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1954-03-29 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十九日(月曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 福田  一君    理事 永井勝次郎君       小金 義照君    始関 伊平君       田中 龍夫君    土倉 宗明君       村上  勇君    齋藤 憲三君       長谷川四郎君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       伊藤卯四郎君    中崎  敏君  出席政府委員         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局ガ         ス課長)    吉田  剛君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月二十九日  委員笹本一雄君辞任につき、その補欠として齋  藤憲三君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十六日  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第七七号)(参議院送付)  技術士法案海野三朗君外十四名提出参法第  七号)(予) の審査を本委員会に付託された。 同月二十六日  中小企業金融機関に対し国県財政資金導入の陳  情書(第二四三  九号)  中小企業に対する金融等に関する陳情書  (第二四四〇号)  同  (第二四四一号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (  第二四四二号)  同(第二  四四三号)  同(第二四四四  号)  同(第二四四五  号) 同月二十七日  北洋材輸入に関する陳情書  (第二五二一号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第二五二二号)  同  (第二五二三号)  中小企業金融公庫運営改善に関する陳情書  (第二五七〇  号)  電気事業法に関する陳情書  (第二五七一号)  電気事業法制定に伴う電気事業者兼業投資に  関する陳情書  (第二五七二号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第二五七  三号)  同(第二五  七四号)  同(第二五七  五号)  同  (第二五七  六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ガス事業法案内閣提出第一号)     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議開きます。  まずガス事業法案を議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 お尋ねいたしますが、現在ガス事業工作物帳簿価格は再建設費に対してどの程度になつておるのか、この点をお伺いします。
  4. 中島征帆

    中島政府委員 再建設費帳簿価格の九倍くらいになります。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると帳簿価格は再建設費の九分の一になつておる、逆に言えばそういうことですか。
  6. 中島征帆

    中島政府委員 そうです。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 それから第三次の資産再評価についてどういう指導方針をとつておられますか。
  8. 中島征帆

    中島政府委員 電気ガス事業ごと公益事業につきましては、再評価限度額のほとんど一ぱいくらいまでやらせる方針を私どもはとつております。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 その時期の目標は……。
  10. 中島征帆

    中島政府委員 すでにやつたところもございますけれども、今後につきましてはできるだけ早い機会にそこまで持つて行くように指導いたしたいと思います。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 減価償却実情について伺いたいと思います。
  12. 中島征帆

    中島政府委員 税法上の償却やり方定率法でございますが、実際上におきましては定額が普通でございます。余力のあるところは定率でやつているところもあります。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 ガス工作物平均減価償却率は、帳簿原価の何年償却になつておりますか。
  14. 中島征帆

    中島政府委員 設備の個々によつて違いますが、全体平均して二十年になつております。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 ガス事業者の大企業の面においては、無償増資をやつておるようでありますが、この無償増資状況、これに対してどういうふうに考えておるか、これをお伺いいたします。
  16. 中島征帆

    中島政府委員 無償増資はその会社実情に応じてある程度認めておりますが、これは配当率と今後の増資のもくろみに従いまして必要な増資ができるように、抱き合せの無償を現在まで行つておるところがあります。今後におきましてもそういう見通しを立てました上で、やむを得ない場合におきましては増資を認めるつもりでございます。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 従来の公企業法と比較しまして、この法案においては聴聞制度が大きく改革されておるのでありますが、それはどういう趣旨に基くのか。従来のやり方に欠陥があつて、それを補正するような立場においてこういう措置がとられたのであるか、その点をお伺いします。
  18. 中島征帆

    中島政府委員 従来の聴聞制度は非常に多岐にわたりまして、ほんのささいな内容変更等につきましても一々聴聞にかけておりましたが、そのためにいたずらに事務の煩瑣を来すような結果に相なりまして、それに対しましてそれほどの実績も上らぬ、こういうふうな実情でありましたので、今回は実質を十分に検討いたしまして、必要なものについてだけ最小限度聴聞を行う。今度は聴聞のほかに公聴会制度というものも置きまして、いわゆる一般利害関係人のみならず、他の全般関係するようなことにつきましては、公聴会によつて全体の意見を聞く、こういうふうな制度をつくりまして公聴会聴聞と二つにわけて一般意見を徴する、こういうふうにいたしたのでございます。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 公聴会制度運営面において、ただ開いてみんなの意見を聞きおくという程度で、たとえば議会における参考人意見、いろいろな諮問機関における制度というものは、そういうものを聞いて民主的にきめたという手続をとるだけで、内容には全然織り込まれておらない、こういう実情であります。この法において私企業の性格を置きながら、公企業実績を上げて行こうという一つの行き方のもとにおいては、公聴会などはその運営の面において相当高いウエートを置かなければいけないと考えるのでありますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  20. 中島征帆

    中島政府委員 従来におきましても、たとえば聴聞制度等を置きます以上は、やはりその結果は十分尊重しなければならぬことになるわけでありますが、先ほど申しましたように、その聴聞内容がきわめてこまかい点が多かつた関係上、ほとんど形式的に流れたというようなきらいがございましたが、しかし少くとも供給規程でありますとか、料金の問題でありますとか、こういう一般関係するところの非常に大きな問題につきましては、十分その間の意見を尊重いたしまして、最後の結論を出すということにいたしますのは従来も今後もかわりないわけであります。特に公益事業委員会から、通産省の公益事業監督事務が移りました以後におきましては、そういう方針で臨んでおりますが、今後におきましても、一層公聴会あるいは聴聞におきまする全般意見というものは十分検討いたしまして、これをその後の結論を出す場合の参考にいたしたい、こういうふうに考えております。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 適正なガス検査を行うことになつておるのでありますが、どういう方法検査を行うのか。正確に供給者立場監督官庁がこれを需用者に保障する、そういう用意があるのか、これを伺いたい。
  22. 中島征帆

    中島政府委員 熱量及び圧力測定器具を今度新たに二十一条で定めておりますが、これは現在でもこういうものにつきましては一定の測量の設備を置きまして、特に大会社等におきましては、自動的にこれが自記されるようなことになつております。また熱量につきましては、一定の時間ごとに数をとりましてこれをはかるということをいたしまして、これを毎日記録するということをいたしております。その結果は必ず記録しておかなければならない、こういう法律上の規定がございますので、これは一般に積極的に公示はされませんけれども、常に帳簿は備わつておりますから、需用家として必要な場合にはこれを見に行くこともできますし、また監督官庁といたしましては、適時これを検査いたしまして、その熱量圧力が守られておるかどうかということを検査することができるわけでありますから、こういう面から需用家利益というものは十分保障をされる態勢ができておると思うのであります。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 検査の方はほとんど会社に一任しておるとい方式をとつておるのではないか。会社が適正にそういうことをやつておるかどうかということについては、監督官庁である当局が第三者としてそれを吟味し、これを正確にしなければいかぬ。それを供給者である会社にそういうことを全部まかしておいて、ただ行つてみるということだけにしておるようでありますが、それで検査の実が上るとお考えになつておるかどうか。
  24. 中島征帆

    中島政府委員 本来ならばこういうものは監督官庁が全部検査をするというのがあるいは筋かもしれないと思うのでありますが、それをいたしますと非常に手数も金もかかりますし、陣容等もまた整備しなければならぬこともありますので、原則的には会社の方の技術を信用いたしまして、一応これにゆだねるという方針をとつておるわけであります。大体こういうものに従事をいたします職員は、たとえば会社職員でありましても、技術的な良心からいたしまして事実を曲げるということはいたさないのが普通でありますが、しかしもしこの測定方法あるいは記録の方法等につきまして多少疑義がある場合におきましては、むろん適当なときにおきまして官庁からも立会検査するとか、あるいはみずから測定器を持つて行つてはかつてみるというようなことは、従来もたまにやつておりましたが、今後もときにおいてはいたさなければならぬと思つております。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 これは小さいことでありますが、監督官庁としての当局検査についての旅費等は、その関係に振り向けるものとしてどのくらいになつておりますか。
  26. 中島征帆

    中島政府委員 特に測定に関する旅費等はございませんが、全般的に会計あるいはこういう技術会社も含めました業務監査として、月二十万円ほどの予算を組んでおります。これをそのときどきに応じまして、あるいは会計重点を置きますとか、あるいはこういつたような測定管理重点を置くとかいうことにいたしまして、遺憾なきを期したいと思つております。
  27. 永井勝次郎

