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1954-08-13 第19回国会 衆議院 通商産業委員会化学工業振興に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十三日(金曜日)     午後二時三十一分開議  出席小委員    小委員長 山手 滿男君       土倉 宗明君    中村 幸八君       笹本 一雄君    齋木 重一君       帆足  計君    伊藤卯四郎君  小委員外出席者         議     員 長谷川四郎君         議     員 加藤 清二君         議     員 川上 貫一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (軽工業局軽工         業課長)    倉八  正君         通商産業事務官         (軽工業局有機         化学課長)   宮沢 鉄蔵君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 八月十三日  齋木重一君八月十一日委員辞任につき委員長の  指名で小委員に補欠選任された。 同日  小委員小平久雄君及び加藤鐐造君同日小委員辞  任につきその補欠として土倉宗明君及び伊藤卯  四郎君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  石油化学工業に関する件     —————————————
  2. 山手滿男

    山手委員長 これより会議を開きます。  先般来この委員会では合成繊維工業合成樹脂工業石炭化学工業石油化学工業あるいは合成ゴム工業のような、このデフレ経済下においてもなおかつ日本の新しくやらなければいかぬ産業を育成しなければいかぬということで、これらの各工業を取上げていろいろ検討をいたしておるわけでございますが、ごく最近石油工業関連をし、石油化学工業が現にいろいろ問題になつて来た際でもありまするので、本日は石油工業及び石油化学工業について審議を進めたいと思います。これらの化学工業関係政府当局の係官の皆さん方が先般の異動で幹部の方が大部分おかわりになりました際でもありますので、もう一ぺんみんなの思想を統一することも必要だろうと思いますので、初めからひとつきようは掘り下げて話を進めてみたらいかがであろうかと思われます。そこでまず第一に石油化学工業について最近各業界からいろいろ申請されており、あるいはまた希望意見が述べられておることの概要について通産省軽工業局長の方から御説明をお願いしたいと思います。
  3. 吉岡千代三

    吉岡説明員 去る六月当委員会が設置せられまして、その後数回にわたりましていろいろ御指示をいただいて参つたように承知をいたしております。ただいまお話のように実はまだ私といたしましては新任早々でございまして、これからいろいろ勉強いたして参りたいと存じておりまするが、ただいままで承知をいたしております限りにおきまして一応申し上げまして、なお具体的な点につきましては関係官を帯同いたしておりますので、補足いたしたいと思います。  ただいまお話のように合成樹脂工業その他の合成繊維等基礎部門であります石油化学につきまして、最近業界におきまして非常に関心が高まつて来ておりますことは事実でございます。石油会社あるいは化学関係会社におきまして企業化計画研究が進められて来ておるわけでございます。ただ現在までの段階におきましてはやや具体化に近い形において来ておりますのはまず一社、これも正式に申請を出すというふうな段階にはまだ至つておりません。その他は大体会社側のいろいろな研究を私どもといろいろの連絡をとりまして調査を進めておるという段階でございます。御承知のように石油化学の問題はその基本である石油原料関係、また精製関係等におきまして、外国会社との関係もございまして、これらに対しましてもまだ正式のはつきりした話合いができておらないというのがほとんど全部の状況でございます。いつごろになれば大体具体計画がまとまるであろうかということは、これもはつきりいたしませんが、ただいまいろいろ進行状況を見ておりますと、まず今年一ぱいくらいになりますれば、ある程度各社の具体的の計画と申しますか、規模と申しますか、これが固まる程度段階に行くのではなかろうかと考える次第であります。その間私どもといたしましても申すまでもなく、いわばこれは全然新しい産業でございますので、いろいろ研究すべき問題があるわけでございます。通産省としてはもちろんでございますが、さらに広く関係専門の方の御意見を伺うというふうな趣旨におきしまして通産省の内部の仕組みといたしまして日本産業構造に関する研究の機構を、これは官房長中心になりまして、その他大学の先生でありますとか、経済審議庁その他専門の方にお入り願いまして、これに私ども参加いたしまして検討を進めているわけでございます。その産業構造研究会からきわめて最近に石油化学工業につきましての現状問題点、これは私ども従来軽工業局において研究しておりました資料をいろいろお出しいたしまして、まずそれを基本にいろいろ論議を囲わされまして、できましたレポートがきわめて最近に出されております。これらも御参考に供したいと実は考えている次第でございます。  それで問題としてはいろいろございますが、基本的には申すまでもなく、第一に石油精製との関連においてどういう規模において、またどういう種類のものを考えて行くかという問題があるわけでございます。それで石油化学を総合的に運営いたしますためには、いろいろ議論もあるようでございますが、まず通常日産三万バーレル程度精製能力を持つということが経済単位としては必要ではないかというのが一応の一般の見解になつておるようでございます。御承知のようにわが国におきましては現在この程度までの規模精製設備というものがないわけでございます。また今後これをつくるという問題になりますると、これは今後の防衛問題、特需問題というようなことに関連をいたして来るのであります。そのほかこれだけの規模のものをつくりますためには、おのずから工場立地条件というものも国内におきましてはきわめて限定されて来るわけでありまして、既存燃料廠敷地をどうするかというようなことにも関連を持つて来るということは申すまでもないわけでございます。それでこういう構想に立ちますと、現状におきましては、いろいろな不確定な要素を含んでおつて、今ただちに決定が困難だという関係がございます。  次に、今申しましたような総合的な考え方でなくして、石油化学部門別に、たとえばプロピレン系でありますとか、エチレン系でありますとかいうような形にわけまして既存精製能力ないしは今後近い時期において、ある程度石油精製業に対する、いわば既定の方策からして認め得る程度能力、これと結びつけることによりまして、部門別石油化学工場をつくるというアイデアもあり得ると思います。こういう考え方に立ちますと、ただいま申し上げました非常に大がかりな問題の決定前におきましても、具体的の問題として処理することが可能であろう、大体現在業界において主として考えておられます構想は、大体こういうラインは沿うものが多いわけであります。ただそれにつきましての具体化現状は、先ほど申し上げた通りであります。しかしながら、こういういわば部門別に比較的小規模において認めて参るという方針をとりました場合は、先ほど申しましたある程度遠い将来の理想の姿との関連におきまして、これに矛盾するのではなかろうかという議論が起り得るわけであります。従いましてきわめて現実的な問題としましては、今申しましたような石油精製業に対する政府の現在ないしは近い将来における具体性のある計画、これと結びつく程度のプランと、これを将来の石油化学工業一つの発展いたしました形態と矛盾しない形におきましていかにして調和して行くかということが問題になつて来るのではなかろうか、かように考える次第でございます。それで、ただいま申し上げましたような問題がまずあるわけでございますが、そのほかに技術提携の問題がございます。御承知のように、石油精製業自体が、原油関係あるいは精製業企業形態におきまして、ほとんど外国資本関連を持つておるという事実、さらに石油化学を興しますために、これはまず現状におきましては、外国特に英米との技術提携が必要であることは申すまでもないと存じます。従いまして、この技術提携の問題ないしはそれに関連いたします各シエール、カルテツクス、スタンダード、外国資本にそれぞれ結びついておる各社関係をどういうふうに考えて行くか、その話合いをつけつつ、しかも先ほど申しました国内的のいろいろの条件なり、要請なりに沿うような形においてこれを検討する必要があるという問題があるわけでございます。  それから最後に資金の問題でございますが、現在いろいろ計画されております石油化学計画は、少いもので五億ないし十億、大きいものでは五十億とか六十億というふうな非常に厖大な資金が必要とされるわけでございます。これにつきましても、ただいま申し上げました外資との関係等もあるわけでございますが、少くとも相当額国内において調達しなければならぬ。その点におきましても、今後具体的な問題としていろいろむずかしい問題が残されておる。きわめて抽象的でございますが、ただいまのところ私どもといたしましては、以上のような点を中心にいたしましていろいろ関係部局話合いをいたしておるような次第でございます。
  4. 山手滿男

    山手委員長 ただいま局長からお話のありました点は、まことに要領よくかいつまんで問題点を提起していただいて、私ども今話を進めて行こうとしておることを一応概況的に言つてもらつて、その通りだと思いますが、いろいろ具体的な問題に入る前に、そうした一般的な問題の結論を出して、その一般的な結論から具体的な問題を当てはめて行くということをしなければいかぬと思うのです。今三万バーレルくらいの能力精製工場に直結をしないと、近代的な石油化学工業としては規模が小さ過ぎてなかなかうまく行かぬだろう、こういうふうな第一点のお話があつたのでありますが、これは日本石油化学工業を育成して行く上においては非常に重要なことだと思うのです。この点鉱山局長の方から、日本石油化学工業を興す観点からも、石油精製業の将来のあり方、伸び方、そういうものについての見通しなり何なりをひとつ説明していただきたいと思います。
  5. 川上為治

