジヨン課税との不権衡はあり得ない、かように考えております。
  68. 成田知巳

    成田委員長 今の国産だけのおつもりというのですか。実際問題としてアメリカから入つて来ておるものについては、天然色フイルムは課税しておるというのですか。つもりと言われたのですか。
  69. 塩崎潤

    塩崎説明員 このあたり関税的な色彩を帯びさせないために、非常に表現に苦労しておるわけでございます。現在撮影済みの映画用フイルムと申しますか、私どもの見ますもの、たとえば「風と共に去りぬ」、そういう撮影済みのフイルムも課税いたしておりますので、大体フイルムが到着いたしますれば課税になるわけでございます。しかし大体は、そのフイルムが参りまして日本でそれを複製するわけでございます。その際に天然色フイルムを日本産のもので使わそう、こういう考えが強くいわれまして、本来ならば、ほつておけばまたアメリカから天然色フイルムを持つて来て写さなければいかん、こういうことになりますと、国際収支から見ましてよくないから、日本で複製いたしますところの天然色フイルム、これについてまける趣旨で非課税といたした、かような趣旨であります。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 オリジンに対しては課税しない、コツピイをとるときに課税するこういういう趣旨ですね。
  71. 塩崎潤

    塩崎説明員 逆でございます。今説明が不十分であつたかもしれませんが、向うから天然色フイルムが入りましたら、これは生フイルムだけまけておりますので、撮影済みのフイルムは課税いたしまして、それをフイルム会社に出しまして天然色の生フイルムを使いましてそれを庫出しする際には免除する、かようにいたしております。だからアメリカから「風と共に去りぬ」という撮影済みの天然色フイルムが参りましても、これは課税をする。しかしこれはコツピイをとるために、たとえば富士フイルムの天然色フイルムを使うという際には、この天然色フイルムについてはまける、こういう趣旨でございます。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 その趣旨はわかりました。コツピイをとるときの生フイルムに対して免税をする、こういうことになるわけですね。そこでこの金額、今まで当然とつてつたときからとらなくなつたためにどのくらいの減収を来したか、その金額を大体お聞きしたい。
  73. 塩崎潤

    塩崎説明員 現在資料を持ち合せておりませんので、またあとでお知らせしたいと思います。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 ちようど今フイルムの説明をされたのと同じケースなんですが、今度のテレビの場合も、国内のテレビ工業がもう少し発達するまではひとつ免税にしてもらいたい、まつたくこれは同じケースでございます。しかも天然色フイルムに対する免税というものは趣旨一貫しているというお考えなら、そのりつぱな趣旨一貫したところをこれにもそのまま当てはめていただくように、先ほどからこう論議が展開されているわけですが、そういうことができるかどうか、もう一回念を押しておきます。
  75. 塩崎潤

    塩崎説明員 昨年免税したのが運がよかつたといえば運がよかつたことになるわけでありますが、昨年、物品税を相当広きにわたりまして減税措置を講じたわけであります。本来なら今年のようなときには減税は困難で、むしろ増税の態勢でございますので、今年におきましてはそういうことはおそらくあり得ないだろうと思います。おそらく天然色フイルムも、今年言つて来られましてもそういうことは受付けられない、かように考えるわけであります。従いまして私どもといたしまして、本来ならば天然色フイルムも免税とやめたい、こういう趣旨でございますけれども、もう時期が来るからこれはこれとして見送る、こういう趣旨でございます。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 私の質問はこれで終りますが、今日塩崎さんのここへ出て来られた目的は、テレビ課税を何とか各委員に納得させるように言つて来い、こういう趣旨で来られておるので、われわれがいかに努力したところで、塩崎さんがこれをかえようとか、あるいは延期しようとかはお答えになれないと思う。これは大臣に直接当らなければいけないと思うのですが、帰つたら、これにはわれわれ全体の委員が反対なんだ、こういう強い意思をひとつはつきり大臣諸公にお伝え願いたい。そしてまた次の機会にもう少しフイルムと同じようなケースでこれを採用してもらつて、今年一年なり二年の側は、少くとも免税をして行つて、テンビ工業普及発達をはかつて、しかもあなた方が一方的に押えつけた通産省あたりの、この工業振興の熱意に対してある程度の席を譲つてやる、こういつたことにわれわれとしてはしたいこ考えるので、そのことを肝に銘じて伝えておいていただきたいと思うのです。
  77. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 さつきお話になりました通産大臣も了解したというのは、古い方ですか、新しい方ですか。
  78. 塩崎潤

    塩崎説明員 私どもが一方的に押しつけられたと言われてははなはだ心外なので、通産省自体は税制全般についても相当慎重に協議したつもりであります。大臣がかわられましたのですが、閣議決定の期日は、はつきり覚えておりませんが、このような改正案は次官会議にも出したわけであります。その際には通産省の次官も来られたわけで、その点につきましては了解は得られた、しかも閣議では正確に、どつちの大臣でございましたか、おそらく新大臣ではなかつたかと思うのでございますが、はつきりいたしませんが、調べて御報告いたしますが、その前に次官会議にもかけたわけでございますので、その点は見解の相違ではなかつた、かように考えております。
  79. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 この間郵政大臣にその点を質問したのです。郵政大臣は通産当局と協議の上で、テレビヘの課税はやめてくれということを何回も大蔵当局に折衝したけれども、これは大蔵当局のいれるところとならなかつた。やむなく引下つたのだ、こういう答弁です。これは速記録がまだ手元に来ておりませんが、後刻お目にかけましようか、そういう御答弁なんです。ですからこれは大蔵当局の強行軍、独走をやつたものだと思う。ここに長谷局長がおられますけれども、長谷局長も私はまつこうから反対をせられた課税だと思いますが、いかがでございましようか。
  80. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま、郵政大臣の当委員会における答弁の点も御引用になつた思いますが、郵政省といたしましては、このテレビジヨン物品税の問題につきましては、通産省当局日本におけるテレビジヨン工業、あるいはこれに関連する工業の助成、育成という立場に立つておられる通産省との関係が、非常に深うございますので、私どもといたしましては、通産省に御援助するというような形で、通産省に今までは御連絡をして、われわれの意図のあるところをお伝えをして、そして徐々に大蔵省にいろいろ陳情申し上げて来ております。
  81. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それで大体わかつたのでありますが、私はどうも貧乏生れでありまして、大蔵省とはほとんど折衝がないのでありまして、大蔵官僚がいかなる考えを持つておられるかということの片鱗をきよう初めて承つたのであります。と申しますのは、緊縮財政、緊縮予算、それから消費規正という言葉をお使いになりますけれども、大蔵大臣の説明を聞きますと、緊縮財政も緊縮予算も消費規正も、結局不要なところを切つて日本のほんとうの生産工業を助長せしめて、そうして外国貿易の伸長をはかり、輸入の防遏をやつて、ここで国際収支のバランスを堅実に持つて行こうということが、大蔵大臣の何回とも数知れざるところの言葉なんであります。そういうところをわれわれは今懸念をしておるのであります。テレビジヨンというものは、今日日本では非常に小さなものです。しかもこれを課税の対象にいたしましても五億であります。ごくわずかなんです。しかしその連なるところの生産態勢というものは、先ほど松前委員も申し上げました通りに世界最高の水準にあるものでありまして、今ほかにどこに世界全人類の希望をつなぐところの新しい場面が切り開けるかといえば、これは申すまでもなく原子力の電波ということに世界の通念が規定されておるのであります。この世界の通念に規定されておるところの最も尊重すべき工業の一端に現われて来たテレビジヨンに、まさに崩壊を企図するがごとき課税を加えて、そうしてこの芽をつむということは、はたして大蔵大臣の言つておる緊縮財政、緊縮予算あるいは消費規正、これによつて日本の経済財政状態の建直しをやるという点に一致するかということ、これをわれわれは心配しておるのです。もしもそれでもあなた方の方でその線に沿うて万違算なきを期して絶対に誤りないというなら別ですが、しかしこれはあなたにお伺いしてもだめだと思うからわれわれはやらぬが、また今度大蔵大臣と新しい通産大臣と郵政大臣を並べておいてやりますから、あなたも聞いてください。テレビジヨンに関しましては、私の質問は打切ります。
  82. 成田知巳

    成田委員長 塩崎さんにお願いでございますが、総天然色フイルムの問題が出たのでございますが、塩崎さんは運がよかつたのだと言われたのですが、頭のいい、科学的、合理的にものをお考えになる大蔵省の方が、運だけで解決する問題ではないと思うのです。きようテレビ受像機課税の問題と総天然色フイルムの問題が出たのですが、やはり最初お話になつたように、国内産業保護という趣旨で一年か二年の免税をされたと思うのです。原委員がきよう強く政府に意見を述べておけと言われたのですが、御意見を述べられるときに、総天然色フイルムを免税しておるのだから、テレビジヨンも免税にしろという意見があつた、こういう意見を述べられますと、先ほど塩崎さんも言われたように、主税局としては何でもとれるものはとりたいというお気持があるから、それではこの際天然色フイルムもとろう、こういうふうに逆に持つて行かれると困るのでありまして、当委員会趣旨は、やはり国内産業保護の立場から、総天然色フイルムについて一年あるいは二年免税されるなら、テレビジヨンについてもやるのが趣旨一貫していいのじやないか、こういう強い要望があつたということをお伝え願いたいと思うのです。
  83. 塩崎潤

