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1954-05-25 第19回国会 衆議院 通商産業委員会農林委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十五日(火曜日)     午後二時四十八分開議  出席委員  通商産業委員会    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       始関 伊平君    田中 龍夫君       笹本 一雄君    柳原 三郎君       齋木 重一君    帆足  計君       中崎  敏君  農林委員会    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 福田 喜東君 理事 金子與重郎君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       小枝 一雄君    佐藤善一郎君       松岡 俊三君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君  出席政府委員         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      幸田 午六君         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     前島 敏夫君         通商産業事務官         (鉱山局鉱政課         長)      村田  繁君         建設事務官         (河川局水政課         長)      美馬 郁夫君         衆議院法制局参         事         (第三部長)  川口 頼好君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         通商産業委員会         専門員     越田 清七君         農林委員会専門         員       難波 理平君     ————————————— 本日の会議に付した事件  砂利採取法案大西禎夫君外十四名提出、衆法  第三九号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより通商産業委員会農林委員会連合審査会を開会いたします。  砂利採取法案を議題といたします。本日は農林委員質疑を主とし、審査を行つて参りたいと存じます。質疑の通告がありますのでこれを許します。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 砂利採取法案につきまして二、三ただしておきたいと思います。  採取業者にある程度事業の安定を与えなくちやならぬということについては、私あえて反対するものではございません。むしろ零細な業者については安定の措置を講ずることが必要であると考えておりますが、その前提といたしまして二、三お伺いしておきたいことは、この砂利採取業について、全文の構成から考えますと、石炭鉱業における鉱区権設定のような権利を、採取業者に与えようとする趣旨多分に盛られておるのであります。河川の中にある砂利等採取する事業鉱業権類似採取権設定することについて、私はこの点をいま少し根本的に明確にしておきたいと考えるのであります。提案者並びに通産当局はこの採取権ということについてどのようにお考えになつておるか。まず基本的な考え方を承りたいと思います。
  4. 始関伊平

    始関委員 河川の中から砂利採取いたします場合には、河川法規定に基く府県知事許可がいるわけでございまして、この点は本法成立によりましても、従前と何らの変更を受けないわけでございます。ただいま御指摘の点は、河川法の中にございます私有地についての問題だろうと存じますが、河川法の中にございまする私有地につきましては、河川管理者としての都道府県知事砂利採取許可がいりますほかにその土地所在者との間に砂利採取についての契約関係が必要だということになるのであります。この契約関係をいたします場合には、その権利を安定させるという点から申しまして、それを登記いたしますと、第三者対抗できる権利ができる。こういう関係になる次第でございまして、ただいま御質問の点は、河川法の中の私有地についての問題でございますが、ただいま申し上げましたような次第でございまして、これは所有者話合いをいたしました場合に、ただの債権契約で参りますと、その土地が売り払われるといつたような場合に、買い受けました新しい所有者には対抗できないのでございますが、これを登録いたしておきますと、その新所有者にも対抗ができるといつたような性質を持つておるのでございまして、その権利性質は、採石法による採石権性質とまつたく同様でございまして、要するに、契約に基く私権でございますが、登録することによつて第三者対抗ができる、こういつたような関係に相なります。従いまして、鉱業法によりまする鉱業権は、通産省許可がございますと、所有軒の意思のいかんにかかわらず、鉱物を採取し得る、鉱業権設定できるわけでございまして、権利の本質はまつたく違う、鉱業権とここにいわゆる採石権とはまつたく違う。こういうふうに了解いたしておるわけでございます。
  5. 井手以誠

    井手委員 重ねてお尋ねいたしますが、公共用河川のいわば副産物とも言うべき土砂の採取、それを府県知事許可を受けたもののうちの相当規模のものが登録をする。しかもその事業に要する土地登録させる、収用法によつて土地を取得して第三者対抗させる。そういつた権利を与えることによつて、そこに砂利採取権というものが生じて参るのであります。もちろん提案者の御説明のように、鉱業権と同じ性質のものではございませんけれども、似たようなものが、ただいま申しましたように、公共用河川の中に生ずる。そういうことがはたして妥当かどうか。この事業経営者のことについては別に意見がございますけれども、そういつた鉱業権類似権利を与えることが、はたして適当であるかどうかということについて私は御質問を申し上げておる次第であります。この点については、ひとつ当局からも承り、できれば法制局見解も承つておきたいと考えるわけであります。
  6. 始関伊平

