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加藤(清)
委員 私はあと三問で終る予定でございます。三問で鐘でございますから、どうぞお願いいたします。簡単にお答え願
つてけつこうであります。ただいまの
繊維局長のお答えはしごくごもつともでございまして、その
通りでございます。私はそれをどうこう言うわけではないが、悲しいことに今のお答えはその
通りではありますが、それは平均値を
考えていらつしやるのであ
つて、
個々を尋ねてみますと、遺憾なことに必ずしもさ
ようではございません。たとえば手持の問題を例にとりましてもそうでございますが、毛に例をとれば、日毛のごときは半年以上の手持を持
つております。ところが新しい
紡績のごときはせいぜい二、三箇月、だから
原毛までも上場してもらいたいという
ようなことを言いかけておるところがあるわけなんです。そこで問題はどういうことかと申しますと、
割当基準がミル換算の錘の
おかげで多く
割当てられたところは、これをうまくあんばいすることができますが、小さな
紡績においてはそれをすることができません。一月、二月の
材料を持
つたくらいでは先行き不安なんです。織場もしかりでございます。先行き不安は一体この三品
市場にどういう
影響を及ぼすかといえば、ここに過当の
取引、思惑の
取引を一層倍加するという結果になり、やがては操業短縮となり、それはやがてここに働く
方々の首切りの前提条件に相な
つて来、ここで生産されたものの
取引は織場ないしは糸商に向
つて手形の短縮を要求することに相なりまして、緊縮で締められ、金融引締めで攻められている
商社や織場の連中がさなきだに苦しんでいるのに、これで苦しめられた日には、一層ここを倒産に追いやるという結果に相なりまして、大紡だけはぬくぬくと行けるけれども、新紡、新々紡は倒産のうき目にあいこことの
取引をしているものは、日々不安の状態になり、不安はやがて
業界の萎縮ということにな
つて、社会不安をかもし出していることは、次官さんもよく御存じのところでございます。これをどうするかということが目下の急務ではないかと
考えるのでございますが、この点を次官にお尋ねするわけでございます。
引続いて同じ問題で、
紡績は二百三十万錘にふえたと申しましたけれども、これは
政府がこれに
外貨を
割当てるという利点があればこそ、二百三十万錘というておるのでございますが、この錘は内訳を調べてみますと、悲しいことに、毛紡の錘ではなくて、麻紡から切りかえたり、絹紡から切りかえて、ろくな糸はできないけれども、
外貨をもらいたいがゆえに、幽霊人口ということに相な
つておりますが、そういう錘が私の
調査によりますれば、少くとも五十万錘余はあります。何紡と
指摘せよとおつしやいますれば、何紡に何錘というてもよろしゆうございますが、これは大紡に多い
ようでございます。これも
ほんとうに糸の引ける錘と同じ
ように
外貨ないしは
原毛を
割当て
ようとなさ
つていらつしやるのか、これについては何かの
研究が進められていて、
ほんとうに幽霊ではない、糸を使
つて十分
輸出にも向ける
ようなりつぱな糸の引けるところへのみ
割当て
ようとなさるのか、この点をお尋ねするわけでございます。
引続きまして同じ問題で、
政府は濠州のメリノを遠慮して南米羊毛に切りかえ、その量を大分ふやしていらつしやる
ようですが、これは一体
原因が那辺にあるのか、
政府の計算に上りますと、南米羊毛は二百二十ドル、濠州は平均で二百五十ドルと換算していらつしやる
ようでありますが、実質におきましては南米羊毛はさにあらずで、去年でさえもこれよりも一割五分以上の高値で買
つておられる
ようでございます。なぜ質の悪いものをあえて高値で買わなければならないのか、これが
業界に及ぼす
影響また甚大であります。南米羊毛になれていない
紡績に、いい糸を引けと言うて南米羊毛を
割当てられても、これは
業界が困るだけなんです。端的に例を引けば、米が足りないからというて麦を入れて、その
輸入した麦によ
つてお酒をつくる米のかわりにしろと言
つたつて、麦からお酒はできません。
輸出振興を叫ばれますやさき、どうしても
輸出振興には品質のよきものを選ばなければなりませんが、悪い
材料を与えてよき品質のものをつくれと言うてもこれはちよつと無理だと思うのでありますが、この辺のいきさつは一体どの
ように相な
つておりますか、以上は
繊維局長にお尋ねするわけでございます。