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1954-03-18 第19回国会 衆議院 通商産業委員会木材利用に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)     午前十一時八分開議  出席小委員    小委員長 中崎  敏君       首藤 新八君    土倉 宗明君       中村 幸八君    笹本 一雄君       山手 滿男君    齋木 重一君       永井勝次郎君    伊藤卯四郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  小委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     前島 敏夫君         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    前田 光嘉君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    鎌田 隆男君         建 設 技 官 安田  臣君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  佐藤 輝雄君         日本電信電話公         社施設局次長  佐々木卓夫君         参  考  人         (セメント協会         理事)     徳永 義久君         参  考  人         (鋼材倶楽部副         理事長)    清水 義夫君         参  考  人         (日本建設業協         会専務)    小林 隆徳君         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 本日の会議に付した事件  木材利用合理化対策に関する件     —————————————
  2. 中崎敏

    中崎委員長 これにより会議を開きます。  本日は木材利用合理化対策に関する件について調査を進めます。  当委員会は過日以来鋭意調査行つて参つたのでありますが、本日は特に各部門における木材利用合理化対策に関して、御多忙中のところ特に御出席くださいました参考人各位より、御意見を承ることといたします。なお各参考人御意員開陳の時間は、約十五分以内程度にお願いいたします。また速記都合がございまして、参考人の御意見発表の終了後は速記を付せずに懇談形式で質疑を行いたいと存じますので、さよう御了承を願います。  それではまずセメント協会理事徳永義久君よりお願いいたします。徳永君。
  3. 徳永義久

    徳永参考人 実は今日お伺いします前に、こういう議題に対する基礎知識お話を承つていなかつたものですから、唐突で、現在考えているようなことをお話申し上げてみたいと思います。  セメントといたしまして木材に代用いたしますことは、これはもう皆さんの常識的なものでもありますが、実はセメントといたしまして橋梁であるとかそういうものが直接使用できるものでありまして、木材に代用すべきものは、それから加工されたる二次製品が大体木材にかわつて使用されるということが本来の筋じやないか、こういうふうに考えるわけでございます。セメントといたしまして過去の歴史から多少申し上げますと、最近非常に需要が旺盛になつて参りましたことは、この戦争におきます焼夷弾の爆撃によります火災、そういうものに対する恐怖観念というものが国民自体にできたことによつて、耐火的の家屋にかわつて来る、こういうことはもちろんあると思いますし、そのほかに交通機関発達によりまする道路橋梁発達、そういうものによりまして出て参りますし、最近におきましては、電源開発の問題が非常に取上げられまして、その電源開発におきますセメント需要というものが旺盛になつて参つたわけでございます。そういうことがおもなことでもありますが、大体セメント産業というものは、最近までは非常に圧迫されたような産業でありました。従つて生産設備改善であるとか、あるいはそういうものが進んでなかつた、それが最近に至りましてようやく社会情勢の変化とともに順調になつて参りまして、設備改善というものに意を用いられる経営内容になりましたので、鋭意その方面には進みまして、最近の旺盛なる需要に対して即応すべく努力をしております。たとえて申し上げますと、最近の需要増加というものは二十五年度から申し上げますと、二十五年度で、全部輸出を入れまして、五百十八万九千トンばかりでございますが、二十六年度に至りますと、六百七十一万九千トンばかり、二十七年度は七百十万一千トンばかり、二十九年度に至りますと、この会計年度に、三月末までに出ますのが大体九百二十万トンくらいの程度になるのじやないかと現在想像しておるわけなんでございます。かように漸進的に需要増加しておりますので、これの供給に間に合わせるためには、非常な努力がいるというような形になつて来ておるわけなんでございますが、たまたま寡少資本金によりまして新設会社がイニシヤル・コストの高いものをつくりました場合におきましては、現在の価格ではなかなか引き合わないものですから、従つて既設会社がエコノミカルに増産設備をするということに、増産の方はほとんど向いておるわけでございます。そういうことが現在の日本経済情勢ではすべての業種に言えることでありますが、セメントもその例に漏れず、そういう形をとつて増産に向つておるわけなんでございます。そういうことで現在ほとんどフル生産を極力やりまして、需要に間に合わせておるというところでありますが、生産能力の最近の一、二年の増加というものは、二十九年度で能力と称するものが千二百万トン、それから三十年度におきまして千三百八十八万トンで、三十一年度に千四百万トンくらいの数量ができるという計画はできているわけです。ところがこれは能力運転率というのものから見ますと、よく行きまして八五%、平均いたしますと八十二、三パーセントということが大体の実能力になるわけです。そういうことにいたしますと、セメントといたしましては今後の供給に、本委員会の御企画になつていられる木材を他のセメントあたりにかえるということにいたしますと、相当セメント業者としては努力して進まなければならないものじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。なおこれにつきまして価格の点なんかも大いに努力しなければなりませんが、これの自己弁護らしくなりますが、申し上げますと、二十六年度以来需要は非常にふえまして、需要の過多の傾向をとつて経済の原則からいえば、まだまだ上らなければならない、上げるということが自然の趨勢ではありますが、それを業界といたしましてはおのおの自粛いたしまして、そのまま横ばいで進めておるというのが現状であります。そういうような大体の情勢でありますから、ちよつと思いつきのままを申し上げます。
  4. 中崎敏