    川上説明員 ごく最近の石油設備能力を全国的に見ますと、フルに動かしまして日産十五万五千四百バーレルという程度になつております。そのうち日本海方面が二万一千七百バーレル、それから太平洋岸が十三万三千七百、バーレル、合計いたしまして十五万五千四百バーレルということになつております。これを実際のいわゆる標準稼働能力ということで行きますと、太平洋岸につきましては大体八五%程度動かす。これはもつともちろん動かし得ると思うのですけれども、たとえば設備の修繕をするとかあるいはまた休みがあるとか、そういういろいろな点からいたしまして、普通大体八五%くらいというふうにわれわれの方では考えておりますので、それで見ますと、太平洋岸がこの現有設備能力に対して八・五%の十一万三千十三百バーレル、これを年間にいたしますと、キロリツターで六百三十万四十キロリツターという数字になります。それから日本海方面につきましては、この設備能力が、フルに動かして二万一千七百バーレルと申し上げましたが、大体六〇%くらいというふうに稼働能力としては見ております。それは船着きのぐあいとかあるいはタンクの問題とかいろいろな問題がありますので、今大体六〇%くらいと考えておるのですが、そうしますと一日一万三千バーレル、これを年間キロリツターに直しますと、七十二万三千キロリツターということになります。太平洋岸の六百三十万四千キロリツター日本海関係の七十二万三千キロリツター、これを合せますと七百二万七千キロリツトル、約七百万の実際の稼動能力を持つておるわけでございます。これに対しまして現在年間の総需要量、これは重油その他あらゆるものを入れまして、九百五、六十万くらいの供給になつております。従いましてそれから見ますとまだある程度拡充の余地はあるということになるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、太平洋岸は八五%に見ておりますし、日本海につきましては六〇%に見ておるという関係、それからもう一つは、やはりガソリンにつきましても、重油につきましてもある程度製品の輸入をやらなくちやいけないだろう、そういうふうに考えますと、大体今の能力に対しまして将来におきましても、ある程度増強は必要でありますけれども、非常に大きな増強は今のところでは必要ないのじやないかと考えられるのであります。九百五十万キロリツターの内容はもちろんほとんど全部民需でありますので、軍需関係はわずか十五万キロリツターか二十万足らずというような状況に現在なつております。軍需というと語弊がありますが、防衛関係、それは現在十五万か二十万足らずでありますので、これが将来かりに相当ふえると仮定いたしますと、もちろん現在の能力ではとても足りないということに相なるわけでありますし、将来産業相当伸びまして、石炭との関係をそれほど考慮しなくともなお重油の方をふやさなければならぬというような事態になりますと、とても現在の程度では足りないということになるわけでありまして、一つ防衛関係は将来どういうふうになるかという問題と、それから一般産業関係需要がどういうふうになるかという問題が、設備をもつと増強するかしないかという問題に非常に関連すると思うのであります。実は私の方としましても、今四日市の問題は別にしまして、たとえば徳山の問題とか、あるいは岩国の問題とか、そういうところにおいて精製設備をさらに増強するとかあるいはまた既存設備のところでありましても、それをさらに倍にするというようなことについては、相当これは考えなければならぬと考えます。これはたしか通産委員会でもいろいろ問題になつたと思うのですが、この通産委員会の御意見もわれわれ十分体しまして、現在各自がそれぞれ増強することにつきましては、厳にこれを抑えております。まつたく設備が古くなつて、そうしてそれを更新するという意味であるならばそれは許してもいいけれども、それ以外のものの増強というものについては、これは従来認めたものは別だけれども、新しくこの際われわれの方としては認めることはできないということで、その旨を現に各精製会社の方にも通知をいたしておりまするし、これは許可制度になつておりませんので、なかなかむずかしいのですが、もしたとえば資金的な問題でありましても、外資の出題とかあるいは外資を入れなくても、いろいろな方法で金を集めることはできると思うのですが、それを押えることは現在なかなかむずかしいのですけれども原油の方で私の方では押えて行く。たとい各自が増強をしましても、私の方は一切原油の割当は認めないからということで、現在行つておりまして、それで一応押えているというような状況になつております。しかし各精製会社におきましては、それぞれその設備の更新なり、あるいは若干の増強ということはそれぞれ考えて、あるいはすでに着手しているところもあるようであります。しかしそういうものについては設備の更新という、まつたく古くなつて使えぬから、非常に危くてしようがないから新しい設備をつくつておくのだという意味で、厳密に調査した結果やむを得ないというようなもの等以外のものにつきましては、私の方はすべて原油の方で押えて行く、そして各自の増強については、今のところ極力認めて行かないというような考えをとつております。しかしそれも先ほど申し上げましたように、防衛関係が非常にはつきりして、その関係相当大きな設備を要するとか、あるいはまた産業関係が、特に石炭との関係等から、もつと油を使つてもいいんじやないかというようなことになりますれば、もつと設備増強しなければならぬかと思つております。  それから、実はこれは従来通産省でいろいろやつ来ましたことについて、あるいはこういうことがよかつたかどうかという点については、私は相当疑問もあると思うのですが、もつと大きな設備をところどころに設けて、そうしてあまりこまかいのを方々にたくさん設けない方がよかつたんじやないかということも、今になつてみますと考えられるのですが、それは当時のいろいろな事情から現在みたいになつたと思うのですけれども、現在三万バーレル台に達しておるようなものは一箇所で、あとほとんどないのでありまして、大きいところでは三菱石油の川崎の工場、これが原油設備能力としましては二万五千バーレル、これは実際稼働能力といたしまして、これを八五%としまして二万一千四百バーレル、これなどが最大の規模でありまして、それ以外では、大体東亜燃料の和歌山の工場、これは設備能力としてフルに動かしたとして一万八千バーレル、それから日本石油精製の横浜の工場が一万六千五百バーレル、それからあとは大体、丸善の下津の工場が一万一千五百バーレルとか、大協石油の四日市の工場が一万六千二百バーレルというような程度でありまして、先ほど軽工業局長から話がありました石油化学工業としてはどうしても三万バーレルぐらいでなければいかぬというようなものに対しましては、これに大体応じ得るようなものは現在ほとんどないわけでありまして、そういう意味から言いますと、現在岩国の問題でありますとかあるいは四日市の問題でありますとかあるいは徳山の問題、こういうところが相当敷地を持つておりますので、もし将来防衛関係とかいろいろな関係から、石油設備をどうしても増強するということになりますと、こういうところが結局問題になつて来るかと思うのであります。今申し上げましたように現在の石油需要と、それから設備能力から言いましたならば、全体としてそんなに大きくふやすようなことは考えられないということが一つ。それは裏から言いますと、防衛関係がもつと大きな問題になつて来て、増強しなければならぬという問題が出て来れば、あるいはまた日本産業が全体的にもつと大きくなつて、そうして石炭との関係をそれほど考慮しなくとも、石油関係相当利用するということになりますれば、これは全体としてもつと大きく伸ばさなければならぬだろうということ、そういうことがはつきりしないと、今三万バーレルとかあるいはそれ以上のものをこの際新しくつくるということはなかなか問題ではないだろうかというふうに考えられるわけであります。それから既存のこういうたくさんあるやつを整理統合するということも、一応これは理論的には考えられますけれども、これまたいろいろ複雑な問題もありますし、なかなかこれをまとめるということもたいへんではないかと考えられます。そういうふうに考えますと、軽工業局長からお話がありました三万バーレル程度を基準としての石油化学工業を起すということは、今のところははつきりと、じやそういう工場をつくろうというわけには行かないんじやないだろうか。従つて現在の設備を若干増強するなりということでひとつ石油化学工業の特別なものをつくるよりほかないんじやないだろうか。たとえば東燃とか日石精とか、あるいはその他いろいろあると思うのですが。そういうようなことから行くよりほかないんじやないだろうか、そういうふうに私の方では考えております。
  6. 山手滿男

