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1954-08-14 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十四日(土曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長代理理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君       小金 義照君    始関 伊平君       土倉 宗明君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    柳原 三郎君       片島  港君    加藤 清二君       伊藤卯四郎君    川上 貫一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大 蔵 技 官         (主税局鑑査課         長)      木谷 忠義君         通商産業事務官         (通商局通商政         策課長)    今井 善衞君         通商産業事務官         (重工業局次長         )       小山 雄二君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (繊維局長)  永山 時雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  齋藤 正年君         中小企業庁長官 記内 角一君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君         労働事務官         (労政局長)  中西  實君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      龜井  光君         労働事務官         (職業安定局失         業対策課長)  村上 茂利君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業石炭鉱業及び繊維等に関する件     —————————————
  2. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それではこれより会議を開きます。  昨日に引続き、通商産業行政に関し調査を進めます。質疑を許します。始関伊平君。
  3. 始関伊平

    始関委員 先般の九州視察の結果に基きまして、最初石炭の問題につきまして二、三お尋ねをいたします。最初労働省関係の方が見えておりますので、これに関連する問題につきましてお尋ねをいたします。大体デフレ政策が進捗いたしますと、価格が下落する。この場合におきましては炭価が下落するわけであります。それに伴いましてコストが下るはずでありますが、このコストの下落は、大手筋炭鉱中小炭鉱とで大分趣を異にしておるように聞いて参りましたが、その辺の実情につきまして、きようは時間がございませんので、石炭局長から簡単にひとつ御答弁を願います。
  4. 齋藤正年

    齋藤説明員 中小炭鉱につきましては、正確なコストの統計をとつておりませんので、どのくらい大手筋と違うか、数字的にわかりません。本年になりましてからの人員整理は、ほとんど中小企業に集中しております。それだけ過剰人員整理が進んだということは、それだけコスト低下の面においても影響した。大手筋の方は、御存じのように昨年大分整理をいたしましたが、その際労使間に相当ひどい紛争がありまして、それ以後ほとんど整理が進んでおりません。その関係におきまして、中小炭鉱の方は、最近におきましては比較的にコスト低下が進んでいるものとわれわれは考えます。
  5. 始関伊平

    始関委員 われわれが現地調査をした結果も大体その通りでありまして、大手筋炭鉱では一般的な経費の節減ができるが、労務費関係には手がついておらない。これに反して中小企業では両方に手がついておるので、結果としては中小炭鉱の方のコスト切下げが進んでおる、このように承知をいたしました。ところで今のお話と裏表になりますが、炭鉱労務者能率、一人当り出炭はその後どうなつておるか。これも不景気になれば能率が増進するというのが当然だと思うのでありますが、どうでありますか。主として大炭鉱について伺いたい。特に縦坑その他の合理化施設合理化工事完成した炭鉱についてはどうであるか、合理化施設完成は、一人当り出炭の増加ということがなければ意味をなさないと思いますが、その点ははたしてどうであるか。現状では、合理化施設完成によつて、主として大手筋炭鉱では労働者が楽をしておるだけである。ために過剰人員を擁してせつかく合理化はやつたが、合理化効果を上げることができずに赤字に苦しんでおるというのが実情ではないかと思うのでありますが、その辺の石炭局長の率直な見解を簡単に聞かしていただきたいと思います。
  6. 齋藤正年

    齋藤説明員 現在の能率は、全国平均で大体十一トン程度でございます。これは昨年に比べて労務者が大幅に減少いたしましたにかかわらず、あまり大幅な向上はいたしておりません。その原因は、結局生産減つた点でありまして、労務者減つた程度生産が減つておるという関係にあると思います。特に縦坑につきましてお話がございましたが、現在縦坑完成いたしました代表的な山の一つとして、例を申し上げますと、二十七年の当時のコストが六千円でありましたのが、大体今年の初めに完成いたしまして、この上期のコスト予定が四千七百円くらいになつておるものがございます。これが代表的な例でございますが、ただこれは御存じのように、縦坑をつくりましても、それに関連いたします坑内の附帯設備がまだ完成いたしておりませんので、それが完成いたしますれば四千円くらいに下る予定であります、われわれの方も縦坑全部平均いたしまして、縦坑開鑿前に比べまして三割程度下予定でおりますので、この例は大体縦坑炭鉱のモデル・ケースとして考えてよいと思います。ただこれは、四千七百円に下つておりますが、結局こういうふうに下りましても、現在のように生産数量が押えられております場合には、この生産数量に見合うところの人員整理が行われなければ、結局コスト面には反映して来ないということになるわけであります。
  7. 始関伊平

    始関委員 合理化施設がある程度完成をした、それから人員整理も多少やつたのであるが、それと一緒に生産縮小したので、結局生産面に上つておらない、こういうお話でありますが、この問題につきましては、一体日本の将来の合理的な石炭生産規模はどうかというような正確な見通しを策定いたしませんと、これらの問題に対して適切な結論を出すわけには参らないと思うのでありますが、この問題はまた後ほどに触れることにいたしまして、労働問題の方を先に向つてしまいます。  ともかくもデフレ政策というもののねらつておりますところは、炭価引下げコスト引下げる、そうでありますれば、一応小さい経済の均衡を得るということが過渡的にはやむを得ないということになつて、その間においてはデフレ政策の結果として、ある程度失業者が出てもこれはまことにやむを得ないというふうに考えるべきではないかと思うのであります。この点につきまして労働省の御見解を伺いたいのであります。簡単に申しますと、現在炭鉱特に大手筋炭鉱コスト引下げを妨げておる一番端的な要素は、こういつたよう意味合いにおける労働問題であるということを私どもははつきり指摘することができるし、また指摘をいたさなければならないと思うのでありますが、一体政府現状のように、一番大事なこの問題については、これはごまかしておきまして、痛いところにさわらないということで行くのがいいとお考えなのか、あるいは非常に痛いけれども切開手術をしてやつて参る方がいいとお考えになるのか、その辺の根本問題がはつきりいたしませんと、いかにデフレが進んで炭価が下りましても、ほんとう意味でのコスト引下げデフレ政策のねらつております究極の目標というものには到達できないと私は思うのであります。この問題につきまして、石炭局長の御意見も伺いたいが、労働省見解をひとつ伺いたいと思います。
  8. 村上茂利

    村上説明員 お答えいたします。ただいまの御質問きわめて大きな問題でございまして、私事務的にお答えするのはいかがかと存じますが、一応私ども調査いたしておりますことを申し上げますと、鉱業、特に石炭鉱業におきましてはこの雇用縮小かなり顕著に行われておりまして、昭和二十六年を一〇〇といたしますと、本年の五月におきましては、雇用指数が八七・五というふうに非常に大幅に縮小いたしております。参考までに製造業雇用量を申し上げますと、昭和二十六年の一〇〇に対して一〇二・五、これは本年の五月でございますが、逆にややふえておる面もあるのでございます。私ども今後の雇用問題、失業問題を検討いたします場合に、各産業部門雇用縮小状況というものをかなり重視しておるのでございますが、石炭鉱業におきましては、御承知のごとく、去年の春から秋にかけましてかなり大量の整理が行われた。本年に入りまして、主として中小炭鉱でありますが、かなり人員整理が行われておるのでありまして、ただいま申しましたように昭和二十六年の一〇〇に対して、本年の五月は八七・五という雇用指数を示しておるのでございます。しかしてこれが今後いかよう縮小するかという問題でございますが、この問題になりますと、石炭行政のみならずいわゆる燃料全般に対する大きな問題がからまつておるようでございますが、われわれといたしましてはこの雇用縮小が一体どこまで継続するかということを目下注視してておるわけでございます。ただわれわれといたしましては、当面発生いたしました失業者、これはもちろん等閑に付するわけには参りませんので、何とか善処したいと考えております。その場合に問題が二つございます。と申しますのは石炭会社企業がきわめて不振になつて参つた、しかしながら解雇するでもなし、賃金を払うでもなし、いわゆる賃金遅欠配の状態になつてつて法律上いわゆる失業にはまだなつておらぬというような層がかなりあるということでございます。そういう労使双方の両すくみの状態をできるだけ緩和いたしたい。そのための一つの手がかりといたしまして、失業保険制度を運用した帰休制度考えてみたわけでございます。これは御承知のことかと思いますが、特に石炭造船部門につきましてその運用を期待しているわけでございます。現状を申し上げますと、まだそう活発に運用されておりません。私どもといたしましては完全なる失業という法律上の状態になつておらぬ者に対する処置をどうするかという問題と、それから一応解雇されて失業者なつた場合の問題でございますが、その問題につきましては、失業保険の適用ある者につきましては円滑に保除金を支給して参りたい。この保険金支給の態勢につきましては、一応万遺憾ない、かように思つておるわけでございます。  ところが失業保険金が切れた者に対してはどうするかという問題でございます。今特に九州地区状況を見て参りますと、失業保険金が切れまして、日雇労働者でもいいから職がほしいという失業者人々、こういう方は昨年秋に解雇され、本年に入つて失業保険金が切れたという方々が多いようでございます。そういう人々のためにはとりあえずの処置としまして、できるだけ失業対策事業を行いまして、それに一時吸収したい。こういうことで特に九州地区におきましては失業対策事業費の増額をはかつておるような次第でございます。最近も福岡県、佐賀県等からかなりの要求がございまして、私ども鋭意検討を急いでおるわけでございますが、できるだけ早期に処置いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 始関伊平

    始関委員 私のお尋ねした問題とは大分ポイントの違うお答えでございましたが、最近新聞紙上等で伝えるところによりますと、何か私のお尋ねした問題にそのまま当てはまるような立法措置などを労働省としてはお考えになつておるのではありませんか。解雇に関する制限法と申しますか、ああいつたようなものは、内容等を伺う必要はございませんが、私のお尋ねしたような見地からはどういうことになるのか、またお尋ねした趣旨に合致するものかどうかということをお答え願えたら、ひとつお答え願いたいと思います。
  10. 龜井光

    龜井説明員 基準局の所管でもございませんが、ほかに説明員が参つておりませんので、私からお答え申し上げます。いわゆる新聞紙上に書かれております解雇制限法というものの内容につきましては、まだ検討中でございます。どういう内容のものが適当であるか、あるいはその制度自体が適当であるかどうかということにつきましてまだ検討中でございまして、結論を得ていない次第でございます。
  11. 始関伊平

    始関委員 どうも御答弁に満足いたしませんが、失業対策の問題がありましたから、ついでにお尋ねをいたします。北九州地区ではいわゆる鉱害復旧という事業がございまして、これは被害者にとりましては非常に深刻な問題でございますが、二つの法律があるにもかかわらず、資金の関係その他でその対策が思うように進んでおりません。そこで一方炭鉱からの失業者その他を、中小商工業それぞれございましようが、北九州地区における失業対策の問題として鉱害復旧事業というものを繰上げて施行したらどうか。なおその場合において予算の補正なり、またこれは炭鉱経営者負担金を出すようになつておりますが、そういつた人たちから政府から融資してもらいたいというようないろいろな希望が出ておりますので、この点につきまして政府の御所見をひとつ伺いたいと思います。
  12. 齋藤正年

    齋藤説明員 今始関委員からのお話の点でございますが、一昨日も伊藤委員からもお話がございました。われわれ事務当局といたしましてはぼつぼつ大蔵省あたりと話をしておりますが、若干まだ資料も不備の点がございまして、ごく最近に集まり次第正確な数字で交渉いたしたいと思つております。なお大臣からも、この問題につきましては誠意をもつてできるだけその実現に努力するということを委員会にお伝え願いたいということでございましたので、あわせてお答え申し上げます。
  13. 始関伊平

    始関委員 大体デフレ政策進行目安といたしまして、たとえば価格では六%から一割程度下げる。それから生産縮小はある程度やむを得ないが、これは大体昭和二十七年程度にするといつたような一応の目安を置きまして、それに合うようにデフレ政策進行調整するというのが政府方針であると私は思います。一割程度下げるということは、最小限度一割で、いくら下つてもよろしいのだ、つまり急激にデフレ政策を進めるという趣旨では必ずしもないと思うのであります。そこで石炭について見ますと、価格低下ぐあい、また生産規模縮小ぐあい、これらの点は、政府考えております、私が指摘したような一応の目安から申しますと、どうも行き過ぎておるのではないかという感じが強くいたすのでありますが、これは石炭局長に伺うよりも、もつと総合的な立場にある方に伺うべきであると思いますが、その点について石炭局長はどういう見解をお持ちか、またそれに関連したどういう政策をお持ちかということをお尋ねいたしたい。
  14. 齋藤正年

    齋藤説明員 お答えいたします。御存じのように一昨年の暮れに争議がございまして、その直後が一番炭価が高かつたのでありますが、昨年の上期に比べまして現在大体八百円程度下つております。それはその当時の炭価に比べまして一割ないし一割五分程度引下げになつておるわけでありまして、デフレ政策目標は、その限りにおきましてはもうすでに十分以上にわれわれ石炭関係としては達せられておるように思うのでございますが、しかし石炭鉱業というものの産業におけるあり方、地位から申しまして、将来の問題としてはもつと引下げる必要があるのじやないかと思われます。たださしあたり現状のような経営状態では、とうてい長期にわたりましてこの価格を維持することすら困難であります。従つて合理化を進めますと同時に、将来の目標といたしましては、大臣も繰返し出炭規模は四千八百万トンに持つて行きたいと言つておられますので、そういう見地から考えますれば、この際競争燃料である重油なりあるいは輸入炭なりと十分調整をとる必要があると考えております。重油につきましては別に鉱山局長からお答えがあると思いますが、輸入炭につきましては、本年度の上期の既定計画のうちで二十万トン強のものをさらに七—九分として削減することといたしました。下期分としてはさらに検討を加えまして、実はもう少し削減いたしたいと思つております。
  15. 始関伊平

    始関委員 大体本年度生産を四千万程度にしないと石炭の需給は非常に困ると思うのでありますが、将来の目標としては四千八百万トンだ、四千八百万トンをもう一ぺん確認するというお話しですが、一体石炭需要の減退いたしましたにつきましては、たとえば工業用重油が相当普遍的に使われるようになつた。このことは根本的に、白紙に返して元のような状態にするということはまず不可能であろうと思います。それから水力発電かなり完成して来たというような点もある。こういつたよう事情はいわば恒久的な事情であつてデフレによる一時的な需要の減少というような点はもちろんあろうと思いますが、こういう現在の石炭需要が減少しておるいろいろな原因というものを分析されまして、ただいまのお話では四千八百万トンは将来の目標として大丈夫なんだとおつしやるが、一体いつごろ四千八百万トンになるのか。また四千八百万トンになるということについてどの程度の自信がおありになるのか、その点をちよつとお尋ねいたします。
  16. 齋藤正年

