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1954-06-28 第19回国会 衆議院 通商産業委員会中小企業に関する小委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月二十八日(月曜日)     午前十一時四十九分開議  出席小委員    小委員長 永井勝次郎君       小金 義照君    首藤 新八君       笹本 一雄君    加藤 清二君       齋木 重一君    中崎  敏君  小委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    加治木俊道君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (繊維局絹化繊         課長)     岡嶋 楢文君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         参  考  人         (日本絹人繊織         物工業会副会         長)      茂木 富二君         参  考  人         (桐生市長)  前原 一治君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 六月二十八日  小委員齋木重一君同日辞任につき、その補欠と  して加藤清二君が委員長の指名で委員に選任さ  れた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  中小企業に関する件     ―――――――――――――
  2. 永井勝次郎

    永井委員長 それではこれより会議を開きます。  本日は、当面の問題となつております中小企業に関する件を中心とし、それに関連する諸問題、特に電力料金、重油の規制、金融貿易繊維関係等について調査を進めます。  中小企業庁長官から、先般院議を経ました中小企業危機打開に関する決議に対する事後の処理について発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 岡田秀男

    岡田説明員 去る五月三十一日衆議院において行われました中小企業危機打開に関する決議趣旨を体しまして、その後いろいろと施策をやつて参りました状況について概略御報告を申し上げさしていただきたいと思います。  まず金融上点でございますが、金融機関中小企業向け融資を促進いたしますために、中小企業向け融資に対しまする法人税法上の貸倒れ準備金損金算入限度を、三月三十一日以後貸増分に限り千分の十五に引上げることにいたしまして、六月二十二日に中小企業者に対する貸倒れ準備金損金算入限度の特例に関する政令を公布いたしたのでございます。本措置は、信用の膨脹を伴うことなく、市中銀行資金をでき得る限り中小企業向けにまわさせることをねらつたものでございまして、かたがた金融機関資力充実にも寄与し得るものと考えるのであります。さき金融機関に対して示されました融資基準についての銀行局長通牒におきまして、資金偏倚規正と相まち、以上の政令は相当の効果があるものと期待いたしておるのでございます。なお本措置によります税収の影響は、今年度における中小企業向けの貸増しを前年度実績の八%見当と見込みまして、約六億円程度に上るものと推計をいたしておるのでございます。市中銀行中小企業向け融資を圧縮せざるよう、五月六日に中小企業庁より全国銀行協会連合会に要望いたしましたところ、同協会におきましてもこれを了承いたしまして、融資自主規正委員会の決定をもつて傘下銀行に指示するところがあつたのであります。その趣旨は逐次浸透徹底を見るものと考えられるのでありますが、三月末までの実績はいまだ十分とは言いがたいのでございます。二十八年におきまして累月少しずつではございましたけれども改善して参りました全国銀行の貸出し中、中小企業向けの占める割合というものが、一月から三月までは二十八年の傾向と逆に低下をいたしておるのであります。しかしながらこの情勢にかんがみまして、近く前記貸倒れ準備金制度改善をいたしたという趣旨もくみまして、一層徹底できますように、私の方からさらに全国銀行に申入れをいたすことにいたしておるのであります。  中小企業金融公庫融資につきましては、現下デフレ経済状況も勘案いたしまして、運転資金の供給に関する要領を改正し、かねて問題となつておりました長期運転資金融資限度について、百万円という目安を一応つけておりましたものも、この状況下におきましてこれをはずしまして――目安ということが誤解を招いて、長期運転資金貸出しを抑制するかのごとき印象を一部で持つてつたようにも考えられますので、さような誤解を解く意味からも、この限度を正式に撤去いたすことといたしたのであります。  小口信用保険制度につきましては、関係方面の期待がはなはだ多く、信用保証協会契約予算において承認を得ました三十六億円という契約限度をもつてしては不足を感ずるような状況に相なつて来ております。右契約によりまする融資保証実績は、五月二百四十件、六月十九日までの通知受理で二百十四件となつておるような状況でございます。  次に税制の関係でございますが、徴税上の技術におきまして受取手形長期化、売掛金の累積等によつて中小企業納税上の苦難が多い点を考慮いたしまして、五月十六日、証券による依託納税の手続を国税庁より通達をいたし、手形をもつて納税にかえ得ることといたしたのでございます。本件によります手形の満期までの利息は日歩四銭ということになつておるのでありまして、中小企業者にとつてはその点は不利ではございますけれども、金融をつけることが困難な現状におきましては、中小企業にとつて納税上の便は相当多かろうかと考えておるのでございます。なおこの利息等につきましては、今後国税庁とさらに折衝を続けて参りたいと考えております。  次に中小企業者の有しております回収困難の債権貸倒れ認定基準を実情に即するよう緩和することは、現下情勢下、特に必要であろうと考えるのであります。この点につきまして、回収の難易に応じて債権の評価がえを認め、その差損を営業損金に算入することができることになりますれば、最も現実的であると考えまして、目下国税当局と具体的に折衝をいたしておるのでございまして、近く結論を得る見込みに相なつております。また青色申告制度におきまして、配偶者家族専従者の控除を認めたことは、同制度普及効果多きものと考えられるのみならず、デフレ的経済環境のもとにおきましては、欠損の場合、租税の払いもどしまたは繰越し等、青色申告制度の利点が発揚できるわけでありまして、本制度普及の好機であると考え、当面中小企業者経理面指導、この点に重点を置きましてやつて参りたいと考えておるのであります。  第三といたしまして公正取引の確保、不公正取引の排除という点について申し上げたいと思うのであります。まず下請代金支払い促進につきましては、三月末決算を中心といたしまする大企業下請支払い状況を、かねて公正取引委員会との連繋のもとに調査中でございましたが、中小企業庁の担当いたしておりました下請関係調査概略でき上つたのであります。公正取引委員会の担当いたしておりまする大企業関係調査も近く完了を見る予定でございますので、両者をつき合せまして、特に事情もからみまして不当であると考えられるものにつきましては、具体的な措置が今後とられて参ると思うのであります。中小企業庁調査いたしました下請関係調査の結果を見ますると、なおこの下請関係支払い状況というものは相当きびしいものがあるように見受けられるのであります。昨年夏調査をいたし、暮れに一部の企業に対しまして支払い改善方措置を講じたのでございます。それによつて一部の方面には改善あともうかがわれる点もなきにしもあらずでありますが、一般的に見ましてやはりこの経済全般状況とも相呼応するかと思うのでありますが、下請苦難状況はつきりと看取できるのでございます。この点につきましては今後も十分の措置をとつて参りたいと思います。  なお下請支払い促進等中小企業の大企業との関係におきますところの不当圧迫を除去するという仕事に関しまして、公正取引委員会担当人員と申しますか、手足が非常に不十分でございますので、中小企業庁関係者を一部総理府職員に併任をいたしまして、この公正取引委員会事務を応援させることにいたしたい。また名古屋、大阪の公正取引委員会の支所に対しましても通産局より兼任者を出して、本件事務の完璧を期するようにいたしたいと存じておるのであります。  次に百貨店関係でございますが、百貨店の行いますところの不当返品あるいはおとり廉売、客の送迎、手伝い店員を強要する等の不公正取引を減少するため、これを独禁法の不公正取引特殊指定にする方針のもとに、現在公取におきまして具体案作成中でございます。近く公表の運びに相なると存ずるのであります。なお百貨店協会におきましても、輿論なり政府筋方針等にかんがみまして、いろいろの点について自粛の申合せをいたしておりまして、かなり活発に個々の会員に対して指示なり注意を促しておるようでございます。極端なものは漸次減少して参るかとも思うのであります。  なお百貨店中心といたしまして、いわゆる友の会というものが最近盛んになりつつある傾向が看取されるのでございますが、これらは商品券取締法あるいは証券取引所法、あるいは出資の取締りに関する法律等、いろいろの法の関係から見まして、一体適法なものであるかどうか、妥当なものであるかどうかということを具体的に検討をいたしておる次第でございます。  また他の面から申しまして、大中小を含めまして、最近景品つき販売でありますとか、お得意先招待等射倖心を不当に刺激するがごとき方法によりますところの取引方法が、自転車、キヤラメル、雑誌、化粧品医薬品等に広く見られるように相なつて来ておるのであります。これらの業者競争が品質及び価格から離れて、一種の浪費競争となつておるような観がありますので、独禁法によりますところの特殊指定をこれらにも拡張するという方針のもとに、これも私の方と十分な連繋をとりつつ、公正取引委員会において具体案作成中でございます。  なおデフレ傾向深刻化に伴いまして、不公正取引とはあるいは申しがたいかもしれませんけれども、掛売り競争であるとか、あるいはクーポン販売、過度の大売出し等業界におけるやや不健全な傾向が激化しておるように思われますので、商店街あるいは業者組合等をして、あまり極度にならないように注意せしめる必要があるかと思いますので、近く協同組合指導方針として、かような極端なことにならないよう地方庁に通達をいたしたらどうだろうと考えまして、準備中でございます。なおこの種申合せは、一見不当な協定のごとく見られるかもしれませんが、独禁法に抵触するものでないことは、公取打合せ済みでございます。  次に先国会におきまして出ました加工貿易促進の問題でございますが、中小企業者国産品原料高より開放いたしまして、輸出の振興をはからしめることがきわめて肝要でございます。さき外貨予算の増加、保税工場制度改善等が行われたわけでございますが、これを中小企業者徹底させまして、十分活用するよう指導を行う必要があると考えております。中小企業庁といたしましては、簡易なパンフレツトをかなり多数印刷いたしまして、これを各方面に散布する等、この宣伝、啓蒙に努力をいたしつつある状況でございます。目下のところ内外値開きの特にはなはだしい電気銅のごときにありましては、業界からの希望が非常に強く、保税工場を申請せるものは横浜税関関係のみにおきましても相当の件数を数え、地域は長野、新潟等にも広がつておる状況でございます。本制度効果に刮目すべきものがあると同時に、何が輸出不振の原因であるかということを如実に示しておるものと考えます。市場が狭隘化いたして、有効需要が減少せんといたしております際に、特にこの国家の調達にあたりまして、中小企業にある程度の利便を与えるということは特に必要なことと存ずるのであります。この点につきまして、かねて農業協同組合と同様に中小企業等協同組合政府随意契約によりまして、政府各庁の調弁に応じ得るように会計法規の改正をいたしたいと存じまして、大蔵省折衝を続けておつたのでありますが、このたび予算会計令を改正いたしまして、同令第九十六条に一号を追加し、事業協同組合及び同連合会事業を育成するため直接に物件を買い入れる場合に、随意契約により得ることといたしたのでございます。もつとも事業協同組合農業協同組合と異なりまして、事業の範囲も広く、その扱います品物の種類も雑多でございますので、無条件にこの制度を認めるときには、会計原則を大幅に修正することになるおそれもございますので、具体的ケースについては、それぞれ大蔵大臣と協議して取扱うことといたしたのでございます。  なお一部歳入関係法案の不成立に伴う歳入欠陥でございますとか、あるいは郵便貯金の成績の伸び悩み等によります穴を埋めるために、実行予算等の策定が検討されておりますが、中小企業関係の経費につきましては、でき得る限りこの削減を避けるという方針のもとに、目下交渉中でございます。中小企業につきましては、現下状況にかんがみまして、すでに成立いたしました予算を十分に活用いたしたいという方針をもつて目下折衝をいたしておる段階でございます。  以上大体概略を申したのでございます。
  4. 永井勝次郎

    永井委員長 長官のただいまの説明に対して御質疑はございませんか。――加藤清二君。
  5. 加藤清二

    加藤(清)委員 長官の御熱心な発表につきましては全面的に賛意を表するものでありますが、この閉会中に地方へまわつてみますと、親の心子知らずで、せつかくできました中小企業金融公庫でもつてこの倒産続出中小企業を救うという意図がほとんど行われていないように思うのです。その点は、窓口せつかく政府から親心をもつて与えられましたのに、その金をまるで自分のところが集めて来た金のようなつもりになつてしまつて、そうしてこれを貸し付けるにあたつて非常な条件をつけて、その条件が、以前は設備資金ならば貸してやるが、運転資金はごめんこうむるとかいうようなことであつたのであります。それよりも、すでにここにいらつしやる首藤さんも、けしからぬということで、いろいろその窓口に対しては御注意があつたはずでございますけれども、それがなおまだ十分徹底していない。それのみではなくして、きのうきようの傾向を見ますと、そんな二十万、三十万ということはとんでもない話だ、じようだんじやないですよ、百万、二百万、私のところは三百万とまとまらないことには貸してあげません、これが相互銀行の例でございます。これは前にも言いましたように、リベートはつきりととつております。三百万貸してやる、低利にしてしかも長期であるから何とかしろというわけで――名前をあげろとおつしやればあげますが、相互銀行では、完全にリベートをとつております。それから次に、貸したあくる月から納めさせておる。これはひどいです。せつかく長期で貸してやろうという精神であの制度が設けられたはずでございますけれども、百万を借りた、やれうれしや、これで一時しのげるわいと思つたのに、あくる月から十万円ずつとられる。そうなりますと、二年間借りたはずでございますのに、二年間借りておるうちに二百四十万円払つてしまわなければならぬという勘定が成り立つのです。これは体のいい、いわゆる市中銀行のやる歩積みなんです。信用金庫がほとんどそういう傾向でやつております。名前をあげろとおつしやつたら、これもあげてみます。ただその店の信用上私は言わないだけでございます。  次に、これは実にふかしぎきわまることだと思いますが、政府機関であるところの商工中金が――これはおかしいです。再保険にするのだから保険料を出してくれ、こういうことを言つております。こんなばかげたことが許されてしかるべきであるのか、あるいは法律をもつていつの間にかそういうことが改正されたのか、私は寡聞にして知りません。私の不勉強であるということならばやむを得ぬでございましようけれども、もしそういうことを、法を踏みにじつてつている商工中金があるとするならば、その理由をこの際はつきりしていただきたいものであると思います。この再保険おかげで、せつかく金利が一割であると思つてつたのに、一割五分以上になるという結果が生じて来るのでございます。大企業に対しては七分五厘でさえもなお多過ぎるというので五分に減らしたり、三分五厘にしたり、その保証政府でやつていらつしやるほど御熱心な通産大臣をいただいておる通産省でございまするから、中小企業に対して七分五厘くらいはいいじやないかというてきめたはずでございます。それがいつの間にやら一割になつて、なおその上借りたとたんに再保険とかどうとかいう名目のもとに五分くらいとられると、これは一割五分以上の金利になつて親心はここで完全に踏みつぶされてしまつたという結果が生ずるのでございます。これに対して、一体本山である中小企業庁及び金庫の責任者としてはどのようにこれを分析し、将来どのような手を打たれようとしておられますものか、早急に手を打つていただきまして、ほんとうにあの法のあたたかい精神によつて危機に立つておりまする中小企業を救う一助にしていただきたいがために以上のような質問をしたわけでございます。
  6. 岡田秀男

