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1954-03-04 第19回国会 衆議院 通商産業委員会木材利用に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和二十九年二月二十四日(水曜日) 委員長指名で次の通り選任された。       小平 久雄君    首藤 新八君       土倉 宗明君    坪川 信三君       中村 幸八君    馬場 元治君       村上  勇君    笹本 一雄君       山手 滿男君    齋木 重一君       永井勝次郎君    伊藤卯四郎君       中崎  敏君 同日  中崎敏君が委員長指名で小委員長に選任され  た。     ————————————— 会議 昭和二十九年三月四日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席小委員    小委員長 中崎  敏君       小平 久雄君    首藤 新八君       中村 幸八君    笹本 一雄君       齋木 電二君    永井勝次郎君       伊藤卯四郎君  出席政府委員         林野庁長官   柴田  栄君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君  小委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     前島 敏夫君         通商産業事務官         (繊維局紙業課         長)      磯長 昌利君         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    前田 光嘉君         建 設 技 官         (住宅局建築指         導課長)    小宮 賢一君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  佐藤 輝雄君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  木材利用に関する件     —————————————
  2. 中崎敏

    中崎委員長 これより会議を開きます。  まずこの際お諮りいたしますが、先日決定しました小委員会におきまして、各小員長の協議により、各小委員会とも各党それぞれ一名ずつの幹事を設けることになりました。本委員会といたしましては、自由党首藤新八君、改進党山手満男君、社会党齋木重一君に御依頼申し上げたいと存じます。また各小委員会はあらかじめおのおの定例日を定めることとし、本小委員会は毎週木曜日の午後一時といたしたいと存じます。以上決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中崎敏

    中崎委員長 それではそのように決定いたします。     —————————————
  4. 中崎敏

    中崎委員長 この際、通商産業委員会木材利用の小委員会を設置いたしましたゆえんを簡単に申し上げたいと存じます。  現在わが国木材需給関係は御承知のごとく、需要供給をはるかに超過しており、これがためにわが国重要産業に欠くべからざる、民生安定等各般にわたつて種々の重大なる隘路を形成いたしておる次第であります。さらにこれを除かんとすれば、国内木材資源を過度に獲得せんとして、わが国現下重要課題たる治山治水を危殆に陥れる山林の過伐に陥り、さらにこれを国外よりの輸入にたよらんとすれば、貴重な外貨の流出を来すことは必定であります。この現状にかんがみ、通商産業委員会といたしましては、木材資源を重点的に確保するため各方面における需給実情調査をし、さらに進んでこの需給の不均衡を解消せしめる一手段として、たとえば木材にかわりまするコンクリートダンボール、その他の利用方法等について調査し、以上の対策を考究せんがため本小委員会を設置した次第であります。  それでは本日はまず木材利用に関する関係当局より、それぞれの部門における諸問題について、簡単に御説明願いたいと存じます。林野庁長官柴田君。
  5. 柴田栄

    柴田政府委員 このたび通商産業委員会におきまして、木材利用合理化に関しまする小委員会をお設けいただきまして、いろいろこれらの対策に関し御審議をいただきますことは、私どもにとりましても非常にありがたいことだと存じております。この際すでに御承知おきを願つておることかと存じますが、林野の現況からいたしまして、当面の問題といたしまして、極力木材薪炭利用合理化によりまして、需給のアンバランスを一日も早く切り開いて参らなければならぬという現状に関しまして、簡単に実情を申し上げさせていただきたいと考えます。  御承知通りわが国は地形の関係から非常に林野面積は大きな部分を占めておりまして、今日全地積三千八百万町歩余とされておりますが、そのうち林野面積は実に二千五百万町歩余にわたつておりまして、六八%近いものが林野占むるところとなつておりまするが、この林野に現在蓄積して包蔵されておりまする材木は、材石にいたしまして六十億石余にすぎないのであります。この点は今日これが一番大きないろいろな問題を包蔵いたすわけでございます。しかもその内容を見ますると、国有林野が約七百五十五万町歩民有林野が千七百が町歩余なつておりまするが、国有林野が七百五十五万町歩蓄積約半分の三十一億石余を持つておりまするのに、民有林が倍以上の面積を占めながら、蓄積で二十九億石余という現状は、いかに山に木が少いかということ、すなわち林野が集約に使われていないという実情を示すものでございまして、私どもといたしましては、今日この現状に参りましたいろいろな理由はございまするが、根本的な対策といたしましては、一日も早く全体を通じまして、まず成長を期待できる蓄積量の増強という問題を速急に解決いたさなければならないのでありますが、当面の需給調整のために今日造林を急速に促進するということがただちに役立たない。