    齋藤説明員 経済需要の測定につきましては各種の産業需要が相関的な関係にございます。従つて石炭局限り、あるいは広げまして通産省限りでも、どのくらいの需要があるかということを一つのものについて測定するということはできないのでございまして、経済審議庁等で全体をひつくるめまして需要想定をやつていただくよりしかたがないとわれわれは思つておるわけでございます。先ほども申しましたように、重油関係では工業用重油として大体三百万キロ、石炭の場合には消費効率考えましてそれを二倍と計算しますと、六百万トンくらいが重油に食われておるような形になつております。なお輸入原料炭も三百万トン以上現在の圧縮したベースにおいてもございます。これが相当圧縮されますれば、現在の生産規模におきましても四千八百万トン近いところまで行き得るのではないか。将来生産需要がある程度に伸びますれば、四千八百万トンは不可能ではないようにわれわれは考えております。
  17. 始関伊平

    始関委員 私はそう簡単に参るかどうか疑問に思いますが、一応御説明を伺いましてこの重油の問題で鉱山局長ちよつとお尋ねいたします。九州現地に参りましたところが、これは大炭鉱大手筋中小炭鉱も同じ見解でございますが、重油輸入規制ということによつて石炭業者側は何らのいい影響も受けていないということに見解が一致しておつたようであります。私は重油輸入についての通産省方針、また先般この通産委員会で決議いたしました方針は、もちろんそう大幅な期待を持つわけには行かないと思いますが、ある程度石炭への再転換ということを企図したものであるというふうに考えるのでありますが、これははたして石炭需要をある程度もう一ぺん喚起する——ただいま齋藤君が述べられたようでありますが、そういう結果を実際に期待できるかどうか、その辺についての見通しを、簡単でよろしゆうございますから御説明願いたいと思います。
  18. 川上為治

    川上説明員 外貨との関係とか、あるいは石炭との関係とか、そういう問題がなくてほんとうに自由にそのまままかしておきましたならば、大体年間重油需要は六百八十万くらいになるのではないかといふうにわれわれは考えていたのでありますが、これはこの委員会におきましても決議されましたように、石炭との調整外貨関係から、本年度におきましては五百三十七万キロリツターというのを一応計画に立てましてそれで進んでおるわけでありますが、この五百三十七万というのも、実は三月までに若干食つておりますので、ほんとは大体五百万くらのべースで計画は今組まれておるわけでございます。しかしこれは一応年間計画でありますけれども、上半期におきましては石炭との関係等を考慮しまして、やはり相等きつく圧縮した方がよくはないかというような考え方から、この六月から、特に六月におきましては三十九万キロリツター、七月におきましては三十四万、それから八月、九月は大体三十二、三万というところで、現在配給をさしておるわけでございます。大体五百三十七万キロリツターの上期の毎月の計画というのは四十二万ということになりますが、今申し上げましたように、三月までにある程度つておる、それから四月、五月において相当これは食い過ぎておりますので、この四十二万の月々計画に対しまして、先ほど申し上げましたように三十数万というところで現在やつておるわけでございます。将来これにつきましてどの程度下半期等においてはやるかという問題は、ほんとにこれくらい圧縮した場合に、これが産業関係にどういうような影響があるかという点を十分見きわめて、十月以降の配給数量につきましては、これは月々のものを検討したいというふうに考えております。いずれにしましても私どもの方としては、最初立てました五百三十七万というのをオーバーしないように、できればそれよりももつと圧縮して、そして石炭との調整をはかりたいというふうに考えておりますけれども、下期あるいは九月ごろの需要につきまして、どういうような状態になるかという点につきましては、まだはつきりした見通しがつきませんので、一応は今申し上げましたように、五百三十七万の範囲内において、極力石炭との調整をはかりつつ進めて行きたいというふうに考えております。それから先ほど九州方面におきましては、重油規制によつてあまり好影響はなかつたというようなお話がありましたが、これはいろいろ言われておるのですけれども、私の方に入つておる情報としましては、ある程度石炭需要を喚起しつつある、それから再転換機運にもだんだんなりつつある、たとえばセメント会社におきましては、最近相当再転換機運になつておるようにわれわれ聞いております。ただ問題は石炭との関係において今後重油をどうするかという問題につきまして、一般の各方面が少し疑問を持つておりまして、気迷いの状態があるということが相当あるのじやないかというふうに考えますので、私どもの方としましてはやはり既定方針で進めて行きたいというふうに考えております。
  19. 始関伊平

    始関委員 重油の問題については既定方針で行く、効果は現われつつあるというただいまの御説明を、一応了承いたします。  それから齋藤局長に伺いますが、あなたは先ほど四千八百万トンは大丈夫だという大臣の言明を支持されるようなお話でしたが、それは民間の方でも非常に考えてもらわなければならないのであります。石炭需要新規に喚起する、たとえば九州あたりでも、最近にでき上りました水力発電所などでは、相当発電コストが高い発電地点があるように思います。それで低品位炭なり、あるいは微粉炭なりを活用して火力発電所に使用する、あるいは都市の石炭ガスをさらに一層普及して行く、なお一般炭も使うように技術的な改良も加える、それから石炭化学工業の振興をはかる、もちろん石油化学工業との調整ということは非常にむずかしい問題になると思いますが、こういつたような問題につきまして、石炭局長としてよりは、むしろ通産省としては何かお考えがあるのかどうか、簡単にひとつ御答弁を願います。
  20. 齋藤正年

    齋藤説明員 私四千八百万トンが必ず達成されるということを申し上げたわけではございません。ただ一応目標としては四千八百万トンの目標を今変更する必要はないように考えられるということを申し上げたのでありますが、新規用途の拡充につきましては始関委員の御指摘通りであります。まず火力発電の問題でありますが、非常に発電関係の技術が進みまして、火力発電コストが、当初電源開発五箇年計画が樹立されました当時に比べまして、相当引下げられつつあるように私は感じておるのであります。従つて経済審議庁あるいは公益事業局におきまして、そういう面から電源開発計画をもう一ぺん検討していただいて、水火力の調整についてはもつと新しい、現在並びに将来の炭価及び技術の進展の状況も考慮に入れて、もう一度再検討してもらいたいということを申し入れてございまして、そういう面から再検討してみようというような空気になつております。まだそういう決定までには至つておりませんが、そういう空気になつております。なお石炭化学あるいは家庭燃料というような新しい用途の開拓につきましては、まつたくお話通りでございます。これは結局新しい技術の発展にまつほかはない次第でございます。今のところこういう用途ならば決定的に経済的の採算も成り立つので、相当大量の石炭需要があると見通しのついておるものはありませんが、完全ガス化というような方面への研究も進んでおりますので、通産省所管の研究機関を動員いたしまして、この方面に研究を進めてもらうようにしたいと思つております。
  21. 始関伊平

    始関委員 先般の通産委員会の決議の中に、石炭鉱業の資金の問題に言及いたしております。それは設備の近代化、炭価引下げ方策をすみやかに推進するために必要な金融措置を講ずべきことというのがあるのでありますが、その後における政府の措置は石炭鉱業の深刻な危機をよそに、この逆を行つておるような感じがあるのはまことに遺憾であります。石炭鉱業に対する昭和二十九年度財政資金の投入額は、最大限二十五億というふうに承知いたしておりますが、しかも一方において既往の財政資金の返済を要するものが少くとも五十億あつて、差引二十五億円の引揚げ超過になると思うが、いかがでありますか。なお最近二年間における設備資金の借入額は四十一億円増加しておるのでありますが、その資金源を分類いたしますと、政府資金は三十億円減少しておる。市中銀行の融資が五十三億円増加しておるのであつて、これがために利払いの負担も加重いたしまして、その利払いの負担の加重も少くないというような実情であるように承知いたしております。造船工業に対する利子の補給というような問題もありますし、最近また電力料金の問題もありまして、電力関係でもこのようないろいろな考慮が払われておるようでありますが、同じ重要なる基幹産業であり、しかもそのコスト引下げが日本経済全体の立直しのためにきわめて重要であり緊急であるというふうに考えられておる際に、もう少し何か考慮されてしかるべきではないかと思うのであります。なお旧復金債の中には今あげられた炭住資金のようなものもございますし、これらの点につきましては要するに基礎産業でありますので、コスト引手げ、合理化に——もつともこれは先ほど申しましたように、労働問題が適当に解決されなければ私は何にもならぬと思いますが、資金方面でももう少し全体として重きを置いて行くべきではないか、石炭局長はもちろん御同感であると思うのでありますが、最近の通産省なり、大蔵省、あるいは経済審議庁の全体の空気は、私が今申し上げたような問題についてはどうなつておるかということを御説明願いたい。
  22. 齋藤正年

    齋藤説明員 政府資金の問題につきましては、始関委員お話通りでございまして、これは計算の仕方も若干違いますが、ことしの予定では、大体政府資金関係として六十五、六億円ぐらいの引揚げになります。それに対しまして開発銀行から融資されます分が、本年度予定は三十億ということで、われわれは提出してございます。その他産業一般につきましてなお十億の節減をせよということでございまして、三十億の確保も実はこの面で困難になつて来ておるような次第でございます。なおお話のように、開発銀行の現在の金利は一割でございますが、復興金融金庫の分は八%、それから見返り資金の分は七分五厘、なおその引揚げ超過分は結局長期信用銀行あるいは興銀のような長期の金融機関に借りることになるわけでございます。その分は一割二、三分の利まわりになる。従つて金利の面でも、もう少し合理化の必要な際、また資金の需要が今後ますます増加する際に、従来の安い金利の資金を返しまして、高い金利の資金に借りかえて行くというような状態でございまして、現在のような企業不振の際にはたいへんそれが痛手になつておるわけでございます。ただ本年度の全般的な金融情勢といたしましては、デフレ政策ということで、そのわく内では石炭鉱業も相当重点的に見たというのが、経済審議庁なり大蔵省なりの考え方であろうと思うのでありますが、今申しました実情から申しまして、われわれとしてもこれにはたいへん不満でございまして、もつと根本的に石炭の金融問題については全体として考え直していただきたいと思つております。ただこれにつきましては、将来も合理化についてのはつきりした見通しが立つということが根本でございます。またその合理化を確保するだけの措置を講ずるということも、おそらく条件になると思います。その方の研究を今せつかく進めておりますが、それが成案を得次第、この金融問題につきましても何らかの形で根本的な解決をしていただきたいと思つている次第でございます。
  23. 始関伊平

    始関委員 石炭問題につきましてはその程度にいたしまして、実は私は金利問題につきましていろいろお尋ねをしたいと思つておつたのでありますが、きようは時間もございませんし、他日機会をあらためて、新政策の根本問題につきましていろいろお尋ねをしたいと思のであります。ただ一点だけ、ただいま輸出陶磁器用の金液に対する金の供給のことが大分紛糾しておるようでありますが、産金量の三分の二を自由取引にまわす、公定価格の何割かで取引をさせるという建前になつたのであります。陶磁器の輸出が大事であり、またその輸出採算をなるべくよくするようにするということは、もちろん望ましいのでありますけれども、それに対して政府一般の取引の場合と違つて、特別に干渉する、あるいは間に立つてまとめてやるという筋合いはないのではないかと思うのでありますが、この点について当局はどうお考えになるか。またもしまとまるものならば、間に立つてまとめてやることもけつこうでありますが、もしまとまるとすれば、大体どういうふうなぐあいにまとめられるのか、大体の計画の案がもしあれば、案の内容について御説明を願いたい。
  24. 川上為治

    川上説明員 りくつから申しますと、今始関さんからお話がありましたように、三分の二につきましては自由価格になつておりますので、輸出用の陶磁器関係でありましても、やはり一般の市場価格で業界が売るのがあたりまえじやないかというふうに考えられるのですが、最近陶磁器の輸出がやはり国内の金が高いということでなかなか伸びないという話もありますので、何とかしてある程度金山の方も、これは行政的な指導によりまして、ひとつ安くして出してくれぬかということで、従来一グラム当り市場価格は五百七十円ぐらいのものを五百三十円で現在売つておるわけでございます。しかしこれではやはり陶磁器関係はなかなかうまく行かない。また一方それ以下に安くするということは、これまた金山の方でも非常に困るというようなことで、全部金地金あるいは金液で輸入してくれないかというような、陶磁器業界の意向もあつたのですが、これもいろいろ関係方面の難色もありまして、結局最近におきましては政府の買上げております三三%というものをもう少し減らしまして、大体陶磁器は六百キロぐらい使つておるのですが、そのうち四百幾らというものを四百二十円ぐらいで販売さして、それから残りのものについては自由価格で販売する。それからさつき申し上げましたように、政府の買上げにつきましても、この三三%についてももつと減らすというようなことでひとつ行こうじやないかということで、大体その話合いが業界との間にもまとまりかけつつありまして、大体適当なところで納まるのじやないかというふうに考えております。これもおそらくこの一両日の間に話がつくものと考えております。最後に残つております問題は、今申し上げましたように、一グラム四百二十五円というのを四百二十円にするか、四百十五円にするかというような、きわめて接近した数字になつておりますので、その点はわれわれの方で中に入つていろいろやつておりますから、大体近いうちに話がつくものと考えております。
  25. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 山手君。
  26. 山手滿男

    ○山手委員 私は時間がないから、ごく簡単に労働省及び通産当局にお尋ねをいたしておきたいと思います。広くデフレ下の中小企業と労働問題をやりたいと思つておりましたが、時間がございませんので、私は近江絹糸の争議の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。昨今報道されるところによりますと、近江絹糸の争議はまつたく最後的に決裂したようなことになつて大臣の談話によりますと、政府の方でももう解決をする手はなくなつたというふうなお話でございます。これは私は非常に遺憾なことだと思うことは、今度起きたこの近江絹糸の問題は、日本の重要な輸出産業であるところの繊維産業の内部に起つたことである。しかもそれが背後には全繊同盟に加入するというふうな重大な問題がひそんでおるわけでありますが、表にはとにかく信書の開封とか、宗教の自由を束縛するというふうなお題目で闘われて、今日こういう事態になつて来ておる。これは非常に遺憾なことであると思います。日本の重要産業であり、輸出産業の中核である繊維産業、紡績工業の一角で、こういう事態が起きたことは、まことに残念でございますが、もしこれが労働組合によつてILOなどに提訴されて、提訴をする以上は、いよいよこの非をあばかんがために、事態が誇張して宣伝されるということになりますと、一近江絹糸の問題ではなくなる。日本の全紡績産業がソーシヤル・ダンピングをやつてむちやな輸出をしている。戦前もいろいろな非難もあつたのでありますが、そういうところで同じ日本人同士がつつぱね合つて、世界のもの笑いになるほどにまで発展をさすということになると、日本の自立経済、貿易伸張というようなお題目をみずからふみにじることになつて行くと私は思う。そこで私は、手を使つて、ここらあたりで政府が解決しなければ——われわれも静観をしてどつちがどうということは今言いたくはないが、しかし、もう解決をさす時期であつて、両方ともしんぼうするところはしんぼうさすような手がないことはなかろうと私は思う。そこで労働省の方は、現在ああいう事態になつたのでありますが、どういうふうにお考えか。この次打たれる手はどういう手か。これを伺いたい。
  27. 中西實