    塩崎説明員 天然色フイルムについて運かよかつたと言つたのは、譬喩のつもりで申し上げたので、そういう考えではなくて、去年は一般的に財政事情がよくて、これは消費規正をとらなかつたのは悪かつたという人もあるわけですが、物品税あるいは酒税についても相当減税が行われて来たので、その一環としてやつたわけであります。その点を私ども検討いたしまして、天然色フイルムについては、この趣旨から今度の緊縮政策方針から見ましたら、本来ならやめるという方針が出て来ると考えたわけでございますが、前年のいきさつもありますし、また近く期限が切れますので、どうせ課税になると考えたわけでありまして、ただちにやめるという趣旨ではございませんので、その点は今の委員会テレビジヨンのいきさつと同時に、上司に報告いたしたいと思います。
  84. 片島港

    ○片島委員 私も一言だけお願いしておきたいのですが、大蔵省の方の財源として月産二千台というような点を根拠にされておるようでありますが、通産省でお調べになり、また私たちの手元にある資料によりますと三千台くらい出ておるようであります。先ほど三万台くらいが、目標であると通産省で言われましたが、あなたの方では月産二千台というと二万四千台、そこに相当の食い違いがあるのでありますが、何か大蔵省で調べる場合には、税務署を通じて調べさしたので、どこでも税務署が来ると、こわがつてできるだけ過小な数字を出す。あまりよけい出すと税金をよけいとられると思つて、なるたけ控え目な数字を出すそうです。そのために数字が少く出ているのじやないかと思います。大体大型の十七インチ以上というのが御承知のように普及が多く行つておりますので、せめて第二次的に考えるならば、次善策としては十四インチ以下を免税にいたしましても、十七インチ以上をとりますれば、その台数のいわゆる食い違いによつて、あなた方が想定せられておる税源に大体計算上なるようであります。そういう点をもう一度御計算になりまして、できるならば全面的に免税にしてもらいたいのでありますが、しかし次善策としては、小型の十四インチ以下を免税にしたならば、その方が全体り数字としてもう一回計算し直した場合には、何とかつじつまが合うのじやないかと考えられますので、この点も特に御研究をお願いしたい。
  85. 塩崎潤

    塩崎説明員 私ども課税の基礎は、税務署の調査ももちろんたよりにいたしておることは当然でございますが、それと最近の生産統計を照し合せたのでございます。ここにございます通信工業会の会報によりましても、十月が二千二百台、十一月が二千百台、これあたりからいたしまして、まず大体穏当ではなかろうか。もう一つ今言われました三千台は無税の場合の生産見込みが相当入つておるのではなかろうか、かようなことを考えますれば、有税後の生産は、大体二千台くらいが至当ではなかろうか、かように考えたわけでございます。なお最近の生産事情ともにらみ合せまして、もう少し検討いたしてみるつもりでございます。     ―――――――――――――
  86. 成田知巳

    成田委員長 では引続き電気通信事業に関して調査を進めます。  この際日本電信電話公社の昭和二十八年度建設計画に伴う財政措置等に関し関係当局の説明を求めます。  本問題については、先般来各委員より指摘されたのでありますが、昨年七月、電話料金引上げの際、当時の塚田郵政大臣、愛知大蔵政務次官より、電信電話拡充五箇年計画における初年度建設計画達成のため、さらに二十五億円を何らかの財政措置により充当する旨確約を得ておるのでありますが、いまだその措置がとられておらないのであります。これらの経緯並びに方途について御説明願いたいのであります。
  87. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 昭和二十八年度の建設計画が当初二割五分値上げの際に、二割にそれが引下る場合に出て来る二十五億の繰入れの減額をどういうふうに見るかということで、いろいろな方法を講じてやつてみました。しかしどうしても行かないときには、二十五億を新しく補正予算でもつて政府資金なり公募債なりでもつてまかなうというようにお答え申し上げたことは、御指摘の通りなのでありますが、その後いろいろ研究をいたしました結果、この問題は一応部内におきまして資産充当といつた措置によりまして何とかこれが措置できる。そうして二十八年度の当初の建設計画がやつて行ける、こういうような考え方で一応処理をいたしておりますので、今のところ二十八年度分については、それ以上の措置をするという考え方にはなつておらぬわけであります。
  88. 成田知巳

