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1953-12-15 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十五日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君       始関 伊平君    田中 龍夫君       村上  勇君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    加藤 清二君       齋木 重一君    帆足  計君       中崎  敏君    山口シヅエ君       川上 貫一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 小田部謙一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十二月十五日  委員中井徳次郎君辞任につき、その補欠として  山口シヅエ君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案  (内閣提出、第十六回国会閣法第一六八号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、昨日に引続きまして硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますからこれを許します。中崎敏君。
  3. 中崎敏

    中崎委員 実は本日議題となりました硫安輸出に関する問題でありますが、その前に、今日日本経済というものが輸入をたくさんやらなければならぬ、しかも輸出は停頓しておる、このアンバランスの上に日本経済は非常な困難に当面しておる、一面国内においては大きなるインフレの未曽有の困難に遭遇しておるのであります。こうした問題を根本的に検討して、そして今にしてこれを適切に解決しなければ立つべからざるところの不安を感ずるというふうな状態になつておるのでありますが、そうした問題を検討するに当つて、その一環として、この硫安輸出等の問題も検討すべきものだと考えております。そこで私は根本的にそうした問題をいろいろ質疑してみたいと思うのであります。  それは一つには通産大臣、同時に経済審議庁長官立場と両方の資格を持つておられる岡野さん、それから通商関係については特に重要な役割を果しておられる外務大臣の根本的な腹構え、そういうものを聞かないと審議は十分にできぬと思うのです。そこで昨日私は通産大臣外務大臣出席を要求しておいたのでありますが、何か通産大臣はまだ大阪におるとかいうので、これはやむを得ないのでありますが、外務大臣は一体どういうことになつておるのか、それをひとつ聞いておきたいと思います。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 外務大臣は今閣議に出ておるので出られないということであります。政務次官ということでお願いしたのでありますが、今外務委員会に出ておつてこつちへ来られぬというので、経済局次長小田部さんという方が見えております。
  5. 中崎敏

    中崎委員 それではこれから論議過程においていろいろこうした国の施策の根本に触れるような問題が幾多あると思うのでありますが、そうした問題はできるだけ保留して、後日においてまた質疑を続けたいと思いますが、政府委員の側においても、そうした責任立場においてでき得る限りの範囲においてひとつ誠意のある答弁をしてもらいたいと思います。そこで根本的な問題についてはある程度これを省きます。  まず輸出の問題についてでありますが、中共貿易なりあるいはソ連圏内のそうした貿易を含めてでありますが、これは国民の一致した要望であるというふうに考えております。実際においてまた輸出を振興させるためには、こうした地域を無視してはどうしても十分に行けない。いくらアメリカが日本のものを買つてくれるといつても、そこには限度があるし、あるいは東南アジアといつてもいろいろな制約を受けておるし、これをフルにやるといつても、決して日本輸出入のバランスが十分にとれて、国民経済確保ができるとは考えられぬので、中共貿易は必要であるということは、これは院議においても決定されておるし、国をあげての輿論であるというふうに考えておるのでありますが、今までのこの問題についての政府答弁等を見ても、論議過程等を見ても、政府に十分の熱意誠意がないということを私はくみとつておるのであります。これにはその背後においていろいろな国際的な事情制約を受けておるということも十分想像される面が多分にある。ところが政府の方においては、この点を質問すると、そんなことはないないと言つて逃げてしまわれる。ところがそれではどうしても国民としては割切れないものがあるのです。そこで政府の方では、ありのままにこれはこうだからと率直に反省してもらつて、こういう点においてどうにも進めないのだ、こういう制約があるからどうにもできないのだということをはつきり言つてもらえば、なるほどとうなずける点があるかもしれない、あるいはわれわれはその上に立つてこういうことは、もう一歩腹をすえてやつてみたらどうかという鞭撻の道も開けるかもしれない、ところが秘密外交というのであるか、あるいは腹がないためであるかしれませんが、そうしたような臭いものには全部ふたをして、そうしてほんとう真相というものは少しも国民に知らされていない。ここに日本通商政策の上における大きなる困難性があるというふうに考えておるわけです。そこで私はこの際政府の方において腹をすえて、ありのままの姿を百パーセントまではいかぬにしても、ある部分だけでもほのめかしてもらいたいということを要求したいと思うのであります。われわれは民主政治の今日において、しかも占領行政がある意味において続いておる今日、相当輿論を背景にして、国民の声を率直に反映するがためには、やはり国会において強い意見も、正しい主張も当然されて行かなければならぬ。そうされて行くだけの根拠、基礎というものを、政府の側においてある程度出してもらいたいという意味において、国のために、国民のために、もう少し腹をすえて、首の一つや二つは投げ出すというだけの腹構えがあるならば、国会においてもありのままの姿というものは十分に話せると思う。ところが易きに求めて、そうしていたずらに大きなものにおもねるというふうな考え方において、事実に反するような、自分の信念に反するような言動が、国会において依然として続けられておるということは、確かに嘆かわしいことである。そこでまず腹構えをこの際根本的に聞いて行かなければ、日本経済、財政の行き詰まりというものは打開できないという見通しの上に立つておるのでありますが、政府の側においては、ここに通産大臣はいないので、次官が見えておるようでありますから、その腹構えのほどをひとつ知らしてもらいたい。と同時に、私が今言いましたところの国難といいますか、非常に困難なこの窮状打開のためには、その道一つしかないのだということを考えておるのでありますが、この点についてはどう考えておるか、ひとつお聞きしたいと思います。
  6. 古池信三

    古池政府委員 本日大臣参つてお話を承るというのでありまするが、やむを得ない用件のために出られませんので、明日は多分出席ができるだろうと考えております。従つて私からのお答えでは御不満足であろうと存じますが、お許しを得まするならば申し上げたいと存じます。  ただいまお話がございましたように、現下の日本は国の内外を問わず、きわめて重大なる段階に達しておることはまつたく御同感であります。従つてこの際政治方面においてその仕事に携わつておる者は、一致してお話のようにほんとうに腹をすえてかからねばならぬということも私まつたくその通りだと考えます。しかもかような微妙なる国際関係の間におきまして、いやしくも独立国たるわが国としましては、あくまでも正義と感ずることはこれを通すべく強い決心を持つて行かなければならぬというふうに考えております。ことに中国はもうわが国とは数千年来の、いわゆる同文同種国柄でありまして、長い歴史的な関係また地理的な関係から見ましても、どうしても将来経済的にますます密接なる関係を保つて行かなければならぬということもお説の通りだと存じます。ただ遺憾なことは、政治の面におきまして国柄が現在は違つておると申しますか、完全なる国交の回復を見ておりません。この点ははなはだ遺憾でございまするけれども、しかし経済上の面におきましては、わが国立場上非常な不利のない限りは将来とも十分提携をし合つて、お互いに有無相通じて行くべきであるということは、私も強く確信しております。また先般も国会におきまして、日本中国との間の貿易促進に関する決議案が満場一致で可決され、またそれに対しまして、当時責任大臣として外務大臣も十分その趣旨を尊重して努力をするという答弁をされたように承知しております。従いましてわが国政府としては、十分にその線に沿つて努力はいたす考えでおるのであります。ただいまもお尋ねがありましたように、御期待のようになかなか早く進んではいないではないかというお叱りでありますが、その点は今後十分心得まして、でき得る限り障害を除去して進めて参りたいということを私は考えております。
  7. 中崎敏