  5. 清水義夫

    清水参考人 鉄鋼業の方といたしましては、昨年以来鉄の増産相当進んでおりますので、増産と同時にあくまでこれが消化をはからなければならないことはもちろんでありまして、その面から昨秋以来当倶楽部内に需要開拓委員会というものを設けまして、幸い木材合理的利用化の運動とタイアツプいたしまして、代替物としての鉄鋼セメント等研究を行つておるのであります。鉄鋼業といたしまして、さしあたりとり上げている問題は次の三項目でございまして、第一が足場鋼管、第二にメタルフオーム、第三に鋼製什器類、こういうものを考えております。そのほかセメント関係の方とまた御相談の上コンクリート製品等々につきましても考慮されておる次第でございます。  右の項目別の現況及び現在鉄鋼として考えている大約の構想を述べることにいたしますと、全般的に共通して言えることは、鉄鋼供給者需要者とも相互に大いに提議協力して行くことが前提でございます。しかしこれらの構想を強力に推進して行くためには相当資金を必要とするのでございまして、特別の金融措置を特に要望せざるを得ない次第でございます。そのほか官庁関係での率先的な利用、特に通産省におかれては行政的にもこれが使用を勧奨していただきたい、そうしたことがすべての需要促進に寄与するところ大であろうと思いまして、ひいては貴重な木材合理的利用化ということを国策上推進させることができるのではないかと存ずるのでございます。今やや具体的に進んでおりますのは足場鋼管でございます。これは現在企業としては足場鋼管賃貸借方法によりますビテイー・スキヤフオールドという会社がございますし、またそのほかに中央架設鋼材株式会社、この二社がございます。しかしその両社はそれぞれ一長一短を有しておりまして、土建業者界におかれましても、これの優劣についてはいろいろ批判がございます。どちらがいいかといいますと、中央架設の方の欧州式の方が、木材足場としての使用方がなお勝つているのではないかというふうに考えられておる模様でございます。しかしわれわれメーカーといたしましては、いずれも需要家でありますので両社共存共栄をはかることを願つておりまして、さしあたり特別の考えはございませんが、両式とも資本的に小さなところでございますので、全需要に対してはまだ供給し切れない点があろうと存じますので、われわれといたしましては、最近日本足場鋼管株式会社、これは仮称でございますが、こうしたものを設置の段階に進めております。現在のところはパイプ・メーカーでございます。日本鋼管と住友金属工業、それから三機工業、この三社の鉄鋼業者及び土建関係といたしましては、大林さん、鹿島建設さん、清水建設さん、竹中工務店、戸田組、大東建設さん、島藤建設さんの大体大手筋七社を加えまして、製鉄メーカーを合せ合計十社と考えておりまして、まだ最終的なものではございませんが、やや具体案はとりまとめた次第でございます。この工事量規模によつて今後みずから決定するのでございますが、大体建設省発表によりますと、二十八年度の鉄筋コンクリートビルを百四十万坪と見まして、二十九年度における足場鋼管対象鉄筋コンクリートビルを八〇%と見まして、百十二万トンになります。しかもその百十二万トンの中から大手筋七社が多分建築されるであろう量をまた六〇%と見まして、六十七万二千坪、これを八箇月使用いたしますと十二分の八になりまして四十四万八千坪、これを五箇年で普及させようという考えでございまして、これを五分の一にいたしますと約九万坪になるのでございます。従いまして初年度には約九万坪の鋼管足場をつくりまして、順次毎年約九万坪をこしらえ、新会社供給するという計画でございます。  それから新会社の組織と需要推進方策でありますが、五箇年で新会社を解消するということはすなわち鉄鋼業者土建業者鋼管足場を五箇年の年賦販売する方式使用しておるのでありまして、むしろその後における需要の増大が伴えば、あながち五箇年で解消する必要のはないのであります。その間に宣伝普及をはかりまして、漸次需要を増進するように努力することもちろんであります。