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1954-02-11 第19回国会 衆議院 電気通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十一日(木曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 庄司 一郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 小泉 純也君 理事 原   茂君    理事 甲斐 政治君       加藤常太郎君    齋藤 憲三君       廣瀬 正雄君    片島  港君       松井 政吉君    松前 重義君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 昭和二十八年十二月十二日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として原茂  君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員齋藤憲三辞任につき、その補欠として柳  原三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員柳原三郎辞任につき、その補欠として齋  藤憲三君が議長指名委員に選任された。 昭和二十九年一月二十五日  委員庄司一郎辞任につき、その補欠として鳩  山一郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  片島港君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員三輪壽壯辞任につき、その補欠として三  宅正一君が議長指名委員に選任された。 二月五日  委員塩原時三郎辞任につき、その補欠として  犬養健君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員片島港君辞任につき、その補欠として山本  幸一君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として片  島港君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員犬養健君及び鳩山一郎辞任につき、その  補欠として塩原時三郎君及び庄司一郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  塩原時三郎君、庄司一郎君及び原茂君が理事に  補欠当選した。 同日  理事松前重義君の補欠として甲斐政治君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 一月二十五日  日本放送協会昭和二十七年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書 同月二十六日  中広川村電話架設請願田中稔男紹介)  (第二九二号)  同(稻富稜人君紹介)(第二九三号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第二九四号)  小出、只見間に電話回線架設請願田中角榮  君紹介)(第二九五号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  姫路放送局設置認可に関する陳情書  (第八六号)  同外一件  (第八七号)  同外三件  (第八八号)  徳島放送局中継所を池田町に設置陳情書  (第八九  号)  隣接電話交換局統合及び編入替に関する陳情  書  (第九〇号) 二月四日  滋賀県放送局設置に関する陳情書  (第二七五号)  姫路放送局設置認可に関する陳情書外一件  (第二  七六号)  同外一件  (第二七七号)  同外二件  (第二七八号)  大津、今津間市外電信電話線のケーブル切替え  に関する陳情書  (第二七九号) 同月六日  北海道における公衆電気通信施設整備拡充に  関する陳情書(第  四七二号)  仙台にテレビ実験局設置に関する陳情書  (第四七三号)  姫路放送局設置認可に関する陳情書外一件  (第四  七四号)  同外二件  (第四七五号)  同外二件  (第四七六号)  同外三件  (第四七七号)  同外四件  (第四七八号)  同外二件  (第四七九号)  同外二件  (第四八〇号)  同外四件  (第四八一号)  同外五件  (第四八二号)  同外二件  (第四八三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  電気通信事業経営並びに電波管理状況に関す  る件     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 それではただいまより開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。去る十二月十一日理事原茂君か、一月二十五日理事庄司一郎君が、一月五日理事塩原時三郎君がそれぞれ委員辞任され、理事が三名欠員となりております。現在三君は再び本委員に選任されておりますので、三君を再び理事指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。  なおお諮りいたします。理事松前重義君より、理事辞任いたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。  なお理事松前重義辞任に伴う補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、甲斐政治君を理事指名いたします。     —————————————
  6. 成田知巳

    成田委員長 この際塚田郵政大臣より、電気通信事業経営並びに電波管理状況に関し発言を求められております。これを許します。塚田郵政大臣
  7. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それでは私から所管事項につきまして概略御説明申し上げます。去る十一月に開かれました本委員会におきまして、一応業務につきまして御報告申し上げましたので、本日は、その後において生じました当面の問題につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず昭和二十九年度日本電信電話公社予算について申し上げますと、同公社予算は、損益建設資本貯蔵品割掛及び工作の五勘定にわかれており、その総計におきまして、収入支出とも二千二百五十八億一千九百余万円でありますが、このうち、勘定間の振替によつて重複する金額九百三十億八千五百余万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額は、いずれも一千三百二十七億三千四百余万円でありまして、これを二十八年度と比較しますと、百三十七億二千七百万円弱の増加なつております。  次に、主要勘定たる損益建設勘定収入支出内訳について申し上げますと、損益勘定において、収入電信収入及び電話収入が一千百二十三億八千二百万円弱、受託工事収入が六億七千余万円、雑収入が二十八億六千四百余万円、計一千百五十九億一千七百万円弱となつており、支出電信電話運用費が三百八十五億六千余万円、電信電話保守費が二百二十一億五千三百万円弱、管理共通費試験研究費職員訓練費等が百二億五百万円弱、増接続電話受託工事費が四億九千六百万円弱、利子及び債券取扱費が五十一億八千百万円弱、減価償却費が二百二十六億二千二百万円、予備費が十五億円、計一千二十七億一千七百万円弱となり、収支差額百三十二億円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定へ繰入れることになつております。  次に建設勘定において、建設改良のための財源として、電信電話債券公募による分が七十億円、加入者及び地元引受によるものが五十億円、電話設備負担金等が四十八億一千八百万円弱、損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百三十六億二千二百万円を含めて三百六十三億二千二百万円、合計五百三十一億四千万円弱が建設改良のための資金であります。同じく支出としては、給与及び事務費が六十一億六百万円弱、建設改良工事費が四百七十億三千四百万円弱、計五百三十一億四千万円弱となつております。  なお建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百三十一億四千万円弱をもちまして、加入者開通は十四万加入市外電話回線東京・神戸間、横浜・大阪間を即時式に接続する長距離回線を含めまして二十五万キロ、分局開始十一局、方式変更二十一局を主要工程とする拡張改良工事計画しております。  以上を通じまして二十九年度予算案において特に考慮されました点を申し上げますと、まず建設財源の調達についてであります。財政投資計画の圧縮に伴いまして、建設財源としての外部資金は、遺憾ながら拡充五箇年計画において期待した金額を相当下まわり、電信電話債券公募限度額は七十億円と相なり、残りは全部加入者引受債券による資金を含めまして経営内及び利用者より調達する、いわゆる内部資金にたよることになつたのであります。従いまして損益勘定において後述いたしますように、経費合理化節約によつて生み出しました建設財源繰入金百二十七億円、戦時中よりの老朽施設特別償却を今後五箇年間に行うため計上した特別償却費四十二億円等、極力その財源確保に努め、これに対応して支出面におきましても、能率の強化各種物品計画発注などにより経費効率を高め、拡充五箇年計画に大きな支障を及ぼさないようにいたした次第であります。  次に、公社経営経費についてでありますが、その合理化節約には特に留意し、損益勘定について見ますと、二十九年度支出一千百五十九億円は、二十八年度に比し二百億円の増でありますが、そのうち八十四億円は建設財源等のため資本勘定へ繰入れる金額の二十八年度に対する増加分でありますから、それを差引いた百十六億円が経常経費増加であります。この百十六億円の増加は、その大部分給与改訂によります年額増加額減価償却費増加でありますが、なお、それに業務量及び施設の増に対応する所要経費必要最小限度に見込み、一面において物件費に対しては二十八年度と同様、特別節約額を計上しておるものであります。  次に、国際電信電話株式会社第一期決算について申し上げます。国際電信電話株式会社は、すでに御承知のように昨年三月二十四日に設立し、四月一日に実際の業務を開始いたしましたが、昨年九月三十日に第一期決算を終え、十一月二十七日に株主総会において事業成績報告並びにその承認を得、同日利益金処分について認可を与えました。その営業の概況並びに事業成績の内容を見ますと、朝鮮における休戦会談の成立、平和条約に基く各国との諸案件の交渉等は、わが国対外貿易の進展とともに、国際電報電話に直接影響を及ぼし、前年同期の取扱量と比べ、電信では八%、電話では六%の増という結果を示しております。  収入金額電信電話、その他の収入を加え、二十一億六千万円となりましたが、一方、経営面では、極力健全経営方針を堅持した結果、損失額は十七億九千万円と相なり、収支差額純利益金に三億七千万円となりました。利益金処分におきましては、納税積立金法定積立金、別途積立金を控除し、株主配当金は年八分、すなわち一株につき二十円といたしまして一億三千二百万円、役員賞与四百万円、後期繰越金二千万円を計上いたしております。  次に、電波関係について申し上げます。まず、わが国無線局開設状況について簡単に申し上げますと、わが国無線局数は、戦後逐年増加を示しておりますことは、去る第十六回国会においても詳細御説明申し上げたところでありますが、昨年末現在におけるその総数は、一万一千五百余局でありまして、最近一年間における増加数は、実に約三千二百局となつております。これらの増加した無線局のおもなものは、漁業関係の約一千局を初め、アマチュア、警察、海上保安鉄道等関係のものでありますが、数の上からはともかく、新しい注目すべき傾向といたしまして、新聞通信商業放送、電力、金融その他の民間事業への無線局利用増加しつつある次第であります。  次に、放送関係について申し上げますと、標準放送局、いわゆる中波の放送局で、現在運用中のものは、本年一月二十日現在百九十一局でありまして、そのうち、日本放送協会所属のものが百四十九局、民間放送局が三十三社、四十二局となつております。これを約一年前の昨年一月末に比較いたしますと、日本放送協会のものは十局、民間放送局は実に二十二局の増加なつております。  次に、テレビジヨン放送につきましては、昨年二月一日、日本放送協会が正式に運用を開始しましてから一周年を迎えたのでありますが、本年一月二十日現在における受信契約者数は八千二百六十八となつております。  次に、放送関係国会に関する事項で、放送法規定せられております日本放送協会業務報告書予算決算等について、若干御報告申し上げます。  第一に、放送法第三十八条に規定せられております同協会昭和二十七年度業務報告書及びこれに対する郵政大臣意見書は、今国会に提出いたしてございます。また、放送法第四十条の規定に基く、日本放送協会昭和二十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、会計検査院の検査を経てすでに今国会に提出いたしておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。また、放送法第三十七条の規定に基く同協会昭和二十九年度収支予算事業計画及び資金計画につきましては、近く協会から当省に提出される運びとなつておりますので、提出され次第すみやかにこれに検討を加え、できるだけ早く今国会に提出し、御審議を煩わしたいと考えております。  次に、短波帯周波数の切りかえについて申し上げます。アトランテイツク・シテイ国際電気通信条約に基く新周波数表実施に伴い、従来使用の周波数の全面的な切りかえが国際的に要請されており、わが国においても、昨年度はその第一段階として四メガサイクル以下の切りかえを完了したのでありますが、今年度は第二段階として短波帯の主として海上移動業務に使用する周波数の切りかえを実施し、本年二月末日をもつて完了の予定であります。この切りかえの結果、最も利用度の高い中短波短波周波数帯において、従来きわめて雑然たる電波利用状態であつたものが、国内的にはもちろん国際的にも整然たる秩序のもとに割当てられることとなり、その利用効率の上に画期的な改善が行われるわけであります。しかしながらこの周波数の一斉切りかえは、個々無線局無線設備改造工事その他のために相当額損失を与える結果となりますので、昨年度と同様、電波法第七十一条の規定により、国家補償を行わなければならないこととなつております。従いまして今年度はこの補償費として、六千九百万円の支出を予定している次第であります。  次に、放送関係法令改正について申し上げます。放送法は、御承知通り放送事業のあり方を規定したものでありますが、当時占領下であつた事情もあり、またその後商業放送の発達、テレビジヨン放送実現等放送事業界の刻々の発展に対しましては、現行法律をもつてしては不十分と認められる部分もあろうかと考え、当省におきましては特に放送関係法令改正調査委員会を設け、これが改正に関し本格的な調査審議の推進をはかつております。ただこの法令改正は、その影響するところまことに広汎かつ微妙なものがあると考えられますので、成案を得るまでには多少時目を要しても、十分慎重を期したい所存であります。  最後に、目下大蔵省当局との間で協議決定いたしておりますところの電波関係昭和二十九年度予算案の概要につきまして簡単に申し上げます。要求総額は十三億七千四百余万円でありまして、その内訳は、海外放送交付金が五千五百万円、業務費が約五億八百万円、人件費及びその他庁舎の新営に要する経費が八億一千百余万円となつております。海外放送交付金は、放送法第三十三条の規定に基いて、郵政大臣日本放送協会国際放送実施させるために必要な同協会に対する交付金でありまして、現在行つております十方向十時間の国際放送を、来年度から二方向二時間を増加して行うに必要な経費であります。また電波行政実施の中核をなす業務費は、その内訳を申し上げますと、無線局検査費が一億五千九百余万円、電波監視費が一億三千九百余万円、電波研究費が一億九百余万円、国家試験施行費が一千六百余万円、その他が八千二百余万円となつておりまして、これらは無線局検査電波監視電波研究無線従事者国家試験等に要する経費でございます。  以上をもちまして私の報告を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。
  8. 成田知巳

    成田委員長 質疑に入ります。質疑通告がありますので、通告順にこれを許します。甲斐政治君。
  9. 甲斐政治

    甲斐委員 ただいまの御説明については、あらためて質疑をいたします。その前に緊急な問題二点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。  第一には、今、国会常任委員会整理廃合が研究されております。伝えられるところによると、このわれわれの委員会も他に併合するというようなことになつておると聞いております。あるいは運輸、あるいは郵政というようなぐあいに持つて行くのだと伝えられておりますが、これは直接大臣所管のことではございませんけれども、かねがね電波あるいは電波行政重要性は、大臣もしかと御認識のことであります。それからわれわれの委員会といたしましても、電波行政拡充強化を決議し、これを申入れしたというような状態でございますから、いまさらあらためて、電波わが国産業界において、あるいは国防の上からいつても必要なことは、申し上げるまでもないのであります。私どもはこのサボ・メカニズムによる電波が、一種の第二の産業革命を招来するのではないかとさえ考えておるのであります。これを担当する常任委員会が、手軽に他の性格も違い、あるいは重要性も違う委員会と合併させられるというようなことは、どうしても納得が行かないのでございます。これは各党としても十分考えていただかなければなりませんし、当委員会としても御相談があつて、しかるべき態度をとられることだ、かように信じ、かつ希望するわけですが、大臣は、この常任委員会縮小等の問題に直接は御関係ないけれども、電波行政担当者としてのお考えを承りたい。なおまたそのお考えに基いてどういうぐあいになされるかということも、あわせてお尋ねしたいと思います。これが第一点であります。
  10. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 国会におきまして、いろいろ常任委員会廃止統合というようなお考えがあるということは、私も新聞紙上を通して承知しておる程度のことでありまして、具体的な問題として当委員会がどうなるというような話は、正式には何も承知しておらぬのであります。しかしこれもうわさの程度のものとしては私も承知をしておるのであります。もちろん国会自身がおきめになることでありますから、私も国会議員の一人としての考え方はありましても、郵政大臣としてそれにとやかく言えない立場にありまするが、ただ自分電波行政、広く電気通信全体の行政を預かる者として、今まで当委員会が十分それらの面にすぐれた御知識と御経験と、それから非常な理解をもつて考えいただいたということをよく承知いたしておりますので、こういう委員会があるということは望ましいことである。ぜひひとつこのままで行けるものならば行つてもらいたいという考え方は持つておるわけです。しかしそれではそういう考え方でお前がどういうぐあいにするかということでありますが、まつたく一代議士としてのものの考え方動きができるだけで、郵政大臣としては特にこれはこういうぐあいにしたいという——またそういうぐあいにすることによつて自分がその考え方を実現できるというような方法というものは持つておらぬのでありますが、考え方は今申し上げた通りでありますので、事実上の動きとして、自分ができるだけの動きはしてみたい、こういうことを考えております。
  11. 甲斐政治

