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1954-03-26 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十六日(金曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    田中 龍夫君       土倉 宗明君    坪川 信三君       馬場 元治君    村上  勇君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       伊藤卯四郎君    川上 貫一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十五日  天北炭利用工業化促進に関する請願武田信之  助君紹介)(第四〇三〇号)  米国の可燃性織物輸入禁止措置対策に関する請  願(助川良平紹介)(第四〇三一号)  一般電気供給事業者兼業投資に関する請願(  田中織之進君紹介)(第四〇三五号)  同(高津正道紹介)(第四〇三六号)  電源開発関係資金増額等に関する請願池田清  志君紹介)(第四〇三七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れに関する件  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三七号)  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第七七号)(予)  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第九八号)  石油資源探鉱促進臨時措置法案内閣提出第九  九号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず連合審査開会申入れに関する件についてお諮りいたします。ただいま内閣委員会において行政機関職員定員法の一部を改正する法律案審議中でありまするが、本案について内閣委員会連合審査開会申入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  3. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  4. 大西禎夫

    大西委員長 次に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。本案について発言を求められておりますのでこれを許します。山手滿男君。
  5. 山手滿男

    山手委員 先般来この公庫法の一部改正に関係をいたしまして、本委員会公庫運用の問題について種々論議がかわされました。その問題点は、もう少し窓口に参ります一般中小企業者の声にこたえて、気やすく迅速に公庫資金を流してやるような方法考えてもらいたいということが中心でございます。現在全国窓口におきましては、各金融機関に割当てられておりまするわくがきわめて小さいこともありますし、それに加えて甲方式のみを採用いたしておりますために、金融機関の方でも比較的危険視されておる中小企業そのものについては、融資をすることを非常に躊躇をいたしておる実情があるのでございまして、その辺から非常に不平も出ておりまするし、公庫の運営上いかがかと思われるような事態が現われておるのであります。本委員会におきましては、これは地方金融機関責任分担率危険負担率が七割にも八割にもなつておるということであつて、なかなか自分たち負担においてはそういうものは相手になれない、こういうことが一つの大きな要素になつておるだろう。それでありますから、この委員会においては、甲方式による場合においても、金融機関代理店危険負担をもう少し軽減してはどうかという声が圧倒的に強かつたわけであります。しかしながら公庫においては、四月早々から乙号方式も併用して貸出しをされるという話でありますので、四月から乙号方式をどういうふうに運営されるつもりか、どの程度にあわせ行われるつもりであるか。これは中小企業庁長官公庫坂口総裁の御両所から御答弁をお願いいたします。
  6. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 昨年の九月に公庫が発足いたしましてから、実は公庫陣容と申しますか、事務処理能力さえ有しますれば、そのときからすでに乙号方式によります貸出し、つまり代理店では三割の責任を持ち、公庫が七割の責任を持ちましてやつて行くこの乙号方式をすぐ採用して参りたかつたのでございますが、不幸にいたしましてこの公庫自分責任において審査をするだけの能力を整備するのに時間がかかりまして、今日までこれを本格的に取上げる段階に来ておりませなんだことははなはだ遺憾に存ずるのであります。その間公庫といたしましても着々と関係方面の協定を得まして、最近におきましては大体二十人見当人間を整備いたしまして、この乙号方式を一応本格的に取上げ得る態勢を整えたのでございます。従いまして来る四月からこの乙方式を今までと違いまして本格的に取上げるということにいたしたのでございます。ただ先ほども申し上げましたように、陣容が二十人程度でございますので、乙方式によります申込み件数が非常に重なつて参りますと、これを処理するのに時間がかかるということが予想されるのでございますが、今後とも人間の充実その他には努力をいたしまして、かりに乙方式によります申込みがどんどんふえて来るというようなことになりましてもさしつかえないような態勢を、今後とも整備するように努めて参りたいと思うのであります。希望といたしますれば、少くとも四月から半年程度たちますれば、貸出額のうちの二、三割程度のものが乙方式処理でぎる、こうなれば幸いであると思うのでありまして、一応乙方式を正式にやるぞということを天下に声明いたしまして、その出て来る状況と、それから事務処理状況とをにらみ合わせて、さらに乙方式がだんだんと浸透して行くような方策をわれわれとしてもとつて参りたいと思うのであります。さしあたりの目標といたしましては、二、三割程度のところまで行ければまず一段階としての成功ではないかと考えております。
  7. 坂口芳久

    坂口説明員 私からもお答え申し上げます。ただいま岡田長官からお答えのありました通りでございまして、来月早々乙方式実施して参りたいと思います。ただいま長官からもお話のありましたごとく、三月初めからその方面準備委員を命じまして、鋭意乙方式実施を早めるべく努力いたしております。お話通り乙方式になりますれば、金融機関責任負担が少くなりますので、代理店からの申込みも、その方面希望も多かろうとは存じますが、しかしながら代理店わく関係があるとのお話でございまして、その点乙方式につきましては、実質上増わくになるような措置をいたしまして、乙方式代理店が出すようにして参りまして、御希望のようになるべく大きい割合が乙方式に参りますよう持つて行きたいと思います。しかしながら先ほどお話のありましたように、乙方式を担当いたします職員は、ただいまのところでは二十人見当でございますが、代理店からの書類がたくさん出て参りますれば、だんだんに職員も充実いたしまして、なるべく迅速に処理できるようにいたしたいと考えております。  なお乙方式のやり方でございますが、やはり代理貸付でございますので、代理店意見をもとにいたします書面調査によるのを一応の原則といたしますが、しかしながらそれのみというわけでないのでありまして、実情に即しまして、むしろ公庫自身で実地につきまして調べまして、貸付を実行して参りたいと思います。今後御意見を尊重いたしまして、乙方式につきまして従来代理店が取扱いにくかつた種目につきまして貸付をいたしますと同時に、また従来代理店の方では取扱いにくかつた諸種目につきまして、業種間の不均衡等もこの方式によつて資金の融通がなめらかに行くのではないかというような点を考えながら、この方式をやつて参りたいと考えております。
  8. 山手滿男

    山手委員 ただいまの岡田長官及び坂口総裁の御答弁を了承いたします。特に総裁の方からは、従来窓口中小企業者が参りますと、とかくわくがないとか何とかいうことに口実を設けて、融資を渋つたりいたしたような事態につきましては、乙号方式を推進することにより、特に実質的にはそういうもののわくを広げるような形式をとつて融資を円滑ならしめるという御書でありまして、われわれはさように御留意あらんことを特にお願いする次第であります。  次に、今そういうお話でありましたが、地方によりましては、中小企業金融に対して熱意の乏しい金融機関が間間あるようであります。特殊のある県におきましては、非常に大きな存在になつておる金融機関でありながら、この金融公庫の複雑な手続そのほかをきらつてか、熱意を示さないために、その県にはほとんどこの国家資金が流れておらないという地方がある。こういう熱意のない金融機閥などについては、特に指導をされまして、全国民が各地方で潤うような措置を講じていただきたいと思う次第でございます。この資金の流れがある県においては、たまたまその地の金融機関などについてそういう事態があるために、この恩恵に浴せないというようなことは、きわめて不平等でありますから、その点についても御指導願えるかどうか、ここで御答弁を承りたい。
  9. 坂口芳久

