○
中村(辰)
政府委員 ただいまの
林野庁長官の御説明のうち、特に私の方の
関係しております問題で、
最初に
ダンボールのことについて御説明申し上げておきたいと思います。
包装用木材の
消費並びに、これの
節約という意味で申し上げますが、
包装用木材の
消費実績の過去の
数字を簡単に申し上げますと、
昭和三十五年度が約千六百万石でございます。その当時
生産動態統計調査がありまして、比較的正確な
数字でございますが、二十六年度以降につきましては、この
統計調査が廃止になりましたので、
推定ということになるのでありますが、
鉱工業の
生産指数の
増加、並びに
ダンボールの
生産実績ということから
推定いたしまして、現在なお千五百万石
程度の
消費をしておるのではないかと想定いたします。タンボールヘの
振りかえ、
実績の
状況でございますが、これは
昭和二十六年度におきましては二億五千百七十五万
平方尺、二十七年度におきましては三億四千四百七十二万
平方尺、二十八年度におきましては五億九千四十三万
平方尺というような
状況でございまして、順次
ダンボールが非常に
使用されておるという
状況にございます。もちろん
ダンボールも
木材を多少使いますもので、まるまる
木材にかわるということではございませんが、実質的に申しまして、
鉱工業の
生産指数にあわせて、この
ダンボールが
使用されないで
木材が使われたということをかりに想定して参りますと、約四百万石
程度の
木材の
実質的節約ができるのではないかと考えます。これが将来の推進の仕方として遠慮のないことを申しますと、たとえばこれの
原料に使いますクラフト・
パルプを
特別価格で使わせてもらうという制度をとり得ますならば、もちろんこれは非常にけつこうなことだ、こういうぐあいに事務的な
希望でございますが、考えております。なお
包装材資材の
木材の
節約ということで、
ダンボール以外にワイヤー・ワウンド・ボツクスの
使用ということが相当進んでおります。これは
木材との対比で行きますと、
代替木材の
節約が約四〇%
程度になるのではないかと想定いたします。もちろんただいま申しました
包装用資材の
消費の
かわり方につきましての詳細な的確な
数字は、
統計調査その他がございません
関係もございまして、相当
推定を織り込んで申し上げるよりほかないと思います。
次にただいま
長官の申し上げましたことで、私の方で
木材の
使用合理化ということにつきまして現在やつておりますこと、また今後やりたいと思うことを系統的ではございませんが、羅列的に申し上げたいと思います。その前にこの
通産委員会におきまして先般成案になりました
木材防腐特別措置法という
法律が今年の一月から
本格的実施に入つております。この
法律の
効果と申しますか、今日までの
木材防腐の
使用状況の推移を一言申し上げさせていただきたいと思います。
この
木材防腐の
実施は、本年の一月一日からでございますが、それ以前から
木材の
防腐の有利なことにつきましては、非常に各
方面の御
協力を得まして、順次
木材防腐にかわりつつあるという
状況は、すでに昨年の十月ごろから顕著でございまして、このときの
数字を申しますと、十八万四千七百十一石、十一月が十四万二千五百三十三石これは少し減つておりますが、これを使います
関係官庁、あるいは
民間有力会社の予算的な問題との
関係でございます。十二月につきましては十六万三千八百八十二石、本年の一月は二十万三千二百八十石、二月が三十二万三千三百七十石と順次ふえております。今後本格的な
実施に伴いまして
防腐木材の
加工工場が各地にそれぞれ増強されつつございますので、この傾向は順次高まるもの、こういうぐあいに考えております。もちろんわれわれといたしましても、これが
使用につきましては、本法の趣旨にできるだけ基きまして推進して参りたいと考えております。
次に私の方で
土木建築部門におきます
木材の
利用合理化ということにつきまして、
関係各省の御賛同を得てともに
研究して参りました事項につきまして一応説明させていただきたいと思います。概略的なことはお手元に配付した資料がございますので、それをごらんいただきながら説明さしていただきたいと思います。
最初に
まくら木でございますが、
鉄道の
まくら木につきましては、これは非常に
運輸御
当局の方の御
協力も得まして逐次
効果を上げつつあると思うのでございますが、われわれの
見込みといたしましては、
年間需要量約七百五十万本、素材にいたしまして約三百万石のもでございますが、このうち三分の一
程度の三百五十万本を、
通称P・
Sコンクリートと称しておりますが、これによつて置きかえることが技術的に可能でもあり、
耐久力その他からいたしましても非常に適当であると考えるのでございます。これによります