    甲斐委員 大臣のお考え、よく了解いたしました。お答えで一応満足いたしますが、しかし一代議士とおつしやるけれども、政党の幹部でいらつしやいます。その地位、そのお立場から、この点について一層の御努力を願いたい。お願い申し上げます。  第二の点でございますが、民間放送に関する免許の基本的な態度はいかがであろうかということをお伺いしたいと思います。競願の場合、所管官庁としてどういう態度をおとりになるか。これは従来の例から申しますと、たとえば東京で二十七社かの競願があつた場合に、どこに免許をおろすかということで、まず民間放送発生のときに当局としては非常に苦心をせられたことを私はよく存じております。結局民間において話合いをしてくれ、あるいは話合いができたならばそこに免許をおろすというようなことで、最初はラジオ東京が発生したわけであります。その後においてもいろいろ競願せられた場合において、いずれも官庁としての毅然たる独自の立場免許があるいはなされていないきらいがある。そうしてそれはお互いで話し合つてくれ、こういつて責任をお逃げになるような傾向があるように思われる。私はこの委員会で地方問題には極力触れないようにいたしております。また行政領域にも入らぬように考えておるのでありますけれども、この基本的な態度いかんをお尋ねいたしますために、実例を一、二申し上げておきます。  浜松放送局は、静岡並び名古屋放送から競願の形になつております。いずれに免許をするかということで、よほど長い時日を考えていらつしやるようですが、これは幸いにしてと申しますか、地元からすでに申請が出ておるのでありますから、これに対して免許をくだされるのがしかるべきじやないかと私は考えるのであります。こういう点について御意見を承つておきたいと思います。  さらに宮崎放送がすでに申請をいたしておりますが、これに対してまた鹿児島からの競願が起つた。従つてこの競願を双方で話し合つて、何らか解決をしたらどうだろうというような御意向があるように承つておりますけれども、この問題も望むらくは——私は極力望みますが、当然地元の方にすみやかに免許を与えられるのがほんとうでないか、かよううに考えられるのであります。いささか地方問題にわたつたようでありますけれども、この点についてのお考えを承つておきたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 幾つかの競願があります場合に、従来の解決の仕方は、大体話合いがついてというようになつて解決をしているということは、まさに御指摘通りでございます。しかし考え方として、話合いがつかなければやらないという考え方なのかというお尋ねであるならば、それはそうではないのでありまして、どうしても話合いがつかないという場合に、そしてまたどれかのものが最も適当な条件であるというときには、これは甲斐委員のお言葉を拝借して申しますが、毅然とした態度許可をするつもりでおるわけです。しかし今いろいろ御指摘になりました具体的な事例で、たとえば浜松の問題で申し上げますと、実はどちらの側にも若干許可をしにくい事情があるのでありまして、しかも浜松市のものは、一番後から出て来まして比較的新しいので、むしろそういうものをどういう形にしたらば許可をし得る形になるかということの、事実判断をもう少ししてみなくちやならぬじやないか、こういうふうに考えておりますので、別に話合いがつかないからほつておくという考え方ではほんとうはないのです。本来の考え方からいたしますれば、大体常識的に考えられます線は一県一つ、それからその県に出願があるときには、他のものはなるべく遠慮してもらうというのが、考え方としては、おおよその私の考え方基本線であることは申すまでもない。しかし、やはり原則でばかり行かない面がありますから、本来的には、最終決定をします場合には、やはり個々事件について判断をする、そうして基本法の精神にのつとつて最も適当であるものに許す、こういうふうに御了解を願いたいと存じます。
  13. 甲斐政治

    甲斐委員 大臣のお考えなり御答弁なりは、私はきわめて妥当なところであると了解をいたします。しかし今おつしやつた中にも、一県一つという原則で行きたいということでございますので、事宮崎に関しましては、宮崎が申請しているのに対して、他の県から申請しておるのは当然却下されてしかるべきものだと考えますが、しかしいろいろの点をあまりお考え合せになつて、右顧左眄していたずらに時日を遷延されておりますことは、申請者としてはいろいろな準備をいたしておりまして、経済的にも非常なロスであります。心理的にもあせつております。その間にいろいろのデマが飛んだり、きわめて非生産的なことが行われているわけでありますから、繰返して申しますが、毅然たる態度をもつてすみやかに適切なる処置をとつていただきたいと希望いたしておきます。
  14. 成田知巳

  15. 齋藤憲三

    齋藤委員 電電公社の五箇年計画に非常な齟齬を来しておるような感じを受けるのでありますが、緊縮予算に伴います財源の処置が当初の計画と食い違つて、第二年目は建設資金がたしか六百十億円だと思いましたが、それが今見ますと五百三十一億、大体八十億の狂いがあるようであります。この狂いをもつて計画を見ますれば、当初の計画を遂行して行くのでございますが、これははたしてできるかできないか、電電公社当局が御出席になつたときにお伺いいたしたいと思うのであります。  なおそれには巷間伝えられております外資の導入大体二千五百万ドル、これを三百六十円に換算いたしますと、大体九十億円、この外資導入ができますれば、電電公社五箇年計画も無事遂行せられるというふうに考えるのであります。きようは梶井総裁御不幸のために御出席がないということでありますから、これはあらためてお伺いいたすことにいたしますが、郵政大臣の聞き及びの外資導入の見込みはいかがでありますか。御答弁を願います。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 電電の建設に充てるための外資導入の計画は、公社側において非常に熱心にお進めになつており、先般総裁が外遊された際も、それが一つの大きな目的であつたと私も承知しております。帰られてからいろいろな報告を聞き、またその後の情勢の推移をいろいろ見て、相当程度見込みがある、私はこういう判断をいたしておるわけであります。また政府側におきましても、この計画に対しましては非常に好意的な態度をとつておるはずでありまして、私所管大臣としてもちろんでありますが、他の関係閣僚においても非常に好意的な態度をとつて公社の手で外資導入ができるならば、なるべくそれが成立することを希望するという考え方に、閣内全体としてもなつておると承知いたしております。
  17. 齋藤憲三

    齋藤委員 この外資導入の問題は、前の国会において非常に問題となりましたマイクロウエーブ網の完成ということにも大きな影響がございますので、なるべくすみやかに見通しをつけられるようにお願いいたしたいと思うのであります。  なおきようは初めての委員会でございますから、あまり込み入つた御質問を申し上げることは御遠慮いたします。ただ先ほども甲斐委員から郵政大臣に要望がございました通り常任委員会の改廃ということが今盛んに研究されておるようでございますが、私の考えから申しますと、いつでも郵政大臣にお願いを申し上げております通り、現内閣が電波というものに対してどういう御認識を持つておられるかということによつて、一切解決するのではないかと思うのであります。と申しますのは、私から申すまでもなく、今日文明諸国における電波のウエートというものは、最重点的に取上げられておるということであります。バターも大砲も総じて電波というものに対して大きく影響されておる。その常任委員会が簡単に統合せられて、その機能を喪失するようなおそれがあるといたしますと、これは国家のためにまことに重大問題だと思うのであります。この点ひとつ甲斐委員の要望に敷衍いたしまして、私からも郵政大臣にお願い士いたしておきたいのでありますが、力強くひとつ現内閣のお持ちになつております電波というものに対する国家的ウエートをはつきりと宣明、発表していただきたい。そうしていかに電波というものが国家の将来に大きな問題を持つておるかということを国民大衆に知らしめて、納得の上にこの委員会が熱心に将来の電波問題に対して研究のできるように御配慮願いたいと思うのであります。  さらに電電公社の次に、ただいまの大臣の御説明によりますと、放送法の根本的改正ということが企図せられておりまして、これに対しては調査会か何か設けられておるようでありますか、この放送法の根本的改正というここは、私が電気通信委員会委員になりましたときから言われておる問題でのりますので、どういう構想でこの放込法の根本改正が今考えられておるのか、その根本的の大臣の観念をこの際ひとつ承つておきたいと思います。
  18. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 改正を志しました考え方というものは、昨年来本委員会においてもしばしば御意見を伺つており、その御意見の中に出て参ります考え方従つてまたただいまここでちよつと所管事項説明の際に申し上げた考え方によつてでありますけれども、ただそれを実施するときに、それでは基本の構想がどうなるのかということでありますが、これは実は私も今鋭意所管の部局と基本の構想を検討して、委員会で御審議願う段階において政府の基本構想を出して、それにのつとつてつていただきたいという考え方をいたしておりますので、大体案がまとまる途上に来ておるのでありますけれども、もう暫時御猶予をいただきまして、この次の機会くらいに申し上げるようにいたしまして、本日はこの程度で御了承願いたいと思います。
  19. 齋藤憲三

    齋藤委員 いや、この次の機会でなくとも、もつとゆつくり御構想をおまとめくださつて一向さしつかえないのでありますが、私の考えといたしましては、放送法の根本的改正というものにタッチせられます際に、あくまでも電波というものを国家の将来というものに結びつけて、これをどういうふうに活用いたしましたならば、いわゆる再建の大業に合致するコースを電波によつてとり得るかということを、ひとつよくお考え願いたいと思うのであります。どうも最近の放送を私ときどき聞いておるのでありますが、電波は国民のものであり、国民の電波だといいながら、その電波利用せられるところの状態を見ますと、非常に嘆かわしい部面がたくさんあるように私は思うのであります。もつと端的に申しますと、家族相寄つて安心してスイッチをひねられない、まことに低俗、ことに忌憚すべき商業的な、単なるもうけ主義的な放送がたくさん流れておる。これは電波というものを単にラジオに局限して考えてみましても、教育、産業、文化に対して、非常に大きな影響があると私は考えておるのであります。そういうことを考えますと、この放送法の根本的改正ということを今計画せられておるようでありますが、これは最も慎重に取扱つていただきたい、さように思うのであります。そういう点について考えてみますると、NHKというものと民間放送のあり方——ただいま甲斐委員からも、静岡と中部日本と競願があり、さらに今度は浜松から新しい許可申請が出たというのでございますが、NHKというものの過去と現在、そういうものを考え、それから現在の民間放送のあり方というものを考えますと、どうもこれは占領政策の非常に大きな欠点でありましようが、あまりに日本というものはでたらめに放送局をつくつてしまつておる。そこに何らの一貫性も持たない。ことにNHKはわずかに公共企業性を持つているといいますか、他の民間放送というものは、名前は国民の電波でありますけれども、これは特殊の人が営利のために電波を使つておる。しかもそのやり方は、まつたくもうかればいいという、ことにはなはだしいのは、何々会社提供の気象通報などというものが出て来る。何々会社が気象通報を持つておるはずがない、こういうものにまでスポンサーをつける。また話に聞きますと、今汚職の中心になつておりまする保全経済会ですか、そういうものもスポンサーになつて、じやんじやん金を集めたという話だ。大体この放送法を見ますと、この第一条に「左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」この第一条から第六条は、単にNHKに当てはめたところの条文でなくして、これは一般の放送に当てはめた問題だと私は思う。そういたしますと、第一そういうものをどんどんスポンサーをつけて放送して、そうしてその結果非常に多くの迷惑をかけて、それがちつとも制裁を受けておらぬというようなことになりますと、どこに一体電波の公共性というものがあるか、公共の福祉に合致するという点があるか。これはまことに嘆かわしいことだと思う。しかもそれは証拠をつかみにくいのであります。だれか録音でもしておれば別でありますけれども、とにかく電波というものはそのまま消えてしまうというようなことになりますと、これはまことに今日の時代におきまして、放送法の根本的改正というものは重大な問題だと思うのでありますが、これに対しましてはひとつゆつくりと御構想をお練りくださいまして、われわれの得心の行くような御計画をお示し願いたいと思うのであります。  なお、これは大臣関係がないのでございますが、「アトランテイック・シティ国際電気通信条約に基く新周波数表実施に伴い」とございますが、これをひとつわかりやすく局長に御説明を願いたいのであります。
  20. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。アトランテイック・シティの国際条約と申しますのは、一九四七年に戦争後初めての電波の割当その他国際電気通信に関する条約会議が持たれまして、そのときに、戦前から戦争中を通じまして、世界各国における電波の使用のやり方が非常に乱雑になりましたので、これを規正しようというのが一つと、それからその間における電波科学の非常な発展に伴いまして、通信その他に利用のできる電波の範囲が広まりましたので、新しく国際的にこういう割当で今後は行こうという、電波の使用区分の大綱がきまつたのであります。しかし実際にはただいま申し上げましたように、戦争中を通じまして、そういう新しい割当の計画とは大分違つた実態のもとに使用されておりますので、これの切りかえには相当の計画を持つて行かなければいかぬというので、その後いろいろの業務につきまして、たとえば放送関係、あるいは航空通信、あるいは海上の船舶の通信等、それぞれの業務ごとにどんなぐあいに、ただいま申し上げました条約上みんなで協定でつくりました新しい電波の表に切りかえるかという実施計画を立てるための国際会議が持たれまして、その決定を見まして、世界各国一斉にある時期を画して電波の切りかえを行つて来ておるわけであります。何と申しましても、現在電波が一番よく通信に用いられておりますのは、移動通信であります。たとえば海上における通信とか、航空通信でございます。航空の方は大体今申し上げました線に沿つて初めからスタートしておりますが、船舶関係は長い歴史がありますもので、今申し上げました電波の割当表からは相当違つた実態になつておりましたので、これを過去数年にわたつて、毎年ある計画のもとに順次これが切りかえをやつております。一昨年日本におきましても、特に漁業無線関係電波の切りかえを実施いたしました。それに引続いて今年の二月まで、特に商船及び相当遠くまで遠洋漁業に出かけて行くような船が持つております短波についての切りかえを行うことになりましたので、それを実施いたしておる次第でございます。
  21. 齋藤憲三

    齋藤委員 これな少しお尋ねするのが早いかもしれませんが、新聞を見ますると、大分NHKの聴取料の問題がやかましく論議されております。ことに読売新聞のごときは、もうアンケートでもつて、聴取料の値上げに賛成か反対かというような集計までやつておるようでありまするが、これは郵政大臣として何か御構想がございますか。
  22. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は先般来放送協会からも非公式に、とても現在の料金では運営がつかないといういろいろの事情を具して意見を申し出ておりますので、いろいろその事情を問いおるところであります。もちろんその事情の中には多少疑わしいような申し分もあるようであります。また中には考えてやらなければならないと考えられる面も見られるようでありまして、今鋭意検討して法論を出そうと思つておるところでございます。御承知のように今年の予算、それから予算の基本になつております財政金融全般の政策が、緊縮という建前になつておりますので、こういう時代に、国民大衆に非常に影響のあるこういうものの料金を上げるということに、相当の難色があるわけでありますが、しかしそれだけの難色があるにかかわらず、なおこれを上げなければならないという事情があれば、その限度においてはこれは考えなければならないかなという感じで、今問題を検討しながら見ておるわけであります。
  23. 齋藤憲三

    齋藤委員 このNHKの聴取料の値上げというものをどういうふうに考えられておるか、私は詳しいことは存じませんが、この聴取料の値上げを実行するか実行しないかという、そういう実際の問題にぶつかりますると、一段とこの電波放送というものはどう社会的に考えられるかということの根本問題に触れて来ると思うのであります。一兆円の緊縮予算の中におきまして、あえて聴取料の値上げをするということは、常識的に考えますれば、とんでもない計画だというふうに思われる。しかし今日のごとく思想体系も乱れ、教育の徹底をはからなければならない時代におきまする電波というものの価値を考えますと、今日のごとき放送ではとうてい満足な結果は得られない。これをもつとはつきりした状態に置いて、国民に電波によつてバツク・ボーンを入れるということになりますと、一月五十円なんてそんなつまらない金でなく、もつと徹底した施設を行うために、国民すべてがその施設に対する負担をするという考えも生れて来るのであります。重ねて私は郵政大臣にお願いをいたしたいのでありますが、そういう点に関するはつきりした大臣の御構想をお示し願いたい。これはゆつくりお考えなつてお答えをいただきたい。ことにここにラジオ電化新聞に長谷局長が、国家百年の計として発表されました年頭の辞があるのであります。私はこれを三、四回読んだのでありますが、まことに構想雄大で当を得たお考えであります。この国家百年の計を推進なさるにおいては、日本の前途もまた一つの光明を認めるのじやないか、さように考えておる。これはおせじでも何でもない、ほんとうのことを申し上げておる。御本人がお書きになつて、これを実行するの御意図がなければ、その職責に欠けるところがあると私は思うのでありますが、これはひとつ大臣とよく御相談の上、電波に対する認識はかくの、ごときものである、これを遂行する電波行政はかくのごときものでなければならないということをはつきり打出さないと、今問題になつておりますNHKの聴取料の値上げというものも、妙ななぶりものになつてしまうのじやないかということになるのであります。それでありますから、私たちもそういう問題が世間に取上げられております上からは、公平無私な立場に立つて、そういう問題と真剣に取組んで、何とかして電波を通じて国家に寄与したい、さように考えておるのでございまするが、電波に対する認識、あるいは電波行政に対する抱負経綸というものは、私の記憶に誤りなければ、郵政大臣にお願いするのは三回目か四回目なんです。しかし、いまだかつて一ぺんも、郵政大臣電波に対する認識も、電波行政に対する抱負経綸も、伺つたことはないのであります。われわれはまるで眼をつぶつて、まつ暗なやみに象をさぐるがごとき状態で、郵政大臣は一体何を考えておられるのかわ一からない。同時に吉田内閣は、こういう近代的な感覚を持つておるのか、おらないのか。ほとんど近代的感覚を持つていないで、ずれた感覚で国政をやつているのではないか。だからすべての問題に対して計画性を持たない。計画性を持つことが共産主義国家の専売特許のごときお答えをなさつたり、またそれに追随する大蔵大臣は、春は春、夏は夏だと言う。また生産行政に携わつておるところの通産大臣は、総合的に事は行うけれども、計画を持つことはどうも考えものだ。いやしくも文明国においてものの考えをすることのできる者は、総合的に計画を持たないで行えるか。まるで小学校の生徒にもわかるようなことを堂々と国政壇上においてやる。しかしわれわれはそういうものに今ここで文句を言つたつてしかたがない。ほんとうに近代国家として重要欠くべからざる電波であつたならば、これに対して所管大臣としての郵政大臣は、どういう認識を持つてやられるか。その認識に即応してどういう電波行政をやるか。これは責任においてやる、通らなかつたら自分の責任においてはつきりした態度を示すということをお示しになつて、それによつてわれわれもある意味においては超党派的に、いわゆる近代国家の最も中核をなす電波というものに対して情熱を傾けるということで、第十九国会電気通信委員会というものを私はやつて行きたい、こう思つておるのでございます。どうかこれに対して郵政大臣は、必ず電波に対する認識と電波行政に対する抱負経綸を堂々と述べるというお約束を、第一回のこの委員会でやつていただきたい。そのお約束をいただきますれば、私は喜んでこれで質問を終ります。
  24. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 なるべく早い機会にとりまとめまして、自分考え方を申し上げ、なおその線に沿つて努力して参りたいと思つております。
  25. 成田知巳