    始関委員 河川の中の私有地につきましては、ただいま井手さんの御指摘のように、一種の物権的な効果を持つ権利設定ができるということになつていることはその通りでございます。そこでこれが妥当であるかどうかという点でございますが、この河川の中の私有地につきましては、先ほど申し上げましたように、河川管理者である府県知事許可がいると同時に、一方においては土地所有者との話合いが必要だ、こういう二つの条件を要するわけでございまして、その場合に、登録をして物権的な効果を持つ一種権利設定を認めることが妥当であるかどうかという点でございます。これはたいへんごもつともな点でございまして、そういう権利ができますことは、河川管理上から申しましても、一つの問題であるというふうに私ども考える次第でございます。なお河川工事等に伴いまして、将来その権利を補償しなければならないというふうな問題の起ることも考えられるわけでございます。そこでそういう物権的な効果を持ちました私権設定河川管理支障があつては困るというような見地に基きまして、この法案の第十二条の規定を設けた次第でございまして、そういう場合におきましては、採石権設定区域存続期間につきまして、河川管理者でありまする府県知事の特別の承認を要することにいたした次第でございます。
  7. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま提案者説明したように私も考えております。
  8. 井手以誠

    井手委員 重ねてお尋ねいたしますが、そういたしますと、まず知事から採取権利を受ける、その上で通産局長に届出をするし、また土地収用を行う、そういうことになりますると、先刻来申しますように、そこに一定期間権利ができる。他の者がそれに対して事業をやりたくてもやれなくなる。こういうことになりますと、勢い砂利採取業というものか独占化して行く結果になることは必然だろうと思う。非常に重要なところにまず権利設定しておく、また広範囲設定しておく、また一旦設定したものは、かりに許可方針がどんなふうになつておるか知りませんけれども、一旦そういう権利を受けたものは、簡単に更新するということは実際問題としてできなくなる。まず最初に権利を得た者は相当期間その地区の採石事業砂利採取業独占する結果になりはしないかと思いますが、その点についての提案者の御見解を承りたい。
  9. 始関伊平

    始関委員 砂利採取形態といたしましては、砂利採取船を持つておりまする比較的大業者と、それから手掘り業者と、その中間に簡易な採取機を持つ中業者とも言うべきものと、いろいろの範疇があると思います。そのそれぞれに対しまして、できるだけ安定した基礎砂利採取をやらせたいというのがこの法案のねらうところでございまして、たとえば河川の上流に参りますれば、手掘りの小業者許可するに適当な場所が多い、下流の方に参りますれば、河川面積相当あるわけでございますので、大中小の業者がそれぞれ入りまじつた形許可を受けるということができると思うのでございまして、ただいま河川の中で経済的に砂利採取をなし得る土地につきましては相当に大きいものがまだ残つておるような状況でございますので、権利を安定化すということによりまして、独占化が起つて、その結果新規の業者なり他の業者が入り込んで行く場所がなくなるというふうな心配はそれほどあるまいというように考えておる次第でございます。
  10. 井手以誠

    井手委員 その点がきわめて重要であります。先刻来申しますように、広範囲にまず地域の許可を与えるということになりますと、いかに後日経営したいと思う人が希望いたしましても、すでに権利設定されておりますので、それかできない。もちろん土地についてはまだほかに利用できる土地もあるかもしれませんけれども採取する場所というものは一旦許可されておればほかの者がこれに割込むことはできないわけです。広い範囲で初め設定するということ、その点について何か限度と申しますか、制約と申しますか、範囲をきめておかなくては、少し希望か多い人がまず川じりの広範囲のものを許可を受けておる、こういうことになれば確かにこれは独占事業化して行くということになると思うのです。この点についてもう一度提案者のお気持お尋ねしたいと思います。
  11. 始関伊平