    山手委員長 今の局長お話はその通りだろうと思います。そこで私はお尋ねをしてみたいのですが、アメリカの石油化学工業等を見てみると、三万バーレルなんというものは問題にならぬちやちなものですが、三万バーレルぐらいの最底のものさえも、現在の日本工業ではなかなか整理統合もできぬし、若干ぐらい設備増強をしてみても、これはなかなかむずかしいということになつて来る。現存の精製能力をそのまま認めて、この石油化業工業石油化学工業として、国策従つて育成することが方法論として問題になつて来る。その場合に現在の十五万五千バーレル精製施設から出て来る廃ガスを、いわば国策として、法律によつて強制してでも一箇所にまとめて、これを国家の重要な資源として動員することが可能であるならば、十五万バーレルをとにかく輸入して精製しているんですから、相当規模石油化学工業が起きることになると私は思う。廃ガスを移動することができるかというこ養護もいろいろお聞きたのですが、移動できるし、大した運賃もかからぬというお話でありました。石油精製の過程に出て来る排ガスの出方あるいはそれの輸送の問題、あるいはそれをまとめて活用することの可否という問題についてひとつ御説明を願います。
  7. 吉岡千代三

    吉岡説明員 理論といたしましては、現在の設備に必要な設備を加えることによつて、そういうことは可能であろうということは言われております。ただ企業的に見ました場合には、やはりそういうものをただくつつけるということでは、採算的にもいろいろ問題があるようでございます。それから先ほど申し上げましたような各精製会社外国資本との関係におきまして、それぞれの会社がただいま石油化学に進出したいという希望を持つような状況でございまして、実は現在いろいろ計画を言つて来られていますうちにも、将来はそれぞれのガス装置各社計画しているから、そこから集め来ればいいんだというような考え方もあるようでございますが、実際問題としては各社がそれぞれ石油化学に進出したいという希望を持つているような現状におきましては、少くともそのそれぞれの結びついております外国会社の了解をもつて取付ける、要するにガス発生装置までをつけまして、それをまとめて、石油化学以下の段階に売るというようなことが、現実の問題として可能であるかどうかという点にも問題があるのじやなかろうかと思うのです。従いましてただいまのところ——遠い将来の防衛生産なりそういう関係具体化するにはまだ若干の時日が必要であるかと思いますので、現状におきましては、先ほど鉱山局長から申し上げましたように、現在の精製能力をそう大幅にふやさない、ないしは同系統の会社において設備を一箇所に移転集約して近代化をはかり、そういう限度において若干の精製能力増加、その許容できる限度増加と、先ほど申しました石油化学工業としてある特定の部門をねらうにいたしましても、その部門における経済単位、この辺を一調和して、さしあたりの具体策を立て得るならば、できる限り早く発足したい。そうでないと今の非常に大規模計画を待つておりましては、せつかく新らしい産業である石油化学の具体的の着手が遅れることを懸念しているわけでありまして、その辺の調整のとり得る限度においてできる限りすみやかに具体的な計画を実現したいという気持を持つている次第であります。
  8. 山手滿男

    山手委員長 この際お諮りいたします。長谷川委員及び加藤委員より小委員外発言の申出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山手滿男

    山手委員長 それではさよう決定いたします。長谷川四郎君。
  10. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 今のお話ですが、国策としてこれを取扱うことになれば私はできると思う。しかし国策でやる以上は国がそれに対して一切の保護政策を行わなければならない。従つてただ化学をやればいいというものでないのであつて、その価格国際価格と比例したものにならなければならぬ。そういうことになるとすれば、国策として保護政策を行うのが当然だ。先ほどあなたがおつしやるように三万バーレル経済単位になるならば、三万単位にならない場合には、それをそこまで運ばなければならぬ。一切のそういう保護政策が現政府にできるかできないか、いや現政府でなくても、将来の日本という国にそういうことができるかできないか、ということを考えれば、絶対でき得ない問題だと思う。しかしどうしてもやらなければならぬ段階に入つて来ていることは明らかなのであつて、よその国は六万バーレル、八万バーレルであろうと、日本日本式な化学を進めて行かなければならぬと思う。そういう点から考えて行つて、今の設備を上から切つて来て五つか六つくらいの大きな会社があるとして、どのくらいのものならばできるか。できるとするならば、どれだけのペトロ・ケミカルをやるのかということになると思う。どこまでならば日本でできるか、それを御研究になつていれば発表してもらいたい。
  11. 吉岡千代三

    吉岡説明員 先ほど申し上げましたように、業界の方の計画としてやや具体化しておりますのは、現在のところ一社でございます。その計画によりますと、現在六千バーレル既存設備に五千バーレルを加えまして一万一千バーレル程度を考えている。それでこれはプロピレン系中心にしての計画であります。それで一般的の基準が幾らであるかというお尋ねでございますが、実は私どもとしては、今申し上げました計画につきましても、そういう企業採算の面まで立ち入つて検討すべき段階に至つておりませんので、現在のところ確信を持つてこの程度が最低単位だということは申し上げかねる実情であります。
  12. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 そこでその一社というのが——きのうあなたがいないので質問ができなかつたのだけれども、たとえば三菱化成とシエルの間で一つの中間体をよその国から持つて来て、それでやつて行こうという考え方を持つて三菱が申請しておるそうですが、この計画に対してあなたはどういうふうな考え方を持つておるか。
  13. 吉岡千代三

    吉岡説明員 具体的の企業の問題になりますと、若干お答えしにくい点があるわけでございますが、全般的の方針といたしましては、なるべく原料から一貫する設備、しかも石油化学工業といたしましては、その本質はむしろその初めの方の段階にあるたとえばイソプロピル・アルコール等を輸入しましてやるというのでは、これは外貨収支の面から申しましても大した利益がないし、また先ほど申しましたその前の段階ガスの供給というような点にいろいろ問題があるわけでございますので、その見通しなくして中間物を輸入して発足するということはいかがであろうかという考えを持つております。それでその点は企業の方においても相当考えておるようでございますので、私といたしましてはそういう方向にぜひ持つて参りたいと思います。
  14. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 ぜひそうしてもらいたいと思つております。
  15. 山手滿男

    山手委員長 鉱山局長に伺いたいんだが、今日本で十五万五千バーレルの処理能力を持つてこれだけの精製をやつておるのだが、その過程で排ガスというものはどのくらい出て、またこれはどういうふうに今使われておるのか、ほつたらかしにしておるのか、自分の工場で燃焼してむだに使つておるのかどうか。
  16. 川上為治

    川上説明員 数量は実はよく調べておりませんが、ほとんど大部分が自家燃料として使つております。
  17. 山手滿男

    山手委員長 自家燃料というのはどういうことですか。
  18. 川上為治

    川上説明員 分解とか蒸溜とかそういう方面です。
  19. 山手滿男

    山手委員長 こういう排ガスみたいなものは、非常な貴重な外貨を使つて入れて来る貴重な資源だと思う。精力や何かを割当てずにおいて、こうやつて外貨を使つてつて来たやつを自家消費で何に使つておるかわからぬというようなことでほつたらかしになつておるということは、非常に遺憾だと思う。精製の過程で大体三分の一くらいは排ガスとして出て来るようにぼくは聞いておるのだけれども、三分の一出て来るやつをほつたらかしにして、自家消費というので、自分のところで入れて来るというのでかつてに使われては、国家として非常なロスだと思う。その点どうです。
  20. 倉八正

    ○倉八説明員 今のお話でございますが、出て来たガスを利用するのが石油化学でございまして、その出て来たたとえばプロパンならプロパンというガスをいろいろなものに出す。イソプロピル・アルコールをつくつたり何かする。その場合にその装置がさつきからもお話がありますように、やれ外資との提携がいるとか、向うの特許権を買うとか、ノーハウを買うとか、それがない限りは、そのガスが出ましても、自家燃料に使うとか、あるいは一部は市販もしておるのでしよう。そういうことになるわけでございます。
  21. 山手滿男

    山手委員長 市販というのはどういう燃料として市販するのですか。
  22. 倉八正

    ○倉八説明員 プロパン・ガスです。
  23. 山手滿男

    山手委員長 これは非常に重大な資源を、どこに行つているかわからぬと言つたら語弊があるかわからぬが、どこかへ捨てておるというかつこう——捨ててはおらぬだろうけれどもはつきり使つておらぬ。三分の一くらいは排ガスになつて出ているはずだということなので、これをまとめて活用することを考えなければならぬ。外国の資本と提携しているので、一箇所にまとめることは非常に困難だということになるようだが、実際にやろうと思えば、それはアメリカ系とイギリス系と二つにしてでもいいし、二つにすれば十五万五千バーレル能力を持つているのだから、相当な施設が石油化学工業として集められる。ぼくは二万バーレルやそこらのあれでは、つくつた化学製品が国際的な競争に太刀打ちできぬのじやないかと思うのですが、どうなんですか。
  24. 倉八正

