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1954-10-27 第19回国会 衆議院 通商産業委員会中小企業に関する小委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十七日(水曜日)     午前十一時開議  出席小委員    小委員長 永井勝次郎君       首藤 新八君    土倉 宗明君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       中崎  敏君  小委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    加治木俊道君         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      賀屋 正雄君         中小企業庁長官 記内 角一君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君         中小企業金融公         庫理事     中野 哲夫君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         参  考  人         (日本商工会議         所中小企業委員         会副委員長)  石田謙一郎君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事)   加藤 八郎君         参  考  人         (全国地方銀行         協会会長)   龜山  甚君         参  考  人         (全国銀行従業         員組合連合会渉         外部長)    海老原安正君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十月二十七日  小委員加藤清二君同日小委員辞任につき、その  補欠として齋木重一君が委員長の指名で小委員  に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  中小企業の年末金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 永井勝次郎

    永井委員長 これより会議を開きます。  本日は年末金融に関する件について調査を進めます。まず本件について参考人各位より御意見を聴取いたしたいと存じます。参考人各位には、御多忙中にもかかわらず、特に本小委員会に御出席くだされ、まことにありがとうございました。何とぞ隔意ない御意見を御発表くださるようお願い申し上げておきます。なお念のため申し上げておきますが、御意見御発表の時間は御一名約十五分とし、また御発言の際は、その都度小委員長の許可を受けられることとなつておりますので、御了承願つておきます。それでは名簿順に従い、まず石田謙一郎君よりお願いいたします。石田謙一郎君。
  3. 石田謙一郎

    石田参考人 私石田でございます。昨年も同様に一応年末金融について申し上げましたが、本年も昨年と同様のことを申し上げねばならぬというふうな状態であります。最近の中小企業関係では、大体失業者その他の表面上のものは、この期におきましてはあまりきわだつて著しい例はないのでありまするが、ただその失業人員その他特に東京地方においては、最近は約九千人前後毎月離職しておる。そして実際の今日までの東京における失業保険対象になりました人員は、約五万一千五百人ばかりでございまするが、毎月毎月約八、九千人ずつ離職をいたしておるような実情であります。そして、しかもこの離職をいたしておる状況も、特に著しく現われて来ましたのは、今年の上半期において、昨年まで日の当る場所であつたところの自動車産業が今日になりましてから著しく悪くなつて来ており、そしてこれらの下請産業が、特に今日においてはその影響を受けましてまずくなつていて、これらに極端に現われておる姿であります。なお当然これらに伴いまして、企業整備状況その他も同様に、上半期よりも下半期の方が非常にふえておりまして、大体毎月東京都における企業整備は、上半期の一箇月平均百店くらいのものが、下半期におきましては約倍になつておるというふうなのが現状でございます。そしてこれらが納税その他の状況で著しく現われておりますることは、法人税あるいは源泉所得税、これらは昨年よりも本年の方が大体において成績はいいのであります。法人税のごときは、この七月まででも、昨年から見ますると非常にふえております。源泉所得税も同様に、こういうふうな社会実情であるにもかかわらず、賃金関係のベース・アツプその他から、むしろふえておるような実情であります。これらは私どもが考えましてもどうかと思うのであります。ところが申告所得税に至りましては、逆に減つておる。本年七月までの状況を総合いたしますると、昨年と比べました場合に、法人税は昨年よりも相当ふえておる。源泉所得税も同様な率でふえておりまするが、申告所得税のみが著しく減つておる。これらがまず今日までのわれわれが特に皆さんの方にお話申し上るげ基礎になるわけであります。手形交換所不渡り、あるいはその他の状況はこれはほとんどかわりはございませんが、相かわらず減少傾向を示しておらないのでありまして、ほとんど同様の状況、すなわち毎月不渡り手形その他も大体四万三千枚程度というものを、特に七月の上期に至つては七万二千枚の不渡り手形の発生があるというふうに著しい変化をいたしておりまして、この面からも決していい傾向を示しておらぬのが実情でございます。しかもその上に、お話申し上げました通り自動車工業その他の産業が悪い。それらと同時に大企業においても確かに成績一般に落ちておる傾向が見受けられる。そのために銀行貸出しは当然大企業集中傾向を示しておるというのが、これまた著しい最近の傾向でございます。これらの数字その他は、むしろ通産委員 会の皆さんの方がしつかりした数字をお持ちになつておると思いますので、私の方ではことごとくは数字を示すことを避けたいと思うのでありまするが、少くとも昨年から見ますると、中小企業に対する貸出しは減つておる。大企業の方はふえておるというのが、これが現実の姿でございます。これらはやむを得ない銀行自己防衛とでも申しまするか、これらの点から申しますると、やむを得ない姿ではあろうと思うのでありまするが、いろいろな問題がからんでおります。この中小企業の世界においては、これらが非常に大きな圧迫を示しておることは当然いなめないことであります。しかもこれらの表面に現われた数字以外に、中小企業等の受けまする被害と申しまするか、著しく圧迫を受けておりますることは、これらの大企業が常に使いまするところの処置と申しまするか、これらが常に同一なんであります。銀行の方の要求によりまして、資金の繰りまわしが苦しくなり、ただちに請負工業に対する支払い遅延になつて現われるというような姿に出て参るのであります。これらはたとえば三月、九月というふうな決算月、あるいは四月、十月の決算月のような場合において、特に著しく現われて来るのでありまして、これらの決算あとにおきましては、必ず中小企業に対する支払い下請工業に対する支払いというものは、いつも遅れておる。ただ昨年まではこの決算面におきまするところの法人税納入、あるいは配当の資金の調達のために延ばしたものが、大体半年の期間を経過いたしますると常態にかわつて来たのであります。そしてまた次の期になりますると幾らか引延しをされて、次の期までに回復するという状態であつたのでありまするが、最近はそれがそのまま次々と重なつて行くというのが、現在の下請企業に対する著しい圧迫でありまして、これらは表面上の数字としては現われないのでありまするが、中小企業者が特に著しくこうむつておる被害で、しかもこれらに対しまして、いささかたりともこれらの親企業に対しまして小言がましいことを申しますれば、ただちにその報復として支払い遅延、あるいはむしろよりひどく支払い代金を延ばすということが現われておるのであります。これらは大企業にとつては楽々と操作のできることであります。しかも中小企業と事かわりまして、大企業資金支払い状況は、御承知のように、検収書発行延引その他の操作によりまして、自由自在に、決して中小企業下請企業の方からつつ込まれるようなことはいたしていないのでありまして、表面上何ら違法の措置でないような方法によつて支払いの引延ばしをやり得る。これらが表面上に現われましたるところの大きな数字よりも、むしろ大きく下請企業中小企業に響いておる姿なんでありまして、この点、特に御注意を願いたいと思うのであります。しかも今年に入りまして、数字の上にこそ著しく現われておらないのでありますが、会社更生法濫用と申しまするか、あえて悪用とは申さないのでありまするが、濫用のきらいが現われております。少くともこれも今までのように、やむを得ずそういうふうな特殊な方法に頼るというのでなくして、むしろ金融機関の一つの処置、あるいは救済方法として、これらを利用する傾向が現われておるのであります。これらの例は新聞にもるるございますし、またその後におきましても、ごく最近には旧財閥系会社が、すでにその処置を受けておることは、皆さんの方でよく御承知と思うのであります。これらによつてこうむる被害というものは中小企業にとつて実に莫大なもので、ほとんど徳川時代における徳政にもひとしい。ただちにすべての納入代金を切捨てるという措置をとられるにひとしいような措置によつて会社更生法というものが成り立つておるのでありまして、これらは東京商工会議所といたしましても非常に心配をいたしておるケースであります。ほとんど大部分これらの被害実害をこうむりますのは下請企業であります。しかも二年ないし三年、長い場合にはそれ以上のすえ置き期間、その後におきましても非常に少額の返済を期待し、あるいはまた銀行にきおましては、その実態が非常に優秀である場合には、その片方更生法の大なぎなたを振りかざしながら、片方ではごく少い資金によつて、もし承認するならばただちに現金を友払おうというようなこのと申出があり金融上どうにもしようがない中小企業は、やむを得ずこれらを承認するという例が間々見受けられるのであります。これらは数字の上にあまり現われて参りませんので、皆さんのお目にとまるのが少いと思いますが、これらの及ぼす実害は非常に大きい。しかも法というものに対する威信を傷つけることは実におびただしいと思うのであります。これらは私ども特に中小企業問題を扱うものが注意をしなければならないことではないか。法律というものは常に大きなものの味方で、小さなものの味方でないという形は、法治国日本にとつては非常に大きな問題ではないか、かように考えるのであります。これらの数字をもとといたしますと、本年の年末の中小金融の問題にいたしましても、昨年と同様に何ら救いがたいというのが実情であります。実際上に流れております運転資金その他が、先ほどお話申し上げましたように、実際の額におきましてすでに二%以上昨年よりも減つた。しかもその二%減つておる以上に、ただいま申し上げましたように、実際上いろいろな下請代金支払い延期あるいは会社更生法等によりますところのたな上げ、その他また商業関係で申しますと、ただいま問題になつておりますデパートその他の返品あるいは支払い延期その他の被害を受けておりまして、昨年以上に非常に強く影響を受けておるのが現在の実情でございます。そして救える道は、ただわずかに府工中金るい民金融公庫中小企業金融公庫と、この三つの法的な機関と、それからあとむしろ小さな信用組合あるいは信用金庫相互銀行等庶民性を持つた金融機関に頼るより道がないのであります。しかもこれらも御承知のように、最近は政府指定預金引揚げが非常に早いために、金融方面の金繰りはますますつらくなつている。ただ幸いにして十月分の一部の引揚げが、延期されたのであります、金額にいたしまして十二億くらいのものでありますが、これらが来年にまわされたという例か最近ありまして、幾らかこれが潤つた。しかし金額にいたしましてわずかに十二億であります。あるいは最近に東京都か市中銀行協力を得て、三十六億円の年末金融措置とつた。これらがわずかにぼつぼつ来たのでありますが、しかしながらこういうふうな措置がとられる反面、指定預金引揚げをもしかりに予定通りにいたしますならば、その方が出したものよりも大きいということに相なるのではないか、かように考えられるのであります。昨年もこの点は当委員会にも申し上げ、いろいろお願い申し上げまして、昨年はほとんど全部を翌年度に持越しをしていただいた、それらによつて昨年の金融は乏しいながらもどうやら繰りまわりしができたのであります。本年も、私どもといたしましては、この今の非常に問題になります時期におきまして、新しい資金を募集するというこは、これはなかなか望みにくいということを、どうも了解せざるを得ないのであります。ただ願わくばこれらの指定預金も、昨年同様に、少くとも来年の三月までの繰延べをしていただく、これらをぜひお願いしたい。これ以外に方法もない。本日この委員会に出ましても、私もいろいろ調べてみたのでありますが、何ら資金の放出ということは望めない今日におきましては、むしろ商工中金あるいは相互銀行信用金庫等に出ております――現在六十億ばかり出ておるようでありますが、これらの資金を少くともこの年末においては引揚げをやらぬということにお願をすることが唯一の救いの種であると思う。しかもこれらの資金こそわれわれ中小企業者に与えられたところの頼みの綱である、おぼれる者がつかまざるを得ないわらであると考えざるを得ないのであります。しかもこれは政府措置によつてただちに実行できるものでありまして、決して至難なものではないのであります。これから新しい立法その他の措置によつて行われなければならぬものでないのでありまして、ただちに措置のできるものなのであります。可能性のある、しかも昨年も実行されたこの措置のみをお願いしたい、かように私ども商工会議所中小企業委員会ではお願いしたい、こう思うのであります。私に割当てられました時間も大体尽きたようでありますので、一応その点を強くお願いいたしまして、私の御説明を終えたいと思います。  ただこの際にこの委員会に、年末金融とはちよつと離れるようでありますが、ひとつ申し上げさしていただきたいことは、最近いろいろな問題から、御承知のように、中小企業に対する信用保険の問題が盛んに問題になるのでありますと。申しますのは、ごく最近までは、例年信用保険対象になりました保険金支払いは少かつたのであります。最近それがぼつぼつ起りつつありします。ところが、御承知のように、信用保険は特別の口座になつておるそうでありまして、この取立てが非常に厳重なのであります。先ほどの会社更正法においても、企業実態によりましては、すえ置き期間相当あるのでございますが、現在の信用保険取立てはそのようにすえ置き、その他の措置がございませんので、本人及び保証人にわずかでも能力ができますと、ただちに取立てをやる。しかも保険金支払いについては、銀行あるいはその代理をいたします金融機関では取立てる義務ががございますために、非常に厳重な取立てをやるという例が非常に多いのでございます。実はこの問題はやむを得ないと思うのでありますが、このために最近信用保険保証人になり手が非常に少くなつたという例があるのでございます。実際は、御承知のように信用保険では、今日まで政府あるいは地方でやつております保険では、所定のリスクを越えて損失を計上したものはありませんのですが、われわれ中小企業者といたしましては、これらをあまりに強くされるために、この信用保険対象となる保証、その他の引受け手がないということは非常に重大な問題で、これらの点は当委員会にも特に御研究を願いまして、あるいは相当のすえ置き期間を置く、あるいは企業実態を十分御調査の上に何とか救う方法をぜひお願いしたい。もともと信用保険資金と申しますものは、むしろ救済のための資金であると私ども思うのであります。それがあまりに取立てに急なために、かえつて信用保険のほんとうの精神が没却されては何にもならないのではないか、かように考える次第であります。この点はこの年末金融について、商工中金さん、あるいは中小企業金融公庫さん、国民金融公庫さんの資金を拝借いたします場合にも、同じケースが起つて来ると思うのであります。この年末金融に対しまして、これらの信用保険取立てがあまりきびしいために、運行が十分に行かないという例も当然起り得ると思いますので、特にこの点を付言してして、お願い申し上げた次第であります。
  4. 永井勝次郎