    岡田説明員 主として中小企業金融公庫運用の面からいろいろの御指摘をいただいたのでございますが、運転資金には貸さないとかいうようなことが事実あるといたしますれば、私どもの趣旨宣伝徹底しておらぬことに相なろうかと思うのでありまして、公庫を督励いたしましてさらに趣旨徹底に努めたいと思うのであります。先ほど申し上げましたように、長期運転資金に関しましては、一応百万円という目安でやつてつたことが、あるいは百万円以上の運転資金は貸してはならぬのだというふうな意味に曲解されまして、それが運転資金の貸出しを抑制しておつたではないかという点も考えて、これを撤廃したような次第でございますので、われわれといたしましては、この経済下においては、設備資金よりもむしろ長期運転資金の方が公庫の貸出しとしては重点を置くべきときに至つておる、ここまで考えておるのであります。その点につきましてはなお一層勉強いたしたいと思います。  なお最低貸出額の点でございまするが、相互銀行の最近の五月の状況を見ますると、最高が八百万円、最低が三十万円、平均が百八十二万円くらいになつているのであります。御指摘になりました当該相互銀行が具体的にさようなことをやつているということでございますれば、別途お聞かせを願いまして、公庫の方の監査の対象にさしてよろしいと思うのでございますから、ぜひお知らせ願いたいと思います。  なお中小企業金融公庫は、長期の金を対象として貸出すことを目的といたしておるのにかかわらず、借りた翌月から元本の返済を始めさしているということを御指摘になつたのでございまするが、この公庫に関しましては、最高一年間のすえ置期間を認め得るようにいたしておるのでございますので、その具体的の場合、すえ置期間を全然置かずに契約をいたしたのかどうか、これも具体的に承りました上で、なるべく公庫趣旨が没却されないように仕事を進めて参りたいと思うのであります。  保険関係でございますが、現在信用保険填補率に対して年三分の保険料、従いまして、借り受けました全額に対しまして年二分四厘の保険料をいただくことに相なつておるのでございまして、金融機関がそのうち三分の一負担して、残りの三分の二は借り受ける人に転嫁してもさしつかえないという建前をとつておりますので、その建前通り実行いたしますれば、年一分六厘の保険料借受人、つまり信用保険をつけた金の借受人負担になるわけであります。この一分六厘をどうするかという問題、ひいては填補率、つまり借りた金の八割に対する年三分の保険料をどう下げるかの問題、これは信用保険制度が逐次改善を見て現在に至りつつもなお未解決の一番大きなポイントとして残つておるのでありまして、今後デフレ下におきまする金融対策として信用を膨脹させずに中小企業金融を応援するという建前からいたしますれば、この信用保険改善ということが非常に大きくクローズ・アツプされてしかるべきものであろうかと考えますので、われわれといたしましても、信用保険のあり方につきまして、目下緊急に要請されている大きな問題の一つとして具体的検討をいたしておるのであります。大蔵省の従来の建前から申しますと、保険というものの性格上、その経営は独立採算でやるべきものである、損をしてもかまわぬという前提に立つ保険料はあり得ないというのでございます。現在判明しております保険事故率等を見ますと、必ずしも大蔵省側を満足せしめ得るような、つまり保険料を下げてもよろしいのだという意味の資料は実はいまだできておらぬのであります。しかしその辺につきましては、保険料によつて、若干の損失を受けましても基金の運用益によつて埋めるということも可能でございましようし、いろいろ検討すべき点もあるので、この点はできる限り大蔵省と強く折衝いたしたいと考えておりまするが、現状におきまして、一分六厘に関しましては、金融機関信用保険をつけた場合、そのお得意さんに負担をかけましても、これはわれわれとしては放任をいたしておる現状でございます。
  7. 加藤清二

    加藤(清)委員 詳細の点につきましては、こういう大切な時間ですから、あとでお話するとしまして、私は全部具体的事実を持つて来ております。これは中小企業ほんとうに困つた人の切なる体験談でございまするから、一々個々ケースについてはあとで申し上げますが、もう一つぜひここで申し上げておかなければならないことは、十大銀行に預託されておる金のことでございます。この金が、さき国会の折にもちよつと話に出たことでございますけれども、都会中心に貸し出されて、地方の方へはこの恩恵が及んでいない、これをどう是正するかという問題でございます。実例を申し上げますると、愛知県におきましてもそうでございまするが、名古屋の本店の近くにある業者に対しては、審査をするに都合がいいからというので、この辺には多く貸し出されておるのでございます。ところが瀬戸というところは、輸出だけでも金に数えて三十七トン分の生産をしているところでございまするが、ここの支店長いわく、瀬戸近所には中小企業金融公庫の金を貸し出す対象なんて一軒もございません、こう言うててんで相手にしません。隣の春日井市がさようでございまして、借りに行かれますと、春日井市のような小さな業者の集まつているところへはこういう大切な金は貸し出すことはできません、これが支店長の話でございます。事実調べてください。借りておるところはございません。わずか半田市にこの前の水害のおかげで借りたところがございますけれども、これもやはり大口でございます。この中小企業金融公庫が、とかく中小企業とはいうものの、大企業に属する方にのみ貸し出されて、中小の方にはほとんど貸し出されていないといううらみはこの開設当初からあつたのでございます。ところがそれが依然として今日もなお行われ、大都会中心主義になつている、こういう点は特に十大銀行預託金にそれが多いのでございます。これについて何らかの措置をおとりにならないと、近郊小都市は潤わないのでございます。この潤わないということは、結局法の精神が、中心にのみ行き届いておつて、その隣接町村や小都会にはほとんど行き渡つていない、こういううらみがあるのでございます。これについてはぜひひとつ早急に手を打つていただきたい。特にその支店長あたりは言うことがおもしろいのです。政治家のお方がどんなふうにこの法律をおつくりになつたか私は知らぬのやけれども、その人が保証してくれるわけじやないのだから、その人がどう言おうとこう言おうと、あんたのところに貸すわけには参りません。それは選挙のときに名前を売るために、あんたのところへも貸してもらえるとおつしやつたかしらぬけれども、大体いなかの小さな三百万や五百万の身上のところには貸し出すことはできません、これが支店長はつきりした言葉でございます。私はそれを書類にしてもらつてつて来ております。はたしてしかくさようであるとするならば、この中小企業金融公庫法の精神は完全にここで踏みつぶされたといわざるを得ないのでございます。そこでその事のいかんを問わず、これが一部に潤わされて周辺に潤わされないといううらみは当初からあつたのでございますから、これについてぜひ適当な手段を早く打つていただきたい、こういうことをお願いするわけでございます。  次に委員長にお願いしますが、せつかくこの休会中にこういう会が催されているにもかかわりませず、中小企業庁長官だけは熱心に出ておられますけれども、さきにお願いしておきましたこれの本尊である銀行局長河野君などが来ておらぬ。これは一体どうしたのですか。ほんとうは河野君に聞かなければならぬことがたくさんある。これは大蔵省がそのつもりになつてくれなかつた中小企業は救われません。そこでお願いしたいことは、通産当局の責任者と、それから大蔵当局の金融関係の担当者を早急にここへ呼んでいただきたい、こういうことでございます。
  8. 永井勝次郎

    永井委員長 官房長その他は前々から連絡してあつたのですが、怠慢であるのかまだ見えません。これは早急に呼んでいただくことにいたします。通産大臣も今いろいろ公用があるそうでございますが、二十分か三十分、質疑はしないでも、国会閉会後におけるいろいろの動きについて報告すべきことを要求してありますので、連絡がつき次第これは取運びたいと思います。銀行局長は出席を要求したと私思つておるのですが、あるいは連絡が不十分であつたかもしれません。しかしこれから呼ぶように取運びをいたします。
  9. 岡田秀男

    岡田説明員 十一大銀行につきまして、これらが大都市を中心にした融資をやつてつて、その地方方面に対しては貸出しにきわめて消極的であるという御指摘でございます。大体十一大銀行というものの大きな使命といたしまして、大ざつぱに申しますと、都会中心の貸出しということは、大体の傾向としては従来からあつたわけでございますが、御指摘の十一大銀行はおそらくは東海銀行だろうと存ずるのでございます。東海銀行ということになりますと、これは十一大銀行であると同時に地方銀行としての性格を持つているものと思うのであります。従つて東海銀行につきましては、やはり名古屋だけということではいささかかつこうがつかないだろうと思います。実情を公庫をして調べさせました上で適当の指導を加えたいと存じております。  それから中小企業金融公庫と申しながら、割合に大きな業者の方へ貸出しが偏する傾向がありはせぬかということでございます。二十八年度の公庫の貸出しの平均をとつてみますと、最高が二千九百万円くらい、最低が二十万円、平均が二百十二万円ということになつてつたのであります。私どもといたしましても、たとえば相互銀行とか信用金庫とかになりますと若干貸出しの高が固まり過ぎているような気もいたしておりまして、それぞれ所要の指導を加えておつたのでございますが、本年度になりましてからやや傾向がかわつて参りまして、平均が百九十万円程度で、二十万円程度の減少を平均において見るに至つておるのであります。必ずしも大口がいかぬと申すわけではございませんが、それぞれの金融機関の性質に応じまして、あるいは大きな場合もあつてもよろしいけれども、同時にまたこの資金を広く多数の中小企業者に利用してもらうという点もあわせて十分考慮しながら運用して参ることが必要であろうと存じております。この貸出しの規模の平均をとつてみますると、従業員大体五、六十人程度のものが貸出しの平均に相なつております。この辺が今のところ中心になつているのでございまして、次第にしかるべきところにおちつきつつあるように見ている次第でございます。
  10. 永井勝次郎

    永井委員長 中小企業庁長官に対する質問は一応この程度でよろしゆうございますか。――次に公益事業局長が見えているので、引続いて電力料金の問題について中島公益事業局長から説明を願います。
  11. 中島征帆

    ○中島説明員 電力料金につきましては、去る三月の中旬に申請の供給規程に対しまして聴聞を各地でいたしましたが、その後聴聞の結果等も十分参酌いたしまして、また事務当局において申請案を十分検討の上、いろいろ査定ないしは修正を要する点が認められましたので、どういう点をどの程度手を加うべきかということにつきまして、その後数週間を費して慎重に研究いたしております。大体におきまして五月の終りごろまでに、一応私ども事務当局の試案程度までまとまりまして、これを省内あるいはその他の方面に対して逐次提示いたしまして、なお検討しておる、こういうようなことになつておるわけであります。  それからその内容につきましてはそういう段階でございますが、いまだ最終的な案でもございませんし、なお今後の検討にまつべきものもありますので、ただいままで私どもの出しております数字は、発表いたしておりませんけれども、大体におきまして事業者の申請によりますと、年全国平均で一割四分四厘、あるいは燃料費調整後と比べますと一割七分八厘、こういう引上率になつておりましたが、先般来の金利の引下げあるいは租税の引下げ、こういつたよう措置によりまして、四十数億の負担が軽減されております。その他石炭の値下りでありますとか、あるいは実際に運転状況を見ました場合におきまして、石炭の消費率が非常によくなつておる。またロス等につきましても、損失率がその後もきわめて好転しておるというような実際面も十分考えまして、全体的に相当大幅な査定ができたわけであります。従いまして一割四分四厘の値上げに対しましては、大よそ七分以下見当まで現在までのところ原価的に下げ得る、こういうふうな大体の見当をつけておるわけであります。  それから制度の問題でございますが、今回の改訂は料金引上げと同時に、料金制度そのものに対する非常に大きな変更を含んでおるわけであります。その基本といたしております、現在大口に対して実施いたしております割当制度を廃止いたしまして、これを供給規程によりまして、いわゆる過去の実績を基本として、負荷率別料金制度と申しておりますが、そういうふうな方式によつて、計算式でもつて、一段料金を使える数字を出す、こういうふうなことを基本にいたしまして新しい制度ができております。むろんそういうふうな制度をとるのは、東北と北陸を除く七地区でございまして、その七地区におきましては現在と同様に一段料金、二段料金というかなり幅の開きのある二つの料金を置くことになつております。東北、北陸につきましては、すでに一本料金化するという案をとつております。その点につきましては、制度の内容が比較的簡単でございますが、その他につきましては二段料金をとつております建前上、料金制度の内容につきましても非常に複雑な変化があるわけであります。こういうふうな制度をとりましたために、各需用部門、各産業等にどういうふうな影響があるか、これも十分検討しなければなりませんので、われわれとしてもでき得る限りの調査をいたしております。ただ今回の変更のねらいというものは、現在の二段料金制度はできるだけ早く一本料金化すべきだ、そうして電気料金の制度を単純化して、もつとわかりやすく合理的な制度にすべきだ、こういうふうな基本的な考え方を持つております。そういう意味におきまして、割当制度によつて多少ひずめられております現在の料金制度を、さらに一本料金に一歩近づけるという意味におきまして、いろいろな手を加えておるわけであります。従つて一段と二段との値開きも、今度の場合も現在より少し狭まつておる。これも一本料金に近づけるための一つのステツプでありますが、そういうふうなねらいからいたしまして、従来のやり方とは根本的に違う点が出て来るわけであります。従つて今度の制度変更によつて非常に不利益を受けるところは、従来のやり方によつては、逆に言えば比較的優遇されておつた部門である。また逆に従来きわめて不遇でありました比較的に高い電気料金を支払つてつた部門というものは、今度の制度によつてはこれがずつと改善される、こういうようなことになりまして、もしもこの影響を全然ゼロにするということにいたしますと、今のような従来優遇されておつたものは相かわらず優遇が続けられ、従来不利であつたものは相かわらず不利であるということになりまして、なかなか一本料金化という理想の形に近づきませんので、ある程度の影響というものはやむを得ないというふうに考えざるを得ないのであります。ただそれにいたしましても、あまりに急激に大幅な影響が来るということはいずれにいたしましても適当でございませんので、そういう点はできるだけ合理的な筋道のつく限りにおいて、その影響を緩和するというような方法をいろいろ講じてございます。それぞれ各需用部門ごとにいろいろの問題がございましたが、そういつたような考慮を各個別に十分いたしまして、はなはだ抽象的な説明でございますけれども、従来たとえば一割四分上るというのに、自分の方は五割も十割も上るというような声が非常に高かつたのでありますが、そういうところがなくなるように十分措置をしておるつもりであります。なおしかしこれが実際上にどういうふうになるかということは、ほんとう個々の需用家のさらに立ち入つた実情に入つてみませんと明確になりませんけれども、従つてそういう点においてなお問題があるかもしれません。なお研究を続けることによつてこの案の修正の余地もあるかと思いますけれども、一応私どもの到達いたしました結論としては、ただいまの程度の値上りと、それから申請の制度の内容の修正ということによりまして、当初いわれておりましたような大きな影響を与えないで済むのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。これをどれだけ上げるか、あるいはまたいつから上げるか、あるいは上げないかというようなことにつきましては、これは今後なお政府全体として考慮すべき根本方針の問題でございますので、私どもただいまここで何とも申し上げかねるのでありますが、一応事務的にまとめ上げたところでは、ただいま申しましたような経過になつております。
  12. 齋木重一