そこに当面の急務といたしまして、木材利用合理化あるいは代替資材による振りかえ等を速急に考えなければならないという実情にあるのでありまして、今日需給の情勢を見ますると、最近二十七、八年度で見ますると、用材として使われまするものは約一億石余になりまするが、薪炭林として使われるものが、これまた約一億石余、これは的確な推計は困難でございまして、見方によりまして多少の相違はございますが、一応実績推計いたしておりますのが二十七年度におきまして合計いたしまして二億一下万石余、二十八年度は多少見込みも入りますが、二億一千五百万石程度、かようにいたしますると、現在持つておりまする六十億石余の蓄積量成長量とを比較いたしますると、約二五・六パーセントの過伐になる。これはなぜこんなことを申し上げるかと申しますと、山を保持いたしまして、一応間違いなく持にて行くためには、成長量だけを切つて行くというところにとどまれば一番安定した姿になるのでありますが、現在は成長量を越して、基本蓄積に二五・六パーセント毎年食い込んでおるという実情なのでございます。これは簡単に総蓄積と比較しての問題でございまするが、実情は比較的便利な林道の整備いたしておりまするところは、現在約千二百七十万町歩しかございません。今後新しく林道を入れて開発して参りまするところが約八百万町歩、このままに放置しておりますると、いかに蓄積を持ち、利用のできる状態にありましても、実は利用対象にならないのが現在まだ八百万町歩も残されております。しかもこの蓄積が全体の半分三十億石余を包蔵しておるというところに非常に大きな問題があるのでありまして、今日現実にその林分利用対象なつておりません結果、いかに森林法によりまして森林計画を樹立し、これに従つていただくということを法律できめましても、実需に対しまして供給できないという場合には、なかなか計画を守らせるということがむずかしい。そこで現在利用可能な林分だけを対象として伐採が行われておるという関係を見ますると、実に七、八〇パーセントの基本食い込みをやつておる。局地的にさような極端な切り過ぎを繰返しておるという結果が、治山治水の上に非常に悪い影響を与えておるというのが現状でございまして、私どもといたしましては、治山治水根本対策を、木材薪炭需給調整と並行いたしまして、根本的にこの問題を解決いたさなければならない、かような見地からいろいろな方策を立てまして、あるいは予算化あるいは法制化をお願いいたして参つておるのであります。  何といたしましても、当面の問題といたしましては、今日さしあたりまして一千万石ないし一千五百万石を消費節約あるいは代替材利用代替物利用によつて切り抜けなければならない、しかもなお外材に依存しなければならないところが五、六百万石に達する、こういう現状にあるわけでございまして、従来もこの点に関しましては、いろいろ通産省とも連絡いたしまして、具体的に利用合理化に関し、あるいは代替資材利用に関しまして、御協力をいただいて参つた次第でございます。当面私どもはまず林業の立場から対策を立てまして、現在の山を若返らせることによりまして、成長量を増すというために、戦争以来切り過ぎまして、造林できないで放置されておりましたものが、二十五年度末において百四十万町歩に及びましたので、これを一日も早く元へもどさなければならないということで、努力して参つたのでありますが、一応現在の進度で参りますと、これは三十一年度までに解消いたす予定でございます。  そのほかに新しく従来の粗悪な林相を呈しておりました山を、人工植栽によりまして優良な林に切りかえるということ、今後十箇年間に百四十万町歩人工造林地をふやす、それから毎年切つて参りますものを、ただちに翌年度造林をしてもどす、かようにいたしまして、現在二十八年度末におきまして、二千五百万町歩のうち人工植栽林として持つておりますものが約五百二十八万町歩程度になると思いますが、これを三十六年度までに七百四十三万町歩まで人工造林地をふやす、こういう計画を立てております。かようにいたしますと、今日蓄積を食い込みまして、過伐をいたしましても成長量の増を期待できますので、この計画通り進めさしていただければ、まことに気の長い話を申し上げるようでありますが、五十年後には蓄積が一応上向きになる。五十年までは毎年ある程度の食い込みをいたしまするので、総蓄積としては現在の六十億石は約五十億石程度まで落ちることになります。しかしこれは山が若返つて参りますので、平均蓄積は下りましても、需給あるいは国土保全に不安はない、かような見込みでおるわけであります。従いましてこれを実施いたしますれば、現在量の過伐を続けてもそれほどに危険はない。これと並行いたしまして、八百万町歩の未開発林野に対しまして、林道網を、これは十箇年間に約八万キロくらいの林道を入れなければならぬのでございますが、これを整備いたしますれば、今まで眠つておりますものが、全部稼働するということになりますので、以後それほどの心配はない。あとは現在崩壊いたしておりまする全国約五十万町歩修復を要する箇所に対しまする修復を急ぐということで、一応需給のバランスをとりながら国土保全も、御心配をかけないで済ませ得る、かような目標をもつて現在計画を進めておるのでございます。当面の問題といたしましては、何といたしましても、木材につきましては最も大きな用途であります建築材に対しまして、代替材利用あるいは建築方式変更等によりまして、極力節約を考える方法をお考えをいただきたいという問題が一つ、その次に非常に大きいのは包装梱包用材でございますが、年間一千万石以上も使用されます梱包用材、これをたとえばダンボールに切りかえるということになりますれば、現在の使用量の十分の一以下に切り下げ得る、かような問題もすでに緒につきつつありますので、これが促進の方法を考えて参るということになれば、非常に大きなことになる。その他坑木の問題、まくら木の問題、あるいはくい木の問題等々におきまして、代替材利用問題を大きく取上げられたいという希望を持つておるのでございます。なお薪炭林といたしまして、林産物の実に半分を消費しておる、全世界を通じましても、林産物をただちに熱原料として使用いたしておりまする国は、ほとんどないのでございまして、文明国におきましては皆無と申し上げてもいいのであります。長い伝統的な習慣とはいいながら、何とかいま少し熱原料としての代替を早急考えることによりまして、木材の集約的な利用振りかえて参るという必要があるのではないかと存じまして、いろいろくふうをいたしておりますが、当面薪炭林家庭燃料に使う面だけにおきましても、利用方法合理化、簡単に申しますとかまどの改善をいたすことによりまして、かりに農家全体のかまどを改良かまどに振りかえるということになれば、実に三十万石を節約できるというような計算にもなつておりますので、農林省といたしましては、生活改善普及という面から、これを強く取上げまして、普及事業として現在着々改良かまどの普及実施いたしておりますが、さらに日本には包蔵量が非常に多いといわれております亜炭等の積極的な利用によりまして、これを振りかえることができるといたしますれば、ただちにこれは用材の問題に振りかえられる。