    中崎委員 大体私の申し上げましたことに原則的には大きな異見がないようであります。そこでいよいよ肥料の問題に進むのでありますが、先般来の論議によりましても、台湾並び韓国に対しましてはすでに肥料輸出取引も進められておるようでありますが、先般日中貿易議員連盟諸君が代表して中共行つて硫安の五万四千トンの仮契約をまずやる運びにして参つた、この問題についてであります。これが政府の方ではいろいろ肥料需給状態ともにらみ合せて、今のところまずそれに応ずる態勢にないというふうに聞いておるのでありますが、この問題について私どもことに、心配しておるのは、ある国の商務官日本関係者にいろいろな圧力を加えておる、少くとも勧告がましいようないろいろな意見言つて来ておる、あるいは台湾政府並びに韓国政府などから中共肥料等取引をしてもらつたのでは、自分の方の取引は今後見合せざるを得ないというふうな意見等が出て来ておるということを聞いておるのでありますが、これは重要な問題である。今後中共貿易がこれと同じような状態において圧迫を受けて、気がねしてやつて行かなければならぬということならば、中共貿易をわれわれが、いくら一生懸命に叫んでも、国民のいくら強い輿論であつても、死活問題であつても、これはどうにもできぬということは明らかであります。この点について真相を百パーセントまででなくてもいいから、片鱗でもひとつほのめかしてもらいたいということをこの際先ほどの私の申しましたことを前提にして、ひとつお漏らしを願いたいと思う。
  8. 古池信三

    古池政府委員 ただいまお話の点は、昨日も他の委員の方からお尋ねがございました。その際私からお答え申し上げたのでありますが、いやしくも独立国として立つております以上は、占領中とは事情が異なつております。従つて他国からとやかく圧迫を受ける、あるいは指令を受けるというような筋合いのものではないと考えております。ただ現在一番困つておりますのは、何としても硫安について申せば、国内の需要を満たすことが第一条件でありまして、その点から申しますと本年中はどうしても国内需給関係からいつて輸出能力はない、こう考えられております。それから来年に入りましても、三月までは御承知のように電力渇水期でもございますので、毎年生産が減退しておる時期であります。従つて三月までにただいまお話のようにはつきり出しうるやいなやという見通しがむずかしいので、その点は心配しておるのでありまするが、しかし先ほども申しましたように、われわれとしましては、できまする限り御期待の線に沿つて努力はいたしたい、かように考えておるのであります。なお他国からそういう圧迫があつたかどうかというようなことにつきましては、少くとも私自身はさようなことを存じておりません。
  9. 中崎敏

    中崎委員 この問題は重要な問題であります。言いかえれば、日本経済は一体今後どうしてこの行き詰まり状態を解決して行くかという突破口を外に求めるという重要問題であります。そこで今政務次官一人はまだそのことをお聞きになつていないような話でありますが、これは私は有力な業者からも聞いております。各方面からもいろいろ聞いております。それほど相当の識者間においてもう喧伝されておるという問題でありますから、これは重大な問題としてさつそく慎重に熱心にまず調査を始めてもらいたい。それが事実であるかどうかということをはつきりしてもらいたい。それをまず要求しておきます。今まではここでわれわれが要求しつぱなしで、そのままにうやむやにされている。これは委員長に忠告しておきますがわれわれが事務当局に資料なり答弁を要求すると、調査中であるとか、調査しますというままで、ほとんどそれが解決された例が少い。これは委員長責任において速記録等十分に調べてもらつて、どの問題がどういうふうに未解決である、政府からまだ答弁がないというようなことをやつてもらいませんと、次から次へと問題があるたびにやりつぱなしで、いつでも問題が片づかないのは困りますから、十分にこれは注意してほしいと思います。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 承知いたしました。
  11. 中崎敏

    中崎委員 中共肥料問題については、目下のところ国内需給の見合せなどにおいて余力がない、三月までは電力事情でどうも余裕がないような見通しだというようなお話でありますが、それでは一体硫安会社設備能力というものはフルに動いておるのか。電力が足りないというが、電力の不足な状態において硫安増産が半トンも一トンもできぬのかどうか。これを明らかにしてもらいたい。
  12. 中村辰五郎

    中村説明員 今の電力のために生産が思わしくないかどうか、また一トンあるいはニトンの増産も不可能であるかどうかという問題でございますが、第三・四半期につきましては、先般も御説明いたしましたように、大体秋の出水期ということも考えられます。これはわれわれとしては非常によくないことでございますが、台風の時期でもありまして、こういう際にはいわば予期せざる出水ということから発電能力が自然にふえるのであります。そういう時期でもございましたので、第三・四半期につきましては、できるだけ電力増配を考慮いたしたのであります。ただ第四・四半期は、一般的に申しますと、政務次官もお答え申しましたように非常に渇水期に入ります。この時期に全体の電力需給状況からいたしまして、電力増配をいたすということは非常に困難でございます。昨年でございましたか、一昨年でございましたか、暖冬異変といわれることがございまして、そういういわば暖冬異変と称されるような情勢になります場合以外は、とうてい第四・四半期における電力増配ということは考えられないのではなかろうかと考えます。なお硫安工業設備能力からする生産実績から申しますと、ガス法及び電解法を通じまして、今日フルの稼働はいたしておりません。特に電解関係につきましては、設備に比して電力状況からいたしまして、相当下まわつておるような状況であります。
  13. 中崎敏

    中崎委員 能力としてはまだ余力があるような答弁でありますので、これが中共へ出すだけの態勢を整えるために、設備が間に合わないから三月まで間に合わぬという理由にはならぬ。そこで問題は電力の問題がおもな問題のように帰着すると考えるのであります。さて電力については、なるほど今渇水期でもあるし、電力は全体として十分でないということもわかる。しかし依然としてまだネオンというものが——東洋第一のネオンまでができておるような状態であります。全国のこのネオンに使う電力なんかも相当あると思う。こういう非常事態において、こうした不急不要のものに電力を余分に使われるというような事実はわわれれとしては見のがすことはできない。そこで原則的にはどうしてもこの非常事態を突破するためには、計画経済を強力に立てて、ことに動力、燃料というようなものについては、国が相当に思い切つた計画経済の上に立つて、必要な方面に必要な資材、動力確保して行くのだということにしないと、どうしてもこの問題は解決がつかないと思う。この問題は岡野さんに聞きたいのでありますからあまり触れないのでありますが、電力の問題について事務的な問題でありますけれども、この不急不要のものを相当制約して行つて肥料輸出のために、ことに新しい市場確保のために絶対必要な電力確保するところの方法があるのかどうか。これはネオンだけに限りません。ぜいたく品だとかあるいは必要欠くべからざるものとは考えられないような面に電力が使われておるが、そういうものを相当この際において節約し規正して行くようなことを強力にやつたらどうかということであります。そうしてまた火力発電余力はまだ相当ある。なるほど天然の水は使うには限度があるけれども、火力発電によつてこれをまかない得るかどうか。その際においては当然コストが上るだろうと思うけれども、たとえば一トン当りの硫安をつくるために火力発電による場合はコストが上るだろうと思うけれども、どの程度上るものであろうか、この点をお聞きしたいと思います。
  14. 古池信三

    古池政府委員 数字的なことは後に局長から御説明申し上げますが、この電力消費規制という問題はなかなかむずかしいのでありまして、全体的に非常に不足しておるこの渇水期にあたつてネオンをつけることはどうかという御意見も間々伺いまするし、われわれとしての実感からいたしましても、あの銀座方面のように非常に明るいまだぜいたくとも思われるようなネオンをつけることはいかがとも考えるのであります。ところがまた立場によりまして、あのネオンを消して暗くしてしまいますと、年末に際して大いにかせがなければならぬ中小企業商店街あたりの人が困る。ぜひひとつネオンをつけて明るくして年末だけはやらしてもらいたい、そうして自分たちの書入れどきである商売を繁昌させてもらいたいということを中小企業の方から非常に熱心に言われるのであります。従つてそういう立場からいたしますれば、なるほどそれももつともなような気がいたしておりますので、ただいまのようなことをやつておるのであります。  もう一つは、電力自体から見ますれば、硫安に要する電力相当な量に上りますが、ネオンに使う電力量はまず想像するほどではないのでありまして、非常に少量の電力で済みます。それこれ勘案してただいまのような措置をとつておりますけれども、将来いつまでもこういう状況ネオンを制限しないかどうかという問題につきましては、十分に検討してみたいと考えております。
  15. 中村辰五郎