    始関委員 独占という意味に、川のある場所独占するという意味砂利市場独占するという意味といろいろあると思いますが、ただいま御承知のように砂利採取業者の数は、全国で五千程度ございますので、市場独占というようなことにはなかなかなりにくいと思うのでありまして、その点につきましては心配はなかろうというふうに一応考える次第でございます。それからある場所独占という問題でございますが、これはこの法律の第十一条によりまして、今後は—従前も同様でありますが、河川管理支障がなければできるだけ採取面積なり期間なりを長くして、安定した基礎の上に経営ができるようにしてもらいたい、こういうことでございますが、これにつきまして、ただいま御指摘のように非常に広い範囲を、しかも非常に長い期間にわたつて独占さすということでございますと、そういつたような弊害が起るおそれが多分にあると思います。そこで問題は、具体的にどの程度期間を認め、またどの程度面積を認めるかという問題になるわけであると思いますが、この点につきましては、河川の事情などがみなそれぞれ違いますし、また時期によつても川の流れ等によりまして砂利状況が違つて参りますので、必ずしも一概には申せないのでございますけれども、ある程度の、つまりただいま御指摘になりましたような点についての扱い方方針というようなものを、建設通産両省が相談いたしまして、べらぼうに長い期間、またべらぼうに広い区域独占さすということがないように、妥当な範囲でやるようにして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 井手以誠

    井手委員 ただいまの御答弁提案者趣旨は了解できますけれども、一旦これが法律になりまして、運営を地方庁にまかせられるということになりますれば、往々にして立法趣旨とは反して、一部大企業者の思うようになることが多いのであります。そこで私は特に念を押してお尋ねしたわけでありまして、でき得ればその辺のことについていま少し具体的な規定と申しますか、そういうことが加えてあつてほしかつたという気がいたすのであります。なおこの点については続いてお尋ねをいたしたいと思います。次に問題になりますのは、土地使用でございまして、砂利採取業者は、第十三号に掲げておりますように、他の土地をもつてかえることが困難な場合にはその土地収用することができるという強制規定があるのであります。ここでは特に法制局に承りたいと思います。公益事業でなくて、こういう営利事業に対して強制的に土地収用ということが簡単にできるかどうか。ほかの法規との関連もありますので、その点を特に通産省なり法制局方面見解を承つておきたいと思うのであります。もちろん業者にとつてはそういう道が開けておることが好ましいには間違いないのでありますけれども、また一般の迷惑ということも考えねばなりません。もつとも土地については相当公共的な例外規定はあるようでありますけれども土地収用する採石法の第三十七条でございますが、それを準用する、収用するという規定の可否については、やはり論議の余地があろうかと思うのであります。この点の見解提案者並びに当局から承りたいと思います。
  13. 始関伊平