    永井委員 異種料金は今後もずつと存置する考えであるかどうか、廃止するお考えはないか。
  28. 中島征帆

    中島政府委員 異種料金と申しますと、使用量に応じて料金の段階的な区分が今ございますが、これは今後においてもやはり維持して行くのが適当であろうと考えております。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 異種料金の認定の基準は大体原価計算においてどのくらいの差額があるものを異種料金として認めるか、大体の基準があると思いますが、それを承りたい。
  30. 中島征帆

    中島政府委員 これは大きな会社と小さな会社と違いますが、大きな会社におきましては非常に大きな需用家もございますので、たくさん使う場合の割引料金をきめております。その一番大きな開きをとりました場合には、安いところと高いところの開きが大体二五%ぐらいであります。量的には、一般の一番高いところが大体月五〇立米ぐらいでありますが、それ以上だんたん逓減になりまして、二五%ぐらいのマイナスになるところが月十万立米以上で、これが最大の割引を受けるわけであります。それが一番安くなつて、大体二五%安くなるということであります。
  31. 永井勝次郎

    永井委員 異種料金のところを見ますと、あるところは高いところもあるし、ある会社によつては安いところもある。まちまちなんですが、供給状況及び需用者の密疎の関係、こういうものと関係なく、その会社の都合で何か異種料金が政策的に設けられておるのではないかというふうに考えるのであります。これはまつたく政策的な立場でなしに、原価計算的な立場でこういうものがきめられておるのか、原価計算的な立場でだけこれが吟味されておるとするならば、現在の東京であるとか大阪であるとか、そういつたところの異種料金というものには矛盾があると思いますが、この点いかがでしようか。
  32. 中島征帆

    中島政府委員 同じ供給区域内と申しますか、一つガス業者で地区を異にしますために料率が違うということは現存ないはずであります。むろん会社が違いますと、その会社経理内容あるいは原価等の相違から、たまたま隣りの供給区域と隣り合せておりますために、片方が高い、片方が安いというようなことがあるかもしれませんが、同じ供給区域内にはそういうことはない。すべて一定料率に基いて、使用量に基いてある程度割引がされるというふうに思つております。
  33. 永井勝次郎

    永井委員 ガス料金原価主義によるのか、あるいは会社が主としてそれに政策的な料金を織り込んできめるのか、料金内容あるいはその質的な因子について伺いたい。
  34. 中島征帆

    中島政府委員 これはすべて電気と同様に、料金原価式によつて定められておりまして、十七条の供給規定の原則についてもそれが一部うたわれておりますし、従つて個別の料金もすべて個別の原価に基いて算定される、こういう方針でございます。
  35. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、たとえば石炭価格上り下りというようなもので原価が動いて来ると思いますが、一時的な原料炭価上り下りということは別として、長期にわたつて、たとえば現在のように石炭原価が非常に下つておるというような場合には、原価主義から行きますれば当然料金はかわつて来なければいけない。こういう関係については時期的にどういうふうにこれを取扱い、どういうふうにこれを行政的に処置されておるか、お伺いいたします。
  36. 中島征帆

    中島政府委員 これはもちろんお話の通り原価主義でございますから、かりに石炭費等によりまして原価変動した場合には、変動した原価に応じて料金を改訂するということが筋でございます。ただ御指摘通りに非常に短期な原価変動につきましては、一々これに応じて行くということは適当でないので、ある程度見通しをつけまして、その上で改訂するということが木筋だろうと思います。現在の問題につきましては、現在かなり石炭価格が安くなつておる状況が続いておりますが、一年前には逆にガス事業してはかなり苦しい経営を続けておりましたので、この際一時的に、しばらく炭価が下つたというだげで料金を改訂するということは、適当でないというふうな考え方から現在までに至つておりますが、これはまた今後二十九年度あたりの炭価の趨勢ともにらみ合せて十分検討の上、必要があれば料金を改訂するというのが適当であろうと考えております。
  37. 永井勝次郎

    永井委員 今まで苦しい経営をして来たから、しばらくゆとりが出て来るまでそのままに置くということは、これは原価主義でなくて政策料金だ、こう思うのであります。その意味さつき伺つたのでありますが、原価主義政策料金をある程度加味するのか、まつた原価主義によるのかと伺つたところが、それは原価主義によるのだ、こういうことであります。もしほんとうに純粋に原価主義によつてやるというならば、今言つたように、今まで苦しかつたから、今度はゆとりができたけれどもしばらくそのままに置くんだということは、原価主義ではないと思うのであります。そこで原価主義といいましても、時期的に年度間の何をとるのか、何月何日現在において料金をきめて、その料金は大体どのくらいの期間を持たせるのか、あるいは四半期ごと原価をきめるのか、一年間というような期限をきめてするのか、あるいは三年とか五年とかいう長期にわたつて原価料金を指定するのか、その原価料金内容についてもう少し詳しく伺いたいと思います。
  38. 中島征帆

    中島政府委員 原価計算します場合には、普通はやはり一年の需給と一年間の経費との見通しを立ててやるわけであります。従つて本来からいえば、一年の見通しでつくつた原価というものは、一年経過後においては再検討するのが当然でございます。またそうでなくても、たとえば一年の原価算定いたしましても、その途中におきまして非常に大きな原価上の変化がありました場合には、その際また検討し直すということも必要であります。またその逆におきましては、一応一年を算定基準にいたしましても、大体情勢がかわらない場合におきましては、そのまま二年、三年と持つて行くということも可能なわけでありまして、一応の計算基礎は一年あるいは二年ということもあり得ますけれども、そうかといつてその期限を常に守りまして、そのときでなければこの料金の再計管はできないという性質のものではなかろうかと思います。ただできるだけ料金は、あまり変動がないのが望ましいわけでありますので、従つてきわめて一時的な原価変動は、あまりそれに拘泥するのは適当でないのじやないか。従つて全体的にいいますと、なるだけ長い目でもつて原価が安定するようにというふうなことを考えますと、先ほど御指摘の点でございますけれども、過去の赤字なり何なりを現在の黒字で埋めるとか、あるいは将来当然にまた原価の高騰が予想されます場合には、現在の多少良好な経営をそのまま維持させることによつて、将来の値上りを押えるということも一つ方法でありましようから、これはそのときに応じまして、少い幅広く考える必要もあろうかと思います。
  39. 永井勝次郎

    永井委員 どうもガスの場合における料金算出基礎が、単純過ぎないか。われわれも、こういう公企業ものの料金は、安定性を持たなければいけないと思う。今年はこのくらいしたが、来年はこのくらいになるのだというように、毎年動くものであつてはならない。しかし主として原価因子に響く石炭価格あるいは油の価格というものは、やはり相半変動がある。こういう変動のある原料基礎にして、統一料金、安定したガス料金というものを考えて、安定させて行くというような場合は、やはりその年その年における一つ原価主義による料金をきめて行くというような考え方は、少し単純過ぎはしないか。もうかつたときにはそのもうかつたものをチエツクしておいて、あるいは値上りした場合の準備金にそれを積み立てておくとか、システムとして、原価主義によるところの料金安定性をはかるシステム考えるべきじやないか。そういうものを考えないで、ただ原料上り下りにまかしておく、料金だけは安定させて行きたい、こういう期待とは矛盾して来るのではないか。その点について、もうかつた場合における積立金というようなもの、そういうものを電気の場合におけるように、農水のときにおける浮き上つた石炭を、これを調整の方に留保して積み立てておくというような、そうした措置をとるお考えはないか。
  40. 中島征帆