    永井委員長 次は順序をかえまして、龜山甚君
  5. 龜山甚

    龜山参考人 一応地方状況等につきまして、申し上げたいと思います。昨秋以来の金融引締めを主軸とするデフレ政策は、その後財政資金の異常な散超もございましたが、地方都市及び農村にも、その購買力は著しい影響が現われておりません。従つて物価面における影響も卸売りの段階にとどまつておりまして、小売価格は依然として下りません。持ち合つておる状態であります。地方都市におきましては、特に高額所得者購買力に衰えが見られません。勤労所得による購買力も、ほぼ横ばい傾向を続けております。農村においては、副業収入に若干の減少傾向がありましても、農村所得全体としては、その購買力が下降するけはいはうかがわれません。このため地方経済は、デフレ政策によつてはなはだしい打撃はこうむつておりません。一般的に言えば、平穏と言つてよろしいかと思われます。このような購買力横ばいという背景のもとに、中小企業石炭とか、あるいは造船関係等、極度に状況の悪化している特定部門を除きますれば、一般に四月から六月中にデフレ即応態勢を一応整備し終えたものと言い得るであろうと存じます。われわれ金融機関といたしましても、デフレ政策続行を考慮して取引先企業に対しては原料購入あるいは商品仕入れ等について指導を行うとともに、業者側においても操業短縮あるいは人員整理等による経営規模の圧縮に努めたのでありますが、反面購買力予想外に低下いたさなかつたために、企業在庫減少傾向に向つて地方中小企業は比較的平穏にデフレ即応態勢に入つたのであります。このような中小企業におけるデフレ即応態勢整備の結果は、資金需要減退として現われております。すなわち設備の増設が抑制せられました結果、設備資金需要減少いたしまして、原料購入あるいは商品仕入れの手控えは、在庫減少と相まつて運転資金需要減少せしめたのであります。  以上のような中小企業資金需要減退は、地方銀行における中小企業貸出しの減少にやはり現われております。すなわち本年三月末と八月末とを比較いたしますと、中小企業貸出しは、百億円近く減少いたしておりますが、減少傾向は六月において底をつきまして、七月及び八月と増加傾向に転じまして、第三・四半期相当増加を予想してさしつかえないものと思われております。現在のデフレ政策下においては、最も経営の悪化しておる、たとえば石炭とか造船関連企業、これが第一に属するものでありまして、第二は大企業下請企業であります。第三は従来から経営がうまく行つておりませんで、劣悪な企業、この三者にわかれておるわけでありまして、この第一の分の極端に状況が悪化しておる企業につきましては、状況回復見通しが立ちません。貸付にこげつき傾向の現われる業態も、もはや社会問題として取扱うべき域に達しておりまして、政府における適切な社会政策をまつよりほかに手の打ちようがないのではないかというように思われます。  第二の下請企業におきましては、大企業からの発注の大幅な減少と、大企業支払い遅延によつて苦況に追い込まれておるのであります。受注の減少は、デフレ曲策に即応する大企業生産規模縮小に結果するのでありまして、デフレ政策の堅持される以上は、いかんともなしがたいものであります。支払い遅延に関しましては、大企業においても相当考慮した来たように思いまするが、金融機関及び大企業協力によつて改善措置が一段と推進される必要があるかと思われます。地方銀行といたしまして、関連企業に対しましては、ひもつき融資を行つておりまして、下請支払い事情改善に努めておる次第であります。  第三の劣悪な企業デフレ政策の進展に従つて苦況に入ることはどうも必然的でありまして、われわれ地方銀行といたしましても、預金者保護観点から、デフレ政策続行要請強い現在、預金の伸びの鈍化傾向に伴う運用資金量の頭打ちにも即応して、これも劣悪な企業融資は差控えざるを得ない状態でございます。金融当事者といたしましては、預金者保護観点から、不安定、不確実なる融資は、どうしても慎しまなければならぬというような状況になつておる次第であります。  本来中小企業の問題は、単なる金融問題――新しい金融機関を設立するとか、単に資金量を豊富にして、寛大な貸付を行うとかによつて解決するものではないと思います。政府日本経済における中小企業重要性を認識するとともに、日本産業構造に占める中小企業の地位を明確にいたしまして、確固たる中小企業政策を実施されますとともに、中小企業経営の根本的な弱点の改善をはかられたいと存じます。中小企業融資対象になり得るように、中小企業者経営方法が堅実で、合理的なものとなるように、業態外部からただちに判断し得る程度に明確な経理を行うように積極的に指導することこそ、中小企業問題の解決の重要なかぎであることを再認識されたいと思うのであります。  年末状況見通しといたしましては、本年度の第三・四半期における財政資金は、比較的作柄がよいため、供米代金支払いが二十億円に達する見込みであると伝えられております。地方資金相当程度に潤い、地方銀行における一般預金も、相当の貸出し増加を示すものと予想されます。しかも前述の通り地方中小企業は、経営規模縮小をはかつたため、資金需要が急速に増加するとは考えられませんために、日本銀行の貸出し回収方針の急激な強化が行われない限り、年末金融状況はおおむね平穏裡に推移するものと思料されます。地方銀行の中にはすでに例年通り歳末特別小口融資制度の実施を計画しておる向きもあります。この制度は一口当り十万円から三十万円程度の小口貸出しを信用保証協会保証をつけて、一行当り総額一億ないし、二、三億円程度融資を行うものであります。このほかに例年地方公共団体より預託金を受けて、預託金の二、三倍程度中小企業融資を行う制度が行われておりますが、本年末は地方財政の逼迫を考慮いたしますと、きわめて期待薄であります。われわれといたしましたては、資金繰りに多分の苦心を要するものと今考えておる次第であります。  以上をもちまして、簡単でありますが、私の説明を終らしていただきたいと思います。
  6. 永井勝次郎

    永井委員長 時間の都合上、龜山参考人に対する御質疑があれば、この際御質疑を進めていただきたいと思います。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 龜山さんにちよつと伺つておきますが、二十八年度中小企業と大企業に対する金融の面というものは明らかになつておりますか。たとえば本年度に入りまして、昨月あたりまでの分率はどの程度になつておられますか。あまりこまかくはわからないでしようが、大体のところをお教え願いたいと思います。
  8. 龜山甚

    龜山参考人 ちようど八月では地方銀行の総貸出しのうち五七・七%というのがただいまの八月におきます割合でございます。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 八月だけですね。
  10. 龜山甚

    龜山参考人 そうでございます。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 中小企業の見方が、小売物価が平年から考えて横ばいである、農村に対しては副産物では幾分引下げがあるだろうが、総合したところから見ると、全般から見てやはり依然として横ばいだというお話でありますが、小売物価卸物価――卸物価はどうでありましようか、私の考え方だと小売物価が依然として横ばいであるというようにも考えられないのですが、この小売物価は依然として横ばいであるというのは何月ごろの標準でございましようか。
  12. 龜山甚

    龜山参考人 非常に広汎にわたつておるものでありますから、一々の場合に対しての数字ちよつとまとまりませんのですが、これは概括しました私どもの方の観察で申し上げておるのであります。数字的にちよつと調べてございません。私らの地方銀行としての寄り合いました際の見込みを申し上げておつた次第であります。卸しの方は確かに安くなつておりますが、小売りは安くならないのではないですか。そこまで浸透しにくいというような点を申し上げておるわけであります。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると、よつて来る原因というものは、金融全般に対して、そういうふうな欠乏感がないから小売物価が下つていないというようなお考えでございましようか。要するに小売物価が下つていないという、その原因はどこにあるかということです。
  14. 龜山甚

    龜山参考人 それはやはり購買力の方から申しますというと別にかわつておらないという……。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 というと、購買力がかわらないことが、すなわち金融そのものが不足していないから下らないのだ、こういうお考えですか。
  16. 龜山甚

    龜山参考人 金融も別にそうきゆうくつでないという意味でございます。
  17. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 これはいろいろ見方が違いますが……。
  18. 龜山甚

    龜山参考人 私どもは従来全般的におしなべて言うものですから、場所によつては非常に違うと思います。
  19. 中崎敏

    ○中崎委員 今までの説明から受けました印象は、概して金融についての見方が楽観的であるように思います。ことに年末金融についても大した心配をしておられないようです。現在までの経過等についても、概して楽観的であるように思うのです。私は島根県の出身の者でありますが、先般来まわつてみますと、相当にやはり農村全体がどことなしに窒息したような、明るい気分がない。ことに中小企業については、どこに行つてみても資金難である。売行きが非常に不振をきわめておる。従つて小売商にしても、手持ちのストツクがだんだん売払われて、いつか知らぬ間に減つてつて食いつぶしておるということになる。税金は依然として相当きつく取立てられ、しかもこの不景気にかかわらず以前のような割合でやるものですから、相当に困つておるというような事情も総合的に関係がありまして、概して私たちは憂慮すべきというところまで行かぬにしても、決して楽観すべき事態でないというふうに考えておるのでありますが、これは先ほどのお話のように、所によつてはそういうふうなところもあるというふうな言い方もありましたので、必ずしも全般おしなべてということではないと思います。私の見方はむしろそうした多少心配なような、現実にある程度不景気が相当こたえておるというのが、ことに中小企業者にとつて現実ではないかと思います。その点もう一度ちよつとお願いします。
  20. 龜山甚

    龜山参考人 ただいまのお話で、私も先ほど申し上げました中に、非常に悪い面もありますことを申し上げました。デフレの影響を強く受けて、そしてこれが悪くなる面もあることも先ほど第三番目に申し上げております。その面に関する限り非常に窮迫をしておることは事実でありますが、そういう面に対しては、なかなか金融の力だけでこれをどうすることもなし得ないということも申し上げてありますので、そういう面のありますことを私は決して否定いたしません。先ほど申し上げた通りであります。ことにまた業種によりましては、造船とかあるいは石炭とかいうような関連中小企業は、やはりこれまたいけない点もあります。ずいぶん悪い点もあります。私は地方農村より来たるところのことを主として申し上げておるわけであります。
  21. 中崎敏

    ○中崎委員 最近の状況によりますと、地方公共団体、これはつなぎ融資などについてもそうでありますが、今までは地方銀行からも相当融資を受けておりますが、最近ほとんど一律的にそうした融資がとめられてしまておる。日銀の方で一々許可を得なければならぬ。日銀がそういうことで押えておるということを銀行言つておるようでありますが、現実には、実際において地方公共団体がほとんど金が借りられない。たとえば補助金の来るはずのものが、どうも補助金が避れがちだし、インフレをとめるというような考え方もあるかもしれませんが、政府支払い遅延しておるということもあるし、それからたとえば事業を融資によつてやるという計画だけは認められておるが、現実になかなか支払い措置が実際されない。あるいはつなぎ融資ども一時的なものについてもされないために、ほとんど地方的な事業が、手も足も出ないという実情にあるのであります。この点についても政府、日銀から地方銀行に対する一つの指示といいますか、方針の伝達といいますか、そういうもの、並びに銀行自体として実際にとつておられる考え方等について御説明願いたいと思います。
  22. 龜山甚

    龜山参考人 ただいまお尋ねの地方公共団体にに対する貸出しの点でございますが、地方銀行といたしましては、地方公共団体に対する貸出しが非常にふえて来ております。実はこれに対して非常に資金がその方に流れておりますことは、二十八年の八月末の一・五%に対して、二十九年の八月末は四・一%と、約倍額に増加しておるのでありまして、地方公共団体には、地方銀行としては相当出し過ぎるほど出しておりますが、なおそのほかにも地方公共団体としては、お話のように要望は非常に強いのでありますが、今はデフレの緊縮時期でもあります。またその方に非常にたくさん出して行くことは、中小企業の方の金もさかれることにもなりますので、かたがた非常に厳選しておることは事実であります。しかしながら今お話申し上げましたように、この方に倍までも出しておるような現状でありますから、ひとつ了承願いたいと思います。
  23. 中崎敏

    ○中崎委員 こうした金は、地方自治庁なとでは地方自治体が承認をとつている一つの年度予算の計算のわく内のものであると考えておるのであります。そうすると、こういう事態が続けば、勢い年度内は銀行融資を受けられないで、仕事がやれないままで終つてしまうものが相当あり得るように考えるのであります。言いかえますと、政府の方で、地方自治体に対して、これだけの調達をやらすということで一つの承認をし、また地方自治体もその計画を進めておつた。現実には銀行そのものが融資を押えるために、政府から承認をとつた仕事ができないという結果になるおそれもあるのでありますが、その点の見通しについてどうお考えですか。
  24. 龜山甚

    龜山参考人 これは一体、政府の方で締めておる財政を、地方の方でゆるやかにすることが、デフレ政策を完全に行えないのだという見方が非常にあります。われわれとしましては、一定の限度がありますので、地方公共団体の方に出すことは、非常にきゆうくつなことに追い込まれておりますので、これは出し得る範囲にとどめてほしいということを考えておりまして、全般といたしましても、出すことを、非常におつくうに考えております。ということは、資金のわくがこの方にまわす分が、そう預金がふえておりませんので、これにまわしにくいというのが現状であります。それがために今お話のような地方のいろいろな事業に支障を来しておるといようなことがあるのかもしれませんが、この点は、あるいはそういう点も幾らかあるのかもしれませんが、われわれの地方銀行といたしましては、とうもこの点十分に地方の公共団体の要望に応じかねておるというのが実情であります。
  25. 中崎敏

    ○中崎委員 まだたくさん質問がありますが、この程度にしておきます。
  26. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 二十八年度の統計から見て、中小企業に対する金融というものが、五八・七%ということになりますと、昨年よりも大きく削減されていることになると思うのです。昨年の平均からいつても、下まわるのですが、この原因は、政府の意図というものが、やはり大企業を中心に金融をしなければならないというような御意図から出ているのであるか。それは強要されているのかということに疑問を抱くわけなのです。ですけれども銀行の方がどういうお考え方で――、中小企業というものが、いよいよこういう不振の状態になつて参りますると、必然的に中小企業に対するところの金融というものは、銀行が避けなければならないから、銀行の自発的な結果として、こういうことになつておるのかということが一点。  もう一つお伺いしたいのですが、現在のデフレ状況はわれわれの見方とは大いなる差があるようにも考えられます。従つて地方銀行の方から見ますると、非常に楽観的な見解があつたように思われますが、そこで、年末の金融ということになりますと、こういうような考え方から参りますると、金融処置はどういうふうに、もつと強くお考えになつて例年のごとく、でき得る限りの金融を、地方銀行としてやつてもらうことができるか、できないかというような点についてひとつ……。
  27. 龜山甚