    成田委員長 原君。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 審議の参考になる点を二、三簡単にお伺いしておきます。建設勘定の本年度の公募による分は七十億あるわけですが、昨年度の公募額が七十五億か何かだと思いましたが、それの額と公募の状況をお伺いしたい。
  27. 金光昭

    ○金光説明員 私からお答え申し上げます。ただいまのお尋ねの、本年度におきます電信電話公募社債は、ただいま御発言のごとく七十五億円でございます。二十九年度は七十億円、五億円だけ減つております。それからただいままでの発行状況はどうなつておるかというお尋ねでございますが、ただいままでに大体六十億円程度のものを発行しておるのでございます。最近におきまする起債市場の状況等によりまして、三月末までに七十五億円を若干下まわるような状態に似たものではないかということが予想されますが、これはまだ三月までの状況を見ませんと、はつきりしたことは申し上げられません。大体そういうような状況になつております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 その次にちよつと根本的な考え方をお伺いいたしますが、この建設勘定にいたしましても、すべての二十九年度の予算を立てるのに、設備あるいは新たに購入すべきもの、こういうものの予算の単価、これは現在の単価をもつて計画をすべてしておられるのか、あるいは相当物価の上り下りがございますので、これを見込んでおられるのか、この数字の基本的な考えを伺いたい。
  29. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 大体予算全体と歩調を合せまして、昨年の九月ごろの単価を基準にして、予算の編成をいたして
  30. 成田知巳

    成田委員長 原君に申し上げますが、郵政大臣予算委員会で要求されておるわけですから、大臣の質問がございましたら、大臣だけ最初に質問していただきます。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 あとほとんど大臣にお尋したいことばかりなんですが、では一点だけ簡単にお伺いいたします。今、日本放送協会の組合のベース・アップ問題が起きておる。これはその後の進展状況によつては重要な段階に入るように聞いておりますので、郵政大臣の御存じの範囲で、現在の段階、状況がどうなつておるかをひとつ伺いたい。
  32. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 あまりこまかいことは私も承知いたしておらぬのでありますが、しかし非常に熱心にベースの引上げを要求されておることは、よく承知しております。私のところなどへも個々に見える方もあり、また陳情書などもたくさん参つております。後ほどこまかいことは政府委員からお聞きを願いたいと存じますが、結局ベースの引上げができるかできないかということが、二十九年度の予算の際に値上げをするのかどうかということと密接に関連があるのでありまして、現在の料金程度ではとてもそのゆとりがないという判断なつておるようであります。従つて二十九年度の予算考えます場合に、やはりこの問題が一番中心の問題になる、こういうように自分としても考えながら、聴取料の値上げの問題を考えておるわけであります。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 実はこの問題は、あす十二日から定時退局といいますか、相当業務に支障を来すような状況に入るのじやないかと思います。従つてただ熱心に要求があるというだけでなくして、もつと積極的に郵政大臣の方から協会に対して親切な御助力をしてやつていただきたい。こういう事態が早くとまり得るように——問題の焦点はおそらく御存じだろうと思うのですが、非常に安過ぎるベースを、常識の線まで上げろというだけのことなのであります、しかも、本来これは昨年末にやるべきものを、ここまでずらして来ているという、非常に良心的なやり方をしておりますから、早期にひとつ——あしたまた委員会があるわけですが、この委員会までに——あすからその第一段階に突入されますから、それに対してもう少し積極的な、かわいがつてやるような、愛情を持つて内容の調査を行つていただきたい。大臣から直接お願いしたいと思います。
  34. 成田知巳

  35. 松前重義

    松前委員 大臣にお尋ねしたいと思います。大分テレビジヨンやその他で、外国の技術がわが国に入つて来る傾向が強い。今のように野放図に外国の品物を入れておつたのでは、日本の工業が興らない。このことは御承知のことであると思います。それにもかかわらず、テレビ放送局やその他の施設について、外国の品物を買つて来るという計画に対して、どんどん許可を与えておられるように私どもは見受けておるのであります。かつて英国においてはテレビジヨンの問題について、政府から非常な補助を出して奨励をいたしておつた。それは技術の研究に対する補助であつたのであります。まだ一九三二、三年のころでありましたからそのような状態であつたのですが、とにかく今日英国のごとき、非常にテレビの技術が発達しておるというのは、政府の意識的なそういう奨励の結果として生れたものであります。もちろん自由経済であり、自由放任であり、計画のない政治であるならばとてもできることじやありませんが、いくら子供らしい、小学校の生徒のような考え方であろうとも、少しはそこに計画を持つて——こういう国際収支の非常に苦しいときには、国内の生産と技術を向上せしめる具体的な政策が政府にあつてしかるべきであると思うのでありまするが、これが今日までのところ私には全然見受けられません。もちろん通産省との関連において考えるべきでありましようが、通産省は単なる窓口の所管にすぎなくて、その実力は郵政省にある。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕 そういう立場におきまして、国産品の奨励と外国品の輸入の問題——総理の演説の中にも多少は触れられてありましたが、しかし、ただ外国品を押えるだけではこれはできないのであつて、国産品を奨励する以上は、国内の技術の向上に対して何らか手を打たなければいかぬ。こういうふうな様相を含めまして、大臣から御抱負をひとつ伺いたいと思います。先ほど齋藤委員からも大分大きな御注文がありましたが、この問題はすでにあつたことであるので、今日までのことと今後の問題について国際収支の改善やら、日本の技術の向上による国産の発展と、海外貿易その他を考えての大きな立場における大臣の御抱負を伺いたい。具体的にお願いいたします。
  36. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この問題は、考え方としては私も松前委員のお考え通りにしておるのでありましてなるべく国産のものを奨励し、将来ますますそれが伸びて行くようにしたいという考え方でおるわけであります。ただ、非常に遅れている部面のものについて、外国のものをサンプル的に入れて、そうしてそれによつて当面の設備をする。逐次そういうものを見習つて、国内でそういう優秀なものができるようにするという意味において、その程度において輸入することはけつこうである、こういうように考えて、少くとも私の所管事項については指導しておるわけであります。ただ御指摘の、輸入の問題は通産省が窓口で、郵政省に実力があるということでありますけれども、実際の事務といたしましては、こちらがそう発言権を持つておりませんので、こちらには何ら関係なくどんどん向うで出て行つておるわけであります。しかし通産省のものの考え方としても、私はそう大きな考え方の違いがあるとは思つておりませんし、ことに今日のような外貨事情でありますので、そう簡単に輸入を許しておるというようには私も考えておらぬわけであります。しかし考え方としましてはまつたく同感でありますので、なお所管大臣と協議をいたしまして御趣旨に沿うように努力いたしたい、こういうように考えます。
  37. 松前重義

    松前委員 ただいまの私の質問に対してお答えがずれておる。私は、外国から品物を入れないとするならば、入れないのに必要なる外国品に相当するだけの品物を日本でつくらなくちやいかぬ。つくるのにはただほうつておいてはできません。そこにどうしても研究費や何か具体的な助成政策をとらない限り、これは伸びないのです。どの国もやはり後進国というものは、そのような誘い水をかけて、地下水をどんどん上の方へくみ上げている。そうしなければ歴史的に遅れた国は、ほうつておいては絶対にできません。だからそういう政策を具体的にお持ちであるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
  38. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 なるほど私の先ほどのお答えがそれておつたと承知いたします。しかしこの問題は、産業政策全般に関係する問題であると考えられますが、ただ私どもの政党としてのものの考え方というものは、そういう必要のある場合にも、必ずしもそれを直接補助するという形の政策はとらない。間接的ないろいろな面においてこれに補助、援助するという方法があるならばとつて行くという考え方なつておりますので、今のところ直接電波関係の製造業者にそういうような措置はとつておりません。
  39. 松前重義

    松前委員 これは非常に大事な問題でありますのに、なまぬるい御返事で不満足千万であります。いずれ大臣には行政管理庁長官として一ぺんお目にかかりたいとは思つておりますが、とにかくこの問題を今にして準備しなければ非常に立ち遅れる、こう思うのです。これについて事務当局の諸君は、おそらく私と同じような考えを持つておられると思う。放任しておきましては、技術は自然には発達しません。遅れておりますから、誘い水というものが必要である。このことだけを御承知おき願つて、今後における問題について、いろいろな産業政策全般の問題もありましようが、特にその先端を切るところの電波通信技術の問題についてお考えを願わなくちやならぬと思うのであります。  そこで問題は、テレビのアンテナがどうもその辺に三本くらい並びそうでありますが、一つつくるのに一億円以上かかるそうであります。財政がゆたかな国ならけつこうな話であるかもしれませんが、ゆたかでない日本の現状においては、これはまことに不幸なことであると思います。三つのところにテレビをお許しになるときに、それぞれアンテナを建てるなんという——こういうのがあるいは自由経済のやり方であるかどうかは知らないけれども、とにかくこれは国家経済の大局から見て、非常なロスであると思う。この点について大臣からひとつお答え願いたい。
  40. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この問題は私も就任の直後にまつたく同じ感じをもつて見ておつたのでありますが、いろいろ事情を確かめてみましたところが、それ相当の沿革的な理由または技術的な理由があつて、ああいうぐあいになつていることを承知して、一応やむを得ないかという感じで見ておつたのであります。しかし今後の問題といたしては、ああいうものが許可になります際には、やはり国全体として見てむだの起きないような線にぜひ持つて行きたい、かように考えております。
  41. 松前重義

    松前委員 では具体的に御質問申し上げますが、たとえば大阪や名古屋で二局から設置の出願がありましたら、二局ともそれぞれ別なアンテナを建てるという条件のもとに御許可になりますか、それともアンテナはできるだけ一本にしろという条件をおつけになりますか。今のお話の具体的な現われとしてお答え願います。
  42. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは条件という形には行かないだろうと思いますが、しかし内部指導といたしましてはなるべくそういうようにして参りたい、かように考えております。
  43. 松前重義

    松前委員 これはできるだけひとつ許可のときの条件のごとき姿でやつてほしいと思うのです。なまぬるいことでは、これはそれぞれ理由があるということで、きつとまたずるずるになつてしまうと思う。一本のアンテナが節約されましても、一億円以上の節約になります。しかもそれを研究費にまわすなり何なりできますし、また土地や空間が利用できるのでありますから、このような点については特に許可の場合におけるやり方として御考慮を願いたいと思います。  その次は、行政機構の改革であります。電波関係行政機構ばかりでなく、人員の削減を相当にやられる御意図のようであります。大体電波関係行政は非常にふえておるはずだと私は思う。たとえば、ただいまのようなアトランテイック・シティの国際条約に基いての周波数の切りかえだけを考えてみましても、これは行政的には相当複雑な監督行政となると私は思う。こういうものが目の先にぶら下つておるにもかかわらず——しかも相当に局数もふえておる、電波の数もふえておる、施設も非常に増加しておる、こういうようなときに電波行政を削減されるということは、これは今までよつぽどぜいたくをして、人は遊んでばかりいたというようなことになるようですが、とにかくこのような目の前にぶら下つておるたくさんの仕事があるとき、現在の日本における科学行政を圧縮されるということにつきまして、どのような考えをお持ちであるか、伺いたい。
  44. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は大体郵政全体としての整理人員の予定の数というものはさまつておるわけでありますが、先般の閣議決定におきましても、各部内においての相互の間の割当は、十分各部内の特殊事情考えてさしつかえないということになつておりまして、郵政省内部におきましては先般来、電波関係にあまり大きな数の割当がないようにということを考えて、私はそのように指示をしておるわけであります。しかしまだ最終決定はしておりません。一応大体の割当数字というものは考えてはおりますけれども、これは定員法をきめます法律案の決定までの段階において、十分御指摘の点を頭に置いて無理のないように、従つて電波行政重要性が十分この点にも出て来るように措置いたしたい、こういうふうに思つております。
  45. 松前重義

    松前委員 次に放送協会の問題でありますが、放送協会国際放送に対しては相当の補助を出すことになつております。ところが放送協会の運営の立場から見て、どうしても料金値上げをしなければならないというような現実の状態に立ち至つておるというお話を聞いたのでありますが、そのようなことである場合においては、当然放送協会に対する補助、あるいはまた放送協会の研究所——あれは何も放送事業だけのための研究機関ではなくて、全般的な国家の産業技術の向上に対する研究をやつておるとみなすことができるわけであります。これらに対する補助を新設して、これをうんと補助するということによりまして、放送料金の値上げとかなんとかいうような、国民に負担をかけるような、しかもこの緊縮の際に、そのような不合理なことのない態勢をつくることも不可能ではないと思うのであります。国際放送の補助金の問題がこの説明の中に入つておりますが、これをある程度増額いたしまして、同時にまた技術の研究に関する補助を新設する、こういうことを放送協会予算とともに御提案にならなければ、この御説明を承りましても、切れ切れでは、われわれなかなか審議しにくいと思うのであります。この点につきまして、放送法改正はさることながら、放送協会に対する政府の態度について、大臣の御見解を承りたいと思います。
  46. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は料金の形でまかなうか、それから税金の形で国がとつたものを補助という形で出してまかなうかということは、やる仕事の内容によると思うのでありまして、今の国際放送の場合は、国が補助するという形は十分了解もつくし、説明もつくと思いますが、今の放送協会が持つております使命では、国から命令をいたしてこのように研究をしろということの場合には、御指摘のように国が補助をもつて研究をやらせるということもできると考えるのでありますが、その他の一般的な、放送協会業務運営の上においてやつて行く程度のものは、やはり一般の聴取料金の形でまかなつて行くということの方が正しいのではないか。従つてそういうものが不足する場合には、やはり料金値上げの形でもつてまかなつて行くことになるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
  47. 松前重義

    松前委員 しからば大臣は、放送協会の料金値上げをお認めになろうという御意図でありますか。
  48. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは認めるとか認めないとか、最終の判断はまだいたしておらぬのでありますけれども、先ほども申しましたように、本来的にいえば今度の二十九年度予算をめぐつての財政金融の緊縮というものの観点からすれば、これは否定さるべき事柄であると考えております。しかしそれにもかかわらず、なおそういうような困難な情勢下においても、これを上げなければならないという事情があるとすれば、やはりやむを得ないのじやないか、こういう判断で、そのどちらの要素の方が強いかということの事実上の検討をして、最終結論を得るように努力しておる、こういう段階でございます。
  49. 松前重義