    成田委員長 次に梶井説明員より御説明願いたいと思います。
  89. 梶井剛

    ○梶井説明員 二十八年度の予算につきましては二十五億食い違いが出ておるわけであります。その二十五億をいかにして補正するかというお尋ねでありますが、これはこの前補正予算提出の際にその問題が解決されなかつたのでありますけれども、しかしわれわれとしましてはこの年度においてできるだけ努力して、その欠陥を補つて行くというふうに考えておる次第であります。
  90. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 郵政大臣にお伺いいたしますが、どうも最近の政治情勢はわれわれを初め国民一般に、まことに政治責任の帰趨を迷わしているのじやないかと思うのでありますが、どうも吉田内閣のように百何十人も大臣をつくつてしまいますと、大臣の言うた責任というものはどこにあるか、きのう大臣であつたと思うときようは大臣じやない、新しい大臣が出て来るというので、その点私は新憲法の建前がしからしむるところであるかどうかわかりませんけれども、いわゆる政治上の責任というものは今日非常に大きな論議の対象になつていると思うのであります。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理   着席〕 過去の政治におきましては、いわゆる輔弼の重責に任ずる大臣の言動というものは、これは実に重大なものでありまして、一ぺん言つてこれを食言いたしますと、いわゆる政治上の責任を負うたものであります。これは大臣も御承知通り政治というものは、そのくらいの責任が大臣になければ政治の運行は正常に行かない、さように考えておるのでありますが、大臣はこの点に対してどういう御所信をお持ちになつておりますか。
  91. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 御意見の通り考えております。
  92. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私がここにあらためて申し上げますと、これは死児のよわいを数えるようにも考えられるのでございますが、ただいま論議の対象になつております昭和二十八年度における電電公社の五箇年計画における予算、これは御承知通り予算が通過したあとで大臣の方の責任において、二十五億は補正予算において必ず処置するという責任ある御答弁をちようだいいたしましたために、われわれは二〇%料金引上げということに賛成をいたしたのであります。しかるにその後今日に至りますまで、何ら補正予算というものの処置がなかつたのであります。これは今お話がありましたいろいろなことによつてこの二十五億というものは充当したのだとおつしやいますけれども、そういうことと関係なしに、私はあくまでも大臣の御説明というものは責任として残るじやないか、こう思うのでありますが、その点に対してどうお考えになつておりますか。
  93. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どういうぐあいにお答えして、それが速記に残つているか、私も調べてみないとわからないのでありますが、当時私がお答え申し上げておつた気持から申しますならば、私は今御指摘のような非常に大きな責任を感じなければならないというように、この問題が未解決で残つておるとは考えておらぬのであります。それはあの時分の私の考え方は、結局二五%上げなければ、今公社が考えております五箇年計画というものができないのではないかという考え方をいたしておつたのであります。そこで二五%が二〇%になる。そうすると二十五億という数字の上の一応の設備資金の不足が二十八年度に出て来る。従つてどもといたしましては、国会側の強い御意思であるところのこの五箇年計画の達成というものは、御意思を体してぜひ成就しなければならない。そこでその方法をいろいろ考えてみて、他に方法がないということであれば、そのように措置しなければならない、こういうように考え、そのようにお答え申し上げておつたつもりなんでありまして、その意味におきましては先ほども申し上げましたように、方法は違いましたけれども、ともかく二十八年度においては大体当初の計画通りの施設増設計画というものができておる、こういうように考えておりますので、いろいろ言葉で表現をいたしました解決方法はそれとは違つておりますけれども、とにかく一応は責任は果しておる。果しておると申しますか、不完全な、不満足なものではあるに違いありませんが、とにかく国会側の御意思を体して、自分としてはできるだけのことをいたしたという感じを持つておるわけであります。
  94. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 この問題は昨年の七月二十一日の当委員会におきまして、この法案修正の説明の中にも、不足額二十五億は本年度中に公募社債発行限度額を拡張して対処する建前をとつたということが言われておるのであります。それを裏書きいたします質疑応答は、ずいぶんたくさんございます。大蔵当局より愛知政務次官及び郵政大臣、それから梶井総裁も郵政大臣並びに大蔵政務次官の言葉を信頼して二十五億は必ず補正予算の処置をする、こういうふうに言明をいたしまして、予算の通過いたしたあとでこの修正法律案が通過いたしたのであります。そういたしますと、この態勢に即応いたしまして、ただちに財政法上の二十九条の措置というものがなされなければならぬ。また電電公社といたしましては、電電公社法の五十条及び五十一条の処置というものがなされなければならぬ。その処置はさつそくにおとりはからいになつたのでありますか、どうでありますか。
  95. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはおそらく速記の方に出ております言葉というものは、前後の御質問の状態や、それから今までにお答え申し上げましたこととの関連で、総合的に御判断願うようになつておるので、そこの部分だけお取上げになるならば、おそらく今表現になつたような言葉でお答え申し上げておると思うのであります。しかし私はこういう問題に対する本来のものの考え方としては、当然私は先ほど申し上げましたような気持で申し上げるのが正しいのであり、また国会側もそのようにお受取りくださつておるというように確信をしておるのでありまして、たとえば予算を組みますときには、当然収入の部分にいたしましても、相当推測の部分が加わつておりますから、確定的には先の見通しはわからないわけであります。そこで一応予算を組んだときのものの考え方からすれば、二割五分が二割に下つたことによりまして、二十五億というものが不足する、二十五億不足するために二十八年度の建設計画に支障を起すというようになれば、まさに御指摘の通り何らかの措置を講じなければならないことは申すまでもないのでありますが、幸いにしてその他の方法で措置ができたのでありますからして、この点は前会にお答え申し上げました気持と少しも気持においてはかわつてはおらない、こういうふうに感じておるわけであります。
  96. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは気持の問題ではない。立法府において決定したことに対する処置の問題なんです。これは本会議の委員長の提案説明の中にも、はつきり言われておることである。すなわち、「まず、公衆電気通信法案に対する自由党、改進党、自由党三派の共同修正案は、料金改訂の内容に関する修正でありまして、利用者負担の急激な増高を緩和する趣旨をもつて、料金値上げによる原案増収率二五%を二〇%程度にとどめ、これによつて生ずる損益勘定から建設勘定への繰入額の不足約二十五億円は、本年度中において公募公債のわくを拡張して、公社が原案の裏づけとして行わんとする拡充五箇年計画初年分の遂行を期しようとするものであります。」でありますから、こういうふうに予算が通過いたしましたあとに予算と食い違つた修正法律案が通過いたしますと、財政法の二十九条によりまして、ただちに予算の修正に対する追加予算の要求を閣議に提出いたしまして、閣議の了解を求めなければならぬということになつておるのであります。そうじやないのですか。
  97. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今お読みくださつたところでも明らかでありますように、最後に五箇年計画の初年度の遂行ということが前提になつて二十五億を措置いたす、こういうことになつておるのでありまして、やはり私は国会側の御意思の重点はそこにあると思うわけであります。その国会側の御意思、つまり五箇年計画の第一年度は必ず四百六十億程度の施設をすることが成就できる方法がいろいろ考えられて、しかもあの値上げ法案を御審議になつた当時はつきりと見通しがつかなかつた。他の方法でこれができておるということならば、その程度の自由は国会側の意思を体しながらも行政官庁におまかせ願える部分である、こういうように考えておるわけであります。
  98. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これに関します速記録を読み返してみますと、この二十五億捻出に関しましては、各委員がほかに方法があるかといろいろ質問いたしておるのであります。しかるにどうしても郵政当局、大蔵当局は補正予算においてこれを処置する以外に方法はないということを、たびたび言明しておられるのであります。そこでわれわれは補正予算において処置すべきものであるということを認めて、これを通した。ところがそのほかの方法で二十五億どこかから出て来た。そしてこの五箇年計画の遂行ができたということになりますと、その五箇年計画というものはすこぶるずさんなるものであるという結論に到達いたしまして、この五箇年計画を再検討しなければならぬのじやないかという気持が起きて来るのでありますが、この点に対しましては総裁もおられますから御説明願いたいと思います。
  99. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 五箇年計画という当時国会側にお出しいたしました計画のどこに重点を置いて見るべきであるかという点は、おそらく国会側の御意向は、大体五箇年間の二千七百七十億程度の建設を、どういう割振りで第一年、第二年というふうにしてやつて行くかというところに重点があると考えるのであります。そしてその財源をどういうぐあいにするかということは、先ほども申し上げましたように、何にいたしましてもいろいろに考えてみて、その当時としましては考えられるだけの要素を全部頭に置いて組んでおる数字でありますから、その後出て来る現実の数字と狂うであろうという見通しが入つておるという意味においては、まさにずさんであるという言葉があるいは適当であるかどうか、少くともこの計画通りに細部まで行かない。どこからどれだけの金を出して、第一年度はどれだけの計画というところまで、この計画通りに行くものでないという意味においては、齋藤委員が御指摘になるお気持はよくわかるのでありますが、こういう計画の性質上やむを得ないのじやないか。従つてどもはどこまでも経済情勢の許す限り、この五箇年間にこれくらいの計画が成就できるという目安を頭に置いて鋭意努力をして行くというところで、国会側の御意思が十分体して行ける、こういう考え方をしておるわけであります。
  100. 梶井剛

    ○梶井説明員 七月の国会におきまして御審議願いましたときには、確かに私どもとしましては、補正予算の際にさらに二十五億の欠陥を補わなければならぬと考えておりました。しかしその後二十七年度の収支決算を十分にいたしました結果、そこに資産充当の道があるということを発見いたしまして、それによつて国会の御承認を得ました五箇年計画の初年度を遂行し得るということによりまして、社債の発行、増額をしないでも行けるということに相なつた次第であります。
  101. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 どうも私は頭が悪いからよくわからぬのです。いろいろな観点からこの問題は論議されておりますが、とにかくこれは改進党としても重大な責任がある。補正予算において処置すると言うから、二〇%引上げでもつて了承したのであります。ところが他の方法があつたから補正予算でもつて処置しなかつたということは、どうしてもこれは責任として残る。と同時に私は総裁にお伺いいたしたのでありますが、これは予算であります。電電公社はこの予算を組んで、そしてこれは予算として衆参両院を通過している。そこでこの補正予算として二十五億の不足額を処置するという当局の言明を総裁は信頼した。そうしますとただちにこの電電公社法の五十条の規制というものに対する手を打たなければならぬ。それはお打ちになつたのでありましようか。
  102. 梶井剛

    ○梶井説明員 それは一応大蔵省に提出いたしたのであります。しかし大蔵省としましては資産充当の方法によつてつて行くということで、先ほど申し上げましたようなことになつたのであります。
  103. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは大蔵省に手を打つのじやないのです。郵政大臣に手を打つのです。郵政大臣に手を打たれましたか。
  104. 梶井剛

    ○梶井説明員 もちろん郵政大臣に提出しまして、郵政大臣から大蔵省に出したのであります。
  105. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 郵政大臣は、この五十条による電電公社の申出をどう処置されたのでありますか。
  106. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 公社予算というものは私が編成をすることになつておるのでありますけれども、私が予算を編成いたしますときには、先ほどからしばしば申し上げておりますように、私は少くとも二十八年度のものは、五箇年計画の初年度の国会側の御意思が成就できるようにということを頭に置いて組むべきであつて、形式的に二十五億というものを――この二十五億という考え方は、先ほどから申し上げますように、もしほかに措置がどうしてもないということであれば、それはそういうような措置を必ずいたしますと申し上げたのであり、従つて他に措置がないかということは、相当時期の経過を見た上で初めて、明らかになることであるから、年度の経過のうちにおいてもし補正予算を組まなければならないということであれば、おのずからそういう時期というものがあるであろうと思いまして、そういう時期において補正予算を組むというように扱うのが正しいのであります。そういう時期を見ながらやつてつたときに、先ほど申し上げましたように別の方法が考えられるということで、そのような方法をとつたということでありますから、私は前の法案を通すときに国会側にそういうお約束を申し上げたから、必ず形式的にそのようにしなければならないというよりには実は考えておらないし、予算というものの性質はそういうものではない、こういうように考えているわけであります。
  107. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 電電公社法第五十条、「公社は、予算作成後に生じた避けることができない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣に提出することができる。2 第四十一条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による追加予算に準用する。」第五十一条「公社は、前条第一項の場合を除く外、予算の成立後に生じた事由に基いて既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、予算を修正し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣に提出することができる。2 第四十一条第二項から第四項まで〔予算の調整、決定、提出、書類の添附〕の規定は、前項の規定による予算の修正に準用する。」こういうことで、補正予算に対する二十五億は必ず実行してくれという要求は、電電公社から郵政大臣に出たのでしようか。
  108. 靱勉

    ○靱説明員 ちようど臨時国会におきまして補正予算が御審議になつた当時、総裁不在中でありましたので、私から御説明申し上げます。二十五億という収入上の欠陥が出た。すなわち二割五分が二割になつた結果、その点は当時の計算としましては、当然二十五億足りなかつた。さらにその後の経過によりまして、御承知のように非常な災害があつたので、災害復旧等を考えますと、二十五億程度では足りないのであります。やはり三十五億程度政府資金なり、要するに外部資金をさらに補正追加しなければならぬという事態になりまして、郵政大臣に対しまして補正予算案を提出いたしている次第でございますが、結果におきましては、前の臨時国会におきまして御審議、御決定になりましたような補正予算が成立いたした次第でございます。
  109. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 その成立いたした補正予算の内容を一ぺん説明願いたい。
  110. 靱勉