    中村説明員 ただいまの水力を火力にかえて生産するという建前にかえますと、現在電解法による平均コストに含まれております電力単価は一円十八銭程度でありますが、これが火力になりますと、単価が一キロ八円くらいになります。そういうふうに八倍近くなるということからいたしますと——もちろんその増産分だけを比較して出すわけにも行きませんので、その量を加重平均して全体に振り向けるということも考えられますが、大体において一円十八銭のものが八円程度という金額になるので、コストに対する影響相当大きいものと考えられるわけであります。
  16. 中崎敏

    中崎委員 そこで一円十八銭が八円強になるというのであれば、他の要素もあるが、一トン当り幾ら上るのですか。
  17. 中村辰五郎

    中村説明員 これはいろいろ問題がありますが、電力だけで申し上げますと三千三百円程度であります。それが約八倍というので、算術的に増産分だけを考えますと相当大きな数字になるわけであります。これは全体に振り向けるということは、また別に考えられねばならぬと思います。
  18. 中崎敏

    中崎委員 この電力に関する問題はただいまのように部分的にあれこれ考えるのでなく、国の電力の利用なりあるいはこれに対する行政政策をどうするかということを総合的に立ててもらわなければできぬと思うのでありまして、たとえば火力といつても、それだけに負担させてしまうのであるか、あるいは水火力発電会社が全体としてプールして結局単価がどういうふうに上るということになるのか、いろいろ問題があると思うのでありますが、いずれにしてもこうした問題にどこか新しい突破口を求めなければ、国の経済というものは今までと同じように、いわゆる基地経済というものになつてしまう。だんだんその国はつぶれて行つてしまう。こういう結果になりますので、ここでひとつ電力についての思い切つた行政と同時に、そのほかの総合的な経済計画を立てられることが必要だと思うのでありますが、いずれにしてもこれは一日二日というふうな問題でなしに、日本の将来の問題の基礎をここでつくるのでありますから、時間的には多少かかつても、そうした心構えの上に進めてもらわなければならぬと思うのであります。  そこで今度は先ほど一応次官調査を要求しておいたのでありますが、あの問題は具体的な調査の結果にまつとしても、われわれの信じておるは少くともそういう面からいろいろな圧迫があるということは言えるのであります。たとえば台湾の場合においては、もしかりに中共硫安を出したということになると、台湾は買わぬとか何とか言つておりますが、はたしてこれで台湾が買わぬのかどうか、他のものも買わぬのかどうか、多少の影響がないとは言えぬのでありますが、これがどの程度であるか。これは御当局の方でいろいろ調査もしておられると思うのでありますが、かりに中共硫安を出したとする。出した場合には、ここで日本腹構えをひとつ十分に策定して、この線でこうせざるを得ないのだという日本の実情について事前に了解を得るだけの十分な熱意努力を示してやつておられるのかどうか。そうしてまたかりにそれでもなお話がまとまらぬ、一体どうなるかという結果を考えてみたときに、たとえばバナナのごときはきのうも問題になつたが、率直に、言つてあんなものはなくてもよい。それがなければ日本国民の栄養がとれないというのではない。日本国民が栄養失調で死んでしまうというわけではない。日本にはくだものはたくさんある。それであるからバナナなんかなくてもよい。それが日本に入ると輸入原価の四倍にも売られるというので一部悪徳業者のふところを肥やすような利権あさりに供されておる。これは副産物であるから別問題として、かりにバナナを買わないことによつて台湾経済相当困る。言いかえれば何か肥料輸出する条件としてバナナが買われておるのだ。そうすればやはり台湾としてはいくら日本中共に売つたとしても、口先だけではなかなか買わぬと言つておるが、実際においてはやはりバナナや何か特産物を売りたいために、どうしても日本からものを買わざるを得ないのではないか。そのバナナ取引においてお前のものは必要ではないのだ。硫安はお前の方で必要なんだ。そのほかの雑貨だとか、薬品だつてお前の方では必要なんだ。必要なものを売つてやるのだから、必要でないものと交換してやるのだから、お前たち相当日本の言うことをきけということはできないわけはないと思うのですが、この点はどうなんですか。そういうような努力をされたかどうか。それが一つ大きな問題であると思います。今度は外務省の方に伺いますが、もう少し腹をすえて、——どうも岡崎君もなかなか口先だけは相当ベテランかもしれませんが、腹がすわつてないので、一国の非常事態背負つた外務大臣としては非常に遺憾に思うが、その下部機構におられる諸君もそうした努力見通しというものをひとつここで率直に話してもらいたい。
  19. 古池信三

    古池政府委員 最初に電力お話がありましたが、御承知のように火力は大体水力の補給用としまして渇水期にたくのが原則であります。従つてただいまあたりから、来年の三月ごろまでは、ほとんどどの火力もフルにたくべきものであると思うし、たいておると思います。ことに最近は夏でも火力をたかなければならぬというふうに事態が逼迫しておりますので、現在ではほとんど火力もフルに運転し、これをあらゆる産業、国民生活の方にまわしておることと存じます。ことに現在電力につきましては、最も計画的にやつておりますものでありますから、ただいまお説のように全般の需用面を考慮しまして、必要なところに重点的にこれを割当てるというような制度をとつておりますので、大体お説のような線に沿つてつておるものと考えております。  次に台湾に対する商売の問題でありますが、これは通商局でいろいろ品物についても見ておるわけであります。大体今お話のありましたような向うの売りたいもの、またこつちから向うに買わせたいもの、そこにいろいろ商略の関係もございます。また商売上のかけひきというものもありますので、それらの点は大体において如才なくやつておるものと私は考えております。
  20. 小田部謙一

    小田部説明員 まだ現在のところ外務省に対しまして、台湾の向うの大使館を通じましても、こちらの大使館を通じましても、中共に何かものを輸出するなら自分の方は買わないというようなことを言つて来たことはありません。それでもしある業者がそういうことを台湾の方から何か言われましたならば、いつでも外務省の方に来ますれば、私たちの方といたしましてはこの問題を取上げて交渉いたしますが、現在のところそういうことを言つて来たことはございません。
  21. 中崎敏

    中崎委員 もう一つバナナの問題なんですが、この不急不要なもの、しかもぜいたくなものを台湾から日本は買つてつている。そうして硫安などを向うに輸出しているのですが、そういうふうな線において、言いかえれば恩に着せるといつてはおかしいが、そういうことを要素に含めて、外務省では諸般の取引上の問題についても十分の話をしておられるかどうかということを聞いているのです。
  22. 小田部謙一

    小田部説明員 台湾の方とは今年の初め貿易協定がございましたときに、日本の雑貨類その他のものを含めまして、バナナもそのときたまたま議論の対象に出て来たものでありまして、ただバナナだけをとりますれば、あるいは日本にとつて、不要不急のものかもしれませんけれども、お互いに外交交渉をして行きますれば、おのおの自分の必要としないものはいらないということで話を進めて行きますれば、結局貿易協定全体というものはできないのでございまして、この点は台湾ばかりではなくてその他と交渉をいたしましても、先方がいらないというものもありまして、これをやはりこちらとしてもいろいろ抱合せで買つてもらうというようなことで貿易協定をつくつて行く、こういうふうな建前になつております。
  23. 中崎敏