    ○齋木委員 電気料金の問題で今局長からいろく御説明があつたのでありますが、東北、北陸を除いたほかの七地区というか、電力会社に対しては二本建、東北、北陸は一本建であるということのその内容、それと電気料金の値上げそれ自体私どもは大反対なのでありますが、実際におきましてこれは国内産業に対しますところの重大なる影響があると私ども存じております。しかしちらほら新聞等で見ますと、国会が済んだならば当局は電気料金を値上げする、こういうようなことが出ております。実際において今研究中だと局長は言われますけれども、早晩実現するというようなことを私どもは非常におそれるのであります。特に肥料関係等におきましては、石灰窒素、硫安に対しては、電気料金が上るために百七十何パーセント高くなる。こういうことも私ども計算的にも見ておるのであります。一割四分何厘というようなものでなくても、電力会社等においては十分採算がとれるという観点に立ち、また石炭その他におきましても価格は十分下つておるので、値上げするところの必要がないというふうに私どもは考えておるのであります。それが目下研究中で、値上げの問題については考慮しておるのだという御説明でありまするけれども、絶対に私どもは値上げということには反対であるということを表明するとともに、研究することは十分当局は研究してくださつてもけつこうですが、北陸、東北とほかのところとは、一本建と二本建という差別は、どういう観点から差別になつておるのか、それを一応お聞きしたいと思うのであります。
  13. 中島征帆

    ○中島説明員 東北と北陸を一本化いたしましたのは、大体一本料金にいたしますと、その同じ料金でもつて幾ら使つても使えるということであります。従来二本建をとつておりましたのは、いわゆる使用制限を真正面からするかわりに、安い料金で使える数量を一応はじきまして、それ以上は高い料金になる、それによつてある程度使用を抑制する、こういうふうなねらいがあるわけであります。できればそういうような二段構えをやめまして、単純な一本化料金にするのが望ましいわけでありますが、大部分の地区におきましては、まだそこまで行くほどに需給状況につきましても自信がないというわけであります。ただ北陸及び東北は昨今非常に水力開発も進みまして、大体本年度以降の見通しからいえば、一本化してもそれほど混乱は起きないだろう、こういうふうな見通しのもとに、会社もそういう申請をいたしております。またわれわれもそういうふうにすることが妥当だと考えております。他の地区はできるだけ早くこれにならつて一本化すべきでありますけれども、まだ少くとも本年ぐらいは二本建の料金に行かざるを得ないだろう。それによつて一段料金で使える数量というものは、割当制にはいたしませんけれども、過去の実績にいろいろな計数をかけて、おのずから出て来ます。それ以上は二段料金で使わなければならぬ。それによつてある程度使用抑制ができるだろうと考えております。むろんいずれの地区におきましても、たとえば渇水で水が少くなつた場合におきましては、これは東北、北陸といえども一般的な使用制限をかけざるを得ないと思います。それから二段料金制をとつておりましても、ある程度においては制限がかかるということも起りますので、どういうことになつても制限が絶対これで必要でないということにはなりませんけれども、一応需給の事情から言いまして、東北、北陸はほかの地区に比べて多少楽だ、こういうことになります。
  14. 齋木重一

    ○齋木委員 そうしますと、私どもが懸念いたしまするのは、大口需用と小口需用、それから一般家庭需用との価格の差額というものは、一本化することにおいて、東北、北陸は大口と小口との差額が非常に出て来ると思う。これらもやはり産業面に対して重大な影響があると思います。そういう面に対して、東北、北陸はどういう考えでおやりになるおつもりであるか、御説明を願いたいと思います。
  15. 中島征帆

    ○中島説明員 一本料金と申しましても、今までたとえば二段であつたとして、一段目が一円なら一円、二段目の料金は六円というふうにきまつておりまして、これは各大口、小口別にその金額はきまつてつたわけであります。今度これを一本化いたしましても、ただ小口のこういうものに対しましては、どれだけ使つても二円なら二円というふうに一本できめまして、それを単純化するわけでありますけれども、大口、小口あるいは電燈、この間の相違というものは、むろん今後もあるわけであります。     〔委員長退席、首藤委員長代理着席〕 従つて一本料金化することによつて、電燈あるいは小口というものが、他と比べて非常に不利をこうむるとか、あるいは特に有利になるというふうなことは、できるだけないようにいたしまして、それぞれの値段の値上率というものは大体平均的に行くようにいたしまして、ただその間で従来は二段であつたものを、中間をとりまして一本料金化しましたために、たとえば従来は割当量以下を使つておれば、一円五十銭の電気を使えた。ところが今度は一円五十銭と六円との中間をとつて、あるいは三円といたしたために、幾ら少く使つても三円だけは払わなければならぬ。そういうふうな違いはございますけれども、しかし各需用区分ごとに一本化したために、特に従来と比べてアンバランスが起きたというふうなことはないようにいたしたいと思います。
  16. 齋木重一

    ○齋木委員 もう一つ念のためにお聞きしたいのですが、この電力の問題については、政府においては料金を値上げすることを決定するまでは現状のままで、決定してから後に、東北、北陸は一本、他のところは二本というようなことになるのであるか、そういうふうなことは料金値上げということは別として、ただいまから各電力会社に対して指示をするのかどうかということをお聞きしたいのであります。
  17. 中島征帆

    ○中島説明員 制度と料金とは理論的に言えば、必ずしも一緒に考える必要はございませんけれども、しかし今回は申請の供給規程の中に、制度の変更と料金の改訂を両方含んでおります。従つて現在これをわれわれは一体のものとして取上げております。料金改訂をかりにいたしませんでも、たとえば今の一本化料金ということはとろうと思えばとれますけれども、実際問題としてはやはり同時でないと無理でないか。従つて制度だけをかえて、料金はしばらくそのまますえ置くというふうなことは、しいてとれぬことはありませんけれども、そういうことは起きないのじやないかと思います。
  18. 齋木重一

    ○齋木委員 いつごろまでにそういつた結論を出してやるというお考えであるか。福井県等においては、北陸電力等においても、大口需用その他についても割当制というような制約を受けております。これは電力会社に申請する場合において、割当制を強く会社が需用家に対して要請しております。だからそういう問題とからんで私は先ほどの御質問をいたしたのでありますので、これをもう少し明確にしていただきたい。
  19. 中島征帆

    ○中島説明員 料金そのものの問題は別にしまして、規則制度の問題になりますと、ただいま申しましたように、割当制を廃止して、料金規定によつて行くということにしますと、現在実施しております需給調整規則を改正しなければならぬことになります。需給調整規則を改正しますには、二十日の余裕をもつて聴聞をしなければならぬ。規則案が大体まとまつておりますので、近く聴聞の手続をとるようにしたいと思つておりますが、そうしますと、ここ一両日中に告示をいたしましても、さらに二十日以後に聴聞が行われるということになりますと、七月二十日になる。従つてそれ以前におきましては、制度を改訂しようと思つてもできないことになりますから、いくら早くても七月中に制度変更ということは無理だと思います。それから具体的な問題としましては、これは制度と料金改訂とからんでおりますので、その時期がいつになるかということは、今後政府首脳部の方で結論を出すことになろうと思いますので、われわれとしては何とも申し上げかねますけれども、できるだけ早く割当制度は撤廃して、またできるだけ電力会社の経理状態を改善するために、可能な限りにおいて早く実施してもらうということは、希望はいたしております。最終の結論がどういうふうになるか、ちよつと私にはわかりません。
  20. 永井勝次郎

    永井委員長 電力料金の取扱いにつきましては、前国会におきましてもずいぶんこれは問題になり、われわれは末期におきましては、料金の値上げを実施するにあたつては、その以前に、電力、ガスの小委員会もあり、継続審議の形になつているのであるから、これを委員会に諮つてもらいたいということで、これは委員会の決定になつていると思うのであります。われわれは前から心配したように、十九国会開会中はやかましいから、これをほおかむりする、議会が終つたとたんに、値上げの問題を具体的に取運ぶであろう、こういう心配が十分にあつたので、そういうことを取運んであつたのでありますが、はたして委員会なり何なりの方は全然無視して、事務的に現在取運んでおるようでありますが、この問題の取扱いについて官房長にお尋ねいたしたいのでありますが、委員会の決議等をどういうふうに了解しておられるか。そうしてこの値上げの問題をどういうふうにお取扱いになるのか、そうして方針としては、これはまだ事務的な折衝の範囲であり、また与党である自由党の政調会においてこれを取上げておるようでありますが、しかし電気料金値上げ反対というのは、これは全国的な輿論であります。従つてこの輿論に反して、九つの電力会社の利益を擁護するような措置は、これはなかなか手の込んだ手管がいる。そうして与党の政調会は反対であるという、一応こういう大衆へのアツピールをしておいて、そしてすつたもんだしながら、結局はいろいろな計算上電気料金は上げざるを得ない、こういうような結論でごまかして行こうというような点が、われわれは十分に見通されるのであります。こういう関係において、一体今後電気料金の問題は、どういうふうに政府としては運ばれるのか、自由党政調会の結論をまつてこれを決定するのか、あるいは電気ガスの小委員会が本委員会には設けられておるのでありますが、そういう関係にも具体的にお話合いになるのかどうか、今後のこの問題の取扱い及び手続方法、そういうことについてひとつ官房長から承りたいと思うのであります。
  21. 岩武照彦

    ○岩武説明員 電力料金の問題につきましては、今永井委員からお話のありましたように、国会が済んだからさつそくということじやありませんで、前回の聴聞のあとを受けまして、いろいろ事務的にも原価を引下げる方法等も検討いたしておりましたし、また当時の情勢としましては、ことに税法関係法律の成立が遅れておりましたので、それなんかが電力料金の原価にも相当響きますので、その帰趨を見る必要もあつたわけであります。  それから今後の問題といたしましては、事務的にはある程度の結論も出ておるわけでございますが、はたしてそういうような事務的結論だけで行つていいかどうか、これも相当問題があるだろうと存じております。ただ現在の電気事業法令の建前としましては、妥当な原価に基きまして算出された料金の申請は、これを認可しなければならないというふうな建前、ことに公共事業令の明文もそうなつておりますので、その辺の関係等につきましてなお検討いたしておるのでございます。  当委員会の小委員会の関係でございますが、この関係もそういうことでございますれば、またいろいろお話合いをしなければならぬかと存じておりますが、他方御指摘のありましたような与党方面の空気は、私まだ具体的に存じておりません。反対ということでございますか、あるいはやむを得ぬということでございますか、実は私もまだ了承しておりませんが、いずれにしましても、そういう方面とも御連絡しました上でやらなければならぬ、こう考えております。
  22. 永井勝次郎

    永井委員長 電力料金は現在の制度のもとにおいては原価主義である、これは認める。しからばその原価についてこれがはたして正しいかどうかということについては、われわれは会社から提示されたものをうのみにすることはできないと考えておるわけであります。会社からは一割四分四厘の値上げを要求して参つております。新聞紙上等で聞くところによると、七分程度の値上げを容認しようとしておるようであります。しかし表面から見ればいかにも一割四分四厘の値上げ要求に対して半額にこれを削減して査定したように見えるのでありますが、事実は固定資産税をどうする、税金をこうする、金利をこうするというふうに、われわれの血税の中でこれを処理して、実質的には一割四分四厘の値上げになる。会社側から見れば税金で負けてもらおうと値上げしてもらおうと、これはどつちでもいいのであつて、一面において税金の負担軽減をはかり、そして表面上は七分というような値上げ率を出して、いかにも国民大衆の経済の立場からこの問題を取上げたようなゼスチユアだけは示しておるのではないか、こう思うのであります。この七分の値上げの内容につきましても、原価主義であつて、これが妥当であると国民に示す以上、それが正確な根拠を持ち、十分にこれが正確であるという政府の責任をとるものでなければならないとわれわれは考えるのでありますが、この原価計算において、政府がこれは正しいのであるという七分の値上げを承認した根拠を概略示していただきたいのと、それからここで大体こまかい説明はなかなか困難であろうと思いますが、大よそそれに対する責任の所在を明確にしてもらうことと、これについての資料を提供していただきたいと思うのであります。この七分値上げについては政府は責任をとる、会社が出して来たから出すのだというのではなしに、自分の方で査定して、これが正しい線である、こういう根拠を持つて示されたものと思うのでありますが、その根拠をひとつ明確にしていただきたい。
  23. 中島征帆