    ○靱説明員 これはもうすでに、当時非常に災害復旧の問題と資産充当をすることについての問題につきましても、当委員会においていろいろ御審議がありました。さらにもう一つ大きな問題はベース・アツプの問題でございます。五箇年計画における収入見積りは、二十七年度のたしか九月の実績をもつて計算いたしておりますので、補正予算におきましても、最近の資料に基きまして若干収入の増を、たしか十三、四億よけいに見たと思います。当時本委員会におきまして非常に問題になりました点は、私どもとしましては、二十七年度の決算の結果相当の剰余金、すなわち公社法によりまして積立金として処置すべき金が出て来た。これはある意味においては年末手当にもくずして使えるのではないかという見解も申し上げまして、当委員会におきまして、その点につきましていろいろと御審議いただいたわけでありますが、最終的にはベース・アツプは一般公務員と同様に、二十九年の一月一日から実施する。また年末手当等につきましても大体一定のバランスをとつたところにきまるという結果に相なりました。さらに二十七年度の剰余金につきましては、外部に公債を発行する、あるいは政府資金、運用部資金を借りるということをしないで、資産充当でどうやら始末がつくという政府決定案が国会において成立いたしましたので、その線に従つて公社としましては現在二十八年度の予算を執行いたしている。こういう形になつております。
  111. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 実質的に二十五億だけが予算より収入が不足だということは事実ですね。とにかく補正予算二十五億を組むべきものを、二十五億そのものの形で持つて行かなかつた。それにいろいろな災害とか、ベース・アツプとかいう問題がからんで、いろいろつじつまを合せて、収入増の中からこれを埋めて二十八年度の当初の計画を遂行した。こういうのでしようか。
  112. 靱勉

    ○靱説明員 当時給与の改訂につきましては、ともかく料金値上げによつて得た収入をベース・アツプに用いるのはまずいということで、その点は二十七年度の実際の施設工程の伸びから上つて来るような増収を目当にして処理された。そこで問題は結局建設勘定四百六十一億を実施するためには、予定通り二十八年度の剰余金を建設勘定にまわしましても、二十五億程度は少くなる。さらに建設勘定としまして災害復旧を十億やるとすれば、三十五億不足だという計算で、私どもは公社としての予算案を郵政大臣に提出いたした次第でありますけれども、そこに資産充当という問題が起つて参りましたので、資産充当というものがなかりせは、二十五億ないしはそれ以上のものの歳入欠陥というものの解決がつかなかつた。そこで前年度の剰余金によりまして資産充当をやりました関係上、私ども現に二十八年度の施設の建設にその金を使つているのでございます。もちろん計算上は積立金の金額にはかわりないのでございますが、現金は建設勘定に使われているという結果になつておりますから、その資金が二十五億程度の外部資金が別に入つて参りますれば、積立金の方の資金はそのままにしておくか、あるいは別途使用ができるという形になつているわけでありまして、二十五億あるいはそれ以上の不足というものは、結論的に申しますならば、ほとんど資産充当と差引された。こういう形になつているわけであります。
  113. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 端的に言えば三十五億は現実に不足なんだ。しかしそれは積立金を流用してつじつまを合せた、こういうことですか。
  114. 靱勉