    中崎委員 そんなことは子供じやないんだから、あなたに聞かぬでもわかつています。そんなことの説明は少しも聞きたくない。そこで私の言いますのは、まず第一に政府の機関を通じて来たとは私は一つ言つていない。肥料中共にもし売つたならば、台湾日本からいろいろなものを買わないというようなことになつて肥料も買わないということを言つているというのだが、それは何も向うの政府の機関から外務省の方に言つて来たとは一つ言つていない。少くとも台湾側から日本業者がそういうふうに言われて、——業者に直接言つているかどうかということも、これも私は言つていない。だけれども、少くとも業者は、そういうふうな向うからの意向が強いために、中共とも実は取引をしたいのだけれども、のどから手が出ているのだけれどもできないのだということをはつきり言つているわけだ。だからその点外務省に手紙が来たとか連絡があつたとかいうことを能にしないで、もう一歩街頭に進出して、日本国民ともどもに重要なる外交政策をやるのだという、そういう線に立つてつてもらいたいということを言つている。もう少し調査を十分にして、腹をすえて、この重大なる問題と取組んだらどうかということを言つている。腹構えを聞いているのだ。だからそんな子供みたいなことを国会で言つたつて、そんなことは聞きたくない。だから私は外務大臣、少くとも次官は出てくれということを、言つている。こういうふうな状態においてあなたの方に質疑したつてしようがない。  そこで私は先ほども通産政務次官に言うてあるのですが、まずそうした事実はどこからどういうふうに出ているか。これは業界その他各方面からみなやかましく伝わつているのだから、だからそういう事実を知らぬは亭主ばかりなんで、それではしようがない。だからもう少しほんとうにやるならやると言つてくれ。それでなければ議論できやしない。われわれは真剣に国の将来を憂えているのだから、もう少し誠意をもつてすみやかに調査をやつてもらつて、そうして国会答弁してもらえばいい。いずれにしても帆足君もしばしば言つているように、今回この仮協定をして来たところの硫安輸出の問題は、これによつて将来の市場を失うか失わないかという重要な段階にある。ヨーロッパの諸国は今どんどん中共にまで持つて行つて売込みに狂奔している。そういう時期だからこの機会を逸しないで、ひとつやつてもらいたい。五万四千トンは全部できぬにしても、四万トンでも、何ぼでもいいと言つている。私に言わせれば一万トンでも二万トンでもいい。この一万トン、二万トンくらい政府の方でほんとうに拍車をかけて増産するということになればできぬことはないと思う。ほんとう誠意をもつてやる腹があるのかどうなのか。その腹をきめるについて大きな力の牽制が依然としてあつて動きがとれなければ全部投げ出したらどうですか。自分のいすくらい何でもないのだから、投げ出してやつたらどうなんですか、そこを言うのです、私の言うのは。だから腹構えを聞きたい。ほんとうにあなたたちが血眼になつておれの首が飛んでもいいのだということになつてつてみればできると思う。一万トンでも二万トンでも三万トンでも。そこのところの腹構えを聞きたい。だからいいかげんなその場限りの子供に説明するような、そういうことをここで言うてもらつても始まらないのです。  そこで今度は朝鮮の場合に移るのでありますが、朝鮮の場合においてもやはり同じようなことが言えると思う。ただ朝鮮の場合にはちよつと台湾政府とは違いまして、国家的な平常な平和状態というものが十分できてない点も一つはありましようが、一面その背後にはやはりアメリカの経済援助の金、そういうものによつてこの肥料が買われている面があるのじやないか。そうすればやはりアメリカの一つ影響力というものがこれに反映するとも思うが、それだけに日本政府としては話のしいい面があるので、アメリカ側とも十分話をして、そうして日本経済の行詰まりを総合的に見て、どうしても今後二億ドルなり三億ドルなり四億ドルなりの輸出ができなければならぬ。それを一体どうするのか。アメリカがそれだけの責任ほんとうに持つてくれるのか。それで日本の平常的な経済状態が保てるかどうか。こういうことがはつきりしているならば、なるほど中共貿易もあるいは考え得ざるかもしれないけれども、それだけの保証があつてされているのか。特に池田君はアメリカに行つて、ロバートソン会談か何だか知らぬけれども、こういうことを発表したという。現在のように、まだ朝鮮との国際関係というものが緊迫情勢が緩和されぬときにおいては、日本輸出もある程度その実情を見わけねばならぬということを認めている、こういうことを発表されているのでありますが、この問題はやはり肥料問題とも関連しているのかどうか。言いかえれば肥料中国に送ることによつて中共はある程度経済的に進んでいるので、そうすれば戦力の増強になるから、それすらもいけないというような、そういう了解の上に立つての問題であるかどうか。この点をひとつお聞きしてみたいと思います。
  24. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、申すまでもなく硫安は先般中共輸出し得る品目の中に追加されたわけでありまして、アメリカから、これに対して輸出自体についてどうこう言われる筋はなかろうと私は考えております。
  25. 中崎敏

    中崎委員 筋はないのを言うて来ているから国民が納得行かないのです。現に今日まで肥料輸出制限を日本にさすということについてさえもわれわれは納得行かないのです。それがようやく西欧並に緩和されて、それで解除品目の中に入つた。それさえもなおかつ公式にやれるかどうか知りませんけれども、少くとも日本業者並びに日本政府はそれに牽制を受けて現に肥料は一歩も進み得ないのが現実なんです。今までの答弁を見てもそうなんです。ほんとうに一万トンでも必ず出す、こういう考え方でやれば必ずできなければならない。この前も五万トン出した、あるいは三月から三万トン出しましよう、五万トン出しましよう、そういう計画ができなければならない。そこを一歩も出られない。そこに大きな牽制があるということを国民はひとしく認めているのです。それを率直に話して、その線で進んでみましよう、これだけのものを出す用意があるのだから、日本の死活問題であるからこれだけは認めてくれという、それだけの腹構えをもつて交渉してもらいたいというのがわれわれの要望であります。だから言うのでありますが、いずれにしてもそういうような筋合いでないとか、いうふうなことを聞きたくない。筋合いでないものがまげてやられるのだから。それが占領行政の延長で今日まで来ておる。それを何とかして少しでも一歩でも取除きたいというのが、国民全体の念願である。死活問題であるから一層そうなんです。その点はよくわきまえられて答弁をしてもらわないと、いつまでも並行線で、問題解決の前進にならない。国民とともに憂うるという心構えをもう少し強く持つてもらいたいというのが、私の要望なのであります。  そこで外務省の方に聞きますが、今の硫安の場合もそうです、あるいは輸出全体の問題もそうなんだが、アメリカが後進国の日本から、どんどん日本生産品を買つてくれるとは思えない。限度がある。そこで結局において、後進国といえども中共やそのほかのところにも、どうしても日本経済的な道を開かなければならぬのであるが、その点についていろいろあの点はいかぬ、この点はいかぬといつて制約をうける反面において、日本経済のためにMSAなんていつて、軍備のために莫大なる日本国民の人的負担あるいは物的負担、精神的負担、そういう大きなる負担をかけるところのその代償としては、あまりに九牛の一毛にすぎないような程度のもので、ほんとう日本経済を助けるだけの態勢がとられておるとは思わない。一体どういうふうな努力を今日までして、どういうふうに将来見通しがなつておるかということを、十分説明を聞けぬかもしれぬが、大体片鱗でもいいからひとつ聞かしてもらいたいと思う。
  26. 小田部謙一

    小田部説明員 まず中共貿易に関連して申しますれば、この前の議会の院議を尊重いたしまして、外務大臣の指令のもとに十分努力して来ておるつもりでございまして、現在のところ、ほぼ西欧並に日本輸出なつたわけでございます。硫安のことに関しましても、外務省といたしましては、もし需給関係から、あるいは一万トンでも輸出できる、それに対してアメリカなり何なりの干渉が陰に陽にあるという事実がもしあがりましたときには、積極的にそういう相手と交渉するつもりでおります。
  27. 中崎敏

    中崎委員 だから私は要求しておるのだけれども、それは結局において根本問題なので、私はこの問題は保留することにしておきます、言いかえれば、大体においてはしぼりながらいろいろ聞いておるのだけれども、どうしてもそういうところに触れる問題もあるし、事ごとにこういう問題に触れるのだから、一応私はこの問題については保留しておきます。  次に硫安輸出会社についてでありますが、先般われわれは輸出入の組合法を大幅に改正して、前々国会でしたか、重要物資を扱う輸出についても、また重要物資でなくても、輸出組合というものを大幅に緩和して、いわゆる独禁法の緩和をして、そうして相当活発な組合ができた。メーカー、輸出業者、こういうようなものを含めた組合をつくること、そうしてしかも価格の協定あるいは買取り、向うとの交渉、こういうふうなことも相当に幅を広げてやれるような態勢の組合をつくつたのであります。そこで軽工業局長にお聞きしたいのでありますが、そういう輸出組合法とこの硫安輸出会社法との関連性において、その輸出組合ではこの問題は処理つかない、こういう点について欠陥があるというふうな点を御指摘願いたい。
  28. 中村辰五郎