    龜山参考人 第一の御質問は、中小企業に対する貸出しが減つているのは、どういうわけかというお尋ねかと思います。これは先ほども申し上げましたように、一般のデフレ的の点から、商品の買いおきを極力少くするというような点から、資金の需要が減つて来たということが一つ。もう一つは、融資規制の強化によりまして、設備資金というようなものは、極力これを圧縮する。それとともに、拡張をやめたというようなことから、それらの需要も少くなるし、また融資規制によりまして、拡張設備の金はなるべく出さぬというようなことから、この現象を来したものであります。第二の年末金融に対することですが、先ほどもちよつと申し上げましたが、大体、私どもの方では、一戸当りが十万から三十万程度のものを、一行一億ないし二、三億、全般の銀行を通じまして、はつきりした数字はわかりませんが、約四、五十億は年末に出るのじやないか、かように考えておりますので、中小企業に対する金がきゆうくつでないということを決して申し上げるわけではありませんが、全般がきゆうくつなのでありまするから、これが特にきゆうくつということでなく、ほかでもやはりきゆうくつなのですから、同様にきゆうくつだということに考えているわけであります。まあ四、五十億の年末貸出しを出す、かように考えておるわけであります。
  28. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうしますと、要するに五八・七%というのは、一〇〇%に対する振合いだと思うのですが、この率から参りますと、逆に大企業に対する金融というものは、昨年よりもおふえになつているということになるのでございますが、そうなると、たとえば買いだめだとか、設備拡充の制限とか、こういうものは大でも、小でも、中でもが、大体同様でなければならない、こう考えるのであります。逆に大企業にふえているという原因はどこにあるかということであります。
  29. 龜山甚

    龜山参考人 お答えいたします。これは大企業もやはり同様に減つております。このパーセンテージが中小企業だけを私は申し上げましたから、減つておりますが、大企業の方がふえたようになつておりますことの中には、地方方公共団体に、先ほど申し上げましたように、二十八年の八月の二・五%が、九年の八月には四・一%、こういうふうに増加しておりますので、大企業の方の増加というものは、この地方公共団体に出しておる分がふえておりますので、ふえたということになる。それが逆に中小企業の方が減つたということになりますので、大企業にそれがまわつたわけではないわけであります。
  30. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 昨年度の二・五%に対して、四・一%にふえたというが、そうなつてつても、まだこのバランスが合わないように私は考えるのですが、そうなると、どうしても大企業のパーセントが昨年よりも大きくなつておる数字が出るのじやないかと、思うが、私は銀行屋でないのでわかりませんから、その点をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  31. 龜山甚

    龜山参考人 たとえばことしの四月は中小企業に六〇%、それが八月には五七%になりまして、それがずつとこういう現状で来ておりますので、先ほど申しました約二%違つておりますので、五九、七%ということになりますが、はつきりした数字とは参りませんので、幾らかは違います。
  32. 石田謙一郎

    石田参考人 それでは私、先ほど数字を御遠慮申し上げたのですが、ただいま、長谷川委員のお話に関連しまして、ちよつと龜山参考人のお話が誤解を招くように、われわれ中小企業者からも思われますので御説明したいのですが、私ども調査では本年の六月末における中小企業その他の金融でございますが、大体資本金を一千万円以上と、一千万円以下にわけまして、本来はこれではちよつと大きいのでありますが、少くとも一千万円以下を中小企業という観点から見ますると、数字を申し上げまするが、資本金一千万以上の大企業には本年の六月末におきまして五百九億円の全国銀行で貸出しがあります。これが昨年は六百五十一億円あつたそうであります。これだけ大企業は減つております。それから資本金の一千万以下に対しましては、三百六十一億円六月末で貸出しがございます。これは昨年は四百三十五億円だそうであります。これから見ますると、両方合せますると、大体中小企業の方の貸出しが、全体の比率から申しますと三四・三%、これが昨年では三六・二%、こういうふうな、状況に相なつております。  それからここで御注意願いたいと思いますことは、特に地方銀行のお話がありましたので申し上げたいのでありますが、同じときに地方銀行の資本金一千万以上が二百二十七億円、昨年は百三十五億円だつたそうであります。このように相なつております。それから一千万以下に対しまして百四十三億円六月末の地方銀行の貸出がございます。  これが昨年は百八十五億円、かように相なつておる。こうしますると、少くともこれだけの貸出しが減つておる。それから当然この比率は、ただいま龜山参考人からお話がありましたように、六月末における中小企業の貸出しは五七・八%で、昨年が六〇・一%でありますから、約二・三%減少した。これは大企業も大してかわりがないと思います。大体貸出し総額は相当つておることだけは御承知願いたい、かようにお願いします。
  33. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私が、なぜ龜山さんにしつこくお聞きするかというと、私たちは、地方銀行というものはわれわれの銀行だというように考えて、地方遊説もしております。従つて十一大銀行と称するようなものは、金を預けてはいけないのだ。土地の者のためにならないから、なるべく預けないで、地方銀行を活用しなければならないのだ。地方銀行の貸出しは、ずつと数字をふやして、逆に六七%の金融中小企業にしているのだ。十一大銀行と称するものは、三三%しかしてないのだからだめだということを言つて歩いておるものだから、こういう数字に間違いがないようにお聞きしたわけであります。どうもありがとうございました。
  34. 笹本一雄

    ○笹本委員 龜山さんは、地方銀行の協会長のように思いますが、近ごろの銀行地方銀行のスト、あの問題の起きて来る原因は、どういう点にあなたの方では見ておいでになりますか。これはやはり金融すべての問題に対する重大な問題じやないかと思う。やはりきのうあたりの取引所の問題も、きようあたりの新聞を見てもわかるように、封建制の打破ということを言つておりますが、これをあなたの方じやどういうふうにごらんになつておるか、その点ちよつと承りたい。
  35. 龜山甚

    龜山参考人 銀行の方は、従来ストなんということはもうあり得べからざることだというようなことををわれわれは考えておりましたのですが、今回不幸にしてその問題が出て参りましたことは遺憾にたえない次第であります。われわれがあまりに、そういうことはあり得べからざることだというようなことにしておりましたことが、何か大きな原因ではないかというふうに考えておりますのですが、この問題は、なるべくあまり申し上げたくございません。
  36. 笹本一雄

    ○笹本委員 そうでしよう。しかしいろいろ見ますと、いろいろ理由がありまするが、福岡銀行を初めとして長崎銀行、今山梨銀行というふうにストに入つておりますが、今の龜山さんのお考え、銀行にはストはないのだとあぐらをかいておる。これは非常に考えなくちやならぬのではないか。銀行なんかなるべく秀才の、いい人をとつておる。その人たちを採用するまでは非常にやかましく言つて採用し入れてしまうと、員数で置くだけで、一つも感激を与えない。自分はこれだけの感激を持つて、学校を出て、試験に通つてつて来た。そういう青年を、そのままおつぽらかしておる。午後四時になるのを待ちくたびれてしようがない。それが問題だ。よその企業会社なんかでは、採用された人に、指導のいい人は、いろいろの面において宿題を出して、一日の仕事が四時でも五時でも、家へ帰つても論文も書いておるというようなところの人がいる。そこを考えてみると、銀行に行つた人は、大事なものを欠いておる。今、金融の関係がありましたが、だんだん減つて来たというのは、昨年から今年のお盆ごろまでは非常な申込みがあつたのですが、借りるにも力がなくなつちやつた。だからずいぶん金がだぶつておりますけれども、借り手が少いというような結論ですが、少いのじやないのです。政府の言うことでも、設備資金とか何とかいう大きな問題、中小企業の関係においては、設備資金と言わなくても、売れ行きによつては、もう一つの機械を入れればこういうふうになつて来るものを、しやくし定規で設備資金だといつて融資を拒む。極端な話をすると、今中金、公庫なんかでは非常に勉強しております。銀行はうるさくて、この間も二、三人参りまして、公庫にやりました。公庫に話すと、簡単に話がわかるというので、帰りに非常に喜んでいました。銀行へ行くと、これが非常にむずかしいことを言つている。そういうふうなことが、今あなたのおつしやつたような、銀行にはストなんてあり得べきじやなかつたというところに来ている。この問題がすべて金融の関係にも波及しているのじやないかと私は思う。これは年末金融のどうこうより、根本の問題は、もう少し預金者及び利用者の中に飛び込む銀行でなければいかぬ、今、地方銀行が統合したことによつて、勢力争いが各地にあり、日銀から理事長をもらつたということからして、この近県の銀行においても、不当な貸付等がある。きのうの株式市場の問題なんかに関連しましてでもですが、一方においては、いろいろな思想的に、あるいは経済的の破壊を目的として、非常に混乱して来ておる。もう少し前進してもらわなければならぬ。これは直接の金融の問題ではございませんが、しかしそれが根本原理になつておる。あのストをいい教えとして、預金者なり利用者なりのうちにもつと飛び込んで行かなければならぬと思う。銀行の窓口の柵の中でちようど動物園のとらか何かのようにぐるぐるまわつておる。元の重役だ、あるいは力のある人が来れば、それには融資してやる。ほんとうに困つているものには、十万円、三十万円を限度として、三億か何かやつているとおつしやる。まことに趣旨はけつこうですけれども、たとえばメリヤス業者にしても、織つたものを持つていますと、八月十五日過ぎて東北あたりに持つて行くと非常に値よく売れるのですが、それが八月十五日ごろあと仕入れなくちやならないので、そうなると、三割くらいたたかれてとられてしまう。そのわずかの十万や三十万の糸代を融資してもらえば、三割以上の利益があつて銀行にも返せるわけです。そういうものに貸すのは不安だと言う。不安を乗り越えて、もう少し人物的に持つてつてそこまでめんどうを見てやることが必要だ。大きい中小企業の問題はいろいろありますが、零細な中小企業は、事が起るときにはバケツをたたくということになつて来る。歳末金融に関係してそういう点に留意してもらいたい。私はストというものが警鐘を与えておると思う。あなたが銀行協会の協会長さんでいらつしやるから、あえて今の金融の動向を聞くのではありませんが、新入行員に向つても、封建的な方向に向ける指導でなく、奉仕するという意味において、現在の考えより進んで、預金者、利用者の立場を考えるように指導しなければならぬ。今おそらく地方銀行どこへ行つても、協会長さんときどき行くでしようが、銀行預金帳を持つて行きましても、窓口にすわつて自分の仕事をしておつても、すぐ笑顔をもつて迎えるところが何軒ありましよう。まつたく官庁以上のものになつておる。ここらにもつと指導原理を持つてやる必要があると思う。特に歳末金融に向つてその考えを上の人から下の人まで持つていることが大切だと思う。地方銀行で長期を扱う銀行は非常にむずかしいことを言うが、公庫は政府中小企業を助けようと思つてつくつた。その原理が頭のすみにあつたならば、政府中小企業育成に対するところの気持というものは、どんどん理解されると思う。これは銀行のいろいろなこまかい問題でなく、大局の問題として、協会長であるから質問をし、また要望する次第です。ありがとうございました。
  37. 龜山甚

    龜山参考人 ただいまはきわめて私どもに貴重な考えさせられるお話を承りまして、まことにありがとうございました。お話のような点につきましては、われわれとしましても十分考慮いたしております。実は今お話のようないばつたようなことがあるのはもう非常にいけないことでありまして、そういうことがないように、取引者に対してはきわめて親切であり最善を尽すという公共的の考えをもつてやるべきだというので、二年ばかり前から、全国の銀行から、一行につき行員を二名ないし三名ずつ派遣させまして、二箇月にわたつて講習会を開きました。今回で第九回を今催しております。そうして行員の素質をもつと向上させ、公僕としてのほんとうの銀行員をつくろうということを計画して、少しのろいようではありますが、根底からそういう方向に向つて行こうということで今努力しておりますし、せつかくお話の御期待に沿いたいと考えておりますから、今後ともよろしくお願いいたします。
  38. 首藤新八