    ○中西説明員 近江絹糸の争議は、実は会社側、社長以下幹部の労使関係に関する考え方が、現在の一般考え方とは大分違つておる。それが、その問題の解決を困難にしている根本問題だと思うのです。中労委が手段を尽しまして労使を入れましてのあつせん委員会をつくりまして、あつせんに努めまして、一応の解決の段階を待つたのでありますけれども、新聞に報道されておりますような、ああいつた事実で、またもう一度ストが始まるというような事態になつたわけでございます。私どもとしまして、実は現在の労働関係の法制上からいたしますると、一私企業の問題につきまして、特に強制的にどうこうするという権能が与えられておりません。従つて、結局は労使の自主的な互譲によりまして解決するより手がないのであります。それを助けるために、労働省としましても、また中労委としましても、できるだけのことをやつて来たわけであります。何分にも、先ほど言いましたように、社長以下の考え方、気持ちというものが、まだ実はそこまで行つていないのじやないか。そこでこの問題につきましては、単にわれわればかりじやなしに、あるいは取引先その他株主等におきましても、相当重大な関心を持つておられるようであります。きのう一応ああいつた結論になりまして、われわれとしましても、しばらく事態を見守つて、さらに次のことを中労委あたりとも十分連絡して考えて行きたいと思います。御承知の大会におきまして、ILOに対して提訴する云々のことをきめております。これにつきまして、われわれも実は心配をしているのでありますが、この点につきましては新聞には、はつきり出ておるのと、出ていないのとありましたが、そのことをやる時期、方法は、すべて執行委員会にまかされているというようなことで、このことがただちに行われるとも思われません。実行する場合には、十分われわれの方とも連絡があると思います。また私の方からも積極的に全繊に連絡をいたしまして、そういう事態になる前に、何とか処置を講じたい、こういうふうに考えております。
  28. 山手滿男

    ○山手委員 この問題はだんだん変な方向に行きつつあるように私は思います。今お話のように、国際労働機構への提訴なんかについては、全繊側が良識をもつて対処してくれるということで、私は非常にけつこうなことだと思いますが、応援資金の依願をしてみたりいろいろなことをやつて行く手前、解決が遷延されて行くと、最後には持ち込むことになろうと思います。さつき一言いましたように、持ち込んだ以上は、どうしても徹底的に非をあばくというようなことで、あることないこと誇張されて言われることが、なきにしもあらずでありますから、この争議は日本の重要な輸出産業の根本問題でもありましようし、私は早く御解決を願わなければならぬと思う。しかし労働省の方では、今もお話のように、道義に訴える以外には手がないのだ、会社の経営者側が頑迷でちよつと手がつけられない、こういうお考えのようです。そうすると、会社側が反省をしなければいかぬ段階になつて来るわけですが、通産省としては——私は大臣にきようお伺いしたいと思つておつたのですが、原綿の割当そのほかいろいろ通産行政の中で優遇をされておることがあるのであるが、頑迷な態度をとつてつて、ほかの重要な輸出産業製品にまで悪影響を及ぼすような会社に対しては、原綿の割当その他について将来にわたつてこういう方針で行くのだ、こういうことをお考えになつておられるか、あるいはそういう措置をとり有る可能性というか法的な根拠があるものかどうか。大臣がおられませんから、維繊局長からまずお伺いをいたします。
  29. 永山時雄

    ○永山説明員 お答えいたします近江絹糸の問題につきましては、もとより通産省といたしましても、ただいまお話のありましたような趣旨におきまして、事態がすみやかに合理的な終息を迫るように希望をいたし、また事態の推移に対しまして十分関心を持つておるのでございますが、現在までの段階におきましては、先ほど労政局長からお話のありましたように、労働省が事の衝に当つて事態の終息をはかつておられまして、われわれの方もそれに対して何らか合理的な解決の方にお力添えができるという点がありますれば、適当な時期にまたその加勢をするという用意なり気持は持つておるのであります。ただただいま御質問の原綿の割当につきましては、現在の割当は一つの基準をもつてつておるものでありまして、たとえば設備の台数に応じた設備割りあるいは輸出の数量に応じた輸出リンクの割当というような、それぞれ客観的な別個の基準で割当をしておるのでありまして、こうした争議解決ということに原綿割当の問題を使うことは現在の基準では適当でない、また今後の問題としては今すぐにそれを発動してどうのこうのというところまでは現在のところでは考えてないという状況であります。
  30. 山手滿男

    ○山手委員 これは単なる賃金闘争や何かでなくて、信書の開封とか、仏教を押しつけたとか、押しつけるとかいうばかばかしいことでもあつて、こういう問題を国外に持ち出されてはたいへんでありますから、この問題に限つて労働省通産省と早く協議をされて抜本的な解決策を立ててもらいたい。今の原綿の割当あるいは金融機関による云々ということもありましようが、これらの点には法的なあるいは行政的ないろいろ根拠も検討されなくちやいかぬと思うけれども、やむを得なければ私はそういう手も使わなければならぬ段階が来るんではないかと思います。これはこの委員会あたりはうんと関心をみな持つておることでありますから、時間がありませんので簡単でありますけれども、特に早急に解決されたいということを要望をして、私は質問を打切つておきます。
  31. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は伊藤卯四郎君。
  32. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間の制約がありますから、私もできるだけ要点のみをあげて質問いたしますから、政府委員の方でもそのつもりで簡単明瞭にお答えを願いたいと思います。中小企業が金融難に陥つておることは申し上げるまでもありません。それについてここに私の方でつくりました数字がございますが、全国銀行貸出し残高を見ると、本年一月から四月までの現状は、大企業に対しては一千二百四十九億円貸出しが増加しておる。その反面に中小企業の方は四百四十四億円貸出しが減少して来ております。こういうように、中小企業というものは非常に金融難に陥つておることは申し上げるまでもありません。先般われわれがこの通産委員会として九州地方の産業経済の国政調査を行いました折に、金融機関の代表者——これは政府中小企業に対する国家金融機関の出先代表の意見でありますが、金はだぶついておるが、しかしながら貸し出す条件が伴わないので金を貸せないでおる、こういうことを言つておりました。中小企業者はのどから手の出るように資金がほしいのに、金融機関の方には金がだぶついておるのにこれが借りられぬ、貸し出すことができない。まことにこれはふかしぎなことでありますが、その理由はどこにあるかというと、今日までの貸出しの条件がきびしいからでございます。いわば健康体のときにつくられた条件でございまして、たとえば人間のからだが健康体のときであれば、いろいろな食物をとつて消化することができるが、からだが弱つて来ると健康体のときの食事はとり得ない。それと同じように中小企業が破産、倒産の現状にあるのであるから、健康体のときの、正常なときの条件ではとうてい借りられぬことは論ずるまでもない。従つてもはや今日国家機関の金融を中小企業者に融資しようとするなら、中小企業者の弱体化、破産、倒産の現状に即した貸出し条件をつくらなければ、これは意味がないことはもちろんであると思うが、この条件緩和についてどのようにお考えになつておられるか、この点が一つ。それから来るべき臨時国会に中小企業向けの融資を増額するというような計画を持つて出そうとしておられるかどうかという点が一点、それから開発銀行から借りておるいわゆる借主が、新たに国家機関の金を中小企業などが借りようとする場合には、開発銀行の救済を差引かれる。そうすれば借りても結局新しく手に入る借金はできない、こういうことになるのであるが、開発銀行の救済はすえ置いて、新たな申込みは、新たに全部手元に借り受けることができるかどうか。そういうことに対する処置をとらなければ、せつかくの金融機関も、今日中小企業者のためのその意義がまつたくなくなつてしまうのであるが、こういう点に対する処置をどのようにお考えになるか。この点をひとつ伺いたい。
  33. 記内角一

    ○記内説明員 第一点の貸出し条件の緩和でございますが、現在におきましては、金融状況等のいかんというふうな点については特別の条件は付しておらないのでございまして、もつぱら第一線の金融機関であります商工中金なり、あるいは市中銀行の選別にまつというふうな態勢になつております。商工中金につきましては、御承知通りわれわれの方の指導も相当行き渡つておりますので、漸次事態に即応するように改善されて参つているというふうに私ども承知いたしておりますが、中小企業金融公庫は、いわゆる代理貸しといたしまして、市中金融機関等を経由いたします場合に、そこの窓口における選別がまだ今のところ事態に即応しない面があるのではないかというきらいは相当あろうかと存ずるわけであります。この点につきましては、今後ともこの方面とよく折衝いたしまして、またいわゆる乙号方式の貸出しを漸次増大いたしまして、その緩和に当りたい。また例の信用保険制度等を活用いたしまして、この面から信用補完の実績を上げて参りたいというふうに考えている次第でございます。  次に第二点の臨時国会にその融資わくの増額を要求するかという問題でございますが、御承知通り、現在は年度の途中でございまして、中小企業金融公庫の今年度の融資総額が二百億に予定されておりますが、現在までに融資されますものは、この九月までとして約百億を予定しているわけであります。もしその予定融資がどんどん進んで参りますれば、繰上げて融資することも可能でございますので、さしあたりとしては資金の必要は認められないのであります。ただ融資がだんだん進みまして、十一月になり、年末になり、あるいは年を越すというようなことになつて参りますと、資金需要の面であるいは不足を来して来るのではないかということも予想されますが、そういう事態は、臨時国会がいつ開かれるようになるかわかりませんが、そのあと、あるいは通常国会のころになつて参りますので、そのころにまたひとつ十分の検討を遂げまして、この融資わくの増大をはかつて参りたい。とりあえずのところは、いわゆる繰上げ使用でもつてこれに対処して参りたいというふうに考えている次第でございます。  第三点は、中小企業金融公庫は、御承知通り、一企業家あたり一千万円という限度になつておりますが、すでに復金時代あるいは見返り資金等によりまして融資を受けている場合に、それを含んで一千万円になるか、あるいは開銀、中小公庫とかの貸出しが一千万円になるのか、昔の分は除くのかという問題があるわけでありますが、われわれといたしましては、一応昔の分は除いて考えてみたい。ただ実際問題として、はたしてそれだけの大きな負債を背負うだけの能力があるかどうかということにつきましては、具体的にケース・バイ・ケースに当つて検討して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  34. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 結局中小企業者の再建の問題は、個人的には御存じのように信用がきわめて貧弱でありますから、やはりこれを育成して行くためには協同組合を建直して行くよりほか方法がないと思うのであります。われわれもこの点についてはぜひ近く開かれるであろう臨時国会にそういう考え方で臨みたい、こういうふうに考えております。この見地から協同組合の機関として中央会の組織を法制化して、現在の協同組合連合会にももつと強力な権限を与える、こういうことについて長官は一体どういうようにお考えになるか。この点をひとつ……。  時間がないようですから私の方から質問の点をみんな言つてしまいます。組合の加入、脱退は原則として自由にすべきではありますけれども、少くとも加入しておる方が有利だというようなことを協同組合に対して物的基礎を与えなければ、組合が単なる相互扶助の精神運動とか、狭隘なる同士活動というか、ボス的なものに利用される以外にない、こういう点についてどのようにお考えになるか。物的基礎の第一に法人税、事業税、地方税等のこういう税金等の協同組合加入者に対して減免の処置などを講ずるということも大事な一つだと思うが、この点についてどのようにお考えになるか。  第二には共同施設に対する国家財政の積極的な援助をもつてその基礎をつくらすべきであると思うが、この点についてどのようにお考えになるか。  第三には協同組合中央会に対する独禁法例外として、協同組合が独占的な大資本に対抗する実力を持たすということが非常に大事であると思うが、この点に対して長官はどのようにお考えになつておるか。明年度予算に対して、協同組合強化対策について予算の上で、どのようにお考えになつておるか。  さらに右の三点に対する独禁法例外適用について価格協定を許す。及び非組合員に対する適用を法外にしなければならぬと思うが、目下われわれはこういう点についても相当考えなければ、この中小企業者を救うことはできないと考えておるが、こういう点に対して長官はどのようにお考えになつておるか、これも伺いたい。  それから百貨店法を作成して百貨店の経営の行き過ぎを是正する法案をこれはぜひ出さなければならぬということは相当今日論議をされておるところであるが、通産省は現在百貨店に対する取締るべき法律はないが、しかし行政監督官庁であることは確かだ。しかし実質上の行政は公取委員会に一任しているから、すべてそういう怠慢的な結果からこの行き過ぎを解決することができないでおると思うのである。最近法務省が百貨店の積立金の組織いわゆる予約販売のたとえば阪急の友の会のごときを法律違反として判定しているが、同じ政府の部内にこのような意見についての責任官庁としてこういう状態が起つておるということははなはだわれわれは遺憾に思うのであるが、こういう矛盾をどのように主管官庁である通産省、特に企業庁長官はお考えになつておるか、これは非常に大事な点だと思うから、以上の諸点について時間が急げば簡単明瞭にお答え願いたい。
  35. 記内角一