今日二千数百万石という大量のパルプ用材利用いたしまして、年々これが入手に苦労をしながら、しかも最も集約的な木材利用方法としてこれを取上げつつここに資材の円滑な供給もできない今日、薪炭林パルプ適材消費しておりまするものをまわし得ることになれば、これはパルプ材の問題がただちに解決するほど大きな問題でございますので、これに対しましては何らかさらに積極的な代林燃料の新しい展開を考えなければならないと考えて、いろいろ研究もいたし、あるいは指導もいたしておるのでありますが、今日まだその実績は上つていないというのが現状でございます。  これらを勘案いたしますと私どもといたしましては、近い将来に、現状からいたしまして二千万石程度利用合理化による振りかえが可能であるということになりますれば、一応今後の人口増加あるいは産業伸展等を合せましても、各種の用途需要を自給することのできる態勢が確立する、かように考えますので、これが具体的な方策に関しましてはこの委員会の御指導をいただきまして、私どもといたしましても通産省当と十分な連絡を持ちまして、これが成果を一日も早く期待いたしたい、かように念願いたしておる次第であります。
  6. 中崎敏

  7. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの林野庁長官の御説明のうち、特に私の方の関係しております問題で、最初ダンボールのことについて御説明申し上げておきたいと思います。  包装用木材消費並びに、これの節約という意味で申し上げますが、包装用木材消費実績の過去の数字を簡単に申し上げますと、昭和三十五年度が約千六百万石でございます。その当時生産動態統計調査がありまして、比較的正確な数字でございますが、二十六年度以降につきましては、この統計調査が廃止になりましたので、推定ということになるのでありますが、鉱工業生産指数増加、並びにダンボール生産実績ということから推定いたしまして、現在なお千五百万石程度消費をしておるのではないかと想定いたします。タンボールヘの振りかえ、実績状況でございますが、これは昭和二十六年度におきましては二億五千百七十五万平方尺、二十七年度におきましては三億四千四百七十二万平方尺、二十八年度におきましては五億九千四十三万平方尺というような状況でございまして、順次ダンボールが非常に使用されておるという状況にございます。もちろんダンボール木材を多少使いますもので、まるまる木材にかわるということではございませんが、実質的に申しまして、鉱工業生産指数にあわせて、このダンボール使用されないで木材が使われたということをかりに想定して参りますと、約四百万石程度木材実質的節約ができるのではないかと考えます。これが将来の推進の仕方として遠慮のないことを申しますと、たとえばこれの原料に使いますクラフト・パルプ特別価格で使わせてもらうという制度をとり得ますならば、もちろんこれは非常にけつこうなことだ、こういうぐあいに事務的な希望でございますが、考えております。なお包装材資材木材節約ということで、ダンボール以外にワイヤー・ワウンド・ボツクスの使用ということが相当進んでおります。これは木材との対比で行きますと、代替木材節約が約四〇%程度になるのではないかと想定いたします。もちろんただいま申しました包装用資材消費かわり方につきましての詳細な的確な数字は、統計調査その他がございません関係もございまして、相当推定を織り込んで申し上げるよりほかないと思います。  次にただいま長官の申し上げましたことで、私の方で木材使用合理化ということにつきまして現在やつておりますこと、また今後やりたいと思うことを系統的ではございませんが、羅列的に申し上げたいと思います。その前にこの通産委員会におきまして先般成案になりました木材防腐特別措置法という法律が今年の一月から本格的実施に入つております。この法律効果と申しますか、今日までの木材防腐使用状況の推移を一言申し上げさせていただきたいと思います。  この木材防腐実施は、本年の一月一日からでございますが、それ以前から木材防腐の有利なことにつきましては、非常に各方面の御協力を得まして、順次木材防腐にかわりつつあるという状況は、すでに昨年の十月ごろから顕著でございまして、このときの数字を申しますと、十八万四千七百十一石、十一月が十四万二千五百三十三石これは少し減つておりますが、これを使います関係官庁、あるいは民間有力会社の予算的な問題との関係でございます。十二月につきましては十六万三千八百八十二石、本年の一月は二十万三千二百八十石、二月が三十二万三千三百七十石と順次ふえております。今後本格的な実施に伴いまして防腐木材加工工場が各地にそれぞれ増強されつつございますので、この傾向は順次高まるもの、こういうぐあいに考えております。もちろんわれわれといたしましても、これが使用につきましては、本法の趣旨にできるだけ基きまして推進して参りたいと考えております。  次に私の方で土木建築部門におきます木材利用合理化ということにつきまして、関係各省の御賛同を得てともに研究して参りました事項につきまして一応説明させていただきたいと思います。概略的なことはお手元に配付した資料がございますので、それをごらんいただきながら説明さしていただきたいと思います。  最初まくら木でございますが、鉄道まくら木につきましては、これは非常に運輸当局の方の御協力も得まして逐次効果を上げつつあると思うのでございますが、われわれの見込みといたしましては、年間需要量約七百五十万本、素材にいたしまして約三百万石のもでございますが、このうち三分の一程度の三百五十万本を、通称PSコンクリートと称しておりますが、これによつて置きかえることが技術的に可能でもあり、耐久力その他からいたしましても非常に適当であると考えるのでございます。これによります節約可能量は、最終年におきまして約百万石に達するのでありまして、これは試験的にまず二十九年度におきましては、十万本程度をひとつ使つていただきたい、こういうぐあいに今話をしつつある状況でございます。価格関係等から申しますると、現在付属品を込めて注入まくら木で申しますと、九百円程度でありますが、このP・Sコンクリート製品は二千四百円程度でございます。