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1954-02-12 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十二日(金曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君    小川 平二君       小金 義照君    田中 龍夫君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       柳原 三郎君    加藤 清二君       中崎  敏君    川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月八日  石油資源開発に関する請願松岡俊三君外一名  紹介)(第八六五号)  工鉱業地帯整備促進法制定に関する請願(關内  正一君紹介)(第八六六号)  発電地方に対する電気料金低額制度設定に関す  る請願(關内正一君紹介)(第八七二号) 同月十一日  石油資源開発に関する請願北れい吉紹介)  (第一〇九二号)  産業工芸試験所九州出張所存置に関する請願(  山崎巖紹介)(第一一二三号)  電力料金値上げ反対に関する請願中澤茂一君  紹介)(第一一二九号)  同(降旗徳弥紹介)(第一一三〇号)  同(小川平二紹介)(第一一三一号)  同(松平忠久紹介)(第一一三二号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  商工組合中央金庫並びに国民金融公庫に対する  資金増額陳情書  (第三七六号)  中小企業振興対策に関する陳情書  (第四五二号)  中小企業等協同組合共同施設補助増額に関する  陳情書(  第四五三号)  中小企業相談所助成金増額に関する陳情書  (第四五四  号)  中小企業設備近代化に関する助成強化陳情書  (第四五五号)  中小企業専門金融機関に対する政府指定預託金  引揚げ延期等に関する陳情書  (第四五六号)  同(第四  五七号)  貿易振興施策の確立に関する陳情書  (第四五八号)  日中貿易促進に関する陳情書  (第四五九号)  石炭鉱業企業整備に関する陳情書  (第四六〇号)  日米石綿工業株式会社設立反対に関する陳情書  (第四六二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  通商産業政策基本方針に関する件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより開議を開きます。  通商産業政策基本方針に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありまするのでこれを許します。中崎敏君。
  3. 中崎敏

    中崎委員 まず私は通商産業政策に関する問題の一つを取上げてみたいと思うのであります。それにはこの石油問題とそれから映画の問題について質問してみたいと思うのであります。そこで石油の問題につきましてこの前ちよつと質問しかけたのでありますが、大臣の都合でというので、時間を早める関係上、途中でこれを打切つたのであります。それを引続いてここで質問してみたいと思います。  まずこの石油はほとんど国内産のものが少いという事実、しかもその石油というものは相当多量に要し、あらゆる国の経済、生活の根源であるということはこれは言うまでもないところなのであります。従いましてこの石油政策というものはきわめて重要な国の政策一つであるというふうに考えて参つておるのであります。そこでまずこの石油に関する政策につきまして――現在の日本石油業界のあり方というものは占領政策一つの大きなる落し子であるのではないかということを私たちは痛切に感ずるのであります。言いかえますと、マツカーサーが日本占領以来、相当この石油の問題については重大な関心を持ち、日本石油市場独占の大きなる礎をつくるために、相当に無理をして来ておるというような事実をわれわれは素直に認識しなければならないのではないか。そこでこうした事実というものは、非常に日本の国にとつては重要な問題でありますから、こうした大きなる橋頭をつくり上げられたのだが、その橋頭堡をいかにして今度は日本の国全体のためにとりもどして行くか、くずして行くかという方面に大きなる手が打たれなければならぬと考えておるのであります。  そこで具体的に一、二の例を申し上げますと、まずこの占領政策は、始まりますと間もなく日本石油精製工場に対しまして強力に、これは戦争推進の大きな力ともなり、あるいは侵略の土台になつたというような理由等を含めて石油精製工場を全面的に閉鎖する、あるいはこれを全部取上げるというふうな強い命令というか、方針日本政府に示された。そこで日本政府はもちろん業界においても相当この問題に重大な関心を持つておりましたが、結局においてこの石油工場の閉鎖を一時がまんしておいて、そのかわりどういうことになつたかというと、日本石油精製工場を持つているところの石油会社に対して大きなところの外国資本を導入せざるを得なかつた。たとえば日本石油にいたしましても、あるいは東亜燃料にいたしましても、これなど最も代表的なものでありますが、その資本の五〇%以上をこれらの外国資本によつて持たれる、これがしかも英米のいわゆる石油カルテル系統に属するものである。言いかえれば世界の石油カルテルでもつて占領を契機として強引に強行されて、日本の重要な石油鉱業のほとんど主導権を握られているのが日本現状である、こうした現状を見るときに、現在においては日本において供給する石油の七〇%以上を石油カルテルの手によつて独占されている。こういう事実の上に、非常に高いところの石油を一方的に日本が売りつけられている。従つてこれらの利益カルテルの一方的利益に終つている。この金額を計算してみると実に厖大なものでありますが、こうしたような事実の上に政府はあぐらをかいて、これは一面においてはあるいは日本石油なり、あるいは東亜燃料なりがこういうカルテル糸資本擁護のための動き相当にやつておられるということについて、しかもいわゆる国産の中立系というふうなものには、資本というか、純然たる日本のものというか、そういうものに対する協力よりもより大きな資本の力に押されておる。そうしてこの政策がややもすればそういうものになつて、勢い外国に対するところの利益を提供するという結果になつておるのではないかということを心配しておるのでありますが、これらの点についての実情並びに方針について具体的にひとつお示しを願いたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御質疑のございましたまず現在の実情でございます。これは資料がまだ配付してないそうでありますから、至急配付いたしたいと思いますが、概略申し上げますると、日本石油精製会社、すなわち日本石油精製を初めといたしまして、現在外国石油会社相当の株を取得いたしておりますことは事実でございます。たとえば日本石油精製会社におきましては、資本金中に外国石油会社が五〇%の株式取得をいたしております。それから東亜燃料においては五五%、昭和石油三菱石油興亜石油の三社におきましては五〇%、これとその他の全然外国資本の入つておりませんところと通計してとつてみますると、日本石油精製会社資本金のうちの二四・五%が外国側株式取得である、こういう実情でございます。  これが実情でございますが、今後の問題といたしましては、ただいまの外国資本の進出ということももちろん重大な問題でございますが、一方においては、さしむきのところ石油類輸入ということについてどういうふうに考えるかということも、また同時に大きな問題であろうと思います。全体の考え方を申し上げますると、二十九年度の物資の輸入規模につきましては、大体二十八年度と同一水準輸入をいたしたいと考えまするので、その金額は二十一億四千万ドルくらいと見込んでおります。ところで、その輸入規模の範囲内において、今後やはり日本精製規模を全体として維持して参りまするためには、原材料の輸入等で確保しなければならぬものが相当あると思います。一面不急不要の輸入抑制を厳重にいたしたいと思いますが、これは金額においてさしたることもない。こういうことになれば、特に国内資源によつて代替し得るものにつきましては輸入をその方へ転換して推進して行かなければならない、輸入外貨節約に努めなければならない、全体の考え方をこう考えております。  ところでたとえば重油のごときは、昭和二十六年、七年、八年、九年の大体の傾向をたどれば、毎年五割程度輸入が増加しておる。従つてこの全体の輸入計画を合理的に各方面から考えていたしまするためには、先般も申し上げたと思いますが、総合的な燃料対策として、たとえば石炭で補い得る程度のところは石炭コストを切り下げつつその方の需要の増加を期待する。また重油につきましては、重油でなくてはならないものとか、あるいはコストの切下げの関係で合理的な措置を打つたもの等でなかなか再転換のできないもの、そういうものを考えまして、それらについての需要は満たさなければなりませんが、これは石炭石油並びに燃料需要者、この三方の立場でそれぞれでき得る限り協力し合いまして、そこに一つの線を具体的に打出し、その線に沿うて輸入計画を二十九年度で行いたいと思つております。ただ現在のところ関係方面がなかなか多いのでありまして、その数量の計算等について、いましばらく時間の御猶予をいただきたいと考えておるわけでございまして、不日大体の構想をつくりまして、あらためてまた数字的にも御説明を申し上げ得るようになろうかと思います。
