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帆足委員 先般の
委員会で
硫安の
輸出につきまして種々御
説明いたしまして、
政府当局の御
協力方を
お願いいたしましたのですが、前回申し上げましたように、この問題は
与党、野党という区別なく、
輸出振興の一環として申し上げておるのでございまして、本来ならば
与党の自由党の方に御発言していただく方が適切かと存じますが、たまたまこの仕事についての
議員連盟の
幹事役の一員をいたしておりますので、発言させていただきますことをまず御
了解願いたいのでございます。
昨日も御
説明いたしましたが、何分にも
国際収支の緊迫は異常の
状況でございますし、
輸出の
振興ということは第一義の
要件でございますので、
せつかく来年の三月末日までに積出しという条件のこの
硫安の
輸出をキヤンセルしてしまいますことも、国策上遺憾なことに存じます。
中国側の方からはすでに手紙を寄せまして、もし
日本において不可能であるならば
ヨーロツパの方から
硫安を買わねばならぬことに
手当もいたさねばならぬから、至急返答をもらいたいという催促が参
つておりまするし、これも当然のことと存じます。なお
見返りは
開らん炭、
工業塩等でありますが、
自転車の
輸出にも多少連関している問題でございます。実は
自転車は
乙類ないし
丙類にしてございますが、
硫安は
乙類にしてありますのに、特に今般は
甲類物資としての
取扱いを
中国側から受けまして、
最高の
重要度の
品目とされておりますために、今後の
市場開拓上非常に
需要な
要件に
なつておる次第でございます。
この
輸出が困難な事情といたしましては、
一つは
アメリカ政府の
反対があるやに世間では大きく伝えられておりますけれ
ども、
政府当局のいろいろの御
答弁を伺いますと、その方はさして意とするに足らず、すでに許可されておる
品目でございますので、危惧や遠慮は不要であるというふうに
承知いたしました。また
台湾方面から多少の
いやみのある発言もあつたようでありますけれ
ども、これも別にそう気にして、簡単なことをわざわざ複雑にするほどのこともございませんので、そういう
個々の問題については
個々の
メーカーなり、問屋なり、
商事会社が責任を負えばいいのでありますから、そういうような雑音は抜きにして
考えていいものとわれわれは了承いたしております。そういたしますと、
結論は
硫安というものは一面重要な
国内物資でありますので、
需給の
調整につきまして御苦心のほどは当然のことであろうと思います。しかし二月末にかりに十八、九万トンから二十万トンの
余力があるといたしますと、
需給調整について、ただいまは
価格も安定いたしておりますし、業界が自粛し、
農民関係団体の方がよく理解してくださるならば、わずか四、五万トンの
輸出がやりくりできないこともなかろうと存ぜられますので、われわれは同じく
同僚議員といたしまして、
農林委員会の方にも十分に
連絡をとりまして御了承も得たいと存じておりますから、そういう
趣旨におきまして、どうか
農林、
外務、
通産当局が連繋を密にしていただきまして、せめて五万四千トンならずとも三、四万トンだけでも新
市場に
硫安を出していただきまして、
輸出振興の道が
せつかく開けております点を特別御考慮願いたいのでございます。ただいま
硫安の
輸出促進に対する
決議案のような草案を
委員長のもとに提出しておきまして、その
取扱いにつきましては
農林委員会との
関係でございますので、御
善処方を
委員長に御一任いたしておきましたが、そういう
趣旨でございます。多少の困難はございますけれ
ども、敗戦の今の
日本にと
つて輸出市場を確保しておくことは非常に重要であります。
硫安の将来の
見返り商品は、単に
開らん炭だけでなくて、当然食糧の
輸入が
見返りになるべき性質のものでございます。
中国の政界に対する論議は別といたしまして、一応
中国の
市場が統一され、安定されておることは事実でございまして、非常な勢いで
農業は
封建的桎梏から解放されて様子がかわりまして、増産に向いつつあるのでございます。この五億以上の人口のある、しかも
農業国を相手にしておりますので、この問題は国家百年の計から相当重要視すべき
市場の問題でございますから、格別の御考慮を
お願いしたいのであります。
結論といたしましては、従来私の伺
つておるところによりますと、多少の
言葉の不十分があつたかも存じませんけれ
ども、
一つには
外務省当局の十分な御
了解ということについて多少まだ足らないところがありはしないかと存じておりましたが、ただいま小
瀧政務次官からもそういうことはないということを伺いましたが、正式にこの
委員会の席におきまして御
意見のほどを承りたいと思います。
それから
農林省当局としては、
農民の
立場に立ちまして、この問題に対しては
農民の
利益擁護という
立場を重視いたさねばなりませんので、
輸出第一、
輸出振興という
立場と
調整して
両者に不安のないようにいたさねばならぬ。従いまして多少受身の
立場に立つので、
通産省としては、
輸出の問題は
見返りの
重要物資の
輸入との
関係もあることでありますし、
通産省の方から正式の
連絡がなくては困るというようなこともこれまで伺いましたので、どうか
通産省当局からは
貿易振興第一という観点から、
農林省に正式に御
連絡くださいまして、
両者の
調整をはか
つていただきたい。なおこの問題の
重要性に思いをいたされましたならば、
農林委員長と、また各派の
農林委員の
理事の方と御相談くださいまして、運用上この問題が円滑に行きますように御
了解を遂げていただきたいのでございます。私
どもは、この点におきまして超党派的に
農林委員会ともまた
連絡をいたしまして御協力いたしたいと存じておる次第でございます。こういう
趣旨でございますから、どうか
外務次官並びに
通産、
農林両省においてそれぞれ明確な御
答弁をいただきまして、この問題が公正かつ合理的に処理されるよう、
せつかく政府当局が
アメリカ政府とも交渉して
西ヨーロツパ並に問題を処理しようというところまで合理的に解決していただいたこの問題の
実施の裏づけができますように、切に
お願いを申し上げる次第でございます。