節約可能量は、
最終年におきまして約百万石に達するのでありまして、これは試験的にまず二十九年度におきましては、十万本
程度をひとつ使つていただきたい、こういうぐあいに今話をしつつある
状況でございます。
価格関係等から申しますると、現在
付属品を込めて
注入まくら木で申しますと、九百円
程度でありますが、このP・
Sコンクリート製品は二千四百円
程度でございます。このよつて来りまする非常に割高を感じます
問題点は、現在
生産設備が三十万本
程度でございますが、
一つにはセメントあるいは
ピアノ線というものが原材料の中の
相当部分、七〇%くらいと考えますが、
相当部分占めておりますので、この
価格に非常に左右されることが
一つ。それから
操業度が低いということが
一つ、この二つの問題を考えるということが今後の二千四百円という
現状の
価格を引下げる目途だと考えるのでございます。特に
ピアノ線等につきましては、
目下神戸製綱等が悲常に熱心に御
研究くださいまして、ほぼ完全な
製品にまで到達しつつあるようであります。
需要の
関係を増強いたしますことと相並行いたしまして、
操業度を上げるという方向に持つて行きたい。
運輸御当同等にもお願いしまして、十万本ということを逐次先ほど申しました三分の一
程度の地点まで持つて行くということに努力いたしますことによつて、総体的に非常にP・
Sコンクリートの
コスト高を引下げ得るという確信を持つておるわけであります。この際、
最終年という
言葉は今後も出て参りますが、実は
資金あるいは技術的な
事業家例の
協力能勢ということからみまして、これははつきり三箇年
計画、あるいは五箇年
計画というぐあいに割切つて具体的に立て得ないということが
実情でありますので、他の問題にも関連して
最終年という
言葉を使いますが、念のため付言いたしたいと思います。
なお私
どもの
希望といたしまして、三箇年、五箇年というような仮の案は具体的には検討いたしておりますが、当
委員会において必要な際は、さらにこれに
具体性を持ち得るような形において御提出でき得れば私
どもの方でもいいかと思いますので、せつかく準備いたしております。その点を付言いたしておきたいと危います。
次に電柱でございますが、
年間需要量約百二十万本、
木材換算百八十万石でございます。そのうちの四十万本を
遠心力鉄筋コンクリート・
ポール、
鉄柱または
パンツエル・
マスター法による
鉄板柱をもつて置きかえるということが技術的にもあるいは経済的にも可能と考えます。最近の
木材の高値によりまして、
鉄筋コンクリート・
ポールの長尺もの、十メートル以上については、イニシャル・
コストにおいても非常に経済的に匹敵し得ますので、
供給力さえあれば置きかえることは容易であろうと考えております。あるいは
木柱の十四メートル物につきましては、むしろ
コンクリート・
ポールの方が安いという
現状でございまして、この
指導の方針でございますが、いわゆるJIS、
日本工業規格を制定しまして、量産に持つて行きたいというのが私の方の考え方でございまして、そうしますことによりましても、短尺ものにつきましても、
木柱と経済的にもその較差は縮小されるということが考えられるのじやなかろうか、こういうぐあいに考えられるのであります。これにつきましての
現存設備能力は、
年間五万本でございます。三十五万本
程度の
拡充計画を今持つておるのでありますが、
資金についての目安は今日立つておりません。
開発銀行の
融資あるいは長銀の
融資その他につきましても相当検討いたしてみたいと考えております。
次に
坑木でございますが、これにつきましては
石炭局長もおられますので、その方の具体的な御意見を伺つたらいかがかと思いますが、私
どもの方で考えておりますことは、
年間需要量が
大約一千二百万石、坑道五十万メートルを
鉄わくあるいはP・
Sコンクリートでやつて行く。また切羽四万メートルは
鉄柱カツペをもつて置きかえる、こういうことが可能ではなかろうか、これが実現いたしますならば四百万石
程度の
節約が
最終年においては期待できると考えるのであります。この
坑木としてのP・
Sコンクリートにつきましては、
住友関係の
会社の技術的な
研究ということが非常に進捗いたしておりまして、
大量生産ということが期待できるのではなかろうかと思います。私たちもこの
企業化を期待しておるわけであります。
次に
土木建築でありますが、
杭丸太につきましては
年間の
需要量は
大約百五十万石と
推定されます。とりあえずこの三分の一を
遠心力鉄筋コンクリート・パイルをもつて置きかえることは可能と思うのでありまして、
木材価格のこの
現状からいたしますと経済的にも引合うのではなかろうかと思うのであります。これにつきましての