    ○倉八説明員 今のお話でございますが、たとえばプロピレン系の代表的製品であるアセトンでございますが、これもさつきお話がありましたように、一万一千バーレル前後のものをやりますと、現在日本がアメリカから買つている価格に匹敵するくらいのものに、価格的にも下るわけでございまして、たとえば今日本のアセトンが一キロ百三十円くらいする。それが一万一千バーレル程度のものでやりますと百十円か、五円くらいになるということで、今輸入価格が百五円でございますが、そういうふうに計画はそのくらいの系統にわけてやりましても、大体国際相場に近くなるというようなことが言えるわけでございます。
  25. 山手滿男

    山手委員長 どういう種類のものをつくるかということは、私は化学工業全体をにらみ合して議論があろうと思うのですよ。だが今は石油化学工業のスケールとしてもつと政府当局の方で具体的にお話を聞きたいのですが、今のような一万一千バーレル程度のものにひつつけさしても、それぞれみな自立して国際競争に耐えるだけの能力ができるのかどうか。それではうまくないので、アメリカは十五、六万バーレルから二十万バーレルのものが最低なんだから、何か国家的に規制をして、そんなものを捨ててはいかぬ、一切捨てるべからずとして一箇所に集めさして、そして外資の導入をやつてもよろしいし、外資との技術提携をやつてもいいから、一箇所なり二箇所ぐらいで、外国石油化学工業とも太刀打ちできるような大規模なものに育成をして行くかどうか、これは大問題だろうと思う。
  26. 川上為治

    川上説明員 実は現在のガスというのは今委員長がおつしやいますように、大量には出ていなくて、精製から出るガスは量的に非常に少い。やはりこれを接触分解装置をやつて、高ククタンのガソリンをとるということになりますと、相当ガスが出て来る。そのガスは莫なものになつ来るが、それを利用してのガス分解のいわゆる石油化学工業というものに発展して行くのであつて、今とつている精製の過程におけるガスは比較的少い。私も専門的に実は調べて来ておりませんので、これはまたひとつよく専門家の意見をあれします。ですからどうしてもこの際接触分解装置とか、そういうものをあれして、ガソリンのオクタン価を非常に高め、高オクタン価のガソリンをとつて、同時にガスの方もよけいとるということに持つてつて、それから石油化半ということになるのだというふうにちよつと私も聞いたのですが……。
  27. 山手滿男

    山手委員長 いや、私は最近いろいろ業界の人から話を聞いているところによると、みな競つて設備の改善をやり合理化をやつて、高オクタン価のものを精製するように努力をしているから、最近非常にたくさん排ガスが出るようになつて、それを自家消費をしている、一部は市販をしている、そういうふうに私は聞いているのですが、これは至急に政府の方でどの程度ガスを出しているのか、どういうふうにやつているのか調査をしてもらいたいと思うのです。それが出て来ないと、あと、先に進めないかもしれない。ぼくはそれがあることだと思つている。
  28. 川上為治

    川上説明員 わかりました。
  29. 山手滿男

    山手委員長 それはひとつ次回までに調査をしてもらいたい。
  30. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 鉱山局長に伺うのですが、どうですか、今の石炭の消費というものと、国内設備とのバランスはどうなんです。あなたは、これから先はもう新規設備は一切させないんだ、こう言つております。ですから、させなくてもいいでしようけれども、そのバランスはどうなつているかということをまず伺いたい。つまり消費と、十五万五千バーレルつて来る、それのこなす力と現在の設備……。
  31. 川上為治

    川上説明員 それは大分石炭の方から重油の方に転換して参りましたので、現状のままにしておきますと、石油をこなす能力相当あると思うのです。現在の設備能力石油の供給能力以上に相当つておると思うのです。ただ問題は石炭との関係で、特に重油については、ことしも五百三十七万キロリツトルというところでどうしても押える。むしろ重油の方を石炭の方へ切りかえて行くというような行政指導を現にやつておりますので、そういう点からいいますと、大体設備は現在はあつても、石炭の方だんだん切りかえるということになりますから、石油を非常にふやすということは、今の段階においては困るということになつて来るのじやないかと思います。
  32. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 そこで、たとえば昨年度に入れた数量というものを見て、その数量と国内精製設備というものとどうなつて設備が過剰かどうかということです。
  33. 川上為治

    川上説明員 それは先ほど御説明申し上げましたように、大体九百五、六十万という需要があるわけですから、その需要については、ことしは大体昨年並に行つておりますので、それ以上に押えるということはしておりません。その需要に対して石油の供給設備能力としましてはまだ若干足りないが、しかしやはりこれは一部製品として入れなくちやならぬだろう、たとえば出光とかゼネラル物産とか、そういうところが製品輸入をやつておりますが、やはりある程度製品を入れるということは、国内精製業者を刺激し、価格にも、また近代化を進めて行くためにも非常な刺激となりますから、ある程度の製品輸入はどうしてもやむを得ないだろう。それはガソリンについてもあるいは重油についてもそうだということになりますと、結局現在の設備能力で、これに大体六、七十万キロくらいふやすことは大したことはないと思うのですが、この際飛躍的に大きく増強するということは、先ほども申し上げましたように将来の防衛の問題とかあるいは全体の産業が非常に伸びて石炭との競合がそれほど起らなくて、重油需要が非常にふえる、あるいは、ガソリンの需要がふえるということであれば問題はないけれども、現在においては四日市の、たとえば一万五千バーレルくらいをふやすことはこれはいいとしても、それ以上ふやすということは非常に無理じやないだろうか、こういうように考えるわけです。
  34. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 要するに現在では設備が足りないけれども精製したものを持つて来るから、これでまかなうことは今はできるんだ、こういう意味ですか。
  35. 川上為治

    川上説明員 二つありまして、一つは製品もある程度入れなくちやなるまい、それから設備は、製品を入れてもまだ若干足りないけれども、これは若干の程度であつて、非常に大きくこれを拡張する余地はない、こういうわけです。
  36. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 やはりはつきりしておいた方が私はいいと思うが、あなたはわかつておるんだろうが、われわれにはわからない。今の精製設備というものと国内の消費というものとの実際のバランスはとれていないけれども、そのとれていない部分は一部は精製したものを持つて来る。国内資源としての石炭というものをよけい使わせて行かなければならないから、まずそれでもつてまかなうことが、将来にかけても間に合うだろう、こういうお考えですか。
  37. 川上為治

    川上説明員 実はその数字をお配りして御説明すると一番いいのですけれども、きよう実は持つて来ておりませんので、はなはだ口下手でおわかりにくくて申訳ありません。結局先生おつしやつたようなことなんですが、全部原油を入れてそうして出すということは、これはいろいろ問題がある。これはこの前の通産委員会の決議においても、ある程度の製品は入れるべしという決議もありましたのですし、そういうことも考えまして、やはりある程度の製品は入れなくてはいかぬ。たとえば現在やつておりますのは、ガソリンについては一割程度、二百三十七万キロリツトルに対して約三十万キロリツトル程度のものを製品として輸入しております。これはやはり原油を入れた方が効率的にいいという人もおりますけれども、やはり製品で入れますと、油が非常に質がいいとか、あるいは安い油が入つて来るとか、いろいろな点からいいまして、精製業者に対しても相当な刺激になり、市場価格に対しても相当な刺激がある。特にイラン方面から製品を入れるるようになりますと、相当安いですから、相当刺激があつて国内の市場価格を独占的な価格にしないで、相当これはいい影響があるのではないかというような考えますので、一割がいいか、一割五分程度がいいか、その点は相当研究しなければなりませんけれども、ガソリンについてもある程度はやはり製品として入れなくてはならない。現在は二百三十七万キロリツトルに対して三十万キロリツトル程度を入れております。それから重油につきましては、五百三十七万キロリツトルの今年の供給に対しまして、国内原油を買つて来て製品として出すのが三一旦二十万ぐらいだと思います。はつきりした数字はきよう持つておりませんが、大体二百万あるいは二百万ちよつと越えるくらいのものは、やはり重油も製品として入れて来ているわけであります。それはやはり重油も製品として——これは二百万がいいか百万がいいか、その点は検討の余地はありますけれども、やはりある程度入れなければ、結局日本精製業のためにならないという観点から、われわれとしては製品輸入をある程度つている。ですから設備能力としては、これはもちろん原油で全部入れて出すということになれば足りないけれども、製品はある程度どうしても入れなければならぬということであれば、やはり現在の設備能力は若干足りないという程度であつて、あまりそう大きく増強する余地はない、こういうわけであります。
  38. 加藤清二