新会社資本金は大体一面坪当り鋼管足場のコストを六千円と見まして、足場購入費用に今の九万坪をかけますと五億四千万円となります。この五億四千万円のほかに、その他の諸費用を含めますと、当初の資金としては約五億五千万円を必要とするのでありますが、大体先ほど申し上げました十社で均等に一千万円ずつくらいを持ちまして、合計一億円の出資をいたしまして、残りの四億五千万円を開銀その他長期融資銀行、市中の銀行等々の借入れで充当させていただきたい、こう考えるのでありまして、借入金のピークは五箇年目に約十一億になります。またこの鋼管足場方式でございますが、ただいま申し上げましたように、日本には二社ございますが、このビテイー・スキヤフオールドの方はアメリカ式でありまして、中央架設の方は欧州式であります。現在の見積りは欧州式の方をとつておりますが、まだ確定的にはなつておりません。これをまた土建業者との深い打合せのもとに進めなければならないと考えております。それから元来土建業者方々としては、鋼管足場を自分のところで所有したい御意向が最も強いのでありまするが、所有できるよう資金面のあつせん並びに銀行借入れのための特別な金利等について強力に御協力御支援を願いたいと考える次第であります。また先ほど申し上げましたように、官庁工事等のこれが使用につきましては、ある程度行政措置が望まれるようにしていただき、もつぱら需要開発に推進させていただきたい。  次にメタルフオームでございますが、現在の日本メタルフオーム株式会社というものがございます。資本金二千万円でございますが、小さいので需要には応じ切れない現状でございます。現状では鉄鋼業者が暫定的に日本メタルフオームパテント使用いたしまして、土建業者方々に賃貸しておりまして、鉄鋼業者はその取得する賃貸料からパテント賃貸をまた日本メタルフオームに払つておる状態でございます。現在はただいま申し上げた通りでありますが、鉄鋼業といたしましては、メタルフオーム会社設立をもくろんでおるのですが、まだこの内容につきましては具体的には進んでおりません。ただいま倶楽部の方からも調査員アメリカに派遣いたしましてこれが調査努力しております。  それからメタルフオーム需要推進及び助成問題でありますが、鋼管足場と同じく、本来ならばこうした架設物土建業者が自身で所有したい御意向でありますが、これはまた需要促進は、製品供給資金さえあれば伸ばすことは可能なのであります。このために現在では鉄鋼業者供給しておる始末でありまして、また日本メタルフオーム形式のもの以外にいいものがあると考えられますので、その中で一番いいパテントをとろうと調査を進めておるような次第であります。メタルフオーム需要促進のための助成要望措置としては、やはり鋼管足場と同じく、これが使用には官庁工事等行政措置、また新会社設立にあたつての厖大な資金面の御配慮を切に希望する次第であります。  その他の建築架設物はいろいろございますが、これは各社においてそれぞれ研究過程に入つておりまして、ただいま具体的には申し上げられない段階にございます。  なおはがねによる什器類でございますが、この計画に対しましては、ネツクとなつておりますのは物品税でありまして、この物品税の二割というものはぜひとも撤廃するように御配慮を願いたい。それからもう一つは、鋼製什器類JIS規格の設定と価格の点で、われわれとしても極力協力いたしたい点もございますが、まだ具体的にその線までは出ておりません。アメリカにおきまして鋼製什器が広く使われておりますることは、申し上げるまでもなく多量生産でございますので、思いつき程度生産量によつては、これはなかなか成功しないと思うのであります。たとえば机、いす類におきましても、これを鋼製品にかえるというようなことになりますると、まず官庁その他公共機関におきまして、これを一斉に使用していただく、こうしていただければ多量生産となりまして、原価安も来し、広く普及されるのではないかと思うのでございます。そうした方面の御協力並びに物品税の撤廃と、それから全般的に申し上げますると、金融面の強力なる御援助をお願いしたいと存ずる次第であります。
  6. 中崎敏