    ○中島説明員 会社の申請案に対しまして、ただいま御指摘のように金利あるいは税金等の減免によりまして相当な減額があるのでありますが、そのほかに石炭あるいは運営の能率等について十分こちらにおいて査定をいたしまして、一応の数字を出しておるわけであります。大ざつぱな数字を申し上げますと、政府の方で特別の処置として軽減いたしました金利、税金関係負担の減の分が四十六、七億になります。それ以外に、一番大きなものは、大部分が石炭関係でございますが、そういうものを合せまして、全体で約百三十億程度の減額を査定しておるわけであります。従つて単に政府の配慮あるいは負担による原価の減だけでなくて、それ以外につきまして、たとえば石炭の価格の実勢でありますとか、あるいは会社の努力の余地でありますとかいう点も十分に考慮して出した数字でありますので、これにつきましてはわれわれとしては十分責任を持つつもりであります。しかしなおこれは今後政府部内、各方面検討を要しますので、最終的に出ました数字はまたこれと違うかもしれませんから、最終的に出ましたところは、やはり政府として十分責任を持つ数字であるということは申し上げてさしつかえないと思います。
  24. 永井勝次郎

    永井委員長 政府の責任を持つ数字がいろいろな経過をとつて非常に動く、動く幅が相当あるというのはどういう理由に基くのか、あるいは政治的考慮から価格を決定するというならば、石炭価格はこれである――たとえば利潤をどれだけ見るとかどうとかいうことはその見方によつて違うでありましようが、しかし政府が責任を持つてこれが正しいのであると言うその正しい数字が、いろいろな考慮によつて上に上り、下に下るというようなことは、われわれは理解しがたいのであります。これは一つの原価計算と、そういう価格を決定する政治的な考慮というものは別個であります。従つてその政治的考慮等が正しいかどうかということは、これは政策的に、政治的に考慮する問題で、原価という数字については明確なものが出て来なければならない。これはいろいろな経過をとつてあつちの考慮とかこつちの考慮とかいうようなものによつて動くものではない、われわれはかように考えるのでありますが、これをどう考えるのか。それから政府はただこれを責任を持つということだけではわれわれは了承しがたいので、責任を持つ内容についてわれわれは吟味しなければならぬ。政府は会社の原価計算について、帳簿及び運営その他経理の内容についてどのような調査なり、検査なり、そういう資料をもつてこれを検討されたのか、その原価計算を算出しました方式及びその手続についてここで明確にしていただきたい。
  25. 中島征帆

    ○中島説明員 いわゆる査定案の数字がさらにかわるということにつきましては、これは現在私どもの持つておりますものは公益事業局内で検討いたしました数字でありまして、われわれとしては一応この数字については十分な確信も責任も持つておるつもりであります。しかし公益事業局だけできめる問題であればこれをすぐに実施すればいいわけでありますけれども、いわゆる政府全体として検討するということになれば、それぞれの立場なりあるいは頭で考えました場合に、それぞれの項目につきまして、双方が違つて来る部面は必ずあると思います。一例をとつてみますと、石炭の価格の問題にしましても、昨年二十八年度一ぱいはすでに実績として出ておりますが、二十九年度にどういうふうに見るかということにつきましては、一応われわれとしては妥当な価格でこういうふうに動くであろうという推定をいたしておりますけれども、それについての見解はまたいろいろあり得ると思うのであります。従つて最終的に政府全体としてどういうふうな炭価をとるかということにつきましてはやはり今後かわる、こういうことになるわけでありまして、それぞれの項目につきまして同じような見解の相違というものはあり得るわけであります。結局最終的にきまつたものがこれが政府ほんとうの査定だということになるわけでありますので、そこで初めて政府として責任を持つ数字が出て来るわけであります。従つて現在持つております数字は、一応公益事業局としてはこう考えるという案でありまして、これが絶対にかわるということは理論上不適当だという性質のものではないと思います。それから原価の査定の内容についてでありますが、各会社の経理内容につきましては、常時内容につきまして詳細に報告もとつております。監査もいたしております。当局には監査課という特別の一課もございまして、内容につきましては、終始監査もいたしております。従つて電気事業者の経理内容については他の産業に対しますよりも少くとも通産省としては最も的確につかんでおるつもりでございまして、その間に経理上のあいまいな点というものはないはずであります。従つてわれわれはわれわれの監査に十分信頼しておりますし、また業者の提出された資料につきましても十分な判断能力を持つておると確信いたしておりますので、そういうふうな意味で査定をいたしておるわけであります。各項目につきましても、それがはたしてどの程度実際に確実であるかどうかという点につきましての判断、あるいはまた実際にはそういうふうな経理がなされておりましても、これを理論的に見まして、どの程度の経費を見るべきかというふうなことにつきましては、やはり従来の監査の経験と、それから一般的な電気事業のあり方というものに対します考え方から申しまして、おのずからそれぞれ妥当な査定の数字というものは出て来るわけであります。個々の項目につきましてそういうふうな見地から検討いたしまして、われわれの査定案というものをつくつたわけであります。
  26. 永井勝次郎

    永井委員長 われわれは九つの電力会社に対する経理について、対外的に責任を持つような組織において、またそういう一つの業務内容において経理の検査をしておるようにはわれわれは了解しないのであります。それは一片の答弁だけであつて、ただそれだけの陣容も持たなければあるいはそれだけの事務内容も持たないでいて、公益事業であるからこうであろうというだけのことであるとわれわれは考えるのであります。従つて政府が責任を持つというものの内容は、電気料金について電力会社の利益代表的な立場において作業をしておる、われわれはそういう疑義を持つのでありまして、そうでなければこのような――これからいろいろ質問して行きたいのでありますが、こういうような結論が出るわけはない、われわれはほんとうに公正な立場において、原価をほんとうに算出するという立場に立つならば、これは政治的考慮でどう料金をきめるかということは別問題でありますけれども、原価計算をはじき出すという過程においては、こういうような結論が出るわけはないと考えるのであります。今局長が言われたように、石炭の価格をとう見るかというような点について若干の見方が違うというようなことはあり得るでありましよう。そういう点をはつきりと石炭の項目についてこういう点、こういう点が価格において、数量においてこうという数字的根拠が出て来るわけでありますから、そういう点はけつこうでありますが、その他いろいろな経理内容についての何は、私は少くも公益事業局へそれだけの検査をして国民に責任を持つような陣容と、それから日常の事務的な作業をしておらないと、こう断定するのであります。  なおこれからいろいろほかにも質問があるそうでありますし、私も料金の問題についてはこの機会にもつといろいろお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、実はこの問題についても結局は料金の問題――原価計算がどれだけであるかということが出ればこの料金をどういうふうに取扱うかということは、これは政治問題になつて来て、経済政策一般の中においてこの問題は論議しなければはつきりして来ないと思うのであります。この点については大臣の出席を非常に希望するのでありますが、官房長は大臣の行先がつかめないということでありますが、少くとも警視庁に頼んでも、何時間かあれば有名な通産大臣でありますから、所在不明であるということでありますが、どこかへもぐつていない限りわかることであると思うのでありますけれども、もし都合が悪ければ官房長がひとつ経済政策というような見地に立つて、これは大臣の答弁であるというような答弁ができるようにひとつ今後の議事においてとり運んでいただきたい、かように思うのであります。
  27. 首藤新八

    首藤委員長代理 代理ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕     〔首藤委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 永井勝次郎

    永井委員長 速記を始めて……。ただいまから中小企業に関する件につき参考人より御意見を聴取することといたします。この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ特に当小委員会に御出席くださいましたことに対し厚くお礼を申し上げます。  すでに十分御承知の通り、中小企業に関しましては重大な問題が山積しており、過日の本会議におきましても各党一致をもつて中小企業危機打開に関する決議案が可決を見ておるのでございますが、現実に親しく中小企業に接触されております参考人各位より、中小企業の当面する諸問題について忌憚ない御意見を承りたいと存じます。  なお念のため申し上げておきますが、各参考人の御発言の時間は約十分程度とし、また小委員の質疑がありました場合、御答弁の際はその都度小委員長に発言の許可を求められることになつておりますので御了承を願つておきます。  それではまず茂木富二君よりお願いいたします。
  29. 茂木富二

    ○茂木参考人 業界の実情をお聞き取りいただく機会を与えていただきましてまことにありがたく存じます。  今回の金融の引締めが中小企業に対してきわめて大きな影響を与えておりますことは御承知の通りでございますが、ことに中小繊維工業に対する影響はまことに甚大で深刻なものがあるのでございます。物価の指数にも現われておりますように、他の物価よりも繊維品がいかに値下りがきついかということもすでに現われておりますが、この指数に現われておりません内地の織物のごときは半値もしくはそれ以下になるというものが、各産地に続出いたしておる次第でございます。これは正常な、合理的な値下りであればもとより低物価政策のときでありますので、われわれも了といたしますが、換金のための苦しまぎれの投げ売りでございまして、まことに容易ならざるものがあるのでございます。そのために各集散地の問屋の破産倒産は続出いたしておりまして、日々に不渡り手形を頻発しておるような次第でございます。従いまして産地への影響はきわめて強く、またこの不渡り手形等によるのみでなく、産地の値下りによります損失も予想外でございます。大商社、大企業の倒産のように目立ちませんが、連日産地では倒産破産者が出ておるような次第でございまして、実は競売等による悲惨なる処理をしておるのも数々ございます。また自殺者も出ておるというような実に悲壮な場面も出ておる次第でございます。ことに勤労者の失業もなかなか多いのでございます。なお織物の生産のみでなく、染色、加工、整理等の関連産業もまつたくその機能を失つておるというような状況でございます。  以上のような次第で、疲弊困憊その極に達しておる次第でございまして、私ども業界におきましては、実は価格の値上りのとき、原糸値上りのときには価格差益としてこれを没収されておりますし、また消費税等の打切りの折にもすでにきのうのものは戻税もいただけません。さらにまた企業整備のときのあの貴重な供出いたしました設備なども、御承知のような五万円で打切るというようなうき目にあいまして、まつたく困難いたしております。どうしてもこの際あらゆる御処置を願いまして救済を願いませんと、とうてい各産地がやつて行けないという状況にあるのでございます。  そこでぜひこの際急速にお願い申し上げたいことは、運転資金融資制度の確立をぜひお願いいたしたい。ただいまこの政府においていろいろ御配慮いただいておりますし、商工中央金庫あるいは中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等、それぞれ機関がありますが、これに対しましてぜひともこのわくの拡大、あるいは資金の増加等それぞれをはかつていただきまして、これらの運用を活発にしていただきたいことをお願い申すのでありまして、特に中小企業金融公庫における甲号はすでに扱われておりますが、これのみでは地方銀行がなかなか十分に活用できませんので、乙号の融資を拡大し、これをさらに簡易なる手続でぜひとも借入れのできるように御配慮が願いたいと思うのでございます。さらに大企業に対する融資が偏在しておるようにうかがわれますので、どうかこれも適当の調整を願いまして、中小企業に対する金融の道をもつともつと強化していただいて、地方のいわゆる産業と取組んでおります銀行の活動のできるような御配慮が願いたく思うのでございます。なお倉庫証券の担保の融資制度もこの際絹、人絹織物を追加していただきたいとお願い申し上げる次第であります。  さらに旧復金等から借り入れました設備資金、また災害復旧資金等、これはもうとうてい今のところでは償還の道も容易でないのでございますので、どうか一定期間のたな上げをお願いいたして、なおその期間における利子の免除をお願いいたしたい。さらに不良手形がまだまだ続出いたしておりますので、これを何とか処置いたしませんと将棋倒しになるおそれが多分にありますので、この商社の不渡り手形に対しましては、一定期間のたな上げ救済を願いたい。それには中小企業信用保険法等を何とかひとつ活用していただきまして、そしてこれらの融資を願いたい。さらに生産の調整をいたしたいというようなところから、ぜひともこの際中小企業の安定法の二十九条の命令をすみやかに発動していただきたい。なお繊維産業における不当取引、これは不況のために問屋のやむを得ざる処置ではございましようが、非常に長期にわたる手形を発行され、また不当なる返品等が行われておりまして、産地のこうむる影響が非常に大きいのでございます。この際公正取引委員会等を何とか御活用願いまして、これらの認定基準なり何なりを明確にしていただきまして、適当なる取締りをお願い申し上げたい次第でございます。さらに戦時中、中小繊維工業者の織機その他の設備が、企業整備資金措置法によりまして特殊預金となつてありますので、これが戦後の二十一年に戦時補償特別税のもとに一律に五万円にこれを打切られて没収されたような次第でございまして、これをどうか時価に換算して返還のできますよう御配慮を願いたく思う次第でございます。なおその他税の問題、いろいろありますが、次の参考人の方にお譲りいたしますが、特にお願いしたいのは、この中小企業の団体がもう少し強化できますように、自主的な調整等ができますように、協同組合法の改正等適当にお願いいたしまして、何とかこれを自主的にわれわれは切り抜けるような御配慮を願いたく思う次第でございます。なおそのほか信用保険法の改正とか、これも現行では一人が一千万円になつておりますが、これを二千万円に引上げて、協同組合、調整組合等あるいは連合会等につきましては三千万円を五千万円に引上げてもらうということに、もう少しこのわくを拡大していただきたいというようなことをお願い申し上げる次第であります。  以上簡単でありまするが、大要御説明を申し上げた次第でございます。
  30. 永井勝次郎