    始関委員 この十三条に規定いたしました土地使用という問題が、この法案の中で最も議論の多い点でございまして、また各省との折衝あるいは各党の中の政策審議の場合におきまして、一番やかましい問題でありましたことは事実でございます。砂利採取は確かに、私企業がやつておるに違いありませんが、その用途から見まして、これは一切の公共企業基礎でございまして、砂利というものはかなり公共性を持つたものであるということが、一方に言えると思うのでございます。もちろんこの規定によりまして、使用を認めらるべき土地の中には農地等も入るのでございまして、そういつたような場合におきまして、国家的な大局的な判断からいたしまして砂利通路のために認める方がよろしいか、あるいは農地として使う方に重点を置くべきか、これは個々の場合において非常に慎重な考慮を要することはもちろんでございます。私ども円満なる常識に基く話合いによりましてそういつた問題は解決すべきでありまして、こういう規定をあまり振りまわすことが適当でないということは十分承知をいたしておるのでございます。ただよく実例にございますように、たとえば十人の土地所有者がございまして、そのうちの八人までは話合いによる土地使用に賛成した。しかしあとの二人がどうしても賛成してくれないがために、通路を設けることができませんので、その結果砂利採取それ自体がだめになり、できなくなるというような事例なども方々にあるのでございまして、そういつたような場合におきまして、ここには土地使用を認めるというふうに簡単に書いてございますが、法律の定める適正なかつ慎重な手続によりまして、土地使用権を与えることが妥当な場合があるであろう、かように考えるのでございます。なお立法例につきましては、政府側からも答弁があると存じますが、これに一番近いものとしては、鉱業法は多少違いがございますが、一番近いものとして採石法にまつたく同じ規定があるのでございます。ほかにもいろいろあろうかと思いますが、一番近い関係を持つたものとして採石法にまつたく同様な規定があるということを申し上げたいと存じます。
  14. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 提案者の御説明で大体尽きておると思いますが、こういつた砂利採取法を実際運用する場合におきまして、建築資材の今後の趨勢と申しますか、治山治水あるいは国土開発あるいはわれわれの生活に対します建築方面資材の充実と申しますか、そういう目標を考えまして、これが資材の合理的な供給を確保すると申しますか、そういう経済的見地に立ちまして、従来の砂利採収の実情から見て、この際法的に何らか適当なる措置を必要とする面がないかどうか、こういう見地から考えますと、一つには砂利分布条件と申しますか、採取条件が御承知のごとく順次悪条件のもとにさらされるという傾向を相当現わして参りまして、砂利経済的価格もどちらかと申せば高くなる方向をたどつておりますし、一方需要関係においては、これが安定した供給を確保するという面も特に強くなつております関係もございまして、砂利採取に対する量的あるいは経済的な条件を今後十分考慮した施策を必要とするということが考えられましたので、私たちとしましても砂利採取事業の安定と申しますか、合理化をいたす前提条件として、面積なりあるいは期間なり、それぞれ河川条件によりまして異なると思いますが、その間に一つの合理的な形態をつくり上げて、これに責任を持たせますと同時に、砂利供給についての安定感を得させて参りたい、こういうところが本法考えます重要点かと思うのであります。土地収用の問題につきましても、この見地からせつかくある規模の、ある状態の砂利採取を可能にいたし、それが経済的に供給の面に有効に働くという場合に、たとえばこれが運搬等に関します土地の利用が非常に不安定であるというような場合には、これを土地収用法というような法的な裏づけによつて安定させて参るということが必要な場合が考えられますので、採石法に準じてこれが土地収用を認めたのであります。採石法も、もちろん採石経済的目的砂利と同様な目的使用されますものでございますので、法的な均衡からいたしますれば、直接この採石法に準拠してこの規定を設けたという気持であります。
  15. 井手以誠

    井手委員 商品の消費と申しますか、結果から申しますと、その商品を取扱う業態は、考えようによりますとほとんどが公共性を持つのであります。そういうことを考えますと、業者経営の安定ということをあまり多く考えたために、一般の自由が拘束されるということについてはよほど研究しなければならぬと思うのであります。そこで法制局お尋ねいたしますが、もちろん業者経営の安定をはかるには、そういつた措置を講ずることが必要であろうかとは考えますけれども土地を強制収用するという規定をもうけることについてはよほど慎重を要するのであります。こういう営利事業に対して土地を強制収用することができるという規定が、ただいまほかにも採石法にあるということをおつしやいました。ここではなるほど目的に「公共の福祉」とありますし、今度もそういうようなことが書いてはありますけれども、これらの目的は薬の広告にも似たようなものでありまして、この事業に対して土地収用規定を設けるということについては私は簡単に賛成しかねるのであります。そこで法制局に、こういう営利事業経営の安定のために土地収用ができるという規定民主憲法のもとにおいて穏当であるかどうかということについて、見解を承りたい。なお私は本日これに直接関係がある建設省並びに内閣法制局出席を願いたかつたのですが、まだお見えにならぬようで、非常に残念でございます。
  16. 大西禎夫