    ○首藤委員 私も龜山さんに二、三お尋ねいたしたい。同僚笹本委員からいろいろ御質問があつて、あるいは重複するかもしれませんが、その点はお許しを願いたいと思います。  まず一番先にお尋ねいたしたいのは、私たちは、日本の経済を正常な姿で発展させるためには、どうしても前提として中小企業を強化しなければならぬということに一番重点を置いて考えて来ておるのであります。ところが、その中小企業が一番困つておるのはいわゆる金融であります。そこで商工中金あるいは中小企業金融公庫という特殊な機関をつくつてつておりますが、多分笹本委員が触れたと思いますが、どうも銀行がきわめて冷淡である。せつかく国の方でかような施設をいたしてもらつても、いざ融資を頼むときに銀行に行つても、銀行でにべもなく断わられてどうにもならぬ。結局中小企業は浮ばれないというあきらめ的な、しかもそれが強い批判となつて現われて来ておるのであります。それで、やはり銀行といたしましても、相手の信用状態に対していろいろ不安があるであろう、そこでその不安を除きますために信用保険制度をつくり、銀行の損失の軽減をはかり安心して融資のできるようにしてあるわけであります。また県には県に、市には市にすべて保証協会というものがつくられて、その面からも保証をしておる。にもかかわらず銀行が依然として冷淡な態度をとる。国がせつかくかような施設をいたしても、それが一般的に適用せられない。そのがんは銀行であるという面から、私たちは銀行の態度に対してはきわめて不満の意を持つのであります。この点を今後できるだけすみやかに是正せられて、そうして国の施設があまねく中小企業者に普及して、中小企業者が一人でも安定、強化された営業をして行く方向に銀行が心から協力していただくということをまずひとつお願いしておきたい。  もう一つは金利であります。本来金融産業にサービスすべきものである。これが最近は逆転して、産業金融にサービスしておる。ことに中小企業者は自分の仕事等よりも銀行の承諾を得るといいますか、銀行の意を受けることに汲々として、とにもかくにも寝ても起きても銀行が大事であるというような状態になつておる。これがまた今日産業を阻害する一番大きな原因であると私は見ておる。特に戦前金利の負担というものは、これは各会社によつて違いますが、おおむね一割以下である。今日では三割から三割五分あるいは四割というようになつておる。これは物価が高いのに比較して自己資金が少い。そこで戦前は八割は自己資金、二割は融資、今日はそれが逆になつて二割が自己資金で八割を融資にまつということになつておる。しかしながら、私らの考えからいいますと、あまりにも金利が高過ぎる。なるほど百円に対する金利は二銭七厘、二銭八厘、これは戦前並であります。けれども物価が三百倍になつておるからただ銀行では数字三百倍だけにかえたらいいのであります。そのコストがはたして三百倍になつておるかどうか、この点に私は大きな疑問を持つ。克換券にいたしましても戦前おおむね十円札であつたのが今日は千円札でありまして、百倍の克換券を使つておる、それに対して行員がそれほどたくさんふえていないと思う。またふやす必要はないと思う、帳簿であるとかあるいはその他のものは時価並に上つておりますけれども、一番大きな経費は給料である、その給料が三百倍に個人としてはなつておるかもしれませんが、要するにすべての扱う金額が三百倍になつておるのにかかわらず、それに行員の給料がマツチしていない、非常に少い数字を組んでおると思います。そうしますると、そこに非常な余裕が残つておるのだ。私たちの計算によりますと、現在二兆六千億の融資がありまするが、その中で一兆くらいは定期預金、九千億くらい当座であります。その他は通知預金、あるいは無記名預金、それらが大部分を占めておりまするが、一番高い銀行支払い金利のものは、定期預金の一年物、次は六箇月物、三箇月物、それを平均して私は五分だと思つております。当座預金は御承知通りこれは無利子であります。通知預金あるいは無記名預金、それらは大体二分から二分五厘、定期預金をかりに五分としましても、当座預金が無利子でありまするから、平均してやはり二分か二分五厘であります。また一方受取り利子の方は八分あるいは九分とられる。その間に六分から六分五厘のさやが出ておる。二兆六千億をこれにかけますると、大体千七、八百億というものが銀行に納められておる。そういつた支払うところのものが何ぼあるか、こういう計算をいたしますると、今日銀行ほど暴利をとつておるものは私はないと思う。一般産業はみな塗炭の苦しみになつておる。ことにこのデフレ政策を遂行しておる今日、中小企業はあげて日々金融に苦しんでやつておるにもかかわらず、ひとり銀行のみがのほほんと納まつて暴利をとる、そうして資産の隠し場所がないから目抜きの一番最高の場所を買つて、そこにりつぱな建築をする。私たちから見れば銀行はそんな目抜きのところを必要とせぬと思う。裏通りでけつこうだと思う。そういう金があつたらそれを融資にまわすべきだ。何を好んで大銀行が表向きの一番最高の場所を買い、そこにりつぱな建築をしなければならぬか、これは結局資産の隠匿だと私たちは見ておる。  もう一つは、中小企業に対して不当な定期預金あるいは歩積みがある。これは非常にもうかつておるときならいざ知らず、今日のようなデフレ政策下で、出血大販売、無暴な競争を金融関係からあえてせざるを得ないような状態になつておる。中小商工業者はほとんどが出血販売で、その出血販売させられたものがみな歩積みをさせられる、これはみな損であります、損の上塗りだ、そうして定期預金も二割とか二割五分くらいならまあまあ恕すべき点があります。それが今日ではどうですか、四割、五割をとつておる。定期預金をさせられておるその上に歩積み預金をさせられておる。私たちはこの二、三年前から大蔵省に対して厳重にこの取締り方を申し込んである。大蔵省の方からも銀行協会――あなたの方に対してはそういう通達が行つておると思う。われわれは先般も河野銀行局長に、これができなければ君はやめたまえと言うておる。これほど不当なことはないと私は考える、中小企業に対する融資は大体現在九千億、一兆内外です。けれども、定期預金が半分ある、その上に歩積みがあるのですよ、それを差引きますと、二兆何ぼのうち中小企業に対する融資は四千億か四千五百億だ。全日本企業数の九二%は中小企業、生産量の七二%は中小企業です。その大きなウエートを持つておる中小企業に対する金融が、全額二兆六千億のうちから正味四千五百億か五千億だ。これでは中小企業者金融にあえぐ。しかもあなた方は、寝ていても中小企業者が頭を下げて来るから、いい気になつておる。あぐらをかいてかつて気ままなことを言う。定期預金をせい、もつと歩積みをせいと言われる、やむを得ないから、よそから高利の金を借りて歩積みをし、定期預金をしておる。これでどうして中小企業が発展しますか。今日の日本の中小商工業の発展を阻害しておるものは実に銀行だと申し上げても過言でないと私は考えておる。従つて私たちは今日銀行になお相当の金利引下げの余裕ありと考えまして、実は先般来金利引下げを要望しておる。これに対して、あなた方は一分より引下げられぬとか、かつてなことを言つておりますか、もう少し自己反省をしなければいかぬと思う。近来ストらイキが銀行において行われておる。保守の保守である銀行にストライキが起るということは、私たちから見た場合ほんとうにへん気持ちがする。しかしこれも、あまりもうけ過ぎるから、行員がよくその内容を知つておる、だから、ここまで来てもまだまだ余地があると思うところから起る。現在銀行のべースは、ほかの産業に比較して、ほとんど最高俸じやありませんか。最高俸をもらいながらなおかつストライキをやつて賃金引上げを要求する、結局もうかつておる内容を知つておるからです。もしこのまま放任しておいたらどういうことになると思いますか。私のあなたにお尋ねいたしたいと思うのはコストであります。これは預金の違いで、銀行によつて違うと思いますが、私たちの考えるところと銀行の計算とあまりにも大きな開きがある。その点、大体戦前に比較して経費がどのくらいになつておるか、あるいはまた預金の利子収入がどのくらいになつておるか、これは私はわかると思うのですが、そういう点をひとつ御答弁くだされば非常にけつこうだと思います。
  39. 龜山甚

    龜山参考人 金融中小企業の面に対してどういう考えでおるかというお尋ねだと思います。金融中小企業が本体のお得意でありますので、中小企業が悪ければわれわれの銀行はみな悪いということになります。それで中小企業の盛んになりますことをただひたすら念願して、この線に沿うためにわれわれ日夜これ努力しておるわけであります。先ほど、信用保険やいろいろな制度ができておる、この利用が少いじやないかというお話がありましたが、金融は、この信用保険だけで申しますと、全信用保険の三〇%を使つております。金融相当のウエートをもつてこれを利用しておるわけでありますから、この点はひとつ了承願いたいと思つております。  それからコストの点でありますが、ちよつと数字を忘れて参りまして御答弁申し上げかねるのですが、この三百何十倍という物価に比較いたしまして、預金の今までに残つておりますものは、戦前に比べまして六割何分だ。数字が違うとちよつと困りますので、確かなことを申し上げかねますが、要するに預金の高が戦前に比べましては非常に減少しておる。額は上つておりますが、戦前の物価に比較いたしましての額は減つております。しかるに事務の量は三倍に上つている。人間のふえたのが二倍に上つておる。こういうことからしてここにコストが非常にたくさんかかる、こういうことが銀行の現状であります。従いまして今お話の預金の金利は比較的安いのでありますが、このコストが非常に高くここに計上されますので、従つて銀行のほんとうのコストというものは高くなつております。今お話のような点で私は数字を申し上げかねますので、的確に現わしかねますが、この点で決して銀行の金利は今のところ暴利だというような点にはなつておりません。この点ひとつ御了承いただきたいと思います。いずれまたこの点についてのお尋ねがございますれば、書面で差上げてもよろしゆうございますが、そういう状況になつておりますので、銀行が暴利をとつておるというようなことは決してございません。  それから金利につきまして引下げを御要望になつたというお話がありましたが、これは今回大蔵省からもお話がありまして、われわれ仲間も寄り合いまして、金利を適正にするというような意味におきまして、歩積み預金とか、預け合いというようなものに対しましても、金利をそれぞれ引下げることにいたしまして、近く実施することに相なつておりますので、この点もひとつ御了承をお願い申し上げます。ちよつと、今数字を申し上げかねますので、的確でございませんが、要するにコストが非常に高くなつておるということだけを申し上げておきたいと思います。
  40. 首藤新八

    ○首藤委員 私は銀行が暴利をとつておるということは、いろいろの数字から検討して自信をもつて申し上げておるのですから、あなたの方ももう少し御検討になつていただきたいと思う。同時に先ほど申し上げましたように、どこの町に行つても、目抜きの通りに堂々たる建築をしておる。この建築費はその銀行の全資本金の何倍かの建築をやつておる。こういうことは、私らが考えた場合に、もうからなければできぬことであります。たとえば十億の資本金の銀行が、一箇所だけでも五、六億というりつぱなものをこしらえる。それを何箇所もこしらえておる。もしそれがあなたの方でわからなければ、私の方からそういう事実を教えて上げてもいい。こういうところに暴利をとらなければそういう芸当はできない。要するに、利益の隠し場所にしておる。私たちは、悪く解釈するようですけれども、そういうふうな見方をせざるを得ない気持がいたしているのであります。しかしこれは今あなたが数字を持つていないとおつしやるから、これ以上申し上げませんが、もう少し真剣になつて日本中小企業を育成する。それが日本全般の経済の発展である。それには銀行がどうしても一役買わなければならぬのだという気持に徹していただきたいということを私はお願いしておきたいと思う。  それからただいま申し上げ定期預金と歩積み預金でありますが、私どもは歩積み預金のことはこの際はつきりやめるべきだということを大蔵省に申し上げた。ところが、銀行の態度を見まするときに、支店長の成績がいいか悪いか、腕があるかないかは、預金の吸収いかんがバロメーターになつておる。各支店長の成績がいいかどうかは、その支店の預金がふえるかどうかによつて価格がきまる。ここに問題がある。従つて銀行の首脳者はどういうように考えているか知りませんけれども表面は歩積みをとるなとか、そんなに定期預金をしなくてもいいと言うかもしれませんが、実際はそうせざるを得ないような方針をとつておる。預金をたくさん集めた支店長は昇進する、そうしていいところに栄転して行く。預金を集め得ない支店長はいつまでたつても同じところにいる。これは支店長といえどもやはり競争であるから、こういう方向に持つて行くと思うが、ここに大きな問題がある。ここに無理な預金をさせ、無理な定期をさせ無理な歩積みをさせる。そこで、きのうか、一昨日かの新聞に、歩積みもある程度に行つたらこれをやめるということにお話合いがあつたということを見ましたが、そういう事実があるのかどうか。また一体手形の割引に対して何ぼまで定期をしたら銀行の方では得心されるのか。大体あなた方内部ではどういう話合いをされているのか。定期預金の額、歩積みの額、それをひとつお答え願いたいと思う。
  41. 龜山甚

    龜山参考人 歩積みの問題についてのお話でありますが、歩積み問題は、これは人によつて多少の差がありますことは事実でありますが、しかしながら歩積みがいけないというお説のように伺いますが、歩積みはあるべきものだと私は考えております。この歩積みがなぜ必要であるかというと、今日のように非常に不渡り手形も多いし、信用も浮動しておる、こういう際には、やはりここに相当保証を持つということが必要なことだと考えております。もしもそういう保証を撤廃してやれということになりますと、なかなか危険であるから割引も思うようにできないということになりますと、中小企業金融をかえつて阻害するような結果になりますので、歩積みはやはり置くべきが至当だと考えております。ただそれを非常にたくさん置くのだとか、あるいはそれがために金利の差を非常に悪くするということはよくないことでありますので、これらの点は十分検討しなければならぬけれども、歩積みそのものは、今日の情勢からいつて必要だと考えるのであります。
  42. 首藤新八

    ○首藤委員 私が申し上げるのは、中小企業の手形は、銀行側から見て必ずしも安心ならぬ、不渡りも多い、従つてそのための保証をある程度とるということは万やむを得ないと思います。但しその万やむを得ない保証にもおのずから常識的な限度があると私は思う。多年あなた方が銀行経営して、大体中小企業の受取る手形はどれくらいの危険がある、また個々の相手に対しましても、この店の手形は大体どれくらいの危険があるということは、長い経験からわかると思う。それにもかかわらず――二割、あるいは最高でも三割とつておけば大体いいんじやないか、それを今日は四割から五割とつている。その上に歩積みを要請するから、私はどうかということを申し上げる。定期がなくて、ただ保証のために歩積みをとるのなら、私はある限度まではやむを得ないと思う。その限度は割引手形の二割とか、あるいは三割ならやむを得ない。そこまで来るまでは歩積みをとるのはいいと思う。しかしすでに定期預金を四割、五割とつておいて、その上にまた歩積みを要請しているから、私は無理だと申し上げる。それに対してあなた方は先般来お話合いをしていると思いますから、どういうお話合いになつているか、それを御回答願いたい。
  43. 龜山甚

    龜山参考人 歩積みの限度は、まず一割までは別に制限なしといいますか、条件なしといいますか、一割はとつておくことが適当であろう。その以上になる分は、金利の面で大して差がないような処置をとる。こういうようなことで、歩積みの限度と申しますか、一応一割ということにきめました。今そのほかに定期をというようなお話は、これはまた別途のことでありますので、歩積みの問題とはちよつと違うんじやないかというような感じを持ちますが、それは金を借りる方の商業手形のものとは別のことではないかと考えるのですが……。
  44. 首藤新八

    ○首藤委員 これはたいへんな違いであつて龜山さんからそういう御答弁を伺うことは私はふかしぎ千万に考える。どこの銀行へ行つても、手形を割ります場合に、必ず定期預金を二割か三割、それが近来は四割、五割までの定期預金をしなければ手形を割らぬということになつている。その上に歩積みを要請するのですよ。
  45. 龜山甚

    龜山参考人 ただいまのお話はわかりました。それは一つの取引をするという意味でありますので、その担保というような意味とまた違うと思います。これは一つの取引関係を結ぶという事柄でありますので、今の歩積みのこととは意味が違うと考えております。しかしながら一種の信用の度合いを見るというものもそこに含んでおりますので、取引の現われのことであると思います。
  46. 首藤新八