    永井委員長 次に前原一治君。
  31. 前原一治

    ○前原参考人 私前原でございます。本日この機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げる次第であります。今回の国のデフレ政策に関しましては、われわれといたしましてその政策に対しましてとかくの批判をするものではないのであります。ただ、このデフレ政策の重点金融の引締め一本によつて来ておるのではないかというふうなことによりまして、これが非常に早く繊維工業の方に現われまして、そのしわ寄せが、もうほとんど掛声によつて銀行金融引締め政策が大きくクローズ・アツプされて来たということによりまして、現在におきましては繊維工業者が塗炭の苦しみに陥りつつあるというような状態なのでありますが、これに対しまして、われわれといたしまして従前日本銀行指導のもとに最高限あるいはそれ以上に信用取引、いわゆる手形取引が強く指示されまして、ためにこれがむしろ思わざる水ぶくれの状態にまで行つたのではあるまいかというふうな状態になつております。戦前におきましては、これが荷為替取引、あるいは商品担保によつて銀行がそういつた信用の裏づけを一応考えての取引であつたために、比較的水ぶくれの取引もされなくて済んだのでありますが、今日におきましてはこれが組合においても原料費におきましても、機屋におきましも、非常に水ぶくれして、ごく小額の手形でさえも九十日あるいは百日、あるいはそれ以上の長期手形さえも発行されるというふうな状態でありまして、これがこの四月以来銀行が急にデフレ政策の線に基きまして、この手形措置を引締めた、それが結局織物業者にしわ寄せされまして、現在におきましては赤字倒産というよりも黒字倒産――銀行手形を割引しない、あるいはこれを引揚げるというふうなことによりまして、非常に手形の操作上、運転資金の操作上におきまして、まつたく手も足も出ないという状態になりまして、ここに繊維工業におきましては、わずか一、二箇月の間に非常に苦しい状態になつてしまつたというふうなわけであります。しかも金融機関におきましては、この点につきましても何らこれを顧慮することなしに、整理一本に進んでおる。今まで無制限に手形等も出させておいたにもかかわらず、今度は急にこれを引締める。私桐生市でありますが、現在桐生市におきましても従前清算取引といたしましてオーバー・ローンが建前であろうと思うのですが、これが急に引締めた関係上、現在におきましては預金が三十数億、それに対しまして貸付の方が三十億内外というふうなわけであります。四、五億の預金超過になつております。従前は十億内外のオーバー・ローンに絶えずなつてつたわけでありますが、これが四月以降におきましては四、五億の預金超過というふうなことになつておりまして、しかもそういつたような状態で貸付金のうちの大体四割以上というものが設備資金として従前貸し付けられておつたのでありますが、これが中小企業建前といたしまして、設備資金で借りたのかあるいは運転資金で借りておるかという点がはつきりして参りませんので、ややもしますと設備資金運転資金に肩がわりするというような状態でありまして、これがために運転資金のほかに設備資金さえもが引揚げられるような傾向になつてつたために、ここに非常に業者としましても運転資金に困るというような状態になつたのであります。なお現在の桐生市の実情から見ましても、問屋の倒産、これもやはり問屋といたしましても今まで手形取引を大幅に認められておつたために、相当手形を濫発しておる、これを銀行に相当引揚げられるために、手形操作の上において相当に倒産しておる、その問屋の倒産のしわ寄せというものがこれまた繊維業者のメーカーの方にしわ寄せされておるというふうな状態であります。しかもただいま茂木さんが言われました通り、現在の政府方針によりまして、繊維品が非常に値下りしたという点につきましても、これは常態の値下りではないということがはつきりしておるのであります。これは倒産あるいは投売りというふうなことによりましてここに相当の値下りを来しておる。われわれといたしましてはこれを何とか正常な状態においてデフレ政策をやつていただきたい。正常な状態においてということにつきましては、何とか総合政策といたしまして輸出の振興対策あるいはまた資金の面につきましても急速にその銀行の貸付金また手形に対する操作の資金というものを引揚げないで、順次その状況において引揚げてもらうというふうなことをしていただかないことには、これはとうてい業者が立ち行かないということははつきりしておるのであります。この意味合いにおきましてぜひとも総合対策といたしまして、いろいろな対策を講じていただきたい。なおまた現在の消費状態また原料の状態から見合せまして、現在の設備の状態におきましては、ある程度の制限をしなければならぬのではないか、設備制限という意味におきましても、設備制限の上において政府の方で適切な手を打つていただきまして、そうして適切なる設備制限をやつていただきたいということが考えられるわけであります。そういつたような面におきまして、ぜひとも適切な方法を考えていただきたい。  なお税金の問題についてですが、この点につきましては一応所得税及び法人税を何とか中小企業に対しましては大幅に引下げていただきたい。と申しますことは、中小企業者といたしましてやはり一応の設備は持つておりますが、その設備といたしまして、普通の勤労者の状態と幾分違いまして、ある程度の事業資金並びに設備というふうな点について相当の資本を持つておりますので、こういつた点につきまして一応の御考慮を願いたい。なおまた資本蓄積を奨励するためには所得額の二割以内の範囲で合理化資金の積立て制度を認めていただきたい。この合理化準備金に対しましては、非課税としていただきたいというふうなことをお願いいたす次第であります。なおまた事業税はぜひ撤廃していただきたい。これはもちろん県税の収入というふうな上におきまして、相当めんどうな点はあろうと思うのですが、この点につきましては農村方面中小企業者との関係等を十分考慮していただきまして、この点についての事業税の御考慮を十分お願いしたい、こういうふうなわけであります。  なお固定資産税中の事業用償却資産はぜひとも課税対象から除外していただきまして、そうしてこの中小企業の基礎を十分強固にしていただきたいということをお願い申し上げる次第であります。いろいろお願いを申し上げたい点も多々あるのですが、一応以上申し上げまして参考意見といたしたいと思います。  なお最後にこの中小企業の現在の状態から見ますと、労働基準法は比較的大企業中心にいたしましての状態でありますので、この点はむしろ中企業で基準法を適用しておるために非常にやりにくい、これは当然いろいろな点につきまして理想的にはこれを考えなければならないと思いますが、この点は中小企業の状態にはいささか基準法が負担であるというふうな建前から、中小企業に対するところの労働基準法を適正におきめ願いたいというふうなことをお願い申し上げる次第であります。よろしくどうぞお願いいたします。
  32. 首藤新八

    首藤委員 私ちよつと簡単な質問を参考人にいたしたいと思いまするが、茂木富二君にまず質問いたします。それは先ほど茂木さんの御意見の中に、不渡り手形に対して信用保険を適用してもらいたいというような御発言がありましたが、これはどういう意味なんですか。手形売りをした場合に、それをそのまま信用保険に適用するということか、あるいは不渡りになつ手形に対して、信用保険の方から若干の保証を得るという制度を置いてもらいたいというのか、この点をひとつ茂木さんにお尋ねしたい。  もう一つ前原さんにお尋ねいたしたいと思いまするのは、現下の不況は御承知のごとくデフレ政策が金融独走という不自然な政策によつて来ておるということは、これは議論の余地はないわけでありまするが、ただ銀行手形割引が大体従来六十日が普通であつたのですが、最近は九十日くらいまでに延びておると思うのですが、桐生方面ではこの長期手形に対して銀行は何日までくらいは割つておるかどうか、また受取り手形が、これは最近は大体九十日あるいは百二十日あるいは百五十日ぐらいに延びておると思うのですが、桐生方面は大体何日くらいが期日になつておるか、この点をひとつお尋ねしたい。
  33. 茂木富二

    ○茂木参考人 ただいまの不渡り手形の場合ですが、これは商社に対してお救いいただくことも一つ方法でありまするし、またその不渡り手形を受取りました工業者信用保険によつて融資を願うことでもけつこうと存じます。銀行は、いわば赤字融資のようになりまする関係上、なかなかこうした不渡り手形の処置に対しましては慎重を期されておりまして、容易に貸出しの対象としてくれません。このために一つ商社の不渡りが出ます。それによる工業者が続いて破産をする場合には、たくさんの下請関係のものにも不渡りを生ずるというので幾重にも及ぶのであります。そこで何とかこれを食いとめるために商社に融資をするか、工業者の受取るものに御融資を願う道を御配慮願いたい、こういう次第であります。
  34. 前原一治

    ○前原参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。大体銀行の方としましては希望は九十日以内となつております。商社との取引になりますと、なるべく短期ということで七十日前後あるいは六十日くらいのことを希望しておるのでありますが、現在の状況におきましては、問屋の方から見ますと、大体百日から百二十日というふうな長期のものになつております。それで銀行の方としましても、やむを得ずそういつたものを割つておる。御承知のように歩積みと称しまして五分、三分の歩積みを手形割引から差引きまして、それを預金にする。従つて預金が非常に厖大になりまして、その見返りとしまして手形の方の割引を二倍ないし三倍というふうな割引をしておるのであります。それでありますので、業者の方は、ただでさえもなかなか容易でないところへ持つて来まして、五分からの歩積みをとられる、また利ざやもその預金との利ざやにおきまして、そこに非常に大きな不利益をこうむるというふうな状態であります。
  35. 加藤清二

    加藤(清)委員 参考人にはお忙しいところをわざわざ出ていただきまして恐縮であります。実は私もその繊維に携わつている関係上、漏れなく倒産の仲間に入れていただいたわけでございますが、あいにく絹ではございません。私は毛の方で一億二千万円のバランス・シートの小さな紡績をこの間倒したばかりでございます。そこで同病相あわれむという立場で承りたいのでございますが、ここに掲げてありますこの希望というものは、これはひとり絹業界のみならず、繊維業界がひとしく希望している点だと思うのでございます。そこでさつそくにこれを政府が取上げて実行に移して行けば、倒産続出のこの状態も救われるでございましようけれども、政府はそうたやすくやつてくれません。政府という問屋はなかなかおろさないのです。昔から、そうは問屋がおろさないということを言いますけれども、すでにわれわれがもうこの委員会で何回かやつた。御当地出身の代議士さんもちやんとここに控えておられますけれども、これはこの笹本さんも何回か言われたことなんです。ところがそれが行われない。すでにこの委員会で、与党の方も野党の方も満場一致で決議して政府に突きつけた各条項がございます。そこにこのことはほとんど網羅されていることでございますので、中小企業庁の方は、うまくこれにのつかつて何とかしなければならないというわけでやつておりますけれども、今の通産大臣じや、きようここでこの話が行われても聞きに来ぬような不熱心さでは、とても行われない。今の岡田長官が大臣にでもなればこれは別でございますけれども、行われそうもない。そこで承りたいことは、ここに総花的にいろいろなことが書かれてありますが、もしこの中で順位をつけるとすれば――さしあたつてつてくれないかもしれぬけれども、あの繊維税のときのような勢いを示されたら、輿論にはどんな政府つて勝てませんから、そこで何とかある程度の手は打つだろうと思います。ところが全部が全部やれといつても、だれがやつてもむずかしいだろうと思う、そこでもし順位をつけるのだつたら、どういうふうにつけられますかということが一点。  その次に二点といたしまして、思惑をやつたものは倒れてもしかたがない、五、六人の首つつりが出てもしようがない、こういうことでございますけれども、思惑をやらぬでも、先ほどのお話の通り受取り手形おかげで倒れて来るのがたくさんある。しかもそれが商社がやつた場合は下請企業は将来将棋倒しに軒並にいかれて来る。連鎖反応とかいろいろなことを言つております。そこでぜひお尋ねしたいことは、過去において倒れた機場あるいはこれを扱つておる商社、それからそういう暴風の中にもなお生き残つておるというのがあるでございましようが、この影響は、生き残つておる方も操短とかあるいは企業の整備とか、いろいろこれに対抗策をとつておられると思いますけれども、倒れたのと生き残つたのと比べてみて、そこに何らか発見される点ありやなしや、私はこの点は一生懸命になつて考えておる。政府の方ないしは金融機関の方では、企業の系列に入つて、寄らば大樹の陰で、大樹の陰へ入り込んでしのいで行こう、そうしたらいいじやないかといつて金融機関がそつちに入れ、こうせい、ああせいといつて、生産する方が主体でなければならぬのに、きようこのごろはまるで金融の方が主体になつてしまつているような傾向が非常に多いのです。そこで金融のそでにすがつたものだけが生き残つている例を私はたくさん見るのですが、そういう点が絹及び人絹の方にありやなしや。もしあつたならば、将来これをどうしたならばいいか、はたして金融にそういう法的な権限を持たしておいていいのか悪いのか。もしそうなつた場合には、ここの中に希望として書かれております企業整備だの、二十九条の発動だのといつても、なおいかれて行くのではないかと考えられるから、お尋ねするわけでございます。  それから第三点にお話がございました労働基準法のことでございますが、これは中小企業の機場の身になつてみれば無理からぬことで、私社会党でございますけれども、なお八時間労働をやらしておつた日には、とてもやつて行かれないという事実を知つておるのでございます。ところが負けた国でございますから、それじや十時間も十五時間も働き盛りの子を働かせていいのかというと、これもちよつと困つたことでございます。そこで問題は、これは八時間労働が悪いのじやない、九時間労働、三交代、四交代制が悪いのじやなくして、しわ寄せが中小企業に来ているから、上に向つては歯が立たないから、やむなく内輪に向つてつましゆうし、質素にし、汗を流して働いて切り抜けようじやないか、こういう精神から来ているのじやないかと思うのでございますが、ここらあたりは一体どんなものでございましようか。この点。  それからこの点は笹本先生からお聞きになつた方がいいかと思いますけれども、可燃性の繊維の問題が、アメリカの上院の方におきましてはうまく通つたようでございますけれども、下院ち方でごちやごちやしているので、これが七月一日から実施された日には、一番影響をこうむるのは絹機だ、最も川俣とかあるいは北陸の方が直接の影響をこうむるようでありますが、それがいけないということになりますれば、やがてここでも重目の羽二重に切りかえなければならないとか、あるいは厚目の絹織物に切りかえなければならないということになつて来るでございましようが、調整法を発動してまでも、もうふやさないということを考えなければやつて行けない状態になつております。業界といたしましては、この可燃性が一つの大きなよりどころになるじやないか、こう考えて、私も心配しておる者の一人でございますが、業界は、政府の方の力だけでなくして、全国の商工会議所の藤山さんの方を通じてなりとも、何らかの早急な手を打たれる計画がございますか、ございませんか。できるならば、政府の方も民間の方も、この問題は一致協力して、アメリカ政府の蒙を開いていただきたいものだ、かように考えますからお尋ねするわけでございます。  以上、四点についてお願いいたします。
  36. 茂木富二