    大西委員長 建設省から、河川局長が出張しておりますので、そのかわりに水政課長美馬君が来ておりますから、いつでも御答弁させます。
  17. 川口頼好

    川口法制局参事 お答えいたします。ただいまの御質問憲法の二十九条第三項の解釈上重要な点だと思うのでございますけれども、結局公共のためということの認定国会が最終的になさるわけでありますが、認定価値判断の問題でございまして、私どもとしてはそこにはつきりした筋々引いて、ここまではいいけれども、ここからあとはいけないというふうな形式的の基準を設けることは非常に困難な限界のある問題でございまして、その点を割切れれば、価値判断がそうなされればこういうことも可能だ、こういうことを申し上げるしか目下のところないのじやないかと思います。
  18. 井手以誠

    井手委員 すでに議員から提出された法律案について、法制局から割切つた説明ができにくいことは私はわかります。私はこの点についてはよほど研究すべきことじやないかと考えます。そこで建設省にお伺いいたしますが、この法律案建設省に非常に重要な関係がある。今までは主として、あるいは全部かもしれませんが、建設省関係許可が行われ、管理されたというふうに私は承つておりますが、この法律案について建設省は、先刻通産当局答弁によりますと、完全な了解があつたとは承つておりますが、連絡があつたか、またこの法律案についてどういう見解を持つておられるのか、実際運用されるものは私は建設省関係であろうかと考えております。通産省業者保護の立場から経営の安定をはかるという意味法案成立に期待を持つておられるようでありますが、運用は一に建設省にあるようであります。この建設省許可期間とか区域とかいうようなものは非常に重要な関係を及ぼしますので、この辺に関する見解もあわせて承つておきたいと思います。
  19. 美馬郁夫

    美馬説明員 私河川局水政課長でございますが、この法案につきましては、これは本国会初めての問題ではございませんで、すでに従来からも通産省の方から事務的に御連絡がございまして、私どもと具体的な問題についていろいろ折衝をいたしておりました。現在提案になつている程度の案であれば、私ども河川局といたしましては大体さしつかえがないのじやないかというふうな考え方を持つております。ここで私どもと非常に関係ある問題は、ただいま御指摘にもありましたように、第十一条の砂利採取許可基準の問題、あるいは第十二条の承認の問題その他いろいろございますが、こういう点につきましては、関係方面と私ども折衝して意見を取入れていただきまして、大体この程度のことであればさしつかえないのじやないかというふうに考えております。もちろんこの十一条の問題は、実質的には河川管理者砂利採取許可を与える基準の問題でございまして、むしろ河川法上の問題に実質的には関係があると思います。こういう意味から、私どもこの点につきましては、すでに通産省と前々からこの趣旨には実質的には賛成でありまして、昭和二十七年には河川局長通産省から共同通牒も出しておりまて、実質的にはこういう点については別に異論はございません。大体以上でございます。
  20. 井手以誠

    井手委員 はなはだかつてですが、いま少し実はお尋ねしたいのですが、ちようど会議記名投票がある模様ですから、あとでまた質問さしていただきます。
  21. 大西禎夫

  22. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいま井手委員質疑にもございましたが、第四章土地使用の問題について、なるほどただいま提案者の御説明にもありました通り砂利重要性は近年特にはつきりして参つてはおりますけれども、「公共利益となる事業に必要な土地等収用又は使用に関し、」という土地収用法の場合に考えておりますほどの重要性があるかないかという問題については、相当議論があろうと思うのでございます。そこでこの程度のものに、第十三条でございますか、この収用法と同じような効力を持つところの条項をきめるということは行き過ぎではないかと思うのです。法制局の先ほどの御意見等もございましたけれども、これは通産省として、これで憲法第二十九条の精神に反していないと考えられるところの根拠を、ひとつもう少し明らかにしていただきたい。
  23. 始関伊平