    ○首藤委員 これは龜山さん、あなたの御答弁はむちやくちやだ、今日歩積みと定期預金を別個にしておるというようなことをあなたは言われるが、あなたは銀行をやられておるのでしよう。どこの銀行ですか。
  47. 龜山甚

    龜山参考人 常陽銀行です。
  48. 首藤新八

    ○首藤委員 常陽銀行では定期預金は手形割の方に使つておりませんですか。
  49. 龜山甚

    龜山参考人 使つているものもありますけれども使つていないものもあります。いろいろあります。
  50. 首藤新八

    ○首藤委員 中小工業に対しましては、ほとんど定期預金というものをまずさせて、それから手形を割る。また手形を割るときは一番初めは、たとえば一千万円を割るなら、少くとも三百万円くらい定期預金をとりなさい。そしてだんだんそれをふやしてやる。近ごろはデフレ政策で苦しくなつて来たというので、総割高の五割くらいまで手形を置かなければ限度を低くする。その上に歩積みを要請する。しかもその歩積みは、先ほど申した通りに今のメーカーなり商店の商売では、みな出血が多いのです。従つてそれだけ銀行に歩積みせられますると、さしあたり企業体なり商店なりが、その金をよそから補充して来なければならぬ。要するに高利を借りて銀行の希望に沿つて行く。従つて業者はますます金融的に苦しくなつて行く。これがほんとうの今の姿なんです。そこに私は大きな関心を持つて、何とかこれを打開しなければ日本中小企業者は発展しない。そこに大きな問題がある。その点あなたはどうも実相を把握していないのではないかという気持が私らにするのですが、もう少し実際の御調査をなさる必要があると私は考える。
  51. 中崎敏

    ○中崎委員 今の問題は非常に重要な問題なんです。それで大蔵省としても両建預金といいますか、これはやらさないという建前になつているが、現実はそうでないというふうなこともあつて――これは銀行局長とか大臣はちつとも顔を出したことがないのだけれども、いろいろ問題は大きいのだから、要するに日銀の一万田法王を押えられないとか、あるいは地方銀行でどうにも手がまわらないとかういことでなしに、もう少し強力なこの問題についての構想を、はつきり国家としても明らかにしてもらう必要がある。ひとつ時をかえてこの問題を慎重に十分にひとつ検討する機会を持つように要請しておきます。そういうふうに運んでいただきたいと思います。
  52. 永井勝次郎

    永井委員長 龜山参考人は 午前中というので質問を集中したのですが、まだ参考人の方々の陳述があとに控えておりますので、そういうふうに運んでよろしゆうございますか。
  53. 首藤新八

    ○首藤委員 これは日にちをかえて大蔵省の銀行局長なり大臣を呼んで、もつと掘り下げて検討する必要があると思います。
  54. 永井勝次郎

    永井委員長 わかりました。それでは龜山参考人に対する質疑はこの程度で終ります。時間が経過しておりますけれども、引続いて参考人の陳述を伺うことにいしたます。商工組合中央金庫理事加藤八郎君。
  55. 加藤八郎

    加藤参考人 私から商工組合中央金庫の第三・四半期の年末までの資金の予想を申し上げまして、皆様方の何分の御指導と御援助をお願い申し上げたいと存じます。  お手元に一枚の小さな資金の予定表を差上げてございますので、便宜上その内容によつて説明申し上げてみたいと存じます。  十月から十二月までの第三・四半期は、例年のことでございますが、商工中金といたしましては最も資金のたくさんいる時期でございまして、例年貸出残高の大体七割ないし八割はこの第三・四半期において消化しているような状況なのでございます。それで本年もそういう状況になることは必至でございますが、そのおもな理由は、そうでございますが、大体秋になりまして農作物の収穫がある。その加工業がちようどこの第三・四半期ごろに集まる、あるいは林産物でも水産物でもそういう傾向がございまして、この季節的な資金需要が非常にここに集中するのでございます。もう一つは、この中小企業一般の大企業なんかと違いまして、どちらかと申しますと個人経済に近いような状況のものが多いのでございまする関係上、この年末手当の資金が、いわゆる越年資金とでも申しましようか、そういう面に非常に需要が多く集まつて参るのでございます。こんな関係からいたしまして、いつも第三・四半期資金需要は非常に多いというような状況になつておるのでございます。  まずこの右の方の支出という面に書いてありまする内容を申しますと、貸出金におきまして、結論から申しますと資金が八十二億ふえて来るという計算をしております。その内容を申しますると、貸出しが四百九十四億であり、回収が四百十二億である。その差額の八十二億がこの期関における増加である。こういうふうに計算したのでございますが、さらにその内容を申しますると、この八十二億の増加の中には、台風関係の災害復旧というような意味での資金を大体七億見てございます。従いましてこの季節的な資金あるいは越年資金というもののような一般的な資金は七十五億円を見たのでございます。これは各業種別に今後の見通しにつきまして検討をいたしました数字を合計いたしまして算出いたしました数でございまして、実際さらにこれよりたくさん必要になつて来るということもございましようし、またこれだけの資金は使わずに済むというような状況にもなるかもしれませんが、現在のところのいろいろの資料を集めまして検討いたしましたところでは、七十五億程度増加を必要とすると考えておるのでございます。台風関係の七億は大体北海道、宮崎、愛媛その他今般の台風の被害を復旧するための資金を八億ほど見ておるのでございますが、そのうち年内に七億程度のものが出るであろうと考えられるので七億と見たのでございまして、これを合計いたしまして八十二億円の資金増加を必要とする、こういう結論を出した次第でございます。  それから指定預金の点でございますが、これは政府の方におかれましても本年の六月分から毎月六億八千五百万円の引揚げ時期の到来したものにつきまして、今日まで毎月延期をしていただいておるのでございます。それでその延期の結果現在年内に支払い期限の参りますものは、十一月と十二月にそれぞれ六億八千五百万円ございます。現在の残高は二十七億四千万円四箇月分ございますが、年内に期限が来ますのが十一月から十二月の二箇月でございまして、これが合計いたしまして十三億七千万円期限到来が参るのでございます。この点につきましては最後に延期をお願い申し上げたいと存ずるのでございますが、約束の期限として来ますので、一応金がいるという計算の方に載せておきました。それから有価証券の買入れが一億五千万円、これは債券償還等のため、あるいはまた日本銀行に対するすえ置担保の面を動員するための証券の買入れを毎月若干やつておりますが、それが一億五千万円でございます、これを合計いたしますると九十七億二千万円の資金が必要であるのであります。これに対しまして中金自体の手によりまして調達しよと思います金額は幾らかあるかという点がこの左に書いてございます収入でございます。これは資金調達の面でございまして、債券の発行によりまして十八億七千七百万円、その利付と割引並びに償還の内訳はここに書いてございますので省略申し上げます。とにかく債券といたしまして手取りになつてふえて参ります資金が十八億七千七百万ございます。それから一般預金増加は大体貸出純増の一五%程度を見ておるのでございますので、右の方の八十二億円の貸出しの一五%ということで十二億三千万円の預金増加があるだろうと期待しております。それから現在コールに出しておりまする金が十五億ほどございますのでこれを全額回収して貸出しに充てる。これは季節的に資金が余裕のあつたときにコールを出してございまするから、もちろん貸出しが繁忙になつて参りまするとこれがまつ先になつて貸出しに向けられるいわゆる動員可能の資金としての量になつているものでございます。それから日本銀行の金でございますが、これは現在もらつておりまする中小別わくの十七億、あるいは最低歩合の適用のもの、第一次歩合の適用のもの、こういうものを全額動員いたしまして、結局二十二億一千二百万円の借入れ増加ということを期待しておるのでございます。こういうことになりますると合計いたしまして必要とする九十七億二千万円の資金に対しまして資金の不足が二十八億四千九百万円を予想されるのでございます。この二十八億何がしの不足をどうしてまかなうのかということに相なるのでございますが、現在われわれの考えておりまする対策は、まずこの指定預金引揚げの十三億七千万円でございますが、今後最も金融の繁忙時期に向うのでございまのすで、政府におかれましてもぜひ、こういう時期に指定預金引揚げるということは非常な摩擦が多うございますので、この点を考えてくださいまして、どうかこれは年内の引揚げをしないというふうにお願い申し上げたいのでございます。二十八年の年末あたりは十二月に特に二十億円の年末預託金をいただきましたような関係で、六十六億三千万円の預託金をを中金はいただいて越年したのでございます。ことしは今後の予定として繁忙に向う際に十三億七千万円も引揚げられるということではとてもやり切れませんので、これはぜひひとつ延期してくださるようにお願い申し上げたいと存じます。もちろんさらに加えて新しい指定預金をいただくということを希望申し上げたいのでありますが、最近の政府の方針としてなかなかそこまでのお願いは非常にむずかしいと思いまするので御遠慮申しまして、せめて現在の分だけは残していただきたい。この点は先ほど日本商工会議所の石田さんも特に要望された点でございまして、われわれもぜひ願い申し上げたいと考えておるのでございます。それでさらに不足いたしまする分は約十四億七千九百万円という数字になるわけでございますが、この十五億近い数字というものは、大体日本銀行の第二次高率適用をもつて拝借したいと考えております。昨年あたり商工中金として日本銀行より第二次高率適用として借入れました最高は、ピークのときに約十五億円であります。それをことしは十五億円まで借りてやつてみたい。しかしこれはわれわれといたしましても担保なしに借入れることのできる金ではありません。これには証券なり、あるいは手形を担保にして借りるわけでございますが、この担保の手形の選抜適格として認められるかどうかということが今後の実際問題にかかつておりますので、はたして何ほど日本銀行に持ちこんで適格として認められて、第二次高率適用として借りられるかということがわかりませんが、しかし従来の例から十五億程度はまかなつてみたいというように考えておるのであります。まあ、精一ぱいのぎりぎりの線までこういう金を集めてみて、この程度融資ができるのではないかと考えておりますが、今後年末にあたりましての資金需要が、また厖大な意外な需要がふえて参りますと、これではとても足りないというような結論になつて参るのであります。何とぞよろしく御支援をお願い申し上げたいと存じます。  なおそのほかに中小企業金融公庫さんからの代理貸付として貸付け得るところのわくの余裕が、第三・四半期といたしまして約九億七千八百万円ございます。これもここに書いてございます八十二億のほかに、この公庫さんの代理貸としての貸出しが行われ得る資金を持つております。  簡単でございますが、以上御説明申し上げまして、国会並びに政府からの何分の御支援をたまわりまして、無事越年させていただきたいと思います。
  56. 永井勝次郎