    坂口説明員 まことにごもつともな御意見でございまして、公庫といたしましては、資金の配分につきまして、各都道府県の中小企業実情分布状況をも勘案いたしまして、代理店活動が不活発なために、ある地方には出が少いという県も遺憾ながらあるのでございます。これにつきましては、今後代理店指導督励いたしまして、そういうことのないように万遺憾なきを期したいと思います。また代理店によりましては、乙方式であればやりたいという代理店もその方面にはございますので、そういう代理店につきましては、乙方式が始まりますならば、その方面への資金があるいはよけい出るのじやないかということも期待いたしております。今後十分に御趣旨のほどを体しまして、各府県にまんべんなく私ども資金がまわりまするように努力いたしたいと存じます。
  10. 山手滿男

    山手委員 地方的にそういう事態があるのでありますが、もう一つ問題は、業種別にもできるだけ多くの国民に均霑さすという意味で、業種指定についても特段の御配慮をお願いしたい。それはいろいろ要望がありますが、クリーニング業とか理髪業というふうな理容師関係の業者というふうなものについても、ぜひこの資金を出してほしい、こういう要望があるようでございます。これにはいろいろ問題もあつて、現在そこまで行つておらないようにも聞いておりまするが、今この問題について即答をしていただかなくてもけつこうでございますが、さしさわりのない限度では業種を広く指定して、均霑をさしてやるように、今後徳段の御配慮が望ましいと思いますので、この点についてもこれは長官の方から御答弁をお願いいたします。
  11. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 業種の問題といたしまして、さしあたり私どもが今研究の対象にいたしておりまするものは、クリーニング業理髪業でございます。最近結論を出しまして、クリーニング業に関しましては修理加工という観念に入る、理髪業は新規に追加をせねばならないということで結論を出しまして、今政令の中に理髪業を追加する準備を進めておりますし、クリーニング業に関しましては、公庫に対しまして私どもの方から正式な通牒を出しまして、これは入るのだという解釈を確定いたしまして処理いたしたい。この二つに関しましては結論が出て、今手続を進行中でございますから、御了承願いたいと思います。
  12. 山手滿男

    山手委員 大体先ほどからの御答弁を私ども了承をいたします。そこでこの委員会で特に要望をいたしておりまする三点を、今の賛同と重複いたしますが、私の方で要約して申し上げますと、第一点は、貸出方式については、可及的すみやかに甲方式に併用して乙方式を採用され、乙方式が全体の三割程度にまで及ぶように運用をされたい。第二点は、公庫資本金の流れ方についてでありまするが、地方的に特に不均衡の起らないような指導をされたい。第三点は、指定業種についても、今申し上げましたように、ちよつとしたことでうまく借りることができないような、なるほどと思われる業種については、できるだけ均霑さすような仕方を将来においてもとつていただきたい。以上の三点を特にこの委員会として要望をいたし、善処方を強くお願いする次第であります。
  13. 古池信三

    古池政府委員 ただいま御要望になりました三つの点につきましては、政府といたしまして十分に御意見を尊重いたしまして、今後の行政運営の面に反映をさせて参りたいと考えます。
  14. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは本案に対する質疑は終了いたしました。  引続いて中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を採決いたします、本案に御賛成の諸君は御起立を願います。
  15. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際お諮りいたしますが、本案委員会報告書作成の件につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  16. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  17. 大西禎夫

    大西委員長 次に石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案石油資源探鉱促進臨時措置法案一括議題といたします。質疑の通告がありまするので、これを許します。長谷川君。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石油資源探鉱促進臨時措置法案につきまして、次官並びに局長に伺います。私の質疑は第一条、三条、八条、十九条、二十一条、この五点に集約してお伺いをいたします。  第一条におきまして、通産大臣地域指定して、積極的な石油資源開発を行うということになつているのですが、その地域指定範囲はどの程度のものであるか、この点をまず明らかにしておかなければならないと思うのでございます。この法の骨子は、石油資源開発上の重要なる地域指定して、指定地域鉱業権者から施業案によつて探鉱計画を提出させて、この探鉱計画の内容をさらに検討し、探鉱促進上必要がある場合は、施業案変更勧告あるいは命令を発することによつて、強制的に探鉱実施させるということにあると私は考えるのでございます。地域指定が小範囲に限られたり、あるいはきわめて少数の地域しか指定が行われず、この指示が無計画的に行われるときは、本法が十箇年の時限法であることを考えると、指定効果はきわめて薄いと考えられるのでございます。従いまして指定は、すでに立案された石油資源総合開発五箇年計画、この探鉱計画から、この地域指定計画につきまして、明確なる答申が求めらるべきものであると信ずるのでございます。でき得れば初年度地域指定計画案の提示を求めることも必要であると考え得られるのでございますが、この点につきまして、どのようにお考えになつて立法なすつたか、承りたいのでございます。
  19. 川上為治

    川上政府委員 地域指定につきましては、私どもの方としましては、先般来研究して参つておりました、石油五箇年計画によりまして大体きまつておりますような地域指定したいというふうに考えています。大体北海道、青森、秋田、山形、新潟、そういう各県にわたりまして、全国で百六十五箇所、それからボーリングの数で四百六十数本という計画になつておりますが、五箇年計画を遂行します関係から、私どもの方としましては今申し上げましたように、この五箇年なり六箇年の間にそれくらいの地域指定したいと考えております。初年度におきましては、助成金が一億三千万円程度でありますし、それからまた資金的な問題等考えまして、さしあたり十二、三箇所を今のところは予定しておりますが、来年以降につきましては、急速にこの指定の箇所をふやしたいというふうに考えておりますし、また初年度におきましても、今予定しておりますような十二、三箇所が、その途中におきまして資金的な点から申しまして、さらにある程度の余裕ができるということになりますれば、随時それはふやしたいというふうに考えております。それから、もちろん今長谷川先生のおつしやいましたように、われわれとしましては、この地域指定するにつきましては、非常に慎重にやらなければならぬというふうに考えておりますので、この第一条の三項にもありますように、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会に諮りまして、十分各方面のエキスパートの意見を聞きまして、その上でその指定を告示したいというふうに考えております。
  20. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 第三条の規定によりますと、「通商産業局長は、指定地域内に存する石油目的とする試掘権に係る試掘権者施業案変更しなければ、その鉱区の油層の状態を確認することができないと認めるときは、その試掘権者に対し、施業案変更すべきことを勧告することができる。」ということになつております。この勧告あるいは命令はどの程度範囲のものを示すかという点でありますが、施業案変更勧告あるいは命令が、もし届出のあつた部分についてのみ行われるとすると、すなわち、たとえば単に試掘井の深度を増減するとか、地質調査地域を多少増減するとかいう程度のものであるとすると、その勧告あるいは命令による効果は、全然ないとは言い切れぬかもしれないけれども、これによつてその大きな効果を期存することができない、私はこういうふうに考えます。むしろこの条の効果を明らかにしようとするならば、施業案変更意味広義解釈して、指定地域において新たなる試掘実施、あるいは届出のあつた試掘井数増加地質調査班増加等施業案根本的変更をも含むものとしなければならないのじやないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。特に五箇年の長期探鉱計画を樹立しまして、これを効率的に、すみやかに成果を上げようとしておる現在、単に届出のあつたものの一部を変更することは、本法を制定して鉱業権者探鉱活動活発化そうとする趣旨に、私は沿わないのではないかと考えます。国家的に見て、またひいてはその鉱業権者のためにも、何らか重要な石油探鉱が、試掘権者の意思によつて実施できないことになるから、本条は当然広義解釈をして行かなければならない、私はこういうふうに考えるのでございますが、これに対しまして次官及び局長の御答弁をお願いいたします。
  21. 川上為治