  5. 中崎敏

    中崎委員 ただいま外国会社資本日本石油会社全体に対して二四・五%という数字になつておるというお話であります。ところでこの数字が二四・五%であるとか、三〇%であるとかという問題よりも、むしろ日本石油業界というものを実質的に牛耳る立場にある日本石油精製興亜石油東亜燃料昭和石油三菱石油、ほとんどこれらの石油会社が大体七割の市場的な影響を持つている。その中でみな五〇%以上の資本外国糸カルテル側が持つているのであります。言いかえますと、これらの二四・五%が日本石油業界全体を牛耳つておるというこの事実を忘れてはならぬと思う。全体の一〇〇%から見れば二四・五%、結局において二割五分にすぎないかというようなことになりますが、実際には、たとえば日本石油精製においては五〇%の資本金を向うが投資している、日本側は五〇%持つておるようでありますが、日本株主はてんでんばらばらになつてつて、それらの人の統合された力というものは発揮できない。そこで一本で五〇%持つておる者が絶対的な力を持つているということは当然なんです。言いかえますと、日本石油会社というものは、これらの外国資本によつてほとんど全部動きがとれないような状態になつている。従つて石油カルテルによつて一切の石油政策というものができて、外国資本が思うようにもうける。たとえば石油一キロについて千円上げようと思えば、楽に上げられる、独占しているんだから、上げられる。これが独占価格なんです。そういうふうな結果になるんだから、これはきわめて重大なんです。  そこでわれわれは、独占禁止法の中にもあるように、外国資本がその資本金の五〇%も持つということは、独禁法の立場からいつて、一体どうしてこれが許可になるのか。いわんや外国資本である。日本産業の最も原動力であるところの石油を握つておる。そう軽々に外国資本に五〇%あるいは五五%も握らしておいて、これがそのままになつている。吉田さんは、占領当時における行き過ぎというものは是正すると明らかに言つている。またこれは一国の政治を担当しているところの総理大臣としてはそうあるべきである。実際こういう大きな問題は山ほどあるけれども、それがそのまま放置されている。その一、二をあげれば、たとえば東亜燃料は向うの資本が五五%ある。それを東亜燃料幾らで譲り渡したか。現在からいえば、その当時価百億円の資産であるとわれわれは思う。それが一体――多少時期のずれがあつたとしても、幾らで譲り渡したか。それが五五%持つておるというのだから、日本の国をあげての血税からでき上つた設備というものはほとんどただのように外国資本に五五%持つて行かれた。独占権を握られておる。こういうことが日本においてこのまま放置されていいかどうか、こういうことをお聞きしたいと思う。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 全体の石油精製業の中に占める外国資本の比重につきましては、先ほど中崎さんもおつしやいますように、何パーセントであるというような具体的なことよりも、全体としてこういうことをやつておるのが、中には五五%の資本を占めておるものもある、こういうことにつきましては、いろいろ御意見のある量はごもつともと存じます。今後これらの問題についてどう考えるかということが、これからの問題だと思うのであります。従来こういうような外国資本が入つて参りました場合には、適当な――適当なというよりも、成規の手続によつて外資委員会等におきまして、十分論議を尽した上でやつたものと思うのでありますが、そのときの気持としては、あの当時においては、できるだけ精製設備その他を早く近代化したい、その設備等を改善したいというような気持もございましたのでしようし、また価格等につきましても、石油の全体としての価格は、日本だけにおいて独占価格ということはあまり考えられないのではないか、これは世界的な需給関係その他の状況によつて国際的に大きくきまるものであつて日本における価格については、たとえば運賃でありますとか、その他の点につきまして、もちろん特殊の要素はございましようけれども、全体としては、抽象的に、独占的であり、同時に価格独占で支配されて、手も足も出ないというところまでは――私はまだそうまで考えまするのは多少誇張ではないかと思うのでありますが、しかし過去のことは過去のことといたしまして、今後どういうふうにやつて行くかということにつきましては、一に慎重な態度が必要であろうと思つております。
  7. 中崎敏

    中崎委員 ことに私は価格の問題を一番重要視しておる。たとえば何百億日本国民が損をして、何百億外国資本としてやられてしまうとかいうようなことで、これは年々歳々非常に大きな問題です。そこで非常に重要視しているのですが、石油が世界的にこういうように英米資本で押えられているというのは厳然たる事実です。ところが、その中においてもやはり一面において逃げ道がある。そのカルテル圧力から逃げられる方法がある。たとえばイランのあの石油の問題について言つてみると、昨年ああした問題にはなつたけれども、曲りなりにも日本輸入された。それによつて石油価格が一割もすとんと下つている。しかも単価の高いところの石油が安い値段輸入される。そしてこれは同時に石油カルテルのあれに対する一つの大きな圧力なつた。それがために石油価格がすとんと下つた。この事実から見ても、どうにもならぬように押えつけられておるけれども、これはたつた一つの抜け道がある。このイラン石油日本政府は腹を締めくくつて輸入すれば、現在の石油の問題は値段において十分に解決する道があると思う。そのほかいろいろ日本のために有利な根拠を持つておる理由もあるのでありますが、一応この問題については、ただ価格の問題だけについて述べて行きたいと思うのでありますが、そういうふうな重大な問題がある。ところが、先般鉱山局長は、日本の国の経済全体から見て、その問題は、輸入イランからしないことが適当であるというように考えておるということでしたが、これがはたして日本経済全体のためになるのかならぬのかということは、もう少し国策としてあらゆる角度からこの問題を検討しなければならぬ、ただ単純にイギリスのごきげんをそこねるからとか、イギリスが損するからということで簡単に割り切ることはできない。この問題はこれから一日でも二日でもかかつて納得の行くまで議論をして行きたいと思う。それは、同時に日本における根本的な大きな問題であると考えているからでありますが、この点について、まずこの石油トラスト影響のないところの、そういうふうなものを輸入することによつて、一応国内における石油問題に大きなるくさびが打ち込める、日本における石油政策というものが大きく転換するのだ、こういうところの道が開かれると思うが、この点どういうふうに考えますか。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題がまことに重要な問題でありますことは、私もよく銘記しているつもりなんでありますが、ただいま御指摘の、たとえばイラン石油などが安く入つて、あるいは外貨節約という面から申しましてもいろいろ有利な点があることは、これは今得ておりまする情報の限りにおきましてはその通りと考えます。ただこれが私どものいわゆるむづかしいところで、経済外交の妙味を発揮しなければならないというこ、いろいろ慎重に今進めているわけでございます。たとえば今イギリスのことも御指摘になりましたが、イギリスのごきげんをとるとかアメリカのごきげんをとるということだけではなくて、日本全体として対外外交上も一番妥当で、非難の少いうような道で、しかも日本国内産業のために大いに貢献をするというような方法で行きたいと思うわけでございまして、鉱山局長からの御説明もそういう趣旨であつたかと思うのであります。私の気持はそういうことで、何とか手ぎわのよいやり方を経済外交として推進して行きたいと考えております。
