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1954-02-01 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月一日(月曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君     理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    田中 龍夫君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       柳原 三郎君    齋木 重一君       加藤 鐐造君    中崎  敏君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  記内 角一君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      森  誓夫君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 一月二十六日  委員加藤清二辞任につき、その補欠として安  平鹿一君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  加藤鐐造君議長指名委員に選任された。 二月一日  委員安平鹿一辞任につき、その補欠として加  藤清二君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 一月二十六日  神戸銀行を中小企業金融公庫代理店指定の請  願(山口丈太郎紹介)(第二七二号)  鉱毒対策費国庫補助に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第二七三号)  横浜繊維製品検査所川俣支所を本所に昇格等の  請願助川良平紹介)(第二七七号)  八ケ岳硫黄採掘反対に関する請願倉石忠雄君  紹介)(第二七八号)  同(吉川久衛紹介)(第二七九号)  同(中澤茂一紹介)(第二八〇号)  同(松平忠久紹介)(第二八一号)  電力料金値上げ反対に関する請願小枝一雄君  紹介)(第二八二号)  信濃川水力発電第四期工事促進に関する請願(  田中角榮紹介)(第二八三号)  商店街街路燈及びネオン休電反対に関する  請願田嶋好文紹介)(第二八九号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二九〇号)  電気事業復元に関する請願只野直三郎君紹  介)(第二九一号) の審査を本委員会に付託された。 一月二十九日  日中貿易促進に関する陳情書  (第一三五号)  商工組合中央金庫に対する政府指定預託金の増  額等に関する陳情書  (第一六〇号)  東海銀行を中小企業金融公庫受託機関指定の  陳情書(第一六一  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  通商産業政策基本方針に関する件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、通商産業政策基本方針に関する件について調査を進めます。まず本件につき愛知通商産業大臣より発言の通告がありますので、これを許します。愛知通商産業大臣
  3. 愛知揆一

    愛知国務大臣 本日は、通商産業省のこれからやつて参りたいと思いまする施策の大綱につきまして説明する機会を与えていただきまして、まことにありがとう存じます。  現在の日本経済全体の状況につきましては、先般本会議で経済審議庁長官の立場において御説明をいたしたわけでございまするが、お手元に配付いたしました説明の要旨に入りまする前に、先般のいわゆる経済演説の基礎になりました私どもの考え方をちよつと最初に申し上げてみたいと思うのであります。  昭和二十八年、昨年一年の十二月までの経済経費指数等が大体まとまりましたので、それを振り返つてみますると、昭和二十八年中の経済動向については、特徴的なものが数点あるように存ずるわけでございます。その二、三の点を申し上げますならば、まず第一に昭和二十八年中は、鉱工業生産上昇率が大きかつたことがその第一点でございます。消費水準の上昇が二十七年に続いておるということが、第二の特徴でございます。そうして第三の特徴として、国際収支の逆調が目立つて参つたのであります。この点につきましては、後にさらに詳しく申し上げたいと思います。それから災害や凶作の影響もございまして、物価水準が上昇したということが第四の特徴だと思います。第五に、投資活動が非常に旺盛であつたことがあげられます。最後に第六点として、財政資金散布超過額が相当増大し、また日本銀行の信用の増加が目立つたこと。大体大きな特徴をあげてみますと、さような六つの特色があると思うのであります。  こういつたような昨年中の動向のもとにおきまして、昭和二十九年においてどういうことをやつて行くかということが、これからの問題になると思うのであります。御承知のように昭和二十九年度の政府の予算の原案におきましては、財政投融資公共事業費などが圧縮されました結果、二十九年度の投資活動は、二十八年度に比べますると、約一割程度低下するということを考えられておるわけでございます。一方消費購買力を抑制して行きたいということがその基本的な考え方の一つでございますが、必ずしもこの方はそう急激には落ちないと見られますけれども、いわゆるデフレ的な影響が次第に強くなり、物価が下つて来るにつれまして、漸次買い控えの傾向も出て来るものと思われるわけでごいます。しかしてこのような内需の大体の動向に加えまして、輸出日英貿易会談の結果等によりまして、多少の好転が期待されると思うのでありますが、特需の方はMSAを考慮に入れましても、二十八年度以上に出るということは望まれないのではなかろうかと思うのであります。  こういつたような想定をいたしてみますると、二十九年度のいわゆる有効需要は全般的にむしろ先細りになると予想されるわけでございます。そういたしますると、鉱工業生産は、二十九年度の年度初めにおきましては、今年度からの引続きでありますから強調を呈するでありましようが、下期に入りましてからは、主として機械金属などの投資財を中心にいたしまして低下の方向をたどるものと思われるのでありまして、この点から、私が先般申し上げましたように年度を通じますると、二十八年度とほぼ同水準になりまして、昭和九—十一を基準にいたしまして、大体二十八年度とほぼ同様の一五二程度にとどまるものと思われるということを申しましたのは、そういつたような基本的な情勢判断から考えたわけでございます。国際収支の状況はあとで申し上げることにいたしまして、今申しましたような投資需要の減少や、これに対しまする生産振興のぐあい、また金融引締めの強化というようなことによりまして、生産財物価の方はやはり下期にかけてかなり急角度に下落して、二十八年度水準に比しまして生産財としては六、七パーセントの低下が予想されるのではなかろうか。また消費者物価の方については、消費購買力は先ほど申しましたようにしかく急角度には落ちませんけれども、主として物資需給の改善によりまして、やはり三、四パーセント程度は下落するものと考えているわけでございます。  大体においてかような構想を中心にいたしているわけでございますが、これを一言にして申しますならば、お手元に配付いたしました書類の第一ページの中ごろにもございますように、昭和二十八年においてわが国経済規模は、生産の増加、消費水準の向上、これなどによりまして二十七年より一まわり拡大されたのでありますが、物価の方はどうかと申しますと、おおむね横ばいないし強含みの推移をたどるなど、国際経済の基本的な動向から遊離する傾向が顕著に現われておつたわけであります。物価の方は申すまでもございませんが、ここに横ばいないし強含みの推移と書きましたゆえんのものは、たとえば木材のごときものは非常に上つたのでありますが、これを除きますれば、大体横ばいということが数字的にもはつきりするわけでございます。