このよつて来りまする非常に割高を感じます問題点は、現在生産設備が三十万本程度でございますが、一つにはセメントあるいはピアノ線というものが原材料の中の相当部分、七〇%くらいと考えますが、相当部分占めておりますので、この価格に非常に左右されることが一つ。それから操業度が低いということが一つ、この二つの問題を考えるということが今後の二千四百円という現状価格を引下げる目途だと考えるのでございます。特にピアノ線等につきましては、目下神戸製綱等が悲常に熱心に御研究くださいまして、ほぼ完全な製品にまで到達しつつあるようであります。需要関係を増強いたしますことと相並行いたしまして、操業度を上げるという方向に持つて行きたい。運輸御当同等にもお願いしまして、十万本ということを逐次先ほど申しました三分の一程度の地点まで持つて行くということに努力いたしますことによつて、総体的に非常にP・Sコンクリートコスト高を引下げ得るという確信を持つておるわけであります。この際、最終年という言葉は今後も出て参りますが、実は資金あるいは技術的な事業家例協力能勢ということからみまして、これははつきり三箇年計画、あるいは五箇年計画というぐあいに割切つて具体的に立て得ないということが実情でありますので、他の問題にも関連して最終年という言葉を使いますが、念のため付言いたしたいと思います。  なお私ども希望といたしまして、三箇年、五箇年というような仮の案は具体的には検討いたしておりますが、当委員会において必要な際は、さらにこれに具体性を持ち得るような形において御提出でき得れば私どもの方でもいいかと思いますので、せつかく準備いたしております。その点を付言いたしておきたいと危います。  次に電柱でございますが、年間需要量約百二十万本、木材換算百八十万石でございます。そのうちの四十万本を遠心力鉄筋コンクリートポール鉄柱またはパンツエルマスター法による鉄板柱をもつて置きかえるということが技術的にもあるいは経済的にも可能と考えます。最近の木材の高値によりまして、鉄筋コンクリートポールの長尺もの、十メートル以上については、イニシャル・コストにおいても非常に経済的に匹敵し得ますので、供給力さえあれば置きかえることは容易であろうと考えております。あるいは木柱の十四メートル物につきましては、むしろコンクリートポールの方が安いという現状でございまして、この指導の方針でございますが、いわゆるJIS、日本工業規格を制定しまして、量産に持つて行きたいというのが私の方の考え方でございまして、そうしますことによりましても、短尺ものにつきましても、木柱と経済的にもその較差は縮小されるということが考えられるのじやなかろうか、こういうぐあいに考えられるのであります。これにつきましての現存設備能力は、年間五万本でございます。三十五万本程度拡充計画を今持つておるのでありますが、資金についての目安は今日立つておりません。開発銀行融資あるいは長銀の融資その他につきましても相当検討いたしてみたいと考えております。  次に坑木でございますが、これにつきましては石炭局長もおられますので、その方の具体的な御意見を伺つたらいかがかと思いますが、私どもの方で考えておりますことは、年間需要量大約一千二百万石、坑道五十万メートルを鉄わくあるいはP・Sコンクリートでやつて行く。また切羽四万メートルは鉄柱カツペをもつて置きかえる、こういうことが可能ではなかろうか、これが実現いたしますならば四百万石程度節約最終年においては期待できると考えるのであります。この坑木としてのP・Sコンクリートにつきましては、住友関係会社の技術的な研究ということが非常に進捗いたしておりまして、大量生産ということが期待できるのではなかろうかと思います。私たちもこの企業化を期待しておるわけであります。  次に土木建築でありますが、杭丸太につきましては年間需要量大約百五十万石と推定されます。とりあえずこの三分の一を遠心力鉄筋コンクリート・パイルをもつて置きかえることは可能と思うのでありまして、木材価格のこの現状からいたしますと経済的にも引合うのではなかろうかと思うのであります。これにつきましての生産設備の拡充あるいはこれに伴う資金のあつせんということをわれわれとして考えたいのであります。木材の直接節約見込み最終年におきまして五十万石あるいはそれ以上にも達するのじやなかろうかというようにも思うのであります。今日の設備能力は年三万トンで十五万トン程度の拡充を行いたい、その所要資金は約六億円程度であります。これにつきましての資金等については、電柱につきまして申し上げたと同じように、できるだけ融資のあつせんをいたして参りたい、こう考えるのであります。  次に橋梁でございますが、橋梁につきましては年間需要量は過去五箇年の実績から見まして約百二十五万石ぐらいと考えるのでありますが、このうちP・Sコンクリート及び鉄橋をもつてその三割を代称する、その木材節約は約四十万石ではなかろうか、こういうぐあいに考えます。  次にコンクリート仮わくの問題でございますが、コンクリートの建築中延坪三百坪以上のものに消費される仮わくは年間約二百万石と推定されております。この全長はほとんど鋼製パネルで代替可能でありますので、これが推進の一方策としまして、製鉄会社土木建築業者の共同会社をつくりまして、鋼製パネルの賃貸ということをいたしてみたい、こう考えるのであります。このことは次にございます足場丸太と関連があるのでありますが、足場丸太の消費年間百五十万石程度と想定されております。とりあえずこの三分の一、五十万石程度を鋼管組立て足場をもつて代替する。その推進方策としては、先ほど申し上げたコンクリート仮わくと同じように、製鉄会社土木建築業者との共同会社をつくりまして——これは二つの別々の会社でありますが、三つの会社をつくらしてひとつ実現さしてみたいと考えております。目下製品をつくります製鉄会社とお使いになる土木業者との間で協議を取進めておるのでございます。ただこの点につきまして一応申し上げたいのは、これらの会社の運営に先だちまして、海外、特にアメリカ方面の実際の状況を技術的に検討してみたいということが考えられまして、適当な有力者を海外に派遣いたしたいということを今考えております。人選並びにこれが調査の具体的な案も近く出て参るのではなかろうかと思います。このようにして海外の実情を明らかにいたしまして、ただいま申しましたような会社の組織並びに運営ということをできるだけ早急に実現したいというぐあいに話合いを進めております。  次に建築でございますが、年間の建築量一千万坪のうち、耐火建築は約百万坪でありますが、耐火建築促進法などの強力実施によりまして、これを四百万坪に拡大することにいたしたい。