    加藤清二君 今の製品輸入の数字、もう一度おつしやつていただけませんか。
  39. 川上為治

    川上説明員 実は正確な数字を持つて来ておりませんので、大体覚えている数字を、それほど狂いはないと思いますので申し上げますと、ガソリンについては二百三十七万キロリツトルに対して製品輸入が三十万、原油を買つて来て精製するものが二百七万程度、従いまして一割ちよつと越えると思うのですが、その程度を製品として入れておる。それから重油については、五百三十七万キロリツターに対して、大体三百万か三百十万かそこらじやないかと思いますが、出しております。さつきは三百三十万と言いましたが、その辺がはつきりいたしませんが、三百万をちよつと越しておると思います。そうすると、五百三十七万から三百万を引いた二百三十七万ですか、それよりもちよつと少いと思うのですが、たしか二百二十万か三十万と思いますが、その程度を製品として重油は入れておる。ですから、重油あるいはガソリンを全部原油で入れて製品をもう入れないということにしますと、なおその精製設備はある程度現在よりもふやさなければならぬということに相なるわけであります。
  40. 加藤清二

    加藤清二君 ところがこの間の決議は、原油を入れてそれからできる製品と、日本が使うところの各種別の油とのバランスがとれないから、製品を入れる必要がある、こういうお話でしたね。この前ここでやりましたときは……。
  41. 川上為治

    川上説明員 それも一つの大きな理由でありまして、これは結局現在輸入関係の問題については、やはりベースというものがある。何をベースにとるかと言うと、現在ガソリンのベースをとつておるわけであります。ガソリン・ベースというのは、要するにガソリンの年間需要が二百三十七万キロリツター、そのうち三十万を差引きます。さつき申し上げましたように、それは製品として入れる。そうすると、差引二百七万程度ということになります。二百七万程度のガソリンをベースにして、幾ら原油を入れたらいいかということでやつておるわけでございまして、そのとき二百七万のベースで行きますと、重油については三百ちよつとということに相なるわけであります。ですから、ガソリンの製品は全然入れないということにしますと、さらに三十万のガソリンに匹敵するガソリンをとり得る原油を入れるということになりますと、重油の方は三百万がもつとふえると思います。そうすると、五百三十七万まではその重油精製能力はありませんけれども相当ふえるということになるわけでありまして、その際における姿というのは、ガソリンは一滴も輸入しない。重油についてはある程度輸入しなくてはならぬ、こういうことに相なるわけであります。
  42. 加藤清二

    加藤清二君 そこで今は大体製品をガソリンが三十万で、重油が三百万かになつておる。ところでこのバランスは、今おつしやつた理論によつてある程度の増減が考えられるということでございますが、将来政府考え方としては、日本原油を入れて加工する方を奨励した方がよろしいとお考えになつていらつしやいますか、それとも製品を輸入してそのバランスの穴埋めをした方がいいとお考えでございますか。簡単でいいからお答え願いたいと思います。
  43. 川上為治

    川上説明員 これは将来の問題もそうですが、現在におきましても、原則としてはやはり原油を入れて大部分のものは精製して出す、こういう方針は精製設備増強して来ましたその方針が実はその方針でありまして、それは将来においてもやはりそういう考え方で行くべきであると私は思つております。
  44. 加藤清二

    加藤清二君 それでは高度の国家経済から考えてみて、はたして原油を入れてこれを加工して使用させるという方がプラスになるのか、製品を輸入した方がプラスになるのかという点については、この前あの証人が来られて証言なさつたときに、これは論争の焦点になつておつたように思いますが、政府の今日の考え方では、一体いずれがプラスでございますか。会社の利益とは別でございますよ。
  45. 川上為治

    川上説明員 現在におきましては、これは実は資料を打つて来ておりませんが、やはりこの問題につきましても、原則として、原油を入れて製品を国内でつくつて出す方が効率的であるというふうに考えております。
  46. 加藤清二

    加藤清二君 ところが、これに対する有力な、反論がございましたね。それはほかの例をとつてみても、当然日本には労力が余つているのであるから、その方がいいんじやないか。ところが価格の問題で、カルテルがあつて、そのおかげでかえつて原油を入れてこれを製品化することの方が高くつく場合がある、そういう理論がありましたね。その理論を加味してもなお原油を入れて加工した方がよろしいとお考えでございますか。あの理論は別箇に考えていらつしやるのですか。
  47. 川上為治

    川上説明員 その問題につきましては、これは詳細にわたつて検討して御返事しなければなりませんが、われわれが今まで検討したところでは、そういう場合もありますけれども、今の国際的な関係、いろいろな点から見まして、やはり原油を入れてそうして製品として出した方が、ベター、しかしそうなりますと、やはりその独占的なことになりますので、私が先ほど申し上げましたように、やはりある程度は製品を入れて、そうしてそういう独占的なことにならないようにたたかなければならぬ、こういう意味において、製品輸入はある程度どうしても認めなければならぬ、というふうに私は考えております。
  48. 加藤清二

    加藤清二君 それではもう一点、高度の経済ということから考えまして、製品を輸入する輸入先、それが大体アングロイラニアンということになつておつたんじやないか。そのほかからも輸入するということでございますか。その点はどうですか。
  49. 川上為治

    川上説明員 今の製品は別にイランから入れているわけじやありませんので、原則としては、アメリカからでもどこからでも、重油についてもガソリンについても方々の国から入つております。
  50. 加藤清二

    加藤清二君 その国別のパーセンテージはわかりませんか。
  51. 川上為治

    川上説明員 今ここにそういう資料は全然持つて来ておりませんが、それはすぐできると思います。どこの国からガゾリンは入れているか、あるいは重油については製品をどこから入れているか、それはみなわかつておりますので、それはお出しできると思います。ただ問題は、私の方といたしましては、これは八割になりますか、七割になりますか、いずれにいたしましても、そのときくできめて行かなければならぬと思うのですけれども、やはり大部分のものについては、原油として入れて、製品として出す。それから一方製品として直接ある程度は入れなければなりますまい。こういう方針は従来からちつともかわつておりません。
  52. 加藤清二

    加藤清二君 私がぜひお尋ねしたかつた理由は、きようのこの会の趣旨とは少し雑れているかもしれない。私は石油のことはずぶのしろうと、何にもわからないから、教えてもらいたいと思つて聞いておるのであります。と申しますのは、アングロィラニイアンの石油の状態が今度うまくかわつたわけです。ところであのイランにしても、イラクにいたしましても、日本の他の物資を相当量買いつけてくれる。きのうも申し上げたのですが、この傾向が非常に濃厚になつて参りまして、一昨年ごろから非常に急な上昇率を示しておる。こつちのものを買つてくれる。そのためにどうせ製品を買うならば、アングロイラニアンから買つてもらつて、その見返りにあそこへこちらの輸出振興をはかつたらどうか、こういう意見が、石油についてはしろうとでございますけれども、他の経済についてはくろうとの方々から出ているわけなんです。それでその点はどうか、こういうことがお尋ねしたいわけなんです。
  53. 川上為治

    川上説明員 イランに対しまして物資を輸出して、あそこから極力安い石油を入れるということは、それが原油でありましても、製品でありましても、まことに望ましいことだと思つて、われわれとしましては、外交関係がいろいろありましたので、なかなか実現の運びに至つておりませんでしたが、最近ようやく解決したということでありますので、大いにこれは歓迎して、何とかしてイランの方から油を引きたいというふうに考えております。
  54. 山手滿男

    山手委員長 きようの議題の本論に返つて、やはり石油化学工業国内で興さすということになると、どういう種類の製品をつくらすかということが大きな課題になつて来ると思うのです。さつきお話のあつたような、アセトンのようなものを量産して行くということになると、現在日本国内で一、二の会社——三つくらいあるようですが、そういう会社でやつている、国内の原料を使つてやる醗酵工業から行くアセトンでありますと百二十円前後、輸入の原料を使つてやる石油化学工業から行くと、百五円から百十円程度ということになつて、なるほど少し国内価格は安くなるかもわからぬけれども国内の原料を使つて外貨を節約してやるという観点から行くと、いろいろ難点も出て来るだろうと思う。石油化学工業を興すことによつて、醗酵工業によるアセトン工業を全部つぶしてしまう、あるいは転換さすということになると、そこにまた重大な影響が起きて来るように思うので、石油化学工業を興さすならどういうものをつくらすつもりか、どういうものをつくらしたら、日本としては一番合理的であるのか、そういう点について、軽工業局の方から御説明を願います。
  55. 吉岡千代三