    川上政府委員 私の方といたしましては、この勧告なり命令につきましては、今お話がありましたように、相当広義解釈して、そうして極力この施業案が、最も適正な、かつまた長も有効な計画でなされるような勧告なり命令をしたいというふうに考えております。
  22. 古池信三

    古池政府委員 ただいま鉱山局長から御答弁申し上げましたごとくこの法律目的を達成するために、最も適切なる方法をとつて参りたいと存じます。
  23. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 八条であります。この規定によりますと、指定地域内においては、鉱業権を持たない者が、石油探鉱実施しようとする場合は、試掘権譲渡について、通商産業局長の許可を得て鉱業権者と協議できることになつております。探鉱を行おうとするものの具備すべき要件として、経理的なまたは技術的基礎を有すべきことになつているが、本法において現実にその効力あるものと見られるものは、どことどこであるか、また一度譲渡したものが再び譲渡を受けることができるか、この点をまず明確にしておかなければならないと思うのでございます。事実上右の資格要件を備えていると考えられるものは、まず帝石だとかあるいは日鉱程度のものと考えられているとは思うのでございますが、現在の諸種の企業または個人が、石油の採鉱に乗り出して来るとは考え得られない点もあると思うのでございます。従つてかりに日鉱帝石から譲渡を受けて、また帝石日鉱から譲渡を受けるようなことが可能になると思うのでございます。現在日鉱帝石の実権をとろうとするごときことまであつたといううわさを聞いております。かようなこともありますし、将来の極端な場合を考えると、同一系統の間でやりとりをする。要するにピンポン玉行つたり来たりするようなことばかりやつてつたのじや、この目的を達することができないわけでございまして、鉱区やりとりが行われるだけでなく、それがいつまでたつても実際には開発に着手されないということになる。こういうようなおそれもありますので、このようなケースの発生を防ぐために、同一のものが一度譲渡行つた場合は、そのもの譲渡を受ける資格を備えている場合であつても、再度譲渡を受けることができ得ないというようなことを、私ははつきりしておくべきだと思うのでございます。従つて一度棄権をしたという者は、それはすなわち国家がこれを管理すべきである、こういうふうに私は考えます。従つてこれに対する局長のお考えまた次官のお考えを明らかに示していただきたいのであります。
  24. 川上為治

    川上政府委員 大体譲渡を受けようとするものが、どこどこかというようなお話がありましたが、その地域については、私の方としましては、現在のところまだはつきり予想しておりません。現在鉱業権を持つております方々が、指定されました地域についての試掘は、私は十分できるのじやないかというふうに考えておりまして、どういう地区をどういうものに譲渡させるというようなことは、現在全然考えておりません。ただ帝国石油以外に、それではどういうものが能力があるかという点になりますと、現在日本鉱業とか、あるいは石原産業とか、あるいはその他若干のものが、私はある程度試掘についての経験なりあるいは能力を持つていると考えておりますが、非常にたくさんの数があるという点につきましては、私はそれほどはないと思う。やはり何と申しましても、帝国石油が最もこの点については経験を持つておりますし、また陣容も備えておりますし、また機械その他の設備も持つておりますので、やはりこの指定地区開発につきましては、帝石中心になることになると私は考えるのであります。  それから譲渡の問題につきましては、再度譲渡ができるかという問題でございますが、この問題につきましては、法律上はなるほど再度譲渡はできるようになつておりますけれども、大体この期限につきまして、一年間というような区分をしておりますので、やたらにやりとりするようなことは、私は現実の問題として許されないと思つておりますし、また私どもの方としましても、甲が乙に譲渡して、また乙が甲に譲渡するようなことは、絶対にしたくないという考えを持つております。
  25. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 重大な問題ですからまた承りますが、させたくないというくらいの考え方では、もうすでに、やむを得ない場合にはさせるのだという腹が局長の中にありはしないか。こうなつて来るとたいへん考え方が違うと思うのであります。一旦譲渡したものが、一年たつて乙から再び甲にもどるというようなあり方をしておつたのでは、その目的を達することができない。一たび譲渡したものは権利を放棄したという意味にも考えられるのだが、そういう場合には全部国家の管理にすべきだと私は思う。であるからその点だけは明らかにしておかなければならぬ。  もう一つ伺います。そこで秋田県の問題がありますが、秋田県の主要鉱区をたくさん持つているが、これは同様ケースとして取扱うかどうか明らかにしておかなければならない。以上伺います。
  26. 川上為治

    川上政府委員 この法律先ほども申し上げました通りになつておるわけでございますが、私どもの方としては譲渡したものがまたあとで譲渡を受けるというようなことは、この法律によりましても、資金的な問題とか、あるいは技術的な問題とか、あるいは誠実に実際やるという条件がありますので、そういうことは絶対にないと私は考えております。
  27. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ないと思うということでなく、法律解釈をして、たとえば裁判に付された場合には法律解釈から行われることであるから、明らかにしておかなければならないと思う、こういうことは絶対にさせないという建前でやつておるということを明らかにお答えを伺つておかないと困るのであります。  さらにそのほかに、もしそういう場合は国家管理——国家管理というと、何かすべてのものに統制を加えるのだというようにお考えになるが、こういうようなものは国家が当然管理すべきものである。であるから一たびいらないといつて譲渡やりとりをして、またやりとりをするようなことをやつていては何にもならないのだから、そういう場合には国がこれを管理するのだというくらいなことは当然加えなければなりません。そういう腹があるのかないのか。あるならあるのだということをはつきりしておいて、再び譲渡させるようなことはいたしませんと、はつきり言つてください。
  28. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては、そういうものについて国家管理をするということについては、今のところ考えておりません。国が管理をいたしますと、一面におきましては国が試掘をやらなくては意味がないということになります。現在国といたしましては、直接試掘をするという考えは持つておりませんので、やはり一般の民間の方々に対して試掘をやらせることが現在においてはいいと考えておりますから、お話がありましたように、これを国家管理するということは考えておりません。  それから再々申し上げますように、一ぺん譲渡したものがまたあとで譲渡を受けるというようなことは、その前に誠実に探鉱するという意思がなかつたのですから、またあとですぐそういう意思が出て来るということも考えられませんので、私の方としましては、そういうケースは絶対にないと考えております。
  29. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 くどいようですけれども、もう一度聞きます。まず一度甲から乙に譲渡した、ところが乙がその目的を達することができなかつたために、やむを得ずまた譲渡するという場合、それはどう処理されますか。
  30. 川上為治

    川上政府委員 今度の法律によりまして、試掘権の期限がわずか一年でありますので、もしこれを延長する場合においては、また許可を受けて延長するということになりまして、期間をきわめて短かく限つておりますので、そういう場合においては、延長の許可をしないで、別な人にやらせることになると考えております。
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私はどうも納得が行かない。別な人といつても相手がたくさんあるならいいのです。たくさんないのですから、あなた方が目立つところは、要するに、帝石だとか日鉱だけしかないのだが、二つしかないものが、右の手から左の手に行つたものが、また右の手にもどり、一年でまた目的を達しなかつたらこれをどうするかということなのです。また一年延期した、やらなかつたらまた一年させておく、それじや何年たつても同じことなんだ。だから一年たつて政府の意図するようにやらなかつた場合は、国が取上げて、国が持てということなのです。
  32. 川上為治