    中島政府委員 ただいまの点はまことにごもつともでありまして、われわれもそういうことが基本的には必要じやなかろうかと考えるわけであります。ただそれがはなはだ技術的にむずかしい点がございます。御承知のように、電気におきましては、いわゆる豊渇水に基きます利益損失とが、これは渇水準備金でもつてある程度吸収してプールする、こういう制度がとられておりますが、同じく電気生産原価に大きく響きます石炭値上りの問題は、これはそういう一準備金制度をとりませんで、人口電力に対してのみ、いわゆる石炭費調整として、石炭費の高低に応じて電力料金を上下いたしていることがあるわけであります。従つて石炭価格に関する限りは、電気におきましても必ずしも理論的に、きわめてすつきりとした形をとられておらないということが言えるのでありますが、ガスの場合においては、そういう制度も現在ございません。ガスの場合におきましては、前にも御説明したかと思うのでありますが、炭価動きというものとガス副産物であるコークスの働きというものが、大体においてある程度並行して動く、こういうことが大勢論としては言えるのであります。従つて石炭が下る場合には、その副産物コークスも下るということによつて石炭費の値下がりの利益というものはある程度相殺されてしまう。上る場合にはコークスも上るために、そこで損失がある程度カバーされる。こういうふうな傾向にございますので、ある程度そういうふうな自動的な調節にゆだねまして、特に炭価というものを取上げて、これに応じて料金あるいは準備金制度でもつて調整するという措置考えておらないわけであります。しかし将来の問題といたしまして、そういうふうな炭価動きをキヤツチいたしまして、何らかプールをいたしますとか、あるいは消費者に還元するとかいうような制度が、もし合理的にかつきわめて簡単にできますならば採用していいじやないか、今までのところ、まだそこまではつきりした革新のある方法をわれわれつかんでおりませんので、現在ただちにそういう方法を実施することはできかねますけれども、将来もしそういつたようなことができましたならば、ガス事業としましても採用して、石炭価格の上下によつて来る原価変動というものをそこに吸収して、料金そのものを安定するということがもつともよろしいかと思うのであります。
  41. 永井勝次郎

    永井委員 炭価に比例してコークス価格が動く、従つてそう影響はない。こういうことでありますが、コークスは、資料によると四割で、六割はガスの方の分担になつて来るわけであります。その四割のコークスは、これはガス会社関係のものじやない。原価計算には入つて来ない。大体コークスの方は第二会社をつくつて、百パーセントガス会社の重役がその株を持つて、いわばトンネル会社のようになつている。そういう関係を、局長のような答弁でありますと、第二会社も全部含めて、ガス事業から起るいろいろな副産物も全部ひつくるめて、そうして一つ企業としての対象にして行かない限り、そういう合理的な料金算出基礎にはなつて来ないじやないか。法的に、言うならば、ガス料金だけの原価計算であつて副産物については、有権的に包括して計算基礎にして行く根拠にはならないのではないか。どういう法的な根拠によつて第二会社まで、あるいはその他の副産物までも含めて一つ経営体として料金算定基礎にして行くのか。その辺の区分及び総合的な原価算出、行政的にどうなるか、法的にどうなるか、その点を明確に伺いたい。
  42. 中島征帆

    中島政府委員 コークス会社ガス会社が子会社として置きます場合には、仕事の便宜上そういう方法をとつておりますけれども、実際上はガス事業会社コークス売上部門考えてもよろしいのではないかと考えます。小さな会社におきましては、ガス会社自体自分コークスを販売いたしておりますが、大きなガス会社でそこまで手を延ばすのは、少し会社経営を煩繁ならしめるという趣旨で、別会社をつくつておりますけれども、その会社の動かし方は、あくまでトンネル会社と申しますか、販売事務だけをそこでやらせて、その会社には手数料的なものをとらせるというだけにいたしております。たとえばコークス値段等は、市場の情勢に応じて上下いたしますけれども、その場合にはそれによる損失あるいは利益を、コークス会社が積極的に負担するのではなくて、結局においてはガス会社が負担する、つまりガス会社がそのときの市価に応じて、コークス会社に卸します仕切り値を上下する。従つてコークス会社としては、いつも一定手数料をとるという状況が普通でございます。この前申し上げたと思いますが、コークス会社はいずれも配当をいたしておりません。結局親会社ガス会社が、自分で出資したものから配当をとるということで、あまり意味がないので、そういうことはしておりません。結局コークス会社ガス会社コークス販売部門として働いておるという実質を物語るものであります。われわれ監督官庁としては、コークス会社経理内容そのものに直接タッチすることはできないけれども、そういう手数料的な経理会社になつておりますから、その手数料のとり方が多いか少いかという問題はあるとしても、そこで売られるコークスの値段は大体市場の値段を反映し、それがそのまま元のガス会社の方に移つて行くという仕組みになつております。従つて私が申し上げましたように、コークスの値段と石炭の値段の上下が大体並行しているということが、そのままガス会社経理に反映するということにはかわりはないと思います。
  43. 永井勝次郎

    永井委員 大体ガスなり電気なり、その他独占企業は、赤字が出ない範囲において経営の最低の保障をされておる。その最低の保障の上に立つて原料が下つて非常にもうけがあるという場合でも、これは一つ料金安定性ということで、その中で料金を下げようとはしないで、もうけて行く。もし赤字が出るようなときには、国家補償だ、何補償だということで、国家の至れり尽せりの援護のもとに利潤をかせいで来ておる。明治初年以来、ことに民主的な基盤のない日本の経済界においては、独占企業はそういう一つの国家資本と国家の政治権力と、そういうものに守られて安泰な地歩を確立してやつて来て、その中で公企業という名において利潤のはちみつをなめて来ておるのだ。こういうことに対して、今言つたような有権的に検査の対象とならない、帳簿検査その他のできないような、四割に近いような原価の第二会社をそのままにしておいて、六割のガスの面だけで一つ料金算定原価計算をやつて行くということは、組織の上から見ても妥当な組立てではないと考えます。また運営の面から見ても、これが実際の経営の任に当らない、また経営内容が区々であつて、よくわからない官僚が、眼光紙背に徹するような帳薄検査が、妥当にできる能力があるとわれわれは考えないのであります。これは客観的な一つ基準を明確にしておいて、この基準の上に立つて合理的な一つ結論が出るであろう——こういう組織をつくり出すことが、立法機関としてのわれわれの仕事であつて、立法的には不備であるけれども、この不備な点は運営でカバーして行くのだ、人と人の信頼の上に立つてつて行くのだということは妥当なことではないとわれわれは考えるのであります。この点について、この法律通りましたならば、今言つたようガス事業経営については、国民経済的な立場で、妥当に、しかも独占企業の不当な利潤を支持するような形にならないで需用者利益を十分はかつて行けるのだと確信される根拠を明確にしていただきたい、かように思います。
  44. 中島征帆

    中島政府委員 特にコークスの販売に対しましての御意見だと思うのでありますが、先ほども申しましたように、コークス販売会社は、大体ガス事業者の販売部門とみなされるわけであります。それと対立するかつこうにはなり得ないのが普通でございます。しかしガス会社あるいはコークス会社がなれ合いで、ガス事業で出た利益コークス会社の方に隠すというようなことが、かりに起りました場合に、それを発見することができるかどうかという点でございますが、これはもちろんわれわれの監査の上で明らかに現われて来るようになるわけであります。ガス会社コークス会社コークスを卸します場合には、やはりコークスの市価が基準になるわけです。もちろんこれに卸なり元卸なりの手数料を払わなければなりませんから、会社の方からそれだけ安く売るのは当然でございますが、これが市価とかけ離れて、不当に安く売られ、その利益コークス会社の方でとり、そこで積み立てておきますと、明らかに消費者利益を害することになります。しかしその点はコークス会社経営内容に直接タッチいたしませんでも、ガス事業会社で、一般の市価と比べて特に不当に安くあるいは高くコークスを相手方たるコークス会社に売つておるかどうかを監査することによつて、明らかに発見できるわけであります。コークスの市価は明瞭につかまれます。またガス会社が卸します場合のコークスの値段も、帳簿上当然発見できますから、その間にかりに不適当なことがあれば、その監査によつて十分あげることができると思います。
  45. 永井勝次郎