    始関委員 通産省からお答えを申し上げますが、私からちよつと……。どうもこの条項が大体問題になりますのは、ごもつともな点が多いと思うのでございまして、土地収用法にいう公共利益とか何とかいういろいろな条件を備えておるかというお尋ねでございますが、河川から砂利採取いたします場合に、二色ございまして、河川管理の観点から言えば砂利をとつてもとらぬでもいいのだ、しかし砂利採取がいろいろ必要であるので、採取を認めるといういわば消極的な場合と、それから河川管理の方から申しまして、その地域の砂利はむしろとらした方がいいのだというように、積極的に砂利採取が望ましい場合と、いろいろあると思うのでございます。詳細の点はこれは建設省の方から御説明を願えばよくおわかりかと思うのでございますが、ただいま水政課長が援用されました建設省の通牒の中にきも、私が申しましたように、河川管理の立場からむしろ取らした方がいいのだという場合があるということがはつきりと出ておるような次第でありまして、そのような場合を考えてみますと。公共的な観点から砂利採取について、必要最小限度の場合において、土地使用権を認めることか望ましいということが非常にはつきりいたすと思うのでありまして、通産省のお答えの前に、提案者といたしまして、それだけつけ加えましてお答えいたします。
  24. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 根本を申しますと、砂利が現在の治山治水、あるいは国土開発、あるいはわれわれの生活の問題の解決という見地で、建築資材としての砂利重要性ということがどの程度あるかというような問題になるのじやなかろうかと思います。砂利採取条件から申しますと、最近特にこの砂利採取条件が悪化しつつある、そういう状態がどちらかと申せば経済的にもまた技術的にも不利な状況になつておる、一方また砂利採取を合理的にいたすためには、やはりそこに合理的と申しますか、経済的の意味におきましても、一つ規模、状態というものを必要といたすのではなかろうかと思います。砂利の価格等から見ましても、昨今非常にデフレ政策でむしろ下り傾向にあるにかかわらず、砂利についてはむしろ高めになるのではないかと言われておるのであります。これらの状況と、それからもちろん砂利河川にあります砂利が大部分でございますが、河川管理砂利採取を自由に放任しておきます場合には、どちらかというと条件のよいところばかり掘る、掘ること自体がかえつてまた河川管理上不利益な結果にもなり、同時に一方また掘つてもらつた方が河川管理上望ましいという場合は、経済的にどちらかと申せば、そういうことは避けたいという状況にもなりつつある、こういつた新しい事態に対処いたしますには、やはり砂利採取業というものを、一つの国家の管理と言いますと非常に強く響きますが、やはりそれはもう少し従来のような状態で放任いたしませずに、責任ある掘らせ方、また掘る人は責任のある人であるということが望ましいのじやなかろうか、こういうぐあいに総合的に勘案いたしまして、ほかの条項にもございますような、砂利採取に対する義務を負わせる、また一方そうかといつて許可条件等については、合理的な経営をなさしむるような方向に持つて参る、同時に先ほど申しましたように、適当なる採取をせしむるのに、むしろ砂利採取業者の協力を得なければならぬ、河川管理上は取らせなければならぬ、取る方がよいという場合にも、経済的な意味においてなかなかそこまで参らぬという場合もあります。こういつたような砂利採取の、どちらかと申しますと条件のかわつて来た事態に合せて、砂利採取の行き方を少し合理的に基礎づける意味で、採石法に認められた程度土地収用権を認める必要がある、こういうぐあいに実質的に考えて、本立法というものが今後の砂利問題に対する解決の基礎となるのではないか、こういうぐあいにわれわれ考えておるわけであります。
  25. 吉川久衛

    吉川(久)委員 提案者のお答えを伺つておりますと、河川管理の建前から採取することが適当でないところもあるけれども、それを採取することがきわめて必要な箇所がある、そういうところを採取することに公益的な性格を認めたいというように聞きとれましたが、また通産省の方の中村局長の御意見では、これは経済的な効果、この砂利そのものの重要性から砂利採取業土地収用法でいうところの公共利益となる事業、こういうような方面にウエートを置いてのお考え方のようにとれましたが、そうであつてさしつかえないでございましようか。
  26. 始関伊平

