○
栗原参考人 お答え申し上げます。
採取の方法と駅までの小
運搬の経費、それから
あとは貨車に積み込んで貨車輸送、この三つにわけて
埼玉県の場合を申し上げます。これは、御
参考までに申し上げますが、
埼玉の各
河川における
砂利の層は非常に枯渇しております。先ほ
ども御
意見がありましたが、入間川等は特にそうであります。と申しますのは、何と申しましても
埼玉は東京都、
京浜地区に近い
関係上、今から数十年前に
砂利事業が始められました。特に大震災直後の
埼玉から東京都に運ばれた
砂利、砂の量は莫大に上
つておるわけであります。さらに戦後もそうでございますが、いずれにいたしましても東京都を中心としたところの
埼玉、神奈川、これらの
河川はおそらく今の建築なり何なりの
規格に合う
砂利はなくな
つて、
規格に合わない、いわゆるいらない捨てたものが残
つておるというような
状況じやないかと思います。
従つて埼玉に関する限り非常に
生産費がかさんで参
つておるわけであります。たとえば船でとる場合の例を申し上げますと、一日百トンとるという場合には、実際に
規格に合
つた砂利は二五%くらいじやないか。場所によ
つては三〇%のところもございます。
従つて動力その他を使
つて百上げて商品価値のあるものは二五%、こういう
関係にな
つて来るわけです。ですから非常にコストは高くな
つております。コストは高いが、とにかく東京までの運賃が非常に安い
関係上、どうやら息をついておるというような
実情でございます。ただいま私のところで調査いたしました結果を申しますと、これは設備によ
つても非常に違います。船で取
つておる場合、それから最近流行しております
採取機で取
つておる場合、それから人力で取
つておる場合、これはそれぞれコストは違うわけでございますが、やはり生産を高めるためには
機械力に依存する以外にはないわけでございますが、コストの面を考えますと、比較的人力で取
つたのが安いわけでありまして、これは機械の償却その他がございまんので非常に人力のところが安くあがる。大体私のところで船で取る場合には、十トン当りで、
採取だけで船の償却その他を見ましても、千五百円ないし二千円でございます。というのはこまかいものを取れば取るほど量が少くなりますから二千円以上になるかもしれません。それから荒つぽい
砂利だとか
道路にまくようなものを取る場合には、これは生産量が多いですからコストは安くなる、こういう
関係にな
つておりまして、これはただいまデータを持
つておりませんので具体的には申し上げられませんが、大体そういうことにな
つております。
それから駅までの小
運搬でございます。これがまた問題でございます。いろいろ先ほどお話がありましたが、大体
砂利事業をや
つておるのは採算可能なところで
業者の方もだれもかれもや
つておるわけです。
従つて積み出す駅の最も近いところ、小
運搬の便利なところに
事業を
開始するわけです。小
運搬の便利なところの
採取許可をとるわけですから、私の方のように駅に近いところはだんだん取り尽した。
従つて駅に相当遠い、二キロあるいは三キロというように
採取する機械をだんだん移動して行かなければならぬということにな
つておる。小
運搬の費用が非常にかさんで来るわけであります。ですからこの小
運搬の費用が千円ないし千二百円くらいはかかる。それで駅まで持
つて来るわけです。駅でさらにこれを貨車積みにして東京に出しますと、私の方の県から東京までの運賃が平均いたしまして二千五百円くらいということになるわけです。これが実際にかかる費用ということになるのです。それにいろいろ用地を借りておるとか、そのほかいろいろな
関係の費用がかかるわけです。それらを換算いたしますと、東京まで持ち出すのは莫大な経費経費にな
つてしまう、こういう
実情にな
つております。
これは御
参考までに申し上げますが、だんだん駅に便利なところはとり尽して遠くなる。
従つて遠いところはだれも取らないわけです。ここには
砂利が堆積しておる。これは治水上はと
つた方がいいという
砂利がたくさんあるわけです。取りいいところは川の底まで掘
つてしまう。それから取
つたかすは捨てつぱなしにしてしまう。ところが取りにくいところはだれも取らぬから
水利上は
河川改修その他どうしても国なり何なりが経費を投じても取らなければならぬというところは、これはだれも
営業としてはとらないわけです。
従つてそういうところをどうして行くかということを国なり県なりに考えていただかなければならぬ。それがあるために非常に治水に
支障を来すということが往々にしてあるわけです。ですから駅に近いところですでに
採取を終
つたところは制限し、今後取
つてもいいという場所についてはさらに奨励策を講じていただく必要があるんじやないかと私は考えるのであります。御
参考までに申し上げた次第であります。