    永井委員 この法文を見ましても、会社の方が正しい経理内容を提示する、それに立つて監督官庁である役所がこれを審査する、こういうわけで、データが正しいものでなければ正しい結論は出て来ないと思うのであります。従来の例から見ても、われわれは会社が必ずしもうそを書かない妥当な資料を出すとは考えられない。営利会社一つの性格として、銀行に出す書類、税務署に出す書類、一般に公開する書類、株主に示す書類というふうに、幾通りものいろいろな資料が用意されることは、われわれは承知いたしておるのであります。そういうような点において、われわれは、今までの公共事業令をこのガス事業法に切りかえて、ガス事業の健全な発展を期待する第一歩の方法としてこれをつくる以上は、従来の企業運営の中において、こういう点が欠陥があつたのだ、こういう点がいげなかつたのだという点を適切に摘出して、それに対する治療方法というものがこの法案の中で出て来ませんと、従来もこうだつたのだからこうなんだというだけですと、少しも事業の改善にはならないと思うのであります。少くとも公企業であるガス需用者にかわつて国が会社に対して監督するのだという以上は、その監督が妥当なものであるという、そういうものをやはり法的に確立して行かなければならぬというふうにわれわれは考えるわけであります。その意味からいつて、ここにあるたとえば虚偽の書類を出しても過料一万円以下であるとか、あるいはいろいろな非常に不当なことをしても罰金三万円以下であるとか、こういうような社会悪に対する罰則というものがこんな軽微なもので、はたして会社が、われわれの期待するような従来のやり方に対する是正の方向に向つて行くかどうか、そういうことに対して疑問を持つのであります。この罰則の中にも、従業員その他に対しては非常に強い罰則規定があります。主任技術者に対しましてはもし間違えば二年間免状を取上げるというような、こういう厳重なものもあるし、また五十三条以下におきましては、懲役五年であるとか三年であるとか、罰金三十万円であるとか二十万円であるとか、こういうような強い刑罰が科されております。会社の方に対しては単なる一万円以下というような過料の行政罰であるとか罰金三万円以下というような軽微なものより規定していないのでありますが、こういう法案の中に含まれている刑罰及び正しく経営を確立して行くという面における熱意といいますか、その指向する方向としての当局のねらつているところが、少し焦点が狂つているのではないか。経営の側に対してこそもつと厳重に監督しなければならないのであつて、従業員その他のものに対してはもつとゆるやかにしてもよろしいのではないかと思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えでありますか。またこういうような公企業という名において、その中で社会悪を公然とやつて行けるような余裕を残しておくということに対しては、どういうふうにお考えになつておりますか。
  46. 中島征帆

    中島政府委員 報告あるいは帳簿等につきまして、不正な記載をするとかいうふうなことはもちろん社会的に許されることではないのであります。一応しかし取締る方の側といたしましては、初めから悪意を推定するより私は善意を推定するのが順序だと思うのでありますが、ことにガスごと公益事業であり、しかもその経営が割合単純なものにつきましては、そういつたような虚偽あるいは不正なことをやる余地がきわめて少い。またやりましても発見が容易だ、こういう事情のあることは御了承願えると思います。しかしながらそれにもかかわらず、不正な記載をするというものに対します取締りの規定というものは、これは御説の通りにできるだけ厳重にするというのがわれわれとしても望ましいと思うのであります。ただしかし量刑の方法につきましては、われわれといたしましては、いやしくも法律に違反する以上はいかなる場合においても、できるだけ最大級の罰まで科し得るようにというくらいにするのが適当だというふうな気持は持つておりますけれども、やはり刑罰原則上の問題からいいまして、それぞれのケースによりまして、罰の内容あるいは程度ということにつきましては、一定のバランスをとつておるようであります。従つてこの刑法上の制度そのものに対しましては、私どもは一応の意見を言いますけれども、全体の構成につきましては、やはりその方の法務省あるいは検事局等の原則に従つておるわけでありまして、この点につきまして、特に積極的にこれが適当であるというふうな答弁を私からいたしかねますけれども、大体従来の原則によつてこういうような刑が盛られておるのだというふうに承知いたしておるわけであります。
  47. 永井勝次郎

    永井委員 第五十三条の四項に「第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。」、こうありますが、この未遂罪ということはどういう限界までを未遂罪とするのか、この条文解釈の犯罪成立の限界をひとつ明確に示していただきたい。
  48. 中島征帆

    中島政府委員 あまり専門家ではありませんが、この条文を見ますと、たとえば第一項の未遂罪としましては——「ガス工作物を損壊し、その他ガス工作物の機能に障害を与えてガス供給を妨害した者」、従つてこの場合におきましては、ガス供給を妨害したというところまで行つて初めて既遂罪だと思います。従いまして、もし工作物を損壊いたしましてもその損壊程度が少くて、妨害しようと思つたけれども実はガス供給自体には大してさしつかえなかつたという場合におきましては、やはり未遂罪として第四項を適用して罰する。第二項につきましても同じようなことが言えると思います。
  49. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、未遂罪というのは、実際の犯罪事実としてはある。しかしその被害の程度が軽少である、あるいは実際の被害の程度に至らなかつた、だからこれは未遂罪だ、こういうような解釈ですか。
  50. 中島征帆

    中島政府委員 つまり供給を妨害したという事実が供給上障害を生じなかつた。しかしながらそれは、こういう行為者の意図に反して、行為者が十分に目的を達するまでのことをやらなかつたためにそういうことになるのであつて、もしこれを放任すれば重ねてそういうことが起り得るという危険がございますので、結果においてはガス供給に支障はなかつたけれども、その行為そのものが非常に危険であるということにおいて未遂罪も罰する、こういうわけであります。
  51. 永井勝次郎

    永井委員 これらの条文については、われわれは、やはり労働争議等の起つた場合、その適用範囲について十分これは考えて行かなければならないと思います。その意味において、一面会社の正当な企業というものを守つて行かなければならない。一面労働者の民主的な活動というものはこれは守つて行かなければならない、二つの対立した条件の中でどこにこの線を引くかということが問題であろうと思うのでありますが、従来の例から見ると、たとえば軽犯罪法をわれわれが議会において審議した場合でも、従来の警察犯処罰令がなくなつたのだ、従つてこの警察犯処罰令にかわるべき軽犯罪法を規定するのであつて、決してこれは正常な労働運動その他を制約するものではないし、全然労働運動等についてはこの軽犯罪法を適用しないんだ、こういう論議、質疑、討論の過程を経て、軽犯罪法がかつて議会を通過したのでありますが、ところがこれが通つてしまうと、今度は道路においてジグザグ・コースをやる、これは軽犯罪法を適用する。あるいは公園あるいは宮城前その他に集会しましても、これは軽犯罪法に触れるんだというふうに、最初そういうことをやらないんだといつてつたことが、全部そういうつめのあかほどの条文を適用して労働運動を弾圧するというようなことが現実に行われておる。これは時の権力がこの法を解釈して適用するのでありますから、従つてこういうような方面に発展して来ることも予想されるわけでありまして、この場合においてはこの条文を規定した趣旨は正常な労働運動を押えるものではないんだ、企業の正常な運営を阻害しないようにこれを守る法律である、こうわれわれは了解しておるのですが、この点についてはいかがでありますか。従つてこれについて従来はこの経営者の側及び業者の側に非常な損害を与えるとまでは行かぬでも、損害を与えるというような現実の具体的な行為がここに表現されました場合には、これはその行為に適応した解釈をなさるのでございましようが、あるいは腹立ちまぎれに、場合によつてはぶちこわしてしまうぞというようなことを言つたその暴言が、これは未遂罪として適用される、こういうようなことにならないのかどうか、その点をひとつ明確にしていただきたい。
  52. 中島征帆

    中島政府委員 この規定はもちろん一般の労働法上の問題を、またさらにこれで規定するという意図は全然ないのでございまして、その面におきます行き過ぎは当然に戒めなければならぬと思つております。たとえば最後に明示しましたような交渉上の言葉のやりとりから、そういうふうなことがかりに言われましても、これは五十三条の未遂罪になるかならぬかということは全然問題にならぬと思うのでありまして、そういうことをここで取締ろうという意図はないのであります。ただたとえばガスの場合におきましては、第二項に「ガス工作物を操作して」とありますが、器物を破壊いたしませんでも、現在とまつておりますガス開きましてガスを出す、ところがたまたまそれは今工事中で全体を締めて工事をしているので、出したために災害が起きるというようなこともありますので、そういうことをやつてはいかんぞと、これは人命にも関係いたしますので、かなり厳重な罰をもつて臨んでおる、そういうことを取締ろうというのが五十三条の規定でありまして、労働法上に当然許されておる行為でありました場合には、こういつたようなことをやりましても別に違反にはならない、こういうことになります。もちろんいかに労働法におきましても、工作物を損壊するというようなことは許されているとは考えられませんけれども、たとえば二項のような問題につきましては、もし労働法規上許されておる争議行為としてやる場合には、許される場合もあります。これをみだりにやつて一般の人命その他に傷害を与えることのないようにというのが五十三条の規定でありまして、これを特に争議行為等につきまして適用するという意図は初めから全然ないということをお答え申し上げます。
  53. 永井勝次郎