    ○茂木参考人 この本日いろいろ御要望申し上げました事柄は、実は過日、十五日でございましたか、東京神田の共立講堂におきまして、全国の織物産地三十八都市の市長、議長、商工会議所の会頭、それから私ども業界の代表等が実は一緒になりまして大会を催した次第でありますが、数千というような多数の者が集まりまして、実にたすきはちまきというような悲壮な姿で実はこの危機突破の大会を開いたような次第であります。そのいろいろな要望の中から、まだいろいろありますが、おもなるものをとりまとめましてここに列記いたしまして、実はお願いをしたような次第でございます。なおこれはいずれも重要な事柄でございますが、この中から特に緊急のものを取上げて申すならば、何といつて運転資金融資制度の確立、この当面の金融を御処置願うということが一番大事な事柄でございますので、政府のこういう中小企業に対する資金的なめんどうを見るあらゆる機関の総動員をお願い申し上げたい。ことにそれのみでなく、地方銀行がもつともつとこれに対して活動のできるような資金源及びその保証等のいわゆる信用保険法等の確立によつて融資のできるような処置を特に望む次第でございます。  なお次に不渡り手形の問題は、どうしても何らかの手を打ちませんと次々にこれが波及して参りまして、地方の産地問屋あるいは買付商のごときは、もはや風前のともし火のような姿になつておるのをやつとささえておるという現状でございます。どうかこの私どもの実情は、はなはだ御多用の中を御無理なお願いかもしれませんが、諸先生方にこの近くの産地の御調査でも願いましたらただちにおくみとり願えることだと考えておる次第でございます。  なおまた先ほど可燃性の織物についてのお尋ねでございましたが、これはぜひとも何とかしていただきませんと、この可燃性織物ばかりでなく、実は輸出織物の振興ということが非常に大事でございまして、これがいけませんというと内地の方の生産の調整もできません。ただいまはその輸出業者が苦しまぎれに内地においている。たださえ悲況の内地が共倒れの状況でございます。なお先ほど申し上げました人絹糸の購入の問題のごときも、糸で輸出するものは非常に安い。内地で織物にする場合には一般市中の価格と同じもので売るのでありまして、これは織物の生産業者にとりましてはやはり過重でございます。こういつたような点で、輸出振興についてもどうぞ御考慮を願いたい。  実はどれもこれも大事でございます。しかし今死ぬか生きるかの問題は、何といつて金融的処置を第一番に考えておる次第でございます。先ほど私が申し上げました自殺者は決して誇張して申し上げたのではなくて、富士吉田の市長は先日の大会に自殺者の写真を持つてその会に臨むというほどの次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  37. 前原一治

    ○前原参考人 ただいまのことと同じようなことになるのであります。緊急対策は大体同じなのであります。ただとりあえず一番簡単に手を打つていただけるのじやないかと思うことは、銀行がただ単に自分の利益のみを考えないで、要するに金融機関がいかにこのデフレ政策下において生産面を支持育成するかということについて、いま少し態度をはつきりとかえていただきたい。でありませんと、銀行フアツシヨというようなことで、金融面に対しまして現在業者はかなり恨みを抱いております。そういうふうなことでございますので、この金融面の態度をいま少しかえていただきたい。これは日本銀行当局からかえていただきたいということをお願い申し上げるのであります。これが一番簡単でありますし、いいのではないかと思います。  次に繊政課長さんもお見えでございますが、この間も振興部長さんともいろいろお話したのでありますが、これはわれわれとしてははなはだ恥かしいのでありますが、要するに二十九条の命令を発動していただきたいということをお願いするのでありまして、でき得ることならば戦前にありました重要物産協同組合法というふうな規則を出していただきまして、統制をとつていただくならば、実際的にも一応有利ではないかというふうなことを考えまして、こういうような規則を発動していただきたいということが、業界全部の意見であります。  あと問題は手形の問題でありますが、銀行でそういう態度を変更していただくならばおのずから解決するのであるというふうにも思いますので、私はその点を強調いたしたいと思います。  それから基準法の問題でありますが、この基準法の問題におきましては、むしろ中小企業と申しますか、従業員十名あるいは二十名というふうな工場は、なお下の零細企業と申しますか、一家総動員でやつておるというような工場との競争が全然できない。一家総動員でやつておれば基準法は適用されないが、十人、二十人というふうな小企業はここの点についてかなり問題がある。特に百人、二百人という程度の企業体においてはその基準法がより一層つらく感じられておるというふうな点につきまして、百人、二百人という中企業――小企業かもしれませんが、その程度の工場の運営が一番基準法によつて骨が折れるのではあるまいかというふうにも考えております。
  38. 笹本一雄

    ○笹本委員 参考人の供述に対して後ほど中小企業庁長官からも発言があると思いますが、さいぜん中小企業庁長官から御発言がありました通り、その後この中小企業の問題については、本通産委員とともに長官は全力をあげて努力しておるということでありますが、委員長は先般の神田におけるところの中小企業、特に繊維の方の危機突破大会においでになつたかどうかわかりませんが、その気勢たるや実にたいへんなものであつたのであります。まるで会衆の人たちは、われわれを殺すのか生かすのかというような――特にまた招かれてわれわれ議員も参つたのでありますが、その議員に対する憤懣の声は場を圧したのであります。業界が死ぬか生きるかというはめに陥つている今日、政治家といたしまして、通産委員でなくとも、今日の中小企業のこの問題に対して、ひとしくみんな心を痛めているのだと思つております。各政党においても、その政策の上で、中小企業対策については非常な力を入れて論議しておるのでありますが、この閉会中に急遽この中小企業に対する小委員会を委員長が招集されたということについて、私たち委員といたしましても、委員長に対して非常に敬意を表するのであります。先般の大会のときの意気というものは、私が会場へ参つたときに受けた印象というものは、われわれがこう一生懸命やつてつてもかくのごとく罵倒されるのかと思つてむつとしたのでありますが、これは冷静になつて考えますと、そうでない。中小企業の生きんがための声は、やはりわれわれも国家再建の一員として働く上においての神の声、天の声であるというふうに考えたときに、また冷静になつて、これは真剣に取組んでこの対策を立てなければならぬということを思つたのであります。そのときの意気から見ますと、きようのお二人のお話は非常に穏やかであります。しかしこの穏やかな話の中に、この指導者の方々は――今日、毎日の新聞を見ましても、中小企業の問題が出ていないときはありません、一たびこれに火がついたならば、これは容易ならない問題が引起されるのではないかと思われるのであります。そのときにおいても、この指導に当つておる実行委員の人たちは、きようの供述はまことに冷静なお話でありましたけれども、この裏には烈々たるところの中小企業危機突破に対する熱意があるということを、委員長はとくとお考え願いたいのであります。先般から各都市において、これに対するところの大会を持ちつつありますが、現に各産地の小学校のごときは四%以上の子供の欠席率が出ておるということは、倒産あるいは破産によつてそういう現実の問題が出ておるのであります。きようの参考人の供述いたしましたことを根拠として、委員長はこれを通産省、大蔵省あるいは各政党にも流しまして、そうしてこの対策に一層の万全の策を講じていただきたいということをお願いいたしまして、私の発言を終ります。
  39. 永井勝次郎

    永井委員長 笹本委員の御発言了承いたしました。御趣旨に沿うて努力いたしたいと存じます。  この際岡田長官から発言を求められておりますのでこれを許します。岡田長官
  40. 岡田秀男

    岡田説明員 この委員会の開かれました当初におきまして、先般の国会において各党共同の提案として議決されました中小企業危機突破に関する決議趣旨につき、その後どういうふうにわれわれとして具体化に努力して来たかということの概要を申し上げたのであります。ただいま繊維の大会で採択されました、繊維工業の危機突破に対してやつてもらいたいといういろいろの事項も拝見いたします場合に、一々それぞれ御理由のある点も了解されるのであります。中にはわれわれの考えから見まして、実施上はなはだ困難であり、あるいは少し見解の相違があると思われる点も多々あるのでありますが、全般的に見て、とにかく中小企業の困難な状態の中において、特にその一部としての繊維工業が苦しんでおられるその対策として、いろいろ考えられたという全般的の趣旨は十分に了解できるのであります。その趣旨のもとに個々のものを検討いたしまして、われわれとしては中小企業の全般の振興策の中にも織り込みましてやりたい。先ほどもそれぞれの項目につきまして、現在すでに着手いたして関係方面折衝中の問題等についてはごひろういたしたのでありますが、今後さらにこの経済の進行に伴いまして、中小企業対策というものもまた進展をいたさなければなりますまいし、広く経済政策全般としても中小企業の立場を尊重した方向に持つて行かねばならぬ点も多々あろうかと思うのであります。そういう面に十分御趣旨を反映するような意味合いにおいて、研究もいたし努力もいたしたい、かように考える次第であります。
  41. 永井勝次郎

    永井委員長 この際大蔵省銀行局の大月総務課長から、金融関係について御発言を願います。
  42. 大月高

    ○大月説明員 ただいま中小金融関係につきまして参考人の方からいろいろお話があつたのでございますが、中小金融につきましては、大蔵省としてもかねがねできるだけの努力を払つておる次第でございまして、最近におきましても、金融面といたしましては、この六月と七月とに引揚げ予定になつておりました中小企業金融機関に対する政府預託金の期限を、それぞれ四箇月ずつ延期いたしまして、十月、十一月まで引揚げを延期するという措置とつた次第であります。  それから中小金融に対しまして、金融機関側からの融資を促進いたしますために、中小企業に対する貸倒れ準備金の率を引上げるという措置も今般講じたわけであります。一般には貸出金の千分の十というものが貸倒れ準備金の積立て限度になつておるわけでございますが、これを本年三月末を基準といたしまして、今後中小企業に対する融資の量の純増分に対しましては、貸倒れ準備金の積立率を特別に千分の十五に引上げる、こういう措置を税法上講じておる次第であります。その他今度の国会におきまして、信用保険制度政府填補率を引上げますとか、あるいは国民金融公庫におきまして、小口貸付の制度を設けますとか、それぞれ手を打つておるわけであります。しかし何分にも全体の金融の引締め自体が産業界一般に対しまして相当強い影響を持つておることは否定できないと思います。そういう意味におきまして、中小金融自体につきましても、一般の産業で苦痛に感じられます以上に、特にしわが寄るということがないように今後も十分努力いたして参りたいと存じます。
  43. 永井勝次郎

    永井委員長 それではこの際参考人に対して一言お礼を申し上げます。参考人各位におかれましては、長時間にわたり御出席くだされ、それぞれ貴重な御意見を御開陳くださいましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。当小委員会といたしましては、各位の御意見を十分参考としまして今後の調査を行つて参りたいと存じます。  これをもつて午前中の日程を終りまして、午後は三時から再開いたしたいと存じます。  暫時休憩をいたします。     午後二時三分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十一分開議
  44. 永井勝次郎

    永井委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  中小企業に関連する電力料金に関する件等について調査を進めます。  まず金融関係について質疑を行います。質疑の通告がありますから、順次これを許します。加藤清二君。
  45. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は実は通産大臣ないしは大蔵大臣、つまりその責任者にお尋ねしたい点でございまするけれども、再三お願いしましても御都合がお悪いそうでございますから、その代理のお方に、但し責任だけは十分とつていただくことを覚悟の上で御答弁を煩わしたいと思うのでございます。  すなわちデフレ政策のもと、金融独走から生じておりまする中小企業の倒産は、先ほどの委員会におきましても業界の方が血のにじむ、涙の出る陳情をるる行われたわけでございますけれども、これはただ絹機ばかりではありません。綿機もしかり、毛織機もしかりでございます。そこで金融引締めの影響がまず商社に現われ、それが機場に影響を及ぼし、それがただいまではバランス・シート十億から二十億程度に至るところの大企業にも及ぼしつつあるのでありますが、やがてこの問題はゼネラル・パニツクを引起すではないかというほど憂えられておるわけであります。それのしわ寄せの一番多く来ているのは繊維業界でございまして、繊維業界は終戦以来の危機に立つているという状態でございます。そこで毛紡の方ではこれに対して不況カルテルをつくりたい、綿紡の方は政府の買上げ機関を何とかしてもらいたい、こういう要望があるわけでございますが、いまなお下げ足を早めており、採算割れを来しておるこの糸へんの業界に対して、はたして政府は不況カルテルなりあるいは買上げ機関なりをつくる意思があるかないかという点が第一点。  それから特に大蔵当局に承りたいのは、一体デフレ政策が金融独走をしております今日、その影響がすでに五人や六人のぶつ倒れでなくして、業界が大あらしの中の火事のような状態に相なつております今日、一体この政策をどこまで続けようとなさつていらつしやるのか、一体どういう事態が出来したならば政策をとどめるなりあるいは変更するなりなさろうとしていらつしやるのか、この点を実ははつきりと承つておきたいのでございます。  なぜかならば、この問題は私がすでに十六国会の折に通産大臣――今大蔵大臣になつておられますが、通産大臣にもお尋ねをした点でございます。十九国会におきましては、大蔵委員にかわりましてこれを大蔵大臣にお尋ねしました。また通産大臣にもお尋ねをした点でございますが、それが、やがて答弁をする、やがて答弁をするということで、いまだに御答弁がございません。このデフレ政策に対してお尋ねするが、経済力の浅いわが国のこの業界がはたしてその施策にたえ得るやいなやという問いを出しましたところ、当然たえ得るという御答弁でございました。日銀の一万田さんに当委員会でお尋ねしましたところ、答弁がなくて、五十嵐さんが代理でお答えになりました。代理であればこそ私は責任上書面をもつて答えていただきたいと申して書面で答えていただきました。その結果は、政府のデフレ政策に日本経済及び日本の中小企業はたえ得る、こういうお答えでございました。今日の状況から見、先ほどのあの業界の陳情からいたしまして、一般の国民はたえ得るどころかまさにパニツクが来るというて先を憂えておるわけでございます。これはただ中小企業のみではございません。大紡でさえもなお値下りのおかげで投売りを始めており、金のないおかげで換金売りを始めておるのでございます。日本政府は日本の糸へんの輸出ができないのはコストが高いからだ、こう言つておる。ところがコストは八万円の大台を割つて二十番単糸が七万三千円になつた今日、なお一層輸出ができなくなりました。毛糸の四八の双糸が一時千六百円もしておりましたのが、八百円の大台を割つてイギリスのそれととんとんになりましたが、なお輸出はできません。さればこそ紡績といたしましてもやむなく換金するために投売りをした。この投売りは日本一の大きい毛紡の日本毛織会社がやつた。これは業界にものすごいあらしを呼んで、そうして遂にバイヤーが買控えをするという結果と相なり、輸出はますます不振と相なり、二十と二十の為替帳じりは将来一層困難性を予想される状態と相なつて参りました。にもかかわりませず、これでもなおたえ得るとお答えでございましようか。一体もし今日のこの状態が政府の政策に耐え得るとおつしやるならば、政府が耐え得ないと考えている状況というのは、一体どのようなものでございましようか。それをお示し願いたいのでございます。結論的に申し上げますと、政府のコスト引下げ、輸出振興のデフレ政策が、金融独走だけに終つてしまつた。そのおかげ中小企業、特に繊維業界が圧迫を受けた。この状態が政府の政策にたえ得るとお考えになるのか、ならないのか。一体どこまで行つたら政策の中止なり転換なりをなさろうとしていらつしやるのか、私のお尋ねしたいのは、その点でございます。あなたは大臣でないからぐあいが悪いのでございますが、あなたのお答えいかんによつて、きようはもうだめですが、あすの三品市場の前場第一節の値がかわります。と申しますることは、業界ほんとうに旱天の慈雨のように活を入れることができると思うのでございますが、こんなに倒れておつても一掬の涙もなくして、なお独走を続けようとしていらつしやるのか。業界の実情に沿つた具体的な御返事をお願いしたいのでございます。
  46. 加治木俊道