    松前委員 ただいまの放送料金の値上げの問題及び放送協会の運営の問題、あるいは政府と当放送協会との財政上の相関関係、こういう問題は一連となつて御提案いただかなければ、われわれこれだけではちよつとわからない。だからこの御説明の内容から見れば、政府は国民に負担をかけることによつて放送協会の運営問題を解決しよう、いわゆるこういうふうな料金値上げというものをお考えなつておるのじやなかろうかというような疑いが見えるのでありまして、ただいまの大臣の非常な用心深い御説明の中には、そのような意味が含まれておるのじやないかということを、われわれ推察するのであります。この問題は非常に重要な問題でありまするから、後刻放送協会予算案が出ましたときに、いわゆる従業員の待遇改善の問題とともに、所見を申し述べたいと思うのであります。大臣に対する質問は大体これで終ることにいたします。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長   着席〕
  50. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ただいまの放送関係の問題に関連をしてでありますが、説明書を見ると、放送関係法令改正調査委員会等ができておるようでありますが、そのメンバーと、ただいま調査委員会において取上げているものの概要が御説明願えれば、大臣から御説明願いたい。  もう一つこの説明書の中において「広汎かつ微妙なものがあると考えられますので、」こううたつてありますが、一体この微妙なというのはどういう意味をさしておるのか、これを御説明いただきたいと思います。
  51. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 メンバーその他は後ほど政府委員からお答え申し上げますが、この広汎かつ微妙なという問題の微妙なという表現を特に用いました点は、先ほどもちよつと問題になりました番組の編集の仕方に、国としてどの程度まで関与して行くかという点がここで考えられている問題点でありまして、これは確かに御指摘のように今の放送番組そのものに、私どももかなり問題点がたくさんあると思うのでありますけれども、しかし問題点があるから、それでは一方的に国がさしずをしてというようにはなかなか行かないのじやないか。これは法理論的にも、また現実の問題としても非常に考えなければならぬ問題点があるのじやないかという気持であります。
  52. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それではこの広汎かつ微妙なというその微妙なという意味は、番組だけと解釈してよろしゆうございますか。放送法は番組だけじやございませんよ。
  53. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それは番組だけということは申し上げられないのでありまして、現実に問題の検討に当つてみて、いろいろな問題が出て来て、あるいはその中に微妙なという表現に当るものが出て来るかもしれませんが、一応この表現を用いました時分の気持は、こういう問題が確かにあるからという考え方であります。
  54. 片島港

    片島委員 今松井委員からのお話ですが、この説明書に不十分と認められる部分もあろうかと考えて、こういう調査委員会を設けたとしてありますが、放送関係法令改正調査委員会を設けるのに、今のところでは何か不十分などころがありはせぬだろうかということでつくるのではなくして、こういう問題があるからひとつ調査委員会をつくつて研究しようというのが筋だろうと思うのです。先ほど大臣のお話を聞いておりますと、その内容について何も触れておられないようであります。当然法令改正のどういう点を問題として調査研究をするという骨子がきまつておるはずだと思いますが、調査委員会においてただいま検討せられておる骨子について、御説明をお願いしたいと思います。
  55. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 あろうかというように表現いたしましたのは、これは言葉のあやでありまして、まさに委員会まで開いてやろうというときには、中に相当研究をして改正をしなければならない点があるという認識に立つてでありますが、ただ具体的にどういう点ということは、もちろん断片的にはこういう点、こういう点と幾つかの点があるわけでありまして、そういうものをまとめて、こういう点について審議を願うというような、まだ総合的、最終的にまとめたものがございませんので、私からこの機会には申し上げられませんが、いずれそういうものを総合的にまとめましてお答え申し上げたい、こういうように思います。
  56. 片島港

    片島委員 これは非常に重要な問題で、先ほど原委員から大臣に質問がありましたけれども、非常に不明確でありました。今放送協会の職員のベース・アップの問題で非常に紛議をかもしておるわけでありますが、国家公務員の場合は御承知のように人事院勧告があり、また三公社五現業については公共企業体等労働関係法が適用されておる。一般民間の場合には労使対等の立場において争議権が認められておる。そうすると日本放送協会の従業員については、そのいずれもが適用されないので、実は民間におけるところの労働関係法が適用されるわけでありますが、法第三十七条によりまして政府及び国会審議によつて収支予算が決定せられることになつておりますから、がん首のところはちやんと握つて大臣のところが一番の責任者になつておるのでありまして、いかに労使対等といいましても、実際は放送協会会長が予算国会において審議されないから、あるいは郵政大臣認可がないからということになれば、これは対等な相撲がとれないのであつて、ここに労使関係というものに非常に大きな欠陥があるのじやないかと私は考えるのであります。もちろんこれは公共企業体といつたような性格のものでありますが、この非常に大きな穴の明いておる、どうにも解決のしようのない日本放送協会の従業員に対する労働関係というものについて、大臣の先ほどの御答弁では非常に甘い——私はちよいちよい陳情くらいは聞いておるけれども、文書はもらつておるけれども、内容のことはあまりよく知らぬといつたようなことでありますが、実は大臣一人をたよりにしておるような状態であろうと思うのであります。こういう予算関係なつておりますが、これについて大臣は明確な態度をきめておいていただかなければ、この労使相互間における紛争というものが円満に解決しないと思うのでありますが、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  57. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは個々動きについては先ほど申し上げましたように、そのときどきの動きをあまりよく承知いたしておりませんけれども、しかし事柄自体の重要性というものを私も承知をいたしておるのであります。従つて今日のような一般的に見て非常に困難な場合にも、なお料金値上げをまじめに検討しなければならないのじやないかという考え方が出て来ます一番のポイントの点は、やはりベースを今のままにしておけないのじやないかというところからスタートしておるわけであります。従つてこの点は私は少くとも事実の判断においては、十分問題の本質を承知しておるつもりでありますし、今後も放送事業に従事されておる従事員の方々が、政府の無理解なために決して困難をされるというような事態を起さないようにという覚悟でおります。
  58. 片島港

    片島委員 この問題については、明日から実力行使に入るような段階に来ておるということでありますから、明日の委員会においてさらに掘り下げて質問いたしたいと思うのであります。  もう一つほかの問題でありますが、実は閣議決定によつてテレビジヨンの受像機が物品税の対象になるということで、約七億円ぐらいの財源がこれによつて見込まれておりますが、このテレビジヨン受信設備のいろいろな資料で私の手元にあるところを見ますると、ブラウン管の小さいものは非常に利用者が少くて、十七インチあるいは十八インチといつた大きなものの方が非常に利用者が多い。これは結局まだ非常に下つぱの階級、要するにあまり勤労大衆の方には利用できないで、金持の人たちだけが、特殊な人たちがこれを使つておる、そういうようなことからいいますれば、テレビジヨンがようやく今出発をいたしました際に、少くとも小型のものにはやはり税金をかけない。そうしてそういう裕福な立場にある、大きなものを備えるようなところにはある程度税金をかける、こういうような考え方で、テレビジヨンをもし普及しようという気持があるならば考えるべきである。これを一律に小さいものまでも課税の対象にするということは、私はテレビジヨンの普及という点から見て非常に遺憾であると思う。この点についてブラウン管の小さいものについては考慮さるべきであろうと思いますが、まだ法案はおそらく提出されていないと思うのでありますが、大臣のお考えをひとつ承つておきたいと思います。
  59. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この問題もいろいろな観点からのものの考え方があると思いますが、一方ああいうものは大体今日の日本の生活常識がら行けば、ああいうものを利用し得る家庭というものは相当負担力を持つておるという判断から、あれに税をかけようという考え方があるので、それに対しましてただいま片島委員が御指摘になりましたような考え方もあると思うのでありまして、私どもとしましては少くともある程度以下の普及型というものには免税をしてほしいという考え方で、通産省と協力しまして相当大蔵当局と折衝いたしたわけでありますけれども、結果において今のところでは十四インチ以下のものにつきましては半額の一割五分を、越えるものにつきましては三割、こういうところで大体話合いがついておる程度でございます。
  60. 齋藤憲三

    齋藤委員 議事進行……。ただいま原委員その他から、明日からNHKのベース・アップに関しまして実力行使に入るかもしれない。そういう動きは前々からあつたということを私も存じておりまして、非常に心痛しておつたのであります。と申しますのは、NHKの労働組合がどういう実力行為に入るかわかりませんが、この電波というものの性質上から、これはやり方が悪いと非常に重大な結果になると私はそう思うのであります。それで結局べース・アップの問題は、聴取料の問題に関連がある。そうしますとこれは早急に何とか解決をしなければならぬ問題だと思うのであります。まあそういう問題がなくて、春日遅々として論議を進められるなら別でありますが、そういう早急な問題が眼前にありますると、これは連日慎重な審議を継続して行かなければならぬというのに、どうも大臣予算総会に出席しなければならぬから、さあさあ行かなければならぬ、こうなりますと、結局その審議遅々として進まざるがゆえに重大問題が発生いたしたということは、これはどうも大臣だけの責任になるということになります。われわれはなるべくそういう問題に対して慎重に審議を重ねて、同時になるべく早く問題を解決したいと思つておりますので、これはひとつこの委員会が開会せられておる限りにおいては、専任大臣として特にすわつていただくというように御交渉願いたいと思います。これは議事進行でお願いしておきます。
  61. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 このベース・アップの問題なのでありますが、私の考え方は先ほど来申し上げておる通りなのでありますが、ただどういう考え方で今日の段階でその放送協会の従事員諸君が、実力行使に出られるという考え方があるのか、ちよつと私解しかねているのでありますが、かりに料金の引上げというものを政府が許可するにいたしましても、四月以降の問題なのでありまして、ことしの予算の中からは、現在の放送協会の経理としてはとてもできないということになつているので、私は十分時期的に間に合う、こう判断をしている。考え方としてはかりに料金の値上げができないにしても、どういう経理をするかはとにかく、ベース・アップ問題自体は何らか処置をしなければならないと考えている。従つて担当の大臣である私の考え方承知してもらえれば、そう従事員諸君が深刻の考え方にならずになるのではないか、こういう判断をいたしているわけであります。なお十分検討をいたしまして、この問題は善処いたしたいと存じます。  それから委員会に出席の問題でありますが、これはまことに兼任を持つております関係上、絶えず委員会の出席が不規則かつ不十分で恐縮しておるのでありますが、ただこの国会において予算委員会が開かれて予算審議が進んでおります場合には、これは私だけでなしに、各省の担当大臣がみな国会の慣例として、予算委員会優先という形になつているようでありますので、この点だけはぜひひとつ御了承をお願いしたい。なお私といたしましてもできるだけ努めて当委員会に出席して、皆さん方の御審議の御進行くださるのに妨げにならないように努力をいたしたいと思います。
  62. 松前重義

    松前委員 私は混信の問題でお尋ねいたします。奄美大島あるいはその他の地域における混信が非常に多いそうであります。ことに短波帯の混信が非常に多い、こういうことを聞いております。この混信の模様について少しばかり承りたいと思います。
  63. 成田知巳

    成田委員長 その前に松井委員の質問であります調査会のメンバーを願います。
  64. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答えいたします。松井委員からのお話の放送関係法令調査委員会のメンバーでございますが、これは大臣の諮問的機関として部内に臨時に設けられたもので、ございまして、大体部内の職員をもつて委員といたしておりますが、事柄が事柄でございますので、外部の方々のいろいろ学識経験者の方や、あるいはいろいろ放送問題に関心を持つておられる方々の御意見を十分に入れて行こう、そういう場合には特別委員として御委嘱申し上げる、こういうことに実はなつております。しかしただいまのところではまだ委員会が発足いたしたばかりでありまして、今後放送法改正というような観点から、いろいろ検討をして行きますのに必要な資料と、あるいは考慮すべき問題点等を整理いたしております段階でございますので、まだ部外の方にどなたにということを委嘱申し上げてありませんが、近い将来に適当な方に、それも数その他を限ることなしにお願いを申し上げて行きたい、こういうふうに実は思つておるのでございます。現段階におきましては、委員長が事務次官、副委員長として私が任命を受けまして、そのほか電波監理局及び官房、専門調査官、電波監理審議会の審理官、その他の者が委員として、鋭意この問題を研究するように任命を受けております。  それから松前委員からの御質問でございますが、混信の問題と申しましても、いろいろその業務態様によつてつておりまして、漁業無線等においては確かにいうような混信問題がございます。また国際通信等におきましても混信問題がございますが、何と申しましても一番混信問題のはげしいのは、漁業無線関係の通信ではないかと思つております。日本といたしましては漁業無線にはほかの業態に比べますと、電波の面から申しまして相当多数割当をいたしておりますけれども、何せ利用する船の数が約五千近い数になつておりますので、時間割当等によつてつてはおりますけれども、どうも混信問題が多いようであります。それから放送関係につきましても、最近日本周辺の各国から放送が非常に活発に始められましたので、今まで混信問題の起きていなかつた内地における一般放送の受信にも、混信の影響を受けておるという事情でございますが、これらにつきましては日本が国際的に権利を主張できるものにつきましては、それぞれの国々と直接折衝あるいは国際電気通信連合を通じまして、その問題の処理に努めておる次第でございます。しかしまだ残念ながら中共及び北鮮等とはその道が開けておりませんので、これは何らかの道が見出せるならば、この問題等の処理にも幸いだと思つておりますが、現在のところはその方法がないので、われわれの非常に解決困難な問題の一つになつておる次第であります。
  65. 松前重義

    松前委員 具体的にもう少し、ことに共産圏との問題について承りたいと思います。
  66. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 もしも許していただけますならば、資料等を持つておりませんので、漠としたことを申し上げても恐縮だと思いますので、資料をまとめ上げましてお目にかける、あるいは御説明申し上げたいと思いますが、いかがでありましようか。
  67. 松前重義

    松前委員 大体のところわかつておりませんか。
  68. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。中共関係等は私の記憶しておりますところでは、そう大きな混信問題はないように思います。と申しますのは、地理的に申しまして、中共と日本との間に混信問題を起すような問題は、超短波あるいは短波にしましても、比較的波長の短かい範囲でございますので、この範囲の波長は日本としては先ほど申し上げました船舶通信、漁業無線等が使つておるのがおもに大部分でございますが、ただいまのところでは中共等が使つております。漁業無線通信はそう活発でございませんので、その範囲での混信問題は、フィリピンあるいはその他南方との通信問題の方が、むしろ量的には多いように存じます。  なおこれは御質問に対して必ずしも回答になつていないかと存じますが、最近日本の漁船等も近海の漁業があまり成績がよくないために、御案内のようにインド洋あるいは南方ニューギニア、フィージー・アイランド等まで出張つておりますので、漁船もだんだん短波を使うような傾向なつております。こういうようなことになりますと、単に中共ばかりでなしに、ほとんど全世界、あるいは南半球、北半球全体としての混信問題になつて来るわけでありますので、特に中共との関係というぐあいに考えますと、それほど量的には問題がないのではないか、そういうふうに存じております。
  69. 松前重義

    松前委員 先ほど承つておると、中共やソ連等と非常に困つた関係にある、何か道がつけばよいというお話があつたのですが、今のお話ではあまりあつちの方とは混信はない、ほかとはあるのだ、こういうお話のようです。何か矛盾したようなお話なんですが、これはあとで御答弁いただけばけつこうです。
  70. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。結局混信問題が起りましたときには、それぞれ直接外交的なルートを通じて折衝いたしますか、国際電気通信連合を通じて処理をいたすのでありますけれども、それが中共及びソ連地区とは——ソ連の方は外交的にはそういうことは北鮮等と同様でありますが、ついておりませんために、そういう手段によつて解決することができないわけであります。しかし量的にはどうだということになりますと、ただいまのところまでではそれほど大きな量はございません。ただ一般放送、いわゆる中波の放送におきましては、中共と申しますよりは北朝鮮あるいはソ連系統からの電波によつて、日本が混信問題を起しておるところは相当あります。しかし混信問題の全部の中で中共関係がどの程度になるだろうということになりますと、先ほど申し上げましたように、量的にはそれほどではないように存じております。
  71. 松前重義

    松前委員 放送で多少混信があるというふうなお話でありますが、何か混信があるときに、向うは受付けぬだろうと思うのですが、政府は送信所なりから向うにしかるべく申し入れをされたというようなことはありませんか。
  72. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいまのところまでございません。
  73. 松前重義