    永井委員 最後に一点お尋ねいたしますが、石炭価格は非常に下落一途をたどつておる、また石油との競合と油との競合の関係及び炭業における合理化促進というようなことから、石炭の値段はここ当分の間の見通しにおきましても、ずつと下落一途をたどるであろう、こういう予想がされるのでありますが、この場合当局ではガス料金の変更命令を出して、非常にガス会社はもうかつておると思うのでありますが、料金を変更して適正な料金の適正利潤を会社に認めて、その余剰利益はこれを需用者に還元する、均霑させるというような考えがないかどうか、これをひとつ最後に伺つておきます。
  54. 中島征帆

    中島政府委員 料金とからみまして、炭価状況をにらみ合せまして、もう一度炭価を再検討するということは必要だと思います。まさに今そういう時期ではないかと思つております。従いまして、われわれといたしましては、まず近く二十八年度の下期の決算もできますので、それを十分検討いたしまして、さらに将来の炭価の動向等も想定いたしまして、もし必要があれば料金の改訂を見るということも考えなければなりません。そういうふうな意図をもつて現在検討を続けるつもりでおります。
  55. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいま審議中のガス事業法の問題について二、三点お尋ねいたしたいと思うのであります。まず第一番に私がお尋ねしたいことは、ガスの事業を行われるにつきまして、副産物として出ます硫安でございますが、一体このガス事業から生じて来るところの硫安は、日本でできます硫安の大体何パーセントを占めておるか、それのコストは一体何ほどであるか、この点について……。
  56. 中島征帆

    中島政府委員 数字的なことはちよつと今持合せがございませんから、後ほど調べてお答えいたしますが、量的にはこれはもう非常に少量でありまして、問題にならないパーセンテージだと思います。御承知のようにこれが副成硫安でありまして、品質が悪いという関係から値段もそれに応じて下つております。従つてコストから値段を出すというよりも、一般の硫安の価格からだんだん格差を出しまして、それに応じた値段を出しておる、それでガス事業者としては全体の原価からその分を収入として控除するという方法をとつております。硫安につきまして原価主義はとつておらないはずであります。
  57. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私の聞きたいのは、硫安がガス事業を行うに当つて必然的に生じて来る、その生産量が日本の硫安の何パーセントを占めるか、こういうことなんです。  それからこれのコストは一体どのくらいになつておるか、もしそのコストが副産物だから計算することが困難であるとするならば、工場の庫出し値でもけつこうです。それからまたその硫安から来るところの利益ガス会社が販売する全販売量の一体どのくらいを占めておるか、こういうことが聞きたいわけです。理由とかよいとか悪いとかのことはこつちの方がよく知つておるのです。
  58. 中島征帆

    中島政府委員 その辺の数字はただいま軽工業局の方へ問合せましてお答えいたしたいと思います。今ここに数字はございません。
  59. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これは大事なことですから、ぜひひとつあなたも知つておられた方が将来けつこうじやないかと思うのです。それを知らずに原価計算をやられるということはあなたの間違いだと思うのです。と申しますのは、先般電気料金の値ぎめをする場合に、私が原価計算書をお尋ねしましたところ、これがはつきりしていない、それから硫安の原価計算書を見ますと、これには副産物が全然差引いてない、そういうものを大まじめになつて審議の対象にしておる、こういうことで一体値段を上げてくれとか、値段を下げましようとかいう場合に、必要な条件が欠けているということなので、これはぜひ知つておいてもらわぬといけない。そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、私たちの方へ配付していただきましたガス事業参考資料というのと、その参考資料の二というのに同じようにガス料金原価表が出ておりますが、これは同じ数字なんです。どつちを見てもなぜ重複して出されたかはわかりませんが、同じことを重複せんでもよいけれども、必要欠くべからざることが書いてない、両方とも落ちておる。その一つはまずこちらの最初の方の厚い方でお尋ねいたしますが、三表というところです。これを見ますと、これは日にちが書いてない、一体いつの原価表でございますか。
  60. 中島征帆

    中島政府委員 これは現在のガス料金を定めました場合の料金原価であります。従つて二十七年までの過去一箇年問の実績を元にした計算になつております。二十七年の十一月の現在の原価が定まつております。それで過去の実績基準にしまして、将来の動向もある程度入れまして算定したわけであります。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると、昭和二十九年三月現在とは大分異同がございますか、ございませんか。
  62. 中島征帆

    中島政府委員 これはむろんコークスの収入あるいは石炭原価等につきまして、大きな開きがございます。
  63. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると、原価は安くなつていますか、高くなつていますか。
  64. 中島征帆

    中島政府委員 おそらくはコークスの値下りと石炭の値下りとを両方相殺いたしましても、これよりもむしろ原価的には楽になつているのではないかと思います。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 安くなつているわけですね。それでは今後のこともありますからお尋ねするわけです。いつも通産委員会提出されます原価表を見ますと、非常にずさんきわまるものなんです。そこで、はたしてこれがずさんであるかどうかわかりませんからお尋ねするわけでありますが、まず第一に石炭費というところがございますね。この石炭費は何年何月の値段でございますか。
  66. 中島征帆

    中島政府委員 これは昭和二十七年の上期くらいまでの実績と、それから算定いたしましたときに、将来一箇年間にその石炭の現実の値段がどうなるであろうかということを見通しまして算定した値段であろうと思います。従つていつの実績という実績そのままの数字ではないと思います。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは次に労務費でございますが、これはいつでございますか。
  68. 中島征帆

    中島政府委員 これは当時支払つておりました労務費の実績とつたのであります。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 実績に違いないのでございますが、それは何年何月何日というのでございましようか。それとも昭和二十七年とか二十六年を通算しての一年度の平均でございますか。
  70. 中島征帆

    中島政府委員 これはそのときに最近の時期までに払われておりました労務費の実績を将来に引延ばしたものなんでございます。従つて、もしも将来におきまして、設備の拡張等によつてふえるということがあれば、その率でふえるということはございますが、あくまで実績を引延ばしたものでございます。
  71. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると何年から何年までの間ですか。
  72. 中島征帆

    中島政府委員 昭和二十七年の上期までが入つているのではないかと思います。
  73. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 二十七年の上期までとおつしやいますと……。
  74. 中島征帆

    中島政府委員 上期の実績でございます。私はそのときにおりませんでしたからあまりはつきり申し上げられませんが、十一月にきめます場合に、上期の実績がそれまでにつかめておれば、それができておると思います。もしもそのままになつていれば、その前の二十六年の下期が実績になつているのです。
  75. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 二十七年の上期だとおつしやつてみたり、二十六年の下期だとおつしやつてみたり、それでは困りますよ。  それでは次に時間がございませんので、簡単に要点だけお尋ねいたしますから、要点だけお答えいただければけつこうでございます。減価償却費でございますが、私はガス会社減価償却状況をよく存じませんので、お尋ねするわけですが、これは何年の減価償却でございますか。何年聞かかつて全部を償却することになるのですか。これは商法にきまつているはずでございますが、そのいずれが当てはまつていますか。
  76. 中島征帆

    中島政府委員 ガス会社設備全体としましては、二十年が全体の償却年でございます。
  77. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうするとこの十三億七千何がしというのは、二十分の一と解釈するのでございますか。ないしは先ほど多くてしまいほど少くなるという保険金のかかり方と同じでございますか。
  78. 中島征帆

    中島政府委員 料金原価算定表は定額償却法を用いておりますから、二十分の一と考えてよろしゆうございます。
  79. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次に株式発行費償却というのは、配当考えて間違いございませんか。
  80. 中島征帆

    中島政府委員 これは配当でなくて、株式を発行いたしますときに発行費をある程度食うわけであります。つまり発行費だけは、資本として現実に現金に入つて参りませんので、それだけマイナスになりますから、これは償却するというわけであります。
  81. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは次の支払い利子でございますが、この支払い利息は大体幾らの金利になつておりますか。
  82. 中島征帆