  7. 小林隆徳

    小林参考人 私今日参るについて、どういうことを申し述べますか、はつきりつかまえておりません関係上、資料に関しまする数字等は頭にあることだけでお許しを願いたいと思います。  建設業界におきましては、昭和二十八年度におきまして、一応工事の総数量を五千五百億と押えまして、そのうち請負の方にまわる工事が四千九百億、こういうふうに推定いたしておつた次第でございます。二十九年度におきましては、総工事量が六千七十億余、それから請負業界の方にまわります工事が四千四百億円余、こういうふうな推定でございまして、そのうち建築土木比率は、建築金額にいたしまして五五%、土木が四五%、こういう推定をしておるわけでございます。  建築資材価格建築費の上に非常な関係を持ちますことはもちろんのことでございまして、昨年の風水害の七月以降、木材砂利等が非常に上つたのでありまして、木材は一年間に約四割、これは単に風水害のみの関係でなしに、いろいろ木材資源が不足して来たということから現われて来た、前からの現象でございますが、そういう状況になつております。また砂利も不足というような関係から、価格上つて参つておりまして、自然建設費坪単価にいたしまして相当つて来ておるという状況でございます。  それを建物について申しますと、鉄筋コンクリート造等価格の一年間の値上を見ますると、一五%から一二%くらい上つております。また木造建物につきまして一年間の値上りを見ますると、約二五%の上りというような状況になつておるわけでございます。やはり木造建物の方が価格が非常に上つておるという結果が現われておるわけであります。  今日の問題は木材に関する問題でございますので、しからば建設業界におきましては、この木材対策をどういうふうに考えておるかということを、ちよつと申し述べたいと存ずるのであります。わが建設業界では注文生産をいたしておる状態でございまして、注文を受けて初めてつくる、初めから計画生産ができない種類のものでございます。従いましてこれを木造建物にするか、あるいは耐火構造にするかというとは、一に発注者側の御意思によることであります。しかしながら国策としての木材節約の線に沿わなくちやならぬということから、耐火構造普及を非常に念願のしておるわけでございます。公共工事相当数量ございますので、官庁方面におきまして、また公社方面におまして、率先してひとつ木造建築耐火構造にかえるという御企画を切に念願しておるわけでございます。  また民間の建築物は、金額にいたしますと、国、公共団体等建築に比しまして、約七割余を占めておるのでありますが、これらが非常に難問題でございまして、住宅金融公庫の方の建設状況を見ましても、やはりこの耐火構造というものの比率が低いようでございますので、ここれらも何らかの政策の強化によりまして、少しでも耐火構造の方に持つて参りたい、かように念願しておる次第であります。  これからただいまお話が出ましたが、工事過程におきまして、木材をなるべく節約するという意味から、ステイール・スキヤフオールドあるいはステイールのフオームを幸いに通産省の方でも御奨励になつておるようでありまして、業界といたしましても、もしもその貸与料等相当引合うような値段でありますれば、喜んで使いたい、かように考えておる次第でございます。やはりこのステイール・フオームあるいはステイール・スキヤフオールド業者としても用いたいのでありますが、何分にも相当資金がいりますので、各会社ですぐそれを大規模に使うという段階には至らないと思うのでございますが、何らか資金的の御援助を得られまして、少しでもその普及に役立つということにしていただくような政策をおとりくだされば、非常にけつこうだと存ずる次第であります。
  8. 中崎敏

    中崎委員長 それでは速記はほかにまわる都合があるようですから、これでけつこうです。  これより懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午前十一時三十八分懇談会に入る〕     〔午後零時三十八分懇談会を終る〕      ————◇—————     〔懇談会終つて散会