  9. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 ちようど油の問題が出ておりますので、関連して一点だけ伺いたいと思います。それは、この間私が質問をいたしました折に、私も非常に憂慮のあまり問題を出したのでありますが、時間の関係もあつて十分質問もし、また伺うことができなかつたのであります。ついては、さらに今関連質問としてお伺いしようと思うのは、帝国石油の問題についてであります。二月九日の産業経済新聞記事に、帝石内部支配権をめぐつて争いがいよいよ深刻になつて来た、しかもそれが爆発点にすでに達して来ている、これはこのまま放任できないというところから、川上局長関係者をそれぞれ呼んで事態収拾に対して乗り出してこれを解決しようとされているというようなこと等が出ておりました。私が質問をしようとするのは、こういう会社内部事情にあつて、しかも政府は今度の予算において御承知の一億三千万円の国家資金を与えるわけでございます。この資金めぐつてまたさら争にいが――この資金をもらうために会社がさらに何億かの投資をしてやらなければならぬということであるなら、そのために配当することができなくなるから、政府からの補助金は返した方がよくはないかという意見があるようでございます。さらにまた一方には、政府からせつかくここまで開発に熱意を示してもらつたのであるから、会社はさらにこれに三億でも四億でもの出資をして、地下資源開発に対して帝石が報いるべきではないか、それが国家資本の投入を受けている帝石として国策に協力する当然の使命ではないかという意見と、いわゆる株主関係においては、そういうことは国家のすることであつて株式会社としてはあくまで社外配当というものこそが大事であるから、そういう条件をつけられるようであるなら、国家補助金は返して、縮小するものなら縮小して、従業員を整理するものなら整理して、配当すべきじやないか、こういう意見が露骨になつて来ているようでありますが、多分こういうことを川上局長も憂慮されて乗り出されているものであると思うが、この事態をこのままにして、国家が一億三千万円の金を出して行くということがはたしてやれるのかどうか。あるいは大蔵省が大株主であるところの帝石のそういう支配権をめぐつて内紛をそのままにしておいてよろしいのであるかどうか。これは私は非常に政府として重大なる問題であると思うのであるが、これらの解決をどのようにしようとされるのであるか。あるいは政府の意図されるところは、多分一億三千万円出して、これを五億なり六億の金として石油開発に当ろうと考えておられると思うが、これはあくまで貫いてやられるつもりであるかどうか、あるいは会社がこれを返すと言うなら、そういう会社の意向であるなら、これを補助金を出せないで取上げてしまうのであるかどうか、あるいは大蔵省が大株主であるのに、そういうような内紛をそのままにして置いていいのであるかだうか、しかしていかぬとするならそれをどのように解決しようとするのであるか。この点ひとつ方針を明確に示していただきたい。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま伊藤さんからの御質疑の問題は、私といたしましては次のように考えております。  まず第一に、帝国石油経営者の間に昨年の秋ごろから紛争が起つていることは事実御指摘通りでございます。この点は、いわゆる特殊会社ということを法律的に言うわけではございませんが、非常に大事な会社でもあり、特に御指摘のように、政府が株を持つておるという点から申しましても、この点ははなはだ政府としても遺憾に思つておる次第でございますが、ただ最初からあまり人事等に対して政府が干渉するというようなことはいかがと考えておりまして、十分内部事情等につきまして情報を常に正確に把握することに努めておるつもりでございます。この紛争につきましては、一口に申しますると、現在の同社の役員の内部におきまする意見とか感情の疎隔とか、あるいはその対立とかいうようなところから生じている部分も非常に大きいように見受けられるのでありまして、ただいまのところは、このために非常に会社業務の運営上に具体的な支障が大きく出ておるというところまでは私も行つていないのではないとは思いますけれども、できるだけすみやかに会社内部間で円満に話合いがつきますようにいわゆる紛争の両当事者といいますか、あるいは両当事者というほどではなく、また他の系統もあるようでございますが、円満に話合いがつきますように、政府といたしましても関係者に要望して来ておるのでございます。ただいま御指摘新聞記事もございましたが、多少これは記事なつた時期の方がおそいのではないかと思われる節もあるのでありまして、きわめて最近のところは、非常に歩み寄つて参つたように私は見ておるのでございます。おそらく近々に円満に妥結ができはしないかと考えております。また、それを私どもとしては非常に期待いたしておる次第でございます。先ほども申しましたように、現在の機構では特殊の会社ということは言えませんけれども政府株主であり、重大な会社であるというところからいいまして、できるだけ今申しましたように政府としても円満に話合いがつきますようにこの上とも努力いたしたいと考えております。  それから、こういう状態であるから補助金などはいらぬ、むしろ返すべきだというような説が同社内部にあるそうでございますが、これは実は率直に申しましてまだ私の耳に入つておりません。おそらくそれも何かこの内紛上から見て、いわゆる伝聞的にそういうことを言う人もあるのではなかろうかと想像されるわけでありますが、おそらく対立しております両当事者の間におきましても、補助金はもういらない、返上しようというようなことは指導的な意見でないことは事実ではなかろうかと考えております。  それから次に、この点は前回にも御説明いたしたかと思いますが、御承知石油及び可燃性天然ガス資源開発法がございますが、この法律を一部改正させていただきまして、補助金が今回帝石その他に出ることにつきましては監督を厳重にするという規定をぜひ挿入いたしたいと考えております。この法律の改正案はできるだけすみやかに御審議を願いたいと考えておりますし、この点は補助金の増額ということに関連してぜひ政府としても立法的な措置を講じていただきたいものだと考えておるわけでございます。  それから政府の持株につきましてお話がございましたが、これは本来ならば私は持株はむしろ開放してもしかるべきものではなかろうかと考えておりますが、しかしそれらの点は根本的に帝石が立ち直るということの方が先決問題であろうと思いますので、以上申しましたような観測に基いて、私どもといたしましては今御説明申しましたような方策を講じて参りたいとこういうふうに考えております。
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 いま一点。人事の問題については、政府としてはあまり深入りしたくないという大臣考え方は、それは特殊会社関係ではございませんで、一般株式会社の形でありますから、一応そのようにとられるのは常識だろうと思いますが私がお尋ねしておるのは、その人事の争いを放任しておくと、せつかく政府が一億三千万円出した貴重なる国家補助金というものが、これが国策に協力をしないという方向に行くということに争いの結論が出ることになれば、これはゆゆしき問題だということを私は言つておるのでございます。この点は先般来から川上局長帝石に関する法律をもつて、あるいは大臣もまた近く法律をして、そういう点を十分遺憾のないようにしたいという希望を持つておられるようでありますから、これはその法律が出て来た上において私どもの考えを述べながらわれわれも審議したい、こう思つております。  さらに私一点答弁が残つておると思いますのは、一億三千万円の補助金というものは、政府はこれだけを開発に使えばよろしいとお考えになつておるのか。