    中島政府委員 ガス事業にはあまり開銀の金は入つておりません。従つて割合に高くなつておりますが、一割ちよつと越える程度であります。
  83. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうしますと、一割を越えたものと、それが投資された減価償却と比較対照してつじつまが合いますか。私がやるとちよつと合わないようです。私の頭が悪いために間違つておるかもしれませんが、一ぺんちよつとそこで計算してみてください。私がなぜこのようなことをお尋ねしなければならないかと申し上げますと、いつも政府から提出されます原価表がずさんきわまるものである。従つて料金を値上げをしたらいいのか、あるいは現行でとどめておいたらいいのかということを慎重に研究する場合に、そのほんとうの材料にならない場合が多いのでございます。そこで上げるならば上げるだけの理由があれば、いくら野党といえども数のごまかしはできませんから、これはわれわれといえども賛成するのでございますが、それが往々にして間違いが多い。それからまたこの表によりますと、全国の平均が出ておりまして、今度は特別に三社だけ取上げてあるようでございますから、この点は親切でけつこうでございますが、同じガス料金にいたしましても、私の地元の愛知県でございますと、道路一本隔てただけでずいぶん料金が違うところがあるのでございます。その原因をたずねてみると、新しい設備をしたから料金が高いのだ、こういうお話でございますが、しかし設備償却その他の金利だけでもつて料金が三倍になるということはちよつと考えられないことなんです。どうしてこんなことを考えなければならないかと申しますと、御承知の毛織物にはガスがなくてはならないものでございます。特に仕上げ加工でガス焼きをする場合にはガスがなくてはならない。そこで仕上げという仕事が、ガスの来ている一宮には以前から発達したのでございますが、その他の地方では最終仕上げの部門の技術が発達しておりません。そこで地元の方々は何とかガスがほしいというので、ついせんだつて御承知の通り津島であのようにしてつくつていただいたわけでございますが、その料金が非常に高い、道路一本離れただけであれだけ高いと結局毛織物の仕上げ加工の賃金をかえなければならない、こういうことに相なつて来るわけでございます。ガス事業というものが土地の産業に非常に貢献しているありがたい仕事であることはしみじみわかつておりますけれども、隣り同士で値段が二倍も三倍も違うということは、その隣り同士が同じ仕事をしている場合に、同じ産物のコストに及ぼす影響が大きい。従つて個々の産業の発展に影響するところが大きい、こういうことでございますので、お尋ねしているわけでございます。従いましてこの津島の方のガス原価計算表をぜひ調べていただきたい、それは配付願えるでございましようか。
  84. 中島征帆

    中島政府委員 資料の問題の前に先ほどのお尋ねの点でございますが、支払い利子とそれから償却費との関係が合わないのじやないかという御質問でございますが、減価償却の対象になります資産は借入れによりますもの、あるいは資本金に充てられておりますもののほかに、再評価準備金等に引き充てるものもあるわけでございます。従つて減価償却費の基礎になります資産のすべてが金利を食うという性質のものでありませんので、従つてその関係におきまして、ギヤツプが起りましてもこれは当然だろうと思います。
  85. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それはあなたのおつしやる通りでございます。だから私が言つているのです。もし原価計算表でしたらこれは新聞に発表するのと同じくらいの程度です。これは一般の株主に配付するくらいの簡単なものなんです。ここで値段を上げましようか、下げましようか、あるいはこの会社に国家が援助をしましようかどうしましようかということを審議する場合にあたつては、あまりにもずさん過ぎますよ。そこでお願いしたいことは、そういう説明だとか質問をしなくても、一目瞭然とわかるような資料を提供していただきたいと思いますが、それはあなたの手元でできる状況になつておりますか。それともそういうものを会社としては拒否いたしますか、いずれでございますか。
  86. 中島征帆

    中島政府委員 これはむろん会社は拒否する理由もございませんし、またわれわれの方の調べで相当詳しいものができると思います。  それから津島瓦斯関係のことでございますが、そのこまかい数字はただいま準備いたしておりまして、印刷して配付するまでの準備はいたしておりませんが、課長の方から説明するだけの準備はいたしております。
  87. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは時間も大分過ぎておるようでございますから、私は資料が整つた折にもう一度御質問することにしまして、本日は留保させていただきます。
  88. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君に申し上げますが、でき得る限り今日御質問願いたいと思います。四月一日施行の法案でありまして、本日一応質疑だけは打切りをいたしておきたい、そのあとの御相談はやりたいというのですけれども、どうぞ御了承願いたいと存じます。
  89. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は委員長の仰せにそむこうとは思いません。しかし津島の問題と、この原価計算についてお尋ねするということはすでに約一週間も前にお願いしてあるはずなんです。
  90. 大西禎夫

    大西委員長 津島の問題については今吉田課長から説明していただきますから……。
  91. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は津島を一つ例に上げただけのことでありまして、全国でガス料金はでこぼこになつておる。はたしてそれが妥当であるやいなや、そういうことをよくわきまえた上において審議をして行かないと、とかく社会党の言うことは空理空論じやとよく言われますので、私はこの数に関すること、価格に関することくらいはいくら社会党でも空理空論はやつてはいけないと思うのです。そこでこれだけはきちつとしたものをつかんで、その上に立つての判定を下してもらいたい。先ほどどなたからか地元の話が出たわけでございますけれども、ここにおいてもいろいろな問題があるようであります。私はガス事業を興隆させることに反対ではない。ぜひ隆盛におもむかせたい。それにはほんとうの基礎資料に基いてそれをしないというと、あとでわれわれが非難を受けたり、あるいは会社が砂上楼閣になつたり、あるいは造船のような問題が起きてもいけないことだと思いますので、正確なデータをお願いしておるわけでございます。
  92. 永井勝次郎

    永井委員 議事進行。このガス事業法は相当浩瀚なものですが、この議案そのものの審議の時間というものは非常に短かいのです。今加藤君からいろいろ資料の要求があり、資料について吟味するという段階になりますと、われわれは議事引延ばしをやつておるのではなくして、議案そのもののほんとうの審議をやつて可決したのだ、こういうことでなければならぬ。ただ四月一日からの実施なんだからこれは上げるんだ、これじや委員会の権威はない。そういう時間にこだわらないで、引延ばすのじやないのだから十分審議をして、そして納得したところで可決する。ここで今いろいろな資料の要求もあつて、資料の不備な点もあるし、加藤君その他から質疑があれば、その質疑を済ませた後にするということにした方が——この委員会が終つたあと理事会を開いて、この爾後の取扱いについてさらに相談するということにしていただきたい。もし質疑がなければ、ここで質疑は打切らないで、大体これをもつて質疑を終了するという了承のもとに相談をしようということであつたのですが、質疑があれば継続することにしても私はさしつかえないと思います。
  93. 大西禎夫

    大西委員長 私の考えておりますのはその通りでありまして、ただ四月一日の施行というようなことになつておりますので、参議院の方からもそういう話がありましたから申し上げておるので、今永井さんがおつしやられた通り考えをいたしておるのでございます。ただ今の中島局長の答弁によりますと、加藤君の御質問には答えられる用意ができておるというふうな発言がありましたので、もしそれをお聞きになつて御納得が行けば、それであなたの今おつしやつたような一応の打切りにして、あとは爾後の相談ということに持つて行きたいと存じまして申し上げたわけであります。
  94. 吉田剛