    ○記内説明員 中央会法制化の問題につきましては、先般の国会においてもこれを法制化するというような方向で検討をいたしたのでございますが、いろいろ協会にも関係する部内のうちにも、若干の反対論等もございまして、見送りをせざるを得ない状態なつたわけです。なお関係方面の意見を調整いたしまして、できる限りそういう方向で進んで参りたいというふうに考えております。  それから組合に加入する方が有利なような方法をとる必要があるのではないかという御意見はまことにごもつともでございまして、たとえば商工中金につきましては、組合員でなければ融資できないというふうに相なつておるわけであります。一般のアウト・サイダーには商工中金は利用できない。また共同施設の、今度の国会できまりました近代化設備の補助金というふうなものも組合加入者でなければ補助ができないというふうに相なつておる次第であります。なお組合員に対する法人税、事業税を減免すべきではないかという御意見でございましたが、これにつきましてはそこまで行き得るかどうか、なおわれわれとして検討してみたいというふうに考えております。  また共同施設についての補助金につきましては、今年度は組合の共同施設と近代化を合せまして三億円ということになつておりますが、今後ともこれを増大して参りたいというふうに考えておる次第でございます。なお協同組合を大企業に対抗する一種の協定団体として、独禁法の緩和をしたらどうかという御意向でございましたが、この点につきましては相当程度活動はできるように相なつておりますが、ただ価格協定その他につきましては、組合法自体としてやりましても効果がございませんで、むしろやるといたしますれば、中小企業安定法を使つて、いわゆる調整組合の形でやるべきじやないか。ただそれをやるといたしますれば、どの範囲にどの程度にやるかということにつきましては、いわゆるケース・バイ・ケースに考えて行くべきである。法律の建前としては一応でき上つているのではないかというふうに考えておる次第であります。  最後に百貨店法の問題でございますが、百貨店についての監督官庁というふうな御意見でございましたが、御承知通り百貨店法は現在廃止になつておりまして、あと監督という面にいたしますと、百貨店といわず一般の営企業者に対する通産省の態度という面になつて参りますので、具体的にこれを取締るとか監督するとかいうふうなことは実はできないような法律上の建前になつております。従いましてここに新たに百貨店法をつくるべきではないかという御意見も出て来ておるような次第でございます。現在の法制の建前では、便宜公正取引委員会の独禁法の不公正な取引というふうな面で、相当程度取締り得るわけでございます。あと残るところは、百貨店の新設、拡張等をそれだけでは取締り得ないので、その面において何か法律化すべきではないかというふうなことにも相なろうかと思うのであります。この点につきましては百貨店だけをやるべきか、一般のビルその他の建設等についても何か考えるべきじやないかというふうな点もございますし、いわゆる営業自由の面等もございまするので、目下慎重に検討いたしておる次第でございます。従いまして友の会の問題につきましても、同じような意味で実は通産省としては監督の権限はございませんが、先般資金を集めてあとで返すというような、例の保全経済会その他の町の金融機関の取締法が制定されましたが、それにからみまして、その面での違反事実があるのじやないかというふうな意見が出て参つておる次第であります。この点についても慎重に検討したいと思つておる次第であります。
  36. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今私の質問の中に、あまり急いだものだからちよつと言葉の不足な点がありますから、これを訂正しておきます。百貨店の行き過ぎを是正する意味において、百貨店法をつくつて、むしろ行き過ぎを是正しなければならぬということを私ども考えております。
  37. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 議事進行について。現在国内の中小企業といわず、産業が壊滅の危機に至らんとしておるこのときにあたつて、われわれは今日の委員会を非常に重大視して国から参つたわけでございます。しかるところ大臣最初の日わずか四時間半しか出ておりません。昨日も出ない、本日も大臣が出ない。さらに次官を出せといえば次官も出られない。しからば官房長はどうかといえば官房長も出席しない。従つて十時になつて政府委員は出て来ない。委員会は、十時の開会であるから十時に来てみれば、それも始まらない。現在の中小企業、日本産業という点に対して、口では何と唱えても、現実が物語るごとく、いかに自由党内閣、その政府が冷酷視しておるかという点については委員長みずから認めておると信じて疑いません。このような点から考えてみて私が実に残念だと思うのは、きようの委員会のあり方でございます。こういうようなあり方でもつてわれわれの本分を全からしめることができるかいなやというところに、私は大きな疑問を抱くわけであります。これはわれわれ野党だから申し上げるのではない。われわれが出席しておるから申し上げるのではなくして、こういうような実情を委員長より特に大臣にも話してもらわなければならぬ。従つて大臣が出られなければ、大臣名をもつて以下出してもうわなければならないと私は思います。そういうような点等々を考えまして、今政権をとつておられるところの自由党内閣が、末期的の症状とはいえ、いかにも情ないありさまであるということを痛感しております。従つて私はこので議事進行にかりて申し上げるのではないのですが、長官が帰つたから振興部長に二、三お話を申し上げますから、書面をもつて御通告をお願い申し上げます。箇条書で申し上げます。  第一に借款の問題で、借款外貨は借入先ではインパクト・ローンを認めないと言うております。従つてこれらは火力借款よりも緩和することは絶対に望めない状態にある。しかしながら、この事業がどうしても借款をしなければならないんだということになりますと、そこに非常に大きな目的というものが現われて来なければならぬ。その目的とは何ぞや、その目的は——すなわち借款は大蔵省においてするのであつても、その運用は当通産委員会において行うものである。であるからこれらの状態、業種別、すべてこういうようなものに対してはつきりとしたものが政府になければならないと私は思うのですが、そういう目的、条件というようなものを明らかにして、ひとつ御送付をお願い申し上げます。  もう一つ、現在中小企業対策というものを機会あるたびにいろいろな方面から聞きます。しかしながら根本的に中小企業対策が成り立つておらない。私の私案として、中小企業を業種別に、またそれらの状態等々をにらみ合せた上において中小企業対策を根本か建ら直さなければならない。こういうような点等から考えてみて、中小企業を地方の都道府県庁の許可制にして行きたいと私は考えます。そういう点について中小企業庁としての考え方を明らかにして、書面をもつて送達をしてもらいたい。  以上簡単でありますが、あとこまかい点についてはいずれ次会に申し上げますから、そういうような点についての御回答をお願い申し上げまして、私はこれで終ります。あとは伊藤さんが終えてから、石炭局長に伺います。
  38. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ただいまの長谷川君の御質疑に対しましては、企業庁長官が退席いたしておりますから、後刻書面をもつてお答えさせることにいたします。
  39. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私も実はさつきから非常に遺憾に思いながら、委員長に同情の余りあまり言わなかつたのですが、委員長はわれわれの質問に対して非常に時間を制限されてきびしく行われ、時間が来れば質疑の途中で発言を中止するぞとおどかしておられる。ところが政府委員の方では十時の開会を十一時五分前に出席された。同時に今委員長も御存じのように片端しから用があるあると言つて出て行かれるのであります。大臣も出ておらぬ。政府委員の方でも片端しから用事があると言つてどんどん出て行かれる。これに対して委員長は何らの制約を加えないというか、あるいは議事進行上その経緯についてもつと真剣に考えられるべきであると思うけれども、そういう点について別段注意もされないようである。今日のこの委員会現状を見ますと、私は国会の正式な委員会としての構成にはなつておらぬと思う。政府与党の諸君は一人も出ておらぬ。さらに政府の係官の諸君がやむを得ないから何人か出席されておるというだけであつて、これならばこの委員会を開く必要はないのじやないか、むしろわれわれが必要に応じて役所をたずねて係官と話合いすれはそれでいいのじやないか、私はこういう委員会のやり方ははなはだ遺憾に考えております。この点について、委員長はどういうようにお考えになつておるのか。ばかにわれわれだけ発言を制約されるが、政府側に対して、この委員会の権威上について忠告も何もされておられぬようであるが、私はこの点について先に委員長の意見を伺つた上で、質問なりその他等を発言して行きたいと思います。
  40. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 お答えいたします。大臣、政務次官あるいは官房長等、それぞれやむを得ない公務のために出席しておられないわけでありまして、委員長におきましては一昨日以来それぞれ厳重に出席方を督促したのでありますが、以上申し上げるようなやむを得ない公務のために出席できなかつたわけでありまして、まことにその点は遺憾でありますが、他の局長一同出席いたしておりますから、十分各局長に対して御質疑の点は続けていただきたい、かように考えます。
  41. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 きようのところは私はこれ以上追究して委員長を追い詰めようとも考えておりませんが、今後委員会をお開きになる場合には、私が今委員長に質問したような点を、運営上十分お考えをひとつ私はお願いしておきたい、こう考えます。従つてわれわれに時間の制約をされる限りにおいては、政府側に対してもつと大臣初め係官の出席方に対して国会尊重の見地から十分ひとつ注意をして、委員会を開会してもらいたいことを強く私は委員長に要請をいたしておきます。  もう石炭の問題についてはさつきから同僚始関委員からも質問を十分いたしておるようでございますので、私はその点については重複を避けたいと思いますから申し上げませんが、ひとつ石炭局長お尋ねをしておきたいと思いますのは、さつきから四千八百万トン等の来年度から国内炭消費の問題について相当自信を持つて答弁をされていたようにも思うのであるが、これは国会の決議を尊重する意味においてのことであろうと思います。大臣もこれについては一昨日私の質問に対してお答えになつてつたような点から私はこれを信じておるのであるが、そこで今私はここで答弁される事柄の困難な点もあることと思いますから、今後四千八百万トンの国内炭を消費して行く、その計画書というか、それに対して一つの自信を持つてこのようにしてやつて行こうという意見書というか、そういうようなものをひとつおつくりになつて、一応さきの国会決議をどういうように尊重して行かれようとしておるかという点について、そういう書面の御提出を願いたい。この点をひとつ伺つておきたい、こう思います。  それからこれは新聞に出ていたことでございますけれども、相当神経を刺激しておりますからお尋ねしますが、MSA協定による米国炭を一千万トンほど日本に入れることになるだろう、こういうことが出ています。これは単なる新聞社の記事であるといつて、うわさだけであると消すことのできない点等がいろいろな点か想像されるのであるが、時間の関係上私は多くを内容にわたつて申し上げないけれども、もしMSA協定によつてアメリカから一千万トンの石炭を日本に入れなければならぬような交渉なり、そういう実情が起つて来た場合に、どのようにこれを扱おうとしておるのか、また事実とすれば、その進行状態がどういうような過程にあるのか、この点についてひとつお伺いしたい。  それからいま一点は、一昨日私質問したのであるが、重油の問題は今日はもう申し上げませんが、四百五十万トン外国炭が入つておるうちに二百万トンは原料用の強粘結炭としてこれは入れざるを得ませんが、それ以外の二百五十万トンの弱粘結炭、一般炭というものは、これは国内に今日山をなして困つておるのであるから、こういうものこそ私は外国炭を切つて国内炭等に切りかえるべきである、こういうように思うが、これらに対する石炭局長処置をひとつお伺いをしておきたい。以上の点についてまず先に御答弁願いたい
  42. 齋藤正年

    齋藤説明員 お答えいたします。石炭合理化計画を立てます場合には将来の出炭規模というものが前提になることは申すまでもございません。そういう意味でわれわれといたしましても四千八百万トン程度は専来の問題としてわれわれの目標として掲げて行きたいと考えておりますけれども、これに対する裏づけというものがもちろんなければならないわけでございます。それにつきましては成案を得次第、答弁申し上げたいと思つております。  二番目の問題は、MSAの方法によりまして米国の過剰炭一千万トンを日本に入れるのではないか、それについての日本政府の態度なり現在の進行状況などがどうなつておるかというようなお話であります。これは新聞報道以外に実はまだあまりはつきりした情報がわれわれのところにもはいつておりませんので、米国の発表の真意がどの点にありますか、正確につかめないわけでございます。ただ御承知通り余剰小麦の受入れの問題にいたしましても、これは日本の米麦の需給計画に基きまして輸入に必要な数量の範囲内で他の市場からの分を米国市場に振りかえるという問題でございます。石炭につきましても根本的には態度はかわらないわけでありまして、日本として輸入を必要とする石炭につきまして、もし他の市場から米国市場に振りかえる可能性がありますれば、それをMSAの方式によりまして輸入するということが考えられるという筋の問題だろうと思います。  三番目にお話に相なりました弱粘結炭の問題に関連いたしましてもう一ぺん今年度石炭輸入計画について申し上げますと、本年度は弱粘結炭としてそれを入れるような計画はございません。御存じのように昨年は炭労ストの後の需給関係の逼迫から、需給関係緩和の目的をもつて相当量の弱粘結炭も入りましたけれども、本年度一般に弱粘結炭を入れるような計画はございません、ただこれはカーバイト用の炭素材といたしましてガス事業から出るコークスが使われておるわけでございます。これはカーバイトを精製いたします際には灰分の含有量が非常に問題でございますので、現在のところ日本の石炭のみでは所定の灰分が得られませんので、灰分低下の目的をもちまして若干いわゆる弱粘結炭を入れております。これも弱粘結炭と申しますよりも、むしろ粘結炭としては強粘結に非常に近いものでございますが、粘結度の問題でなしに灰分低下の目的をもつて入れておるものがございます。しかしそれもわれわれの考えでは最近国内炭の品位が飛躍的に向上しつつありますので、なお、カーバイト製造の技術的な要件を満たす範囲におきまして、できるだけ国内炭に切りかえたいと存じまして、現在研究をいたしておる段階でございます。そういうような段階で、それ以外には御存じのように、製鉄用の強粘結炭と、特殊コークス用の仏印の無煙炭と、れんたん用に若干の朝鮮の無煙炭を入れる計画だけでございまして、これらはいずれも米国市場に切りかえるという問題が起る余地がはなはだ少いものでございますから、実際問題といたしましては、大量に米国の余剰石炭を受入れる余地というものは、現在のところ客観的にそういう事情がないというふうにわれわれは考えております。なお進行状態につきましては、現在こういう問題について交渉の進行しておるような事実は全然ございません。まだ日本政府側といたしましては、あの言明について情報を今集めておる段階でございます。弱粘結炭の問題につきましては、第二の問題と関連して答弁いたしました。
  43. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は、今石炭局長から答弁された中にいろいろ疑問の点がたくさんありますけれども、これを再追究いたしませんが、しかし私が、要請した四千八百万トンの計画書というものを私の手元に書面として出してもらえるかどうか。  それから先ほど局長が説明された中に私は相当意見がある、強粘結炭以外の無煙炭その他についても、何も外国から入れる必要はないという意見を持つておるのであります。それはここでは言いませんが、二十九年度に入れる炭種別のもくろみ書を、今答弁ができなければその炭種別の輸入炭の品目書、数量をひとつあわせて出してもらいたい。  次に重工業局次長にお伺いします。通産省は、この世界銀行団に対して、借款計画の一部として、鉄鋼第二次合理化計画所要資金を申し出ておるということを聞くのであるが、その内容について伺いたい。時間の関係がありますから私の方から先にみな言つてしまいますから、ひとつメモしておいて御答弁願いたい。  第一次合理化計画によつて薄板生産設備が新たに増加されておることは御存じ通り、従つて設備が過剰となつておることも御存じ通り、旧式設備といわれるものが百四十万トンからある。新たにどんどんつくつて行つた設備が百三十万トンからある。合計二百七十万トンからになつておるのであるが、現在の事業をフルに動かせば大体三倍近い能力を持つておるといわれておるのでございます。この結果、旧式設備のメーカーは競争に耐えられなくなつておることは申し上げるまでもない。従つて経営不振に追い込まれておることも論議の余地はありません。そういう点から、過般来尼崎その他の大メーカーすら、生産縮小と従業員の大量首切り整理をしておることも御存じ通りである。合理化はもちろん推進すべきであるとはわれわれも思うが、合理化の必然性から当然犠牲が起つて来る。これを避けるために、国内及び海外市場の拡大をはからなければならぬことも、論議の余地がありません。特に鉄鋼輸出振興対策について、政府は具体的にどんな努力をしておられるか、そういう点についてひとつ大事な点をできるだけ具体的にお示しを願いたいと思います。それから一方合理化資金及び合理化の機械設備の輸入に際して、輸入税の免税等の国家財政上の援助が、鉄鋼メーカーに昨年度及び本年度に入つてどれほど与えられておるか、そういう点をひとつ具体的にお示し願たい大体以上の点についてお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  44. 小山雄二