    川上政府委員 大体帝石日鉱だけというふうにはわれわれの方では考えておりません。ほかにやはり相当の能力を持つているものがある程度ありますので、私は長谷川先生がおつしやいましたようなことは起り得ないというふうに考えております。
  33. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それはどうしても局長がはつきり言えない理由はないと思う。そういう場合は、はつきりした処断をするのだというくらいのことは、言えないことがないと思いますが、次に移りますから、その間考えていただいて、そのくらいのことを言つてもさしつかえないという決意ができたら、またあらためて伺うから言つてください。  次に十九条によりますと、通産大臣は必要があるときは経理の是正、業務の改善に関する勧告ができることになつている。この経理の是正あるいは業務の改善とは、どんな内容をさすのであるか。特に配当の制限は経理の是正に含まれているのだが、こういう面も同じように考えておられるか。私は経理の是正の中には、配当の制限に関する勧告も当然含むであろうと思う。またその運営の衝に当る者が不適格であると認められるときは、業務の改善に関連して、人事について勧告ができるかできないかとうことをはつきりしておかなければなりません。この規定におきまして、石油探鉱を促進するために必要ということは、勧告を行う場合の要件となつているが、配当を制限したり、探鉱費に充当することによつて探鉱促進ができるのだ、有権的配当制限についての勧告ということもまた私は当然加えなければならない、また人事についても、適切でないとすれば当然勧告を行わなければならないと考えておるのだが、局長本法の作成に当つてはどういうような考え方をもつてこれを提案したか、明らかにしていただきたい。これは重要な問題ですから、次官からもお答えいただきたい。
  34. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては、少くとも石油探鉱を急速に実施するという目的を持つておりますので、勧告の内容については、配当の制限をしても、探鉱の方に金をまわせということを十分できると考えております。ただ人事の問題につきましては、ここでは業務または経理とありますので、人事については別に勧告の権限はないと考えております。
  35. 古池信三

    古池政府委員 この法律は申すまでもなく、石油資源探鉱を急速に促進したいという目的を持つところの臨時の措置としての法案でございますがゆえに、業務または経理の改善に関する勧告も相当政府は広い意味解釈して適用をして参りたいと考えます。また人事に対する政府の干渉という問題は、法律上の権限あるいは行為としてはいささかこの法律案からいいまして行き過ぎではないかと思いますが、行政上の指導ということは十分できるのではないかと考えます。
  36. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私はあえて国が少しくらいの株を持つているから、それをかさに着てやれという意味ではございません。しばらく前から国内資源というものをいかに生かさなければならないか、それはすなわち国家的の大事業でございまして、そういうような点のために配当を制限する、また人事を刷新するための意見を述べるというようなことは、すなわち私は、たとえば帝石にいたしましても、日鉱におきましても、その会社の育成のためにあるのだ私は思う。その育成のための一つの手段であると私は解釈をいたしております。こういうような点から考えましても、国家目的と並行してやつてもらわなければならない最も重要なる使命を帯びたところのこの会社であり、またこの会社をその目的のために到達さすべくこの臨時法案が提出されたわけでございますから、その点につきましては、十分考えてもらわなければならないし、また政府としてもただ行政指導だという意味でなく、もつと本腰を人れた指導に当つて行かなければならないと信じてやまないのでございます。従いまして、私は配当の制限や人事、こういうような面に対しまして、これを行わしめるということは、決してその会社の不利のためにではなくして、その会社を育成し、拡大強化さして行くその目的の手段であると信ずるのでございます。従いまして、こういうようなことは公表すべきである。たとえば勧告というようなものは、すみやかに公表して、勧告の発表というものを明らかに公示すべきだというふうに私は考えております。その点について次官はどういうようなお考えを持つておられますかお伺いをいたします。
  37. 古池信三

    古池政府委員 ただいまの御質問の趣旨につきましては、まつたく私も同感でございます。ただ現在の会社は、かつて昔ありましたような、いわゆる国策会社、特殊会社ではございませんので、役員を政府が任命するとかあるいは役員を政府が解任するとかということを法律上の権限としてやることは行き過ぎであろうと考えまするけれども、しかし常に厳重なる監督をいたす立場から、行政上さような目的は十分実質的において達成でき得るものと考えかつまたそういう線に沿つて運営をして参りたいと存じます。
  38. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 この十九条、通商産業大臣または通商産業局長は、この法律の施行に必要な限度において経理または業務に関する報告を徴することができるということになつております。この報告というものはどういうものをさされているのか、こういうことでございます。本法の制定の目的は、石油探鉱ということを急速に促進せしめることにある以上、重要な探鉱候補地への試掘権をほとんど独占している形になつているところの企業、すなわち帝石というようなものがあげられるわけですが、これらは当然経理上最大限度の範囲内で探鉱費の増加をはかり、探鉱活動の拡大強化をはからせようとさせるように仕向けることが本法制定の一つの眼目となつておるように私は考えるのでございまして、従つて帝石の行う探鉱活動が、事実上の独占企業体の行い得る最大限度のものであるかどうかを的確に把握することは、法の施行に必要な限度内という制限を前提にしても当然行うべきものと考え得られるのでございまして、少くとも私は次に二、三申し上げてみますが、たとえば指定地域外において行う探鉱実施計画書とか、毎事業年度の収支見込表だとか、あるいは事業計画書だとか、毎決算期における決算書だとか、こういうようなものを言うのであるか、またはほかにどういうお考えを持つてこういうものが法律の中に載つているかということをお伺いしたいのでございます。
  39. 川上為治

    川上政府委員 ただいま長谷川先生がおつしやいましたように、私の方としましては、これはきわめて広く、かつまたきわめて細目にわたつて報告を出させるという考えを持つております。この第十九条を見ますと、「鉱業権に係る鉱業権者から」というふうになつておりまして、その鉱業権というのは、試掘権だけではなくて、試掘権も全部入れての鉱業権ということになつておりますので、きわめて広く、先ほど先生がおつしやいましたように、指定地域のみならず、指定地域外の業務の状況につきましても報告させるというように考えております。
  40. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私の考え方は、つまり政府の提出された資料によつて判断をしなければならない、その判断の基礎をどこに置くかということでございます。判断の基礎がどこにあるかということは、最もこれが重要なわけでございまして、いずれにしても、いかに指導するといつても、勧告権があるといつても、一々その会社の内容に立入つて指導もなかなかできかねましようし、そういうことでございますから、その提出される書類というものは、なるべく広範囲のものでなければならない、その広範囲のものを提出をさせまして、その判断の基礎にする、その基礎の上に立つて誤らないところの私は断を下さなければならないと思うのであります。断とは何か、すなわち」あなた方がおつしやるところの行政指導は、その面によつて現われて来るのであろうと思うのでございます。でありまするから、こういう面につきましては、申し上げたような、なるべく広い範囲において提出を求めなければならないと思うのでございまして、今局長は、なるべく広い範囲と言われましたが、私が申し上げた以上にまだ広い範囲があるとするならば、どういうようなものがあるか、ひとつつておきたいと思うのでございます。
  41. 川上為治