    松前委員 これはお互いに困ることですから、申し入れればどうせ聞くことだろうと思うのですが、もし聞かないとすれば、多少謀略的にこちらの受信周波数帯に対して打込もうという意図があるかもしれません。その辺についてはどのような見解を持つておられますか。
  74. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。国際電気通信連合等のメンバーになつておられないところとの間に混信問題が起つたりする場合の、一般的に申し上げまして処置になると思うのでありますが、大体国際通信のようなものは相互に通信がうまくはけませんと困りますので、混信問題が起りますと、ただいまお話が出ましたソ連とか、中共とか、そういう国々でも混信の処理に協力いたしまして、よけたりあるいは変更いたしたりするのでございます。日本についてはまだ例は聞いておりませんが、ほかの国ではソ連との間でも国際通信に関する限りは、非常に協調的にうまく行つておる。結局外交的なルートを通じてでなしに、ただいまお話の出たような当事者間の直接の折衝によつて解決しておる例もあるようであります。従いまして日本の場合でも、もしも国際通信でそのようなことがあれば、そういうことも今後研究してみる十分な価値があるのではなかろうかということも、当事者の間ではいろいろ語つております。しかし一方、放送問題でございますが、放送は御案内のように宣伝というような広報機関としての大きな威力を持つておりますので、今までの慣習では、国内的にはお互いに混信を避けるという意味合いで、問題を取上げて調節をはかるようにいたしますが、国際間では混信を与えておるぞということを相手に言つてやれば、相手の電波が十分そちらに届いているのだということを知らすようなかつこうになるというような意味合いから、従来からも放送についての混信問題は、国際会議というような形ではいろいろ検討いたしますけれども、当事者間ではほとんど実力の競争というようなかつこうに自然に流れて行くのでございますけれども、当事者間での話合いはあまりやつておらない状態であります。また現在日本に混信問題を起しておりますこの近辺の電波につきましても、どうもたとえば日本語の放送で、日本人に聞かすということを意図されておるのではないかと思うような放送等がおもでございますので、この混信問題をどこへ持つて行くかということも相当問題でございますので、その点でいろいろ研究はしてみたいと思つておりますが、放送の混信問題については、ただいま申し上げましたように、当事者間で話し合うということは、はたして策を得た方法かどうかということも、疑問の点がたくさんあるように存じておます。
  75. 松前重義

    松前委員 通信問題は、いろいろな技術的な政治的な問題がその中に含まれておると思いますが、ただ問題の一番重要な点は、国際的に放送をぶち込まれるということであると思うのです。北九州では多少困つておるという話がありました。しかし私はこれらの問題の解決には、どうせ外から来る電波は弱くなつて来ますから、こちらの方で強い電波を出しさえしておけば、混信問題は起らぬ、問題は起つても現実から見てさほど混信のために苦しめられない、こういうようなふうに一応考えられるのです。これに対してたとえばラジオ九州ならラジオ九州というような、あるいはまたあの共産圏に近い地域における放送局のあり方、そのパワー、すなわち出力等に関してはもう少しそのようなことも考えながら許可をおろすというようなことを、現在考えておやりになつておるかどうか。またおやりになつていないとすれば、将来そういうことをおやりになるか。あるいはまた小さ過ぎて混信を受けて困るというならば、多少増力をするということも考えておられるのかどうか、これについて伺いたいと思います。
  76. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。御案内のように、日本の現在行つております放送の計画は、昨年の春に約一年ばかりの期間をかけまして、いろいろな調査をしました電波の割当計画で、放送局設置しているわけであります。それは国際条約等国際的な関係考え、また日本周辺の外国電波等の関係考えての上であつたのでございますが、御指摘のようにその後日本の周辺の外国電波が大分様子がかわつて参りました。従つてそれに対応する処置もとらなければいかぬということになつて参つておるのであります。ただいまお話のように、現実に非常に大きな混信問題の影響を受けておりますところについては、調節のできる範囲内で、電波の割当の変更あるいは増力寺もしてやらなければならないということで、現在鋭意その辺の関係を研究いたしております。国際電気通信連合のるいはその他との国際的な交渉も必要でございますので、まだ御報告申し上げるところまでの具体的な結果に行つておりませんけれども、きわめて近い将来に大体の解決策が見出されるものと思つて努力をいたしております。ただいまお話のような点も、今後どうしても考慮に入れて行かなければならぬのではないかと思つております。
  77. 松前重義

    松前委員 混信問題はあまり疑心暗鬼の中に、相手が悪いようにばかり考えるのもどうかと思うのでありますが、私はこれは解決する問題だと思うのです。片や出力的にこちらのパワーを増強することが一つと、もう一つはラジオ九州ならラジオ九州が混信のために困つておるなら、ラジオ九州が直接に中共に申し入れる、あるいは北鮮に申し入れる、こういうようなことで私は解決すると思う。そうめちやに悪意ばかりあるというように考えぬでもいいのじやないか。それの第一の段階を経て、その次に増力の段階に移るというような手を具体的に積極的にとられないと、ただ混信が困る困るというようなことで、そのまま放置しておくということでは、あの北九州あたりでも聴取者それ自身も困つておるだろうし、ラジオ九州自体も困つておるのでヨ。この辺はもう少し積極的に、政府自身がその手をお打ちなさらなくとも、政府がそれらの機関をして手を打だしめるというようなことで、解決し侍るものであると私は思います。私も北京に行つて、中央部のその関係の諸君と会つてみたが、どうも解決しそうです。話を聞いてみると、こつちがだまされたかどうかしらぬけれども、どうもしそうだ。その辺をあまり何でもかんでもけんか腰に出ないで、多少吉田さんはけんか腰に出られても、あなた方は年中けんかせぬでもいいから、ひとつやわらかにお出になつて、解決の道があるならば発見されたらどうか、こういうふうに思うのです。  放送の電波に関することはこれだけにいたしまして、その次は電電公社関係で、いつか電気通信法が通つたのですが、あのPBXのその後はどうですか。うまく行つておりますか。
  78. 金光昭

    ○金光説明員 お答え申し上げます。ただいま松前委員からお尋ねの点でございますが、昨年の八月一日に新しい法律を実施いたしまして、それに基いて技術者の資格検定試験等も実施したわけでございますが、その後におきまして、いわゆる公社直営のPBXと、加入者自分で自営いたしまして工事の担任者を使用してやりまするいわゆる自営のPBXと、双方ができるように相なつたわけでございますが、ただいままでのところ、その開放後におきまして、特別に従来に比べて一般的な保守等について支障を来したということはないのでありまして、両々相まつてむしろそのPBXの問題はだんだんと良好な成績を収めつつあるというように思います。
  79. 松前重義

    松前委員 非常に良好でけつこうでありますが、まだこの間つくつたばかりで、もう故障になつたのではたいへんでありますから、今こういう故障の状態を聞くということは早いのでありますけれども、ただ問題はPBXをやらせるために、いろいろな技術的な試験をおやりになつておられるそうですが、大分業者の方から、試験なしでやつてくれとか、多少点数を下げてくれとか、いろいろな運動があるそうであります。そうして大分その業者の運動に動かされた傾向もあるかのごとくに聞いておりますが、その辺に対してはどのような状況になつておりますか。
  80. 庄司新治

    庄司説明員 お答え申し上げます。技術者の試験の問題に関しましては、ただいま松前委員も御指摘のように、試験を免除してほしい、いわゆる資格認定式な、試験をしないで認定して行くというような話もあつたように聞いております。しかしこれは法律ではつきり試験を受けなければならないというふうに規定してございますので、そういうことは一切しりぞけまして、全員試験を受けて、その結果合格した、あるいは不合格になつたというようにしたはずでございます。
  81. 松前重義

    松前委員 試験に大分手心がある、こういう話を聞くのであります。何も業者いじめのために言つておるわけではないのでありますけれども、もしもそういうことがあるとすれば、初めの趣旨というものは没却されることになる。あなた方があの説明のときにお答えになつたことは、まるで没却されることになるのですが、それはお認めにならないですか。そういう手心をもつてするというようなことが、現在あるのではないかという多少の疑いを持つておるが、あなた方はどういうふうにお考えですか。
  82. 庄司新治

    庄司説明員 お答え申し上げます。そういうふうな希望のあつたということを一、二聞いておりますが、それはそういう手心を加えるというふうなことではなくて、その人の、たとえば基礎的な電気理論のような試験科目は、高等工業を卒業しているとか、あるいは電気の方を修めた学校の学歴というものを考慮に入れて、そういう人たちにはそういう経歴を加味して、その試験の科目は免除するというふうに明らかにいたしまして、そしてそれを免除している。これがあるいは手心を加えるという表現に当るかもしれませんが、いわゆる手心を加えるというふうなはつきりしない性格のものでなくて、もつとはきりしたものとして、試験を免除しておるというふうになつております。
  83. 松前重義

    松前委員 PBXの公社でやつているものと民間でやつているものとの成績の比較でずね。今金光説明員からのお話によると、同じぐらいというお話でありますが、これは無難な説明であろうと思うのですが、あなた方がごらんになつた正直なところは一体どうなんでしようか。いわゆる工事のサービスの問題もありましよう。第二はよい故障のない設備をするというような点、いわゆる加入者が将来困らないというような点における技術的な成績ですね。これはどういう両者の比較になつておるか、ちよつとお聞きしたい。
  84. 庄司新治

    庄司説明員 お答え申し上げます。公社が直接建設し保守しているものと、いわゆる業者が建設し保守しているものとの保守成績の比較は、今手元に資料がございませんが、ただPBXを、業者がこれを加入者にかわつてやれるようになつてから、どれだけ加入者がPBXの業者に依頼して設備をつくつたか、あるいは直接公社に頼んだかという、要するに加入者がどちらを選んだかという資料を見ましたが、大体大きな設備、一交換台に収容する加入者の多い設備が、いわゆる大きな交換台を業者に依頼をした数字が割合で大きく出ております。そして小さな交換機をつける場合には、電電公社に頼む数字の割合の方が大きくなつておるというふうに聞いております。直接保守成績がどちらがよかつたということは、まだちよつと資料が出ておりません。
  85. 松前重義

    松前委員 大体これで私の質問を終りますけれども、最後に郵政省として——電電公社にこれは伺つた方がいいかもしれませんが、あなたも技術者ですから多分御見解をお持ちだろうと思いますが、マイクロウエーブの問題です。マイクロウエーブというものは近代の電波技術の進歩としては、最先端の一つである、こういうふうにわれわれは思つております。マイクロウエーブ、マイクロウエーブとこの間から非常に問題になつておりますけれども、やはり実態はマイクロウエーブによるところの通信網の整備ということも必要ではあるけれども、しかしヨーロツパやアメリカにおける大勢を見てみれば、かつての逓信省時代にやつておつたようなコアクシャル・ケーブル、ああいうふうないわゆる多重通信法というものが最もよく使われておるということであります。電電公社はこれに対して現在のところさして重点を注いでいないということに対して、郵政省の監督の立場からどのようなお考えをお持ちであるか、お聞きしたいと思います。
  86. 庄司新治

    庄司説明員 通信の根幹になる幹線路と申しますか、そういうものが有線であるか無線であるかという問題が、コアクシアルであるか、あるいはマイクロであるかということのもともとになるだろうと思います。ただ無線が従来のように短波帯でなくて、マイクロ帯で使うようになつたために、非常な多重通信ができるという新しい技術の進歩がある。有線の方は従来の松前先生発明以前のような形であつたものが、無装荷ケーブルという形ができまして、これも非常な多重化ができる。従つて経済的に安定な幹線路が得られるということに相なつたわけでございますが、それがさらに進歩いたしまして、無線のマイクロと同じように、有線にはコアクシアル・ケーブルというものができるということに相なつたわけでございます。それでいずれを根幹とするかということについては、一概には言えないのではないか、こう思うのであります。無線の技術が進歩して——おそらくコアクシアルというものがないというふうに仮定すれば、これは無線によるべきだということも言えるでしようが、現実にコアクシアル・ケーブルがあるということになれば、有線の方に重点が置かれるということに相なるかと思うのであります。これは一にかかつて技術の進歩の度合いによつて、今日これが最先頭と思つたものが明日はまたかわるということも考えられるのであります。  しからば現段階においてはどうであるかという御質問だと思いますが、現段階においては、御指摘のように電電公社ではマイクロということを非常に熱心に言つておりますが、コアクシアルを少し忘れておるのではないかという傾向も見えないわけではないのであります。もともと松前先生もご承知のように、コアクシアル・ケーブルの技術もマイクロの技術も、非常に似たような技術でありまして、マイクロの波が非常に発達してきゆうくつになつて来れば、当然これは好むと好まざるとを問わず、コアクシアルの方に流れて行くものだと思います。先日公社の総裁のお話では、公社もマイクロ一点張りではなくて、コアクシアルに重点を置くべきではないかというふうな話をしておられたのですが、この点私も賛成であります。ただそうかといつて、コアクシアルだけにつつ込んで、マイクロをあとまわしにするというのではなくて、やはりマイクロ自身の特徴を生かして、その点にも相当な重点を置いて行く。従来のいわゆる波の短かいものを使わないという考え方から、波の短かいものに進んで行くという考え方に進んで行かなければならないと考えております。
  87. 松前重義

    松前委員 今の御高説は、非常にけつこうな御高説だとわれわれも賛成いたしますが、ただ問題はこういう技術の進歩に対して、現在電電公社がどのような方向に向つて研究を進めておるかという問題です。現在の電波技術の根本は、ゲルマニウムの生産にあると思われます。御承知のように石炭のからからとれるあの貴重なるゲルマニウムという元素が、今後における電波科学の進展のために最も重要なもので、あらゆる意味においてこれがその方面の中心的な力となると思うのであります。すでにアメリカやドイツや、英国などでもゲルマニウムはどんどん生産されております。わが国においても酸化ゲルマニウムぐらいまではできておるが、なかなかゲルマニウムは純度の高いものができないというために、停頓をいたしておるといわなければなりません。こういう電波技術の将来の死命を制するゲルマニユームの生産に対して、日本はアメリカからこれを輸入するなんというような、ふがいないことをしないで、ある程度できかかつてもおりますから、これらに対して電電公社電気通信研究所を動員いたしまして、何らかの手を打たなくてはいかぬ、こういうふうに思う。政府としては何かそういう方面に対して、ただ電電公社の数字だけを監督されるのではなくして、このような根本的な将来の問題の基礎を今築いておくというような点についての、電気通信研究所の運用について伺いたいと思います。
  88. 庄司新治

    庄司説明員 お答えいたします。松前委員の御指摘通りに、技術の進歩が非常にはげしくて、この進歩に乗り遅れるものはいわゆる経済的な活動、あらゆる面において遅れるということは、われわれもよく承知しておる次第でありまして、電電公社におきましても通信研究所を設けまして、これにかれこれ十億近い経費を毎年流し込んで、研究を進めておるのであります。そしてその研究も、電電公社なつてからといいますと多少語弊がありますが、ほんとうの実用に適するような研究にある程度重点を置く。もつとも基礎的なものに対しても力を入れておりますが、そういう見地からゲルマニウムの研究、あるいはゲルマニウムを用いまして、それによつてつくる——ゲルマニウムという小さい研究でなく、ゲルマニウムを利用した研究というものを相当進めておるというように私たちは見ておるのでありまして、この点に関しましては、われわれが進めるよりも通信研究所そのものが自主的に、非常な熱意を持つて研究に従事しておられるということを私たちは考えておるのでございます。
  89. 松前重義

    松前委員 ただいまのゲルマニウムの問題は、日本のいわゆる通信工業界の現在における最大の問題の一つでありますから、通信研究所は少くとも三分の一の経費は全部このゲルマニウムの研究に投じても惜しくない、このようにわれわれ意うのです。そうしなければ——つて日本に真空管一つできなかつた時代があつた。それを国産にするためにずいぶんあとから努力をいたしまして、やつとできたのではありまするが、そのときと同じような条件で努力しなければできない。どうしても永遠に向うから材料を支給していただかなくてはならない、努力すれば必ずできる。ですから、この点については特に郵政省の監督の立場においては、具体的な示唆を電電公社に示されんことをお願いしたいと思うのです。そういう意味におきまして、技術研究に対する重点性を常に忘れぬように研究を進めて行くように、政府から強力な意思表示をされんことを望みます。これに対してちよつとあなたの返事をひとつ承りたいと思います。
  90. 庄司新治

    庄司説明員 これは実は私がそういうことを言うまでもなく、電電公社電気通信研究所では、進んでそれを大いにやつておると私は確信しておりますが、本日委員会でそういうふうな趣旨のお話もございまして、非常に私たちも鞭撻を受けたということで、これから大いに電電公社の通信研究所も研究されることを希望する旨を申し伝えたいと思います。
  91. 松前重義