    ○小山説明員 第一番目の世界銀行に対する融資要請の問題でありますが、私ども関係では、鉄鋼業関係と機械工業の関係につきまして、融資の申請を進める段取りで、いろいろの機会をつかまえて説明をいたしております。今までの段階では、概括的に現在までの合理化の進捗状況、その結果どの程度まで合理化が果されたか、なお国際競争力その他の関係からさらにどれだけの合理化をしなければならないか、従つてそのために、国内の資金状況がそういう状況でありますので、どれだけを世銀に期持したいというような、鉄鋼全段の問題の中で特に合理化の必要性、進捗程度、その他合理化の問題を中心といたしまして、一般的な説明をやつております。御存じのように、電気その他の関係では、前の借款の問題もありますし、今度は話が具体的になつておりますが、私どもの鉄、石炭、機械の関係におきましては、そういう前哨的説明と申しますか、一般的な説明をいたしておる段階でございます。御存じのように、今回来られましたドール氏を団長といたします視察団は、ドール氏は事務屋でありますが、あとの人は全部農業関係の人でありまして、それだけに、われわれの具体的な借款の計画につきまして中身をいろいろ聞いていただき、理解していただくというような向うの態勢もないわけでありまして、主としてドール氏にわれわれの考えておる事柄の全貌を御説明するというような調子であります。ことに鉄につきましては、ある程度時間をかけて概括的なことを聞いてもらいましたが、機械については、時間の関係その他もありまして、十分説明していないという状況であります。鉄につきましては御存じのように、二十六、二十七、二十八の三年にわたりまして、第一次合理化計画と称して、総額約千百億程度合理化事業を行う。これは高炉関係も平炉関係もございますが、主として圧延関係を主体として、それに付属の輸送関係を含み、約千百億円程度合理化をやりまして、現在までのところ約九〇%程度工事が進捗しております。もちろん圧延設備等は、御存じ通り操業に入りましても、ノーマルな調子、その設備担当の調子を出しますために、相当の期間を要するのが常でありまして、従つて合理化効果はまだとても九〇%も出ておりませんけれども、仕事としては約九〇%済ましております。あと約一〇%が続いております。しかしながら鉄鋼業は国際的には、競争力その他の立場、具体的に申しますと、鉄鋼素材そのものの帰趨を見ましても、あるいは今後大いに輸出を伸張しなければならぬと考えております機械関係の素材として考えてみましても、まだまだ合理化をやつて参らなければいかぬ。大ざつぱに申しましてまだ一〇%ないし一五%のコスト高というような見当ではないかと思います。なお合理化を進めて行くという要請は、役所といたしましても、それから業界の方にも相当あるわけでございます。  第二段の合理化として、大体一体どのくらいやつたらいいだろうかということを検討いたしますと、これは各社の合理化の今後の希望といいますか、そういうものを集計してみますと約千二百億程度合理化をなおやりたい、こういうことになるわけであります。ところが昨年後半から資全引締めの——財政資金ももちろんですし、一般金融方面でも引締めの情勢になり、とてもそれだけのことはやりきれないという情勢になりまして、その千二百億の合理化計画工事希望に対する私どもの基本方針といたしましては、第一期の継続工事はどこまで無理をしてもやつてしまう、これが前に申しました千百億の一〇%見当、百億程度のものでございます。純然たる第二次のものといいたしましては、いろいろ内容検討いたしまして、合理化効果が非常に大きいということ、品種別等を見まして、合理化計画が非常に遅れておるというもの、さらには独占形態的な形を多小それによつて緩和する、これはもちろん需給の全般のバランスの上に見ますけれども、そういうような考慮、その他を加えまして五つの工事を取上げております。一つは八幡の厚板の設備工率であります。これは中板を含めまして三つあります。工場をつぶしてしまいまして、そのかわり、その能力は全然減りませんで見合う新鋭設備をつくろう、これが一つであります。それから冨士製鉄でありますが、広畑に御承知のようにストリツプ工場が完成して稼働いたしましたが、そのあとに続きまして電気メツキのブリキの設備をつくろうというのが一つございます。それからパイプの関係で日本鋼管と住友金属に、これは品種が違いますし、大した大きな工事ではございませんが、それぞれ一つずつ合理化計画をやつております。それから最後は神戸製鋼で線材の最新的設備、この五つの計画は、先ほど申し上げました趣旨におきまして取上ぐべきだという大体の方針を先般きめまして、これはあるいは自己資金でやれるものはやりますし、開銀その他の応援を得て、国内資金でやれるものは国内資金でやる、それ以外にその力の及ばないものは世界銀行に融資を期持する、こういう段取りになろうかと思います。  それからこのほかに一つ大きな問題といたしまして、後ほど先ほどの質問の第二点に触れますが、薄板関係といたしまして、川崎製鉄の千葉工場のストリツプ設備をどうするか、これは相当資金額も多くに上りますので、いろいろの内外の資金需要から獲得ができるかどうか、そういう機会があるかどうかということと関連いたしまして考えて行かざるを得ない。ストリツプ関係設備だけで百七、八十億でございますが、そういうことで内外の資金状況に期待できるかどうかというような点を考えまして取上げて行く。第二段の合理化計画といたしましては今申しました五つのほかに千葉工場のストリツプ設備、こういう関係でございます。  第二番目の薄板の問題でございますが、薄板の需要は大体大ざつばに申し上げまして年間百万トン程度だと思います。そのうち現在ストリツプ関係で、最近比較的新しくできました第一次合理化計画の設備でできておりますものが今度約三十万トンくらい、それに乗つかかつて来るのが三十万トンくらいではないかと考えております。あと七十万トン見当は古いプルオーバ一という設備で生産されておるような現状であります。問題はお尋ねのように設備をどんどん近代化して行く、それはそれとしてよいわけであるが、それにしても需要が全体としてふえないうちに古いものを置きかえて行かなければならない、こういうことになるわけであります。われわれとしてはいろいろ作業をやりまして、薄板関係がほかの品種に比べまして相当程度需要というものがふえて来るだろう、いろいろの観点からそういう予想をいたしております。百万トンは数年後には百五十万トンになるか、あるいはもつと大きな期待を持てるのではないか、それについても新鋭設備をだんだんつくつて行こうと言つておりますし、行こうとしておるわけでありますが、そういうものが大体全部できて、経済稼働に入りました場合には——今は古いのが七、新しいのが三の割合でございますが、これは一応今考えております合理化計画ができた場合は逆になりまして、新しい設備が七、古い設備が三、総供給量は多少ふえるといたしましても、大体逆になるのではないか、大ざつぱにそういう見当をつけております。それで個々のおもな設備につきましての状況を申し上げますと、八幡では従来からホツト・ストリツプ五十万トン、コールド・ストリツプ十二万トン、フルに稼働しております。そのほかに一時合理化計画といたしまして、新しいコールド・ミル二十五万トン程度のものをつくりました。これは二十五万トンでありますから、月二万トン程度になりますが、まだ稼働早々でございまして、今は四分の一くらいしか出ておりません。それから念のために申し上げておきますが、ホツトとコールドの設備というものはダブるわけではございませんで、ホツトにかけたものが、ホツトを通したままの製品としても出ますが、しかしストリツプ・ミルで一・六ミリ以下の薄板をつくりますためには、ホツトを通したものをさらにコールドにかけて、数字としては足す勘定にはならないわけであります。大体薄板の関係は、われわれとしては今の合理化をしました能力をもちまして、さつきの七—三が三—七になるような見当で、それで大体需給は納まつて行きやしないかという見通しを立てております。なおその見通しにつきまして詳しい数字的なことにつきましては、また資料をつくりまして差上げたいと思います。  それから三番目の輸入税の免除でございますが、輸入機械に対する税の免除は、どうしても輸入を必要とするかどうかということで、その都度、どうしても国産でできないようなものは輸入しなければいかぬ、それが相当合理化に役立つというようなものなら輸入税を免除しようということで、しよつちゆう税の免除品目が追加になつたり、また税をかけるようになつたりいろいろかわつておりますが、ちよつと資料を持つておりませんので、輸入税を免除した実績の資料をつくりまして、あとで御返事申し上げたいと思います。大体以上であります。
  45. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間の関係もありますから、あまり申し上げませんが、一番大事な点をまだ局長から伺いません。それは先ほど私が申し上げたように、合理化完成すると製品は非常に多くなつて来る。従つて国内需要というものは限度があるので、より以上これを生産増加するということは海外に売るよりほかに方法がないのであるが、ところが最近海外に売つておるのは鉄鋼が上期よりトン当り一万何千円安く売つておる。これは国民と経営者と両方が赤字輸出をしておる。ところが、鉄は売るが、向うから高いものを買わされて来ておる。これは差引きすると国家経済の上からはたして得になつておるかどうかわからぬのです。しかしそれでもなおかつストツクせざるを得ない。かかえておつてもいかんともすることができぬから、背に腹はかえられぬから投売りをする。それでもなおかつ市場が足らぬ。こういうことであるが、私の聞かんとするのは、その市場問題について、輸出問題について、政府はどのように努力と協力をしておるか、この点を私は伺つておきます。どのように市場開拓に努力しておるかという点をお答え願いたい。
  46. 小山雄二

    ○小山説明員 鉄の関係の輸出につきましては、鉄自体の輸出と機械の輸出を考えなければなりませんが、ことしは大体去年並くらいの見当で、百十万トン程度の輸出を考えております。最盛期から見ますと一昨年あたりは百四、五十万トン出ておりますので、欽自体の輸出としては相当下つております。一般方針としましては、私どもは鉄自体の輸出もさることながら、なるべく安いいい鉄を供給して、それに付加価値を加えて機械として輸出するという努力を主としてやつておりまして、特にプラント輸出、重機械等の輸出につきましては、あるいは重機械相談部屋をつくりますとか、あるいはプラント輸出について輸出入銀行から財政資金を融資して、それで支払いの長いものの負担をカバ一して行こうということをやつております。また市場別にもその市場々々の協定関係の成行き等ともにらみ合せまして、あらゆる面で努力をいたしております。そのほかに多少こまかくなりますけれども、極力輸出を押し出すという観点から、たとえば鉄鋼業としてどうしても必要なスクラツプにつきまして、年間約九十万トン程度輸入しておりますが、それにつきまして輸出とリンク制度をやつておりまして、輸出した数量に応じましてくず鉄の輸入外貨を割当てて行く、こういう方策もとりまして、極力押し出すというか、そういう手も使いまして輸出振興をやつて参りたい、こういうふうにやつております。
  47. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうもせつかく局長がいろいろ長々と説明してくれますけれども、私の聞こうとしておる点に触れてもらえぬのですが、時間の関係がありますので今日はこの程度にしておきます。あとごく簡単な点を鉱山局長軽工業局長に一点ずつ一緒に伺いますから、御答弁願いたい。  先に鉱山局長にお伺いいたしますのは、局長も御存じのように、さきの国会で相当熱心に論議されました帝国石油の開発の問題についてでございます。これは御存じのように、緊縮財政下において一億三千万円の助成金をこの前の国会で議決してある。国内石油資源の総合開発五箇年計画を遂行しようとして、現に石油資源探鉱促進臨時措置法というものをこの前制定してこれに当らしたのであるが、聞くところによると、助成額が僅少であることは、この前から論議をされた通り、あわせて政府の緊縮財政、金融引締めのために、特にこの開発が金融難のために、計画縮小を行うようになつてしまつた。そこで思うようにこれがやれなくなつてしまつて来ていることは御承知通りである。こういう現状に対して政府は積極的に行政指導なり援助をして、さきの国会議決、国会の要請というものの所期の目的を達成するようにどのような努力をその後しておられるのか、聞くところによるとどうも思うように行つていない。むしろ非常に不安な状態にあるということをそれぞれ関係方面からも聞かされるのであるが、これらに対してひとつ局長から、ただいまの状態とあわせて、今後の政府方針を御説明願いたい。  さらにいま一点は、この間まで中小企業庁の長官をしておられた岡田秀男氏が、今度帝国石油の重役に就任するのだというようなことを、この間私も新聞で見たのであるが、この岡田氏がもし新聞の報道するがごとく帝国石油に入社されるものとするならば、これはこの前から大臣が言われておつたように、いわゆる政府を代表する意味においての政府推薦で入られるのかどうか、それから岡田さんが重役に入られるということは、現重役を強化する意味において入れられるのであるかどうか。さらにこの前から愛知大臣が言われておるように、田代現社長を中心にして強化するということをしばしば強調されていたのであるが、その目的達成のために岡田氏を重役に入れようとされておるのであるか、これらの点についてあわせて意答弁願いたい。
  48. 川上為治