    川上政府委員 今長谷川先生が具体的な例を述べられましたが、たとえば指定地域外のところでいろいろな業務について、たとえばどこをボーリングをやつておるとか、あるいはそれがどういうふうになつておるとか、あるいはどこどこの地域を今地質調査しておるとか、それがどういうふうになつておるか、それの金の使い方がどういうようなふうになつているか、かようにきわめて広くわれわれの方としましては考えております。
  42. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 第八条というようなものにおきまして、先ほど申し上げた十九条におきましても、まつたくこれは重要視されなければならない内容だと思うのでございまして、指定地域内の試掘権——一定の有資格者に譲渡されることになつている、この有資格者は大手二社を除いてはまだたくさんあるというような御答弁でございますが、資本力、技術力の乏しいものに譲渡しても無意味であろう、そこで結局はピンポン玉のというような言葉が出るわけでございますが、このようなやりとりばかり行つておるということになると、私が心配して申し上げたような結果となるのでありまして、そういうような点には十分断固とした腹をもつて臨んでいただきたいと思うのでございます。  次に、今提出する法案というものは非常にりつぱな法案だと局長みずから自負した法案でありますが、それほどのものでもないようにも見受けられますが、局長としては幾らか前進の感があるやにも見受けられますので、大体以上申し上げたような点については十分御留意願いたいと思います。  石油に関連して通産局長に伺いますが、局長は、日本の石油状況と言おうか、こういうことを一番よく知つているのだが、二十八年度に九百万トン、二十九年度にはおそらく千二百トンばかり、これでは国内をまかなうことができようはずがありますまいと私たちは考えております。そこで原油と精製したものと両面から輸入をされるのだが、この輸入もそう長くはない。今川上局長は五箇年間には大体七百万トンの石油を出すという腹で行くのだから、あなた方にはそうたくさん心配させることはないと思うけれども、大体五箇年間の第一歩を行くわけだ。そこで伺うのだけれども、あなたは原油を持つて来ることと、精製されたものを持つてくることと、どちらに重点をおいて輸入をやられているかをまず伺つてみたいと思うのでございます。
  43. 牛場信彦

    牛場説明員 石油の需給関係は鉱山局の方で主としてやつておりますので、私の方では輸入が幾ら必要かという点を鉱山局とよく相談しましてからきめておる立場でございます。それで原油と精製とどちらに重点を置くかということでありますが、私どもの立場からしますれば、主として外貨の面から、どちらが節約になるかという点に重点を置かざるを得ないわけであります。現在におきましては原油の方に重点を置いておりまして、それに対して国内の価格の高騰を抑制し、かつ国内ではまだ十分できないようなものを入れるという意味におきまして石油の輸入を行つているというのが現状であります。
  44. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 原油と精製したものと考えたときに、外貨の点から原油に重点を置くというのだが、それはどういうところからのお話か、明らかに御説明願つておきたいと思います。
  45. 川上為治

    川上政府委員 私から……。
  46. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたが答弁をしたのならとにかく、うしろの通商局長が外貨に重点を置くと言うのだが、その重点というのはどういうことかわからぬから聞くのです。
  47. 牛場信彦

    牛場説明員 原油を輸入しまして、それから揮発油、重油、軽油というようなものができておるわけでございますが、このプロセスは私もしろうとなもんでございますから、よくわからないのでございますが、とにかく値段の点から申しますと、原油を入れた方が外貨の節約になるというように私どもの方で考えておる次第であります。たとえば揮発油にいたしましても、現在製品を輸入すればFOBで一キロリツトル当り自動車用のものは三十ドルくらい、飛行機用のものは五十ドルくらいになるわけであります。これに対して原油の方は一バーレルで大体二ドル見当ということでございますから、これをキロ・リツトルに直しましても十三ドルくらいになるわけでございます。しかしこれだけでは標準になりませんので、詳しいことはひとつ鉱山局の方から御説明願つた方がよいと思います。
  48. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ですから外貨の面に重点を置かなければならないということを言わなくてもいいのです。そういうことを言うとあなたの答弁はしどろもどろになつて来るのです。それじや精製したものにFOBがないかというと、ある。それはだめです。それじや簡単に最後に伺つておきますが、私の考え方は、英国から石油を入れてアメリカからは石油を買うなというのです。アメリカから物を買う場合には、石油でなくても買うものはたくさんある。いずれにしてもあなたがしなければならない通商という観点に立つて、英国から石油を買つて、アメリカから石油を買わないで、他の物を買えという考え方を私は持つております。意見をたくさん述べろというならば持つております。こういう考え方をあなたは持つたことがあるか。従つてその一点として、たとえばあなたの重点を置くという原油を持つて来るにしても、一番近い所から持つて来られて、そうして国内に持つて来て精製したときに、その結果は揮発油分が非常に多いパーセントを示しておる、こういう点から考えてもまたしかりと私は信ずる。あなたの御承知のように、可燃性織物の問題もある、まぐろの問題もある、陶器の問題もある。何もアメリカばかり考える必要はないと思う。そういうふうにあなたの考えていることを一変して考え直して行つたらどうかと私は思うのだが、その点ひとつはつきりお答えください。
  49. 牛場信彦

    牛場説明員 石油は現在大体アメリカ系の会社とイギリス系の会社で全世界の石油を支配しておるようでありまして、片方から買うということもなかなか参らぬ現状におきまして、日本の石油精製会社と外国資本との結びつきの関係もございます。やはりお互いに妥当な割合でもつてつて行くということが一番いいだろうと思います。戦前の状況を見ましても、やはりドルとポンドとはドルの方が少し多いくらいの割合であつた状況でありまして、現在におきましてもやはりドルの方に幾分比重がかかつておるということは現状からやむを得ないと思います。もちろん近い所から持つて来るということが一番けつこうなことでありますが、アラビアなどにいたしましても、あそこにはドル系とポンド系と両方ありまして、どちらから買うかによつドル払いあるいはポンド払いとなるわけでありますが、距離の点は違いがないということになつて来ると思います。
  50. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 距離の点はともかくとして、私の考え方は、つまり通商の関係については非常な圧迫を加えておる英国であり、そういう点については私は可とするものではありませんけれども、そういう方向への転換の通商ということを考えたならば、これはまた一、二考えられる新しい面が打開できるのではないか、こういうふうに考えるのでございまして、たとえば今度の日本の可燃性織物のような点につきましても、まぐろのような点につきましても、アメリカはわれわれがそう喜ぶべき取引先でもありますまい。はかりにかけてみればどつちもどつちだ。われわれもあの人たちをそう信頼して行く必要もないのであつて、どつちがどうということは考える必要もないけれども、そういう方向に転換して行つたならば、あなた方の目的とする通商というもののかてがそこにある。従つて石油の問題をあなたに直接聞くのもおかしい話であるが、私はあなたとは考え方を異にいたします。なるべく原油を持つて来るなということです。なぜ持つて来るなと言うかというと、私の考え方をあなたは御承知ないかもしれないが、たとえば石油事情が日本より悪いイタリアにおきましても、フランスにおきましても、石油化学というものをやつてつて、一たび原油を持つて来れば余すことなくこれを全部高度化して使つておる。こういう点でありまして、逆に日本は原油を持つて来ても、せつかく持つて来た原油を余すことなくというわけには行かない。石油化学までやつて、余すところなく資源を高度利用するというところにまわしてやるべきだ。あなたは御存じないかもしれないけれども、先日日本の業者を呼びましたところが、日本の輸入業者は、自分たちが小さいために、そういう化学までやるだけの規模を持つておらないと言うんです。規模を持つておらないというならば、資本を統合して一つものになつてやれと言つたらば、それもでき得ないと言う。でき得ないというならば原油を持つて来てはならない。精製したものを持つて来い。精製したものと原油で持つて来た価格の相違というものは、あなたのおつしやるように利益になるというようなことは、大間違いでございます。そうじやないのです。かえつてマイナスになるという今も御意見がございましたが、その通りでございます。だから原油に重点を置くんだという考え方は、改めていただかなければならないと私は思うのでございまして、申し上げたような点から考えて、原油はなるべく少くして、精製したものをたくさん持つて来い。その精製したものも重要度に応じて、利用度に応じてそれを持つて来い。いやがおうでも一つの原油を持つて来れば一つのパーセントのものしか出て来ない。そうでなく、最も重要視されるようなものだけを持つて来い。そうなつたならば、あなたの外貨の御心配もなくなるのではないか。こういうふうに考えられるわけですが、あなたのお考えはどうでございましようか、ひとつつてみましよう。
  51. 牛場信彦