    松前委員 ちよつとあなたは誤解しておられる。大体通研で非常に熱心にやつておることは、私も見て来ましたから知つております。しかしあれだけではだめです。規模が小さい。あんなすみつこでひよこひよこやつているだけでは、日本のこの立ち遅れた状態は回復できません。これはあらゆる面において、科学技術の面においてそうです。少くともあそこの建物の三分の一くらいは、ゲルマニウムの生産のためにあらゆる努力を払うくらいの体制をとつても、決して経済的に損はない。これができませんければ、日本の受信機も何も海外に輸出なんかできません。電気関係の日本の貿易なんかは永遠にできません。こういう点は、一般にあまり知られないことだし、だからわれわれはこういうところで文句を言わなければならぬのでありますけれども、とにかくこういう点を行政に浸透させていただかなければならぬ。従来こういうことは浸透されていない。はでなことばかりを言われて、具体的に内容に掘り下げたところが一つも論議されていない。ですからこの点は、今の電電公社電気通信研究所の内容ではいかぬと思うのです。あのやつている人たちは非常に熱心です。しかしあの規模をもつと拡大し、うんと予算を出して、これでもつて少くともゲルマニウムの生産だけは、ほかのちびちびしたことよりも優先的におやりになる必要がある。そうせぬと世界から落伍してしまう。現在すでにもうしてしまつておる。しかしこれは遅ればせながらしなければならぬ、こう思いますが、これに対する御意見を承りたいのであります。
  92. 庄司新治

    庄司説明員 考え方としては私も同感でございます。
  93. 松前重義

    松前委員 同感よりもおやりになりますか。政府として何かなされますか。
  94. 庄司新治

    庄司説明員 具体的などういう措置をとるかという御質問でございますが、一応郵政省としては予算審議の際に、通信研究費というものを見ておるわけでございます。そしてその研究費のわくというものは、先ほど申し上げましたように大体十億近くの金を毎年使つておる。しかしこの十億の金をさらにふくらすかどうかということと、あるいは十億という今ある研究通信費のわくの中で、ゲルマニウムの研究に重点を置くという問題と二通りあると思います。それでまず第一に、われわれは現在ある通信研究費の中で、ただいまお話のようなゲルマニウムに重点を置くというふうな形で持つて行きたいと思つていますが、そういうような個々の研究に何をおやりになつた方がいいだろうかということも、郵政省としてサゼスチヨンを与えるという程度のものであるならば、これは簡単にやれると思うのでありますが、何らか具体的な命令というふうな形にまで、これをはつきり推し進められるかどうかということに対しては、私としてはもう少し研究してみたいということを考えておるのでございますが、考え方としては松前先生と同じでありまして、通信研究所でそういう方面の研究を大いに進めてもらいたいというふうに考えております。
  95. 松前重義

    松前委員 これ以上はあなたには無理かもしれませんから、この程度にとどめますが、長谷さんに一つ伺いたい。今のゲルマニウムです。これはもうあなたの商売道具の唯一のものだと私は周りのです。将来——将来ではない、現実において、これが遅れたのでは、私は電波監理局長はおるのか、おらぬのか疑うくらいです。その意味において、長谷さんは電波監理局長として、電波技術の将来の発達に対しまして、研究所もお持ちのようでありますから、ゲルマニウムの生産に対して政府はどのような意図をお持ちになつておりますか、電電公社その他の研究所等の体制と、それに対してあなた方はどのような働きをなさつておるか、それを伺いたい。
  96. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。郵政省に御案内のように電波研究所というものを持つておりますが、実は電波監理委員会の時代には電波研究所は電波観測所という名前でありまして、電波の伝わり方の方だけの観測をやり、電波の警報、予報というような仕事だけをやつておつたのでありますが、郵政省に電波監理行政が移管されましたと同時に、そのほかに電波関係の機器関係の研究もある程度やれるようにということで、郵政省の付属機関として電波研究所という形に改められたのであります。その後代々の大臣電波研究所の重要性を認められて、いろいろ予算上その他についての措置についてもはかつていただいておりますが、まだわれわれとしましては電波関係について、いろいろ研究すべきたくさんの問題があります。特に今御指摘のゲルマニウムの研究ということになりますと、ちよつとやそつとの組織や経費では中途半端になつてしまう。結局人のところにできたものをまねているにすぎないということになります。これはやはり集中的に考えなければならぬのではないかということで、私どもとしては、せつかく電気通信研究所等でおやりになつておるのでありますから、それにサイドからお手伝いをして、そのゲルマニウム等の研究が日本として一日も早くでき上るように努力を集中して行きたい、こういう気持だけは持つておりますが、直接電波研究所等では現在やつていないのでございます。なお電波技術審議会というものを、郵政省の諮問機関として持つておりますが、実はそういうものでこのゲルマニウムの研究の促進というようなことを、いろいろ課題として会いということも考えたこともあつたのでありますけれども、やはり現実に電気通信研究所等である程度つておられるということ等も考えあわせて、一応審議会の議題からも現在ははずしておりますけれども、ゲルマニウムの研究の現段階や将来の見込み等を考えまして、現状であつては心もとないというような結論が関係の間で得られましたならば、私ども徐々にその解決に尽したい、こういうように思つております。
  97. 松前重義

    松前委員 もう少し強力にこのゲルマニウムの製錬、それの応用、加工、これに乗り出していただきたいと思うのです。電電公社総裁や、あるいはまた通産省等とも十分御協議願つて、現在民間においては方々でやつておりますが、どれもこれも中途半端なのです。いたずらに資金ばかり食つて、そうして会社をつくつて研究をやつておりますから、非常にロスが多い。そうしてどれも完全にはまだ成功してないと見なくちやならない。こういうことですから、これらをやはりどこかに集約して、能率よくやらなければならぬということは当然のことであるし、これに対してやはり政府がいくら自由放任といえども、とにかく一応意図を持つてこれらを誘い出してやる、あるいはまたお互いに協力さしてやるという態度を持たなければならぬと思うのです。もちろんこれは科学技術庁のようなものができるとすれば、これはそこで一応音頭をとるべきでありましようが、今まではそういうのが全然ありませんから、どこかでめんどうを見なければならない。それにはやはり電波監理局長、あるいはまた郵政省の関係でめんどうを見られる必要があると私は思うのです。どうかひとつこういう問題の先端的な問題、ことに一番重要な基礎的な問題、しかも資源の貧弱な日本であるし、これは石炭の燃えくずからとれる、われわれが道ばたに捨てておるその元素であります。それから貴重なる、偉大なる生産品がとれるというのです。こういうところに私はほんとうの日本の経済を復興させるための重点を注がなければならぬ。通産省といえども当然こういうことをしなければならぬと思うのです。こういうことを民間に放任してまかしておいてはいかぬ、こういうふうに思うのですが、ひとつ大いに張り切つてつていただきたいと思います。これで私の質問を終ります。
  98. 齋藤憲三

    齋藤委員 局長に伺つておきますが、明日からNHKの職員組合が重大段階に入る——先ほど大臣にも御質問をいたしましたら、ベース・アップは四月以降だから、自分考えで間に合うのではないかという御答弁でありましたが、ベース・アップは結局昭和二十九年度の予算によつてきまるのでありまして、いつ予算がきまるか、あなたの方でどういうふうな考えを持つておられるかということで、職員組合はそれに対する重大決意を表示するということだろうと思うのですが、局長はベース・アップに対してどういうようにお考えなつておりますか、お伺いいたしたい。
  99. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 その問題は先ほど大臣からお話がございましたのと、まつたく同じような考えを持つておるのでありますが、ベース・アップの問題につきましては、もしもほかの一般のベースと比較いたしまして、NHKの従業員のベースが不当に低ければ、それは正当なところに是正してやるのは当然だと思います。しかしその結果必ず料金値上げになるものか、あるいは内部的な処置でできるものか、これは放送協会の放送事業全般の経営のやり方等にもかかわりますので、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、NHKから非公式にこういうふうにやりたい。それでこれについての政府の意向はどうかということを、最近になつて聞いて来ておりますから、この案の内容をただいま検討いたしますと同時に、ほかのつまりNHKの聴取料金、あるいは従業員のベース・アップに対してどういう関係にあるかというような点をただいま検討いたしております。大体今国会中にNHKの予算につきましては、国会の御承認を得なければいけませんので、おそくも今月末か来月上旬には国会に提出しなければならぬと思いますので、もう時日もたくさんあるわけでもございませんので、一日も早く結論を出したい、こういうふうに思つて鋭意研究している次第でございます。
  100. 齋藤憲三

    齋藤委員 どういう重大段階に入るのか、私にはちよつと予測がつきませんけれども、放送法から見ますと、もし放送法に違背するような場面ができたとしますと、聴取者は得たり賢しとして聴取料の支払いを拒絶するだろうと思う。もうそういう事態も考えられるのでありますから、これは直接生活には影響がありませんでしようけれども、電波というもの、放送というものを考えますと、職員組合の実力行使というものがどういう形になつて現われて来るかわかりませんが、放送法の本筋に違背するような形が出て参りますと、これはNHKの将来のあり方というものに対して、非常に大きな問題になつて来ると思うのであります。そこで私たちも心配するのでございますが、私の想像からいたしますと、NHKからこの程度のベース・アップをやりたいという意向が、職員組合では不満だ、そんなことではとても納まりがつかぬというような観点からの問題じやないのですか、その点はおわかりになりませんでしようか。
  101. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 私どもといたしましては、ただいままでのところ明日NHKの従業員組合がどういう理由で、どういう目的で、どの程度の実力行使に入られるのか、報告も受けておりませんので、存じておりませんけれども、数回にわたつて私どものところに非公式でありますが、NHKの従業員組合の方が言つて来ておりますことでは、私どもの方に放送協会から、これも非公式でありますが、来年度の予算編成の案として出て来ておりますものとは、必ずしもベース・アップの金額が一致いたしておりません。従いまして放送協会の従業員の方々が、ただいま協会から政府に非公式でありますけれども申し出ておりますその金額に不服であられるのか、あるいはまた将来どこまでのものを認めてほしいということでされておるのか、この辺もわからないのであります。私どもの方でもはつきりした御返事を申し上げかねるのであります。さらにもう一つの御指摘の問題は、先ほども申し上げましたように、ベース・アップ即料金の値上げで行くかどうかということも私は問題ではないか、その辺の検討も十分いたしたいと考えております。
  102. 齋藤憲三

    齋藤委員 もう少し具体的にどういうぐらいの開きがあるのか、御説明願いたいのであります。両方からの非公式の申出でありましようが、その非公式の間にどれだけの差違があるのでありますか。
  103. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいまちよつとあいにく資料も持つてつておりませんので、はなはだ恐縮ですが……。
  104. 齋藤憲三

    齋藤委員 これは別段いやがらせを言つておるのではありません。とにかくこれは妙なもので、私の考えから行くと、NHKと民間放送というものは、そういう点においては非常なライバルだ、対立関係にある。ところが一般聴取者の方から行くと、何かの口実があれば聴取料を支払わなくたつていいという態勢であるのであります。これはすぐ聴取料の支払いを峻拒するだろう。一方では結局従業員組合と経営者があつても、NHKという体形においては対大衆において同じでございますから、そういうような事態がもし起きたとすると、公共性を帯びた電波放送、これが国民に対する影響という点から考えますと、すこぶる事重大だと私は考えておる。それでありますからそういう点はなるべく早くきめて、そういう事態を引起すことを未然に防げるならば、郵政当局並びにNHK当局がスピーディーにやつた方がいい。できないものはしかたがないですけれども、できるものならいたずらにそういう混乱状態を巻き起す必要はないのじやないか、私はそう思いますが、どうでありましようか。
  105. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいま御意見の点も十分注意いたしまして、できるだけ早く結論を得たいと思つております。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 あした、大臣と約束して調べて来た上でこの問題の討議をしたい、こういうことに先ほどなつておりますから、あまりつつ込んだ問題に入りませんが、今局長の説明の中で、関連企業と比較して安ければ引上げてやる必要がある、こうおつしやつたわけなんですが、局長の考えられる関連企業、似たような業種、こういうものはどんなものをお考えなつておるのか、それだけお伺いしておきたいと思います。
  107. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 あるいは私申し上げるのが間違つておつたかもしれませんが、関連事業とは申し上げなかつたと思います。一般の何と考えまして、もちろん関連事業と申しましようか、早い話が新聞関係とか、あるいは民間放送、あるは公共企業体的な——公共的な性格を持つたものにも現在なつておりますから、こういうものとの比較において、それと同じにするかしないかとかいう問題ではなしに、そういう点も考えなければいかぬと思います。またベース・アップをする場合に、一般の民間なりあるいは公企労法に基く方々のベース・アツプが、どういう点を考慮されて、何パーセントのベース・アツプがされて来ておるかというようなことと、あるいは放送協会の職員のべース・アップが過去どういう経緯をとつて来ておるかというような点も十分考えに入れなければならないのではないか、そういう意味で実は申し上げたのでありますが、言葉が足りませんであるいは誤解をいただいたかと思います。
  108. 松井政吉