    川上説明員 この石油資源の開発につきましては、さきの国会を通過してしました法律によりまして、その後いろいろと私どもの方としましては行政的な措置をとつてつております。まずたしか五月の半ばごろと思いますけれども、帝国石油会社及びその他の鉱業権者の中で、十一件と思いましたが、十一地区を指定地域としまして、その指定地域につきましては本年度においてぜひとも開発しなければならぬという指令を出しております。それからまた助成金も一億三千万円いただいたのでありますが、その一億三千万のうち近いうちに前払いをある程度出したいというふうに考えております。問題は、政府の出します助成金そのものが、本年度におきましては非常に少いために、いわゆる五箇年計画の初年度を十分やれないということは、この前の国会におきましても再び申し上げた通りでありますが、われわれとしましては、少い助成金でありましても、何とか本年度においてもできる限りのことはいたしたいというふうに考えておりまして、この一億一千万万円の助成金が最も効率を発揮し得るようにということで、いろいろやつております。私も何べんか帝国石油会社にも参りまして、そして各重役みんな集めまして、何とかして少しでもよけい開発を進めるようにということを再三申し入れてありますし、またその経理内容につきましても逐一当つておりまして、何とかして金を引出してできないものかということをやつておるわけでございます。ただ金融の問題につきましては、本年度におきましては大体二億円程度開銀に仰ぐということで今進めておりますけれども、何分全体の政府資金、開銀資金が非常にきゆうくつになつておりますので、はたしてどの程度出し得るか、それはまだいろいろ疑問があると思うのでありますけれども、私の方としましてはぜひともある程度は開銀の方から出してもらいたい。同時に興銀その他の方からも出してもらいたいということで、こういう資金難でありますけれども、強力に実は進めておるわけであります。それから帝国石油の内部の自己資金、これは実は最近非常に詰まつておりまして、昨年われわれが計画いたしましたときよりも相当きゆうくつになつておりますので、われわれが比較的楽観的に考え計画しましたその計画は、相当苦しい状況になつておることは、先ほど伊藤さんからお話があつた通りであります。しかしわれわれとしましても、この借入金の問題にしましても、あるいはその帝石の内部の積立金なりその他の方から、何とかしてある程度捻出できないかというような問題につきまして、今いろいろ強力に進めておるところでございます。何とかしてこの国会でも問題になりました石油の資源の開発を、強力に進めて行きたいというふうに考えております。  それからこれは個人の問題になりますが、前の中小企業庁の長官の岡田さんが帝石に入られましたことは、これは事実でございまして、顧問という形で入つております。私どもの方としましては、たしか国会でもこれはどなたの御発言でありましたか、やはり政府の方から少し入つた方がいいじやないかというような御意見もありましたし、また帝石の田代社長の方からも政府の方から出してもらいたいという御意見もありましたので、この岡田さんを現在顧問として出しておるわけでありますが、行く行くは重役になるものと私ども考えておるわけであります。これは今伊藤さんがおつしやいましたように、帝石を何とかして強化し、同時にまた政府の意見も重役会なりあるいは株主総会においても十分発言し得るような機会を持つというような意味で、岡田さんを実は出したような次第でございます。私どもとしましては、前の中小企業庁の長官がこの会社に入りましたことによつて、相当いろいろな問題について、円満あるいは強力にこれが推し進められて行くのじやないかというふうに考えております。  それから田代さんとの関係でございますが、この問題につきましては、九月二十日ごろ任期が参りまして、改選期になつておりますが、もしその後ずつとやるということになりますと、その事前におきまして、臨時総会でも開いて再選ということをしなければならないのでありますが、この問題につきましては、帝石の内部のいろいろな事情をいろいろ打診すると同時に、各方面の意見も聞いて、私どもの方としては善処したいというふうに考えておりまして、問題は、やはり帝石というものがしつかりなつてほんとうに五箇年計画なり、あるいは石油の長期の資源開発計画を強力に進めることが大事でありますので、そういう意味で、この帝石の内部において田代社長なりあるいはほかの重役なりが、現在のままで行くということがはたしていいかどうかということは、内部の事情をよほど見きわめた上で、私どもの方としては進めて行きたいというふうに考えております。
  49. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 川上局長に特にこの際私奮起を促しておきたいと思いますのは、さきに国家が一億三千万円の助成金を出しました。やはりこれは出しつぱなしということでなくて、これはいわゆるポンプの迎え水であつて、会社が自己資金なりもしくは国家の融資なりを受けて、そうして国家援助の足らざる分をみずからの補いによつて開発計画をやれということが、当時の要請である。従つてこの際開発銀行なりその他国家機関からの会社に対する開発への融資資金については、鉱山局長が特にお骨折りをさるれことが、一億三千万を出した意義を一層成果あらしめることであるから、この点をひとつ局長に強く要望しておきたい。  それから、帝石に政府代表を意味して重役を入れて国家目的に沿うようにということは、これはこの委員会全体の要請といつてもよかつたのである。そういう意味において岡田氏を入れられたとするなら、私どももこれには賛成である。従つて、帝石のみにくいああいう状態を再び起さないように、人事とともに計画事業が完全に遂行されるように、ひとつ十分監督鞭撻をしてやられるように、この機会に局長に強く要望しておきたい。  最後に軽工業局長に一点だけお尋ねいたしますが、これもさきの国会で十分論議されたことであるから、もう内容的に申し上げる必要はありません。御存じの日米石綿に関して、この会社を成立させ、あるいはこれに外貨を導入をするかどうかという問題について、われわれがさきに論議をするまでの政府側の意見としては、アメリカ側からの製品が、日本の製品と比べてどこがいいかという長所が明確にならぬという点が一点。それからせつかく輸出向けにつくても、輸出先がはつきりせぬ。こういう点から、外資導入等の委員会では、ちよつと許可が与えられないでおるという報告を聞かされておつたのである。ところがその後、この八月十一日に、さらにアメリカ側とのそういう製品について再試験をして許可をするかしないかということをきめようとしておられるということを聞くのであるが、試験場でもかなりしばしば繰返して、試験をされたこの品物を、またさらに再試験をされるという意味は、一体どういう意味のためにやられるのか。あるいは許可をしないという終止符を打つ意味において再試験をされるのか、あるいは、品物の優劣の差がわからぬ。国際的にも売り先の市場がわからぬし、国内的にもあり余つているのだから、こんなものを再び入れて、国内産業を圧迫するのは許されない。しかしながら行政措置上は非常に慎重に慎重を尽した結果、これはいかぬという終止符を打つ意味においてそういうことをやられるのか。何とかして、どこかに優秀であるということを見出して許可を与えようという意味において通産省が無理に何べんも何べんも試験をして、そういうところに持つて行こうとしていられるのか、この辺のいきさつについて、ひとつ政府側の腹のあるところを伺いたい。
  50. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 お答え申し上げます。御承知のようにこの問題は正式に日本銀行に申請の出ましたのは昨年の十二月でございます。それ以前における最初の実際上のいろいろな問題の発生からいたしますと、すでに一年以上いろいろ論議が闘わされておるというように承知いたしております。ただいまお話のように、外資委員会におきましては、本年の五月から両三回にわたりまして審議をされたわけでございますが、結論としてまだ十分決定を見るに至つておらない。さらに通産省においていま少し諸般の点について検討した上で意見を申し述べてもらいたいというような形において現在保留になつておる次第でございます。そこで内部の問題にわたりまして恐縮でございますが、関係の担当局長もかわりまして、私も実は最近にこの問題を取扱うことになつたわけでございますが、私といたしましては、いずれにいたしましても十分の心証を得た上で、さらに意見を述べさせていただきたいということで、現在、いろいろ関係局と打ち合わせました諸般の点につきまして、さらに具体的に検討を進めておる次第でございます、その一環として、ただいまお話の比較試験につきましても、実は前回の試験の方法並びにその結果につきまして、関係者の解釈と申しますか、これが必ずしも一致していない点がある。もちろんこういう技術的の問題でございますし、ことに一方は現実に製品を出しておる。片方は今後入れようとする外国の製品を試験の材料にしておる。それらの点につきましても、その試験の結果そのままをただちに優劣の判断に資し得ないという点もあるかと思いますが、実情はそれ以上に著しく解釈が違つておるという関係もございまして、その意味で私ども関係者としてこの問題の処理について確信のある心証を得る意味におきまして、さらに比較試験をもう一回やりたいということにいたした次第でございます。こういう具体的案件の処理としては、もちろん急いでやるべきだと思いますが、何分にも非常に長期間にわたつていろいろ問題のあつた案件でございます。特に私として実は率直に申し上げまして遺憾に考えておりますところは、技術的の関係その他企業を認めるべきかいなかという点について意見のわかれる点はやむを得ないという関係があるかと思いますが、関係者間におきまして気持の上でも必ずしもしつくり行つていない点がございます。従つてこの点は少くともそういう感情上のことで必要以上に意見が食い違うということはぜひなくしたいという考えを実は持つておるのであります。具体的に申し上げますと、実はこの点につきまして関係の最も深いと思われます会社の方にお出でを願つていろいろお話合いをしたいというようなことですら必ずしも円滑に行かないという状況でございます。この点につきましては、従来の処理の上で、われわれの側においても反省すべきものは十分に反省いたしたいと思いますから、少くとも気持の上では虚心坦懐な基盤の上でお互いに十分検討いたしまして、また私どもとしても十分確信のある意見を申し述べまして処理をいたしたい、従いましてただいま御指摘のこの再試験の目的はこれを入れる材料を得るためにやるのがあるいは反対であるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、そういう先入主なしに私としては実施いたしたい、かように考えております。
  51. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は長谷川君。
  52. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 振興部長に一点だけお伺いいたします。デフレ政策の遂行によりまして中小企業といわず大企業といわず、非常にその影響を受けている。その目的とするところ、つまりデフレ経済の目的というものは、国際価格に対して日本の物価が高過ぎるからそれを均衡にしよう、こういうのが一つの目的であろうと思うのでございます。そこでたとえば一つの繊維の問題を出しまして申し上げますならば、繊維はすでに国際価格以下になつている。こういう物資が一、二現われて来ていると思うのでございます。こういう国際価格に対して妥当の国内価格までに下落した部門に対して総合的な、同一的な待遇を行つているということになりますと、どうしてもこれらが輸出の伸張ということは見込みが立たなくなる。であるからたとえば繊維が国際価格まで下落したならば、その繊維に対しては特別の待遇を与えて行く。特別の待遇というのはたとば金融の面とか、あるいは売り先のあつせんというような点、政治的の解決をつけて行くという面をこれらに与えて行くべきではないだろうか。また次にBという品物が国際価格にまで下落した場合には、これはやはり同じようにそのような待遇をとつて行く、こういうことになると、国際価格に匹敵する価格、要するに下落率というものが非常に早くなりはしないかと私は思います。こういう面に対して企業庁としてこれを行うということはなかなか困難だと思う。私はあなたの御答弁をいただかなくてもよろしいから、こういう点を大臣等とよくお話合いになつて、そのような御処置をとつていただきたいということをお願いするわけであります。あなた単独でこれに対してのお答えは非常に困難だと思いますから、お答えはいただかなくてもけつこうでございます。  それから石炭局長にお伺いするのですが、先ほどから四千八百万トンというお話が出ております。またわれわれも四千八百万トンを掘れということを申し上げておりました。ところがそこに大きな相違が出て参りました。というのは、現在の四千八百万トンを目標に採炭をするということになると、どうしても価格引下げが困難になるということが現われて来たということを聞いておりますが、それならば日本の石炭の採炭ベースというものは幾らを妥当とするか、これをお伺いいたしたいのであります。
  53. 齋藤正年

    齋藤説明員 採炭ベースがどのくらいが妥当であるかという御質問のように拝聴いたしました。これはいくら掘りましても、需要がそれについて行かなければ、実はかえつて金融上の逼迫を受けまして、採算が成り立たなくなるわけでございます。またもちろん需要との関連で考えなければならぬ問題でございますが、御承知のように現在の出炭は三百六十万トンから七十万トン程度でございますから、年間出炭のベースに直しますと、四千三百万トン程度出炭のベースになつております。それにもかかわらず、現在の引取りが月三百十万くらいでございます。七月はややふえまして三百三十七万くらいになりましたけれども、四—六のペースはその程度でございます。これを需要の面からいえば、少くとも四—六では三百十万くらいが適当であつたということになるわけでございます。ただ将来の問題として考えますと、石炭鉱業合理化の中心のテーマといたしましては、たびたび申し上げておりますが、縦坑の開発によつて根本的な合理化をはかろうというのがわれわれの考えでございますが、縦坑の開発をいたしますと、縦坑の対象になつております炭鉱だけで約一千万トン程度の増産になる見込みでございます。そういたしますと、現状でも今申しましたように現実の生産と荷渡しについては年間ベースで三百万トン程度の過剰がすでにあるわけでございます。なお現状は実はもつと生産をすればできる状態でございますが、それを若干抑制しているような気配でございますが、それにさらに合理化工事をいたしますれば、縦坑対象炭鉱だけでも一千万トンの現状よりも増産になるわけであります。従つてそういう点を考え合せますれば、その間相当非能率の切羽ないし坑口を整理するといたしましても、相当の出炭のベースが維持されることがむしろ炭価引下げにとつて条件になるとわれわれは考えております。しかもそのべースを将来の問題としては四千八百万トンくらいに置きたいとわれわれとしては考えているわけでございます。今申しましたように、現在の生産ベースは四千三百万トンのベースといたしましても、縦坑開発をいたしますれば、それにさらに一千万トン増加するわけでありますから、ある程度能率の切羽なり坑口なりが整理されましても、どうしても相当出炭をふやして行かなければならぬ状況でございますが、ただ現在としてどのくらいが適当かというようなことはちよつと今お答えしにくい。現実の今の荷渡しの状況からすれば、上半期中といたしましては三百十万トン程度が適当であつた。七月のぺースで荷渡しが今後継続いたしますならば、三百四十万くらいが適当だということになります。ただ先ほど鉱山局長から話しましたように、今後重油の消費規正の効果が上つて参りますれば、おそらくもつと引取りはふえるのではないか。そうすればそのべースが適当のベースということになると思うのであります。
  54. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 重油を規正して石炭需要が必ずしも多くなるとは私考えておりません。従つて需要とのバランスによつて採炭の価格が出て行くんだということにも、私は大きな疑問を持ちます。要は総合燃料対策を立てたときの石炭は四千八百万トンであることは事実であります。しかしそれから推して行つて重油の問題なんですが、四千八百万トン掘れるかどうかは別として、それなら重油がよけい入つて来ているかというと、入つて来ておりません。今その上規正して行くことになれば、石炭はもつと掘らなければならぬことになる。もつと掘ることになると、価格は必然的に高くなつて行くことになる。私はそこがあなたに聞きたいのであつて石炭をよけい掘れば価格がよけい高くなるんだということなんです。ですからあまり価格の高くならない、平常な状態において、つまり無理をしないで採炭をするということになつた場合は、それは幾らなのかというと、今あなたのおつしやる三百万トンということになると、三千六百万トンというものが妥当な採炭じやないか、こういうふうに考えるわけです。ですからあなたのおつしやるように需要というものがふえて来れば採炭率がよけいになつて来る。需要がふえて来るとおのずから価格というものはそこでつり上げられて来る。需要と供給のバランスがとれなくなつて来たときに、物というものは必然的に高くなつて来るんです。石炭を要求する場合には石炭価格というものは逆コースをとつて安くなるというはずはないんです。こういう点から重油というものに対する考え方というものは、石炭業界そのものが重油々々といつて目のかたきにしたことと、大きな相違がして来ているということを今日みずから考えている。ですからそういう点についてのあなたの石炭重油についての考え方というものをもう少しはつきりとひとつ示してもらいたいと思うんです。従つて北海道の、たとえば炭鉱のストライキがたくさん頻発している。また来月あたりからやりそうですが、こういう大がかりの炭鉱のストライキというものがすべて重油に切りかえさせられた原因であるということはいなめない事実でなければなりません。常に石炭というものに不安がある。その不安というものが重油というものに転換されたことは、これはどなたが何と言つても現実の事実でございます。つまり総合燃料対策を立てるときには、もう今後すでにストライキというものはないという前提に基いておるというか、すでに炭鉱の組合からはそういうことはやらないことになりましたという何か書いた契約書か誓約書みたいなものをいただきました。私たちに出したのじやないんですが、そういうものも見せられて、つまり四千八百万トンを基礎として重油というものに対しての案が出たわけなんです。石炭が四千八百万トン出ないことになつて、三千六百万トンだということになつて来ると、重油というものは必然的に要求されて来るということにもなりやしないかと思うんです。ですから現在の炭鉱のストライキというものはあなたが目で見て自分で自分の首を締めるのだというようなことはないのかあるのか。そういう点についての不安というものがあるかないか、こういう点もひとつあわせてお答えください。
  55. 齋藤正年