しかし全体とすればやはり強含みの推移をたどつて、その結果国際収支の面もまた遺憾ながら輸出の伸び悩み、輸入の増大によりまして収支のバランスが悪化したわけでございます。ここに数字をあげてございますように、昭和二十八年十二月末までの係数は大体わかつたのでありますが、さらに三月までの二十八年度としての国際収支見通しといたしましては、輸出が十二億二千万ドル、駐留軍関係の収入、いわゆる特需等の合計が八億一千万ドル、その他貿易外収入を含めまして、受取り合計が二十五億五千万ドル見込まれるわけでございます。これに対して支払いは、輸入二十一億七千万ドル、貿易外支払いを含めて支払い合計が二十七億四千万ドル程度と推定されまして、その結果支払い超過額が一億九千万ドル、あるいはこれをある程度上まわるのではなかろうかと想像されるわけでございます。かくのごとく八億ドルにも達しまする特需収入にもかかわらず、大幅の逆調に転じたのでありまして、この点は遺憾ながら経済自立とは逆行する方向に向いつつあるような感じを受けるわけであります。  他方国際経済主導力でありまする米国経済動向でございまするが、この米国経済のこれからの動向がどうであろうかということにつきましては、米国内部におきましても、あるいは他の諸外国におきましても、いろいろの見方があるようでございまするが、大体においてすでに頭打ちの傾向にあるということが、大体多数の人の見込みのようでございます。これを契機にいたしまして、各国の輸出競争は一段と激化するものと予想されることは当然でございますが、従来国際収支の均衡に大きく貢献いたしておりました特需収入も、朝鮮休戦並びに米国の新政策によつて漸次減少するかとも思われまするので、わが国当面の目標である国際収支の均衡、経済自立の達成の道は楽観を許さないものがあると存ずるのでであります。これは本会議でも申し上げましたように、私どもの考え方としては、生産と消費のアンバランスに基く有効需要の過大によるものと思われまするので、ここでひとつ決意を新たにいたしまして、基本的に財政と金融の引締めをはかつて、そしてこの過剰な有効需要を切りたい。これが単にインフレ的な傾向を阻止するのみでなく、進んで国内の物価水準を引下げる方向において、経済の安定をもたらすことになるであろう。従つてこれを根本の方針といたしまして、あらゆる施策を輸出第一主義に集中することにいたしたいというのでございます。従つて通産省といしましてのこれからの施策の根本も、当然この輸出振興のために、以下に述べまするような諸方策を一段と強力に推進いたしたいという考え方でございます。  まず、この輸出振興につきまして考えておりますることのうちのおものな点を以下数項目あげておいたのでございまするが、その点について簡単に御説明申し上げたいと思います。  その一つは、輸出を阻害しておりまする外的要因を打破するということでございまして、御承知のように国内の輸出振興の効力ももちろん非常に大事なことでありますが、同時に従来におきましては、日本の輸出を阻害する海外からのいろいろの要因があつたように思われまするので、経済外交の推進ということによりまして、これをだんだんと処理して参りたいという考え方でございます。その内容といたしましては、御承知のように各国との通商航海条約がまだ締結されておらないところのが相当ございまするので、これを早期に締結いたしたい、また賠償問題の円満かつ早期な解決をはかりたい、並びにガツトへの正式の加入を促進いたしたい、それとともに通商協定の拡大及びその有効な活用に特段の努力を払いたいということでございます。  この海外との関係におきましては、御承知のごとく日英会談につきましても、一昨日調印ができましたように、一段と躍進して参つたわけでございまするが、他の各国に対しましても、輸入制限の緩和につきましては特に強く要請を行いたいと考える次第でございます。日英支払い協定は昨年十二月末をもつて失効することになつておりましたので、英国側と交渉のため、御承知のごとく政府は十一月下旬から代表団をロンドンに派遣いたしまして、鋭意貿易の拡大、均衡をはかる方針をもつて折衝中でございましたが、このほどようやく交渉がまとまり、支払い協定に若干の修正を施して、本年末まで延長することといたしましたが、同時に貿易計画につきましても、昨年の輸出実績は一億二千二百万ポンドでございましたが、これに比較して輸出を約六割強増加するものといたしまして、受取り及び支払い、それぞれ約二億九百五十万ポンドの規模において話合いができたわけでございます。この際注目すべきことは、英本国及びその植民地における従来の輸入制限措置を大幅に緩和せしめることについて、先方の確約を得たことでございます。  なお自治領につきましては、今回の貿易計画のラインに沿いまして、今後自治領諸国と個別的に話合うことにいたしたわけでございます。これによりまして、昨年における輸出伸び悩み主要原因でありました。ポンド圏貿易の拡大がはかれるものと期待いたしておるのでございます。  そのほか目下アルゼンチン、ブラジル、トルコ等貿易協定の改訂ないし締結について話合いを進めておる次第でございます。以上が対外的な要因によりまするところの輸出阻害の原因となつた事情を打開して行うということのうちのおもなる点でございます。  その二は、海外市場の開拓と経済協力の推進でございます。明年度におきましては、国庫補助金を大幅に増額し、既設の貿易斡旋所の機能の活用と新設増設をはかり、また重機械類技術相談室海外市場調査機能を整備拡充し、また海外見本市への参加、旅商団の派遣、海外広報宣伝活動強化等の措置を進めたいと考えておるのでございます。これがため、これらの施策に対する補助金の額も、二十八年度の一億八千五百万円余に対しまして、二十九年度の予算案は、一般的な節減方針にもかかわらず、三億二千三百万円余と七割強を増額した次第でございます。  次に東南アジア等との経済協力を促進いたしまするため、プラント輸出における長期延払い等優遇措置、重機械類技術相談室の整備、技術協力団体に対する補助等をさらに推進するとともに、輸出入銀行の機能を積極的に活用いたしまして、最近好況にありまするプラント輸出の促進に一層の拍車をかけ、あわせて現地の資源開発のための技術援助事業提携を積極的に講する方針でございます。  次は国際競争力培養強化でございます。この点は、全般的な基本的な政策が実を結ぶということがその結局のねらいを達成することになることはもちろんでございまするが、さしあたり国産の困難な近代化用機械及び良質低廉な原材料の輸入の確保をはかるとうことに特に重点を置きたい。これとともにリンク貿易委託加工貿易を適宜に推進いたしまするし、また貿易商社為替銀行等貿易担当者を強化する方途を講する所存でございます。  なおわが国商品割高事情にかんがみ、財政金融面より一般的に物価水準の低下を企図いたしておりますることは、ただいま申し上げた通りでございます。  以上のような施策を背景といたしまして、昭和二十九年度の輸出入額を推算いたしますると、次の通りになるのでありまして、ドル地域ポンド地域オープンアカウント地域に一応わけまして、輸出輸入それぞれの見通しを推計いたしてみたわけでございます。ここに数字があがつておりますがごとく、ますドル地域におきましては、輸出を四億四千五百万ドル、輸入が十億九千万ドルというふうに見たわけでございまして、このドル地域に対する関係におきましては、先ほども申し上げましたように、ある程度アメリカ経済の今後の動向というようなことをも見合せて、こういう推算をしてみたわけでございます。  ポンド地域につきましては、輸出五億一千五百万ドル、輸入五億一千八百万ドル、この推計の見通しはさらによく検討いたします結果、ある程度若干の修正を施さなければならぬかと考えておりますが、一応こういうふうな見込みをつくつてみました。この点は先ほど申しましたように、日英会談が成立いたしました等の関係を考慮いたしまして、これはできるだけ協定で確保でき得たところの限界まで輸出の努力をぜひともやらなければならないというふうな考え方がここに出ておるのでございます。  