    牛場説明員 ただいまの御説の中には非常にごもつともな点もあると思うのでございますが、なおよく研究いたしまして、妥当な線を出して参りたいと存じます。明年度におきましても、製品輸入は大体本年度とかわらない程度には行つて参るつもりでおります。これは鉱山局長の方から申し上げた方がいいと思いますが、ただ国内の施設等もだんだん改良されて参りまして、日本の国柄から申して、なるべく原料に近いものを持つて来て、国内で精製するという方が、原則論としてやはりいいんじやないかというふうに考えております。
  52. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたがみずから石油の方は鉱山局長というお話でございまして、きようの新聞を見ますると、鉱山局長意見との食い違いがあるようでございます。私は鉱山局長意見を支持します。というのは、あなたみずからが石油鉱山局長というふうに言われるのですから、すでにあなたが鉱山局長の御意見はその通りであろうというような裏づけがございます。であるから私は鉱山局長の御意見の方が、まつたくしかりであろうと思う。精製したものをたくさん持つて来い、その方が日本自体の経済上有利であると考えるのでございまして、あなたもなるべく鉱山局長の御意見従つて、精製したものを持つて来るように、ひとつ本日よりお気持を転換していただきまして、あなたがさきほどおつしやつた石油の方は鉱山局長がという、その鉱山局長の御意見に従うようにぜひお願いを申し上げます。
  53. 牛場信彦

    牛場説明員 決して私と鉱山局長意見が違つておるということはないのでございまして、来年度の輸入量につきましても、先般来ずつと打合せまして、意見が完全に一致しておりますから、どうかその点は御安心願いたいと存じます。
  54. 大西禎夫

    大西委員長 次に川上君。
  55. 川上貫一

    川上委員 私の質問はごくわずかでございますが、政務次官にお聞きしたいのです。国内の石油の問題でこの法案も出ておりますし、政府もいろいろ考えられておるのだが、私はどうも日本の石油精製の全体というものを見ないで、形式ばかりのことを政府考えておるようなんだけれども、問題にならぬのじやないか。この点で御意見を伺つて参りたいのですが、言うまでもなく日本の石油精製会社というものは、日本石油を初めとして、東亜燃料でも興亜でも三菱でも昭和でも、すべてアメリカの資本を中心とする外資に握られてしまつておる。しかもこれが原油の供給という条件だけで五〇%、東亜燃料なんかは五五%の株を外資が握つておると思うんですが、そういうことで重役の半分、あるいは副社長はみんな主としてアメリカ人がやつておる。会社の損益勘定は、アメリカが一方的に計算をしておるわけです。これは会社独自の計算にはなつておらぬはずであつて、向うさんがかつてに損益勘定を計算して、そうしておいて、その利益の半分を渡さなければならぬ、日本自身で石油の独自の販売網を持つことはできないという契約になつておる。アメリカ人といえば、たいへん特権者のようになつてつて、非常にたくさんの支配人がおり、顧問がおるが、チンピラの小僧つ子でも月給三十万円以下はない。普通のアメリカ人は月給八十万円以上とつておる。こういうアメリカ人がたくさん入つておる。石油の価格は、完全な国際カルテルの独占価格であつて、これは競争者がない。その結果、三菱石油あるいは昭和石油のごときは、七億円ないし八億円の利潤をあげておるといわれておる。こういう連中が日本の石油生産の九〇%以上を占めてしまつておる。これが問題だと思う。この問題を考えずして、帝石の問題、政府が監督をするとかなんとかいうような問題、こんなものをいじくりまわしておつたところで、一体日本の石油問題についての政策が立つのか。  そこで今度の法律なんというものは、日本の石油政策としていい悪いと言うに値せぬほどのものじやないか。なつちやおらぬのじやないか。そこで私の聞きたいことは、この日本における石油生産の九〇%以上を占めておる外資、日本の自主性をまつたく失うてしもうた石油事業、これをほつておいて、このまま助長さしておいて、これで日本の石油政策が立つと一体政府考えておるのか、あるいはこれはもはや何ともしようがないのだ、政府ではもう矢も鉄砲もたたぬのだ、だからこれはそつとこのままにしておくよりしかたがないから、そこでせめて帝石でもいじくつておこうというくらいに考えておるのか。第三点は、この日本の石油生産の問題について、根本的な考え方があるのかないのか。この点をまず第一にお聞きしたい。
  56. 古池信三

    古池政府委員 申すまでもなく現在の文明国におきまして、石油の持つておりまする機能といいますか、重要性というものは、非常に重大なのであります。しかるにもかかわらず、わが国ははなはだ残念ながら石油の資源には乏しいのでありまして、総需要量に対しまして、きわめて僅少の量しか国内では生産されておらず、その大部分を外国に仰がなければならないという弱い立場にあるのであります。これは一つは自然的な条件でありまして、相当努力をいたしましても、究極においてやむを得ないことではあると思うので刈ります。そこで私どもといたしましては、この重要なる、国民生活にとつても、あるいは国家の産業にとつてもきわめて重要なる石油を、将来にわたつてでき得る限り確保して行く、そのためにはこの油の性質からいつて、どうしてもこれを多量に有しておる国家との間に、国際的な協調を十分にとつて行くということは、やはり政策として必要じやなかろうかと考えます。そうして少いといえども、若干わが国に恵まれております石油は、この際あらりゆる手を講じて、極力これが採油の促進に努めて行く、でき得るだけは国産の石油でまかなつて、足りないところは、非常に多いのでありますから、これは輸入にまたなければならない。この輸入に関しましては、できるだけ国際協調ということを考えつつ、円満に将来も行われて行くようにいたしたい、これがわれわれの考えておるところであります。その前提として、石油資源につきましてわが国は非常に貧弱な、弱い立場にあるということをぜひ明に置いてお考えを願いたいのであります。
  57. 川上貫一

    川上委員 これは国際協調でも何でもないと思うのです。あくまでもこういう問題は商関係の問題であつて、何も外交関係の問題でも何でもない。商行為です。それから第二の問題は、国際関係なんというものじやなくて、大体アメリカにとられてしまつておると言つてもよい。この状態をよいと前提して石油政策を立てておられるのであるか、これでは困るということを考え石油政策を考えておられるか、この点なんです。この点をはつきりせぬと、政府石油政策というものは合点が行かないことになるわけなんです。
  58. 古池信三

    古池政府委員 お話のごとくに、石油を輸人するということは商行為と申しますか、商売には間違いありません。その通りでございますが、しかし現在の世界の情勢を考えてみます場合に、やはり商売といえども、必ずこれは円滑なる外交というものと相伴わなければ十分に運行ができないものと私は考えます。外交は外交であり、商売は商売であるということは、観念的には区別して考えられますけれども、実際問題といたしますならば、外交と商売というものが相伴つて行くところに、初めて円満に目的を達することができるのではないだろうかと思うのであります。それからアメリカにすつかり押えられておるのではないかという仰せでございますが、なるほどこれはさような御見解もあるかもしれませんが、しかし現在率直に考えまして、日本の現状としては、自由国家群の一員として独立をしておる関係上、アメリカを主軸とする自由国家群と親密なる国際協調を保つて行かなければならぬということは当然なことでございまして、ただ一概にアメリカに押えられておるとのみ考えることも、どうかとわれわれは思つておるのであります。
  59. 川上貫一