    齋藤説明員 私が現状を基準として考えますれば、生産がある程度ふえることが、むしろ炭価と申しますか、少くともコスト引下げになると申しましたのは、先ほど申しましたように、現在の出炭と荷渡しの間に毎月上半期の平均で申しますれば四、五十万トンの差がある。七月の実績で参りましても二十万トン以上の差がある。結局その差がどうなつておるかと申しますと、これが貯炭の増という形になつて結果しております。貯炭がふえますれば、それだけ金融上にも逼迫をいたしますし、金利もかさみます。それから貯炭の費用もかさんで来るわけでありまして、結局石炭鉱業が存立して行くためには、その負担を将来の需要家が負担せざるを得ないような形になつて来るのではないか。  それからもう一つ原因といたしましては、今も申しましたように、現在の出炭ですら、現在の出炭能力から比べればむしろ制限したものである。現在の労務者人員なり、あるいは坑内切羽の状況から申しますれば、もつと月十万や二十万の生産の増加は易々たるものというよりも、増加した方が全体のコストとしてはむしろ下る。これは毎月々々の炭価コストを大手炭鉱につきましてはとつておりますが、これがほとんど生産数量の増減に応じて出炭コストが増減しておるようなかつこうになつております状況を見ましても、そういう実情にあるわけでございます。そういう意味でもう少し需要がふえて、その需要に見合うように生産がふえますならば、かえつてコスト低下になり、それはひいては貯炭の価格引下げもできるのではないかというふうに私は申し上げた理由でございます。  それから重油転換原因として、石炭の供給不安が大きな要素をなしておるのではないかというお話でございますが、これも私はまさにその通りだと思つております。また実際の経過からいたしましても、一昨年の大ストライキのあとで急速に重油転換が進みました理由からいたしましても、これは石炭関係者といえども重々承知いたしております。ただ今お話がございました、来月あたり北海道で大きなストライキがあるんじやないかというお話でございますが、われわれの知つておる限りにおきましては、そのような事情はまだないように思われます。これは先月から今月にかけまして若干例の夏期手当の問題で紛争がございましたが、争議によります生産の減少というものはごくわずかで、これが供給に何らかの顕著な影響を及ぼしたというような事実は全然ございませんでした。毎年賃金の改訂につきましては、大体年末ごろから問題になつて参ります。そういう関係がございますので、年末ごろにはあるいはまた若干の争議が起る可能性も全然ないとは申しませんが、しかし今のところそれによりまして供給に不安を及ぼすようなことはまずないと私は確信しております。ただ将来の問題としては重油から石炭に再転換いたしました場合に、そういう供給の不安を起させないようにするということは当然でございまして、われわれも総合燃料対策の確立をいたします際には十分その点についても措置をしなければならないのではないかと思いまして、現在せつかくその対策を考究中でございます。
  56. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私は総合燃料対策に大きな間違いの生じたことをみずから認めておりますので、総合燃料対策の建置しをやるべきだと思います。その場合には万一大きなストライキをやりましても、消費者に何ら心配のないような案を立てべきだと思う。大体石灰の四千八百万トンというのはたわごとだ。大体この半分ぐらいで案を立てておくべきだ。あなたの考えと私たちの考え方の違う点は、ストライキがかりに大なり小なりありますと、消費者はすぐにまた石炭が逼迫になりはせぬかと不安を感ずる。たとえばそれが二十四時間であろうと、これが六十日間続こうとも、その不安というものは大した相違にはならないのでございます。新聞紙でまた次にやるのだということを発表されると、またこれで石炭に国民全般が大きな不安を抱く。冬を控えてまた石炭が困るのではないかという不安を抱くのは当然な心理でなければならないと私は思うのであります。ただあなたは直接一番実情をよく知つておるから、二十四時間やり四十八時間やつても、何ら心配はないのだという考えを持つけれども一般の国民はそういう考えを持たないのでございます。私たちはあなたたちの立場と違つて一般国民の心理によつて政治を行つて行かなければならないから、そういうふうに申し上げるわけでございます。現在の中小企業全般に目を通してみましても、中小企業に従事する人たちの生活よりもはるかによい生活をしているというのは、あの人たちのことを言わなければならない。現在中小企業に従事している人たちの姿は、石炭関係のあなた方が想像するようなものじやございません。その生活の苦しさというものは、これよりない、最低の生活をしている。そして毎日その苦しい中からあれだけの大きな税金を支払つておる。そういうような点で、私はストライキをしてはならないというのではない。いつでもストライキはたくさんおやりなさい。しかし総合的な燃料対策を立ててやるべきだ、こう思うのです。あなた方が、国民の不安を除去するだけ採炭をするといつて採炭をすると、そこに無理がある、無理があるということになると、結局その要求に応ずることができないからストライキをするということになる。日本の国にとつておくなら百年置いても別に石炭は腐らないから、ゆつくりストライキをやるような総合対策を立てるべきだ、そういうふうに考えますから、そういうふうにやつて行きたいと思う。そこで石炭というものはただ燃料だというお考えでなく、石炭というものに対してもう少し化学性を打たせなければならないのじやないか、石炭化学という点とも並行して考えて行かなければならないと思う。  そこで伺いたいのは、日本の価格という面ですが、一日六千円払つておる炭鉱労働者が掘つた石炭よりも、あれだけ遠いアメリカから持つて来る石炭が二〇%安い。それからどこから持つて来ても、国外から入れると五%は必ず安いということになつておる。日本の石炭の高い根本の理由は何にあるかということを聞かしてもらいたいと思います。
  57. 齋藤正年

    齋藤説明員 御存じのように鉱山関係事業は、すべてさようでありますが、鉱山関係のものの価格は採掘に関する技術的あるいは経営的な方面能率と、もう一つは自然条件と両方によつて決定されるわけでございますが、石炭におきましては、遺憾ながらその両方ともにアメリカはもちろんのこと大陸に比べましても現在相当遅れておると申しますか、隔たつておる状態でございます。しかしまず第一に自然条件に相当大きな差があるわけでございまして、現に坑内の採掘方法でも、米国とわが国とでは全然異なつておる。それからまたアメリカにおきましては、露天掘りで掘つております石炭が全供給力のうちで、現在私数字を持つておりませんが、相当の部分を占めておるような状況でございますが、御存じのように日本におきましては露天掘りによる供給量はほとんど考慮に入れるに値しない程度の少量で、また石炭の品質から申しましても、現在商品炭として日本で供給しておりますものの総平均は六千百カロリーないし六千二百カロリー程度でございます。米国から参ります石炭の品位は七千八百カロリーくらいであります。同じ値段で販売いたしましても、石炭の価値と申しますものは品質によつてきまるものでございます。そういう点から見まして、アメリカ炭の方がかなり割安でございますけれども、実際に日本への入着価格は十八ドル五十セント程度だと思いますが、そうすると六千八百円程度であります。現在の石炭でございますれば、六千百カロリーの標準ものでございますれば、坑口で大体四千二百円程度だと思います。それだけの比較をいたしますれば、むしろ日本の石炭の方がはるかに安い。ただ遺憾ながら生れが悪くて品質上の差異がありますので、従つて米国に比べて高いということになるわけであります。今申しましたように、採掘上の自然条件の品位との差が、石炭が高いということのまず一番根本的な原因でありまして、これは日本の石炭鉱業がいかに合理化いたしましても、米国炭並に供給するということは、米国の石炭を米国の市場で供給する価格まで引下げるということは困難ではないかと思つております。たださつきるる申しましたように、現在の石炭鉱業といたしましては、戦前に比べましてもはるかに能率が落ちておる状態でございます。それに比べまして、一般産業の方は戦前に比べて生産能率かなり上昇しておる。非常に大ざつぱな言い方でございますが、石炭鉱業の現在の能率は戦前の六割程度でございます。一般産業の方の能率は戦前に比べましてむしろ一割程度以上増加しているような状況でございます。そういう点から考えますと、石炭鉱業一般産業とを戦前に比べました能率の差がほとんど半分になつておる。そこに石炭が非常に高いというようになりました根本的な原因一つがあるわけでございまして、この分は先ほど申しましたように縦坑開発を中心といたします合理化工事によりまして少くとも戦前程度まではこぎ着けたいというのがわれわれの考え方でございます。
  58. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大体石炭業界のかつての戦争中からの引続きであり、この引続きの保護政策を行つて来たということから、いまだ業界がこの夢をむさぼつているのだというように私は言えるのではないかと思う。石炭はいつでも重要な物資である。しかも国内資源で重要な物資だから、保護政策をとるのが当然であろうというように石炭業界そのものがいまだ考えているのじやないか。そういうところから合理化という点についても遅々として進んで行かないと思うのでありまして、あなた方の方の御計画で行くならば、三十一年度には石炭価格が三割三分下げられることになつている。すなわち合理化する、縦坑完成して行くということになるわけなんですが、そういう縦坑等々の合理化をするというのはすなわち人間を減らして行くということばかりではないのである。そういうことではないので、要は高能率の新しい機械によることが一番合理化の面に大きなウエートを持つものだと私は思うのであります。そういう点について、合理化のうちの縦坑はその後どういうようなことになつておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  59. 齋藤正年

    齋藤説明員 縦坑計画につきましてはすでに従来からたびたび御説明いたしておる通りでございますが、実は昨年五箇年計画五百二十億円の資金を投じまして、七十九本の縦坑を開発したいという計画でスタートしたわけでございます。ところがちようど開始いたしましたときに、石炭界が昨年から非常な不況に陥りましたことと、それから昨年の後半からのデフレ政策によりまして、この企業資金の調達が非常に困難になつて参りまして、昭和二十八年度におきましては、七十九本の計画の場合においては新しく二十本の縦坑をおろす予定でございましたが、それが経理上の悪化と資金の窮迫によりましてわずかに八本しか着工ができないような状態になりました。二十九年度はまだ確定しておりませんけれども、これもやはり二十八年度と同様に相当大福に予定計画を繰下げざるを得ないような状態に現在なつております。これは一に炭況の不況によりまして経理状態が悪化しましたために資金の蓄積ができなくなつた、あるいは増資も不可能になつたというふうな面におきまして、自己資金の方面に非常に不足が出て参りましたことと、もう一つは、デフレ政策によりまして、先ほどから申しますように投資資金が十分に供給されないということ、その二つがもつぱら大きな原因をなしているようにわれわれは考えておる次第であります。
  60. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうしますと三十一年度の最終の目的の三割三分の値下げなんということは非常に困難性を帯びて来る。そこで重油石炭という問題を比較してみて何ゆえに重油というのを希望するかというと、カロリーの上から言つも非常に価額が安い、こういうところに大きな原因があるわけであります。従つて輸出産業、よく口で言うところの輸出産業の振興ということも、いかに振興させようとしても要は振興に伴つたところの価額というものが備わらなければならないのでありまして、輸出をするのには、つまり価額というものが世界価額に並行しなければ輸出というものが成り立つて行かないのであります。ですから、今のようなお考えで、石炭考え方で行つて無理に保護政策、日本の政治の上に立つたその法律によつて、すなわち政令によつて石炭を使わして行こうということになると、日本の輸出貿易というものは伸張でなくて、逆にますます縮んで行つてしまうようなことになるのでございます。こういうような点から考えても、私の先ほど申し上げたような石炭に対する保護政策という、こういうようなものはもう一切打切ると同時に石炭の自然にまかせて置こう、こういう結論が、意地が悪いようだけれども出て来るわけなんであります。今の石炭業界の考え方から行くと、現在輸出振興というようなものに少しもマツチした点がないのじやないか、こういうふうに私は考えるわけでございますが、いずれにいたしましても昨年度の八本の縦坑が掘れ、また本年度の十何本の目的が達成せられ、三十一年度合計三十何本の縦坑ができて掘つて行くと、そこで初めて三割三分の値下げができるから、三十一年までの後期に見てもらいたい、要するに総合燃料対策の中に織り込んでもらいたいというような御意見もあつたのでありますが、結局やつてみたところで、これが何らその結果はよくなかつた。ただ苦しめられるのは中小企業全般であつて、その中小企業がなぜ苦しめられるということは、川上局長の規制によつてただ苦しめられているだけというみじめな姿に陥つている点も十分考えてもらわなければならない。まさに川上局長は中小企業の振興を妨げているような行動をとつておる。政令を出し、もつて重油を規制して行く。なぜそういうふうに重油を規制するのだ、いわば石炭というものを、国内資源を生かしてやる、生かさなければならないから規制するのだ。結論は国内資源である石炭を大いに生かさなければならないから、そこで重油を規制するのだというが、こればかりではない。そこでそういうような点も十分御考慮に入れてあなたの行政を行つてもらいたい。最後にお伺いしたいのは、北海道の炭鉱石炭のストライキというものが他に比して非常に大きいのですが、この大きな原因となるものは、あなたの目で見て何が原因だかということをひとつ御発表願いたいと思います。
  61. 齋藤正年

    齋藤説明員 北海道の炭鉱地帯に特に争議が多いというお話のようでございますが、実は地域別に特に北海道が多いというふうな統計を実はまだ得ておりませんので、はたしてその通りかどうか、ちよつと今何ともお答えがいたしかねますが、ただ御存じのように北海道には中小炭鉱が非常に少うございまして、大部分が大炭鉱でございますので、労務者の組織率と申しますか、組合に組織化されております率がはなはだ高い。それが御存じのように統一労働組織によりまして統一的な行動をとる機会が多いということが、もしそういう事実がありといたしますれば原因ではないかと私思うわけでございます。
  62. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 いや、炭鉱のストライキが非常に他に比して多いんですよ。何かそこに大きな原因がなければならぬ。その原因はあなたの目で見て何だと思うか。
  63. 齋藤正年