  57. 海老原安正

    ○海老原参考人 全国銀行従業員組合連合会の海老原であります。最初に私がここで申し上げることについて非常に常識的なことにわたらざるを得ないということをお断り申し上げておきます。と言いますのは、われわれは国会等におきましては、こういう席で全国銀行従業員組合として、全国銀行協会など対等な地位においていろいろなお話をすることができますが、銀行従業員としての銀行内の地位は、まだそれほど向上しておりません。しかも認められておらいというところから、金融政策あるいは中小企業金融に対するわれわれの発言権は皆無に近いのであります。しかもわれわれの地位は、そういうふうな認められておらないという観点から、中におきまして知つておる事項についても公表することができない。もしそれがはつきりすればわれわれは弾圧されるというふうな状態にございますので、データーを非常にこまかくお持ちして、ここでお話することができないことを非常に残念に思つております。しかしながらわれわれは鋭意そういうふうな地位の向上に努めるために最近ではストライキをも行つて賃金の向上をさせるという闘いの中でそういうふうな民主的なわれわれのあり方について協会あるいは経営者に対して要望を行つておるわけであります。従つてここで申し上げますことは、非常に常識的なことでございます。御参考にはならないかと思いますが、一応お聞取り願いたい思います。  中小企業に対する中小金融の問題でございますが、まず中小企業対策につきまして現在非常に金融にしわ寄せがされておりますけれども中小企業対策については、政府の総合対策がなければ現実に現状における銀行金融一本ではとうてい抜本的な対策を講じ得られないというのがわれわれの考え方でございますと申しますのは、中小企業そのものにつきましてはわれわえもいろいろな面から考えまして、中小企業は現在の日本産業における中核でなければならない、そうあるべきであるということも十分承知しております。しかしながら政府はそういうふうな考え方は持つておらない。従つて政策面に出ておりますすべてのやり方は、財閥系あるいは一部の系列に属した産業、そういつた企業に対する施策を全面的に行つておるのである。その他のいわゆる中小企業に対しましては、まつたく行われておらないというの実情であろうと思います。私的企業である銀行に対しましても同様な施策が行われているのであります。すなわちわれわれは、現在の銀行一般的には私的企業であるというふうな観念から、県民の銀行である、あるいは市民の銀行であるというふうな形でいろいろ経営者も宣伝をしているし、あるいはわれわれの方もそういう考え方で突き進んでおりますけれども、しかしながら、現実には県民の銀行でもなければ市民の銀行でもなく、政府銀行であるということがはつきりしておるわけです。これは銀行員の給与のみならず、現在の融資の考え方、金融政策そのものから出る融資の考え方につきましても、ほとんどが大蔵省がタツチしておりまして、極端にいつて完全に大蔵省の御意向を聞かなければ実際にはできないという事態になつているのではないかというように私どもは考えております。そういうふうなことから、やはり銀行といたしましては、どうしても中小企業に対して融資をする上から行くならば、コマーシヤル・ベースに乗らなければ貸せないというのが現状であります。つまり金融は、救済金融といいますか、助けるための金融であるというふうな考え方から、一歩突き進んで、産業を振興させるための金融であるというふうな観点から行くならば、倒れそうな中小企業を助けるということのみに集中することは誤りではないか。むしろその前に総合的な市場の開拓をやつて、私的企業であればどこまでも私的企業のコマーシヤル・ベースに乗るような中小企業の総合対策、つまり市場の獲得という方面を開拓されてしかるべきではないか。そうしなければ現状の私的企業としての銀行中小企業融資をすることは非常に困難な状態であるということが、私どもの考え方であります。すなわち中小企業そのものは、やはり大企業に比べまして資本金が少く、あるいは設備も大企業に比して非常に劣つている。従つて進出も大企業の進出に比べて落ちるというような点から、やはり必然的にいつて安定した市場がない。しかもこういうふうなデフレ政策が行われるということによりまして、ますます中小企業の市場というものは完全にといつていいくらいまでに除去されてしまう。そういうふうな状態から、銀行としても金融をするという観点に立つならば非常にむずかしいわけです。こういうような点の是正はしからばどういうふうにするかということを私どもの立場から考えますならば、まず中小企業にこういうようないろいろな固有の悩みがある。さらに市場の問題あるいはその他のいろいろな問題がございますが、これに対する解決は、やはり中小企業の協同化ということが一段と推進されなければならないと同時に、やはり政府によつて――たとえば庶民住宅の建設は現状では大企業にやらせています。しかしこういう庶民住宅の建設は、やはり中小企業の建設屋にやらせるというふうな形で市場を獲得するということが政府によつても十分に行われなければならないというふうに考えます。それからそういう金融対策といたしましては、中小企業は今申しましたようにいろいろな大企業に比べて劣つておるところがございます。従つて担保カが非常に小さいというふうなことから、現在の銀行としては、融資が安全であり確実であるというふうな点を十分に考てそれを確保しなければならない。この点から行きますならば、中小企業の貸出しが必然的にはばまれ、そうしてデフレ政策が進むに従つて中小企業に対する金融が非常に落ちて来る。こういうような問題の解決は中小企業自体の健全化をはからなければならない。それと同時にこれは一朝にしてできることではない。むしろ中小企業の健全化をはかるためには、逆に言うなら何らかの金融の対策が必要であるという逆論さえも出て来る。従つて当面中小企業金融に対しましては、中小企業金融公庫に対する政府出資を拡充するということと、それから中小企業金融に対する政府保証及び信用保険制度の拡大というようなことが、私どもの立場から申すならば積極的に行われなければならないというふうに考えております。  さらに中小企業金融に対する技術的の問題といたしましては、特に政府機関である中小企業金融公庫の貸出し事務がやはり煩雑である。銀行もこれに次ぐほど現在煩雑でありますが、銀行などがこれらの代理業務を行うという形になつておるのでありますが、こういうふうな銀行中小企業金融公庫の代理業務も、中小企業金融公庫の事務の煩雑をさらに倍加する原因になつております。この点が利用者の中小企業にとつては一つの非常に大きながんになつておるというようなことも言えるのじやないか。従つて貸出し業務もできるだけ簡素化する。特に審査があまりにも厳格に過ぎる点などが指摘されるわけでありまして、こういうような点をやはり是正して行かなければならない。しかし現在の最大の問題と申しますのは、これは現状そのものを是認して考えた場合にそういうことが言えるのありますが、われわれの考え方といたしましては、デフレ政策のしわがことごとく中小企業と労働者に寄つているということは明らかなことでありまして、デフレ政策そのものがやはりそういうふうな意図で行われておるというふうに言わざるを得ないのであります。そういうデフレ政策は、金融引締めを中心といたしまして押し詰められて来ておるのでありますけれどもデフレ政策そのものは、恐慌対策の役割をもつて中小企業生産規模縮小とか、あるいは倒産によつて全体としての生産規模の圧縮をはかつて、需給の均衡を回復しようとする考え方でやつて来た。すなわち中小企業に恐慌の打撃を集中して、独占企業を保護しようとするのがデフレ政策の根幹であります。これを改めるのでなければ、われわれの立場から申すならば金融というものは救われないという根本的な課題があります。従つて今申しましたような技術的な問題をここで解決するということで中小企業金融が非常に有利になるということを考えますならば、やはりわれわれの立場から申して、政府の根本的なやり方において、中小企業を助けるという意図がない、従つてわれれ銀行がかりにそういうふうな立場に立つてやろうとしても、これはやはり大蔵省の弾圧あるいは政府のそういう政策のもとではできないということがあるのであります。従つてデフレ政策に対する根本的な訂正がわれわれとしては必要であろうと思います。これは政府では、デフレ政策は総合対策と金融引締めと両方を行わなければならないが、両方できないというような実情にあるというようなことも言つております。日銀がデフレ金融の独走であるということに対して反駁して、それは次善策としての金融引締めであつて、元来総合対策というものは補完的な意味をなすものであるというようなことを言つておりましたけれども、われわれから言わせるならば、とにかくデフレ政策そのものは、幾ら弁解されても、やはり中小企業とか労働者というものにしわ寄せして、その犠牲によつて全体の需給を直して、そうして独占企業に問題が集中するように持つて行こうというふうなやり方でありますから、これは手直しとかあるいは非常にこまかい点のみではできないというふうなことがわれわれの根本的な考え方であります。  次に年末金融についてでございますが、われわれまだデーターもよくそろえておりませんので、年末金融に対して御参考になるようなことを申し上げてにくいかと思いますが、大体われわれの考え方では、第三・四半期財政資金が大体二千三百億円程度の散超になると見られております。われわれの観測はそういうふうに見ております。従つてここからインフレ再発の懸念がされるので、このために日銀ではおそらく農中に対して再割手形の売りオペレーシヨンというような形で、われわれから言わせれば引締めを継続するといいますか、とにかく引締めを強化するというふうな方向に行くのではないか。こういうやり方ばかりが要するに現在の政府のやり方であつて、従つて年末金融に対しても極度な引締めというふうな形で行われて来る。従つてわれわれの予測では非常に年末の金融は楽ではない、苦しいということを考えられます。そういうふうな点から、この年末金融につきましてはやはり中小企業に重点を置かなければならないので、政府指定預金増加、それから年末金融――農中の余裕金を売りオペレーシヨンにやらずして、中小企業への融資に振りかえるということは、私どもは可能だと思います。そういうふうなことを利用して年末金融中小企業に有利ならしめるというのが適当じやないかというふうに考えておるわけであります。元来中小金融とか年末金融と申し上げましても、従来銀行そのものが私企業でありながら実際は私企業でなくて政府の官僚統制によつて行われておるというのがわれわれの判断でありまして、これはやはり金融機構そのものに改善を要する点があるというふうに考えるわけであります。特にフランスにおけるような、信用に関する政府部内の所管部局――大蔵省国庫局及び国家経済省信用局というものがあつて、それがやつておりますが、これらの部局は各界の代表者からなるいわゆる国家信用会議というものに助言して信用全般に関する立案を行う機関であります。現実の銀行業務の規定監督は銀行管理委員会というものが行つておる。銀行管理委員会の構成は、フランス銀行総裁、大蔵省の国庫局長、国家経済省信用局長及び銀行従業員連合会の代表者からなつておりまして、その機能は預金銀行の検査とか業務規則の制定とか一般的な統制等を行つているというふうにいわれております。こういうフランスにおける機構の問題から見て、私どもが現在の日本における独善的な官僚統制的な金融機構というものを改めて、そうしてわれわれ銀行従業員の立場、銀行従業員の地位というものをはつきり認めて、こういうふうな大きな金融政策の問題につい意見を聞いて、そういう人たちの管理の機構にまかす。そうして現在のような官僚統制を排除して行くということが一般的なわれわれの機構に対する考え方であります。そうしなければ、現在財閥糸の銀行、あるいは財閥系以外の銀行、それから地方銀行、そういつたものを、一緒くたにした銀行に対するすべての考え方、すべての施策というものについては、われわれはやはり異存がある。最も現在中小企業金融に対して問題になつておりますのは、財閥系銀行がやはり自分の系列を選んで、さらにその系列を強化しようとするために、銀行業自体の中でも大企業中小企業の淘汰という形が行われている。従つて地方銀行中小企業と手を結んでかりにこれが完全にうまく行つたとしても、その地方銀行はやはり財閥系銀行によつて次第にいろいろな点から狭められて行つて、最後には地方銀行中小企業と同じような形でにつちもさつちも行かなくなるというのがわれわれの考え方であります。そういうような点は、やはり銀行そのものにつきましても、地方銀行都市銀行、あるいは都市銀行のうちでも財閥系銀行というものに対する政府の考え方を是正させ、そして一般の考え方も、そういういろいろな個々の違う系統を持つた銀行のやり方に対する施策をわれわれとしては進めて行かなければならない。そうしなければ全般的な銀行自体の金融政策そのものはスムーズに行かないというふうに考えております。  非常に雑駁でありますが、参考までに意見を申し上げた次第であります。
  58. 永井勝次郎

    永井委員長 次に中小企業金融公庫理事中野哲夫君。
  59. 中野哲夫

    ○中野説明員 お手元に中小企業金融公庫の九月末までの、つまり開業以来一箇年間の貸付状況その他資料をお配り申し上げてございます。本日は、公庫としまして歳末融資についてどういう態度をとるか、こういう点が主題でございまするが、公庫は法律の第一条に定められてあります通り設備資金にせよ運転資金にせよ一年以上の長期をお貸しする、こういう性格になつておりますので、歳末決済資金あるいは歳末仕入れ資金等というような、単に運転資金を直接にお貸しするという機能を持つておらぬのでございます。しかしながら設備資金支払いが促進される、あるいは金繰り安定のための長期運転資金中小企業者融資できるということによつて、その借り受けた中小企業者がさらに各種の決済を促すというような間接的効果もございますので、この表にもございます通り、昨年開業第一年度におきましては、十二月に三十九億という相当多額の貸付決定を行つたのでございます。本年度政府融資が百三十億、回収金が七十億、合計二百億の貸出し計画を持つておるのでございまするが、第一・四半期及び第二・四半期の六箇月間において約百億の貸付決定を行つたのでございます。第三・四半期に及び第四・四半期におきましては、先ほどの二百億のうちの残りの百億円、それから繰越しが約九億ございます。この繰越しと申しまするのは、御承知通り公庫融資が代理貸しによつて行われておるのでございまして、公庫が貸付決定をいたしましても、その金が銀行にまわり、金融機関から借受申込人に手渡しいたしますまでには、資金を現実に送つてもらいたいという銀行の希望が相当先になるというような事例も多いのでございまして、今後毎期と申しますが、毎年度十億近いくらいの繰越しが起るという制度上からの結果そうなつておるわけでございまするが、それを入れますると百九億でございまするけれども、この第二・四半期におきましては昨年度の例にならいまして、ただいま資金計画においては百億のうち六十億を第三・四半期に支出しよう、それに先ほど申し上げました九億の繰越し、合計六十九億が資金的に用意いたしてあるわけでございます。これを消化いたしますためには、わくを四百余の各代理店にお示ししなければならぬわけでございまして、そのわくは、先ほども質疑に出ておりました通り、代理店の中には、非常に公庫制度の御理解御勉強も願いまして、問題なくどんどん貸付を進めてくださるところと、少数ではございまするが、今日いまだに公庫の長期融資についてのやり方についていろいろ渋滞がございまして、資金のわくも残す、従いましてその翌期の資金割当も減るというようなことでございまして、余るところ、足りないところ調整を毎期行つておるのでございますが、さような調整の意味、融資を促進する意味におきまして、先ほど申し上げました六十九億の資金計画を上まわる八十億の資金わくを各代理店にお配りいたしたわけでございます。そこで、公庫といたしまして念願いたしまするのは、四百余の代理店におきまして、極力歳末適正融資に向つて御努力をお願いいたしまして、このわくの消化が十分に行われるよりにということを希望いたしておるのでございます。先ほど申しあげました第一・四半期六十億の資金計画は、監督官庁の認可を受けておるのでございまするが、貸出しの進捗状況によつて、とうていこれでは不足であるというようなことに相なりましたならば、十二月に入りましてさらに第四・四半期の繰上げをお願いするというようなことも、公庫として今考えておるような次第でございます。  きわめて簡単でございますが、最近の概況は表に譲りまして、歳末融資についての私どもの考え方を簡単に申し上げました。
  60. 永井勝次郎

  61. 最上孝敬

    ○最上説明員 私どもの方も、個々の貸付金額こそ小そうございますが、中小企業公庫同様に、長期の運転資金並びに設備資金をお貸付しておるために、歳末金融と申しましても、いよいよどん詰まつたときにすぐさまお役に立てるという金融とやや趣が違つておりまして、大体お申込みは十一月あるいは十二月の上旬程度までにいただいておりまして、それに対してやはりお貸付するわけなのであります。そこで、私どもの今の考えております本年の十一月、十二月の状況について申し上げてみたいと思います。私どもはいわゆる申込みの統計をとつておりまして、月々の申込み件数、金額が出ておるのでありますが、今その金額をごく大ざつぱに申し上げますと、ことしは、今までのところ、前年に比べまして、月々申込み金額が非常にふえております。ただ、ごく最近の情勢といたしましては、その増加の勢いが衰えて来ておるのであります。それでも大体昨年より一割ないし二割よけいの申込みをいただいております。昨年はこの十月が、ごく大ざつぱなラウンド・ナンバーで申し上げますと、八十億円、十一月が百十億円、十二月が九十七億円。これは、年末の申込みというのは大体十二月の初めの方に集中しますので、あとはぐつと落ちまして、九十七億円というように減つております。本年度も今までのところから推しまして、大体この一割増、あるいは場合によつては二割増範囲ではないかと思いますが、そうなりますと、九月が十一億円、十一月が百二十億円から百三十億円、十二月が百十億円から百二十億円という見通しでございます。これで参りますと、十一月、十二月の合計申込みは二百三十億円から二百五十億円ほどあるのではないかと思います。昨年が二百十億円ほどであります。これに対しまして、私ども、この許されておりますいろいろ動員いたしまして、つまり、月々の回収金と資金運用部からの借入金を合せましてお貸付を計画しておりますのが、ざつと今これから申し上げるような予定になつております。十月は大体二十八億円、十一月が三十四億円、十二月が五十二億円。十一月、十二月をとつてみますと八十六億円ほどのものは十分手配がつくわけであります。月々の回収金がざつと二十五億ございます。それから資金運用部の借入金が、十一月が十二億、十二月が二十九億というものが御了解いただいておるわけでありまして、これを合せまして、ただいま申し上げましたような八十六億という貸付ができるわけであります。昨年度は八十四億という資金をお貸付できたわけでありまして、少しばかりよけいということであります。このほかになお、私どもの方におきまして、昨年度と違つてことしは特殊な貸付を始めまして、いわゆる特別小口貸付といいまして、一口当り五万円以下の運転資金を、これはお申込みになつたらなるべく早く、大体三週間以内にお貸付するという仕組みをとつておりまして、これをやつておりますが、従来のところ、まだ十分その趣旨が徹底しておりませんので、十分な御利用を願つておりませんけれども、これがやはり年末には若干出るのじやないかと考えております。その方を、十一月、十二月で私ども大体二億四千万ほど用意しております。そのほかに恩給担保貸付というのを私どもは昨年末からやつておりまして、本年になりまして大分多くの資金をその方へまわすようになつておりますが、この恩給担保貸付のうち約七割、正確に申しますと七二%というものが事業資金でございまして、これも中小企業資金と考えていいと思います。ただこれは限られた方だけの御利用をいただいておるわけでありますが、この方に大体月に二億二、三千万円ずつ出しますので、十一月、十二月で三億二千万というものが出ます。これを合せると、先ほどの八十六億に対して九十二億、昨年の八十四億に対してかなり――かなりとも参りませんが、昨年よりは割合によけいの資金が手配できるわけであります。ただ、お申込みの方も、一割、場合によりましては二割増加するかもしれませんので、全体としましてはややきゆうくつになりやせぬかと思いますが、何とかこういう方法で切り抜けて行きたいと考えております。なお、このほかに災害貸付をことしは三億ほど、やはり十一月、十二月にお出しする計画を立てております。昨年も十一月、十二月で四億出しましたので、この方も昨年と大差がない資金が手配できると考えております。
  62. 永井勝次郎