    川上委員 これは押問答をしてもしかたがないと思いますが、日本の石油精製事業は、一概にアメリカに押えられておらぬというようなことを、これは政務次官だからしかたなしに言うておられるだろうと思いますけれども、あなたが野党になつた時分にもそういうことを言えますか、そんなことが普通の常識をもつて……。あなたの立場はちよつと同情します。しかしあなたがかりに野党議員になつたときに、これはしかたがないなと言えますか。ほんとうはどう思いますか。
  60. 古池信三

    古池政府委員 たいへん御同情のある御質問を伺いましたが、私は決して向米一辺倒でも何でもないのであります。率直に公正に現在の日本の立場を考えてみます場合に、どうしてもアメリカとは親密な関係を維持して、その力をわが国が十分に利用して参らなければならぬ。あるいはこれの援助を十分受けて行くことが、今の日本としても必要ではなかろうか、こう考えておりますので、かりに私が野党の立場になりましても、そのことは間違いないと存じます。
  61. 川上貫一

    川上委員 これはこれ以上やりますまい。しかしこれはしかたがない、アメリカさんの言うことを聞かなければ日本はどうもならぬのだから、どうやられてもやむを得ぬという御答弁だと思うのですが、これは腹の中では、おそらく政務次官も、困つた問題じやろうと思つているだろうと思いますが、日本としてしかたがないという答弁だつた。  そこで第二点ですが、この会社が再軍備計画と呼応して、生産を倍加しようとしていると思う。この点は私は直接タツチしておりませんから、間違つておればそれを指摘してもらいたいと思いますが、現在十三万八千バーレルくらいの生産を持つていると思いますが、これが第一次で二十万一千八百バーレルくらい上つて行く、第二次で二十八万バーレル以上に上る五箇年計画くらい持つておりはしないか、こう思うのです。これはまことに厖大な生産になつて、その原油は全部カルテツクスとか、シエルとか、スタンダードとかいうのが独占的に日本につぎ込んで、ほかのを飼うことができない。そうして版元もこの会社と提携しなければ、独自に販売もできない。そうすると、日本の石油生産事業というものは、これはまつたく外資導入の会社、言いかえれば外資に押えられてしまうので、こういう計画になつているかどうかということが第一点。  それから日本が五箇年の後に、日本の石油の需給関係、生産関係の上で、全生産量のどのくらいの量をこの外資導入の会社が持つようになるか。今90%ぐらいだろうと思いますが、この比率、これが第二点。それから第三には、全体の輸入抑制によつて原油の輸入を抑制するかどうか、来年この考えがあるかどうか、これが第三点ですが、まずこれだけ承つておきます。
  62. 古池信三

    古池政府委員 将来の増産計画について、今相当大きな御数字をお示しになつて、そういう計画があるかどうかというお尋ねでございますが、私はそういう計画を聞いておりません。なお念のために鉱山局長にも尋ねましたところ、鉱山局長もそういう計画は知らないということでございます。  それから明年度の輸入計画につきましては、目下外貨予算編成中でございまして、決定を見ておらぬのであります。
  63. 川上貫一

    川上委員 そうすれば、外資導入会社は今増産計画はないのですか。これは鉱山局長でも、よろしゆうございます。
  64. 川上為治

    川上政府委員 私はそういう五箇年計画というものは全然聞いておりません。ただ各社の方である程度の拡張を希望し、またそれをやろうとしていることは事実であります。私の方としましては、現在の設備の状況からいいまして、過剰投資にならないように極力現在以上に各社がふやさないようにということは、いろいろ勧告いたしております。
  65. 川上貫一

    川上委員 それはちよつとおかしい。現在いろいろ拡張工事をやつておる。計画をどんどん進めておる。そして資金をどこからか借り入れておる。五年後における二十八万八百バーレルの計画は、間違いありません。これを知らないのですか。ほんとうに知らないのですか。
  66. 川上為治

    川上政府委員 四日市の問題と徳山の問題、これを除きましては、私の方としては従来とにかく認めておる以上については、全然それの増設については関係しておりません。
  67. 川上貫一

    川上委員 そうすると政府帝石の問題とか、今度の法律まで出してどうとか言つておりますが、この外資の会社がどういう計画をしておるのか、日本の石油生産がどうなつておるのか、五年後にはどういうぐあいになるのか、全然知らずに帝石をいじくつておるのですか。この法律はそういう法律ですか。これはとんでもないと思う。そんなことで帝石を助けるとか、検査するとかして、何をしておるのですか。話にならないと思う。そうすれば、今後の日本の石油生産計画について、政府は何にも計画を持つておらない。見通しも持つておらない。また外資の入つておる会社がどういう計画をしておるか、一向知らない。考えておらないのですか。この点はどういうことになるのですか、これを政務次官なり、鉱山局長でもけつこうですから、御説明を願いたい。
  68. 川上為治

    川上政府委員 国内の石油開発については、今まで再々申し上げておりますように、私の方としては単に五箇年後において百万キロリットルという程度ではなくて、なるべくよけいに生産ができるようにということでいろいろ進めております。またこの法律も、それを容易ならしめるための法律考えて、私どもは提出しておる次第であります。  それから精製の方については先ほども申し上げました通りでありまして、各社がかつて自分ではそれぞれ考えておりましようけれども、私の方としては、現在の設備が過剰設備にならないように、それから外貨の現存の事情なり見通しなりを考えまして、日位市の問題とかあるいは徳山の昭和石油に認めましたもの以外については、現在私の方としては、精製設備を増強することは考えておりません。
  69. 川上貫一

    川上委員 それでは全然石油生産についての総合的な計画は、政府は持つておらないということが明らかになりました。また各社の考えておることは、何を考えておるか知らないという御答弁でありますから、総合的石油生産計画政府にはないという結論になります。そこで今の御答弁によると、百万キロリットルを計画しておるということですが、これは審議会の方では、年額十億を出して五箇年間に百万キロリツトルと言つておる。ところが一億三千万円しか出しておらない。これでは何年かかるか。そういうあてずつぽうの答弁をしてはいけない。十億を投資して、審議会の答申は百万キロリツトルの可能性がある言つておる。ところが政府は、一億三千万出すという。それで百万を考えておるというのは、何年間にやるのですか。
  70. 川上為治

    川上政府委員 審議会の答申としては、おつしやる通り初年度においても十億程度助成金を要求したのですが、いろいろな予算の問題がありまして、これが一億三千万円ということになつたのです。私どもとしては、初年度においては一億三千万円出ることになつたのでありますけれども、これを極力有効に活用し、また帝石その他の自己資金あるいは開銀その他の融資等を考えまして、この五箇年計画は、最初の計画通りにはとても行かないと思いますけれども、次年度以降においては、助成金についても極力よけい出してもらうように、私の方はやりたいと考えております。最初の程度では、とても五箇年計画は遂行できない、それはあてずつぽうだとおつしやいますが、私の方としては、次年度において極力助成金をよけいいただいて、開発を所期通り進めて行きたいという考えを持つております。
  71. 川上貫一