    ○吉田説明員 先ほどお尋ねがありまして留保しておりました硫安の点でございますが、ガス事業者が生産しております副産物としての硫安は、大体月千八百トンでございまして、日本全体の生産量の約一%程度に当る数字でございます。そこで工場の置場渡しで一万八千円でございます。その原価構成につきましては、一応市価主義をとつておりまして、副産物控除も全部市価主義をとつておりますので、硫安そのものについての原価計算というものは出ておりません。  第二の津島瓦斯の点でございますが、会社のこまかい書類を持つて参ればいいのかもしれませんが、表面的と申しますか、原価計算の構成になつて出て参つております数字を申し上げますと、これを津島瓦斯と規模その他におきまして最もよく似ておりますものが、あの付近にあります岡崎瓦斯でございます。ちよつとこの場合と比較して申し上げますと、原材料費といたしまして、岡崎瓦斯がガス立米あたり十八円四十三銭というようになつております。それに対しまして津島瓦斯は十七円二十三銭、結局炭価といたしましても岡崎瓦斯よりも津島瓦斯の方が安い炭を使つておるわけでございます。炭価といたしましては、一立米あたり岡崎瓦斯は十八円三十二銭、これに約五百倍していただければ炭価になるのでございます。それに対しまして津島瓦斯は十六円八十銭というようになつております。  なお労務費でございますが、同じく労務費も岡崎瓦斯は四円十二銭八厘、それに対しまして津島瓦斯三円四十銭六厘という数字でございます。  それから福利費もその基準で参りますと、岡崎瓦斯が三十八銭六厘、津島瓦斯が三十七銭四厘でございます。経費といたしましては岡崎瓦斯が四円三十三銭五厘、それに対しまして津島瓦斯が三円二十八銭一厘、こういうふうな状態でございまして、いわゆる通常の経費なり、原料なり、生産の点におきましては、津島瓦斯が明らかに岡崎瓦斯より安いのでございますが、ただその算定基準になつております固定資産額というものを考えました場合に、岡崎瓦斯は千二百十一万六千円、それに対しまして津島瓦斯は全然新規でございますために、その固定資産額が一億四千六百三十三万六千円、こういうふうに約十倍以上の固定資産額になつております。それから資本金にいたしましても、岡崎瓦斯は三百万円でやつておりますが、津島瓦斯は御承知のように五千万円という資本金になつております。  また借入金につきましても、岡崎瓦斯は六百四十七万円の借入金でございますが、津島瓦斯におきましては八千二百七十一万四千円という借入金になつているわけでございます。  それからあと多少原価に響いて参りますのは、大体ガスの販売量は年間津島瓦斯が百万立米、岡崎瓦斯が百十七万立米というような数字でございます。そういうふうな点がございますために、減価償却費が岡崎瓦斯におきましては八十五銭九厘というふうな数になりますのが、津島におきましては、減価償却費が五円十一銭九厘という数字に相なります。  なお借入れの金利でありますが、この金利の織込みが岡崎瓦斯におきましては五十五銭三厘でありますものが、津島におきましては八円二銭二厘という金利の高になるわけでございます。  それから利潤につきましては、これは一応三年間を通じまして三年目に五%ということで考えておるわけでございますが、これが岡崎瓦斯の場合には一五%の配当基準にいたしまして、一立米当四十二銭三厘で済むものが、津島としましてはこういうふうな五%にいたしまして一円八十二銭になる、こういう形になつております。従いまして岡崎瓦斯の原価が二十九円十二銭、津島瓦斯が三十二円九銭という数字になります。これに対しましてコークスその他の販売品の副産物控除をいたしておりますが、これにつきましては岡崎が九円二銭五厘、津島におきましては十円七十七銭七厘というものを副産物控除をいたしております。これによりまして、結局現有のガス料金原価が、岡崎瓦斯が十九円九銭五厘、これに対しまして津島瓦斯が二十八円五十圧銭二厘と、約九円ばかり高くなつておるのでありますが、その点は今申しましたように減価償却費、借入れ金利の相違で十三円以上も高いものになつておるのでありまして、そのほかの面につきましては一応安いのでございますが、こういうような状態が、全然新規の事業としまして、固定資産の額が非常に大きいということの結果現われておりまして、なお固定資産が大きいために借入金も相当大きいということから来る金利の支払いが非常に莫大なものになつておるという状態でございます。従いまして岡崎瓦斯自体も、もしこれを新規にやるといたしますと、あるいは津島と劣らないような数になるのではないかというように考えられるわけでございます。最近の非常な問題といたしましては、たとえば最近できました富士吉田というふうなガス会社におきましても、やはり二十六、七円の原価にならざるを得ないというような形になつております。これは今申し上げましたように、固定資産と借入金から来る金利の償却にほとんど問題が集中しておると申し上げていいのではないか、こういうふうに思います。
  95. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 御親切に御説明いただきまして、ありがとうございました。ところが私がそれから先は推察すればいいわけでございますけれども、私のほんとうに知りたいのは、一宮と津島の相違を解明したいわけなのでございまして、一宮は東邦瓦斯でございますから、そういうことでこの貴重な時間を費されては、皆様も御迷惑と存じますから、恐れ入りますが、今おつしやつていただきました岡崎とそれから東邦と津島の数字を、あとで何か書いていただけたらけつこうでございます。  次に今あなたが立板に水のようにすらすらおつしやいましたそのことでは、とても私のような頭ではついて行かれないのでございます。硫安が千八百トンでございましたか、そうしてそれは工場でトン当り一万八千円と承つたのでございますが、この原価構成の原価計算表の方で、片方には控除項目というのが入つておりません。それからこちらのその二の方には入つておるようでございます。コークス収入、その下にその他収入とありますが、この硫安はその他収入というところに全部包含されておると解釈してようございますか。
  96. 中島征帆

    中島政府委員 これは両方ともその他収入は入つております。その一の方でも、控除項目という題目の下に書いてあります。この数字は同じでございまして、その硫安の数字も入つておるわけでございます。
  97. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこで私がお尋ねするのは、その他収入というところに硫安から生ずるところの収入は一切含まれていると解釈してよろしゆうございますかという質問でございます。
  98. 中島征帆

    中島政府委員 入つておると先ほど申し上げたわけでございます。
  99. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そういたしますと、今あなたがおつしやいましたそれだけですでに、このその他収入の三会社とその他の会社、合せて大体五十三億ということに相なつておるようでございますが、このその他収入というのは、それ以外に何々が含まれておりますか。
  100. 中島征帆

    中島政府委員 主としてタールあるいはベンゾール、そういつたものでございます。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これからもう少し計算をいたし直しまして、お尋ねしなければならぬ点が大分ここにあるように考えますが、委員長としてはどうしてもこれでしんぼうしてくれとおつしやるのですか。
  102. 大西禎夫

    大西委員長 どうしてもとは申しませんが、ごしんぼう願いたい、かように考えるわけでございます。
  103. 永井勝次郎

    永井委員 今の硫安の月千八百トンで一トン当り一万八千円とすると、これだけで三十八億八千八百万円、こうなるわけです。そしてそのほかにタールの収入があるとすると、ここに出ている数字とは十億以上違うのじやないですか。これはどういう数字の間違いですか。
  104. 中島征帆

    中島政府委員 ちよつとけたが違うように考えますが、三億余りと思います。
  105. 吉田剛

    ○吉田説明員 その他収入でございますが、これは二十六億一千九百万円でありまして……。
  106. 永井勝次郎

    永井委員 この中に入つておるのですか。
  107. 吉田剛

    ○吉田説明員 入つております。今の硫安は三億七千万円程度になるわけでございます。
  108. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その点はわかりますが、まだ私は準備して来て、聞きたいのがたくさんあるのです。それでつじつまは、自分の頭の中だけでも合せなければならぬので……。
  109. 大西禎夫

    大西委員長 あとで理事会で御相談いたしますから、お含みおき願いたいと思います。
  110. 柳原三郎

    ○柳原委員 私は今加藤君が質問しましたのに関連するのでありますが、ガス会社の支払い利子と、五箇年計画による増資と、その会社配当に関連して簡単に質問いたします。せんだつてのお話では、これから五箇年計画をやつて行くのには五百億程度の金がかかる、あるいは社債あるいは市中銀行あるいは開銀等々によるが、自己資本によるものが大体二百六十億と見ている、こういう説明がありました。そこで今支払い利子が一割を越えておると言われますけれども、現在までのいわゆる借入金の中には、相当額の開発銀行、興業銀行、長期信用銀行の借入金がある。そういう借入金を入れて、一割を越える金利を払うということは、常識をもつて判断できないと思うのですが、ひとつ御説明願いたいと思う。
  111. 中島征帆

    中島政府委員 開銀あるいは復金等の借入率は、ガス事業の場合には非常に少いのであります。比較的資金コストの高いものを現在借り入れておる、こういう状況であります。
  112. 柳原三郎

    ○柳原委員 それはわかりました。そうするとせんだつて局長は私の質問に対して、この適正配当増資とも関連して来る問題でありますから、微妙なものがある、参議院でもいろいろ問題があつたと申されておりまして、できるならば一割二分くらいの配当が適当ではなかろうか、こういうふうに私は承つたのであります。そこで大きいガス会社、東京瓦斯でもよろしいが、これを私この前も言いましたように、二十七年版の会社名鑑によつたのでありますが、これらの株式会社の資本構成を見ますと、主として大株主は市中銀行とそれから保険会社である。こういうふうになつておりますが、三大会社を例にとりますと、それらの市中銀行と保険会社で、株式のいわゆる比率と申しますか、それは半数以上だと思うのですが、今御記憶ありませんか。
  113. 中島征帆