大体聞くところによれば、国家が一億三千万円出せば、少くとも会社投資を含めて五億なり、六億の開発資金としてこれが使い得るようにしたい、いわば一億三千万円は迎え水として、五、六億円の開発資金にこれを仕向けて行きたいというお考えのもとにこの補助金が出されたように私は聞いておるのであるが、その辺の点をどのようにお考えになつておるのか、あるいは会社内紛と伴つてその一億三千万円が政府の考え通りの五、六億の開発資金として使い得るように国策として強行されて行ける自信があるのかどうか。この点をいま一応明らかにしていただきたい。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど私の申しましたことは、ちよつとピントをはずれていたような感じがいたしますので、もう一度繰返しますが、国策的に帝石というものが大事な会社でありますから、これがその使命を十分に達成し得るように、干渉、あるいは直接の指示まで人事についてはしたくないのではありますけれども、先ほどもるる申し上げましたように、一日も早く両当事者間で円満に話合いがつくようにということにつきましてはできるだけの努力を今までもして参つたつもりでございますが、幸いに私の見込みといたしましては、近く円満妥結ができるのではなかろうかという線に来ておるように思つている次第でございますが、なおそういう見通しでないということになれば、また政府といたしましても、るる申し上げましたような気持に基きまして適切な処置を至急講じなければならぬと考えております。  それから一億三千万円の補助金は、これも率直に申し上げるのでありますが、通産省といたしましては、これはまことに微々たる金額であつて、五箇年間百万キロリツトルの計画から申しますれば、せめて五、六億円は政府資金として調達したかつたのでありますが、予算全体の規模から申しまして、これに同調せざるを得なかつたわけでございます。従つてこれはさしあたりのところは呼び水的なものであつて政府も苦しい中を一億三千万円もひねり出したのだから、これに基いて新しく申請の期待される帝石におきましても、これにタイアツプする努力をしてもらいたい。その際におきましてただいま伊藤さんの御指摘のように、大体この倍ぐらいの三億円ぐらいのところは帝石自体の努力によりまして、国内資源開発資金の調達ということをやつてもらいたい、こういうふうにさしあたり期待いたしております。
  13. 山手滿男

    ○山手委員 石油の話が出ましたから私も石油に関連をして一、二お伺いをしておきたいと思いますが、それは例の四日市の海軍燃料廠の処理の問題であります。御承知のように四日市の海軍燃料廠の問題につきましては、数年間にわたつて国会内外においても非常な大論争が続けられ、前岡野通産大臣が昨年の夏に業界による収拾を決定いたしまして、閣議決定の上、新しく四日市石油精製株式会社を発足さすことに決定を見たことは御承知通りであります。ところが突然、新春早々大臣は静岡においてこれは白紙還元をするというふうなことを発言をされて、これが各地の新聞に大々的に報道されて、非常なシヨツクを与えたことは御承知通りであります。しかしこれについてはこの後の事情もいろいろ断片的には承つたことはあるのでございますが、世間に対してもいろいろな疑惑があるのでありますが、それははつきり大臣が正式に言明されておられないし、はつきり新大臣としての態度方針を表明しておられないのでありますから、この際この場を通じてひとつ大臣から、あの静岡放言というふうなものに関連をして所信を承りたいと思います。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 四日市の問題につきましては、私が就任早々ある機会に申しましたようなことが異常なシヨツクを巻き起したという点につきましては、私の申し方が足りなかつたので、非常にこれは私としては申訳なく考えております。この際山手さんから機会を与えていただきましたので、私の考え方を申し上げたいと思います。  それはただいまも御指摘のように、昨年の九月一日の閣議におきまして、本件について次のような了解が成立いたしました。これは御承知通りでございますが、念のために申し上げます。一つは旧四日市海軍燃料廠は国有民営とする。払下げを行わず、貸下げによるというとが一つでございます。それから第二点は、政府がこの際早急にいわゆる精製七社のグループに三菱石油を加えたいわゆる精製八社を中心とした合同会社によつて本施設の活用迎常をはからしむることとして、必要に応じすみやかに三菱グループと七社グループとの間をあせんすることというのが第二点であります。第三点は、その合同会社によりまする施助成の運営は、当分の間民需石油の精製を行うというのであります。第四点は本施設の活用に伴い、他の民間設備の新設拡充は二重投資にならざるよう調整することというのが九月一日の閣議了解でございます。精製七社グループはその後この方針を了承いたしました。三菱石油もまた運営参加を承諾いたしました。後にさらに日本石油精製もこれに加わることになりまして、ここに九社が同燃料廠の設立準備委員会を設けて、その活用について検討いたしまして、この結果四日市石油株式会社を設立することとなり、生産計と画資金計画を作成いたしまして、発起人総代の名前をもちまして昨年十二月四日に当該施設の貸付申請書を政府に提出して参つておるのでございます。政府におきましてはこの申請書に添付されました諸計画をその後鋭意検討いたしておるのでございます。御承知のように一兆円予算ということによつて表現されまする、今回の新財政産業経済政策というようなものが政府として決定されました関係上、財政投資が非常に圧縮され、金融が引締められる。この財政投融資の既存の他の重要事業に対する資金の配当、あるいは今後における金融の引締めを具体的にどの程度に、どういうものについてやるかということについては、御承知通り今私どもといたしましても、大蔵省や日銀その他関係の向きと鋭意検討をしているわけでございます。たまたまそういう時期に際会いたしましたので現在四日市について申請を受けております内容につきましても、それらの点と総合して相当検討をいたさなければならないと考えているわけでございます。また一面におきましては、MSA協定の調印というようなことも最近に期待できるような様子もございますので、さきに閣議の了解を得ました貸付の方針については何ら変更する必要はないと思いますけれども、この申請書に基く諸計画につきましては、特に資金計画等について慎重に、そしてなるべくすみやかに政府として関係会社、あるいはその他の方面の御意見をも十分に伺いましてこの申請書を受取り、どういう計画で進むかということの裏打ち等もあわせまして立案をしたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 山手滿男

    ○山手委員 従来の幕本的な方針は変更するものではないという大臣の言明がございました。これは当時新春早々伝えられた大臣の発言とは違つておりまして、そうなくてはならない。閣議で決定をし、政府は文書によつて石油各社にこれを伝達したものを、この間一ぺんの相談もなしに白紙還元とかなんとかいうことで済まされる問題ではないのでありますから、当然なことであると思うし、これは私言いたくないことなのでありますが、特に新春早々大臣がこういう発言をしたことは、あるいはまた総理側近の一部の人々、一部の石油会社の人々と結託しての暗躍の結果ではあるまいか、こういうふうなうわささえ飛んでおつて、きわめて不明朗に感じておつたのでありますが、そういう疑いを完全に大臣からぬぐい去つていただいたことについては非常にうれしく思う次第であります。しかしながら昨年の十二月の初めにも当委員会委員長以下現地を見て来ておりますが、あの非常に重要な施設が今日まで放置されたままになつてつて、こういうふうな状態に置いておくということはけしからぬということが期せずして全員の口から出た言葉であります。それを昨年の九月一日閣議決定をし、ただちに業界全体に伝達されたままになつてつて――いろいろ準備もされておると思いますけれども、今日なお完全利用の状態に至らない。しかもその間に大臣のああいう発言などが旅行先であつたりなどいたして、これがさらにどうなるのであろうかという疑惑を今日なお世間は持つているわけであります。もう少し政府側が受取られた四日市石油精製株式会社の設立準備委員会からの連絡、報告、設立の準備の進捗に状況ついて、この際政府側から御説明をお願いいたします。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたごとく、実はこれは率直に申し上げるのでありますが、たとえば電源開発の問題にいたしましても、それから合成繊維の問題にいたしましても、それから石油国内資源開発の問題にいたしましても、政策の転換と申しますか調整と申しますか、その新しい情勢下におきまして、すでに軌道に乗つておりましたものの処理につきましては、実に頭を悩ましておるような状態でございましてそれらの関係から、これは言い訳がましくなりましてまことに恐縮でございますが、その準備研究等がある程度遅れたということは、率直に私も認めざるを得ないと思うのであります。先般来あらためてこの申請をされましたところの代表者等には私も数回お目にかかつておりますし、さらにいろいろと希望や計画やあるいは情報を持ち寄つて、できるだけすみやかに具体的な計画にし、かつ具体的な計画ができるときには、その裏打ちとなるような資金計画あるいは生産計画といつたようなことについても、できるだけ総合的な実現がすぐできるような計画にして行きたいものであるというような趣旨で、あらためて研究を至急進めることになりましたので、御了承願いたいと思います。