    ○松井(政)委員 関連でお伺いします。あげ足をとるわけではございませんけれども、先ほど大臣は放送協会予算において、聴取料値上げ等の起つて来るものは、ベース・アツプにウエートが一番あるような答弁をなさつておるのです。これは速記録を調べればわかります。ところが今あなたの答弁は、要するにベース・アツプと聴取料の値上げ、必ずしも関連して考えているのではない、予算内容全体をにらんだのだという意味の答弁をなさつておるわけです。そうすると郵政当局は、二月も前からNHKのベース・アツプの問題が起つておることは御承知でございましよう。大臣陳情あるいは非公式の会見でもつて承知しておるとおつしやつておる。NHKにおいても予算の編成については、あなたの方に二日や三日前に相談していることではないと思う。そういうことになりますと、一体局長と大臣とはこの問題について、ほんとうに御相談をなさつたことがあるかどうか、それで意見が食い違つているのかどうか、これをまずお伺いしないと審議ができないことになります。この答弁の食い違いと思われる部分については、一体どつちをとつたらよろしいのか、最初にお伺いいたしておきたいと思います。
  109. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。私の御説明が十分でなしに、誤解をいただいたことがあるかと思います。その点は訂正させていただきますが、大臣とはこの問題については始終御連絡をとつて、検討させていただいております。私が申し上げましたのは、確かに大臣がおつしやつた通り、このベース・アップの問題が、料金値上げというような形に現われて参ります場合にも、その中の非常に大きなパーセンテージ、大きな部分を占めておることはその通りでございます。しかしどうしても何らかの事情で、ベース・アップはともかくとして、料金の値上げはしないというようなことになる場合にも、そういうことでベース・アップはできないのかということになると、そういうことはないので、場合によつては一般の事業はやむを得ずがまんしても、ベース・アップというものはある程度やらなければいかぬのじやないかということも出て来るかもしれませんが、ベース・アップ即料金値上げということにはならないのではないかという一般論的な気持で私申し上げたのであります。大臣とは十分御連絡もとり、大臣も非常にこの問題を重要視されておられますので、皆様の御心配をいただいております点は十分大臣にもお伝えし、一日も早く結論を得て御審議を願うようにしたいと思います。
  110. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これは大分違います。あなたの考え方は私は妥当だと思います。そこで先ほども齋藤君からも大臣に質問されておるし、その他の同僚委員からも質問されておるのですが、要するに大臣の方の考え方だと、料金の値上げを認めなければベース・アップは不可能だというものの考え方が、大臣考え方の底流をなしているのです。それだからあなたと答弁に食い違いが出ております。私はその食い違いはやはり郵政当局行政執行の面で一致しなければ、立法府としてもわれわれは審議できないことになりますから、これはひとつ考え方を統一して来てもらいたいと思うのです。  そこであなたにお伺いをするのですけれども、本年度のこの説明書の中にも、大蔵省と目下折衝中だというような文書の解釈で、その下に決定となつ電波行政に対する予算が載つております。これは決定であるのか、目下折衝中であるのか、お伺いしたい。おそらく政府が提出した予算書における郵政行政に関する特別会計における費用とは、電波会計予算は違うと考えるが、それとも一般予算書に載つております特別会計の郵政省の事業の中に含まれておる電波関係の一部分であるのか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。もしそれが明らかになりまするならば、この説明書に載つておる電波管理関係予算というものは、行政整理を行つて人員に異動を来すことを前提条件として考えられておるのかどうか、そうじやなくて、現在人員そのままで考えられているのかどうか。一般予算書には、郵政省の定員あるいは電電公社の定員は、二十八年度、二十九年度、ちやんと比較対照が出ております。けれども電波関係の方は出ておらないのでありますから、われわれは答弁で了承する以外に方法はないのであります。それが第二点。  第三点は、ものの考え方でありますが、あなた方にお伺いするのが無理なら、明日大臣に聞いてくれという答弁でけつこうでございますが、要するに行政整理の内容について、電波関係は直接長谷さんのところの担当、電電公社行政監督の面におけるコーポレーシヨン、NHKのベース・アップもやはり行政監督の面における外部の特殊のコーポレーシヨンである。こういう関係がすべて郵政省の管轄になつておるのでありますが、議会において議員諸君への答弁に、うまいことを言えば済むというようなものの考え方でやつているのではないかと思われる節が多々ある。それとさらにあなた方に言わせれば、どうも大臣なり閣議なり、あるいは与党である自由党の決定であるから、事務当局としてはあなた方の言う通りにしたいのだが、それ以上われわれでは答弁ができないという、従来の長い間の歴史に基く官僚的色彩で答弁しているのではないかと思われる節がある。従つてそういうことではなしに、意見を一致して来てもらつて、ただ行政監督をやるということだけではなくて日本全体から見て、自分たちの行政監督の面における事業体をどのようにしたらいいのか、そこから出発して、行政整理、ベース・アップをどのようにしたらいいのかということを考えなければならぬと思うが、そういう問題に対する所信をお伺いいたしたい。  第四点は、御承知のように放送協会のベース・アップは、もう必要欠くべからざる数字が出ておるのです。関連産業の中で、長谷さんのあげておられます報道陣関係を見ても、新聞社とNHKに同じ年数勤めておる同じ大学を出た諸君を比較いたしましても、一方は年末年当を九万円ももらつておるところもあるのに、NHKでは一万二、三千円しかもらつておらぬところがある。これはもう現実にペース・アップをしなければならぬ数字が出ておるのですが、その数字を調べてみなければわからぬというあなたの答弁は、職務怠慢である。ちやんと調べておかなければならぬはずである。わかつておるはずである。わかつておりながら、今予算編成をめぐつて調べておるというような時期遅れの答弁をなすべきではありません。低ければ低い、しかしそれを現実に料金値上げでやるか、それともNHKなりあるいは電電公社がコーポレーシヨンとして持つておる国家的技術研究あるいは科学推進のための費用は、全額郵政省の予算において国がとつて、そこからやはり費用を浮かして電電公社並びにNHKの経営にうまいことベース・アップのできるような段取りにする方法も一つある。さらにまた内容において、冗費を節約して人件費に充てる方法もありましよう。これはあなたが説明の中で、具体的ではないが、大体その観念として申されたことになるわけでありますが、やはり料金値上げだけにまたなければならないという考え方でなしに、幾らでもあるわけなんです。そういうようなものの考え方について、やはり処理して行かなければならないのでありますから、べース・アップは必要だという観点に立つて物事の処理に当らなければならない。予算編成の場合に、そういうものの考え方で当るべきが妥当だと思われるが、その点についての見解を承りたい。  それから第五点は、電電公社関係についてお伺いをいたしておきます。時間がおそいので全部まとめて質問しますから、一ぺんに答えていただきます。電電公社関係でありますが、要するに本年度の予算における建設勘定の点が一番問題になろうと思います。五百三十一億組んでおります。しかしその建設予算といいますか、建設関係に必要なる額を完全にこの予算で確保できるという自信が郵政当局にあつて、この予算をされたのであるかどうかという総括的な問題が一つ。それからもう一つは、要するに利子及び債券所得の金額は、電信収入すなわち電報収入の五割五分以上を占めております。これは一体いかなるところへどういう形に関する利子を払おうといたしておるのか、これが第二点。それから第三点として予算の内容についてお伺いいたしておきたいのは、御承知のように建設勘定予算について政府会計よりの受入れは、本年度はゼロになつております。それから資産充当もゼロになつております。これで昨年、電話利用者に負担をかけて料金を上げて、そうして料金収入がふえて、事実上第四・四半期の決算報告をいただいても利益を上げておるのであります。その利益は損益関係における成績を上げるためには使われないで、建設勘定へ持つて行こうとする意図が濃厚であります。そういうことになりますれば、いくら電話料金を引上げても、あるいはベース・アツプを押えても、あるいは行政整理の結果人員を減らしても、電信電話の企業の拡充にはならないのであります。これはやはり考えてみても、電電公社が研究所を持つておるか、あるいは放送協会が研究所を持つておるか、いずれにしてもそれはそつちの方の予算で電電公社独自がやればいいという性質のものではないのであります。いわゆる科学と技術の進歩は、いかなる公社が担当しておつても、民間が担当しておつても、国自体がやらなければならない問題であります。国自体がやるということになれば、設備も主管も、それから予算も、すべてやはり郵政省が管轄しなければならない。郵政省が考えなければならない。にもかかわらず、国民に負担をかけて料金を値上げして、そうしてそこで利益が上れば、成績を上げるためには使われないで、建設費へぶち込んで、国としては全然負担をしない。政府としては、公社つてにやれ、NHKかつてにやれ、こういうようなことであなた方の主管しておるところの企業体が完全無欠に成長するとお考えであるか、この点は明瞭にお伺いしておきたい。以上であります。
  111. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問の点とあるいは順序は多少前後いたすかも存じませんが、御了承願いたいと思います。  放送協会の来年度の予算のことにつきましていろいろ御質問があつたのでございますが、先ほど大臣から申し上げましたのは、おそらくただいままで放送協会から大臣が直接お聞きになり、あるいは私どもが御説明申しあげたところによつての見通しをお話したのではなかろうかと思いますが、実際的に放送協会の来年度の予算として、今後私どももすみやかに決定をし、御審議を願わなければならぬ内容を見ますると、放送協会協会当局から言つて来ておりますベース・アップを、ほかと均衡のとれる範囲内でやるといたしましても、ほかに老朽な施設でほうつておけない、改修を要するものもあります。今年中新しくできた放送局のために必要な経費等もありまして、結果的にはどうしても料金値上げで行かざるを得ないという数字になつておることは実際でございます。ただ先ほど申し上げましたのは、私ども事務当局の者としてこの問題を研究いたしますのには、あらゆる面から考えなければならぬので、最初からベース・アップ即料金値上げという考え方でやつておるのではございませんので、放送協会のたとえば現在の仕事におきましても、合理化できるものは十二分に合理化する、そういうようなことを考えたあかつき、結果的に料金値上げが出て来るならばやむを得ないのではないか、こういうような考え方で研究をしております。その考え方を申し上げたのでございまして、大臣との間の意見の食い違いということには、なつていないつもりでおるのでございます。その点、あるいは私の御説明が間違つておつたかもしれませんが、御了承を願います。  次に、先ほど大臣から所管事項として申し上げました事項の中で、郵政当局電波関係予算でございますが、これは大蔵省当局との間で協議の上決定いたしております。ただ国会の御承認だけが今後の問題に残つておるのでございまして、大蔵省との間では協議決定いたしております。これは郵政事業特別会計とは違いまして、郵政省の一般行政費の中に電波関係は含まれておるのでございます。それから電波関係の人員でございますが、これは先ほど大臣からもお話がありましたように、やはり整理の対象に入つております。しかし先ほどの松井委員からの御質問は、私の了解いたしましたところでは、行政整理を行う全般的な考え方のように伺いましたので、私からの答弁でなく、塚田大臣からの御答弁をいただいた方が適当じやないかと思いますので、失礼さしていただきます。  次に研究所の関係でございますが、放送協会は確かに放送全般にわたる技術の研究をいたしており、またその半面、放送協会自体の放送局あるいは放送設備に直接つながる研究も十分いたしておるわけであります。実際的になりますと、その間の線の引き方が非常にむずかしい。また一方放送法によりまして、日本放送協会が今日の形に性格がかわりましたときに、これも国会での御審議を通じてわれわれがその趣旨と了解いたしておりますものは、聴取料という形で放送協会にだけ入つて来ておる金は、放送技術の研究あるいは放送文化の研究に、国会の御承認を得た事業計画及び予算の区分に従つてこれにつぎ込んで、その結果は単に放送協会だけでなしに、広く放送の関係者に利用さすという趣旨から行つておるわけでございまして、いわば放送料金を放送協会だけがとるという特権と申すと語弊がございますが、それに結びつけてそういう組織が考えられておると存ずるのでございます、それに一方、これは政府がある特定の事項を取上げて放送協会の技術研究所に研究を命じ、それにかかつた費用は政府から交付金として交付できる建前になつております。従いまして御趣旨のようなことは、もし今後放送協会の技術研究所が、それだけの技能、能力のある研究課題というものが適当に見出されるならば、将来考えて行きたいと存じておりますが、ただいままでのところではそういう問題もなかつたので、政府から研究命令を出し、それに伴う交付金を交付するというような手段はとつて来ていない次第でございます。
  112. 金光昭

    ○金光説明員 ただいまの御質問のうちの電電公社関係についてお答え申し上げます。ただいまの御質問の第一点は、五箇年計画の二年度におきまする当初の建設勘定資金としては六百十億であつたものが、二十九年度予算では五百三十一億に減つている。一体それで完全に五箇年計画が遂行できるかというお尋ねであつたと存じます。先ほどの大臣所管事項説明の中にもありました通りに、もちろん当初の五箇年計画といたしましては六百十億というものを予定して、二年度を計画いたしたわけでございます。しかしながら全般的な日本の経済の実情から申しまして、外部資金を当初の予定通り借りることにつきましては、大臣を初めといたしましていろいろと努力いたしましたが、結果的に見ますと、外部資金としては公募公債の七十億ということに相なつたわけでございます。それでは一体二年目の建設工程がこの金額ではどうなるかということになりますが、加入者増設及び市外線の増設工程といたしましては、これは本二十八年度にやります基礎設備を利用いたしまして、来年度の加入者増設、市外線増設の大半がなされますので、この工程については、二年度の計画に変更を見ないように推進できるわけでございます。しかしながら二十九年度に実施いたします基礎設備につきましては、当初の計画よりも若干のずれが出て来ることはやむを得ないことでございますが、できるだけこの建設工事の推進につきましては、経費節約あるいは新技術の導入等を考慮いたしまして最小の経費で最大の効果を上げるように、できるだけ努力するように政府としても考えておりますし、また公社としてもその意気込みで現在計画を進めておるわけでございます。そこで結局二年度におきまする基礎的の設備の工事におきまして、若干三十年度以降にずれて行くという結果に相なつておりますが、われわれといたしましては、五箇年計画としての当初予定されました二千七百七十億という建設資金で、予定されました加入者七十万あるいは市外線の増設の百二十万キロといつたようなものにつきましては、できるだけこれを狂わせないようにするということに、さらに努力をいたしたいと存じておる次第でございます。  第二点は利子及債券取扱費が非常な多額に上つておるというお話でございましたが、これにつきましては二十八年度末におきまする電信電話債券が約百四十五億、それから今までに借りました借入金が六百二十億ばかりに相なつております。それに対しまする利払いと、それから本年度発行いたします債券の取扱費からいたしますれば、この約五十億程度経費というものは別に厖大なわけでございませんので、当然に出て参つておる結果でございます。(「どこへ払うのか」と呼ぶ者あり)電信電話債券につきましては、公募のものはその公募いたしました金融機関その他に対しての利払いになります。借入金につきましては、預金部資金に対しまする利払いという形に相なるわけでございます。  それから第三点といたしまして、本年度の予算におきましては資産充当額、あるいは昨年度の予算におきましては預金部資金等からの借入れもあつたものが、今度の二十九年度の予算におきましては政府からの借入れもゼロになつているし、資産充当もゼロになつている、そうして結局その減つた部分損益勘定からの繰入れの形において繰入金が増しておるのではないかというお尋ねでございましたが、もちろん五箇年計画を立てましたのは、一昨年に二十八年度予算をつくつたのでございまして、そのときに見ました収入の見込みと、その後に二十九年度予算をつくります場合の収入の見込みとでは、その間におきまする加入者増設等も予算より多くできておるというような点で、収入の見込みにやはり差ができて来ておるわけでございます。それらの点を考慮いたしますと、当初の五箇年計画で見ました損益の繰入れの百十三億が、今回の繰入れで百二十七億にふえたからと申しまして、決して不当に損益勘定を圧迫しているというふうには存じないのでございます。そこでたとえば研究所等の研究費がそのためにやはり少くなつているのじやないか、もつと国家的な見地からの研究の面では国からそれを助成すべきではないかというお尋ねでございますが、もともと電気通信研究所におきます研究は、逓信省なり、あるいは電気通信省時代におきましては、やはり国としての要請というようなことで、いわゆる基礎的研究の分野にも相当の力を注いでおつたのでございますが、電電公社になりましてからは、できるだけ現在の電電公社実施しております電気通信サービスの直接改善になるようなものを主体にいたしまして、それに関連しましての基礎研究を主としておるわけでございまして、この電気通信研究所におきます研究を、公社だけの利益になるものと、国家的の見地による研究とわけるということは非常に困難なことでございまして、基礎的の研究と申しましても、結果的に見ますと、公社におきます将来の技術の進歩によります経費節約等に、すべてこれは還元されるというような点もございますので、特に研究所の経費のそれだけの分を国庫で見る、国庫で助成するというようなこともいたしかねますので、それらのものを一括いたしまして公社経費の中で見るということにいたした次第でございます。
  113. 松井政吉

    ○松井(政)委員 この利子及び債券のパーセントをひとつお聞かせ願いたい、これが第一点。  それからもう一つは、われわれの言うのは、電通でも、NHKもそうですが、事業運営のために研究をしておる事柄は、要するに利益を追求する民間の企業が行つておるものと、同一に見てよいのかどうかということを聞いておるのです。同一に見て、企業体の事業運営のための研究だから、まかしておいてよろしいというのであるのか。われわれの考え方とすれば、事業運営のための研究であつても、事電気通信電波に関する限り、国家的なものであり、企業体がコーポレーシヨン組織であつて民間営利事業と違うから、そういうものは、要するに費用にしても、設備にしても、国が引取つてやつたらどうか、こう考えるが、この点に対する見解を聞いている。区別がむずかしいという話は、長谷さんからもあなたからもお伺いしましたけれども、区別の点を聞いておるのじやない。根本的な考え方を聞いておるのです。これについての御答弁を願いたい。  それから、これは長谷さんの方の関係でございますが、放送関係法令改正調査委員会、これはまだできたばかりで、メンバーもそろつていないので、単なる調査程度のことしかやつていないように先ほどお伺いしたのでありますが、説明書の中では、すでに発足をいたしまして、相当研究がされておるような説明がなされております。これは説明と答弁の食い違いといいますか、説明書では誇大に、これだけの実績を持つておるのだという説明をなされたのであるか、その点は私存じませんけれども、少くとも説明の中に堂々と、委員会があつて、目下鋭意審議、調査を進めておるということを発表なさつておる限り、いずれかの形において重点を置かれて研究されておると思うが、その内容について御説明が願いたい。できなければ、きようでなくてけつこうでございますが、これは説明を願いたい。  それからもう一つ、NHKの本年度の予算というものは、聴取料の問題もあり、それからこの前放送法の一部改正のときにも、本委員会満場一致で、そういう程度の切り張り改正を行うべきではなくて、電波と放送と二つの法律を十分に検討した結果、根本的に考うべきだというのが、当委員会一致した意見なんです。そういたしますならば、いわゆる聴取料をめぐつておそらく起つて来るのは、この説明にもある、放送法改正は微妙なという、その微妙な問題に触れて来ると思う。だからその微妙な問題があればあるほど、放送法の根本改正と相まつて日本放送協会の性格を再確認するなり、新たな段階であるならば、公共放送としての日本放送協会の性格についての論議が行われて、初めて聴取料の負担をさらに国民にかくべきかどうかということが検討されるのが当然でありますから、うらはらの関係だと思うが、従来の惰性で、別個に日本放送協会予算は料金値上げをしたまま提出される考え方であるのか。それで放送法改正あるいは電波、放送を合せた立法措置等は本国会に出さない考え方を持つているのか、こういう点について明らかにしておいていただきたいと思います。
  114. 金光昭

