○中島
説明員
電力料金につきましては、去る三月の中旬に申請の供給規程に対しまして聴聞を各地でいたしましたが、その後聴聞の結果等も十分参酌いたしまして、また
事務当局において申請案を十分
検討の上、いろいろ査定ないしは修正を要する点が認められましたので、どういう点をどの程度手を加うべきかということにつきまして、その後数週間を費して慎重に研究いたしております。大体におきまして五月の終りごろまでに、一応私ども
事務当局の試案程度までまとまりまして、これを省内あるいはその他の
方面に対して逐次提示いたしまして、なお
検討しておる、こういうようなことにな
つておるわけであります。
それからその内容につきましてはそういう段階でございますが、いまだ最終的な案でもございませんし、なお今後の
検討にまつべきものもありますので、ただいままで私どもの出しております数字は、発表いたしておりませんけれども、大体におきまして
事業者の申請によりますと、年全国平均で一割四分四厘、あるいは燃料費調整後と比べますと一割七分八厘、こういう引上率にな
つておりましたが、先般来の
金利の引下げあるいは租税の引下げ、こうい
つたような
措置によりまして、四十数億の
負担が軽減されております。その他石炭の値下りでありますとか、あるいは実際に運転
状況を見ました場合におきまして、石炭の消費率が非常によくな
つておる。またロス等につきましても、損失率がその後もきわめて好転しておるというような実際面も十分考えまして、全体的に相当大幅な査定ができたわけであります。従いまして一割四分四厘の値上げに対しましては、大よそ七分以下見当まで現在までのところ原価的に下げ得る、こういうふうな大体の見当をつけておるわけであります。
それから
制度の問題でございますが、今回の改訂は料金引上げと同時に、料金
制度そのものに対する非常に大きな変更を含んでおるわけであります。その基本といたしております、現在大口に対して実施いたしております割当
制度を廃止いたしまして、これを供給規程によりまして、いわゆる過去の
実績を基本として、負荷率別料金
制度と申しておりますが、そういうふうな方式によ
つて、計算式でも
つて、一段料金を使える数字を出す、こういうふうなことを基本にいたしまして新しい
制度ができております。むろんそういうふうな
制度をとるのは、東北と北陸を除く七地区でございまして、その七地区におきましては現在と同様に一段料金、二段料金というかなり幅の開きのある二つの料金を置くことにな
つております。東北、北陸につきましては、すでに一本料金化するという案をと
つております。その点につきましては、
制度の内容が比較的簡単でございますが、その他につきましては二段料金をと
つております
建前上、料金
制度の内容につきましても非常に複雑な変化があるわけであります。こういうふうな
制度をとりましたために、各需用部門、各産業等にどういうふうな影響があるか、これも十分
検討しなければなりませんので、われわれとしてもでき得る限りの
調査をいたしております。ただ今回の変更のねらいというものは、現在の二段料金
制度はできるだけ早く一本料金化すべきだ、そうして電気料金の
制度を単純化して、もつとわかりやすく合理的な
制度にすべきだ、こういうふうな基本的な考え方を持
つております。そういう
意味におきまして、割当
制度によ
つて多少ひずめられております現在の料金
制度を、さらに一本料金に一歩近づけるという
意味におきまして、いろいろな手を加えておるわけであります。従
つて一段と二段との値開きも、今度の場合も現在より少し狭ま
つておる。これも一本料金に近づけるための
一つのステツプでありますが、そういうふうなねらいからいたしまして、従来のやり方とは根本的に違う点が出て来るわけであります。従
つて今度の
制度変更によ
つて非常に不利益を受けるところは、従来のやり方によ
つては、逆に言えば比較的優遇されてお
つた部門である。また逆に従来きわめて不遇でありました比較的に高い電気料金を支払
つてお
つた部門というものは、今度の
制度によ
つてはこれがずつと
改善される、こういうようなことになりまして、もしもこの影響を全然ゼロにするということにいたしますと、今のような従来優遇されてお
つたものは相かわらず優遇が続けられ、従来不利であ
つたものは相かわらず不利であるということになりまして、なかなか一本料金化という理想の形に近づきませんので、ある程度の影響というものはやむを得ないというふうに考えざるを得ないのであります。ただそれにいたしましても、あまりに急激に大幅な影響が来るということはいずれにいたしましても適当でございませんので、そういう点はできるだけ合理的な筋道のつく限りにおいて、その影響を緩和するというような
方法をいろいろ講じてございます。それぞれ各需用部門ごとにいろいろの問題がございましたが、そうい
つたような考慮を各個別に十分いたしまして、はなはだ抽象的な
説明でございますけれども、従来たとえば一割四分上るというのに、自分の方は五割も十割も上るというような声が非常に高か
つたのでありますが、そういうところがなくなるように十分
措置をしておるつもりであります。なおしかしこれが実際上にどういうふうになるかということは、
ほんとうの
個々の需用家のさらに立ち入
つた実情に入
つてみませんと明確になりませんけれども、従
つてそういう点においてなお問題があるかもしれません。なお研究を続けることによ
つてこの案の修正の余地もあるかと思いますけれども、一応私どもの到達いたしました結論としては、ただいまの程度の値上りと、それから申請の
制度の内容の修正ということによりまして、当初いわれておりましたような大きな影響を与えないで済むのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。これをどれだけ上げるか、あるいはまたいつから上げるか、あるいは上げないかというようなことにつきましては、これは今後なお
政府全体として考慮すべき根本
方針の問題でございますので、私どもただいまここで何とも申し上げかねるのでありますが、一応
事務的にまとめ上げたところでは、ただいま申しましたような経過にな
つております。