    中村説明員 輸出機構の形につきまして、改正されました輸出取引法に基き、特別に輸出会社をつくつた理由はどうかという問題でございますが、私たち輸出組合を一番強く主張をいたします根拠は、硫安輸出問題が特に問題になりました点は、海外に国内価格よりも下まわつた価格で売ること自体が、輸出による損失を国内の消費者に転嫁するのではないかという点に対します問題が重要でございましたので、この問題を処理する方式といたしましては、まず経理上の損失をだれが負担するかという問題でございます。これにつきましては、先般政府がつくりました。肥料対策委員会の答申にもございますように、メーカーが自主的に処理するという建前に相なつておるのでございます。メーカーが自主的に処理します方式としましては、一時これをたな上げいたしまして、合理化その他によるコスト低下に伴う利益をある期間調整いたすことにいたしまして、これによつて相殺するという建前でございます。その方式といたしましては、やはりメーカーを主体といたします機構が必要なのでございます。輸出組合法は御承知のように輸出業者の団体でございまして、これはメーカーだけの、いわゆる受入れの責任者の最終帰属者をもつて組織する建前から行きますと、法制的にこれが完全でないのでございます。そういう意味合いによりまして輸出会社機構を採用いたしたのでございます。なお輸出組合は輸入行為をいたすこともできません。そういつたようなことで、輸出会社にいたしますことが、いろいろの統制企業を行う上において一歩進んでおると考えるのでございます。  特にこれを実質的な対外的な競争関係において日本側が優位に立つという建前から、本輸出会社がよろしいか、あるいは輸出組合がよろしいかという問題が第二に取上げられる問題でございます。この点につきましては、もちろん輸出組合は輸出業者の団体でございまして、それは一つの組合機構でございます。肥料輸出につきましての相手方は、特に主要なる需要国は大体において国営的色彩がきわめて濃厚でございまして、買手は一人という立場に相なつておるのでございます。このような買手側の強い独占性にかんがみまして、日本側も相当対外的に強力なる団体的行動と申しますか、そういう組織を必要といたしますので、輸出組合よりも輸出会社制度で徹した方がよろしいのではないか、こういうぐあいに考えた次第でございます。
  29. 中崎敏

    中崎委員 輸出会社の場合には輸入ができるということでございますが、輸入といえばどういうものを考えられるのですか。
  30. 中村辰五郎

    中村説明員 これは今日どういうものをという想定はございませんが、たとえば当委員会において非常に問題になつておりました、バー夕ー輸入というような場合に、これを個々の商社なりあるいは個々のメーカーなりの関係において処理するよりも、むしろこれを国家の監督下にある機構で行わしむる方が、万が一必要な場合には、その方がむしろベターである、こういう面も一応考えたのであります。
  31. 中崎敏

    中崎委員 そうしますと、輸入ということは肥料外の他の物資ということになるのですか。
  32. 中村辰五郎

    中村説明員 肥料外の他の物資という広汎なものではございませんので、たとえばこの輸出会社の赤字と申しますか、これが相当調整困難なとき、もちろんこれは国家で補償するという建前にいたしておりません。原則としては、自主的にメーカーのコスト切下げによつて処理するという建前にいたしておるのでありまして、たとえば先般問題になりましたようなバナナ輸入というのは今後におきましてはもちろん慎重にいたすべき筋合いのものでございます。ただ国際環境からいたしまして、わが国においても三箇年合理化計画というものを立てておりますが、その間には非常に海外との競争その他で思わざる問題もあるというような場合に、いわゆる赤字調整ということを最小限度に行わしめる、たとえば現在でも優先外貨——つての制度でございますが、特別割当制度というような制度がございまして、獲得したドルのテンパーセントについて優先外貨というものを認めるというようなことになつております。この場合の活用ということについても、できるだけ国家の監督下に十分機能を発揮させる、行過ぎを防ぐという両面の目的のために設けたのでございます。     〔委員長退席、中村委員長代理着席〕 ドルのテン・パーセント相当の外貨優先制度がございますが、その運用についての問題でございます。
  33. 中崎敏

    中崎委員 輸入の問題については他の場合において優先外貨というものはあるのです。硫安輸出を目的としておる会社においても附帯業務といいますか、そういう関連性のあるものがあると思うのですが、それをどの程度どうするかあるいは優先外貨がかりに与えられるとすれば——これは利益還元の方法は必ずしも自分自身がほかのもののバーター物資の輸入をする、あるいはバーターでないものでもときには輸入するかもしれませんが、そういう程度の範疇まで行つていいかどうかということになるとこれは別問題でありますが、もう一つ輸出組合の場合においても、肥料生産業者もやはり組合のうちに入るということが多分認定できていると思うのです。言いかえますと、今まで肥料業者というものは同時に輸出をやつておるものもあり、あるいは他の商社に委託して輸出しておる場合もあると思うのですが、いずれにしてもこれはそうした、以前肥料輸出の実績のある業者の面においては、輸出業者同時にそれがメーカーである、こういうふうなものもあつて、その人的構成の上においては組合も会社もそう違いがなく、同じ範疇に入るのではないかと私は考えておるのでありますが、その点が間違いがあるのかどうか、あなたの研究の結果をお知らせ願いたいと思います。
  34. 中村辰五郎

    中村説明員 輸出会社を認めます最大の根本的な根拠は、いわゆる輸出によります損失をメーカーが自主的に処理するという基本の考え方を立てております関係で、輸出業者を加えます場合、そこに輸出業者は損失を負担するという考え方のもとにこれを一にまとめるということができませんので、これはもちろん輸出業者としての優秀なる経験あるいは能力というものにつきましてこれをうとんずるわけではございませんので、輸出会社機構と緊密なる関係を持つて輸出業者としての機能を営ましめるという建前にいたしたいのであります。輸出業者と申しますのは、もちろん輸出上、におきます経験あるいは輸出上におきます手数料その他によつてこれが機能を負担しておるのでありまして、輸出による損失を自主的に自己の責任で処理する、こういう負担を持たしめるべき性質のものではございませんので、これと別個に切り離すことを妥当と認めたわけでございます。
  35. 中崎敏

    中崎委員 あまりつつ込んでの話は大体この程度にしておきたいと思いますが、ただ輸出組合でも、出資金の金額にもよりますが、出資金が相当多額であるならばある程度損失が一時的にあつてもこれをカバーする、ことに優先外貨なども一割の幅がここにあるということになれば、たとい一割安くてもとんとんで赤字なく行けるということになるかもしれません。あるいはまたときには二割かりに赤字で、出血で出さなければならぬという場合においても、たとえば中共みたいに現在の国内の価格と差等なしにでも買うという先もあるように、この場合においても一つの出血もない、そうしてみればここらに努力されたらそう輸出について今までのような出血もなしに企業の合理化もされ、国内価格も下りつつあるし、輸出価格ともある程度開きがあるとしても、合理化等によつても優先外貨等のプラスによつてもある程度のカバーされる、組合の面においても出資金が相当各社多過ぎたから、相当にやれば一応ある程度の赤字の補足はできる、あるいはそうした強力な組合であるというように組合自身も自信があるところは、それ以上に赤字が出た場合には組合全体がこの範囲において増額して出資するということもある、会社の場合においてもそうした面においてはあるいは違いはないじやないかと思う。ただ組合であるという場合とそれから会社であるという場合は、一つの強力に事業を推進する上で、組合ではどうも組合員が個々に一つの主張を持ち、立場を持つ場合にやりずらい面はあると思いますが、そのほか私は大きな根拠はないのじやないかというふうに考えているのでありますがどうでしようか。
  36. 中村辰五郎

    中村説明員 御指摘の点一つの考えの方法として、私もそういう案を具体的に検討いたしたいこともございます。しかしながら輸出業者立場とまたメーカーの立場とも個々に分析して考えらますると、やはり先ほども申しましたように、一つの対外的な行動については、輸出組合を徹底的に組織的にいたしますことによつて相当効果的の面があり得ると考えます。ただ問題の硫安輸出問題と申しますが、特に輸出国内との有機的の関係を遮断するというところに大きなねらいがございますので、この法律的遮断ということをいたしまして、政治的にも国内硫安の合理化というような面からいたしまして、やはり輸出会社というものをこの際つくりまして実施に移すべきことが妥当ではないかというように個人的にも考えて来たのであります。
  37. 山手滿男