  17. 山手滿男

    ○山手委員 あらためて練りかえるというお話でございますが、準備委員会ができてすべての準備はすつかり終つておる。資金計画そのほかについても作業は昨年完全に完了しておる。現在の段階でもめておるのは、だれが新しい会社の社長になるか、だれが会長になるか、それがどういう系統会社の筋を引いた者であるか、そういうふうなことを中心に人事がきまらない、このためにもめておるのだと私は思う。私は昨年ちようど留守をしておつたのでありますが、帰つて来てこの決定が政府側からなされたのを知り、かつまたその当時の準備のやり方などを見ておりますと、全然逆のやり方をしておる。逆のやり方というのは何かというと、今お話のあつた九社によつて合同会社をつくつてやれという政府の断が下つた、断が下つたところが、みんな寄つてたかつて準備委員会などというものをつくつたのはよろしかつたけれども、ああでもない、こうでもない、資金がどうだ、技術がどうだというようなことばかりで堂々めぐりをしておつて、それでは全責任を負うてやるのはだれかということを一番初めに決定をしない。新しい会社の社長にはだれがなつて、だれが統率をしてこれが推進に当るかということをきめようとしないで、いたずらにペーパー・プランをつくることばかりに熱中して来た。政府もこれを傍観して来た。そこに大きな間違いがあつたと思う。その新しい会社の社長になる発起人がこれを掌握をしてプランをつくつて行く、各精製会社とも出資者とも相談して行くという行き方を、逆に行つたというところに問題があつた。それが今日最後のどたんばに来てもなお暗闘を続けておつていろいろな雑音をまき上げておる、私はこういうふうに見ざるを得ないのでありますが、まだ今日の段階においてもなお慎重に検討する――政府は断を下した、そうして分書によつてあなた方の方からは前大臣が正式に申渡しをしてやつたのであるから、政府側としてはどういうふうに責任を持つて四日市旧海軍燃料廠を活用するようにあつせんをされて来たか、私はその点をもう少しうがつてお伺いをいたしたい。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 過去の経緯につきましては、ただいま御指摘なつたようないろいろの経緯があつたように私も承つております。それで、その点もできるだけ急がなければならないと思いますが、同時にこれは先ほども申しましたように国有で民営である。またこの計画を具体的に推進して行きます上におきましても、たとえば資金の問題等についても、政府がよほど本腰で、誠意を持ち自信を持つたプランであと押しをしなければ――あと押しと申しますか責任を持つた関与と申しますか、参画をして行かなければならないものだと思うのであります。それで、先ほど申しましたようにいろいろの事情、むしろ全体としての政策の転換というような客観的な事情が起りましたために遅れましたことは申訳ないのでありますが、それらについて相当政府としてのはつきりした態度を確立いたしませんと、責任者だけができましてもあるいは思うように行かれないのではないかとも思います。これらの点はいろいろ御意見のある点と思いますが、先ほど申しましたように、できるだけ早く一連の問題を総合的に処理いたしたいと考えております。人事につきましては現在のところ私としてもまだはつきりした対案は持つておりません。
  19. 山手滿男

    ○山手委員 私は、大臣がかわられたこともあるし、新大臣を責めようとするわけではもちろんございませんけれども大臣の慎重にというお言葉はけつこうでございますが、この問題はもう長年、終戦直後から五年も七年もかかつて、結論は十二分に出ておるのです。出ておるのがこの合同会社案です。さつき同僚委員からも御指摘のあつたような、外国資本との結びつきだとか、あるいは大きな利権だとか、いろいろなことからこの結論が出たのです。この段階まで来ておつてなお大臣が慎重にとか何とかおつしやつてつても、相手がああいう寄せ集めで、自分の会社利益のひもつきになつている人々が漫然と準備委員会に出ておつたのでは、慎重に行こう道理がない。自分の会社の勘定から割出しての慎重ではこれはまとまりつこありません。私は、この際政府がほんとうにこれを有効に生かすという考えならば貸付の方針は不変更というのでありますから、これを受取る側の人事を決定されなければならない、その勧告をされなければならない、そして責任を持つてこの人にやらすのだという態勢ができてその人と政府話合いをしてこの十二分の活用方針国家のために策定されなければ、いつまでたつても問題を向うへ追いやるばかりであろうと思います。そこでその点について政府はどういうふにお考えかをあとで大臣から伺いたいと思います。  もう一点はあの資金計画ですが、資本金四十億の会社をつくることになつているが、さしあたり十億は払い込むと言つておる、それから、株式市場でもこれが発足をすればうんと消化できるという見通しがあることも私ども承知をいたしております。それから、あれを受取るときは、各石油会社は断が下れば明日にでもやるというふうな約束だつた。そういうふうな意気込みで猛烈な陳情をしておつたこともみな御承知通りであります。なるほど三万バーレルというような厖大な施設を一ぺんに浮かすことについては現在の石油事情からいろいろ問題はあろうと思います。しかし、何も現在の情勢上三万バーレルを一ぺんにやらなければいかぬということもないわけであつて、とにかくあれだけの施設が腐朽してしまうのですから、これは段階的にやつてもよろしい。とにかく根本的な方針がかわらないのだから、それを将来に向つて完遂して行くように、一万バーレルずつ三期にわけてやつてもよろしいのであつて、要は政府がやる腹をきめるかどうかです。いつまでもそういう不安定な状態において、とかくの風評やとかくの詮索をしなければならぬような状態に放任をしておくものかどうか、その政府の熱意いかんにかかつておると思う。どうも大臣がああいうふうな発言をされたり、いろいろな世評を聞いておりますと、私どもはどうも了解できない。資金がなければ、石油精製各社は自己資金も十億くらいはすぐ払い込むと言つておる。それから石油精製各社は今一生懸命に自分の会社のプラントを拡張しよう、その表向きの理由は、高級品をつくるというような名目でありましようが、興銀や何かからいろいろな金を自分の会社にひつぱつて来て、厖大な建設を今日やりつつある。国有財産のああいうものだけは、政府が慎重に慎重にといつて、いつまでもほつたらかしにしておく。これをもし慎重にということでほつたらかしにしておくのだつたら、この貸付の条件にもあるように、二重投資を防ぐということでありますから、現在石油会社が工事をしておるその工事に、興銀や何かが融資をやつておる。これを全部とめられなければいかぬ。政府自身が誠意をもつてやるかどうかということにかかるわけでありまして、自己資金でやれるなら、自己資金で発足さしてもよろしい。それから人事や何かの問題についてどう思われますか、もう少し政府側からはつきりしてもらいたい。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私といたしましては、先ほど来るる申し上げておることに尽きるわけでございまして、要するに、さつきも申しましように、だんだんと遅れておりましたことは非常に遺憾でありますので、この際具体的かつ総合的に処理を進めたいと考えておるのであります。それから人事等につきましては、私の考え方といたしましては、なるべく政府でこういう人というようなことでなしに、この九社なりあるいはそれ以外の関係者なりから、これなら全部で協力して行けるというような人がほしいものであるということを、私は私見としては考えておるわけでございますが、それらをもあわせまして合理的に物事がすみやかに進みまするようにこの上とも努力をいたす所存でございます。