    永井委員長 以上で参考人の御発言は終了いたしました。  質問がありましたら、時間が経過していますからなるべく簡単に願います。
  63. 齋木重一

    ○齋木委員 最上さんにお伺いをいたしたいのであります。国民金融公庫の使用度といいましようか、活用度といいましようか、それが非常に円滑に行つているように私どもも聞いているのでありますが、先般私が県に帰りまして、国民金融公庫の支所へ行つてよく調べたのでありますが、この恩給貸付またはその地の点の事務の輻湊が非常に複雑になつて来たように支所長さんからも承つております。それらに対して国民金融公庫の事務員と申しまするか行員と申しまするか、非常な重労働ができないというこを申されておりまするので、これらに対するところのお考え方があるかどうか。それからもう一つは、五万円以下の一週間以内における貸付の事務促進であります。これらも先ほど申し上げました通りの事務の処理に当る行員ですか、事務員の方々の不足から、二月も三月もかかるということが十分うかがわれるのでありまして、これらに対してあなた方においては拡充するお考えがあるか、また対策ができておるのでありまするか、一言お聞きいたしたいのであります。
  64. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいま私どもの方の前線の仕事ぶりにつきまして、たいへん御同情のある御発言をいただきましてありがとう存じます。確かに御指摘になりましたように、恩給担保貸付は非常に手数がかかります。国だけの恩給についてならまだいいのでございますが、各府県、市などの恩給につきましても、みな扱つておりまして、それが各支所、みんなその地元に集中してやりとりするというわけで、たいへん手数がかかるのでありまして、そのために人手をふやすことにつきまして、私どもとしてもいろいろ関係方面にお願いしておりまして、これはまだ発表する時期ではございませんが、かなりの人数につきまして御考慮いただけるように大体お話が進んでおりますので、今後恩給担保貸付がどの程度にふえるかわかりかねますが、現在程度のもので進みますれば、何とかその方の処理がつく手配は大体立つておるわけでございます。それから特別小口貸付のこと、これはただいま申込みになつてからたいへん長く時間がかかるように伺いましたが、一般の方におきましては、どうも遺憾ながら最近人手が少いために、ときに一月、あるいは場合によつて二月なんというものも出て来るのであります。この特別小口貸付につきましては、私ども見ておりますところでは、大体二週間以内、場合によつては十日以内にお貸しできておるようでございます。あるいはそういうケースがあるかもしませんが、地方などで――地方など申しますのは支所の所在地外の遠隔地に特別小口貸付の内容をお話しまして、その遠隔地におきます商工会その他の機関で一応申込みをまとめられて、私どとの方へまわしていただくのがあります。その場合に私どもの方にいただく前に、あらかじめ各地のものを集めて手元に置かれる期間が長いということはあるいはあるかもしれませんが、私どもにいただきまして、いわゆるお申込みを受付けましてからは、非常に早くやつておるつもりでございますが、なおよく事情を調べまして善処したいと思います。
  65. 永井勝次郎

    永井委員長 この際参考人各位並びに説明員の方に一言お礼を申し上げます。非常に時間が経過し、長時間にわたりまして、種々貴重な御意見を御発表くだされ、ありがとう存じました、本小委員会といたしましては、各位の御意見を十分参考として調査を行つて参りたいと存じます。厚くお礼を申し上げます。     ―――――――――――――
  66. 永井勝次郎

    永井委員長 引続いて斉木君から質問の申出がありますので、この際これを続けたいと思います。斉木君。
  67. 齋木重一

    ○齋木委員 私は大蔵省の検査部の方方に一言御質問をいたしたいと思うのであります。御承知でありましようが、信用金庫に対して大蔵省検査部としてはいかなる検査をやつていらしやつるか、またその機能はどういうぐあいになつておりますか。まず一点お聞きいたしたいと思います。
  68. 賀屋正雄

    賀屋説明員 大蔵省のいたします金融機関の検査は、御承知のようにそれぞれの法規に基いて検査をいたすわけでございまして、信用金庫につきましても信用金庫法に根拠がございまして、大蔵大臣は部下の官吏をして検査をなさしめるという規定がございまして、これに基いて検査をいたしておるのであります。ただ実際の運営の仕方について申し上げますと、昨年までは大蔵省の役人といたしましても、本省の検査部ではなくて、御承知のように大蔵省の地方の出先機関といたしまして十の財務局がございますが、その財務局に配属されております金融検査官がこれを担当いたすことになつてつたのでございます。ただ、いろいろ信用金庫の中に問題のある金庫等も出て参りますし、それから最近のような金融引締めの政策による中小金融機関に対するしわ寄せの問題でありますが、政府はいろいろこのしわ寄せのないようにと努力はいたしておりますが、どうしてもそのしわ寄せの可能性も多いということで、何とかこの信用金庫に弱体なものが出ないようにという配慮もございまして、従来財務局まかせにいたしておりました信用金庫の検査につきましても、本年初頭からは一部のものにつきましては、本省の検査部におります金融検査官もこれに参加して、地方の財務局の金融検査官と合同で検査するという方針をとつております。
  69. 齋木重一

    ○齋木委員 そうしますと、本省並びに地方の財務局のものということになつておりますが、私は信用金庫そのものの性格からいいまして、信用金庫法によつてでも貸付限度、そういうものか十分あるとの思うであります。それを御承知か御承知でないかは存じませんが、時間も過ぎておりますから、簡潔に申し上げますが、目下福井金庫であの刑事事件が突発いたしております。不当貸付といつたようなものから、今検察庁の手に検挙されております。これらに対してどういうような監いたしたいのでおつたかを一応お聞き督方法を講じてあります。
  70. 賀屋正雄

    賀屋説明員 福井の信用金庫につきまして最近不正事件が発生いたしたことは事実でございまして、そのために預金者にも多少動揺があつたのでありますが、事後措置といたしまして、大蔵省といたしましても側面的にその支払い準備等につきましていろいろ指導なり援助をいたしまして、最近では大体おちついたように聞いております。このような不正事件と申しますか、問題が起りましたいきさつ等につきましては、個々の金融機関の内容にわたる問題でありますので、私からこういう席上でお話するのは不適当かと考えるのでありますが、この信用金庫につきましても、やはり定例的に――これは北陸の財務局でございますが、財務局の方で金融検査官が出かけまして検査をいたしておつたのであります。検査官が十分検査いたしましても、これは毎日出かけて行つて業務を監督いたしておるわけではございません。あるときの検査から一年なり一年半たちまして、次の検査をいたします間に、いろいろ経営者の経営のあやまちとかあるいは不測の事態によりまして、その金庫が問題を起すというようなことはあり得ることであります。まあそれ以外に法律を遵守した経営をしておるかどうかというような点につきましては、検査のとき以外に、常時行政面におきまして、本省なり財務局で十分監督をいたしておつたわけであります。今回のような事件の起きたことは、非常に遺憾に存じておる次第であります。
  71. 齋木重一

    ○齋木委員 信用金庫貸付限度そのものは、法的にと申しましようか、検査規定と申しましようか、そういうもので一口一千万円以上のものは貸付けてはならないというようなことも聞いておるのであります。それらが一口七千万円、八千万円という不当な貸付けをやつて、それが焦げつきになり、借受けたものは昨年来パンを出して破算の状態にある。その被害高は大体において確実ではございませんけれども福井信用金庫においては約八億からの不当貸付、回収不能というような――また専務理事が今あがつておりまするが、何千万円というようなものを、着服したのかどうしたのか存じませんけれどもつております。その何千万円というような不当貸付をやつても、検査というものはそれで通るものでありましようか、どうでありましようか。それは検査規定、検査規定からいいますれば一言注意をすべき問題であり、改善をさせるべき問題であろうと私は考えておる。それを今日まで放任しているでしよう。ああいうような不始末をでかして、そうして中小企業に及ぼすところの、福井市近辺約八千人のものは非常な打撃を受けております。こういう問題を引越したということも検査員がどういうような検査、監督をやつているかということをわれわれは疑わざるを得ない。ただ温泉場なんかにおいて検査をやつたつて、それはわかるものじやない。そういうことに対する検査方式とかなんとかいうものは当時だれが検査をされたのか。昨年からこれは大きな問題になつてつたのが、たまたま、福井信用金庫が貸出人に対するところの差押えをやつた問題から、ありの一穴からあれが検察庁の手に入つた端緒となつて問題となつておるのであります。これはよく御存じだろうと思う。北陸財務局でも立会いでやつたとか、本省も立会いでやつたと言われるのだが、どういう立会い検査をやつたか、その真相をひとつ発表していただきたいと思います。
  72. 賀屋正雄

    賀屋説明員 北陸財務局の検査自体につきましては、個々の金融機関の検査の内容にわたりますのでお答えいたしかねますが、一般的に申しまして信用金庫の検査に限らず、大蔵省なり財務局の金融検査官が検査をいたしました際には、こういうような法令違反あるいは通牒違反の点につきましては十分注意いたします。むしろそのために検査をいたしておるのでありまして、これを見のがすというようなことは絶対にございません。御承知のように信用金庫につきましては大口融資の制限といたしまして自己資本、これは会員勘定でございますが、これの二〇%あるいは金額にいたしまして一千万円を越えた融資はできないことになつておるのでありまして、現実にこういう融資があるかどうかということは検査重要なポイントになるわけであります。検査をいたしました際にこれは十分当事者に注意はいたして参りますし、また検査をいたしましたあと必ずその検査の結果を当事者に通達いたしまして、検査の結果改善すべき事項あるいは法令違反等は十分これを指摘いたしまして、なるべくすみやかにこれを整理するように、そうして定期的にその整理の結果を報告するようにという――示達と称しておりますが、この示達の書面を出すことにいたしておるのであります。福井の信用金庫の検査についてもこの例に漏れないと考えております。
  73. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると、福井信用金庫の検査は昨年から今年にかけては何度検査をおやりになつたわけですか。
  74. 賀屋正雄

    賀屋説明員 ただいまちよつと記憶がございませんが、今年やつたことは事実であります。昨年やつておりますかどうか後ほど調べまして御返事いたしたいと思います。
  75. 齋木重一

    ○齋木委員 本年やつたのでありますか。
  76. 賀屋正雄

    賀屋説明員 ただいま記憶に間違いがなければやつたのであります。これは本省は参加いたしません。ちよつと私は記憶が残つておりませんが……。
  77. 齋木重一

    ○齋木委員 本省でないというと、本年度から本省と財務局とが立会いの上でやつておるというのに、本省が知らないというのは……。
  78. 賀屋正雄

    賀屋説明員 先ほど説明が足りませんでしたが、全部について本省が立ち会うという方針に改めたわけではございません。特定の信用金庫について本省の検査官が応援する場合もあるというふうに改めたわけでありまして、全部本省が立ち会うということに改めたわけではありません。
  79. 齋木重一

    ○齋木委員 財務局が検査をするのは、本省がそれを知らないとおつしやるのですか。
  80. 賀屋正雄

    賀屋説明員 もちろん報告がございますからわかるわけでございますが、ちよつと今記憶がないと申し上げておる次第であります。
  81. 齋木重一

    ○齋木委員 知らないと言うならば教えてあげましよう。そんなずさんな検査とか監督とかいうものはあるべき筋合いのものではない。こんなものは昨年、一昨年から計画的にやつておる。信用金庫の幹部諸公のでたらめなやり方なんです。これが今金融機関においては中小企業に悪影響を及ぼすとかいうような美辞麗句のもとに、福井信用金庫をふたをしようというような悪辣な手段を立てておる。これは県知事初めそういうことをやつておる。県の一億二千万円からの預託金の回収不能の問題、それから土牧産業KKという織物会社があるのですが、これらは七千何百万円という、昨年のうちにもパンを出した会社であります。これらが今検察庁の俎上に上つておるわけです。これは一専務理事とか常務理事とかいうものがやつたとして、理事長だけはまだ検察当局にも召喚をしておりませんけれども、こういうことはあり得べからざることなんです。そしてこれを公にすると中小企業に非常な悪影響があるからまあまあと言つて、臭いものにふたというごときことをやつておるのを現実に私どもは先般福井に帰つて見ておるのであります。私が見ておると、これらは預金の総額が十何億あるということを中央へ報告して、堅実な福井信用金庫だなんという宣伝に努めて、政府預託金、県の預託金獲得をやつておるが、半面においてはそういう不当な貸出しがあり、回収不能なことをやつておる。月掛、日掛の零細なる勤労階級の資金をかき集めて、そういう方面へ流したのが焦げつきとなつて問題になつて来た。こういうことを検査しないのでありまするか。またそういうことを知つていて、財務当局なり大蔵本省等が放任しておるのかどうか、私はこれを聞きたいのであります。
  82. 賀屋正雄