    ○山手委員 関連して。今の局長の御説明ですが、それは非常に問題があるのです。それは一応二重価格の問題になつて来るのですけれども、出血輸出をしているというか、国内よりか安く売つている商品はあに硫安のみならずで、たくさんあるのです。この法律を実施して特殊輸出会社というものが成立をして参りますと、硫安の方は政府の方も資金的にもめんどうを見て行くということになると、これはある程度円滑に行くだろう、そうすると硫安以外の同じようなケースのものがたくさんある、ほとんど今日本貿易は二重価格制で行つている、リンク制とか何とか言つているが、ほとんど二重価格で行つている。その場合にほかのものは次々とこの硫安と同じような形態でやつて行くのかどうか、そこに問題があつて、特に硫安だけ切り離してこれをやらなければならぬということはどういうことか、またそういう理由はどういう点なのか、またほかのものは今から問題になつてもこれと同じようなことで単行法で次々とやつて行く意思があるのか、これを明らかにしておかなければならない。私は五箇年なり何年なりたつて、しりに赤字が出たときにどう処理するのかこれは確信が持てないのですよ。ほかの商品との関連においてこれは大きな問題がそこにある。今の局長答弁は軽率に聞き流すことのできない答弁でありますから、私は関連質問をしておきます。
  38. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお尋ねもまことにごもつともな御不審であろと思うのでありますが、特に硫安に限つてかような措置を考えましたのは、これは硫安の持つ重要性というか、わが国の食糧増産の見地からいいましても、あるいは農村経済立場からいいましても、きわめて重要なものである。特にこれは増産をやめて操短をして輸出をとりやめるというようなことのできない事業上の性質もありまするし、やむを得ずかような措置を講じて、国内需給の安定をはかると同時に輸出の出血はかようにメーカー自体が努力をして数年間に合理化して値を下げて行こうというふうな機構をつくつたわけでございまして、なるほど他にもあるとおつしやれば二重価格になつておるものもありまするけれども、しかしこれはほかの方にかような機構を今後増して行こうというような考えは持つておりません。御了承を願います。
  39. 川上貫一

    ○川上委員 関連をして。私もきのう質問したのですが、政府の方ではやはり正直に言う必要がある。そうじやない。日本硫安肥料の問題は、将来の東南アジアに関係がある、中日貿易関係がある。同時に台湾と朝鮮に関係がある。ところが、今アメリカは干渉しておらぬと外務省、通産省は言つておるが、これはまつたくうそであつて、ひどい干渉をしておるのである。これについて証拠を出せということになれば出します。これは中崎さんもお出しになるだろと思う。これが実は、ある意味においては困つておるのである。これを一本の輸出会社にしますと非常に操作が楽になる。ここに圧力を加えればよい。ここに非常な問題がある。そこで日本輸出の問題については、硫安肥料の問題というのが重要であつて、これが他にも恩恵を着せるのに非常に都合のよい商品である。この商品をアメリカが操作するのに輸出会社をつくる必要がある。これにもつて行つて圧力を加える必要がある。これで一本化となるのです。ここのところに重要な問題があるのである。そこで今御質問になつたように、出血問題だけを取扱うならば、ほかのものにも全部こういう会社をつくらなければならない。ところが硫安の問題についてだけ、なぜこうやるかという本質を、私は政府は知つておるに違いないし、心配しておるに違いないと思う。     〔中村委員長代理退席、委員長着席〕 これをやはり委員会ではつきり言う必要がある。こうしませんと問題の本質には触れないのです。そうしてその上に硫安の出血だけを国家の補償にするということは、これは政治的な問題なんです。これをただ経済的な問題としてだけ見てはいけない。われわれは決してそう見ておらない。これがほんとうなんです。大きな政治的な問題です。この観点からこの法案というものを考えて来なければならぬ。政府は知つておると思うが、政府の考えをはつきり言う必要がある。また困つておるということを言う必要がある。これは政府だけの考えと違うのです。これは明らかなんです。そこで私の言いたいことは、この委員会できのうも言いましたように、また中崎さんその他も質問されたように、硫安の問題、中国との貿易問題が非常に重要なのであつて、挙国でほんとうに心をそろえてこの干渉に抵抗し、独立の方針を立てて行くことにしませんと、あらゆる形でとんでもない結果になることは明らかである。こういう見地から今度の硫安の法案というものを考えませんと、単にそろばんだけから考えたのでは、まつたく見当が違うと私は思いますが、通産関係の方ではこれをどうお考えになりますか、この一点だけ承つておきたい。
  40. 古池信三

    古池政府委員 今回この法案を提案いたしましたにつきまして、あらゆる面から慎重に御審議をいただくことは非常にけつこうであると存じます。しかし、ただいま川上さんからお話になりましたような問題につて、先ほど来私並びに局長からも申し上げました以外に、あるいはそれよりもさらに奥深い何物かがあるのではないか、あるいは政治的な意図を包蔵しておるのではないかという点につきましては、私は川上さんと意見をまつたく異にするのでありまして、そういう政治的あるいは外交的な意図をこれに含めたものでなく、純粋にわが国硫安の健全なる発展とコストの引下げによりまして、農村経済を安定すると同時に、将来の最も大切な輸出商品としての存在理由と申しますか、十分に伸びて行けるようなくふうを経済的な立場から考えまして、かような法案を考案したのであります。ただいまのお説のような、政治的にこれを操作すればどうこうというようなことは毛頭われわれは考えておりませんので、この点はまつたく川上さんとは意見が相違しておることをはつきり申し上げておきます。
  41. 川上貫一

    ○川上委員 政府としてはそう言われるのだろうと思うのですが、そういうことになりますとさつぱりつじつまが合わない。それならばなぜさつきから問題になつておる一万トンを出さないか。メーカーはくめんすれば十万トンぐらいは出せると言うておるじやないか、大きなメーカーがそう言うておる。しかもこの契約があつてから後に朝鮮には出しておる。朝鮮の肥料は、春肥でありますし、十七万五千トン、あるいはこれから折衝すると言うておるが、三月までにはまだ言うて来ます。必ず言うて来るにきまつておる。この時分にどうします。おそらく政府は出すに違いない。ところが中国には、三月まで国内の需要によつて一つも出せぬと言つておる。これは政治的じやありませんか。ほんとうに腹に考えて、わずかでも国内需要の関係で絶対に出せぬと言い切れますか。もし言い切るとすれば、三月までいかなる国にももう一トンも出しませんか。そんなことはあり得ない。硫安の問題というのは政治的の問題です。この点で私はもつとはつきりと正直にお答えになる方が正しいと思う。もしそうでなければ、昨日以来問題になつている、中国に対する硫安は少しも出さない、こういう答弁ができるはずはない。政治問題だからこうなつておるとわれわれは解釈せざるを得ない。これはどうでしよう。
  42. 古池信三