    ○加治木説明員 お答えいたします。第一点の不況カルテル及び買上げ機関の問題は、通産省の所管だと思いますので、デフレに関連した問題についてのみお答えいたします。ただいま加藤委員から非常に深刻な業界状況をお話になつたのであります。デフレをどこまで続けるかということは、たとえば何月何日までというようなお答えは当然出て来ないのでありまして、弾力的に運営して行かなければならないのですが、一応観念的に考えられることは、これはあらゆる機会に大蔵大臣なりそれぞれ責任のある者がすでに答えておると思うのでございますが、一応今日の国際収支のアンバランスをどう考えるか、これはなかなか議論のあることであります。基本的には単に金融の引締めだけではたして目的を達するかどうかという点は、いろいろ議論の余地のあるところだと私も思うのであります。けれども物価高というものが、基本的なまず第一点の問題であるという点を考えますならば、まずインフレによる今日の国際水準との差というものは、金融面から縮まざるを得ないと私は思うのであります。これは一体何割の差があるかというと、商品によつて違いますけれども、三割から五割以上の値開きがある。これはもつぱら金融の事情から生じた今日のこういうアンバランスであると思うのであります。従つてこの問題を解決しなければならぬ。その他たとえば機械設備の合理化とそれから自給力の向上とかいうような、いろいろな基本的な問題が取上げられておりますけれども、少くとも国際収支のバランスを回復する上からは、現実に朝鮮事変以来発生しました金融上のアンバランスというものを、同じベースへ持つて行かなければならぬということは、これは私が申し上げるまでもないと思います。従つてこの面から行きますと、事はもつぱら金融の問題にかかると思うのであります。従つて一見金融独走という感じを与えているかのようでありますが、とりあえず取組んでおります問題が、もつぱら朝鮮事変後の金融事情のこういつた跋行的な情勢から生じたところに、対策の基本が打立てられたというところから来たことだと思うのであります。従つて金融面の引締め、その他万般の問題はあると思います。輸出振興については、金融だけでなく、いろいろな問題があると思いますが、少くとも金融面の引締めの措置をどこまで続けるかということでありますが、これは商品によつて違いますから、何とも申し上げかねます。それからまた単に国内の物価だけの問題ではなくて、海の向うの国際的な物価の動きとももちろんにらみ合せて考えなければなりませんので、こちらだけでどの線までというような線は出しにくいと思うのであります。しかし少くともあの引締め以後輸入超過の傾向がだんだん減じて来ておるということでありますならば、国際収支面でのこれ以上のアンバランスの傾向が見えなくなつたという――そういう観念的なお答えしかできませんけれども、そういう時期までは今のこの引締めの方策というものは、これは緩急それぞれ考えなければなりませんし、またこれから出て参ります国民の負担の公平とか、いろいろ考えなければならぬ点もあると思いますが、少くともこの点を今日ただちに切りかえるということは、今の情勢ではできないのじやないかと思うのであります。たまたま滞貨の話がございまして、非常に深刻な問題を投げかけておる、大メーカーあたりでも投売りをしておるために、かえつて買控えの傾向が現われておるというお話があつたのでありますが、これは物価の変動の際に、いわば臨時的な現象として、むしろ下げ調子のときには買手側が控える、上げ調子のときは買手側が買い急ぐという傾向があると思うのであります。これは今一時的な現象であろうかと思うのであります。この投売りに基いて輸出情勢がとまつたという現象があるとすれば、私はまだこの状況を承知しておりませんが、一体これをたえ得られるかどうかという問題は、私としてはとても答えられる問題ではございませんが、いずれにしましても、これだけの大きな政策をとつておりますときに、いろいろな形で方々に犠牲を生じて、国民に犠牲をしいるということはあると思うのであります。ただ要は、政府としてはどういうふうに負担の公平を期しつつ、所期の目的を達するかというところに、要諦があろうかと思うのであります。御満足の行く程度の答弁ではないと思いますが、一応お答え申し上げました。
  47. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がないようでございますから、私ここで理論闘争をやろうとは思いませんが、これは実におかしな話でして、よく考えてみてくださいよ。デフレの原因が金融だけのように考えられる。それは大蔵省ならそうお考えになるのは無理はない。それはそれでけつこうなんです。ところがデフレの原因は、これは大蔵省だけではないのです。金融だけではないのです。その元を考えてみないといけないわけなんです。  それからもう一点、コストが高い高いと言つておられますけれども、それは半年前まではそうであつた。ところが今日糸へんの値段は国際水準と比べて決して高くないのです。そんなことを言つておられると笑われますよ。きようの新聞を見てごらんなさい。三品市場の相場を見ると、決して高くない。それでどういうことになつているかというと、これはもう採算割れです。私は社会党ですから、何も大紡の味方をする必要はないけれども、大紡でもこれ以上下げろと言つたつて、――これは原綿の買付値段を安く政府が骨折るといえば別でございます。それから労働者もただで働けといえば、それは何とかなるかもしれません。しかし今日この状態でこれ以上下げろと言つたつて、それは出血だけです。現にもう出血で建値を立てております。出血で建値が立つということは、これは時間的に限りがある。蓄積資本があるうちはそれができる。ないときになつたらおしまいです。だからいいかげんで元に返さなければならぬ。だからこそ商工会議所でも、毛紡でも綿紡でも、買上げ機関をつくつてもらいたいとか、あるいは不況カルテルを何とかしてもらいたいという声が出て来ている。私は大紡の味方をするわけではありませんけれども、これは無理からぬ声だと思います。糸へんにだけしわ寄せがひどく来ているのです。これは万人が認めるところなんです。そこでこれを何とか方向転換をするのが政府としての役目じやないかと思う。ここをこれ以上やれやれと言つても、これは無理なんですよ。コストが高い、コストが高いというが、それは一般論はそうかもしれませんけれども、糸へんの世界は高くないのです。そこでもう限度が来ている、私はそう思う。けれども、大蔵省はいや糸へんだけが憎らしゆうて憎らしゆうてかなわぬから、今までもうけたものを吐き出してしまえ、そうしてあげくの果ては、日米友好通商条約から来るところの株の取得はみんな向うに持たしてしまえ、そういう考え方であれば、これは別ですけれども、まず限度が来ていると思います。そこで何らかの政府の対策を要望する声はあに私一人のみではございません。糸へん業界に従事する者万人の声でございます。そこで早期にこれに対する対策を立てなさるならばいざ知らず、それでなければ先ほど公述人もおつしやいましたけれども、政府の予期せざる事態が九月、十月ごろには出来するのではないかと予想されるのも無理ではございません。特にこの際申し上げておきたいことは、こういうさ中におきまして金融がいかに横暴をしているか、人の弱味につけ込んで金融が横暴をしておつて、ちようど大蔵省が各省の総本山の床の間にあぐらをかいていると同じように、金融があぐらをかいておる。その実例は、どこの市中銀行が大きいことを言うてみたつて、自己資本は大体十億くらいしかないのです。それが金がないないというやさきに、自分の銀行だけはどんどん鉄筋コンクリートでものすごい建物を建てて、それに投資をしておる。そこでこの上期の帳じりは赤字が出たかと思つたら大間違いで、東海四県下における二十傑、ことしのもうけた大将を調べてみると、二十傑のうちに東海地方に本店を有するところの七行が全部入つておる。何と東海銀行は上期だけで六億の余もうけておる。もうけることはけつこうであります。何も損せいというわけではございません。しかしながらよそが出血でぶつ倒れておる最中に、銀行だけが人のふんどしで相撲をとつて、自分の店舗は大きく構えるわ、建物は公称資本金以上のものをじやんじやんあつちにもこつちにもつくるわ、ないないという金で自分のところだけはそうやつて投資をするわ、おまけに利益がじやんじやん上つたわといえば、それを指をくわえて商売人はじつと見ておるわけはございません。ここに政策の間違いが――幾らしろうとでも自分が倒れてみればわかつて来るときが来る。それが元となつてすでに社会不安が醸成され、今日の与党不信の声がここに起きて来ておる。汚職事件程度ではございません。倒れた者の身になつてごらんになれば、ようおわかりだと思います。一体これでもなお銀行のもうけつぱなしはほうつておいて、倒れて行くやつは涙なしにほうつておかれるのか、この点課長さんには答弁ができないかもしれませんけれども、小笠原さんだつたら自分の郷里の選挙地盤の機場がばたばた倒れていることをよく御存じのはずなんですから、一体それでもこの次どうやつてと、その先を言いたいが、まあやめておきましよう。その点についての御答弁が煩わせたらお願いしたいと思います。
  48. 岩武照彦

    ○岩武説明員 大蔵省の方から答弁があります前に、繊維関係の問題につきましてあるいは午前中に係の方から御答弁したかと存じますが、なおありませんでしたら、この際われわれの考えておりますことをちよつと簡単に申し上げたいと思います。  繊維関係の今の相場が国際価格よりもむしろ下まわつているという点は、その通りだと存じております。逆の二重価格もできかかつているというふうな傾向でありまして、しかもその価格が不安定で、輸出の引合いが減つておる、制約がなかなか思うように参らないということは、大体事実だと存じております。そこで問題は、われわれとしましては輸出価格を安定さして制約を大きく持つて行くということが輸出振興の第一だと考えております。そのために現在綿業界の方で提案されております買上げ機関の問題等はそういうふうな輸出の価格を安定さすという見地から、私どもとしては真剣に検討しつつあるのであります。また業界の方にも準備を命じておるわけであります。ただいつ、どういう形で発動するかという問題につきましては、いろいろ相場の動きもございましようし、また事実準備なくしてはできませんので、目下具体的な準備にとりかかつております。  それから先ほど不況カルテルのお話がございましたが、これは毛の方の業界の問題ではないかというふうに存じております。毛の業界、なかんずく紡毛関係の方にそういうふうなお話が多いようでございます。実はこの紡毛の関係の方は、不況カルテルと一概に申しましてもいろいろなあり方があるだろうと存じておりますが、と同時に設備と需要とのアンバランスも相当あるのではないかというふうに見ております。現在数にしまして千二百台程度あるかと存じます。数年前に比べて約倍以上になつておるという状況でございます。需要の方も相当伸びているだろう思いますが、いろいうことしの冬以来の季候の関係等もありまして、相場が急変した事情もありますので、これは若干事情も異なりますが、ただその形を不況カルテルという、いわば操短あるいは価格協定という形で乗り切つた方がいいかどうか、これは相当問題があるだろうと存じております。紡毛、梳毛ともにいろいろ大企業がございます。またすその方へ参りますと、中小企業のカテゴリーに入るのもあるだろうと思います。業態が複雑でありますほかに、原料関係も反毛等の関係もありまして、相当複雑のように思います。それから、ざつくばらんに申しますと、不況カルテルというのは、業界の深刻さがある期間たつてほかの方法では挽回しがたいというときにこれを認めるというふうな法律建前になつておりますので、もう少し時日をかして検討さしていただいた方がいいではないかというふうに考えております。現に正式のカルテルの申請書も出ていないような状況でございますから、出ました上で――いろいろこの秋口の毛の関係の事情もございましよう、そういうふうな点をにらみ合せまして態度をきめたいというふうに考えておるわけであります。一般的には、不況カルテルは現在なかなか条件がむずかしいではないかというふうに考えておるわけでございます。中小企業の方の問題としましては、そのほかに当委員会で四月以来いろいろ御議論のございました中小炭鉱の問題等もございます。また相当深刻だと伝えられております絹、人絹の方の関係もございます。また京浜あるいは中京、阪神方面中小機械工場の問題も相当問題が深刻になつております。いろいろそういう業態に即しましていろいろな手を打つて参りたいと存じております。価格関係の問題にしますと、なるほど石炭の方は相当下つておりますが、なおこれは国際的には実はまだ割高でございます。企業の存立の基礎を危くしない意味でコストを下げる方法はどうしたらいいかというふうな問題もございます。さらに機械工業等に参りますと、一般的に投資を押えて参りました関係上、そういうふうな注文が減つておるというような問題もございます。この辺は単に協同組合組織のやり方ということだけでもなかなか救えない問題があるかと存じております。業態によりましてそれぞれの対策を考えて参りたいというふうに考えております。
  49. 加治木俊道