    齋藤説明員 一般的に石炭鉱業には他の産業に比べてストライキが多いのではないかという趣旨の御質問だとしてお答えいたしますが、これはほかの産業に比べまして特にストライキが多いとも私考えておりませんが、ただストライキが起りました際には、御存じのように石炭鉱業におきましては炭労と俗に申しております非常に大きな組織がございまして、これがまた非常によく結束がとれております。従つて一旦争議が起りますと、その規模が非常に大きい。その組織全体としての闘争ということになりますので非常に大きな規模になりまして、世間の目につきやすいというふうなことではないか、ほかの産業におきましても争議はいろいろあると思いますが、それが個別的に偶発的に起りますので、あまり世間の耳目に触れない。石炭の場合には炭労と申します全労務者の三分の二、現在ではおそらく三分の二以上になるかと思いますが、非常に強力な組織がございます。それが統一した方針、組織のもとに争議をする。そのために非常に大がかりなものになつて世間の耳目に触れやすいということが原因ではないかと思うわけであります。
  64. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は加藤清二君。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はきめられた時間内に質問をし尽せないほど実はたくさん持つておりますけれども、皆さんこのころまで長いことお待たせして恐縮に存じまするから、なるべく質問を箇条書きに申し上げまして時間内に納めたいと思いますので、答弁の方もそのように御協力願いたいのであります。  ところがその前にひとつどうしても承つておかなければならぬことは、委員長にまず承ります。委員長に対して私は個人的には非常に尊敬もし、かねがね先輩として、生きた手本としてこれをとつてつて範としよう、こう思つておるわけなのでございまするが、大体この委員会は一月も前からすでに予定されておつたと思います。その日にちも、われわれの方からこの日にしてもらいたいと言うて要求した日にちではない。全部があなたまかせの日にちであり、時であつた。にもかかわりませず、きようこの様子を見ますると、遺憾なことに大臣もおらなければ新しい次官もおらない。新しく政府側は局長が任用されたはずでございますので、せめてその個人紹介でもしていただけるかと思つておつたら、それもない。もつとひどいことは、ながめて見まするとほとんど野党だけで、自由党側の出席は一人もない。こういうことになりますと、今日日本経済が危機に直面して、どうしてもこの危機を打開しなければならないという時期に当面しているにもかかわりませず、このような状況ではこれに対する熱意がありとはとうてい考えられない。先ほど繊維局長はどうしても用事があるからというのでお帰りになりましたけれども、私もみえや酔狂や好みで残つているわけではない。あすはちようどいいことに私の方の県下の大会が小笠原さんの郷里の岡崎である。私はきようの答弁を持つてつて報告する予定になつておつた。ところが満足な答弁はおそらくしていただける人がいらつしやらないようでございまするので、その方については、私書面をもつて答弁を願うようにお願いしたいわけでございまするが、それは許されますか許されませんか。
  66. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 書面で答弁させることにいたします。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その書面の答弁の時期はいつでございましよう。実は私この前大蔵委員会において質問をしましたところ即座に答えられなかつたので、向うの希望でしからば書面をもつて答弁するということになつたわけでございまするが、日銀の五十嵐さんは一週間を出ずして御答弁いただいたわけでございますけれども、政務次官からは半年たつた今にしていまだに書面の答弁が来ておらないという状況でございまして、半年先ではこれはビールの気の抜けたのと同じことでございます。一体時期はいつでございましようか。
  68. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 口頭による答弁にかわるものでございますから、書面の答弁があまり長くかかるようでは御期待に沿いかねるわけであります。少くとも一週間以内に答弁させることにいたします。  それからなお申し上げまするが、先ほど加藤委員からの御発言の中に与党委員は少しも出ていないというお話でありましたが、与党委員も相当数先ほどから出席いたしておりまするから、誤解のないようにお願いいたします。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 目下のところながめますると、委員長さんは生理的現象まで節約してまことに御努力願つておりまするけれども、見渡したところ一人もいらつしやらないようなのでさように申し上げたわけでありますが……。
  70. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 加藤君、与党だけではなく、野党の諸君も出席いたしておりませんから、特に与党だけを申さないように願います。
  71. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今まで改進党は二人見えたでしよう。
  72. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 質疑を続けてください。
  73. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは川上鉱山局長が急いでお帰りになる御用事を持つていらつしやるというお話でございますから、その点について箇条書きにお尋ねいたします。  まず第一番は輸入原油の課税でございまするが、これは国会でもすでに再三決議がなされており、十六国会以来ずつと課税をするようにという話合いがこの会で行われておりましたけれども、いまだにそれが行われておらないようでございますが、その延期されている理由を承りたい。と同時に、一体将来いつ課税されるか、あるいはされないのか。  もう一点、これは簡単でけつこうでございますが、十九国会でお約束の陶器用の金液の問題はどのように相なつておりまするか。
  74. 川上為治

    川上説明員 原油及び重油の関税の問題につきましては、この委員会におきましてはこの前の国会におきましてこれをかけるようにというような決議をされたのですが、やはりこれはほかの、たとえば大蔵委員会、農林委員会その他いろいろな関係から、本年度におきましてはかけない、すなわち延期するということに相なつておるわけでございます。理由といたしましては、今これにかけますと、たとえば水産業関係でありますとかあるいは運輸業関係でありますとか、そうした方面に対しましてやはりある程度影響があるから、もう少しその辺の事情をよく見きわめた上でというようなふうに私は承つております。私の個人的な意見を申し上げるのはどうかと思うのですが、私の個人的な意見としましては、大体一割ということになつておりますので、一割程度の関税はこの際かけてもさほど大きな影響はないのじやないかというようなふうに考えまして、実はこれにつきましては関係方面にはいろいろ進言もいたしておるわけでございます。ただ、非常にその影響があります水産業とかあるいは運輸業とかいうような方面につきましては、戦争前ですかやりましたいわゆる戻税制度というものができないものだろうかということをいろいろ研究しておるのですが、なかなかこれはむずかしいというふうにも聞いておりますので、この問題につきましては早急にさらに研究をいたしたいと思います。私としましてはこの税金をとりまして、そうしてたとえば石油資源の開発方面にその金がまわされるとか、あるいは石炭縦坑開鑿方面にまわされるということであるならば、これは若干とつてもかえつていいのではないかというような気持も持つておりますので、この点についてはもう一ぺん通産省内部におきましても早急に相談いたしまして、善処したいというふうに考えております。  それから金液の輸入の問題につきましては、先ほどこの委員会におきまして始関委員の方から御質問があつてお答え申し上げたのですが、これは私の方としましては、いわゆる行政指導によりまして、金の鉱山業者に対しまして、市場価格よりも特別な方面に対して安く売れというような行政指導はなかなかむずかしい問題であり、非常に困難をきわめておるということは加藤委員に対しましてもいつか申し上げましたので、できればひとつそれは金液を輸入してもらいたい、あるいはまた金地金を輸入してもらいたいというようなことに先般なりまして、それを大蔵省その他方面といろいろ相談をいたしたのでありますが、やはり大蔵省の関係としましては、地金を入れることは非常に困る、やはり国産を極力使うべきである、それから金液についても入れることは非常に困る、やはり国産を使うべきであるという観点に立ちまして、この輸入問題はそのままになりました。そのかわりに国内で政府が買い上げております金をもう少し少くして、そうしてその分のうちから、現在の五百十五円とかあるいは三十円というような価格よりももつと安い価格で陶磁器業者に出した方がよくはないかという話合いになりまして、これは鉱山業者の方にも十分了解を求めまして、キロ数はちよつと忘れましたが、大体四百幾らと思うのです、全体のうちの相当部分と思うのですが、その部分につきましては四百二十五円とか二十円とか、十五円とか、その辺の価格の問題が今若干問題になつておりまして、これも一両日中に話がつくと思うのであります。そういう程度でひとつ販売をしようじやないかというようになりまして、陶磁器業者及び鉱山業者の方でも大体これは了承しているのではないかと考えておりますが、われわれの方で中に入りまして、そういう措置をとつて陶磁器業者の輸出振興に資したいということで現在やつております。
  75. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 国内の一部の業者にだけ特別価格で渡すことの困難なことは私もよく承知いたしておりますが、しかしこれは金管理法を通します折に満場一致の附帯決議がついておりまして、輸出用のものには値上げをしないということであの金管理法は通つておるはずでございます。何もむずかしいことはない、法律通りを実行していただければ文句はないのであります。業者も困らないということでございまするので、この問題についてはすみやかな解決方をお願いしたいわけであります。  次に、やはり項目だけ申し上げますと、聞き違い、勘違いがあるといけませんのでちよつと説明を加えますが、時計の輸入の問題についてお尋ねしたいと存じます。今年度の時計の外貨の割当が上期にはなかつたようでございます。それと同時に一時やみ輸入が減少しておりましたにもかかわりませず、日を追うて目下の状態ではやみ輸入がふえているようであります。去年東京の税関であげられたやみ時計だけでも六十億に達しておるようであります。きようこのごろは七、八億から十億くらい、月々やみ輸入が行われているようでございますが、これについて政府としては一体どのような見解をとつておられますか。これに対する対策はいかがでございますか。特に私がここで申し上げなければならない点は、時計につきましては、御承知通り内地の生産が内地の需要に匹敵していないということなんです。年間三十万個不足しているということは、政府の統計に現われている。その上なお技術的にずいぶん遅れている。こういうことで、時計を輸入しなければならぬという理由は完備しているにもかかわりませず、それが行われない。従つて正式ルートを通らずにやみ輸入が行われる。店に並べるものがなくなるから、正直に店舗を張つている業界までがついにやみにたよらなければならないということに相なりまして、ますますやみを助長しているという状況でございますが、これに対して一体どうなさろうしていらつしやるか。  次にお尋ねしたい点は、先般横浜でこのやみ輸入の時計を税関が一般に販売した問題がございまして、これが全国の時計業界に大きな衝撃を与えたことはよく御存じ通りでございます。この問題についても、実は詳細申し上げたいのでございますが、時間がございません。一体何がゆえにあのようなことをおやりになるのか。時計の業界は首をくくつて死んでもいいというお考えなのか。正式輸入をされないやみであがつたものは、米でもさようでございますけれども、必ず正式ルートに流されるのが定石のようでございます。ところが税関が売手になつて、保証金もとらずに一般民間に売り出した。こういうことは一層疑惑の種をまき、業界に大きな混乱を生ぜしめるもとになる。正直に店舗を張つている業界までがやみに追いやられて行くという結果になつておるようでございますが、これに対して一体大蔵省としてはどのようにお考えでございますか。
  76. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それは書画で回答したいそうですから……。
  77. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 委員長の仰せに従いまして、書面で答弁していただけばけつこうであります。  では次に、維繊品の輸出振興策についてお尋ねしたいのでございますが、まず第一は、金融引締めから生じますところの倒産が、業界ではあちらでもこちらでも出ておりますけれども、何と申しましても維繊業界が一番ひどいようであります。かく申し上げております私も、先般ものの間違いでバランス・シート一億二千万円で一つの会社を倒しました。これは何も政府が悪いとは思いません。私どもの経営が悪かつたからああいうことになつたのだろうと思いますが、業界一般は必ずしもそうは考えておりません。一体これに対してどういう対策を立てられますか。  それから、ここから生じますやむを得ざるに出た首切り、その失業者、これから社会不安が醸成されております。詳しく申上げたいのですが、おわかりでございましようから略しますが、これに対する緊急対策としてどのような手を打たれようとしていらつしやるか。  次に、近江絹糸の問題ですが、近江絹糸の輸出実績、紡機の設備台数、今年度外貨割当の金額、これに対する将来の態度。  次には、政府は、コスト引下げれば輸出ができる、輸出振興にはコスト引下げなければならない、従つてデフレ政策だ、こういうことでございましたが、今日まで値段が一番下つたといわれておるのは、先ほども他の委員からお話がありましたように、糸へんであろうと存じますが、コストが安くなつたからと言つて必ずしも輸出が進展して行くとは考えられない。輸出の伸張は、コスト引下げではなくして価格の安定にあると思いますが、この価格の安定策について一体どのようにお考えになつていらつしやいますか。今日糸へんの値段が下つた下つたと言いますけれども、それは原価計算上のいわゆる生産費が安くなつたのではなくて、販売の価格が安くなつただけでございます。これはやがて出血作業になり、出血輸出となり、これのしわ寄せが紡毛カルテルを結んでくれとか、あるいは政府買上げ機関をつくつてくれ、こういうことになつて、結局天に向つてつばを吐いたような結果がここに生じて来ておりますが、これに対して一体どうなさろうとしていらつしやいますか。ことに価格安定策についてお尋ねをするわけであります。  次には、日英会談から生じますところの毛製品の輸入の利益、これを一体いかほどに見積つていらつしやいますか。十六国会におきましてはこれを十億と見積つておられる。それを総花的に繊維輸出振興の費用に使おう、あるいはジエトロに持つて行こうとかいうようなお考があつたようでありますが、今日日本の毛製品がこれほど値下りしたということから考えますと、十九国会において私が述べた通りの結果が生じておる。利益はその十分の一も考えられない。このときにあたつても、なおその利益をしぼり上げてジエトロに持つて行こうとしておられるのでございますか。もしそれ、そのようなことをなされば、輸出振興は総花的にやつたということで、事務当局としてはある程度の非難は免れるかもしれませんけれども、繊維製品の輸出の成績を上げるということにおいては何らプラスにならない。乏しい資金であるならばまとめて一箇所に集中してこそ実績が上ると考えておりますけれども、それが過去においてとられた政策のほとんどが、その場のがれのために、あるいは行政上の非難をこうむらないための措置であるのか、ことごとくこれが総花的に行われているために、ほとんど見るべき効果が上つていない。もしそれ毛製品に効果が上つたとするならば、それは輸出商社が自分の利益を輸出伸張のために投入し、利益以上の資金をここに投入したからこそああいう実績が上つたわけでございます。二百万ドルから一躍千七百万ドルに上昇しておりますけれども、これは必ずしも政府政策だけではございません。これにつきましてこの市場を将来も確保し、一層進展させなければ、政府のいうところのことしの四千二百万ドルの輸出伸張はできないと考えまするが、これに対して一体どのような施策をとられまするか。すでにこの問題は牛場通商局長が日英会談を終つて参りましてからまさに半年にもなんなんとしておりますが、いまだにこれが結着を見ておりません。一体政府は何をやつておるかと業界からは非難の声が上つておりますけれども、これに対してどのような早急的な対策を打たれようとしていらつしやいますか、お尋ねしようとするわけであります。  最後に、輸出振興によつて外貨を獲得するには、何と申しましても原材料を内地でまかなえるものでなければなりませんけれども、繊維にこれを求めるならば、当然これは合成繊維といわざるを得ないのであります。ところがこの合成繊維は、日本においては御承知通り染色整理もいまだその緒についたばかりのうちに、すでにアメリカにおいてはデユポン社が絹を上まわつたあの絹の代用品としてナイロンを発明されたのでございますが、今日では毛製品を上まわつたところの代用の糸が考えられているようであります。すでにこれが市販に移されているようです。コダツク社のクローム・スパンは、御承知通り、溶液のうちから染色ができるように相なつておるようでございます。こういうことに対して軽工業局長繊維局長等から合成繊維に対する日本の五箇年計画の進捗の程度、それからこれにまつわるところの輸出振興策、これに対するコスト等々承りたいのでございまするが、特に輸出振興にあたつては何と申しましても化繊においてはコスト高と染色整理とが難点のようでございますために、毛の代用品にナイロンを使え使えとおつしやいましても、これが毛と同じような値段、いやそれ以上の値段であつた場合には、結局政府の施策によつてこれを買わされた製品を使つたところの機場がしわ寄せを受けて困つているという状況でございます。なぜかならば、その理由を申し上げたいのですが、時間がございませんし、あなたの方がよく御存じのことと存じます。結局こういうことですベての政策のしわ寄せが業界に参りまして、今倒産続出、こういうことに相なつておるようでございまするが、これに対してすみやかなる施策を施して救う気があるのかないのか。やはり倒れて行つてもしかたがないのか、あるいはしかたがないのじやなくて、首をくくつて死んでもやむを得ぬとおつしやるのか。ここらあたりをきようここで答弁ができなければ、書面をもつてしていただければけつこうでございます。
  78. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ただいまの加藤君の質問に対しましては、一週間以内に政府から御答弁を願います。  それでは本日はこの程度にいたし、次会の予定は九月十三日、十四日といたしておきます。  これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会