    吉岡説明員 ただいまお話のように、既存工業、たとえばタール製品工業でございますとか、醗酵工業関係と、石油化学工業と同一の製品をつくつておる工業、特に醗酵工業のごとく、非常に高い原料を使つております産業との調整ということは、十分考慮しなければならぬと考えております。その数量の想定、需給関係検討等もただいまやつておる段階でございまして、具体的に数字でもつてお答えすることはまだできない状態でございますが、抽象的に申し上げますと、たとえば今後の新しい合成繊維として、各国ではすでに量産化しており、またわが国でも近い将来に計画具体化すると考えられますデイクロン、あるいは電気機器の材料に使用されますポリエチレン、ポリスチレン、これらの原料でありますエチレン、これは石油化学によらなければ、経済的な供給はできないというふうに考えております。またナイロンないしは石炭酸系樹脂の原料であります石炭酸、これも石油化学工業に期待しなければ、おそらく近い将来において供給不足を来すのではなかろうかと考えております。また各種の合成樹脂の原料でありますメタノール、フオルマリン、あるいはアセテート、その他メタアクリル糸の樹脂の原料でありますアセトン、これも石油化学によつて非常に低廉な供給を期待することができる。合成樹脂は、現在合成繊維の原料として使われます部門のほかに、御承知のようにフイルム状のままで農業関係の温床に利用される。統計なり、実験の結果によりますと、人によつていろいろ違いますが、一割から、多い人は三割まで増産が期待できるというふうなことも言われております。最近におきまして非常に急速に発展しつつある部門でございます。従いましてこれらの製品といたしましては、現在ないしは近い将来においてある程度需要増の推定は可能であると思います。ただ先ほど来申し上げましたように、石油化学工業の経済ユニツトが非常に大きい関係からいたしまして、製品の需給関係につきましては、あらかじめ十分に検討を加えなければならぬだろうと考えております。醗酵工業関係業界におきましても、石油化学工業の必要であることはよく理解できる。しかしいわゆる中間物を輸入してやるということで、自分たちが被害を受けることは忍びない。そういうふうに非常に難解のある態度をもつて臨んでおります。醗酵工業自体といたしましては、別途にガソリンに対するアルコール工業の問題であるとか、そういう面もあわせまして、この間の調整をはかつて参りたい。それらに関します数字的のことにつきましては、いましばらく時間の御猶予願いたいと思います。
  56. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 局長検討を加えなければならぬという言葉、これは私は非常に不可解に感ずるのであります。たとえばベンゾールにしても、アセトンにしても、現実に日本がどの程度国際価格から見て高いものをつくつておるかということを考えなければならぬ。たとえば現在の日本の、ベンゾールにしても、そうだが芳香族からとつてどのくらいの値段がついておるか、現在は八万円台、それから輸入すれば七万円台、これを石油化学の方であなた方がやらせてごらんなさい、逆に計算して行けば三万円でできる。こういうような点、今のアセトンでも同じです。ですからほかの方で関連があつて、ほかのものが困るからというのではなく、この種のものを国際価格まで落さなければならぬ。落すために現在われわれは苦労しておるわけであります。一兆円というのはすなわちそこから出ておる。われわれも一兆円の予算には賛成しておる。国際価格までいかにして落とすかということがわれわれの主眼である。そこで石油化学を何ゆえやらなければならぬかということもそこから出発している。石油化学の全製品は七千四百二十六品目できておる。高いから国内でこれをつくつて行くと、そこから影響するから、その影響するところまで価格をなるべく落すようにして行かなければならぬと私は思う。先ほども鉱山局長がいろいろ言つているようだけれども、ぼくは石油化学をやらないのなら原油なんか日本に持つて来させちやいけない、大きな間違いをしておる。フランスのモネーがどのような政策をとつたかということをまず考えてみる必要があると思う。これは行政官そのものが考えてみる必要があると思う。フランスと日本とで石油事情がどのくらい違いがあるか。石油事情は日本の方が優位じやないですか。しかもその優位である日本とフランスと比較してみて、現在のフランスの石油化学というものがどのくらい進んで来ているか。しかも行政官自身がこれをどのくらいの指示をして、どのくらい大きくなつているかということ、今手も足も出ないのじやないか。こういうようなことはやはりモネー計画つていくらか考えて、そしてただ行政官だから、おれはうまく答弁して逃げていればいいのだというのでなくて、もつと献身的な、国民をおれの力でもつておれの行政でもつてそこまで持つて行くのだということをやはりやつてもらわなければだめだと思うのだ。大体われわれがそうやつてもらうのが当然な立場にあるけれども、どうもわれわれはそういう提案についてはしろうとでわからない。だからそういう点についてもう少しじつくり話し合つた方がいいのじやないか。ただここでもつて答弁がうまくできたのが偉いのだという考え方からもう抜け出てもらいたい、こう思うのです。そこで石油化学日本でやる程度がどの辺までできるか。今も私が申し上げたように、七千四百二十六品目つくつているのだ、それを全部出せということはむずかしいでしよう。それには前提としなければならない要するに経済単位というものがあるだろうと思う。またベンゾールだつてそうです。今の五箇年計画政府が立ててやつている合成繊維を見てごらんなさい。あとはどれからやるか。繊維局長つて何から合成繊維をとつて行くか、もうここまで追い詰められたのだから道がないじやないですか。石油化学というものは本年のうちにあなたがもうやり遂げなければだめです。ここまで追い詰められておつて、輸入が七万円、国内で八万四千円、石油化学から出して行つて三万円だと明らかに出しておるのだ。それをさつき委員長が心配しているように、排ガスを三分の一は出ないけれども、捨てているじやないか。燃料にしておるということは捨てていることだ、捨て場がないから燃しているじやないか。それをまんまとそのまま見のがしておくという政治は私はないと思う。だから私が人類観に立つてと言つたら、人類観とは何だと尋ねられたことがある。日本にさえ原油を持つて来なかつたら、世界の人類のためにどのくらい貢献したか。世界人類が、日本にこれだけの原油を持つて来なかつたならばどのくらい希望を達することができたかということを考えてみる必要がある。こういうようなことから考えても、原油日本に持つて来るな、入れさしてはならないという議論が成り立つて来ると思う。そこである程度大きなものをやつて、あとのこまかなものはさつき委員長が言つたように、それを国策でもつてつて行く、そういう場合にある程度の援助政策というものもおのずから出て行く。あなた方のやつているような、そこにバーター制というものも許して、直接われわれの税金をやらないとしたならば、そこにやらなければならない求償という問題もこの中に織り込んで行けるじやないか、そういう根本的の考え方をかえてもらわなければならぬ。今出て来ている重油石炭の問題で、こうやつたら石炭が云々だ、そんなことよりも、八千五百万の日本国民が、いかに経済の安定をはかつて生活をよりよくするかという、いかに国民を幸福に導くかというのがわれわれの役目なんです。だからそこにともに手をつないで行くのには、これは答弁がうまいことではなく、ほんとうに腹を打割つた小委員会においてでつち上げて、これを委員会に移して、末端までわれわれの計画を行わしめて行かなければいけないのじやなかろうか、こういうふうにも考えています。ですから石油化学というものがいかに日本にとつての重大な問題であるかということだ。そこでさつきちよつと私が聞いたように、中間体云云ということになつて行く。それでなくてそれよりもどんなに小さくともアセトンくらいなものなら日本で出して行けるじやないか、そこまで追い詰めなくても、中間体くらいなものまで行つたものを全部集めて国策的にやつてもいいだろうし、やり方もあるだろう。われわれしろうとでわからないが、専門家の皆さんならいろいろな考え方が出て来るだろうと思うし、この次の委員会のときには、日本ではこれだけのものならば現在の製油会社がこれだけあつてこれだけ以上のものはできるんだというようなものを出す。ただやたらにどれもこれもごつち上げていいものじやない。そこまで行つたときにおいて、あとをまとめ上げて国策会社を立てて行くとか、他の関連会社にあとをさせて行くというようなやり方もあるじやないか、こう思うのです。ただ求償問題にしてもバーター制にしても、そういう面を生かして行つたならばそう深く考えなくてもやり得られるだろう、こう思うのですがどうですか。
  57. 吉岡千代三