オープンアカウント地域におきましては、輸出四億一千五百万ドル、輸入五億三千二百万ドルと一応想定いたしますと、その結果が全体で輸出ドル換算で十三億七千五百万ドル、輸入が二十一億四千万ドルとなりまして、これに貿易外収支を加減いたしますと、受取りの合計は二十四億七千五百万ドル、支払いの合計が二十五億六千五百万ドル、差引九千万ドルの支払い超過、すなわち赤字となるのでありますが、前年度の凶作による食糧の緊急輸入分を考慮いたしますれば、大よそ二十九年度とすれば、収支均衡といつてよいのではなかろうかというような推計をいたしておる次第でございます。もとよりこれだけの予定を達成いたしますためには、われわれとしても並々ならぬ決意をもつて輸出振興と外貨の節約のために、あらゆる努力を傾注しなければならぬと考える次第でございまして、この点については皆様方の御協力をお願いしなければならない点でございます。大体以上が第一の柱といたしました輸出振興ということについて考えております施策の大体の大綱でございます。  次に中小企業対策について申し上げたいと思います。申すまでもなく、先ほど来御説明申し上げておりますように、昭和二十九年度の予算及び財政投資計画が、率直に申しまして相当切られておる。これらによつて表現されておりますところのこれからの政策ということを考えますならば、これから私どもが企図いたしておりますところの経済正常化ということを達成する過程におきましては、各企業も相当の苦難を覚悟しなければならないと思われるのであります。なかんずく経済変動に対しましては、抵抗力の弱い中小企業におきましてはその影響を受ける程度が強いと予想されますので、これに対しましては万全の措置を考慮しなければならないと考える次第でございます。そこでまず経営の面につきましては、特に診断制度の滲透に努めて、各企業者に自己の企業内容についての十分の自省を促し、経営の強化を指導するとともに、協同組合組織普及整備をはかり、また金融対策としても、単に苦境の救済にとどまることなく、自主的に最善を尽して、なお力の及ばないような企業に対しまして、その向上発展のために真に必要と認められる資金は、これを円滑に供給するというような積極的意義を持たせたいと考えておる次第でございまして、中小企業金融公庫運用資金額も、これに備えまして五十億円程度を増額して、百七十億円とする予定でございます。国民金融公庫の運用と相まちまして、これが運用に遺憾なきを期したいと考えておるわけでございます。また中小企業、特に小規模企業に対する金融上、信用力の不足がしばしば痛感されますので、新たに信用補完制度充実をはかるために、小口信用保険というようなことを、近く中小企業信用保険法の改正として提案する予定に考えておるのでございます。さらに個々の企業の力の及ばないところを、団結の力によつて補うことも必要でございますので、このためには共同施設等についても近代化による効果の発揚というような目標をもつて進ませたいと念願し、特に予算を前年度より一億円余増額して総計三億円といたしたような次第でございます。  なお今回の税制改正を機会といたしまして、個人企業及び中小法人に対して若干の調整を行うべく、現在政府部内におきまして関係当局と鋭意折衝をいたしておる次第でございます。  次は合理化の対策でございます。以上申し述べましたような考え方は、単に中小企業に対してのみではなく、いわゆる基礎産業重要産業にももとより一層強く要請されるところでございまして、まず自主的な努力によつて企業内容を健全にし、資本の蓄積をはかり、施設を近代化して、コストを引下げることに渾身の力を傾けていただきたいと希望する次第でございます。このためには、政府においても資産再評価、内部留保の充実に関しまして、税制、金融等制度面において極力これを支持し促進する方策を講する所存でございまして、それぞれ所要の法律改正を本国会に提案することにいたしておる次第でございます。率直に申しますならば、ここ数年の産業経済界には、いささか自立の気構えに欠けたと思われる節がないでもないのでありまして、国全体の財政経済政策が、目先の繁栄よりもまず基礎の安定と物価水準引下げの方向へと切りかえられる転換期にあたりましては、官民を問わず総力をこの一点に集中することがぜひとも必要ではないかと考えられるのであります。たとえば資産再評価につきましても、少くとも税制上資産再評価を阻害しておりましたような原因となつておる事項は、税法上これを取除こうと考えておるような次第でございますが、資産再評価が適正に合理的に行われました場合におきましては、経営者従業員も、自己の企業の実態が正確に把握されることになりましようし、また株主もこれに対して正確にその企業の内容の把握ができるというようなことによりまして、関係者全部が合理主義の上において、いかにすれば経営の基礎を健全にし、また政府財政政策金融政策等に即応して運営がやつて行けるかというような点について、創意とくふうとが期待できるのではなかろうかと考えておるわけでございます。従つて、たとえばいわゆる不況カルテルのごとく価格維持を目標とするような動きには最も慎重を期さなければならないと存じますが、反面コスト引下げのために必要とあれば、いわゆる合理化カルテルの類はむしろ助長すべきではなかろうかと考えるのであります。また生産コスト引下げを主目標とする施設近代化のための財政投資にいたしましても、明年度の、たとえば開発銀行をとつてみましても、その運用資金は六百五十億円程度になるのでありまして、本年度に比しますと二百億円以上の減額となる見込みでございます。そこで輸出産業基礎産業等の少数の重要産業部門に対して、必要不可欠と認められるものに限定いたしまして、最も効果的にこの資金を投入いたしたいと思うのでございます。現在電力、石炭、鉄鋼、合成繊維等わが国重要産業近代化計画は進捗の途上にありますが、緊縮予算の実施に伴う物価水準の下降、需要の減退等を見越し、すでに各業界におきましても既定計画を再検討し、重点化する機運もございます。従つてこれらの各産業に対しましては、電力事業に三百五十億円で、二十八年度に比較しまして、五十億円減額となつております。海運事業を除くその他の産業に百十五億円、これは二十八年度は二百四十億円でありましたから、相当の減額になるのでありまするが、これを割当てることになる見込みでございまして、その中で緊急を要する石炭、機械、肥料等近代化計画も相当に織り込み、極力投資効果を早く発現させるように努力いたしたいと考えまして、目下各業種ごとに具体的な検討を早急に進めておるような次第でございます。また電源開発会社に対する政府出資金も前年度よりこれは六十億円を増して、二百六十億円といたしたのでありますが、実行上は一層工費の切り詰め、着工順位のくふうなどの手段をとりまして、当初計画に近い発電量の確保に努めたい所存であります。この電源開発事業は、御承知のごとく昭和三十二年度までの開発目標五百十万キロワツトに対しまして、今日までに着工いたしましたものは、二十七年度よりの継続工事が三百五十二万キロワツト、二十八年度の新規工事が九十二万キロワツト、合計四百四十五万キロワツトに及びまして、計画全体の八七%でございます。現在までのところ、ほとんど大部分の工事は順調に進捗しておるように見受けるのでございます。  国際収支の均衡を確保したいという基本的な目標を達成いたしまするためには、以上のように外貨受取りの増加に努める反面、工業技術の振興、国内自給度の向上、資源の開発その他根本的に外貨支払いを節減する方策を引続き強力に実施しなければならないと考える次第でございます。  そこで技術振興でございまするが、工業技術の振興に関しましては、試験研究の一層の推進とその普及が必要でございまして、通商産業省としては管下の各試験研究所の機能を活用いたしまして、鋭意その水準の向上に努力いたしておるのでありまするが、民間企業に対しましては、研究費に対する税法上の優遇措置を講じておりまするほか、来年度におきましても予算総額の縮減にもかかわらず、本年度と同額の六億円の試験研究補助金を交付いたしまして、優秀な試験研究及び発明の普及をはかる予定でございます。また戦時戦後の空白期間における技術の国際的後進性を急速に回復いたしまするため、必要と認められまする外国技術の導入、合理化に必要な機械設備の輸入は、優先的にこれを考慮するつもりでございますが、他面わが国の機械工業の設備更新を根強く実施いたしまするためには、単なる輸入依存にとどまらず優秀な国産機械を増産させ、使用者の信頼度を向上させる必要があると思うのであります。