    始関委員 こういう土地使用に関する条項を含めたこの法案を提出いたすにつきましては、第一に砂利というものが、用途から見まして相当公共的な性質を持つておるという点、それから第二にただいま中村局長も言われましたように、だんだん条件が悪くなりますようなところも取らなければならないような状況でございますので、砂利の価格の低廉化をはかるため、たとえば通路を短縮するという点からいたしまして、砂利採取業の全般について、要すれば第十三条のような規定を発動し得る余地を残しておくことが望ましいのだということ、さらに第三点といたしまして、特に全体の理由としては、ただいま申し上げた通りでございますが、特に河川管理の観点から、多少条件が有利でも砂利を取らない方が望ましいというような場所もございますので、そういつたような場所については特別にそういう意味での公共的な必要性というものは大きい。こういうふうに三段にわけてお答え申し上げたような次第でございまして、私は最後の一つを強調し、中村君が最初の二つを申し上げた次第でございまして、当局側と私ども考えと大体一致しておると御承知願いたいと思います。
  27. 吉川久衛

    吉川(久)委員 近年だんだんと砂利が大都市の近郊からその量が減つて来ることは事実でございます。そうしてすべての物価が安くなるに反比例して、砂利が上つて来るということもよくうなずけますが、そういたしますと、最近電源の開発というようなことが盛んに行われて参ります関係上、ダムが設置されますと、途中で砂利がそこで停滞をして下流に流れて来なくなる。大都市は大体その海岸近く、河川の下流に位しております。そのためにその近郊の河川砂利がだんだんなくなつて来るということは、採取するから減るというのではなくて、ダムの建設等によつての減り方が多いのだというふうに私は見ております。そうして参りますと、農業用の灌漑水の取入口等に非常な異変を生じて参ります。そういつたような場合に、受けたところの損害に対してどういうような措置をとられるように考えておりますか。  それからまたこれが許可するところの条件になるわけでございましようが、河川管理支障があるというような問題等についてはどのような具体的な基準によつてこれが河川管理支障があるかということを判定をするのが、その辺をひとつ明らかにしていただきたい。それからもう一つ林野庁がおいででございますから、ついでにお尋ねをいたしますが、ダムができるできないにかかわらず、上流の河川の箇所から砂利採取した場合に、それがその沿岸の林野に影響を及ぼして、保安林等にそういう地域を編入をして、そうしてこれに対して治山治水の観点から、何らか措置を講じなければならないというような問題等も出て参ると思いますが、しかしそれは言うべくして、そういう措置は実施は非常に困難でございます。こういう問題等も出て来る場合に、一体林野庁としてはどのような対策をお考えになつておりますか。それらのこともこの案文のできます前にあらかじめ御相談かあつたことと思いますので、具体的な対策等をお持ちであろうと思いますから、それもちよつとお答えを願いたいと思います。
  28. 始関伊平

    始関委員 最初のお尋ねの、農業用水の取入れを阻害するおそれなきや、またその場合の損害をどうするかというお尋ねでございますが、この点につきましては、第十一条の河川管理支障があるという場合の最も代表的な例といたしまして、取入れを不可能にするようなことは慎むべきでございまして、河川管理支障があるということの最も顕著な例がただいま御指摘のございましたような点であるというふうにお答えを申し上げたいと思います。  それから管理上の支障があると申しますのは、堤防あるいは橋脚の近所を掘らないとか、あるいは川の流れの中にあまり深いところをつくりまして、それによつて洪水の場合に堤防その他に非常な悪影響を及ぼすようにしてはいかぬとか、いろいろ事例があると思います。なお事業なり、ただいま申し上げましたような農業用水の問題、つまり利水の点も「管理支障がある」云々ということで考慮すべき問題であるというふうに考えておる次第であります。要するにこれは府県知事河川法によつて許可をいたしました場合に、その附帯条件として具体的にいろいろ条件がつく、このように考えておる次第でございます。
  29. 幸田午六

