○古池
政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘になりましたように現在の
日本の経済は国際経済の間におきましてきわめて苦難の道を歩んでおり、特に昨今は非常な苦境に立
つているということは御説の通りだと存じます。
従つてわれわれはあらゆる手段を講じてこの苦難をいち早く乗り切ることに最大の努力を傾注して行かなくちやならぬ、かように覚悟しているのであります。そこでこの
電気事業の問題でありますが、仰せの通り
電気事業は自然的にきわめて独占性の強い事業であります。
従つて法律上もこれに対して
相当な独占性を与えている。国としましても
相当特別な義務を課すと同時に、また特別な保護監督もいたしている。しかもその性質からいいますと、きわめて公共性の高い事業である。
一般国民生活の上に大きな
影響を持つ事業であると同時に、また
産業の発展という面からいいましても、あらゆる
産業の原動力となり、あるいは場合によ
つては原料的な役割も果す、こういう点からいえば最も基幹的な
産業の
一つであると申して過言でなかろうと思うのであります。
従つてこの
電気事業をいかにして健全に発達させるか、しかもまた一面他の
産業なりわれわれ
一般国民の日常生活の上に及ぼす
影響を考慮いたしました場合に、これらの間にきわめて妥当な公正な調整をはか
つて行かなければならぬということもまさにお説の通りと
考えております。そこで先ほど来株式の問題も
お話がございましたが、従来御
承知のように
電気事業の株というものはきわめて安全ないわゆる
投資株として国民の間に愛されてお
つたのであります。むろん
電気事業の株というものは投機の対象となすべきものではなく、また株価の高下によ
つて利益を追求しようという場合の対象となるべき性質のものでもない。あくまで安全なる
投資株、
資産株として国民がこれを盛り立てて行かなければならない性質のものであろうと
考えるのであります。従いましてその
配当等につきましても決して高い
配当が好ましいわけではなく、できる限り安定した株価を維持し、しかもこれが公益事業としてそのときの経済
情勢に応じて、最も妥当と
考えられるような水準を維持して行く、これが必要ではなかろうかと思うのであります。特に
電気事業の特質の
一つとしましては、他の
産業に比べまして格段の非常に大きな固定
資産を必要としておる。すなわち資本を固定させる大きな特徴を持
つておるのでありますから、
従つて株式なりあるいは資本の問題というものは
相当に重要視して
考えねばならぬと思
つておるのであります。
そこで
電気料金の問題でございますが、われわれは何も
電気事業会社の
利益をどうこうということは毛頭
考えておりません。しかし先ほど申し上げましたように、国として最も基幹的な
産業であり、どうしてもこれを健全に育成して行くという必要は、これはどなたもお認めにな
つておるだろうと思います。その上から必要なる
程度の収入は確保して行くべきである。しかもその収入たるや国民生活なり他の
産業との
関係におきまして、適当な調整をはかりつつ、これを
考えてやるということは
政府としても必要な対策ではなかろうかと思
つておるのであります。現実の問題にな
つております当面の
電気料金改訂の問題につきましては、目下
事務当局の方で詳細なる
検討を加えつつあるわけでありまして、まだこれをどうするかというところまで来ておりません。実際の
段階はさようであります。しかしこの問題はあくまで科学的に
数字的に
検討して、結果としては最も妥当なる客観性のある結果をもたらして行くべきである、かように
考え、またその信念のもとに今後も
電気事業に対する諸施策を実行して行きたいと
考えております。