    吉岡説明員 長谷川先生のおつしやることはよくわかります。ただ私の言い方が少し飛躍があつたかと思うのですが、石油化学というものを非常に大きく取上げた場合におきましては、たとえばアメリカにおいては投資額について見ましても、全化学工業に対して約五〇%以上の投資がされておる。従つてそういう大きい問題になつて来れば、いろいろ他の産業関連を持つて来るという問題もある。従つてわれわれが問題を検討いたします際には、そういう他の同じ製品をつくつております。工業との関係も無視できないという意味において検討しなければならぬという意味で申し上げたのでありまして、もちろん先ほど申し上げましたように、現在同種の工業をやつております業界においても、石油化学工業の発展については非常に理解ある態度をとつております。従つて少くとも原料から一貫してやる限りにおきましては、そういう意味においてこれを取上げるべきものを取上げないということは考えておりません。また現実の問題として一挙にそこまで大きな規模において近い時期に実現されるということも、これはさしあたりは考えられないじやないか。ただ問題としては将来の関連産業の姿がどういう形になつて行くか、そういう意味におきまして先ほどちよつと申し上げましたような産業構造の問題として検討していただいておる、こういう意味でございます。
  58. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 そこで日本産業構造をどういうふうに持つて行くかということは、一応これまでやつてみたらよくわかる思う。われわれは野党で直接行うのじやないからできないので、われわれがまとめ上げてそれを現政府に行わしめようというのがぼくらの考え方なんで、それで一生懸命こんなことをこの暑いときに来てやつておるわけなんです。関連産業という面も当然考えなければならぬ。ともにつぶしてはならないのだけれども、お互いに今の国際価格という問題が一番大きく考えられる点なんです。ですからそういうものを考えなければならぬ。やつぱり鉄鋼においてもその通りなんであつて日本の鉄鋼が現在のような求償の関係で、石油を犠牲にして鉄を生かして行くといういかにも情ない話で、犠牲にされるものはいいつらの皮なんだ。石炭においても、重油石炭といつて石炭を燃料とばかり考えておるからそういうことになつて行くのである。なるほど、石炭は燃料かもしれない。しかしその石炭の燃料というものをいかにもう一段と化学化をさせるかということをちつとも指導していないじやないか。その指導も何もしないで、われわれの税金を入れていくら助けてやつても同じことだ、何にもならない。だから石油と並行して石炭化学をいかにさせるか、石炭は燃料だというこの観念からいかに逸脱させて行くかということ、一段と飛躍させて、石炭は燃料であり、これをいかに化学化できるかというところまで持つて行かなければならないのじやないか。そういう点についてちつとも考えないで、石炭がかわいそうだから重油を規制するのだと言う。これじやとても問題にならぬと思うのだが、鉱山局長さんはそういう点はどうですか。
  59. 川上為治

    川上説明員 今の石炭を燃料だけでなくて、どうしても石炭化学というものに発展さして行かなければならぬ、これはまつたく同感でありまして、これはわれわれも少しその点は今まで怠慢だつたと思うのですが、実はこの前われわれの仲間で会議をやりましたときも、石炭化学というのは、政府としてはもつと強く検討をし、研究をしなければいけないという話をしたのですけれども、やはり問題は石炭価格の問題ですね。これがやはり問題じやないか。石炭化学をいくらやりましても、結局石油化学の方には太刀打ちできないというような問題がまた一面あるというふうにも聞いておりますし、また石油化学石炭化学とが競合しないようなやり方をとつて行くべきじやないだろうか。たとえば液体燃料とか、これも一応考えられますけれども、これまた従来やつておるところを見ますと、石炭から石油をつくるというのは、非常にこれまた高い石油になるというふうにいも聞いておりますし、なかなかその点はむずかしい点がいろいろあるようであります。しかしいずれにいたしましても。今長谷川先生のおつしやいましたように、石炭については、これは石炭局長の所管ですから、私がとやかく言うのはどうかと思うのですが、やはり何かこの際道を切り開いて行かなければいかぬのじやないかということは、われわれ自身としても痛感いたしております。
  60. 山手滿男

    山手委員長 私は長谷川君の言うのも、軽工業局長の言うのも、結論は結局一致しておると思うのです。要は石油化学工業をアメリカがやつているように大々的にやることはできない。ごく限られた原料を使つて、限られた資本で石油化学工業を興そうというのだから、要は日本の国民経済に最も能率的に、効果的に、いわば経済効果の多いものをつくらす、私はそういうことだろうと思う。日本国内の原料で自給できるような産業を押しつぶして、経済効果の少いものをつくつてみても、これはしようがないということから、石油化学工業を興せば、どういうものをつくつたら国民経済に対して一番経済効果が多いか、あるいは日本国内関連廃業と摩擦が少いかということを検討して、どういう品種をつくらすように政府は持つて行くつもりか、これを私はぜひはつきりしておいてもらいたい。これがはつきりしないと、いつまでたつても同じところを堂々めぐりをすることになると思う。これはぜひこの次の機会までにはつきりしてもらうようにお願いをしたいと思う。  それについては、私はここでもう一つ政府側に御質問をいたしますが、技術的にも英国式の石油化学工業を入れた場合と、アメリカ式の石油化学工業技術を入れた場合とでは、相当の開きもあるし、特色が出て来ておるようでありますが、それをどういうふうに入れて来たらいいか、これに対する結論技術的にも関係者を招致して出してもらいたい。わかつておればここでお話を願いたい。それからもう一つお聞きをしたいのは、日本国内においても、三井あたりは石炭液化などに対しては相当研究を進められておつて石油化学工業自体に対しても相当研究もし、熱意も持つておるようでありますが、日本国内技術相当に行けるものかどうか。現在国内技術で行くとすれば、どういうものをやらすと一番効果的であるか、そういうことについて御答弁を願いたいと思います。
  61. 吉岡千代三

    吉岡説明員 ただいまの点につきましては、すべて非常に重要な問題でありますので、十分研究いたしまして、次会までにお答えし得るようにいたしたいと思います。
  62. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 今度はまた鉱山局長にさつきの続きで伺いますが、石炭価格云々ということですが、それはいろいろ施設という点に大いに価格が支配されておる。これは私も認めます。やむを得ないと思つております。しかしそれでは経済単位から採算ベースが幾らならばいいかということを調べて行けば出ると思います。無理にたとえば五千万トンとか四千八百万トン掘るということになれば、価格という面が結論として高くなつて来る。それでは採算ベースは幾らなんだ、何トンくらいが採算ベースなんだ、こういうことから割出してやつてもいいと思う。だから総合した経済から立てて行くならば、そういうところからやはり立てて行くべきだと思う。ただ石油日本にないじやないか、外国から持つて来て外貨を使うのはいけない、それはおかしいのであつて、輸出は何のために輸出するのであるか。輸出は輸入が目的で輸出するのである。また輸出が目的で輸入するのであつて、輸出しないで輸入するというような気違いは、きよう日ないわけです。そういう点から考えて、石油化学というものをもつと考えて、現在こんなに中小企業を困らせるようなことなく、また暖厨房にしても、ヒロポンの中毒というものがあるけれども、あれと同じで、一度石油を使つた家庭で、今度はお前のところは石炭でなければだめだと言つたつて始まらない。金額の問題ではなくなつて来ておる。石油を一回使わせて、それをかえろと言つたつて、ヒロポン中毒と同じことだ。それほど石油というものは国民生活に大きな影響を持ち、国民の経済の中に大きな重要な位置を占めておるものです。だからこういう点から考えて、ただ石油の輸入を規制するのだというばかりに頭を病まないで、石油化学という点を考えて行くならば、たとえば石油を持つて来て百億ドル使つたと仮定して、石油化学をやつてみた。そうしたら百五十億ドル外貨が獲得できたら、差引き五十億ドル得するじやないか。そういう計算もあるのだから、そういう計算を立てるには、ちつとぐらいは犠牲にならなければならぬ。ただよそでつくつたものばかり持つて来るということになると、せつかくもうけたものを頭をはねられることになるのだから、日本日本式のものを大いに考えてもらいたい、こう思つておるわけです。だからさつき委員長の注文したように、日本石油化学であるならばどこまでやれるのだというはつきりしたものを、御提示願いたい、こういうことに結論づけられるわけです。そうでしよう。
  63. 山手滿男