重要機械国産化補助金を本年度同様一億円計上いたしまするほか、金融上の優遇その他の具体的措置をこの点について考究いたしたいと考えております。  次に国内における自給度の向上によりまして、外貨の支出を節減いたしまする上から、燃資料源対策について一言いたしたいと存じます。石油資源の開発につきましては、従来から法規をもつて資源の保護をはかりますととものに、その試掘に対しましては、補助金を交付して奨励に努めて来たのでありますが、最近特にその輸入量が御承知のように厖大に上りまして、将来さらにその需要増加を見込まれ、かつまた国内の試掘技術も世界水準を抜くという程度に達しておりまするので、この際国産原油の飛躍的な増産を企図し、五年後年産百万キロリツトルの採油を目標とする計画をつくりました次第でございます。これがため初年度たる二十九年度には試掘補助金を前年度の約四倍、一億三千万円に増額いたしまして、企業の探鉱活動を助成することによつて国内油田の発見、開発を促進することといたしたのでございます。  次に石炭につきましては、すでに縦坑の開鑿によりまして昭和三十二年末までに平均三割前後の価格引下げをはかる目標を立てまして、その促進に努めて参つたのでありまするが、その後の経済事情の変動、重油消費の増加等のため、炭種によりましては現在においてすでに一箇年前に比して一割以上の下落を示しておるものもあるのでございます。この傾向は一面におきまして企業合理化意欲を強めることともなりますが、他面経理の安定を害し、既定計画の遂行を困難にするおそれもありまするので、坑道掘進費の損金算入等、資本蓄積促進のための税制の改正等による効果をも考慮に入れまして、必要最小限度の財政資金を優先的に確保して、あくまで炭価の引下げ方針というものを堅持する所存でございます。石炭と石油等の全般にわたりまする総合的な燃料対策につきましては、さしあたり石油の輸入外貨を節減いたしまするために、関係企業の協力を求めて新規需要に対する重油転換を抑制しつつ、緊急用途に対しましては、その入手を確保する方途を講じまして、もつて石油消費の合理化をはかるとともに、石炭需給の安定に努めたい考えでございます。  以上が通産省といたしまして今後とるべき施策の大綱と考えておる点でございます。先般ごあいさつにも申し上げました通り、御承知の通り就任早々のところでございまするし、研究の不十分な点も多々あることと推測するのであります。委員各位の御鞭撻と御援助によりまして、わが国経済自立の達成のために微力を尽したい念願でございます。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 以上で通産大臣の説明は終了いたしました。次いで質疑に入ります。長谷川四郎君。
  5. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただいま懇切なる大臣の御説明によりまして、急に通商産業委員会も明るくなり、従つて何か日本の進む道を明らかにしていただいたような感じがいたします。今になつては相当遅ればせではありましようけれども、幾分なりとも取返すことができるのじやないかと考えます。  そこで一、二伺つてみたいのでありますが、通商航海条約の問題でございますが、通商航海条約が結ばれている国は何箇国ありましようか。従つてガツトのその後の模様、たとえば十二月三十一日までの二十箇国の調印の件すべてが完了しているかいなや、この点についてお伺いをいたします。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 通商航海条約の締結状況とこの推進策でございますが、申すまでもなく、通商航海条約は条約当事国間の経済関係の基盤をなすものでございまして貿易拡大にはこれが不可欠の要件であるわけでございます。そこで平和条約の締結によりまして、アフガニスタン、デンマーク、フインランド、スエーデン、スイス、タイ、トルコ、ユーゴスラビア、フランスの九箇国は、わが国との戦前条約を二十七年中に復活いたしました。それから次いでオランダ、ギリシヤの二国は二十八年中に復活いたしたわけでございます。それからその次に御承知通りアメリカとの間におきましては、旧来の条約規定には見られませんでしたような投資の保護、公正な商慣行の維持、社会保障に関する規定等を盛りました新たな通商航海条約が昨年の四月二日に調印されまして、十月三十日にはその効力を発輝いたしたわけでございます。  これが大体過去の実情でございまして、要するに平和条約の締結に伴つて、旧来のものを復活いたしましたものが十一箇国、それからアメリカとの間には新たなる条約ができたわけでございます。  今後でございますが、ます第一にカナダとは目下条約の交渉中でございま して、カナダの方はわが国輸出品に対しましてガツトの税率適用を認めるような模様でございます。これは現在条約の交渉中でございます。それから次にキユーバに対しましても現在交渉中でございますが、キユーバは一定数量の砂糖の輸入を条件にいたしまして、従来最高関税及びダンピング関税を課されておりましたわが国輸出品に対しまして、繊維品を除いては最恵国時遇を与えるというような考え方を用意しておるようでございます。これらの点について目下折衝中でございます。  それからその次に現在条約締結交渉の準備中の国といたしましては、ユーゴスラビア、スペイン、ペルー、チリー、イタリア、ノールウエー、パキスタン、セイロン等がございます。またさしあたりわが国として特に力を注ぐべきものと考えておりますのは、英本国との通商条約の締結でございまして、これにつきましては日英間の支払い協定貿易協定等の進捗に伴いまして、あらためて努力促進いたしたいと考えております。  ガツトにつきましては、先ほど一般的にも申し上げたのでございますが、今御承知のように、仮加入をいたしておるわけでございます。ところでその仮加入の場合におきまして、昨年の十月二十三日に第八回のガツト会議がございましたが、あの当時は、御承知のように賛成が二十八で、棄権が六のということになつたのでありますが、昨年十二月三十一日までに日本にガツトに規定いたします最恵国待遇を与える旨の宣言に対しまして、ウルグアイを含む二十一箇国が署名を行つております。こういうような状態でございますが、今後におきましても、機会あるごとに正式加入の要請を続けて参りたいと考えておる次第でございます。
  7. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 優秀なる機械の買入れ、また国内産業に対しましても能率化しなければならないということはごもつともでございますが、しかし国内の資源の開発の面が、少し予算面から見ても少な過ぎるのではないか。たとえば石油の問題に対しましては、一億三千万といえば昨年よりは三倍も出ておつて、ある程度の納得の行く点もあると思うのであります。しかし国内資源開発にいかにりつぱな機械を入れても、よその国から材料を持つて来て、そうしてつくつて出してやろうというような考え方が今でもあるんじやないだろうか。国内の資源というものをいかに生かすかによつて自立経済というものを保つという点で、そういう点には少し欠陥があるのではないかと私は信じます。従つてそれに対しましては、よくあなたも御存じの通りなので、申し上げる必要もないのでありますが、それらに対しましてのお考えをもう少し詳しく伺えるならば、具体的にお伺いしてみたいと思います。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもつともでございまして、たとえば石油の問題にいたしましても、一億三千万くらいでは足りないということは私も十分承知しておるのであります。何分にも財政全体の根本的な考え方考え方でありますために、その乏しい中をさいてこういうような予算を編成したわけでございますが、さらにたとえば石炭にいたしましても、電力にいたしましても、あるいはまた硫安等にいたしましても、一つのの国際収支の改善ということを目標にするということで、同時に私はやはり国内の資源の開発、これが経済自立の基本であろうと考えますので、今申し上げましたもの以外にいろいろございますが、こういう緊縮の時代ではありましても、財政資金の投入の計画、開発銀行の融費の計画にいたしましても、たとえば設備の拡張にしても、あるいはまたその設備の近代化、効率化という点にいたしましても、この両面につきましては、基本的なもののについては経済効果ができるだけ早く発揮できるように、金融上においてもできるだけの努力を続けて参りたいと考えております。  それからいま一つは、まだ政府部内でも意見がまとまらないのでございますが、税法上においてもできるだけの考慮を払いまして、企業意欲が推進され、内部資金充実するという点につきましても、初めから大きな理想的な案をつくることはできないかとも思いますが、順を追いまして、税制の方面におきましても、できるだけの改善の措置を考えてみたいと考えております。