    ○靱説明員 若干数字は違いますが、大体その通りでございます。
  115. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 郵政大臣は、そんなことで電電公社の電話拡充五箇年計画が現実に遂行できるとお考えになつておりますか。
  116. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私は、そういう方法がある場合には、外部より借り入れるよりは、そういう方法で措置する方が、少くとも公社の運営の上には堅実であると考えております。
  117. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そういうことは賢明なる大臣はもとからわかつているのじやないですか。何がゆえにこんなに手数をかけて、補正予算以外に方法はないのだ、だから必ず補正予算において処置するというような重大な責任を負うような発言をこの前おやりになつたのですか。それは二十五億という金が忽然として現われて来たわけじやないでしよう。電電公社にそういう手があるなら、初めからめんどうくさいことをやらないで、予算の編成のときにこういうことをおやりになつた方がいいのじやないですか。それとも電電公社の運営上において非常な見込み違いがあつて、もうからないと思つていたものが二十五億ぽかつともうかつて来たというのですか。
  118. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 齋藤委員のお尋ねは、積立金が二十五億あるからということは、その時分わかつてつたのではないかという御意見なのでありますが、まさにそのことはわかつてつた。ただその積立金が公社の現実の中にどういうぐあいになつているかということになると、あるいは一部分現金である部分もあるかもしれませんが、大部分はやはり物である。そこで一体そういう物をどれくらい絶えず持つている方が、普通の運営の経過の上において必要であり、便宜であるかということは、おのずから考え方があると思うのですが、そういう面を検討してみましたところが、そんなにたくさんの資材をいつもかかえておらないでも、そういうものはどんどん現実に使い出して、それで既定の計画ができるということであれば、私はその方が正しい。そういう面のこまかい検討は、その当時にはわかつておらないのでありまして、従つてその後いろいろ調べてみて、なるほどこういう方法があるということになつたわけでありますから、これは当時わかつてつたのになぜしなかつたという関係にはなつておらないのであります。
  119. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 どうもこれは保全経済会から金を受取つたけれども、受取つたことは事実だが刑法上の責任には触れないというような答弁と同じようなことじやないですかね。大体大臣の責任を初めから私は尋ねている。どこを見ても、この二十五億を捻出するには補正予算において措置する以外に方法がないと断言しておられる。ところが電電公社は財産がたくさんあるから、二十五億なんというものははした金かもしれないけれども、この二十五億の歳入源が忽然としてどこからか現われて、昭和二十八年度の事業が完全に遂行されるというようなことになりますと、われわれは五箇年計画そのものに対して非常な疑問を持たなければならない。ことに昭和二十九年度においては建設予算において八十億のずれがある。それでもなおかつ支障がないと言つておられる。そうすると初めから二千八百億という巨額な金をもつてやるというこの五箇年計画が、最後に行つてどんなみじめな形になるかということを、われわれは懸念するのであります。そういうところに当該大臣としての政治責任があると私は思う。必ず補正予算においてこれを処置すると言明いたしまして委員会を通過せしめ、本会議を通過せしめたら、その大臣の責任において、これを補正予算において処置しなければならぬ。それを、ほかに方法があつたからやつたのだといつて、べろんとしておるということは、私は政治上の責任としては合点が行かない。その点を私は聞いておるのです。
  120. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ねされているところで問題の所在が大体わかるのでありますが、大体二十五億はほかに方法がなかつたからと私は感じておりますが、当時の答弁では、ほかに方法がないと思いますからこういうようにいたしますとお答え申し上げておつたというように記録があるそうでありますが、おそらく当時はそうだつた思います。もちろん予算を編成いたしますときには、そのときに考えられるあらゆる要素というものを頭に置いて数字を出して、今の段階ではほかに方法があるとは考えられませんからそういうようにやる。従つてその後の情勢がかわつて来て、もしくはその後の検討の結果、今まで考えられなかつたものが新しく考えられる場合には、これは当然考え方がかわつてしかるべきものなんであります。繰返して申し上げますけれども、私が国会側に対して責任を負わなければならない点は、少くとも二十八年度においてはこれだけのことを計画の上に実行できるという点に一点ある。その他の点は、どういう方法によるかはおまかせ願えるものだ、こういう考え方を持つております。見通しがどうしてつかなかつたかと言われるのは、これは繰返して申し上げますが、それはやはり将来のことでありますから、そのときはそのときの最大限の考慮でもつて考えられる考え方をしておりますし、その当時見通しがついておらなかつたと言われれば、まさにその通りでありますが、これはやむを得ないことと御了承を願えるものと思う。二十九年度の問題は、これは計画に若干ずれが起きるでありましようということは、私からも、また公社総裁からも申し上げておると思うのでありますが、しかし六百十億が五百三十一億に減つたほどの計画のずれはおそらく出ませんということも申し上げておる。そこにも計画というものが若干ずさんだとおつしやる面があると思いますが、それは計画というものの本質から来る当然の関係であり、さらに二十九年度の分はそれにプラス新しい財政金融上の事態というものが加わつてつておるのでありますから、計画通り行かない部分が出て参りましても、これは御了承願わなければならぬのではないか。私といたしましてもそういう自省の上で、公社総裁と最大限の努力をいたしました結果、こういうような措置になつたのでありますから、あしからず御了承を願いたいということは、先般来申し上げておるわけであります。どのように考えましても、この問題について国会側の御意思を非常にないがしろにした、えてかつてなふるまいをしておると申されましても、私にはさような意味感じは出て参らないのであります。
  121. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 どうも私とはまつたく反対であります。それでは公社側にお伺いしますが、どういうものを売り払つて資産充当をやつておるのでありますか。
  122. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答えいたします。当時本会議で私どもが予算を出したのはおそらく記憶でございますが、六月ごろから交渉が始まつたと思つております。料金値上げが八月一日から施行になつたのでありまして、その二日か三日前に国会の審議が終つたのであります。当時は、今論議になつております資産充当などということは、すなわち資本の譲与というようなものは、決算を七月三十一日まで大蔵省に届けるということに法律上なつておりますので、私どもの原案には、とうていそういうものを確実見込んで予算に織り込むというだけの確信はなかつたのであります。従つて料金値上げをを二割五分というふうに織り込んだ予算が片方では通過してしまつた。法律案は二割の法律案が五%の差異をもつて通過した。この差異についての論議は確かに非常に長い間あつた思いますが、その後補正予算が行われましてかなりの期間がございます。この間におきまして決算も正確なものがはつきりわかつて参りましたので、二十七年度の決算では二十四億の利益剰余金が計上されておることははつきりしております。従つてその資産充当がまず考えられるのであります。それからもう一つは、利益剰余金といものは即資金ではないのでありまして、同時に資産として規実に物なり金なりを検討してみる必要があるわけであります。ところが当時の計画を遂行する上におきまして、現実の現金がそれだけの余裕もあり得る。これは二十七年度あるいは二十六年度あるいは二十五年度と、こうした長い間の経過をたどつたものが、資産の側には蓄積されて参るのでありますが、どの分が幾らになつておるかということはむろん明確にはわかりませんが、バランス・シートの上におきましては、それだの余裕というものは見通しはつくだろう、こういう点で最終的には資産充当、すなわち物を売り払つてどうということではごいませんで、余裕資金というものはまず積極的に放出した方がいいということを考えて、最終決定は違いますが、私どもも当初は積極的にこの金額は計上して政府当局にも力になつてもらう。しかし結論におきましては、私どもは初めから借入金とかそういうものを全部政府からお願いしないという考えではなかつたのであります。政府の財政もまた考えなければなりません。その他単に五箇年計画ばかりの問題ではありません。風水害の関係で四百六十一億のほかに七億ほど追加して四百六十八億の建設勘定に直した。この点でもまた財源がいるのであります。そういう点でも私どもは一応一般政府からの借入金もちようだいしたいという希望は出したのであります。資産充当というものは、政府がかつてにあとからきめたのではなくて、金額は今ちよつと記憶がございませんが、私どもみずからも当初の決定では出しておるのであります。これは建設勘定のいわゆる五箇年計画の当年度の計画には何らの減額もなく、むしろ七億ふえてしかもやり得るようにつじつまは合つておるわけであります。ただ齋藤委員から御指摘のように、もしとにかく二十五億計上して政府が貸してくれれば、むろんそれだけの資金の余裕ができて来るということは明確であります。現実にそれだけのものが余裕としてつくのでありますから。しかしこれはやはりわれわれも事業の合理化を考えて、できるだけ遊休資本を活用して、今まで以上に努力することも考えて参らなければならぬという点もございましたか、最終的には予算が通過されたのであります。この点については、ベース・アツプその他期末手当の問題とからんで、全般的な資金問題としてずいぶん論議されたように私ども記憶しておるのであります。
  123. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 いろいろ大臣並びに電電公社当局から御説明を伺いましたが、郵政大臣も電電公社当局も一ぺん速記録を読み直してもらいたい。速記録を読み直せばはつきりする。これは同僚松井委員からもこの問題に対しては修正案を提出した、われわれは執拗に念入りに質問した。それに対しては、政府は補正予算において善処するということを信頼して、この修正案を提出するのであるということを明確にこの速記録に載せてある。しかもそれに対しましては、郵政大臣は五十条ないし五十一条の法的処置において補正予算を必ずやるということを言明して、この修正案は通過したのであります。でありますから、それによらないでごちやごちやとこちらの方でもつてつて、それで責任を回避されたということは、当初の計画が遂行されたということ自体には関連なしに政治上の責任は残る、こういうことを私は言つておるのです。それを郵政大臣は政治上の責任は残らないと言うのであります。これは水かけ論になるかもしれませんけれども、確かに私は政治上の責任が残ると思うのでありますが、これはどうでありますか。
  124. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どういう感じで議論をなさつておるか、どうも解しかねるのでありますけれども、それではほかにこういう方法があつていたしました、またいたしませんでもいたしますということがわかつた場合に、なおかつ二十五億はあの当時国会でそう言つたから必ず組め、こういうお考えなのであるか。私は公社の予算を調整する責任に立つてこれを見るときには、どういう方法でやつて行くことが一番公社の立場からも、また国全体の他の面の立場からもいいかということを考えて予算を組むべきであり、またその程度の自由はおまかせ願つておるはずであり、従つてこの前のときにそのように御答弁申し上げたから、事情はどうあろうとも二十五億は必ずそう処置をしなければならないというような考え方は、予算の性質及び郵政大臣の立場としてはない、こういうふうに私は問題の本質を考えております。
  125. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 予算は通つたのですよ。それで修正法律案でもつて二十五億は減つたのです。これを補正予算で組んで必ず二十五億を埋めるという言明です。それをやらなかつた。ほかに方法があつたというのでしようが、それでいいのかどうかということです。
  126. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 それはそれで私はいいのだと思うのでありまして、要するに予算をどうした場合に郵政大臣は公社が組んだ予算をその通り認めて調整して行かなければいけないということは、必要があると認定をしたときであり、その必要というのは二十八年度においては建設面においてはこれだけの計画を遂行するという前提に立つてのものでありますから、これだけの計画が遂行できるという必要に対して方法があれば、私はどのような措置をとつてもその点は御承認願える、こういうものの考え方をいたしておるのであります。あそこであのように答弁がしてあるから、必ずその方法によらなければならないということは、予算というものの性質上起り得ない。従つてどういう言葉で表現されてありますか、いろいろ先ほどから速記録をお読みのようでありますが、やはり前後の関係からずつと見ていただいて、予算というものの本質とあわせて考えていただくならば、そのときの答弁は今申し上げるように御理解くださるのが正しいはずだと思うのであります。
  127. 靱勉

    ○靱説明員 速記録をよく読めとおつしやいますけれども、公社からもお答え申し上げますが、補正予算で処理しないで公社がこそこそとやつてしまつたということでは絶対にないのであります。前の国会におきましてこの二十五億をどうするかということで、政府原案としましては資産充当ということでもつて臨時国会で御承認を得たのでありまして、あくまでも補正予算でこの二十五億の収入欠陥を整理したということだけははつきりいたしておるのであります。かつてにどこからか金を持つて来て、こつそりやつたということでは絶対にないのでありまして、前の臨時国会の御承認によつて補正予算が成立し、それによつて前の歳入欠陥が整理がついたという形になつております。
  128. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それはそうでありましよう。しかしこれは明白に資産充当をするとか、そういうことでなしに、公社債の発行増額の補正予算ということにきまつておるのです。でありますからわれわれから言うと、そういうような余裕がどこにあつたのかということなんです。二十五億という金ですね。そういうことになりますと、予算に対してわれわれは非常に疑問を持たなければならぬということになる。ちやんと書いてあるのです。そういう補正予算の提案なんですから、二十五億の収入減は来るべき補正予算において、公社債の増額をやつてこれを充当するという建前で、われわれはこれに承認を与えておる。それでそういうことなしにずつと事業が遂行して行けるということになると、五箇年計画というものの立て方に非常にわれわれは疑問を持つて来るのであります。こういうことです。
  129. 靱勉