    山手委員長 きようはいろいろあるのだが、配要な問題は一万バーレル程度精製をしておるところにひつつけてやつて育てたものが、国際競争にたえ得る石油化学工業であるかどうかということ、これはやはりきちつとしてもらわなければいかぬ。それから現在出ておる排ガスをどういうふうに使つたらいいか、あるいは石油化学工業というものは日本には現在全然ないので、新規に興す工業ですから、排ガスを利用する条件で政府が外貨を割当てて輸入さしておるのだから、一箇所に集めるというふうな手を打つことによつて、捨てられているようなものが最も効果的に使えるというなら、ある程度強制手段を使つてでもやるべきだと思う。そういうことについての見通しがはつきりわかつておらない。それからどういう品種をつくつた場合には、一番日本の国民経済に対して経済効果が多いか、それから一番経済効果が出るような品種をつくらす特色のある技術は、どこの国の技術が特色のあるものであるか、こういうものをデイスカツシヨンして石油化学工業を新規に日本に興す場合には、情実や縁故で許可してはいかぬ。こういう一般的な公式を科学的に明らかにしておいて、それに最も沿い得る者に石油化学工業を許可し、一旦許可をしたらいいかげんな足踏みや何かはしないで、あくまで政府が育成して行くというふうな方針で直進をしてもらわなければいかぬ。それを今までやつて来たように、あいまいなスタートをするというと、これは大紛争のもとになると私は思うので、専門家のだれに話をしても、これはこういう基準で許可をされたのだ、こういうことでこういう方向に進んだのだということが民主的に明らかになるように、ひとつ一般的な原則を早く打出してもらいたい。もちろん期限を切るわけにはいかぬと思いますけれども、これは焦眉の急になつておるわけでありますから、専門家や何かのあらゆる知能を動員して、早急に政府の方でそういうものを天下に公表できるような結論を得ていただきたい。  次にただいま川上委員より小委員外発言の申出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 山手滿男

    山手委員長 それではさよう決定いたします。川上君。
  65. 川上為治

    川上貫一君 ぼくは石油に非常にしろうとで、ちつともこの問題はわからぬのですが、一つ聞きたいことは、すべて特殊な産業、生産が始まるときには、資本主義的な形態に置かれておる限りは、採算がとれてもけがあつてよくなるということになれば、業者自体が考えるのが原則なんです。ここから国家はこれをどう育成して行くかというのが、いわゆる自由主義国家の経済のあり方だし、一方の方で言えば、国家が先にきめまして、そうしてこれをどうだというので業界にやらせようとする、この原則があるわけです。ところが日本石油関係している商社は弱い商社じやない。非常に強い、資力の点からいつても、よたよたの中小鉄鋼業くらいものとは違うのです。それがなぜそれを問題に出して来ないか。また主としてアメリカだが、これと提携して一切やつておるわけですが、その時分に採算の上からどうして各業者がこれを問題にして来ないか、何かそこに理由がある。その理由は採算の理由であるかもわからぬし、国際的理由であるかもわからぬ。それが私にはわからぬ。この点どうなんです。  それといま一つ、これは直接関係しませんけれども、小委員会をこういうぐあいにやるときは、どうも聞いていると非常に対立意識がある。何か知らぬが政府当局の方は、とにかくよろいを着たようになつて、これを何とか防いでおかなくちやならぬ、議員の方は、これを何とか打破しなければいかぬというようなことじや、小委員会というようなものは実際の成果を期待できない。やはり議員はいろいろのことを考えてやつているのだから、それに協力して資料を提供して行くというようなかつこうでものをつくり上げて行つて、これを委員会なら委員会に持ち出すように小委員会の中でさせる、そしてこれが本会議のものになるというような形でなければいけない。聞いていると、一方の方は防ぎおるし一方は攻撃しておるし、何かしら両方対立しておる。これは昔の官僚国家時代の、政府は議会というものが非常にじやまなものであつて、困つた時分の伝統が残つている。そういう点から考えて今の私の第一の質問はどうですか。これは私しろうとですから、まことにつまらぬ質問をしているかもわからないが……。
  66. 吉岡千代三

    吉岡説明員 石油化学工業が、今までどうして業界として取上げられなかつたかというお尋ねでございます。いろいろ理由はあると思いますが、私の理解している範囲において申し上げますと、やはり石油化学から出ます製品でございます合成繊維とか合成樹脂、そういうものの原材料という形になつて来るわけでありますが、その製品工業の発達がきわめて日本においては最近のものである。従つて石油化学工業によつてできました製品の需要というものが、最上において相当大きくなつて来、また合成繊維とが合成樹脂工業自体が非常に急速な発展をいたしておりますし、その原料を現在も輸入しており、また将来も輸入がふえて来なければならぬということがはつきりして来たという点が一点。それから石油精製設備能力の問題でありますが、これも現状におきましては、鉱山局長がお答えした通りでありますけれども、しかし業界としては近い将来において相当増加が当然期待できる。ことに航空燃料等の増加というものを考えれば、その間に今の、それと関連して改質分解装置というふうなものが取上げられて来る。従いまして、原料面並びに製品の面におきまして、そういう機運が最近において具体的になつて来たというのが大きな理由じやないかと思います。それで現在におきましては、きわめて最近のことでありますので、先ほど来申し上げますように、具体的の企業計画というものはまだ明確でないものが多いわけでありますが、各企業とも石油工業の面と化学工業の両面において、こういうことをやりたいという考え方は急速に高まりつつある。もちろん石油化学自体の技術的の発展というものが、最近のものであるということもあると思いますが、そういう関係じやないかと思います。現在におきましては、これは決して政府がやれと言つたからというふうな形でなくして、業界自体においても相当機運が動いて来ている。ただまだそれが具体的に熟するまでには至つておりませんが、近い時期において具体化するのじやなかろうか。従つて政府としても、そういう意味において、これを今後いかに持つて行くかということを真剣に検討すべき時期じやないか、こう思つております。  それから二番目の点でございますが、これはじつはまつたくわれわれが研究不十分なために、十分なお答えができないし、また問題が非常にむずかしい問題でございますし、検討すべき点が多いということで、自然要領を得ないようなお答えをしているわけでありまして、国会としても、前国会でこの種の産業育成の決議をされ、またこういう小委員会も設けられていただいておりますし……。
  67. 川上為治

    川上貫一君 もうよろしゆうございます。もう一つ、従来は、そういう今のような日本の生産規模のもとで石油化学工業の方向に向つて適当に損益を出そうとするための設備の経費、これが相当のものであつて、採算がとれないということがあつたのじやないか。適当なものであれば金がもうかるし、アメリカも黙つておらないじやないか。向うが半分利潤その他の責任を持つておるんだ。損得にかかわるんだ。その技術は向うは持つておるんだ。そうい往覆向うはどんどんやつておるんだから金がないはずがない。ところがそれが今ごろになつてもまだ会社の方では機運が動いておるというようなところまでしか行つていないというところに、実際のところ何かないんですか。
  68. 吉岡千代三

    吉岡説明員 やはり今までは日本国内における生産の需要というものが、たとえば合成繊維にしましてもきわめて最近のものであります。合成樹脂のうちの塩化ビニールのごときも、最近数年間に飛躍的な増加をして参りまして、急速にはかの……。
  69. 川上為治

    川上貫一君 それでけつこうです。そうするとアメリカは相当にやつておるんですから、日本でつくつたものをアメリカと競合させることは好まないんですか。日本のうちの需要だけじやない。世界的の需要があるわけです。だから日本国内需要云々の問題だけではなくて、これが売れぬはずはないものなんです。それをアメリカが技術指導もしておるんです。向うがちやんと取締役も入つてつておるんです。それをなおかつやらぬということは、そういうものをつくつて日本需要が少くて、輸出しなければならぬということになつた時分には、アメリカの商品と競合するからそういうことはあまり感心せぬという考え方が向うさん側にあるんですか。石油産業はその点をひとつ考えないと、石油問題というのは単純な日本の企業だけとして考えたのではいけないと思うんです。
  70. 吉岡千代三

    吉岡説明員 先ほどもちよつと先生お見えになる前であつたかと思いますが、申し上げたのであります。従来の外国資本とのいろいろな提携関係なり技術の面からいたしまして、これをやるとすれば技術導入、技術提携をしなければならぬということははつきりしております。それと今申し上げましたように、最近日本国内需要相当の具体的な見通しが出て来たということで、最近におきましては、その石油精製工業と結びついております外国古本の方もそれぞれ相当の関心を示して来ておる。従つて各社において計画が具体的に進んで来たのだ、こういうふうに御了解願つたらどうかと思います。
  71. 川上為治

    川上貫一君 けつこうです。
  72. 山手滿男

    山手委員長 それでは通産委員会が来月の九、十、十一日くらいに開こうじやないかというふうに話が出ておりますから、多分そういうふうなことになるだろうと思いますから、この委員会はその時節に再び開くことにして、きようはこの程度にいたしたいと思いますが、政府側においても、きよう問題として回答をお願いした諸点が明らかにならなければ、石油化学工業の問題は一歩も前進することができないことであろうと思いますので、できればその際根本的に、すつきり割切つた話はできないにしても、ある程度結論を出して御答弁を願えるように、省内でもひとつ御研究をお願いしたいと思います。  それではきようはこれで散会いたします。     午後四時二十四分散会