  9. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 特許庁の問題におきましても、現在日本のパテントが外国に行つて年間どのくらいの金額が来ておるかといえば、ちつとも来ておりはしない。それほど日本にはばかばかりそろつておるかというとそうでもない。これはどこに欠陥があるかということは、すべてあなたの方の財政支出をしておられるときの、予算面に対しての大きな欠陥があることなんでございまして、その点についてもなお一層の考慮をしてもらわなければならぬと思います。  さらに繊維の問題に関連してお聞きするのですが、何といつても昨年度の統計を見ればおわかりのように、日本の六月からの繊維品の輸出がずつとドロツプしておる。どうしてそういうふうに下に下つて来たのかといえば、国内の価格が高いためにせつかく引合つたものも出せなくなつてしまつた。こういうような問題に関連して、人絹の問題を取上げて、私も昨年からいろいろお話申しておるのでございますが、どうして二重価格制をとらないのか。二重価格制はどこの国でもやつておるのではないか。どうして日本はそれを行うことができないのか。生産消費のバランスがとれないからなかなかやるのが困難だという考え方もあるでしようけれども国内消費などというものは第二段階のものであつて、私どもの目的はいかにして輸出向上させるかという考え方がまず第一義的でなければならのないと私は考えておる。そういう点について、価格の安定を保たせたい。価格の安定を保たせるためには、まず生産原価を調べて、企業をやつておられる方、たとえば人絹会社の六大会社においても、営利を目的にしておる会社には違いないのだから、もうけさせなければならないだろうけれども一つコストを調べた上で、年間一定したところの価格をもつて輸出第一主義にかえて行くという方法をとる。それには輸出第一主義である以上は、いつも利潤の一定の価格でもつて原料を与えてやるという制度をとるべきだということを強く主張をしておるのでございますけれども、今もつてそれらに対しても何ら考慮が払われていない。考慮が払われていないのではなく、せつかくお役人様の考えてみたのがかえつて阻害をしておるというような面に、それが現われて来ておるのであります。そういうようなことを申し上げると、繊維局長あたりはおそらくそんなばかなことがあるかと言われるかもしれないがしかし実際の現実の面では、役所の机の上で話を聞いているのとはまつたく大きな差があることは知つてもらはなければならない。こういうような意味におきまして、私は人絹糸の二重価格制をとれということを常に唱えております。従つてこの際、今の日本の織機に対しましても一応ここでピリオツドを打つて一つの統制という意味でなくても、今の織機の台数よりふやさせない、稼動しているものでも未稼動のものでも全部登録して、そうして今大臣の説明にあるように、合成繊維の件につのきましても、化学繊維の件に関しましても、醋酸繊維にしましても、今後たくさん日本においても生産されて来る、それを混織しなければならない。そういうふうになつて来ると、機械設備が、今のようなおじいさんの代、ひいおじいさんの代のような機械では、とても輸出なんというものは考えられない。であるから、高能率の機械とかえてやる、そういう場合に対しての融資という面も考えてみたらどうかということを申し上げておるわけでございます。簡単でありますけれども、申し上げたような点について、何かお考えがございましたら伺わせていただきたいと思うのであります。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この二重価格の問題は、ただいまお話の通りごもつのともな点が私はあると思うのであります。しかし私の見解としては、結局基本的な考え方としては、国内物価を国際物価にさや寄せをするんだということであらゆる努力を講じて参りたい、こう考えておりますので、一つ目標としては、二重価格ということはあまりいいことではないということは、同時に私は考えなければならぬと思うのであります。しかしながら具体的にどの品目にどうというところまで、私率直に申しまして、自分ではつきり計算をしたことはないので、まだ十分の研究を積んでおりませんけれども、御承知のように、たとえば金融の面で申しますならば、貿手を優遇しておるとか、あるいは輸出入銀行の金利を下げるとかいうようなことを従来もやつておりますし、また税の負担につきましても、たとえば輸出所得の控除制についても、できれば私はその控除限度などももう少し考えたいものだと思つておるのでありますが、これもすでに一部は実行いたしておりますので、そういう点から見れば、国内価格と輸出価格との間には現実に二重価格が現在出ておるわけでございます。そこで先ほど御指摘がごさいましたが、外国でもどこでもやつておるではないかという話でしたが、これはいろいろ国際的の関係も微妙であるようでございますので、私どもの態度としては、国際的に、たとえばダンピングだというようなことにならないような点においては、ある程度措置を従来ともやつて参りましたが、今後も引続きやつて参りたいと考えております。くどいようでありますが、基本的には基本的な価格をしわ寄せをするということに重点を置いて、輸出についての優遇措置を考えて、その結果において生ずるところの二重価格ということについては、現在の状況においてなし得る限りの努力をして、国際的にも問題を起さないようにしたい、こういうふうに考えております。  それから今織機の設備の制限のお話がごさいましたが、これを実行いたしまする場合の利害得失等を十分慎重に検討いたしたいと考えておるわけでございまして、私としてはまだ結論までは出しておらない次第でございまして、御了承願いたいと思います。
  11. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 現在の日本経済は、昭和二十九年になつて急にこのような数字を表わしたので驚いたのであるけれども、こういうような点について、国内産業がいかに他国と比較して劣つているかという点、整理の面においての一つの指針を与えていなかつたというところに、大きなあやまちがあると私は思う。そういう点から考えて、みますると、本年の大臣の考え方というものが、日本という国もこのような点について今後進むのであるぞということが、国民に幾分ずつでも明らかになつて行くと思うのであります。これではまだ足りないのでありまして、日本産業構造をどういうように持つて行く、そしてその上に日本産業をどの程度育成して行くんだというような、もう一段とはつきりした面が現われて来なければならないのじやないかとも考えるわけであります。早急にそうもなかなか行かないでしようと思いますが、ぜひともその点に留意してもらいたいと考えております。従つて日本産業構造という点から考えて、しからば日本という国は、場当り的でなくて、どういうものを重要産業として認めて今後進んで行くんだ、こういう何かお考えがあると思うのでありますが、その点についてはいかがでごさいましようか。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもつともでございまして、まず私どもとしては、第一に二十九年度においてはいわゆる一兆円予算をつくり、また金融相当に引締めて行く、その結果において二十九年度日本経済の姿がどういうことになるであろうか、それを基礎にして、どういう点において企業者なりあるいはまた一般的に国民各位の御協力を願わなければならないかという点につきましては、国会を通じても漸次私どもの考えを率直に申し上げまして御審議、御批判をいただきたいと思うのであります。これはたとえば電力にいたしましても、食糧にいたしましても、あるいは石炭にしても鉄鋼関係にいたしましても、それぞれの立場においての将来の一つの向うべき姿というものは、それぞれの業界あるいはそれぞれ政府の担当部局においても相当基礎を持つた案というものがあることは御承知通りであります。これを総合して二十九年度においては最終の目標として、年度末において過去の繰越して来た赤字を除いては二十九年度の後半期において国際収支がとんとんになるようにということで私どもは考えておるわけでございますが、しからば二十九年度については何業がどれだけの生産を上げるであろうかというような点につきましては、まだ私どもの作業も進んでおりませんので、最近の適当の機会において御説明いたしたいと思います。