これによりまして六百万石の木材節約になるのではなかろうか。なお残りの六百万坪の木材建築の壁の五分の一を石綿スレートによつて代替いたしたい、あるいは五分の一につきましてはメタルラス等をもつて置きかえて、これで七十万石の節約は実現できるのではなかろうかと考えるのでありますが、この石綿スレートあるいはメタルラスの生産能力等にも相当余剰がございます。最近のこういつた建築方式を推進する建前からいたしまして、従来の石綿の輸入を少し増強して参りたいと考えて、関係方面と折衝をいたしておる状況でございます。  次に家具でありますが、現在家具の大部分は木製でございます。これに要する木材は原木換算約五百万石、これを鋼製をもつて鉄製品に置きかえると、鋼材約四十三万トンを要するのではなかろうかと考えるのでありますが、鉄鋼製品によります家具の普及のためには、現在これに課せられております物品税撤廃あるいは製鉄業者の販売価格の引下げ、量産によるコストの引下げということが検討し得られるのではなかろうかと存じております。  最後に木材防腐の問題でございますが、ただいまの木材防腐普及状況ということにつきましては、ただいま申し上げましたが、この木材防腐による耐用年数の増加というようなことから行きまして、とりあえず三百万石、最終の目標としては六百万石程度木材節約を実現いたしたい、こういうのが木材防腐措置につきましての実質的な指導方針でございます。  大体以上述べましたところによりまして、二千百三十万石程度木材を直接的に代替しあるいは節約できるのではなかろうかというのが、私の方で推進いたしたい大体の合理化方策でございます。  なお途中で言い落した点といたしまして、たとえばP・Sコンクリートの生産増強ということ等につきまして、法人税の免除をすることがきわめて適切だと考えまして、三十九年度には法人税の免除をいたしたいと考えて、関係省と目下協議を取進めておるような事情でございます。これしらの点につきましても、小委員会等の御推進をお願いいたしたいと思います。
  8. 中崎敏

    中崎委員長 次に吉岡繊維局長
  9. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 繊維局といたしましては、パルプ並びにこれを原料といたします紙、化学繊維という面について相当の木材消費しているわけでございまして、全消費量に対する大体のウエートを申し上げますと、昭和二十八年度におきまして、林野庁の調べによりますと、木材の総消費量が約二億七千万石近くでございまして、そのうち約半分が薪炭林ということは、先ほどお聞きの通りでございます。その残りの約半分がいわゆる用材でございますが、その比率を申し上げますと、一般材が約六五%、それに次ぎましてパルプ材が約一五%を占めております。その他坑木一〇%等がおもなものでございます。  それでパルプ材のうち大体八〇%以上は製紙用のパルプでございまして、このパルプ材消費の伸び方は、ほかの用材その他の伸び方よりも著しく、昭和三十四年度に比較いたしますと、ほかの消費量は二割ないし四割程度増加でございますが、パルプ材につきましては二倍半程度に二十八年度までに増加いたしております。  それから先ほど林野庁長官のお話で、森林資源は約六十億石ということでございましたが、そのうち約三分の一が国有林でございまして、特にパルプ材につきましては、現在の消費量のうち国有林が約四〇%を占めており、さらに北海道につきましては全体の約八割近くが国有林に期待しているという状況でございます。従つてこの国有林の払下げの方法等についてもいろいろ希望等もあるようでございますので、これらはただいまとりまとめて林野庁の方にお願いしたい、かように考えております。  以上のように、パルプ材といたしましては、相当の原木を消費し、特に昨年水害等によりまして、原木の価格の値上り等もございますので、原木の確保並びにその価格の問題等につきましては非常な関心を持つているわけでございます。大体パルプコストのうち四割ないし五割が原木代であるという状況でございます。  そこで原木の確保については昭和二十五年に計画を立てまして、今後三十年間を目標にして、三十年間消費量の約半分を自給したい、面積にして約四十三万町歩ということになるわけでございます。この産業備林の計画について積極的に計画を立て、これを推進している次第でございます。  それで林野庁の方の造林資金等もそのうち約五分の一をパルプ会社において利用させていただいておるように承知しております。現在のところすでに約十七万町歩パルプ会社の所有林として持つております。もちろんこの中にはまだ成長の十分でないものも多いわけでございますが、比率にして十四、五パーセントは一応自家所有林でまかなつているという状況でございます。それから先ほども申しましたこの一般用材のうち約二五%、全体からいたしますと七、八パーセントになるわけでございますが、これを外国に比べますと、北欧のたとえばノールウエースエーデン等の国におきましては二十四、五パーセント、カナダにおきましては三〇%というように全消費量のうちのパルプ用材消費量が非常なウエートを占めているわけであります。これは木材資源の最も効率的な利用方法といたしまして、先ほど林野庁からもお話のございましたように、今後こういう間度の工業原料利用方法をわれわれとしてもぜひ進めて参りたい、かように考えております。  それからそのうち主たる消費量を占めております紙の消費量でございますが、これは昭和二十七年度におきましては、ポンドにいたしまして約三十倍ポンドと承知をしております。戦前の最問生産額は昭和十五年の三十四億ポンドでございますが、昭和二十七年度においてほぼこれに近くなつております。さらに三十八年度におきましては約四十億ポンドと戦前の消費量を超過しておるわけであり、さらに二十九年度におきましては、大体四十五億ポンド程度に行くのではなかろうか、こう考えているわけであります。その理由といたしましては、大体紙の消費量は文化程度を表現するといわれておりますように、包装紙の関係、新聞用紙の増加、化学繊維の需要増加等に原因をするというふうに考えている次第でございます。  それから従来パルプ用材といたしましては、大体針葉樹を中心にしておつたのでありますが、極力闊葉樹を利用すべきだという考えのもとにいろいろ技術的な問題もあるようでございますが、現在ほぼ一割近くまで闊葉樹が利用されている。さらに草木パルプと申しますか、たとえば竹パルプ等につきましても、これはまだ一社でございますが、山口県におきましてこれは研究いたしまして、数年前から操業いたし、最近におきましては、大体採算ベースにまで乗つて来た、こういう状況でございます。  