    古池政府委員 先ほども申し上げたのでありますが、時期的に申しまして、現在日本硫安は非常に需給事情が逼迫しており、また生産の面から申しまして、三月までは渇水期で非常に増産が困難であるということを申し上げたのでありまして、中共向け輸出については、十分今後とも農林省あるいは外務省とも相談をいたしますということを申し上げたのであります。
  43. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいまの山手さんの質疑に関連がございますが、この肥料輸出会社法案は、メーカーから輸出上の出血を守るために、こういうことでございますが、他の業界にそれがあつても行わないという次官の御答弁でございました。そこで私思うことがあるのですが、出血から業界を守るという目的と、国内の食糧増産影響があるからということでこういう会社法をつくらなければならぬというならば、これはそれ以上重要な同じケースの問題が糸へんにございます。これを一体どうなさろうとするのか、ほつておかれるつもりですか。輸出の総額から申しましても糸へんの方がはるかに多い。少い少いと言うても、去年度でも三六%の輸出額を持つておる。それからまた出血の明確度から言いましても、これははつきりしている。また肥料会社の方は、今度の台湾の一かます七百五十五円の契約にしても、ある会社はこれでよろしいと言つて出しておる。ところがある会社はこれじや出血だからごめんこうむると言うておるし、日本の内地相場は八百五十五円程度でいいと言つておる。そうするとかりに七百五十五円で出血だとしても、これは一割五分程度のものなんです。ところが糸へんになりますと、これははつきりしている。しかもこれは一割五分程度じやない。毛に例をとつてみればよくおわかりの通りでございますが、毛製品を輸出する場合には三割から四割の出血でございますよ。それを放任しておいて肥料にだけこういう法案をつくるという理由は、私にはちよつと納得が行かない。この点納得の行くような御説明をお願いしたい。私はこれが通れば立ちどころに私の方の党から繊維輸出の会社法をひとつ提案しようと思つていたやさきでございますから、それをやらないというならその理由をはつきりしていただきたい。政府の方針から行きましてもそうでしよう。合成繊維の五箇年計画までやつて、これに援助をしようとしているやさきに、出血から守るためにこういういい制度が行われるというならば、なぜ肥料だけにそういう恩典を考えて、糸へんには考えられないのか、私にはわからないのです。そこの理由を納得の行くように御説明願いたい。
  44. 古池信三

    古池政府委員 なかなかむずかしい問題でありますが、先ほども申し上げましたように、硫安は特に今の国民生活あるいは農村の立場からいいまして、重要性を持つておるのです。またその生産の方式等につきましても独特の方式を持つておる。そこでかような機構をつくりまして、できる限りすみやかに設備の合理化をやつてコストを引下げ、ひいては輸出を増進すると同時に、国内の価格も引下げて行くようにしたい、こう考えておつたわけであります。しからば毛織物、綿織物の繊維関係も重要ではないかということは、もちろんごもつともであります。私は硫安は重要であるが繊維は重要でないとは決して申しておらないのであります。しかし実際問題としては、いろいろ業態その他が違つておりますから、硫安で成功したものが、はたして繊維の方でその通りに成功するかどうかということは疑問でもありまするので、今後十分研究いたしまして、やはりこれと同じような機構でやつた方が日本の繊維業界としましても好ましいことであるというような結論に達しましたら、またそのときに考えるといたしまして、先ほど山手さんにお答えいたしましたように、ただいまのところはかような行き方は硫安に限つて考えておる、かように申したのであります。従つてただいまの御意見のありましたように、将来ぜひその機構でやらなければならぬ、またこれが最もよろしい方法であるという結論に達すれば、そのときに考えてみたいと存じます。
  45. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。ケースは違いますからそれは違うでしようが、根本は同じでございます。そこで肥料に立法措置をして保護しようとするならば、糸へんの方にも立法措置をして保護しようとする考えがありやいなや。私の方では考えていますが、同じケースでやつてくれということを言うているわけではありません。出血から守る立法措置が他にも及ぶやいなやということでございます。
  46. 古池信三

    古池政府委員 ただいま申し上げましたように将来の問題として十分に検討を加えてみたい、かように考えます。
  47. 永井勝次郎

    ○永井委員 日中貿易協定に基く、硫安輸出の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。この問題はすでに協定ができて、見返りとして開らん炭、工業塩、こういう重要な原料輸入を見合いとして五万四千トンを輸出する、こういうことで、バナナとか砂糖のバーターとは事違いまして、バーターの点から申しましても、非常に重要な原料とのバーターである。これがしかも日本が今輸出を振興しなければならない新たなる開拓地として、中共をその対象として特に取上げなければならないという、こういう段階において、こういう問題が発展して来ますことは、これは国をあげて賛成をしなければならないし、万障を突破してこれらの問題の解決に努力しなければならないと考えておるのでありますが、これが現在いろいろの傷害にぶつかつて、てきぱきと運ばない。しかもこの協定の契約期限が、もう数日にして無効になるという、こういう段階に来ておるのでありますが、これに対して当局はどういうふうに考えておられるか。これをやる気でいるのか、やらない気でいるのか。やらないとすればその原因はどこにあるのか。たとえば国内の需要が予定よりは十万トンほど多くなつて、百七十五万トン内外に国内需要がふくれて来て、備蓄の方が少くなつて来た、こういうのでありますが、業界では十万トン内外の輸出は可能であるという、しかも現在では十七、八万トンから二十万トン内外は備蓄を予定する数量を手持ちしている。こういう段階において、さしあたつての四、五万トンの輸出ということは、現実に可能な条件である。そういう条件があるにもかかわらず、現在てきぱきとこの問題が運ばない原因はどこにあるのか、これをはつきりさせていただきたいと思います。
  48. 古池信三

    古池政府委員 この問題につきましては、昨日来るる御説明をいたしているのでありますが、私は来年三月までに一トンも出さないとか、あるいは出すとか、一度も申し上げたことはないのであります。ただ問題が時期的に非常に今むずかしいときでありますから、特に国内硫安問題については、もつぱら農林省で御心配になつているのであります。従つてわれわれとしては農林省なり、あるいはまた国際関係から言えば外務省とも十分の相談をして参りましよう、こういうふうに御答弁しているのでありまして、その通りでございます。
  49. 永井勝次郎

    ○永井委員 それはその通りでありましようけれども、それは事務的な交渉をして行きましようというだけのことであつて、これに対して積極的な態度というものは全然示さない。こういう事情になつているからこの問題が解決すればこういうふうにして解決できる。こういう問題が現在障害になつているのだとか、もう少し具体的な話があつてしかるべきである。積極的におやりになる考えであるならば、いろいろ具体的に運んで障害にぶつかつておられるだろうと思う。そういう具体的な障害はどこにあるのか、どこの役所がどういうふうに反対をしているのか、あるいはどういうところからどういう文句がついているのか、当局はそれに対して輸出する対象の手持ちがないからできないというのか、今の次官答弁では非常に事務的、抽象的で事実が明らかにされないのであります。どういう点がどうなのかということをもう少し具体的にお話願いたい。
  50. 古池信三

    古池政府委員 先ほど業界の話として、まだ輸出余力相当あるのだというお説がございましたが、業界の方ではどういうふうに、言つておられるか存じませんけれども、やはりわれわれとしては、あくまで主管官庁である農林省と協議して行くほかはないと思うのであります。そこで農林省と先般来も相談しておるのでありますが、何としても年内は国内需給関係でむずかしい。しからば来年はどうかといえば、来年は先ほども申しましたように、三月までは渇水期でなかなか増産もめんどうでないかというのが、現在の見通しでございます。従つて今ここで具体的に例を示せと申されましても、ただいま申しましたようなわけで、三省間でそれぞれ事務的に話合いを進めておる、こういう現状を申し上げるよりほかないと思います。
  51. 永井勝次郎

    ○永井委員 中村局長お尋ねいたしますが、現在生産がどのくらいで、余裕分がどのくらいあるか、はつきり伺いたい。
  52. 中村辰五郎

    中村説明員 二十八肥料年度の八月以降十二月までの生産計画が、九十三万四千トンでございます。八、九は大体計画を上まわりましたが、十月は渇水関係、端的に言えば、電力事情関係で減産になつております。十一月も電力事情関係もありまして、やや下まわつております。十二月は目下進行中でございます……。
  53. 永井勝次郎

    ○永井委員 いや、総量でいい。
  54. 中村辰五郎

    中村説明員 十一月までが七十四万九千トンでございます。十二月の生産計画は十九万一千トンでございます。それでこれの従来の内需のデリポアリーの状況は、前に考えましたよりも、国内の出荷は非常に順調でございましておおむね出荷の予定よりも上まわつております。全体の計画から申しますると、この十二月末の在庫が、最初の計画では十九万二千ぐらい残るのじやないかと想定いたしておりましたがこれが多少下まわるのじやなかろうかというふうに、今のところ考えております。一—三月はこれはもちろん計画でございまして、内需の春肥の状況は、これも想定以上に出ません。ただ一—三月は、本年は暖冬異変というようなことを考えられるかどうか、非常に疑問でございます。目下の状況では、むしろ渇水期ということについて懸念が多いように考えておるのでございます。と同時にもう一つ輸出制約が、先ほど申しましたように十二月までをとりまして、——年間相当考えておりますが、しかし十二月までの輸出制約状況から申しますと、国内に、御検討願つております。肥料需給安定法によります三箇年間の平均需要の約一割程度の備蓄を持つ、こういう趣旨でございまして、法案成立前といえどもできるだけ立法の精神に沿いまして、国内の在庫を考慮しなければならぬという建前にいたしております。その在庫の保有というものは、三箇年間の平均で行きますと、大体十六万あるいはそれを上まわる数字を考えざるを得ないという状況でありまして、どちらかというと、相当内需との調整は問題があるのじやないかというぐあいに考えております。
  55. 永井勝次郎