    ○金光説明員 ただいまの御質問の中の第一点の利子の点でございますが、これは従来の逓信省時代から、電気通信施設の拡張財源として発行いたしました昔の国債とか、あるいはその後における預金部資金からの借入金等によつて利子が違うわけでありまして、それらの詳細につきましては、きよう手元に資料を持ち合せておりませんが、最近における預金部資金からの借入れは、電気通信省時代におきましては六分、公社になりましてから六分五厘、それから公募電信電話債券につきましては七分の利子を付することに相なつております。それ以前の、昔発行いたしました国債につきましては、あるいは五分五厘とか、あるいはそれ以下のものもございまして、その点は非常にたくさんな銘柄になつておりますが、この利子と債券取扱費の細部につきましては、実はきよう資料を持ち合せておりませんので、次会にお答え申し上げたいと存じます。  それから第二の点でございますが、国家的目的のための研究であれば、国家でそれに対する補助金を出ずべきじやないかというお説でございますが、電信電話公社電気通信研究所に対しましてそういつたような国家的目的からの研究助成をやるというようなことは、今まではいたしたことがございません。また現段階におきましては、一方において電信電話公社というものが公共企業体という性格からいたしまして、単に電信電話サービスに対する改善を目的とした研究と申しましても、いわゆる民間事業におきまする研究所等とは、やはり若干性質の異なるものもあると思いますので、今ただちにこれに対して研究費を助成するということはなかなか困難かと存じます。この点につきましてはさらに将来も検討いたしたいと存じております。
  115. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいま松井委員の御質問の中で、私の所管に関連いたしますことについてお答え申し上げたいと思います。  最初に放送関係法令改正調査委員会というものを郵政省の中に設けて、放送関係法令改正の仕事を始めたのでありますが、先ほど御説明申し上げましたのは、部外の委員のことにつきましての御質問がございましたので、部外の方に特別委員として御委嘱申し上げるのは、まだどういう事柄についてどういう方にお願いしようということがきまつておりませんために、まだ決定をいたしておりませんが、部内のものは発令がありまして仕事をいたしておるのでございます。大体具体的な問題の論点等がはつきりいたしましたならば、御意見をいただくのに適当な方等を特別委員にお願いをして行きたい、こういうふうに実は思つておる次第でございます。  なお放送法等の改正は、御指摘のように電波法にも関連をして行く点もございますし、番組の問題あるいはただいまもお話の出ました料金の問題等、きわめて微妙な点等もございますので、国会の御審議を得る前に、各方面の御意見も十分検討した上で、御審議いただきたいと存じておりますので、今国会中に提出するということには、とうてい間に合わないかと存じております。また一方、そういうことになりますと、御指摘のようにNHKの来年度の予算に料金の値上げ問題が出て来るというと、その点で微妙なことになるのではないかというようなお話でありますが、確かにその点も私どもとしては一つの研究すべき問題だと存じております。ただ私どもの考えといたしましては、放送協会に入りますラジオの聴取料というものは、放送を聞くということの対価として五十円とかあるいは幾らかという料金がきまつてつて、それによつてつて来る収入で運営をして行くという考え方ではないので、むしろ放送協会の仕事を運営して行くのに最小限どれだけの予算が必要か、これが至当であるかどうかということを、国会の御承認を得たあかつきにおいて、それから逆算して、それなら月額聴取者の金額がどうなるかというぐあいに行くべき性質のものだと存じております。従いまして放送法上にも明らかなように、予算国会で御承認になるに従つて聴取料金がきまる、そういう形になつております。これはいろいろ御指摘のようなお考えもあり、私どももその点十分考えなければならぬとも存じますが、必ずしも常に放送協会の性格論と協会予算というものはいつも離れられないというふうにかたくお考えにならずに、その点も御考慮を願いたいと存じております。
  116. 成田知巳

    成田委員長 原君。
  117. 原茂

    ○原(茂)委員 重複しない程度に、大臣以外の質問を二、三お伺いしておきますが、経費節約合理化というものを今年度もうたつたわけでありますが、今年度の当初の節約目標額と、それが実際どのくらい結果として現われたか、これを第一点としてお伺いしておきたい。  それから老朽施設特別償却を四十二億見ておりますが、このおもなものの内訳と簡単にわかつたら御説明願いたい。この二つだけ先に電通公社関係としてお伺いしておきます。
  118. 金光昭

    ○金光説明員 ただいまの経費節約の点でございますが、これにつきましては、二十八年度と同様の特別節約というものを立てたわけでございまして、これは昨年十六国会の当院におきます予算審議の際に、国会におきましてさらに節約をおきめになりましたわけでございますが、その際におきまして、たとえばこの運用保守関係経費は六%、あるいは庁費は五%とか、あるいはその他運用保守関係以外の経費は二〇%とか、そういつたように当初組みました予算から削減いたしたわけでございます。やはり二十九年度の予算におきましても、それと同じ率で節約をいたしておるというわけでございます。  それから第二点の老朽施設について四十二億を計上したその内訳というお話でございますが、これは一応五箇年計画を立てました際に、戦争中あるいは終戦後におきます取替不十分、あるいはその当時におきます粗悪な資材を使いましたものを全国にわたつて調査いたしまして、その総額を二百三十六億というふうに一応推定したわけでございまして、別にことにどこの局、これはどこというふうな具体的な表示はちよつといたしかねるわけでございまして、当初の計画といたしましては、老朽施設二百三十六億を十年で償却する。この五箇年計画では、そのうちの五年分として百二十九億をあげてあつたわけでございまして、二十九年度の計画といたしましては二十七億になつておつたわけでございますが、これはやはりできるだけそういう特別償却を早期にやつた方がいいのじやないかというような関係で、当初の十箇年償却のものをうんと繰上げて行くという方針のもとに、二十九年度におきましては当初の計画よりも十五億増して、四十二億というものを計上いたしたわけであります。
  119. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。あと電波関係でちよつとお尋ねいたしますが、アマチュア関係あるいは警察、海上保安庁あるいは鉄道、こういつた関係の局、これはいずれまた聞きたいと思いますが、アマチュア関係の今認可を与えているという数はどのくらいあるものでしようか。
  120. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいま記憶いたしておるところでは、約九百件でございます。
  121. 原茂

    ○原(茂)委員 これはあとに関係するのですが、アマチュア無線で認可をとつておる者の監督、指導、監視、こういつたものは今十二分に行われておるかどうか、自信があつたら、十二分にやつてある、全部これの実態をつかみ、その動き等詳細に知つておるのだとお答え願えばけつこうですが、何かそうは確信をもつて言えない不備な点等がおありかどうか。
  122. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。電波監理局がございまして、アマチュアのものにつきましても、アマチュアの出しております電波の質及び内容等の監査をいたしております。しかしこれはお話にもございましたように、すでに一万数千に及ぶ無線局を全般にわたつて四六時中監査するわけには行きませんので、これはときどき、アマチュアの関係がもしも特に監視を厳重にする必要があるという事態が起れば、アマチュアに重点を置く、あるいは漁船関係に問題があれば漁船の方に重点を置くというような重点主義でやつておりますが、これと並行してまた、日本において使われております電波全般についての監視も並行してやつております。結局技術的に毎日機械的に全般にわたつて、不法電波のようなものがあるかないかというような仕事及び基準に合つたやり方をやつておるかどうかという仕事の面での監視をいたします一方、重点的に業種別と申しましようか、利用者別に従つての重点的な監視もやつております。従いまして、アマチュアにつきましては、後者の面でときどき何をいたしておりますが、最近までのところでは、別にそう問題にするようなものが起つていないように見ております。
  123. 原茂

    ○原(茂)委員 警察、海上保安庁、漁船、こういう無線関係に関しては、法的にも相当強い取締りをしなければならぬし、また個々自体としても非常に遵法精神が強いといいますか、このわくを守る習慣がついていますからいいのですが、アマチュアに関する限りは、そういう精神にも欠けておりますし、習慣がついていない、従つてこれをあまり甘く考えて、問題が起きていないとか、起きそうもないという考え方は、私は現在の段階においては非常に危険な考え方だと思う。むしろ今後無線関係で非常に問題を起すとすれば、アマチュア無線にこそわれわれは大きな注意力を持つて行かないと非常に混乱して来るし、不測の事態が起きやすい、そう考えますので、今回提出されました予算の中に、電波管理に対して、特にアマチュア無線の取締りを重点的にやろうと考えた何か予算が入つているかどうか。同時にこの無線監視というものを徹底させようと考えたときに、何をおいても一番必要なものは施設としてどんなものが必要なのか、この二点を伺いたい。
  124. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。アマチュア無線の、国の正当の免許を受けてアマチュア無線局として登録されて行つておりますものは、一つのリーグをつくつておりまして、お互いに監視をし合つておりますので、むしろこれはほかの第三者が考えますよりも割合に秩序立つて行われております。しかし問題はむしろ政府の免許を受けていないアマチュアと申しましようか、これに問題があるわけです。これにつきましては私どもも従来から重点的に、いわゆる不法電波の探査の一端といたしまして、注意をいたして十分力を入れております。その方面のそういう見方からいたしました予算は、今回も盛り込んでございます。ただそれにはもう一つの問題がありまして悪意からでなくとも、高等学校の生徒あるいは大学の学生が無線科学に熱心なあまりに、法規その他のことも十分に知らないために、たまたま不法電波を出してしまうというようなものもございますが、それもやはり電波監視の面から見ますと、同じ不法電波の網にかかつてしまう。そういうものの処置等の点も問題でございますが、結局不法電波というような、心ならずも法の網にかかるというようなことにならないようにと文部当局その他の手を通じまして、そのようなものの出ないように一方啓蒙的なこともいたしておりますが、御指摘の点は、私どもといたしましては目下のところ、正当な免許を得てアマチュア通信をやつている者ではなしに、不法のもの、これに問題があると思いまして、その方には十分の力を尽したい。またある程度予算の処置もいたしておるわけであります。  なおその際に必要な機器等は何かというお話でございますが、これには相当遠方から、あいるは微力な電力で出ておる電波をつかまえるに十分な、相当感度の高い受信装置とそれから方向探知装置、この関係施設がどうしても必要になつて参ります。
  125. 原茂

    ○原(茂)委員 それに引続いてお尋ねしたいのは、今の方向探知をしたいという考えがあつても、わが国でそれができるものかどうか、それが一つ。それから免許を受けている九百のアマチュア無線局、それから無免許のアマチユア無線局、もぐりですが、こういうものはいずれも厳重に監視しなければならない問題ですが、特に免許を受けている者の中でも、本来アマチュア無線局として許された範囲、あるいは内容以外に使用されているような事実が発見されたり、あるいは今危惧されているようなことがあるかどうか。例を言いますと、米軍なり外国人が、たまたまこのアマチュア無線局あるいはもぐりの無線を利用して、相当わが国内から外部に電波を発しているようなことを巷間伝え聞いているのですが、こういう事実があるかどうか。もつとつつ込んで言えば、軍用に使つているという、危惧でなくして、ある種の事実らしい流説もあるのですが、この辺の御調査をしているかどうか知りませんが、そういつた事実があつたり、あるいは心配されているような事態があるかどうか、一緒にお伺いしたいと思います。
  126. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 現在のアマチュア局として許可しておりますものの内容等は、始終私ども監視をいたしておりますし、あるいはその局を尋ねての検査等もいたしておりますので、ただいまのところ御指摘のような例があつたことを聞いておりませんが、なお調査させてみたいと思います。なお駐留軍が使つております電波は、大体私どもの方にも連絡がありますから、どの電波が駐留軍で使つておるものかということも大体わかつておるわけであります。従いまして、電波監視の上で不明な電波として使われますれば、これは日本の政府の認可あるいは駐留軍が使つておるということで通報のあるもの以外は、日本の国から出ておれば、不法電波ということがわかるわけですから、そういたしますれば、方向探知その他の活動によつてそれを捕捉いたしております。
  127. 原茂

    ○原(茂)委員 次に民間放送の問題ですが、これが二十二局二十八年度増加なつておるようですが、今申請されておるものは相当あると思うのです。この申請されておるものを見込んで、今後二十九年度に一体どのくらいの数がふえるのか。すなわち言葉をかえますと、許可を与えようとしてお考えなつておるのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  128. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 実はたいへん失礼をいたしまして、先ほどの御質問の中で、方向探知機は国産でできるかということについてのお答えを忘れておりましたので、ちよつと補足させていただきますが、これは最新式の、電波の来る方向が目で見られる、いわゆる視覚によつて方向の見られる最新式のものも、最近日本でできるようになりました。外国品に負けない相当優秀なものができるようになつておりますので、最近はそういう施設電波監視局に設置をいたしております。従つて電波監視上必要な施設は、国産品で十分今のところ間に合うというように考えております。  それから第二点でございますが、民間放送、それからNHKの今後の放送局設置も、先ほど申しました、いわゆる放送局のチャンネル・プランに基いて、許可ないし承認をしておるわけですが、民間放送といたしまして本年度以降に予定され、あるいは免許が可能でないかと思われますものは、十局までは達しないと思います。ただどうしても地方にいわゆる中継局として、小さな電力で補助的に置こうという計画が方々にございます。これにはその補助局用の放送に使える共用の電波を用意してございますので、電波の使える範囲内においては、補助局はできるだけ許可して行つたらいいのではないかという方針になつております。従つて小さな電力のものは、あるいはもつとふえるかと存じますが、しかし去年などのように二十何局というような増加にはとうていならないと考えております。
  129. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に今年度大体十局以内許可されるとしまして、従年の例からいいますと、先ほども論議がされたわけですが、当然一月、二月ですぐ許可されそうなものが、半年ないし一年、あるいはそれ以上もかかる場合が往々にしてあつたのであります。先ほども浜松放送の例が一つ出ておりましたが、こういう問題もある種の思惑ということはありませんが、外部からのいろいろな動き等に当局が左右され過ぎておるような傾向も非常にあるのではないかと思うのです。この問題は、あまりそういうことにしんしやくをし過ぎると、どうしても時間を遷延いたしまして、先ほども発言がありましたように、余分の時間と浪費を各方面に与えておると思いますから、十局以内大体許可できそうだという見込みであるならば、少くともこの十局以内に対しましては、一年もかかる必要はありませんから、なるべく早期にやつていただきたいと思います。個々の問題については、次の委員会におきましてお尋ねすることにいたしまして、本日の私の質問はこれで終ります。
  130. 齋藤憲三

    齋藤委員 質問ではございませんが、先ほど松前委員から、ゲルマニウムの研究をやらざる限り、日本の電波界は時代に取残されるだろうという重大な発言がございまして、それに対して局長その他の御答弁を得たのですが、それは科学技術的に見て、きわめて低調な日本の状態を表現したにすぎないと私は感じたのであります。このゲルマニユウムは、単に電気通信委員会で取上げるべき問題でなくして、通産委員会においても共同的にこの問題に重点性を加えなければならないと思うのであります。私の知る限りにおきましては、日本の鉱業法にはゲルマニユウムという金属は明記さておりません。それほど通産省におきましても、これは新しい問題としてようやく手をつけた程度じやないかと思うのであります。寡聞にして誤つておるかも存じませんが、アメリカではこれは年産十トンとりたい、しかしながら全世界の力をもつてしても、これは一トンしか今とれない。それですべては軍用に供されて、民需にはこれを放出されていないというのであります。従いまして通産省の発表によりますと、二ミリグラムくらいの重さの純度の高いゲルマニウムで、約五千円くらいのトランジスターが一個できるということであります。これは非常に大きな問題でございまして、はたしてイレヴン・ナインと申しますか、純度の高いゲルマニウム二ミリグラムぐらいのものでトランジスターができて、それがどんどん売れるというようなことになりますと、単に国内の電波機器の改良のみならず、輸出の面におきまして非常に大きな望みがここに持たれるのではないか。エレクトロニック・インダストリーというような通産省の発表の中心は、こういう点にかかつておるようなんであります。そこで松前委員からゲルマニウムを中心とするトランジスターの問題が、電波の発達の上にきわめて重大であるし、中心的なものであるという御発表がありました限り、この委員会においてもこれを軽視するわけに参らぬと思うのであります。そこで委員長にお願いいたしたいのは、機会を見て、通産省の鉱山局長あるいは金属課長、また石炭総合研究所、あるいは東大のゲルマニウム研究所ないし工業技術院、この点に関する電波試験所、その他このゲルマニウムに関する知識を持つておる者、それから電気通信研究所のこの研究に当つておる者、NHK研究所のこの研究に当つておる者、これを一堂にお呼びくださいまして、はたして日本のゲルマニウムというものは、松前委員の申されたごとくは重点的にこれを取上げる必要があるかどうか、どういうふうにしたならばこのゲルマニウムを用いるトランジスターによつて、日本の電波界の革命を成就することができるか、もう一転してさらに、そういうものを利用して外国貿易をどう打開し得るかという点についても、ひとつ今後慎重に研究、論議を重ねて参りたいと思うのであります。この点委員長において、時期とその人について、総合的にわれわれが豊富な知識を得られるようにおとりはからいを願いたいと思います。
  131. 成田知巳

    成田委員長 理事会その他で御相談いたしまして、御要望に沿いたいと思います。  次会は明十二日午後一時より開会することといたし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時五十五分散会