    ○幸田説明員 今のお話の河川の上流で砂利採取した結果、下流にいろいろの支障を与える場合の措置につきましては、今の十一条に「河川等の管理支障がある場合を除き」ということで許可基準がきめられておりますので、許可する場合に個々の支障の有無をよく考えて、それによつて措置をするということになろうかと思います。  それから第九条に公益の保護という規定がございまして、河川等以外の土地区域について砂利採取のためにいろいろと障害が生ずることがありますれば、その防止のために必要な措置を講ずることを命ずることができるというような規定がありますので、これらの運用によつてお話の問題も解決して行くのじやなかろうか、こういうふうに考えるのであります。
  30. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいまの林野庁のお答えによりますと、十一条の許可基準の場合、第九条の公益の保護によつて処置がとられるということでございますが、第十一条の方は、提案者から、これは地方長官がこの基準を定め、地方長官がこれを具体的に管理上適当であるかないかの基準をきめるのだ、こういうことでございますが、これは具体的にははたして地方長官がどのようにやるのか。こういう規定はきわめて抽象的な規定でございまして、実際問題としては往々にしてこの法の期待することが裏切られるような場合が非常に多いので、もつと具体的にここで明らかにしておいていただきたい。第九条の場合は、通商産業局長がその防止のために必要な措置を講ずべきことを命令するんだとありますが、林野等の、決壊によつて下流に災害を及ぼすというような問題等については、通産局長ではわからない。ここの建前はあくまでも砂利そのものの経済効果砂利採取業者の立場に立つてのものの考え方ですから、通産局長さんがこれに対して御命令をなさつたり、いろいろ措置をおとりになるでございましようけれども治山治水の問題、災害防止の見地からこの公益の保護ということを考える場合には、これは林野庁の長官とか、あるいは建設省河川局長がこの公益の保護のための措置を講ずることを命ずることができる、こうしなければ、この点は私たちははなはだ納得ができないのでございますが、その点もう一度承りたい。
  31. 始関伊平

    始関委員 ただいまの吉川さんの御発言はごもつともでございまして、河川の場合におきましては、河川法規定に基きまして府県知事が具体的な許可をいたしまして、その際に条件としていろいろ河川の保全のための条件をつける、このようなことになるわけでございます。その場合に具体的にどうかという問題でございますが、この点につきましてはすでに建設省から府県知事にあてて出されました注意書のようなものがございまして、多少の準備もあるようでございますから、建設省水政課長からお答え申し上げることが適当であろうと思うのでございます。それから山林の場合でございますが、ここに河川法その他の法令というものの中には、砂防法などが入つておりますので、従いましてその場合の主務官庁は砂防法等の主務官庁と同じになるというように考えるわけでございます。要するに河川法その他特別の法令による監督がありませんで、現在まつたく野放しになつておる分野がございますが、そういう分野における公益の保護の問題につきましては、通産局長の所管となつておる次第でございまして、河川法その他の法令というのは、ただいま申し上げたような砂防法その他国有財産法に基く海浜、海岸の問題もありますが、そういういろいろなものがあることを御承知おき願いたいと思います。
  32. 幸田午六

    ○幸田説明員 今の九条は、たとえば保安林その他がありますが、森林法の規定に基いて具体的にその箇所をきめ、砂利採取する場合には、その規定によつて知事なりの許可を受けてやることになつております。
  33. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいま林野庁では森林法のことをおつしやつたのでありますが、ついでに伺つておきます。第十三条第一号の「鉄道、軌道、索道、道路その他砂利の運搬用施設の開設」というのは、森林法の規定をこれに適用もしくは森林法の規定と同じような規定でもつて行かれるように思いますが、これについての所見を伺つておきたい。
  34. 始関伊平

    始関委員 森林法を見ますと、材木等を運搬する林道等について土地使用の必要がありまして、それに対しては、ここにわれわれが規定しておるものよりも、もつと簡便な方法が規定してあるようでありまして、そういうような方法でやることも同じような効果を上げ得る一つのいい方法ではなかろうかと考えております。
  35. 吉川久衛

    吉川(久)委員 それをお考えなつたことはありますか。
  36. 始関伊平

    始関委員 立案の過程におきましては、私どももそういう方法があるということを十分承知しておりましたが、採石法にならいましてこの方法を一応とりました。向うの方法では絶対にいかぬとかなんとかいう意見でこちらを選択したのではないということを申し上げておきます。
  37. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本日の連合審査会はこの程度をもつて散会いたします。     午後三時四十七分散会