  21. 山手滿男

    ○山手委員 大臣がすみやかに、合理的にというお話でありますから、私は大臣を信頼して、きようは多くは申し上げませんが、これの資金かどうとかいろいろなこたがあると、それを突破口にしてまたいろいろな運動や何かが起つて来る、これは好ましいことではないのです。と申しますのは、私は現に事実を聞いております。日本は緊縮財政のためにあのプラントをよう動かさない。それでは世界の石油カルテルに入つてないアラビアの油田を新規に掘り当てたインデペンデント・オイルとかなんとかいう会社が、二千万ドルでも三千万ドルでも、あそこへつぎ込んで貸してやろう、長期のローンをして貸してやろう、そういうふうなことで割込みをしに今日来ているという話も私は聞いている。それから外国の今まで名前を出しておつた石油会社あたりも、日本側に金がなければおれらの方で、使つてやろう、金は出してやろう、そういうふうなことでいろいろ暗躍をしておるという風説も聞いております。私は世界のカルテルの中に入り込んでおる連中を入れるほどならカルテルと対立をしてやつておる連中を入れることの方が好ましい、私はこういう説が出て来るのもやむを得まい、こう考える。であるから、この際は政府が慎重にとか何とかいうことでなしに、もう現在受取つた九会社側が、自分たちの手には負えませんというのなら、そのように結論を出してもらいたい。その上で私どもははつきりした態度をもう一ぺん再検討しなければいかぬと思うが、どちらにしても、これをまだ一月、二月と、慎重に慎重にというて延ばして行かれることには、私どもは賛成することはできません。それでどうかひとつ、大臣石油業界のこともよく御了承でございますから、この辺で前大臣の下した断を具体的にするように、最善の御努力をお願いいたしまして、私の質問はこれにて打切つておきます。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお話の御趣旨はよくわかりました。この既定の方法でできるだけ計画を詰め、かつ推進してみるということに、できるだけの努力を払いたいと思います。
  23. 中崎敏

    中崎委員 外務省関係の外務大臣もしくは外務次官、こうした人をきようは要求したのでありますが、何だかきようは都合がつかぬそうで、それに関する質問は、いずれ明日にでも保留して、きようは引続いてやります。ところで石油価格の問題でありますが、たとえば従前英米系統から入つて来る石油のオクタンが低い。ところが、イラン系統石油はオクタンが高い。六十ないし六十五であつたものが、イラン系統のものは七十五もしくは八十程度の高いオクタンのものである。従つてイランから石油輸入されて以来、一面において日本カルテル側独占的な価格というものが一割程度引下げられておるという関節的な一つの効果が生れておる。一面において高いオクタンのものが、それだけ安く入るのでありますから、勢い今まで低いオクタンで、べらぼうにもうけておつたものがそのイランの高いオクタンに刺激されて、オクタンを高く切りかえて行かなければならぬということで、ここに品質の改善という問題も起きておるようであります。一面そういうものもできつつある、今後も相当そういう方向に行くようであります。さて、そうなると一キロ当り三千円にコストが上つて来る。言いかえればわれわれはオクタンを上げるためにそれだけ高いものを買わなければならなくなつて、現在よりも石油値段が上つて来る。そこで先ほど言いましたように、こうした一方的な独占価格を押えるように訂正する意味においても、イランからの石油輸入は絶対に必要だと考える。まだほかにたくさん理由があるのでありますが、たとえば二十八年度における石油輸入計画というものは、約九百万キロ、今度の二十九年には千二百万キロを予定されておるということになつております。これはこの聞の政府の全体の予算の立て方において多少変化があるが、大体こういうものは傾向的なものである、この程度は必要である、やむを得ないであろうというように推定されたものであると思います。もしそうだとすれば、二十八年度は、並みの実績についてはそのまま英米系統の取扱いをするとしても、新しくふえるであろうところのたとえば三百万キロに対して、これをイラン系の石油輸入するとすれば、オクタンの問題が、非常に高いものだから、それだけ割引して負けるとしても、金額的に見て約五千万ドル程度外貨節約ができる、言いかえれば日本利益するというような数字がおよそ出て来るのであります。一体この点についてどういうふうに考えておるか、具体的の数字について意見を聞いておきたい。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま中崎さんのお述べになりました数字は、従来までのやり方を延ばして行くトレンドとして、まさにそうかと思うのであります。しかし先ほども申しましたように、一方では外貨節約をしなければならない。それから一方では当委員会におきましても、非常に御心配の石炭の将来の問題もございます。それから従来やつて参つた重油転換の措置というものの再検討ということも考えなければならぬのじやなかろうという点、それから今御指摘イラン石油というような要素、これをあわせ考えなければならないわけでございますが、私ども考え方としては、従来も申し上げたと思いますけれども、一方において石炭についてどうしても適正な需給計画というものを一応立てませんと、石炭鉱業会あるいは炭労の問題というようなもの、あるいは昨日あたりも予算委員会等でも非常に熱心な御討議がございましたがこの石炭の需給の規模がはつきりしないということのために、あるいは地方公共団体の失業の問題、各般にわたつて関係の地方では問題を起しております。そこで私はその方面については、大体適正な規模として、四千八百万トン以上というものを計画として策定いたしまして、できるだけ炭価の引下げもやつていただくと同時に、需要者側も、国内資源でございますから、できるだけ石炭を使つていただきたい。そして重油でなければならぬもの、あるいはその合理化のコスト計算等からいつて非常に違うもの等については、重油輸入も確保しなければならぬ。その辺の総合的なところを今にらみ合せまして、二十九年度における重油需要をどのくらいに見るか、またこれが関係業界の御協力がどの程度まで得られるものであるか、政府としてはどういう措置をとつたらいいだろうかということについて、先般来実に一生懸命にやつておるつもりでありますが、これにつきましては数日中に一つの結論を出したいと思つておるのであります。それと照応して、今度は純粋に外貨節約という面から、イラン石油等についての態度をきめなければならぬ、こういうふうに考えております。  なお先ほども意見がございましたが、ちようど日英会談に当方から出ておりました関係局長等も、今明日中に帰つて参りますので、それらの点につきましても十分、電信等ではわからなかつたいろいろの情報も得たいと思つております。これは先ほども指摘がございましたが、イギリスがどうこうというような思惑の問額は別といたしましても、日英協定自体の上での石油輸入の間額もやはり起つて来るかと思います。それらの点も十分総合して至急に対策を立てたい。従つて今まことに遺憾でございますが、二十九年度の、特に重油を中心といたしました油の需給関係について、数字をあげて申し上げるまでの研究が私たちとしてもできておりませんので、でき次第御説明することにいたしたいと思います。
  25. 中崎敏