  13. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 さらに電源開発の問題でございますが、目的の四百四十五万キロという計画、全体の八七%が進捗するであろうというお考えでございます。しかしこれが一〇〇%となりましても、日本電力というものはまだ不足を生ずることになります。そこで地熱をもつて電源を開発して行くというお考えは大臣はお持ちであるかないかをお伺いいたします。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 どうも地熱の関係については私まだ勉強いたしておりませんでした。
  15. 山手滿男

    ○山手委員 きようぼくはやらない予定つたのですが、今長谷川君がたまたま触れた問題で、大臣からもつと明確な答弁があると思つて聞いておつたのですが、御答弁がなかつたので一点だけきようはお聞きをしておきます。それは私が年末に提案をいたしまして、例の中小企業安定法の二十九条の調整命令を発動すべしという勧告をこの委員会で決議をして政府に出しました。聞くところによると事務当局の方においては準備が完了しておるというお話でありましたが、大臣の更迭もあつて、大臣の方からもう少し研究をするようにというふうな事態になつておるのではあるまいか。これは私の推測でありますが、今日なお結論が出ておらない。しかるにこの問題は非常に緊急を要する問題でありますし、ただいま長谷川君の質疑の中にある、絹、人絹及びマツチ工業、タオル工業等に対する調整命令の発動はどうなつておるか、大臣から御答弁を願つておきたいと思います。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この二十九条の命令の発動の問題につきましては、私も就任と同時に引継ぎを受けまして、それに対する態度をすみやかに決しなければならないということに考えておりまして、私としても研究をいたしましたが、これは特に当通産委員会の御決議の趣旨もあるようでございますから、実は率直に申しまして、私といたしましても、遅れて申訳ないのでありますが、通産委員会の御意向をひとつ十分に承らせていただいて、そこで処置をいたしたいと考えております。
  17. 山手滿男

    ○山手委員 これは大臣にお願いしておきたいのですが、この調整組合は全国のたくさんの地方まで足を伸ばしてやつておりますが、その幹部の人たちはこの命令が出ないばかりに組合が崩壊寸前になつておつてつておる。業界を安定さすためにタイムリーにやつてもらいたい。やらないのなら、深入りをしないうちに早くはつきりしなければならぬ。ただその場合に非常に重要なことは、施政方針演説でもあなたが述べられましたところの、今後は価格維持のためのカルテルを一切認めないという方針、これに抵触して行つておるのであろう、こう私は考えておるのであります。そうすると、現在の日本の価格を生産コスト以上につり上げておるものは不況カルテルである。カルテルを認めないという考え方から、この調整命令については二の足を大臣がお踏みになつておる、こういうふうに私は解釈しておる。一応御趣旨はごもつともでよくわかります。わかるけれども一つそこで問題になることは、現在大企業中心にカルテルが結成をされておる。この上に中小企業がカルテルをつくつたのではいよいよ貿易推進もできない、こういうことであろうと思うのですが、しかし問題はそこにあるのであつて、現在の大企業のカルテルを完全にあなたが打破られるならば、中小企業のカルテルを認めないということはごもつともな点もあろうと思うのですが、おそらく現内閣の政治力をもつてしては、簡単に全産業界の安定のためのカルテルは破れるものじやない。これを破つたら日本産業界はもう大混乱になる。それだけの政治力があればけつこうでありますが、大企業にカルテルがあるから中小企業の方は認めないというふうな論法でおいでになることについては、この委員会は完全に賛成をすることはできない。なぜかというと、あの提案を年末にこの委員会で私ども改進党の方からいたしましたときは、自由党の諸君は総務会を緊急に招集し、政調会でも累次にわたつて研究をされて、遂に全会一致でこの委員会ではあの決議案ができたのであります。それを国会再開までにはやりますというお話であつたのが、新しい事態ということで大臣がおかわりになつて、今日なおそのままになつておる。で、大企業のカルテルと今度の中小企業の安定法、そういうものとの関連を明快にしてもらわなければ、荏苒と、研究いたしますとかなんとかいうことで延ばしてもらうわけには行かないのであつて、大臣から明確にもう一度御答弁を願つておきたいと思います。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私もその点は、まことに申訳なく思つておるのでありまして、結論といいますか、措置がまだできなかつたことは遺憾に存じます。しかしながらただいま御指摘の大企業中小企業との間に取扱いが片手落ちにならないようにということは、私も十分心得ているつもりでございますので、すみやかに処理いたします。
  19. 大西禎夫

    大西委員長 次に中崎敏君。
  20. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいま大臣から説明を聞いた程度で、十分まだ整理されておりませんが、きよう断片的に質問してみたいと思います。そしてさらに質疑は留保して、引続いてその次の機会に継続したいと思います。とりあえず断片的に質問いたします。長年にわたる吉田内閣の施策によつて経済的にも相当大きな行詰まりができまして、ことに今年度予算の面を見ますと、大転換がなされたものだと思うのであります。元来から言いますと、当然この内閣は一応総辞職をして、新しい方向にその政権を譲るべきものだというふうに考えておるのであります。諸般の事情上そこまで行けないとしても、いずれにしても政策的には大転換であるということは、衆人の見るところであろうと思うのであります。そこで昨年あたりにおきましては、政府の方では大体この点に気がつかれまして、主として金融の面において操作をしようというような、きわめて姑息的な行き方であつたように思うのであります。ところが今年予算の編成の事情を見ますと、財政の面においてもその金融の面とマツチさせながらやつて行こうという考え方、さらに輸出貿易の面においても相当に強力な手を打つて行こうというふうな考え方であるのでありまして、一応これで大きな考え方からいえば態勢は整う方向に進んでいるとも思えるのであります。さてこれを具体的に実行するにあたつては、やはり相当の計画性を持つて行かなければならないのじやないか。ただこの間も吉田さんは、どこの国も計画経済というものはやつてないとか、きわめて簡単に言いのがれておられますけれども、この行き詰まつた政策を、百八十度の転換をするくらいに大きな転換をするのでありますから、行き当りばつたりに今までやつておつたようなことでは、とうていこの問題は遂行できないというふうに考えるのであります。そこでこの政策を、十分に所期の効果をあらしむるためには、相当に計画性を持つて、しかも強力にこれを推進されなければならぬというふうに考えるのでありますが、この点について、審議庁の長官であり、通産大臣である愛知さんにお尋ねしたいと思うのであります。