    ○靱説明員 その二十五億の問題は、先ほど経理局長から御説明いたしました通り、料金値上げを含む法律案を御審議願つてつた当時におきましては、まだ決算が済んでいなかつた。ですからかりに二十七年度の決算がとんとんであつたならば、政府としても、二十五億を埋める方法として、公債なり、資金運用部資金を出さざるを得なかつたと思う。その当時におきましては、私どもも初めから資産充当は毛頭考えていなかつた。いよいよ補正予算におきまして、二十五億の問題も解決しなければならぬ、災害復旧も解決しなければならぬ、ベース・アツプも解決しなければならぬという際に、いろいろ苦慮してやすやすと出したのではないのでありまして、二十七年度の非常なよい成績の結果をさらにもつと有効に使うということで、そういう措置が政府としてとられた。私どもも最終的にそれに従いまして、さらに国会の御審議を煩わしたが、国会の御意思もそれでよかろうということで、現在は補正予算が成立してそれを実行しているということで、二十五億を前から持つてつたわけではないのでありまして、どうぞその点は御了承願います。
  130. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 この点は、私ももう一ぺんよく調べまして御質問申し上げますが、郵政大臣がおいでになりましたから、その他の問題に対して御質問申し上げておきたいと思います。局長もおられますが、例の浜松放送局の問題であります。これは大体二年くらい前からの問題だと思いますが、最近豊橋にNHKと中部日本放送が許可された。ところがこの豊橋放送局の問題は、浜松放送局の問題よりも新しい問題だ。ここで百キロワツトの中部日本放送NHKが許可されて、浜松の放送局はまだ許可されていない。この浜松放送局は、毎度申し上げております通りに、静岡の放送局と中部日本の競願である。ところが最近浜松からまた新しい放送の出願が出ておる。これがまんじともえとなつて今許可を争つておる。こういうのでございますが、豊橋と浜松でありますと、私の記憶で間違いがなければ、汽車で四十分くらいのものではないか。でありますから、そこにNHKと中部日本が許可をされて、そうしてさらに浜松は中部日本と静岡の競願だ。これが二年もたつても許可されないというのは一体どういうことか、ちよつとわからないのでありますが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  131. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは非常に長引いておりますが、一つは競願の関係もあります。しかしそれが主たるものでもありませんので、やはり個々のものについていろいろ検討しなければならぬものがあつたのが大きな原因であります。しかしいろいろな見通しがついて、近くこれは結論に到達する見通しを持つております。比較的近い将来には解決する予定であります。
  132. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 どういう解決をやられるのですか。
  133. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今最終的な判断はどうとも申し上げる段階にはなつておらぬのでありますが、どちらか一つにまとまつてという形でなしに、どちらか一つに許可をする、こういうことになると思います。
  134. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それは一つは御許可なさるだろうと思います。ですが大体こういうところに許可する場合の基本方針というのは一体どういうのですか。
  135. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 基本方針は、こちらの委員会で申し上げたと思うのですが、あるいは参議院の委員会で申し上げたのでありますか、大体の考え方は、私はやはり一県一つという考え方で、その県と他の県との間で競願した場合には、なるべくその県のものを優先的に考える、こういう考え方をいたしております。
  136. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 どれを許可されるかわかりませんが、今お述べになりました基本方針に沿つて許可するということになると、静岡放送局を許可するということですか。一県一つということですとそういうふうに解釈してよろしいのですか。
  137. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 原則を申し上げましたので、例外もあるのであります。しかしこの当該の問題が例外になるかどうかは、まだここで申し上げるところまで結論が行つておりません。その辺はしかるべく御判断を願いたいと思います。
  138. 松前重義

    松前委員 放送協会の問題でありますが、ただいま放送協会の予算を提出する準備をなすつておられるだろうと思います。問題は料金の値上げです。もう一つはただいま紛争をかもしておるベース・アツプの問題、これらに対する根本的な基本方針やあるいは現在の交渉の経過について政府から伺いたいと思います。
  139. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 御指摘の通り、二十九年度の予算を編成しなければなりませんので、放送協会側にも予算の基本の高層があるようであります。それを聞きまして政府根本方針とどの点で調和がとれるかということをいろいろ検討いたしております。どうしても値上げをしてほしいという協会側の考え方は、私もこれは是認しなければならないだろうという感じでおります。そういう感じを持ちますのは、一つは電話料金その他の値上りによつて、どうしても必然的に経費増になる部分があるということと、それから給与が相当低目になつておる。また総体的に他のものがかなり上つておりますので、そういう意味においても給与をこのままにすえ置くということは、実際問題としてできないだろう。それから減価償却が十分行かない。こういうように非常に発展、発達のはげしい事業が、いつまでも古い施設でおることは適当でない。従つて減価償却ももう少し大幅にやらなければならぬだろう。そういういろいろな点を考えまして、どうしても経費増ということは絶対にこれを見なければならぬと思います。ただ経費増を見なければならない場合に、その経費増をどこでまかなうかということは、国の基本の方針であり、なるべく政府が決定権を持つておりますものは、値上げをしないという原則に少しずれができるものでありますから、値上げをしないで経費増をまかなうくふうがないものだろうかということを、いろいろ検討いたしておつたわけであります。と申しますことは、たとえば借入金でまかなつて行くくふうはないだろうかというようなことを検討しておつたのでありますけれども、やはりいろいろ検討した結果、こういうような必要でもつて経費増が出る場合には、借入金という不健全な方式をとるのはいけないというように私どもとしても考えますので、ただ、今の段階では、ある程度の値上げはやむを得ないのではないか、こういう感じを持つております。各方面の意向を逐次打診をし、説明をし、了解を得るように努力をしておるのでありますが、この点ももうそう遠くない時期において、一応政府としての最終的な結論に到達できるものと見通しを立てております。
  140. 松前重義

    松前委員 値上げの問題はいずれまた具体的な案が出ますときに論議をいたします。次にベース・アツプの問題であります。大体現在のところどのくらいのところで線を引こうとお考えになつておりますか。
  141. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはまだ最終的な見当をつけておりませんのでありますが、現在放送労働組合の方々がお考えになつている線まではちよつと行きかねるのではないか、そこが成就できるまでの値上げというものは、少し困難があるのではないか。あれよりも若干低目な線ということになると思うのでありますが、まだ具体的な数字をここで申し上げられるところまで考えがまとまつておりません。
  142. 松前重義

    松前委員 値上げの問題にひつかけて私は質問しようというのではありません。放送協会の経営にはいろいろ方法があると思います。たとえば相当に公共性のある技術の研究をやつておられる、しかもこれは相当に大規模にやつておる。もう一つは公共性どころでなくて、国家性のある海外放送をやつておる。こういう点に対して、技術の研究には全然補助金も何も出ていない。海外放送には大体半分くらい出ておる。こういうことでありまして、値上げの問題にはいろいろ論議の対象はあると思うのであります。ただ問題はベース・アツプのことでありますが、何しろあのようないわゆる知識労働者といいますか、全体の従業員の割合から行くと、相当に知識的なグレードの高い方が非常に多数を占めており、一般の組合の性格と違つた特殊な性格を持つておるということは、十分御認識いただきたいと思う。ほかの新聞社その他と比べましても、ある程度悪いのでありまして、それをいわゆるベースとしての一般的な概念の上に考えられたのでは、これは非常にお気の毒である、こういうふうに考えております。この点については特にひとつ御配慮願いたいと思うのであります。ただこの問題は、政府関係機関予算総則、電電公社のところの二十六条、「前条の規定にかかわらず、日本電信電話公社は、職員の能率向上による企業経営の改善によつて収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減したときは、郵政大臣が大蔵大臣と協議して定めるところにより郵政大臣の承認を経て、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、昭和二十九年度において、職員に対し特別の給与として支給することができる。」こういう能率の向上に対しまして、いわゆる一つの報償的な条文があるのでありますが、放送協会の予算総則の中には全然それが書いていない。この点につきまして政府放送協会の予算総則の中に、このような電電公社と同じような優遇の道を考えられる意図があるかどうか、伺いたいと思います。
  143. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは御指摘のように、放送協会の予算の考え方にはそういう考え方は取入れられてないのでありますが、これと同じように考えるかどうかということは、一応考える問題点にはなると思うのでありますが、どうも公社と協会との性格の違いがあるから、そのまま放送協会に入れてもいいのではないかというように、一気に結論が出しにくい関係があると思います。ただいまお読みになりました電電公社の規定は、他の企業会計にもみなあるわけでありますが、能率を上げて収入を増加し得るという面が主として原因になつておる。もちろんそれの反面に経費を節約して出て来る面もあるわけであります。ところが放送協会の場合にはむしろそういう意味においては企業的性格よりも、多分に行政官庁的な性格の方が強いものでありますから、同じように扱うというところに若干なお検討を要するものがあるのではないかという感じを持つておるわけであります。しかし放送法改正の機会もありますので、なお十分検討はしてみたい、こういうように考えております。
  144. 松前重義

    松前委員 これは放送法の問題でなくても、郵政大臣において十分御考慮願えることでありますから、この問題は特に御考慮願つて――企業の形態はほかの公社といろいろ違つた面もあります。またほかの公社相互間においても違つた面がある。けれども企業全体にわたつてこのような原則が設けらるべきものである。そうしてその方が能率もよくなるし、みんなも励みができる、事業もうまく行くということだけは、すでに電電公社あたりで証明されておるところです。この点についてはぜひ予算総則の中にこれを挿入していただきたい。これを御考慮願いたいと思うのですが、ひとつ御答弁をいただきたい。
  145. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 なおよく検討いたしてみたいと思いますが、ただ感じは、先ほど申し上げるように、電電やその他の公社のようなぐあいにそのまま行くかという点には、気持の上では多分に疑点を持つておりますということだけちよつと申し添えておきます。
  146. 松前重義