    中崎委員 現にイラン石油は品質がよくて値段が非常に安いということは、説明を要するまでもないことであります。同時にこれはたとえば五千万ドルの外貨節約になるという、あるいは六千万の計算も立てられる。それでは相当に買えばということでありますが、これはいろいろ、計算の立てようもありましよう。いずれにしても何千万ドル程度節約ができるということは、はつきり私は言えると思う。それでありますから、一面において向うは石油が余つているのだからこつちへ売りたい。日本でも今度は物の輸出をする。たとえば船の場合でも非常にほしがつておる。あるいは医薬品も非常にほしがつておる。繊維品もほしがつておる。そういう日本で余つている、売りたくてしようがないものが頭打ちとなつて、どこへも輸出ができぬで四苦八苦している。向うはこつちへよくて安い石油を売りたい。プラント輸出であるとか、あるいは繊維品であるとか、医薬品あるとか、余つておるものを向うはもつとどんどんほしいといわれる。こんなにいいことはない。一挙両得です。両方ともいいんだ。こういうことがあるのに、なぜこれを強力に推進しないのか。言いかえると、あまりにイギリスに気がねし過ぎやしないか。日本の八千万、九千万の人間をどうするのか。日本の国をどうするのか。もう少し情熱を持ち、良識を持つて今後すべきことはして行くんだ。これだくの腹構えがなければ、向うにけし飛ばされてしまう。話もへちまもない。ロンドンに代表が行つてどういう話をして来るか知らぬけれども、あるいはイラン石油輸入しない、そのかわりポンド圏における輸出入の金額をほとんど対等にするというような交換条件でも、もしあるとするならば、われわれは国民とともに黙つておられない。もしそういうふうな最も弱いところの、向うの言うがままになるような話合いをして来たとすれば、断固としてわれわれは承知できないのであります。この点についてはいずれ、今言われるように関係者も帰つて来て実情を報告すると思いますが、この問題とほんとうに関連性のないことをわれわれは要望しておくと同時に、さらに政府側においてはこの大きな問題――たとえば日本の輸出がそつちに向けられる。輸入した金額と対等のものを向うがほしがつておる。そうしてお互いに向うからは安いものを買い、日本からはあり余つたものを輸出できるという関連性において、しかも英米のこの日本におけるところの独占的なものをある程度チエツクすることができる。言いかえれば、そういうものを輸入するとすれば、まだ石油値段は下ります。これははつきり言えます。ほつておけばまた一割、二割は上ります。去年の暮れから一割上つておるから、まだ一割、二割は上ります。一体物価引下げであるとか、日本国民のための経済振興をほんとうにはかるなどといつても、から念仏になつてしまう。これは私は根本的にこの問題をもう少し真剣に腹をすえてやつていただきたいと思います。まだいろいろたくさんこれについての具体的な数字を持つており、意見もあり、議論もしたいと思いますが、いずれにしても、外務省の関係者にも出てもらつて、いずれ通商局長などあつちへ行つた諸君も帰つて来ると思いますから、それらの人等の意見によつて、あなた方の方でも腹をきめてもらつてイランからどのくらいの程度手を打つてみようとか――現在イラン英米石油側と話合いをして、一〇%程度は自分の国の自由にさせてもらいたい、一〇%か一五%やつてもらいたいということでしきりにもんでおるようでありますから、その自由に許された範囲において日本が買うということは当然のことである。これを日本が側面的にイランに連絡してやつて日本の方では一〇%か一五%買うから、君の方も強力に英米石油資本に対してがんばれということをうんと連絡した方がよいと思います。そのくらいの腹をもつて外交的な一つの手腕を持ち、ゼスチユアを持つてやられたらこの問題は解決がつくと思います。ひとつ強力にそういう意味において案を立つてもらう、そうして両三日中に委員会において通産大臣の確固たる意見をひとつ聞きたいと思います。
  26. 永井勝次郎

    ○永井委員 通産大臣にこの際繊維消費税のことについて一、二お尋ねいたしたいと思います。われわれの方ではきのう決議をいたしまして大臣のところにも陳情にあがつたのでありますが、大臣がお留守でありましたためにそのまま帰つて来たのでありますが、大蔵大臣と官房長官にこれを伝達いたしてお話いたしました。この繊維課税はもう御承知のように、税の性格からいつても、あるいは物品税のごとく、あるいは奢侈税のごとく、税の性格そのものがふらふらしておるのであります。あるいは徴税方法においても上へ行つたり、下へ行つたり、上り下り、動揺常がないという状態であります。院外における大勢も非常な不評である。税の額から行きましてもわずかでありますから政府としてはすみやかにこの税に対する態度を決定する段階に来ておるのではないかと思うのであります。きのう予算委員会に臨んだ大蔵大臣を廊下に呼び出しまして、勝間田、八百板、私の三人で話をしましたときに、大蔵大臣は率直に言われたのであります。この税金は、アメリカに行つたときに消費規正をするために税金をかけろということを強く言われて来た。それでその意味において課税したのであるが、現在ではその性質がかわつて奢侈税というようなことになつて来ておる。そこで自分の方としてもいろいろ今考慮しなければならない段階にあるのだ。こういうようなお話であつたのでありますが、繊維消費税一つ起すについても、アメリカから強く言われたからやるのだというよう、こういう自主性のないやり方についてはわれわれ非常に不愉快に感じますし、大臣は常にこの委員会においても自主的な立場における経済政策を立つておるのだと言われるが、大蔵大臣は非常に率直で正直であられるから、そうおつしやられたのでありましようが、そういうような面で、非常に未熟な案をもつて課税をするものでありますから、これはすみやかに政府としても態度を決定しなければならぬと思いますが、通産大臣は当該大臣としてこの課税を現在どういう心境をもつてこれに対処せられ、またどういうお考え、あるいは見通しを持つておられるのか、この点ひとつ率直に伺いたいと思います。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず大蔵大臣のお話は私は直接聞いておりませんのでその点は私から御答弁申し上げることはできないわけなんであります。そういう意見をアメリカのだれかから聞いたことはあるのかもしれませんが、その点は別といたしまして、私も率直に申し上げるのでありますが、特に通産省の立場におきましては、小売を扱つておる業者の人にこの税が転嫁されるということになるのは、まつたく困ることだと思います。それで御承知通り、大体対象としてあげられておるような物品を販売しておる命国の業者の人は、おそらく二十万人前後になるかと思いまするし、さらに税法上の問題として見れば、店舗を構えないでこれを扱つておる人もそのほかにあろうかと思う。そこで店舗を構えておりますいわゆる小売屋のところに実際税がかかつても、売れないから、その税を自分が負担するということになつては、非常に困りますので、さようなことにならないようにしたいということが第一点であります。  第二点は、徴税の技術上非常に困難だと思うのでありますが、正直者が損をしない、要するに店舗を構えないで売買して歩くという者の税が抜けて、正直な人だけに税がかかるというようなことになるのも困るのではなかろうか、そういう点から申しまして、実は率直に申し上げるのでありますが、私はそういう留保をつけまして、織物消費税の要綱につきましては、私も閣議で承諾いたしました。従つて今日の段階において、これが悪税であるとか、これはとりやめなければならぬということは、私の立場上絶対に申し上げられないと思うのでありまして、被害というか、懸念されることを最小限度にとどめるということにつきまして、あらゆる努力を尽しておるつもりでございます。それは具体的に申し上げまするならば、免税点をできるだけ大幅に引上げてもらいたい。この税の趣旨となつておりまするところの、奢侈税であつて、税金がかかつても、ぜいたくなものに耐えるような消費者に転稼されるようにしてもらいたい。これは何と言つても、免税点の引上げに集中されることだと思うのであります。それからいま一つは、小売課税はでき得る限り広範囲に行わないようにしてもらいたい。この点につきましては、私どもの党でございます自由党の方面にも、通産省としての意見をいろいろと連絡いたしまして、十分にその趣旨を織り込んで成案を得るように、党の方にも協力を求めておるような次第でございます。