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 およそ経済政策は総合的にやらなければならないという点については、私は御同感なのでありますが、ただ計画経済とか経済計画とかいいますと、おそらくいわゆる統制経済を実行しなければ、そういう計画はつくつてもただ単に机上の計画に終るのではなかろうかというような考え方から、いろいろと論議が出て参るのだと思うのでありまして、現内閣及びわが自由党といたしましては、いわゆる統制経済ということはやらないのであるということが、われわれの立党の大方針一つであると考えておるのであります。要のするに自由主義、資本主義の形態の中におきましては、根本企業者なりあるいはその従業員なりが、与えられた条件といいますか、国家的な要請のもとにおいて、できるだけ創意とくふうを発揚して企業意欲を増進する、労働生産性を高めて行くということを私どもとしてはねらいといたしている考えでございます。しかしその場合におきましても、先ほど申しましたように、たとえば目前のところとしては、二十九年度においてこういう基本政策をとつた場合においては、国民生活あるいは国民経済の姿がどうなるであろうかということについては、これは相当に科学的に分析を積み上げたところの一つの絵を描きまして、そしてそれが予算案を編成したときの考えと同じように、大体そういう傾向で行くであろうかどうかということを随時注視いたしておりまして、適時適切な政策をとることによつてその目的が達成されるようにいたしたいというのが、私ども考え方であります。その目標なり政府政策がこういうふうに意図された場合にはこうなるであろうという一つの構図に対しまして、これはやはりお前らでも一つ経済の計画をつくつておるじやないかということになりますれば、私はその通りであつて、これは一つ経済の計画というものであると私も考えるわけでございます。くどいようでございますが、統制経済ということを思わせるような計画経済というものは私どもはとらない、しかし政府政策目標、それからそれが実行される場合に描きました構図というものは、常に私どもも頭に持つておらなければなりませんし、またこれを機会あるごとにできるだけ国民各位に知つていただくようにする努力というものを経済審議庁として常に続けて行かなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  22. 中崎敏

    ○中崎委員 統制経済と計画経済については、いろいろ、見方もあるようでありますが、いずれにいたしましても、私たちは戦争中の統制経済なんということは夢にも考えていないのです。現にほとんどあらゆる物資が過剰生産の状態になつておる。ことに国内の物資に関する限りは過剰生産である。過剰生産に関する限り、一体統制をどういうふうにするかといえば、まず二重投資と申しますか、設備にしても二重投資の弊害をまず何らかの方法において除去しなければならない。一面においてあり余つておる、そうして不当にダンピングするとまでは申しませんが、無用な競争をして、お互いに共倒れするというふうな面をどういうふうにして、ある程度指導するというか、是正するというのかしりませんが、どうするというような問題は、ことに今年度においても重要に取上げられなければならぬものだと思うのであります。依然として放任のままでおくのか、あるいは国家の重要な資材、物資、金というふうな面から、ある程度の制約をしなければならぬかどうかというふうなことを考えますと、一つの問題についても、何らか新しい方向が示されなければならぬじやないかというふうに思います。そこでわれわれが統制経済といつても、厳重な物資の裏づけのもとに強力にやるというふうな、そういうことばかりを考えているのではありませんけれども、そういうことを実行するに必要な最低限度において、一体どういうふうにするかということも一応検討されなければならぬ問題ではないかというふうに考えておるのであります。いずれにしましても、今まで自由党の方で長い間やつて来られた面をほつたらかしにしておいて、失敗しておるのだから、言いかえれば物の非常に少い時代には、ほつておけば自然に物ができて来て、値段も下つて来て、いろいろな経済が安定したノルマルな状態になるのだというのが自由主義の思想であります。ところがある程度ほつたらかしにしておいて、なるほど生産は、数量はできて来た。ところが数量ができて来たら値段が下らなければならないのが、逆にどんどん値段が上つて行く、インフレだインフレだという恐るべきインフレをどうするかという、こういう現実の問題にぶつかつておる。言いかえれば、経済原則において説明がつかないような事態がすでに生じて来ておる。自由党の放任自由主義政策というものは行き詰まりを来しておるのは明らかなんだから、ここにおいて何らかかわつた手を打つべきであるという現在の段階にすでに来ておるのであります。それを戦争中みたような統制経済で一切やるんだというようなことはだれも考えておるのじやない。最低限度一つの大きな方向に、こういうふうに持つて行くんだ、その際において、やむを得ない最低限度においてこれは統制するということも中にはあり得る。たとえば現に米のごときも統制されておる。それからたとえば外国から物資を輸入する場合においても、いわゆる外国為替管理法とか、あるいはまた投資法なんかによつて、いろいろな制限を受けておる。無制限に輸入はできない。いわゆる割当みたようなものができて来ておる、ある意味においてこれは統制である、それがだんだん強化されつつあるわけであります。であるから、ことに重要な面においてある意味においての統制というものがされつつある、今後もされなければならぬ、強力に輸入を制限する、あるいは輸出促進するといつてもなかなかほつたらかしにできるものじやない、そういうふうな意味合いにおいて、どうしてもこれは統制とは言わぬけれども、計画経済が強力に推進されてその目標が達せられるような具体的な強い施策が行われなければならぬ、こういうことだけは認められてよいと思うのでありますが、この点いかがでありますか。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの御質疑の中に戦時中のような統制経済は問題にしておるわけではないというお話がございましたが、これは非常に私も御同感でございます。またさらに外貨の問題等にお触れになりましたが、これも御同感でございまして、私どもは大体こういうふうに考えておるのであります。基本的な経済政策というものは、これは政府でできるだけ検討したものを打出す、そのうちで財政はこうやる、金融はこうやる、あるいは外貨予算の編成はこうやる、行政上それに対する割当はこうやるというふうなことはすべて総合的な政策でありまして、この総合的な政策を計画経済じやないかと、こう御批判をいただくならそれで私はけつこうなんでありまして、要するにこれは文字の問題ではなくて気持の問題だと私は考えるのであります。  さらにただいまお話がございましたが、その点の議論は別にするつもりはないのでありますが、私が考えるところでは、ともかくも終戦後から今までを振返つてみますと、生産にしても、消費にしても、あるいは雇用にいたしましても、相当に伸びて参りまして、 この伸びて来たという実績がなかつたならば、いわゆる政策の調整といいますか、方向転換ということもできないんじやなかろうか、これはやはり過去においてわれわれのやつて参りましたことがここまで一応の成果を得て来て、しかもその際に世界経済の情勢の転換やら、あるいは国内的にも回復した余りに、内需が非常に旺盛になつて来たために輸出が伸び悩んでおる、この現状をつかまえてひとつ決意を新たにしようというつもりでございますので、たとえば金融の上におきましても、財政投融資の計画においては総額はきまつておるけれども、しかしこれとこれの設備の更新なり合理化についてはこれだけの金を出そう、これもやはりりつぱな計画だろうと思うのであります。これと外貨予算運用の問題とかいうようなことをさらに的確にやつて参りたい。率直に申しまして、私もあまり大きなことは言えないと思うのでありますが、そこでたとえば税制上のくふうをするという問題の中におきましても、たとえば輸出振興についての税制上の優遇措置を考える、あるいは国内の基幹産業の、たとえば地下資源の開発等についてできるだけ税制上あるいはその運用上考慮を払うというようなことも、これは政府政策をわれわれの描いているようなところに近づけるための意図のもとにこれをやるのでございますから、こういう意味におきましては、これは自由主義経済政策下における一つの総合的な政策推進ということが言えるだろうと思うのでありまして、結局お尋ねの点と私は気持においてはあまりかわるところはないじやなかろうか、こういうふうに考えております。