なお先ほど林野庁長官からもお話のございましたように、わが国の森林資源並びにその成長量からいたしまして、過伐の傾向にあるということは御承知の通りでございます。この点につきましては、通商局とも連絡をとりまして、木材の輸入につきましては、われわれとしてもできるだけ積極的に努力をいたしたい。ただ現状におきましては、輸入の原木が必ずしも安くはならないわけでありますが、しかし考え方としては、量的に需給が不均衡な場合に相当の余裕があるということは、かりに値段が多少割高になりましても、全体としての需給が緩和され、その結果国内の原木価格も安定するのではなかろうかという考えのもとに、これは関係各庁一致して推進をしていただいている次第でございます。従来はおもにアラスカ、南洋材等が入つているようでございますが、アラスカにつきましては日本側の投資によるアラスカパルプという会社も最近設立されて、今後原木チツプあるいは進んでパルプ等も供給を受け得るのではなかろうかというように期待している次第であります。なお先週の終りにインドネシアに対する輸出超過の均衡をはかる意味におきまして、インドネシアからの輸入を促進するという意味におきまして、インドネシアからの輸入に対してはこれに見合う輸出について特別のインセンテイヴを加えまして、それによつて輸入を促進したいという措置をとつたことは御承知の通りでございます。これらの措置によつて今後南洋材等の輸入もある程度促進されるのではなかろうかと期待をいたしております。さらに特に近距離にございます樺太、沿海州等の木材の輸入につきましては、いろいろ政治上の問題等もあるようでございますが、これも関係各省一致して推進をいたしているわけであります。これは特にパルプ材ということが主体になつているのでございますので、今後この進捗にわれわれも協力をいたしたいと考えている次第でございます。  大体繊維関係としては以上のことを申し上げておきます。
  10. 中崎敏

    中崎委員長 次は佐久石炭局長
  11. 佐久洋

    ○佐久政府委員 石炭における木材使用は、主として坑木でございますが、坑木状況について概要を御説明申し上げます。  日本の炭鉱で使つております坑木年間使用量は大体一千万石から一千二百万石程度でございまして、昭和三十五年が一千十二万七千石、三十八年は一千五十四万一千石というので大した増減はございません。また原単位にいたしましても昭和二十五年に〇・二七石、二十八年におきましては〇・二三石というので、若干の原単位減少はいたしておりますが、そう大幅な変更はないという状況でございます。昨年は九州方面におきます、あるいは中国方面におきます風水害のために一時非常に坑木に困りまして、特に七月あたりは入荷の状況が非常に悪くて、計画に対して六五%ぐらいの入荷しかない。従つて月末の在庫量も一箇月半ぐらいに非常な苦しい状態になつたのでございますが、その後林野方面の非常な御協力を得まして、大体十二月ごろの状況は入荷率も八八%ぐらいに上り、月末の在庫量も一・九箇月ぐらいに増加いたすというので、今のところは坑木の最自体についてはどうにか間に合うという状態になつております。しかしこの風水事のための木材の流失とかあるいは林道の破壊あるいは輸送の困難というような関係、また一方復旧用の木材との競合、パルプ用材との競合というようなことでかなり木材価格が上りまして、現在は石千八百円から二千円ぐらい出さないと入手ができないということで、これは石炭の価格引下げ問題を目の前にしているだけに石炭鉱業としてはかなり痛いところでございます。そこで今後の問題をどうするかということをいろいろ検討いたしておりますが、やはり先ほど林野庁長官からお話がありましたように、国内の森林資源が非常に枯渇いたしておりますので、坑内における坑木使用もできるだけ節約をして鉄柱に移行すべきである、こういう考え方で私ども指導いたしているのであります。鉄柱使用については、各炭鉱ごとに坑内の状況——具体的に申し上げますと、炭層の厚さ、あるいは傾斜、あるいは地庄のはかり方というようなものが一つ一つ全部違つておりますので、一律に行うということがなかなか困難であります。そこで従来とつて来ましたやり方としましては、この採炭の方法に長壁式と残柱式とがありますが、鉄柱を使うにはやはり長壁式のところにこれを応用する、しかも傾斜が非常に急でないところでないと使えませんので、そういう方面をねらいまして従来指導して参つたのであります。昭和二十二年にこれはドイツの方法をとりまして、山口県のある炭鉱で試験的に鉄柱カツペ方法実施いたしたのでありますが、大体そこである成功を見ましたので、その後昭和二十六年には全国で二十一炭鉱に、切羽の長さとしては千六百メートルほどありますが、鉄柱カツペの試験補助金を出しまして、全額としては二千八百万円を出したのでありますが、その研究過程においていろいろの問題がありましたが、大体成功の域に達したのであります。そこで二十七年の三月末に、長壁式のこの切羽総延長が六万四千メートルありますが、そのうち鉄柱カツペにすでに九千メートルほど切りかえた、さらにそのほかに鉄柱だけを使つた切羽が九千メートルぐらいありますから、一万八千メートルぐらいを鉄柱に切りかえたわけであります。現在は、その後相当進捗いたしまして、現在使われておりまする鉄柱の数が二十二万一千本ほどであります。それからカツペが十四万二千本ぐらいのところであります。これはやはり先ほど軽工業局長からもお話がありましたように、今後ともできるだけ鉄柱カツペに置きかえて行きたい、こういうふうに考えているわけであります。  なお、この坑内に使いまする鉄柱は、主として国鉄のレールの古材を使つておるのでありますが、本年度で五万四千トンぐらい使つておる勘定でございます。その後、古材だけでなしに、新しいものとして坑枠用の型鋼を最近使い出しまして、これも二十八年におきましては二万トンぐらい使うようになりました。今後研究を進めると同時に、この使用量も相当ふえるというふうに考えられるのであります。  ごく概略でありますが、石炭関係坑木実情と今後の進め方について申し上げた次第であります。
  12. 中崎敏

    中崎委員長 次に、日本国有鉄道佐藤施設局長