  28. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣が閣議においてこれに賛成された、そういう立場でいまさらこれに反対できないということは、よくわかるのでありますが、しかし問題は、税額から言えばわずかに八十五億、性質から申しますと大衆課税である。奢侈税と言いますけれども、立案した大蔵省自体は、これは消費制の立場で考えたのだ、それが性格がかわつて来ておる、こういうことをはつきり言われておるし、アメリカから強く言われて来たのだということをはつきり言つておられるのであります。私は決してうそは言わないのであります。そういうような関係でこれを起したとすれば、あやまつてこれを改めるにはばかることなかれであつて、一旦きめたから、よくても悪くても、面子上これを押し通すのだというような悪い考え方は改めるべきであるし、そういうものの考え方自体が官僚的だ。民主的な考え方に立つならば、一応この案は出したけれども、国会において自由な立場で決議を求めるということであるならば、また実際において政府が不用意であり、十分にこの税について基礎資料を持ち、調査をし、データーを基礎にした課税でないということは、徴税方法についても常にふらふらしておる、性格もかわつて来ておる、こういう点から見てはつきりわかるのでありますが、もつと率直な気持で胸襟を開いて、これらの問題については再考する、再考することが、内閣の政策をより民主的に、またそれをより国民に信頼させるゆえんである、こういうような積極的な考えに立つたならば、常にこれはもう豹変し、あるいは動揺しておるということでなく、未熟であつたものをひつ込めるということに勇気を持つならば、あやまちを改めるにかえつてりつぱな態度である、こう思うのであります。これについて何か今の政府における段階においては、やはりこの問題はよくても悪くてもとにかく強行するのだ、こういうようなお考えであるかどうか、あらためて伺いたい。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 非常に率直な意見を求められておるわけでございまして、私も実に何とも困るのでございますが、どうも責任者といたしますれば、私はその閣議がどうこうと言つて、未来永遠にかわつてはいけないというようなことを決して考えておるわけではござ喜んで、先ほどもいろいろ他の問題についても御意見がございましたが、やつてみてうまく行かなければ、閣議はかえるということは、フランクであつて、私はそれがほんとうに政治家の態度だと思うのであります。でありますから、このうえもいろいろと研究いたしまして、その結果別な方法がいいということに政府部内の意見がきまれば、それもまことにけつこうなことだと考えます。それからいま一つは、これは言い方によりましては失礼なことかとも思うのでありますが、税法の案として御審議を願うわけでございまして、政府がこの法律をつくるわけでもございませんので、かりに法律案というかつこうで今のようなものが出ました場合でも国会における御審議は十分に尊重して参らなければならない、こう考えております。一体よけいなことのようでありますが、同時に新税は悪税なりという言葉が昔からあるくらいでございまして、新しい税を設定しようという場合には、実にこれは論議の多いものでございますから、その論議を聞くにやぶさかであつてはならない、私はこういうように考えております。
  30. 永井勝次郎

    ○永井委員 私も大臣に対して率直にお尋ねし、大臣からもまあ答弁の可能な限度において率直な答弁をされたと考えるのでありますが、しかし新税が常に悪税だというのではなく、税がどつちの方向に向つて起されようとしておるかということを私は問題にしておるので、その意味において大衆課税の方向を打出しておる。一つの内閣の性格かもしれませんが、そういう方向に打出されたということが一つの問題と、それからこの国会に特に現われて来たのでありますが、予算と法律というものが、これは非常に食い違つております。現在予算委員会にかけられておるこれらの予算というものは、全然法律を無視した案が出されておるのであります。当委員会においても、たとえば競輪に対する問題、あるいは水産委員会においては漁船に対する補助金の問題、農林関係については、各種土地改良その他各般にわたる関係の補助率の引下げと、全然法案を無視した案が予算として組まれておる。これは現在の内閣が、議員立法があるからあるいは何であるからというので、非常に国会を無視する態度がある。そういうような意味において、われわれはこの法律がどうなりますか。それを政府の考えで執行を左右するというような態度は、われわれは民主国会の堅持の上から断じて許されないと思うのでありますが、そういうことが現実に行われておる。そういうような立場で今度の問題も国会で決議すればいいことでありますが、しかし政府の態度としても、これは十分に反省しなければならぬ点がある。こういう意味で私はいろいろ論議しておるのであります。大臣は通産大臣であると同時に国務大臣でありますから、国政全般にわたるいろいろな責任を持つておられると思うのでありますが、今までは大蔵当局においてこれらの予算の査定をされたのでありますが、こういうような法律を無視した予算を編成されたという事柄については、どういう見解に立たれておるのか、これをひとつ伺いたい。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは予算の編成権が政府にある、それから立法府の立場が別に厳として存在しておるというように、両者の関係が錯綜しておる点にも問題の根拠があると思うのでありまして、たとえば、たとえば法律を無視したというお話でございますが、なるほど現行法に抵触し、あるいはこれを改正し、あるいは廃止しなければならぬものが予算案の中に入つておりますことは事実でありますし、特に二十九年度予算案におきましてはそういう項目が非常に多い。このことは確かに問題の点だと思うのであります。しかしながら一方から申しますと、税法等につきましては、この税法が国会を通過したならばという前提に基いて予算案の歳入を編成しておるのが相当ございます。これは過去の事例におきましても、税制改正の場合には必ずこの問題がつきまとうわけであります。それから蔵出につきましても、この法律がかように改正されたならばということを前提にして――今度の場合は減額ばかりでございますが、増額予算を組んでおるものも前例としてはたくさんあるわけでございますから、あながち予算案は必ず現行法を基礎にして組まなければならないということにはならない。かえつてそうなると、予算というものはにつちもさつちも行かぬのではないか。でありますから、そこは要するにそのときの情勢において合理的に、まあ常識的に御納得がいただける程度のものについては、将来といえども予算案の編成についてはある程度法律の改廃等を前提とするものが歳入歳出両面にあつてしかるべきものではないか、私はこう考えるのでありまして、二十九年度の予算案については特にその事例が多いために非常な論議を巻き起しておるのであつて、その中の一部につきましては、やり方があるいは過大に失した点があるかもしれない、こういうように私は率直に考えます。
  32. 永井勝次郎

    ○永井委員 この予算の編成と法律の実情との間に時間的のずれがあるというだけならばよろしいのでありますが、本年の場合はそうではなくて、全然法律無視である。それからこの法律を無視する前提条件としていろいろなことを政府側から放送しておる。議員立法は非常に利権に結びついておる。そうして予算を強制するような利権屋が非常に多いから、今後においては予算を伴う議員立法については、発案権をなくさなければいけないとか、盛んに官僚陣から立法府に対して一つの批判をし、それからいかにもわれわれ議員というやつはみな一挙手一投足利権に結びついて進退するのだ――あるいはそういう議員もあります。そういう政党もありましよう。しかし議員全般ということになれば、われわれ断じてさようなことは何しなければいけないのでありまして、そういう意味において、そういうことを前提として今度の予算が組まれておるということは、目的的であり、意思的であり、意識的である。そういうところから私は今度の予算の編成なり、今後の運営なりに問題があると思うし、それを政治家としての一つ政策に対する態度の表現として十分に重視しなければならない、かように考えるのであります。そういう意味においてお尋ねしたのでおりますが、繊維消費税は金額は非常にわずかでありますけれども、大衆に与えておる心理的な影響というものは非幣に大きいと思います。どうかそういう点を十分に御考慮願いたいと思いますとともに、官僚がまた立法府に対して大それた官僚独裁的な考えを持つようなきざしを、ひとつ大臣は立法府と両方に足をかけているのでありますから、そういうような立場において十分に気をつけていただきたいと思います。
  33. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度にいたし、散会いたします。なお次会は明日午前十時より開会いたします。     午後零時二十七分散会