    賀屋説明員 そういう法令違反はもちろんのこと、法令違反とまで行かないにしましても、金融機関としての公共性に反するような業務運営のいたし方をしております場合には、検査に際しましては十分厳重に注意をいたしまして、事後も報告を徴する等により監督はいたしておるはずでございます。
  83. 齋木重一

    ○齋木委員 監督をするだけで――今これがおちついたようなと賀屋さんは申されまするが、これはただ三月か半年、長くて一年の寿命を延ばすだけにすぎないのであつて、結論的には、残念ながらこれは再起不能になるのじやないかという疑念を私どもは持つておるのであります。そうした場合には、月掛、日掛の定期預金をやつたりしているところの勤労階級の者が大打撃を受ける大きな問題になつて来るのであります。そうなつた場合においてはだれが損するかといえば、やつぱりそういう弱い者が損するわけなんです。検査すること自体は、やはり育成して行くとかいうことが問題でなければなりません。検査しただけで済むものではないと私は思うのです。私はこの福井信用金庫をぶつつぶせと言うのではありませんが、どうするかということも大蔵省としては考えなければならない大きな問題だと思う。それらに対するお考えはあるのでありますか。あなたは検査部長だから、検査しろと言うだけで職務は事足れりと考えていらつしやるか存じませんけれども、福井市内は、ごうごうたる非難であります。また戦々きようきようといたしております。預金する者はもうありません。いくらかねやたいこをたたいて宣伝をやつても、月掛、日掛は一人も掛ける者はございません。そうして貯金したのは貸出しはしないというような結果を今生んでおります。これはきのうやきように起つた問題ではない。この根源は一年も二年も前から計画的にある。話によりますると、よくお聞きになればわかりまするが、理事長は福井市では相当の財閥のごとくにみんなが認識をいたしておるのでありますけれども、検察庁の手を経て調べてみると、電話一本も自分のものにはしておかないというやり方を彼らは計画的にやつておる。すなわち有限責任であるならいざ知らず、理事長初め無限責任であるがゆえに、自分の私物は電話一本すら自分のものにしておかぬというような、悪辣な手段を彼らはやつている。これらは許すことのできない社会問題であると私は考える。そういうことまでもタツチして検査することはでき得ないかもしれませんが、今申しましたように、詳細の点については検察庁の手においてやつておりますから、私どもとしては言うことは差控えますけれども、非常な乱脈なことをやつている。こういう問題に対しては当局としては何とお考えになりますか。
  84. 賀屋正雄

    賀屋説明員 お説の通り、福井信用金庫をどうするかということは私の職権外のことでございますが、万一にもこれが再起不能ということになりまして、多数の預金者各位に御迷惑を及ぼしますことは、社会的にも重大な問題であり、また他の金融機関にも波及するおそれもありまして、非常に重大な問題と考えられまするので、今後の成行きを見まして、常時財務局本省間の連絡を緊密にして、情勢に応じ、適時適切な対策を立てて参りたいと考えております。
  85. 齋木重一

    ○齋木委員 最後に一点部長にお願いいたしておきます。昨年度から本年度にかけて福井信用金庫に対する検査に行つた北陸財務局の検査員はだれであり、また本省の者がそれに立ち会つたのなら、それは何月何日の検査にだれが立ち会つたのか、そのときの検査状況、これらを今ただちにとは申し上げません。文書でけつこうでありますから、御報告願いたいと思います。
  86. 賀屋正雄

    賀屋説明員 個々の金融機関の検査の結果につきましては、これは職務上知り得た秘密でございまして、他に漏らすことができないことになつておりますので、正式に文書をもちましてはちよつと提出いたしかねると思います。
  87. 齋木重一

    ○齋木委員 提出はできないとおつしやるんですか。
  88. 賀屋正雄

    賀屋説明員 提出いたしかねます。
  89. 齋木重一

    ○齋木委員 なぜ提出できないか。福井信用金庫の検査状況と北陸財務局のだれが検査に行つたか、本省のだれが行つて検査したか、これだけくらいのことは言えるはずであります。
  90. 賀屋正雄

    賀屋説明員 検査に参りました日時、人員、人名等は非公式にお答えいたしてもさしつかえないと思いますが、検査の結果につきましてはちよつとお答えいたしかねます。
  91. 齋木重一

    ○齋木委員 検査したときには、福井信用金庫は堅実なものであり、正しいものであるということを結果づけて検査したという裏書きになるから、そういうことをおつしやるのか。これはきのうやきように起つた問題でない、昨年、一昨年から計画的にやつた問題だから私は申し上げるのです。だから昨年から検査に行つたのはだれか、その状況はどうであつたか、そのくらいのことはちやんとわかつているはずです。それを報告できぬということはけしからぬ。何とか行かないか……。
  92. 賀屋正雄

    賀屋説明員 繰返して申し上げますが、検査の結果、どういうような問題があつたかということは、一般には公表いたしかねます。ただだれが何日間行つたというようなことは非公式に申し上げてもさしつかなえいと思います。個々の金融機関の内容につきましてはお答えいたしかねます。
  93. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると、大蔵省の検査部なんというものは悪いことをした者を助長しようという方針で検査をやつておるのかどうか。検査したり監督したりするということはそうじやありますまい。それならその結果をわれわれに報告できないというはずはないじやありませんか。そんなばかなことがあり得べき筋合いのものじやない。だから、これは必ず報告をしてもらいたいと思います。文書でけつこうですが、できますか。そして大体一週間くらいの間に金沢の財務局なり何なりによく問い合せるなり調べるなりして報告をしていただきたい。
  94. 賀屋正雄

    賀屋説明員 大体は結論はかわりないと思いますが、帰りましてから上司と相談いたしました結果、できるものでありましたら提出することにいたしたいと思います。
  95. 齋木重一

    ○齋木委員 できるというのは、どういう程度までできるのですか。
  96. 賀屋正雄

    賀屋説明員 程度と申しますと、内容の程度でございますか。できそうかどうかということですか。
  97. 永井勝次郎

    永井委員長 報告を受けて、それについて質疑があればまたやるということにしたらいかがですか。
  98. 齋木重一

    ○齋木委員 あなたのできる範囲内におけるところの文書でもいいですから、急速に報告を願つて、それによつてまた委員会においてお聞きすることにいたし、留保いたします。きようはこれで一応打切ります。
  99. 永井勝次郎

    永井委員長 この際大蔵省の特殊金融課長ちよつとお尋ねしたいと思います。大蔵省関係では、商工中金政府出資が現在二百十万円、貸出し残高合計が四百八十億、政府出資としてはすずめの涙ほどの、問題にならない状態になつておる。こういう状態でいて、監督あるいは指令というようなものが相当に強化されて、大蔵省から理事も何名かを差向けておるというようなことであります。大蔵省当局では漸次民営形態に移行したいという意向のようであるということを聞いておるのですが、民営に移行するならするように、また出資金に比例した監督なり内容タツチなりをして行くように正常な形に移行する考えがあるのかどうか。この点大蔵省当局にお伺いします。  それから中小企業金融公庫から商工中金への貸付が二十億になつておりますが、これがこのままで置きますと、中小企業金融公庫の方でこれを回収しなければならぬ。それだけ商工中金は減資しなければならないことになるので、これを政府出資に切りかえてしまうか、あるいは中小企業金融公庫の方に二十億を補填して、商工中金が現実に減資にならないような措置を講ずるか、どういう考えであるか。これらの点について伺います。
  100. 加治木俊道

    ○加治木説明員 商工中金に対する措置をどうするかという問題は、私簡単にここで結論めいたことを申し上げることはまだできませんが、二百十万円という変なはした金でございますけれども、これは古い出資が再建整備の際切られまして、残つた金額ちようど二百十万円になつておるわけであります。中小公庫ができます前の商工中金というものは、もちろん組合金融機関の中核機構でありましたけれども、中小公庫がない場合には、何と申しますか、中小金融の占めるウエートというのは、政府との関係においてはかなり違つておつたということが言えると思います。ところが中小公庫ができますと、政府資金中小企業向けの放出は、政策的なそういう資金供給のルートとしては中小公庫というもの一本でやろうということに考えるのが制度上最もすつきりした形じやないかと思うのであります。もしそういう考え方を徹底しまますれば、もちろん中小公庫の金を商工中金へ代理貸しの形で流すことはけつこうでございますけれども、直接政府の金を出すことはどうか。中小企業にはもちろん国民公庫もございますけれども、今はこの問題は除いて考えます。それから商工中金はいわゆる組合の金融機関の中央機関として一般に組合金融に当つており、一方たとえば信用金庫の連合会というものもございます。それから労働金庫の問題をどうするかということも今問題になつております。それから農林中央金庫の問題もあるわけでありますが、これは組合主義の原理から言うならば、やはり自分たちの出資によつて――そういう意味でいえば純然たる民間出資、民営の形で自立性のある中央機構として確立するのが、制度上はすつきりした形ではないかと思うのであります。ただ最近商工中央金庫の債券の発行限度と関連しまして、出資願を増額しなくては実際問題として困るという問題で、今関係方面からわれわれの方に要求が来ております。この問題は今検討中でございます。かりにそういう問題がありましても、筋からいうならば、当然本来の出資、会員からの出資を増強しましてそういつた解決をはかるというのが一応の考え方だと思いますけれども、それが非常に困難であるということであれば、暫定的な何らかの措置を構じなければならぬ、その場合に政府が何らかの形でこれに関与しなくてはならぬ、これらはもう少し関係方面とも折衝いたしました結果結論を得たい、かように考えております。
  101. 永井勝次郎

    永井委員長 特殊金融課長に重ねて伺います。民営形態に移行するならするでいいと思いますが、それならば、政府出資二百十万円というこの零細な資金にひもつけして、理事を派遣するとか、あるいは監督、指令を現在強化しているのですが、民営の形で、組合運営でコマーシヤル・ベースに乗せた自主的な運営ができるように、そういう理事の派遣とか指令とかいうものをもつと緩和してしまつて、そういうものを解除してしまう。二百十万円の出資なんか、商工中金からいえば政府に返して、そしてまつたく民営の形態にして行くということは可能であろうと思うのですが、そういう点はどうですか。
  102. 加治木俊道

    ○加治木説明員 お答えいたします。これは実際上大蔵省出身の者が現在理事で入つておりますけれども、理事を派遣いたしておるわけではありません。これは古い出資関係に基く特別な監督関係で今監理官というのもございます。それから理事は任命制度になつております。これが実質的に政府との関係をどうするかということで、かりに完全な民営機関とするならば、そういう監理官制度とかあるいは理事の任命制度とかはやめたらどうかということになろうかと思います。ただ中央機関の運営の場合、中央機関のスタツフを会員の組合から任命したならば、実際上中央機関として円滑に支障なく運営できるかどうかという問題があるわけであります。本来中央機関ですから、あらゆる傘下の所属団体に対しては中立的な立場で公平に業務を運営しなければならない、ところが往々にして会員出身ということになりますと、その辺がよく自覚してやつていただければそれでけつこうなんでありますが、どうかすると方向を曲げられるおそれなしとしない。また借りに行く会員がもし非常に競争関係にある他の会員たる所属団体から理事者が出ておるということになれば、金を借りに行くときには実際問題としてある程度バランスを見せて、腹蔵なく洗いざらい悪いところもいいところも全部見せなければならぬということになるわけです。そういう場合にどうしても中立的な立場に立つておるものの方が中央機関の運営はうまく行くというような問題もあるわけです。その辺で農林中金にいたしましても、同様常務を担当しておるスタツフは会員外から選ばれており、そのうちの一人として大蔵省から入つておる。これはこちらから押し込んだというよりは、むしろもらわれて入つたというようになつておるはずであります。実際上特別な権力的な不当なことをやるという意思は毛頭ございませんが、いずれにしましてもそういう特別な監督関係は、完全な民営方式であれば払拭すベきものであることは当然なことであります。しかしこの点は商工中金側としても割切つていないようであります。われわれもかなり大きな問題として今後検討しまして、仰せの点も十分考慮に入れ適正な結論を出したいと思てつおります。
  103. 秋山武夫

    ○秋山説明員 中金の性格及び政府出資の関係は委員長仰せの通りわれわれとしても必ずしもこれが非常にいい形であるとは現在考えておりませんので、何とかうまい解決方法を得たいと考えております。ただいま御参考までに出資関係を申し上げますと、出資金全体として十六億七千三百万ほどになつております。そのうち傘下の組合からの出資が十二億九千七百七十万、約十三億でございます。それから政府資金といいますか政府出資が、これはつまり恒常的に出資されておるものは先ほどお話の二百十万円、そのほかに実は政府の優先出資というものがございます。三億七千二百万ほど現在残つております。これは再建整備の後に五億円優先的に出資されまして、それを年年償却して政府へ返しております。その残額が三億七千二百万円ほどございます。従つて全体の政府出資と申せば三億七千四百十万円ということになるわけでございます。それで今回と申しますよりは実は三十一年度になつてから特に問題になるわけでございますが、債券発行限度がすでに近づいておるということから増資をしなければならぬという問題になりまして、その際こういう不況下において傘下組合からの増資というものが満足に得られるかどうか疑問である。その意味において何らか政府からもそれを奨励する意味において政府出資を出してもらいたいというのが中金側の希望でございます。私どももそれは確かにもつともだと考えております。ただこれを具体的にどういう形式でどの程度に出資したらいいか、あるいは将来中金の性格をどういうふうに持つて行くか、それと今回の出資の要望とをどう調和して結論を得るかということは、当然これは法律改正の問題にもなりますが、場合によつては公庫法の改正の問題にも響いて参ります。いずれ通常国会にはそれぞれの改正案を提案いたさなければなりませんが、その間に十分関係省と協議いたしまして、できるだけ現実に即した妥当な結論を得たいということで検討しております。
  104. 永井勝次郎

    永井委員長 本日はこの程度とし、明日は午前十時より開会いたします。     午後二時五分散会