  13. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 国有鉄道のことにつきまして概略御説明申し上げます。  国有鉄道といたしまして現在木材の所要量は、大体素材にしまして年間五百六十万石ぐらい、こういうふうに考えられております。内訳で申し上げますと、まくら木が二百九十万石ぐらい、それから土建用材でございますが、これは非常な推定になるのでありますが、約二百万石というふうに考えております。それから車両用材でございますが、これが六十万石、それから電柱に使いますものが七万石ぐらい、こう考えております。  それでこの一つ一つにつきましてこれから御説明したいと思うのでありますが、まずまくら木でございます。まくら木は、先ほど詳しく御説明がありましたので、私から述べるのも少しダブるかもしれませんが、述べさせていただきますと、まず国鉄で敷設しておりますまくら木の総数というのが四千六百万挺ございます。それでこの中に私たちの調査の結果、早急にかえたいという非常に古い、悪いものが約九百万挺、全体の二〇%近くでございます。それでまくら木の耐用年数でございますが、大体私たちは十年くらいに考えております。昭和六年から十五年くらいまでですと、大体九年半くらいの寿命でありましたが、それが昭和十六年から三十五年までの実績によりますと、大体一本当り、平均十二年半、こういうふうな率になつております。まくら木がどうしてだめになるかと申しますと、これはもう御存じのごとく、まず第一に腐朽して行くこと、その次は上からの列車加重によりましてだんだんレールがまくら木の中に食い込んで行きます。そのためにこれをだんだん切りとつて行きます関係上、まくら木が細くなつて来ましてとりかえなければならぬ。それからもう一つは、まくら木が割れて参りまして、まくら木の用をなさない、大体こういうような原因によつて交換しております。それで、二十八年度には大体まくら木をどのくらい使つたかと申しますと、五百五十万挺使う見込みでございます。これは入手も非常に楽ではなかつたのでございますが、前年度の繰越し等も入れまして、大体五百三十万挺くらい使うということになつております。このうち、先ほど来話の出ておりましたP・Sコンクリートまくら木が三十八年度四万挺使うことになつております。国鉄としましては、このまくら木に対して年間約四十五億くらいの金をかけておりまして、私たちとしましてもこの節約ということが国鉄経営の上に非常に大きな問題でございますし、また一方におきましては、国の木材資源の険路という見地からしましても、われわれとしてはできるだけこれの節約をはかつて行かなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。それで私の方といたしましてどういうふうな手を打つておるかと申しますと、これは関係の各省との間の打合せもやつておるのでございますが、二十六年十月に国鉄の中に枕木対策委員会というのを置きまして、今後まくら木をどういうふうにして手に入れて行くか、またどういうふうに節約すべきかということにつきまして今までやつて来ております。そしてまたことしあたりの研究のテーマといたしましても、まくら木材質の基本条件とその形状、寸法とか、あるいは松まくら木に関する研究とか、まくら木防腐処理の研究、あるいはタイ・パツトと申しまして、大体レールの下にゴム製品を入れまして、車両から来る力をそこで緩和する、あるいは動揺を防ぐ、まくら木への食い込みを防ぐ、そういうふうな取付のものでございますが、そのタイ・パツトの研究、その次はコンクリートまくら木調査研究、それからまくら木の割裂防止の研究、それから防腐剤の研究、こういうことを本年度の研究テーマとしまして、枕木対策委員会は進めて行くつもりでございます。  それからコンクリートまくら木でございますが、コンクリートまくら木は、国鉄としますとずいぶん古いものがあるわけでございます。山陰線などに敷設しておりますのは、二十何年たつておるものもございます。これはほんの試験的にやつたものでございます。戦後三十三年から二十七年にかけましてコンクリートまくら木を約十七万挺つくりました。それから二十六年からP・Sコンクリートを使い出しまして、二十八年までに五万七千挺使うということになつております。ただ御存じのごとく、このコンクリートまくら木は普通まくら木に比べまして重いもので非常に取扱いにくい。それからレールとまくら木との結びつけ方、これが非常にむずかしいのであります。それから自動信号区間におきましてはセメントの遊離アルカリのために電流が流れて、そのために信号機の色がかわる。これは安全サイドにかわるのでありますが、電流がたくさん流れますれば信号が赤になつてしまう。それから鉄筋が中に入つて犬くぎでとめておりますから、それがやはり製作が悪くて鉄筋に触れますと左右のレールが電気的に短絡されまして、やはり信号機の色がかわる。そういう問題があるのであります。それから現在敷設されておるところを見ますと、約三%弱に亀裂が入つております。この亀裂はドイツあたりの橋梁その他のP・Sコンクリートなどを見ましても入つておるのでありまして、危険はないのでありますが、やはりそれによりましてその中の鋼材がそれだけ寿命が早く来るという問題があるのでありまして、これらはただいま研究問題といたしまして、今後われわれの方といたしましても研究して行くつもりでございます。なお形状等につきましてもいろいろ問題がありますので、まだ最後の、これが百パーセントいいのだというところまで行つていないのであります。しかし私たちといたしまして今までどういうところに使つて参つたかと申しますと、まず機関車がとまりまして石炭がらを落す。これは非常にまくら木が焼けるのでございます。まずこういうところからコンクリートまくら木を使いまして、現在に至つておるわけであります。二十九年度も大体十万挺ぐらい使いたい、こう思つております。ただ先ほどの御説明にもございましたように、約二倍半の値段のためにそう思い切つてまだ使えない状態にございます。将来だんだんふやして行きまして、一本当りの単価はぜひとも下げて行きたい、こういうふうに考えております。  それから土建用材の二百万石でございますが、これは私の方は主として話負工事でやつておりまして、建物その他に使うのでありますが、最近できるだけあとの保守その他を考えまして、鉄筋コンクリート、あるいはブロツク・コンクリートの建物を使うようにしておりますが、これもやはり値段の関係がございますのと、それからもう一つ鉄道の敷設というものとか輸送量に応じまして常にかえているのであります。ですからそういうような点ともにらみ合せまして使つて行かなければならぬと思つております。なお国鉄で使つておりますセメントの量は年間約十五万トンぐらいであります。