    川上委員 政府はまつたくいいかげんな答弁をしている。これではいけないと思う。五箇年計画なんかは、緊縮予算とか言われてはできませんと、なぜ言われないのか。はなはだ困つておりますというように言わないと、国会の審議はほんものになりませんよ。来年度十億も十五億も出して行きますか。そんな見通しは全然ないじやないか。来年度出すくらいならば、ことし出せばいい。これはフランスのように二十億、三十億をつぎ込んで大々的な探鉱をやつて、その結果百万なら百万になるのであつて、一億やそこら出してみたところで、どうにもならないのです。だから私は思うのに、政府は五箇年計画と言つておるが、これは放棄したものといわなければならない。これでは困りますということを、なぜ国会に言えない。これでやるつもりでおりますと言つておる。まるで自由党のお先棒になつておる。私はこれでは政府当局はいけないと思う。これでは石油の五箇年計画はおじやんだということがわかる。そうすると、この法律は要領を得ないのです。賛成しても賛成しないでも大したことはない、こういうものを通産委員会で三日も四日もいじらせる、これは妙な話です。石油政策をどうするとか、何もありはしないじやないですか。  もう一つ続いて聞きますが、重油の輸入を抑制するということを政務次官は言われるのですが、育成しなければいけないのじやないですか。国際収支の外貨の関係はどうですか。
  72. 古池信三

    古池政府委員 その前に、国産石油の五箇年計画はもうこれでおしまいではないかというお尋ねでございますが、なるほど率直に申しまして、できますならば二十九年度から政府の補助金を十億円程度支出してもらいたい、かように考えておつたのであります。これは御承知の通りと存じます。しかし本年の財政状態からいつて、これが許されませんで、一億三千万円に削減されたことは、私どもの立場から言えばはなはだ遺憾なことでございます。しかしそれだからといつて、刻下重要な国産石油開発計画を決して放棄したわけではないのでありまして、今後もできるだけの手を講じて、所期の目的を造成するように努力したいつもりでございます。先ほど鉱山局長からお答え申し上げましたのも、そういう意味においてお答え申し上げたはずであります。それじや来年十億出ないじやないかというお話でありますが、三十年度のことはちよつと今から予想はできませんけれども、私どもとしては、来年度、来々年度においても何とかして十億程度あるいはそれ以上を出してもらうように、努力は続けて参りたい、かように考えます。次に、二十九年度は、御承知のように非常に外貨事情が窮迫しておりますので、あらゆる物資について相当抑制しなければならないことは申すまでもありません。しかしその中でも、特に国民生活に重大なる意義を持つております物資であるとか、あるいは輸出産業の原材料のようなものについては、できるだけ抑制の程度を少くしたい、こういう考えでおるのであります。先ほどお答えいたしましたように、各品目別にどういう予算を立てて、外貨の割当をするかということは目下検討中でございまして、おそらくこれが決定を見るには、早くとも今月一ぱいはかかるだろうと存じますので、そのことを申し上げておく次第であります。
  73. 川上貫一

    川上委員 そうすると今の答弁では、原油の輸入抑制はあまりしないというように受取れるのですが、そう受取つてよろしいか。
  74. 川上為治

    川上政府委員 原油の輸入抑制でしようか、重油の輸入抑制でしようか。
  75. 川上貫一

    川上委員 原油、重油とも。
  76. 川上為治

    川上政府委員 これは外貨の問題、特に重油につきましては、石炭企業との関係ということを考えまして、大体重油につきましては二十八年度程度考えておりまして、ほかのガソリンとかあるいは燈軽油とか及びそれの原料としての原油、そういうものにつきましては現在におきましてはそれほどひどく抑制するという考えは持つておりません。
  77. 川上貫一

    川上委員 そうすると通産省の考えておる燃料源の石炭への再転換というのはどんなことになるのですか。あれはもうやらないのですか。
  78. 川上為治

    川上政府委員 ただいま申し上げましたように、石炭との競合の問題になります油は重油だけでありますので、重油と石炭の調整につきましては、現在いろいろ私の方でも考えておりますし、かつまたこの委員会におきましても、資源小委員会を設けられまして、そこでいろいろ検討していただいているわけでありますが、私どもの方といたしましては、最近の重油が非常に伸びて来ておる。石油関係の外貨の大半が重油でありますので、そういう外貨の面からいいましてもある程度これは抑制しなければならぬ。また石炭企業との関係からいいましても抑制して、極力石炭を使えるものに対ししましては石炭を使うように持つて行くべきだという考えを持つておりますので、重油につきましては抑制の道を講じ、また石炭の方に転換して行くような行政指導をして行きたいというように考えております。
  79. 川上貫一

    川上委員 少しこれは長くなりましたが、そうすると外貨の割当の関係、国際収支を改善する関係で、重油その他は抑制するというのですが、一方においては、石油会社の方は原油にしろ重油にしろたくさん使うような拡張計画ができておる。一体こんな抑制をしてアメリカ側が黙つておりますか。この点をひとつ正直に言うてもらいたい。圧力があるでしよう、また向うの外資が入る会社というのはそう弱い会社じやない。これは政府と力を合せておる。これがそういう抑制について黙つておりますかどうか。政府にほんとうにその決心があるかどうか。  第二に、それをやると無為替輸入ということになる。これに対してはどういう手を打つか。
  80. 川上為治

    川上政府委員 外資なりあるいはほかの国がこれを黙つておるかという問題ですが、私は、これは日本の内部でやることでありますから、別にそういう抑制をいたしましても問題はないと考えておます。それから外貨の事情からいたしまして、私どもの方としましては、あるいはバーターとかそういうような方式によつて輸入されることが非常に望ましいのでありますけれども、このバーターというようなことにつきましては、そう簡単に必ずしもできないような状況にもありますので、そんなにたくさんバーターというものはできないのじやないかというように考えております。無為替輸入の問題につきましては、私の方としましては現在は極力これを認めていないというような状況でございますが、これはひとつ通商局の方からお話を聞いた方がいいのじやないかと思います。
  81. 川上貫一

    川上委員 無為替輸入はもう出ておると思うのです。これは石油産業には特に強いのです。こんなことはなかなか聞きやしない。実際に私は言うておくが、抑制するといつておりますが、させはしないでしよう。こんなことをしたら、向うは黙つておりますか。それをつつぱねられるぐらいなら、さきに政務次官の言われたように、われわれが自由国家に協調するのは日本の利益になると答弁しやしない。こんなものをつつぱねられるか、こんなものをやる元気はない、できやしないということを申し上げておきたいと思います。  そこでもう一つ聞きたいのは、非常に有利なソ同盟からの原油、重油を、日本海の精製工場の拡大とともにこれを非常に考えて、大量的にこの輸入をするという考えがあるかどうか、この輸入によつて法外な独占横暴をきわめておる石油の国際カルテルに対して、日本の利益のために対抗するというような考えがあるかないか。有利なソビエト同盟からの輸入をもし考慮しておらぬとすれば、なぜこれを考慮しないのか、これは政務次官の方から伺いたい。
  82. 古池信三

    古池政府委員 これは先ほど御指摘になつたような商売の問題でありますから、日本で必要とするものならば、先般も石炭は輸入をいたしておりますし、木材の輸入も相当具体化しておるように承知しておるのでありますが、石油につきましても、諸条件が備わるならばさしつかえないのじやないかと今のところ私は考えております。
  83. 川上貫一

    川上委員 これは、これ以上は聞きません。それから先は妙な押問答のようになつてしまいますので、これでやめます。次には、この問題については通産大臣にももう一ぺん聞かなければならぬと思いますので、もう少し質問を留保しておいて、本日はこれで私の質問を終ります。
  84. 大西禎夫

    大西委員長 この際一時半まで休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————