  24. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題についてはこの程度にして次の問題に移ります。  行政機構の改革についてお尋ねいたします。行政管理庁を中心に今人員の整理等の問題を総合的に考えておられるようでありますが、吉田首相もその問題は強力にやるというふうな考え方であるようであります。ことに私は通産省に関する限りにおいての問題をまず考えてみたいと思うのであります。この日本産業界を復興して、そうして今年度なり今後を通じて、この行き詰まりを打開する一番大きな使命を果すのは、通産行政であるというように考えておるのであります。もちろん食糧増産を担当する農林行政も軽くは見られないのでありますが、いずれにしてもこれはある程度できるものはできるのでありますから、この経済危機を突破するためには、何しろ通産行政というものは強力に推進されなければならぬと思うのであります。ところが実際において、機構の改革等の点について新聞などに発表されておる点を見ますと、通産省に相当強いなたが振われるのじやないかという印象を持たされるのでありますが、どうも通産省は幾分か腰が弱いのじやないかという感じがする場合が多いのでありまして、ことに行政機構の改革とか、あるいは予算をとるような面においても、ややもすれば他の現業関係を持つ経済官庁よりも、少し弱いような印象を持つのであります。ことに先ほど言いましたように、ことしの日本全体を通じての課題というものは、通産行政に大きなウエートがあるのだというふうに考えております。この際において通産行政に対する大きいなたを振われるというようなことは、方向から見ても逆な方向ではないかというふうに考えておるのでありますが、この点について具体的に、今どういう案で練られておつて、通産行政についてどういう結果になるような状況であるか、支障のない範囲においがひとつ御説明を願いたいと思います。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 通産省の問題につきまして御激励いただきましてありがとうございます。私も率直に申しまして、従来外から見ておりまして、あるいは予算の問題その他につきまして、必ずしも世の御期待に沿い得なかつたことがあるのではなかろうかと、ひそかに憂えておつたわけでございますが、今後は大いに通産委員会の御趣旨を体しまして、私としてもがんばりたいと思う次第でございます。  それから通産省の機構の問題と人員整理の問題でございますが、これも就任直後の問題でございましたので、なかなか十分な努力はできなかつたかと思うのでありますが、結論といたしましては、人員整理の方は大体現在の定員に対しまして七%の整理でございますが、これは大体諸官庁と比べまして決して不当な待遇ではないと思つております。人員にいたしまして約一千名程度でございます。これを原則として、初年度に重点を置きまするが、二年度にわたつて整理をいたすわけでございますから、事務上の支障はまずなかろうと私は考えております。ただ人員の問題につきましては、申すまでもございませんが、必ずしも人の多きをもつてよしとしないのではなかろうか。要するに合理的な機構が活発に動き、また人材が大いに驥足を伸ばして働けるような組織がいいのではないかと思いますので、必ずしも人員の点だけが重点ではないと思います。従つて機構の方でございますが、ただいまのところまだ閣議決定にもなつておらぬのでございますが、大体話の詰まつておりますところは、重要な局、その他外局あるいは地方の部局に変更はありません見込みでございまして、ただ現在化学肥料部というものが軽工業局にございます。もし各省が内局の部というものを原則として例外なく廃止するということであれば、この部だけは廃止せざればなるまいかと考えておりますが、その際には部を廃止いたしましても、化学肥料行政が、ことに農林省との関係が非常に微妙でございますので、これは部がなくなりましても、それにかわる適当な措置を考えるつもりでいるわけでございまして、機構の点については万々私は心配ないと思つておりますが、なおひとつこの点につきましては、御趣旨を十分体し、かつ御協力を得まして、誤りなきを期して参りたいと考えております。
  26. 中崎敏

    ○中崎委員 局部についての機構に関する問題は大体わかつたのでありますが、問題は小さくなるのでありますが、課に関する場合において、たとえば現在その課の定員の数が比較的少い、定員の数が少いから、そういうものは二つか三つ一緒にしたらいいじやないかというような意見があるということも聞いているのであります。実際において、そういう考え方から、あるいはまた別個の考え方から、課というものの整理をするというふうな、そういう方向にあるのかどうかを、あわせて聞いておきたいと思います。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はお尋ねの通りでございまして、通産省には課が多過ぎるのではなかろうかという意見が、政府部内でも出ております。この点は合理的に行政が動きまするように、それに支障のない限りは、あるいはその世評にもこたえなければならぬと思つておりますが、しかし仕事の上にさしつかえがあるというふうにはしたくないと考えております。この点はまだ正式の議題にはなつておりませんが、御趣旨を十分体して善処いたしたいと思います。
  28. 中崎敏

    ○中崎委員 この点は私としてはいささか関心を持つている問題であるだけに、もう少し聞きたいのですが、大体現在通産省における各課の定員そのものが、必ずしも妥当、適正であると考えていないのです。言いかえれば、長年の間定員を整理するときには、何名というように比例的に、天引き的にやつているが、その後において実際その課の仕事の範囲はいろいろと広がつてつて、新しい近代的な仕事をどんどん持つて来て、いろいろな仕事を広汎にやつている。中の人はなかなか一生懸命で、不眠不休、昼夜兼行でやつている。しかも、ごくわずかの人間で、そういう仕事をやつているというふうな場合も多々あるわけです。ところがこれが今みたように、均一的に三割の行政整理だとかいうことを天くだり的にやられて、あとは必要だというても決して定員がふやしてもらえない。そういうような長年にわたる不自然の結果に基いて存在している課もたくさんあるわけです。もしそういうふうなことをやるならば、全部課というものは御破算にしてしまつて、新しい角度から根本的に機構の改革をやるということならば考えられるが、姑息的に課だけ何だか、数が少いから、定員が少いからやるのだというふうな、こういう機械的なといいますか、観念的なといいますか、実情に沿わぬような整理のやり方に、私は賛成できないのでありますが、この点について十分検討願つて、そしてまた私たちとしても、必要に応じて十分大臣に対しても意見を述べるだけの機会を、ひとつ与えてもらうように希望しておきます。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもつともでありまして、必ずしも定員が少い、小さい課であるからといつて、仕事の内容から申しましては廃止できないところもあろうかと思います。十分御意見を尊重いたしまして、慎重に検討することにいたしたいと思います。
  30. 中崎敏

    ○中崎委員 もう十二時ですが、まだやりますか。私はまだ相当長くかかります。問題はいろいろあるのですが、このように断片的でなく、ほんとうは系列を整理して質問することを希望しているのですが……。
  31. 大西禎夫

    大西委員長 きようすぐということも無理だと思いますから、次にしていただきましよう。  それでは本日はこの程度で散会いたします。なおの次会は公報をもつてお知らせいたします。     午前十一時五十九分散会