できるだけ木材節約はやつて行きたいと思つております。  それから車両用材でございますが、これは大体六十五万石ぐらい使つております。車両につきましては、国鉄の車両の数量を申しますと、貨車で大体十一万両、客車が一万両、電車が二千七、八百両というところであります。それから機関車が五千両くらいでございますが、機関車関係は材木はほとんど使いませんが、電車、客車も最近は鋼体化して来まして、客車もほとんど木造はなくなつて参りました。内部だけに木材を使うようになつて、木材も減つて参りました。それから貨車でございますが、貨車が一番使うのでございます。これもやはりある程度鋼体化もやつておりますが、木材のところも先ほど申し上げましたような数字は残ります。  それから電柱につきましては現在先ほど申しましたような約七万石くらい使つているのでございますが、これもクレオソート注入をやりまして寿命をよく延ばす。それからコンクリートの方ですが、これも大体年間一万本以上使いまして極力節約するつもりでございます。  以上簡単でございますが、これで説明を終ります。
  14. 中崎敏

    中崎委員長 次に建設省住宅局前田説明員。
  15. 前田光嘉

    ○前田説明員 最近における建築の状況を申し上げます。総建築物の統計によりますと、一年間にできまする建築物は、住宅あるいは住宅以外のビルその他の構造も入れまして、二十五年度には八百九十万坪、二十六年には九百八十万坪、二十七年には一千万坪、二十八年も大体一千万坪でございます。このうち構造別にわけてみますと、二十七年で申し上げますと、木造が九百三十六万坪、鉄筋コンクリートが七十万坪、鉄骨造が二十五万坪、その他が七万九千坪、合計いたしまして一千四十一万坪という数字でございますが、最近鉄筋耐火構造の率がややふえて参りまして、前年に比べて若干でございますが、ふえております。たとえば二十七年には全体の中で鉄筋コンクリートが六・八%であつたものが、二十八年になりまして九・六%にふえて来ておりますので、われわれの方も現在鉄筋の耐火の奨励に努力いたしておりますが、この傾向は一般の建築状況から見ましてもはつきりしております。このうち住宅が約半分の五百万坪ほどございます。しかしこの住宅の中で一般の個人あるいはその他の民間でつくりますものが大部分でございまして、政府の関係する分はその約三分の一でございます。現在政府のやつておりますところの住宅の大きなものは第一は公営住宅でございます。この住宅は御承知のように国が半額補助をいたしまして、公共団体がつくつてこれを一般に賃貸して参りますが、この住宅につきましても木材節約または都市の不燃化、防災の見地から年々耐火構造の率を高めるように努力しておりまして、二十七年度は全部で二万五千戸のうちその二六%を耐火構造にいたしました。二十八年度は五万戸のうちその三〇%を耐火構造にいたしました。二十九年度の計画では四万九千戸のうち、その三三%を耐火にしたいと思つて予算を計上しております。こうして逐年鉄筋の率を高めて来ております。さらに住宅金融公庫におきましても、これは大体年間五万戸程度の貸付をしております。その中でも耐火の住宅を貸し付けておりまして、二十七年度はわずかに七%程度しかなかつたものを二十八年度は一五%にし、二十九年度は三三%にしたいと思つて努力をいたしております。そのほかに市街地の建築を耐火構造にさせるために耐火建築促進法という法律が先年できまして、それによつて市街地の一定の地区の耐火建築につきましては、木造と耐火建築物との差額の補助をしております。この実績を申し上げますと、二十七年度は三万坪分の補助をいたしました。二十八年度は三万六千坪、二十九年度は予算の都合で若干減りまして一万坪ぐらいの予定をいたしております。もう一つ、特に北海道におきましては寒さに耐えるために住宅構造を防寒にする必要がございますが、それに関連しまして木造住宅でありますとストーブの関係上燃料を多量に使いますので、公営住宅及び住宅金融公庫住宅につきまして二十八年度より全部木造はやめるという方針を立てまして、公営住宅年間約二、三千戸を建てておりますが、それを少くとも鉄筋コンクリートかあるいは簡易耐火構造、外壁をブロツク構造にいたしました住宅をやつております。これにつきまして北海道防寒住宅建設等促進法という法律が、この前の国会で通過いたしまして、それによつて近く住宅金融公庫におきましても、一般に貸出し分は木造はやめて鉄筋かあるいはブロツク造の住宅にしたいと思つております。これによりまして住宅そのものに使う木材はもちろん、多量に消費する燃料も相当な節約になるだろうと考えております。現在以上のような措置で木造の建物も鉄筋かあるいは耐火を促進しておりますが、しかしこれはまだ研究が不十分でありまして、木造程度価格で耐火構造の住宅ができれば非常に好都合でありますが、まだ現在におきましてはわれわれのやつております公営住宅につきましても、たとえば木造住宅で坪当り三万円前後、鉄筋にいたしまして六万円前後になりますので、その差額を縮めることがまず第一の研究課題でございますので、それに関連していろいろ建築面において木材節約する、あるいは耐火構造を促進するというような意味の研究をやつております。ちよつと例示いたしますと、たとえば白ありの被害を防ぐための防蟻処理に関する研究とか、あるいはコンクリートをいかにして低廉にするかというようなこともやつております。先ほど話が出ましたあるいは足場の丸太の使用節減というようなことも研究をいたしております。そのほか簡易不燃住宅の構造に関する施策なりあるいはブロツクあるいは組立て鉄筋コンクリート造について工場生産ができるかどうか、あるいは現場施工ができるかどうか、その居住性が木造とそれほど差がないか、あるいはわれわれに適当かどうかというような研究もいたしておりますし、そのほか新しい材料につきましては防火板、それから硬質木毛セメント板、軽量ブロツク鉄工プラスター法等の実用化をはかれるかどうか、鉄骨構造に防火被覆をすることによつて何かよい方法はないか、その他これに関連いたしました研究を、一般の民間の力を借り、あるいは役所の内部でいろいろ研究をいたしておる次第でございます。  簡単でございましたが住宅関係について御説明申し上げました。
  16. 中崎敏

    中崎委員長 以上関係当局よりそれぞれの部門にわたつて説明を聴取したのでありますが、これに対する質疑は次会より行うこととしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会