    ○永井委員 従来の例によると、通産省はできるだけ輸出を振興したい、輸出に立ち向つて行きたい、農林省の方はできるだけ国内需要を確保したい、しかも若干国内をだぶつかせて、値上りを押えて行くような態勢、こういうことで、輸出に対しても、時期的にも数量的にも農林省が一応の容喙をする、従来はこういうことであつたと思います。この日中貿易の今回の問題については、農林省は出してもいいと言い、業者も出す余力はあると言う。しかも従来のいろいろな障害を突破しても輸出に立ち向うと言う。通産省は今度は生産がどうだとか、備蓄がどうだとか、あるいは国内需要がどうだとか言つておる。現在手持ちしておる滞貨というものは、十数万トンあると思うのであります。それをただ寝かしておいて、活用しないのだ。これは生産で時期的にずらせば、幾らでもそれだけの備蓄に食い込むことなくして、生産が順調に運ぶ条件であるにもかかわらず、前途に対して非常な不安感を持ち、しかもその不安の予想というものは、われわれの想像しておるよりはプラス・アルファである。ベース・アツプに対しては、プラス・アルフアは引下げろ、不安の点に対してはプラス・アルフアを非常に過大に評価しておる。こういうようなことで、従来の通産省の考え方とは非常に違うのですが、中共貿易に対して何かそういうふうに逡巡しなければならない、そういう現実をもつと事実以上に不安に感じてまで、これを押えなければならぬ原因が、どこにあるか。それをひとつ腹を割つて話していただきたい。
  56. 古池信三

    古池政府委員 腹を割つて話せというお話でありまして、私も腹を割つてお話申し上げますが、しかし農林省がただいまおつしやつたように、輸出賛成であるというふうには、私は報告としては聞いておりません。
  57. 帆足計

    ○帆足委員 関連して……。需給の問題がただいま出ておりましたが、硫安需給状況相当逼迫した状況にあるということは、ちようど春肥の前でございますし、当局が心配されておることは、ある程度の妥当性があると思います。しかし同時に、この問題につきましては、与党の各議員の方々ともしばしば私意見の交換をする機会を持ちまして、わが議員連盟三百名の議員は、ほとんどこの問題について満場一致理解をしておる問題でございまして、中国の五億の農民を擁する市場に対して、最初の窓が開けようというときに、五万四千トンならずとも、せめて三万トンでも二万トンでもいいとまで同僚議員が言われておるのでありますから、私はこれは方法はあると思います。実は農林当局の方々とも、たびたびこの問題について話し合いまして、そうして内輪のことでございますから、言いますのには、確かに需給状況は切迫しておるので、慎重な考慮を要する。しかしこれについては、農民団体並びに農林委員諸君の御了解と、通産省の御了解があれば、一段努力すればできない情勢ではない、しかしこれには政治的了解がいる輿論の支持がいる、そういうすれすれの状況であるから、結局今日の状況で、輸出はどのくらい重要であるか、そしてこの硫安の発注をまつたくキヤンセルしてしまうことがいいかどうかということについては、それは重大な問題であるから、農林当局としても、これをキャンセルするようなことを進めるわけに行かないので、ひとつ通産当局にも事情をよく話しておいてくれ。最後に結論としましては、通産当局輸出第一主義の今立場に立つておりますし、農林当局としては、今永井委員の言われるように、多少農民を守るという立場で、控え目な立場なんですから、両省が協議してひとつ何とか打開策を考えたい、ついては、通産省からまだ積極的御要望がないということが、非常に事柄をやりにくくしておることが一つと、同時に農林委員会の方々の御了解が必要である、問題は、こういうことで今展開しておるのでございます。従いまして、本日はまだ昼でございますので明日最後の通産委員会があるとしますれば、私は外務省並びに農林省と、本日の夕刻でも連絡していただきまして、明日は農林省、外務省当局もここでお立会いの上で、一挙にこの問題についての基本国策をきめていただいたらどうかと存じますが、数字の上のことはすべて検討し尽してございます。農林委員の方々のお気持もほぼ了察できる段階になつております。農業団体は相次いでその意思を表示しておるような状況でございます。そういう状況のもとで、とにかく中国へ出す、全面的にキャンセルということはしない。そして五万四千トンならずともせめて四万トンでも三万トンでも捻出する。こういう程度の結論に一両日中に到達いたさねば、少くとも数日中にこれの諾否を返事しなければ、国際信義上から申しましても、——実は大体できはしないかという、できそうなそぶりをわれわれは北京の方に電報を打つてあるのでございます。いよいよできないのであれば、北京も西ヨーロッパに発注しなければならないと思いますので、この問題につきまして、深甚な御考慮を願いたいのでございます。  さらにただいま電力の問題も出ましたが、多少の電力増配は考えていただけるのではあるまいか。さらにまたこれの見返りは主として粘結炭でございます。粘結炭につきましては、三月までアメリカ炭の手当をしておるということで、多少業者の一部で消極的な部面があつたと思いますが、これも来年、再来年度のことを考えますと、どうしても日本の粘結炭の二、三割は開らん炭に依存しなければならぬ事情もございますので、そういう長期の計画に心をいたされまして、この硫安の見返りの粘結炭の問題はあわせて重要な問題である、こういう点からお願い申し上げたいのであります。どうか政府当局におかれましても、もう各委員の言われますことは超党派的に尽されておりますので、本日の午後でも連絡を持つていただきまして、この問題が多少なりとも窓を開きますようにお願いいたします。  最後に一言私が経験したことの一つだけを申し上げます。実は中国で北京に参りましたときのことですが、昔の中国というものは非常に暗い、犯罪に満ちた治安の悪い国でございましたので、今度普通に統一されて近代国家の一員のような態勢を整えますと、いいところばかりが対照的に目につくというようなことで、貿易の相手方としてはやや安定した国であるということは一致した意見でございます。しかし悪い点はどういうところかということを一言だけ御参考に申し上げますと、何分にも非常な後進国でございまして、日本より五十年も百年も遅れておる部面が至るところにあります。北京の町に参りまして悪い点は、たとえばお医者さんの数が非常に足りぬ。五億の人口に対して五十二万の医者が必要なのに、一万二千人の医者しかいない。従いまして漢方医薬から解放されて、医者に通うことを覚えた—もちろん漢方薬も大事でありますが、近代医学の世話になることを覚えたので、一ぺん病気になりますと、お医者さんに行つて二十四、五人も待たなければならぬ。この一万二千人のお医者さんの大部分は日本で勉強したお医者さんたちである。従いまして日本の医薬や、日本の医療器械を実にほしがつておる。そこで私そういう会に出たのですが、漢方医の方を集めて短期教育をしております。すると中にはこれから初めてペニシリンを使う、初めて体温計を使うというような講習を受けておるのでございますが、体温器一つに例をとりましても、一億戸数ありますので、帆足さん、体温計は一戸に一個必要であるとして、一億本必要なことになりますが、日本の産業界はそれだけの御準備がありましようかというじようだん話が出まして、私はせめて百万本くらいどうかと言いましたら、実は仁丹体温計に一万本発注したというようなこともございました。こういう大きな市場でありますから、どうか真剣にひとつこれに御協力くださいますよう、明日もあらためて申し上げますが、お願いいたします。
  58. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたしまして、次会は明日午前十時より開会いたすことにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午後零時五十五分散会