    松前委員 どうも消極的に言われるので、まことに遺憾千万でありますけれども、しかしよくお考え願いまして、ぜひ入れていただきたいと要望いたします。  それから電電公社にお伺いいたしたいと思いますが、実はゲルマニユーム、トランジスターの問題で、近ごろ国会の電気通信委員会では、こういう話は初めてだろうと思うのでありますが、各方面の方に来ていただいて、今トランジスターの将来性を考えながら事情を伺つておるのでありますが、電電公社でも電気通信研究所で大分努力されておるそうであります。私どもとしては、現在ゲルマニユームの製錬あるいは輸入、あるいはトランジスターの製造というようなもので、各方面で各メーカーが個々に非常に研究しておられるが、みんな同じような程度であつて、すべてが寸足らずで同じようなところでうろうろして競争をしておる、こういう状態にあるようであります。しかも一方においてはそのような十数社の競争場裡にあつて、抜けがけの功名をしようと思つているものは、アメリカや西ドイツと契約を結んで、その技術輸入することによつて、他の日本において芽ばえつつある、すなわち寸足らずのものを圧倒して市場を独占しようとする、こういうことが大体日本工業の性格であり、日本工業が起らなかつた根本的な理由でありますが、このような状態にトランジスターの問題が陥つてもよろしいかどうか、これは政府がやるべきことでありますが、政府は自由放任でちつともおやりになりませんから、公社は何といつて技術中心でありますので、この点についての権限はないかもしれませんが、実力のあるところは電電公社でありますので、御所見を伺いたいと思います。
  147. 梶井剛

    ○梶井説明員 私も最近の技術でありますトランジスターについては、あまり専門的な知識を持つておらぬのであります。しかし最近欧米を見ました結果、トランジスターは各国において研究もされ、また一部生産をされております。しかし価格があまりにも高いために、現在は一般の民需にはほとんど使われておりませんでして、軍需に主として使われておる。従つて今後の研究問題としましては、第一にゲルマニユウムのピユーリフイケーシヨンの問題であります。現在日本はナイン・ゼロくらいまで行つておるのでありまするけれども、ベルではトウエルブ・ゼロまで行つておる。従つてこのピユーリフイケーユヨンが高度にできますればできるほど、いい性能のものがあとへ多くのものをつけ加えてできるわけであります。従つて通信研究所におきましても、目下ピユーリフイケーシヨンという問題について極力研究を進めておる次第であります。しかしゲルマニユームそのものがピユーリフイケーシヨンが進んだだけでは、どうしてもコマーシヤルには需要ができないのでありまして、これをトランジスターに組み立てるまでに非常な高い値段になつてしまう。これをいかにしてもつと廉価なものにするかということは、各国においてやはり研究を進められております。従つてこの点になりますと、これは通信研究所のような小規模の生産設備ではちよつとできませんので、勢い日本の製造会社と提携して研究を進めなくてはならぬだろうと思います。そういう意味におきまして通信研究所は、進んで日本のトランジスターの生産会社とよく協力してやつて行くようにしたいと私は思つております。また一面におきまして、先ほどちよつとアメリカのライセンスを得て、そうして抜けがけの功名をするのではないだろうか、そういうことは、せつかく各社が研究しておるにもかかわらず、力の弱いところが非常な圧迫を受けるし、また各社におきましてはまちまちに研究を進めておる、いずれもどんぐりの背比べ程度である、そういうことでは非常に日本全体として不利益ではないだろうか、その場合にはもちろん日本工業試験所というものがあるのですから、本来政府としては工業試験所がその指導的立場をとるべきでありまするけれども、われわれとしましては将来トランジスターが真空管にかわつて、通信器の一部分として利用される時代の当然起り得るという考えからしまして、ぜひともわれわれもトランジスターの研究を進めるばかりでなて、二重投資を避けて、そうして国家的に見て最も経済的にやるという方法を考えなければならない、そういうふうに考えますので、今後におきまして通信研究所を中心にいたしまして、一層各社の間にさらに協調を進めて協力して行くということをやりたいと考えております。
  148. 松前重義

    松前委員 実はこの前電電公社の関基礎部長に来ていただきましていろいろ伺いましたが、予算は幾らだと聞いてみましたら、五百万円だという話であります。これは電電公社では十分重点的にお考えになつて、これからお考えになるであろうと私は想像いたして、希望的な気持を持つて質問申し上げるのでありますが、とにかく五百万円ではどうにもならないのであります。同時にまたトランジスターというようなああいう品物が、少し専門的にはなりますけれども、自動交換のリレー代用になる時代が必ず近く来ると思う。結局通信機械に対しては少くともあそこから世界革命が起るのではないかという感じを持たせられておるのであります。そのような重点的な重要な研究でありますので、これは工業試験所でやるべきものであることは建前上当然でありますが、工業試験所がやれという人もおらぬ、また工業試験所もやろうとも言わぬので、どこでだれがどうやつたらいいのかわからないのが現在でありますから、ただいま科学技術行政の問題では塚田大臣、行政管理庁長官ともいろいろ話合いをしておりますけれども、とにかくこのような欠陥が現在日本工業にあると同時に、だれかがこれを引受けてやらなければならない。結局電電公社でおやりいただかなければやり手はないだろうという感じがいたします。そこで電電公社の研究所の内容といたしましても、このトランジスターの研究に対してはうんと力を入れていただきまして、ことにここにおられる斎藤委員は非常なトランジスター信者でありまして、非常な熱心な方でありますが、とにかくこれは私非常に大事な問題だと思うのであります。とかく立ち遅れてばかりおつて外国技術輸入して、そうして輸出は全然できないでおるというような状況でありますから、せめてトランジスターくらいは日本がまつ先に開発して、しかも数十社というものがおのおのゲルマニウムの製煉やトランジスターをいじくつてみたりして、五十歩百歩のことをやつておる。こういう不徹底な状態で放置したのでは技術は進まない、また外国の植民地になつてしまうという気がしますので、この点に対しまして電気通信研究所をもつとあの方面に重点的に再改組なさる意図はないかどうか、ちよつと承りたいのです。
  149. 梶井剛

    ○梶井説明員 トランジスターばかりでなく、通信の技術につきましては、別にも申し上げました通り技術委員会をつくりまして、民間の人もみな委員となつてもらつて通信研究所が中心で、いろいろと研究のことにつきましては協力を進めつつあります。従つて通信機器をつくつておられます会社り方々に対しては協力が求められるのでありますけれども、トランジスターは必ずしも通信機器ばかりでなく、ラジオがありまして、いろいろな会社等でまちまちになつております。そういうことになりますと単に通信研究所だけが幾ら努力しましても、その方面に対する協力がなかなか求められにくいという状態になつておるのであります。なお通信研究所でトランジスターの研究費が五百万円とこういうお話でありましたが、大体予算としてはそんな小さな金額ではなくて、相当大きな金額が通信研究所に対しては組まれております。従つて通信研究所長が必要に応じてその研究費の配分をして行くわけでありまして、トランジスターは御承知通り今後においては非常に重要な役割をすることは最近私も海外の事情を見てよくわかつております。従つて通信研究所長にもそのことを十分申しまして、今後できるだけトランジスターの研究に力を入れるように、しかも広く民間の知識も入れて、そして協力をしてもらうようにということを注意いたしました。また実際にトランジスターの研究費が足りないということであるならば、それは他の経費を節約しても増額することはいといませんけれども、一応通信研究所長からその要求が出ませんことには――通信研究所長が全責任を持つて研究に対する重要性を勘案して、予算を配分しておるものと考えておる次第であります。
  150. 松前重義

    松前委員 大体伺いましたが、最後に私は塚田大臣にちよつと伺いたいと思います。ただいま総裁からお話がありましたように、技術行政というものは、重点をここに置こうと考える人が日本には全然いない。前々から申しておりまするように、通信に関連いたしましてもこのように重要な問題がばらばらになつてしまつて、非常に全体の歩調が乱れて、それを統制するというと語弊がありますが、重点的にこれを動かして行くというような行政が全然日本にはないのであります。でありまするから、先般来お願いしておりました科学技術庁の設置については、大臣も大分御理解をいただいたと思いまするが、どうも行政機構の改革の中から除いてあるような感じがするのであります。先般緒方副総理にもお願いしまして、考慮をするということをはつきり明言はされましたが、その後どのようになつておるのか。実は政府がこれを御提出にならなければ、議員提出で出さずばなるまいと思つて実は今出してあります。これらに対して党としての立場もありましようが、政府としてどのようなお考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。
  151. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは行政管理庁長官としてしばしばお答え申し上げておるように、私も御指摘のような欠陥が、日本の科学行政の上に確かにあると思うのでありまして、どういう形でこれを是正するのがいいかということで、なかなかうまい案が見つからない状態のままでこのようになつておるのでありますが、先般松前委員外数名の方々の御提案で、内閣委員会の方に科学技術庁設置の法律案が提出されておりますが、本日の閣議にもそのように報告も出ておりました。それに対して通産省側の意見も出ておつたようであります。通産省通産省の立場から若干異論を持つてつたようでありますが、なおよく検討してみたいと考えておるわけであります。基本の考え方としては、繰返して申し上げましたように、私もぜひ何か日本の科学行政の上に、従つて科学技術の行政機構の上に何か考えなければならぬ、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  152. 松前重義