生産設備の拡充あるいはこれに伴う
資金のあつせんということをわれわれとして考えたいのであります。
木材の直接
節約の
見込みは
最終年におきまして五十万石あるいはそれ以上にも達するのじやなかろうかというようにも思うのであります。今日の設備能力は年三万トンで十五万トン
程度の拡充を行いたい、その所要
資金は約六億円
程度であります。これにつきましての
資金等については、電柱につきまして申し上げたと同じように、できるだけ
融資のあつせんをいたして参りたい、こう考えるのであります。
次に橋梁でございますが、橋梁につきましては
年間需要量は過去五箇年の
実績から見まして約百二十五万石ぐらいと考えるのでありますが、このうちP・
Sコンクリート及び鉄橋をもつてその三割を代称する、その
木材の
節約は約四十万石ではなかろうか、こういうぐあいに考えます。
次に
コンクリート仮わくの問題でございますが、
コンクリートの建築中延坪三百坪以上のものに
消費される仮わくは
年間約二百万石と
推定されております。この全長はほとんど鋼製パネルで
代替可能でありますので、これが推進の一
方策としまして、製鉄
会社と
土木建築業者の共同
会社をつくりまして、鋼製パネルの賃貸ということをいたしてみたい、こう考えるのであります。このことは次にございます足場丸太と関連があるのでありますが、足場丸太の
消費は
年間百五十万石
程度と想定されております。とりあえずこの三分の一、五十万石
程度を鋼管組立て足場をもつて
代替する。その推進
方策としては、先ほど申し上げた
コンクリート仮わくと同じように、製鉄
会社と
土木建築業者との共同
会社をつくりまして——これは二つの別々の
会社でありますが、三つの
会社をつくらしてひとつ実現さしてみたいと考えております。目下
製品をつくります製鉄
会社とお使いになる土木業者との間で協議を取進めておるのでございます。ただこの点につきまして一応申し上げたいのは、これらの
会社の運営に先だちまして、海外、特にアメリカ
方面の実際の
状況を技術的に検討してみたいということが考えられまして、適当な有力者を海外に派遣いたしたいということを今考えております。人選並びにこれが
調査の具体的な案も近く出て参るのではなかろうかと思います。このようにして海外の
実情を明らかにいたしまして、ただいま申しましたような
会社の組織並びに運営ということをできるだけ早急に実現したいというぐあいに話合いを進めております。
次に建築でございますが、
年間の建築量一千万坪のうち、耐火建築は約百万坪でありますが、耐火建築促進法などの強力
実施によりまして、これを四百万坪に拡大することにいたしたい。これによりまして六百万石の
木材の
節約になるのではなかろうか。なお残りの六百万坪の
木材建築の壁の五分の一を石綿スレートによつて
代替いたしたい、あるいは五分の一につきましてはメタルラス等をもつて置きかえて、これで七十万石の
節約は実現できるのではなかろうかと考えるのでありますが、この石綿スレートあるいはメタルラスの生産能力等にも相当余剰がございます。最近のこういつた
建築方式を推進する建前からいたしまして、従来の石綿の輸入を少し増強して参りたいと考えて、
関係方面と折衝をいたしておる
状況でございます。
次に家具でありますが、現在家具の大
部分は木製でございます。これに要する
木材は原木換算約五百万石、これを鋼製をもつて鉄
製品に置きかえると、鋼材約四十三万トンを要するのではなかろうかと考えるのでありますが、鉄鋼
製品によります家具の
普及のためには、現在これに課せられております物品税撤廃あるいは製鉄業者の販売
価格の引下げ、量産による
コストの引下げということが検討し得られるのではなかろうかと存じております。
最後に
木材防腐の問題でございますが、ただいまの
木材防腐の
普及の
状況ということにつきましては、ただいま申し上げましたが、この
木材防腐による耐用年数の
増加というようなことから行きまして、とりあえず三百万石、最終の目標としては六百万石
程度の
木材の
節約を実現いたしたい、こういうのが
木材防腐措置につきましての実質的な
指導方針でございます。
大体以上述べましたところによりまして、二千百三十万石
程度の
木材を直接的に
代替しあるいは
節約できるのではなかろうかというのが、私の方で推進いたしたい大体の
合理化方策でございます。
なお途中で言い落した点といたしまして、たとえばP・
Sコンクリートの生産増強ということ等につきまして、法人税の免除をすることがきわめて適切だと考えまして、三十九年度には法人税の免除をいたしたいと考えて、
関係省と目下協議を取進めておるような事情でございます。これしらの点につきましても、小
委員会等の御推進をお願いいたしたいと思います。