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愛知国務大臣 まず最初の総合的の考え方の問題でありますが、これは一月に予算案を提案いたしましたときに、国際収支の見通しにつきましても申し上げた通りでございます。その後も常時情勢の転換を見ながらさらに
計画をよりよくつくりたいということで、総体といたしましては
先ほど来申し上げておりますように、大体輸出とか特需の伸びを手がたく見まして、その場合におきましても、収支の均衡ということは三十年度とあわせて考えるということにして、二十九年度ではあまり度はずれた均衡主義をとることはかえ
つて国内への影響もいかがかと思われますから、大体九千万ドルから一億ドルの赤字はやむを得ない、その範囲において
輸入の
計画を立てる、同時に輸出一についても、特需についても、できるだけ努力を一方において払
つて行
つて、できれば
輸入計画の方をさらに増加するように考えたいということを基本的な考え方とし、かつ
国内の、たとえば鉱工業生産等でいえば、総体としては二十八年度と同じくらいの規模においてや
つて参りますために、所要の原材料の確保をはかりたいというようなことを基本的な考え方にしております。
それから前会にも御
説明いたしたかと思いますが、大体
外貨の
計画をつくります場合に、数点の基本的な方針について、まず
政府部内で思想の統一をはかりたい。そこでこれは
輸入だけではございませんが、輸出の振興ということをあわせて考えなければなりませんから、たとえば輸出のリンク
制度というようなものについても
改善の余地が
相当あると思いますので、原材料と輸出品とのリンク制について
改善、拡充をやりたい、加工
貿易を拡充する、求償取引の
促進をはかる、そして
外貨の受取りを一方において増大するように努力しようということが第一点でございます。それから第二点は、輸出及び特需の原材料、合理化機械の
輸入を確保するということを考えております。それから第三番目には、重要な民生物資については、国民生活の安定のための必要量は極力確保するように努める。それから第四には、通商協定上やむを得ない場合を除きまして不要不急物資の
輸入は行わないという原則で、
外貨予算を編成したいと思
つております。それから第五番目には、自動承認
制度については、日英協定といつたようなことから、約束したやむ々得ない場合を除きまして、思惑のおそれのある品目または
金額の大きい品目等については、できるだけ自動承認制から割当品目にこれを切りかえるというようなことを考えております。それからこれはすでに実行いたしておるのでありますが、六番目には思惑の防止、
輸入抑制のための担保率の引上げ、保証金の現金
指定、日銀預託期日の
延長というようなことを、これは
外貨予算の編成と同時あるいは並行してやろうということにいたしたわけであります。次に具体的な品目についてのお尋ねでございますが、これは何べんも申しますように、まことに恐縮でありますが、はつきり二十九年度について、特にたとえば上期にどういうふうにしたい、下期にどういうふうにしたいというところまでまだできておらないのであります。一、二の例で申し上げますと、たとえば砂糖でございますが、砂糖の問題についてかりに二十七年度と二十八年度の現在の状態とを比べてみますと、二十八年度の供給量を約二割減るものと仮定しましても、二十七年度の消費量から見ればなおかつ一割以上上まわる量になるわけでございます。
一般家庭で直接購入しておる量の約二倍以上は、二十七年度の一割以上上まわる量ならば確保ができると考えております。それから繊維原料である原毛等につきましては、同様に二十八年度の供給量をたとえば二割近く減つたといたしましても、二十七年度の供給量からいえば約二割の増加となるわけでございます。また
石油等につきましても、二十八年度の平均と、かりに二十七年度と比べてみますならば、ガソリンでは三割強、重油ではさらにそれ以上の供給の増加になるというようなことになるのでありまして、私の方でもまだ漠然たるところで、具体的な数字を申し上げるに至りませんが、二十七年度に比べれば
相当の量が増加をする。それから二十八年度のことで特に申し上げておきたいと思いますのは、たとえば昨年の十月—十二月というような期間は、各物資について実績がきちつとわかるわけでございます。特にその期間が非常にふえておりますので、この期間を延ばしてかりに一
年間と考えた場合には、それに比べれば二十七年度の一割増しくらいのところでありますと、その差が非常に大きいので、直接最近のところと比べてみますればかなり大幅な削減になるのであ
つても、二十七年度に比べればまだ
相当上まわるという
程度のところでこの
外貨の割当
計画がつくられるのではなかろうか、それを基本にいたしまして、その場合、たとえば
石油等については、農村、漁村方面のどうしても油がなければならないものについてはどういうふうな
措置を講じたらいいだろうか、その場合におきましても、ただちに戦争中を思い出すような切符制というようなことはなるべくいたさないで、そのほかの
措置で行きたいものだという気持で、いろいろと今案を考えておるような
状況でございます。