    松前委員 ここで議論するのはどうかと思うのでありますけれども、通信関係から発した結論でありますから、もうちよつとしやべらせていただきたいと思うのであります。と申しまするのは、技術行政というものは経済の裏づけをするものである。これが正当な議論であると私は思う。科学技術庁の設置に対して反対ではないが、多少違つた案をお持ちの方は、あなたの党である自由党にもおいでになる。その諸君の話によりますと、まことに合理的な御意見であります。何となれば、経済科学庁をつくろう、経済の裏づけは科学技術であるから、経済科学庁としてやつた方がよろしいという意見が、私は近代の行政機構としては最もふさわしい適当な方法であろうと思うのであります。但し日本はただいま梶井総裁からもお話がありましたように、私どもが具体的に認識をいたしておりますように、日本の科学技術が非常に遅れておるのと、同時にまるでばらばらで実にロスが多い。このような状態では、とても日本はたまらない。と同時に現在そのものが非常に遅れておるというのでありますから、今日ただちに経済科学庁のようなものにするということは、決して経済が躍進するわけでもない。そういうままにおいてはとてもこれは問題にならぬ。日本の科学技術のレベルがある程度向上して、アメリカや西ドイツ等の世界的なレベルに近づいたら、理想案としての経済科学庁をつくつたらいい。すなわち自由党内においていろいろ議論をなさつておられる人の意見は正しいと思う。それは現在は必ずしも時期的に妥当でない。一応現在は独立した機関によつて重点的に力を注いで行く、こういうふうに考えておるのでありまして、塚田大臣、行政管理庁長官として緒方副総理とぜひ御相談をいただきまして、御推進をお願いしたいと思います。同時に自由党内のおとりまとめを願いたいと思います。
  153. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 先ほど松前委員から申されましたNHKの問題でありますが、料金を値上げするということになつておりますかどうですか。
  154. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 大体値上げをしないと二十九年度の運営がつかないのではないか、非常に無理ではないかという考え方に傾いて参つておるのであります。
  155. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 予算はNHKから当局へ出ておりますか。
  156. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは御承知のように、予算が出てしまいますと、それにイエスかノーかの意見を付して国会に送つてしまわなければなりませんので、政府考え方と非常に違う予算が出ますと、それが国会でどういうぐあいになりますか、もし国会で御意見が違つたりしますと、また元にもどすということになつて、かえつて非常に遅れますので、ある程度政府部内と国会の空気を見ました上で、それに乗るような案として出すという考え方で、まだ正式には出ておりません。しかし非公式には協会側が希望しておる予算案は、私どもももらつて検討しております。
  157. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは料金値上げを行わなければならないのだというアドバルンが一ぺん上つたのです。それに対しまして改進党内部でも非常に複雑であります。料金値上げが絶対的のものであるということの政府提出の予算でありますれば、私たちもそれに対して慎重なる論議を重ねて、党内の意見の統一をはからなければならぬと思う。しかしどうも上げるのか上げないのか、さつぱり見当がつかない。一ぺん上げようと考えたけれども、これは上げる必要はないのだとまたひつ込めたという風評もあるのであります。本日は二月二十六日であります。私いつでも郵政大臣にも申し上げてあるのでありますが、簡単な理由でNHKの聴取料の値上げは実現しないと思う。いつでも申し上げます通りに、これは電波そのものに対する全般の問題として、納得ずくで料金を上げるというならばできるかもしれません。しかし今日のごとくNHK及び民放が相錯綜して対立の関係かあるやに考えられるときに、NHKの料金値上げは簡単に行かない。これは相当の論議の時日が必要だと思うのでありますが、郵政大臣のところでいろいろ打診しておるとういのでありますが、これは一体間に合うのでありますか、間に合わせるおつもりでありますか、そこをはつきり御答弁を願いたいと思います。
  158. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は私も苦慮しておるのでありますが、しかし事柄の性質上、どうしても四月一日からの実行予算に間に合わせなくてはなりませんので、ぜひ間に合わせたいと思つております。ただ御指摘のように問題が非常に簡単なようでおつてむずかしいのであります。従つてまた意見も賛成かあり反対があり、そのまた賛成、反対が必ずしも同じ立場からでないのでありますから、そういう点のなるべく調整のできる線をぜひ得たい、こういり考え方でやつております。しかしだんだんと遅れて参つておりますので、私も非常に焦慮しておるわけでありますが、先ほどもちよつと申し上げましたように、大体見通しがつく段階まで参つた、こういうような考え方をしておるわけであります。
  159. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これはNHK当局もNHKの労働組合も、非常に心配しておる問題だと思うのです。私から申し上げるまでもなく、そういうお考えは十分に払われておることと思いますが、このNHKの料金値上げ問題が、放送のあり方を根本的に規制するのだろうと考えておるのであります。それだけこれは論議を尽す余地がたくさんある。なかなか簡単に行かない。そこへいつまでたつても予算が出て来ないということになりますと、ますますその条件が悪くなるだろうと思うのであります。なるべく早い機会に御提出を願いたいと思います。  なおその際私はぜひとも御勘案をいただきたいことは、NHKの研究所の問題であります。これは私再々あそこへ伺いまして、NHKの研究所の現実を見て参つております。また電気通信研究所も、その方面における権威として私たちも認めておるのであります。でありますから、もしNHKの料金の値上げというようなことをお考えになります場合には、ぜひともこういう研究所の徹底的な拡充措置を一つお加えの上で、こういう問題を考えていただきたい。  それからもう一つは、電電公社は非常に大きな世帯であります。またNHKも相当大きな世帯でございますけれども、ああいう特殊な研究所に対しまして、国家が思いつた助成の措置を講ずる御意思はないかということなんであります。たとえば先ほどお話が出ましたゲルマニウムを使用するテレビジヨンというものを課題といたしまして、それに対する研究助成金をやるとか、そういう方途はないものでありましようか、これをお伺いいたします。
  160. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この問題も先般基本の考え方はちよつと申し上げたかと思うのでありますけれども税金で国が徴収をした金を助成金という形で出すか、それとも料金の面で考えてそういう点も考慮できるような予算を政府が承認するか、その考え方はいろいろあると思うのであります。しかし事柄の実態としては、電電公社の予算であつても、また放送協会の予算であつても、やはり私はそういう面に十分考慮が払われるように措置するのが適当であると考えております。ただその財源を料金で考えるか、税金考えるかということになりますと、今まの感じといたしましては、やはり放送協会は放送協会として料金でそういう面も考えるのがしかるべきものではないかと感じてはおりますけれども、これらの点もなお今後郵政、ことに電波行政の将来の問題として検討して参りたいと考えております。
  161. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 きようは最初にテレビジヨン課税の問題を大蔵当局及び通産当局に聞いたのでありますが、このテレビジヨン課税の問題も、過日私の党の大蔵委員の諸君に意見を聞いたのでありますけれども、私の考えとはまつたく違つた考えお持つている。われわれ電通委員といたしましては、電波というものの性質から、日本における電波のあり方を考えますと、一切の生産態勢を高度の観点から見て行かなければならぬと思つておるのであります。どうしてもテレビジヨンそのものを奢侈品と見て課税をするとか、あるいはこれに対して相当課税をしても生産態勢は伸びて行くだろうとか、いろいろな見方から課税考えられていると思いますけれども、そうでなく、いわゆるエレクトロニツク・インダストリーという面から見ますと、このテレビジヨン課税というものは、生産に対する良心的な考え方から行くと、非常に大きな問題になると思つております。この問題に対して的確な意見をこの委員会において決定することも、電波行政そのものに対する委員会のあり方が一応決定するのだろうこ考えているのであります。そういう建前からテレビジヨン課税問題、NHKの聴取科の問題、こういうものは総合的に考えて、委員会において真剣な討議を重ねた上に、委員会の意思を決定いたしたいと考えているのであります。委員長を通じて郵政大臣、通産大臣、大蔵大臣の御出席を求めたいと思つているのでありますが、あらかじめ郵政大臣におかれましても、この点をひとつ考慮願つて、十分電波行政のあり方という建前からこういう問題を処置し得るように、ひとつおとりはからいを願いたいのであります。
  162. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 最後に私も一つ大臣にお伺いしたいですが、先ほど放送協会の予算はまだ提出されない、近近お出しになるというお話でしたが、この予算を出されるときに、松前委員質問された予算総則の変更とか、あるいは内容の改善というようなことは考えられていないようにお聞きしたのですが、そう解釈してよろしいでしようか。
  163. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは今までもそういうぐあいになつてつて、そういう条項が予算総則の中に入つていなかつたのであつて、今協会の考えております予算にも、そういう考え方は盛り込まれておらぬようであります。基本の考え方は、先ほど申し上げたような考え方を一応いたしているのでありますが、なおよく検討いたしまして善処いたしたいと考えております。
  164. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 昨年末のベース・アツプのときもそうですが、最近は民間でもプラス・アルフアばやりです。すなわち協会の労組のベース・アツプの問題についても、おそらく政府のお考えになつているような線と協会のお考えになつている線との間に、ある種のギヤツプがある。そこにプラス・アルフアという問題が必ず起きて来ると思う。これがそれを妥結する最後の道になるだろうと思いますが、そのプラス・アルフアの道を通ずるものとして、公社における予算総則二十六条と同じものを盛り込まない限りは、道が通じないという決定的な欠陥を持つているのですが、その点を御考慮の上御善処をお願いしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十四分散会