    中島政府委員 半数以上は金融機関であります。
  114. 柳原三郎

    ○柳原委員 そこで問題が起つて来るのです。半数以上いわゆる市中銀行と保険会社が株主である。ガス会社がこれらから借入れている金利は一割を越えている。そうすると市中銀行は、そのガス会社へ金を貸した形においた方がよいのか、あるいはまた増資をした方がよいのか、こういうそろばんをはじきかけるときに、一割以上の金利で金を貸しておるならば、一割二分の配当では、とうてい私は株式を引受けるという意欲は削減されて来ると思うのです。そうすると、どうしても一割五分の配当をするか、あるいはまた一割二分もしくは一割で押えたとするならば、そこに無償交付というものをやらなければならない、こういうことになつて来ると思うのです。そこで一割二分というあなたの意見と矛盾して来るように思うのです。要するに無償ということを考えないで、一割二分に配当を食いとめることについて、こういう事業の立場においてのあなたの見解が承りたいと思うのです。
  115. 中島征帆

    中島政府委員 将来の増資考えた場合におきまして、無償を全然考えないで一割二分で行けるかどうかという点については、これはちよつと疑問がございます。お話のように、一割二分の場合におきましては、株主の手取りは一割を切りますから、かりに金融機関が一割以上で貸している場合には、そこに矛盾が起るわけであります。そこでそれを解消するためには、ある程度無償というものも考えなければならない。但し金融機関によつて利率が違つておりますので、一割以上の貸付金利をとつておりますときはそういう問題が起きますが、たとえば短期資金を融通いたしております場合には、もつと安いわけでありますから、もしも金融機陶が大株主でありますならば、それほど大きな問題にはならない。従つて個別に検討する必要があると思いますけれども、結局おつしやるところのポイントは、かなりデリケートの問題だと思います。
  116. 柳原三郎

    ○柳原委員 また最初にもどりますが、金利が一割を越えているというお話でありましたが、この一割を越えるということは、こういう大会社としてはとうてい考えられないわけです。長銀とかあるいは開発銀行の借入金が全然なくても、一割以上の金利というものはわれわれでは考えられない。そこに私が先日質問した、担保というところに矛盾があるのじやないかと思うのです。先日の課長さんのお話でしたか、その担保が団体として加入しているとかどうとか申されましたが、担保が正式に入つているならば、日歩三銭四厘の金利ということは考えられないわけですが、そこら辺をもう一ぺん詳しく説明してもらいたいと思います。
  117. 吉田剛

    ○吉田説明員 現在のところ、長期資金で借りておりますが、担保に入つておりますものと入つていないものがございますが、先日も御答弁いたしましたけれども、担保に入れて比較的短期で借りておりますものは、年八分五厘であります。それから開銀等から借ります資金につきましては、一般の事業といたしまして一割をとられております。従いまして今局長から一割を越えるという御議論がございましたが、料金といたしましては、われわれの方の料金算定のときに入れております大体の金利は約一〇%であります。一〇%を越えておりません。
  118. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 関連して一、二お伺いいたします。ガス事業のこういう公益事業に、監督官庁である政府があらかじめ無償交付を認めてこの法案を出されてあるということは、公益事業の性質上許されるものであるかどうか。私はそれを非常に疑問に思うのですが、われがこの法案を審議して来たのは、ガス会社利益を隠しておる、なぜならば、公益事業という名のもとにあまり大きな配当をすることは、世論上許されないという問題が起つて来るというところから、実際の利益について配当以外の措置ををいろいろ講じておるようにわれわれは思わざるを得ないということを、疑問を持つて質問して来たのです。今そういう答弁を聞きますと、いよいよもつてわれわれは奇怪にたえないし、また政府当局もそれを認めてそういう扱いをされることになつて来れば、この法案を通すに当つてわれわれは非常に重大な考えを持たなければならないのであるが、その点についてどのようにお考えになつておるか、はつきりお聞かせ願いたい。
  119. 中島征帆

    中島政府委員 もし無償交付が一般的な問題として起るときには、お話の通り決して原則的に適当であるとは申しかねると思うのであります。ただ今日の問題としては、御承知のように再評価積立金というものがございます。これはその会社事態が持つております財産を正当に評価した場合に、これだけあるのだということになつておりまして、従つてその帰属を突き詰めますと、当然株主の所有になるという性質のものであります。現在無償交付をやる場合には、常にその積立金をくずして資本金の中に繰入れるという手段を講じておりますけれども、そういう手段を講じられるときに限つて無償交付は正当化されるのではなかろうか。また一面において、それだけでは不十分で、配当そのものは、公益事業の一番適正な配当率で押えました場合に、一割二分とか一割五分という数字が出るわけであります。しかし市場の金利情勢その他からいたしまして、そういうような配当率では増資を処分できないという場合に、この無償をつけなければなりません。増資が必要である場合には、配当率だけによつて実現し得ないために、カバーする目的をもつて無償をつける。その無償をつけるだけの能力が、今申しましたような事情でもつて裏にある場合においてのみ無償を認めます。それでかりに準備金があつても、無制限に無償交付を認めるわけではありませんし、またいかに必要であるとしても、準備金がなければ無償ということはできないわけであります。そういう点を十分考慮して、やむを得ないときにおいてのみ無償を認める方針をとつておりまして、電気についてもその都度情勢十分検討して、それぞれ必要な程度無償はある程度認めるという方針をとつておるのであります。今後においても電気ガスともに増資はある程度どうしても避けられません。また必要であるけれども、そのときの証券市場において認められておつたような配当率では、とうてい増資株は消化し得られないという場合におきましては、御指摘のように無償を認めるということも将来大いに検討して起り得ることであります。
  120. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 将来の問題を論じておりますとはつきりいたしませんから、私はそういうことで議論は大いに残りますけれども、それを今議論しようは思いませんが、今局長が言われたような扱いをされた事例が多分あるだろうと思う。たとえばどの会社にどういう無償交付の扱いをしたというような問題等があろうと思います。おそらくそれがまた前例として考えられるだろうということも、今の答弁ではわかるのですが、従来においてそういう前例等が会社側にあつたら、それをひとつお聞かせ願いたい。
  121. 中島征帆

    中島政府委員 ガス事業に対しては、最近は無償交付はいたしておりませんが、一、二年前にいたしたことがあるわけでございます。その点はなお調べまして、個別に御報告申し上げたいと思います。  電気につきましては、二十八年度の下期におきまして、各社ともある程度無償交付をいたしております。
  122. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ガスについてそういう例がないならば、今新たなそういう例を公益事業につくろうとお考えになつておることは、はなはだ遺憾である。公益事業中でも特にガス事業は生活必需品ともいうべきものでありまして、政府は公共奉仕の精神を持たなければならぬ。そういう経常利潤内部のからくりに疑惑を持たすようなことは、私ははなはだ遺憾に思うのであつて、今局長が言われたように、監督官庁の責任者がそういう前例をつくるようなことをここで発言されることは、はなはだ遺憾であります。そういうことをやろうとされるのか、遺憾であるからやらせないようにするのか、この点をひとつはつきりここでお聞かせ願いたい。
  123. 中島征帆

    中島政府委員 前例をつくると申されましたけれども、先ほど申しましたように二、三年前には無償交付をした実例があるわけであります。今後におきましてもできるだけこういうことは避けるのがほんとうだと思います。認める場合にも最小限度ということを申し上げておりますが、そういうことはできるだけ避けたい、しかし絶対に無償交付は認めない方針だということをただいま申し上げましても、また適当でないかと思いまして、ある程度の含みを持たせて、将来あるいはそういうことも起り得るということを申し上げたのであります。その表現が少し強過ぎたようでございますので、むしろできるだけそういうことをやらせないで、本来の配当率増資ができるようにということを考えております。
  124. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間の関係がありますから、そのことは議論しませんが、二、三年前においてそういう事例があつたとするならば、この法案を通す前にそのことをはつきりお示しを願いたい。  なおわれわれは公益事業に利潤あんばいのからくりがあるがごとき疑問を、この際法案を通すに際して残してはならぬと思うのであります。そういう点からなおそれをお出し願つて、その上に立つてこの法案を通すに当つて態度を明らかにしなければならぬ点が出て来ると思いますから、その資料を至急お出し願いたい。
  125. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ、本案に対する質疑は一応打切り、爾後の問題については理事会において御相談申し上げます。
  126. 大西禎夫

    大西委員長 ちよつと速記をとめてください。   [速記中止]
  127. 大西禎夫

    大西委員長 では速記をつけてください。  それでは本日はこの程度にいたしておきます。なお爾後の問題については理事会において御相談いたしたいと存じます。  本日はこの程度にいたして散会いたします。     午後一時十三分散会