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愛知国務大臣 昨日も大体の
考え方につきまして御
説明を申し上げたわけでございますが、まず
金融の問題といたしましては、御
承知のごとく、中小企業
金融公庫が昨年設立せられまして、これに対しましては、何としても政府
資金を充実しなければならないと考えて参
つたのであります。ところが
予算の方の
関係からなかなか思うにまかせなか
つたのであります。しかしながら乏しい中ではございまするけれ
ども、
資金計画といたしましては、五十億円昨年より増しまして、百七十億円にすることにいたした次第でございます。(「百三十億と言
つたじやないか」と呼ぶ者あり)これは
資金の運用計画といたしましては、出資は百三十億でございますが、運用の計画としては、回収とか利子収入もございますから、百七十億円が年間の運用計画ということに考えておるわけでございまして、これは昨年に比べますと、大体五、六十億の
増額ということになるわけでございます。
それから国民
金融公庫は、所管は違いますけれ
ども、率直に申しますと、こういう
政策の
転換と申しますか、こういう場合に最も
影響を受ける人は、むしろ国民
金融公庫の
資金を期待しておるような向きの方が相当多いわけでありますので、これもまた
予算の折衝に際しまして、特に通産省側からも主張いたしまして、
増額をしてもら
つたような次第でございます。
それから商工中金につきましては、実は多年問題がありまして、拡充方策がなかなか意に満たなか
つたのであります。特に、これは率直に申しますが、今回いわゆる
金融債の引受けが三百億円から二百億円に減らされました結果、商工中金として、そのうちどのくらいのものが商工中金の分としてとれるかということが、今一生懸命
努力いたしておりまするがまだ未決定でございます。商工中金につきましては、
資金運用部からの
資金を、
金融債を通して何とかできるだけ多くのものを期待いたして参らなければならぬわけでございまして、ちようどこういう時期に際会いたしましたので、いま一段の
努力をいたさなければならぬと考えておりまして、この点はまだ
結論を生み出すまでの折衝が終
つておらないわけでございます。
それから国庫預託金、いわゆる指定預金につきましては、先ほ
ども申し上げましたごとく、すでに期限の切れているものもあり、また間もなく期限の来るものもございますが、これらは、現在の
状況にかんがみまして、その引揚げをできるだけ延期するように、これはぜひひ
とつ努力いたしたいと考えているわけでございます。
それからその次に、中小企業対策につきましては、いまさら申し上げるまでもな
いようなわけでございまして、いろいろの方策がございまするが、いずれも十分の効果を上げていな
いように思いますので、従来考えられておりましたことではありまするけれ
ども、あらためてできるだけの
努力を新たにいたしたいと考えます。そのために、まず今申しました
金融の
関係でも、財政
資金だけにたよらないで、小規模の企業自体が銀行、相互銀行、
金融公庫等からのもつと金を借りやすくするということのためには、信用保険の制度の樹立がぜひ必要であろう、こういうふうに考えまして、小口信用保険というものをや
つてみたならばいかがかと思います。これは法律の改正を必要とのいたしますので、準備のでき次第御審議をお願いするようにいたしたいと思うのであります。
それから全体としての中小企業の組織化の問題でございますが、組合を質的に充実するということに重点を置いて参りたいと思います。そしてたとえば組合診断制度の普及徹底、それから組合としての指導要領、計理基準等の作成によりまする組合からの指導、それから組合指導者の育成というようなことが、組織化につきましての
一つの方法ではなかろうかと考えるわけでございます。
それから今度は組合自体の事業の問題でございますが、これは一口に申しますと、共同施設の問題と思うのであります。これはよく御
承知のように、たしか
昭和二十二
年度から実施されておりまして、二十八
年度まで国庫からの補助制度を行
つて参
つたのでありますが、二十二
年度から二十八
年度までの間に補助の対象になりましたものが千二百五十七組合、金額にいたしまして七億円であ
つたのでありますが、
昭和二十九
年度の今回の
予算におきましては、この補助金を三億円に
増額いたしました。
従つて二十二
年度から二十八
年度までの七億円に対しまして、二十九
年度が三億円ということは、乏しい
予算措置の中では相当のものではなか
つたかと思うのでありまして、これを有効に活用いたしますために、従来の組合の共同施設の補助方式のほかに、新規に特定の事業者をも
つて組織されました組合に対しまして、その組合員の設備の近代化についての補助方式を創設することが適当ではなかろうかと考えまして、細部の具体案を現在練
つているわけでございます。それから同時に、私
どもといたしましては、国だけではなかなか手の及ばないところもございますので、地方公共団体におきましても同様の助成措置について一段の
努力をしてもらうように要請をいたしたいと考えております。すでに要請もいたしておりまするが、ひ
とつ組織的な要請を展開して参りたい、こういうふうに考えているわけでございます。それから組合の全体の総意によりまして、全国的な協同組合の指導機関を育成することが適当ではなかろうかと思うのであります。全国的なそういう機関ができて、自治的に組合の指導や監査を行うことが、実は御
承知のように各
方面から要望されておるのであります。かくのごとき組織をつくりますることは、やはり私は法律を要するかと思うのでありまして、これはできるだけすみやかに各
方面の御意見を集めまして、できれば法律案として作成して御審議を願うようにいたしたいと考えております。
大体以上が組合としての組織の強化、ことにいろいろデフレ的な波が寄せて参りまするときには、こうい
つた相互扶助の
一つの自治団体と申しますか、こういう組織によ
つてその波を切り抜けて行くということが
一つの行き方ではなかろうかと考えております。
それから次は合理化の対策でございましてこの点は先ほ
どもちよつと申しましたが、企業の診断制度というものもひ
とつできるだけ進めて参りたいと思うのであります。従来企業診断の
実績といたしましては、工業についていわゆる工業診断をいたしましたものが一万一千百六十五件に達しております。それから商業の方は三万七千件余に達しておるのであります。すでに系列診断、産地診断とい
つたようなもの、あるいは中小炭鉱診断等におきましては相当実質上の効果も上
つておるやに見受けられるのでありまして、こういう点につきましては引続きいろいろと対策を進めて参りたいと
思つております。
それから御
承知の国有財産特別措置法によ
つて、機械の交換というようなこともや
つておるわけでございますが、これな
どもある
程度におきましては中小企業の合理化、近代化ということに貢献ができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。これは従来進んでいなか
つた点があるのでありますが、こういう点を促進しその代金の決済の問題その他にくふうをこらして参りますれば、ある
程度の効果が将来期待できるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。