    ○加治木説明員 ただいま繊維関係は価が下つてもなかなか売れないじやないかという非常に基本的な御質問があつたのであります。それは非常に基本的な、たとえば産業構造の問題というような大きな問題にもつながる問題であろうと思いますので、むしろその意味では大蔵省だけでは処理しがたい問題であると思います。繊維関係は引締め以前から、国際水準に比べてそう高くなかつた。今日はむしろ下まわつておるということは御指摘の通りでありますが、これは値が下つてもなおかつ売れないということになりますれば、もはや金融の問題で解決のつかない問題であろうかと思うのであります。今繊維関係輸出に依存している割合がどの程度か、はつきり私承知いたしておりませんが、少くとも輸出の約四分の一は繊維関係で占めておるのであります。輸出関係のトータルの中で繊維関係はかなり大きなウエートを占めておるようでありますが、この意味から考えましても、少くとも輸出の面でさばけなければ、繊維産業全体としては容易に今日の規模を維持しがたいという問題に突き当るであろうと思うのであります。従つて少くとも価格の面で国際場裡で十分に競争できぬというならば、もつと抜本的な問題がそこに控えているのかもしれませんが、これ以上は金融の面でどうこうするという問題でないし、また金融の面ではいろいろ通産省からも協議が参つておるのでありますが、少くとも輸出については特に現在でも金融上の優遇措置を講じておりますし、場合によれば今後たとえば加工貿易制度などを考えたらどうかというお話を通産省から持ち込まれておるのでありますが、技術的にいろいろな問題がありまして、まだ答えが出るところまで行つておりませんけれども、少くともそういつた方向で事柄を考えておることは事実であります。むしろ金融の面では事輸出に関しては、できるだけ今も考えており、また今後といえどもその方向で考えて行きたい。何も繊維産業を特に虐待するというようなことではなく、むしろ輸出の依存度が高ければ高いほど金融面の優遇を与えるということは、ひいては繊維産業の金融面におけるできるだけのめんどうは見る。ただデフレを強行というか、やつておりますのは、国内のむだな需要をできるだけ縮めておいて、輸出の方にまわそうということの配慮だけでありまして、金融面で海外への貿易輸出というものを拘束するということはもちろん考えていないわけであります。
  50. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題に対しては、ほんとうはもつと掘り下げて、党利党略とかあるいは立場とかいうことを離れて、ほんとうに日本国民として、この打開策についての方策を審議し合いたいのでございますが、何せあと十五分しかないそうでありますから、次に移ります。あと二点で私の質問を終ります。そのうちの第一点は、やはり輸出振興の問題にからんで来ることでございますが、日英会談から生じましたあの二百万ポンドの買入れから生ずる具体的な方策の問題、これはこの前大臣は、私に対してあなたの意見が最も正しい、だからその通りにいたします、こうおつしやつたのでございますが、その後、この問題はどう処理されたのでございましようか。具体的事実の輸入はすでにどんどん行われているのですから、一体どのような具体的な方策が生れたのか、ここで明らかにしていただきたいと存じます。なぜならばこの問題の施策のいかんによつて、さなきだに困つております毛織協会は、一層圧迫を受けなければならない、こういう状態に追い込まれるからでございます。そこでこの際特に申し上げておかなければならぬことは、金融引締めを行つて行けば、当然輸出輸入の差益は少くなつて来る。従つてこの間の利益を十億と見て、これをJETROに持つて行こうとするがごときは、これはおよそ政府の政策とは行き違つた考え方である。従つてこの点は将来を見通しての施策を講ずると同時に、押されるところの毛織業界を助けるために、輸出振興の施策のために利用するような方途に出ていただきたいものであるということを申し上げておきましたところ、はたせるかな差益はもうすでに逆になつて来ております。ただこういうことになりますと、もらつた外貨をほかへ流す憂えが多分に起る、こういうことでございます。これを一体どうなさるおつもりか。  次に第二点。デフレ政策けつこうでございます。しかし政府がデフレ政策、デフレ政策と口に言いながら、通産省の中でデフレにおよそ逆行するところの施策が次々と打たれているのを私は、いや国民は非常にふかしぎきわまる現象だとながめているわけでございますが、その中の一つに汽車賃も上げた、砂糖も上げた、タバコも上げた、酒も上げたということがございます。そういうものを上げたら、せつかくのデフレ政策は逆行するんだということ、これに対する輿論がどの程度まで反発して来るかは試験済みのはずである。にもかかわりませず、このたび通産省は電気料金の値上げをするということ。過ぐる本委員会においては絶対に値上げをしないと言つた。にもかかわらず、今度は値上げをする。せめて八分ぐらいは値上げをする、自由党の政調会の反対にあつてまでもすると言うている。その反対がゼスチユアであるかどうかは私の関知せざるところでありますけれども、とにかく政府――というても、通産省は電気料金の値上げを考えている。そこでこれが政府のデフレ政策に及ぼす影響を勘案し、それのそろばんをはじいての上なお電気料金の値上げをしなければならないほど重大な原因があるのかどうか。  それから輿論は、この問題について各産業界も、商工会議所も、主婦その他の連合会、労働界あるいはジヤーナリストのお筆先も、こぞつてその非なるを指摘いたしております。つまり輿論は値上げに賛成でございません。その輿論を押し切つてまでもなおこれを上げようとする原因があるかないか。もしあるとするならば、輿論が納得するような材料をこの際見せていただきたい。むしろ下げてしかるべき原因は、きのう、きようのこの雨の様子を見たつておわかりだと思う。石炭だけでももうかつた率はべらぼうなものである。銀行に引続いて中部四県下でもうけ大将の二十傑の中に入つておるのが中部配電でございます。それでもなお損したしたと言うて上げなければならないのか。ぶつ倒れている中小企業、ぶつ倒れている糸へん業界はほうつておいて、もうかつた二十傑の一、二を争つている電気業界を助けなければならぬ理由がどこにあるのか、それをひとつはつきりしていただきたいものだと思います。  ところで政府当局にお尋ねしたい点が第三点にございます。それは自由党といえどもいつ解散があるかわからない、汚職で傷ついて評判が悪くなつておる、この際輿論に抗してまでもその値上げをするかしないかということはこれは問題であります。もしもほんとうに自由党が輿論のおもむくままに値上げをしちやいけないと決議をして強硬にこれを政府に迫つて来たならば、政府は一体どう措置するつもりか。ちようど繊維消費税がよい例でございます。自由党は政府案をくつがえすことは平気でございます。資本再評価法もしかりでございます。市民金融金利もしかりでございます。そこで政府が自由党の決議がもしも上げちやいけないと断定を下して来た場合において、なお政府はこれを上げなければならないのか、上げる覚悟があるのか、もしありとするならば、その理由をここにお示し願いたいのでございます。これだけはもしそれを強行されたとするならば、政府の言うところのデフレ政策よりも、輿論よりも、もうかつたけれども、もうかつていないという電気会社の言葉の方が尊いと解釈せざるを得ないわけでございますが、政府はそのように解釈しているのかいないのか、この点を大局的に質問するわけでございます。  以下時間があれば詳細に各項目にわたつて私は質問したい。なぜならば、電気会社がわれわれのところへ賃上げ運動に来ました場合に、私が指摘いたしました間違いに対する回答はまだ私の手元へ来てはおりません。従いまして、上げようと途中から考えをかえて参りました政府の考え方をまず承りたいのでございます。
  51. 岩武照彦

    ○岩武説明員 最初にお尋ねの毛織物二百万ポンドの輸入の件でございます。これは加藤委員から毛の輸出振興のために、その方面にいわば報償的に輸入さしたらどうかというお話があつたことは、これは私も承知しております。実はその後どういうふうに運んでおりますか、実はきよう私調べて参つておりませんのでわかりませんが、お話によりますれば、最近どうも毛織物が下りましたので、そういうようなインセンテイブ式のマージンが出ないのではないかというお話でありますが、そうかもしれませんが、いずれにしても帰りまして調べて参ります。  それから電気料金とデフレ政策の関係でございますが、これはひとり内閣の政策の問題だけでなくて、われわれ事務当局としましても、デフレ政策でコストを下げ、物価を下げようといいますときに、電気料金をいじろうといいますのは、これははなはだ心苦しい次第でありまして、われわれとしましても実はその間の矛盾は若干感じたわけでありますが、ただ電気料金制度の考え方が、午前中にも申し上げましたような、ある基準で原価計算いたしまして、その原価に従つてはじかれた料金の認可申請は認可しなければならないという建前になつておることは、けさほど申し上げた通りであります。その間の調整をどうして参るかという点が問題だ、こういうように考えております。  それからもう一つ、自由党方面の政策の調整をどうするかというお尋ねでございますが、これは実は私から答弁申し上げるのはどうもはなはだ筋違いだと存じまして、われわれとしましては電気料金制度の根本趣旨と、現下の今後の状況等を極力関係方面に御説明いたしまして、その妥当なところをひとつおくみとり願いたい、こう申し上げるしか方法はないと存じております。
  52. 中島征帆

    ○中島説明員 大体ただいま官房長が申しました通りでございますが、電気料金の決定につきましては、ただいま申しましたように、公共事業令三十九条では一定の方式に従つて計算されておる限りは、この料金を認可しなければならないということになつておりまして、また五箇年計画を立てました当時から、新しい電源開発に関します限りは従来のものよりかそのコストが非常に高い。従つて全体的に見ましても料金は相当上るのだということを当初から当局としては言つてつたはずであります。従つて計算だけからいたしますと、当然に毎年若干のコストの値上りということは否定できません。われわれ事務的にその点は検討いたしております。政府全体として、あるいは与党としまして、これをどういうふうに判断するかということは今後の問題でございますけれども、やはり今のような二つの点があります以上は、かりにこれを諸般の情勢にかんがみて押えるということをいたしましても、やはり押えるには押えてもさしつかえないのだというだけの理由がなければならないと思います。従つて当然に政府なり党の上層部できめます場合には、そういうふうな点を十分検討して大丈夫だという結論の上で出されることでございましようから、その場合には当然われわれもそれに従うわけでございます。全然理由なしに、とにかくデフレ政策であるから赤字を持たしてもこの際上げないというふうなことはそれだけではやはり貫けないのではないかというふうな感じがいたします。
  53. 加藤清二

    加藤(清)委員 最後に、これは局長さんでは責任のある答弁を要求する方が無理だと思うのです。そこで今後の問題をお願いしておきたいのでございますが、いずれ休会中といえども、こういうような問題が山積しておりますので、われわれはまた専門員室の方の御高配によつて業界の実態を休会中に調査しようとしておるわけでございますが、その調査の結果、また早急に手を打たなければならぬ問題が生じて来ると存じます。特に糸へん業界しかりでございます。そこで今後休会中といえども、こういうような会を催していただかなければならないと存じますが、その折には大臣が行方不明になつたり、あるいは腹が痛いとやら、かぜを引いたとやら、熱があるとやら、そんなばかげた理由で欠席をなさらぬように、もしそれ熱がちよつとあるから出なかつたというようなことが知れたら倒産者が続出しておるところの業界はただじや置きやしませんよ。こんなりつぱな建物の中にのうのうとしているからこのさみだれの味もわからないのでございますけれども、このさみだれのおかげでストツクしておるところの糸へんがどれだけ痛めつけられるかということをおわかりになつたら、少々の熱よりは綿や毛がさみだれのおかげで押されて出る熱の方がはるかに高いですよ。でありますからこれはぜひ熱意のあるところをお示しいただくために御出席方を要望して私の質問を終るわけでございます。
  54. 永井勝次郎

    永井委員長 ちよつと小委員長からお尋ねしたいのですが、料金制度の改訂が料金の改訂と並んで行われるわけでございますが、先ほど中島局長は末端の方においては実際これを実施してみなければその状況はわからないというようなお話だつたと思うのですが、料金制度改訂が具体的に末端でどういうふうに、家庭ではどうだ、あるいは化学産業ではどうだ、一定の割当量の中においてはどうだ、超過料金の中においてはどうだというようなことは、従来の実績から見て計算は出ると思うのでありますが、割当制度改正についての実情はどういうふうになつておるか、この点を伺つておきたいと思います。
  55. 中島征帆

    ○中島説明員 ただいまの点はある仮定のもとにおきましては、それぞれの需用に対します現在われわれが持つておりますような試案に立つた場合にはどういうふうな影響が出るかということの試算はございます。具体的に個々ケースによつて調べなければわからぬと申しましたのは、特に物価調整をやりますような産業、その一番大きな例は肥料等でございますが、そういうようなものにつきましては個々の工場がどういうふうな電気をどういうふうなかつこうで使うかという実際の必要とそれから可能性とを見ませんと、はたしてそういう電気の組合せによつて最後の料金がどうなるか、それを現在の状況に比べると幾ら上るかということが出ないのでありまして、ただわれわれといたしましては、一応の想定のもとにおいてこの程度上るだろうというような試算は各部面においてやつておる次第でございます。
  56. 永井勝次郎

    永井委員長 この料金改訂については、やはり聴聞会その他の制度があるということは、需用者側の意見を十分に聞くという趣旨だろうと思います。その意味からいうと、単に消費者ばかりでなくて、経済的な関係その他政治的、社会的関係からこの問題を検討する公式な機関としては議会以外にはない。この意味において当委員会は電力、ガスの小委員会等もあつて専門的にやつておるのでありますから、ことに休会中におけるこれらの問題で輿論を聞くという上においては当委員会の活用が最も適当だと思いますので、今後これらの問題の進行につれまして、まず具体的に運ぶ前提条件としてこの委員会に諮つていただきたいということを強く要望するわけでありますが、これに対して官房長及び公益事業局長からひとつお答えを願いたいと存じます。
  57. 岩武照彦

    ○岩武説明員 通産委員会の電気ガスの小委員会等が本件についていろいろ御審議に相なることはまことに当然だろうと存じまするので、そういう開会の際には十分に御説明したいというように考えております。
  58. 中島征帆

    ○中島説明員 われわれ今まで検討しておりますものは、あくまで現在のところは公益事業局内での試算であり、試案でございます。従つてこれをどの程度までこういうふうな公の席上で御説明できるかという点につきましては、内部でも少し相談いたさなければならぬ点もございますが、できる限りこういう委員会で御説明申し上げたいと存じます。
  59. 永井勝次郎

    永井委員長 本日はこの程度で散会するに御異議ありませんか。
  60. 永井勝次郎

    永井委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後四時三十四分散会